説明

画像出力システム、制御装置、画像出力方法、その画像出力方法をコンピュータに実行させるプログラム、及び、そのプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶した記憶媒体

【課題】 記録用紙の種類に応じた色出力特性の補正を容易にかつ効果的に行うことが可能な画像出力システムを提供する。
【解決手段】 カラーレーザープリンタ200の中間転写ベルト6に対する階調特性と、カラーレーザープリンタ200に格納された各記録用紙に対する階調特性とを関連付ける補正係数情報131があらかじめ記憶された補正情報記憶部130と、中間転写ベルト6上に補正用画像(カラーパッチ画像)を形成する画像出力部220と、補正用画像の濃度値を測定する濃度センサ28と、この濃度値の測定結果と、指定された記録用紙Pについての補正係数情報131とに基づいて、この記録用紙Pに対する階調特性の補正値を求める補正部112とを備え、カラーレーザープリンタ200は、この補正値を用いて、画像データに基づく印刷用画像を記録用紙Pに出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像出力システム、制御装置、画像出力方法、その画像出力方法をコンピュータに実行させるプログラム、及び、そのプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶した記憶媒体に関し、より詳細には、プルーフ用画像を出力可能な画像出力装置による画像の出力を好適に行うための技術に関する。特に、当該画像出力装置として電子写真方式のカラーレーザープリンタを適用した場合における画像出力処理を有効に実施するための制御に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、DTP(Desk Top Publishing)等の普及により、印刷発注者が自身の端末にスキャナで取り込んだ画像をコンピュータソフトウェア上で編集し、ページ面付けを行うような作業工程が一般化しており、フルデジタルでの編集も珍しくなくなってきている。
【0003】
このような印刷製版工程においては、更なる効率化を図るために、そのページ面付け済みの画像データをフィルムに直接出力するイメージセッタ出力や、印刷版に直接画像記録を行うCTP(Computer to Plate)出力、更には印刷機のシリンダー上に巻かれた印刷版に直接画像記録を行うCTC(Computer to Cylinder)出力などが行われている。
【0004】
この際、校正を行うためにフィルム出力や印刷版出力を行うことは、フィルムや印刷版にムダが生じ、また、余計な作業が多くなるという問題があった。そこで、DDCP(Direct Digital Color Proof)、すなわち、画像データから直接に校正用のカラー画像を出力するシステムが求められるようになった。
【0005】
このDDCPシステムによれば、例えばページ面付け済みの画像データをイメージセッタ等で製版用フィルム上に記録する前や、プレートセッタ(CTP出力システムにおいて印刷版を出力する機械)で直接印刷版を作成する印刷作業を行う前や、CTCで印刷機のシリンダー上に巻かれた印刷版に直接画像記録を行う前などに、目的の画像を再現するDCP(Digital Color Proof)を作成できるため、校正担当者は、このDCPを参照して画像の絵柄や色調等を校正することができる。
【0006】
近時、電子写真方式のカラーレーザープリンタやスキャナ・コピア・ファクシミリ等の機能を有する複合機(以下、まとめてカラーレーザープリンタと称する)をDDCPシステムに適用させる動きが注目を集めている。従来、カラーレーザープリンタは、画像の仕上がりを理解するためのカンプ用途には使用されていたが、近年におけるカラーレーザープリンタの高画質化に伴ってプルーフ用画像の出力にも適用されるようになってきている。また、高品位のカラー画像を安価にかつ高速に出力可能となってきたことを反映して、小ロット印刷等における最終印刷物の作成用途にも使用されるようになってきた。このような背景のなか、小ロット印刷及びDCP出力の双方について、単一のカラーレーザープリンタで賄いたいとの要求も高まっている。
【0007】
ところで、電子写真方式のカラーレーザープリンタは、温度や湿度等の環境条件の変動や部品寿命等の経年変化による影響を受けやすいため、その使用には各種の補正が必要とされている。特に、出力画像の色再現性を高めるためには、中間色の補正(階調の補正)が重要であり、その補正方法としては、例えば、本番の画像出力の前に補正用の画像を形成し、その画像に基づいて補正を行う手法がある。
【0008】
特許文献1は、そのような補正処理の一例を開示するものである。当該文献に記載の制御装置(画像処理装置)は、画素内の所定領域にドットを形成し、複数のドットからなる網点により階調を表現して画像を形成するもので、階調データを供給され、画素ごとに階調データと画像形成情報との対応を有する変換テーブルを参照して、階調データに従う画素内のドット面積に対応する画像形成情報を生成するハーフトーン処理部と、テスト印刷結果を供給され、テスト印刷結果に従って変換テーブルの変更設定する変換テーブル補正部とを備えている。したがって、当該変換テーブルをテスト印刷の結果に応じて変更設定することにより、電子写真方式のカラーレーザープリンタのガンマ値の変化に対する補正を行うようになっている。
【0009】
しかし、電子写真式のカラーレーザープリンタのような画像出力装置は、一般に、複数種類の記録用紙(出力用紙)を選択的に使用するようになっているため、色再現性の向上のためには、記録用紙の種類に応じて、階調特性等の色出力特性の補正処理を行う必要がある。
【0010】
特許文献2に記載の構成は、そのような背景において考案されたもので、1以上のパラメータを操作量としてフィードバック制御による画像濃度制御を行う画像形成装置において、像担持体上に濃度制御用基準パッチを作成する制御用基準パッチ作成手段と、像担持体上のパッチ濃度を測定する像担持体上パッチ濃度測定手段と、出力用紙(記録用紙)上に校正用基準パッチを作成する校正用基準パッチ作成手段と、出力用紙上のパッチ濃度を測定する出力用紙上パッチ濃度測定手段と、出力用紙上の校正用基準パッチ作成時に形成される像担持体上パッチのパッチ濃度測定値と出力用紙上のパッチ濃度測定値とに基づいて、フィードバック制御に用いる濃度制御用基準パッチの目標濃度を校正し、校正した目標値を校正目標値として設定する目標値校正手段とを有し、濃度制御用基準パッチの濃度を目標値校正手段によって設定された校正目標値に一致するようにパラメータを操作量とするフィードバック制御を実行して画像濃度制御を行う構成を有している。
【0011】
しかし、本文献の構成では、使用する記録用紙の種類が変わる度毎に、像担持体(中間像形成媒体)に対する画像(パッチ)出力と記録用紙に対する画像出力の双方を行うとともにその濃度を測定する必要があることから、補正処理の実行に時間や労力を要するという問題があった。
【0012】
【特許文献1】特開2000−333012号公報(請求項1)
【特許文献2】特開平11−148978号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、記録用紙の種類に応じた色出力特性の補正を容易にかつ効果的に行うことが可能な画像出力システム、制御装置、画像出力方法、その画像出力方法をコンピュータに実行させるプログラム、及び、そのプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶した記憶媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、画像データに基づく印刷用画像を複数種類の記録用紙のうちから指定された記録用紙上に出力する画像出力装置と、前記画像出力装置に対して前記画像データを送信する制御装置とを備えた画像出力システムであって、あらかじめ、前記画像出力装置の中間像形成媒体に対する色出力特性と、前記複数種類の記録用紙のそれぞれに対する色出力特性とを関連付ける関連情報を記憶する記憶手段と、前記中間像形成媒体上に所定の補正用画像を形成する補正用画像形成手段と、前記形成された前記補正用画像の前記色出力特性を測定する測定手段と、前記記憶された前記指定された記録用紙についての前記関連情報と、前記測定された前記色出力特性とに基づいて、前記指定された記録用紙に対する前記色出力特性を補正する補正手段と、を備え、前記画像出力装置は、前記補正された前記色出力特性を用いて、前記画像データに基づく前記印刷用画像を前記指定された記録用紙上に出力する、ことを特徴とする。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像出力システムであって、前記制御装置は、前記画像データをスクリーニングして各基本色毎の網点画像データを作成する網点化処理手段を備え、前記画像出力装置は、当該作成された前記各基本色毎の網点画像データに基づくトナー画像を感光体上に形成するトナー画像形成手段と、当該形成された前記各基本色毎のトナー画像を中間転写体上に転写する一次転写手段と、当該転写された前記トナー画像を前記記録用紙に転写する二次転写手段と、当該転写された前記トナー画像を前記記録用紙に定着させて前記印刷用画像を形成する定着手段と、を備え、前記スクリーニングされた網点によって前記印刷用画像の階調を表現する電子写真式のカラーレーザープリンタであり、前記中間像形成媒体は、前記画像出力装置の前記中間転写体であり、前記補正用画像形成手段は、前記トナー画像形成手段及び前記一次転写手段を含んでいる、ことを特徴とする。