説明

検査装置及び検査方法、並びにパターン基板の製造方法

【課題】正確な検査を短時間で行うことができる検査装置及び検査方法ならびにパターン基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様にかかる検査装置は、フォトマスク33を透過した透過光とフォトマスク33で反射した反射光とを用いて検査を行う検査装置1であって、レンズ32の視野60の一部である同時照明領域62を、フォトマスク33のレンズ32側から照明する反射照明光源21と、同時照明領域62と同時照明領域62以外の透過照明領域61とを照明する透過照明光学系10と、同時照明領域62からの透過光と反射光とを、レンズ32を介して検出する合成像用センサ44と、透過照明領域61からの透過光を、レンズ32を介して検出する透過像用センサ43とを備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検査装置及び検査方法並びにパターン基板の製造方法に関し、特に詳しくは、試料を透過した透過光と試料で反射した反射光とを用いて検査する検査装置及び検査方法並びにそれを用いたパターン基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、パターンに欠陥があると、配線の絶縁不良や短絡などの不良原因となり、歩留まりが低下する。従って、半導体基板やその製造工程で使用するフォトマスクなどのパターン基板に異物が付着しているか否かを検査する検査装置が利用されている。
【0003】
このフォトマスクの検査装置には、主にダイツーデータベース(Die to Database)方式とダイツーダイ(Die to Die)方式の2種類がある。ダイツーデータベース方式では、実際に検出した画像と、コンピュータなどの処理装置に記憶されているCADデータとを比較して異物や欠陥の検出を行う。しかしながら、ダイツーデータベース方式では、検査するパターン毎にCADデータから参照画像を作成する必要があるため、低コスト化を図ることが困難であった。
【0004】
一方、ダイツーダイ方式では、異なる位置に配置された同じパターンの画像を検出し、それらを比較することにより、異物や欠陥の検出を行う。この方式では、パターンに応じてCADデータから参照画像を作成する必要がないため、低コスト化を図ることができる。しかしながら、この方式では、基板上に同じ形状パターンが存在しないマスクについては異物や欠陥を検出することができなかった。
【0005】
この問題を解決するため、2つのカメラにより透過像と反射像を撮像し、これらを重ね合わせる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この検査装置では、透過光と反射光とを合成して、一つの検出器によって検出する。そして、合成した光学像(合成像)において、遮光パターンが形成されているパターン部と遮光パターンが形成されていない非パターン部(透過パターン)とで明るさが等しくなるよう、マスクの透過パターンを透過する透過光の強度と、マスクの遮光パターンで反射された反射光の強度とを調整している。透過パターンのうち、異物等が付着した箇所では、異物によって透過率が低下するため、透過光が減少する。また、遮光パターンのうち、異物等が付着した箇所では、異物によって反射率が低下するため、反射光が減少する。よって、遮光パターン上の異物箇所か透過パターン上の異物箇所かに係わらず、異物箇所では、正常箇所に比べて検出光量が低下する。
【0006】
従って、検出器の出力と異物検出閾値を比較することにより、異物検査を行うことができる。この構成では、透過像と反射像との合成像を1つの検出器で検出しているため、検査装置を簡易な構成とすることができる。
【0007】
さらに、透過像と反射像を独立に撮像して検査を行う検査装置が開示されている(特許文献2、特許文献3)。この検査装置では、透過照明光学系、及び反射照明光学系のそれぞれに絞りを配置している。そして、対物レンズの視野の片側半分を、透過照明光学系からの照明光で照明し、もう片側半分を反射照明光学系からの照明光で照明している。そして、フォトマスクを透過した透過光による透過像を透過像用センサで撮像し、フォトマスクで反射した反射光による反射像を反射像用センサで撮像している。すなわち、透過像と反射像とを別々のセンサで受光している。そして、それぞれのセンサからの出力としきい値とを比較して検査を行っている。このように、透過像と反射像との両方を撮像しているため、精度よく検査することができる。
【0008】
この検査装置について図3を用いて説明する。図3は、フォトマスク上における対物レンズの視野を模式的に示す図である。対物レンズの視野70は円形となっている。そして、その片側半分が透過照明光学系からの透過照明光で照明される透過照明領域71となり、もう片側半分が反射照明光学系からの反射照明光で照明される反射照明領域72となる。すなわち、対物レンズの視野70は、対物レンズの視野70の中心を通る直線77を境界線として、2つに分けられる。2つに分けられた一方が透過照明領域71となり、他方が反射照明領域72となっている。ここで、透過像用センサで撮像される領域を透過像撮像領域75とし、反射像用センサで撮像される領域を反射像撮像領域76とする。透過像撮像領域75は、透過照明領域71に含まれ、反射像撮像領域76は、反射照明領域72に含まれている。
【0009】
上記の検査装置では、検出光学系を共通にすることができるため、装置構成を単純にすることができる。さらに、フォトマスク全体を1回スキャンすることによって、透過像を反射像の両方を取得することができる。すなわち、透過像と反射像とを同時に撮像することができるため、検査時間を短縮することができる。
【0010】
【特許文献1】特開平9−311108号公報
【特許文献2】特開2004−354088号公報
