説明

短時促進原子層堆積

【課題】ALDプロセスは、次世代半導体デバイスの作製において重要な技法であると考えられるが、ウェハスループットが低い。この点を改良する方法を提供する。
【解決手段】ウェハを、ウェハ上で最大飽和ALD堆積レートをもたらすのに充分に至らない量の、第1の化学的に反応する前駆体ドーズ量で被覆し、次に、第2の化学的に反応する前駆体ドーズ量で被覆され、前駆体は、ほぼ均一な膜堆積を実現するように分散されるプロセス。第2の化学的に反応する前駆体ドーズ量は、同様に、ウェハ上で最大飽和ALD堆積レートをもたらすのに充分に至らない量の、または、別法として、ウェハ上で不足状態の飽和堆積をもたらすのに充分であってもよい。プロセスは、前駆体ドーズ量の被覆と被覆の間で、または、被覆の1つのセットと別のセットの間でパージを含んでも含まなくてもよい。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2003年3月23日に出願された「Transient Enhanced ALD」という名称の米国仮特許出願第60/465,143号に関し、その優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、薄膜処理に関し、より詳細には、原子層堆積ベースのプロセスの膜堆積レートを改善する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0003】
原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)は、ウェハ基板が反応性化学前駆体に
順次露光され、各前駆体パルスが次の後続の前駆体パルスから不活性パージガス期間によって分離されるような気相成長法(CVD)の変形と見ることができる。ALDプロセスと手順(種々の反応性前駆体化学作用や熱とプラズマの両方を援用するALD手法が使用される)の多くの説明が存在する。例えば、T.Suntola、Material Science Reports、v.4、no.7、p.266との続き(Dec.1989);M.RitalaとM.Leskelaの著「Deposition and Processing of Thin Films」、in Handbook of Thin Film Materials、v.1 ch.2、(2002);J.W.Klaus等著「Atomic Layer Deposition of Tungsten Using Sequential Surface Chemistry with a Sacrificial Stripping Reaction」、Thin Solid Films、v.360、pp.145−153(2000);S.ImaiとM.Matsumuraの著「Hydrogen atom assisted ALE of silicon」Appl.Surf.Sci.、v.82/83、pp.322−326(1994);S.M.George等著「Atomic layer controlled deposition of SiO2 and Al23 using ABAB...binary reactions sequence chemistry」、Appl.Surf.Sci.、v.82/83、pp.460−467(1994);M.A.TischlerおよびS.M.Bedair著「Self−limiting mechanism in the atomic layer epitaxy of GaAs」、Appl.Phys.Lett.、48(24)、p.1681(1986)を参照されたい。最新のDRAMコンデンサ用のAl2O3の堆積などの、ALD技術のこうした商業用途が報告されており(M.Gutsche等著「Capacitance Enhancements techniques for sub 100nm trench DRAM」IEDM 2001、p.411(2001))、特許文献において、ALD反応器アーキテクチャの多くの説明も存在する。例えば、米国特許4,389,973、5,281,274、5,855,675、5,879,459、6,042,652、6,174,377、6,387,185、6,503,330を参照されたい。一般に、単一ウェハとバッチ反応器の双方が使用され、一部の実施態様はプラズマ能力を伴う。
【0004】
ALDプロセスは、非常に高い膜品質と比較できないほど良好なステップカバレージを提供できるので、薄膜を作成するための従来のCVDやPVD(物理気相堆積)法よりも多くの利点を有する。したがって、ALDプロセスは、次世代半導体デバイスの作製において使用するための重要な技法となるであろう。しかし、ALDの低いウェハスループットは、常に、業界における広い分野での採用に対する障害になっている。例えば、典型的なサイクル時間は約3〜6秒/サイクルであり、典型的な膜成長レートは約10〜20Å/分である(膜堆積レート(FDR)は、ALD堆積レート(Å/サイクル)とサイクル時間(サイクル/単位時間)の逆数との積によって与えられる)。そのため、50Å厚の膜は、単一ウェハALD反応器においてわずか約15ウェハ/時間のスループットで堆積されるだけである。
【0005】
ALDプロセスのスループットを改善するほとんどの試みは、数十ミリ秒の精度でパルス化される前駆体を供給するコンピュータ制御式で電気駆動式の空気圧弁によって、露光とパージを高速に切り換えるプロセス制御を必要としてきた。他の試みは、より短い前駆体パルス化とパージ時間さらには異なるプロセス温度と圧力を使用して、スループットを改善するように試みてきた。反応器容積は、前駆体のパージを容易にするために「小さい」こと、および、ALDサイクルを通して、水またはアンモニアなどの前駆体の望ましくない保持を回避するために、加熱壁を採用することも推奨される(先のRitalaとLeskelaを参照されたい)。しかし、基本ALDプロセスシーケンスに関して、代替のパルス化やパージ工程があまり変わらず、上記方法を使用した実質的なスループットの改善は何も報告されていない。
【0006】
従来通りに実施されるALDの状況内で膜堆積レートを増加する試みは、所望のALD膜性能を達成するための長いパージの実施によって制限される。なぜそうなのかを理解するために、ALD技術の心臓部が、加熱されたウェハ基板表面上でのそれぞれの前駆体の反応の自己制限的で、かつ、自己不動態化的な性質であることを考えればよい。理想的な場合、それぞれの自己制限的な化学半反応(例えば、金属と非金属反応について)は、ALDサイクルについて堆積厚の飽和に向かって進行し、指数関数的またはラングミュア反応速度論に従う。ALDサイクルは、それぞれの前駆体へのウェハ基板を曝す期間と、こうしたそれぞれを露光した後の過剰の前駆体と反応副産物を除去するためのパージ期間の合計である。Suntolaの独創性に富んだ特許(4,389,973)は、パルス化した化学前駆体の拡散的性質を述べた。気体拡散を通して前駆体パルスを広くすることは、望ましくないCVD反応を回避するために、パルス間の間隔の短さの程度に対して基本的な制限を加える。ALD装置において、より多くの拡散状況が示されると、理想に近いALD膜成長を達成するために、ALDサイクル中に所望の前駆体パルス分離を維持するのにより長いパージ間隔が必要とされる。さらに、初期プロセスは、全体のALDプロセスの連続的な始動にとって重要である。例えば、ヒドロキシル基:Si−OHによってSiウェハ表面の飽和を達成するために表面調製が実行される可能性がある。
【0007】
ALDプロセスの自己制限反応は、飽和に達するまで、露光ドーズ量(すなわち、所与の前駆体束についての時間)の関数として増加することが観測される堆積レート(例えば、Å/サイクルで測定される)を生じる。飽和は、前駆体露光ドーズ量のさらなる増加に伴ってALD成長レートのさらなる増加がないことが始まることを特徴とする。H2OやNH3などの一部の前駆体の場合、飽和は、前駆体露光ドーズ量のさらなる増加に伴ってALD成長レートの実質的に遅い増加が始まることを特徴とする。この挙動は、「ソフトな飽和」と呼ばれることがある。本発明者等は、両方の前駆体露光ドーズ量が、両方の前駆体について飽和を達成するのに十分である時、ALD堆積レート(Å/サイクル単位)を最大飽和ALD堆積レートと呼ぶ。
【0008】
従来のALDオペレーションは、通常、最大飽和ALD堆積レートで実行される。さらに、従来のALDオペレーションは、各前駆体パルス中の前駆体のドーズ量を露光する時間が、基板のすべての領域について、その前駆体の半反応の飽和を確実にするのに十分過ぎるように、両方の前駆体の「過剰投与」を可能にし、助長する。この従来の手法は、1977年以来、ALD技術についての最高記録のやり方であり、例えば、先のRitalaとLeskelや、Sneh(O.Sneh等著「Equipment for Atomic Layer Deposition and Applications for Semiconductor Processing」、Thin Solid Films、v.402/1−2、pp.248−261(2002))による再調査論文において引用されている。この過剰投与式ALD法では、気体力学と反応速度論は、小さな役割を果たし(自己制限成長は、前駆体束が基板にわたって均一である必要がないことを保証するということを示す同じ論文を参照されたい)、飽和は、最終的に、基板のすべてのポイントについて得られる。