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像出力システムであって、前記色出力特性は、前記網点画像データの網点パーセントに対応する濃度値を表す階調特性であり、前記関連情報は、前記中間像形成媒体に対する前記階調特性と、前記複数種類の記録用紙のそれぞれに対する前記階調特性との差異を表す係数情報を含み、前記測定手段は、前記補正用画像の濃度値を測定する濃度センサを含み、前記補正手段は、前記係数情報と前記濃度センサにより測定された前記濃度値とに基づいて、前記指定された記録用紙に対する前記階調特性を補正する、ことを特徴とする。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、画像データに基づく印刷用画像を複数種類の記録用紙のうちから指定された記録用紙上に出力する画像出力装置と、前記画像出力装置に対して前記画像データを送信する制御装置とを備えた画像出力システムであって、あらかじめ、前記複数種類の記録用紙のうち、所定の種類の記録用紙に対する色出力特性と、他の種類の記録用紙のそれぞれに対する色出力特性とを関連付ける関連情報を記憶する記憶手段と、前記所定の種類の記録用紙上に所定の補正用画像を形成する補正用画像形成手段と、前記形成された前記補正用画像の前記色出力特性を測定する測定手段と、前記記憶された前記指定された記録用紙についての前記関連情報と、前記測定された前記色出力特性とに基づいて、前記指定された記録用紙に対する前記色出力特性を補正する補正手段と、を備え、前記画像出力装置は、前記補正された前記色出力特性を用いて、前記画像データに基づく前記印刷用画像を前記指定された記録用紙上に出力する、ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像出力システムであって、前記制御装置は、前記画像データをスクリーニングして各基本色毎の網点画像データを作成する網点化処理手段を備え、前記画像出力装置は、当該作成された前記各基本色毎の網点画像データに基づくトナー画像を感光体上に形成するトナー画像形成手段と、当該形成された前記各基本色毎のトナー画像を中間転写体上に転写する一次転写手段と、当該転写された前記トナー画像を前記記録用紙に転写する二次転写手段と、当該転写された前記トナー画像を前記記録用紙に定着させて前記印刷用画像を形成する定着手段と、を備え、前記スクリーニングされた網点によって前記印刷用画像の階調を表現する電子写真式のカラーレーザープリンタであり、前記補正用画像形成手段は、前記トナー画像形成手段、前記一次転写手段及び前記二次転写手段を含んでいる、ことを特徴とする。
【0019】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像出力システムであって、前記色出力特性は、前記網点画像データの網点パーセントに対応する濃度値を表す階調特性であり、前記関連情報は、前記所定の種類の記録用紙に対する前記階調特性と、前記他の種類の記録用紙に対する前記階調特性との差異を表す係数情報を含み、前記測定手段は、前記補正用画像の濃度値を測定する濃度センサを含み、前記補正手段は、前記係数情報と前記濃度センサにより測定された前記濃度値とに基づいて、前記指定された記録用紙に対する前記階調特性を補正する、ことを特徴とする。
【0020】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の画像出力システムであって、前記指定された記録用紙とは、前記制御装置が前記画像データとともに上流端末から受領した用紙指定情報に示す記録用紙であることを特徴とする。
【0021】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の画像出力システムであって、前記画像データに基づく前記印刷用画像を出力する前記記録用紙を指定する用紙指定手段を備えていることを特徴とする。
【0022】
また、請求項9に記載の発明は、画像データに基づく印刷用画像を複数種類の記録用紙のうちから指定された記録用紙上に出力する画像出力装置に対して前記画像データを送信する制御装置であって、あらかじめ、前記画像出力装置の中間像形成媒体に対する前記色出力特性と、前記複数種類の記録用紙のそれぞれに対する前記色出力特性とを関連付ける関連情報を記憶する記憶手段と、前記中間像形成媒体上に所定の補正用画像を形成するように前記画像出力装置に指示する指示手段と、前記指示に応じて形成された前記補正用画像について測定された前記色出力特性と、前記記憶された前記指定された記録用紙についての前記関連情報とに基づいて、前記指定された記録用紙に対する前記色出力特性を補正する補正手段と、前記補正された前記色出力特性を前記画像出力装置に送信して、前記画像データに基づく前記印刷用画像を前記指定された記録用紙上に出力させる送信手段と、を備えている、ことを特徴とする。
【0023】
また、請求項10に記載の発明は、画像データに基づく印刷用画像を複数種類の記録用紙のうちから指定された記録用紙上に出力する画像出力装置に対して前記画像データを送信する制御装置であって、あらかじめ、前記複数種類の記録用紙のうち、所定の種類の前記記録用紙に対する前記色出力特性と、他の種類の記録用紙のそれぞれに対する前記色出力特性とを関連付ける関連情報を記憶する記憶手段と、前記所定の種類の記録用紙上に所定の補正用画像を形成するように前記画像出力装置に指示する指示手段と、前記指示に応じて形成された前記補正用画像について測定された前記色出力特性と、前記記憶された前記指定された記録用紙についての前記関連情報とに基づいて、前記指定された記録用紙に対する前記色出力特性を補正する補正手段と、前記補正された前記色出力特性を前記画像出力装置に送信して、前記画像データに基づく前記印刷用画像を前記指定された記録用紙上に出力させる送信手段と、を備えている、ことを特徴とする。
【0024】
また、請求項11に記載の発明は、画像データに基づく印刷用画像を複数種類の記録用紙のうちから指定された記録用紙上に出力する画像出力装置と、前記画像出力装置に対して前記画像データを送信する制御装置とを備えた画像出力システムによる画像出力方法であって、あらかじめ、前記画像出力装置の中間像形成媒体に対する前記色出力特性と、前記複数種類の記録用紙のそれぞれに対する前記色出力特性とを関連付ける関連情報を記憶するステップと、前記中間像形成媒体上に所定の補正用画像を形成するステップと、前記形成された前記補正用画像の前記色出力特性を測定するステップと、前記記憶された前記指定された記録用紙についての前記関連情報と、前記測定された前記色出力特性とに基づいて、前記指定された記録用紙に対する前記色出力特性を補正するステップと、前記補正された前記色出力特性を用いて、前記画像データに基づく前記印刷用画像を前記指定された記録用紙上に出力するステップと、を含んでいる、ことを特徴とする。
【0025】
また、請求項12に記載の発明は、画像データに基づく印刷用画像を複数種類の記録用紙のうちから指定された記録用紙上に出力する画像出力装置と、前記画像出力装置に対して前記画像データを送信する制御装置とを備えた画像出力システムによる画像出力方法であって、あらかじめ、前記複数種類の記録用紙のうち、所定の種類の前記記録用紙に対する前記色出力特性と、他の種類の前記記録用紙のそれぞれに対する前記色出力特性とを関連付ける関連情報を記憶するステップと、前記所定の種類の記録用紙上に所定の補正用画像を形成するステップと、前記形成された前記補正用画像の前記色出力特性を測定するステップと、前記記憶された前記指定された記録用紙についての前記関連情報と、前記測定された前記色出力特性とに基づいて、前記指定された記録用紙に対する前記色出力特性を補正するステップと、前記補正された前記色出力特性を用いて、前記画像データに基づく前記印刷用画像を前記指定された記録用紙上に出力するステップと、を含んでいる、ことを特徴とする。
【0026】
また、請求項13に記載の発明は、請求項11又は請求項12に記載の画像出力方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0027】
また、請求項14に記載の発明は、請求項13に記載のプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶した記憶媒体である。
【発明の効果】
【0028】
請求項1〜3、請求項9、請求項11、及び請求項13、14(請求項11に関する部分に限る)に記載の画像出力システム、制御装置、画像出力方法、プログラム及び記憶媒体によれば、画像出力装置の中間像形成媒体に対する色出力特性と、各種類の記録用紙に対する色出力特性とを関連付ける関連情報があらかじめ記憶されており、中間像形成媒体上に所定の補正用画像が形成され、その補正用画像の色出力特性が測定され、その測定結果と関連情報とに基づいて、指定された記録用紙に対する色出力特性が補正され、その補正された色出力特性を用いて印刷用画像が出力される。したがって、記録用紙の種類が変わる度毎に中間像形成媒体及び記録用紙の双方に画像を形成して測定を行う従来の構成と比較して、色出力特性の補正を容易に、かつ、記録用紙の種類に応じて効果的に行うことができる。
【0029】
また、補正用画像を中間像形成媒体上に形成するように構成されていることから、記録用紙を消費することなく色出力特性の補正処理を実行できるので、コスト面、省資源面などの観点において有効である。また、補正処理が自動化されるというメリットもある。
【0030】
請求項4〜6、請求項10、請求項12及び請求項13、14(請求項12に関する部分に限る)に記載の画像出力システム、制御装置、画像出力方法、プログラム及び記憶媒体によれば、所定の種類の記録用紙に対する色出力特性と、他の種類の記録用紙に対する色出力特性とを関連付ける関連情報があらかじめ記憶されており、所定の種類の記録用紙上に所定の補正用画像が形成され、その補正用画像の色出力特性が測定され、その測定結果と関連情報とに基づいて、指定された記録用紙に対する色出力特性が補正され、その補正された色出力特性を用いて印刷用画像が出力される。したがって、色出力特性の補正を容易に、かつ、記録用紙の種類に応じて効果的に行うことができる。
【0031】
