説明

緊急情報表示システム、車載装置および無線通信装置

【課題】緊急通報サービスにおいて、無線通信圏外等で無線通信できない場合、屋外の電話を使って通報する必要があるが、屋外の電話機の設置位置が見つからない、通報先の電話番号がわからない場合、通報できない課題がある。
【解決手段】車載装置101に、車載機情報記憶部1017と、屋外電話施設位置記憶部1016と、周辺の屋外の電話機設置施設の位置を検索する屋外電話施設検索部1036と、緊急通報連絡情報を携帯電話ヘ転送する緊急通報情報転送部1035と、緊急通報サービスセンタとの通信可否を判定する通信可否判定部1034を設ける。また、携帯電話102には、車載装置101の緊急通報連絡情報を受信する緊急通報連絡情報受信部1043を設け、車載装置101が、携帯電話102を介して、緊急通報サービスセンタ106に通信接続できないと判定した場合に、緊急通報連絡情報を、携帯電話102に表示出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急情報表示システム、車載装置および無線通信装置に関し、特に無線通信装置による通信ができない時の緊急通報サービスセンタへの通報に係る緊急情報表示システム、車載装置および無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車の事故、同乗者の急病等のトラブルが起こった場合、運転手、同乗者を救援するための緊急通報サービスが提供されている。緊急通報サービスは、カーナビゲーション等の車載装置と携帯電話等の無線通信装置を利用するサービスである。運転手あるいは同乗者は、トラブル発生時に、無線通信装置を使って緊急通報サービスセンタヘ通信接続し、現在位置情報、車両情報等のデータを送信し、そして緊急通報サービスセンタのオペレータと通話を行う。緊急通報サービスセンタのオペレータは、自動車から通報を受けると、車両から受信した情報、運転手との通話により、警察、消防への連絡、救急車の手配等を行い、運転手を救命等、トラブル対応の支援を行う。
【0003】
しかし、緊急通報サービスは、携帯電話等の無線通信を使うため、トラブル発生が、トンネル内等の通信圏外の場所で起こってしまった場合、緊急通報サービスセンタヘ通報することができない問題がある。緊急通報サービスセンタではこのような場合は最寄の公衆電話等から連絡するよう注意を促している。ところが、運転者および同乗者が出先の地理に詳しくない場合等においては、公衆電話の設置位置がわからず、連絡場所を見つけ出せずに通報できない虞がある。
【0004】
このような緊急通報サービスシステムにおける通信圏外時に係る課題の解決を目的とした技術が種々公開されている。特許文献1には、緊急通報センタに通信できない場合に備え、他車両と無線通信する第2の無線手段を設け、他車両と連携して通報を行う技術を開示している。また、特許文献2に記載の車載機は、車両の位置情報等を記憶するための取り外し可能な記憶手段を車載機に設けた構成としている。トラブル発生時に自動車電話がサービス圏外等の場合は、記憶手段を車載機から取り外して、公衆電話ヘ持っていき、これを取り付けることでセンタへの連絡が可能な構成としている。
【0005】
【特許文献1】特開2002-185647号公報
【特許文献2】特開平7-210788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1によれば、他車との連携により、緊急通報センタに通報することで課題の回避が可能となる。しかし、他車と通信するためには、同じ緊急通報装置を有する自動車が付近を走行していることが前提となり、自動車の通行がない、あるいは自動車の通行があっても、同じ緊急通報装置を搭載していない場合は、他車と通信ができず、緊急通報サービスセンタへ通報できない課題がある。
【0007】
また、特許文献2によれば、車載機はトラブル発生時に公衆電話位置を検索して表示させ、また車載機に取り付けられた記憶手段を公衆電話へ持っていき、取り付けることで緊急通報サービスセンタヘ自動発信して、通信が可能となるので、より迅速な通報が可能となる。しかし、車載機に記憶手段を取り外し可能な機構を新規に設けなければならないため、車載機のコストがかかってしまう懸念がある。また、取り外し可能な記憶手段は公衆電話で使えることが前提となるため、これに対応した公衆電話がないと使用できないといった課題もある。
【0008】
