説明

燃料残量計および残走行距離計の制御システム

【課題】本発明は、燃料タンク内の燃料残量がある程度の量にまで減少した状態となったときに、燃料を使用する排気浄化装置の再生制御が行われる場合であっても、運転者が認識している車両の走行可能距離と該車両の実際の走行可能距離との差を抑制することを課題とする。
【解決手段】燃料タンク内の燃料残量が所定残量以下となった時点以降において再生制御に使用される総燃料量である再生用燃料量を燃料タンク内の燃料残量が所定残量となる前に推定する。そして、推定された再生用燃料量が多いほど燃料残量計に表示される燃料残量がより少ない量となるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された燃料タンク内の燃料残量を表示する燃料残量計の制御システムおよび燃料タンク内の燃料で車両が走行することが可能な走行距離を表示する残走行距離計の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から排出される排気を浄化するために、内燃機関の排気通路に排気浄化装置を設ける技術が知られている。この排気浄化装置としては、排気中の粒子状物質(以下、PMと称する)を捕集するパティキュレートフィルタ(以下、単にフィルタと称する)や、周囲雰囲気が酸化雰囲気のときに排気中のNOxを吸蔵し、周囲雰囲気が還元雰囲気のときに、吸蔵されているNOxを還元する吸蔵還元型NOx触媒(以下、単にNOx触媒と称する)等を例示することが出来る。
【0003】
また、このような排気浄化装置の排気浄化能力が低下した場合、該排気浄化装置に燃料を供給することで、その排気浄化能力を再生させる技術が開発されている。例えば、特許文献1には、フィルタに捕集されたPMを酸化・除去する、所謂フィルタ再生制御を実行するフィルタ再生制御実行手段を有し、該フィルタ再生制御実行手段を任意に作動させることが可能となるように、車両の運転席に再生ボタンを設ける技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−155914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化装置に燃料を供給することで行われる再生制御が実行されると、内燃機関の運転に加えて更に該再生制御のためにも燃料が使用される。そのため、再生制御を実行しているときは、通常運転時、即ち、再生制御を実行していないときに比べて燃料残量がより減少することになる。その結果、内燃機関を搭載した車両の走行可能距離が短くなる。
【0005】
通常、再生制御が実行される条件が成立する時期を車両の運転者が予測することは困難である。そのため、再生制御が実行されると、該再生制御が実行される以前に運転者が認識していた車両の走行可能距離よりも該車両の実際の走行可能距離の方が短くなる虞がある。燃料タンク内の燃料残量が少ない状態のときに、このようなことで運転者が認識していた車両の走行可能距離よりも該車両の実際の走行可能距離の方が短くなった場合、適切な時期に給油を行うことが困難となる場合がある。
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、燃料タンク内の燃料残量がある程度の量にまで減少した状態となったときに、燃料を使用する排気浄化装置の再生制御が行われる場合であっても、運転者が認識している車両の走行可能距離と該車両の実際の走行可能距離との差を抑制することが可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の発明では、燃料タンク内の燃料残量が所定残量以下となった時点以降において再生制御に使用される総燃料量である再生用燃料量を燃料タンク内の燃料残量が所定残量となる前に推定する。そして、推定された再生用燃料量が多いほど燃料残量計に表示される燃料残量がより少ない量となるように制御する。
【0008】
より詳しくは、本発明に係る燃料残量計の制御システムは、
車両に搭載された燃料タンク内の燃料残量を表示する燃料残量計の制御システムであって、
前記車両に搭載された内燃機関の排気通路に設けられ排気を浄化する排気浄化装置に燃料を供給することで該排気浄化装置の排気浄化能力を再生させる再生制御を実行する再生制御実行手段と、
前記燃料タンク内の燃料残量が所定残量以下となってからの前記再生制御実行手段による再生制御に使用される総燃料量である再生用燃料量を、前記燃料タンク内の燃料残量が前記所定残量よりも多い所定の時期に推定する再生用燃料量推定手段と、を備え、
前記再生使用燃料量推定手段によって推定された再生用燃料量が多いほど、前記所定の時期以降における前記燃料タンク内の燃料残量の単位減少量当たりの前記燃料残量計に表示される燃料残量の減少量を多くする。
