説明

燃料噴射量制御システム

【課題】走行燃費向上に繋がる燃料噴射量制御と、車両の状態に対応した加速度の実現とを両立することが出来る燃料噴射量制御システムの提供。
【解決手段】オートクルーズスイッチ(9)と、車速を計測する装置(車速センサ7)と、トランスミッションのギヤ段を検出する装置(20)と、アクセル開度を計測する装置(アクセル開度センサ30)と、エンジン回転速度を計測する装置(40)と、計測された車速、トランスミッションのギヤ段、アクセル開度、エンジン回転速度、オートクルーズスイッチの操作内容が入力される制御装置(10)とを有し、該制御装置(10)は、車両の状態(例えば車速、車両積載状態、走行中の道路の勾配)に対応して噴射量制限の作動と解除を決定する機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば貨物自動者等において、燃料噴射量を制御するシステムに関する。より詳細には、車両の状態(例えば、車速、車両積載状態、走行中の道路の勾配)に対応して燃料噴射量を変化する制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエンジンの燃料噴射量制御装置では、ドライバーのアクセル操作により燃料噴射量を制御しており、ドライバーの運転技量によっては、燃料噴射量が過多となり、走行燃費が悪化するケースが多い。
燃費向上を目的とした従来技術では、アクセル開度変化を緩慢にする制御、又は燃料噴射量の上昇率を制限する制御がある。然るにこれらの制御では、必ずしも車速、積載条件、道路の勾配に合致した制御とはなっておらず、また、ドライバーの好み(癖など)に合う特性を選択することも出来ない。
【0003】
その他の従来技術としては、例えば、ドライバーの要求する燃料噴出量がスモーク制限噴射量を越える時に当該燃料噴出量を制限して、スモーク排出の抑制を図る技術が提案されている(特許文献1参照)。
また、変速時の加速度偏差を無くすためのエンジン出力が実現不可能な場合に、エンジン出力を制限する様にスロットル弁を制御して、変速時のショックの増加を抑制する制御装置も提案されている(特許文献2参照)。
さらに、燃料噴射量の増減を制限時間において分割して行い、1回目のエンジントルクの増加による加速度を2回目のエンジントルクの増加で相殺する内燃機関のトルク制御装置も提案されている(特許文献3)。
【0004】
しかし、これ等の従来技術(特許文献1〜特許文献3)は、何れも、走行燃費向上に繋がる燃料噴射量制御と、車両の状態(車速、車両積載状態、走行中の道路の勾配)に対応した加速度の実現との両立が困難であると言う上述した問題点を解消するものではない。
【特許文献1】特開2002−256945号公報
【特許文献2】特開平5−92732号公報
【特許文献3】特開2000−64894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、走行燃費向上に繋がる燃料噴射量制御と、車両の状態(車速、車両積載状態、走行中の道路の勾配)に対応した加速度の実現とを両立することが出来る燃料噴射量制御システムの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の燃料噴射量制御システムは、加速スイッチ(91)及び減速スイッチ(92)を有するオートクルーズスイッチ(9)と、車速を計測する装置(車速センサ7)と、トランスミッション(2)のギヤ段を検出する装置(20)と、アクセル開度を計測する装置(アクセル開度センサ30)と、エンジン回転速度を計測する装置(エンジン回転センサ40)と、計測された車速、トランスミッションのギヤ段、アクセル開度、エンジン回転速度、オートクルーズスイッチの操作内容が入力される制御装置(ECU:エンジンコントロールユニット10)とを有し、該制御装置(10)は、車両の状態(例えば車速、車両積載状態、走行中の道路の勾配)に対応して噴射量制限の作動と解除を決定する機能を有することを特徴としている(請求項1)。
【0007】
本発明において、前記制御装置(10)は、アクセル開度及びエンジン回転速度に基づいてドライバーが要求する燃料噴射量(ドライバー要求噴射量)を演算するブロック(11)と、車両の実際の加速度(実車両加速度)及び当該車両の目標とする加速度(目標車両加速度)に基づいて噴射量制限値(制限噴射量)を決定する噴射量制限値(制限噴射量)決定ブロック(16)と、ドライバーが要求する燃料噴射量と制限噴射量の何れか小さい方を燃料噴射量(最終噴射量)として決定する燃料噴射量決定ブロック(ミニマム選択ブロック17)と、を備えているのが好ましい(請求項2)。
【0008】