また、請求項1〜請求項14に記載の本発明によれば、画像データに基づく印刷用画像を他の記録用紙に出力したい場合、当該他の記録用紙に対応する関連情報を用いることにより、新たに補正用画像を形成することなく容易に色出力特性を補正できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明に係る画像出力システム、制御装置、画像出力方法、その方法を実行させるコンピュータプログラム、及び、そのプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶した記憶媒体を好適に実施するための構成の一例について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。
【0033】
〈第1の実施形態〉
以下、本発明に係る画像出力システムの第1の実施形態の概略構成、当該システムの画像出力装置としてのカラーレーザープリンタの内部構成、当該システムの制御系の構成、当該システムの動作態様及びその作用効果について順に説明する。
【0034】
[画像出力システムの概略構成]
図1は、本発明に係る画像出力システム1の構成及びそのワークフローの一例を表している。本実施形態の画像出力システム1は、制御装置100とカラーレーザープリンタ200(画像出力装置)とを含んで構成されている。画像出力システム1は、上流端末であるクライアント端末300からネットワークを介して送信される画像データに基づく印刷用画像を記録用紙に出力するための構成を有している。
【0035】
クライアント端末300は、クライアントが画像データの画像編集、例えば面付け作業を行うための少なくとも1台のコンピュータ端末からなる。クライアント端末300から制御装置100に送信される画像データは、例えばPostScript等の記述言語にて形成されたカンプ用の画像データ(ページ面付けする前の単ページの画像データ)や、印刷用の画像データ(複数面付けした画像データ)である。画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(BK又はK)の各色版データに分解されてクライアント端末300から制御装置100に送信される。
【0036】
なお、この画像出力システム1は、更に他の装置とネットワーク経由で接続されていてもよい。そのような装置としては、例えば、CTP用RIP(CTP用ラスターイメージプロセッサ)、CTP、DCP制御装置、DCP作成装置などが一般に用いられている。CTP用RIPは、クライアント端末300から送信された印刷用の画像データにRIP処理を施し、それを制御装置100やCTP、あるいは高精度なDCPが必要な場合には、DCP制御装置に送信する装置である。CTPは、CTP用RIPから送信された印刷用の画像データに基づく画像をPS版に直接出力する装置である。DCP作成装置は、CTP用RIPからDCP制御装置を介して送信された印刷用の画像データに基づく画像をDCPとして出力する装置である。ここで、DCP制御装置は、CTP用RIPから送信された印刷用の画像データを網点化してDCP作成装置に送信する。DCP作成装置は、複数の光源より波長の異なるレーザー光で感光材料を露光して各色の網点を形成することにより、DCP制御装置から送信された印刷用の画像データに基づく網点画像を出力してDCPを作成する。
【0037】
なお、上述の“RIP処理”とは、PostScript等で記述された画像データをカラーレーザープリンタ200やCTP、DCP作成装置等の出力解像度に合わせたビットマップデータに展開する処理のことを指す。
【0038】
また、制御装置100、クライアント端末300、CTP用RIP及びDCP制御装置は、各々コンピュータ端末として動作するものであって、コンピュータ本体、マウスやキーボード等の操作部、モニタ等の表示部を備え、所定の動作プログラムが組み込まれている。更に、クライアント端末300は、画像編集を行うための編集プログラム、イメージスキャナ等の画像入力機器を備えている。
【0039】
画像出力システム1の制御装置100は、クライアント端末300からネットワークを介して送信されたカンプ用の画像データや印刷用の画像データにRIP処理を施すとともに、スクリーニングによる網点化処理を施し、出力指示や記録用紙の種類、サイズ、位置等の各種設定情報等を含む出力指示信号とともにカラーレーザープリンタ200に送信する。
【0040】
なお、“スクリーニング”とは、目的の画像の階調を表現するスクリーン角度やスクリーン線数を設定して網点画像データを形成する処理のことを示している。
【0041】
カラーレーザープリンタ200は、例えば電子写真方式のコピー部やイメージスキャナ等のスキャン部を備えたマルチファンクションプリンタであり、制御装置100から送信された出力指示信号に従って、スクリーニングされたカンプ用の画像データや印刷用の画像データに基づく網点画像を記録用紙の該当位置に出力する。
【0042】
[カラーレーザープリンタの内部構成]
図2は、多色マルチビーム式のカラーレーザープリンタ200の内部構成の一例を示す断面側面図である。カラーレーザープリンタ200は、制御装置100から送信された画像データに基づいて制御される各基本色の露光ビームを像形成体上に走査するなどして各基本色のトナー画像を形成し、それを中間転写体に逐次転写(一次転写)し、この中間転写体に転写された複数のトナー画像を記録用紙に更に転写(二次転写)することにより画像を出力する装置である。なお、このカラーレーザープリンタ200においては、上述の“基本色”として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(BK又はK)の4色が使用される。
【0043】
カラーレーザープリンタ200は、画像の出力処理を実行する装置本体201と、この装置本体201の上部に形成され、コピーに供される原稿などをスキャンする画像読取装置202とを備えている。
【0044】
まず、カラーレーザープリンタ200のスキャン機能及びコピー機能について簡単に説明する。画像読取装置202は、自動原稿給紙装置203と原稿画像走査露光装置204とを有している。自動原稿給紙装置203は、原稿台d上に載置された原稿(図示せず)を原稿画像走査露光装置204に搬送する。原稿画像走査露光装置204は、自動原稿給紙装置203により搬送された原稿の片面又は両面の画像に光を照射してスキャンを行い、当該原稿画像を反映したその光をラインイメージセンサCCDにより検出する。ラインイメージセンサCCDは、当該検出光をアナログ画像信号に光電変換する。そのアナログ画像信号は、図示しない画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が施されてデジタル画像データとされる。
【0045】
装置本体201は、このデジタル画像データに基づいて、原稿のコピー画像を記録用紙に出力する。なお、このコピー画像の出力処理は、以下に説明する装置本体201による画像出力処理と同様である。
【0046】
なお、本発明における画像出力装置は、当該カラーレーザープリンタ200のようなスキャン機能やコピー機能を有している必要はなく、画像データに基づき画像を出力するプリンタ機能のみを備えていれば十分である。
【0047】
続いて、装置本体201の詳細構成及び装置本体201が実行する画像出力処理について説明する。
【0048】
装置本体201は、各基本色毎のトナー画像を形成する画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、各基本色のトナー画像が転写される環状の中間転写ベルト6と、記録用紙を搬送して中間転写ベルト6上のトナー画像を転写させる用紙搬送機構(後述)と、記録用紙に転写されたトナー画像を定着させる定着装置17とを備えている。
【0049】
中間転写ベルト6は、上述の中間転写体を構成するものであり、複数のローラに巻回された状態で支持されている。この中間転写ベルト6は、当該複数のローラの回転に伴って回転されるようになっている。
【0050】
イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、Y色のトナー画像が形成される像形成体としての感光体ドラム1Yと、この感光体ドラム1Yの周囲に配置された帯電手段2Yと、露光手段3Yと、現像手段4Yと、感光体ドラム1Yに付着したトナーをクリーニングするクリーニング手段8Yとを有する。
【0051】
露光手段3Yは、図示は省略するが、画像データに基づいて例えば4本のレーザービームを感光体ドラム1Yに同時に照射して露光処理を行うことにより、4ライン分のY色の静電潜像を同時に形成するようになっている。また、現像手段4Yによる現像処理は、使用するトナーの極性と同極性(例えば負極性)の直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスを印可することにより行われる。
【0052】
感光体ドラム1Yとともに中間転写ベルト6を挟み込むように、一次転写ローラ7Yが設けられている。この一次転写ローラ7Yには、トナーと反対極性(例えば正極性)の一次転写バイアスが印可され、それにより、画像形成ユニット10Yによって感光体ドラム1Yに形成されたY色のトナー画像が中間転写ベルト6に転写される。
【0053】
マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、M色のトナー画像が形成される像形成体としての感光体ドラム1Mと、この感光体ドラム1Mの周囲に配置された帯電手段2Mと、露光手段3Mと、現像手段4Mと、感光体ドラム1Mに付着したトナーをクリーニングするクリーニング手段8Mとを有する。
【0054】
露光手段3Mは、Y色に関する構成と同様に、画像データに基づいて例えば4本のレーザービームを感光体ドラム1Mに同時に照射して露光処理を行うことにより、4ライン分のM色の静電潜像を同時に形成するようになっている。また、現像手段4Mによる現像処理は、使用するトナーの極性と同極性(例えば負極性)の直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスを印可することにより行われる。