【特許文献3】特開2006−72147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の検査装置において検査時間をより短縮するためには、図3の視野70において、透過像撮像領域75、及び反射像撮像領域76を大きくすることが好ましい。すなわち、一度に撮像することができる領域を広くすることによって、走査距離が短くなるため、検査時間を短縮することができる。そのため、透過像撮像領域75、及び反射像撮像領域76を出来る限り広くすることが好ましい。この場合、透過像撮像領域75、及び反射像撮像領域76が直線77に近づいてしまう。
【0012】
しかしながら、このような欠陥検査装置には以下のような問題点があった。検査時間を短縮するため、透過像撮像領域75、及び反射像撮像領域76を大きした場合、反射像撮像領域76と透過像撮像領域75とが近づいてしまう。すなわち、反射像撮像領域76と透過像撮像領域75とが直線77の近傍に配置された状態となってしまう。このような状態で、照明領域にずれが生じると、反射像撮像領域76に透過照明光学系からの照明光が入射してしまうことや、透過像撮像領域75に反射照明光学系からの照明光が入射してしまうことがある。例えば、透過照明光が入射する透過照明領域71が直線77からはみ出してしまうと、透過照明光が反射像撮像領域76に入射してしまう。この場合、反射像撮像領域76が均一に照明されなくなってしまうので、精度よく検査することができなくなってしまう。
【0013】
特に、フォトマスクには、厚さにばらつきがある。具体的には、厚さ6.35mmのフォトマスクには、±100μm程度のばらつきがある。従って、フォトマスクのパターン形成面側に対物レンズを配置した場合、フォトマスクの厚さが変化すると、透過照明光学系の焦点がパターン形成面からずれてしまう。さらに、フォトマスクの厚さの違いによって収差が発生するため、焦点合わせが困難になってしまう。
【0014】
例えば、透過照明光学系の視野絞りの像をパターン形成面に結像させていても、フォトマスクの厚さが変わると、その像がぼやけてしまい、透過像撮像領域75が広がってしまう。このため、透過照明光が反射像撮像領域76に入射してしまい、反射像撮像領域76が均一に照明されなくなってしまう。従って、従来の検査装置では、正確な検査を短時間で行うことができないという問題点があった。
【0015】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、正確な検査を短時間で行うことができる検査装置及び検査方法ならびにパターン基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様にかかる検査装置は、試料を透過した透過光と前記試料で反射した反射光とを用いて検査を行う検査装置であって、対物レンズと、前記対物レンズの視野の一部である第1の領域を、前記試料の対物レンズ側から照明する反射照明光源と、前記第1の領域と前記対物レンズの視野内において前記第1の領域以外の第2の領域とを、前記試料の対物レンズ側の反対側から照明する透過照明光学系と、前記透過照明光学系からの透過照明光、及び前記反射照明光学系からの反射照明光の前記試料上の位置を調整する調整手段と、前記第1の領域において、前記透過照明光学系からの透過照明光のうち前記試料を透過した透過光と、前記反射照明光学系からの反射照明光のうち前記試料で反射した反射光とを、前記対物レンズを介して検出する第1検出器と、前記第2の領域において、前記透過照明光学系からの光のうち、前記透過照明光学系からの光のうち前記試料を透過した透過光を、前記対物レンズを介して検出する第2検出器と、を備えるものである。
【0017】
本発明の第2の態様にかかる検査装置は、上記の検査装置において、前記透過照明光学系からの透過照明光が前記対物レンズの視野全体に入射していることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の第3の態様にかかる検査装置は、上記の検査装置において、前記反射照明光源からの反射照明光が前記対物レンズの視野の略半分に入射していることを特徴とするものである。これにより、透過像、及び合成像を撮像する領域を広くすることができるため、検査時間を短縮することができる。
【0019】
本発明の第4の態様にかかる検査装置は、上記の検査装置において、前記第1検出器によって、前記透過照明光による透過像と前記反射照明光による反射像とを合成した合成像を撮像し、前記第2検出器によって、前記透過照明光による透過像を撮像し、前記試料上の同じ位置の前記合成像から前記透過像を引くことによって、前記試料の反射像を求めるものである。これにより、透過像と反射像をそれぞれ利用するアルゴリズムが適用できる。
【0020】
本発明の第5の態様にかかる検査方法は、試料を透過した透過光と前記試料で反射した反射光とを対物レンズを介して検出して、検査を行う検査方法であって、前記試料の前記対物レンズ側から反射照明光を試料に照射して、前記対物レンズの視野の一部である第1の領域を照明するステップと、前記試料の対物レンズ側の反対側から透過照明光を試料に照射して、前記第1の領域と前記対物レンズの視野内において前記第1の領域以外の第2の領域とを照明するステップと、前記透過照明光、及び前記反射照明光の前記試料上の位置を変化させながら、前記反射照明光のうち前記試料で反射した反射光と、前記透過照明光のうち前記試料を透過した透過光とを前記対物レンズに入射させるステップと、前記対物レンズの視野の一部である第1の領域からの前記透過光、及び前記反射光を前記対物レンズを介して検出するステップと、前記対物レンズの視野の一部であり、前記第1の領域以外の第2の領域からの前記透過光を前記対物レンズを介して検出するステップと、を備えるものである。これにより、正確な検査を短時間で行うことができる。
【0021】
本発明の第6の態様にかかる検査方法は、上記の検査方法であって、前記透過照明光学系からの透過照明光が対物レンズの視野全体に入射していることを特徴とするものである。これにより、正確な像を撮像することができる。