【0009】
現行のALDの過剰投与のやり方は、もともと非効率的なプロセスであり、商用ALDシステムの最適性能に対して多くの制限を加える。例えば、過剰ドーズ量手法では、基板の一部の領域の化学前駆体のドーズ量は、たとえ膜がその位置で既に飽和に達しても、他のエリアで飽和がまだ達成されていないため適用され続ける。これによって、過剰の前駆体の浪費が生じ、化学薬品使用についてのコストが付加される。さらに、ALDサイクルのパージ部は、全体の膜のカバリジについて、反応器に残った前駆体の必要量以上を除去することを負わされる。過剰で、未反応の前駆体は、その後、ポンピング導管とポンプなどの、ウェハ表面から下流に配置されるALD装置のエリアで反応する可能性があり、これらの部品上に望ましくない堆積をもたらし、洗浄の必要性が増加する。場合によっては、反応器チャンバの外でのこのタイプの望ましくない堆積は、さらに、部品故障を引き起こす可能性がある。
【0010】
明らかに、前駆体がより多く過剰投与されればされるほど、ALD装置性能に対するこれらの作用がますます有害になる。これは、保守点検のための機器のダウンタイムが長くなることの一因となり、生産環境では許容されない。さらに、第1の露光領域に過剰投与しながら、基板を全体的にカバーするのに使用される付加的な時間は、前駆体パルスの拡散による広がりを増やすことになり、さらに、気相において、前駆体の所定濃度のある有益な最小の共存に達するために、パージ間隔が増加する。次に、これは、各ALDサイクルを終了するための時間の増加につながり、そのため、膜堆積レートおよびウェハスループットを低下させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施態様では、ウェハは、ウェハ上で最大飽和ALD堆積レートをもたらすのに不十分である第1の化学的に反応する前駆体のドーズ量を露光され、次に、第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量を露光され、それらの前駆体は、ほぼ均一な膜堆積を実現するように分散される、ALDプロセスが提供される。第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量は、同様に、ウェハ上で最大飽和ALD堆積レートをもたらすのに不十分であるか、または、別法として、ウェハ上で不足状態の飽和堆積をもたらすのに十分であってもよい。ALDプロセスは、前駆体のドーズ量の露光と露光の間で、または、露光の1つのセットと別のセットの間でパージを含んでも含まなくてもよい。さらに、ウェハは、ほぼ最大膜堆積レートを可能にする期間に、第1の化学的に反応する前駆体のドーズ量を露光されてもよい。同様に、ウェハは、さらに化学的に反応する前駆体のドーズ量を露光されてもよく、露光のうちの少なくとも1つは、ウェハ上で飽和堆積をもたらすのに不十分である。
【0012】
特定の実施態様では、第1と第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量の一方は水(H2O)を含み、他方は、トリメチルアルミニウム(TMA)を含む。ウェハは、約150℃〜約450℃の温度であり、かつ、約10mTorr〜約1Torr、または、約50mTorr〜約500mTorrの圧力の環境内に配置される。第1および/または第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量の一方または両方は、約0.02秒〜約2秒、または、約0.02秒〜約0.5秒の間に加えられるのがよい。第1と第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量は、ウェハにわたって実質的に不均一に送出されてもよく、ウェハは、ウェハ上に材料膜を形成するために、第1と第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量で繰り返し露光されてもよい。
【0013】
本発明のさらなる実施態様は、ウェハを、第1の化学的に反応する前駆体のドーズ量であって、ウェハ上で最大飽和ALD堆積レートをもたらすのに不十分である、第1の化学的に反応する前駆体のドーズ量、および、第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量を露光するように構成された前駆体送出システムを有する原子層堆積(ALD)システムを提供する。第1および/または第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量の一方または両方は、約0.02秒〜約2秒の間で、かつ、前記ウェハ上にほぼ均一の膜堆積を実現するように適用されてもよい。こうしたALDシステムの一例では、前駆体送出システムは、軸対称前駆体注入器、および、前駆体注入器と、ウェハを支持するように構成されたサセプタとの間に位置決めされた前駆体分散板を含む。こうした前駆体分散板は、前駆体分散板の中心の周りに一連の環状ゾーンを含んでもよく、ゾーンのそれぞれは、前駆体分散板の中心から見ていくにつれて、直前のゾーンよりもより多い数の前駆体分散器を有するように構成される。好ましくは、しかし、拡散板は、拡散板を通過する化学的に反応する前駆体が、ALDシステムが動作中である時に、ウェハへの前駆体の軌道においてランダム化されたままになることを可能にするように構成されてもよい。別法として、前駆体送出システムは、ドーム形状、円錐形状、またはホーン形状化学分散装置を含む。
【0014】
本発明の別の実施態様は、ウェハが、第1の化学的に反応する前駆体のドーズ量と第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量で2者択一的に露光され、少なくとも第2の化学的に反応する前駆体は飽和特性を示し、第1の化学的に反応する前駆体のドーズ量は、膜成長レートがほぼ最大値であるように選択される、順次CVDプロセスを提供する。第1と第2の前駆体は、ほぼ均一な膜堆積を実現するように分散されてもよく、場合によっては、ドーズ量の2つの交互の前駆体露光の間に遅れが存在しない。
【0015】
特定の実施態様では、ウェハは、ウェハ上で飽和を達成するために、第2の前駆体のドーズ量で露光される。第1と第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量の一方は水(H2O)を含み、他方は、トリメチルアルミニウム(TMA)を含んでもよい。ウェハは、約150℃〜約450℃の温度であり、かつ、約50mTorr〜約500mTorrの圧力の環境内に配置される。第1および/または第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量の一方または両方は、約0.02秒〜約1.0秒適用され、ウェハは、ウェハ上に材料膜を形成するように、第1と第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量で繰り返し露光されてもよい。
【0016】
本発明のさらなる実施態様は、ウェハに、膜成長レートがほぼ最大値であるように選択された第1の化学的に反応する前駆体のドーズ量、および、少なくとも飽和特性を示す第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量を交互に露光するように構成された前駆体送出システムを有するCVD装置を提供し、第1および/または第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量の一方または両方は、約0.02秒〜約1.0秒間に加えられる。このデバイスは、軸対称前駆体注入器および/またはドーム形状、円錐形状、またはホーン形状化学分散装置を有する前駆体送出システムを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】速い反応性化学前駆体についての種々のALD堆積レート(Å/サイクル)を示す曲線であり、一部の露光時間が強調されている。
【図1B】遅い反応性化学前駆体についての種々のALD堆積レート(Å/サイクル)を示す曲線であり、一部の露光時間が強調されている。
【図2A】軸中心前駆体注入に対応する、種々の露光時間についての、ウェハ上の位置の関数としてのALD膜厚を示す曲線である。
