説明

歪み、反り、及びTTVが少ない75ミリメートル炭化珪素ウェハ

【課題】薄切りしたSiCウェハの歪み、反り、全厚さ変動(TTV)を低減する。
【解決手段】直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)のSiCブールを、SiCの種結晶使用昇華成長により成長させ、該SiCブールを薄切りにして少なくとも1つのウェハを得る。その後、内層面損傷がウェハの各側において同一となるように、ラッピング下方力を、前記ウェハを折り曲げる下方力未満の量に制限しつつ、SiCウェハをラッピングし、SiCウェハを研磨する。これにより、高品質のSiC単結晶ウェハ16が得られる。該ウェハ16上には複数の窒化物エピタキシャル層18等が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低欠陥炭化珪素基板及びその半導体を目的とする先駆体としての使用、大型、高品質炭化珪素単結晶の種結晶使用昇華成長、ならびにこのような低欠陥ウェハ上における高品質エピタキシャル成長に関する。
また、本発明は、同時継続中であり、本願と同じ譲受人に譲渡された以下の米国特許出願第20050145164号、第20050022734号、第20050022727号、第20050164482号、第20060032434号、及び第20050126471号に関係がある。
【背景技術】
【0002】
近年、炭化珪素は、種々の電子デバイス及び目的のための半導体材料としての使用が見出されている。炭化珪素は、特に、その物理的強度及び化学的攻撃に対する高い抵抗力のために有用である。また、炭化珪素の電子的固有性は優れており、その電子的固有性には、放射線硬度(radiation hardness)、高耐圧電界(high breakdown field)、比較的広いバンド・ギャップ、高い飽和電子ドリフト速度、高温動作、ならびにスペクトルの青、紫、及び紫外線領域における高エネルギ光子の吸収及び放出が含まれる。
【0003】
炭化珪素は、150以上のポリタイプで結晶化し、その一部は非常に小さい熱力学的相違によって互いに分離するので、工作が難しい材料である。更に、炭化珪素の融点が高い(高圧下において2700℃以上)ために、エピタキシャル膜の体積を含む、炭化珪素に工作するための多くのプロセスは、他の半導体材料における類似の反応よりも遥かに高い温度で実行する必要がある場合が多い。
【0004】
関連技術における当業者は十分に認識しているであろうが、所与の半導体材料から作られたデバイス又はそれを含むデバイスの電子的性能は、材料の物理的特性に依存し(例えば、バンド・ギャップは、生成可能な光の最高周波数波長を制限する)、そして結晶の品質にも依存する。言い方を変えると、多結晶半導体材料において数個の電子デバイスを形成することに成功できたとしても、それらよりも多くの電子デバイスは、高い結晶品質やそれによる優れた性能を有する単結晶半導体部分を必要とする。更に言い方を変えると、炭化珪素を含む所与の半導体材料の理論的能力(capabilities)は、材料を有用な品質及び量で生産できなければ、そしてそうできるようになるまでは、機能的には無意味なままである。
【0005】
単結晶炭化珪素は、多くの場合、種結晶使用昇華成長プロセス(seeded sublimation growth process)によって生産される。典型的な炭化珪素成長技法では、種結晶及びソース・パウダ双方を反応坩堝に入れ、反応坩堝をソースの昇華温度まで、そしてソースと周辺の温度が低い種結晶との間に熱的勾配が発生するように加熱する。ソース・パウダは、種結晶と同様、炭化珪素である。坩堝は垂直に向けられ、ソース・パウダが下位部分にあり、種結晶が最上部の、通例、種結晶保持部上に位置する。米国特許第4,866,005号(Re34,861号として再発行された)を参照のこと。これらの情報源は、最新の種結晶使用昇華成長技法の説明の一例であり、限定ではない。
【0006】
バルク成長に続いて、結晶を、所定の形状を有するブロックに切断し、周辺を研磨し、次いでスライサ内にセットすることが多い。スライサにおいて、結晶ブロックを、高速回転ブレードによって、所定の厚さを有するウェハに薄切りにする。
通例、スライシング・ブレードは、代表的には、内径鋸(inner diameter saw)であり、薄い鋼板を環状に切断し、Niめっき層を堆積することによって準備する。Niめっき層の中では、環状の鋼板の内縁上にダイアモンドの研ぎ粉が埋め込まれている。