【0022】
本発明の第7の態様にかかる検査方法は、上記の検査方法であって、前記反射照明光源からの反射照明光が前記対物レンズの視野の略半分に入射していることを特徴とするものである。これにより、正確な検査を短時間で行うことができる。
【0023】
本発明の第8の態様にかかる検査方法は、上記の検査方法であって、前記第1の領域からの前記透過光、及び前記反射光を前記対物レンズを介して検出することによって、前記透過照明光による透過像と前記反射照明光による反射像とを合成した合成像を撮像し、前記第2の領域からの前記透過光を前記対物レンズを介して検出することによって、前記透過照明光による透過像を撮像し、前記試料上の同じ位置の前記合成像から前記透過像を引くことによって、前記試料の反射像を求めるものである。これにより、透過像と反射像をそれぞれ利用するアルゴリズムが適用できる。
【0024】
本発明の第9の態様にかかるパターン基板の製造方法は、上記の検査方法により、フォトマスクを検査する検査ステップと、前記検査ステップによって検査されたフォトマスクの欠陥を修正する欠陥修正ステップと、前記欠陥修正ステップで修正されたフォトマスクを介して基板を露光する露光ステップと、前記露光された基板を現像する現像ステップを有するものである。これにより、精度よくパターニングすることができるため、パターン基板の生産性を向上することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、正確な検査を短時間で行うことができる検査装置及び検査方法ならびにパターン基板の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明を適用可能な実施の形態が説明される。以下の説明は、本発明の実施形態を説明するものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。説明の明確化のため、以下の記載は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、当業者であれば、以下の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能であろう。尚、各図において同一の符号を付されたものは同様の要素を示しており、適宜、説明が省略される。
【0027】
本発明にかかる検査装置は、試料で反射した反射光と試料を透過した透過光を用いて検査を行う。具体的には、試料を透過した透過光をセンサで検出して、透過光による透過像を撮像する。さらに、試料を透過した透過光、及び試料で反射した反射光とを重ね合わせてセンサで検出して、透過光による透過像と反射光による反射像とを合成した合成像を撮像する。そして、透過像、及び合成像に基づいて検査を行う。
【0028】
本発明にかかる検査装置について図1を用いて説明する。ここでは、試料であるフォトマスク33に付着した異物を検出する検査装置1を例に挙げて説明する。なお、フォトマスク33は開口を有するX−Yステージ34上に載置されている。図1において、11は透過照明光源、12はレンズ、13は視野絞り、14はレンズ、15は開口絞り、16はレンズである。レンズ12、視野絞り13、レンズ14、開口絞り15、及びレンズ16は透過照明光学系10を構成する。そして、透過照明光源11はフォトマスク33を透過照明するための透過照明光を出射する。すなわち、透過照明光源11からの透過照明光は、透過照明光学系10を通って、フォトマスク33に入射する。そして、フォトマスク33を透過した透過光は、センサで検出される。ここでフォトマスク33には、遮光パターン33aが形成されている。従って、透過照明光は、フォトマスク33の遮光パターン33aが形成されていない非パターン部(透過パターン)を透過する。なお、フォトマスク33の遮光パターン33aが形成されている面をパターン形成面とする。透過照明光学系10は、フォトマスクの背面側から照明を行う。すなわち、透過照明光源11からの光は、フォトマスク33のパターン形成面側と反対側からフォトマスク33に入射する。
【0029】
21は反射照明光源、22は開口絞り、23はレンズ、24は視野絞り、25はレンズ、31はビームスプリッタ、32はレンズである。開口絞り22、レンズ23、視野絞り24、及びレンズ25は反射照明光学系20を構成する。反射照明光源21は、フォトマスクを反射照明(落射照明)するための反射照明光を出射する。すなわち、反射照明光源21からの反射照明光は、反射照明光学系20を通って、フォトマスク33に入射する。そして、フォトマスク33で反射された反射光が、センサで検出される。なお、レンズ32は、パターン形成面上において所定の視野を有する対物レンズである。レンズ32は、フォトマスク33の遮光パターン33aが形成されているパターン形成面側に配置されている。すなわち、反射照明光学系20からの反射照明光は、フォトマスク33のパターン形成面側からフォトマスク33に入射する。
【0030】
41はレンズ、42は反射部材、43は透過像用センサ、44は合成像用センサである。レンズ32、ビームスプリッタ31、レンズ41、反射部材42は、フォトマスク33を透過した透過光、及びフォトマスク33で反射した反射光を透過像用センサ43、及び合成像用センサ44まで導くための検出光学系30を構成する。従って、フォトマスク33で反射した反射光、フォトマスク33を透過した透過光は、レンズ32、ビームスプリッタ31、レンズ41、反射部材42を介して、透過像用センサ43、又は合成像用センサ44に入射する。以下の説明では、透過照明光源11から出射した光を透過照明光、反射照明光源21から出射した光を反射照明光とする。さらに、透過照明光源11から出射した透過照明光のうち、フォトマスク33を透過した光を透過光とし、反射照明光源21から出射した反射照明光のうち、フォトマスク33で反射した光を反射光とする。
【0031】