ここで、前記制御装置(コントロールユニット10A)はオートクルーズ時における噴射量を決定するオートクルーズ時燃料噴射量決定ブロック(19)と、前記ドライバーが要求する燃料噴射量(ドライバー要求噴射量)を演算するブロック(11)で演算された噴射量とオートクルーズ時燃料噴射量決定ブロック(19)で決定された噴射量の何れか大きい方の噴射量を選択して前記燃料噴射量決定ブロック(17)に送出する機能を有する最大噴射量選択ブロック(マックス選択ブロック21)とを有しており、前記燃料噴射量決定ブロック(17)は、オートクルーズ運転時には、噴射量制限値(制限噴射量)決定ブロック(16)で決定された制限噴射量と最大噴射量選択ブロック(21)で選択された噴射量の何れか小さい方を燃料噴射量(最終噴射量)として決定する機能を有しているのが好ましい(請求項3)。
【0009】
また本発明において、エンジン回転速度(及びブースト圧等)から燃料の通常制限噴射量(燃料の最大噴射量、スモークリミット制限噴射量等から選択される噴射量)を求める通常制限噴射量決定ブロック(12)と、車両の実際の加速度(実車両加速度)と当該車両の目標とする加速度(目標車両加速度)との差(加速度偏差)をフィードバック演算(PID演算)して補正値(車両加速度制限補正噴射量)を演算する補正値演算ブロック(車両加速度制限補正噴射量演算ブロック15)とを有し、前記噴射量制限値(制限噴射量)決定ブロック(16)は、前記通常制限噴射量決定ブロック(12)で求められた通常制限噴射量から前記補正値演算ブロック(車両加速度制限補正噴射量演算ブロック15)で演算された補正値(車両加速度制限補正噴射量)を減算した結果を前記噴射量制限値(制限噴射量)として決定する機能を有しているのが好ましい(請求項4)。
【0010】
さらに本発明において、計測された車速とトランスミッション(2)のギヤ段とオートクルーズスイッチ(9)の操作内容から車両の目標とする加速度(目標車両加速度)を決定する目標加速度決定ブロック(13)と、複数の制御マップ(図7〜図12)を記憶する記憶装置(データベースD、或はメモリー)とを有しており、該目標加速度決定ブロック(13)はオートクルーズスイッチ(9)の操作内容に基づいて記憶装置(D)から特定の制御マップを選択し、選択された制御マップに計測された車速とトランスミッション(2)のギヤ段を入力して車両の目標とする加速度(目標車両加速度)を決定する機能を有しているのが好ましい(請求項5)。
【0011】
そして本発明において、前記記憶装置(D)は、前記目標加速度決定ブロック(13)で選択された制御マップを保存する機能を有するのが好ましい(請求項6)。
【0012】
それに加えて、本発明において、計測された車速から車両の実際の加速度を演算して前記補正値演算ブロック(車両加速度制限補正噴射量演算ブロック15)に出力する加速度演算ブロック(車両加速度演算ブロック14)を有しており、該加速度演算ブロック(車両加速度演算ブロック14)と前記補正値演算ブロック(車両加速度制限補正噴射量演算ブロック15)との間にフィルタリング回路(F)が介装されているのが好ましい(請求項7)。
【発明の効果】
【0013】
上述する構成を具備する本発明によれば、フル積載状態や登坂時の様に加速し難い状況にある場合には噴射量制限を解除し、いわゆる空荷状態の様な加速し易い状況では噴射量制限を作動させる事が出来る。
これにより、走行燃費向上に繋がる燃料噴射量制御と、車両の状態(車速、車両積載状態、走行中の道路の勾配)に対応した加速度の実現とを両立させた燃料噴射量制御が可能である。
また、燃料噴射量を制御するにあたって、例えばオートクルーズスイッチ(9)を用いる事により、ドライバーが任意に目標車両加速度を設定する事が可能であるため、運行形態やドライバーの好みに合致した燃料噴射量の制御特性を実現することができる。
【0014】
より具体的には、本発明によれば、ドライバーが要求する燃料噴射量(ドライバー要求噴射量)を演算するブロック(11)と、噴射量制限値(制限噴射量)を決定する噴射量制限値(制限噴射量)決定ブロック(16)とを有しており、
制限噴射量とドライバー要求噴射量との内で何れか小さい方を、燃料噴射量(最終燃料噴射量)に設定する。
従って、フル積載状態や登坂時の様に加速し難い状況にある場合には、制限噴射量の数値を大きく設定することにより、ドライバー要求噴射量を燃料噴射量(最終燃料噴射量)に設定し、以って、噴射量制限を解除することとなる。
一方、いわゆる空荷状態の様な加速し易い状況では、制限噴射量の数値を小さく設定して、ドライバー要求噴射量が燃料噴射量(最終燃料噴射量)に設定されず、昇燃費を重視した制御に切り換えることができる。すなわち、噴射量制限を作動させることになる。
【0015】
そして本発明における具体的な制御態様では、制限噴射量は、最大噴射量やスモークリミット制御噴射量等の定数から選択される通常制限噴射量から、車両加速度制限補正噴射量を減算することにより設定され、車両加速度制限補正噴射量は車両加速度の実測値(実車両加速度)と目標車両加速度との差(加速度の偏差)によりフィードバック演算(PID演算)制御され、目標車両加速度はオートクルーズスイッチを操作して複数のマップ(図7〜図12)から選択された制御マップにより決定される。
従って、ドライバーがオートクルーズスイッチ(9)を操作して選択した制御マップにより、加速度の偏差及び車両加速度制限補正噴射量が変動するので、ドライバーの好みにあった制限噴射量とするべく制御マップ(図7〜図12)を選択する事が可能である。
