説明

自車位置判定装置

【課題】自車位置の判定を高精度に行うことが可能な自車位置判定装置を提供する。
【解決手段】自車位置計算部14は、自車が駐車場の建物内に存在するか否かを判定するとともに、自車が建物内に存在すると判定された後に、自車が建物の屋上に存在するか否かを判定する屋内・屋上判定部28と、自車が駐車場を脱出したか否かを判定する駐車場判定部30と、自車が建物の屋上に存在すると判定された場合に、駐車場判定部30により自車が駐車場を脱出したと判定されないように判定制御を行う判定制御部32とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車の位置を判定する自車位置判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車載用ナビゲーション装置では、自車を目的地まで適切に案内するために、自車位置を地図データ上の該当する道路上の位置に整合させるように補正するマップマッチング処理が行われていた。このような車載用ナビゲーション装置において、自車が地図データ上に存在しない駐車場内を走行する場合に、当該駐車場の付近の道路に誤ってマップマッチングされること(ミスマッチング)を防止するために、GPS衛星の捕捉状態に応じて、自車が駐車場内に存在することを判定するための方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−178502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された手法では、自車が立体駐車場の屋上に存在する場合、GPS衛星が捕捉されるために当該立体駐車場を脱出したと判定されて、自車が当該立体駐車場の付近の道路に誤ってマップマッチングされてしまう場合がある。
【0004】
本発明の目的は、上述した問題を解決するものであり、自車位置の判定を高精度に行うことが可能な自車位置判定装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、自車の位置を判定する自車位置判定装置であって、前記自車が建物内に存在するか否かを判定する建物内判定手段と、前記建物内判定手段により自車が建物内に存在すると判定された後に、前記自車が前記建物の屋上に存在するか否かを判定する屋上判定手段とを有することを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、自車が建物の屋上に存在することが特定されるため、自車の位置等についての所定の状態がマップマッチングを行う条件を満たしていると誤って判定されて自車位置が付近の道路にマップマッチングされてしまうことが防止可能である。
【0007】
また、本発明の自車位置判定装置は、少なくとも自車の位置についての所定の状態がマップマッチングを行う条件を満たしているか否かを判定するマップマッチング条件判定手段と、前記屋上判定手段により自車が前記建物の屋上に存在すると判定された場合に、前記マップマッチング条件判定手段によりマップマッチングを行う条件を満たしていると判定されないように判定制御を行う判定制御手段とを有するようにしてもよい。
【0008】
この構成によれば、自車が建物の屋上に存在する場合に、自車が付近の道路にマップマッチングされてしまうことが防止される。
【0009】
また、本発明の自車位置判定装置は、前記建物内判定手段が、GPS衛星の捕捉数が第1の所定値以下の場合に、前記自車が建物内に存在すると判定するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明の自車位置判定装置は、GPS衛星からの信号に基づいて、前記自車の高度を検出する高度検出手段を有し、前記屋上判定手段が、GPS衛星の捕捉数が第2の所定値以上であり、且つ、前記高度検出手段により検出された、前記自車の最新の高度と前記建物内判定手段により自車が建物内に存在すると判定された直前の高度との差が第3の所定値以上である場合に、前記自車が前記建物の屋上に存在すると判定するようにしてもよい。
【0011】
この構成によれば、自車の最新の高度と自車が建物内に存在すると判定された直前の高度との差を考慮して自車が屋上に存在するか否かを判定することによって、仮に自車位置が建物内に存在する場合にGPS衛星が捕捉されることによって、自車が屋上に存在すると誤って判定されることが防止され、屋上判定の精度を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の自車位置判定装置は、前記自車の傾斜角を検出する傾斜角検出手段を有し、前記屋上判定手段は、GPS衛星の捕捉数が第2の所定値以上であり、且つ、前記建物内判定手段により自車が建物内に存在すると判定された後に、前記傾斜角検出手段により第4の所定値以上の傾斜角が第5の所定値以上連続して検出された場合に、前記自車が前記建物の屋上に存在すると判定するようにしてもよい。