【0055】
感光体ドラム1Mとともに中間転写ベルト6を挟み込むように、一次転写ローラ7Mが設けられている。一次転写ローラ7Mには、トナーと反対極性(例えば正極性)の一次転写バイアスが印可され、それにより、画像形成ユニット10Mによって感光体ドラム1Mに形成されたM色のトナー画像が中間転写ベルト6に転写される。
【0056】
シアン(C)色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、C色のトナー画像が形成される像形成体としての感光体ドラム1Cと、この感光体ドラム1Cの周囲に配置された帯電手段2Cと、露光手段3Cと、現像手段4Cと、感光体ドラム1Cに付着したトナーをクリーニングするクリーニング手段8Cとを有する。
【0057】
露光手段3Cは、Y色に関する構成と同様に、画像データに基づいて例えば4本のレーザービームを感光体ドラム1Cに同時に照射して露光処理を行うことにより、4ライン分のC色の静電潜像を同時に形成するようになっている。また、現像手段4Cによる現像処理は、使用するトナーの極性と同極性(例えば負極性)の直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスを印可することにより行われる。
【0058】
各感光体ドラム1Cとともに中間転写ベルト6を挟み込むように、一次転写ローラ7Yが設けられている。一次転写ローラ7Yは、トナーと反対極性(例えば正極性)の一次転写バイアスが印可され、それにより、画像形成ユニット10Cによって感光体ドラム1Cに形成されたC色のトナー画像が中間転写ベルト6に転写される。
【0059】
黒(K)色の画像を形成する画像形成ユニット10Kは、K色のトナー画像が形成される像形成体としての感光体ドラム1Kと、この感光体ドラム1Kの周囲に配置された帯電手段2Kと、露光手段3Kと、現像手段4Kと、感光体ドラム1Kに付着したトナーをクリーニングするクリーニング手段8Kとを有する。
【0060】
露光手段3Kは、Y色に関する構成と同様に、画像データに基づいて例えば4本のレーザービームを感光体ドラム1Kに同時に照射して露光処理を行うことにより、4ライン分のK色の静電潜像を同時に形成するようになっている。また、現像手段4Kによる現像処理は、使用するトナーの極性と同極性(例えば負極性)の直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスを印可することにより行われる。
【0061】
各感光体ドラム1Kとともに中間転写ベルト6を挟み込むように、一次転写ローラ7Kが設けられている。一次転写ローラ7Kは、トナーと反対極性(例えば正極性)の一次転写バイアスが印可され、それにより、画像形成ユニット10Kによって感光体ドラム1Kに形成されたK色のトナー画像が中間転写ベルト6に転写される。
【0062】
このようにして、Y色のトナー画像、M色のトナー画像、C色のトナー画像、K色のトナー画像は、一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kにより一次転写バイアス(転写電流)が印可されることによって、回動する中間転写ベルト6上に重なるようにそれぞれ転写される。それにより、各色のトナー画像が合成された合成トナー画像が中間転写ベルト6上に形成される。
【0063】
なお、一次転写後に各感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kの周面上に残ったトナーは、ドラムクリーニング手段8Y、8M、8C、8Kによってそれぞれクリーニングされ、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、次の画像形成処理に移行するようになっている。
【0064】
各給紙カセット20A、20B、20C内には、種類やサイズの異なる記録用紙Pがそれぞれ収納されている。記録用紙Pは、各給紙カセット20A、20B、20Cに設けられた送り出しローラ21により1枚ずつ取り出され、給紙ローラ22A、搬送ローラ22B、22C、22D、レジストローラ23等によって二次転写ローラ7Aに搬送される。
【0065】
二次転写ローラ7Aは、二次転写用の転写電流を印可することにより、中間転写ベルト6上に形成された合成トナー画像を記録用紙Pの一方の面(表面)に転写する。合成トナー画像が転写された記録用紙Pは、定着装置17に送られて定着処理が施され、排紙ローラ24に挟持されて機外の排紙トレイ25上に載置される。
【0066】
ここで、二次転写後に中間転写ベルト6上に残留したトナーは、ベルトクリーニング手段8Aによって除去される。
【0067】
また、給紙カセット20A、20B、20Cにそれぞれ格納された記録用紙を選択的に二次転写ローラ7Aに搬送する送り出しローラ21、給紙ローラ22A、搬送ローラ22B、22C、22D、レジストローラ23等、更に、二次転写処理及び定着処理がなされた記録用紙を排紙トレイ25に搬送する排紙ローラ24などは、上述の用紙搬送機構を構成している。
【0068】
なお、記録用紙Pの両面に画像を出力する場合、定着装置17から排出された記録用紙Pは、分岐手段26によって用紙排出路から分岐され、循環通紙路27Aにより再給紙機構(ADU機構)である反転搬送路27Bに送られる。記録用紙Pは、この反転搬送路27Bによって表裏が反転され、再給紙搬送部27Cを経由して搬送ローラ22Dに再び送られる。そして、表裏が反転された記録用紙Pは、レジストローラ23を介して二次転写ローラ7Aに送られて他方の面(裏面)に合成トナー画像が転写され、定着処理を経て排紙トレイ25に排出される。
【0069】
本実施形態のカラーレーザープリンタ200には、中間転写ベルト6上に形成された合成トナー画像の濃度測定を行う濃度センサ28が設けられている。この濃度センサ28は、装置本体201内の例えばK色の画像形成ユニット10Kの下方の中間転写ベルト6近傍に設けられており、例えば、中間転写ベルト6上の合成トナー画像に向けて光を照射し、その反射光を解析して濃度値(例えばY濃度、M濃度、C濃度)を取得する通常の濃度計によって構成されている。
【0070】
カラーレーザープリンタ200の画像出力処理は、装置本体201内に配設された制御部15の制御の下に実行される。この制御部15は、CPU等の演算制御装置によって構成されている。当該制御部15による各種制御態様の詳細については後述するものとする。
【0071】
[画像出力システムの制御系の構成]
図3に示すブロック図は、本実施形態の画像出力システム1の制御系の一例の概略構成を表している。以下、制御装置100及びカラーレーザープリンタ200の制御系についてそれぞれ説明する。
【0072】
〔制御装置の制御系〕
制御装置100は、本発明に係る処理態様等においてシステム各部の制御を行う制御部110と、クライアント端末300から送信される画像データを記憶する画像記憶部120と、本発明に係る補正処理(後述)を記録する補正情報記憶部130と、本システム1に関する各種の入力操作を行うための操作部140と、各種画像を表示する表示モニタ150と、クライアント端末300やカラーレーザープリンタ200との間におけるデータの送受信を司る送受信部160とを含んで構成されている。
【0073】
(制御部)
制御部110は、CPU等の演算制御装置によって構成され、ROMやハードディスクドライブ等のプログラム格納部(図示省略)に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより装置各部の制御を行う。制御部110は、当該コンピュータプログラムにしたがって、網点化処理部111及び補正部112として動作する。補正部112には、補正用画像形成指示部113と階調補正部114とが含まれている。
【0074】
網点化処理部111は、本発明の網点化処理手段を構成するもので、画像データをスクリーニングして各基本色Y、M、C、Kの網点画像データを作成する処理を実行する。より詳しく説明すると、網点化処理部111は、写真やイラストなどのように階調を有する(原稿)画像データを、細かい点の集まり(網、網点、ハーフトーンドット等)によって印刷用の画像データ(網点画像データ)に変換する処理を行うものである。出力される画像の濃淡(階調)は、この網点画像データの網点パーセントの値の変化によって表現される。
【0075】
補正部112は、本発明の補正手段を構成するもので、カラーレーザープリンタ200の出力色の階調を補正する処理を行うものである。補正部112は、以下の補正用画像形成指示部113と階調補正部114によって当該補正処理を行う。
【0076】
補正部112の補正用画像形成指示部113は、本発明にいう指示手段を構成するもので、所定の補正用画像を形成するように指示する信号を、送受信部160を介してカラーレーザープリンタ200に送信する処理を実行する。なお、この補正用画像としては、Y、M、Cの組合せからなるパッチを全色空間に亘って多数出力したカラーパッチ画像などを用いることができる。
【0077】
また、補正部112の階調補正部114は、詳細については後述するが、補正用画像を測定して取得される濃度値、補正情報記憶部130に記憶された情報等に基づいて、出力色の階調を補正する。なお、補正用画像の濃度値は、前述したカラーレーザープリンタ200の濃度センサ28によって測定される。
【0078】
(画像記憶部)
画像記憶部120は、ハードディスクドライブやイメージメモリ等の記憶装置によって構成され、クライアント端末300から送信される画像データGを記憶するために用いられる。画像記憶部120に対する画像データ等の各種データの記録処理及び読み出し処理等は、制御部110によって実行される。この画像記憶部120の所定領域(ディレクトリ)に、プルーフ用画像の画像データが格納されるホットフォルダを設けてもよい。その場合、制御部110は、ホットフォルダを監視して、それに格納された画像データをプルーフ用途して認識する。
