説明

携帯端末装置、移動経路記録方法、およびプログラム

【課題】膨大なバッテリ及び大容量のメモリを必要とせずに、旅行中などの移動経路を確実に記録することができる携帯端末装置、移動経路記録方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】全地球測位システムを用いて現在地の位置情報を取得する位置取得部と、携帯端末装置の移動を検知する移動センサと、位置情報の履歴を保存する保存部と、移動センサで移動が検知される場合にのみ、位置取得部に位置情報を取得させて新たに取得された位置情報を保存部に追記する記録部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置および移動経路記録方法に係り、特に例えば測位システムを用いて現在地の位置情報を取得するGPS(Global Positioning System)機能が搭載された携帯電話機等の携帯端末装置、携帯端末装置のGPS機能の起動/停止を電源制御する制御方法、およびユーザの移動経路を記録する移動経路記録方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機には、標準的な通話機能や電子メールの送受信機能などに加えて、被写体を撮影するためのカメラ機能や、ウェブサイトを閲覧するためのブラウザ機能や、テレビ番組を視聴するためのテレビ機能などが搭載されてきている。携帯電話機は、単にコミュニケーションを図るための手段にとどまらず、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、テレビなどの代わりとなる自分専用の多機能端末として幅広い年代に利用されてきている。このような状況の中で、携帯電話機のメーカの間では、新たな機能を提供することによって自社の携帯電話機に独自性を持たせることが競って行われている。
【0003】
近年、携帯電話機に新たに搭載されてきた機能として、歩数計やGPS機能などが挙げられる。例えば、特許文献1には、歩数計で計測された歩数に応じて、表示画面上に仮想的に移動経路を表示する技術について記載されている。普段から携帯される携帯電話機に歩数計が搭載されることによって、新たに歩数計を購入して持ち運ぶ手間をかけずに手軽に1日の歩数を計測することができ、運動に対する意欲を向上させることができる。また、携帯電話機にGPS機能が搭載されることによって、携帯電話機を携帯しているユーザの現在位置を取得することができ、防犯対策や、目的地までのナビゲーション装置として利用することができる。
【0004】
また、携帯電話機は旅行先にも携帯されることが多く、そのような性質を活かして、携帯電話機を使って旅行中の移動経路などを記録するルート記録機能も考案されてきている。特許文献2には、歩数計の計測値を使って歩行開始位置からの移動距離を算出し、その移動距離に基づいて現在位置を予測して地図上に表示する技術について記載されている。この特許文献2に記載された技術を適用し、予測された現在位置を、逐一、記録していくことによって、旅行から帰った後で行程を振り返ることができる。
【0005】
しかし、移動距離から現在位置を算出する方法では、予測された現在位置と実際の現在位置との誤差が大きくなってしまい、旅行中の移動経路を正確には把握することができないという問題がある。現在位置を正確に取得するには、携帯電話機に搭載された歩数計を利用するのではなく、GPS機能を利用することが好ましいと考えられる。しかし、GPS機能は消費電力も高く、ましてや常時起動されていれば、バッテリの少ない携帯端末においては、すぐにバッテリが無くなり、端末が使用出来なくなってしまう。そのため、電力を抑えるためにGPS機能の電源起動/停止を制御する必要がある。
【0006】
図1は、GPS機能を利用して移動経路を記録する処理の流れを示すフローチャート図である。
【0007】
ユーザが操作子を使ってルート記録機能を選択すると、携帯電話機のGPS機能が起動してユーザの現在位置の情報が取得され、GPS機能を停止後(図1のステップS1)、携帯電話機に備えられたメモリに現在位置の情報が記録される(図1のステップS2)。
【0008】
所定時間(例えば、30秒間など)が経過した後で(図1のステップS3)、再び、GPS機能を起動してユーザの現在位置の情報が取得され(図1のステップS1)、現在位置の情報がメモリに記録される(図1のステップS2)。
【0009】
このような処理が、ユーザが操作子を使ってルート記録機能の終了を指示するまで、所定時間ごとに繰り返される。
【0010】
ユーザが移動経路の表示を指示すると、表示画面上に、メモリに記録された位置情報が表わす地点を繋いだ移動経路が示された地図が表示される。ユーザは、表示画面上に表示された地図上の移動経路を確認することによって、旅行の行程を確実かつ容易に振り返ることができる。
