振動振幅計測装置および振動振幅計測方法
【課題】物体の振動振幅を精度良く求める。
【解決手段】振動振幅計測装置は、物体12にレーザ光を放射する半導体レーザ1と、発振波長が増加する期間と発振波長が減少する期間とが交互に存在するように半導体レーザ1を動作させるレーザドライバ4と、半導体レーザ1から放射されたレーザ光と物体12からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出するフォトダイオード2および電流−電圧変換増幅部5と、電流−電圧変換増幅部5の出力信号に含まれる干渉波形を数える計数部7と、計数結果に基づいて物体12の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出部8と、計数結果に基づいて物体12の振動周波数を算出する振動周波数算出部9と、振動最大速度と振動周波数とから物体12の振動振幅を算出する振動振幅算出部10とを備える。
【解決手段】振動振幅計測装置は、物体12にレーザ光を放射する半導体レーザ1と、発振波長が増加する期間と発振波長が減少する期間とが交互に存在するように半導体レーザ1を動作させるレーザドライバ4と、半導体レーザ1から放射されたレーザ光と物体12からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出するフォトダイオード2および電流−電圧変換増幅部5と、電流−電圧変換増幅部5の出力信号に含まれる干渉波形を数える計数部7と、計数結果に基づいて物体12の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出部8と、計数結果に基づいて物体12の振動周波数を算出する振動周波数算出部9と、振動最大速度と振動周波数とから物体12の振動振幅を算出する振動振幅算出部10とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動する物体の振動振幅を計測する振動振幅計測装置および振動振幅計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ変位測定器は、振動する対象物の位置を測定することができる。その位置の最大値と最小値の差が対象物の振動運動の振幅になるので、位置の最大値と最小値を求めることができれば、振幅を求めることができる(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「レーザ変位計用途別測定ガイド vol.3 振動測定」,p.2,株式会社キーエンス,<http://www.keyence.co.jp/req/h/avhc3w5/show.jsp?done=/henni/index.jsp&motive=TOP>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象物の振動の中心から変位の最大値または最小値までの片振幅(波高値)を正規化した場合、変位Xの確率分布関数は、図35に示すように1/cos{asin(X)}になる。その結果、理想的な状態では、離散時間で対象物の位置情報をサンプリングした場合、サンプリング数が十分大きい場合は、対象物の位置の最大値と最小値とから対象物の振幅の情報を正しく測定することができる。
【0005】
ここで、変位Xの確率分布関数の求め方について説明する。図36(A)、図36(B)は変位Xの確率分布関数の求め方を説明するための図である。正弦波sin(θ・t)がXをとりうる確率は、X=sin(θ)になるので、sin(θ)の傾きの逆数である1/cos(θ)に比例する。図36(A)の正弦波の一部を図36(B)に示す。この図36(B)において、変位XがdXに含まれる時間はdθであり、dX/dθはcos(θ)であるから、sin(θ)がdXになるθの値は、dθ/dX、すなわち1/cos(θ)である。さらに、sin(θ)=Xなので、θ=asin(X)である。1/cos(θ)にθ=asin(X)を代入すると、sin(θ)がXになる確率密度関数は、1/cos{asin(X)}に比例すると導出される。以上が、変位Xの確率分布関数を求める方法である。
【0006】
図37に、平均位置(中心)が400で振幅が200で振動する対象物の位置を乱数的に発生させたときの度数分布を示すが、中心400から最大値500までの度数分布は図35に示した確率密度関数と良く一致していることが分かる。
【0007】
ところが、対象物の個々の位置情報の値には誤差が含まれ、その誤差分布は正規分布とみなすことができる。したがって、誤差を含んだ位置の度数分布は図38のようになる。図38の例の場合、ノイズによる誤差(標準偏差5)によって、位置の最大値が本来の値500に対して510という誤った値となり、位置の最小値が本来の値300に対して290という誤った値となるので、振幅(最大値−最小値)の値も本来の値200に対して220という大きな値となり、10%も大きくなってしまう。
【0008】
以上のように、位置の最大値と最小値を用いて振動の振幅を求める従来の方法では、ノイズを除去することができず、振幅が大きく見積もられがちであり、誤差も予測することができないという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、物体の振動振幅を精度良く求めることができる振動振幅計測装置および振動振幅計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の振動振幅計測装置は、測定対象にレーザ光を放射する半導体レーザと、発振波長が連続的に単調増加する第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する第2の発振期間とが交互に存在するように前記半導体レーザを動作させる発振波長変調手段と、前記半導体レーザから放射されたレーザ光と前記測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手段と、この検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手段と、前記計数手段の計数結果に基づいて前記測定対象の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出手段と、前記計数手段の計数結果に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手段と、前記振動最大速度算出手段が算出した振動最大速度と前記振動周波数算出手段が算出した振動周波数とから前記測定対象の振動振幅を算出する振動振幅算出手段とを備えることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動最大速度算出手段は、前記計数手段の計数結果の分布の平均値または中央値を算出する平均値または中央値算出手段と、前記計数手段の計数結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出手段と、前記平均値または中央値と前記最頻値との差を前記計数手段の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、この振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動最大速度算出手段は、前記計数手段の計数結果の分布の標準偏差値を算出する標準偏差値算出手段と、前記標準偏差値を√2倍した値を前記計数手段の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、この振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動最大速度算出手段は、前記計数手段の計数結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手段と、前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と第2四分位点との差を√2倍した値を前記計数手段の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、この振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動最大速度算出手段は、前記計数手段の計数結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手段と、前記計数手段の計数結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と前記平均値との差を√2倍した値を前記計数手段の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、この振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の振動振幅計測装置は、測定対象にレーザ光を放射する半導体レーザと、発振波長が連続的に単調増加する第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する第2の発振期間とが交互に存在するように前記半導体レーザを動作させる発振波長変調手段と、前記半導体レーザから放射されたレーザ光と前記測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手段と、この検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手段と、前記検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の周期を干渉波形が入力される度に計測する信号抽出手段と、この信号抽出手段の計測結果に基づいて前記測定対象の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出手段と、前記計数手段の計数結果に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手段と、前記振動最大速度算出手段が算出した振動最大速度と前記振動周波数算出手段が算出した振動周波数とから前記測定対象の振動振幅を算出する振動振幅算出手段とを備えることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動最大速度算出手段は、前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、前記信号抽出手段の計測結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出手段と、前記平均値と前記最頻値との差を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、前記平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動最大速度算出手段は、前記信号抽出手段の計測結果の分布の中央値を算出する中央値算出手段と、前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、前記信号抽出手段の計測結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出手段と、前記中央値と前記最頻値との差を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、前記平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動最大速度算出手段は、前記信号抽出手段の計測結果の分布の標準偏差値を算出する標準偏差値算出手段と、前記標準偏差値を√2倍した値を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、この平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動最大速度算出手段は、前記信号抽出手段の計測結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手段と、前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と第2四分位点との差を√2倍した値を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、この平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動最大速度算出手段は、前記信号抽出手段の計測結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手段と、前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と前記平均値との差を√2倍した値を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、前記平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動周波数算出手段は、時間的に隣接する前記第1、第2の発振期間の計数結果の大小を比較して、これらの計数結果を2値化する2値化手段と、この2値化手段から出力された2値化出力の周期を測定する2値化出力周期測定手段と、この2値化出力周期測定手段の測定結果から一定時間における2値化出力の周期の度数分布を作成する2値化出力周期度数分布作成手段と、前記2値化出力の周期の度数分布から前記2値化出力の周期の分布の代表値である基準周期を算出する基準周期算出手段と、前記2値化出力周期度数分布作成手段が度数分布作成の対象とする期間と同じ一定時間の期間において前記2値化出力のパルスの数を数える2値化出力計数手段と、前記2値化出力の周期の度数分布から、前記基準周期の第1の所定数倍以下である階級の度数の総和Nsと前記基準周期の第2の所定数倍以上である階級の度数の総和Nwとを求め、これらの度数NsとNwに基づいて前記2値化出力計数手段の計数結果を補正する補正手段と、この補正手段で補正された計数結果と前記一定時間に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する周波数算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例は、前記振動周波数算出手段の代わりに、前記測定対象の加速度を計測する加速度計と、この加速度計が計測した加速度から前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手段とを備えることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の振動振幅計測方法は、発振波長が連続的に単調増加する第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する第2の発振期間とが交互に存在するように半導体レーザを動作させる発振手順と、前記半導体レーザから放射されたレーザ光と測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手順と、この検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手順と、前記計数手順の計数結果に基づいて前記測定対象の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出手順と、前記計数手順の計数結果に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手順と、前記振動最大速度算出手順で算出した振動最大速度と前記振動周波数算出手順で算出した振動周波数とから前記測定対象の振動振幅を算出する振動振幅算出手順とを備えることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の振動振幅計測方法は、発振波長が連続的に単調増加する第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する第2の発振期間とが交互に存在するように半導体レーザを動作させる発振手順と、前記半導体レーザから放射されたレーザ光と測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手順と、この検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手順と、前記検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の周期を干渉波形が入力される度に計測する信号抽出手順と、この信号抽出手順の計測結果に基づいて前記測定対象の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出手順と、前記計数手順の計数結果に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手順と、前記振動最大速度算出手順で算出した振動最大速度と前記振動周波数算出手順で算出した振動周波数とから前記測定対象の振動振幅を算出する振動振幅算出手順とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、測定対象にレーザ光を放射し、検出手段の出力信号に含まれる干渉波形の数を、第1の発振期間と第2の発振期間の各々について数え、計数結果に基づいて測定対象の振動の最大速度を算出すると共に、計数結果に基づいて測定対象の振動周波数を算出し、振動最大速度と振動周波数とから測定対象の振動振幅を算出することにより、測定対象の位置の最大値と最小値との差を振動振幅とする従来の方法に比べて、測定対象の振動振幅を精度良く求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る振動振幅計測装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における半導体レーザの発振波長の時間変化の1例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における電流−電圧変換増幅部の出力電圧波形およびフィルタ部の出力電圧波形を模式的に示す波形図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における計数部と振動最大速度算出部と振動周波数算出部と振動振幅算出部の動作を示すフローチャートである。
【図5】モードホップパルスについて説明するための図である。
【図6】半導体レーザの発振波長とフォトダイオードの出力波形との関係を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における振動最大速度算出部の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における計数部の計数結果の時間変化の1例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における振動最大速度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施の形態における振動周波数算出部の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態における振動周波数算出部の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第1の実施の形態における振動周波数算出部の2値化部の動作を説明するための図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態における周期の度数分布の1例を示す図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態においてカウンタの計数結果の補正に用いる度数を模式的に表す図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態におけるカウンタの計数結果の補正原理を説明するための図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る振動振幅計測装置の振動最大速度算出部の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態における振動最大速度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第3の実施の形態に係る振動振幅計測装置の振動最大速度算出部の構成を示すブロック図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態における振動最大速度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図20】本発明の第4の実施の形態に係る振動振幅計測装置の振動最大速度算出部の構成を示すブロック図である。
【図21】本発明の第4の実施の形態における振動最大速度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図22】本発明の第5の実施の形態に係る振動振幅計測装置の構成を示すブロック図である。
【図23】本発明の第6の実施の形態に係る振動振幅計測装置の構成を示すブロック図である。
【図24】本発明の第6の実施の形態における計数部と信号抽出部と振動最大速度算出部と振動周波数算出部と振動振幅算出部の動作を示すフローチャートである。
【図25】本発明の第6の実施の形態における信号抽出部の動作を説明するための図である。