【0007】
このように結晶インゴットを薄切りにすることによって得られたウェハは、スライシング・ブレードにかけられる張力、ダイアモンド研ぎ粉のブレード内縁への接着、そしてスライサの回転軸の寸法精度のような、種々の条件により、厚さ及び平面性に逸脱が生ずる可能性が高い。薄切りにするときの条件が適切でないと、表面から延びる工作損傷層が発生し、薄切りにしたウェハの内部深くまで達することになる。
また、この薄切り動作は、ワイヤ・ソーの使用によって遂行することができ、ワイヤが切断ブレードの代わりに用いられる。この場合、研ぎ粉は、ワイヤ内に埋め込まれるか、又はスラリに含有し薄切り動作の直前に、スラリをワイヤ上に噴霧する。この場合、同様の厚さ及び平面性のばらつきが観察されている。
【0008】
これらの薄切りによって生ずる好ましくないばらつきは、薄切りにしたウェハをラップ(lap)することによって低減することができる。
図1(a)及び図1(b)を参照すると、従来のラッピング方法では、複数のウェハ2をキャリア4内にセットし、ウェハ2を下位ラッピング・プレート6上に配置し、ウェハ2が下位ラッピング・プレート6上に均一に分散されるようにする。上位ラッピング・プレート8を下降させてウェア2と接触させて、研ぎ粉を、下位ラッピング・プレート6と上位ラッピング・プレート8との間の隙間に供給し、ウェハ2を自転及び回転させる(rotated and revolved)。自転及び回転の間、研ぎ粉によってウェハ2を研磨する。一般によく用いられるスラリを準備するには、ダイアモンド又は窒化硼素粒子を、約10μmの粒子サイズを有する研ぎ粉として、適量の水又はその他の溶剤の中に懸濁させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のラッピング及びスライシング技法の欠点の1つは、薄切りしたウェハに歪み、反り、そして全厚さ変動(TTV:total thickness variations)が生ずることである。「歪み」とは、基準面から測定したウェハ表面の最小値及び最大値間の差と定義する。逸脱は、凸状及び凹状双方のばらつきを含む。歪みは、全体的な欠陥(bulk defect)である(即ち、ウェハ表面の一部だけでなく、ウェハ全体に影響を及ぼす欠陥)。「反り」は、任意の厚さ変動と関係ない、ウェハの中心から測定したウェハの凹陥又は変形である。「全厚さ変動」とは、ウェハの最も厚い部分と最も薄い部分との間の厚さの絶対差である。
【0010】
歪み、反り及びTTVが大きいウェハは、色々な理由から望ましくない場合がある。例えば、エピタキシャル成長プロセスの間、歪み、反り及びTTVレベルが高いと、ウェハとサセプタとの間の接触が不規則になる。このような不規則な接触によって、エピタキシャル成長プロセスの間種結晶全体に熱変動が生ずる虞れがある。また、歪み値が高いと、ウェハが真空チャックに吸着され下降する際に誘発する応力によって、デバイス製作ステップ中にウェハに亀裂が生ずる危険性が増大する虞れがある。
したがって、種結晶使用昇華システムにおいて形成される結晶から薄切りされるウェハにおいて、歪み、反り及びTTVレベルが低く、大型の高品質炭化珪素を生産することは、相変わらず技術及び商業的な目標である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様において、本発明は、直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)であり、歪みが約5μm未満であり、反りが約5μm未満であり、TTVが約2.0μm未満である、SiCの高品質単結晶ウェハである。
別の態様では、本発明は、直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)であり、歪みが約0.4μm未満であり、反りが約0.4μm未満であり、TTVが約0.9μm未満である、SiC半導体ウェハである。
別の態様では、本発明は、直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)であり、歪みが約5μm未満であり、反りが約5μm未満であり、TTVが約2.0μm未満であるSiCの高品質単結晶ウェハ上における、SiC又はIII−V族材料のエピタキシャル成長方法である。
