説明

欠陥検査方法および欠陥検査装置

【課題】
レーザ暗視野方式の基板検査装置では,照明光の可干渉性が高いことにより,酸化膜(透明膜)が表面に形成された基板の検査においては膜内多重干渉による反射強度の変動が生じる。また,金属膜が表面に形成された基板の検査においては,金属膜の表面粗さ(ラフネス,グレインなど)による散乱光が干渉して背景光ノイズが大きくなり,欠陥検出を感度低下させていた。
【解決手段】
指向性の良いブロードバンド光源(スーパーコンティニュアム光源など)を用いた低干渉かつ高輝度な照明により上記課題を解決する。また,従来のレーザ光源も併用し,光源を使い分けることでウエハの状態に応じて高感度な検査を可能とする。さらに,調整機構を設けた照明光学系により,両光源の照明光学系を共通化し,簡略な光学システムで上記効果を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,表面にパターンが形成された検査対象上の欠陥を,光を用いて得られた画像情報に基づいて検出する検査技術に関あり,特に半導体ウエハ等のパターン付基板を検査対象とした微細欠陥検出の検査技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パターン付基板の欠陥検査においては,欠陥からの検出光を,パターンおよび下地膜からの検出光(背景光ノイズ)と如何に区別して検出できるかが欠陥検出感度を大きく左右する。特に半導体ウエハの検査においては,パターン微細化の進展に伴い,より微細な欠陥の検出が求められており,微細欠陥からの微弱な検出光を,背景光ノイズと区別して取り出すことが検査技術上の大きな課題となっている。
ここで図2により,検査対象であるパターン付基板の縦構造,および検出すべき欠陥種について,半導体ウエハを例にとって説明する。
【0003】
図2では,半導体デバイスの縦構造を20〜35および201〜251にて,および検出対象である欠陥について261〜264にて説明する。
【0004】
20は素子分離層であり,シリコン(Si)基板201に溝を掘った後,絶縁物である酸化シリコン(SiO2)で埋めて,ウエハ上に形成されるトランジスタ素子を電気的に絶縁分離する構造(202)である。21はゲートおよびコンタクト層であり,211はポリシリコン(poly-Si)からなるゲート電極部である。この部分はトランジスタ性能に大きな影響を与える部分であり,検査においても重視される。212はコンタクト部であり。絶縁膜(酸化シリコン:SO2)にエッチングによりあけられたホールに金属(タングステン:Wなど)を埋め込んで,トランジスタ部と上層の配線層を接続する部分である。22〜25は配線層であり,これら複数の配線層により回路が形成される。各層は絶縁膜(酸化シリコン:SiO2など)で埋められている。22は第1の配線部であり,第1の配線部221は平面方向への配線を行う,また第1のビア部222は絶縁膜(酸化シリコン:SiO2など)にエッチングによりあけられたホールに金属を埋め込んで,さらに上層の配線層と接続する部分である。同様に23は第2の配線層であり,231は第2の配線部,232は第2のビア部,24は第3の配線層であり,241は第3の配線部,242は第3のビア部,25は第4の配線層であり,251は第4の配線層である。各配線層において配線部の材料はアルミニウム(Al),または銅(Cu)などの金属からなる。また,ビア部に埋め込まれた金属はタングステン(W)または銅(Cu)などからなる。
【0005】
また,検出対象である欠陥に関しては,スクラッチ261,パターン欠陥であるショート262および断線263,異物264などがある。
【0006】
図3は,図2で示した半導体デバイスの各層の工程,材料および代表欠陥の説明図である。半導体デバイスの各層は,各層を形成する材料の成膜工程,リソグラフィ工程によるレジストパターン形成,形成されたレジストパターンに倣うように,成膜された材料を除去加工するエッチング工程,平坦化のためのCMP (Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)工程などにより形成される。
たとえば各工程を経て形成された半導体ウェハを光学的に検査する装置として、
特許文献1には,レーザ光源による照明系と併せて,白色光源の照明系を併せて持つ半導体ウエハ欠陥検査装置に関する技術が開示されている。
【0007】
また、照明光源として使用できる高コヒーレントブロードバンド光源としては、非特許文献1に開示されているような,光ファイバ断面内に周期的に空孔を配置したフォトニック結晶ファイバ(Photonic Crystal Fiber:PCF)に,長短パルスレーザを入射して広帯域なスーパーコンティニュアム光(Supercontinuum Light:SC光)を発生させるスーパーコンティニュアム光源,あるいは非特許文献2に開示されているような,共振器内に設置した電気光学結晶に外部発信器によりマイクロ波の変調を掛け,そこに単一波長レーザを入射することで,入力した単一波長のレーザを中心にして,マイクロ波の変調周波数間隔で広帯域で多波長のスペクトルを持つ光を発生させる,光周波数コム発生器などがある。
また、光学的に検査する装置の空間フィルタとして使用可能な2次元マイクロシャッタアレイの例として、非特許文献3および非特許文献4には、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて,100μm〜数100μmの微小な光シャッタをx-y方向に並べて数千〜数万集積し,各シャッタを個別に開閉制御可能とした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−105203号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J. K. Ranka, R. S. Windeler, A. J. Stentz, "Visible continuum generation in air-silica microstructure optical fibers with anomalous dispersion at 800nm", Optical Letter, Vol.25, No.1 (2000)