【図26】本発明の第6の実施の形態における振動最大速度算出部の構成を示すブロック図である。
【図27】本発明の第6の実施の形態における信号抽出部の計測結果の時間変化の1例を示す図である。
【図28】本発明の第6の実施の形態における振動最大速度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図29】本発明の第7の実施の形態における振動最大速度算出部の構成を示すブロック図である。
【図30】本発明の第7の実施の形態における振動最大速度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図31】本発明の第8の実施の形態における振動最大速度算出部の構成を示すブロック図である。
【図32】本発明の第8の実施の形態における振動最大速度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図33】本発明の第9の実施の形態における振動最大速度算出部の構成を示すブロック図である。
【図34】本発明の第9の実施の形態における振動最大速度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図35】変位の確率分布関数を示す図である。
【図36】変位の確率分布関数の求め方を説明するための図である。
【図37】対象物の位置を乱数的に発生させたときの度数分布を示す図である。
【図38】誤差を含む位置の度数分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る振動振幅計測装置の構成を示すブロック図である。図1の振動振幅計測装置は、測定対象の物体12にレーザ光を放射する半導体レーザ1と、半導体レーザ1の光出力を電気信号に変換するフォトダイオード2と、半導体レーザ1からの光を集光して放射すると共に、物体12からの戻り光を集光して半導体レーザ1に入射させるレンズ3と、半導体レーザ1を駆動する発振波長変調手段となるレーザドライバ4と、フォトダイオード2の出力電流を電圧に変換して増幅する電流−電圧変換増幅部5と、電流−電圧変換増幅部5の出力電圧から搬送波を除去するフィルタ部6と、フィルタ部6の出力電圧に含まれる自己結合信号であるモードホップパルス(以下、MHPとする)の数を数える計数部7と、計数部7の計数結果に基づいて物体12の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出部8と、計数部7の計数結果に基づいて物体12の振動周波数を算出する振動周波数算出部9と、振動最大速度と振動周波数とから物体12の振動振幅を算出する振動振幅算出部10と、振動振幅算出部10の算出結果を表示する表示部11とを有する。
【0022】
フォトダイオード2と電流−電圧変換増幅部5とは、検出手段を構成している。以下、説明容易にするために、半導体レーザ1には、モードホッピング現象を持たない型(VCSEL型、DFBレーザ型)のものが用いられているものと想定する。
【0023】
レーザドライバ4は、時間に関して一定の変化率で増減を繰り返す三角波駆動電流を注入電流として半導体レーザ1に供給する。これにより、半導体レーザ1は、注入電流の大きさに比例して発振波長が一定の変化率で連続的に増加する第1の発振期間と発振波長が一定の変化率で連続的に減少する第2の発振期間とを交互に繰り返すように駆動される。図2は半導体レーザ1の発振波長の時間変化を示す図である。図2において、P1は第1の発振期間、P2は第2の発振期間、λaは各期間における発振波長の最小値、λbは各期間における発振波長の最大値、Tcarは三角波の周期である。本実施の形態では、発振波長の最大値λb及び発振波長の最小値λaはそれぞれ常に一定になされており、それらの差λb−λaも常に一定になされている。
【0024】
半導体レーザ1から出射したレーザ光は、レンズ3によって集光され、物体12に入射する。物体12で反射された光は、レンズ3によって集光され、半導体レーザ1に入射する。ただし、レンズ3による集光は必須ではない。フォトダイオード2は、半導体レーザ1の内部又はその近傍に配置され、半導体レーザ1の光出力を電流に変換する。電流−電圧変換増幅部5は、フォトダイオード2の出力電流を電圧に変換して増幅する。
【0025】
フィルタ部6は、変調波から重畳信号を抽出する機能を有するものである。図3(A)は電流−電圧変換増幅部5の出力電圧波形を模式的に示す図、図3(B)はフィルタ部6の出力電圧波形を模式的に示す図である。これらの図は、フォトダイオード2の出力に相当する図3(A)の波形(変調波)から、図2の半導体レーザ1の発振波形(搬送波)を除去して、図3(B)のMHP波形(干渉波形)を抽出する過程を表している。
【0026】
次に、計数部7と振動最大速度算出部8と振動周波数算出部9と振動振幅算出部10の動作について説明する。図4は計数部7と振動最大速度算出部8と振動周波数算出部9と振動振幅算出部10の動作を示すフローチャートである。
【0027】
計数部7は、フィルタ部6の出力電圧に含まれるMHPの数を第1の発振期間P1と第2の発振期間P2の各々について数える(図4ステップS1)。計数部7は、論理ゲートからなるカウンタを利用するものでもよいし、FFT(Fast Fourier Transform)を利用してMHPの周波数(すなわち単位時間あたりのMHPの数)を計測するものでもよい。
【0028】
ここで、自己結合信号であるMHPについて説明する。図5に示すように、ミラー層1013から物体12までの距離をL、レーザの発振波長をλとすると、以下の共振条件を満足するとき、物体12からの戻り光と半導体レーザ1の光共振器内のレーザ光は強め合い、レーザ出力がわずかに増加する。
L=qλ/2 ・・・(1)
式(1)において、qは整数である。この現象は、物体12からの散乱光が極めて微弱であっても、半導体レーザ1の共振器内の見かけの反射率が増加することにより、増幅作用が生じ、十分観測できる。なお、図5において、1019はミラーとなる誘電体多層膜である。
【0029】
図6は、半導体レーザ1の発振波長をある一定の割合で変化させたときの発振波長とフォトダイオード2の出力波形との関係を示す図である。式(1)に示したL=qλ/2を満足したときに、戻り光と光共振器内のレーザ光の位相差が0°(同位相)になって、戻り光と光共振器内のレーザ光とが最も強め合い、L=qλ/2+λ/4のときに、位相差が180°(逆位相)になって、戻り光と光共振器内のレーザ光とが最も弱め合う。そのため、半導体レーザ1の発振波長を変化させていくと、レーザ出力が強くなるところと弱くなるところとが交互に繰り返し現れ、このときのレーザ出力をフォトダイオード2で検出すると、図6に示すように一定周期の階段状の波形が得られる。このような波形は一般的には干渉縞と呼ばれる。この階段状の波形、すなわち干渉縞の1つ1つがMHPである。ある一定時間において半導体レーザ1の発振波長を変化させた場合、測定距離に比例してMHPの数は変化する。
【0030】
次に、振動最大速度算出部8は、計数部7の計数結果に基づいて物体12の振動の最大速度を算出する(図4ステップS2)。図7は振動最大速度算出部8の構成を示すブロック図である。振動最大速度算出部8は、計数部7の計数結果等を記憶する記憶部800と、計数部7の計数結果の分布の平均値を算出する平均値算出部801と、計数部7の計数結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出部802と、計数部7の計数結果の片振幅を算出する振幅算出部803と、片振幅から物体12の振動の最大速度を算出する最大速度算出部804とから構成される。
【0031】
図8は計数部7の計数結果の時間変化を示す図である。図8において、Nuは第1の発振期間P1の計数結果、Ndは第2の発振期間P2の計数結果である。物体12の距離変化率が半導体レーザ1の発振波長変化率よりも小さく、物体12が単振動している場合、計数結果Nuの時間変化と計数結果Ndの時間変化は、図8に示すように互いの位相差が180度の正弦波形となる。
【0032】
正弦波軌道上の値を一様にサンプリングしたとみなせるだけのサンプリングを行うと、個々の値が誤差を含んでいても、平均値と最頻値との差は片振幅(波高値)になる。サンプリング間隔が等間隔で、かつサンプリング間隔と正弦波周期との最小公倍数に当たる時間中に含まれるサンプリング数が十分に多い場合には、正弦波軌道上の値を一様にサンプリングしたとみなせる。
【0033】
図9は振動最大速度算出部8の動作を示すフローチャートである。振動最大速度算出部8には、計数部7の計数結果Nu,Ndが入力される。記憶部800は、計数部7の計数結果Nu,Ndを記憶する。
平均値算出部801は、記憶部800に格納された計数結果NuまたはNdの分布の平均値を算出する(図9ステップS10)。平均値算出部801が算出した平均値は、記憶部800に格納される。
【0034】
最頻値算出部802は、記憶部800に格納された計数結果NuまたはNdの分布の最頻値を算出する(図9ステップS11)。最頻値算出部802が算出した最頻値は、記憶部800に格納される。この最頻値は、計数部7の計数結果の最大値または最小値に相当する。
【0035】
振幅算出部803は、平均値と最頻値との差を計数部7の計数結果の片振幅ΔNとして算出する(図9ステップS12)。平均値>最頻値の場合は、平均値−最頻値を片振幅ΔNとし、最頻値>平均値の場合は、最頻値−平均値を片振幅ΔNとすればよい。片振幅ΔNの2倍の値が振幅(両振幅)であることは言うまでもない。なお、平均値算出部801と最頻値算出部802と振幅算出部803とが処理の対象とするのは、計数部7の計数結果NuとNdのうちどちらか一方のみである。つまり、それぞれ正弦波状に変化する計数結果NuとNdのうちどちらか一方についてのみ正弦波の片振幅ΔNを算出すればよい。振幅算出部803が算出した片振幅ΔNの値は、物体12の振動の最大速度(半波長/計測時間)に相当する。
【0036】
最大速度算出部804は、振幅算出部803が算出した片振幅ΔNから次式のように物体12の振動の最大速度Vmaxを算出する(図9ステップS13)。
Vmax=ΔN×(λ/2)×{1/(2×fcar)} ・・・(2)
式(2)において、λは半導体レーザ1の発振平均波長、fcarは半導体レーザ1の発振波長変調の搬送波(三角波)の周波数である。こうして、最大速度算出部804の算出結果が振動振幅算出部10に出力される。
【0037】
なお、本実施の形態では、計数部7の計数結果の平均値と最頻値との差を計数部7の計数結果の片振幅ΔNとしたが、計数部7の計数結果の分布の中央値と最頻値との差を計数部7の計数結果の片振幅ΔNとしてもよい。つまり、平均値算出部801の代わりに中央値算出部を用い、振幅算出部803は、中央値と最頻値との差を計数部7の計数結果の片振幅ΔNとして算出してもよい。
【0038】
次に、振動周波数算出部9は、計数部7の計数結果に基づいて物体12の振動周波数を算出する(図4ステップS3)。図10は振動周波数算出部9の構成を示すブロック図である。振動周波数算出部9は、計数部7の計数結果等を記憶する記憶部900と、計数部7の計数結果を2値化する2値化部901と、2値化部901から出力された2値化出力の周期を測定する周期測定部902と、2値化出力の周期の度数分布を作成する度数分布作成部903と、2値化出力の周期の分布の代表値である基準周期を算出する基準周期算出部904と、2値化出力のパルスの数を数える2値化出力計数手段となるカウンタ905と、カウンタ905の計数結果を補正する補正部906と、補正された計数結果に基づいて物体12の振動周波数を算出する周波数算出部907とから構成される。
【0039】
図11は振動周波数算出部9の動作を示すフローチャートである。計数部7の計数結果は、振動周波数算出部9の記憶部900に格納される。2値化部901は、記憶部900に格納された、計数部7の計数結果を2値化する(図11ステップS20)。図12(A)〜図12(C)は2値化部901の動作を説明するための図であり、図12(A)は半導体レーザ1の発振波長の時間変化を示す図、図12(B)は計数部7の計数結果の時間変化を示す図、図12(C)は2値化部901の出力D(t)を示す図である。
【0040】
2値化部901は、時間的に隣接する2つの発振期間P1,P2の計数結果NuとNdの大小を比較して、これらの計数結果を2値化する。2値化部901は、具体的には以下の式を実行する。
If Nu(t)≧Nd(t−1) then D(t)=1 ・・・(3)
If Nu(t)<Nd(t−1) then D(t)=0 ・・・(4)
If Nd(t)≦Nu(t−1) then D(t)=1 ・・・(5)
If Nd(t)>Nu(t−1) then D(t)=0 ・・・(6)
【0041】
式(3)〜式(6)において、(t)は現時刻tにおいて計測されたMHPの数であることを表し、(t−1)は現時刻tの1回前に計測されたMHPの数であることを表している。式(3)、式(4)は、現時刻tの計数結果が第1の発振期間P1の計数結果Nuで、1回前の計数結果が第2の発振期間P2の計数結果Ndの場合である。この場合、2値化部901は、現時刻tの計数結果Nu(t)が1回前の計数結果Nd(t−1)以上であれば、現時刻tの出力D(t)を「1」(ハイレベル)とし、現時刻tの計数結果Nu(t)が1回前の計数結果Nd(t−1)より小さい場合は、現時刻tの出力D(t)を「0」(ローレベル)とする。
【0042】
式(5)、式(6)は、現時刻tの計数結果が第2の発振期間P2の計数結果Ndで、1回前の計数結果が第1の発振期間P1の計数結果Nuの場合である。この場合、2値化部901は、現時刻tの計数結果Nd(t)が1回前の計数結果Nu(t−1)以下であれば、現時刻tの出力D(t)を「1」とし、現時刻tの計数結果Nd(t)が1回前の計数結果Nu(t−1)より大きい場合は、現時刻tの出力D(t)を「0」とする。
【0043】
こうして、計数部7の計数結果は2値化される。2値化部901の出力D(t)は記憶部900に格納される。2値化部901は、以上のような2値化処理を、計数部7によってMHPの数が測定される時刻毎(発振期間毎)に行う。
【0044】
計数部7の計数結果を2値化することは、物体12の変位の方向を判別することを意味する。つまり、半導体レーザ1の発振波長が増加しているときの計数結果Nuが、発振波長が減少しているときの計数結果Nd以上の場合(D(t)=1)、物体12の移動方向は半導体レーザ1に接近する方向であり、計数結果Nuが計数結果Ndより小さい場合(D(t)=0)、物体12の移動方向は半導体レーザ1から遠ざかる方向である。したがって、基本的には図12(C)に示した2値化出力の周期を求めることができれば、物体12の振動周波数を算出することができる。
【0045】
周期測定部902は、記憶部900に格納された2値化出力D(t)の周期を測定する(図11ステップS21)。2値化出力D(t)の周期を測定するには、例えば2値化出力D(t)を所定のしきい値と比較することにより、2値化出力D(t)の立ち上がりを検出し、2値化出力D(t)の立ち上がりから次の立ち上がりまでの時間を測定すればよい。周期測定部902は、このような測定を2値化出力D(t)に立ち上がりエッジが発生する度に行う。周期測定部902の測定結果は記憶部900に格納される。
【0046】
次に、度数分布作成部903は、周期測定部902の測定結果から、一定時間T(T>Tcarであり、例えば100×Tcar、すなわち三角波100個分の時間)における周期の度数分布を作成する(図11ステップS22)。図13は度数分布の1例を示す図である。度数分布作成部903が作成した度数分布は、記憶部900に格納される。度数分布作成部903は、このような度数分布の作成をT時間毎に行う。
【0047】
続いて、基準周期算出部904は、度数分布作成部903が作成した度数分布から、2値化出力D(t)の周期の代表値である基準周期T0を算出する(図11ステップS23)。一般に、周期の代表値は最頻値や中央値であるが、本実施の形態においては、最頻値や中央値が周期の代表値として適していない。その理由は、高周波ノイズによる短い周期での符号の変化は物体12の本来の振動の周期の度数を上回ることがあり、周期の代表値として最頻値や中央値などを用いた場合、誤って振動周期よりも短いノイズの周期を基準として補正を掛けてしまう懸念があるからである。
【0048】
そこで、基準周期算出部904は、振動周波数を算出するための一定時間Tの期間において、ある階級の信号が占める割合、つまり階級値と度数との積が最も大きい階級値を基準周期T0とする。算出された基準周期T0の値は、記憶部900に格納される。基準周期算出部904は、このような基準周期T0の算出を、度数分布作成部903によって度数分布が作成される度に行う。
【0049】
一方、カウンタ905は、周期測定部902および度数分布作成部903と並行して動作し、度数分布作成部903が度数分布作成の対象とする期間と同じ一定時間Tの期間において、2値化出力D(t)の立ち上がりエッジの数N(すなわち、2値化出力D(t)の「1」のパルスの数)を数える(図11ステップS24)。カウンタ905の計数結果Nは、記憶部900に格納される。カウンタ905は、このような2値化出力D(t)の計数をT時間毎に行う。
【0050】
補正部906は、度数分布作成部903が作成した度数分布から、基準周期T0の0.5倍以下である階級の度数の総和Nsと、基準周期T0の1.5倍以上である階級の度数の総和Nwとを求め、カウンタ905の計数結果Nを次式のように補正する(図11ステップS25)。
N’=N−Ns+Nw ・・・(7)
式(7)において、N’は補正後の計数結果である。この補正後の計数結果N’は、記憶部900に格納される。補正部906は、このような補正をT時間毎に行う。
【0051】
図14は度数の総和NsとNwを模式的に表す図である。図14において、Tsは基準周期T0の0.5倍の階級値、Twは基準周期T0の1.5倍の階級値である。図14における階級が、周期の代表値であることは言うまでもない。なお、図14では記載を簡略化するため、基準周期T0とTsとの間、及び基準周期T0とTwとの間の度数分布を省略している。
【0052】
図15(A)、図15(B)はカウンタ905の計数結果の補正原理を説明するための図であり、図15(A)は2値化出力D(t)を示す図、図15(B)は図15(A)に対応するカウンタ905の計数結果を示す図である。
本来、2値化出力D(t)の周期は物体12の振動周波数によって異なるが、物体12の振動周波数が不変であれば、2値化出力D(t)のパルスは同じ周期で出現する。しかし、ノイズのために、MHPの波形には欠落が生じたり、信号として数えるべきでない波形が生じたりして、結果として2値化出力D(t)の波形にも欠落や信号として数えるべきでない波形が生じ、2値化出力D(t)のパルスの計数結果に誤差が生じる。
【0053】
信号の欠落が生じると、欠落が生じた箇所での2値化出力D(t)の周期Twは、本来の周期のおよそ2倍になる。つまり、2値化出力D(t)の周期が基準周期T0のおよそ2倍以上の場合には、信号に欠落が生じていると判断できる。そこで、周期Tw以上の階級の度数の総和Nwを信号が欠落した回数と見なし、このNwをカウンタ905の計数結果Nに加算することで、信号の欠落を補正することができる。
【0054】
また、スパイクノイズなどによって本来の信号が分割された箇所での2値化出力D(t)の周期Tsは、本来の周期と比較して0.5倍よりも短い信号と0.5倍よりも長い信号の2つになる。つまり、2値化出力D(t)の周期が基準周期T0のおよそ0.5倍以下の場合には、信号を過剰に数えていると判断できる。そこで、周期Ts以下の階級の度数の総和Nsを信号を過剰に数えた回数と見なし、このNsをカウンタ905の計数結果Nから減算することで、誤って数えたノイズを補正することができる。以上が、式(7)に示した計数結果の補正原理である。
【0055】
周波数算出部907は、補正部906が計算した補正後の計数結果N’に基づいて、物体12の振動周波数fsigを次式のように算出する(図11ステップS26)。
fsig=N’/T ・・・(8)
こうして、周波数算出部907の算出結果が振動振幅算出部10に出力される。
【0056】
次に、振動振幅算出部10は、振動最大速度算出部8が算出した振動最大速度Vmaxと振動周波数算出部9が算出した振動周波数fsigとから物体12の振動振幅Aを次式のように算出する(図4ステップS4)。
A=Vmax/(π×fsig) ・・・(9)
表示部11は、振動振幅算出部10が算出した振動振幅Aの値を表示する。
【0057】
以上のように、本実施の形態では、計数部7の計数結果の平均値または中央値と最頻値との差を計数部7の計数結果の片振幅ΔNとして算出することにより、片振幅ΔNを精度良く求めることができ、その結果として物体12の振動の最大速度Vmaxを精度良く求めることができる。さらに、本実施の形態では、時間的に隣接する第1、第2の発振期間P1,P2の計数結果の大小を比較してMHPの計数結果を2値化し、2値化出力D(t)の周期を測定して一定時間Tにおける周期の度数分布を作成し、周期の度数分布から2値化出力D(t)の周期の分布の代表値である基準周期T0を算出し、一定時間Tの期間において2値化出力D(t)のパルスの数を数え、度数分布から、基準周期T0の0.5倍以下である階級の度数の総和Nsと基準周期T0の1.5倍以上である階級の度数の総和Nwとを求め、これらの度数NsとNwに基づいて2値化出力D(t)のパルスの計数結果を補正することにより、物体12の振動周波数fsigを精度良く求めることができる。その結果、本実施の形態では、物体の位置の最大値と最小値との差を振動振幅とする従来の方法に比べて、物体12の振動振幅を精度良く求めることができる。
【0058】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図16は本発明の第2の実施の形態に係る振動振幅計測装置の振動最大速度算出部8の構成を示すブロック図である。本実施の形態の振動最大速度算出部8は、計数部7の計数結果等を記憶する記憶部805と、計数部7の計数結果の分布の標準偏差値を算出する標準偏差値算出部806と、計数部7の計数結果の片振幅を算出する振幅算出部807と、片振幅から物体12の振動の最大速度を算出する最大速度算出部808とから構成される。