更に別の態様では、本発明は、直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)であり、歪みが約5μm未満であり、反りが約5μm未満であり、TTVが約2.0μm未満であるSiCの単結晶基板上に製作した複数の電力、マイクロ波、又はLEDデバイスである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1(a)】本発明に応じて用いられる従来の両面ラッピング機械の模式図である。
【図1(b)】本発明に応じて用いられる従来の両面ラッピング機械の模式図である。
【図2】本発明による半導体ウェハである。
【図3】本発明による複数の半導体先駆デバイスである。
【図4】本発明による種結晶使用昇華システムの模式断面図である。
【図5】本発明による金属酸化物半導体電界効果トランジスタの模式断面図である。
【図6】本発明による金属半導体電界効果トランジスタの模式断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、高品質炭化珪素ウェハを改善するための様々な技法を組み入れる。
一態様では、本発明は、直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)、歪みが約0.5μm未満、更に好ましくは0.4μm未満、最も好ましくは約0.3μm未満、反りが約0.5μm未満、更に好ましくは約0.4μm未満、最も好ましくは約0.3μm未満、そしてTTVが約2.0μm未満、更に好ましくは0.9μm未満、最も好ましくは0.8μm未満である、SiCの高品質単結晶ウェハである。単結晶SiCのポリタイプは、好ましくは、3C、4H、6H、2H又は15Rである。
【0014】
種結晶の直径及び厚さの寸法上の割合を考慮する場合、百分率、分数、又は比率のいずれで表現するかには関係なく、本発明が提供する改善に関しては、これらの割合は、ここに記載する大口径種結晶に関してそれらの発明的な意味があることは言うまでもない。
したがって、関連する実施形態では、通常直径で示す、結晶の絶対寸法を含むように、本発明を記述し特許請求する。尚、単結晶では、2インチ、3インチ、及び100mmの直径が好ましい。
【0015】
別の態様では、本発明は高品質半導体ウェハである。このウェハは、4Hポリタイプの炭化珪素ウェハであり、その直径は少なくとも約75ミリメートル(3インチ)、歪みは約0.05μm及び約0.5μmの間、反りは約0.01μm及び約0.3μmの間、そしてTTVは約0.5μm及び1.0μmの間である。
【0016】
別の態様では、本発明は高品質半導体ウェハである。このウェハは、4Hポリタイプの炭化珪素ウェハであり、直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)、そして反りが約0.5μm未満である。
【0017】
別の態様では、本発明は、高品質半導体ウェハである。このウェハは、4Hポリタイプの炭化珪素ウェハであり、直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)、そしてTTVが約1.0μm未満である。
【0018】
別の態様では、図2に模式的に示すように、本発明は、4Hポリタイプを有する高品質炭化珪素半導体ウェハ10であり、直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)、歪みが約0.5μm未満、反りが約0.5μm未満、そしてTTVが約1.0μm未満である。加えて、このウェハは、表面上に配したIII族窒化物エピタキシャル層12を有する。III族窒化物層12は、好ましくは、GaN、AlGaN、AlInGaN、InN、及びAlInNの内の1つ以上である。
【0019】
III族窒化物の成長及び電子的特性は、当技術分野では一般に広く理解されている。炭化珪素基板上のIII族窒化物層は、ある種の発光ダイオード(LED)の基本的構造(feature)である。望ましい要因の中でも、とりわけ、III族元素の原子分率(例えば、InGa1−x−y)が組成のバンド・ギャップを(限度以内で)適応的に設定し、同様に、その結果得られる発光周波数、したがってLEDの色も適応するように設定する。
【0020】
図3に関して、本発明は、SiC種結晶16上にある複数の炭化珪素半導体デバイスの先駆体14であり、SiC種結晶16は、直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)、歪みが約0.5μm未満、反りが約0.5μm未満、TTVが約1.0μm未満である。加えて、このウェハは、そのいくつかの部分に、複数のIII族窒化物エピタキシャル層18をそれぞれ有する。好ましいIII族窒化物エピタキシャル層は、GaN、AlGaN、AlN、AlInGaN、InN、及びAlInNから個別に選択する。