【非特許文献2】J. L. Hall, S. T. Cundiff ,"Carrier-envelope phase control of femtosecond mode-locked lasers and direct optical frequency synthesis", Science 288 (2000)
【非特許文献3】S. H. Moseley, "Microshutters Arrays for the JWST Near Infrated Spectrograph",SPIE 7010 (2008)
【非特許文献4】三田 信,「2 次元走査型LIDAR 用MEMS スキャナ」:信学技報,Vol.107,No.365(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
半導体デバイスの各層および各工程において使われる材料は様々であり,また検出対象である欠陥種も,成膜工程では異物,パターン形成のリソグラフィ工程およびエッチング工程では異物およびパターン欠陥,研磨を行うCMP工程では異物およびスクラッチなど様々である。
【0011】
図2〜3で説明した様に,半導体ウエハの検査においては,パターンの形状,材質,および検出対象である欠陥の形状・材質が多種多様である。検査装置はこれらに対応して欠陥検出感度を最適にするように複数の検出条件パラメータを設定できるように構成されている。
【0012】
特許文献1に記載されているような暗視野光学方式の欠陥検査装置は,基板からの正反射光を対物レンズで集光せずに,欠陥からの散乱光を集光する構成となっている。また,基板上に形成されたパターンや下地膜から回折・散乱して対物レンズで集光される光は,偏光フィルタや空間フィルタで抑制してセンサで受光する構成となっている。これらにより,暗視野光学方式の欠陥検査装置の検査画像は,暗い背景に対して欠陥が輝点として顕在化されたものとなるため,画像の分解能(基板試料面上のセンサ画素サイズ)が粗くても(〜1μm),これより小さいサブミクロンオーダーの欠陥の検出が可能となる。この特徴から,暗視野光学方式の欠陥検査装置は,高速・高感度の検査装置として,半導体デバイスの製造ラインで広く用いられている。
一方で,暗視野光学方式の欠陥検査装置には以下の課題が存在する。ひとつは酸化膜(透明膜)が表面に形成されたウエハの検査における,膜内多重干渉による反射強度変化に起因した欠陥検出の感度変動(感度低下)であり,また金属膜が表面に形成されたウエハの検査における,金属膜の表面粗さ(ラフネス,グレインなど)による散乱光の干渉による背景光ノイズの増大に起因した欠陥検出の感度低下である。図2および3で説明したように,半導体ウエハの製造工程においては,表面に酸化膜が形成された状態,あるいは金属膜が表面に形成された状態,さらには酸化膜上に金属膜のパターンが形成された状態で検査される場合は多く,上記2つの課題の解決が強く求められている。
【0013】
図4は,酸化膜(透明膜)が表面に形成されたウエハの検査における,膜内多重干渉による反射強度変化に起因した欠陥検出の感度変動(感度低下)を説明する図である。図中,501は基板上に成膜された酸化膜,502は酸化膜上の欠陥,503は酸化膜の下層である。511は照明光(レーザ光)であるが,これは酸化膜上の欠陥502を直接照明する成分511aと酸化膜501を透過して下層503で反射して欠陥502を照明する成分511bとが存在することになる。この2つの照明の干渉が,欠陥502を照明する光量となる。さらに,欠陥502により散乱した光は,対物レンズ521へ直接入射する成分512aと,酸化膜501を透過して,下層503で反射して対物レンズへ入射する成分512bとが存在することになる。そしてこれらの散乱光成分の干渉の結果が対物レンズに入射する光量となる。以上に述べたように,酸化膜上の欠陥検出では,照明光の干渉および散乱光の干渉の結果により欠陥からの散乱光の検出光量が決まるが,これは酸化膜501の厚さtにより変動するものとなる。半導体デバイスにおいては,デバイスの種類により酸化膜の膜厚は異なり,また同じ種類のデバイスでも図2に説明した縦構造の各層で,それぞれ設計上の酸化膜の厚さは異なる。また同じ層内でも±10%程度の膜厚変動がある。これら膜厚変動が欠陥検出光量を左右し,欠陥検出感度の変動につながることになる。
【0014】
図5は,金属膜が表面に形成されたウエハの検査における,金属膜の表面粗さ(ラフネス,グレインなど)による散乱光の干渉による背景光ノイズの増大に起因した欠陥検出の感度低下について説明する図である。601は金属膜で602はその表面粗さ,611は照明光,621は対物レンズ,622は結像レンズ,623はセンサであり,wはセンサの1画素が基板上から光を受光する範囲である。wの範囲内に複数の凹凸が存在し,それらの散乱光を612a,612bとしたとき,これらの干渉の結果によりセンサに到達する光量が決まる。散乱光612a,612bの振幅をAとした場合,それぞれの光の強度はAであり,単純なそれぞれの強度の和はA+A=2Aであるが,干渉により光が強めあう結果となった場合は光強度が(A+A)=4Aとなって,より強い光をセンサが受光して背景光ノイズが増大することとなり,欠陥検出感度が低下する原因となる。