【図2B】十分に分散した前駆体注入に対応する、種々の露光時間についての、ウェハ上の位置の関数としてのALD膜厚を示す曲線である。
【図3】軸中心前駆体注入の場合の、種々のウェハ上の位置および時間についての深いトレンチ平面形状のステップカバレージの種々の程度を示す図である。
【図4】(i)短期的レジームにおける分散式前駆体注入および(ii)十分に分散した化学前駆体についての、種々のウェハ上の位置および時間についての深いトレンチ平面形状のステップカバレージの種々の程度を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に従って構成された分散式前駆体注入のためのALD装置の断面略図である。
【図6】本発明の代替の実施形態に従って構成された分散式前駆体注入のためのALD装置の断面略図である。
【図7】反応性前駆体の露光時間の関数としての膜堆積レート(FDR)を示す曲線である。
【図8A】本発明の実施形態に従って構成された方法と装置を使用して達成された、TMAについてのALD堆積レートを示す曲線である。
【図8B】本発明の実施形態に従って構成された方法と装置を使用して達成された、H2OについてのALD堆積レートを示す曲線である。
【図9】いろいろな温度および条件における、H2OとTMAの種々のパルス時間について、本発明の実施形態に従って達成された膜堆積レートを示す曲線である。
【図10】露光サイクルの数の関数として、本発明の実施形態によるSTAR−ALDプロセスを使用して生成された膜の平均厚を示す曲線である。
【図11】前駆体の露光時間と反応器圧の相対比が変わるが、前駆体の注入方法を最適化することをしない、実験計画法を使用して、ウェハ表面上の49ポイントにわたって得られた膜厚の変動を示すプロットである。
【図12】前駆体が反応器内に同時に注入されるパルス化CVDと比較した、本発明の実施形態による、STAR−ALDプロセスを使用して生成された膜の厚みを示す曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、添付図面の図において制限としてではなく、例として示される。
【0019】
先の説明から、ALDプロセスのスループットを改善する方法と装置が必要とされることが明らかになるはずである。前駆体の消費を減らし、反応器から過剰の前駆体をパージする必要性を排除するために、化学前駆体の最小の使用を可能にする方法と装置に対する必要性がさらに存在する。これらの必要性を満たすために、発見的設計概念と計算流体力学(CFD)解析の両方を利用し、それによって、従来通りに実施される(過剰ドーズ量)ALDに固有の非効率が減るALD反応器が、本明細書で述べられる。
【0020】
別の言い方をすると、本発明の種々の実施形態は、フューチャを設けた基板のすべての位置に、ほぼ同時、かつ、分散した前駆体の露光が実施される画期的なALDプロセスを提供する。本発明者等は、この新しいALDプロセスを、(本発明者等が以下で単にALDと呼ぶ従来のALDプロセスと比較して)「短時促進原子層堆積(Transient Enhanced Atomic Layer Deposition)」すなわちTE−ALDと呼ぶ。本発明の方法と装置は、前駆体化学薬品の最小の使用を達成し、それによって、まさに少ない化学的露光によって効率の増加が可能になる。次に、これは、露光パルスとパージ時間を減らし、サイクル時間を減少させ、スループットを増加させる。
【0021】
以下でより完全に述べるように、TE−ALDの最適化は、不足状態の反応を使用する非常に高い膜堆積レートのALD法を含む。本発明者等がSTAR−ALDと呼ぶことになる、この最適化されたALDプロセスの一部の実施形態では、高い膜堆積レートは、パージのない順次反応性ALDベースの化学プロセスの使用によってさらに増進される。従来のALD「過剰ドーズ量」反応器は、前駆体の使用効率が約5〜20%であるが(すなわち、到来する前駆体の金属の約5〜20%が膜に組み込まれる)、TE−ALDによって、浪費される前駆体量が最小になり、使用される前駆体は、10〜50%などの数値に移行する可能性がある。
【0022】
本発明の種々の実施形態では、不足状態の露光モードにおけるALDプロセスの使用は、基板表面への前駆体の制御された質量輸送を考慮すると増加する。特に、シャワーヘッド、分散板、円錐タイプまたはホーンタイプロートを含む前駆体分散法は、ほぼ均一な膜堆積を達成するように前駆体が分散されることを可能にするために注目を集めている。しかし、最適化されたTE−ALDプロセスと本明細書に述べられる他の方法と装置は、本発明の例に過ぎず、この説明にそれらが含まれることは、この詳細な説明に続く特許請求の範囲によって表される本発明のより広い精神と範囲を制限することを意味しないことが思い出されるべきである。そのため、添付図を参照して本明細書で述べられるプロセスとシステムは、読者が、本発明者等の発明をよりよく理解するのを助けることを意図される、例と見なされる。
【0023】
明らかになるように、本発明者等のTE−ALD装置と方法は、高いステップカバレージ、優れた均一性と膜品質の通常のALDの利点を提供する。本発明者等が、前駆体の均一な(または、名目上は均一な)分散、および、最大飽和値に必要とされるものよりかなり短い露光時間の使用によって、膜堆積レートを最適化するモードを含む、いくつかの非常に有益なTE−ALDモードが存在する。本発明者等が発見したことは、膜堆積レートが、従来のALD手法より1.5〜2倍改善される可能性があることである。もう1つの非常に重要なモードは、最大飽和に必要とされるより大幅に短い露光時間を使用することによって見出される。実際に、これらは、不足状態の露光として最もよく記述される。この手法を使用すると、膜堆積レートが、かなり改善され、特に、パージのない状態で、従来のALD手法より堆積レートが10〜20倍になることがわかっている。そのため、種々の実施形態で、本発明は、ウェハが、最初に、ウェハ上で最大飽和ALD堆積レートをもたらすのに不十分である第1の化学的に反応する前駆体のドーズ量を、次に、第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量を露光され、前駆体が、ほぼ均一な膜堆積を実現するように膜にわたって分散される、ALD法を提供する。
【0024】
図1Aと図1Bを参照すると、ALD堆積レート(Å/サイクル単位)が、飽和に達するで、露光ドーズ量の関数(または、所与の前駆体束についての時間)として増加することが観測される自己飽和反応を使用して、ALDが実行されることを思い起こされたい。飽和は、前駆体露光ドーズ量のさらなる増加に伴ってALD成長レートのさらなる増加がないことが始まることを特徴とする。いくつかの前駆体、例えば、トリメチルアルミニウム(TMA)や、HfCl4、ZrCl4、TiCl4などの塩化金属が、こうした挙動を示す。さらに、これらの前駆体は、反応確率の高い速い反応を示す。図1Aは、速い反応前駆体についての典型的なALD堆積レート分布を示す。
【0025】
しかし、H2OやNH3などの一部の前駆体の場合、前駆体露光ドーズ量のさらなる増加に伴ってALD成長レートの実質的に遅い増加が始まることとして述べられる可能性があるソフトな飽和が観測される。これらのソフトな飽和の前駆体の特性は、反応確率が低い比較的遅い反応であることが多い。結果として、未飽和の(不足状態の)ドーズ量と飽和ドーズ量の両方の範囲で得られる。こうした遅い反応の化学前駆体についての典型的な飽和特性は、図1Bに示される。
【0026】
上述したように、本発明者等は、両方の前駆体露光ドーズ量が、両方の前駆体について飽和を達成するのに十分である時、ALD堆積レートを最大飽和ALD堆積レートと呼ぶ。図1A、図1Bに示す例の場合、最大飽和ALD堆積レートは、texを超える露光時間について実現される。従来のALDオペレーションは、通常、最大飽和ALD堆積レートで実行される。本明細書では、同じ前駆体の化学作用についての調査を行う異なる研究グループによって報告されたように、これらの値は、互いの約20%以内に対応することが多い。例えば、最大飽和ALD堆積レートは、約200℃の温度のTMA/H2Oについて約1.1〜1.4Å/サイクル、約300℃の温度について約0.7〜0.9Å/サイクルである。
【0027】
本発明は、最初に、ウェハの目標分散ポイントと表面形状の上に均一なカバリジを同時に(または、名目上は同時に)達成することを可能にする化学前駆体の均一な送出のための条件を実現することによって、従来のALDのやり方を著しく変更する。そのため、ウェハにわたって均一なカバリジを得るのに必要とされる前駆体のドーズ量が最小になる。図1A、図1Bに示す曲線では、これは、両方の前駆体について、(texより)多少短い露光時間、すなわち、前駆体が適切に分散した時に、高い表面形状フィーチャを効率的にコーティングするのに適した時間とドーズ量の範囲を規定するtCおよびt0の値として示される。それに応じて、最大飽和ALD堆積レート未満で動作することによって、サイクル時間が減少するため、膜堆積レートが高い均一な膜がもたらされ、より高いウェハスループットが得られる。このTE−ALD法を実施すると、膜成長レートが従来のALDをはるかに超えるという利益と共に、高い膜品質が維持される。