【0021】
図4は、炭化珪素の種結晶使用昇華成長のための昇華システムの断面模式図である。このシステムを全体的に20で示す。殆どの典型的なシステムにおけると同様、システム20は、グラファイト製サセプタ22と、複数の誘導コイル24とを含み、コイル24を通じて電流が印加されるとサセプタ22を加熱する。あるいは、システムによっては、抵抗性加熱を組み込む場合もある。尚、これらの結晶成長技法に精通する者には、本システムは、例えば、水冷クオーツ製ベッセルのような、ある状況内に密閉される可能性もあることは言外であろう。加えて、サセプタ22と連通する少なくとも1つのガス入口及び出口(図示せず)も、種結晶使用昇華システム20には含まれている。サセプタ22は、通例、絶縁体26で包囲されており、そのいくつかの部分が図4に示されている。サセプタ22は、炭化珪素パウダ源28を収容する1つ以上の部分を含む。このようなパウダ源28は、炭化珪素用の種結晶使用昇華成長技法では最も広く用いられているが、これだけに限られるのではない。炭化珪素種結晶は30で示されており、通例サセプタ22の上位部分に置かれる。種結晶30は、好ましくは、単結晶SiC種結晶であり、直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)、歪みが約0.5μm、反りが約0.5μm、そしてTTVが約1.0μmである。種結晶使用昇華成長の間に、成長する結晶34が種結晶30上に堆積する。通例、種結晶保持部32が種結晶30を適所に保持し、種結晶保持部32はしかるべき様式でサセプタ22に取り付けられている。これは、当業者には周知の種々の構成を含むことができる。
【0022】
別の態様では、本発明は、種結晶使用昇華システムにおいて炭化珪素の高品質バルク単結晶を生産する方法であり、その改良には、直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)のSiCブールを成長させ、その後、好ましくは機械的に、SiCブールを薄切りにしてウェハ状とすることを含む。各ウェハの歪みは約0.5μm未満であり、反りは約0.5μm未満であり、TTVは表面上において約1.0μm未満である。好ましくは、ウェハの厚さは約0.5mmである。
【0023】
好適な実施形態では、薄切りにしたウェハを処理し、各側における表面及び内層面の損傷レベルが、既に論じたラッパ(lapper)によって誘発される損傷レベルと同等となるようにする。両面ラッパ上において、ウェハを折り曲げるのに必要な下方力よりも小さい下方力を用いて、ラッピング・プロセスを開始する。例えば、直径75ミリメートル(3インチ)、厚さ600μmのウェハには、約200gに等しい力が適している可能性が高い。得られたウェハには、反りが誘発されているが、特異な損傷(differential damage)によるものではなく、標準的な両面又は単面研磨によって処理し、歪み、反り及びTTVが低いウェハを生産することができる。
【0024】
次いで、SiCウェハを研磨しエッチングすることが好ましい場合もある。好ましい研磨は、化学機械的研磨であり、好ましいエッチングは、溶融KOHエッチング(molten KOH etch)である。エッチングは、表面上の欠陥を強調するための品質制御技法として遂行し、更なるSiC又はIII−V成長への先駆ステップとしては不要である(そして、望ましくない)。つまり、成長は、エッチングされていない研磨された種結晶上で遂行するのが通例である。
【0025】
当技術分野では周知のように、SiCブールは、種結晶使用昇華システムにおいて成長させることが好ましい。ブールを薄切りにしてウェハ状とした後、次にこれらのウェハを、炭化珪素の単結晶の種結晶使用昇華成長において種結晶として用いることもできる。
本明細書の背景の部分で注記したように、炭化珪素の種結晶使用昇華成長の一般的な態様は、長年にわたり総合的に確立している。更に、所与の技法の詳細は、通常故意に、取り巻く状況に応じて変化することは、特に炭化珪素のような困難な材料径における結晶成長に精通する者には認められよう。したがって、ここに示す記載は、一般的及び概略的な意味で捕らえることが最も適切であり、当業者であれば、過度な実験を行わなくても、この開示に基づいて、本発明の改善を遂行できることは認められるであろう。