【0059】
正弦波軌道上の値を一様にサンプリングしたとみなせるだけのサンプリングを行うと、正弦波の標準偏差値は片振幅の1/√2(≒0.707)になるため、サンプリングされた値の標準偏差値を求め、√2倍すれば片振幅の値となる。
【0060】
図17は本実施の形態の振動最大速度算出部8の動作を示すフローチャートである。第1の実施の形態と同様に、記憶部805は、時系列に入力される計数部7の計数結果Nu,Ndを記憶する。
標準偏差値算出部806は、記憶部805に格納された、計数部7の計数結果NuまたはNdの分布の標準偏差値を算出する(図17ステップS30)。標準偏差値算出部806が算出した標準偏差値は、記憶部805に格納される。第1の実施の形態と同様に、標準偏差値算出部806が処理の対象とするのは、計数部7の計数結果NuとNdのうちどちらか一方のみである。
【0061】
振幅算出部807は、標準偏差値を√2(≒1.414)倍した値を計数部7の計数結果の片振幅ΔNとして算出する(図17ステップS31)。
最後に、最大速度算出部808は、振幅算出部807が算出した片振幅ΔNから式(2)により物体12の振動の最大速度Vmaxを算出する(図17ステップS32)。
【0062】
振動振幅計測装置の他の構成は、第1の実施の形態で説明したとおりである。こうして、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図18は本発明の第3の実施の形態に係る振動振幅計測装置の振動最大速度算出部8の構成を示すブロック図である。本実施の形態の振動最大速度算出部8は、計数部7の計数結果等を記憶する記憶部809と、計数部7の計数結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出部810と、計数部7の計数結果の片振幅を算出する振幅算出部811と、片振幅から物体12の振動の最大速度を算出する最大速度算出部812とから構成される。
【0064】
本実施の形態の基本原理は第2の実施の形態と同じであるが、標準偏差値の代わりに、より誤差の少ない四分位点を基準にする。四分位点と平均値との差は片振幅の1/√2(≒0.707)になるため、サンプリングされた値の分布の四分位点を求め、√2倍すれば片振幅の値となる。
【0065】
図19は本実施の形態の振動最大速度算出部8の動作を示すフローチャートである。第1の実施の形態と同様に、記憶部809は、時系列に入力される計数部7の計数結果Nu,Ndを記憶する。
四分位点算出部810は、記憶部809に格納された、計数部7の計数結果NuまたはNdの分布の四分位点を算出する(図19ステップS40)。
【0066】
振幅算出部811は、算出された四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と第2四分位点(中央値)との差を√2(≒1.414)倍した値を計数部7の計数結果の片振幅ΔNとして算出する(図19ステップS41)。例えば図38の例では、第1四分位点は330、第2四分位点は400、第3四分位点は470である。第1の実施の形態と同様に、四分位点算出部810と振幅算出部811とが処理の対象とするのは、計数部7の計数結果NuとNdのうちどちらか一方のみである。
【0067】
最後に、最大速度算出部812は、振幅算出部811が算出した片振幅ΔNから式(2)により物体12の振動の最大速度Vmaxを算出する(図19ステップS42)。
振動振幅計測装置の他の構成は、第1の実施の形態で説明したとおりである。第1、第2の実施の形態では、計数部7の計数結果の度数分布が1/cos{asin(X)}(Xは変位)とみなすことのできる十分な一様性とサンプリング数を要し、また最大振幅付近の度数変化が急峻なために、誤差を含みやすいが、四分位点はサンプルの一様性や外れ値の影響を受けにくい。したがって、本実施の形態によれば、第1、第2の実施の形態に比べて片振幅ΔNの誤差を更に低減することができ、その結果として物体12の振動振幅の誤差を低減することができる。
【0068】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図20は本発明の第4の実施の形態に係る振動振幅計測装置の振動最大速度算出部8の構成を示すブロック図である。本実施の形態の振動最大速度算出部8は、計数部7の計数結果等を記憶する記憶部813と、計数部7の計数結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出部814と、計数部7の計数結果の分布の平均値を算出する平均値算出部815と、計数部7の計数結果の片振幅を算出する振幅算出部816と、片振幅から物体12の振動の最大速度を算出する最大速度算出部817とから構成される。
【0069】
本実施の形態は、第3の実施の形態において第2四分位点(中央値)の代わりに、平均値を用いるものである。
図21は本実施の形態の振動最大速度算出部8の動作を示すフローチャートである。第1の実施の形態と同様に、記憶部813は、時系列に入力される計数部7の計数結果Nu,Ndを記憶する。
四分位点算出部814は、記憶部813に格納された、計数部7の計数結果NuまたはNdの分布の四分位点を算出する(図21ステップS50)。
【0070】
平均値算出部815は、記憶部813に格納された、計数部7の計数結果NuまたはNdの分布の平均値を算出する(ステップS51)。平均値算出部815が算出した平均値は、記憶部813に格納される。
振幅算出部816は、算出された四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と平均値との差を√2倍した値を計数部7の計数結果の片振幅ΔNとして算出する(ステップS52)。第1の実施の形態と同様に、四分位点算出部814と平均値算出部815と振幅算出部816とが処理の対象とするのは、計数部7の計数結果NuとNdのうちどちらか一方のみである。
【0071】
最後に、最大速度算出部817は、振幅算出部816が算出した片振幅ΔNから式(2)により物体12の振動の最大速度Vmaxを算出する(図21ステップS53)。
振動振幅計測装置の他の構成は、第1の実施の形態で説明したとおりである。こうして、本実施の形態においても、第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0072】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。図22は本発明の第5の実施の形態に係る振動振幅計測装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の振動振幅計測装置は、半導体レーザ1と、フォトダイオード2と、レンズ3と、レーザドライバ4と、電流−電圧変換増幅部5と、フィルタ部6と、計数部7と、振動最大速度算出部8と、振動振幅算出部10aと、表示部11と、物体12の加速度を計測する加速度計13と、物体12の加速度から物体12の振動周波数を算出する振動周波数算出部14とを有する。
【0073】
物体12に取り付けられた加速度計13は、物体12の加速度を計測する。振動周波数算出部14は、物体12の加速度から物体12の振動周波数fsigを算出する。加速度から振動周波数を算出する方法は、例えば特許第2953675号公報に開示されているので、詳細な説明は省略する。
【0074】
振動振幅算出部10aは、振動最大速度算出部8が算出した振動最大速度Vmaxと振動周波数算出部14が算出した振動周波数fsigとから物体12の振動振幅Aを式(9)により算出する。
振動振幅計測装置の他の構成は、第1〜第4の実施の形態で説明したとおりである。こうして、本実施の形態では、計数部7の計数結果に基づいて物体12の振動周波数を算出する代わりに、物体12の加速度から物体12の振動周波数を算出することにより、第1〜第4の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。図23は本発明の第6の実施の形態に係る振動振幅計測装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の振動振幅計測装置は、半導体レーザ1と、フォトダイオード2と、レンズ3と、レーザドライバ4と、電流−電圧変換増幅部5と、フィルタ部6と、計数部7と、振動最大速度算出部8bと、振動周波数算出部9と、振動振幅算出部10bと、表示部11と、信号抽出部15とを有する。
【0076】
図24は計数部7と信号抽出部15と振動最大速度算出部8bと振動周波数算出部9と振動振幅算出部10bの動作を示すフローチャートである。
第1の実施の形態で説明したとおり、計数部7は、フィルタ部6の出力電圧に含まれるMHPの数を第1の発振期間P1と第2の発振期間P2の各々について数える(図24ステップS1)。
振動周波数算出部9は、計数部7の計数結果に基づいて物体12の振動周波数fsigを算出する(図24ステップS3)。
【0077】
一方、信号抽出部15は、フィルタ部6の出力電圧に含まれるMHPの周期をMHPが発生する度に計測する(図24ステップS5)。図25(A)〜図25(D)は信号抽出部15の動作を説明するための図であり、図25(A)はフィルタ部6の出力電圧の波形、すなわちMHPの波形を模式的に示す図、図25(B)はMHPを2値化した波形を示す図、図25(C)は信号抽出部15に入力されるサンプリングクロックを示す図、図25(D)は図25(B)に対応する信号抽出部15の測定結果を示す図である。
【0078】
まず、信号抽出部15は、図25(A)に示すフィルタ部6の出力電圧が上昇してしきい値TH1以上になったときにハイレベルと判定し、フィルタ部6の出力電圧が下降してしきい値TH2(TH2<TH1)以下になったときにローレベルと判定することにより、フィルタ部6の出力を2値化する。そして、信号抽出部15は、2値化したMHPの立ち上がりエッジの周期(すなわち、MHPの周期)を立ち上がりエッジが発生する度に測定する。このとき、信号抽出部15は、図25(C)に示すサンプリングクロックの周期を1単位としてMHPの周期を測定する。図25(D)の例では、信号抽出部15は、MHPの周期としてTα,Tβ,Tγを順次測定している。図25(C)、図25(D)から明らかなように、周期Tα,Tβ,Tγの大きさは、それぞれ5[samplings]、4[samplings]、2[samplings]である。サンプリングクロックの周波数は、MHPの取り得る最高周波数に対して十分に高いものとする。
【0079】
次に、振動最大速度算出部8bは、信号抽出部15の計測結果に基づいて物体12の振動の最大速度を算出する(図24ステップS6)。図26は振動最大速度算出部8bの構成を示すブロック図である。振動最大速度算出部8bは、信号抽出部15の計測結果等を記憶する記憶部818と、信号抽出部15の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出部819と、信号抽出部15の計測結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出部820と、信号抽出部15の計測結果の片振幅を算出する振幅算出部821と、片振幅から物体12の振動の最大速度を算出する最大速度算出部822とから構成される。
【0080】
図27は信号抽出部15の計測結果の時間変化を示す図である。MHPの周期は物体12との距離に反比例するので、物体12が単振動している場合、信号抽出部15の計測結果は、図27に示すように正弦波形となる。
【0081】
図28は振動最大速度算出部8bの動作を示すフローチャートである。振動最大速度算出部8bには、信号抽出部15の計測結果が入力される。記憶部818は、信号抽出部15の計測結果を記憶する。
平均値算出部819は、記憶部818に格納された計測結果の分布の平均値を算出する(図28ステップS60)。平均値算出部819が算出した周期の平均値は、記憶部818に格納される。
【0082】
最頻値算出部820は、記憶部818に格納された計測結果の分布の最頻値を算出する(図28ステップS61)。最頻値算出部820が算出した最頻値は、記憶部818に格納される。この最頻値は、信号抽出部15の計測結果の最大値または最小値に相当する。
振幅算出部821は、平均値と最頻値との差を信号抽出部15の計測結果の片振幅ΔNとして算出する(図28ステップS62)。平均値>最頻値の場合は、平均値−最頻値を片振幅ΔNとし、最頻値>平均値の場合は、最頻値−平均値を片振幅ΔNとすればよい。片振幅ΔNの2倍の値が振幅(両振幅)であることは言うまでもない。
【0083】
最大速度算出部822は、平均値算出部819が算出した周期の平均値T0[samplings]と振幅算出部821が算出した片振幅ΔN[samplings]とから次式のように物体12の振動の最大速度Vmaxを算出する(図28ステップS63)。
Vmax=ΔN×λ/(2×T0)×fad/(T0+ΔN) ・・・(10)
式(10)において、λは半導体レーザ1の発振平均波長、fadは信号抽出部15で用いるサンプリングクロックの周波数である。こうして、最大速度算出部822の算出結果が振動振幅算出部10bに出力される。
【0084】
なお、本実施の形態では、信号抽出部15の計測結果の平均値と最頻値との差を信号抽出部15の計測結果の片振幅ΔNとしたが、信号抽出部15の計測結果の分布の中央値と最頻値との差を信号抽出部15の計測結果の片振幅ΔNとしてもよい。つまり、平均値算出部819とは別に中央値算出部を設け、振幅算出部821は、中央値と最頻値との差を信号抽出部15の計測結果の片振幅ΔNとして算出してもよい。
【0085】
次に、振動振幅算出部10bは、振動最大速度算出部8bが算出した振動最大速度Vmaxと振動周波数算出部9が算出した振動周波数fsigとから物体12の振動振幅Aを式(9)のように算出する(図24ステップS7)。
表示部11は、振動振幅算出部10bが算出した振動振幅Aの値を表示する。
【0086】
以上のように、本実施の形態では、信号抽出部15の計測結果の平均値または中央値と最頻値との差を信号抽出部15の計測結果の片振幅ΔNとして算出することにより、片振幅ΔNを精度良く求めることができ、その結果として物体12の振動の最大速度Vmaxを精度良く求めることができる。また、第1の実施の形態で説明したとおり、本実施の形態では、物体12の振動周波数fsigを精度良く求めることができる。その結果、本実施の形態では、物体の位置の最大値と最小値との差を振動振幅とする従来の方法に比べて、物体12の振動振幅を精度良く求めることができる。
【0087】
[第7の実施の形態]
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。図29は本発明の第7の実施の形態に係る振動振幅計測装置の振動最大速度算出部8bの構成を示すブロック図である。本実施の形態の振動最大速度算出部8bは、信号抽出部15の計測結果等を記憶する記憶部823と、信号抽出部15の計測結果の分布の標準偏差値を算出する標準偏差値算出部824と、信号抽出部15の計測結果の片振幅を算出する振幅算出部825と、信号抽出部15の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出部826と、片振幅から物体12の振動の最大速度を算出する最大速度算出部827とから構成される。
【0088】
図30は本実施の形態の振動最大速度算出部8bの動作を示すフローチャートである。第6の実施の形態と同様に、記憶部823は、時系列に入力される信号抽出部15の計測結果を記憶する。
標準偏差値算出部824は、記憶部823に格納された、信号抽出部15の計測結果の分布の標準偏差値を算出する(図30ステップS70)。標準偏差値算出部824が算出した標準偏差値は、記憶部823に格納される。
【0089】
振幅算出部825は、標準偏差値を√2(≒1.414)倍した値を信号抽出部15の計測結果の片振幅ΔNとして算出する(図30ステップS71)。
平均値算出部826は、記憶部823に格納された計測結果の分布の平均値を算出する(図30ステップS72)。平均値算出部826が算出した周期の平均値は、記憶部823に格納される。
【0090】
最後に、最大速度算出部827は、平均値算出部826が算出した周期の平均値T0[samplings]と振幅算出部825が算出した片振幅ΔN[samplings]とから式(10)により物体12の振動の最大速度Vmaxを算出する(図30ステップS73)。
振動振幅計測装置の他の構成は、第6の実施の形態で説明したとおりである。こうして、本実施の形態においても、第6の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0091】
[第8の実施の形態]
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。図31は本発明の第8の実施の形態に係る振動振幅計測装置の振動最大速度算出部8bの構成を示すブロック図である。本実施の形態の振動最大速度算出部8bは、信号抽出部15の計測結果等を記憶する記憶部828と、信号抽出部15の計測結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出部829と、信号抽出部15の計測結果の片振幅を算出する振幅算出部830と、信号抽出部15の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出部831と、片振幅から物体12の振動の最大速度を算出する最大速度算出部832とから構成される。
【0092】
図32は本実施の形態の振動最大速度算出部8bの動作を示すフローチャートである。第6の実施の形態と同様に、記憶部828は、時系列に入力される信号抽出部15の計測結果を記憶する。
四分位点算出部829は、記憶部828に格納された、信号抽出部15の計測結果の分布の四分位点を算出する(図32ステップS80)。
【0093】
振幅算出部830は、算出された四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と第2四分位点(中央値)との差を√2(≒1.414)倍した値を信号抽出部15の計測結果の片振幅ΔNとして算出する(図32ステップS81)。
平均値算出部831は、記憶部828に格納された計測結果の分布の平均値を算出する(図32ステップS82)。
【0094】
最後に、最大速度算出部832は、平均値算出部831が算出した周期の平均値T0[samplings]と振幅算出部830が算出した片振幅ΔN[samplings]とから式(10)により物体12の振動の最大速度Vmaxを算出する(図32ステップS83)。
振動振幅計測装置の他の構成は、第6の実施の形態で説明したとおりである。本実施の形態では、第3の実施の形態と同様の理由により、第6、第7の実施の形態に比べて片振幅ΔNの誤差を更に低減することができ、その結果として物体12の振動振幅の誤差を低減することができる。
【0095】
[第9の実施の形態]
次に、本発明の第9の実施の形態について説明する。図33は本発明の第9の実施の形態に係る振動振幅計測装置の振動最大速度算出部8bの構成を示すブロック図である。本実施の形態の振動最大速度算出部8bは、信号抽出部15の計測結果等を記憶する記憶部833と、信号抽出部15の計測結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出部834と、信号抽出部15の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出部835と、信号抽出部15の計測結果の片振幅を算出する振幅算出部836と、片振幅から物体12の振動の最大速度を算出する最大速度算出部837とから構成される。
【0096】
本実施の形態は、第8の実施の形態において第2四分位点(中央値)の代わりに、平均値を用いるものである。
図34は本実施の形態の振動最大速度算出部8bの動作を示すフローチャートである。第6の実施の形態と同様に、記憶部833は、時系列に入力される信号抽出部15の計測結果を記憶する。
四分位点算出部834は、記憶部833に格納された、信号抽出部15の計測結果の分布の四分位点を算出する(図34ステップS90)。
【0097】
平均値算出部835は、記憶部833に格納された、信号抽出部15の計測結果の分布の平均値を算出する(図34ステップS91)。平均値算出部835が算出した平均値は、記憶部833に格納される。
振幅算出部836は、算出された四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と平均値との差を√2倍した値を信号抽出部15の計測結果の片振幅ΔNとして算出する(図34ステップS92)。
【0098】
最後に、最大速度算出部837は、平均値算出部835が算出した周期の平均値T0[samplings]と振幅算出部836が算出した片振幅ΔN[samplings]とから式(10)により物体12の振動の最大速度Vmaxを算出する(図34ステップS93)。
振動振幅計測装置の他の構成は、第6の実施の形態で説明したとおりである。こうして、本実施の形態においても、第8の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
なお、第1〜第4の実施の形態、第6〜第9の実施の形態において、振動周波数算出部の構成は第1の実施の形態で説明した構成でもよいし、第5の実施の形態で説明した構成でもよいことは言うまでもない。
【0100】