【0028】
図1A、図1Bの曲線はさらに、第1前駆体反応が未飽和(不足状態)で、かつ、第2前駆体が飽和する場合、ALD堆積レートは、第1前駆体のドーズ量によって決まる。例えば、短期の(反応速度論の)または不足状態のプロセスについての本発明者等の調査では、TMAとH2O ALDの化学作用の場合、飽和用のTMA半反応の大きさ、または、値は、制限されたH2O露光領域において提供されるH2O投与量によって決まることを、本発明者等は実際に見出した。最大飽和ALD堆積レート(図でtsで表示される値)を得るのに必要とされる典型的な値の、例えば、半分または3分の1のH2Oドーズ量が選択される場合、TMA反応はやはり飽和する(すなわち、TMAドーズ量に伴って変わらない)が、TMA/H2Oについて、ALD堆積レートの大きさは、最大飽和ALD堆積レートより大幅に低いことが(役立つように)わかる。本発明者等は、この飽和レベルを「不足状態の飽和レベル」と呼ぶ。
【0029】
膜堆積レートの最適化の場合、TMA/H2OについてのFDR(Å/分)、ALD膜
成長レート(Å/サイクル単位)は、非常に有益であるようにやはり十分に高い。実際、
FDRは、最適化され、最大になる可能性がある。これは、先に言及したSTAR−ALDである。STAR−ALDの場合、ウェハ表面にわたる均一な膜堆積は、H2O飽和露光を十分に下回るH2O露光について観測される。H2Oパルス時間が、さらに、著しく不足状態の値tVSに減少する場合、ALD堆積レート(Å/サイクル)は、膜堆積レート(Å/単位時間)が減少し、ゼロに向かう傾向があるほどに小さい。
【0030】
本発明の種々の実際形態によれば、前駆体のドーズ量を最小にすることによって、1つまたは複数のパージをなくすことができる。すなわち、FDRを最適化するために、ドーズ量を系統的に減らすことによって、パージの一方または両方さえ実質的に減らすことができるほど、1サイクルのドーズ量が低いことがわかるであろう。これは、反応性が最も高い反応体(例えば、TMA)または反応性が最も低い反応体(例えば、H2O)の除去の場合、または、さらに両方のパージがなくなる(例えば、STAR−ALDプロセスにおいて)場合に当てはまる。
【0031】
本発明の特定の実施形態では、第1と第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量の一方はH2Oを含み、他方はTMAを含む。ウェハは、約150℃〜約450℃の温度であり、かつ、約10mTorr〜約1Torr(TE−ALDに適する)、または、約50mTorr〜約500mTorr(STAR−ALDに適する)の圧力の環境内に配置される。第1および/または第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量の一方または両方は、約0.02秒〜約2秒(TE−ALDに適する)、または、約0.02秒〜約0.5秒(STAR−ALDに適する)の間に適用される、すなわち加えられる。第1と第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量は、ウェハにわたって実質的に不均一に送出されてもよく、ウェハは、ウェハ上に材料膜を形成するために、第1と第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量で繰り返し露光されてもよい。
【0032】
化学前駆体の均一な送出の重要性は、図2A、図2Bに示す曲線に示される。図2Aでは、ウェハ位置の関数としての膜厚(例えば、AI23などのALD膜について)は、注入ポートとウェハの間に設置された分散板上で軸対称に配置された単一注入前駆体ポートの場合についてプロットされる。ALD膜の厚みは、「著しく」不足状態の露光(例えば、tVS約50ミリ秒)について、また、いくつかの他の露光時間について、ウェハ半径に沿って測定される。数値は、TMAの不足状態のドーズ量の使用によって、著しく不均一な(したがって、役に立たない)膜が生じることを示す。この結果は、パルス時間によって主に決まり、一方、第2制御パラメータは、反応器圧と反応性前駆体のパージ時間などを含む。例えば、圧力が高いと、滞留時間と堆積レートが高くなることがあるのが知られている。そのため、高い反応器圧において、飽和は、露光時間が短い状態で、ウェハ上で達成される。
【0033】
低い反応器圧において、ウェハの種々のエリアへの前駆体の質量輸送が改善される場合があり、不足状態の前駆体のドーズ量についての、中心から縁部までの膜厚の変動が減少する場合がある。これは、従来のALD装置を使用するSTAR−ALDの場合に、ブランケットウェハ上の不均一性を改善するための有利な用途を有する。しかし、一部の用途は、ブランケットウェハ上での均一な堆積を望むだけであっても、固有のALD堆積レートは、圧力が低くなると、逆に低くなる。さらに、本発明者等は、高い堆積レートと高アスペクト比構造内への同時で均一な浸透を可能にする解決策を求めている。
【0034】
図2Bは、本発明による前駆体の分散注入を使用して達成されたウェハ半径に沿ったALD膜厚を示す。こうした状況では、堆積分布は、種々の露光時間について均一であることに留意されたい。著しく不足状態の露光tVSの限界においても、膜堆積は不均一に進行する。そのため、ウェハにわたって均一なカバリジを得るのに必要とされる前駆体のドーズ量は最小になる。
【0035】
コンデンサの深いトレンチなどの、最も魅力的な用途の場合、膜カバリジは、除々に進行する。すなわち、膜堆積は、最初に、平坦表面で起こり、次に漸進的に、高い平面形状フィーチャ(2次元または3次元トレンチなど)の上部領域に対して起こり、そして、最後に、露光時間すなわちドーズ量に応じて異なる深さになる。例えば、Roy Gordon等著「A Kinetic Model for Step Coverage by Atomic Layer Deposition in Narrow Holes or Trenches」、Chem.Vap.Deposition、v.9、no.2、pp.73−78(2003)を参照されたい。
【0036】
図3は、軸対称前駆体注入装置を使用した、先に導入した種々のタイミング規定に対応する、ウェハ上の高アスペクト比構造でのカバリジの進行の4つのステージを示す。最初は、「著しく不足状態の時間」tVSであり、次に、不足が極端でもなくないわけでもない、その後の露光時間tSである。その後、フィーチャすべてをほぼ完全に覆うことができる、露光時間tCが存在する。さらにその後、(本発明の設計公差内で)フィーチャすべてを、高い確率で完全に覆う、有益な最適オペレーション時間tOPが存在する。本発明者等は、これを、tCよりほんのいくらか長い(Δt)最適時間(tOP)と規定する。
【0037】
高アスペクト比構造についての不足状態の反応が意味することは、ステップカバレージが、トレンチのフィーチャ上で部分的であると思われること、および、反応体が、フィーチャの底部の近くでは、最初、不足状態であるため、カバリジが上部から底部へ進行することである。不足状態の挙動は、最適露光時間進行方式を規定するために使用される。露光時間が増加するにつれて、また、軸対称前駆体注入の場合、図2Aに示すフィーチャなしのブランケットウェハについての挙動と同様に、前駆体が最初に到達する(すなわち、最も密な)ところで、浸透が最も深い。時間がtCに増加するにつれて、ウェハ内で100%ステップカバレージを可能にするように、ウェハの高アスペクト比フィーチャ内のどこにでもまさに十分な前駆体が存在する。時間がtOP+Δtに増加すると、分散システムの設計内である制御公差を持ったステップカバレージが、ウェハにわたってどこででも達成される。
【0038】
本発明者等が見出したことは、ALD単層厚がまだ最大飽和にないところでさえも、全フィーチャ均一コーティングが得られる可能性があることである。時間(または、ドーズ量)が、TE−ALDを実施するのに使用される技術の公差より大きい量だけtOPを超える場合、その時間は、過剰時間(tex)と規定される。実用的な見地から、texはtOPの1.1〜1.5倍であってよい。texの範囲内か、または、それより大きいいずれの値も、通常、従来のALDプロセスにおいて実施することができるものである。本発明者等のTE−ALDの種々の実施形態では、飽和が不足でも極端でもない時に、有益な膜(望ましい化学量論的性質、電気的品質、共形性、均一性など)が形成される可能性があること、および、STAR−ALDにおいて有益な高い膜堆積レートを規定するのは、事例tSであることがわかった。