【0026】
本発明の記載にあたり、多数の技法が開示されることは理解できるであろう。これらの各々は、個々の便益を有し、各々は、その他の開示した技法の1つ以上、又は場合によっては全てと共に用いることもできる。したがって、明確化のために、この記載では、個々のステップに可能なあらゆる組み合わせを不要に繰り返すことは、控えることにする。しかしながら、本明細書及び特許請求の範囲を読む際には、このような組み合わせも全て発明の範囲及び特許請求の範囲に該当するように理解することは言うまでもない。
【0027】
背景において概略的に記したように、電子デバイスの性能固有性は、通例、種々のデバイス部分の結晶品質が改善されれば、改善される。したがって、本発明のウェハの欠陥低減特性は、同様に、デバイスの改善をももたらす。即ち、歪み、反り、及びTTVが5μm以下に減少するので、高電力及び高電流化したデバイスが増々入手し易くなる。
【0028】
したがって、別の態様では、本発明は、低欠陥75ミリメートル(3インチ)炭化珪素ウェハ上に形成した複数の電界効果トランジスタである。ウェハは、歪みが約0.5μm未満、反りが約0.5μm未満、そしてTTVが約1.0μm未満である。
【0029】
別の態様では、本発明は、低欠陥75ミリメートル(3インチ)炭化珪素ウェハ上に形成した複数の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である。ウェハは、歪みが約0.5μm未満、反りが約0.5μm未満、そしてTTVが約1.0μm未満である。図5は、基本的なMOSFET構造の模式断面図である。バルク単結晶基板44は、互いに対向する第1表面48及び第2表面50をそれぞれ含む。基板上のエピタキシャル層が、ソース52、チャネル56、及びドレイン54をそれぞれ有し、チャネル56がゲート・コンタクト64によって酸化物層62を通じて制御される。ソース及びドレイン・コンタクト58、60は、それぞれ、ソース及びドレイン部分52、54上にある。MOSFETの構造及び動作、ならびにMOSFETの組み合わせや変形は、当技術分野では周知であり、図5及びその説明は、特許請求する発明を限定するものではなく、一例に過ぎない。
【0030】
図6を参照すると、別の態様では、本発明は、低欠陥75ミリメートル(3インチ)炭化珪素ウェハ68上に形成した複数の金属半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)66である。ウェハ68は、歪みが約0.5μm未満、反りが約0.5μm未満、そしてTTVが約1.0μm未満である。基板68は、互いに対向する第1表面70及び第2表面72をそれぞれ含む。導電性チャネル74が、基板68の第1表面70上に配されている。オーミック・ソース76及びドレイン78コンタクトが、導電性チャネル74の上に配されている。金属ゲート・コンタクト80が、導電性チャネル74上のソース76及びドレイン78の間に配されており、バイアスが金属ゲート・コンタクト80に印加されると、アクティブ・チャネルを形成する。
【0031】
当技術分野では周知のように、本発明によれば、炭化珪素ウェハ上に、1つよりも多い種類のデバイスを設けることもできる。含ませることができる追加のデバイスは、接合型電界効果トランジスタ、ヘテロ電界効果トランジスタ、ダイオード、及び当技術分野では周知のその他のデバイスである。これら(及びその他の)デバイスの構造及び動作は、当技術分野では良く理解されており、過度な実験を行わなくても、ここに記載され特許請求の範囲に記載された基板を用いて実施することができる。
【0032】
実施例
本発明にしたがって、直径3インチ、厚さ約1ミリメートルの一連のSiCウェハを形成した。これらのウェハの歪み、反り及びTTVを以下の表1に示す。
【表1】

【0033】
図面及び明細書において、本発明の典型的な実施形態を開示した。具体的な用語を用いたが、包括的及び記述的な意味であって、限定を目的としてそうしたのではない。発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に明記されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶のSiCウェハであって、直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)であり、歪みが約5μm未満であり、反りが約5μm未満であり、TTVが約2.0μm未満であることを特徴とするSiCウェハ。