暗視野型光学式欠陥検査装置には上記に説明したような課題があり,これを解決する技術が求められている。その一手段としては,低干渉なブロードバンド照明(多波長照明,白色照明)により検査を行う技術が開示されている。これによれば,複数波長の同時照明によって照明光の可干渉性を低減することにより,上記図4,5に説明した光干渉に起因する検出光量の増減変化を低減することが可能となる。すなわち,酸化膜(透明膜)が表面に形成されたウエハに対しては膜内多重干渉による反射強度の変動の低減が可能となり,あわせて,金属膜が表面に形成されたウエハに対しても,金属膜の表面粗さ(ラフネス,グレインなど)による背景光ノイズを低減することが可能となり,これらウエハに対する欠陥検出感度の向上を図ることが出来る。
特許文献1には,レーザ光源による照明系と併せて,白色光源の照明系を併せて持つ半導体ウエハ欠陥検査装置に関する技術が開示されているが、
この特許文献1に記載されている方法では,白色光源(ブロードバンド光源)にランプを用いることを想定しており,この場合レーザ照明と比較して照明スポットが大きくなるため,高輝度の照明を行うことが難しい。これにより,必要な検出光量を得るためにはセンサの露光時間(サンプリング時間)を長くする必要が生じ,レーザ照明と比較して検査速度が低下するという課題が生じる。また,レーザ照明系と並べて,ブロードバンド光源のための照明系を別途に設ける必要があり,装置システムが複雑化するという課題も生じる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するために,代表的には次のような構成をとる。
【0016】
すなわち,本発明では、欠陥検査方法において、高コヒーレントなブロードバンド光源から発射された高コヒーレントなブロードバンド光から所望の波長の高コヒーレントなブロードバンド光を選択し、該選択した所望の波長の高コヒーレントなブロードバンド光を一方向に長い形状に成形し、該一方向に長い形状に成形された選択された波長の高コヒーレントなブロードバンド光を表面にパターンが形成された検査対象に斜め方向から照射し,該一方向に長い形状に成形された選択された波長の高コヒーレントなブロードバンド光が斜め方向から照射された検査対象からの反射散乱光の中から前記検査対象に形成されたパターンからの散乱光を遮光し、前記検査対象からの反射散乱光のうち前記遮光されなかった散乱光の像を撮像し、該撮像して得た信号から検査画像を生成し、該生成した検査画像を処理して欠陥を抽出するようにした。
【0017】
又、本発明では、欠陥検査装置を、高コヒーレントなブロードバンド光を発射するブロードバンド光源と、該ブロードバンド光源から発射された高コヒーレントなブロードバンド光から所望の波長の高コヒーレントなブロードバンド光を選択する波長選択手段と、該波長選択手段で選択した所望の波長の高コヒーレントなブロードバンド光を一方向に長い形状に成形する光形状成形手段と、該光形状成形手段で一方向に長い形状に成形された前記波長が選択された高コヒーレントなブロードバンド光を表面にパターンが形成された検査対象に斜め方向から照射する照射手段と、該照射手段により一方向に長い形状に成形された選択された波長の高コヒーレントなブロードバンド光が斜め方向から照射された検査対象からの反射散乱光を集光する集光手段と、該集光手段で集光された前記反射散乱光の中から前記検査対象に形成されたパターンからの散乱光を遮光する空間フィルタ手段と、前記検査対象からの反射散乱光のうち前記空間フィルタ手段で遮光されなかった散乱光の像を撮像する撮像手段と、該撮像手段で撮像して得た信号から検査画像を生成する検査画像生成手段と、該検査画像生成手段で生成した検査画像を処理して欠陥を抽出する画像処理手段と、全体を制御する制御手段とを備えて構成した。
【0018】
更に、本発明では、欠陥検査装置を、検査対象に光を斜方から照射する照射手段と、該照射手段により光が照射された前記検査対象からの反射散乱光のうち前記検査対象に形成されたパターンからの反射散乱光を遮光して遮光されなかった反射散乱光の像を撮像する検出光学系手段と、該検出光学系手段で撮像して得た前記散乱光の画像を処理して前記検査対象の欠陥を抽出する画像処理手段とを備えて構成し、前記照射手段は、高コヒーレントなブロードバンド光を発射するブロードバンド光源と、該ブロードバンド光源から発射された高コヒーレントなブロードバンド光から所望の波長の高コヒーレントなブロードバンド光を選択する波長選択部と、該波長選択部で選択した所望の波長の高コヒーレントなブロードバンド光を一方向に長い形状に成形する光形状成形部と、該光形状成形部で一方向に長い形状に成形された前記波長が選択された高コヒーレントなブロードバンド光を表面にパターンが形成された検査対象に斜め方向から照射する照射手段と
を有して構成した。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば,上記に述べた構成とすることにより,酸化膜の多重干渉や金属膜の表面粗さによる干渉を低減して欠陥検出感度を向上するとともに,高輝度なブロードバンド照明により従来のレーザ照明による方式と同等の検査速度を可能とし,かつ簡略な光学システムで上記性能を実現する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】実施例1における暗視野照明方式の半導体ウェハ欠陥検査装置の基本構成を示すブロック図である。
【図1B】実施例1における暗視野照明方式の半導体ウェハ欠陥検査装置の照明光学系により半導体ウェハ上の照明領域を示す半導体ウェハの平面図である。
【図2】検査対象である半導体デバイスの縦構造を示す断面図である。
