説明

薄膜トランジスター表示板およびその製造方法

【課題】薄膜トランジスター表示板およびその製造方法の提供。
【解決手段】本発明の実施形態による薄膜トランジスター表示板は、絶縁基板と、前記絶縁基板の上に位置するゲート線と、前記ゲート線と交差するデータ線と、前記ゲート線およびデータ線と連結されている薄膜トランジスターと、前記薄膜トランジスターのゲート電極と前記薄膜トランジスターの半導体との間に位置するゲート絶縁膜と、前記薄膜トランジスターと連結されている画素電極と、前記画素電極と前記薄膜トランジスターとの間に位置する保護膜と、を備え、前記ゲート絶縁膜および前記保護膜のうちの少なくとも一方は、窒化シリコン膜を含み、前記窒化シリコン膜は、2×1022cm以下または4atomic%以下にて水素を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスター表示板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、薄膜トランジスター(thin−film−transistor;TFT)は、液晶表示装置や有機発光表示装置(organic light emitting display)等のフラット表示装置において、各画素をそれぞれ別々に駆動するためのスイッチング素子として用いられる。薄膜トランジスターを含む薄膜トランジスター表示板は、薄膜トランジスターおよびここに連結されている画素電極に加えて、薄膜トランジスターにゲート信号を伝達するゲート線と、データ信号を伝達するデータ線などを備える。
【0003】
薄膜トランジスターは、ゲート線に連結されているゲート電極と、データ線に連結されているソース電極と、画素電極に連結されているドレイン電極およびソース電極とドレイン電極との間のゲート電極の上に位置する半導体層などからなり、ゲート線からのゲート信号に基づいて、データ線からのデータ信号を画素電極に伝達する。
【0004】
このとき、薄膜トランジスターの半導体層は、多結晶シリコン(polycrystalline silicon、polysilicon)、非晶質シリコン(amorphous silicon)または酸化物半導体からなる。
【0005】
薄膜トランジスターのゲート絶縁膜または保護膜は、酸化シリコン膜または窒化シリコン膜を形成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、酸化シリコン膜は、蒸着速度が遅く、ドライエッチングに際してエッチング時間が長くかかる他、エッチングに際して多量のパーティクルが発生してしまうという問題点がある。
【0007】
また、窒化シリコン膜は、蒸着時に水素の還元作用により酸化物半導体の酸化物が還元されて、薄膜トランジスターの電気的特性が悪化してしまうという問題点がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、薄膜トランジスターの電気的特性が減少しない薄膜トランジスター表示板およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態による薄膜トランジスター表示板は、絶縁基板と、前記絶縁基板の上に位置するゲート線と、前記ゲート線と交差するデータ線と、半導体を含み前記ゲート線およびデータ線と連結されている薄膜トランジスターと、前記薄膜トランジスターのゲート電極と前記薄膜トランジスターの半導体との間に位置するゲート絶縁膜と、前記薄膜トランジスターと連結されている画素電極と、前記画素電極と前記薄膜トランジスターとの間に位置する保護膜と、を備え、前記ゲート絶縁膜および前記保護膜のうちの少なくとも一方は、窒化シリコン膜を含み、前記窒化シリコン膜は、2×1022cm以下または4atomic%以下にて水素を含む。
【0010】
前記窒化シリコン膜の屈折率は、1.86〜2.0であってもよい。
【0011】
前記窒化シリコン膜は、薄膜の密度が異なる第1の窒化シリコン膜および第2の窒化シリコン膜からなる薄膜であってもよい。
【0012】
前記第1の窒化シリコン膜は、前記第2の窒化シリコン膜よりも、前記半導体に隣接するように位置していてもよい。
【0013】
前記第1の窒化シリコン膜の密度が、前記第2の窒化シリコン膜の密度よりも高くてもよい。
【0014】
前記酸化物半導体は、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、錫(Sn)またはインジウム(In)を基本とする酸化物、これらの複合酸化物である酸化亜鉛(ZnO)、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(InGaZnO)、インジウム−亜鉛酸化物(Zn−In−O)、または亜鉛−錫酸化物(Zn−Sn−O)のうちのいずれか一種からなっていてもよい。
【0015】
前記窒化シリコン膜はほぼ1.4×1022cmの水素を含んでもよい。
【0016】
前記窒化シリコン膜はほぼ1.5×1022cmの水素を含んでもよい。
【0017】