換言すれば、本発明における具体的な制御態様では、制御マップ(図7〜図12)をオートクルーズスイッチ(9)により適宜選択することによって、ドライバーの好みにあった制御を実現することが可能である。
【0016】
さらに本発明において、オートクルーズスイッチ(9)により適宜選択された制御マップを記憶装置(例えば、コントロールユニットのデータベースD)に保存することにより、キースイッチオフの後にキースイッチオンとなる度毎に制御マップを新たに選択する手間を省略することが可能である。
【0017】
それに加えて本発明において、車両加速度制限補正噴射量を求めるために行われるフィードバック演算で用いられる実車両加速度にフィルタリング(F)を施せば、実車両加速度変動が大きい車両であっても、車両加速度制限補正噴射量が安定し、制御も安定する。
【0018】
さらに本発明によれば、従来はオートクルーズ時以外には全く運転に関与しないオートクルーズスイッチ(9)が、燃料噴射量の制御の傾向を調節するのに活用される。
換言すれば、オートクルーズ時以外においても、オートクルーズスイッチ(9)が運転を行うのに無関係な無用な操作手段(いわゆる「無用の長物」)となってしまうことが防止されるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図1〜図12を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1において、第1実施形態に係る燃料噴射量制御システム100は車両50に搭載されており、車両50は、エンジン1、トランスミッション2、推進軸(プロペラシャフト)3、ディファレンシャルギヤ4、駆動軸(アクスル)5及びタイヤ6を有している。
【0020】
燃料噴射量制御システム100は、オートクルーズスイッチ9と、ギヤ段検出センサ20と、車速センサ7と、エンジン回転センサ40と、アクセル開度センサ30と、燃料噴射量を制御するコントロールユニット(ECU:エンジンコントロールユニット)10とを有している。
オートクルーズスイッチ9は、加速スイッチ91と減速スイッチ92とを有している。
ギヤ段検出センサ20及び車速センサ7はトランスミッション2に設けられており、エンジン回転センサ40はエンジン1に設けられている。
【0021】
コントロールユニット10は、オートクルーズスイッチ9、ギヤ段検出センサ20、車速センサ7、エンジン回転センサ40、アクセル開度センサ30と、入力信号ラインLiを介して接続されている。
またコントロールユニット10は、制御信号ラインLoを介して、燃料噴射装置8と接続されている。
【0022】
図2を参照して、コントロールユニット10の詳細構成を説明する。
図2において、コントロールユニット10は、ドライバー要求噴射量演算ブロック11と、通常制限噴射量決定ブロック12と、目標加速度決定ブロック13と、車両加速度演算ブロック14と、車両加速度制限補正噴射量演算ブロック(制限補正量演算ブロック)15を有している。
そしてコントロールユニット10は、噴射量制限値決定ブロック(噴射制限量決定ブロック)16と、燃料噴射量決定ブロック(ミニマム選択ブロック)17と、最終燃料噴射量決定ブロック18と、データベースDとを有している。
図2において、点線で囲んで示す領域は、燃料噴射量が決定する制御が実行される部分を示している。図13、図15も同様である。
【0023】
ドライバー要求噴射量演算ブロック11は、アクセル開度センサ30で計測されたアクセル開度と、エンジン回転センサ40で計測されたエンジン回転速度に基づいて、ドライバーが要求する燃料噴射量(ドライバー要求噴射量)を演算する。
通常制限噴射量決定ブロック12は、エンジン回転速度やブースト圧等に基づいて、燃料の通常制限噴射量を求める機能を有している。ここで、「燃料の通常制限噴射量」は、燃料の最大噴射量、スモークリミット制限噴射量等から選択される噴射量であり、各車両毎に求められる定数である。
【0024】
目標加速度決定ブロック13は、車速センサ7で計測された車速と、ギヤ段検出センサ20で検出されたトランスミッション2のギヤ段と、オートクルーズスイッチ9の操作内容から、車両の目標とする加速度(目標車両加速度)を決定する。目標車両加速度の決定について、詳細は後述する。
車両加速度演算ブロック14は、車速センサ7で計測された車両50(実車両)の車速から車両50の実際の加速度を演算して、制限補正量演算ブロック15に出力する機能を有している。
【0025】
制限補正量演算ブロック15では、車両加速度演算ブロック14で演算された車両加速度の実測値(車両50の実際の加速度:実車両加速度)と、目標加速度決定ブロック13で決定された目標車両加速度との差(加速度の偏差)から、フィードバック演算(例えば、いわゆるPID演算)によって、補正値である車両加速度制限補正噴射量を演算している。