まず、透過照明光源11からの出射した透過照明光をフォトマスク33に入射させるための透過照明光学系10について説明する。透過照明光源11は、例えば、小さい光源である1本のマルチモード光ファイバを用いることができる。すなわち、光ファイバの一端を光軸上に配置し、他端の近傍には光源を配置する。これにより、光源から光ファイバの入射端に入射した光が光ファイバ内を伝播し、出射端から出射される。各光ファイバのNA(開口数)で決定される出射角以下で出射された光をフォトマスク33に照射することができる。なお、透過照明光源11には1本の光ファイバの他、複数本の光ファイバを束ねたバンドルファイバを用いても良い。透過照明光源11から出射した透過照明光がレンズ12により屈折され、視野絞り13に入射する。視野絞り13には光軸を中心とする開口部が設けられている。この開口部の外側に入射した透過照明光は視野絞り13を通過することができないため、遮光される。すなわち、視野絞り13の開口部を通過した光のみ、レンズ14に入射する。
【0032】
視野絞り13を通過した透過照明光はレンズ14により屈折され、開口絞り15に入射する。開口絞り15には光軸を中心に所定の大きさの開口部が設けられている。この開口絞り15を通過した透過照明光はレンズ16に入射する。レンズ16は結像レンズであり、フォトマスク33のパターン形成面の表面で視野絞り13の像が結像するよう透過照明光を集光する。すなわち、フォトマスクのパターン形成面が、透過照明光学系10の焦点位置となっている。このような透過照明光学系10を利用して、透過照明光源11からの透過照明光でフォトマスク33を照明する。透過照明光学系10は、対物レンズであるレンズ32の視野全体を照明する。なお、透過照明光学系10は、フォトマスク33の対物レンズ側と反対側から照明する。すなわち、フォトマスク33のパターン形成面と反対面から透過照明光がフォトマスク33に入射する。
【0033】
次に、反射照明光源21から出射した反射照明光をフォトマスク33に入射させるための反射照明光学系20について説明する。反射照明光源21には透過照明光源11と同様の光ファイバを用いることができる。なお、反射照明光源21からの反射照明光が透過照明光源11からの透過照明光と同じ波長であってもよい。これにより、検出光学系30での光学設計を簡便にすることができる。反射照明光源21から出射された反射照明光は光軸を中心に光ファイバの出射端に対応する大きさの開口部を有する開口絞り22に入射する。開口絞り22を通過した光はレンズ23に入射する。レンズ23に入射した反射照明光は屈折され、視野絞り24に入射する。視野絞り24には光軸に対してずれた位置に開口部が設けられている。開口部の外側に入射した反射照明光は視野絞り24を通過することができないため、遮光される。すなわち、視野絞り24の開口部を通過した反射照明光のみがレンズ25に入射する。なお、図1では光軸から上方向にずれた位置に開口部を設けている。
【0034】
視野絞り24を通過した反射照明光はレンズ25によって屈折され、ビームスプリッタ31に入射する。ビームスプリッタ31は、例えば、ハーフミラーである。ビームスプリッタ31は、入射した光のうち、一部の光をフォトマスク33の方向に反射する。このビームスプリッタ31で反射した反射照明光はレンズ32に入射する。レンズ32は対物レンズであり、フォトマスク33のパターン形成面で結像するよう光を集光する。すなわち、レンズ32によって視野絞り24の像がパターン形成面に結像される。このようにして、反射照明光源21からの反射照明光によりフォトマスク33を照明する。この時、視野絞り24が光軸に対してずれているため、反射照明光は光軸からずれるよう集光される。従って、反射照明光学系20は、レンズ32の視野の一部のみを照明する。すなわち、反射照明光は、フォトマスク33のパターン形成面上において、レンズ32の視野の一部のみに入射する。なお、ここではフォトマスク33上で光軸に対して右方向にずれた位置に反射照明光が集光されている。レンズ32は、フォトマスク33のパターン形成面側に配置されている。
【0035】
このように、反射照明光学系20はレンズ32側からフォトマスク33を照明する。すなわち、反射照明光は、レンズ32を介してフォトマスク33のパターン形成面に入射する。なお、反射照明光学系20にオートフォーカス機構を設けてもよい。これにより、反射照明光学系20の焦点がフォトマスク33のパターン形成面と一致する。よって、正確に検査を行うことができる。
【0036】
フォトマスク33は、透過照明光、及び反射照明光によって照明される。ここで、透過照明光はレンズ32の視野全体に入射し、反射照明光はレンズ32の視野の一部のみに入射している。よって、レンズ32の視野の一部は、透過照明光のみで照明され、残りの一部は、反射照明光と透過照明光の両方で照明される。ここで、透過照明光のみで照明されている領域を透過照明領域とし、反射照明光と透過照明光の両方で照明されている領域を同時照明領域とする。すなわち、合成像を取得するため、反射照明光と透過照明光とによって同時に照明される領域が同時照明領域となる。ここでは、レンズ32の視野の片側半分が透過照明領域となり、残りの片側半分が同時照明領域となっている。透過照明領域での透過光によって透過像が撮像される。また、同時照明領域での透過光、及び反射光によって、透過像と反射像とを合成した合成像が撮像される。なお、合成像とは、透過光による透過像と、反射光による反射像とを合成した光学像である。
【0037】
フォトマスク33は駆動機構に接続されたX−Yステージ34に載置されており、図1中の矢印の方向に走査可能に設けられている。すなわち、X−Yステージ34を駆動すると、フォトマスク33が矢印の方向に移動する。X―Yステージ34は、検査する部分が開口している。あるいは、ガラスなどの透明な材質により形成されたX―Yステージ34を用いてもよい。このX−Yステージ34を矢印の方向に走査させることにより、フォトマスク33のパターン形成面上において、透過照明光が入射する位置、及び反射照明光でが入射する位置がずれていく。これにより、レンズ32の視野とフォトマスク33との相対位置が変化する。よって、フォトマスク33上の照明位置を調整することができる。そして、フォトマスク33をラスタ走査することにより、フォトマスク全面を照明する。これにより、フォトマスク33の全面の検査を行うことができる。もちろん、走査方向は矢印の方向と反対でも良い。なお、X−Yステージ34以外の走査手段を用いることも可能である。