【図3】(a)半導体デバイスの各層を製造工程の順に並べた図、(b)各層の製造工程を示すフロー図、(c)各層に対応する材料,(d)各層の製造工程における代表欠陥の説明図である。
【図4】酸化膜(透明膜)によって生じる多重干渉を説明する半導体ウェハと対物レンズの断面図である。
【図5】金属膜の表面粗さによって生じる散乱光の干渉を説明する半導体ウェハ上の金属幕と検出光学系の断面図である。
【図6】(a)マイクロシャッタアレイの平面図、(b)マイクロシャッタアレイのうちの一つの光シャッタが閉じた状態を示す光シャッタの断面図、(c)マイクロシャッタアレイのうちの一つの光シャッタが開いた状態を示す光シャッタの断面図である。
【図7A】半導体ウェハに形成された凹凸パターンに照明光が当り、凹凸パターンから散乱光が発生した状態を示す半導体ウェハの拡大斜視図である。
【図7B】(a)は図7Aの半導体ウェハに単一波長の光を照明したときに検出光学系の瞳面に形成される散乱光パタンを示す瞳面の像、(b)は(a)の瞳面のパターンを遮光するためのマイクロシャッタアレイの遮光パターンの平面図、(c)は図7Aの半導体ウェハに二つの波長の光を照明したときに検出光学系の瞳面に形成される散乱光パタンを示す瞳面の像、(d)は(c)の瞳面のパターンを遮光するためのマイクロシャッタアレイの遮光パターンの平面図、(e)は図7Aの半導体ウェハにある幅の波長の光を照明したときに検出光学系の瞳面に形成される散乱光パタンを示す瞳面の像、(f)は(e)の瞳面のパターンを遮光するためのマイクロシャッタアレイの遮光パターンの平面図である。
【図8】実施例2における暗視野照明方式の半導体ウェハ欠陥検査装置の基本構成を示すブロック図である。
【図9】実施例3における暗視野照明方式の半導体ウェハ欠陥検査装置の基本構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0022】
本発明を暗視野照明方式の半導体ウェハ欠陥検査装置に適用した例を実施例1に示す。本実施例による半導体ウェハ検査装置の基本構成を図1Aに基づいて説明する。
図1に示した半導体ウェハ検査装置は、照明光学系110、検出光学系120、画像処理部130、試料である半導体ウェハ(基板)100を載置するステージ部140、全体を制御する制御部150を備えて構成されている。
【0023】
図1中の,照明光学系110において1112は高コヒーレントブロードバンド光源で,切替ミラー115により,検査対象・検査目的に応じてレーザ光源111との照明光源の切替えを行う構成となっている。
光源111又は1112から出射した光が,集光レンズ群112を透過して形成された平行な光束の照明光ビーム1110は,偏向制御素子(波長板など)113により照明光の偏光が制御され,また調光フィルタ114により照明光の光量が制御されて波長選択素子部116に入射する。この波長選択素子部116を透過した所定の波長の照明光はミラー117で反射して光路を折り曲げられてシリンドリカルレンズ118に入射し、シリンドリカルレンズ118により一方向には平行光の状態を保ったまま他の方向(前記一方向に対して直角な方向)には集光して、図1Bに示すように基板100の一方向に長い領域101を照明する。
ここで,高輝度で高コヒーレントなブロードバンド光源1112には,非特許文献1にその技術が開示されているような,光ファイバ断面内に周期的に空孔を配置したフォトニック結晶ファイバ(Photonic Crystal Fiber:PCF)に,長短パルスレーザを入射して広帯域なスーパーコンティニュアム光(Supercontinuum Light:SC光)を発生させるスーパーコンティニュアム光源,あるいは非特許文献2にその技術が開示されているような,共振器内に設置した電気光学結晶に外部発信器によりマイクロ波の変調を掛け,そこに単一波長レーザを入射することで,入力した単一波長のレーザを中心にして,マイクロ波の変調周波数間隔で広帯域で多波長のスペクトルを持つ光を発生させる,光周波数コム発生器などを用いることができる。
【0024】
このように,高輝度で高コヒーレントなブロードバンド光を照明光源として用いることで,図4および図5で説明したような,酸化膜の多重干渉や金属膜の表面粗さによる干渉を低減して欠陥検出感度を向上するとともに,高輝度なブロードバンド照明によりレーザ照明による方式と同等の検査速度を可能とし,かつ簡略な光学システムを実現することができる。
【0025】
波長選択素子部116は,波長選択素子116−1〜116−4の中から1つを選択して照明光の光路中に挿入することによりブロードバンド光源1112を使用する際に特定の波長のみを選択して照明できるようにするものである。設定としては(1)全波長を使用(2)特定の1波長を使用(3)特定の複数波長を使用(4)特定の波長帯域を使用,などを可能とする。これは,ブロードバンド光源1112を使用する際も空間フィルタを利用できるようにすること(図8にて後述),あるいは検査対象を構成する材質の光学特性(屈折率,吸収係数)が波長により変化することを利用して,欠陥検出感度を最適にする波長を選択するためのものである。
【0026】
集光レンズ群112は,光源から発生した光を検査対象上に集光して,高輝度に検査対象を照明するためのものである。ここで,照明光源の切替え,あるいは上述した波長選択による集光位置(焦点位置)の変動を補正できるように,集光レンズ群112は複数のレンズ群で構成され,可動機構を設ける構成とすることにより,光源および波長選択の状態によらず,検査対象を高輝度に照明することが可能となる。
【0027】
