説明

被処理物洗浄装置

【課題】この発明は、洗浄処理に使用される洗浄液の損失が少なくて済み、消費量及びコストの低減を図ることができる被処理物洗浄装置を提供することを目的とする。
【解決手段】被処理物洗浄装置1により被処理物Aを浸漬洗浄処理する際に、第1処理槽1B内に放出されたフッ素系溶剤Cの蒸気Caを、第2処理槽2Bより下方に配置された冷却ジャケット3の冷却作用によって沸点より低い温度に冷却する。被処理物Aを、第1処理槽1B内の第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤Cに浸漬して浸漬洗浄処理する。浸漬洗浄処理から蒸気洗浄処理へ移行する際に、被処理物Aを第2処理槽2Bに収容したまま位置を変更せずに、第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤Cを蒸気Caに入れ替えて蒸気洗浄処理する。蒸気洗浄処理から浸漬洗浄処理へ戻る際に、第2処理槽2Bに放出された蒸気Caをフッ素系溶剤Cに入れ替えて浸漬洗浄処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば半導体基板、液晶基板、プラズマ・ディスプレイ・パネル基板(PDP基板)、エレクトロ・ルミネセンス基板(EL基板)等の電子部品、機械加工部品或いは精密部品等の被処理物を洗浄処理する際に用いられる被処理物洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記被処理物を洗浄処理するための洗浄装置としては、例えば特許文献1の回転洗浄装置がある。この装置は、外筐に貯留された洗浄液を加熱器で加熱して蒸発気化し、その洗浄液の気化ガスを外筐内に放出する。被洗浄物を、外筐内の内筐に貯留された洗浄液に浸漬して浸漬洗浄処理した後、内筐の洗浄液から取り出した被洗浄物を、内筐の上方に放出された洗浄液の気化ガスで蒸気洗浄処理し、被洗浄物に残着する洗浄液を滴下して乾燥処理するものである。
【0003】
しかし、外筐内に放出された洗浄液の気化ガスは、該外筐の開口部に近い内壁部に設けられた冷却用パイプの冷却作用によって凝縮液化されるので、冷却用パイプに近くなるほど気化ガスの濃度が濃くなる。被洗浄物に残着する洗浄液を蒸気洗浄する際に必要とされる気化ガスの放出量よりも、洗浄液の液面と冷却用パイプとの間に放出された気化ガスの放出量が多く、フリーボード部の気化ガスが飽和状態となるため、被洗浄物を外筐から取り出す際に、洗浄液の気化ガスが被洗浄物と一緒に装置外部へ流出してしまう。このため、洗浄液の損失が大きく、消費量が多くなるので、被洗浄物を洗浄処理する際のコストが高くなる。
【特許文献1】実開昭51−53767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、洗浄処理に使用される洗浄液の損失が少なくて済み、消費量及びコストの低減を図ることができる被処理物洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、被処理物を処理槽に貯留された洗浄液に浸漬して洗浄処理する被処理物洗浄装置であって、
前記処理槽を、気密状態に密閉される第1処理槽と、該第1処理槽の内部に設けられた第2処理槽とで構成し、前記第1処理槽の近くに、該第1処理槽に供給される洗浄液の蒸気を発生する蒸留槽と、前記第2処理槽に供給される洗浄液を貯留する貯液槽とを設け、前記第1処理槽と前記蒸留槽との間に、該蒸留槽で発生された洗浄液の蒸気を前記第1処理槽に供給する蒸気路と、該第1処理槽内に放出された洗浄液の蒸気を前記蒸留槽に排気する排気路とを設け、前記第2処理槽と前記貯液槽との間に、該第2処理槽に貯留された洗浄液を前記貯液槽に排出する排出路と、該貯液槽に貯留された洗浄液を第2処理槽に供給する供給路とを設け、前記第1処理槽の内部で前記第2処理槽より下方に、前記第1処理槽内に放出された洗浄液の蒸気を沸点より低い温度に冷却する蒸気冷却手段を設けた被処理物洗浄装置であることを特徴とする。