【0038】
このように透過照明光源11及び反射照明光源21からフォトマスク33を照明した光は、フォトマスク33に形成されているパターンに基づいて透過又は反射される。例えば、透過照明光源11から出射した光はフォトマスク33上の遮光パターン33a以外の透過パターンを通過してレンズ32に入射する。一方、透過照明光源11から出射した光は遮光パターン33aに入射すると、反射される。また、反射照明光源21から出射した光は、遮光パターン33aに入射すると、レンズ32に方向に反射される。一方、反射照明光源21から出射した光は、遮光パターン33a以外の透過パターンに入射するとフォトマスク33を透過する。さらに異物などが付着した欠陥箇所に入射した光は、その異物等の性質に応じて散乱等されるため、欠陥検査を行うことができる。
【0039】
このように、透過照明光源11からフォトマスク33を透過した透過光及び反射照明光源21からフォトマスク33で反射した反射光はレンズ32に入射する。透過光、及び反射光はレンズ32で屈折され、ビームスプリッタ31に入射する。ビームスプリッタ31は入射光の一部を透過する。従って、透過光、及び反射光の一部は、ビームスプリッタ31を通過して、レンズ41に入射する。レンズ41は、フォトマスク33のパターン形成面の像を、透過像用センサ43の受光面、及び合成像用センサ44の受光面に結像する。透過像用センサ43によって透過像が撮像され、合成像用センサ44によって合成像が撮像される。透過光、及び反射光はレンズ41で屈折され、反射部材42に入射する。反射部材42は反射ミラーやプリズムなどの光学部品であり、入射した光を所定の方向に反射させる。さらに、反射部材42は2つの反射面が異なる角度で配置されている。すなわち、反射部材42は、異なる角度で配置されている2つの反射面を有している。異なる反射面に入射した光はそれぞれ異なる方向に反射する。
【0040】
反射部材42は同時照明領域からの光と、透過照明領域からの光を分岐する。例えば、図1では、反射部材42は、透過照明領域からの透過光を右側に反射し、同時照明領域からの透過光、及び反射光を左側に反射する。したがって、透過照明領域からの透過光は透過像用センサ43の方向に反射され、同時照明領域からの透過光、及び反射光は合成像用センサ44の方向に反射される。このように反射部材42はレンズ32の視野内において、パターン形成面上の位置に応じて透過光を分岐している。レンズ32の視野からの透過光は、パターン形成面における入射位置に応じて2方向に分岐される。透過像用センサ43は透過像を撮像するため透過照明領域からの透過光の光を検出し、合成像用センサ44は合成像を撮像するため同時照明領域からの反射光、及び透過光を検出する。
【0041】
透過像用センサ43及び合成像用センサ44は例えば、CCDカメラなどの光検出器であり、画素がアレイ状に配列されている。透過像用センサ43及び合成像用センサ44は各画素の受光量に基づく信号を処理装置50に出力する。処理装置50はパーソナルコンピュータ等を有する情報処理装置である。処理装置50には、それぞれのセンサからの検出信号が入力される。処理装置50に設けられているA/D変換器は、検出信号をA/D変換して、メモリ等の記憶部に記憶する。
【0042】
メモリはそれぞれの画素における光の受光量に基づく受光量データを記憶する。さらに、メモリはフォトマスク33のある一定の領域に対応する受光量データを記憶することができる。このようにして記憶された透過像と合成像との受光量データを用いて、処理装置50の演算処理部は欠陥を検出するための演算処理を行う。例えば、しきい値と合成像の受光量データを比較して、受光量データがしきい値を越えた場合、処理装置50は欠陥や異物があると判定する。あるいは、合成像から特長抽出して異物検査を行う。また、透過像の受光量データは、画像比較による欠陥検査に用いる。すなわち、同じ形状のパターンからの画像を比較して、パターンの欠陥検査を行う。なお、処理装置50にはフォトマスク33を駆動させるX−Yステージ34からの出力信号が入力される。このX−Yステージ34からの出力信号に基づいて、検出箇所のフォトマスク33上の位置(座標)が特定される。このようにして、フォトマスク33上の異物や欠陥の位置が特定される。このように、透過像、及び合成像とに異なる処理を行って、検査を行っている。これにより、精度の高い検査を行うことができる。もちろん、上記の方法以外の方法で検査を行ってもよい。なお、欠陥検出のアルゴリズムは特に限定されるものでない。また、処理装置50はLCDやCRTなどの表示装置を備え、透過像又と合成像とを個別に又は同時に表示できるようになっている。
【0043】
さら、合成像から透過像を引くことによって、透過像を求めることができる。すなわち、合成像、及び透過像のデータをメモリに記憶させておく。そして、試料上の同じ位置で撮像された合成像から透過像を引く。これにより、フォトマスク33の反射像を求めることができる。例えば、合成像用センサ44で受光した反射光、及び透過光によって、合成像を取得する。そして、レンズ32の視野の半分だけX−Yステージをずらすと、透過像用センサ43で受光した透過光によって、透過像が取得される。この透過像と合成像は、フォトマスク33の同じ位置での像である。すなわち、試料上の同じ位置での、透過像、及び合成像が取得される。そして、合成像のデータから、透過像のデータを引くと、反射像のデータが得られる。これにより、透過像、反射像、合成像をそれぞれ利用することができる。よって、反射像に対して実行される欠陥検出アルゴリズムが利用可能になる。このように、合成像と透過像との差分から反射像を求めることによって、透過像と反射像をそれぞれ利用するアルゴリズムを用いることができる。よって、検査精度を向上することができる。