120は検出光学系であり,対物レンズ121は,照明光学系110により照明された半導体ウェハ100上の一方向に長い領域に存在する欠陥およびパターンからの反射散乱光を集光する。暗視野光学方式では,半導体ウェハ100からの正反射光は対物レンズ121に入射しないように構成して,欠陥によって散乱された光を集光することにより欠陥検出を行う。このため,先にも述べたように照明光学系110には高輝度の照明が行うことが求められている。124は結像レンズであり,センサ125上に半導体ウェハ100の一方向に長い照明領域の検出像を結像するものである。122は偏光フィルタ(偏光板等)であり,検出光から特定の偏光成分をフィルタリングするものである。123は空間フィルタであり,半導体ウェハ100上に規則的に形成されたパターンにより生じる規則的な回折光などを遮光することで,検出時の背景光ノイズを低減して,欠陥検出感度を向上させるものである。イメージセンサ125は光電変換により,検出された光学像を電気信号に変換するものであり,一般的にはCCD (Charge Coupled Device)センサ,CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどのアレイセンサが用いられる。
【0028】
検出光学系120において,126は波長選択素子部であり,照明光学系110中の波長選択素子部116と同様に複数の波長選択素子126−1〜126−4を備え,(1)全波長を使用、(2)特定の1波長を使用、(3)特定の複数波長を使用、(4)特定の波長帯域を使用,などの波長選択を,検出光学系側で可能とするものである。
【0029】
また,検出光学系120は、照明光源の切替え,あるいは上述した波長選択による結像位置(焦点位置)変動を補正できるように,たとえば結像レンズ124を複数のレンズ群で構成し,可動機構(図示せず)を設ける構成とすることにより,光源および波長選択の状態によらず,イメージセンサ125上全体に合焦した検査対象の像を形成することが可能となる。さらに,結像レンズ124にズーム機能を持たせ,結像倍率を制御する機能を持たせることにより,欠陥検出感度を最適化する構成とすることもできる。
【0030】
更に、検出光学系120は瞳面観察光学系127を備え、検出光学系120の光軸に対して出し入れ可能なミラー128を瞳面観察時には検出光学系120の光軸上に配置して、結像レンズ124を透過した光をモニタカメラ129の方向に折り曲げる。モニタカメラ129は、検出光学系120の瞳面と共役な位置に配置されており、同じく検出光学系120の瞳面と共役な位置に配置された空間フィルタ上に形成される照明光1110が照射された半導体ウェハ100に形成されたパターンからの反射散乱光による光パターンを観察する。検査時にはミラー128を検出光学系120の光軸からずらして、結像レンズ124を透過した光がイメージセンサ125に到達するようにする。
【0031】
画像処理部130では,イメージセンサ125から出力された電気信号を画像データに変換するとともに,この画像データを記憶しておいた基準画像データと比較処理等の画像処理を行うことにより欠陥検出を実施する。
【0032】
150は全体制御部であり,照明光学系110,検出光学系120,画像処理ユニット130,およびステージ140を制御すると共に、画像処理ユニット130での処理条件を入力したり処理結果を出力する入出力部151を備えている。
【0033】
ステージ140は基板100を載置し,X−Y−Z方向に移動することにより,基板全面の検査を行うことを可能にする。
【0034】
なお、上記した実施例においては、照明光学系110に波長選択素子部116を備え、検出光学系120に波長選択素子部126を備える構成について説明したが、波長選択素子部116または波長選択素子部126の何れか一方だけを備えるように構成してもよい。
【0035】
上記に説明したように,暗視野光学方式の欠陥検査装置は,基板からの正反射光を対物レンズで集光せずに,欠陥からの散乱光を集光する構成となっている。また,基板上に形成されたパターンや下地膜から回折・散乱して対物レンズで集光される光は,偏光フィルタや空間フィルタで抑制してセンサで受光する構成となっている。これらにより,暗視野光学方式の欠陥検査装置の検査画像は,暗い背景に対して欠陥が輝点として顕在化されたものとなるため,画像の分解能(基板試料面上のセンサ画素サイズ)が粗くても(〜1μm),これより小さいサブミクロンオーダーの欠陥の検出が可能となる。この特徴から,暗視野光学方式の欠陥検査装置は,高速・高感度の検査装置として,半導体デバイスの製造ラインで広く用いられている。
図6は,空間フィルタ123に用いる,2次元マイクロシャッタアレイの説明図である。マイクロシャッタアレイは,非特許文献3および非特許文献4に開示されているように,MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて,100μm〜数100μmの微小な光シャッタをX-Y方向に並べて数千〜数万集積し,各シャッタを個別に開閉制御可能としたものである。
図6(a)の701は2次元マイクロシャッタアレイの全体を示す。グリッドの一つ一つが光シャッタとなる構成である。
図6(b)と(c)とは一つの光シャッタの開閉状態を説明する図であり,図6(b)がシャッタ閉状態,図6(c)がシャッタ開状態を示す図である。図中711はシャッタ本体,712はシャッタを支持するトーションバー,713はシャッタアレイの強度を保つための構造体である。通常はトーションバーのバネ力により図6(b)のようにシャッタは閉状態であり,構造体713に電磁力あるいは静電力を発生させて,シャッタ711を構造体713に引き寄せることで図6(c)のようにシャッタ開状態とする構成となっている。
【0036】
図7Aは検査対象の表面に形成されたパターンの1例と,そこから生じる回折光について説明する図である。検査対象901の表面上にX方向にはピッチp1,Y方向にはピッチp2でパターン902が配置されており,これに波長λの照明光911を照射したときの回折光の回折角のピッチθは,X方向にはsinθ1=λ/p1,y方向にはsinθ2(図示せず)=λ/p2となる。