前記他の課題を達成するための本発明による薄膜トランジスター表示板の製造方法は、絶縁基板の上にゲート線を形成するステップと、前記ゲート線と交差するデータ線を形成するステップと、前記ゲート線およびデータ線と連結される薄膜トランジスターを形成するステップと、前記薄膜トランジスターの上に保護膜を形成するステップと、前記保護膜の上に位置し、且つ、前記薄膜トランジスターと連結される画素電極を形成するステップと、を含み、前記保護膜および前記薄膜トランジスターのゲート電極と半導体の間に位置するゲート絶縁膜のうちの少なくとも一つは、窒化シリコン膜を含み、前記窒化シリコン膜は、蒸着チャンバーの圧力を1、500mTorr以下に維持し、且つ、N/SiHの流量比を80以上に維持して形成する。
【0018】
前記窒化シリコン膜は、水素が2×1022cm以下、または4atomic%以下にて含まれるように形成してもよい。
【0019】
前記窒化シリコン膜は、屈折率が1.86〜2.0になるように形成してもよい。
【0020】
前記ゲート絶縁膜または前記保護膜は、密度が異なる第1の窒化シリコン膜および第2の窒化シリコン膜を含むように形成してもよい。
【0021】
前記第1の窒化シリコン膜の密度は、第2の窒化シリコン膜の密度より高くてもよい。
【0022】
前記第1の窒化シリコン膜の密度は、第2の窒化シリコン膜の密度より低くてもよい。
【0023】
前記半導体は、酸化物半導体から形成してもよい。
【0024】
前記酸化物半導体は、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、錫(Sn)またはインジウム(In)を基本とする酸化物、これらの複合酸化物である酸化亜鉛(ZnO)、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(InGaZnO)、インジウム−亜鉛酸化物(Zn−In−O)、または亜鉛−錫酸化物(Zn−Sn−O)のうちのいずれか一種から形成してもよい。
【0025】
前記窒化シリコン膜はほぼ1.5×1022cmの水素を含んでもよい。
【0026】
前記窒化シリコン膜はほぼ1.4×1022cmの水素を含んでもよい。
【0027】
前記課題を達成するための本発明による他の薄膜トランジスター表示板は基板と、基板上に形成されている制御電極、入力電極及び出力電極と、制御電極、入力電極及び出力電極と連結されている半導体と、制御電極と前記半導体との間に位置するゲート絶縁膜とを含み、前記ゲート絶縁膜は水素を2×1022cm以下で含む窒化シリコン膜を含む。
【0028】
前記窒化シリコン膜は密度が互いに異なる第1の窒化シリコン膜と第2の窒化シリコン膜とを含んでもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明でのように、ゲート絶縁膜の水素含有量を調節すれば、酸化ケイ素からなるゲート絶縁膜を用いることなく、窒化ケイ素からなるゲート絶縁膜でも、酸化ケイ素からなるゲート絶縁膜レベルの薄膜トランジスターの電気的特性を向上させることができる。
【0030】
また、酸化ケイ素からなるゲート絶縁膜または保護膜を用いないため、エッチングに際してパーティクルの発生も低減することができて、高品質の薄膜トランジスター表示板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態による薄膜トランジスターを示す図である。
【図2】図1に示す薄膜トランジスターを製造する方法を工程順に示す工程断面図である。
【図3】図1に示す薄膜トランジスターを製造する方法を工程順に示す工程断面図である。
【図4】本発明および従来の技術により形成した窒化シリコン膜内に含まれる水素含有量を測定したFT−IR分析グラフである。
【図5】従来の技術により形成したゲート絶縁膜および保護膜を含む薄膜トランジスターのIdsグラフである。
【図6】本発明の一実施形態により形成したゲート絶縁膜および保護膜を含む薄膜トランジスターのIdsグラフである。
【図7】本発明の一実施形態により形成したゲート絶縁膜および保護膜を含む薄膜トランジスターのIdsグラフである。
【図8】本発明の一実施形態による薄膜トランジスター表示板のレイアウト図である。
【図9】図8に示すIX−IX線に沿って切り取った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面に基づき、本発明の好適な実施形態について詳述する。しかしながら、本発明はここで説明される実施形態に限定されるものではなく、他の形態に具体化可能である。むしろ、ここで紹介される実施形態は、開示された内容が徹底且つ完全たるものになるように、そして当業者に本発明の思想が十分に伝えられるようにするために提供されるものである。図中、層及び領域の厚さは、明確性を図るために誇張されている。また、層が他の層または基板の外にあると言及される場合に、それは他の層または基板の上に直接的に形成されてもいてもよく、これらの間に第3の層が介在されていてもよい。明細書全般に亘って同じ参照番号が付されている部分は、同じ構成要素であることを意味する。
【0033】