【0044】
なお、処理装置50は、物理的に単一な装置にかぎるものではない。例えば、A/D変換器、メモリ及び演算処理部はそれぞれ異なる装置に組み込まれていても良い。さらに、複数のCPUを備えた演算処理部を用いて、並列処理を行うようにしてもよい。また、透過像用センサ43及び合成像用センサ44は1次元のラインセンサ又は2次元のエリアセンサであればよい。例えば、CCDセンサ、CMOSセンサ、フォトダイオードアレイなどの撮像素子を用いることができる。さらには、遅延積算(Time-Delay Integration:TDI)方式の撮像装置であってもよい。この場合、ステージの走査方向と信号電荷の垂直転送方向とを一致させるとともに、走査速度と転送速度とを同期させる。これにより、検出感度を向上することができる。また、上述の検査装置はフォトマスクの検査に限らず、透明パターンと遮光パターンを有する基板であれば利用することができる。例えば、検査の対象となる試料としては、フォトマスクの他、カラーフィルタ基板などを挙げることができる。
【0045】
なお、透過照明光源11と反射照明光源21には光ファイバに限らず、この他の光源を用いることができる。例えば、レーザ光源やランプ光源、バンドルファイバを用いることができる。同じ光源からの光を分岐して透過照明光源11と反射照明光源21とすることも可能である。この場合、1つの光源で透過照明光源11と反射照明光源21を構成することができるため、部品点数削減することができる。ただし、透過照明と反射照明の照明条件を別々に調整する場合は、2つの光源を用いることが好ましい。
【0046】
次に、図2を用いて、フォトマスクのパターン形成面上における照明状態について説明する。図2は、フォトマスク33のパターン形成面上におけるレンズ32の視野を模式的に示す図である。
【0047】
フォトマスク33のパターン形成面上におけるレンズ32の視野60は、円形となっている。上述のように、反射照明光はレンズ32の視野60の一部のみに入射している。図2では、反射照明光が視野60の下半分のみに入射している。すなわち、視野60の上半分は、反射照明光が入射していない。従って、円形の視野60の中心を通る直線67の下側にのみ、反射照明光が入射している。一方、透過照明光は、レンズ32の視野全体を均一に照明している。レンズ32の視野60において反射照明光が入射する領域は、透過照明光が入射する領域に含まれている。すなわち、反射照明光は、透過照明光が入射する領域の一部のみを照明している。パターン形成面上において、反射照明光源21からの反射照明光は視野絞り24によって、透過照明光が入射する領域の一部に入射している。すなわち、パターン形成面上において、反射照明光が入射する領域と、透過照明光が入射する領域は重複する。
【0048】
また、視野60の上半分には、透過照明光のみが入射している。従って、透過照明光のみが入射する透過照明領域61は、視野60の上半分の半円形となる。また、透過照明光と反射照明光とが入射する同時照明領域62は、視野60の下半分の半円形となっている。よって、円形の視野60の中心を通る直線67が、透過照明領域61と同時照明領域62とを区切る境界線となる。境界線となる直線67の上側の半円が透過照明領域61となり、下側の半円が同時照明領域62となる。また、透過光は、透過照明領域61、及び同時照明領域62に入射する。このように、反射照明光源21はレンズ32の視野60の下半分である同時照明領域62に入射する。また、透過照明光学系10は、レンズ32の視野60の下半分である同時照明領域62を照明する。さらに、透過照明光学系10は、視野60内において、同時照明領域62からずれている透過照明領域61を照明する。すなわち、透過照明光学系10からの透過照明光は、下半分である同時照明領域62と上半分である透過照明領域61を照明する。従って、視野60の中で透過照明領域61以外の領域が同時照明領域62となる。透過照明領域61からの透過光は、反射部材42によって透過像用センサ43の方向に反射されている。一方、同時照明領域62からの透過光、及び反射光は、反射部材によって合成像用センサ44の方向に反射されている。
【0049】
ここで、透過像用センサ43で撮像される領域を透過像撮像領域65とし、合成像用センサで撮像される領域を合成像撮像領域66とする。透過像撮像領域65と合成像撮像領域66とは、略同じ大きさの矩形状になっている。もちろん、透過像撮像領域65は、透過照明領域61に含まれ、合成像撮像領域66は同時照明領域62に含まれている。すなわち、同時照明領域62の一部が合成像撮像領域66となり、透過照明領域61の一部が透過像撮像領域65となる。図2では、合成像撮像領域66は、直線67の下側に配置され、透過像撮像領域65は、直線67の上側に配置される。すなわち、透過像撮像領域65と合成像撮像領域66との間に直線67が配置されている。透過像撮像領域65におけるフォトマスク33の像は、レンズ41によって透過像用センサ43の受光面に結像される。また、合成像撮像領域65におけるフォトマスク33の像は、レンズ41によって合成像用センサ44の受光面に結像される。透過像撮像領域65と合成像撮像領域66のそれぞれは、直線67に沿って配置されている。さらに、X−Yステージ34を駆動すると、フォトマスク33が矢印の方向に移動する。すなわち、直線67と垂直な方向にフォトマスク33が走査される。例えば、X−Yステージ34を駆動すると、照明している領域が移動して、透過照明領域61であった箇所が即座に同時照明領域62となる。従って、フォトマスク33の同じ位置における透過像と反射像とは、略同じ時間に撮像される。すなわち、直線67と垂直に走査することによって、透過像が撮像される時間を、同じ位置の合成像が撮像される時間に近づけることができる。換言すると、フォトマスク33の同じ位置での透過像と合成像とが取得される時間の間隔を短くすることができる。具体的には、図2における透過像撮像領域65と合成像撮像領域66と間隔が、同じ位置の合成像と透過像を撮像する撮像時間間隔に対応する。これにより、精度の高い検査を行うことができる。