制限噴射量決定ブロック16は、噴射量制限値(制限噴射量)として決定する機能を有している。噴射量制限値(制限噴射量)の決定にあたっては、通常制限噴射量決定ブロック12で求められた通常制限噴射量から、制限補正量演算ブロック15で演算された補正値(車両加速度制限補正噴射量)を減算している。
【0026】
ミニマム選択ブロック17(燃料噴射量決定ブロック)は、ドライバー要求噴射量演算ブロック11で演算されたドライバーが要求する燃料噴射量と、制限噴射量決定ブロック16で決定された制限噴射量とから、数値が小さい方を選択して、燃料噴射量(最終噴射量)として決定する。
そして最終燃料噴射量決定ブロック18は、ミニマム選択ブロック17で決定した噴射量を最終燃料噴射量と決定する。
そして、コントロールユニット10は、最終燃料噴射量決定ブロック18で決定された最終燃料噴射量に基づいて制御信号を生成し、当該制御信号を燃料噴射装置8(図1参照)に発信する。
【0027】
ドライバー要求噴射量決定ブロック11はラインL1を介してミニマム選択ブロック17と接続している。通常制限噴射量決定ブロック12は制限噴射量決定ブロック16及びラインL2を介して、ミニマム選択ブロック17と接続されている。
目標車両加速度決定ブロック13は、ラインL3を介して、制限補正量演算ブロック15と接続されている。車両加速度演算ブロック14は、ラインL4を介して、制限補正量演算ブロック15と接続されている。
【0028】
制限補正量演算ブロック15は、ラインL5により、ラインL2に介装された制限噴射量決定ブロック16と接続している。
ミニマム選択ブロック17は、ラインL6を介して最終燃料噴射量決定ブロック18と接続している。
なお、明確には図示されていないが、データベースDは、ラインLaを介して、コントロールユニット10の各ブロックと接続している。
【0029】
図3のフローチャートを主に参照して、目標加速度決定ブロック13において、車両50の目標車両加速度を決定する態様について説明する。
図3のステップS1において、コントロールユニット10は、キースイッチがOFFであるか否かを確認し、OFFであれば(ステップS1がYES)ステップS2に進み、キースイッチがONであれば(ステップS1がNO)ステップS4に進む。
ステップS2では、キースイッチがONになるまで待機する(ステップS2がNOのループ)。キースイッチがONになったなら(ステップS2がYES)、ステップS3に進み、車両加速度設定値(目標車両加速度)の初期値(今回値)を0とする。
ここで、車両加速度設定値は、図6のフローチャートで決定される。車両加速度設定値が決定されると、図7〜図12で示すマップMap0〜Mapnから、決定された車両加速度設定値と対応する一つのマップが選択される。そして、選択されたマップにより、実車速とギヤ段から目標車両加速度が決定されるのである。
【0030】
次に、ステップS4に進み、オートクルーズ加速スイッチ91がONされたか否かを判断する。オートクルーズ加速スイッチ91がONされたならば(ステップS4がYES)ステップS5に進み、オートクルーズ加速スイッチ91がONされなければ(ステップS4がNO)ステップS6に進む。
【0031】
ステップS6では、オートクルーズ減速スイッチ92がONされたか否かを判断する。オートクルーズ減速スイッチ92がONされたならば(ステップS6がYES)ステップS7に進み、オートクルーズ減速スイッチ92がONされていなければ(ステップS6がNO:オートクルーズ加速スイッチ91及び減速スイッチ92が共にOFF)であれば、ステップS8に進む。
【0032】
ステップS5では、車両加速設定値(前回値:ステップS3からステップS4、S5に進んだ場合はゼロ)にプラス(+)1した数値を、その時点における車両加速設定値(今回値)とする。
ステップS7では、車両加速設定値の前回値にマイナス(−)1した数値を、その時点における車両加速設定値(今回値)とする。
ステップS8では、車両加速設定値の前回値と等しい数値を、その時点における車両加速設定値(今回値)とする。
【0033】
図4で示すフローチャートに基づいて、制限噴射量を決定する態様について説明する。
図4のステップS11では、制限補正量演算ブロック15において、目標車両加速度決定ブロック13で決定した目標車両加速度と、車両加速度演算ブロック14で求めた実車両加速度との差(加速度の偏差)を用いて、フィードバック演算、例えばPID演算の手法により、車両加速度制限補正噴射量を演算する。
ステップS12では、制限噴射量決定ブロック16において、通常制限噴射量決定ブロック12で決定した通常制限噴射量(定数)から、ステップS11でPID演算により演算された車両加速度制限補正噴射量を減算する。そして、減算した結果を制限噴射量として決定する。
なお、車両加速度制限補正噴射量は、0以上であり、負の値とはならない様に設定されている。
【0034】
次に、図5の制御フローチャートに基づいて、最終燃料噴射量を決定する制御の態様を説明する。
図5のステップS21では、ミニマム選択ブロック17において、ドライバー要求噴射量決定ブロック11で決定されたドライバー要求噴射量が、制限噴射量決定ブロック16で決定した制限噴射量以上であるか否かを判断する。