また、第1〜第9の実施の形態において少なくとも計数部7と振動最大速度算出部8,8bと振動周波数算出部9,14と振動振幅算出部10,10a,10bと信号抽出部15とは、例えばCPU、メモリおよびインタフェースを備えたコンピュータとこれらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、メモリに格納されたプログラムに従って第1〜第9の実施の形態で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、レーザを用いて物体の振動振幅を計測する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1…半導体レーザ、2…フォトダイオード、3…レンズ、4…レーザドライバ、5…電流−電圧変換増幅部、6…フィルタ部、7…計数部、8,8b…振動最大速度算出部、9,14…振動周波数算出部、10,10a,10b…振動振幅算出部、11…表示部、12…物体、13…加速度計、15…信号抽出部、800,805,809,813,818,823,828…記憶部、801,815,819,826,831…平均値算出部、802,820…最頻値算出部、803,807,811,816,821,825,830…振幅算出部、804,808,812,817,822,827,832…最大速度算出部、806,824…標準偏差値算出部、810,814,829…四分位点算出部、900…記憶部、901…2値化部、902…周期測定部、903…度数分布作成部、904…基準周期算出部、905…カウンタ、906…補正部、907…周波数算出部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動する物体の振動振幅を計測する振動振幅計測装置および振動振幅計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ変位測定器は、振動する対象物の位置を測定することができる。その位置の最大値と最小値の差が対象物の振動運動の振幅になるので、位置の最大値と最小値を求めることができれば、振幅を求めることができる(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「レーザ変位計用途別測定ガイド vol.3 振動測定」,p.2,株式会社キーエンス,<http://www.keyence.co.jp/req/h/avhc3w5/show.jsp?done=/henni/index.jsp&motive=TOP>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象物の振動の中心から変位の最大値または最小値までの片振幅(波高値)を正規化した場合、変位Xの確率分布関数は、図35に示すように1/cos{asin(X)}になる。その結果、理想的な状態では、離散時間で対象物の位置情報をサンプリングした場合、サンプリング数が十分大きい場合は、対象物の位置の最大値と最小値とから対象物の振幅の情報を正しく測定することができる。
【0005】
ここで、変位Xの確率分布関数の求め方について説明する。図36(A)、図36(B)は変位Xの確率分布関数の求め方を説明するための図である。正弦波sin(θ・t)がXをとりうる確率は、X=sin(θ)になるので、sin(θ)の傾きの逆数である1/cos(θ)に比例する。図36(A)の正弦波の一部を図36(B)に示す。この図36(B)において、変位XがdXに含まれる時間はdθであり、dX/dθはcos(θ)であるから、sin(θ)がdXになるθの値は、dθ/dX、すなわち1/cos(θ)である。さらに、sin(θ)=Xなので、θ=asin(X)である。1/cos(θ)にθ=asin(X)を代入すると、sin(θ)がXになる確率密度関数は、1/cos{asin(X)}に比例すると導出される。以上が、変位Xの確率分布関数を求める方法である。
【0006】
図37に、平均位置(中心)が400で振幅が200で振動する対象物の位置を乱数的に発生させたときの度数分布を示すが、中心400から最大値500までの度数分布は図35に示した確率密度関数と良く一致していることが分かる。
【0007】
ところが、対象物の個々の位置情報の値には誤差が含まれ、その誤差分布は正規分布とみなすことができる。したがって、誤差を含んだ位置の度数分布は図38のようになる。図38の例の場合、ノイズによる誤差(標準偏差5)によって、位置の最大値が本来の値500に対して510という誤った値となり、位置の最小値が本来の値300に対して290という誤った値となるので、振幅(最大値−最小値)の値も本来の値200に対して220という大きな値となり、10%も大きくなってしまう。
【0008】
以上のように、位置の最大値と最小値を用いて振動の振幅を求める従来の方法では、ノイズを除去することができず、振幅が大きく見積もられがちであり、誤差も予測することができないという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、物体の振動振幅を精度良く求めることができる振動振幅計測装置および振動振幅計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の振動振幅計測装置は、測定対象にレーザ光を放射する半導体レーザと、発振波長が連続的に単調増加する第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する第2の発振期間とが交互に存在するように前記半導体レーザを動作させる発振波長変調手段と、前記半導体レーザから放射されたレーザ光と前記測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手段と、この検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手段と、前記計数手段の計数結果に基づいて前記測定対象の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出手段と、前記計数手段の計数結果に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手段と、前記振動最大速度算出手段が算出した振動最大速度と前記振動周波数算出手段が算出した振動周波数とから前記測定対象の振動振幅を算出する振動振幅算出手段とを備えることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動最大速度算出手段は、前記計数手段の計数結果の分布の平均値または中央値を算出する平均値または中央値算出手段と、前記計数手段の計数結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出手段と、前記平均値または中央値と前記最頻値との差を前記計数手段の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、この振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動最大速度算出手段は、前記計数手段の計数結果の分布の標準偏差値を算出する標準偏差値算出手段と、前記標準偏差値を√2倍した値を前記計数手段の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、この振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動最大速度算出手段は、前記計数手段の計数結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手段と、前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と第2四分位点との差を√2倍した値を前記計数手段の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、この振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動最大速度算出手段は、前記計数手段の計数結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手段と、前記計数手段の計数結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と前記平均値との差を√2倍した値を前記計数手段の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、この振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の振動振幅計測装置は、測定対象にレーザ光を放射する半導体レーザと、発振波長が連続的に単調増加する第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する第2の発振期間とが交互に存在するように前記半導体レーザを動作させる発振波長変調手段と、前記半導体レーザから放射されたレーザ光と前記測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手段と、この検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手段と、前記検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の周期を干渉波形が入力される度に計測する信号抽出手段と、この信号抽出手段の計測結果に基づいて前記測定対象の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出手段と、前記計数手段の計数結果に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手段と、前記振動最大速度算出手段が算出した振動最大速度と前記振動周波数算出手段が算出した振動周波数とから前記測定対象の振動振幅を算出する振動振幅算出手段とを備えることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動最大速度算出手段は、前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、前記信号抽出手段の計測結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出手段と、前記平均値と前記最頻値との差を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、前記平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動最大速度算出手段は、前記信号抽出手段の計測結果の分布の中央値を算出する中央値算出手段と、前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、前記信号抽出手段の計測結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出手段と、前記中央値と前記最頻値との差を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、前記平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動最大速度算出手段は、前記信号抽出手段の計測結果の分布の標準偏差値を算出する標準偏差値算出手段と、前記標準偏差値を√2倍した値を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、この平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動最大速度算出手段は、前記信号抽出手段の計測結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手段と、前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と第2四分位点との差を√2倍した値を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、この平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動最大速度算出手段は、前記信号抽出手段の計測結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手段と、前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と前記平均値との差を√2倍した値を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、前記平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例において、前記振動周波数算出手段は、時間的に隣接する前記第1、第2の発振期間の計数結果の大小を比較して、これらの計数結果を2値化する2値化手段と、この2値化手段から出力された2値化出力の周期を測定する2値化出力周期測定手段と、この2値化出力周期測定手段の測定結果から一定時間における2値化出力の周期の度数分布を作成する2値化出力周期度数分布作成手段と、前記2値化出力の周期の度数分布から前記2値化出力の周期の分布の代表値である基準周期を算出する基準周期算出手段と、前記2値化出力周期度数分布作成手段が度数分布作成の対象とする期間と同じ一定時間の期間において前記2値化出力のパルスの数を数える2値化出力計数手段と、前記2値化出力の周期の度数分布から、前記基準周期の第1の所定数倍以下である階級の度数の総和Nsと前記基準周期の第2の所定数倍以上である階級の度数の総和Nwとを求め、これらの度数NsとNwに基づいて前記2値化出力計数手段の計数結果を補正する補正手段と、この補正手段で補正された計数結果と前記一定時間に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する周波数算出手段とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明の振動振幅計測装置の1構成例は、前記振動周波数算出手段の代わりに、前記測定対象の加速度を計測する加速度計と、この加速度計が計測した加速度から前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手段とを備えることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の振動振幅計測方法は、発振波長が連続的に単調増加する第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する第2の発振期間とが交互に存在するように半導体レーザを動作させる発振手順と、前記半導体レーザから放射されたレーザ光と測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手順と、この検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手順と、前記計数手順の計数結果に基づいて前記測定対象の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出手順と、前記計数手順の計数結果に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手順と、前記振動最大速度算出手順で算出した振動最大速度と前記振動周波数算出手順で算出した振動周波数とから前記測定対象の振動振幅を算出する振動振幅算出手順とを備えることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の振動振幅計測方法は、発振波長が連続的に単調増加する第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する第2の発振期間とが交互に存在するように半導体レーザを動作させる発振手順と、前記半導体レーザから放射されたレーザ光と測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手順と、この検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手順と、前記検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の周期を干渉波形が入力される度に計測する信号抽出手順と、この信号抽出手順の計測結果に基づいて前記測定対象の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出手順と、前記計数手順の計数結果に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手順と、前記振動最大速度算出手順で算出した振動最大速度と前記振動周波数算出手順で算出した振動周波数とから前記測定対象の振動振幅を算出する振動振幅算出手順とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、測定対象にレーザ光を放射し、検出手段の出力信号に含まれる干渉波形の数を、第1の発振期間と第2の発振期間の各々について数え、計数結果に基づいて測定対象の振動の最大速度を算出すると共に、計数結果に基づいて測定対象の振動周波数を算出し、振動最大速度と振動周波数とから測定対象の振動振幅を算出することにより、測定対象の位置の最大値と最小値との差を振動振幅とする従来の方法に比べて、測定対象の振動振幅を精度良く求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る振動振幅計測装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における半導体レーザの発振波長の時間変化の1例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における電流−電圧変換増幅部の出力電圧波形およびフィルタ部の出力電圧波形を模式的に示す波形図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における計数部と振動最大速度算出部と振動周波数算出部と振動振幅算出部の動作を示すフローチャートである。
【図5】モードホップパルスについて説明するための図である。
【図6】半導体レーザの発振波長とフォトダイオードの出力波形との関係を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における振動最大速度算出部の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における計数部の計数結果の時間変化の1例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における振動最大速度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施の形態における振動周波数算出部の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態における振動周波数算出部の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第1の実施の形態における振動周波数算出部の2値化部の動作を説明するための図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態における周期の度数分布の1例を示す図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態においてカウンタの計数結果の補正に用いる度数を模式的に表す図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態におけるカウンタの計数結果の補正原理を説明するための図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る振動振幅計測装置の振動最大速度算出部の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態における振動最大速度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第3の実施の形態に係る振動振幅計測装置の振動最大速度算出部の構成を示すブロック図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態における振動最大速度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図20】本発明の第4の実施の形態に係る振動振幅計測装置の振動最大速度算出部の構成を示すブロック図である。
【図21】本発明の第4の実施の形態における振動最大速度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図22】本発明の第5の実施の形態に係る振動振幅計測装置の構成を示すブロック図である。
【図23】本発明の第6の実施の形態に係る振動振幅計測装置の構成を示すブロック図である。
【図24】本発明の第6の実施の形態における計数部と信号抽出部と振動最大速度算出部と振動周波数算出部と振動振幅算出部の動作を示すフローチャートである。
【図25】本発明の第6の実施の形態における信号抽出部の動作を説明するための図である。
【図26】本発明の第6の実施の形態における振動最大速度算出部の構成を示すブロック図である。
【図27】本発明の第6の実施の形態における信号抽出部の計測結果の時間変化の1例を示す図である。
【図28】本発明の第6の実施の形態における振動最大速度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図29】本発明の第7の実施の形態における振動最大速度算出部の構成を示すブロック図である。