【0006】
この発明の態様として、前記蒸気冷却手段を、前記第2処理槽の底部より下方の前記第1処理槽の下部内壁に沿って設けることができる。
【0007】
また、この発明の態様として、前記第1処理槽の内壁面と前記第2処理槽の外壁面との間に、前記洗浄液の蒸気の流通が許容される空間を設けることができる。
【0008】
また、この発明の態様として、前記蒸留槽の上部に前記蒸気路の一端を接続し、前記第1処理槽及び第2処理槽の底部に前記蒸気路の他端を接続することができる。
【0009】
前記洗浄液は、例えばフッ素系溶剤、炭化水素系溶剤、塩素系溶剤、臭素系溶剤、揮発性溶剤、純水等で構成することができるが、実施例では、フッ素系溶剤、塩素系溶剤、臭素系溶剤、揮発性溶剤等の中から選択した1種類の溶剤を洗浄液として使用している。また、蒸気冷却手段は、例えば冷凍機で冷却された冷媒が循環供給される冷却ジャケット、冷却コイル等で構成することができる。
【0010】
また、整流スクリーンは、例えば金属板に多数の孔部をパンチング加工してなる板状のスクリーンで構成することができる。板状のスクリーンに代わるものとして、例えばネット、不織布、綿状交絡体、多孔質体等を用いてもよく、板状のスクリーンと同等の整流機能を有するものであればよい。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、洗浄処理された被処理物を第1処理槽の外部へ取り出す際に、被処理物と一緒に槽外へ取り出される蒸気の漏洩量が少なくなる。これにより、洗浄処理に使用される洗浄液の損失が少なくて済み、消費量及びコストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の被処理物洗浄装置1は、図1〜図4に示すように、気密状態に密閉される第1処理槽1Bの内部に、液状のフッ素系溶剤Cによる浸漬洗浄処理と、フッ素系溶剤Cの蒸気Caによる蒸気洗浄処理とに兼用される第2処理槽2Bを配置している。浸漬洗浄処理する際には、被処理物Aを第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤Cに浸漬して浸漬洗浄処理する。浸漬洗浄処理から蒸気洗浄処理へ移行する際には、被処理物Aを第2処理槽2Bに収容したまま位置を変更せずに、第2処理槽2B内のフッ素系溶剤Cを蒸気Caに入れ替えて蒸気洗浄処理する。また、蒸気洗浄処理から浸漬洗浄処理へ戻る際には、第2処理槽2Bに放出された蒸気Caをフッ素系溶剤Cに入れ替えて浸漬洗浄処理する単一溶剤の洗浄装置である。
【0013】
第1処理槽1Bの上面中央には、被処理物Aの出し入れが許容される大きさ及び形状に形成された開口部1aを設けている。また、開口部1aには、該開口部1aが閉塞される大きさ及び形状に形成された蓋体1bを開閉自在に設けている。つまり、第1処理槽1Bの開口部1aを蓋体1bで閉塞して洗浄処理するので、フッ素系溶剤Cの蒸気Caが槽外に流出するのを防止することができ、フッ素系溶剤Cの損失を低減することができる。
【0014】
第1処理槽1Bの下部左壁には、バルブ1dを介して、第1処理槽1B内に放出されたフッ素系溶剤Cの蒸気Caを排気するための排気路1eの一端を接続している。排気路1eの他端は、後述する貯液槽7の上部側壁に接続されている。つまり、第1処理槽1B内に放出されたフッ素系溶剤Cの蒸気Caを排気路1eから抜き取って貯液槽7へ供給する。
【0015】
第1処理槽1Bの右側底部には、バルブ1fを介して、第1処理槽1Bに貯留されたフッ素系溶剤Cを排出するための排出路1gを接続している。
【0016】
第1処理槽1Bの内側下部側壁には、第1処理槽1Bに貯留された蒸気Caの温度を検知するためのサーモ型の温度センサー1hを設けている。つまり、温度センサー1hによる検知に基づいて、後述する冷却ジャケット3による冷却温度を昇温・降温し、第1処理槽1B内に放出されたフッ素系溶剤Cの蒸気Caが凝縮液化される温度に制御する。