【0039】
図4は、本発明の実施形態に従って、前駆体の分散注入をサポートするALD装置を使用した、ウェハ上の高アスペクト比構造にわたるカバリジの進行を示す。前駆体が、ウェハ上で均一に分散すると、たとえ露光が不足状態であっても、制限された厚みの膜堆積が均一に、高アスペクト比表面形状に浸透する。さらに、前駆体露光についての最適時間tOPは、述べられ、図3に示した事例がそうであったよりも短い。その結果、前駆体はあまり必要とされず、本発明のスループット増進が達成される。
【0040】
先に言及したように、TE−ALDでは、前駆体は、指定された時間間隔の間に、基板上の対象のすべてのポイントに対してほぼ同時に空間的に分散して送出される。この時間間隔は、任意の高い表面形状構造の最も深い範囲についてのほぼ同時のカバリジを得るのに必要である間隔より「わずかに小さい」かまたは「わずかに大きい」ように構成される。これは、飽和ALD反応を達成するのに必要とされるドーズ量または時間とは異なる。不足状態の反応モードの場合、時間間隔は、最適または最大の膜堆積に対応するように賢明に選択される可能性があり、個々の層は、まったく飽和が不足した状態で停止される可能性がある。
【0041】
図5は、本発明に従って、TE−ALDおよび/またはSTAR−ALDのために構成されたALDシステム10の一実施形態を示す。このALDシステム10は、前駆体とパージ気体が反応器内に注入される軸対称ポート12(または、1つまたは複数の中心に配置されたポート)を含む。反応器圧はPであり、反応体の分圧はPrである。ウェハの直径にわたって分散して、ウェハ表面に対して気体が当たるように誘導する分散板または気体分散機構14が、注入ポート12と基板16の間に配置される。基板は加熱されたサセプタ18上に配置される。
【0042】
分散板(またはシャワーヘッド)14は、領域またはゾーンレイアウトを持つように設計される。中心領域(Δr1)は最も閉じたエリアであり(すなわち、気体を流すための最も小さい開いたエリアか、または、最も少ない数の開いた導管穴を有する)、一方、ウェハの中心から除々に遠くなる環状エリア(ゾーンΔrj)は、徐々に大きく開くエリア(例えば、穴)を有する。最終の環状ゾーン(ΔrN)は、ウェハに達するか、ウェハを超え、最も開いたエリアを有する。除々により大きく開くエリアは、より多くの前駆体が基板の外側半径に流れることを可能にし、ほぼ同時に分散されるという目的を達成する。そのため、分散板14のこの形態は、確実に、高アスペクト比構造を、均一に、かつ、効率的にコーティングするために、本発明のTE−ALDとTAR−ALD法と共に使用するのに適している。
【0043】
分散(拡散)板14の使用は、従来のALD装置におけるシャワーヘッドの使用と等価ではない。ウェハ全体にわたってより均一に配置するために前駆体を分散させる目的は、従来の、または、特別に設計されたシャワーヘッドデバイスを使用することによって達成されると考えられてもよい。しかし、従来のシャワーヘッドデバイスでは、前駆体パルスは、(シャワーオリフィス(複数可)の上の圧力がオリフィス(複数可)の下の圧力より小さい、水シャワーと異なる)垂直の流れを生じる圧力降下によってオリフィスを通って駆動される。しかし、本発明では、反応器は、分散板14の上と下の圧力があまり異ならないように構成される(例えば、圧力はほぼ等しく、上下の圧力差は10%未満である)。したがって、分散板または気体分散システム14は、貫通して流れる気体分子が、その軌道においてランダムのままになり、反応空間を通して迅速に搬送されることを可能するシャワーヘッドとして構成されてもよい。こうした設計は、ウェハまでの高速な気体輸送を可能にし、ALDパルスエッジの完全性を維持するのに役立つ。
【0044】
軸対称注入ポート12の上流には、反応器蓋に非常に接近して(または、その上に)切り換え弁が設置される。こうした設置は、最小の量の拡散の広がりをもたらすであろう。遠隔弁の切り換えは速いALDにとってあまり有利ではない。さらに、図5に示すALDシステム10の例は、1つの分散(拡散)板14を有するが、図4に示す所望のカバリジ結果(tはほぼtOPに等しい)を可能するように、反応空間内に2つ(または3つ以上)のこうした板を有することが有利である場合がある。
【0045】
分散板14は、ウェハへの通路において、特別な寄生表面を提供し、付加的な寄生堆積表面を提供する。図6では、この寄生表面なしで均一な分散を促進する代替の機構が示され、ドーム形状、円錐形状、またはホーン形状化学分散装置20が使用される。こうした装置は、軸対称ポート(または、1つまたは複数の中心に配置されたポート)から前駆体を直接輸送するために提案される。さらなる実施形態では、変更されたシャワーヘッド(パージが容易なように構成された)が使用されてもよい。
【0046】
そのため、要約すると、ALDシステム10は、有利には、ALD前駆体パルスの反応速度論の時間枠内で、高アスペクト比のフィーチャにおいて同じ深さでほぼ同時(空間および時間において)の材料堆積を可能にする。基板上のどこにおいても過剰なALD前駆体が実質的にまったく使用されない、最適パルス時間にパルス時間を制限することによって、プロセスは、従来のALDプロセスより効率的である。
【0047】
一実施形態では、非常に高い共形的で、かつ、高品質の酸化アルミニウム膜を得るために、Al含有気体とO含有気体が、チャンバ内に2者択一的にパルス駆動される。ウェハ表面のすべてのエリアが投与された前駆体で飽和するため、各半反応は自己終了する(しかし、最適化された未飽和事例では、各半反応は、可能な最大値まで飽和せず、貴重な膜が得られる可能性がある)。2者択一的なパルス化の間に、不活性気体がチャンバ内に導入されて、残留前駆体気体と反応副産物がパージされる。場合によっては、このプロセスは、ウェハの全表面積が、投与した前駆体で完全に覆われることを確実にするのに必要とされるよりかなり長い前駆体パルス化時間を使用して実施される場合がある。すなわち、プロセスは、過剰投与(または過飽和)環境で実行される場合がある。こうした場合、チャンバ内でのCVDに似た反応を回避するために、交互の前駆体パルスの間に十分に長いパージ時間が好ましい。したがって、本ALDシステムを使用してこれらの従来のALDプロセスを実施するための1つの望ましい条件は、十分に長いパージ時間である。しかし、本ALDシステムが、TE−ALDまたはSTAR−ALDモードで(すなわち、未飽和または不足状態の露光で)使用される場合、反応器チャンバ内に存在する前駆体が少なくなると思われるため、パージ時間は大幅に減る場合がある。
【0048】
上記STAR−ALDを述べる時に、ALD堆積レートの最大飽和値に必要とされるドーズ量を十分に下回る制限されたドーズ量を使用して、反応を不足状態にすることによって、膜堆積レートが最大にされる可能性があることが留意された。本発明者等が見出したことは、不足状態の領域におけるオペレーションは化学量論的膜品質と有益な電子的特定を提供する。不足状態の反応領域で堆積した膜について堆積レートを最適化するこのプロセスは、本発明者等のTE−ALDプロセスの特別な場合と考えられる場合がある。その理由は、制限されたドーズ量が、やはり、短期の露光領域内にあり、ALD堆積レートが、ドーズ量の増加に伴ってやはり大幅に増加するからである。
【0049】
STAR−ALDプロセスは、従来のALDプロセスより10〜20倍まで速いため、
ウェハスループットを劇的に改善する。このスループットの増加は、前駆体についての通常よりずっと短いパルス化時間の使用によって、また、おそらくより重要なことには、時間のかかるパージ工程をなくすことによって達成される。
【0050】
TE−ALDのためのスループット最適化の概念は、ALDプロセスにおいて、膜堆積レート(Å/単位時間の単位)は、量の値(サイクル/単位時間)(露光時間とパージ時間の和の逆数である)にALD堆積レート(Å/サイクルの単位)についての飽和半反応の積を乗じたものによって与えられることを認識することによって記述される。
FDR(Å/秒)〜Rmx[1−exp(−tm/τm)][1−exp(−tnm/τnm)]/(tm+tnm+tpurges) (1)
ここで、tmは金属前駆体の露光時間(秒)であり、tnmは非金属前駆体の露光時間(秒)である。Rmxは形成される化合物についての最大飽和堆積レート(Å/サイクル)である。τmは、金属の半反応の飽和のための時定数であり、τnmは非金属の時定数である。両者は、指数関数的またはラングミュア形態を使用して、実際のALD飽和挙動を近似するのに使用される。量tm、tnm、tpurgesは秒単位である。
【0051】