【特許文献1】特開2000−227341号公報
【特許文献2】特開平10−170300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、図1に示す方法では、ルート記録機能の終了が指示されるまでの間、ユーザが食事中や就寝中であっても位置情報の記録が続けられるため、宿泊を伴う旅行中の全ての行程を記録しようとするとGPS機能が常時起動されているため、携帯端末のバッテリがすぐに無くなってしまう。また、情報が膨大な容量のメモリが必要となる。しかし、携帯電話機は急速に小型化が進んでおり、携帯電話機内に膨大なバッテリ、または十分な記録容量を有する大型のメモリを設置するスペースを用意することは困難であるという問題がある。
【0012】
上記事情に鑑み、膨大なバッテリ及び大容量のメモリを必要とせずに、旅行中などの移動経路を確実に記録することができる携帯端末装置、移動経路記録方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する携帯端末装置の第1の形態は、
この携帯端末装置の現在地の位置情報を取得する位置取得部と、
位置取得部の位置情報取得前後に電源起動/停止を制御する電源制御部と、
この携帯端末装置の移動を検知する移動センサと、
上記位置情報の履歴を保存する保存部と、
上記移動センサで移動が検知される場合にのみ、上記電源制御部が上記位置取得部を起動して位置情報を取得させて新たに取得された位置情報を上記保存部に追記する記録部と、
を備える。
【0014】
この携帯端末装置の第1の形態によると、携帯端末装置の移動が検知される場合にのみ、携帯端末装置の現在地の位置情報が取得されて、その取得された位置情報が保存部に追記される。ユーザが食事中や就寝中などで携帯端末装置の移動が検知されないときには、位置情報の取得や保存部への追記が行われないため、バッテリの消費も低減出来、大容量のメモリを必要とせずに、旅行中などの移動経路を確実に記録することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、携帯端末装置、移動経路記録方法、およびプログラムによると、バッテリの不要な電力消費を削減でき、大容量のメモリを必要とせずに、旅行中などの移動経路を確実に記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、実施形態を説明する。
【0017】
図2は、上述した携帯端末装置の一実施形態である携帯電話機の外観斜視図であり、図3はその携帯電話機のハードウェア構成図である。
【0018】
この携帯電話機10には、電源制御機能を使用してGPS機能を制御し、ユーザの現在位置を取得し、現在位置を示す位置情報の履歴を記録して移動経路を取得するルート記録機能(後述する)が搭載されている。
【0019】
図2に示すように、携帯電話機10は、互いに開閉する上部筐体11と下部筐体12とからなり、上部筐体11には画像表示のためのLCD111、内部に小型スピーカが配備され耳にあてがわれて音声を聞き取るための送話口112が設けられている。
【0020】
下部筐体12には、ユーザによって操作され、この携帯電話機10を使って電話を掛けたり、電子メールを送信したり、各種設定を行ったりするための各種の操作キー121、ユーザの声をピックアップするマイクロホンが内蔵されそのマイクロホンに声を導くための受話口122、スピーカーが内蔵され耳にあてがわれなくても聞き取れる程度の音声を出力する放音口123、記録メディアが装填される装填口124が設けられている。
【0021】
また、図3には、CPU101、RAM102、マイクデバイス103、スピーカデバイス104、カメラデバイス105、近距離無線デバイス106、メディアコントローラ107、ROM108、不揮発メモリ109、ディスプレイデバイス110、キーデバイス113、時計114、遠距離通信デバイス115、アンテナ116、測位部117、および歩数計118、電源制御部119が示されており、アンテナ116を除き、これらの間はバス100を介して互いに接続されている。
【0022】
CPU101は、コンピュータの一例を示し、各種プログラムを実行する機能を有し、この携帯端末10の全体を制御している。
【0023】
ROM108には、CPU101で実行される各種プログラムやそれら各種プログラムの実行に必要な各種定数が記憶されており、CPU101は、ROM108に記憶されたプログラムをRAM102を作業領域として使いながら実行する。
【0024】
不揮発メモリ109には、アドレス帳や受信した電子メールなど、書き換えられることがありうる各種情報が記録されている。また、不揮発メモリ109には、後述するルート記録機能の実行中にユーザの現在位置を示す位置情報の履歴も記録される。CPU101と不揮発メモリ109とを合わせたものは、上述した携帯端末装置における保存部の一例に相当する。