本発明は上記課題を解決するものであり、公衆電話での通報にかかる利便性を向上させた緊急情報表示システム、車載装置および無線通信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題は、無線通信端末と、無線通信端末を離脱自在に接続し、GPS衛星から送信された電波を受信するGPS受信部と地図データを記憶する地図データ記憶部と全体制御部とからなる車載装置とからなり、車載装置は、緊急通報要求部と屋外電話位置記憶部とをさらに備え、全体制御部は、緊急通報要求部からの発呼要求を受け付けると、無線通信端末の通信可/不可を判定し、無線通信端末が通信圏外にあるとき、全体制御部は、GPS受信部からのデータを基に現在位置を検出し、この現在位置近傍の電話位置を屋外電話位置記憶部から検索し、現在位置の周辺地図を地図データ記憶部から検索し、周辺地図上に現在位置と電話位置とを配置して、無線通信端末に表示させる緊急情報表示システムにより、解決できる。
【0010】
また、GPS衛星から送信された電波を受信するGPS受信部と、地図データを記憶する地図データ記憶部と、全体制御部とからなり、無線通信端末を接続してこの無線通信端末を経由して通信を行い、緊急通報要求部と、屋外電話位置記憶部とをさらに備え、全体制御部は、緊急通報要求部からの発呼要求を受け付けると、無線通信端末の通信可/不可を判定し、全体制御部は、無線通信端末が通信不可状態にあると判定すると、GPS受信部からのデータを基に現在位置を検出し、この現在位置近傍の電話位置を屋外電話位置記憶部から検索し、現在位置の周辺地図を地図データ記憶部から検索し、周辺地図上に現在位置と電話位置とを配置して、無線通信端末に表示させるように出力する車載装置により、解決できる。
【0011】
さらに、基地局との間で電波の送受信を行うアンテナと、このアンテナに接続された無線インタフェース部と、スピーカとマイクとを含む音声インタフェースと、表示部と、全体制御部とからなり、車載装置との間で通信を行い、現在地が基地局との間で通信ができないとき、表示部に車載装置が作成した地図情報を表示する無線通信端末により、解決できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自動車におけるトラブル発生時に携帯電話等の無線通信装置で緊急通報した時に、通信圏外等で緊急通報サービスセンタヘ通信することができなかった場合、公衆電話等の屋外の電話を使って通報するのに係る自車の位置情報、付近の屋外電話施設の位置情報、緊急通報サービスセンタへの電話番号等の緊急通報用連絡情報を接続された携帯電話に転送し、表示させる。通報者は携帯電話を見ながら、最寄の電話設置施設設置場所ヘ行き、緊急通報サービスセンタヘ電話することが可能となる。また、自車の位置情報も携帯電話に表示させるので、緊急通報サービスセンタヘより的確な情報を通報することができるので、屋外の電話から通報が、より確実にでき、利便性が向上する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明の実施の形態について、実施例を用いて図面を参照しながら説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。ここで、図1はカーナビゲーションシステムおよび緊急通報サービスを説明するブロック図である。図2は携帯電話を説明するブロック図である。図3はカーナビゲーションシステムの緊急通報処理のフローチャートである。図4はカーナビゲーションシステムと携帯電話との間の緊急通報連絡情報の通信フレームである。図5はカーナビゲーションシステムと携帯電話との間の緊急通報連絡情報通信シーケンス図である。図6はカーナビゲーションシステムの緊急通報連絡情報転送処理のフローチャートである。図7は携帯電話の緊急通報連絡情報受信処理のフローチャートである。図8は携帯電話の緊急通報連絡情報表示GUIである。
【0014】
図1において、緊急通報サービスの通信システム2000は、カーナビゲーションシステム(以下カーナビと記す)101と、携帯電話102と、携帯電話102と無線回線を確立する無線基地局103と、携帯電話通信事業者が構築する携帯電話通信網104と、公衆回線網105と、公衆回線網105に接続された緊急通報サービスセンタ106とにより構成されている。なお、携帯電話通信網104は、無線基地局103を含め、複数の無線基地局を収容し、公衆電話網105へ回線交換接続を行う移動機交換局(図示せず)を備えている。
【0015】