増加指数関数と減少(1/t)関数の積は最大を持つことになることが留意される。露光時間の大きな値では、FDRは1/tのように減少し、非常に短い露光時間では、FDRは時間と共に線形的にゼロになる。それを、指数項の級数展開を使用して見ることができる。1/t関数と増加指数関数が交差する、一部の中間ポイントでは、FDRに最大が存在するであろう。
【0052】
例えば、TMA/H2Oを使用したAl23のALDの場合を考える。TMA半反応は非常に速く(例えば、通常、100ミリ秒未満)、水反応はずっと遅い。結果として、本発明者等は、TMA機能を1であるように、また、非金属(酸化体)飽和反応をH2O前駆体に割り当てることによって式(1)の表現を近似することができる。パージ時間がゼロか、または、ゼロに近い(すなわち、対象の露光時間より大幅に短い)場合、膜堆積レートの表現は、
FDR(Å/秒)〜Rmx[1−exp(−tnm/τnm)]/(tm+tnm) (2)に単純化される。
【0053】
この現象論的記述は、本発明者等の研究の指針として使用された。FDRの計算は、tmの異なる値について実行され、(膜堆積レートを反応前駆体の露光時間の関数として示す曲線である)図7に示すように結果がプロットされた。Rmxとtnmは、FDRの最大値を規定し、τ0(酸化半反応の飽和のための有効時定数である)はFDRが最大値である時間をほぼ制御する。本発明者等の説明では、tmは、第2反応体のTMA露光用の時間(t2)であり、tnmは、第1反応体のH2O露光用の時間(t1)である。
【0054】
図7では、FDRは、露光時間t1の関数としての計算されたポイント(実線の三角形)によって実線曲線としてプロットされる。右から左へグラフを読み取ると(すなわち、露光時間が減少することによって)、FDRは、長い時間(1/t1)ではサイクル時間関数に従い、tsmxにおいて最大を通過し、その後、急速に減少し、露光時間の限界t1でゼロになる傾向があり、ゼロに近づく。有益な露光範囲は、ts−とts+の間でtsmxの周りに表示される。
【0055】
遅い判反応についての指数関数[1−exp(−t1/τ1)]が図7にプロットされ、時間に関する増加関数であるが、サイクル時間関数1/(t1+t2)は時間に関する減少関数である。これらの2つの交差関数はFDRの最大の原因となる。図7に示す計算は、0.05秒のt2値を使用したが、示すグラフの量は任意の単位でプロットされている。
【0056】
FDRの最大値は、数秒程度のサイクル時間について得られるFDRより10〜20倍程度大きい(例えば、以下の実験データ報告を参照されたい)。図7に示す曲線のピークの2分の1程度であるFDR値の有益な範囲が存在し、ts−からtsmxを通ってts+のまでの範囲の有益な不足状態の露光時間の範囲が提供される。ts−は、tsmx未満の時間における、最大FDR値の半分であるFDR値に関連し、ts+は、tsmxを越える時間における、最大FDR値の半分であるFDR値に関連する。そのため、ほぼ最大の堆積レートを可能にする間、第1の化学的に反応する前駆体のドーズ量でウェハが露光される、パージのないSTAR−ALDプロセスが示される。
【0057】
2者択一の前駆体パルス化の間にパージ工程のない状態で、STAR−ALDモードを使用するALDに似たプロセスの実現可能性が特徴付けられた。図8A、図8Bは、ALD堆積レート(Å/サイクル)に対するいろいろなTMAとH2Oのパルス化時間の影響を示す。これらのグラフでは、露光条件は慣例、すなわち、露光1回/パージ1回/露光2回/パージ2回を使用する。ALD成長レートは、TMA(図8A)の露光時間t2およびH2O(図8B)のt1の関数としてプロットされる。酸化アルミニウム膜のALD堆積レート(Å/サイクル)が徐々に増加し、H2Oパルス化時間の増加に伴って飽和する。一方、比較的短い一定の時間を越えると、TMAパルス化時間は、H2O露光時間によって実質的に設定された値で「不足状態の飽和」を示す。最大飽和値を有する曲線についての挿入物は、H2Oの1秒露光とゼロパージ時間によって得られ、慣例レベル1.0/0/t2/0で指示される。減少した飽和値を有する曲線についての挿入物は、H2Oの0.1秒露光によって得られ、慣例レベル0.1/0/t2/0で指示される。短いH2O露光についての飽和値の大きさが約0.55Å/サイクル(長いH2O露光(1秒など)の間に得られる最大飽和値の半分とほとんど同じ)に減少することを除いて、より低い曲線飽和特性は、tの長時間露光について、TMAとH2Oによって実施される従来のALDプロセスとまったく同じである。これら種類のデータの評価は、異なる温度で実行され、結果はほぼ同じであるが、不足状態のALDの飽和した堆積レートは、180℃〜約350℃まで増加する。
【0058】
図9は、いくつかの露光条件および2つの温度(180℃および275℃)について、膜堆積レートが露光時間に対してプロットされるグラフである。FDRは、不足状態の露光条件において高い堆積レートと最大を示す。上の曲線は、0.1秒TMA露光とゼロパージの条件についてであり、慣例ラベル0.1/0/t1/0で指示され、t1はH2O露光時間を指す。下の曲線は、1.0秒のH2O露光を有するTMA露光とゼロパージの関数としてのFDRについてであり、t2/0/1.0/0で表示される。STAR−ALDによる膜成長レートは、160〜220Å/分の範囲であり、最大、典型的なALDの膜成長レート(通常、約10Å/分)の約20倍である。従来のALDによる、この典型的な膜成長レートは、4秒サイクル時間を使用して、比較のためにグラフの底部に示される。膜堆積レートの最大は、先に提示した現象論的モデルと整合性がある。そのため、STAR−ALDプロセスは、従来のALDと比較すると、利点の多くを維持しながら、比較できないほど高いスループットを提供することが見てわかる。したがって、STAR−ALDは、従来のALDが適している用途に加えて、高いウェハスループットと厚みの厚い膜堆積を要求する用途に使用される可能性がある。
【0059】
ALDの適用の過程で、膜厚が、ちょうど、実行されたサイクル数によって設定されるデジタル厚み制御を使用することが望ましいことが多い。したがって、STAR−ALDプロセスもまた、露光サイクル数に従ってデジタル的に制御されてもよいことを実証することが有益である。図10は、本発明者等が得たデータに従って、膜厚と実行されたSTAR−ALDサイクルの数の線形関係を示す曲線である。これは、デジタル膜厚制御の有用性を裏づける。図のデータポイントのすべては、225℃における0.1秒のTMAとH2Oパルス化時間を使用して生成された。パルス化時間は、図8A、図8Bに示すように、成長レートが前駆体パルス化時間に著しく依存する、不足状態の領域において意図的に選択された。この線形な関係(最小二乗適合)は、通常、従来のALDプロセスにおいて観測されるが、こうしたプロセスでは、texに近い前駆体パルス化時間は、先に説明した最大飽和ALD堆積レートを提供するが、高い膜堆積レート(FDR)を提供しない。
【0060】
膜の均一性を決定する他のプロセスパラメータもまた調査され、これらの調査結果は、図11に示すグラフにプロットされる。曲線は、実験計画法を使用して得られた、膜厚の1.2%(1シグマ)の分散を示し、実験計画法では、2つの前駆体の露光時間と反応器圧の相対比が変わるが、反応器設計による前駆体分散方法を最適化することをしない。これは、制限された露光の飽和が有効である事例において予想されるものであり、(不足状態の)飽和は、良好な均一性を実現するメカニズムの心臓部である。
【0061】
ウェハ温度を上げることは、150℃〜350℃の範囲において成長と均一性の両方に確実に作用した。高い膜成長レートは、高い熱エネルギーによって促進されるH2Oの反応性の増進によって引き起こされる場合がある。
【0062】
制限された露光を使用し、パージを使用しない場合、STAR−ALDプロセスは、CVDに似た反応の一部を有する。ウェハ上の反応空間内でのTMAの減衰は、H2Oの減衰より急速であることが予想される。それに応じて、本発明者等は、同じチャンバ(「パルス化CVD」)内で、かつ、STAR−ALDと同じ動作条件下で、反応体の同時露光という極端な場合を調べた。ウェハ温度、TMAとH2Oの両方についての容器温度、総反応器圧、サイクル数(150)がまったく同じに設定された。STAR−ALDの実行は、0.1/0/0.1/0を使用して行われた。この比較は、パルス化CVDの堆積と均一性が基本的に異なるかどうかを調べるために行われ、堆積と均一性は異なっていた。
【0063】
結果は図12に示され、前駆体が反応器内に一緒に注入されるパルス化CVDを使用して達成された膜厚と比較した、本発明の実施形態による、STAR−ALDプロセスを使用して生成された膜の厚みを示す。反応器と露光時間は、それぞれの場合についてほぼ同じであった。パルス化CVDプロセスの場合、膜厚分布は、30秒露光後に、ウェハの中心において非常に厚い値(約2180Å)を、縁部に向かって非常に薄い値(約340Å)を示した。平均膜成長レートは、約2340Å/分で、たとえ最大のSTAR−ALD値であってもそれよりずっと大きく、膜均一性は、CVDプロセス用の軸中心の不均一注入に特有であった。対照的に、STAR−ALD実行は、ウェハ中心から縁部へほぼ均一な厚み(約60Å)を有する膜を生成した。これらの結果から、STAR−ALDは、パルス化CVDプロセスと基本的に異なり、ALDプロセスに一層よく似ていることが明らかになるはずである。