【0025】
マイクデバイス103は、ユーザの声をピックアップするマイクロホンおよびそのマイクロホンでピックアップされた声を処理する機能ブロックである。
【0026】
スピーカデバイス104は、ユーザに向けて音声を出力するスピーカ、およびそのスピーカを駆動する音声信号を生成する機能ブロックである。
【0027】
近距離無線デバイス106は、近距離にある外部装置に画像や電話番号などを基地局を介さずに送信するためのものであり、本実施形態においては、赤外線通信が採用されている。
【0028】
カメラデバイス105は、写真撮影による画像データの収集を司るブロックであり、ディスプレイデバイス110は、LCD111(図2参照)への画像表示を司るブロックであり、キーデバイス113は、ユーザによる各種操作キー121(図2参照)のキー操作を検出するブロックであり、時計114は、現在時刻を取得するためのブロックである。ディスプレイデバイス110およびLCD111を合わせたものは、上述した携帯端末装置における地図表示部の一例に相当する。
【0029】
メディアコントローラ107は、図2に示す装填口124に装填された記録メディア200からデータを読み出したり、カメラデバイス105で生成された画像データ等を記録メディア200に書き込むためのものである。
【0030】
遠距離通信デバイス115は、アンテナ116を使った音声データや電子メールの送受信等を担っている。遠距離通信デバイス115では、基地局を介してデータの送受信が行われる。
【0031】
電源制御部119は各機能の電源制御を行い、携帯電話機10の電力消費を管理し、低減する制御を行うブロックである。この電源制御は、上述した携帯端末装置における位置取得部の電源制御の一例に相当する。電源制御部119は、例えば測位部117に電源を供給することによって測位部117を起動し、電源供給を停止することによって測位部117を停止させる。
【0032】
測位部117は、GPSシステムを利用して携帯電話機10の現在位置を示す位置情報を取得するブロックであり、歩数計118は、携帯電話機10の移動加速度を検出することによって、携帯電話機10を持っているユーザの歩数を計測するブロックである。測位部117は、上述した携帯端末装置における位置取得部の一例にあたり、歩数計118は、上述した携帯端末装置における移動センサの一例に相当する。
【0033】
携帯電話機10は、外観およびハードウェア上は以上のように構成されている。
【0034】
続いて、電源制御を行ったルート記録機能について詳しく説明する。
【0035】
図4は、電源制御を行ったルート記録機能に必要な要素を示す図であり、図5は、電源制御を行ったルート記録機能で実行される一連の処理の流れを示すフローチャート図である。
【0036】
図4に示すように、CPU101には、歩数計118の計測結果に基づいて移動距離を算出部110Aと、測位部117を電源制御部119にて起動/停止の制御を行い、取得された位置情報の不揮発メモリ109への記録を制御する記録制御部101Bとが備えられている。記録制御部101Bは、上述した携帯端末装置における記録部の一例に相当する。
【0037】
以下では、図5に従ってルート記録機能の一連の処理の流れを説明することによって、図4に示す各種要素についても合わせて説明する。
【0038】
ユーザが図2に示す操作子121を使ってルート記録機能の実行を指示すると、指示内容がCPU101に伝えられ、ルート記録機能が開始される。まず、電源制御部119が測位部117を起動し、測位部117においてGPSシステムを利用して携帯電話機10の現在位置を示す位置情報が取得される。取得された位置情報は、移動開始位置の位置情報として不揮発メモリ109に記録され、歩数計118における計測値の初期値(「0」歩)も不揮発メモリ109に記録される。
【0039】
この携帯電話機10では、歩数計118において携帯電話機10の移動加速度が検出され、加速度に基づいてユーザの歩数が計測されている。ユーザが携帯電話機10を携帯して移動すると、歩数計118においてユーザが移動した歩数が計測され、計測結果がCPU101に向けて出力される(図5のステップS11)。ユーザの歩数が計測されて移動が検知されるステップS11は、上述した移動経路記録方法における移動検知過程の一例に相当する。
【0040】
ここで、上述した携帯端末装置に対し、上記移動センサは、この携帯端末装置の加速度を検出して、携帯端末装置を携帯しているユーザの歩数を計測する歩数計であるという応用形態は好ましい。
【0041】
この携帯端末装置によると、従来から広く利用されている歩数計を流用してユーザの移動を容易かつ確実に検出することができる。歩数計118は、上述した携帯端末装置における歩数計の一例にも相当する。
【0042】