【0009】
燃料タンク内の燃料残量が所定残量にまで減少する前であっても、車両の走行履歴等から再生用燃料量を推定することが出来る。再生用燃料量が多いほど燃料タンク内の燃料残量が所定残量以下となった時点以降における車両の実際の走行可能距離は短くなる。
【0010】
本発明では、再生用燃料量が多いほど、所定の時期以降における燃料タンク内の燃料残量の単位減少量当たりの燃料残量計に表示される燃料残量の減少量を多くする。つまり、再生用燃料量が多いほど所定の時期以降において燃料残量計に表示される燃料残量がより少ない量となる。これにより、運転者が認識する車両の走行可能距離がより短くなる。
【0011】
従って、本発明によれば、燃料タンク内の燃料残量が所定残量以下となってから再生制御が行われる場合であっても、運転者が認識している車両の走行可能距離と該車両の実際の走行可能距離との差を抑制することが出来る。
【0012】
第二の発明では、第一の発明と同様、燃料タンク内の燃料残量が所定残量以下となった時点以降において再生制御に使用される総燃料量である再生用燃料量を燃料タンク内の燃料残量が所定残量となる前に推定する。そして、推定された再生用燃料量が多いほど残走行距離計に表示される車両の走行可能距離がより短い距離となるように制御する。
【0013】
より詳しくは、本発明に係る残走行距離計の制御システムは、
車両に搭載された燃料タンク内の燃料で該車両が走行することが可能な走行距離を表示する残走行距離計の制御システムであって、
前記車両に搭載された内燃機関の排気通路に設けられ排気を浄化する排気浄化装置に燃料を供給することで該排気浄化装置の排気浄化能力を再生させる再生制御を実行する再生制御実行手段と、
前記燃料タンク内の燃料残量が所定残量以下となってからの前記再生制御実行手段による再生制御に使用される総燃料量である再生用燃料量を、前記燃料タンク内の燃料残量が前記所定残量よりも多い所定の時期に推定する再生用燃料量推定手段と、を備え、
前記再生使用燃料量推定手段によって推定された再生用燃料量が多いほど、前記所定の時期以降における前記燃料タンク内の燃料残量の単位減少量当たりの前記残走行距離計に表示される走行可能距離の減少量を多くする。
【0014】
本発明では、再生用燃料量が多いほど、所定の時期以降における燃料タンク内の燃料残量の単位減少量当たりの残走行距離計に表示される車両の走行可能距離の減少量を多くする。つまり、再生用燃料量が多いほど所定の時期以降において残走行距離計に表示される走行可能距離がより短い距離となる。これにより、運転者が認識する車両の走行可能距離が短くなる。
【0015】
従って、本発明によれば、第一の発明と同様、燃料タンク内の燃料残量が所定残量以下
となってから再生制御が行われる場合であっても、運転者が認識している車両の走行可能距離と該車両の実際の走行可能距離との差を抑制することが出来る。
【0016】
尚、第一および第二の発明に係る所定残量とは、燃料残量が少ないことを車両の運転者に通知する必要があると判断出来る閾値となる量であっても良い。
【0017】
また、第一および第二の発明においては、所定の時期を、燃料タンクへの給油が行われ該給油が完了した時期としても良い。
【0018】
また、所定残量を第一所定残量とし、該所定の時期を、燃料タンク内の燃料残量が第一所定残量よりも多い第二所定残量となった時期としても良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る燃料残量計の制御システムもしくは残走行距離計の制御システムによれば、燃料タンク内の燃料残量がある程度の量にまで減少した状態となったときに、燃料を使用する排気浄化装置の再生制御が行われる場合であっても、運転者が認識している車両の走行可能距離と該車両の実際の走行可能距離との差を抑制することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る燃料残量計および残走行距離計の制御システムの具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
<内燃機関の吸排気系および燃料系の概略構成>
ここでは、本発明をディーゼルエンジンを搭載した車両に適用した場合を例に挙げて説明する。図1は、本実施例に係る内燃機関の吸排気系および燃料系の概略構成を示す図である。
【0022】
内燃機関1には、吸気通路4と排気通路2が接続されている。排気通路2には排気中のPMを捕集するフィルタ3が設けられている。このフィルタ3にはNOx触媒が担持されている。本実施例においては、該フィルタ3が本発明に係る排気浄化装置に相当する。
【0023】