以上の通信システム2000により、カーナビ101は、携帯電話102を外部から通信制御し、無線基地局103、携帯電話通信網104および公衆回線網105を介して、緊急通報サービスセンタ106と通信を行う。
【0016】
カーナビ101は、カーナビ全体制御部1011を中心に、携帯電話102、GPS受信部1012、カーナビ操作部1013、カーナビ表示部1014、地図データ記憶部1015、屋外電話施設位置データ記憶部1016、緊急通報用車載情報記憶部1017、緊急通報要求部1018およびハンズフリー部1019を示している。カーナビ全体制御部1011は、図示しないCPU、メモリ(ROM、RAM等)で構成される。
【0017】
ここで、カーナビ全体制御部1011は、接続された各周辺構成要素の制御、後述する本携帯電話102との通信制御等も含め、実装されたソフトウェアをCPUが実行することで、カーナビ101全体のシステム制御を行い、利用者にカーナビ101の各種機能を提供する。
【0018】
GPS受信部1012はGPS衛星から送られる電波を受信する。カーナビ全体制御部1011は、GPS受信部1012の入力を受け、現在の自車位置となる緯度、経度データを検出する。カーナビ操作部1013はカーナビ101の利用者が各種機能設定等を入力する。カーナビ表示部1014は経路案内用地図データを始め、各種情報表示を行う。地図データ記憶部1015は経路案内用の道路地図を記憶する部位であり、CD-ROM、DVD-ROM等の記録メディアおよびこれら記録メディアのデータ読み出しを行うドライブ装置からなるものである。屋外電話施設設置データ記憶部1016は、具体的には公衆電話ボックスの設置位置、レストラン、コンビニエンスストア等、電話機を設置している施設の位置を示す緯度・経度データを記憶するために設けたものである。屋外電話施設設置位置データ記憶部1016は、ここでは地図データ記憶部1015と分けて示しているが、地図データ記憶部1015あるいはカーナビ全体制御部1011におけるメモリに含んだ構成としても良い。
【0019】
通常、緊急通報情報サービスを利用する場合、利用者は事前にサービス契約を行い、利用者の個人情報、使用する車載機のID、携帯電話102の電話番号等の情報を登録しておく。緊急通報用車載情報記憶部1017は緊急通報サービスセンタ106と通信接続するのに係る各種登録情報および緊急通報サービスセンタ106の電話番号等を記憶する。緊急通報要求部1018は、緊急通報サービスセンタ106へ通報する際に利用者が操作する操作スイッチまたは自動車の事故を検出するセンサである。緊急通報要求部1018は、カーナビ全体制御部1011に緊急通報の要求を行う。ハンズフリー部1019には、マイク1020、スピーカ1021を接続する。ハンズフリー部1019は、携帯電話102の外部インタフェースにおける音声信号のエコーキャンセル等の信号処理を行い、マイク1020、スピーカ1021により携帯電話102を持たずに通話を可能とする。ハンズフリー部1019は、緊急通報時に、緊急通報サービスセンタ106のオペレータと通話する場合にも使用する。
【0020】
次に、カーナビ全体制御部1011の詳細構成を説明する。カーナビ全体制御部1011で行う処理として、カーナビ101の基本機能であるナビゲーション処理に加え、携帯電話102を使った緊急通報サービスセンタ106との通信処理も行う。
【0021】
以下、緊急通報サービスセンタ106への通信に関するカーナビ全体制御部1011内に示した各処理部について説明する。緊急通報処理部1031は、緊急通報サービスセンタ106との通信処理を行う。緊急通報処理部1031は、携帯電話通信制御処理部1032、緊急通報サービスセンタ通信処理部1033、通信可/不可判定処理部1034、緊急通報連絡情報転送処理部1035、屋外電話施設検索処理部1036とから構成されている。なお、緊急通報処理部1031内の、各処理部は、プログラムにより、コンピュータを各処理部の動作を実行するように機能させることにより、実現する。
【0022】
携帯電話通信制御処理部1032は、携帯電話102を使ったデータ通信、音声通信を行うのに係る規定のシーケンス制御処理を行う。携帯電話通信制御処理部1032は、規定のシーケンス制御処理の結果から、通信確立の成功あるいは失敗を判断し、その結果を緊急通報サービスセンタ通信処理部1033へ通知する。また、携帯電話通信制御処理部1032は、携帯電話102から無線基地局103の無線通信圏内、圏外等の回線状態情報も受け、後述する通信可/不可判定処理部1034ヘ無線回線状態情報の通知も行う。