【0079】
(補正情報記憶部)
補正情報記憶部130は、本発明にいう記憶手段を構成するもので、ハードディスクドライブ等の記憶装置からなる。この補正情報記憶部130には、制御部110の補正部112による補正処理に供される補正係数情報131と用紙指定情報132が格納される。
【0080】
補正係数情報131は、カラーレーザープリンタ200の中間転写ベルト6上にトナー画像を形成するときの階調特性と、記録用紙Pに画像を出力するときの階調特性とを関連付ける係数情報である。係数情報は、記録用紙Pの種類毎に設けられている。
【0081】
なお、階調特性(ガンマ特性)は、本発明の色出力特性の一例であり、網点画像データの網点パーセントの各値に対する濃度値として表現されるデータである。また、補正係数情報131は、本発明にいう関連情報及び係数情報を構成している。更に、この関連情報は、後述のような補正係数(係数情報)である必要はなく、中間転写ベルト6に対する色出力特性と記憶用紙Pに対する色出力特性とを関連付けるデータであれば、その形態については問わない。
【0082】
図4は、補正係数情報131の概要を示している。同図には、中間転写ベルト6に対する階調特性データ(左方中段のグラフ)とともに、種類の異なる第1の記録用紙及び第2の記録用紙の階調特性データ(左方上段及び下段のグラフ)の一例が示されている。
【0083】
中間転写ベルト6に対する階調特性データは、第1及び第2の記録用紙に対応する階調特性を補正するときの基準となる情報であり、基準階調特性データと呼ぶこととする。この基準階調特性データは、同図に示すように直線的な階調の応答特性を有しているものとする。
【0084】
一方、第1の記録用紙に対する階調特性データ(第1の階調特性データと呼ぶ)は、基準階調特性データと同様に直線的な応答特性を有しているが、同じ網点パーセントに対応する濃度値が基準階調特性データよりも低い値であるとする。すなわち、同じ網点パーセントで出力した場合において、第1の記録用紙上における出力色の濃度は、中間転写ベルト6上における出力色よりも低くなる。また、第2の記録用紙に対する階調特性データ(第2の階調特性データと呼ぶ)は、基準階調特性データとは異なり、曲線的な応答特性を有しているものとする。なお、階調特性のこのような相異は、記録用紙の材質や紙面の状態(粗密性、コートの有無等)などに起因して生じるものである。
【0085】
補正係数情報131には、階調補正の補正係数としての「係数1」131aと「係数2」131bが含まれている。なお、ここでは、2種類の記録用紙が使用される場合について説明するが、それ以上の種類の記録用紙を用いる場合には、その種類に応じた個数の補正係数が補正係数情報131に含まれることとなる。
【0086】
「係数1」131aは、基準階調特性データに対する第1の階調特性データの差異を表す係数、換言すれば、基準階調特性データを第1の階調特性データに変換するための変換係数として作用するものである。この場合、双方の応答特性が直線的であるので、「係数1」131aは、或る正の実数値となっている。
【0087】
また、「係数2」131bは、基準階調特性データに対する第2の階調特性データの差異を表す係数、換言すれば、基準階調特性データを第2の階調特性データに変換するための変換係数として作用するもので、第2の階調特性データが曲線的であることから、網点パーセントを変数とする関数として表される。
【0088】
補正係数情報131に含まれるこのような「係数」は、カラーレーザープリンタ200により使用される各種の記録用紙Pについてあらかじめ取得される。当該「係数」は、例えば、上述のカラーパッチ画像を各種の記録用紙P上に出力してその濃度値を測定することによって取得することができる。
【0089】
用紙指定情報132は、画像データに基づく画像を出力する記録用紙Pを指定する情報である。記録用紙Pの指定がクライアント端末300にてなされた場合、用紙指定情報132は、当該画像データに付されて送信され、この補正情報記憶部130に格納される。また、制御装置100やカラーレーザープリンタ200にて記録用紙Pが指定された場合には、その指定内容が用紙指定情報132として格納される。
【0090】
なお、補正情報記憶部130に対する情報の格納処理及び読み出し処理等は、制御部110によって実行される。
【0091】
(操作部)
操作部140は、本発明の用紙指定手段を構成するもので、キーボード等の入力デバイスや、マウス・トラックボール等のポインティングデバイスなど、オペレータが所望の入力操作を行うための任意のデバイスから構成される。オペレータは、例えば、表示モニタ150に表示される所定の操作画面(図示省略)を参照しながら、画像データに基づく印刷用画像の用途を指定する。
【0092】
記録用紙Pの指定は、例えば、用紙指定用のチェックボックスやプルダウンメニュー等を含む操作画面を表示モニタ150に表示させ、操作部140を操作して所望の記録用紙Pをチェックボックスやプルダウンメニュー等から選択指定することによりなされる。
【0093】
(表示モニタ及び送受信部)
表示モニタ150は、LCDやCRTなど、コンピュータに接続された通常のモニタ装置により構成される。表示モニタ150は、制御部110の指示に従って各種の画面(上述の操作画面など)を表示させる。また、送受信部160は、送受信インターフェイス回路などから構成される本発明の送信手段であり、制御部110の指示に従って各種データをカラーレーザープリンタ200やクライアント端末300に送信する処理を実行するとともに、カラーレーザープリンタ200やクライアント端末300から送信された各種データを受信して制御部110に送る処理を実行する。
【0094】
〔カラーレーザープリンタの制御系〕
次に、カラーレーザープリンタ200の制御系の構成について説明する。カラーレーザープリンタ200の制御系は、上述の制御部15及び濃度センサ28と、制御装置100から送信される(網点)画像データに基づく印刷用画像を出力する画像出力部220と、この画像出力部220に記録用紙Pを供給する用紙供給部30と、制御装置100との間における各種データの送受信を行う送受信インターフェイス回路などから構成される送受信部230とを備えている。ここで、濃度センサ28は、本発明の測定手段を構成している。
【0095】
(制御部)
制御部15は、CPU等の演算制御装置によって構成され、コンピュータプログラムに従ってカラーレーザープリンタ200の各部の制御を行う。なお、制御部15により実行されるコンピュータプログラムは、カラーレーザープリンタ200自体に格納されていてもよいし、また、制御装置100の制御部110に格納された上述のコンピュータプログラムであってもよい。
【0096】
制御部15は、カラーレーザープリンタ200が印刷用画像を出力するときの各種の出力設定値を制御装置100の指示に従って変更する出力設定変更部211を備えている。この出力設定値としては、例えば、階調特性(ガンマ特性)、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kのトナー濃度、帯電手段2Y、2M、2C、2Kの帯電電位、露光手段3Y、3M、3C、3Kの露光量、一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kにより印可される転写電流の電流値、二次転写ローラ7Aにより印可される転写電流の電流値などがある。
【0097】
(画像出力部)
画像出力部220は、制御装置100から受けた網点画像データに基づいて各基本色Y、M、C、Kのトナー画像を形成するトナー画像形成部221と、そのトナー画像を中間転写ベルト6に転写する一次転写部222と、中間転写ベルト6に転写されたトナー画像を記録用紙Pに転写する二次転写部223とを含んでいる。なお、前述したように、記録用紙Pに転写されたトナー画像は、図2に示した定着装置によって定着処理が施されて排紙トレイ25に送られる。画像出力部220は、本発明の補正用画像形成手段を構成するものである。
【0098】
トナー画像形成部221は、本発明のトナー画像形成手段を構成するもので、図2に示した各基本色の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kによって構成されている。また、一次転写部222は、本発明の一次転写手段を構成し、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kによりそれぞれ形成されたY色、M色、C色、K色のトナー画像を中間転写ベルト6に転写する一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kにより構成される。また、二次転写部223は、本発明の二次転写手段を構成し、二次転写ローラ7Aにより構成される。更に、本発明において、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kは感光体を、中間転写ベルト6は中間転写体及び中間像形成媒体を、定着装置17は定着手段を、それぞれ構成している。
【0099】
(用紙供給部)
用紙供給部30は、任意の種類やサイズの記録用紙Pをそれぞれ格納する給紙カセット20A、20B、20Cと、給紙カセット20A、20B、20Cに格納された記録用紙Pを、画像出力部220の二次転写ローラ7Aに選択的に搬送する用紙搬送機構31とを備えている。なお、図3では図示を省略したが、用紙供給部30は、制御部15に接続されており、制御部15の制御にしたがって記録用紙Pを画像出力部220に搬送するようになっている。
【0100】
給紙カセット20A、20B、20Cには、アート紙、コート紙、上質紙、中質紙など様々な種類の記録用紙Pが格納される。なお、各給紙カセット20A、20B、20Cに格納されている記録用紙Pの種類やサイズの情報は、制御部15及び制御装置100の制御部110に記録されている。
【0101】