【0064】
STAR−ALDの重要性をより完全に理解するために、最小の前駆体の使用が、以下のことを意味することを考える。すなわち、
・ 最大飽和ではないが、不足状態の半反応は、有益な膜を形成するのに明らかに十分適する(H2O飽和は完全ではないが、Al23が得られる)。
・ ALD堆積レートは可能な最大より小さいが、標準ALDをはるかに超える堆積レートが得られる。例えば、(寄生CVDを回避するための)各前駆体の長い露光と長いパージについてのALD堆積レートは、約10〜20Å/分であるが、STAR−ALDについての堆積レートはこれらの値の約10倍である。
・ たとえ精巧な気体分散システムが使用されなくても、均一性は、達成するのが比較的容易であった。このことは、圧力と流量パラメータを最適にすることによって、金属半反応についての不足状態の飽和(すなわち、飽和の非最大値)が、ウェハにわたって均一にされる可能性があることを意味する。
・ 前駆体が不足状態であることは、過剰の前駆体が非常に制限され、寄生CVDが減少し、抑制されることを意味する。先に報告した調査におけるゼロパージ時間の使用は、これを支持する。簡単に述べると、前駆体が投与不足である場合、寄生CVD反応に関与する過剰な前駆体がほとんどないため、低い、また、さらにゼロのパージプロセスが可能である。
【0065】
先に報告したTE−ALDとSTAR−ALDでは、2つの前駆体が順次使用された。これらの方法では、第1前駆体は、非金属担持前駆体(酸化体または窒化体を含有する)であり、第2前駆体は、金属担持前駆体であってよい。しかし、用途を開発する時に、3つさらに4つのエレメント膜(HfAlONまたはHfSiONなど)を堆積させることが重要であることが多い。こうした場合、TE−ALDとSTAR−ALDプロセスは、3つ以上の異なる順次の前駆体と共に使用される。しかしながら、選択された化学作用は、有益な膜材料の組成に適合することが重要である。これは、化学量論的材料であり、また、用途に応じて形成されるように熱力学的に安定であってもよい(または、でなくてもよい)。しかし、TMA/H2Oを使用してSTAR−ALD調査において形成された膜は、フィーチャが形成され、名目上は化学量論的であり(RBSデータによって示される)、堆積されると良好な絶縁破壊電界(〜8MV/cm)を有する。当技術分野で知られているように、環境を酸化するか、または、還元することによって、膜を改善するか、または、改質するのに堆積後アニールを使用してもよい。こうしたアニールは、絶縁破壊電圧、漏れなどのような電気特性を改善する。STAR−ALDプロセスによって作られたより薄い膜は、アニーリングによって改善された品質を有することがわかっている。
【0066】
ステップカバレージ試験は、高アスペクト比のテスタを使用して実行されており、名目上100%のステップカバレージが、100nmフィーチャを有する10:1ARテスタについて確認されている。これは、不足状態の飽和挙動によると予想される。高アスペクト比構造への前駆体輸送のための当技術分野で知られている方法による最適化は、>40:1などの、より積極的な構造において最高の結果を達成するのに必要とされる場合がある。
【0067】
明らかにされるべきCVDに関連するいくつかの状況が存在する。第1に、上述したように、ALDは、2つの反応性CVD前駆体を含む順次反応と呼ばれることが多い。一般に、ALDは、ウェハ基板表面が、反応性化学前駆体に順次露光され、各前駆体パルスが、不活性パージ気体期間によって、後続の前駆体パルスから分離される、CVDの変形である。ALD技術の心臓部は、加熱されたウェハ基板表面に対する各前駆体反応の自己制限的で、かつ、自己不動態化的な性質である。STAR−ALDおよびTE−ALDは、
パージのないオペレーションを可能にするために条件が確立されることを除いて、こうしたプロセスである。
【0068】
別の態様は、ALDに伴う、寄生CVDの意図的な助長である。TE−ALDとSTAR−ALDの場合、これは許容され、ある場合には有利である。特に、CVD混合物が表面反応性である場合、共形的な特性が保持される。不足状態のALDモードについて寄生CVDの1%を超える混合物が、用途に応じて望ましくても、望ましくなくてもよい。パージなしオペレーションの場合、2つの順次前駆体のターンオフ縁部とターンオン縁部の間隔の一部の重なりが望ましく、10〜20%公差が適切であることが見出される場合がある。例えば、TMAとH2Oのパルスが100ミリ秒である場合、パージなしモードのSTAR−ALDの場合、10〜20ミリ秒の重なりまたは分離が適する場合がある。
【0069】
TE−ALDとSTAR−ALDによる堆積は、膜密度、応力、寄生不純物などが設計製作され、かつ、点欠陥特性が影響を受ける可能性があるため有益である。さらに、STAR−ALDプロセスは、ALD特性の利点を維持しながら、従来のALDプロセスを使用して達成される膜成長レートの20倍まで膜成長レートを改善する可能性がある。したがって、STAR−ALDプロセスは、薄膜ヘッドから半導体の製造までのずっと広いエリアに適用可能である。従来のALDプロセスより高い成長レートを提供しながら、膜品質をさらに調整することも可能である。例えば、ALDとSTAR−ALDの順次プロセスが使用されてもよい。ごく初期のステージにおいて、従来のALDは、良好なシード層を提供し、その後、プロセスは、STAR−ALD、または、逆に、他の方向に切り換えられる可能性がある。ALDが最初に使用される場合、STAR−ALDは、高い成長レートを達成するための主要な膜堆積手段であることになる。STAR−ALDが最初に使用される場合、界面成長は、有利には、修正されてもよい。この概念は、種々の組み合わせ、すなわち、ALD/STAR−ALD/ALD、ALD/TE−ALD/STAR−ALD、同様のシーケンスの使用によってさらに拡張される可能性があり、種々の組み合わせを、特に、高いKの酸化物用途について膜品質を改善するのに使用してもよい。
【0070】
そのため、短時促進ALDのための方法と装置が述べられた。種々の実施形態を参照して述べたが、これらは、具体的に示すためだけであり、本発明は、それによって制限されるべきではないことが思い起こされるべきである。例えば、多くの他の膜が、本明細書に述べる高生産性プロセスを使用して堆積されてもよい。それらは、限定はしないが、Al23、HfO2、ZrO2、La23、Ta25、TiO2、Y23、Si34、SiN、、SiO2、第3と第4化合物合金(その例はHfAlONおよびHfSiONである場合がある)、さらにはGaAs、GaN、GaALN合金などのあるIII−V族化合物などのような誘電体を含む。それらはまた、W、WSiX、WN、Ti、TiN、Ta、TaNなどの金属や窒化金属を含む。TiSiNとTiAlNなどの複合金属材料もまた可能である。上記のそれぞれについて、堆積後アニールは、膜の改善/改質に使用されてもよい。それに応じて、本発明の範囲は、添付特許請求項によってのみ測定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不足状態の反応を使用する原子層堆積(ALD)プロセスであって、
ウエハを、第1の化学的に反応する前駆体の不足状態のドーズ量を露光し、この不足状態のドーズ量は、第1の化学的に反応する前駆体のために、ALDサイクル毎に膜厚が測定される、最大飽和ALD堆積レートの半分未満を生じるように選択され、前記第1の化学的に反応する前駆体は、前駆体ドーズ量のさらなる増加に伴ってALD成長レートの遅い増加をするソフトな飽和をする前駆体であって、そして、前記第1の化学的に反応する前駆体に続く第2の化学的に反応する前駆体に比較して長い飽和時間を有し、そして、前記第1の化学的に反応する前駆体の不足状態のドーズ量に露光することは、前記第1の化学的に反応する前駆体に続く第2の化学的に反応する前駆体のために、ALDサイクル毎に膜厚が測定される、不足した飽和ALD成長レートの値を決定し、
そして、
前記ウエハを、第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量を露光し、この第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量は、第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量の変動の下で第2の化学的に反応する前駆体の不足した飽和を達成するために選択されたドーズ量であり、前記不足した飽和は、第2の前駆体のために、ALDサイクル毎に膜厚を測定される、最大飽和ALD成長レートの半分未満である第2の化学的に反応する前駆体の、ALDサイクル毎に膜厚を測定される、ALD成長レートによって特徴付けられ、