ドライバー要求噴射量が制限噴射量以上であれば(ステップS21がYES)、ステップS22に進む。一方、ドライバー要求噴射量が制限噴射量未満であれば(ステップS21がNO)、ステップS23に進む。
【0035】
ステップS22では、最終燃料噴射量を制限噴射量とする。すなわち、ドライバー要求噴射量と制限噴射量との内、少量である制限噴射量が最終燃料噴射量となる。
一方、ステップS23では、最終燃料噴射量をドライバー要求噴射量とする。すなわち、ドライバー要求噴射量と制限噴射量との内、少量であるドライバー要求噴射量が最終燃料噴射量となる。
【0036】
図6は、目標車両加速度を決定するための制御方法を示している。
以下、主として図6のフローチャートに基づいて、目標車両加速度の決定方法について説明する。
【0037】
図6のステップS31において、車両加速度設定値=0であるか否かを判断する。
ここで、図3のフローチャートで説明した通り、車両加速度設定値はオートクルーズ加速スイッチ91がオンとなった場合には+1となり、オートクルーズ減速スイッチ92がオンとなった場合には−1となる。すなわち、車両加速度設定値は、オートクルーズスイッチ9(オートクルーズ加速スイッチ91、オートクルーズ減速スイッチ92)を操作することにより変動する。その意味で、図6のステップS31、S33、S35、S37、S39、S41では、「オートクルーズスイッチによる車両加速度設定値」と言う文言が付されている。
ステップS31において、車両加速度設定値=0であれば(ステップS31がYES)ステップS32に進み、トランスミッション2からのギヤ段情報と実車速の情報を図7のMap0に当て嵌めて、目標車両加速度を決定する。
ステップS31において、車両加速度設定値=0でなければ(ステップS31がNO)、ステップS33に進む。
【0038】
ステップS33では、車両加速度設定値=1であるか否かを判断する。
車両加速度設定値=1であれば(ステップS33がYES)ステップS34に進み、ギヤ段情報及び実車速をMap1(図8)に当て嵌めて、目標車両加速度を決定する。
車両加速度設定値=1でなければ(ステップS33がNO)、ステップS35に進む。
【0039】
ステップS35では、車両加速度設定値=2であるか否かを判断する。
車両加速度設定値=2であれば(ステップS35がYES)ステップS36に進み、ギヤ段情報と実車速をMap2(図9)に当て嵌めて、目標車両加速度を決定する。
車両加速度設定値=2でなければ(ステップS35がNO)、ステップS37に進む。
【0040】
ステップS37では、車両加速度設定値=3であるか否かを判断する。
車両加速度設定値=3であれば(ステップS37がYES)ステップS38に進み、ギヤ段情報及び実車速をMap3(図10)に当て嵌めて、目標車両加速度を決定する。
車両加速度設定値=3でなければ(ステップS37がNO)、ステップS39に進む。
【0041】
ステップS39では、車両加速度設定値=4であるか否かを判断する。
車両加速度設定値=4であれば(ステップS39がYES)ステップS40に進み、ギヤ段情報及び実車速をMap4(図11)に当て嵌めて、目標車両加速度を決定する。
車両加速度設定値=4でなければ(ステップS39がNO)、ステップS41に進む。
【0042】
ステップS41では、車両加速度設定値=nであるか否かを判断する。
車両加速度設定値=nであれば(ステップS41がYES)ステップS42に進み、ギヤ段情報及び実車速をMapn(図12)に当て嵌めて、目標車両加速度を決定する。
車両加速度設定値=nでなければ(ステップS41がNO)、そのまま制御を終了する。換言すれば、「n」は5以上の自然数であり、ギヤ段情報及び実車速から目標車両加速度をマップの種類に対応して決定し、車両加速度設定値とマップの種類とが1:1で対応する様に設定される。
【0043】
図7〜図12は、上述した目標車両加速度を決定する際に使用するマップ(Map0、Map1・・・Mapn)を示している。各マップにおけるX軸(X1・・・Xn)は実車速を、Y軸(Y1・・・Yn)はギヤ段を、Z軸(Z1−1・・・Xn−n)は求める車両加速度を示している。そして、各マップにおけるX軸(X1・・・Xn)に実車速を当て嵌め、Y軸(Y1・・・Yn)にギヤ段情報を当て嵌めれば、Z軸(Z1−1・・・Xn−n)から車両加速度が求まる。
ここで、図6のステップS32、S34、S36、S38、S40、S42から明らかな様に、図7〜図12で示すマップMap0、Map1・・・Mapnは、車両加速度設定値に対応して決定される。
換言すれば、図6で示す制御では、車両加速度設定値に対応するマップが、図7〜図12で示すマップMap0、Map1・・・Mapnから選択され、選択されたマップのX軸に車速センサ7で計測された実車速を当て嵌め、マップのY軸にギヤ段検出センサ20で検出されたギヤ段情報を当て嵌めれば、Z軸から目標車両加速度が決定するのである。
【0044】