また、図4に示すCPU101の算出部101Aでは、歩数計118から歩数の計測結果が取得されると、不揮発メモリ109に記録されている前回の計測結果が取得され、今回の計測結果と前回の計測結果(この例では、初期値「0」歩)とが比較されて移動距離が算出される(図5のステップS12)。本実施形態では、今回の計測結果と前回の計測結果との差分が移動距離として算出され、移動距離が所定歩数以上に達するまで(図5のステップS13:No)、歩数計の計測結果の取得(図5のステップS11)と移動距離の算出(図5のステップS12)が続けられる。
【0043】
移動距離が所定歩数以上に達すると(図5のステップS13:Yes)、記録制御部101Bによって、不揮発メモリ109に記録されている歩数計118の計測結果が新たに取得された今回の計測結果に上書きされる。さらに、記録制御部101Bからの指示に従って、電源制御部119がCPU101を介して測位部117を起動し、測位部117において携帯電話機10の現在位置を示す位置情報が取得され、電源制御部119が測位部117を停止する(図5のステップS14)。このステップS14の処理で、測位部117の位置情報取得前後に測位部117の起動/停止が実行される。取得された位置情報は不揮発メモリ109に追記される(図5のステップS15)。位置情報が取得されるステップS14は、上述した移動経路表示方法における位置取得部の一例にあたり、位置情報が追記されるステップS15は、上述した移動経路表示方法における記録過程の一例に相当する。
【0044】
図6は、不揮発メモリ109に記録される情報を示す概念図である。
【0045】
図6(A)に示すように、不揮発メモリ109には、電源制御部119にて制御された、測位部117で取得された位置情報の履歴が、取得された順に追記されていくとともに、図6(B)に示すように、歩数計118で計測された最新の計測結果が上書きされていく。このように、歩数計118から計測値が出力された場合にのみ、電源制御部119が測位部117を起動し、位置情報が取得されることによって、ユーザが移動していない間は位置情報の取得や記録を停止することができ、処理の負荷や電力消費を低減し、メモリの増大を抑えてユーザの移動経路を確実に保存することができる。
【0046】
また、ユーザによって移動経路の表示が指示されている場合は、不揮発メモリ109に記録された位置情報の履歴がディスプレイデバイス110に伝えられ、LCD111上に、取得された位置情報が示す地点が地図上にプロットされて表示される(図5のステップS16)。位置情報が示す地点が記された地図が表示されるステップS16は、上述した移動経路表示方法における地図表示過程の一例に相当するとともに、上述した携帯端末装置における地図変更部の一例に相当する。
【0047】
以上のようにして、歩数計において移動が検知されるごとに(図5のステップS11)、前回、位置情報が取得されてから現時点までの移動距離(歩数計118で計測された歩数の差分)が算出され(図5のステップS12)、移動距離が所定距離以上である場合にのみ(図5のステップS13:Yes)、GPS機能を起動して現在地の位置情報が取得され(図5のステップS14)、取得された位置情報が不揮発メモリ109に追記される(図5のステップS15)。このような一連の処理が、ユーザによって移動経路の記録終了が指示されるまで繰り返し実行される。
【0048】
上記記録部が、移動センサで移動が検知されたことを受けて位置取得部を起動し、現在の位置情報を取得させるとともに取得後は停止し、取得した情報と保存部に保存された最新の位置情報を参照する。本制御を行うことにより低消費電力化が図れバッテリの消費を低減させることが出来る。また、最新の位置情報が表わす地点から現在までの移動距離を算出する距離算出部を有し、距離算出部で算出された距離が所定距離以上である場合にのみ、位置取得部に今回取得させた現在の位置情報を保存部に追記するものが好ましい。
【0049】
距離算出部で算出された距離が所定距離以上である場合にのみ、取得された新たな位置情報が保存部に追記されることによって、メモリの容量をさらに確実に抑えることができる。図4に示す算出部110Aは、上述した携帯端末装置における距離算出部の一例に相当する。
【0050】
さらに、ユーザが移動経路の表示を指示すると、不揮発メモリ109に記録された位置情報の履歴がディスプレイデバイス110に伝えられる。ディスプレイデバイス110では、位置情報が示す地点が取得された順に繋げられて移動経路が取得され、LCD111上に、移動経路が示された地図が表示される。
【0051】
図7は、LCD111上に表示された地図の一例を示す図である。
【0052】