そして、前記第1の化学的に反応する前駆体の不足したドーズ量と第2の化学的に反応する前駆体ドーズ量は、第1と第2の化学的に反応する前駆体の単位時間当たり測定される膜厚として最大不足ALDプロセス膜堆積を得るために選択され、そして
前記第1と第2の化学的に反応する前駆体は、ウエハ上にほぼ均質な堆積膜を提供するように順次送出されることを特徴とする原子層堆積(ALD)プロセス。
【請求項2】
前記第1と第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量は、前記ウェハにわたってほぼ均一に送出される請求項1に記載の原子層堆積プロセス。
【請求項3】
前記ウェハ上に材料膜を形成するように、前記ウェハに前記第1と第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量を繰り返し露光することをさらに含む請求項1に記載の原子層堆積プロセス。
【請求項4】
膜厚の不均一は+/−1.5%(1シグマ)である請求項1に記載の原子層堆積プロセス。
【請求項5】
前記第1と第2の化学的に反応する前駆体は、ほぼ均質にシャワーヘッド又は分散板を介して送出される請求項1に記載の原子層堆積プロセス。
【請求項6】
前記第1の化学的に反応する前駆体の不足したドーズ量をウエハに露光する後にパージが行われ、前記第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量をウエハに露光する後にはパージが行われない請求項1に記載の原子層堆積プロセス。
【請求項7】
パージをしないで前記第1の化学的に反応する前駆体の不足したドーズ量をウエハに露光する後に、前記第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量をウエハに露光することが続き、そして前記第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量をウエハに露光する後にパージが行われる請求項1に記載の原子層堆積プロセス。
【請求項8】
ウエハが前記第1の化学的に反応する前駆体の不足したドーズ量と前記第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量に露光された後に、パージが行われる請求項1に記載の原子層堆積プロセス。
【請求項9】
パージを行わない前記第1の化学的に反応する前駆体の不足したドーズ量にウエハを露光することに、前記第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量をウエハに露光することが続き、前記第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量をウエハに露光する後にはパージが行われない請求項1に記載の原子層堆積プロセス。
【請求項10】
不足状態の反応を使用する原子層堆積(ALD)プロセスであって、
ウエハを、第1の化学的に反応する前駆体の不足状態のドーズ量を露光し、この不足状態のドーズ量は、第1の化学的に反応する前駆体のために、ALDサイクル毎に膜厚が測定される、最大飽和ALD堆積レートの半分未満を生じるように選択され、前記第1の化学的に反応する前駆体は、前駆体ドーズ量のさらなる増加に伴ってALD成長レートの遅い増加をするソフトな飽和をする前駆体であって、そして、前記第1の化学的に反応する前駆体に続く第2の化学的に反応する前駆体に比較して長い飽和時間を有し、そして、前記第1の化学的に反応する前駆体の不足状態のドーズ量に露光することは、前記第1の化学的に反応する前駆体に続く第2の化学的に反応する前駆体のために、ALDサイクル毎に膜厚が測定される、不足した飽和ALD成長レートの値を決定し、
そして、
前記ウエハを、第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量を露光し、この第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量は、第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量の変動の下で第2の化学的に反応する前駆体の不足した飽和を達成するために選択されたドーズ量であり、前記不足した飽和は、第2の前駆体のために、ALDサイクル毎に膜厚を測定される、最大飽和ALD成長レートの半分未満である第2の化学的に反応する前駆体の、ALDサイクル毎に膜厚を測定される、ALD成長レートによって特徴付けられ、
そして、前記第1の化学的に反応する前駆体の不足したドーズ量と第2の化学的に反応する前駆体ドーズ量は、第1と第2の化学的に反応する前駆体の単位時間当たり測定される膜厚として最大不足ALDプロセス膜堆積を得るために選択され、そして
前記第1と第2の化学的に反応する前駆体は、ウエハ上にほぼ均質な堆積膜を提供するように順次送出され、そして、第1と第2の化学的に反応する前駆体の1つは、水(HO)であり、1つはトリメチルアルミニウム(TMA)であることを特徴とする原子層堆積(ALD)プロセス。
【請求項11】
前記第1および/または第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量の一方または両方は、約0.02秒〜約0.5秒間に加えられる請求項10に記載の原子層堆積プロセス。
【請求項12】
前記第1と第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量は、前記ウェハにわたってほぼ均一に送出される請求項1に記載の原子層堆積プロセス。
【請求項13】
前記ウェハ上に材料膜を形成するように、前記ウェハに前記第1と第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量を繰り返し露光することをさらに含む請求項10に記載の原子層堆積プロセス。
【請求項14】
膜厚の不均一は+/−1.5%(1シグマ)である請求項10に記載の原子層堆積プロセス。
【請求項15】
前記第1と第2の化学的に反応する前駆体は、ほぼ均質にシャワーヘッド又は分散板を介して送出される請求項10に記載の原子層堆積プロセス。
【請求項16】
前記第1の化学的に反応する前駆体の不足したドーズ量をウエハに露光する後にパージが行われ、前記第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量をウエハに露光する後にはパージが行われない請求項10に記載の原子層堆積プロセス。
【請求項17】
パージをしないで前記第1の化学的に反応する前駆体の不足したドーズ量をウエハに露光する後に、前記第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量をウエハに露光することが続き、そして前記第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量をウエハに露光する後にパージが行われる請求項10に記載の原子層堆積プロセス。
【請求項18】
ウエハが前記第1の化学的に反応する前駆体の不足したドーズ量と前記第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量に露光された後に、パージが行われる請求項10に記載の原子層堆積プロセス。
【請求項19】
パージを行わない前記第1の化学的に反応する前駆体の不足したドーズ量にウエハを露光することに、前記第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量をウエハに露光することが続き、前記第2の化学的に反応する前駆体のドーズ量をウエハに露光する後にはパージが行われない請求項10に記載の原子層堆積プロセス。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−171752(P2011−171752A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82561(P2011−82561)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【分割の表示】特願2006−509000(P2006−509000)の分割
【原出願日】平成16年3月1日(2004.3.1)
【出願人】(594021706)アイクストロン・インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】