説明

経路案内装置

【課題】過度の案内を抑制しながらも、推奨経路から逸脱した地点における画像を表示させながら推奨経路からの逸脱が再発するのを防止する経路案内装置を提供すること。
【解決手段】カメラ3で撮影した画像を用いて分岐点における進行方向を案内する経路案内装置100は、推奨経路から逸脱したことを検出する逸脱検出手段12と、車両の位置情報を取得する位置情報取得手段4と、逸脱検出手段12が推奨経路からの逸脱を検出した場合に逸脱地点の画像と位置情報とを含む逸脱情報を保存する逸脱情報管理手段13と、逸脱情報管理手段13が保存した位置情報が示す逸脱地点を車両が通過する場合にその逸脱地点の画像を表示させる画像制御手段15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの経路を案内する経路案内装置に関し、特に、推奨経路からの逸脱が再発するのを防止する経路案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作者が任意に案内情報を登録又は変更できるようにしながら車両の経路情報及び案内情報を通信ネットワーク経由で出力するセンタ装置と、車載通信手段により通信ネットワーク経由でセンタ装置から取得した経路情報及び案内情報を出力する車載装置と、から構成される経路案内システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この経路案内システムは、音声又は静止画による案内によって、予め登録しておいた分岐点(逸脱し易いとされる分岐点)で車両が推奨経路から逸脱するのを未然に防止し、また、現在地点と推奨経路との間の距離に基づいて推奨経路からの逸脱を検出した場合には、その旨を警告したり、或いは、現在地点から推奨経路を逸脱した地点までの距離及びその方向を表示したりして推奨経路への復帰を案内する。
【特許文献1】特開2004−4090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の経路案内システムは、予め登録しておいた分岐点に車両が差し掛かった場合に、予め登録しておいた静止画を用いて推奨経路を案内するので、運転者によっては逸脱しそうもない分岐点で過度の経路案内を実行してしまったり、或いは、実際に推奨経路から逸脱したことがある分岐点で適切な経路案内を実行できなかったりする場合がある。
【0005】
また、予め静止画を登録しておくので膨大な画像データを管理する必要がありシステム全体の処理負荷を増大させてしまう。
【0006】
上述の点に鑑み、本発明は、過度の案内を抑制しながらも、推奨経路から逸脱した地点における画像を表示させながら推奨経路からの逸脱が再発するのを防止する経路案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、第一の発明に係る経路案内装置は、カメラで撮影した画像を用いて分岐点における進行方向を案内する経路案内装置であって、推奨経路から逸脱したことを検出する逸脱検出手段と、車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記逸脱検出手段が推奨経路からの逸脱を検出した場合に逸脱地点の画像と位置情報とを含む逸脱情報を保存する逸脱情報管理手段と、前記逸脱情報管理手段が保存した位置情報が示す逸脱地点を車両が通過する場合に該逸脱地点の画像を表示させる画像制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、第二の発明は、第一の発明に係る経路案内装置であって、前記逸脱情報管理手段は、前記逸脱検出手段が推奨経路からの逸脱を検出した場合に逸脱地点の画像と位置情報と逸脱日時とを含む逸脱情報を保存し、逸脱日時から所定期間が経過した場合に、該逸脱日時を含む逸脱情報を削除することを特徴とする。
【0009】
また、第三の発明は、第一又は第二の発明に係る経路案内装置であって、前記逸脱情報管理手段は、逸脱地点の画像を表示させた時点から所定期間が経過するまで該画像の再表示を禁止することを特徴とする。
【0010】
また、第四の発明は、第一乃至第三の何れかの発明に係る経路案内装置であって、前記逸脱情報管理手段は、逸脱地点の画像を所定回数表示させた場合に該画像の再表示を禁止することを特徴とする。
【0011】
また、第五の発明は、第一乃至第四の何れかの発明に係る経路案内装置であって、運転者を識別する運転者識別手段を更に備え、前記逸脱情報管理手段は、前記運転者識別手段が識別した運転者毎に逸脱情報を管理することを特徴とする。
【0012】