【0013】
この構成によれば、自車が建物内に存在すると判定された後の自車の傾斜角の推移を考慮して自車が屋上に存在するか否かを判定することによって、自車位置が建物内に存在する場合に、GPS衛星が捕捉されることによって、自車が屋上に存在すると誤って判定されることが防止され、自車が屋上に存在するか否かの判定の精度を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の自車位置判定装置は、前記屋上判定手段が、前記自車からの仰角が第6の所定値以上となる位置に存在するGPS衛星の捕捉数が前記第2の所定値以上である場合に、前記自車が前記建物の屋上に存在すると判定するようにしてもよい。
【0015】
この構成によれば、自車からの仰角が大きい位置に存在するGPS衛星は自車が屋上に存在しないと捕捉されにくいことを考慮して、自車が屋上に存在するか否かの判定の精度を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の自車位置判定装置は、前記屋上判定手段が、前記前記建物内判定手段により自車が建物内に存在すると判定された後の前記自車の回転角度が第7の所定値以上である場合に、前記自車が前記建物の屋上に存在すると判定するようにしてもよい。
【0017】
この構成によれば、一般的な立体駐車場では車両が屋上に到達するまでに螺旋状に進行することを考慮して、自車が屋上に存在するか否かの判定の精度を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の自車位置判定装置は、前記屋上判定手段が、前記前記建物内判定手段により自車が建物内に存在すると判定された後の前記自車の移動距離が第8の所定値以上である場合に、前記自車が前記建物の屋上に存在すると判定するようにしてもよい。
【0019】
この構成によれば、一般的な立体駐車場では車両が屋上に到達するまでにある程度の距離を走行することを考慮して、自車が屋上に存在するか否かの判定の精度を向上させることができる。
【0020】
また、本発明の自車位置判定装置は、前記屋内判定手段が、前記自車が建物内に存在すると判定した後に、自車の測位が可能な数のGPS衛星を捕捉するまでは、前記自車が建物を脱出したとは判定しないようにしてもよい。
【0021】
この構成によれば、自車が屋上に存在するにもかかわらず、GPS衛星が捕捉されたことをもって自車が建物から出たと誤って判定されてしまうことが防止される。また、仮に自車が建物内に進入したものの屋上まで進行することなく、そのまま建物から脱出した場合には、自車の測位が可能な数のGPS衛星を捕捉しさえすれば、建物から脱出したことが正しく判定される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、自車が建物の屋上に存在することが特定されるため、GPS衛星の捕捉状態等によって、自車が建物を脱出したと誤って判定されて付近の道路にマップマッチングされてしまうことが防止可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明が適用された車載用ナビゲーション装置の構成を示す図である。図1に示す車載用ナビゲーション装置1は、自車を現在地から目的地まで誘導するナビゲーションのための主制御を行うナビゲーションメインユニット2を有する。
【0024】
ナビゲーションメインユニット2の入力側には、GPSレシーバ3が接続されている。このGPSレシーバ3は、GPS衛星6を捕捉し、捕捉されたGPS衛星6から軌道及び時刻を含む情報(以下、GPS情報と称する)を受信して、ナビゲーションメインユニット2の内部に出力する。本実施形態においては、GPSレシーバ3は、複数個のGPS衛星6を捕捉可能である。
【0025】
また、ナビゲーションメインユニット2の入力側には、方位・傾斜角センサ5、ディスク読取装置7及び入力操作部8がそれぞれ接続されている。方位・傾斜角センサ5は、自車の方位及び傾斜角を検出するジャイロセンサ等である。ディスク読取装置7は、地図データ等のナビゲーションに必要な情報が格納されたディスク10を搭載している。なお、入力操作部8は、リモコン、タッチパネル等のユーザによって操作される各種の手段である。また、ナビゲーションメインユニット2には、車速パルスが入力される。一方、ナビゲーションメインユニット2の出力側には、ディスプレイ11及びスピーカ12がそれぞれ接続されている。
【0026】