フィルタ3より上流側の排気通路2には、排気中に燃料を添加する燃料添加弁5が設けられている。また、排気通路2には、フィルタ3より上流側の排気通路2内の圧力とフィルタ3より下流側の排気通路2内の圧力との差を検出する差圧センサ7が設けられている。さらに、フィルタ3より下流側の排気通路2には排気の温度を検出する排気温度センサ6が設けられている。
【0024】
また、内燃機関1を搭載した車両には、内燃機関1の燃料噴射弁および燃料添加弁5に供給される燃料を貯留している燃料タンク8が搭載されている。該燃料タンク8内には、燃料の水位に対応した電気信号を出力するフロートセンサ9が設置されている。
【0025】
以上述べたように構成された内燃機関1には、この内燃機関1を制御するための電子制御ユニット(ECU)10が併設されている。ECU10には、差圧センサ7や排気温度センサ6、フロートセンサ9が電気的に接続されている。これらの出力信号がECU10に入力される。
【0026】
そして、ECU10は、差圧センサ7の出力値からフィルタ3におけるPM捕集量を推定する。また、ECU10は、排気温度センサ6の出力値からフィルタ3の温度を推定する。また、ECU10は、フロートセンサ13の出力値から燃料タンク9内の燃料残量を
推定する。
【0027】
さらに、ECU10には、燃料添加弁5や内燃機関1の燃料噴射弁と電気的に接続されている。これらが、ECU10によって制御される。
【0028】
また、本実施例に係る内燃機関1を搭載した車両の運転席には、燃料タンク8内の燃料残量を表示する燃料残量計11および燃料タンク8内の燃料残量が少ないことを車両の運転者に通知するための通知ランプ12が設けられている。
【0029】
燃料残量計11はECU10に電気的に接続されている。そして、該燃料残量計11に表示される燃料残量(以下、表示燃料残量と称する)が燃料タンク8内の燃料残量に応じて変化するようにECU10によって制御される。また、通知ランプ12は燃料残量計11と電気的に接続されている。そして、燃料残量計11の表示燃料残量が所定通知量以下となったときに通知ランプ12が点灯する。
【0030】
<フィルタ再生制御>
本実施例においては、フィルタ3に捕集されたPMを除去すべくフィルタ再生制御が行われる。該フィルタ再生制御は、燃料添加弁5から排気中に燃料を添加し、該燃料をフィルタ3に供給することで実行される。このフィルタ3に供給された燃料は該フィルタ3に担持されたNOx触媒によって酸化される。このときに発生する酸化熱によってフィルタ3を目標温度にまで昇温させ、それによって、捕集されたPMを酸化させて除去する。ここで、目標温度は、フィルタ3に捕集されたPMを酸化させ除去することが可能な温度であって、且つ、フィルタ3の過昇温を抑制することが出来る温度である。
【0031】
フィルタ再生制御は、フィルタ3におけるPM捕集量が所定の再生開始捕集量以上となったときにその実行が開始される。そして、実行開始後、フィルタ3におけるPM捕集量が再生終了捕集量にまで減少したときにその実行が終了される。
【0032】
本実施例においては、フィルタ再生制御が本発明に係る再生制御に相当し、燃料添加弁5が本発明に係る再生制御実行手段に相当する。尚、フィルタ再生制御においては、燃料添加弁5からの燃料添加の代わりに、内燃機関1における副燃料噴射を実行することでフィルタ3に燃料を供給しても良い。
【0033】
<燃料残量計の制御>
上述したように、本実施例ではフィルタ再生制御が燃料を使用して行われる。そのため、フィルタ再生制御が実行されると、該フィルタ再生制御が実行される以前に運転者が認識していた車両の走行可能距離よりも該車両の実際の走行可能距離の方が短くなる虞がある。
【0034】
そこで、本実施例では、燃料タンク8への給油が行われ該給油が完了したときに、ECU10が、燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となった後でフィルタ再生制御が実行されるか否かを予測する。さらに、燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となった後でフィルタ再生制御が実行されると予測された場合、燃料残量が所定残量以下となってからのフィルタ再生制御に使用される総燃料量であるフィルタ再生用燃料量を推定する。
【0035】
燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となった後でフィルタ再生制御が実行されるか否かはECU10に記憶されている車両の走行履歴に基づいて推定することが出来る。また、フィルタ再生用燃料量も、ECU10に記憶されている車両の走行履歴に基づいて推定することが出来る。
【0036】