また、第六の発明は、第一乃至第五の何れかの発明に係る経路案内装置であって、前記逸脱検出手段は、過誤により推奨経路から逸脱したことを検出する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上述の手段により、本発明は、過度の案内を抑制しながらも、推奨経路から逸脱した地点における画像を表示させながら推奨経路からの逸脱が再発するのを防止する経路案内装置を提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明に係る経路案内装置の構成例を示すブロック図であり、経路案内装置100は、音声又は画像により情報を提供しながら現在地から目的地まで車両を案内するための車載装置であって、制御部1、記憶装置2、カメラ3、測位装置4、表示装置5、及び、音声出力装置6から構成される。
【0016】
制御部1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)等を備えたコンピュータであり、後述の各種手段10乃至15のそれぞれに対応するプログラムをNVRAMに記憶し、それらプログラムをRAM上に展開して対応する処理をCPUに実行させる。
【0017】
記憶装置2は、経路案内装置が必要とする情報を記憶するための装置であり、例えば、ハードディスク又はDVD(Digital Versatile Disc.)等の不揮発性記憶媒体があり、逸脱情報データベース20(以下、「逸脱情報DB」とする。)、及び、地図情報データベース21(以下、「地図情報DB」とする。)を格納する。
【0018】
「逸脱情報」とは、経路案内装置1が提供する推奨経路からの逸脱に関する情報であり、例えば、カメラ3が撮影した逸脱地点の画像、その逸脱地点の位置情報(経度、緯度、高度)、逸脱日時、逸脱方向(例えば、逸脱前に通過したノードIDと逸脱地点のノードIDとに基づいて判断される。なお、ノードとは、道路の分岐点(交差点、T字路、Y字路、五差路等を含む。)や端点等を示す地図情報の構成要素である。)等を含む。
【0019】
カメラ3は、車両周辺を撮影するための装置であり、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)又はCCD(Charge-Coupled Device)等の撮像素子を用いたカメラがあり、車室内のバックミラー付近に設置され車両前方の風景を撮影する。なお、カメラ3は、撮影した風景画像を制御部1に出力する。
【0020】
測位装置4は、車両の位置を測定するための位置情報取得手段の一つであり、例えば、カーナビゲーションシステムのGPS(Global Positioning System)受信機によりGPSアンテナを介してGPS衛星が出力するGPS信号に基づいて車両位置を測位・演算する。
【0021】
測位方法は、単独測位や相対測位(干渉測位を含む。)等の如何なる方法であってもよいが、好ましくは精度の高い相対測位が用いられる。この際、自車位置は、舵角センサ、車速センサ、ジャイロセンサ等の各種センサの出力や、ビーコン受信機またはFM多重受信機を介して受信される各種情報に基づいて補正されてもよい。なお、測位装置4は、測定した車両の位置情報(経度、緯度、高度)を制御部1に出力する。
【0022】
表示装置5は、各種情報を表示するための装置であり、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等であって、制御部1から送信される画像データをディスプレイ上に表示させる。
【0023】
音声出力装置6は、各種情報を音声出力するための装置であり、例えば、車載スピーカ等であって、制御部1から送信される音声データを音声出力させる。
【0024】
なお、経路案内装置100は、運転者の入力を受け付けられるよう、タッチパネル、エスカッションボタン、又は、ジョイスティック等の入力手段を備えるものとする。
【0025】
次に、制御部1が有する各種手段について説明する。
【0026】
経路案内手段10は、測位装置4が測定した車両の位置情報と地図情報DB21に記憶された地図情報とに基づいて、現在地から目的地に至るまでの最適な経路を導き出すための手段であり、例えば、最短経路探索アルゴリズムとしてダイクストラ法を用いながら最短経路を探索する。
【0027】
また、経路案内手段10は、導き出した経路を推奨経路とし、地図情報と共に推奨経路を表示装置5に表示させ、かつ、音声出力装置6から音声メッセージを出力させながら目的地までの経路を案内する。
【0028】
なお、経路案内手段10は、測位装置4が測定した車両の位置情報の推移に基づいて車両の走行軌跡又は進行方向を導き出すことができる。
【0029】