ナビゲーションメインユニット2は、自車の現在位置(自車位置)を算出する自車位置計算部14を有している。この自車位置計算部14は、本発明に係る自車位置判定装置としての機能を有し、GPSレシーバ3からのGPS情報に基づいて、自車の絶対位置(電波航法位置)を算出する。また、自車位置算出部14は、車速パルス及び方位・傾斜角センサ5からの自車の方位情報に基づいて、自車の相対位置(自律航法位置)を算出する。更に、自車位置計算部14は、算出した自車位置が地図データにおける道路上にない場合に、当該地図データにおける該当する道路上の位置に自車位置を補正するマップマッチング処理を行う。
【0027】
地図読出制御部15は、ディスク読取装置7に対して、自車位置計算部14によって算出された自車位置及びその周辺の地図データの読み出し要求を出力する。また、地図読出制御部15は、ディスク読取装置7に対して、ユーザによる入力操作部8の操作によって指定された地点及びその周辺の地図データの読み出し要求を出力する。ディスク読取装置7は、これら地図読出制御部15の読み出し要求に応じた地図データをディスク10から読み取り、地図バッファ16に一時的に保存させる。地図描画部18には、地図バッファ16に保存された地図データに基づいて、自車位置及びその周辺の地図の画像や、入力操作部8の操作によってユーザが指定した地点及びその周辺の地図の画像を表示するための地図描画データを生成する。表示処理部19は、地図描画部18によって生成された地図描画データに応じた地図画像をディスプレイ11に表示する処理を行う。
【0028】
自車位置描画部20は、自車位置計算部14によって算出された自車位置の情報を入力する。なお、この自車位置の情報は、自車位置計算部14によってマップマッチング処理が最後まで行われた場合には、マップマッチング処理後の自車位置の情報となる。一方、自車位置の情報は、マップマッチング処理が最後まで行われなかった場合には、電波航法位置又は自律航法位置の情報となる。自車位置描画部20は、自車位置の情報に基づいて、自車位置を示す自車位置描画データを生成する。表示処理部19は、この自車位置描画データに基づいて、自車位置のマークを上述した自車位置及び周辺の地図の画像上に重ねて表示する処理を行う。
【0029】
ルート計算部22は、自車位置計算部14によって算出された自車位置からユーザによる入力操作部8の操作によって指定された目的地までの推奨ルートを算出する。この際、ルート計算部22は、地図読出制御部15を介してディスク読取装置7に地図データ(道路ネットワークデータ等)を読み取らせ、この読み取らせた地図データをルート算出に利用する。案内画像描画部23は、ルート計算部22によって算出された推奨ルートに基づいて、推奨ルートの画像や交差点拡大画像等の案内画像を表示するための案内画像描画データを生成する。表示処理部19は、この案内画像描画データに基づいて、案内画像をディスプレイ11上に表示する処理を行う。音声案内部24は、ルート計算部22によって算出された推奨ルートに基づいて、交差点右左折案内等の音声案内を行うための案内音声データを生成する。スピーカ12は、この案内音声データに応じた音声出力を行う。
【0030】
以下、自車位置計算部14の詳細を説明する。図2は、自車位置計算部14の構成を示す図である。GPS捕捉数検出部26は、GPSレシーバ3からのGPS情報に基づいて、GPS衛星の捕捉数を検出し、その検出結果を屋内・屋上判定部28へ出力する。GPS仰角検出部27は、GPSレシーバ3から出力されたGPS情報に基づいて、自車からのGPS衛星の仰角を検出し、その検出結果を屋内・屋上判定部28へ出力する。
【0031】
屋内・屋上判定部28は、GPS捕捉数検出部26からのGPS衛星捕捉数に基づいて、自車が駐車場の建物内に存在するか否かを判定する。自車が外から建物内に進入すると、GPS衛星捕捉数は減少する。従って、屋内・屋上判定部28は、GPS捕捉数が所定数以下の場合に、自車が駐車場の建物内に存在すると判定する。判定基準となるGPS衛星捕捉数については、種々の値(例えば1個)を設定可能である。
【0032】
自車が建物内に存在すると判定した場合、その後、屋内・屋上判定部28は、自車が屋上に存在するか否かの判定処理(屋上判定)を行う。以下、フローチャートを参照しつつ、第1乃至第3の屋上判定の詳細について説明する。
【0033】
まず、第1の屋上判定について説明する。図3は、第1の屋上判定を示すフローチャートである。屋内・屋上判定部28は、GPS捕捉数検出部26からのGPS衛星捕捉数と、GPS仰角検出部27からのGPS衛星仰角とに基づいて、自車からの仰角が所定角度以上のGPS衛星の捕捉数が所定数以上であるか否かを判定する(S101)。判定基準となるGPS衛星仰角については、種々の値(例えば45°)を設定可能であり、GPS捕捉数についても、種々の値(例えば3個)を設定可能である。自車からの仰角が所定角度以上のGPS衛星の捕捉数が所定数以上でない場合には、自車が屋上に存在しないとみなされ、第1の屋上判定の動作は終了する。