図7に示すように、LCD111には地図情報を用いた地図300が表示されており、地図300上には、取得され不揮発メモリ109に記録された位置情報が示す地点が取得された順に繋げられた移動経路Rが記されている。ユーザは、この地図300上の移動経路Rを確認することによって、旅行中の行程などを容易に確認することができる。
【0053】
このように、本実施形態の携帯電話機10によると、歩数計118によってユーザの移動が検知された場合にのみ、GPSシステムを起動し、使った現在位置の取得が実行されて位置情報が記録されるため、ユーザが就寝中や食事中などで移動していない間はGPSシステムは停止し、位置情報の取得や、位置情報の記録が中止される。このため、消費電力を抑えて、かつ処理の負荷やメモリの増大を抑えて、確実に移動経路を記録しておくことができる。
【0054】
また、本実施形態では、測位部117において取得された位置情報を地図上に移動経路を記すために使用したが、この位置情報はメモリに保存しておいてもよく、外部装置に送信したり、携帯電話機10に搭載されている他の機能に利用してもよい。
【0055】
以上で、第1実施形態の説明を終了し、第2実施形態について説明する。携帯端末装置の第2実施形態は、第1実施形態とほぼ同じ構成を有しているが、歩数計および測位部における処理の実行タイミングが第1実施形態とは異なる。このため、図3および図4を第2実施形態でも流用し、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0056】
本実施形態の携帯電話機は、図4に示す第1実施形態の携帯電話機と同様の構成を有しているが、記録制御部101Bによって制御される歩数計118、測位部117、および算出部101Aにおける処理タイミングが第1実施形態とは異なっている。
【0057】
図8は、第2実施形態の携帯電話機において、ルート記録機能で実行される一連の処理の流れを示すフローチャート図である。
【0058】
ユーザからの指示によってルート記録機能が開始されると、所定時間(ここでは、30秒)の間、歩数計118からの計測結果の出力が待機される(図8のステップS21)。
【0059】
歩数計118からの計測結果の出力がない場合(図8のステップS22:No)、ユーザは移動していないことを示しており、再び、一定時間の間、歩数計118からの計測結果の出力が待機される(図8のステップS21)。以上のような処理が、歩数計118から計測結果が出力されるまで繰り返し続けられる(図8のステップS22:Yes)。
【0060】
歩数計118から計測結果が出力されると(図8のステップS22:Yes)、電源制御部119が測位部117を起動し、携帯電話機10の現在位置を示す位置情報が取得され(図8のステップS23)、取得された位置情報が移動開始位置として不揮発メモリ109に記録される(図8のステップS24)。位置情報が記録されると、記録された位置情報の履歴が表わす移動経路が示された地図がLCD111上に表示される(図8のステップS25)。
【0061】
第2実施形態の携帯電話機は、一定周期時間ごとに歩数計118による移動を検知し、ここで移動が検知された場合にのみ、測位部117の起動、位置情報の取得、測位部117の停止、位置情報の保存、および位置情報の表示の各処理を実施することとし、一定周期時間内に歩数計118による移動が検知されなかった場合は、上記処理を実施しない。このように、ユーザが移動した場合にのみ現在地の位置情報を取得することによって、GPSへのアクセス頻度を軽減することができ、携帯電話機10の消費電力を抑えることができる。また、取得される位置情報の情報量が減少することによって、メモリの増大を抑えることもできる。
【0062】
以上で、第2実施形態の説明を終了し、第3実施形態について説明する。携帯端末装置の第3実施形態についても、図3および図4を流用し、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0063】
図9は、第3実施形態の携帯電話機において、ルート記録機能で実行される一連の処理の流れを示すフローチャート図である。
【0064】
ユーザからの指示によってルート記録機能が開始されると、電源制御部119が測位部117を制御して携帯電話機10の現在位置を示す位置情報を起動し、情報が取得され(図9のステップS31)、取得された位置情報が移動開始位置として不揮発メモリ109に記録される。
【0065】
また、測位部117において位置情報が取得されると、所定時間(ここでは、30秒)の間、歩数計118からの計測結果の出力が待機される(図9のステップS32)。
【0066】
歩数計118からの計測結果の出力がない場合(図9のステップS33:No)、ユーザは移動していないことを示しており、再び測位部117において位置情報が取得され(図9のステップS31)、一定時間の間、歩数計118からの計測結果の出力が待機される(図9のステップS32)。以上のような処理が、歩数計118から計測結果が出力されるまで繰り返し続けられる(図9のステップS33:Yes)。