【0017】
第2処理槽2Bは、上方から見て四角形に形成され、被処理物Aの収容が許容される大きさ及び形状に形成されるとともに、前記第1処理槽1Bの内部中央で、該第1処理槽1Bの開口部1a直下に配置されている。また、第1処理槽1Bの内壁面と第2処理槽2Bの外壁面との間には、後述する蒸留槽8で発生されたフッ素系溶剤Cの蒸気Caの流通が許容される空間Dが設けられている。
【0018】
第2処理槽2Bの上面中央には、前記第1処理槽1Bの開口部1aと連通して、該開口部1aと同一の大きさ及び形状に形成された開口部2aを設けている。また、第2処理槽2Bの開口部2aに、該開口部2aが閉塞される大きさ及び形状に形成された図中仮想線で示す蓋体2bを開閉自在に設けてもよい。被処理物Aを、第2処理槽2B内で蒸気洗浄処理する際に、第2処理槽2Bの開口部2aを蓋体2bで閉塞しておけば、第2処理槽2Bからフッ素系溶剤Cの蒸気Caが流出するのを防止することができ、フッ素系溶剤Cの損失を低減することができる。
【0019】
第2処理槽2Bの内側底部には、金属板の全面に同一孔径の孔部2d…をパンチング加工してなる板状の整流スクリーン2cを水平に架設している。孔部2dは、上方から見て直径約1mm〜2mmの丸孔に形成され、整流スクリーン2cの全面に対して所定等間隔に隔てて多数配列されており、第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤C及び蒸気Caの通過を許容する。
【0020】
また、第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤Cは、整流スクリーン2cの孔部2d…を通過する際に、第2処理槽2Bの右側底部に接続された排出路2fに向けて均等に排出される方向に整流されるので、第2処理槽2B内の角隅部にフッ素系溶剤Cが滞留するのを防止することができる(図3参照)。
【0021】
第2処理槽2Bの四方の下部外壁には、第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤Cに超音波振動を誘起するための超音波振動子2eを設けている。つまり、超音波振動子2eによって第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤Cに超音波振動を誘起することにより、被処理物Aに付着する油分、残液等の異物が分離及び除去される(図2参照)。
【0022】
第2処理槽2Bの右側底部には、第2処理槽2Bからフッ素系溶剤C及び蒸気Caを取り出すための排出路2fの一端を接続している。排出路2fの他端は、2本の分岐排出路2g,2iに分岐され、一方の分岐排出路2gは、エアーバルブ2hを介して、貯液槽7の貯液領域に対応する上部側壁に接続されている。他方の分岐排出路2iは、バルブ2jを介して、前記排出路2u…の合流箇所より下流側に接続されている。つまり、排出路2f及び分岐排出路2g,2iを介して、第2処理槽2Bから取り出されるフッ素系溶剤C及び蒸気Caを貯液槽7へ供給する。
【0023】
なお、排出路2f及び分岐排出路2g,2iの本数を多くすれば、第2処理槽2Bから取り出されるフッ素系溶剤C及び蒸気Caの流出量が増加するので、取り出す際の時間が短縮され、フッ素系溶剤Cと蒸気Caとに入れ替える作業が効率よく行える。
【0024】
第2処理槽2Bの下部右壁には、バルブ2kを介して、第2処理槽2Bからフッ素系溶剤C及び蒸気Caを取り出すための排出路2mの一端を接続している。排出路2mの他端は、第1処理槽1Bの下部右壁に接続されている。つまり、排出路2mを介して、第2処理槽2Bから取り出されるフッ素系溶剤C及び蒸気Caを第1処理槽1Bへ供給する。
【0025】