【0023】
緊急通報サービスセンタ通信処理部1033は、緊急通報サービスセンタ106との間であらかじめ取り決められた通信プロトコル処理を行うものであり、携帯電話通信制御処理部1032から通信確立成功応答通知を受けて、通信プロトコル処理を行う。
【0024】
通信可/不可判定処理部1034は、携帯電話102から受信される無線回線状態情報および緊急通報サービスセンタ通信処理部1033が緊急通報サービスセンタ106との通信プロトコルによる通信確立結果を受信する。通信可/不可判定処理部1034は、これら情報から緊急通報サービスセンタ106との通信可/不可を判定する処理を行い、通信不可の判定結果を緊急通報情報携帯転送処理部1035ヘ通知する。
【0025】
緊急通報連絡情報転送処理部1035は、運転手あるいは同乗者が緊急通報サービスセンタ106ヘ屋外の電話を使って電話連絡するのに必要となる緊急通報連絡情報を携帯電話102ヘ転送する処理を行うものであり、通信可/不可判定処理部1034から通信不可の通知を受けて処理を行う。
【0026】
緊急通報連絡情報は、少なくとも緊急通報用車載情報記憶部1017に記憶された緊急通報サービスセンタ106の電話番号、GPS受信部1012からのデータに基づく現在位置情報、屋外電話施設検索処理部1036が出力する現在位置周辺の公衆電話ボックス等の屋外電話施設設置位置データを含む。
【0027】
屋外電話施設検索処理部1036は、GPS受信部1012から得られる緯度・経度データと屋外電話施設位置データ記憶部1016とから現在位置周辺の屋外電話施設を検索する処理を行う。屋外電話施設検索処理部1036は、更に、検索結果を元に、地図データ記憶部1015から得られる地図データ上に検索した屋外電話設定位置を示した屋外電話施設位置付加地図データの生成処理を行って、緊急連絡情報転送処理部1035に出力する
次に、携帯電話102の内部構成について図2を用いて説明する。図2において、携帯電話102において、携帯電話全体制御部1021は、図示しないCPU、メモリ(ROM、RAM等)をベースに構成される。携帯電話全体制御部1021には、図示のように周辺構成要素が接続された構成としており、携帯電話全体制御部1021は、接続される各周辺構成要素の制御、実装されるソフトウェア(プログラム)をCPUが実行することによって、携帯電話102全体のシステム制御を行う。以下、携帯電話全体制御部1021に接続される各周辺構成要素について説明する。
【0028】
携帯電話102は、上述した携帯電話全体制御部1021と、電波の送受信を行うアンテナ1022部、アンテナ部1022との信号を変復調する無線I/F部1023、スピーカ1024、マイク1025、音声通話時の送受話を行う携帯音声I/F部1026、時間情報、着信情報等、携帯電話102内部の各種情報を表示出力する携帯表示部1027、ダイヤル用のテンキー等から構成される携帯操作部1028、カーナビ101から受信される緊急通報連絡情報を記憶しておくための緊急通報連絡情報記憶部1029で構成される。ここで、携帯音声I/F部1026は、アナログ、デジタル音声信号のA/D変換、D/A変換、規定の無線帯域に合わせた音声コーデック処理を行う。カーナビ101から受信される緊急通報連絡情報も、携帯表示部1027に表示出力される。
【0029】
次に携帯電話全体制御部1021における処理について説明する。携帯電話全体制御部1021で行う処理として、携帯電話102の基本機能である音声通信処理、データ通信処理に加え、カーナビ101との間で緊急通報連絡情報の通信処理を行うための緊急通報連絡情報受信処理部1043を設けている。
【0030】
以下、携帯電話全体制御部1021内の各処理部について説明する。外部端末通信制御処理部1041は、外部端末からの制御により、データ通信、音声通信等を行うための規定のシーケンス制御処理を行う。具体的には、外部端末通信制御処理部1041は、前述のカーナビ102における携帯電話通信制御処理部1032との通信により処理がなされる。無線通信制御処理部1042は、外部端末通信制御処理部1041における処理結果を元に、無線基地局103との間の無線回線を介したデータ通信あるいは音声通信を行うための規定の無線通信プロトコル処理を行う。無線通信制御処理部1042は、アンテナ1022、無線I/F部1023を介して無線基地局103から受ける電波強度、圏内・圏外等の無線回線状態の監視も行っており、これら無線回線状態情報は、所定のコマンドを形成して外部端末通信制御処理部1041を介して、カーナビ101側ヘ出力される。緊急通報連絡情報受信処理部1043は、カーナビ101における緊急通報連絡情報転送処理部1035との間で後述する所定のシーケンス制御処理を行い、カーナビ101から転送される緊急通報情報を受信する処理を行う。受信された緊急通報連絡情報は、緊急通報連絡情報記憶部1029に順次記憶し、受信完了したら、携帯表示部1027へ表示出力させる処理も行う。