用紙搬送機構31は、送り出しローラ21、給紙ローラ22A、搬送ローラ22B、22C、22D、レジストローラ23等によって構成されている。用紙搬送機構31は、上述の用紙指定情報132に示す種類の記録用紙Pを給紙カセット20A、20B、20Cから選択して画像出力部220に搬送する。
【0102】
[画像出力システムの動作態様]
本実施形態の画像出力システム1の動作態様の一例について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0103】
制御装置100の補正情報記憶部130に、図4で説明したような補正係数情報131を記憶させる(S1)。この手順は、当該システム1により実際に画像出力を行う前に行われる。以下、実際の画像出力に係る処理手順に移行する。
【0104】
まず、制御装置100の制御部110は、クライアント端末300から送信された画像データGを画像記憶部120に格納する(S2)。次に、画像データGに基づく印刷用画像が出力される記録用紙Pを指定する用紙指定情報132が補正情報記憶部130に格納される(S3)。画像データGに用紙指定情報が付されている場合には、その用紙指定情報が格納される。また、オペレータが操作部140を操作して指定をした場合には、その指定内容が格納される。
【0105】
続いて、制御部110は、網点化処理部111によって画像データGを網点画像データに変換する(S4)。更に、補正用画像形成指示部113により、補正用画像(例えば上述のカラーパッチ画像)を形成する旨の指示信号を、送受信部160を介してカラーレーザープリンタ200へと送信する(S5)。
【0106】
カラーレーザープリンタ200の制御部15は、制御装置100からの当該指示信号を受信すると、画像出力部220を制御して中間転写ベルト6上に補正用画像を形成させる(S6)。このとき、画像出力部220は、例えば、トナー画像形成部221によって、カラーパッチ画像の網点画像データを基に各基本色のトナー画像を形成するとともに、一次転写部222により、各基本色のトナー画像を中間転写ベルト6にそれぞれ転写させることで、補正用画像としてのカラーパッチ画像(の合成トナー画像)を中間転写ベルト6上に形成する。
【0107】
制御部15は、濃度センサ28を制御して、中間転写ベルト6上の補正用画像を測定して濃度値を取得する(S7)。その測定結果は、制御部15により、送受信部230を介して制御装置100に送信される。
【0108】
制御装置100の制御部110の階調補正部114は、補正係数情報131と、補正用画像について測定された濃度値とに基づいて、用紙指定情報132が示す記録用紙Pに対する階調特性の補正値を求める(S8)。
【0109】
より詳細には、階調補正部114は、用紙指定情報132に示す記録用紙Pに対する補正係数を補正係数情報131から選択して呼び出し、ステップS7にて取得された補正用画像の濃度値に当該補正係数を乗算することにより、指定された記録用紙Pに対する階調特性の補正値を算出する。ここでは、補正用画像としてカラーパッチ画像を使用しているので、様々な網点パーセントに対する濃度値(つまり階調特性)の測定値が得られ、その補正値が得られる。それにより、補正用画像に対する階調特性の変位を考慮した、記録用紙Pに対する階調特性の補正値が取得される。
【0110】
例えば、図4のケースにおいて、指定された記録用紙Pが第1の記録用紙である場合、階調補正部114は、補正係数情報131から「係数1」131aを呼び出し、ステップS7にて測定された濃度値(階調特性)にこの「係数1」131aを乗算して補正値を求める。また、第2の記録用紙が指定された場合には、「係数2」131bを呼び出し、測定された階調特性にこの「係数2」131bを各網点パーセントの値毎に乗算して補正値を求める。
【0111】
ステップS8の補正処理に続き、制御部110は、この階調特性の補正値を、ステップS4にて作成された網点画像データとともにカラーレーザープリンタ200へと送信する(S9)。このとき、用紙指定情報132や出力枚数など各種の出力条件に関する情報もカラーレーザープリンタ200に送信される。
【0112】
カラーレーザープリンタ200の制御部15の出力設定変更部211は、画像出力部220の出力設定を当該階調特性の補正値に合わせて変更し(S10)、画像出力部220は、用紙指定情報132に応じた記録用紙P上に、当該網点画像データに基づく印刷用画像を出力する(S11)。以上で、当該画像データに基づく画像出力処理を終了し、次の画像データに対する処理に移行する。
【0113】
[画像出力システムの作用・効果]
以上のような画像出力システム1による作用、効果について説明する。画像出力システム1は、記録用紙の種類に応じた補正係数をあらかじめ備えており、画像出力時に、中間転写ベルト6上に補正用画像を形成し、各種の網点パーセントに対応する濃度値(階調特性)を測定するとともに、その階調特性を、当該印刷用画像が出力される記録用紙に応じた補正係数を用いて補正するようになっている。したがって、記録用紙の種類が変わる度毎に中間転写ベルト6及び記録用紙の双方に画像を形成して濃度測定を行う従来の構成と比較して、階調の補正を容易に行うことが可能である。また、記録用紙の種類毎に補正係数が用意されていることから、カラーレーザープリンタ200に格納されたどの記録用紙に画像を出力する場合であっても、階調補正を効果的に行うことができる。
【0114】
また、中間転写ベルト6上に形成された補正用画像の濃度の測定値を用いて階調を補正するように構成されていることから、記録用紙を消費することなく補正処理を実行できるので、コスト面、省資源面などの観点において有効である。また、補正処理が自動化されるというメリットもある。
【0115】
また、当該画像データに基づく印刷用画像を他の記録用紙に出力する場合、当該他の記録用紙に対応する補正係数を用いることで、新たに補正用画像を形成することなく容易に階調を補正できる。
【0116】
〈第2の実施形態〉
本発明に係る画像出力システムの第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して説明することとする。
【0117】
本実施形態の画像出力システムは、図1に示した第1の実施形態の画像出力システム1と同様のシステム構成からなり、クライアント端末から送信される画像データに各種の処理を施す制御装置と、この制御装置により処理された画像データに基づく印刷用画像を出力するカラーレーザープリンタとを含んで構成される。なお、中間転写ベルト6上の画像の濃度を測定する濃度センサ28(第1の実施形態を参照)は、本実施形態のカラーレーザープリンタには特に必要とされない。
【0118】
[画像出力システムの制御系の構成]
図6は、本実施形態の画像出力システム1′の制御系の構成を表している。画像出力システム1′の制御装置100′とカラーレーザープリンタ200′は、第1の実施形態の画像出力システム1とほぼ同様の制御系を備えている。
【0119】
〔制御装置の制御系〕
制御装置100′は、制御部110、画像記憶部120、補正情報記憶部130、操作部140、表示モニタ150及び送受信部160を有する。また、制御装置100′には、記録用紙Pに出力された画像(例えばカラーパッチ画像)の濃度値を測定するための濃度計400が接続されており、その測定結果が制御装置100′に入力されるようになっている。なお、この濃度計400は、本発明の測定手段を構成するものである。
【0120】
補正情報記憶部130には、補正係数情報131と用紙指定情報132が記憶される。本実施形態の補正係数情報131は、或る記録用紙(基準記録用紙)に画像を出力するときの階調特性と、他の記録用紙に画像を出力するときの階調特性とを関連付ける係数情報である。この係数情報は、記録用紙の種類毎(基準記録用紙自身に対するものを除く)に設けられている。なお、基準記録用紙は、本発明にいう所定の種類の記録用紙に相当する。
【0121】
図7は、本実施形態の補正係数情報131の概要を示している。同図には、基準記録用紙としての第1の記録用紙の基準階調特性データ(左方上段のグラフ)と、上記他の記録用紙としての第2の記録用紙の階調特性データ(左方下段のグラフ)の一例が示されている。第1の記録用紙に対する階調特性データは、直線的な応答特性を有している。また、第2の記録用紙に対する階調特性データは、基準階調特性データとは異なり、曲線的な応答特性を有している。
【0122】
補正係数情報131には、階調補正の補正係数としての「係数」131cが含まれている。なお、ここでは、2種類の記録用紙が使用される場合について説明するが、それ以上の種類の記録用紙を用いる場合には、その種類に応じた個数の補正係数が補正係数情報131に含まれることとなる。
【0123】
「係数」131cは、基準階調特性データに対する第2の記録用紙の階調特性データの差異を表す係数、換言すれば、基準階調特性データを第2の記録用紙の階調特性データに変換するための変換係数として作用するもので、前者が直線的で後者が曲線的であることから、網点パーセントを変数とする関数として表される。
【0124】
この「係数」131cは、カラーレーザープリンタ200′により使用される各種の記録用紙Pについてあらかじめ取得される。当該「係数」は、例えば、上述のカラーパッチ画像を各種の記録用紙P上に出力してその濃度値を測定することによって取得することができる。
【0125】
[画像出力システムの動作態様]
以上のような構成を有する画像出力システム1′の動作態様について、図8に示すフローチャートを参照して説明する。
【0126】
制御装置100′の補正情報記憶部130に、図7で説明したような補正係数情報131を記憶させる(S21)。この手順は、当該システム1により実際に画像出力を行う前に行われる。以下、実際の画像出力に係る処理手順に移行する。
【0127】
まず、制御装置100′の制御部110は、クライアント端末300から送信された画像データGを画像記憶部120に格納する(S22)。次に、画像データGに基づく印刷用画像が出力される記録用紙Pを指定する用紙指定情報132が補正情報記憶部130に格納される(S23)。