以下、添付図面に基づき、本発明による薄膜トランジスターおよびその製造方法について具体的に説明する。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態による薄膜トランジスターを示す図である。
【0035】
同図に示すように、基板100の上にゲート電極124が形成されており、ゲート電極124の上にゲート絶縁膜140が形成されている。ゲート絶縁膜140は窒化シリコン膜を含み、窒化シリコン膜内の水素含有量は、2×1022/cm以下、または4atomic%以内である。なお、窒化シリコン膜の屈折率は1.86〜2.0であってもよい。
【0036】
ゲート絶縁膜140の上には、酸化物半導体154が位置する。酸化物半導体154は、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、錫(Sn)またはインジウム(In)を基本とする酸化物であるか、あるいは、これらの複合酸化物である酸化亜鉛(ZnO)、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(InGaZnO)、インジウム−亜鉛酸化物(Zn−In−O)、または亜鉛−錫酸化物(Zn−Sn−O)からなってもよい。
【0037】
酸化物半導体は、非晶質シリコンに比べて、電荷の有効移動度(effective mobility)が大きく、安定性(stability)に優れた特性を有する。このような酸化物半導体は、後述するソース電極およびドレイン電極とのオーミック接触特性が良好であるため、別途の抵抗性接触部材を形成しないこともある。
【0038】
ゲート絶縁膜140の上には、酸化物半導体154と重なり合い、且つ、向かい合うソース電極173およびドレイン電極175が位置する。ソース電極173およびドレイン電極175は、酸化物半導体とオーミックコンタクト(ohmic contact)を形成可能な物質から形成してもよく、低抵抗金属を含めて複数層に形成してもよい。
【0039】
ソース電極173およびドレイン電極175の上には、保護膜180が形成されている。保護膜180は、ゲート絶縁膜140と同じ物質から形成してもよく、誘電率が4.0以下の低誘電率有機物質から形成してもよい。
【0040】
以下、このような薄膜トランジスターの製造方法につき、図2および図3と既説の図1に基づき具体的に説明する。
【0041】
図2および図3は、図1に示す薄膜トランジスターを製造する方法を工程順に示す工程断面図である。
【0042】
まず、図2に示すように、基板100の上に金属膜を形成した後、パターニングしてゲート電極124を形成する。
【0043】
そして、ゲート電極124の上にゲート絶縁膜140を形成する。ゲート絶縁膜140は、反応性化学気相蒸着法、反応性スパッタリング法などにより形成することができ、好ましくは、低温化学気相蒸着法または低温反応性スパッタリング法などにより形成することができる。
【0044】
ゲート絶縁膜140は窒化シリコン膜を含み、窒化シリコン膜は、蒸着工程中に発生し得る水素(H)ラジカルの数を最小化できるように工程条件を調節し、窒化シリコン膜内に水素が2×1022cm以下、または4atomic%以下にて含まれるようにする。このとき、窒化シリコン膜におけるSi−H拡張面積(stretching area)/N−H拡張面積の比率は、1以上であることが好ましい。
【0045】
例えば、低温化学気相蒸着法により形成するとき、パワーを1、000W、圧力を1、000mT、温度を280℃に設定する。そして、注入される窒素(N)ガスを8、000sccm、SiHを100sccmにすれば、ゲート絶縁膜内の水素の含有量は約1.5×1022cmにすることができる。
【0046】
これとは異なり、SiHを80sccmにして注入するときに、水素の含有量は約1.4×1022cmであってもよい。
【0047】
図4は、本発明および従来の技術により形成した窒化シリコン膜内に含まれる水素含有量を測定したFT−IR分析グラフである。一点鎖線は、本発明による窒化シリコン膜内の水素含有量を測定したグラフであり、実線は、従来の技術による窒化シリコン膜内の水素含有量を測定したグラフである。
【0048】
図4から明らかなように、本発明によるグラフのN−Hのピークが、従来の技術によるN−Hピークよりも減少している。
【0049】
次いで、図3に示すように、ゲート絶縁膜140の上に酸化物半導体154を形成する。このとき、酸化物半導体154は、酸化物半導体物質を塗布した後にパターニングして形成することができる。また、酸化物半導体物質は、溶液でインクジェット方式により形成することもできる。インクジェット方式により酸化物半導体を形成するとき、酸化物半導体を閉じ込むための隔壁などを形成してもよい。
【0050】
次いで、酸化物半導体154の上に金属膜を蒸着した後にパターニングして、ソース電極173およびドレイン電極175を形成する。
【0051】
次いで、図1に示すように、ソース電極173およびドレイン電極175の上に保護膜180を形成する。
【0052】