【0037】
図7Bは,2次元マイクロシャッタアレイによる遮光状態を説明する図である。検出光学系の空間フィルタ位置(検出光学系の瞳位置)での上記の回折光の像と,これを2次元マイクロシャッタアレイで遮光した状態を説明する図である。図7Bの(a)はレーザ照明,あるいはブロードバンド光源から波長選択手段により特定の1波長(λ1)を選択して照明を行った場合であり,820は検出光学系120の瞳,821は回折像である。前述の式で示したピッチに対応してX-Y方向それぞれ等間隔に回折像が生じる。これに対応して図7Bの(b)に示すように、2次元マイクロシャッタアレイの遮光位置は831のようになる。この2次元マイクロシャッタアレイの遮光位置は、検出光学系120の瞳面を瞳面観察光学系127のカメラ129で撮像して瞳面における半導体ウェハ100からの反射散乱光による光パターン(図7Bの(a))を検出して決める。すなわち、この検出した光パターンに対応する位置の2次元マイクロシャッタアレイを全体制御部150で駆動することにより図7Bの(b)に示すような2次元マイクロシャッタアレイの遮光パターンを形成することができる。 図7Bの(c)はブロードバンド光源から波長選択手段により特定の2波長(λ1,λ2)を選択して照明を行った場合であり,各波長に対応してそれぞれピッチの異なる回折像821,822が生じる。これに対応して図7Bの(d)に示すように、2次元マイクロシャッタアレイの遮光位置は832のようになる。また図7Bの(e)はブロードバンド光源から波長選択手段により特定の波長帯域(λ1〜λ2)を選択して照明を行った場合であり,照明する波長帯域に対応した回折像823が生じる。これに対応して図7Bの(f)に示すように、2次元マイクロシャッタアレイの遮光位置は833のようになる。
【0038】
このように,空間フィルタに2次元マイクロシャッタアレイを用いることで,光源にブロードバンド照明を用いて波長選択を行った場合でも,有効に空間フィルタを機能させることができ,欠陥検出感度を向上させることが可能となる。
【0039】
本実施例のように、低干渉なブロードバンド照明(多波長照明,白色照明)の光源を用いて検査を行うことにより,複数波長の光を同時照明することによって照明光の可干渉性を低減することができ,光干渉に起因する検出光量の増減変化を低減することが可能となり,膜内多重干渉による反射強度の変動の低減が可能となる。また,金属膜が表面に形成されたウエハに対しても,金属膜の表面粗さ(ラフネス,グレインなど)による背景光ノイズを2次元マイクロシャッタアレイで低減することが可能となり,これらウエハに対する欠陥検出感度の向上を図ることが出来る。
【実施例2】
【0040】
図8は,本発明の第2の実施例の説明図である。
【0041】
図8は,図1で説明した本発明の第1の実施例の構成に加えて,検出光学系1201の対物レンズ121の上に光路分岐機構1211(ハーフミラー等)を設け,一方は実施例1の場合と同様に光学系122乃至126を備えた第1の検出系とし、光路分岐機構1211で分岐されて第2の光学フィルタリング手段(偏光フィルタ1221,空間フィルタ1231,波長選択素子部1261)と第2の結像レンズ1241,第2のイメージセンサ1251,を備えた第2の検出系とで構成したものである。また,第2の検出系の第2の光学フィルタリング手段は,第1の検出系の第1の光学フィルタリング手段(偏光フィルタ122,空間フィルタ123,波長選択素子部126)とは独立に制御可能な構成とするものである。
【0042】
なお、第2の検出系の空間フィルタ1231は、第2の検出系の瞳面に設置されている。
【0043】
この構成において、空間フィルタ123と空間フィルタ1231との位置に現れる瞳面のパターンは同じ形状であるので、瞳面観察光学系127は実施例1と同様に第1の検出系に設置し、瞳面観察光学系127で観察した第1の検出系の瞳面の像に基づいて全体制御部1510で空間フィルタ123と1231とを制御してそれぞれに2次元シャッタアレイの遮光パターンを形成する。
これにより,2つのイメージセンサ125および1251では異なる光学条件(例えば、波長選択素子部126と波長選択素子1261とで異なる特性の波長選択素子を設定して異なる波長を選択する、または偏光フィルタ122と偏光フィルタ1221とで異なる偏光条件を設定する)による2つの検査画像を同時に得ることが可能となる。この2つの検査画像を画像処理部1310で処理することで,単一画像での画像処理よりも多い情報量を元に欠陥判定を行うことが可能となり,検出感度の向上を図ることが出来る。
【実施例3】
【0044】
図9は,本発明の第3の実施例における半導体ウェハ検査装置の構成を示す図である。本実施例では、実施例1において図1を用いて説明した半導体ウェハ検査装置の構成に加えて,第2の検出光学系1202,すなわち第2の対物レンズ1212,第2の光学フィルタリング手段(偏光フィルタ1222,空間フィルタ1232,波長選択素子1262)と第2の結像レンズ1242,第2のイメージセンサ1252を設けたものである。
照明光学系110の構成及び作用は、実施例1で説明したものと同じである。
第2の実施例同様,第2の光学フィルタリング手段は,第1の検出光学系120の第1の光学フィルタリング手段(偏光フィルタ122,空間フィルタ123,波長選択素子126)とは独立に制御可能な構成とするものである。
【0045】