画像取得手段11は、車両周辺の画像を取得するための手段であり、例えば、測位装置4が出力する車両の位置情報と地図情報DB21の地図情報とに基づき車両が分岐点に接近したことを検知し、分岐点の画像を取得するようカメラ3に制御信号を送信して、カメラ3に分岐点の画像を撮影させる。なお、カメラ3が撮影する画像は、静止画であってもよく、動画であってもよい。
【0030】
また、画像取得手段11は、カメラ3が撮影した画像データを取得し、制御部1にあるRAMに一時的に記録するようにする。
【0031】
逸脱検出手段12は、推奨経路から車両が逸脱したことを検出するための手段であり、例えば、測位装置4が測定した車両の位置情報と経路案内手段10が導き出した推奨経路との間の距離が所定値以上となった場合に、車両が推奨経路を逸脱したことを検出する。
【0032】
また、逸脱検出手段12は、運転者の故意により推奨経路から車両を逸脱させたのか、或いは、運転者の過誤により推奨経路から車両を逸脱させたのかを判定するようにしてもよい。
【0033】
例えば、逸脱検出手段12は、車両の現在位置と推奨経路との間の距離が所定値以上となった場合であっても、車両が元の推奨経路に復帰する前に車両のイグニッションスイッチがオフされたときには、運転者が推奨経路外の別の目的地点(例えば、景勝地、レストラン、トイレ等である。)に立ち寄ったものと推定でき、運転者の故意により推奨経路を逸脱したものであると判定する。
【0034】
一方、逸脱検出手段12は、車両の現在位置と推奨経路との間の距離が所定値以上となった後、車両のイグニッションスイッチがオフされることなく車両が元の推奨経路に復帰した場合には、運転者の過誤により推奨経路を逸脱したものであると判定する。
【0035】
また、逸脱検出手段12は、車両の現在位置と推奨経路との間の距離が所定値以上となった場合に、運転者の故意により推奨経路から車両を逸脱させたのか、或いは、運転者の過誤により推奨経路から車両を逸脱させたのかを運転者に確認させる画面を表示装置5に表示させ、タッチパネル等を介した運転者の確認操作(例えば、所定ボタンの押下である。)に基づいて何れかを決定するようにしてもよい。
【0036】
逸脱情報管理手段13は、逸脱情報DB20における逸脱情報を管理するための手段であり、例えば、逸脱検出手段12により推奨経路から車両が逸脱したことを検出した場合に、画像取得手段11が取得しておいた逸脱地点の画像、逸脱が発生した日時、逸脱地点の位置情報等を含む逸脱情報を記憶装置2の逸脱情報DB20に保存する。
【0037】
なお、逸脱情報管理手段13は、逸脱検出手段12により、運転者が誤って推奨経路から車両を逸脱させたものと判定した場合に限り、逸脱情報を逸脱情報DB20に保存させ、逸脱検出手段12により、運転者が故意に推奨経路から車両を逸脱させたものと判定した場合には、画像取得手段11がRAMに一時的に記録しておいた逸脱地点の画像を消去するようにしてもよい。推奨経路逸脱の再発を防止するために必要のない画像データを過度に蓄積しないようにするためである。
【0038】
図2は、逸脱情報DB20の構成例を示す図であり、逸脱情報DB20の各レコードは、画像ID、位置情報、検索対象フラグ、逸脱日時、最終抽出日時、進行方向、及び、抽出回数から構成される。
【0039】
「画像ID」は、カメラ3が撮影した逸脱地点における画像の識別番号であり、「位置情報」は、逸脱地点の緯度、経度、高度を示す情報であり、また、「検索対象フラグ」は、後述の逸脱情報検索手段14が検索対象とするか否かを決定するフラグである。なお、「検索対象フラグ」は、オンが検索対象、オフが非検索対象を表すものとする。
【0040】
また、「逸脱日時」は、車両が推奨経路から逸脱した日時であり、「最終抽出日時」は、後述の逸脱情報検索手段14により抽出された直近の日時であり、「進行方向」は、推奨経路から逸脱したときの車両の進行方向であり、また、「抽出回数」は、後述の逸脱情報検索手段14により抽出された回数である。
【0041】
なお、「進行方向」は、例えば、逸脱前に通過したノードIDと逸脱地点のノードIDとにより特定され、「抽出回数」は、後述の逸脱情報検索手段14がその逸脱情報を抽出する度にインクリメントされる。
【0042】
また、逸脱情報管理手段13は、逸脱日時又は最終抽出日時から所定期間が経過した逸脱情報を逸脱情報DB20から削除してもよく、逸脱日時又は最終抽出日時から所定期間が経過した逸脱情報における検索対象フラグをオフにするようにしてもよい。
【0043】
更に、逸脱情報管理手段13は、抽出回数が所定回数以上となった逸脱情報を削除してもよく、その逸脱情報における検索対象フラグをオフにするようにしてもよい。