保護膜180は、窒化シリコン膜または窒化シリコン膜を含む二重膜構造に形成してもよい。窒化シリコン膜は、ゲート絶縁膜140の窒化シリコン膜と同じ方法により形成して、窒化シリコン膜内に水素が2×1022cm以下、または4atomic%以下にて含まれるようにする。このとき、窒化シリコン膜におけるSi−H拡張面積/N−H拡張面積の比率は、1以上であることが好ましい。
【0053】
本発明での方法により窒化シリコン膜を含むゲート絶縁膜または保護膜を形成すれば、従来よりも薄膜トランジスターの電気的特性が向上した薄膜トランジスター表示板を得ることができる。
【0054】
図5は、従来の技術により形成したゲート絶縁膜および保護膜を含む薄膜トランジスターのIdsグラフであり、図6および図7は、本発明の一実施形態により形成したゲート絶縁膜および保護膜を含む薄膜トランジスターのIdsグラフである。図5〜図7には複数回の実験を行った結果を示している。
【0055】
このとき、ゲート絶縁膜および保護膜は二重膜構造に形成してもよく、漏れ電流を低減するために、チャンネルと隣接する部分には高密度の薄膜を形成し、チャンネルと接触しない部分には蒸着時間が短い低密度の薄膜を形成する。
【0056】
図5に示すゲート絶縁膜は、370℃において4、000Åの厚さに形成した低密度の窒化シリコン膜からなる第1のゲート絶縁膜と、370℃において500Åの厚さに形成した高密度の窒化シリコン膜からなる第2のゲート絶縁膜と、を含む。そして、保護膜は、245℃において2、000Åの厚さに形成した窒化シリコン膜からなる保護膜を含む。
【0057】
このとき、従来の技術による図5のゲート絶縁膜は、窒素(N)ガスが3、000〜8、000sccmであり、SiHが100超え140以下であり、且つ、N/SiHの比率は80未満である。
【0058】
そして、図6に示すゲート絶縁膜は、370℃において4、000Åの厚さに形成した低密度の窒化シリコン膜からなる第1のゲート絶縁膜、370℃において500Åの厚さに形成した高密度の窒化シリコン膜からなる第2のゲート絶縁膜を含む。さらに、保護膜は、150℃において2、000Åの厚さに形成した高密度の窒化シリコン膜からなる第1の保護膜および245℃において1、000Åの厚さに形成した低密度の窒化シリコン膜からなる第2の保護膜を含む。
【0059】
加えて、図7に示すゲート絶縁膜は、370℃において4、000Åの厚さに形成した低密度の窒化シリコン膜からなる第1のゲート絶縁膜、370℃において500Åの厚さに形成した高密度の窒化シリコン膜からなる第2のゲート絶縁膜を含む。そして、保護膜は、245℃において2、000Åの厚さに形成した高密度の窒化シリコン膜からなる第1の保護膜および245℃において1、000Åの厚さに形成した低密度の窒化シリコン膜からなる第2の保護膜を含む。
【0060】
このとき、本発明の一実施形態によって形成した図6の第2のゲート絶縁膜と図7の第1の保護膜は、窒素(N)ガスを8、000sccm、SiHを80sccm〜100sccmにし、且つ、N/SiHの比率が80以上になるように注入して形成した薄膜であり、第2のゲート絶縁膜内の水素含有量は約1.5×1022cmである。
【0061】
図5を参照すれば、従来の技術による薄膜トランジスターは、半導体の特性を示さず、導体の特性を示す。しかしながら、図6および図7を参照すれば、V−Iグラフが正常的なV−Iグラフを描いており、実施形態1から9のグラフの偏差が激しくないことが分かる。
【0062】
以下、既説した薄膜トランジスターを含む薄膜トランジスター表示板について具体的に説明する。
【0063】
図8は、本発明の一実施形態による薄膜トランジスター表示板のレイアウト図であり、図9は、図8のIX−IX線に沿って切り取った断面図である。
【0064】
図8および図9に示すように、透明なガラスまたはプラスチックなどからなる絶縁基板110の上にゲート信号を伝達する複数のゲート線121が形成されている。ゲート線121は横方向に伸びており、ゲート電極124を含む。
【0065】
ゲート線121の上にはゲート絶縁膜140が形成されており、ゲート絶縁膜140は窒化シリコン膜からなる単層であってもよいが、漏れ電流および蒸着時間を考慮して、薄膜の密度が異なる二重膜構造に形成してもよい。すなわち、蒸着速度が速いものの、低密度である窒化シリコン膜を形成し、低密度窒化シリコン膜の上に、蒸着速度は遅いものの、高密度にて漏れ電流を減少させる高密度窒化シリコン膜を形成することができる。ゲート絶縁膜140は、2、000Å〜5、000Åの厚さに形成することができ、窒化シリコン膜の水素含有量は、約1.4×1022/cmであることが好ましい。複層に形成するとき、上部に位置する膜の水素含有量が、下部に位置する膜の水素含有量よりも低いこともある。
【0066】
ゲート絶縁膜140の上には、ゲート電極124と重なり合い、且つ、島状を呈する酸化物半導体154が形成されている。
【0067】
酸化物半導体154は、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、錫(Sn)またはインジウム(In)を基本とする酸化物を用いてもよく、これらの複合酸化物である酸化亜鉛(ZnO)、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(InGaZnO)、インジウム−亜鉛酸化物(Zn−In−O)、または亜鉛−錫酸化物(Zn−Sn−O)を用いてもよい。