【請求項2】
請求項1記載のSiCウェハにおいて、前記歪みが約2μm未満であることを特徴とするSiCウェハ。
【請求項3】
請求項1記載のSiCウェハにおいて、前記歪みが約1μm未満であることを特徴とするSiCウェハ。
【請求項4】
請求項1記載のSiCウェハにおいて、前記反りが約2μm未満であることを特徴とするSiCウェハ。
【請求項5】
請求項1記載のSiCウェハにおいて、前記反りが約1μm未満であることを特徴とするSiCウェハ。
【請求項6】
請求項1記載のSiCウェハにおいて、前記TTVが約1.5μm未満であることを特徴とするSiCウェハ。
【請求項7】
請求項1記載のSiCウェハにおいて、前記TTVが約1μm未満であることを特徴とするSiCウェハ。
【請求項8】
請求項1記載のSiCウェハにおいて、前記結晶は、3C、4H、6H、2H、及び15Rのポリタイプから成る群から選択されたポリタイプを有することを特徴とするSiCウェハ。
【請求項9】
請求項1記載のSiCウェハであって、該ウェハは4Hポリタイプを有し、
前記ウェハは、歪みが約0.05μm及び約5μmの間であり、反りが約0.05μm及び約5μmの間であり、TTVが約0.5及び2.0μmの間であることを特徴とするSiCウェハ。
【請求項10】
請求項1記載の半導体ウェハであって、
直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)である炭化珪素ウェハであって、歪みが約5μm未満であり、反りが約5μm未満であり、TTVが約2.0μm未満である炭化珪素ウェハと、
前記炭化珪素ウェハの前記表面上にある少なくとも1つのIII族窒化物エピタキシャル層と、
を備えていることを特徴とする半導体ウェハ。
【請求項11】
請求項10記載の半導体ウェハにおいて、前記III族窒化物層は、GaN、AlGaN、AlInGaN、InN、AlInN、及びこれら組み合わせから成る群から選択されることを特徴とする半導体ウェハ。
【請求項12】
請求項1記載の半導体ウェハにおいて、該ウェハは、
互いに対向するそれぞれの第1及び第2表面と、
前記炭化珪素基板上にある複数のデバイスであって、該デバイスの各々が、
前記基板上に配置されたエピタキシャル層であって、前記エピタキシャル層を第1導電型にするのに適したドーパント原子濃度と、ソース、チャネル、及びドレイン部分のそれぞれとを有する、エピタキシャル層と、
前記チャネル部分上にある金属酸化物層と、
前記金属酸化物層上にあり、バイアスが印加されるとアクティブ・チャネルを形成する金属ゲート・コンタクトと、
からなる、複数のデバイスと、
を備えていることを特徴とする半導体ウェハ。
【請求項13】
請求項1記載の半導体ウェハにおいて、該ウェハは、
互いに対向するそれぞれの第1及び第2表面と、
前記炭化珪素基板上にある複数のデバイスであって、該デバイスの各々が、
前記基板上にある導電性チャネルと、
前記導電性チャネル上にあるソース及びドレインと、
前記導電性チャネル上の前記ソース及び前記ドレイン間にあり、バイアスを印加するとアクティブ・チャネルを形成する金属ゲート・コンタクトと、
からなる、複数のデバイスと、
を備えていることを特徴とする半導体ウェハ。
【請求項14】
請求項1記載の半導体ウェハにおいて、該ウェハは、
互いに対向するそれぞれの第1及び第2表面と、
前記単結晶炭化珪素基板上に配置された複数の接合型電界効果トランジスタと、
を備えていることを特徴とする半導体ウェハ。
【請求項15】
請求項1記載の半導体ウェハにおいて、該ウェハは、
互いに対向するそれぞれの第1及び第2表面と、
前記単結晶炭化珪素基板上に配置された複数のヘテロ電界効果トランジスタと、
を備えていることを特徴とする半導体ウェハ。
【請求項16】
請求項1記載の半導体ウェハにおいて、該ウェハは、
互いに対向するそれぞれの第1及び第2表面と、
前記単結晶炭化珪素基板上に配置された複数のダイオードと、
を備えていることを特徴とする半導体ウェハ。
【請求項17】
SiCの高品質単結晶の形成方法において、
直径が約75ミリメートル(3インチ)よりも僅かに大きいSiCブールを形成するステップと、
その後、前記ブールを薄切りにして、歪みが約5μm未満、反りが約5μm未満、TTVが約2.0μm未満の少なくとも1つのウェハとするステップと、
その後、前記ウェハを研磨するステップと、