【0034】
自車からの仰角が所定角度以上のGPS衛星の捕捉数が所定数以上である場合、屋内・屋上判定部28は、直ちに自車が建物から出たとは判定せず、所定時間(例えば10秒間)待って3D測位に必要な数のGPS衛星が捕捉した後に(S102)、自車が建物内に存在すると判定した後の自車の走行距離(建物内走行距離)が所定距離以上であるか否かを判定する(S103)。判定基準となる建物内走行距離については、種々の値(例えば100m)を設定可能である。更に、建物内走行距離が所定距離以上である場合、屋内・屋上判定部28は、自車が建物内に存在すると判定した後の自車の回転角度(建物内回転角度)が所定角度以上であるか否かを判定する(S104)。判定基準となる建物内回転角度については、種々の値(例えば3周に相当する1080°)を設定可能である。
【0035】
図4は、上述した建物内走行距離及び建物内回転角度の更新を示すフローチャートである。屋内・屋上判定部28は、自車が駐車場の建物内に存在するか否かを判定し(S111)、存在する場合には、自車が建物内に存在すると判定した後に随時入力される車速パルスに基づいて、自車が建物内に存在すると判定した後の自車の走行距離(建物内走行距離)を算出し、内蔵するメモリ(図示せず)に記憶させることによって、その算出値を更新する(S112)。更に、屋内・屋上判定部28は、自車が建物内に存在すると判定した後に方位・傾斜角センサ5から随時入力される自車の方位情報に基づいて、自車が建物内に存在すると判定した後の自車の回転角度(建物内回転角度)を算出し、内蔵するメモリに記憶させることによって、その算出値を更新する(S113)。このようにしてメモリに記憶させた建物内走行距離及び建物内回転角度に基づいて、屋内・屋上判定部28は、上述したS102及びS103の処理を行う。
【0036】
一方、自車が駐車場の建物内に存在しない場合には、屋内・屋上判定部28は、内蔵するメモリ内に記憶された建物内走行距離及び建物内回転角度をクリアする(S114、S115)。
【0037】
再び、図3に戻って説明する。S104において建物内回転角度が所定角度以上であると判定した場合、次に、屋内・屋上判定部28は、自車が建物内に存在すると判定した直前の自車の高度と現在の自車の高度との差が所定値以上であるか否かを判定する(S105)。具体的には、屋内・屋外判定部28は、GPSレシーバ3から随時入力されるGPS情報に基づいて、自車の高度を算出しており、自車が建物内に存在すると判定した場合には、その判定の直前の自車の高度を内蔵するメモリに記憶させる。そして、建物内回転角度が所定角度以上である場合、屋内・屋上判定部28は、記憶された自車が建物内に存在すると判定した直前の自車の高度と、最新に算出した自車の高度との差を算出して、その値が所定値以上であるか否かを判定する。判定基準となる高度差については、種々の値(例えば15m)を設定可能である。
【0038】
高度差が所定値以上である場合、屋内・屋上判定部28は、自車が屋上に存在すると判定し、対応する処理(屋上判定時処理)を行う。具体的には、屋内・屋上判定部28は、屋上フラグをオンにする(S106)。例えば、屋内・屋上判定部28は、内蔵するメモリ(図示せず)の一部の領域を屋上フラグの設定のために用い、当該領域に自車が屋上に存在することを示す「1」を記憶させる。次に、屋内・屋上判定部28は、随時算出、更新している内蔵するメモリ内の建物内走行距離及び建物内回転角度をクリアする(S107、S108)。
【0039】
上述した第1の屋上判定の後、屋内・屋上判定部28は、自車が屋上に存在しなくなったか否かの判定(屋上判定解除)を行う。図5は、第1の屋上判定解除の動作を示すフローチャートである。屋内・屋上判定部28は、自車が屋上に存在すると判定し、S107において建物内走行距離をクリアした後に、新たに算出、更新した建物内走行距離、換言すれば、自車が屋上に存在すると判定した後の自車の走行距離が所定距離以上であるか否かを判定する(S121)。建物内走行距離が所定距離以上である場合、更に、屋内・屋上判定部28は、自車が屋上に存在すると判定し、S108において建物内回転角度をクリアした後に、新たに算出、更新した建物内回転角度、換言すれば、自車が屋上に存在すると判定した後の自車の回転角度が所定角度以上であるか否かを判定する(S122)。建物内回転角度が所定角度以上であると判定した場合、屋内・屋上判定部28は、自車が屋上に存在しないと判定し、屋上フラグをクリアする(S123)。
【0040】