【0067】
歩数計118から計測結果が出力されると(図9のステップS33:Yes)、測位部117において取得された最新の位置情報が不揮発メモリ109に記録され(図9のステップS34)、記録された位置情報の履歴が表わす移動経路が示された地図がLCD111上に表示される(図9のステップS35)。
【0068】
本実施形態では、所定タイミング毎にGPS機能を起動し、現在地の位置情報が取得されるため、消費電力という点からいうと第1実施形態や第2実施形態よりも劣るが、ユーザが移動した場合にのみ位置情報が保存されるため、メモリの増大を抑えて、移動経路を確実に記録しておくことができる。
【0069】
ここで、上記では、上述した携帯端末装置の一例として携帯電話機が示されているが、この携帯端末装置は、PDA(Personal Digital Assistant)や、携帯型のゲーム機などであってもよい。
【0070】
また、上記では、上述した移動センサの一例として歩数計が示されているが、この移動センサは、携帯端末装置の移動加速度を検出する加速度センサであってもよい。移動センサとして加速度センサを適用する場合、加速度センサで計測された加速度を2回積分することによって移動距離を算出することができる。また、近年では、上下左右各方向における加速度を計測することができる3次元の加速度センサが用いられてきており、このような多方向の加速度を検出可能な加速度センサを用いることによって、各方向における移動距離を算出することもできる。
【0071】
また、上記では、前回、位置情報が記録されてから現在までの移動距離(歩数)が所定距離以上の場合にのみ、現在地の位置情報の取得および記録を行う例について示したが、例えば、移動センサによって移動が検知された場合にのみ現在地の位置情報を起動し、取得しておき、取得した位置情報の記録は移動距離が所定距離に達した場合にのみ行うものであってもよい。
【0072】
以下、本発明の各種形態について付記する。
【0073】
(付記1)
携帯端末装置において、
この携帯端末装置の現在地の位置情報を取得する位置取得部と、
位置取得部の位置情報取得前後に電源起動/停止を制御する電源制御部と、
この携帯端末装置の移動を検知する移動センサと、
前記位置情報の履歴を保存する保存部と、
前記移動センサで移動が検知される場合にのみ、前記電源制御部が前記位置取得部を起動して位置情報を取得させて新たに取得された位置情報を前記保存部に追記する記録部と、
を有することを特徴とする携帯端末装置。
【0074】
(付記2)
地図情報を用いた地図上に、前記保存部に保存された位置情報が表わす地点を繋いだ移動経路を示した地図を表示する地図表示部を更に備えたことを特徴とする付記1記載の携帯端末装置。
【0075】
(付記3)
前記電源制御部は各機能の起動及び停止を制御し、携帯端末装置の位置取得部を常時起動しておくことなく、位置情報を取得する時のみ電源を制御することができる制御機能を備えたことを特徴とする付記1記載の携帯端末装置。
【0076】
(付記4)
前記記録部が、前記移動センサで移動が検知されたことを受け、電源制御部が前記位置取得部を起動し、現在の位置情報を取得後、位置取得部を停止させ、前記保存部に保存された最新の位置情報を参照し、該最新の位置情報が表わす地点から現在までの移動距離を算出する距離算出部を有し、該距離算出部で算出された距離が所定距離以上である場合にのみ、前記位置取得部に今回取得させた現在の位置情報を前記保存部に追記するものであることを特徴とする付記1記載の携帯端末装置。
【0077】
(付記5)
前記記録部は、前記位置取得部に所定時間ごとに新たな位置情報を取得させ、前記移動センサで移動が検知されていた場合に、該位置取得部を起動し、取得された新たな位置情報を前記保存部に追記することを特徴とする付記1記載の携帯端末装置。
【0078】
(付記6)
一定周期時間ごとに位置取得部の電源起動/位置情報の取得/電源停止、および位置情報のメモリ保存/表示の各処理を行うシステムにおいて、前記周期内に移動センサにて移動が検知されなかった場合は、前記各処理を実施しないことを特徴とする付記1記載の携帯端末装置。
【0079】
(付記7)
前記移動センサは、この携帯端末装置の加速度を検出して、該携帯端末装置を携帯しているユーザの歩数を計測する歩数計であることを特徴とする付記1から6のうちのいずれか1項記載の携帯端末装置。
【0080】
(付記8)
地図情報を用いた地図上に、前記保存部に保存された位置情報が表わす地点を繋いだ移動経路を示した地図を表示する地図表示部を更に備えたことを特徴とする付記1記載の携帯端末装置。
【0081】
(付記9)
移動を検知する移動センサと、現在地の位置情報を取得する位置取得部と、位置取得部を制御する電源制御部と、位置情報の履歴を保存する保存部とを有する携帯端末装置の移動経路を記録する移動経路記録方法において、