【図30】本発明の第7の実施の形態における振動最大速度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図31】本発明の第8の実施の形態における振動最大速度算出部の構成を示すブロック図である。
【図32】本発明の第8の実施の形態における振動最大速度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図33】本発明の第9の実施の形態における振動最大速度算出部の構成を示すブロック図である。
【図34】本発明の第9の実施の形態における振動最大速度算出部の動作を示すフローチャートである。
【図35】変位の確率分布関数を示す図である。
【図36】変位の確率分布関数の求め方を説明するための図である。
【図37】対象物の位置を乱数的に発生させたときの度数分布を示す図である。
【図38】誤差を含む位置の度数分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る振動振幅計測装置の構成を示すブロック図である。図1の振動振幅計測装置は、測定対象の物体12にレーザ光を放射する半導体レーザ1と、半導体レーザ1の光出力を電気信号に変換するフォトダイオード2と、半導体レーザ1からの光を集光して放射すると共に、物体12からの戻り光を集光して半導体レーザ1に入射させるレンズ3と、半導体レーザ1を駆動する発振波長変調手段となるレーザドライバ4と、フォトダイオード2の出力電流を電圧に変換して増幅する電流−電圧変換増幅部5と、電流−電圧変換増幅部5の出力電圧から搬送波を除去するフィルタ部6と、フィルタ部6の出力電圧に含まれる自己結合信号であるモードホップパルス(以下、MHPとする)の数を数える計数部7と、計数部7の計数結果に基づいて物体12の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出部8と、計数部7の計数結果に基づいて物体12の振動周波数を算出する振動周波数算出部9と、振動最大速度と振動周波数とから物体12の振動振幅を算出する振動振幅算出部10と、振動振幅算出部10の算出結果を表示する表示部11とを有する。
【0022】
フォトダイオード2と電流−電圧変換増幅部5とは、検出手段を構成している。以下、説明容易にするために、半導体レーザ1には、モードホッピング現象を持たない型(VCSEL型、DFBレーザ型)のものが用いられているものと想定する。
【0023】
レーザドライバ4は、時間に関して一定の変化率で増減を繰り返す三角波駆動電流を注入電流として半導体レーザ1に供給する。これにより、半導体レーザ1は、注入電流の大きさに比例して発振波長が一定の変化率で連続的に増加する第1の発振期間と発振波長が一定の変化率で連続的に減少する第2の発振期間とを交互に繰り返すように駆動される。図2は半導体レーザ1の発振波長の時間変化を示す図である。図2において、P1は第1の発振期間、P2は第2の発振期間、λaは各期間における発振波長の最小値、λbは各期間における発振波長の最大値、Tcarは三角波の周期である。本実施の形態では、発振波長の最大値λb及び発振波長の最小値λaはそれぞれ常に一定になされており、それらの差λb−λaも常に一定になされている。
【0024】
半導体レーザ1から出射したレーザ光は、レンズ3によって集光され、物体12に入射する。物体12で反射された光は、レンズ3によって集光され、半導体レーザ1に入射する。ただし、レンズ3による集光は必須ではない。フォトダイオード2は、半導体レーザ1の内部又はその近傍に配置され、半導体レーザ1の光出力を電流に変換する。電流−電圧変換増幅部5は、フォトダイオード2の出力電流を電圧に変換して増幅する。
【0025】
フィルタ部6は、変調波から重畳信号を抽出する機能を有するものである。図3(A)は電流−電圧変換増幅部5の出力電圧波形を模式的に示す図、図3(B)はフィルタ部6の出力電圧波形を模式的に示す図である。これらの図は、フォトダイオード2の出力に相当する図3(A)の波形(変調波)から、図2の半導体レーザ1の発振波形(搬送波)を除去して、図3(B)のMHP波形(干渉波形)を抽出する過程を表している。
【0026】
次に、計数部7と振動最大速度算出部8と振動周波数算出部9と振動振幅算出部10の動作について説明する。図4は計数部7と振動最大速度算出部8と振動周波数算出部9と振動振幅算出部10の動作を示すフローチャートである。
【0027】
計数部7は、フィルタ部6の出力電圧に含まれるMHPの数を第1の発振期間P1と第2の発振期間P2の各々について数える(図4ステップS1)。計数部7は、論理ゲートからなるカウンタを利用するものでもよいし、FFT(Fast Fourier Transform)を利用してMHPの周波数(すなわち単位時間あたりのMHPの数)を計測するものでもよい。
【0028】
ここで、自己結合信号であるMHPについて説明する。図5に示すように、ミラー層1013から物体12までの距離をL、レーザの発振波長をλとすると、以下の共振条件を満足するとき、物体12からの戻り光と半導体レーザ1の光共振器内のレーザ光は強め合い、レーザ出力がわずかに増加する。
L=qλ/2 ・・・(1)
式(1)において、qは整数である。この現象は、物体12からの散乱光が極めて微弱であっても、半導体レーザ1の共振器内の見かけの反射率が増加することにより、増幅作用が生じ、十分観測できる。なお、図5において、1019はミラーとなる誘電体多層膜である。
【0029】
図6は、半導体レーザ1の発振波長をある一定の割合で変化させたときの発振波長とフォトダイオード2の出力波形との関係を示す図である。式(1)に示したL=qλ/2を満足したときに、戻り光と光共振器内のレーザ光の位相差が0°(同位相)になって、戻り光と光共振器内のレーザ光とが最も強め合い、L=qλ/2+λ/4のときに、位相差が180°(逆位相)になって、戻り光と光共振器内のレーザ光とが最も弱め合う。そのため、半導体レーザ1の発振波長を変化させていくと、レーザ出力が強くなるところと弱くなるところとが交互に繰り返し現れ、このときのレーザ出力をフォトダイオード2で検出すると、図6に示すように一定周期の階段状の波形が得られる。このような波形は一般的には干渉縞と呼ばれる。この階段状の波形、すなわち干渉縞の1つ1つがMHPである。ある一定時間において半導体レーザ1の発振波長を変化させた場合、測定距離に比例してMHPの数は変化する。
【0030】
次に、振動最大速度算出部8は、計数部7の計数結果に基づいて物体12の振動の最大速度を算出する(図4ステップS2)。図7は振動最大速度算出部8の構成を示すブロック図である。振動最大速度算出部8は、計数部7の計数結果等を記憶する記憶部800と、計数部7の計数結果の分布の平均値を算出する平均値算出部801と、計数部7の計数結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出部802と、計数部7の計数結果の片振幅を算出する振幅算出部803と、片振幅から物体12の振動の最大速度を算出する最大速度算出部804とから構成される。
【0031】
図8は計数部7の計数結果の時間変化を示す図である。図8において、Nuは第1の発振期間P1の計数結果、Ndは第2の発振期間P2の計数結果である。物体12の距離変化率が半導体レーザ1の発振波長変化率よりも小さく、物体12が単振動している場合、計数結果Nuの時間変化と計数結果Ndの時間変化は、図8に示すように互いの位相差が180度の正弦波形となる。
【0032】
正弦波軌道上の値を一様にサンプリングしたとみなせるだけのサンプリングを行うと、個々の値が誤差を含んでいても、平均値と最頻値との差は片振幅(波高値)になる。サンプリング間隔が等間隔で、かつサンプリング間隔と正弦波周期との最小公倍数に当たる時間中に含まれるサンプリング数が十分に多い場合には、正弦波軌道上の値を一様にサンプリングしたとみなせる。
【0033】
図9は振動最大速度算出部8の動作を示すフローチャートである。振動最大速度算出部8には、計数部7の計数結果Nu,Ndが入力される。記憶部800は、計数部7の計数結果Nu,Ndを記憶する。
平均値算出部801は、記憶部800に格納された計数結果NuまたはNdの分布の平均値を算出する(図9ステップS10)。平均値算出部801が算出した平均値は、記憶部800に格納される。
【0034】
最頻値算出部802は、記憶部800に格納された計数結果NuまたはNdの分布の最頻値を算出する(図9ステップS11)。最頻値算出部802が算出した最頻値は、記憶部800に格納される。この最頻値は、計数部7の計数結果の最大値または最小値に相当する。
【0035】
振幅算出部803は、平均値と最頻値との差を計数部7の計数結果の片振幅ΔNとして算出する(図9ステップS12)。平均値>最頻値の場合は、平均値−最頻値を片振幅ΔNとし、最頻値>平均値の場合は、最頻値−平均値を片振幅ΔNとすればよい。片振幅ΔNの2倍の値が振幅(両振幅)であることは言うまでもない。なお、平均値算出部801と最頻値算出部802と振幅算出部803とが処理の対象とするのは、計数部7の計数結果NuとNdのうちどちらか一方のみである。つまり、それぞれ正弦波状に変化する計数結果NuとNdのうちどちらか一方についてのみ正弦波の片振幅ΔNを算出すればよい。振幅算出部803が算出した片振幅ΔNの値は、物体12の振動の最大速度(半波長/計測時間)に相当する。
【0036】
最大速度算出部804は、振幅算出部803が算出した片振幅ΔNから次式のように物体12の振動の最大速度Vmaxを算出する(図9ステップS13)。
Vmax=ΔN×(λ/2)×{1/(2×fcar)} ・・・(2)
式(2)において、λは半導体レーザ1の発振平均波長、fcarは半導体レーザ1の発振波長変調の搬送波(三角波)の周波数である。こうして、最大速度算出部804の算出結果が振動振幅算出部10に出力される。
【0037】
なお、本実施の形態では、計数部7の計数結果の平均値と最頻値との差を計数部7の計数結果の片振幅ΔNとしたが、計数部7の計数結果の分布の中央値と最頻値との差を計数部7の計数結果の片振幅ΔNとしてもよい。つまり、平均値算出部801の代わりに中央値算出部を用い、振幅算出部803は、中央値と最頻値との差を計数部7の計数結果の片振幅ΔNとして算出してもよい。
【0038】
次に、振動周波数算出部9は、計数部7の計数結果に基づいて物体12の振動周波数を算出する(図4ステップS3)。図10は振動周波数算出部9の構成を示すブロック図である。振動周波数算出部9は、計数部7の計数結果等を記憶する記憶部900と、計数部7の計数結果を2値化する2値化部901と、2値化部901から出力された2値化出力の周期を測定する周期測定部902と、2値化出力の周期の度数分布を作成する度数分布作成部903と、2値化出力の周期の分布の代表値である基準周期を算出する基準周期算出部904と、2値化出力のパルスの数を数える2値化出力計数手段となるカウンタ905と、カウンタ905の計数結果を補正する補正部906と、補正された計数結果に基づいて物体12の振動周波数を算出する周波数算出部907とから構成される。
【0039】
図11は振動周波数算出部9の動作を示すフローチャートである。計数部7の計数結果は、振動周波数算出部9の記憶部900に格納される。2値化部901は、記憶部900に格納された、計数部7の計数結果を2値化する(図11ステップS20)。図12(A)〜図12(C)は2値化部901の動作を説明するための図であり、図12(A)は半導体レーザ1の発振波長の時間変化を示す図、図12(B)は計数部7の計数結果の時間変化を示す図、図12(C)は2値化部901の出力D(t)を示す図である。
【0040】
2値化部901は、時間的に隣接する2つの発振期間P1,P2の計数結果NuとNdの大小を比較して、これらの計数結果を2値化する。2値化部901は、具体的には以下の式を実行する。
If Nu(t)≧Nd(t−1) then D(t)=1 ・・・(3)
If Nu(t)<Nd(t−1) then D(t)=0 ・・・(4)
If Nd(t)≦Nu(t−1) then D(t)=1 ・・・(5)
If Nd(t)>Nu(t−1) then D(t)=0 ・・・(6)
【0041】
式(3)〜式(6)において、(t)は現時刻tにおいて計測されたMHPの数であることを表し、(t−1)は現時刻tの1回前に計測されたMHPの数であることを表している。式(3)、式(4)は、現時刻tの計数結果が第1の発振期間P1の計数結果Nuで、1回前の計数結果が第2の発振期間P2の計数結果Ndの場合である。この場合、2値化部901は、現時刻tの計数結果Nu(t)が1回前の計数結果Nd(t−1)以上であれば、現時刻tの出力D(t)を「1」(ハイレベル)とし、現時刻tの計数結果Nu(t)が1回前の計数結果Nd(t−1)より小さい場合は、現時刻tの出力D(t)を「0」(ローレベル)とする。
【0042】
式(5)、式(6)は、現時刻tの計数結果が第2の発振期間P2の計数結果Ndで、1回前の計数結果が第1の発振期間P1の計数結果Nuの場合である。この場合、2値化部901は、現時刻tの計数結果Nd(t)が1回前の計数結果Nu(t−1)以下であれば、現時刻tの出力D(t)を「1」とし、現時刻tの計数結果Nd(t)が1回前の計数結果Nu(t−1)より大きい場合は、現時刻tの出力D(t)を「0」とする。
【0043】
こうして、計数部7の計数結果は2値化される。2値化部901の出力D(t)は記憶部900に格納される。2値化部901は、以上のような2値化処理を、計数部7によってMHPの数が測定される時刻毎(発振期間毎)に行う。
【0044】
計数部7の計数結果を2値化することは、物体12の変位の方向を判別することを意味する。つまり、半導体レーザ1の発振波長が増加しているときの計数結果Nuが、発振波長が減少しているときの計数結果Nd以上の場合(D(t)=1)、物体12の移動方向は半導体レーザ1に接近する方向であり、計数結果Nuが計数結果Ndより小さい場合(D(t)=0)、物体12の移動方向は半導体レーザ1から遠ざかる方向である。したがって、基本的には図12(C)に示した2値化出力の周期を求めることができれば、物体12の振動周波数を算出することができる。
【0045】
周期測定部902は、記憶部900に格納された2値化出力D(t)の周期を測定する(図11ステップS21)。2値化出力D(t)の周期を測定するには、例えば2値化出力D(t)を所定のしきい値と比較することにより、2値化出力D(t)の立ち上がりを検出し、2値化出力D(t)の立ち上がりから次の立ち上がりまでの時間を測定すればよい。周期測定部902は、このような測定を2値化出力D(t)に立ち上がりエッジが発生する度に行う。周期測定部902の測定結果は記憶部900に格納される。
【0046】
次に、度数分布作成部903は、周期測定部902の測定結果から、一定時間T(T>Tcarであり、例えば100×Tcar、すなわち三角波100個分の時間)における周期の度数分布を作成する(図11ステップS22)。図13は度数分布の1例を示す図である。度数分布作成部903が作成した度数分布は、記憶部900に格納される。度数分布作成部903は、このような度数分布の作成をT時間毎に行う。
【0047】
続いて、基準周期算出部904は、度数分布作成部903が作成した度数分布から、2値化出力D(t)の周期の代表値である基準周期T0を算出する(図11ステップS23)。一般に、周期の代表値は最頻値や中央値であるが、本実施の形態においては、最頻値や中央値が周期の代表値として適していない。その理由は、高周波ノイズによる短い周期での符号の変化は物体12の本来の振動の周期の度数を上回ることがあり、周期の代表値として最頻値や中央値などを用いた場合、誤って振動周期よりも短いノイズの周期を基準として補正を掛けてしまう懸念があるからである。
【0048】
そこで、基準周期算出部904は、振動周波数を算出するための一定時間Tの期間において、ある階級の信号が占める割合、つまり階級値と度数との積が最も大きい階級値を基準周期T0とする。算出された基準周期T0の値は、記憶部900に格納される。基準周期算出部904は、このような基準周期T0の算出を、度数分布作成部903によって度数分布が作成される度に行う。
【0049】
一方、カウンタ905は、周期測定部902および度数分布作成部903と並行して動作し、度数分布作成部903が度数分布作成の対象とする期間と同じ一定時間Tの期間において、2値化出力D(t)の立ち上がりエッジの数N(すなわち、2値化出力D(t)の「1」のパルスの数)を数える(図11ステップS24)。カウンタ905の計数結果Nは、記憶部900に格納される。カウンタ905は、このような2値化出力D(t)の計数をT時間毎に行う。
【0050】
補正部906は、度数分布作成部903が作成した度数分布から、基準周期T0の0.5倍以下である階級の度数の総和Nsと、基準周期T0の1.5倍以上である階級の度数の総和Nwとを求め、カウンタ905の計数結果Nを次式のように補正する(図11ステップS25)。
N’=N−Ns+Nw ・・・(7)
式(7)において、N’は補正後の計数結果である。この補正後の計数結果N’は、記憶部900に格納される。補正部906は、このような補正をT時間毎に行う。
【0051】
図14は度数の総和NsとNwを模式的に表す図である。図14において、Tsは基準周期T0の0.5倍の階級値、Twは基準周期T0の1.5倍の階級値である。図14における階級が、周期の代表値であることは言うまでもない。なお、図14では記載を簡略化するため、基準周期T0とTsとの間、及び基準周期T0とTwとの間の度数分布を省略している。
【0052】
図15(A)、図15(B)はカウンタ905の計数結果の補正原理を説明するための図であり、図15(A)は2値化出力D(t)を示す図、図15(B)は図15(A)に対応するカウンタ905の計数結果を示す図である。
本来、2値化出力D(t)の周期は物体12の振動周波数によって異なるが、物体12の振動周波数が不変であれば、2値化出力D(t)のパルスは同じ周期で出現する。しかし、ノイズのために、MHPの波形には欠落が生じたり、信号として数えるべきでない波形が生じたりして、結果として2値化出力D(t)の波形にも欠落や信号として数えるべきでない波形が生じ、2値化出力D(t)のパルスの計数結果に誤差が生じる。
【0053】
信号の欠落が生じると、欠落が生じた箇所での2値化出力D(t)の周期Twは、本来の周期のおよそ2倍になる。つまり、2値化出力D(t)の周期が基準周期T0のおよそ2倍以上の場合には、信号に欠落が生じていると判断できる。そこで、周期Tw以上の階級の度数の総和Nwを信号が欠落した回数と見なし、このNwをカウンタ905の計数結果Nに加算することで、信号の欠落を補正することができる。
【0054】
また、スパイクノイズなどによって本来の信号が分割された箇所での2値化出力D(t)の周期Tsは、本来の周期と比較して0.5倍よりも短い信号と0.5倍よりも長い信号の2つになる。つまり、2値化出力D(t)の周期が基準周期T0のおよそ0.5倍以下の場合には、信号を過剰に数えていると判断できる。そこで、周期Ts以下の階級の度数の総和Nsを信号を過剰に数えた回数と見なし、このNsをカウンタ905の計数結果Nから減算することで、誤って数えたノイズを補正することができる。以上が、式(7)に示した計数結果の補正原理である。
【0055】
周波数算出部907は、補正部906が計算した補正後の計数結果N’に基づいて、物体12の振動周波数fsigを次式のように算出する(図11ステップS26)。
fsig=N’/T ・・・(8)
こうして、周波数算出部907の算出結果が振動振幅算出部10に出力される。
【0056】
次に、振動振幅算出部10は、振動最大速度算出部8が算出した振動最大速度Vmaxと振動周波数算出部9が算出した振動周波数fsigとから物体12の振動振幅Aを次式のように算出する(図4ステップS4)。
A=Vmax/(π×fsig) ・・・(9)
表示部11は、振動振幅算出部10が算出した振動振幅Aの値を表示する。
【0057】
以上のように、本実施の形態では、計数部7の計数結果の平均値または中央値と最頻値との差を計数部7の計数結果の片振幅ΔNとして算出することにより、片振幅ΔNを精度良く求めることができ、その結果として物体12の振動の最大速度Vmaxを精度良く求めることができる。さらに、本実施の形態では、時間的に隣接する第1、第2の発振期間P1,P2の計数結果の大小を比較してMHPの計数結果を2値化し、2値化出力D(t)の周期を測定して一定時間Tにおける周期の度数分布を作成し、周期の度数分布から2値化出力D(t)の周期の分布の代表値である基準周期T0を算出し、一定時間Tの期間において2値化出力D(t)のパルスの数を数え、度数分布から、基準周期T0の0.5倍以下である階級の度数の総和Nsと基準周期T0の1.5倍以上である階級の度数の総和Nwとを求め、これらの度数NsとNwに基づいて2値化出力D(t)のパルスの計数結果を補正することにより、物体12の振動周波数fsigを精度良く求めることができる。その結果、本実施の形態では、物体の位置の最大値と最小値との差を振動振幅とする従来の方法に比べて、物体12の振動振幅を精度良く求めることができる。
【0058】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図16は本発明の第2の実施の形態に係る振動振幅計測装置の振動最大速度算出部8の構成を示すブロック図である。本実施の形態の振動最大速度算出部8は、計数部7の計数結果等を記憶する記憶部805と、計数部7の計数結果の分布の標準偏差値を算出する標準偏差値算出部806と、計数部7の計数結果の片振幅を算出する振幅算出部807と、片振幅から物体12の振動の最大速度を算出する最大速度算出部808とから構成される。
【0059】