図示の第1実施形態によれば、フル積載状態や登坂時の様に加速し難い状況にある場合には噴射量制限を解除し、いわゆる空荷状態の様な加速し易い状況では噴射量制限を作動させる事が出来る。
これにより、走行燃費向上に繋がる燃料噴射量制御と、車両の状態(車速、車両積載状態、走行中の道路の勾配)に対応した加速度の実現とを両立させた燃料噴射量制御が可能となる。
また、燃料噴射量を制御するにあたって、オートクルーズスイッチ9を用いる事により、ドライバーが任意に目標車両加速度を設定する事が可能であるため、運行形態やドライバーの好みに合致した燃料噴射量の制御特性を実現することができる。
【0045】
具体的には、第1実施形態によれば、ドライバー要求噴射量決定ブロック11と、制限噴射量を決定する制限噴射量決定ブロック16とを有しており、制限噴射量とドライバー要求噴射量との内で何れか小さい方を、最終燃料噴射量に設定するので、フル積載状態や登坂時の様に加速し難い状況にあり、噴射量制限を解除するべき場合には、制限噴射量の数値を大きく設定することにより、ドライバー要求噴射量を最終燃料噴射量として設定せしめる。
一方、いわゆる空荷状態の様な加速し易い状況の様に噴射量制限を作動させるべき場合には、制限噴射量の数値を小さく設定して、ドライバー要求噴射量ではなく、制限噴射量が最終燃料噴射量に設定される様にせしめ、省燃費を重視した制御に切り換える。
【0046】
そして第1実施形態における具体的な制御態様では、制限噴射量は、定数である通常制限噴射量から車両加速度制限補正噴射量を減算することにより設定され、車両加速度制限補正噴射量は車両加速度の実測値(実車両加速度)と目標車両加速度との差(加速度の偏差)によりフィードバック演算(PID演算)制御され、目標車両加速度はオートクルーズスイッチ9を操作して複数のマップ(図7〜図12)から選択された制御マップにより決定される。
従って、ドライバーがオートクルーズスイッチ9を操作して選択した制御マップにより、加速度の偏差及び車両加速度制限補正噴射量が変動するので、ドライバーの好みにあった制限噴射量とするべく制御マップを選択する事が可能である。
換言すれば、本発明における具体的な制御態様では、制御マップをオートクルーズスイッチにより適宜選択することによって、ドライバーの好みにあった制御マップを選択して、ドライバーの好みと合致した制御を実現することが可能である。
【0047】
さらに、第1実施形態において、オートクルーズスイッチ9により適宜選択された制御マップを、コントロールユニット10のデータベースD(記憶装置)に保存することにより、キースイッチオフの後にキースイッチオンとなる度毎に制御マップを新たに選択する手間を省略することが可能である。
【0048】
くわえて、第1実施形態によれば、従来はオートクルーズ時以外には全く運転に関与しないオートクルーズスイッチ9が、燃料噴射量の制御の傾向を調節するのに活用される。
換言すれば、オートクルーズ時以外においても、オートクルーズスイッチ9が運転に活用され、いわゆる「無用の長物」とはならない。そして、オートクルーズスイッチ9を用いることにより、省燃費運転を可能とし、しかも、道路状況にあったもたつき感のない走行も実現することが出来る。
【0049】
図13、図14を参照して第2実施形態を説明する。
図13、図14で示す第2実施形態の燃料噴射量制御システムは、第1実施形態におけるコントロールユニット10(図2)に、オートクルーズ時の燃料噴射量を決定するオートクルーズ時燃料噴射量決定ブロック19を追加装備している。
以下、図13を参照して、第2実施形態におけるコントロールユニット10Aの構成を説明する。
【0050】
図13において、コントロールユニット10Aには、オートクルーズ時燃料噴射量決定ブロック19が、ラインL7を介してマックス選択ブロック21に接続されており、ドライバー要求噴射量演算ブロック11もマックス選択ブロック21に接続されている。
マックス選択ブロック21は、オートクルーズ時燃料噴射量決定ブロック19で決定された燃料噴射量(オートクルーズ時の燃料噴射量)と、ドライバー要求噴射量演算ブロック11で決定されたドライバー要求噴射量とを比較して、大きい方の噴射量を選択し、ラインL9を介して当該選択された噴射量の情報をミニマム選択ブロック17へ送出する機能を有している。
【0051】
そしてミニマム選択ブロック17は、マックス選択ブロック21で選択された噴射量(オートクルーズ時燃料噴射量決定ブロック19で決定されたオートクルーズ時の燃料噴射量と、ドライバー要求噴射量演算ブロック11で決定されたドライバー要求噴射量の、何れか大きい方の噴射量)と、制限噴射量決定ブロック16で決定された制限噴射量の、何れか小さい方を燃料噴射量(最終噴射量)として決定するように構成されている。
【0052】
図14に基づいて、第2実施形態の制御を説明する。
図14のステップS50では、コントロールユニット10Aは、オートクルーズ時燃料噴射量決定ブロック19で決定された噴射量(オートクルーズ時の燃料噴射量)が、ドライバー要求噴射量演算ブロック11で決定されたドライバー要求噴射量以上であるか否かを判断する。