次に、第2の屋上判定について説明する。図6は、第2の屋上判定の動作を示すフローチャートである。屋内・屋上判定部28は、入力される車速パルスと、方位・傾斜角センサ5からの自車の傾斜角とに基づいて、自車が建物内に存在すると判定した後の自車の上り状態での連続走行距離を算出し、その算出値が所定距離以上であるか否かを判定する(S201)。具体的には、屋内・屋外判定部28は、自車が建物内に存在すると判定した後に、方位・傾斜角センサ5から随時入力される自車の傾斜角が所定角度以上となっている間に、随時入力される車速パルスに基づいて、自車の自車の上り状態での連続走行距離を算出し、内蔵するメモリに記憶させる。そして、屋内・屋外判定部28は、この上り状態での連続走行距離が所定距離以上であるか否かを判定する。判定基準となる上り状態での傾斜角については、種々の値(例えば5°)を設定可能であり、判定基準となる連続走行距離についても、種々の値(例えば50m)を設定可能である。
【0041】
自車が屋内に存在すると判定した後の上り状態での連続走行距離が所定距離以上である場合、次に、屋内・屋上判定部28は、GPS仰角検出部27からのGPS衛星仰角に基づいて、自車からの仰角が所定角度以上のGPS衛星を捕捉したか否かを判定する(S202)。
【0042】
自車からの仰角が所定角度以上のGPS衛星を捕捉した場合、屋内・屋上判定部28は、自車が屋上に存在すると判定し、対応する処理(屋上判定時処理)を行う。具体的には、屋内・屋上判定部28は、屋上フラグをオンにするとともに(S203)、S201で算出、記憶させた上り状態での連続走行距離の保持を継続する(S204)。
【0043】
上述した第2の屋上判定の後、屋内・屋上判定部28は、自車が屋上に存在しなくなったか否かの判定(屋上判定解除)を行う。図7は、第2の屋上判定解除の動作を示すフローチャートである。屋内・屋上判定部28は、自車が屋上に存在すると判定した後に入力される車速パルスと、方位・傾斜角センサ5からの自車の傾斜角とに基づいて、自車が屋上に存在すると判定した後の自車の下り状態での連続走行距離を算出し、その算出値が所定距離以上であるか否かを判定する(S211)。判定基準となる下り状態での傾斜角については、種々の値(例えば−5°)を設定可能であり、連続走行距離についても、種々の値(例えば、図6のS204で保持された上り状態での連続走行距離の半分)を設定可能である。下り状態での連続走行距離が所定距離以上である場合、屋内・屋上判定部28は、自車が屋上に存在しないと判定し、屋上フラグをクリアする(S212)。
【0044】
次に、第3の屋上判定について説明する。図8は、第3の屋上判定の動作を示すフローチャートである。屋内・屋上判定部28は、自車が建物内に存在すると判定した直前の自車の高度と現在の自車の高度との差が所定値以上であるか否かを判定する(S301)。具体的には、図3のS104と同様である。すなわち、屋内・屋外判定部28は、GPSレシーバ3から随時入力されるGPS情報に基づいて、自車の高度を算出しており、自車が建物内に存在すると判定した場合には、その判定の直前の自車の高度を内蔵するメモリに記憶させる。そして、屋内・屋上判定部28は、記憶された自車が建物内に存在すると判定した直前の自車の高度と、最新に算出した自車の高度との差を算出して、その値が所定値以上であるか否かを判定する。
【0045】
自車が屋内に存在すると判定した後の高度差が所定値以上である場合、次に、屋内・屋上判定部28は、GPS仰角検出部27からのGPS衛星仰角に基づいて、自車からの仰角が所定角度以上のGPS衛星を捕捉したか否かを判定する(S302)。
【0046】
自車からの仰角が所定角度以上のGPS衛星を捕捉した場合、屋内・屋上判定部28は、自車が屋上に存在すると判定し、対応する処理(屋上判定時処理)を行う。具体的には、屋内・屋上判定部28は、屋上フラグをオンにするとともに(S303)、S301で用いた高度差を内蔵するメモリに保持させる(S304)。
【0047】
上述した第3の屋上判定の後、屋内・屋上判定部28は、自車が屋上に存在しなくなったか否かの判定(屋上判定解除)を行う。図9は、第3の屋上判定解除の動作を示すフローチャートである。屋内・屋上判定部28は、自車が屋上に存在すると判定した直後の自車の高度と現在の自車の高度との差が所定値以上であるか否かを判定する(S311)。具体的には、屋内・屋外判定部28は、GPSレシーバ3から随時入力されるGPS情報に基づいて、自車の高度を算出しており、自車が屋上に存在すると判定した場合には、その判定の直後の自車の高度を内蔵するメモリに記憶させる。そして、屋内・屋上判定部28は、自車が屋上に存在すると判定した後に入力される車速パルスに基づく走行距離と、方位・傾斜角センサ5からの自車の傾斜角とに基づいて、最新の自車の高度を算出し、これらの高度差が所定値以上であるか否かを判定する。判定基準となる高度差については、種々の値(例えば、図7のS304で保持された高度差の半分)を設定可能である。高度差が所定値以上である場合、屋内・屋上判定部28は、自車が屋上に存在しないと判定し、屋上フラグをクリアする(S312)。