【0044】
更に、逸脱情報管理手段13は、逸脱情報が抽出された場合にその検索対象フラグをオフにし、最終抽出日時から所定期間が経過するまでは同じ逸脱情報が抽出されないようにしてもよい。
【0045】
経路案内装置100による逸脱防止処理の負荷を軽減させるためであり、また、同じ案内や不適当な案内を過度に提示することにより運転者に不快感を与えてしまうことがないようにするためである。
【0046】
逸脱情報検索手段14は、車両の現在位置に関する逸脱情報を検索するための手段であり、例えば、測位装置4が測定した車両の位置情報と逸脱情報DB20に保存された逸脱地点の位置情報とを順次比較し、両者の距離が所定値未満となった場合に、その逸脱地点を含む逸脱情報を一次的に抽出する。
【0047】
また、逸脱情報検索手段14は、一次的に抽出した逸脱情報に含まれる進行方向と車両の現在の進行方向とを比較し、双方の進行方向が等しい場合に、その逸脱情報を最終的に抽出する。
【0048】
その後、逸脱情報検索手段14は、最終的に抽出した逸脱情報の逸脱地点における画像を後述の画像制御手段15に出力する。
【0049】
画像制御手段15は、逸脱情報検索手段14が抽出した逸脱地点の画像を制御するための手段であり、例えば、経路案内手段10が導き出した推奨経路の方向を表すマーク(例えば、矢印、丸印等がある。)等の付加情報を逸脱地点の画像に重ね合わせた画像(以下、「加工画像」という。)を表示装置5に表示させる。
【0050】
次に、図3を参照しながら、経路案内装置100が逸脱情報を逸脱情報DB20に保存する処理(以下、「逸脱情報保存処理」とする。)について説明する。なお、図3は、逸脱情報保存処理の流れを示すフローチャートである。
【0051】
最初に、経路案内装置100は、経路案内手段10により車両の走行軌跡を解析し、車両が分岐点に接近しているか否かを判定する(ステップS1)。なお、経路案内装置100は、ウィンカーが操作されたか否かを検知することにより、車両が分岐点に接近しているか否かを判定するようにしてもよい。
【0052】
車両が分岐点に接近していないと判定した場合(ステップS1のNO)、経路案内装置100は、車両が分岐点に接近していると判定するまで車両の走行軌跡の監視を継続させる。
【0053】
車両が分岐点に接近していると判定した場合(ステップS1のYES)、経路案内装置100は、画像取得手段11によって、カメラ3に分岐点の画像を撮影させる(ステップS2)。
【0054】
その後、経路案内装置100は、逸脱検出手段12により、その分岐点において車両が推奨経路を逸脱したか否かを判定し(ステップS3)、推奨経路を逸脱したと判定した場合には(ステップS3のYES)、さらに、運転者の故意により推奨経路から車両を逸脱させたのか、或いは、運転者の過誤により推奨経路から車両を逸脱させたのかを判定する(ステップS4)。
【0055】
運転者の過誤により推奨経路から車両を逸脱させたと判定した場合(ステップS4のYES)、経路案内装置100は、カメラ3が撮影しておいたその分岐点の画像とその分岐点の位置情報及び通過日時とを逸脱情報として逸脱情報DB20に保存する(ステップS5)。
【0056】
一方、推奨経路を逸脱していないと判定した場合(ステップS3のNO)、或いは、運転者の故意により推奨経路から車両を逸脱させたと判定した場合(ステップS4のNO)、経路案内装置100は、カメラ3が撮影し制御部1のRAMに一時的に記録しておいたその分岐点の画像をRAMから消去する(ステップS6)。
【0057】
逸脱情報検索手段14の検索対象とならないようにして、経路案内装置100による後述の逸脱防止処理における負荷を軽減させるためである。
【0058】
次に、図4を参照しながら、逸脱情報管理手段13が逸脱情報DB20に保存された逸脱情報を更新する処理(以下、「逸脱情報更新処理」とする。)について説明する。なお、図4は、逸脱情報更新処理の流れを示すフローチャートであり、逸脱情報管理手段13は、逸脱情報更新処理を周期的(例えば、一週間毎)に実行する。
【0059】
最初に、逸脱情報管理手段13は、逸脱情報DB20を参照して最終抽出日時の値を順番に取得し、最終抽出日時から所定期間(例えば、一週間)が経過しているか否かを判定する(ステップS10)。
【0060】
最終抽出日時から所定期間が経過していると判定した場合(ステップS10のYES)、逸脱情報管理手段13は、その最終抽出日時を含む逸脱情報レコードの検索対象フラグをオンに設定して(ステップS11)、その逸脱情報レコードが逸脱情報検索手段14の検索対象となるようにする。
【0061】