尚、所定残量とは、燃料残量が少ないことを車両の運転者に通知する必要があると判断出来る閾値となる量であって、予め定められた値である。本実施例では、燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となってからはフィルタ再生制御が実行されない場合は、燃料タンク8内の燃料残量が該所定残量となったときに表示燃料残量が所定通知量となるように燃料残量計11が制御される。つまり、燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となってからはフィルタ再生制御が実行されない場合は、燃料タンク8内の燃料残量が該所定残量以下となったときに通知ランプ12が点灯する。
【0037】
そして、ECU10は、燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となった後でフィルタ再生制御が実行されると予測された場合、この時期にフィルタ再生制御が実行されないと予測された場合に比べて、燃料タンク8内の燃料残量の単位減少量当たりの燃料残量計11の表示燃料残量の減少量を多くする。また、この場合、推定されたフィルタ再生用燃料量が多いほど燃料タンク8内の燃料残量の単位減少量当たりの燃料残量計11の表示燃料残量の減少量を多くする。
【0038】
燃料タンク8内の燃料残量の単位減少量当たりの燃料残量計11の表示燃料残量の減少量を多くするほど、燃料タンク8内の燃料残量に対する表示燃料残量が少ない量になる。これにより、運転者が認識する車両の走行可能距離がより短くなる。
【0039】
燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となった後でフィルタ再生制御が実行される場合、この時期にフィルタ再生制御が実行されない場合に比べて、燃料残量が所定残量以下となった時点以降における車両の実際の走行可能距離は短くなる。また、再生用燃料量が多いほど、燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となった時点以降における車両の実際の走行可能距離は短くなる。
【0040】
従って、上記のように燃料残量計11を制御することで、燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となってからフィルタ再生制御が行われる場合であっても、運転者が認識している車両の走行可能距離と該車両の実際の走行可能距離との差を抑制することが出来る。
【0041】
また、上記によれば、燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となった後でフィルタ再生制御が実行される場合、燃料タンク8内の燃料残量が所定残量より多い時点で通知ランプ12が点灯することになる。つまり、燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となった後はフィルタ再生制御が実行されない場合よりも燃料タンク8内の燃料残量がより多い時点で通知ランプ12が点灯する。従って、燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となった後でフィルタ再生制御が実行される場合と実行されない場合とにおける通知ランプ12点灯後の車両の実際の走行可能距離の差を抑制することが出来る。
【0042】
次に、本実施例に係る燃料残量計11を制御するための制御ルーチンについて図2に示すフローチャートに基づいて説明する。本ルーチンは、ECU10に予め記憶されており、所定の間隔で繰り返し実行される。
【0043】
本ルーチンでは、先ずS101において、燃料タンク8への給油が完了したか否かを判別する。このS101において肯定判定された場合、ECU10はS102に進み、否定判定された場合、ECU10は本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0044】
S102において、ECU10は、記憶されている車両の走行履歴に基づいて、燃料タンク9内の燃料残量Qfが所定残量Qf1以下となった後でフィルタ再生制御が実行されるか否かを判別する。このS102において、肯定判定された場合、ECU10はS103に進み、否定判定された場合、ECU10はS107に進む。
【0045】
S107に進んだECU10は、燃料タンク8内の燃料残量の単位減少量当たりの燃料残量計11の表示燃料残量の減少量(以下、表示燃料単位減少量と称する)Dqを基準量Dq0に設定する。ここで、基準量Dq0は、表示燃料単位減少量Dqを該基準量Dq0とすると、燃料タンク8内の燃料残量が所定残量Qf1となったときに表示燃料残量が所定通知量となる値である。該基準量Dq0は実験等によって予め求められておりECU10に記憶されている。S107での処理を実行した後、ECU10は本ルーチンの実行を終了する。
【0046】