【0048】
屋内・屋上判定部28は、上述した屋上判定によって、自車が屋上に存在すると判定した場合、その旨を判定制御部32へ通知し、その後、自車が屋上に存在しないと判定した場合にも、その旨を判定制御部32へ通知する。判定制御部32は、自車が屋上に存在するとの通知を受けると、駐車場判定部30によって自車が駐車場を脱出したと判定されないように、当該駐車場判定部30を制御する。その後、判定制御部32は、自車が屋上に存在しないとの通知を受けた場合には、駐車場判定部30に対する制御を終了する。
【0049】
駐車場判定部30は、自車が駐車場に進入したか否か、及び、自車が駐車場を脱出したか否かを判定するものであり、GPSレシーバ3からのGPS情報、方位・傾斜角センサ5の検出結果、車速パルス及びマップマッチング制御部31によって選択されたマッチング候補道路の情報が必要に応じて入力される。駐車場判定部30は、これらの情報を適宜用いることによって、所定の判定基準にしたがって駐車場進入判定を行う。具体的には、駐車場判定部30は、マッチング不能状態走行距離、GPSの信頼度、電波航法位置とマッチング候補道路との距離、及び、自車の旋回状態を検出する。そして、駐車場判定部30は、「マッチング不能状態走行距離が閾値以上である」、「GPSの信頼度が高い」、「電波航法位置とマッチング候補道路との距離が道路幅に所定の誤差を加算した値以上である」、及び、「自車が旋回中ではない」の各要件が全て満たされる場合に、自車が駐車場に進入したと判定し、いずれかの要件が満たされない場合には、自車が駐車場から脱出したと判定する。
【0050】
また、駐車場判定部30には、マップマッチング制御部31が接続されている。マップマッチング制御部31は、駐車場判定部30により自車が駐車場から脱出したと判定された場合に、マップマッチング処理を開始し、電波航法位置又は自律航法位置の周辺の地図データをディスク10から取得して、この取得した地図データにおける道路形状データから複数のマッチング候補道路を選択する。そして、マップマッチング制御部31は、これら複数のマッチング候補道路を比較して、適切なマッチング候補道路がある場合には、そのマッチング候補道路上に自車位置を補正することによって、マップマッチング処理を完了する。マップマッチング制御部31による処理の結果は、自車位置として自車位置描画部20及びルート計算部22に出力されて、自車位置マークの描画や推奨ルートの算出に用いられる。
【0051】
但し、判定制御部32が、駐車場判定部30によって自車が駐車場を脱出したと判定しないように制御を行う場合には、駐車場判定部30は、上述した各要件が満たされているか否かに関わらず、自車が駐車場を脱出したとの判定を行わない。このため、マップマッチング制御部31は、マップマッチング処理を開始しない。そして、その後に判定制御部32が駐車場判定部30に対する制御を終了した場合には、当該駐車場判定部30は、上述した各要件が満たされていない場合には、自車が駐車場を脱出したとの判定を行う。このため、マップマッチング制御部31は、マップマッチング処理を開始する。
【0052】
このように、本実施形態における車載用ナビゲーション装置1では、屋内・屋上判定部28により、自車が屋内に存在するか否かが判定され、屋内に存在すると判定された場合には、その後、自車が屋上に存在するか否かが判定される。そして、自車が屋上に存在すると判定された場合には、判定制御部32の制御によって、駐車場判定部30は、自車が駐車場を脱出したとの判定を行わないようにする。これにより、自車が駐車場の建物の屋上に存在する場合に、自車が駐車場を脱出したと誤って判定されて駐車場の付近の道路にマップマッチングされてしまうことが防止される。なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上、説明したように、本発明に係る自車位置判定装置は、自車位置の判定を高精度に行うことが可能であり、自車位置判定装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】車載用ナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】自車位置計算部の構成を示す図である。
【図3】第1の屋上判定を示すフローチャートである。
【図4】建物内走行距離及び建物内回転角度の更新動作を示すフローチャートである。
【図5】第1の屋上判定解除を示すフローチャートである。
【図6】第2の屋上判定を示すフローチャートである。
【図7】第2の屋上判定解除を示すフローチャートである。
【図8】第3の屋上判定を示すフローチャートである。