【0068】
酸化物半導体154およびゲート絶縁膜140の上には、複数のデータ線171および複数のドレイン電極175が形成されている。
【0069】
データ線171は縦方向に伸びてゲート線121と交差してデータ電圧を伝達し、各データ線171は、酸化物半導体154と重なり合うソース電極173を含む。
【0070】
ドレイン電極175は、酸化物半導体154と重なり合い、且つ、ゲート電極124を中心としてソース電極173と向かい合う。
【0071】
ゲート電極124、ソース電極173およびドレイン電極175は、酸化物半導体154と共に薄膜トランジスター(Thin Film Transistor、TFT)をなし、薄膜トランジスターのチャンネル(channel)は、ソース電極173とドレイン電極175との間の酸化物半導体154に形成される。
【0072】
データ線171およびドレイン電極175の上には、チャンネルを保護する保護膜180が形成されている。保護膜180は、窒化ケイ素からなる窒化シリコン膜を含む。
【0073】
保護膜180は、ゲート絶縁膜140と同様に形成されてもよく、単層または複層からなってもよい。
【0074】
保護膜180は、ドレイン電極175を露出するコンタクトホール185を含む。
【0075】
保護膜180の上には、コンタクトホール185を介してドレイン電極175と連結される画素電極191が形成されている。画素電極191は、透明な導電物質からなる。
【0076】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、下記の請求の範囲において定義している本発明の基本概念を用いた当業者の種々の変形および改良形態もまた本発明の権利範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0077】
110:絶縁基板
124:ゲート電極
140:ゲート絶縁膜
154:酸化物半導体
173:ソース電極
175:ドレイン電極
191:画素電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
前記絶縁基板の上に位置するゲート線と、
前記ゲート線と交差するデータ線と、
半導体を含み、前記ゲート線およびデータ線と連結されている薄膜トランジスターと、
前記薄膜トランジスターのゲート電極と前記薄膜トランジスターの半導体との間に位置するゲート絶縁膜と、
前記薄膜トランジスターと連結されている画素電極と、
前記画素電極と前記薄膜トランジスターとの間に位置する保護膜と、
を備え、
前記ゲート絶縁膜および前記保護膜のうちの少なくとも一方は、窒化シリコン膜を含み、
前記窒化シリコン膜は、2×1022cm以下または4atomic%以下にて水素を含む、薄膜トランジスター表示板。
【請求項2】
前記窒化シリコン膜は、薄膜の密度が異なる第1の窒化シリコン膜および第2の窒化シリコン膜からなる、請求項1に記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項3】
前記窒化シリコン膜の屈折率は、1.86〜2.0である、請求項1又は2に記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項4】
前記第1の窒化シリコン膜は、前記第2の窒化シリコン膜よりも、前記半導体に隣接するように位置する、請求項2又は3のいずれかに記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項5】
前記第1の窒化シリコン膜の密度が、前記第2の窒化シリコン膜の密度よりも高い、請求項2〜4のいずれかに記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項6】
前記半導体は、酸化物半導体から形成され、
前記酸化物半導体は、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、錫(Sn)またはインジウム(In)を基本とする酸化物、これらの複合酸化物のうち、少なくとも1つを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項7】
前記半導体は、酸化物半導体から形成され、
前記酸化物半導体は、酸化亜鉛(ZnO)、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(InGaZnO)、インジウム−亜鉛酸化物(Zn−In−O)、または亜鉛−錫酸化物(Zn−Sn−O)のうち、少なくとも1つを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項8】
前記第1の窒化シリコン膜の密度は、前記第2の窒化シリコン膜の密度より低い、請求項2〜7のいずれかに記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項9】
絶縁基板の上にゲート線を形成するステップと、