【0128】
続いて、制御部110は、網点化処理部111によって画像データGを網点画像データに変換する(S24)。また、制御部110は、補正用画像形成指示部113により、補正用画像(カラーパッチ画像)を形成する旨の指示信号をカラーレーザープリンタ200′に送信する(S25)。
【0129】
カラーレーザープリンタ200′の制御部15は、例えば、上記の基準記録用紙を画像出力部220に搬送するように用紙供給部30を制御するとともに(S26)、当該指示信号に応じ、この基準記録用紙上に補正用画像(カラーパッチ画像)を出力するように画像出力部220を制御する(S27)。このとき、画像出力部220は、トナー画像形成部221により、カラーパッチ画像の網点画像データを基に各基本色のトナー画像を形成し、一次転写部222により、各基本色のトナー画像を中間転写ベルト6にそれぞれ転写させ、二次転写部223により、中間転写ベルト6上のトナー画像を基準記録用紙に転写させ、定着装置17により定着処理を施すことで、補正用画像としてのカラーパッチ画像を基準記録用紙上に形成する。カラーパッチ画像が形成された基準記録用紙は、排紙トレイ25上に載置される。
【0130】
オペレータが濃度計400を操作して基準記録用紙上の補正用画像の濃度値(階調特性)を測定すると、その測定結果が制御装置100′に入力される(S28)。
【0131】
制御部110の階調補正部114は、補正係数情報131と、測定された補正用画像の濃度値とに基づいて、用紙指定情報132が示す記録用紙Pに対する階調特性の補正値を求める(S29)。
【0132】
より詳細に説明すると、階調補正部114は、用紙指定情報132に示す記録用紙Pに対する補正係数を補正係数情報131から選択して呼び出し、ステップS28にて取得された補正用画像の濃度値(階調特性)に当該補正係数を乗算することにより、その補正値を算出する。
【0133】
例えば、図7のケースにおいて、第2の記録用紙が指定された場合には、測定された階調特性に「係数」131cを乗算して補正値を求める。なお、指定された記録用紙Pが第1の記録用紙(つまり基準記録用紙)である場合には、ステップS28にて測定された濃度値(階調特性)をそのまま用いる。
【0134】
ステップS29の補正処理に続き、制御部110は、この階調特性の補正値を、ステップS24にて作成された網点画像データとともにカラーレーザープリンタ200へと送信する(S30)。このとき、用紙指定情報132や出力枚数など各種の出力条件に関する情報もカラーレーザープリンタ200に送信される。
【0135】
カラーレーザープリンタ200の制御部15の出力設定変更部211は、画像出力部220の出力設定を当該階調特性の補正値に合わせて変更し(S31)、画像出力部220は、用紙指定情報132に応じた記録用紙P上に、当該網点画像データに基づく印刷用画像を出力する(S32)。以上で、当該画像データに基づく画像出力処理を終了し、次の画像データに対する処理に移行する。
【0136】
[画像出力システムの作用・効果]
本実施形態の画像出力システム1′は、記録用紙の種類に応じた補正係数をあらかじめ備えており、画像出力時に、或る記録用紙(例えば基準記録用紙)上に補正用画像を形成し、各種の網点パーセントに対応する濃度値(階調特性)を測定するとともに、その階調特性を、当該印刷用画像が出力される記録用紙に応じた補正係数を用いて補正するようになっている。したがって、階調の補正を容易に行うことが可能である。また、記録用紙の種類毎に補正係数が用意されていることから、カラーレーザープリンタ200′に格納されたどの記録用紙に画像を出力する場合であっても、階調補正を効果的に行うことができる。
【0137】
また、当該画像データに基づく印刷用画像を他の記録用紙に出力する場合、当該他の記録用紙に対応する補正係数を用いることで、新たに補正用画像を形成することなく容易に階調を補正できる。
【0138】
また、補正用画像を形成する記録用紙として安価なものを選択すれば、補正処理に掛かるコストの低減を図ることができる。
【0139】
〈プログラム及び記憶媒体〉
以上の実施形態にて説明した画像出力システム1、1′において行われる処理を、制御装置100、100′のコンピュータ本体及びカラーレーザープリンタ200、200′に内蔵のコンピュータ(制御部15)に実行させるためのプログラムは、これらの装置にインストールされ、若しくは、これらの装置に接続される記憶媒体に格納されている。後者の場合、各装置にそれぞれ別個の記憶媒体を接続してもよいし、両装置を共通の記憶媒体に接続するようにしてもよい。また、各装置が個別のプログラムを実行するように構成される場合には、各装置は、それぞれのプログラムを連動して動作するようになっている。各装置は、その制御部110、15が当該プログラムを読み出し実行することにより、上述の処理(図5、図8参照)を実現する。
【0140】
また、このプログラムを記憶する記憶媒体の具体例としては、例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、並びに、集積回路等のメモリ装置、更には、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記憶媒体(磁気ディスク:ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などが挙げられる。
【0141】
〈その他変形例〉
以上の実施形態において詳述した構成は、本発明を実施するための一例に過ぎないものであり、本発明の要旨の範囲内において各種の変形を施すことができる。
【0142】
例えば、図4及び図7に示した補正係数を共に含むような補正係数情報131を備えることにより、第1及び第2の実施形態の各補正処理を選択的に実行可能にしてもよい。実行する補正処理の選択は、例えば、オペレータが操作部140を操作することにより行われる。
【0143】
また、上記実施形態では、カラーレーザープリンタ200、200′で使用される各記録用紙に対して補正係数が設けられる構成となっているが、類似した性質の複数の記録用紙をグループ化し、各グループに対して補正係数を設けるようにしてもよい。
【0144】
また、上記第2の実施形態において、記録用紙上に形成された補正用画像の濃度値を自動測定するように構成してもよい。そのために、例えば、カラーレーザープリンタ200′の排紙トレイ25に載置される記録用紙に対向する位置に濃度計400を配設し、補正用画像が形成された記録用紙が排紙されたことに対応して、濃度測定を行うように構成すればよい。このような自動測定処理の制御は、制御装置100′の制御部110とカラーレーザープリンタ200′の制御部15によって行われる。
【0145】
また、上記実施形態では、補正処理に係る色出力特性として階調特性(ガンマ特性)が適用されているが、本発明の色出力特性はこれに限定されるものではない。例えば、カラーレーザープリンタ200、200′の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kのトナー濃度、帯電手段2Y、2M、2C、2Kの帯電電位、露光手段3Y、3M、3C、3Kの露光量、一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kにより印可される転写電流の電流値、二次転写ローラ7Aにより印可される転写電流の電流値など、各種の特性を補正するように構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明に係る画像出力システムの第1の実施形態の全体構成及びそのワークフローの一例を表す図である。
【図2】本発明に係る画像出力システムの第1の実施形態に含まれるカラーレーザープリンタの内部構成の一例を表す断面側面図である。
【図3】本発明に係る画像出力システムの第1の実施形態の制御系の構成の一例を表すブロック図である。
【図4】本発明に係る画像出力システムの第1の実施形態の補正係数情報の概要を説明するための図である。
【図5】本発明に係る画像出力システムの第1の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図6】本発明に係る画像出力システムの第2の実施形態の制御系の構成の一例を表すブロック図である。
【図7】本発明に係る画像出力システムの第2の実施形態の補正係数情報の概要を説明するための図である。
【図8】本発明に係る画像出力システムの第2の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0147】
1 画像出力システム
100 制御装置
110 制御部
111 網点化処理部
112 補正部
113 補正用画像形成指示部
114 階調補正部
120 画像記憶部
130 補正情報記憶部
131 補正係数情報
131a 係数1
131b 係数2
132 用紙指定情報
140 操作部
150 表示モニタ
160 送受信部
200 カラーレーザープリンタ
15 制御部
211 出力設定変更部
220 画像出力部
221 トナー画像形成部
222 一次転写部
6 中間転写ベルト
223 二次転写部
230 送受信部
28 濃度センサ
30 用紙供給部
20A〜20C 給紙カセット
31 用紙搬送機構
G 画像データ
P 記録用紙
300 クライアント端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づく印刷用画像を複数種類の記録用紙のうちから指定された記録用紙上に出力する画像出力装置と、前記画像出力装置に対して前記画像データを送信する制御装置とを備えた画像出力システムであって、
あらかじめ、前記画像出力装置の中間像形成媒体に対する色出力特性と、前記複数種類の記録用紙のそれぞれに対する色出力特性とを関連付ける関連情報を記憶する記憶手段と、
前記中間像形成媒体上に所定の補正用画像を形成する補正用画像形成手段と、