オートクルーズ時燃料噴射量決定ブロック19で決定された噴射量(オートクルーズ時の燃料噴射量)がドライバー要求噴射量以上であれば(ステップS50がYES)、マックス選択ブロック21はオートクルーズ時燃料噴射量決定ブロック19で決定された噴射量を選択して、ステップS51に進む。
【0053】
ステップS51では、オートクルーズ時燃料噴射量決定ブロック19で決定された噴射量が、制限噴射量決定ブロック16で決定された制限噴射量以上であるか否かを判断する。
オートクルーズ時燃料噴射量決定ブロック19で決定された噴射量が、制限噴射量以上である場合は(ステップS51がYES)、ミニマム選択ブロック17は小さい方の燃料噴射量である制限噴射量を選択してステップS52に進む。そしてステップS52では、制限噴射量が、最終燃料噴射量として選択される。
【0054】
一方、ステップS51において、オートクルーズ時燃料噴射量決定ブロック19で決定された噴射量が、制限噴射量よりも小さい場合は(ステップS51がNO)、ミニマム選択ブロック17は小さい方の燃料噴射量、すなわちオートクルーズ時燃料噴射量決定ブロック19で決定された噴射量(オートクルーズ時の燃料噴射量)を選択して、ステップS53に進む。
ステップS53では、最終燃料噴射量として、オートクルーズ時燃料噴射量決定ブロック19で決定された噴射量が選択される。
【0055】
ステップS50において、ドライバー要求噴射量が、オートクルーズ時燃料噴射量決定ブロック19で決定された噴射量(オートクルーズ時の燃料噴射量)以上であれば(ステップS50がNO)、マックス選択ブロック21は、ドライバー要求噴射量演算ブロック11で決定されたドライバー要求噴射量を選択して、ステップS54に進む。
【0056】
ステップS54では、ドライバー要求噴射量演算ブロック11で決定されたドライバー要求噴射量が、制限噴射量決定ブロック16で決定された制限噴射量以上であるか否かを判断する。
ドライバー要求噴射量が、制限噴射量以上である場合は(ステップS54がYES)、ミニマム選択ブロック17は小さい方の燃料噴射量である制限噴射量を選択してステップS55に進む。そしてステップS55では、制限噴射量が、最終燃料噴射量として選択される。
【0057】
一方、ステップS51において、ドライバー要求噴射量が、制限噴射量よりも小さい場合は(ステップS54がNO)、ミニマム選択ブロック17は小さい方の燃料噴射量、すなわちドライバー要求噴射量を選択して、ステップS56に進む。
ステップS56では、最終燃料噴射量として、ドライバー要求噴射量が選択される。
【0058】
上述した内容以外では、第2実施形態の構成及び作用効果は、図1〜図12の第1実施形態と同様である。
【0059】
図15を参照して第3実施形態を説明する。
図15は、第3実施形態に係る燃料噴射量制御システムにおけるコントロールユニット10Bを示している。図2で示すコントロールユニット10における車両加速度演算ブロック14と制限補正量演算ブロック15との間のラインL4に、フィルタリング回路Fを介装したコントロールユニット10Bが、図15で示されている。
【0060】
図15の第3実施形態では、実車両加速度を制限補正量演算ブロック15へ入力するラインL4に、フィルタリング回路Fを介装している。
ここで、実車両加速度は、制限補正量演算ブロック15において、車両加速度制限補正噴射量を求めるために行われるフィードバック演算で必要とされる数値であり、車両によっては、非常に変動が大きい数値となる。フィルタリング回路FをラインL4に介装することにより、実車両加速度の変動が大きい車両であっても、車両加速度制限補正噴射量が安定し、制御も安定する。
【0061】
図15の第3実施形態における上記以外の構成及び作用効果については、図1〜図12の第1実施形態と同様である。
【0062】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施形態のブロック図。
【図2】第1実施形態におけるコントロールユニットを示すブロック図。
【図3】車両加速度設定値を決定する制御フローチャート。
【図4】制限噴射量を決定する制御フローチャート。
【図5】最終燃料噴射量を決定する制御フローチャート。
【図6】目標車両加速度を決定する制御フローチャート。
【図7】目標加速度を求める際に用いるマップの一例を示す図。
【図8】目標加速度を求める際に用いるマップの他の例を示す図
【図9】目標加速度を求める際に用いるマップであって、図7、図8とは別のマップを示す図。
【図10】目標加速度を求める際に用いるマップであって、図7〜図9とは別のマップを示す図。
【図11】目標加速度を求める際に用いるマップであって、図7〜図10とは別のマップを示す図。
【図12】目標加速度を求める際に用いるマップであって、図7〜図11とは別のマップを示す図。
【図13】第2実施形態のコントロールユニットのブロック図。
【図14】第2実施形態の制御フローチャート。
【図15】第3実施形態のコントロールユニットのブロック図。