正弦波軌道上の値を一様にサンプリングしたとみなせるだけのサンプリングを行うと、正弦波の標準偏差値は片振幅の1/√2(≒0.707)になるため、サンプリングされた値の標準偏差値を求め、√2倍すれば片振幅の値となる。
【0060】
図17は本実施の形態の振動最大速度算出部8の動作を示すフローチャートである。第1の実施の形態と同様に、記憶部805は、時系列に入力される計数部7の計数結果Nu,Ndを記憶する。
標準偏差値算出部806は、記憶部805に格納された、計数部7の計数結果NuまたはNdの分布の標準偏差値を算出する(図17ステップS30)。標準偏差値算出部806が算出した標準偏差値は、記憶部805に格納される。第1の実施の形態と同様に、標準偏差値算出部806が処理の対象とするのは、計数部7の計数結果NuとNdのうちどちらか一方のみである。
【0061】
振幅算出部807は、標準偏差値を√2(≒1.414)倍した値を計数部7の計数結果の片振幅ΔNとして算出する(図17ステップS31)。
最後に、最大速度算出部808は、振幅算出部807が算出した片振幅ΔNから式(2)により物体12の振動の最大速度Vmaxを算出する(図17ステップS32)。
【0062】
振動振幅計測装置の他の構成は、第1の実施の形態で説明したとおりである。こうして、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図18は本発明の第3の実施の形態に係る振動振幅計測装置の振動最大速度算出部8の構成を示すブロック図である。本実施の形態の振動最大速度算出部8は、計数部7の計数結果等を記憶する記憶部809と、計数部7の計数結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出部810と、計数部7の計数結果の片振幅を算出する振幅算出部811と、片振幅から物体12の振動の最大速度を算出する最大速度算出部812とから構成される。
【0064】
本実施の形態の基本原理は第2の実施の形態と同じであるが、標準偏差値の代わりに、より誤差の少ない四分位点を基準にする。四分位点と平均値との差は片振幅の1/√2(≒0.707)になるため、サンプリングされた値の分布の四分位点を求め、√2倍すれば片振幅の値となる。
【0065】
図19は本実施の形態の振動最大速度算出部8の動作を示すフローチャートである。第1の実施の形態と同様に、記憶部809は、時系列に入力される計数部7の計数結果Nu,Ndを記憶する。
四分位点算出部810は、記憶部809に格納された、計数部7の計数結果NuまたはNdの分布の四分位点を算出する(図19ステップS40)。
【0066】
振幅算出部811は、算出された四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と第2四分位点(中央値)との差を√2(≒1.414)倍した値を計数部7の計数結果の片振幅ΔNとして算出する(図19ステップS41)。例えば図38の例では、第1四分位点は330、第2四分位点は400、第3四分位点は470である。第1の実施の形態と同様に、四分位点算出部810と振幅算出部811とが処理の対象とするのは、計数部7の計数結果NuとNdのうちどちらか一方のみである。
【0067】
最後に、最大速度算出部812は、振幅算出部811が算出した片振幅ΔNから式(2)により物体12の振動の最大速度Vmaxを算出する(図19ステップS42)。
振動振幅計測装置の他の構成は、第1の実施の形態で説明したとおりである。第1、第2の実施の形態では、計数部7の計数結果の度数分布が1/cos{asin(X)}(Xは変位)とみなすことのできる十分な一様性とサンプリング数を要し、また最大振幅付近の度数変化が急峻なために、誤差を含みやすいが、四分位点はサンプルの一様性や外れ値の影響を受けにくい。したがって、本実施の形態によれば、第1、第2の実施の形態に比べて片振幅ΔNの誤差を更に低減することができ、その結果として物体12の振動振幅の誤差を低減することができる。
【0068】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図20は本発明の第4の実施の形態に係る振動振幅計測装置の振動最大速度算出部8の構成を示すブロック図である。本実施の形態の振動最大速度算出部8は、計数部7の計数結果等を記憶する記憶部813と、計数部7の計数結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出部814と、計数部7の計数結果の分布の平均値を算出する平均値算出部815と、計数部7の計数結果の片振幅を算出する振幅算出部816と、片振幅から物体12の振動の最大速度を算出する最大速度算出部817とから構成される。
【0069】
本実施の形態は、第3の実施の形態において第2四分位点(中央値)の代わりに、平均値を用いるものである。
図21は本実施の形態の振動最大速度算出部8の動作を示すフローチャートである。第1の実施の形態と同様に、記憶部813は、時系列に入力される計数部7の計数結果Nu,Ndを記憶する。
四分位点算出部814は、記憶部813に格納された、計数部7の計数結果NuまたはNdの分布の四分位点を算出する(図21ステップS50)。
【0070】
平均値算出部815は、記憶部813に格納された、計数部7の計数結果NuまたはNdの分布の平均値を算出する(ステップS51)。平均値算出部815が算出した平均値は、記憶部813に格納される。
振幅算出部816は、算出された四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と平均値との差を√2倍した値を計数部7の計数結果の片振幅ΔNとして算出する(ステップS52)。第1の実施の形態と同様に、四分位点算出部814と平均値算出部815と振幅算出部816とが処理の対象とするのは、計数部7の計数結果NuとNdのうちどちらか一方のみである。
【0071】
最後に、最大速度算出部817は、振幅算出部816が算出した片振幅ΔNから式(2)により物体12の振動の最大速度Vmaxを算出する(図21ステップS53)。
振動振幅計測装置の他の構成は、第1の実施の形態で説明したとおりである。こうして、本実施の形態においても、第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0072】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。図22は本発明の第5の実施の形態に係る振動振幅計測装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の振動振幅計測装置は、半導体レーザ1と、フォトダイオード2と、レンズ3と、レーザドライバ4と、電流−電圧変換増幅部5と、フィルタ部6と、計数部7と、振動最大速度算出部8と、振動振幅算出部10aと、表示部11と、物体12の加速度を計測する加速度計13と、物体12の加速度から物体12の振動周波数を算出する振動周波数算出部14とを有する。
【0073】
物体12に取り付けられた加速度計13は、物体12の加速度を計測する。振動周波数算出部14は、物体12の加速度から物体12の振動周波数fsigを算出する。加速度から振動周波数を算出する方法は、例えば特許第2953675号公報に開示されているので、詳細な説明は省略する。
【0074】
振動振幅算出部10aは、振動最大速度算出部8が算出した振動最大速度Vmaxと振動周波数算出部14が算出した振動周波数fsigとから物体12の振動振幅Aを式(9)により算出する。
振動振幅計測装置の他の構成は、第1〜第4の実施の形態で説明したとおりである。こうして、本実施の形態では、計数部7の計数結果に基づいて物体12の振動周波数を算出する代わりに、物体12の加速度から物体12の振動周波数を算出することにより、第1〜第4の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。図23は本発明の第6の実施の形態に係る振動振幅計測装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の振動振幅計測装置は、半導体レーザ1と、フォトダイオード2と、レンズ3と、レーザドライバ4と、電流−電圧変換増幅部5と、フィルタ部6と、計数部7と、振動最大速度算出部8bと、振動周波数算出部9と、振動振幅算出部10bと、表示部11と、信号抽出部15とを有する。
【0076】
図24は計数部7と信号抽出部15と振動最大速度算出部8bと振動周波数算出部9と振動振幅算出部10bの動作を示すフローチャートである。
第1の実施の形態で説明したとおり、計数部7は、フィルタ部6の出力電圧に含まれるMHPの数を第1の発振期間P1と第2の発振期間P2の各々について数える(図24ステップS1)。
振動周波数算出部9は、計数部7の計数結果に基づいて物体12の振動周波数fsigを算出する(図24ステップS3)。
【0077】
一方、信号抽出部15は、フィルタ部6の出力電圧に含まれるMHPの周期をMHPが発生する度に計測する(図24ステップS5)。図25(A)〜図25(D)は信号抽出部15の動作を説明するための図であり、図25(A)はフィルタ部6の出力電圧の波形、すなわちMHPの波形を模式的に示す図、図25(B)はMHPを2値化した波形を示す図、図25(C)は信号抽出部15に入力されるサンプリングクロックを示す図、図25(D)は図25(B)に対応する信号抽出部15の測定結果を示す図である。
【0078】
まず、信号抽出部15は、図25(A)に示すフィルタ部6の出力電圧が上昇してしきい値TH1以上になったときにハイレベルと判定し、フィルタ部6の出力電圧が下降してしきい値TH2(TH2<TH1)以下になったときにローレベルと判定することにより、フィルタ部6の出力を2値化する。そして、信号抽出部15は、2値化したMHPの立ち上がりエッジの周期(すなわち、MHPの周期)を立ち上がりエッジが発生する度に測定する。このとき、信号抽出部15は、図25(C)に示すサンプリングクロックの周期を1単位としてMHPの周期を測定する。図25(D)の例では、信号抽出部15は、MHPの周期としてTα,Tβ,Tγを順次測定している。図25(C)、図25(D)から明らかなように、周期Tα,Tβ,Tγの大きさは、それぞれ5[samplings]、4[samplings]、2[samplings]である。サンプリングクロックの周波数は、MHPの取り得る最高周波数に対して十分に高いものとする。
【0079】
次に、振動最大速度算出部8bは、信号抽出部15の計測結果に基づいて物体12の振動の最大速度を算出する(図24ステップS6)。図26は振動最大速度算出部8bの構成を示すブロック図である。振動最大速度算出部8bは、信号抽出部15の計測結果等を記憶する記憶部818と、信号抽出部15の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出部819と、信号抽出部15の計測結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出部820と、信号抽出部15の計測結果の片振幅を算出する振幅算出部821と、片振幅から物体12の振動の最大速度を算出する最大速度算出部822とから構成される。
【0080】
図27は信号抽出部15の計測結果の時間変化を示す図である。MHPの周期は物体12との距離に反比例するので、物体12が単振動している場合、信号抽出部15の計測結果は、図27に示すように正弦波形となる。
【0081】
図28は振動最大速度算出部8bの動作を示すフローチャートである。振動最大速度算出部8bには、信号抽出部15の計測結果が入力される。記憶部818は、信号抽出部15の計測結果を記憶する。
平均値算出部819は、記憶部818に格納された計測結果の分布の平均値を算出する(図28ステップS60)。平均値算出部819が算出した周期の平均値は、記憶部818に格納される。
【0082】
最頻値算出部820は、記憶部818に格納された計測結果の分布の最頻値を算出する(図28ステップS61)。最頻値算出部820が算出した最頻値は、記憶部818に格納される。この最頻値は、信号抽出部15の計測結果の最大値または最小値に相当する。
振幅算出部821は、平均値と最頻値との差を信号抽出部15の計測結果の片振幅ΔNとして算出する(図28ステップS62)。平均値>最頻値の場合は、平均値−最頻値を片振幅ΔNとし、最頻値>平均値の場合は、最頻値−平均値を片振幅ΔNとすればよい。片振幅ΔNの2倍の値が振幅(両振幅)であることは言うまでもない。
【0083】
最大速度算出部822は、平均値算出部819が算出した周期の平均値T0[samplings]と振幅算出部821が算出した片振幅ΔN[samplings]とから次式のように物体12の振動の最大速度Vmaxを算出する(図28ステップS63)。
Vmax=ΔN×λ/(2×T0)×fad/(T0+ΔN) ・・・(10)
式(10)において、λは半導体レーザ1の発振平均波長、fadは信号抽出部15で用いるサンプリングクロックの周波数である。こうして、最大速度算出部822の算出結果が振動振幅算出部10bに出力される。
【0084】
なお、本実施の形態では、信号抽出部15の計測結果の平均値と最頻値との差を信号抽出部15の計測結果の片振幅ΔNとしたが、信号抽出部15の計測結果の分布の中央値と最頻値との差を信号抽出部15の計測結果の片振幅ΔNとしてもよい。つまり、平均値算出部819とは別に中央値算出部を設け、振幅算出部821は、中央値と最頻値との差を信号抽出部15の計測結果の片振幅ΔNとして算出してもよい。
【0085】
次に、振動振幅算出部10bは、振動最大速度算出部8bが算出した振動最大速度Vmaxと振動周波数算出部9が算出した振動周波数fsigとから物体12の振動振幅Aを式(9)のように算出する(図24ステップS7)。
表示部11は、振動振幅算出部10bが算出した振動振幅Aの値を表示する。
【0086】
以上のように、本実施の形態では、信号抽出部15の計測結果の平均値または中央値と最頻値との差を信号抽出部15の計測結果の片振幅ΔNとして算出することにより、片振幅ΔNを精度良く求めることができ、その結果として物体12の振動の最大速度Vmaxを精度良く求めることができる。また、第1の実施の形態で説明したとおり、本実施の形態では、物体12の振動周波数fsigを精度良く求めることができる。その結果、本実施の形態では、物体の位置の最大値と最小値との差を振動振幅とする従来の方法に比べて、物体12の振動振幅を精度良く求めることができる。
【0087】
[第7の実施の形態]
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。図29は本発明の第7の実施の形態に係る振動振幅計測装置の振動最大速度算出部8bの構成を示すブロック図である。本実施の形態の振動最大速度算出部8bは、信号抽出部15の計測結果等を記憶する記憶部823と、信号抽出部15の計測結果の分布の標準偏差値を算出する標準偏差値算出部824と、信号抽出部15の計測結果の片振幅を算出する振幅算出部825と、信号抽出部15の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出部826と、片振幅から物体12の振動の最大速度を算出する最大速度算出部827とから構成される。
【0088】
図30は本実施の形態の振動最大速度算出部8bの動作を示すフローチャートである。第6の実施の形態と同様に、記憶部823は、時系列に入力される信号抽出部15の計測結果を記憶する。
標準偏差値算出部824は、記憶部823に格納された、信号抽出部15の計測結果の分布の標準偏差値を算出する(図30ステップS70)。標準偏差値算出部824が算出した標準偏差値は、記憶部823に格納される。
【0089】
振幅算出部825は、標準偏差値を√2(≒1.414)倍した値を信号抽出部15の計測結果の片振幅ΔNとして算出する(図30ステップS71)。
平均値算出部826は、記憶部823に格納された計測結果の分布の平均値を算出する(図30ステップS72)。平均値算出部826が算出した周期の平均値は、記憶部823に格納される。
【0090】
最後に、最大速度算出部827は、平均値算出部826が算出した周期の平均値T0[samplings]と振幅算出部825が算出した片振幅ΔN[samplings]とから式(10)により物体12の振動の最大速度Vmaxを算出する(図30ステップS73)。
振動振幅計測装置の他の構成は、第6の実施の形態で説明したとおりである。こうして、本実施の形態においても、第6の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0091】
[第8の実施の形態]
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。図31は本発明の第8の実施の形態に係る振動振幅計測装置の振動最大速度算出部8bの構成を示すブロック図である。本実施の形態の振動最大速度算出部8bは、信号抽出部15の計測結果等を記憶する記憶部828と、信号抽出部15の計測結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出部829と、信号抽出部15の計測結果の片振幅を算出する振幅算出部830と、信号抽出部15の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出部831と、片振幅から物体12の振動の最大速度を算出する最大速度算出部832とから構成される。
【0092】
図32は本実施の形態の振動最大速度算出部8bの動作を示すフローチャートである。第6の実施の形態と同様に、記憶部828は、時系列に入力される信号抽出部15の計測結果を記憶する。
四分位点算出部829は、記憶部828に格納された、信号抽出部15の計測結果の分布の四分位点を算出する(図32ステップS80)。
【0093】
振幅算出部830は、算出された四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と第2四分位点(中央値)との差を√2(≒1.414)倍した値を信号抽出部15の計測結果の片振幅ΔNとして算出する(図32ステップS81)。
平均値算出部831は、記憶部828に格納された計測結果の分布の平均値を算出する(図32ステップS82)。
【0094】
最後に、最大速度算出部832は、平均値算出部831が算出した周期の平均値T0[samplings]と振幅算出部830が算出した片振幅ΔN[samplings]とから式(10)により物体12の振動の最大速度Vmaxを算出する(図32ステップS83)。
振動振幅計測装置の他の構成は、第6の実施の形態で説明したとおりである。本実施の形態では、第3の実施の形態と同様の理由により、第6、第7の実施の形態に比べて片振幅ΔNの誤差を更に低減することができ、その結果として物体12の振動振幅の誤差を低減することができる。
【0095】
[第9の実施の形態]
次に、本発明の第9の実施の形態について説明する。図33は本発明の第9の実施の形態に係る振動振幅計測装置の振動最大速度算出部8bの構成を示すブロック図である。本実施の形態の振動最大速度算出部8bは、信号抽出部15の計測結果等を記憶する記憶部833と、信号抽出部15の計測結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出部834と、信号抽出部15の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出部835と、信号抽出部15の計測結果の片振幅を算出する振幅算出部836と、片振幅から物体12の振動の最大速度を算出する最大速度算出部837とから構成される。
【0096】
本実施の形態は、第8の実施の形態において第2四分位点(中央値)の代わりに、平均値を用いるものである。
図34は本実施の形態の振動最大速度算出部8bの動作を示すフローチャートである。第6の実施の形態と同様に、記憶部833は、時系列に入力される信号抽出部15の計測結果を記憶する。
四分位点算出部834は、記憶部833に格納された、信号抽出部15の計測結果の分布の四分位点を算出する(図34ステップS90)。
【0097】
平均値算出部835は、記憶部833に格納された、信号抽出部15の計測結果の分布の平均値を算出する(図34ステップS91)。平均値算出部835が算出した平均値は、記憶部833に格納される。
振幅算出部836は、算出された四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と平均値との差を√2倍した値を信号抽出部15の計測結果の片振幅ΔNとして算出する(図34ステップS92)。
【0098】
最後に、最大速度算出部837は、平均値算出部835が算出した周期の平均値T0[samplings]と振幅算出部836が算出した片振幅ΔN[samplings]とから式(10)により物体12の振動の最大速度Vmaxを算出する(図34ステップS93)。
振動振幅計測装置の他の構成は、第6の実施の形態で説明したとおりである。こうして、本実施の形態においても、第8の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
なお、第1〜第4の実施の形態、第6〜第9の実施の形態において、振動周波数算出部の構成は第1の実施の形態で説明した構成でもよいし、第5の実施の形態で説明した構成でもよいことは言うまでもない。
【0100】