【0031】
次に図3を参照して、カーナビ全体制御部1011の緊急通報処理部1031の動作フローを説明する。図3において、ステップ301では、緊急通報要求部1018の入力状態を監視し、緊急通報サービスセンタ106への通報要求があるか否かを判定する処理を行う。緊急通報要求部1018からの入力から、緊急通報要求有りと判定すると(Yes)、緊急通報処理部1031は、緊急通報サービスセンタ電話番号読み出し処理を行う(S302)。なお、ステップ301がNoのとき、再度ステップ301に戻る。ステップ302の緊急通報サービスセンタ電話番号読み出し処理は、緊急通報用車載情報記憶部1017に記憶される緊急通報サービスセンタ106への電話番号を読み出す処理である。
【0032】
緊急通報処理部1031は、携帯電話102にデータ通信接続要求コマンドを送信する(S303)。このデータ通信接続要求コマンド送信処理は、携帯電話102に対して、データ通信/音声通信の回線接続モードを設定するモード設定コマンド、ステップ302で読み出した電話番号(緊急通報サービスセンタ106の電話番号)を使ってのダイヤリング要求を行うダイヤリングコマンドを生成し、送信する処理である。
【0033】
緊急通報処理部1031は、携帯電話102からの応答を待ち(S304)、応答を受信すると携帯電話102からの応答コマンドを受信解析し、通信可/不可判定処理を行う(S305)。ステップ305で、データ通信可と判定された場合は、緊急通報サービスセンタ106への通報処理を行って(S306)、終了する。
【0034】
一方、ステップ305でデータ通信不可と判定した場合は、緊急通報連絡情報転送処理に遷移する(S307)。なお、ここで、緊急通報連絡情報転送処理は携帯電話102に設けた緊急通報連絡情報受信処理部1043と通信を行い、緊急通報連絡情報を転送する処理である。
【0035】
次にカーナビ101の緊急通報連絡情報転送処理部1035と携帯電話102の緊急通報連絡情報受信処理部1043との通信プロトコルについて、説明する。図4は、緊急通報連絡情報転送時のカーナビ101と携帯電話102間で使用する通信フレームである。図4において、通信フレームの先頭はデータ種別であり、その定義は、「1」は外部接続開始要求、「2」は外部接続終了要求、「3」は外部接続開始確認、「4」が外部接続終了確認、「5」は緊急通報連絡情報送信要求、「6」は緊急通報連絡情報受信確認である。データ種別41の次はデータ長42である。データ長42は、データ長42に続く緊急通報連絡情報データ43のバイト数である。緊急通報連絡情報データ43を含まない通信フレームの場合、データ長42に0を置く。
【0036】
図5ないし図7を参照して、緊急通報連絡情報の通信シーケンスについて説明する。図5において、まず、カーナビ101は、緊急通報要求を受けると、緊急通報サービスセンタと通信接続するための、データ通信接続シーケンス処理を行い(S501)、通信可/不可判定処理を行う(S502)。ここでは、ステップ502の判定が、通信不可として説明を続ける。なお、これ以降の緊急通報連絡情報転送の通信シーケンスは、カーナビ101の緊急通報連絡情報転送処理部1035、携帯電話102の緊急通報情報受信処理部1043における処理である。
【0037】
カーナビ101は、携帯電話102に外部接続開始要求を送信する(S503)。外部接続開始要求を受信した携帯電話102は、カーナビ101に外部接続開始確認を送信する(S504)。外部接続開始確認を受信したカーナビ101は、携帯電話102に緊急通報連絡情報送信要求を送信する(S505)。緊急通報連絡情報送信要求を受信した携帯電話102は、カーナビ101に緊急通報連絡情報受信確認を送信する(S506)。この緊急通報連絡情報送信要求には、緊急通報サービスセンタの電話番号、現在地名称、電話施設位置を示す地図情報の一つが含まれ、緊急通報連絡情報送信要求(S508)と、緊急通報連絡情報受信確認(S509)とを繰り返すことによって、上述した緊急通報連絡情報が携帯電話102に取り込まれる。緊急通報連絡情報の送信を終えたカーナビ101は、携帯電話102に外部接続終了要求を送信する(S510)。外部接続終了要求を受信した携帯電話102は、カーナビ101に外部接続終了確認を送信し(S504)、その表示画面に緊急通報情報を表示する(S512)。