最後に抽出した時点から所定期間が経過することで、運転者が分岐点の特徴を忘れてしまっており、経路案内装置100が逸脱地点の画像を表示しなければ、運転者の過誤による推奨経路からの逸脱を再発させてしまう場合があるからである。なお、この検索対象フラグは、前回抽出された時点でオフに設定されている。
【0062】
最終抽出日時から所定期間が経過していないと判定した場合(ステップS10のNO)、逸脱情報管理手段13は、その最終抽出日時を含む逸脱情報レコードの検索対象フラグをオフのまま放置する。最後に抽出した時点から所定期間が経過していないので、運転者が分岐点の特徴を憶えており、運転者の過誤による推奨経路からの逸脱が再発するおそれはないとされるからである。
【0063】
その後、逸脱情報管理手段13は、逸脱情報DB20を参照して逸脱日時及び抽出回数の値を順番に取得し、逸脱情報検索手段14により一度も抽出されることなく逸脱日時から所定期間(例えば、一ヶ月)が経過しているか否かを判定する(ステップS12)。
【0064】
一度も抽出されることなく逸脱日時から所定期間が経過していると判定した場合(ステップS12のYES)、逸脱情報管理手段13は、その逸脱日時を含む逸脱情報レコードを削除して(ステップS13)、逸脱情報検索手段14の検索対象とならないようにする。
【0065】
利用されない逸脱情報レコードを削除することで、逸脱情報管理手段13による逸脱情報更新処理の負荷、逸脱情報検索手段14による検索処理の負荷、及び、経路案内装置100による逸脱防止処理の負荷を軽減させ、各処理の効率化を図るためである。
【0066】
逸脱日時から所定期間が経過していないと判定した場合(ステップS12のNO)、逸脱情報管理手段13は、その逸脱日時を含む逸脱情報レコードを削除することなく逸脱情報更新処理を終了させる。
【0067】
次に、図5を参照しながら、経路案内装置100が画像制御手段15により加工された画像データを表示装置5に表示させながら推奨経路からの逸脱が再発するのを防止する処理(以下、「逸脱防止処理」とする。)について説明する。なお、図5は、逸脱防止処理の流れを示すフローチャートである。
【0068】
最初に、経路案内装置100は、経路案内手段10により車両の走行軌跡を解析し、車両が分岐点に接近しているか否かを判定する(ステップS20)。なお、経路案内装置100は、ウィンカーが操作されたか否かを検知することにより、車両が分岐点に接近しているか否かを判定するようにしてもよい。
【0069】
車両が分岐点に接近していないと判定した場合(ステップS20のNO)、経路案内装置100は、逸脱防止処理を終了させる。逸脱が発生し得ないからである。
【0070】
車両が分岐点に接近していると判定した場合(ステップS20のYES)、経路案内装置100は、逸脱情報検索手段14により、測位装置4が測定した車両の位置情報と逸脱情報DB20に記憶された各逸脱情報レコードの位置情報とを比較しながら所定の距離範囲内に過去の逸脱地点が存在するか否かを判定する(ステップS21)。
【0071】
所定の距離範囲内に過去の逸脱地点が存在しないと判定した場合(ステップS21のNO)、経路案内装置100は、逸脱防止処理を終了させる。誤って推奨経路から逸脱してしまうような分岐点が存在しないからである。
【0072】
所定の距離範囲内に過去の逸脱地点が存在すると判定した場合(ステップS21のYES)、経路案内装置100は、その逸脱地点を含む逸脱情報レコードにおける進行方向と車両の現在の進行方向とを比較し、双方の進行方向が等しいか否かを判定する(ステップS22)。
【0073】
双方の進行方向が異なると判定した場合(ステップS22のNO)、経路案内装置100は、逸脱防止処理を終了させる。一方の進行方向において過誤による推奨経路からの逸脱が発生した場合であっても、他方の進行方向も同様に過誤による推奨経路からの逸脱が発生するとは限らず、進行方向別に判断すべきだからである。
【0074】
双方の進行方向が等しいと判定した場合(ステップS22のYES)、経路案内装置100は、画像制御手段15により、その逸脱地点を含む逸脱情報レコードが示す画像に現在の推奨経路を示す案内イメージ(例えば、矢印がある。)を重ね合わせて加工画像を生成し(ステップS23)、その加工画像を表示装置5に表示させ(ステップS24)、逸脱防止処理を終了させる。
【0075】
以上の構成により、経路案内装置100は、複雑な分岐点(例えば、高架道路若しくは高速道路の分流路、又は、多叉路等が入り組んだ迷いやすい交差点である。)で誤って推奨経路を逸脱してしまった場合にその分岐点の画像を保存しておき、次回、その分岐点を車両が通過する場合にその分岐点の画像を表示させながら分かり易く推奨経路を案内するので、過誤による推奨経路逸脱の再発を確実に防止することができる。