前記移動センサにより前記携帯端末装置の移動を検知させる移動検知過程と、
前記移動検知過程において前記携帯端末装置の移動が検知されるたびに、前記電源制御部は前記位置取得部を起動させ、該携帯端末装置の現在地の位置情報を取得させる位置取得過程と、
前記位置取得過程において新たに取得された位置情報を前記保存部に追記する記録過程とを有することを特徴とする移動経路記録方法。
【0082】
(付記10)
地図情報を用いた地図上に、前記保存部に保存された位置情報が表わす地点を繋いだ移動経路を示した地図を表示する地図表示過程を更に備えたことを特徴とする付記9記載の移動経路記録方法。
【0083】
(付記11)
前記位置取得過程は、前記移動センサで移動が検知されたことを受けて現在の位置情報を取得する過程であり、前記位置取得部は取得時のみ起動され、
前記記録過程が、前記保存部に保存された最新の位置情報を参照し、該最新の位置情報が表わす地点から現在までの移動距離を算出する距離算出過程を有し、該距離算出過程で算出された距離が所定距離以上である場合にのみ、前記位置取得過程で今回取得された現在の位置情報を前記保存部に追記するものであることを特徴とする付記9記載の移動経路記録方法。
【0084】
(付記12)
前記位置取得過程は、所定時間ごとに新たな位置情報を取得する過程であり、前記位置取得部は取得時のみ起動され、
前記記録過程は、前記移動センサで移動が検知されていた場合に、前記位置取得過程で取得された新たな位置情報を前記保存部に追記する過程であることを特徴とする付記9記載の移動経路記録方法。
【0085】
(付記13)
前記移動センサは、この携帯端末装置の加速度を検出して、該携帯端末装置を携帯しているユーザの歩数を計測する歩数計であることを特徴とする付記9から12のうちのいずれか1項記載の移動経路記録方法。
【0086】
(付記14)
移動を検知する移動センサと、現在地の位置情報を取得する位置取得部と、位置情報の履歴を保存する保存部とを有する携帯端末装置の移動経路を記録するプログラムにおいて、
コンピュータに、
前記移動センサにより前記携帯端末装置の移動を検知する場合にのみ、起動される移動検知過程と、
前記移動検知過程において前記携帯端末装置の移動が検知するたびに、前記位置取得部に、該携帯端末装置の現在地の位置情報を取得する位置取得過程と、
前記位置取得過程において新たに取得された位置情報を前記保存部に追記する記録過程とを実行させるためのプログラム。
【0087】
(付記15)
地図情報を用いた地図上に、前記保存部に保存された位置情報が表わす地点を繋いだ移動経路を示した地図を表示する地図表示過程を更に備えたことを特徴とする付記14記載のプログラム。
【0088】
(付記16)
前記位置取得過程は、前記移動センサで移動が検知されたことを受けて位置取得部を起動し、現在の位置情報を取得する過程であり、
前記記録過程が、前記保存部に保存された最新の位置情報を参照し、該最新の位置情報が表わす地点から現在までの移動距離を算出する距離算出過程を有し、該距離算出過程で算出された距離が所定距離以上である場合にのみ、前記位置取得過程で今回取得された現在の位置情報を前記保存部に追記するものであることを特徴とする付記14記載のプログラム。
【0089】
(付記17)
前記位置取得過程は、所定時間ごとに新たな位置情報を取得する過程であり、
前記記録過程は、前記移動センサで移動が検知されていた場合に、前記位置取得過程で取得された新たな位置情報を前記保存部に追記する過程であることを特徴とする付記14記載のプログラム。
【0090】
(付記18)
前記移動センサは、この携帯端末装置の加速度を検出して、該携帯端末装置を携帯しているユーザの歩数を計測する歩数計であることを特徴とする付記14から17のうちのいずれか1項記載のプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】GPS機能を利用して移動経路を記録する処理の流れを示すフローチャート図である。
【図2】携帯端末装置の一実施形態である携帯電話機の外観斜視図である。
【図3】携帯電話機のハードウェア構成図である。
【図4】ルート記録機能に必要な要素を示す図である。
【図5】ルート記録機能で実行される一連の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図6】不揮発メモリに記録される情報を示す概念図である。
【図7】LCD上に表示された地図の一例を示す図である。
【図8】第2実施形態の携帯電話機において、ルート記録機能で実行される一連の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図9】第3実施形態の携帯電話機において、ルート記録機能で実行される一連の処理の流れを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0092】