【符号の説明】
【0064】
1・・・エンジン
2・・・トランスミッション
7・・・車速センサ
8・・・燃料噴射装置
9・・・オートクルーズスイッチ
10・・・コントロールユニット
11・・・ドライバー要求噴射量決定ブロック
12・・・通常制限噴射量決定ブロック
13・・・目標車両加速度決定ブロック
14・・・車両加速度演算ブロック
15・・・車両加速度制限補正噴射量演算ブロック
16・・・制限噴射量決定ブロック
17・・・ミニマム選択ブロック
18・・・最終燃料噴射量決定ブロック
19・・・オートクルーズ時燃料噴射量決定ブロック
20・・・ギヤ段を検出する装置
30・・・アクセル開度センサ
40・・・エンジン回転センサ
F・・・フィルタリング回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速スイッチ(91)及び減速スイッチ(92)を有するオートクルーズスイッチ(9)と、車速を計測する装置(7)と、トランスミッション(2)のギヤ段を検出する装置(ギヤ段検出センサ20)と、アクセル開度を計測する装置(30)と、エンジン回転速度を計測する装置(40)と、計測された車速、トランスミッションのギヤ段、アクセル開度、エンジン回転速度、オートクルーズスイッチの操作内容が入力される制御装置(10)とを有し、該制御装置(10)は、車両の状態に対応して噴射量制限の作動と解除を決定する機能を有することを特徴とする燃料噴射量制御システム。
【請求項2】
前記制御装置(10)は、アクセル開度及びエンジン回転速度に基づいてドライバーが要求する燃料噴射量を演算するブロック(11)と、車両の実際の加速度及び当該車両の目標とする加速度に基づいて噴射量制限値を決定する噴射量制限値(制限噴射量)決定ブロック(16)と、ドライバーが要求する燃料噴射量と制限噴射量の何れか小さい方を燃料噴射量として決定する燃料噴射量決定ブロック(17)とを備えている請求項1の燃料噴射量制御システム。
【請求項3】
前記制御装置(10A)はオートクルーズ時における噴射量を決定するオートクルーズ時燃料噴射量決定ブロック(19)と、前記ドライバーが要求する燃料噴射量を演算するブロック(11)で演算された噴射量とオートクルーズ時燃料噴射量決定ブロック(19)で決定された噴射量の何れか大きい方の噴射量を選択して前記燃料噴射量決定ブロック(17)に送出する機能を有する最大噴射量選択ブロック(21)とを有しており、前記燃料噴射量決定ブロック(17)は、オートクルーズ運転時には、噴射量制限値決定ブロック(16)で決定された制限噴射量と最大噴射量選択ブロック(21)で選択された噴射量の何れか小さい方を燃料噴射量として決定する機能を有している請求項2の燃料噴射量制御システム。
【請求項4】
エンジン回転速度から燃料の通常制限噴射量を求める通常制限噴射量決定ブロック(12)と、車両の実際の加速度と当該車両の目標とする加速度との差をフィードバック演算して補正値を演算する補正値演算ブロック(15)とを有し、前記噴射量制限値決定ブロック(16)は、前記通常制限噴射量決定ブロック(15)で求められた通常制限噴射量から前記補正値演算ブロック(15)で演算された補正値を減算した結果を前記噴射量制限値として決定する機能を有している請求項2、請求項3の何れかの燃料噴射量制御システム。
【請求項5】
計測された車速とトランスミッション(2)のギヤ段とオートクルーズスイッチ(9)の操作内容から車両の目標とする加速度を決定する目標加速度決定ブロック(13)と、複数の制御マップを記憶する記憶装置(D)とを有しており、該目標加速度決定ブロック(13)はオートクルーズスイッチ(9)の操作内容に基づいて記憶装置(D)から特定の制御マップを選択し、選択された制御マップに計測された車速とトランスミッション(2)のギヤ段を入力して車両の目標とする加速度を決定する機能を有している請求項4の燃料噴射量制御システム。
【請求項6】
前記記憶装置(D)は、前記目標加速度決定ブロック(13)で選択された制御マップを保存する機能を有する請求項5の燃料噴射量制御システム。
【請求項7】
計測された車速から車両の実際の加速度を演算して前記補正値演算ブロック(15)に出力する加速度演算ブロック(14)を有しており、該加速度演算ブロック(14)と前記補正値演算ブロック(15)との間にフィルタリング回路(F)が介装されている請求項4〜請求項6の何れか1項の燃料噴射量制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−156173(P2009−156173A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335707(P2007−335707)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000003908)日産ディーゼル工業株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】