一方、S103に進んだECU10は、フィルタ再生用燃料量Qreを算出する。これは、燃料タンク8内の燃料残量Qfが所定残量Qf1以下となった後におけるフィルタ再生制御の予測実行回数等に基づいて算出される。
【0047】
次に、ECU10は、S104に進み、後述するS105において表示燃料単位減少量Dqの補正量Dq1を算出するための補正係数cをフィルタ再生用燃料量Qreに基づいて算出する。ここで、補正係数cはフィルタ再生用燃料量Qreが多いほど大きい値となる。補正係数cとフィルタ再生用燃料量Qreとの関係はマップとしてECU10に予め記憶されている。
【0048】
次に、ECU10は、S105に進み、基準量Dq0に補正係数cを乗算することで該表示燃料単位減少量Dqの補正量Dq1を算出する。補正量Dq1は、基準量Dq0よりも大きい値であり、且つ、フィルタ再生用燃料量Qreが多いほど大きい値となる。
【0049】
次に、ECU10は、S106に進み、表示燃料単位減少量Dqを補正量Dq1に設定する。その後、ECU10は本ルーチンの実行を終了する。
【0050】
以上説明した制御ルーチンによれば、燃料タンク8内の燃料残量Qfが所定残量Qf1以下となった後でフィルタ再生制御が実行される場合、この時期にフィルタ再生制御が実行されない場合に比べて、燃料タンク8内の燃料残量に対する表示燃料残量が少ない量になる。また、フィルタ再生用燃料量Qreが多いほど燃料タンク8内の燃料残量に対する表示燃料残量が少ない量になる。
【0051】
尚、本実施例においては、燃料タンク8への給油が行われ該給油が完了したときに、燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となった後でフィルタ再生制御が実行されるか否かを予測すると共にフィルタ再生用燃料量を推定した。しかしながら、ここでの所定残量を第一所定残量とし、燃料タンク8内の燃料残量が該第一所定残量より多い第二所定残量となったときに、燃料タンク8内の燃料残量が第一所定残量以下となった後でフィルタ再生制御が実行されるか否かを予測すると共にフィルタ再生用燃料量を推定しても良い。この場合、燃料タンク8内の燃料残量が第二所定残量となった時点以降の表示燃料単位減少量を上記制御ルーチンと同様に制御する。第二所定残量としては、該燃料タンク8の容量の半分の量を例示することが出来る。
【0052】
また、燃料タンク8への給油が行われ該給油が完了したとき、及び、燃料タンク8内の燃料残量が第二所定残量となったときの両方の時期に、燃料タンク8内の燃料残量が第一所定残量以下となった後でフィルタ再生制御が実行されるか否かを予測すると共にフィルタ再生用燃料量を推定しても良い。
【0053】
また、本実施例においては、燃料残量計11に代えて、燃料タンク8内の燃料で車両が走行することが可能な走行距離を表示する残走行距離計を設けても良い。この場合、残走行距離計に表示される走行可能距離(以下、表示走行可能距離と称する)が燃料タンク8
内の燃料残量に応じて変化するようにECU10によって制御される。また、残走行距離計の表示走行可能距離が所定通知距離以下となったときに通知ランプ12が点灯する。ここで、所定通知距離は、前記所定通知量に相当する値である。
【0054】
そして、このような場合は、表示走行可能距離が上述した燃料残量計の表示燃料残量と同様に制御される。つまり、燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となった後でフィルタ再生制御が実行されると予測された場合、この時期にフィルタ再生制御が実行されないと予測された場合に比べて、燃料タンク8内の燃料残量の単位減少量当たりの残走行距離計の表示走行可能距離の減少量を多くする。また、この場合、推定されたフィルタ再生用燃料量が多いほど燃料タンク8内の燃料残量の単位減少量当たりの残走行距離計の表示走行可能距離の減少量を多くする。
【0055】
このように残走行距離計を制御することで、前記と同様、燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となってからフィルタ再生制御が行われる場合であっても、運転者が認識している車両の走行可能距離と該車両の実際の走行可能距離との差を抑制することが出来る。
【0056】
また、この場合も、前記と同様、燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となってからはフィルタ再生制御が実行されない場合よりも燃料タンク8内の燃料残量が多い時点で通知ランプ12が点灯する。従って、燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となってからフィルタ再生制御が実行される場合と実行されない場合とにおける通知ランプ12点灯後の車両の実際の走行可能距離の差を抑制することが出来る。