前記歪み、反り、及びTTVを測定するステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、該方法は更に、前記ウェハの各表面における表面損傷レベルが実質的に同一となるように、前記薄切りにしたウェハを研削又はラッピングするステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、該方法は、前記ウェハを大きく折り曲げるために必要な力よりは少ない下方への力によって、前記ウェハをラッピングするステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項17記載の方法において、該方法は更に、前記研磨したウェハ上に、炭化珪素及びIII族窒化物から成る群から選択された少なくとも1つのエピタキシャル層を成長させるステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項21】
種結晶使用昇華システムにおいて炭化珪素の高品質バルク単結晶を生産する方法において、
直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)のSiCブールを成長させるステップと、
前記SiCブールを薄切りにして少なくとも1つのウェハを得るステップと、
その後、内層面損傷が前記ウェハの各側において実質的に同一となるように、ラッピング下方力を、前記ウェハを折り曲げる下方力未満の量に制限しつつ、前記ウェハをラッピングするステップと、
から成ることを特徴とする改善された方法。
【請求項22】
請求項21記載の方法において、該方法は更に、前記SiCウェハを研磨するステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項21記載の方法において、SiCブールを成長させるステップは、SiCの種結晶使用昇華成長から成ることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23記載の方法において、前記SiCの種結晶使用昇華成長は、単結晶ポリタイプ種結晶使用昇華成長から成ることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項21記載の方法において、SiCブールを成長させる前記ステップは、3C、4H、6H、2H、及び15Rポリタイプから成る群から選択したポリタイプを有するブールを成長させることから成ることを特徴とする方法。
【請求項26】
高品質半導体ウェハであって、
直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)である炭化珪素ウェハから成り、
前記ウェハの歪みが約5μm未満である
ことを特徴とする高品質半導体ウェハ。
【請求項27】
請求項26記載の高品質半導体ウェハにおいて、前記ウェハの反りは約5μm未満であることを特徴とする高品質半導体ウェハ。
【請求項28】
請求項26記載の高品質半導体ウェハにおいて、前記ウェハのTTVは約2.0μm未満であることを特徴とする高品質半導体ウェハ。
【請求項29】
高品質半導体ウェハであって、
直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)である炭化珪素ウェハから成り、
前記ウェハの反りが約5μm未満である
ことを特徴とする高品質半導体ウェハ。
【請求項30】
請求項29記載の高品質半導体ウェハにおいて、前記ウェハのTTVは約2.0μm未満であることを特徴とする高品質半導体ウェハ。
【請求項31】
高品質半導体ウェハであって、
直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)である炭化珪素ウェハから成り、
前記ウェハのTTVが約2.0μm未満である、
ことを特徴とする高品質半導体ウェハ。

【図1(a)】
image rotate

【図1(b)】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−214376(P2012−214376A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−123227(P2012−123227)
【出願日】平成24年5月30日(2012.5.30)
【分割の表示】特願2008−505666(P2008−505666)の分割
【原出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】