前記形成された前記補正用画像の前記色出力特性を測定する測定手段と、
前記記憶された前記指定された記録用紙についての前記関連情報と、前記測定された前記色出力特性とに基づいて、前記指定された記録用紙に対する前記色出力特性を補正する補正手段と、
を備え、
前記画像出力装置は、前記補正された前記色出力特性を用いて、前記画像データに基づく前記印刷用画像を前記指定された記録用紙上に出力する、
ことを特徴とする画像出力システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記画像データをスクリーニングして各基本色毎の網点画像データを作成する網点化処理手段を備え、
前記画像出力装置は、当該作成された前記各基本色毎の網点画像データに基づくトナー画像を感光体上に形成するトナー画像形成手段と、当該形成された前記各基本色毎のトナー画像を中間転写体上に転写する一次転写手段と、当該転写された前記トナー画像を前記記録用紙に転写する二次転写手段と、当該転写された前記トナー画像を前記記録用紙に定着させて前記印刷用画像を形成する定着手段と、を備え、前記スクリーニングされた網点によって前記印刷用画像の階調を表現する電子写真式のカラーレーザープリンタであり、
前記中間像形成媒体は、前記画像出力装置の前記中間転写体であり、
前記補正用画像形成手段は、前記トナー画像形成手段及び前記一次転写手段を含んでいる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像出力システム。
【請求項3】
前記色出力特性は、前記網点画像データの網点パーセントに対応する濃度値を表す階調特性であり、
前記関連情報は、前記中間像形成媒体に対する前記階調特性と、前記複数種類の記録用紙のそれぞれに対する前記階調特性との差異を表す係数情報を含み、
前記測定手段は、前記補正用画像の濃度値を測定する濃度センサを含み、
前記補正手段は、前記係数情報と前記濃度センサにより測定された前記濃度値とに基づいて、前記指定された記録用紙に対する前記階調特性を補正する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像出力システム。
【請求項4】
画像データに基づく印刷用画像を複数種類の記録用紙のうちから指定された記録用紙上に出力する画像出力装置と、前記画像出力装置に対して前記画像データを送信する制御装置とを備えた画像出力システムであって、
あらかじめ、前記複数種類の記録用紙のうち、所定の種類の記録用紙に対する色出力特性と、他の種類の記録用紙のそれぞれに対する色出力特性とを関連付ける関連情報を記憶する記憶手段と、
前記所定の種類の記録用紙上に所定の補正用画像を形成する補正用画像形成手段と、
前記形成された前記補正用画像の前記色出力特性を測定する測定手段と、
前記記憶された前記指定された記録用紙についての前記関連情報と、前記測定された前記色出力特性とに基づいて、前記指定された記録用紙に対する前記色出力特性を補正する補正手段と、
を備え、
前記画像出力装置は、前記補正された前記色出力特性を用いて、前記画像データに基づく前記印刷用画像を前記指定された記録用紙上に出力する、
ことを特徴とする画像出力システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記画像データをスクリーニングして各基本色毎の網点画像データを作成する網点化処理手段を備え、
前記画像出力装置は、当該作成された前記各基本色毎の網点画像データに基づくトナー画像を感光体上に形成するトナー画像形成手段と、当該形成された前記各基本色毎のトナー画像を中間転写体上に転写する一次転写手段と、当該転写された前記トナー画像を前記記録用紙に転写する二次転写手段と、当該転写された前記トナー画像を前記記録用紙に定着させて前記印刷用画像を形成する定着手段と、を備え、前記スクリーニングされた網点によって前記印刷用画像の階調を表現する電子写真式のカラーレーザープリンタであり、
前記補正用画像形成手段は、前記トナー画像形成手段、前記一次転写手段及び前記二次転写手段を含んでいる、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像出力システム。
【請求項6】
前記色出力特性は、前記網点画像データの網点パーセントに対応する濃度値を表す階調特性であり、
前記関連情報は、前記所定の種類の記録用紙に対する前記階調特性と、前記他の種類の記録用紙に対する前記階調特性との差異を表す係数情報を含み、
前記測定手段は、前記補正用画像の濃度値を測定する濃度センサを含み、
前記補正手段は、前記係数情報と前記濃度センサにより測定された前記濃度値とに基づいて、前記指定された記録用紙に対する前記階調特性を補正する、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像出力システム。
【請求項7】
前記指定された記録用紙とは、前記制御装置が前記画像データとともに上流端末から受領した用紙指定情報に示す記録用紙であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の画像出力システム。
【請求項8】
前記画像データに基づく前記印刷用画像を出力する前記記録用紙を指定する用紙指定手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の画像出力システム。
【請求項9】
画像データに基づく印刷用画像を複数種類の記録用紙のうちから指定された記録用紙上に出力する画像出力装置に対して前記画像データを送信する制御装置であって、
あらかじめ、前記画像出力装置の中間像形成媒体に対する前記色出力特性と、前記複数種類の記録用紙のそれぞれに対する前記色出力特性とを関連付ける関連情報を記憶する記憶手段と、
前記中間像形成媒体上に所定の補正用画像を形成するように前記画像出力装置に指示する指示手段と、
前記指示に応じて形成された前記補正用画像について測定された前記色出力特性と、前記記憶された前記指定された記録用紙についての前記関連情報とに基づいて、前記指定された記録用紙に対する前記色出力特性を補正する補正手段と、
前記補正された前記色出力特性を前記画像出力装置に送信して、前記画像データに基づく前記印刷用画像を前記指定された記録用紙上に出力させる送信手段と、
を備えている、ことを特徴とする制御装置。
【請求項10】
画像データに基づく印刷用画像を複数種類の記録用紙のうちから指定された記録用紙上に出力する画像出力装置に対して前記画像データを送信する制御装置であって、
あらかじめ、前記複数種類の記録用紙のうち、所定の種類の前記記録用紙に対する前記色出力特性と、他の種類の記録用紙のそれぞれに対する前記色出力特性とを関連付ける関連情報を記憶する記憶手段と、
前記所定の種類の記録用紙上に所定の補正用画像を形成するように前記画像出力装置に指示する指示手段と、
前記指示に応じて形成された前記補正用画像について測定された前記色出力特性と、前記記憶された前記指定された記録用紙についての前記関連情報とに基づいて、前記指定された記録用紙に対する前記色出力特性を補正する補正手段と、
前記補正された前記色出力特性を前記画像出力装置に送信して、前記画像データに基づく前記印刷用画像を前記指定された記録用紙上に出力させる送信手段と、
を備えている、ことを特徴とする制御装置。
【請求項11】
画像データに基づく印刷用画像を複数種類の記録用紙のうちから指定された記録用紙上に出力する画像出力装置と、前記画像出力装置に対して前記画像データを送信する制御装置とを備えた画像出力システムによる画像出力方法であって、
あらかじめ、前記画像出力装置の中間像形成媒体に対する前記色出力特性と、前記複数種類の記録用紙のそれぞれに対する前記色出力特性とを関連付ける関連情報を記憶するステップと、
前記中間像形成媒体上に所定の補正用画像を形成するステップと、
前記形成された前記補正用画像の前記色出力特性を測定するステップと、
前記記憶された前記指定された記録用紙についての前記関連情報と、前記測定された前記色出力特性とに基づいて、前記指定された記録用紙に対する前記色出力特性を補正するステップと、
前記補正された前記色出力特性を用いて、前記画像データに基づく前記印刷用画像を前記指定された記録用紙上に出力するステップと、
を含んでいる、ことを特徴とする画像出力方法。
【請求項12】
画像データに基づく印刷用画像を複数種類の記録用紙のうちから指定された記録用紙上に出力する画像出力装置と、前記画像出力装置に対して前記画像データを送信する制御装置とを備えた画像出力システムによる画像出力方法であって、
あらかじめ、前記複数種類の記録用紙のうち、所定の種類の前記記録用紙に対する前記色出力特性と、他の種類の前記記録用紙のそれぞれに対する前記色出力特性とを関連付ける関連情報を記憶するステップと、
前記所定の種類の記録用紙上に所定の補正用画像を形成するステップと、
前記形成された前記補正用画像の前記色出力特性を測定するステップと、
前記記憶された前記指定された記録用紙についての前記関連情報と、前記測定された前記色出力特性とに基づいて、前記指定された記録用紙に対する前記色出力特性を補正するステップと、
前記補正された前記色出力特性を用いて、前記画像データに基づく前記印刷用画像を前記指定された記録用紙上に出力するステップと、
を含んでいる、ことを特徴とする画像出力方法。
【請求項13】
請求項11又は請求項12に記載の画像出力方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶した記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−35645(P2006−35645A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218904(P2004−218904)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】