【図9】第3の屋上判定解除を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 車載用ナビゲーション装置
2 ナビゲーションメインユニット
3 GPSレシーバ
5 方位・傾斜角センサ
6 GPS衛星
7 ディスク読取装置
8 入力操作部
10 ディスク
11 ディスプレイ
12 スピーカ
14 自車位置計算部
15 地図読出制御部
16 地図バッファ
18 地図描画部
19 表示処理部
20 自車位置描画部
22 ルート計算部
23 案内画像描画部
24 音声案内部
26 GPS捕捉数検出部
27 GPS仰角検出部
28 屋内・屋上判定部
30 駐車場判定部
31 マップマッチング制御部
32 判定制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の位置を判定する自車位置判定装置であって、
前記自車が建物内に存在するか否かを判定する建物内判定手段と、
前記建物内判定手段により自車が建物内に存在すると判定された後に、前記自車が前記建物の屋上に存在するか否かを判定する屋上判定手段とを有することを特徴とする自車位置判定装置。
【請求項2】
少なくとも自車の位置についての所定の状態がマップマッチングを行う条件を満たしているか否かを判定するマップマッチング条件判定手段と、
前記屋上判定手段により自車が前記建物の屋上に存在すると判定された場合に、前記マップマッチング条件判定手段によりマップマッチングを行う条件を満たしていると判定されないように判定制御を行う判定制御手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の自車位置判定装置。
【請求項3】
前記建物内判定手段は、GPS衛星の捕捉数が第1の所定値以下の場合に、前記自車が建物内に存在すると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の自車位置判定装置。
【請求項4】
GPS衛星からの信号に基づいて、前記自車の高度を検出する高度検出手段を有し、
前記屋上判定手段は、GPS衛星の捕捉数が第2の所定値以上であり、且つ、前記高度検出手段により検出された、前記自車の最新の高度と前記建物内判定手段により自車が建物内に存在すると判定された直前の高度との差が第3の所定値以上である場合に、前記自車が前記建物の屋上に存在すると判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の自車位置判定装置。
【請求項5】
前記自車の傾斜角を検出する傾斜角検出手段を有し、
前記屋上判定手段は、GPS衛星の捕捉数が第2の所定値以上であり、且つ、前記建物内判定手段により自車が建物内に存在すると判定された後に、前記傾斜角検出手段により第4の所定値以上の傾斜角が第5の所定値以上連続して検出された場合に、前記自車が前記建物の屋上に存在すると判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の自車位置判定装置。
【請求項6】
前記屋上判定手段は、前記自車からの仰角が第6の所定値以上となる位置に存在するGPS衛星の捕捉数が前記第2の所定値以上である場合に、前記自車が前記建物の屋上に存在すると判定することを特徴とする請求項4又は5に記載の自車位置判定装置。
【請求項7】
前記屋上判定手段は、前記前記建物内判定手段により自車が建物内に存在すると判定された後の前記自車の回転角度が第7の所定値以上である場合に、前記自車が前記建物の屋上に存在すると判定することを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の自車位置判定装置。
【請求項8】
前記屋上判定手段は、前記前記建物内判定手段により自車が建物内に存在すると判定された後の前記自車の移動距離が第8の所定値以上である場合に、前記自車が前記建物の屋上に存在すると判定することを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の自車位置判定装置。
【請求項9】
前記屋内判定手段は、前記自車が建物内に存在すると判定した後に、自車の測位が可能な数のGPS衛星を捕捉するまでは、前記自車が建物を脱出したとは判定しないことを特徴とする請求項4乃至8のいずれかに記載の自車位置判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−192724(P2007−192724A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12439(P2006−12439)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】