【0038】
図6において、カーナビ101の緊急通報連絡情報転送処理部1035は、まず、外部接続開始フレームを生成して、携帯電話102への送信処理を行う(S601)。ステップ601で生成した外部接続開始フレームは、データ種別に外部接続開始要求「1」、データ長に「0」を設定した通信フレームである。カーナビ101は、外部接続開始確認応答待ちにはいる(S602)。
【0039】
カーナビ101は、ステップ602において、携帯電話102より、外部接続開始確認フレームを受信すると、緊急通報サービスセンタ電話番号読み出し処理を実施する(S603)。カーナビ101は、さらに現在位置情報取得処理を行う(S604)。ここで、ステップ603は、前述のように、緊急通報用車載情報記憶部1017に記憶される電話番号を読み出す処理であり、ステップ604は、GPS受信部1012からの受信信号から緯度・経度データを検出する処理である。また、ステップ604では緯度・経度データと地図データ記憶部1015とから現在地の地図上の現在地名称(所番地)を取得する処理も行う。これは、「xxx市yyy町zzz交差点付近」というような自車の場所を示す文字列データを地図データ記憶部1015から抽出する処理である。
【0040】
カーナビ101は、次に屋外電話施設検索処理を行う(S605)。屋外電話施設検索処理は、取得した緯度・経度データと、屋外電話施設位置データ記憶部1016の屋外電話施設位置データとから自車周辺にある電話施設位置を検索する処理である。ステップ605にて電話施設位置を検出した後、屋外電話施設位置付加地図データ生成処理を行う(S606)。屋外電話施設位置付加地図データ生成処理は、自車位置と電話施設位置とを地図データ記憶部1015に記憶された地図上にマークをつけた地図データを生成する。生成した地図のイメージは、図8を参照して後述する。上記ステップ603ないしステップ606において取得したデータが、緊急通報連絡情報データである。
【0041】
カーナビ101は、次に緊急通報連絡情報データ数(N)算出処理を行う(S607)。この算出処理は、緊急通報連絡情報データのバイト数を求める処理である。緊急通報連絡情報データ数算出処理を実行したカーナビ101は、緊急通報連絡情報送信要求フレーム生成、送信処理を実行する(S608)。ステップ608では、データ種別に緊急通報連絡情報送信要求「4」、データ長「L」、緊急通報連絡情報データに、上記生成した緊急通報連絡情報NバイトのうちのLバイト分を読み出して設定した通信フレームを生成し、携帯電話102へ送出する。通信フレーム送出後、カーナビ101は、緊急通報情報受信確認応答待ちにはいる(S609)。
【0042】
カーナビ101では、ステップ608において、緊急通報連絡情報受信確認フレームの受信を検出すると、残データ数算出処理を行う(S610)。S609処理は、データ数Nから携帯電話102ヘ送信したデータ数Lを差し引いたデータ数を新たにNとする処理を行うものである。そして、カーナビ101は、緊急通報連絡情報残データ有無検出処理を行う(S610)。残データ有無検出処理は、Nが0か否かをチェックし、残データが有る場合(Nが0でない)は、ステップ608に戻る。ステップ611で残データ無し(N=0)と判定したときステップ612に遷移する。
【0043】
カーナビ101は、外部接続終了要求フレームを生成し、携帯電話102へ送信する処理を実行する(S612)。外部接続終了要求フレームは、データ種別に外部接続終了要求「2」、データ長「0」を設定した通信フレームである。この通信フレームにより、カーナビ101から緊急通報連絡情報データを全て送信し終わった旨を携帯電話102ヘ通知する。通信フレーム送出後、カーナビ101は、外部接続終了要求確認応答待ちにはいる(S613)。
【0044】
ステップ613において、カーナビ101が携帯電話102から外部接続終了要求確認フレームの受信を検出すると、カーナビ101は、緊急通報連絡情報転送処理を終了する。
なお、ステップ602、ステップ609、ステップ613において、携帯電話からの応答が無いときは、タイムアウトして、図示しないエラー処理に遷移する。
【0045】