この構成において、空間フィルタ123と空間フィルタ1232との位置に現れる瞳面のパターン形状は異なるので、第1の検出系に第1の瞳面観察光学系127を設置し、第2の検出系に第2の瞳面観察光学系1272を設置する。第1の検出系の光路中に挿入した瞳面観察光学系127のミラー128で折り曲げた半導体ウェハ100からの反射散乱光をモニタカメラ129で撮像して観察した第1の検出系の瞳面の像に基づいて全体制御部1520で空間フィルタ123を制御する。一方、第2の検出系の光路中に挿入した瞳面観察光学系1272のミラー1282で折り曲げた半導体ウェハ100からの反射散乱光をモニタカメラ1292で撮像して観察した第2の検出系の瞳面の像に基づいて全体制御部1520で空間フィルタ1232を制御する。これにより、空間フィルタ123と空間フィルタ1232のそれぞれに2次元シャッタアレイの遮光パターンを形成する。
これにより,2つのイメージセンサ125および1252では異なる光学条件による2つの検査画像を同時に得ることが可能となる。この2つの検査画像を画像処理部1320で処理することで,単一画像での画像処理よりも多い情報量を元に欠陥判定を行うことが可能となり,検出感度の向上を図ることが出来る。
【0046】
なお,図9では,第1の検出光学系の光軸を検査対象の表面の垂直方向に,第2の検出光学系の光軸を検査対象の表面の垂直方向から傾けた配置としたが,これに限るものではなく,第1・第2の検出光学系をともに表面の垂直方向から傾けた配置としても良い。
【0047】
また、上記した実施例1乃至3においては、照明光学系110にレーザ光源111とブロードバンド光源1112とを備えて切替ミラー115で何れかの高原を選択する構成について説明したが、本発明ではこれに限らず、レーザ光源111と切替ミラー115とを用いずに、ブロードバンド光源1112だけを備えた構成としても良い。
【0048】
以上の説明においては,半導体ウエハの検査を例に述べたが,本発明は,上記形態に限ることなく,パターンが形成された検査対象における検査方法および検査装置に適用可能であり,例えばフラットパネルディスプレイ(液晶ディスプレイ,プラズマディスプレイ,有機ELディスプレイ等)や,パターンの形成されたストレージ製品(DTM:ディスクリートトラックメディア,BPM:ビットパターンメディア)の基板検査などへも適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
100・・・半導体ウエハ 110・・・照明光学系 111・・・レーザ光源 1112・・・高コヒーレントブロードバンド光源 112・・・集光光学系 113・・・偏光制御素子 114・・・調光素子 116・・・波長選択素子部 120・・・検出光学系 121・・・対物レンズ 122・・・偏光フィルタ 123・・・空間フィルタ 124・・・結像レンズ 125・・・イメージセンサ 126・・・波長選択素子部 127・・・瞳観察光学系 130・・・画像処理部 140…ステージ 150・・・全体制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高コヒーレントなブロードバンド光源から発射された高コヒーレントなブロードバンド光から所望の波長の高コヒーレントなブロードバンド光を選択し、該選択した所望の波長の高コヒーレントなブロードバンド光を一方向に長い形状に成形し、該一方向に長い形状に成形された選択された波長の高コヒーレントなブロードバンド光を表面にパターンが形成された検査対象に斜め方向から照射し,該一方向に長い形状に成形された選択された波長の高コヒーレントなブロードバンド光が斜め方向から照射された検査対象からの反射散乱光の中から前記検査対象に形成されたパターンからの散乱光を遮光し、前記検査対象からの反射散乱光のうち前記遮光されなかった散乱光の像を撮像し、該撮像して得た信号から検査画像を生成し、該生成した検査画像を処理して欠陥を抽出することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項2】
前記検査対象からの反射散乱光のうち前記遮光されなかった散乱光のうち波長選択フィルタを透過した散乱光の像を撮像し、該撮像して得た信号から検査画像を生成し、該生成した検査画像を処理して欠陥を抽出することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査方法。
【請求項3】
前記高コヒーレントなブロードバンド光源から発射された高コヒーレントなブロードバンド光を偏光フィルタで所望の偏光状態に偏光させた後に前記所望の波長の高コヒーレントなブロードバンド光を選択することを特徴とする請求項1または2に記載の欠陥検査方法。
【請求項4】
前記検査対象からの反射散乱光の中から前記検査対象に形成されたパターンからの散乱光を、2次元に配置されたマイクロシャッタアレイで構成された空間フィルタで遮光することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の欠陥検査方法。
【請求項5】
前記2次元に配置されたマイクロシャッタアレイを配置した位置における前記前記検査対象からの反射散乱光の像をモニタし、該モニタした反射散乱光の像の情報を用いて前記2次元に配置されたマイクロシャッタアレイで前記反射散乱光を遮光する空間フィルタの遮光パターンを生成することを特徴とする請求項4に記載の欠陥検査方法。
【請求項6】
前記高コヒーレントなブロードバンド光源から発射された高コヒーレントなブロードバンド光から所望の波長の高コヒーレントなブロードバンド光を選択することを、複数の波長選択フィルタの中から選択して前記所望の波長に対応する波長選択フィルタで選択することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の欠陥検査方法。
【請求項7】
高コヒーレントなブロードバンド光を発射するブロードバンド光源と、