また、第1〜第9の実施の形態において少なくとも計数部7と振動最大速度算出部8,8bと振動周波数算出部9,14と振動振幅算出部10,10a,10bと信号抽出部15とは、例えばCPU、メモリおよびインタフェースを備えたコンピュータとこれらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、メモリに格納されたプログラムに従って第1〜第9の実施の形態で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、レーザを用いて物体の振動振幅を計測する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1…半導体レーザ、2…フォトダイオード、3…レンズ、4…レーザドライバ、5…電流−電圧変換増幅部、6…フィルタ部、7…計数部、8,8b…振動最大速度算出部、9,14…振動周波数算出部、10,10a,10b…振動振幅算出部、11…表示部、12…物体、13…加速度計、15…信号抽出部、800,805,809,813,818,823,828…記憶部、801,815,819,826,831…平均値算出部、802,820…最頻値算出部、803,807,811,816,821,825,830…振幅算出部、804,808,812,817,822,827,832…最大速度算出部、806,824…標準偏差値算出部、810,814,829…四分位点算出部、900…記憶部、901…2値化部、902…周期測定部、903…度数分布作成部、904…基準周期算出部、905…カウンタ、906…補正部、907…周波数算出部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象にレーザ光を放射する半導体レーザと、
発振波長が連続的に単調増加する第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する第2の発振期間とが交互に存在するように前記半導体レーザを動作させる発振波長変調手段と、
前記半導体レーザから放射されたレーザ光と前記測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手段と、
この検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手段と、
前記計数手段の計数結果に基づいて前記測定対象の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出手段と、
前記計数手段の計数結果に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手段と、
前記振動最大速度算出手段が算出した振動最大速度と前記振動周波数算出手段が算出した振動周波数とから前記測定対象の振動振幅を算出する振動振幅算出手段とを備えることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項2】
請求項1記載の振動振幅計測装置において、
前記振動最大速度算出手段は、
前記計数手段の計数結果の分布の平均値または中央値を算出する平均値または中央値算出手段と、
前記計数手段の計数結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出手段と、
前記平均値または中央値と前記最頻値との差を前記計数手段の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、
この振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項3】
請求項1記載の振動振幅計測装置において、
前記振動最大速度算出手段は、
前記計数手段の計数結果の分布の標準偏差値を算出する標準偏差値算出手段と、
前記標準偏差値を√2倍した値を前記計数手段の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、
この振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項4】
請求項1記載の振動振幅計測装置において、
前記振動最大速度算出手段は、
前記計数手段の計数結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手段と、
前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と第2四分位点との差を√2倍した値を前記計数手段の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、
この振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項5】
請求項1記載の振動振幅計測装置において、
前記振動最大速度算出手段は、
前記計数手段の計数結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手段と、
前記計数手段の計数結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、
前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と前記平均値との差を√2倍した値を前記計数手段の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、
この振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項6】
測定対象にレーザ光を放射する半導体レーザと、
発振波長が連続的に単調増加する第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する第2の発振期間とが交互に存在するように前記半導体レーザを動作させる発振波長変調手段と、
前記半導体レーザから放射されたレーザ光と前記測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手段と、
この検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手段と、
前記検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の周期を干渉波形が入力される度に計測する信号抽出手段と、
この信号抽出手段の計測結果に基づいて前記測定対象の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出手段と、
前記計数手段の計数結果に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手段と、
前記振動最大速度算出手段が算出した振動最大速度と前記振動周波数算出手段が算出した振動周波数とから前記測定対象の振動振幅を算出する振動振幅算出手段とを備えることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項7】
請求項6記載の振動振幅計測装置において、
前記振動最大速度算出手段は、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出手段と、
前記平均値と前記最頻値との差を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、
前記平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項8】
請求項6記載の振動振幅計測装置において、
前記振動最大速度算出手段は、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の中央値を算出する中央値算出手段と、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出手段と、
前記中央値と前記最頻値との差を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、
前記平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項9】
請求項6記載の振動振幅計測装置において、
前記振動最大速度算出手段は、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の標準偏差値を算出する標準偏差値算出手段と、
前記標準偏差値を√2倍した値を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、
この平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項10】
請求項6記載の振動振幅計測装置において、
前記振動最大速度算出手段は、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手段と、
前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と第2四分位点との差を√2倍した値を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、
この平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項11】
請求項6記載の振動振幅計測装置において、
前記振動最大速度算出手段は、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手段と、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、
前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と前記平均値との差を√2倍した値を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、
前記平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の振動振幅計測装置において、
前記振動周波数算出手段は、
時間的に隣接する前記第1、第2の発振期間の計数結果の大小を比較して、これらの計数結果を2値化する2値化手段と、
この2値化手段から出力された2値化出力の周期を測定する2値化出力周期測定手段と、
この2値化出力周期測定手段の測定結果から一定時間における2値化出力の周期の度数分布を作成する2値化出力周期度数分布作成手段と、
前記2値化出力の周期の度数分布から前記2値化出力の周期の分布の代表値である基準周期を算出する基準周期算出手段と、
前記2値化出力周期度数分布作成手段が度数分布作成の対象とする期間と同じ一定時間の期間において前記2値化出力のパルスの数を数える2値化出力計数手段と、
前記2値化出力の周期の度数分布から、前記基準周期の第1の所定数倍以下である階級の度数の総和Nsと前記基準周期の第2の所定数倍以上である階級の度数の総和Nwとを求め、これらの度数NsとNwに基づいて前記2値化出力計数手段の計数結果を補正する補正手段と、
この補正手段で補正された計数結果と前記一定時間に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する周波数算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の振動振幅計測装置において、
前記振動周波数算出手段の代わりに、
前記測定対象の加速度を計測する加速度計と、
この加速度計が計測した加速度から前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手段とを備えることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項14】
発振波長が連続的に単調増加する第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する第2の発振期間とが交互に存在するように半導体レーザを動作させる発振手順と、
前記半導体レーザから放射されたレーザ光と測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手順と、
この検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手順と、
前記計数手順の計数結果に基づいて前記測定対象の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出手順と、
前記計数手順の計数結果に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手順と、
前記振動最大速度算出手順で算出した振動最大速度と前記振動周波数算出手順で算出した振動周波数とから前記測定対象の振動振幅を算出する振動振幅算出手順とを備えることを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項15】
請求項14記載の振動振幅計測方法において、
前記振動最大速度算出手順は、
前記計数手順の計数結果の分布の平均値または中央値を算出する平均値または中央値算出手順と、
前記計数手順の計数結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出手順と、
前記平均値または中央値と前記最頻値との差を前記計数手順の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手順と、
この振幅算出手順で算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項16】
請求項14記載の振動振幅計測方法において、
前記振動最大速度算出手順は、
前記計数手順の計数結果の分布の標準偏差値を算出する標準偏差値算出手順と、
前記標準偏差値を√2倍した値を前記計数手順の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手順と、
この振幅算出手順で算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項17】
請求項14記載の振動振幅計測方法において、
前記振動最大速度算出手順は、
前記計数手順の計数結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手順と、
前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と第2四分位点との差を√2倍した値を前記計数手順の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手順と、
この振幅算出手順で算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項18】
請求項14記載の振動振幅計測方法において、
前記振動最大速度算出手順は、
前記計数手順の計数結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手順と、
前記計数手順の計数結果の分布の平均値を算出する平均値算出手順と、
前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と前記平均値との差を√2倍した値を前記計数手順の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手順と、
この振幅算出手順で算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項19】
発振波長が連続的に単調増加する第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する第2の発振期間とが交互に存在するように半導体レーザを動作させる発振手順と、
前記半導体レーザから放射されたレーザ光と測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手順と、
この検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手順と、
前記検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の周期を干渉波形が入力される度に計測する信号抽出手順と、
この信号抽出手順の計測結果に基づいて前記測定対象の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出手順と、
前記計数手順の計数結果に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手順と、
前記振動最大速度算出手順で算出した振動最大速度と前記振動周波数算出手順で算出した振動周波数とから前記測定対象の振動振幅を算出する振動振幅算出手順とを備えることを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項20】
請求項19記載の振動振幅計測方法において、
前記振動最大速度算出手順は、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手順と、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出手順と、
前記平均値と前記最頻値との差を前記信号抽出手順の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手順と、
前記平均値算出手順で算出した平均値と前記振幅算出手順で算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項21】
請求項19記載の振動振幅計測方法において、
前記振動最大速度算出手順は、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の中央値を算出する中央値算出手順と、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手順と、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出手順と、
前記中央値と前記最頻値との差を前記信号抽出手順の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手順と、
前記平均値算出手順で算出した平均値と前記振幅算出手順で算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項22】
請求項19記載の振動振幅計測方法において、
前記振動最大速度算出手順は、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の標準偏差値を算出する標準偏差値算出手順と、
前記標準偏差値を√2倍した値を前記信号抽出手順の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手順と、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手順と、
この平均値算出手順で算出した平均値と前記振幅算出手順で算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項23】
請求項19記載の振動振幅計測方法において、
前記振動最大速度算出手順は、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手順と、
前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と第2四分位点との差を√2倍した値を前記信号抽出手順の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手順と、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手順と、
この平均値算出手順で算出した平均値と前記振幅算出手順で算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項24】
請求項19記載の振動振幅計測方法において、
前記振動最大速度算出手順は、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手順と、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手順と、
前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と前記平均値との差を√2倍した値を前記信号抽出手順の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手順と、
前記平均値算出手順で算出した平均値と前記振幅算出手順で算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項25】
請求項14乃至24のいずれか1項に記載の振動振幅計測方法において、
前記振動周波数算出手順は、
時間的に隣接する前記第1、第2の発振期間の計数結果の大小を比較して、これらの計数結果を2値化する2値化手順と、
この2値化手順で得られた2値化出力の周期を測定する2値化出力周期測定手順と、
この2値化出力周期測定手順の測定結果から一定時間における2値化出力の周期の度数分布を作成する2値化出力周期度数分布作成手順と、
前記2値化出力の周期の度数分布から前記2値化出力の周期の分布の代表値である基準周期を算出する基準周期算出手順と、
前記2値化出力周期度数分布作成手順が度数分布作成の対象とする期間と同じ一定時間の期間において前記2値化出力のパルスの数を数える2値化出力計数手順と、
前記2値化出力の周期の度数分布から、前記基準周期の第1の所定数倍以下である階級の度数の総和Nsと前記基準周期の第2の所定数倍以上である階級の度数の総和Nwとを求め、これらの度数NsとNwに基づいて前記2値化出力計数手順の計数結果を補正する補正手順と、
この補正手順で補正された計数結果と前記一定時間に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する周波数算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項26】