図7において、携帯電話102の緊急通報連絡情報受信処理部1043は、外部接続要求受信待ち状態にあり(S701)、ステップ701で、カーナビ101より外部接続開始要求フレームを受信すると、通信開始準備処理を行う(S702)。通信開始準備処理は、外部端末であるカーナビ102との通信処理に際して必要なリソースの確保や処理変数の初期化等を行う。携帯電話102は、次の外部接続開始確認フレームを生成し、カーナビ101あてに送信する(S703)。外部接続開始確認フレームは、データ種別に外部接続開始確認「2」、データ長に「0」を設定した通信フレームである。通信フレーム送出後、カーナビ101からの通信フレームを検出する通信フレーム受信検出処理待ちにはいる(S704)。
【0046】
ステップ704において、携帯電話102が、緊急通報連絡情報送信要求フレームを受信すると、受信データ種別解析処理を行う(S705)。受信データ種別解析処理は、受信された通信フレームのデータ種別をチェックする。ステップ705で緊急通報連絡情報要求を受信検出すると、緊急通報連絡情報データ抽出処理を行う(S706)。緊急通報連絡情報データ抽出処理は、通信フレームにおける緊急通報連絡情報データ部を抽出する処理を行うものである。具体的には、受信フレームのデータ長を参照し、データ長分のデータを読み出し、緊急通報連絡情報記憶部1029に順次記憶する。携帯電話102は、緊急通報連絡情報受信確認フレームを生成し、カーナビ101へ送信する(S707)。緊急通報連絡情報受信確認フレームは、データ種別に緊急通報連絡情報受信確認「5」、データ長に「0」を設定した通信フレームである。緊急通報連絡情報受信確認フレームの送信により、携帯電話102は、緊急通報連絡情報の一部を正常に受信できた旨をカーナビ101へ通知する。携帯電話102は、ステップ704に戻り、カーナビ101より緊急通報連絡情報送信要求フレームを受信する毎に上記処理を実行する。
【0047】
一方、ステップ705で外部接続終了要求フレームを受信検出すると、携帯電話102は、受信緊急通報連絡情報データ表示出力処理を行う(S708)。受信緊急通報連絡情報データ表示出力処理は、緊急通報連絡情報記憶部1029に記憶していたデータを読み出し、携帯表示部1027ヘ出力する処理である。
【0048】
携帯電話102は、最後に、外部接続終了確認フレームを生成し、カーナビ101に送信し(S709)、緊急通報連絡情報受信処理を終了する。
【0049】
図8において、携帯表示部1027には、緊急通報サービスセンタの電話番号、現在地名称、電話施設位置地図を表示させている。電話施設位置地図には自車位置801と、電話施設設置位置802とが表示されている。
通報者は、この画面を見ながら電話施設に移動し、緊急通報サービスセンタに電話し、自車位置を通報する。なお、図8の現在地名称は、現在地を示す他の文字データであってもよく、緯度経度の表示でもよい。
【0050】
以上、説明したように、本実施例によれば、自動車にて、事故等トラブルが発生した場合、緊急通報サービスセンタ106ヘの通報を試みるが、緊急通報サービスセンタ106と通信できないと判断した場合は、あらかじめ接続された携帯電話102に運転手あるいは同乗者が公衆電話等、屋外の電話から緊急通報サービスセンタ106に電話連絡する場合に必要となる緊急通報連絡情報を表示させるので、運転手あるいは同乗者は、携帯電話に表示される地図を見ながら、屋外の電話設置場所ヘ行くことができ、公衆電話を探すのに時間を要するといった事態を回避することが可能となる。また、緊急通報サービスセンタの電話番号を表示させるので、電話番号がわからずに連絡できないといった事態も回避できる。更に、現在地名称も表示させるので、緊急通報サービスセンタヘより的確に車の現在地情報を伝えることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】カーナビゲーションシステムおよび緊急通報サービスを説明するブロック図である。
【図2】携帯電話を説明するブロック図である。
【図3】カーナビゲーションシステムの緊急通報処理のフローチャートである。
【図4】カーナビゲーションシステムと携帯電話との間の緊急通報連絡情報の通信フレームである。
【図5】カーナビゲーションシステムと携帯電話との間の緊急通報連絡情報通信シーケンス図である。
【図6】カーナビゲーションシステムの緊急通報連絡情報転送処理のフローチャートである。
【図7】携帯電話の緊急通報連絡情報受信処理のフローチャートである。
【図8】携帯電話の緊急通報連絡情報表示GUIである。
【符号の説明】
【0052】