該ブロードバンド光源から発射された高コヒーレントなブロードバンド光から所望の波長の高コヒーレントなブロードバンド光を選択する波長選択手段と、
該波長選択手段で選択した所望の波長の高コヒーレントなブロードバンド光を一方向に長い形状に成形する光形状成形手段と、
該光形状成形手段で一方向に長い形状に成形された前記波長が選択された高コヒーレントなブロードバンド光を表面にパターンが形成された検査対象に斜め方向から照射する照射手段と、
該照射手段により一方向に長い形状に成形された選択された波長の高コヒーレントなブロードバンド光が斜め方向から照射された検査対象からの反射散乱光を集光する集光手段と、
該集光手段で集光された前記反射散乱光の中から前記検査対象に形成されたパターンからの散乱光を遮光する空間フィルタ手段と、
前記検査対象からの反射散乱光のうち前記空間フィルタ手段で遮光されなかった散乱光の像を撮像する撮像手段と、
該撮像手段で撮像して得た信号から検査画像を生成する検査画像生成手段と、
該検査画像生成手段で生成した検査画像を処理して欠陥を抽出する画像処理手段と、
全体を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項8】
前記ブロードバンド光源から発射された高コヒーレントなブロードバンド光を所望の偏光状態に偏光させる偏光フィルタ部を更に備え、該偏光フィルタ部で所望の偏光状態に偏光させられた前記高コヒーレントなブロードバンド光から前記波長選択手段で所望の波長の高コヒーレントなブロードバンド光を選択することを特徴とする請求項7記載の欠陥検査装置。
【請求項9】
前記空間フィルタ手段は、2次元に配置されたマイクロシャッタアレイを備え、検査対象からの反射散乱光のうち前記検査対象に形成されたパターンからの散乱光を前記2次元に配置されたマイクロシャッタアレイで遮光することを特徴とする請求項7または8に記載の欠陥検査装置。
【請求項10】
前記検査対象からの反射散乱光の像をモニタするモニタ手段を更に備え、前記制御手段は前記モニタ手段で前記2次元に配置されたマイクロシャッタアレイを配置した位置における前記検査対象からの反射散乱光の像を撮像して得た該反射散乱光の像の情報を用いて前記2次元に配置されたマイクロシャッタアレイを制御して前記反射散乱光を遮光する空間フィルタの遮光パターンを生成することを特徴とする請求項9に記載の欠陥検査装置。
【請求項11】
前記波長選択手段は複数の波長選択フィルタを備え、該複数の波長選択フィルタの中から選択した前記所望の波長に対応する波長選択フィルタで前記高コヒーレントなブロードバンド光から所望の波長の高コヒーレントなブロードバンド光を選択することを特徴とする請求項7または8に記載の欠陥検査装置。
【請求項12】
レーザ光源と光路切替手段とを更に備え、該光路切替手段で前記レーザ光源を選択したときに、前記レーザ光源から発射したレーザを前記光形状成形手段と前記照射手段とを介して前記検査対象に照射することを特徴とする請求項7記載の欠陥検査装置。
【請求項13】
検査対象に光を斜方から照射する照射手段と、
該照射手段により光が照射された前記検査対象からの反射散乱光のうち前記検査対象に形成されたパターンからの反射散乱光を遮光して遮光されなかった反射散乱光の像を撮像する検出光学系手段と、
該検出光学系手段で撮像して得た前記散乱光の画像を処理して前記検査対象の欠陥を抽出する画像処理手段とを備え、
前記照射手段は、
高コヒーレントなブロードバンド光を発射するブロードバンド光源と、
該ブロードバンド光源から発射された高コヒーレントなブロードバンド光から所望の波長の高コヒーレントなブロードバンド光を選択する波長選択部と、
該波長選択部で選択した所望の波長の高コヒーレントなブロードバンド光を一方向に長い形状に成形する光形状成形部と、
該光形状成形部で一方向に長い形状に成形された前記波長が選択された高コヒーレントなブロードバンド光を表面にパターンが形成された検査対象に斜め方向から照射する照射手段と
を有することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項14】
前記ブロードバンド光源から発射された高コヒーレントなブロードバンド光を所望の偏光状態に偏光させる偏光フィルタ部を更に備え、該偏光フィルタ部で所望の偏光状態に偏光させられた前記高コヒーレントなブロードバンド光から前記波長選択手段で所望の波長の高コヒーレントなブロードバンド光を選択することを特徴とする請求項13記載の欠陥検査装置。
【請求項15】
前記検出光学系手段は、2次元に配置されたマイクロシャッタアレイを備えた空間フィルタを有し、前記検査対象に形成されたパターンからの反射散乱光を前記2次元に配置されたマイクロシャッタアレイで遮光することを特徴とする請求項13または14に記載の欠陥検査装置。
【請求項16】
前記検査対象からの反射散乱光の像をモニタするモニタ手段を更に備え、前記制御手段は前記モニタ手段で前記2次元に配置されたマイクロシャッタアレイを配置した位置における前記検査対象からの反射散乱光の像を撮像して得た該反射散乱光の像の情報を用いて前記2次元に配置されたマイクロシャッタアレイを制御して前記反射散乱光を遮光する空間フィルタの遮光パターンを生成することを特徴とする請求項15に記載の欠陥検査装置。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−257222(P2011−257222A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130910(P2010−130910)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】