請求項14乃至25のいずれか1項に記載の振動振幅計測方法において、
前記振動周波数算出手順の代わりに、
前記測定対象の加速度を計測する加速度計測手順と、
この加速度計測手順で計測した加速度から前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手順とを備えることを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項1】
測定対象にレーザ光を放射する半導体レーザと、
発振波長が連続的に単調増加する第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する第2の発振期間とが交互に存在するように前記半導体レーザを動作させる発振波長変調手段と、
前記半導体レーザから放射されたレーザ光と前記測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手段と、
この検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手段と、
前記計数手段の計数結果に基づいて前記測定対象の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出手段と、
前記計数手段の計数結果に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手段と、
前記振動最大速度算出手段が算出した振動最大速度と前記振動周波数算出手段が算出した振動周波数とから前記測定対象の振動振幅を算出する振動振幅算出手段とを備えることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項2】
請求項1記載の振動振幅計測装置において、
前記振動最大速度算出手段は、
前記計数手段の計数結果の分布の平均値または中央値を算出する平均値または中央値算出手段と、
前記計数手段の計数結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出手段と、
前記平均値または中央値と前記最頻値との差を前記計数手段の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、
この振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項3】
請求項1記載の振動振幅計測装置において、
前記振動最大速度算出手段は、
前記計数手段の計数結果の分布の標準偏差値を算出する標準偏差値算出手段と、
前記標準偏差値を√2倍した値を前記計数手段の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、
この振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項4】
請求項1記載の振動振幅計測装置において、
前記振動最大速度算出手段は、
前記計数手段の計数結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手段と、
前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と第2四分位点との差を√2倍した値を前記計数手段の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、
この振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項5】
請求項1記載の振動振幅計測装置において、
前記振動最大速度算出手段は、
前記計数手段の計数結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手段と、
前記計数手段の計数結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、
前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と前記平均値との差を√2倍した値を前記計数手段の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、
この振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項6】
測定対象にレーザ光を放射する半導体レーザと、
発振波長が連続的に単調増加する第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する第2の発振期間とが交互に存在するように前記半導体レーザを動作させる発振波長変調手段と、
前記半導体レーザから放射されたレーザ光と前記測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手段と、
この検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手段と、
前記検出手段の出力信号に含まれる前記干渉波形の周期を干渉波形が入力される度に計測する信号抽出手段と、
この信号抽出手段の計測結果に基づいて前記測定対象の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出手段と、
前記計数手段の計数結果に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手段と、
前記振動最大速度算出手段が算出した振動最大速度と前記振動周波数算出手段が算出した振動周波数とから前記測定対象の振動振幅を算出する振動振幅算出手段とを備えることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項7】
請求項6記載の振動振幅計測装置において、
前記振動最大速度算出手段は、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出手段と、
前記平均値と前記最頻値との差を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、
前記平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項8】
請求項6記載の振動振幅計測装置において、
前記振動最大速度算出手段は、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の中央値を算出する中央値算出手段と、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出手段と、
前記中央値と前記最頻値との差を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、
前記平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項9】
請求項6記載の振動振幅計測装置において、
前記振動最大速度算出手段は、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の標準偏差値を算出する標準偏差値算出手段と、
前記標準偏差値を√2倍した値を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、
この平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項10】
請求項6記載の振動振幅計測装置において、
前記振動最大速度算出手段は、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手段と、
前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と第2四分位点との差を√2倍した値を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、
この平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項11】
請求項6記載の振動振幅計測装置において、
前記振動最大速度算出手段は、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手段と、
前記信号抽出手段の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手段と、
前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と前記平均値との差を√2倍した値を前記信号抽出手段の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手段と、
前記平均値算出手段が算出した平均値と前記振幅算出手段が算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の振動振幅計測装置において、
前記振動周波数算出手段は、
時間的に隣接する前記第1、第2の発振期間の計数結果の大小を比較して、これらの計数結果を2値化する2値化手段と、
この2値化手段から出力された2値化出力の周期を測定する2値化出力周期測定手段と、
この2値化出力周期測定手段の測定結果から一定時間における2値化出力の周期の度数分布を作成する2値化出力周期度数分布作成手段と、
前記2値化出力の周期の度数分布から前記2値化出力の周期の分布の代表値である基準周期を算出する基準周期算出手段と、
前記2値化出力周期度数分布作成手段が度数分布作成の対象とする期間と同じ一定時間の期間において前記2値化出力のパルスの数を数える2値化出力計数手段と、
前記2値化出力の周期の度数分布から、前記基準周期の第1の所定数倍以下である階級の度数の総和Nsと前記基準周期の第2の所定数倍以上である階級の度数の総和Nwとを求め、これらの度数NsとNwに基づいて前記2値化出力計数手段の計数結果を補正する補正手段と、
この補正手段で補正された計数結果と前記一定時間に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する周波数算出手段とから構成されることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の振動振幅計測装置において、
前記振動周波数算出手段の代わりに、
前記測定対象の加速度を計測する加速度計と、
この加速度計が計測した加速度から前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手段とを備えることを特徴とする振動振幅計測装置。
【請求項14】
発振波長が連続的に単調増加する第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する第2の発振期間とが交互に存在するように半導体レーザを動作させる発振手順と、
前記半導体レーザから放射されたレーザ光と測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手順と、
この検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手順と、
前記計数手順の計数結果に基づいて前記測定対象の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出手順と、
前記計数手順の計数結果に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手順と、
前記振動最大速度算出手順で算出した振動最大速度と前記振動周波数算出手順で算出した振動周波数とから前記測定対象の振動振幅を算出する振動振幅算出手順とを備えることを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項15】
請求項14記載の振動振幅計測方法において、
前記振動最大速度算出手順は、
前記計数手順の計数結果の分布の平均値または中央値を算出する平均値または中央値算出手順と、
前記計数手順の計数結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出手順と、
前記平均値または中央値と前記最頻値との差を前記計数手順の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手順と、
この振幅算出手順で算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項16】
請求項14記載の振動振幅計測方法において、
前記振動最大速度算出手順は、
前記計数手順の計数結果の分布の標準偏差値を算出する標準偏差値算出手順と、
前記標準偏差値を√2倍した値を前記計数手順の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手順と、
この振幅算出手順で算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項17】
請求項14記載の振動振幅計測方法において、
前記振動最大速度算出手順は、
前記計数手順の計数結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手順と、
前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と第2四分位点との差を√2倍した値を前記計数手順の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手順と、
この振幅算出手順で算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項18】
請求項14記載の振動振幅計測方法において、
前記振動最大速度算出手順は、
前記計数手順の計数結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手順と、
前記計数手順の計数結果の分布の平均値を算出する平均値算出手順と、
前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と前記平均値との差を√2倍した値を前記計数手順の計数結果の片振幅として算出する振幅算出手順と、
この振幅算出手順で算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項19】
発振波長が連続的に単調増加する第1の発振期間と発振波長が連続的に単調減少する第2の発振期間とが交互に存在するように半導体レーザを動作させる発振手順と、
前記半導体レーザから放射されたレーザ光と測定対象からの戻り光との自己結合効果によって生じる干渉波形を含む電気信号を検出する検出手順と、
この検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の数を、前記第1の発振期間と前記第2の発振期間の各々について数える計数手順と、
前記検出手順で得られた出力信号に含まれる前記干渉波形の周期を干渉波形が入力される度に計測する信号抽出手順と、
この信号抽出手順の計測結果に基づいて前記測定対象の振動の最大速度を算出する振動最大速度算出手順と、
前記計数手順の計数結果に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手順と、
前記振動最大速度算出手順で算出した振動最大速度と前記振動周波数算出手順で算出した振動周波数とから前記測定対象の振動振幅を算出する振動振幅算出手順とを備えることを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項20】
請求項19記載の振動振幅計測方法において、
前記振動最大速度算出手順は、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手順と、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出手順と、
前記平均値と前記最頻値との差を前記信号抽出手順の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手順と、
前記平均値算出手順で算出した平均値と前記振幅算出手順で算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項21】
請求項19記載の振動振幅計測方法において、
前記振動最大速度算出手順は、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の中央値を算出する中央値算出手順と、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手順と、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の最頻値を算出する最頻値算出手順と、
前記中央値と前記最頻値との差を前記信号抽出手順の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手順と、
前記平均値算出手順で算出した平均値と前記振幅算出手順で算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項22】
請求項19記載の振動振幅計測方法において、
前記振動最大速度算出手順は、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の標準偏差値を算出する標準偏差値算出手順と、
前記標準偏差値を√2倍した値を前記信号抽出手順の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手順と、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手順と、
この平均値算出手順で算出した平均値と前記振幅算出手順で算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項23】
請求項19記載の振動振幅計測方法において、
前記振動最大速度算出手順は、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手順と、
前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と第2四分位点との差を√2倍した値を前記信号抽出手順の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手順と、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手順と、
この平均値算出手順で算出した平均値と前記振幅算出手順で算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項24】
請求項19記載の振動振幅計測方法において、
前記振動最大速度算出手順は、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の四分位点を算出する四分位点算出手順と、
前記信号抽出手順の計測結果の分布の平均値を算出する平均値算出手順と、
前記四分位点のうち第1四分位点または第3四分位点と前記平均値との差を√2倍した値を前記信号抽出手順の計測結果の片振幅として算出する振幅算出手順と、
前記平均値算出手順で算出した平均値と前記振幅算出手順で算出した片振幅から前記測定対象の振動の最大速度を算出する最大速度算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項25】
請求項14乃至24のいずれか1項に記載の振動振幅計測方法において、
前記振動周波数算出手順は、
時間的に隣接する前記第1、第2の発振期間の計数結果の大小を比較して、これらの計数結果を2値化する2値化手順と、
この2値化手順で得られた2値化出力の周期を測定する2値化出力周期測定手順と、
この2値化出力周期測定手順の測定結果から一定時間における2値化出力の周期の度数分布を作成する2値化出力周期度数分布作成手順と、
前記2値化出力の周期の度数分布から前記2値化出力の周期の分布の代表値である基準周期を算出する基準周期算出手順と、
前記2値化出力周期度数分布作成手順が度数分布作成の対象とする期間と同じ一定時間の期間において前記2値化出力のパルスの数を数える2値化出力計数手順と、
前記2値化出力の周期の度数分布から、前記基準周期の第1の所定数倍以下である階級の度数の総和Nsと前記基準周期の第2の所定数倍以上である階級の度数の総和Nwとを求め、これらの度数NsとNwに基づいて前記2値化出力計数手順の計数結果を補正する補正手順と、
この補正手順で補正された計数結果と前記一定時間に基づいて前記測定対象の振動周波数を算出する周波数算出手順とを含むことを特徴とする振動振幅計測方法。
【請求項26】
請求項14乃至25のいずれか1項に記載の振動振幅計測方法において、
前記振動周波数算出手順の代わりに、
前記測定対象の加速度を計測する加速度計測手順と、
この加速度計測手順で計測した加速度から前記測定対象の振動周波数を算出する振動周波数算出手順とを備えることを特徴とする振動振幅計測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2011−117861(P2011−117861A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276168(P2009−276168)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
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