前記ゲート線と交差するデータ線を形成するステップと、
前記ゲート線およびデータ線と連結される薄膜トランジスターを形成するステップと、
前記薄膜トランジスターの上に保護膜を形成するステップと、
前記保護膜の上に位置し、且つ、前記薄膜トランジスターと連結される画素電極を形成するステップと、
を含み、
前記保護膜および前記薄膜トランジスターのゲート電極と半導体の間に位置するゲート絶縁膜のうちの少なくとも一つは、窒化シリコン膜を含み、
前記窒化シリコン膜は、蒸着チャンバーの圧力を1、500mTorr以下に維持し、且つ、N/SiHの流量比を80以上に維持して形成する、薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項10】
前記窒化シリコン膜は、水素が2×1022cm以下にて含まれるように形成する、請求項9に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項11】
前記窒化シリコン膜は4atomic%以下の水素を含む、請求項9又は10に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法 。
【請求項12】
前記窒化シリコン膜の屈折率は1.86〜2.0になるように形成する、請求項9〜11のいずれかに記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項13】
前記ゲート絶縁膜または前記保護膜は、密度が異なる第1の窒化シリコン膜および第2の窒化シリコン膜を含むように形成する、請求項9〜12のいずれかに記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項14】
前記第1の窒化シリコン膜の密度は、前記第2の窒化シリコン膜の密度より高い、請求項13に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項15】
前記第1の窒化シリコン膜の密度は、前記第2の窒化シリコン膜の密度より低い、請求項13〜14に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項16】
前記半導体は、酸化物半導体から形成する、請求項9〜15のいずれかに記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項17】
前記酸化物半導体は、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、錫(Sn)またはインジウム(In)を基本とする酸化物、これらの複合酸化物のうち、少なくとも1つを含む、請求項16に記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項18】
前記酸化物半導体は、酸化亜鉛(ZnO)、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(InGaZnO)、インジウム−亜鉛酸化物(Zn−In−O)、または亜鉛−錫酸化物(Zn−Sn−O)のうち、少なくとも1つを含む、請求項16〜17のいずれかに記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項19】
前記窒化シリコン膜は、ほぼ1.5×1022cmの水素を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項20】
前記窒化シリコン膜は、ほぼ1.4×1022cmの水素を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の薄膜トランジスター表示板。
【請求項21】
前記窒化シリコン膜は、ほぼ1.5×1022cmの水素を含む、請求項9〜18のいずれかに記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項22】
前記窒化シリコン膜は、ほぼ1.4×1022cmの水素を含む、請求項9〜18のいずれかに記載の薄膜トランジスター表示板の製造方法。
【請求項23】
基板と、
前記基板上に形成されている制御電極、入力電極及び出力電極と、
前記制御電極、入力電極及び出力電極と連結されている半導体と、
前記制御電極と前記半導体との間に位置するゲート絶縁膜と
を備え、
前記ゲート絶縁膜は水素を2×1022cm以下で含む窒化シリコン膜を含む、 薄膜トランジスター表示板。
【請求項24】
前記窒化シリコン膜は密度が互いに異なる第1の窒化シリコン膜と第2の窒化シリコン膜とを含む、請求項23に記載の薄膜トランジスター表示板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−151443(P2012−151443A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252622(P2011−252622)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】