【0050】
本実施の形態では、透過照明光が視野60全体に入射している。従って、フォトマスク33の厚さが変化した場合でも、精度よく検査することができる。すなわち、フォトマスク33の厚さが変わって、視野絞り13の像がパターン形成面でぼやけてしまった場合でも、視野60全体が均一に透過照明されている状態は変化しない。フォトマスク33の厚さの違いによって収差が発生したとしても、透過照明光は視野全体を均一に照明する。よって、フォトマスク33の厚さが変化したとしても、透過照明光によって透過像、及び合成像に生じる影響はない。
【0051】
また、反射照明光学系20にオートフォーカス機構を用いた場合、フォトマスク33のパターン面の高さに対してレンズ32の高さが追従する。すなわち、オートフォーカス機能によって、フォトマスク33とレンズ32との間の距離が一定となる。このため、レンズの視野内で反射照明光が入射する領域は変化しない。反射照明光が入射する領域が透過像撮像領域65まではみ出すことはない。従って、フォトマスクの厚さが変化した場合でも透過像、及び合成像に対する影響もほとんどない。これにより、均一に照明することができるため、透過像、及び合成像を正確に撮像することができる。さらに、透過像撮像領域65と合成像撮像領域66との間隔を狭くすることができるため、透過像撮像領域65と合成像撮像領域66を大きくすることができる。これにより、1度に撮像することができる領域が大きくなり、走査距離が短くなる。よって、検査時間を短縮することができる。このように、本実施の形態にかかる検査装置1では、精度の高い検査を短時間に行なうことができる。なお、透過照明領域61を視野60の略半分とし、同時照明領域62を視野60の残りの半分とする。これにより、透過像撮像領域65と合成像撮像領域66を同じ大きさにすることができる。よって、透過像、及び合成像を撮像する時間を短縮することができる。
【0052】
さらに、本実施の形態では、透過光と反射光とが同じ検出光学系30を伝播する。すなわち、合成像撮像領域66からの透過光、及び反射光と、透過像撮像領域65からの透過光は、同じ検出光学系30を伝播する。これにより、透過像と反射像とで検出光学系を共通化することができる。よって、単純な光学系で合成像と透過像を略同時に撮像することができる。従って、撮像時間が短縮され、検査効率を向上することができる。
【0053】
なお、反射部材42は透過照明領域61からの光と同時照明領域からの光のいずれか一方のみを反射するようにしてもよい。これにより、同時照明領域62からの反射光、及び透過光から透過照明領域61からの透過光を分離することができる。例えば、同時照明領域62からの透過光、及び反射光のみを反射部材42に入射させて、反射させてもよい。あるいは、透過照明領域からの透過光のみを反射部材42に入射させて、反射させてもよい。すなわち、同時照明領域62からの光と、透過照明領域61からの光とを異なる方向に伝播させればよい。これにより、透過像用センサ43、及び合成像用センサ44を干渉することなく配置することできる。すなわち、透過像用センサ43と合成像用センサ44とを離して配置することができる。
【0054】
さらに、反射部材42により透過光を分岐しているため、透過照明光源11と反射照明光源21とを同じ波長の光源にすることができる。これにより、簡易な光学系で光学特性を一致させることができる。さらに透過照明光学系と反射照明光学系で異なる光源を用い、また開口絞りを別々に設けているため、それぞれの照明条件を個別に調整することができる。もちろん、1つの光源からの光を分岐して、透過照明光、及び反射照明光を生成してもよい。これにより、部品点数削減することができる。この場合、透過照明光学系10、及び反射照明光学系20にフィルターを挿入することによって、光量を調整することができる。
【0055】
また、本発明にかかる検査装置による検査方法は、フォトマスク33のレンズ32側から反射照明光をフォトマスク33に照射して、レンズ32の視野の一部である同時照明領域62を照明するとともに、透過照明光をフォトマスク33に照射して、同時照明領域62と透過照明領域62とを照明している。そして、フォトマスク33で反射した反射光と、フォトマスク33で反射した反射光とは、レンズ32を通過してセンサ側へと向かう。対物レンズの視野の一部である透過照明領域と62からの透過光を対物レンズを介して透過像用センサ43で検出するとともに、レンズ32の視野の一部であり、同時照明領域62からの透過光、及び反射光をレンズ32を介して合成像用センサ44検出している。これにより、透過光と反射光とを同じ光学系で伝播させることができるため、簡易な光学系で光学特性を一致させることができる。また、透過照明光源11と反射照明光源21とを同一の波長の光源とすることができるため、より正確に異物検査を行うことができる。すなわち、検出光学系30(例えば、レンズ41、レンズ32及びビームスプリッタ31などの光学部品)を単一の波長に対する設計とすることができるため、透過像と反射像との光学系のディストーションによるずれを小さくすることが可能になる。
【0056】
上記の検査装置を用いてフォトマスクを検査し、フォトマスクの欠陥を検出する。そして、フォトマスクの欠陥を修正することによって。欠陥のないフォトマスクが製造される。これにより、フォトマスクの生産性を向上することができる。このような欠陥のないフォトマスクを用いて、感光性樹脂を有する基板を露光する。そして、露光された基板を現像液で現像する。これにより、感光性樹脂を精度よくパターニングすることができる。よって、感光性樹脂がパターニングされたパターン基板を生産性よく製造することができる。さらに、感光性樹脂がレジストである場合、パターニングされた感光性樹脂を介して導電膜や絶縁膜をエッチングする。これにより、配線基板などのパターン基板の生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明にかかる検査装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明にかかる検査装置における対物レンズの視野を模式的に示す図である。