10 携帯電話機
11 上部筐体
12 下部筐体
101 CPU
101A 算出部
101B 記録制御部
102 RAM
103 マイクデバイス
104 スピーカデバイス
105 カメラデバイス
106 近距離無線デバイス
107 メディアコントローラ
108 ROM
109 不揮発メモリ
110 ディスプレイデバイス
111 LCD
112 送話口
113 キーデバイス
114 時計
115 遠距離通信デバイス
116 アンテナ
117 測位部
118 歩数計
119 電源制御部
121 操作キー
122 受話口
123 放音口
124 装填口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置において、
この携帯端末装置の現在地の位置情報を取得する位置取得部と、
位置取得部の位置情報取得前後に電源起動/停止を制御する電源制御部と、
この携帯端末装置の移動を検知する移動センサと、
前記位置情報の履歴を保存する保存部と、
前記移動センサで移動が検知される場合にのみ、前記電源制御部が前記位置取得部を起動して位置情報を取得させて新たに取得された位置情報を前記保存部に追記する記録部と、
を有することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記電源制御部は各機能の起動及び停止を制御し、携帯端末装置の位置取得部を常時起動しておくことなく、位置情報を取得する時のみ電源を制御することができる制御機能を備えたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記移動センサで移動が検知されたことを受け、電源制御部が前記位置取得部を起動し、現在の位置情報を取得後、位置取得部を停止させ、前記保存部に保存された最新の位置情報を参照し、該最新の位置情報が表わす地点から現在までの移動距離を算出する距離算出部を有し、該距離算出部で算出された距離が所定距離以上である場合にのみ、前記位置取得部に今回取得させた現在の位置情報を前記保存部に追記するものであることを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
一定周期時間ごとに位置取得部の電源起動/位置情報の取得/電源停止、および位置情報のメモリ保存/表示の各処理を行うシステムにおいて、前記周期内に移動センサにて移動が検知されなかった場合は、前記各処理を実施しないことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記移動センサは、この携帯端末装置の加速度を検出して、該携帯端末装置を携帯しているユーザの歩数を計測する歩数計であることを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか1項記載の携帯端末装置。
【請求項6】
移動を検知する移動センサと、現在地の位置情報を取得する位置取得部と、位置取得部を制御する電源制御部と、位置情報の履歴を保存する保存部とを有する携帯端末装置の移動経路を記録する移動経路記録方法において、
前記移動センサにより前記携帯端末装置の移動を検知させる移動検知過程と、
前記移動検知過程において前記携帯端末装置の移動が検知されるたびに、前記電源制御部は前記位置取得部を起動させ、該携帯端末装置の現在地の位置情報を取得させる位置取得過程と、
前記位置取得過程において新たに取得された位置情報を前記保存部に追記する記録過程とを有することを特徴とする移動経路記録方法。
【請求項7】
移動を検知する移動センサと、現在地の位置情報を取得する位置取得部と、位置情報の履歴を保存する保存部とを有する携帯端末装置の移動経路を記録するプログラムにおいて、
コンピュータに、
前記移動センサにより前記携帯端末装置の移動を検知する移動検知過程と、
前記移動検知過程において前記携帯端末装置の移動が検知するたびに、前記位置取得部に、該携帯端末装置の現在地の位置情報を取得する位置取得過程と、
前記位置取得過程において新たに取得された位置情報を前記保存部に追記する記録過程とを実行させるためのプログラム。
【請求項8】
地図情報を用いた地図上に、前記保存部に保存された位置情報が表わす地点を繋いだ移動経路を示した地図を表示する地図表示部を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−288233(P2009−288233A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221612(P2008−221612)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】