101…カーナビゲーションシステム、102…携帯電話、103…無線基地局、104…携帯電話通信網、105…公衆回線網、106…緊急通報サービスセンタ、801…自車位置を示すマーク、802…屋外電話施設位置を示すマーク、1011…カーナビ全体制御部、1012…GPS受信部、1013…カーナビ操作部、1014…カーナビ表示部、1015…地図データ記憶部、1016…屋外電話施設位置データ記憶部、1017…緊急通報用車載情報記憶部、1018…緊急通報要求部、1019…ハンズフリー部、1020…マイク、1021…スピーカ、1031…緊急通報処理部、1032…携帯電話通信制御処理部、1033…緊急通報サービスセンタ通信処理部、1034…通信可/不可判定処理部、1035…緊急通報連絡情報転送処理部、1036…屋外電話施設検索処理部、1021…携帯電話全体制御部、1022…アンテナ部、1023…無線I/F部、1024…スピーカ、1025…マイク、1026…携帯音声I/F部、1027…携帯表示部、1028…携帯操作部、1029…緊急通報連絡情報記憶部、1041…外部端末通信制御処理部、1042…無線通信制御処理部、1043…緊急通報連絡情報受信処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信端末と、前記無線通信端末を離脱自在に接続し、GPS衛星から送信された電波を受信するGPS受信部と地図データを記憶する地図データ記憶部と全体制御部とからなる車載装置と、からなる緊急情報表示システムであって、
前記車載装置は、緊急通報要求部と屋外電話位置記憶部とをさらに備え、
前記全体制御部は、前記緊急通報要求部からの発呼要求を受け付けると、前記無線通信端末の通信可/不可を判定し、
前記無線通信端末が通信圏外にあるとき、前記全体制御部は、前記GPS受信部からのデータを基に現在位置を検出し、この現在位置近傍の電話位置を前記屋外電話位置記憶部から検索し、前記現在位置の周辺地図を前記地図データ記憶部から検索し、前記周辺地図上に前記現在位置と前記電話位置とを配置して、前記無線通信端末に表示させることを特徴とする緊急情報表示システム。
【請求項2】
GPS衛星から送信された電波を受信するGPS受信部と、地図データを記憶する地図データ記憶部と、全体制御部とからなり、無線通信端末を接続してこの無線通信端末を経由して通信を行う車載装置において、
緊急通報要求部と、屋外電話位置記憶部とをさらに備え、
前記全体制御部は、前記緊急通報要求部からの発呼要求を受け付けると、前記無線通信端末の通信可/不可を判定し、
前記全体制御部は、前記無線通信端末が通信不可状態にあると判定すると、前記GPS受信部からのデータを基に現在位置を検出し、この現在位置近傍の電話位置を前記屋外電話位置記憶部から検索し、前記現在位置の周辺地図を前記地図データ記憶部から検索し、前記周辺地図上に前記現在位置と前記電話位置とを配置して、前記無線通信端末に表示させるように出力することを特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載装置であって、
前記全体制御部は、前記無線通信端末に緊急通報先の電話番号または文字データによる現在地をも表示させるように出力することを特徴とする車載装置。
【請求項4】
基地局との間で電波の送受信を行うアンテナと、このアンテナに接続された無線インタフェース部と、スピーカとマイクとを含む音声インタフェースと、表示部と、全体制御部とからなり、車載装置との間で通信を行う無線通信端末において、
現在地が前記基地局との間で通信ができないとき、前記表示部に前記車載装置が作成した地図情報を表示することを特徴とする無線通信端末。
【請求項5】
請求項4に記載の無線通信端末であって、
前記表示部に、緊急通報先の電話番号または文字データによる現在地をも表示することを特徴とする無線通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−33744(P2008−33744A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208068(P2006−208068)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(501348139)株式会社 エイチ・シー・エックス (86)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】