【図3】従来の検査装置における対物レンズの視野を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0058】
10 透過照明光学系、11 透過照明光源、12 レンズ、13 視野絞り、
14 レンズ、15 開口絞り、16 レンズ、
20 反射照明光学系、21 反射照明光源、22 開口絞り、23 レンズ、
24 視野絞り、25 レンズ、30 検出光学系、
31 ビームスプリッタ、32 レンズ、33 フォトマスク、34 X−Yステージ、
41 レンズ、42 反射部材、43 透過像用センサ、44 合成像用センサ
50 処理装置、
60 視野、61 透過照明領域、62 同時照明領域、65 透過像撮像領域、
66 合成像撮像領域、67 直線、
70 視野、71 透過照明領域、72 反射照明領域、75 透過像撮像領域、
76 反射像撮像領域、77 直線、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を透過した透過光と前記試料で反射した反射光とを用いて検査を行う検査装置であって、
対物レンズと、
前記対物レンズの視野の一部である第1の領域を、前記試料の対物レンズ側から照明する反射照明光学系と、
前記第1の領域と前記対物レンズの視野内において前記第1の領域以外の第2の領域とを、前記試料の対物レンズ側の反対側から照明する透過照明光学系と、
前記透過照明光学系からの透過照明光、及び前記反射照明光学系からの反射照明光の前記試料上の位置を調整する調整手段と、
前記第1の領域において、前記透過照明光学系からの透過照明光のうち前記試料を透過した透過光と前記反射照明光学系からの反射照明光のうち前記試料で反射した反射光とを前記対物レンズを介して検出する第1検出器と、
前記第2の領域において、前記透過照明光学系からの光のうち、前記透過照明光学系からの光のうち前記試料を透過した透過光を、前記対物レンズを介して検出する第2検出器と、を備える検査装置。
【請求項2】
前記透過照明光学系からの透過照明光が前記対物レンズの視野全体に入射していることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記反射照明光学系からの反射照明光が前記対物レンズの視野の略半分に入射していることを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記第1検出器によって、前記透過照明光による透過像と前記反射照明光による反射像とを合成した合成像を撮像し、
前記第2検出器によって、前記透過照明光による透過像を撮像し、
前記試料上の同じ位置の前記合成像から前記透過像を引くことによって、前記試料の反射像を求める請求項1乃至3のいずれかに記載の検査装置。
【請求項5】
試料を透過した透過光と前記試料で反射した反射光とを対物レンズを介して検出して、検査を行う検査方法であって、
前記試料の前記対物レンズ側から反射照明光を試料に照射して、前記対物レンズの視野の一部である第1の領域を照明するステップと、
前記試料の対物レンズ側の反対側から透過照明光を試料に照射して、前記第1の領域と前記対物レンズの視野内において前記第1の領域以外の第2の領域とを照明するステップと、
前記透過照明光、及び前記反射照明光の前記試料上の位置を変化させながら、前記反射照明光のうち前記試料で反射した反射光と、前記透過照明光のうち前記試料を透過した透過光とを前記対物レンズに入射させるステップと、
前記対物レンズの視野の一部である前記第1の領域からの前記透過光、及び前記反射光を前記対物レンズを介して検出するステップと、
前記対物レンズの視野の一部であり、前記第1の領域以外の前記第2の領域からの前記透過光を前記対物レンズを介して検出するステップと、を備える検査方法。
【請求項6】
前記透過照明光学系からの透過照明光が対物レンズの視野全体に入射していることを特徴とする請求項5に記載の検査方法。
【請求項7】
前記反射照明光源からの反射照明光が前記対物レンズの視野の略半分に入射していることを特徴とする請求項6に記載の検査方法。
【請求項8】
前記第1の領域からの前記透過光、及び前記反射光を前記対物レンズを介して検出することによって、前記透過照明光による透過像と前記反射照明光による反射像とを合成した合成像を撮像し、
前記第2の領域からの前記透過光を前記対物レンズを介して検出することによって、前記透過照明光による透過像を撮像し、
前記試料上の同じ位置の前記合成像から前記透過像を引くことによって、前記試料の反射像を求める請求項5乃至7のいずれかに記載の検査方法。
【請求項9】
請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載の検査方法により、フォトマスクを検査する検査ステップと、
前記検査ステップによって検査されたフォトマスクの欠陥を修正する欠陥修正ステップと、
前記欠陥修正ステップで修正されたフォトマスクを介して基板を露光する露光ステップと、
前記露光された基板を現像する現像ステップを有するパターン基板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−190938(P2008−190938A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−24108(P2007−24108)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(000115902)レーザーテック株式会社 (184)
【Fターム(参考)】