【0076】
また、経路案内装置100は、カメラ3で実際に撮影した画像を表示させるので、イラストや文字情報を表示させるよりも分かり易く推奨経路を案内することができる。
【0077】
また、経路案内装置100は、運転者の過誤により推奨経路から逸脱した場合に限ってRAMに一時的に記録しておいた分岐点の画像を含む逸脱情報を逸脱情報DB20に保存するので、蓄積される画像データの肥大化を防止し、逸脱防止処理の負荷を低減させ、かつ、逸脱防止処理の効率を向上させることができる。
【0078】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0079】
例えば、上述の実施例において、経路案内装置100は、同じ車両を運転する限り、一人の運転者の逸脱情報に基づいて他の全ての運転者に対し逸脱防止処理を実行するが、指紋認証装置、静脈認証装置又はIDカード等の運転者識別手段により運転者を識別し、運転者毎に逸脱情報を管理して運転者毎に逸脱防止処理を実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】経路案内装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】逸脱情報データベースの構成例を示す図である。
【図3】逸脱情報保存処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】逸脱情報更新処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】逸脱防止処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
1 制御部
2 記憶装置
3 カメラ
4 測位装置
5 表示装置
6 音声出力装置
10 経路案内手段
11 画像取得手段
12 逸脱検出手段
13 逸脱情報管理手段
14 逸脱情報検索手段
15 画像制御手段
20 逸脱情報DB
21 地図情報DB
100 経路案内装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影した画像を用いて分岐点における進行方向を案内する経路案内装置であって、
推奨経路から逸脱したことを検出する逸脱検出手段と、
車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記逸脱検出手段が推奨経路からの逸脱を検出した場合に逸脱地点の画像と位置情報とを含む逸脱情報を保存する逸脱情報管理手段と、
前記逸脱情報管理手段が保存した位置情報が示す逸脱地点を車両が通過する場合に該逸脱地点の画像を表示させる画像制御手段と、
を備えることを特徴とする経路案内装置。
【請求項2】
前記逸脱情報管理手段は、前記逸脱検出手段が推奨経路からの逸脱を検出した場合に逸脱地点の画像と位置情報と逸脱日時とを含む逸脱情報を保存し、逸脱日時から所定期間が経過した場合に、該逸脱日時を含む逸脱情報を削除する、
ことを特徴とする請求項1に記載の経路案内装置。
【請求項3】
前記逸脱情報管理手段は、逸脱地点の画像を表示させた時点から所定期間が経過するまで該画像の再表示を禁止する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の経路案内装置。
【請求項4】
前記逸脱情報管理手段は、逸脱地点の画像を所定回数表示させた場合に該画像の再表示を禁止する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の経路案内装置。
【請求項5】
運転者を識別する運転者識別手段を更に備え、
前記逸脱情報管理手段は、前記運転者識別手段が識別した運転者毎に逸脱情報を管理する、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の経路案内装置。
【請求項6】
前記逸脱検出手段は、過誤により推奨経路から逸脱したことを検出する、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の経路案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−232938(P2008−232938A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75199(P2007−75199)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】