【0057】
本実施例においては、フィルタ3に担持されたNOx触媒に吸蔵されたNOxを還元するNOx還元制御、もしくは、該NOx触媒に吸蔵されたSOxを還元するSOx被毒回復制御が、フィルタ再生制御と同様、燃料を用いて行われる場合がある。このような場合、燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となった後でNOx還元制御またはSOx被毒回復制御が実行されるか否かを予測すると共に、燃料残量が所定残量以下となってからのNOx還元制御またはSOx被毒回復制御に使用される総燃料量を推定し、これらに基づいて本実施例と同様の燃料残量計もしくは残走行距離計の制御を行っても良い。
【0058】
燃料タンク8内の燃料残量が所定残量以下となった後におけるフィルタ再生制御およびNOx還元制御、SOx被毒回復制御のそれぞれに使用される燃料の和に基づいて本実施例と同様の燃料残量計もしくは残走行距離計の制御を行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施例に係る内燃機関の吸排気系および燃料系の概略構成を示す図。
【図2】本発明の実施例に係る燃料残量計を制御するための制御ルーチンを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0060】
1・・・内燃機関
2・・・排気通路
3・・・パティキュレートフィルタ
5・・・燃料添加弁
6・・・排気温度センサ6
7・・・差圧センサ
8・・・燃料タンク
9・・・フロートセンサ
10・・ECU
11・・燃料残量計
12・・通知ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された燃料タンク内の燃料残量を表示する燃料残量計の制御システムであって、
前記車両に搭載された内燃機関の排気通路に設けられ排気を浄化する排気浄化装置に燃料を供給することで該排気浄化装置の排気浄化能力を再生させる再生制御を実行する再生制御実行手段と、
前記燃料タンク内の燃料残量が所定残量以下となってからの前記再生制御実行手段による再生制御に使用される総燃料量である再生用燃料量を、前記燃料タンク内の燃料残量が前記所定残量よりも多い所定の時期に推定する再生用燃料量推定手段と、を備え、
前記再生使用燃料量推定手段によって推定された再生用燃料量が多いほど、前記所定の時期以降における前記燃料タンク内の燃料残量の単位減少量当たりの前記燃料残量計に表示される燃料残量の減少量を多くすることを特徴とする燃料残量計の制御システム。
【請求項2】
前記所定の時期が、前記燃料タンクへの給油が行われ該給油が完了した時期であることを特徴とする請求項1記載の燃料残量計の制御システム。
【請求項3】
前記所定残量を第一所定残量とし、
前記所定の時期が、前記燃料タンク内の燃料残量が前記第一所定残量よりも多い第二所定残量となった時期であることを特徴とする請求項1記載の燃料残量計の制御システム。
【請求項4】
車両に搭載された燃料タンク内の燃料で該車両が走行することが可能な走行距離を表示する残走行距離計の制御システムであって、
前記車両に搭載された内燃機関の排気通路に設けられ排気を浄化する排気浄化装置に燃料を供給することで該排気浄化装置の排気浄化能力を再生させる再生制御を実行する再生制御実行手段と、
前記燃料タンク内の燃料残量が所定残量以下となってからの前記再生制御実行手段による再生制御に使用される総燃料量である再生用燃料量を、前記燃料タンク内の燃料残量が前記所定残量よりも多い所定の時期に推定する再生用燃料量推定手段と、を備え、
前記再生使用燃料量推定手段によって推定された再生用燃料量が多いほど、前記所定の時期以降における前記燃料タンク内の燃料残量の単位減少量当たりの前記残走行距離計に表示される走行可能距離の減少量を多くすることを特徴とする残走行距離計の制御システム。
【請求項5】
前記所定の時期が、前記燃料タンクへの給油が行われ該給油が完了した時期であることを特徴とする請求項4記載の残走行距離計の制御システム。
【請求項6】
前記所定残量を第一所定残量とし、
前記所定の時期が、前記燃料タンク内の燃料残量が前記第一所定残量よりも多い第二所定残量となった時期であることを特徴とする請求項4記載の残走行距離計の制御システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−177636(P2007−177636A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374171(P2005−374171)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】