第2処理槽2Bの右側外壁には、バルブ2nと迂回路2pとを介して、第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤Cの液面レベルを表示するための液面指示計2qを接続している。液面指示計2qの上端及び下端には、第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤Cの液面レベルを検知するためのフロートスイッチ2r,2rを設けている。つまり、フロートスイッチ2rによる検知に基づいて、第2処理槽2Bに貯留されるフッ素系溶剤Cの貯留量を制御する。
【0026】
第2処理槽2Bの四方の上部外壁には、該第2処理槽2Bからオーバーフローされるフッ素系溶剤Cを貯留するための貯留槽2sを設けている。つまり、第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤Cの貯留量が上限貯液レベルを越えると、第2処理槽2Bの四方の側壁上端に形成されたV字状、U字状等の図示しない溝部から貯留槽2s…へオーバーフローされる。
【0027】
貯留槽2s…の底部には、バルブ2tを介して、該貯留槽2sからフッ素系溶剤Cを取り出すための排出路2uの一端をそれぞれ接続している。排出路2u…の他端は、1本に合流されるとともに、バルブ2vとエアーバルブ2wとを介して、貯液槽7の天井部に接続されている。つまり、貯留槽2s…にオーバーフローされたフッ素系溶剤Cは、排出路2u…から取り出して貯液槽7へ供給する。
【0028】
貯留槽2sの下部側壁には、該貯留槽2sからフッ素系溶剤Cを取り出すための排出路2xを接続している。つまり、貯留槽2s…にオーバーフローされたフッ素系溶剤Cは、排出路2u…から取り出され、第1処理槽1B内の底部へ自重流下される。
【0029】
第2処理槽2Bの底部より下方で第1処理槽1Bの底部に貯留されるフッ素系溶剤Cの液面に近い下部内壁には、第1処理槽1B内に放出されたフッ素系溶剤Cの蒸気Caを沸点より低い温度に冷却するための冷却ジャケット3を配置している(図4参照)。つまり、冷却ジャケット3を、第1処理槽1Bの底部に貯留されるフッ素系溶剤Cの液面近くに設けることができるので、液面付近に漂う濃度の濃い蒸気Caを効率よく凝縮液化することができる。例えば洗浄処理を休止しているアイドリング時等において、第1処理槽1B内に放出された蒸気Caを低濃度に保つことができる。
【0030】
冷却ジャケット3の一方のアウトポートは、膨張弁4aと回収路4bとを介して、冷凍機4のインポート側に接続され、他方のインポートは、ドライヤー4cと、バルブ4dと、サイトグラス4eと、供給路4fとを介して、冷凍機4のアウトポート側に接続されている。つまり、冷却ジャケット3は、冷凍機4から供給される冷媒によってフッ素系溶剤Cの沸点より低い温度に冷却され、第1処理槽1B内に放出されたフッ素系溶剤Cの蒸気Caが凝縮液化される温度に保たれている。また、冷却ジャケット3は、第1処理槽1B内に流入される大気中の水分も凝縮液化する。
【0031】
冷凍機4は、図示しない圧縮機、凝縮器、受液槽等を備え、冷却ジャケット3から供給される蒸発気化した冷媒を圧縮機によって圧縮する。圧縮機で圧縮され高圧となった冷媒は、凝縮器で液化して受液槽に受液する。受液槽に受液された高圧の冷媒は、膨脹弁4aで絞り膨脹される。膨脹弁4aで膨脹され低圧となった冷媒は冷却ジャケット3へ供給される。冷却ジャケット3に供給された冷媒は、第1処理槽1B内に放出された蒸気Caから熱を奪って蒸発気化する。また、冷却ジャケット3内で蒸発気化した冷媒は、再び冷凍機4へ供給される(図1参照)。
【0032】
第1処理槽1Bの下部右壁には、バルブ5aと、エアーバルブ5bと、回収路5cとを介して、該第1処理槽1Bの底部に貯留されたフッ素系溶剤Cを回収するためのバッファ槽5を接続している。つまり、第1処理槽1Bの底部に貯留されたフッ素系溶剤Cは、回収路5cから抜き取ってバッファ槽5へ供給される。
【0033】
バッファ槽5の下部右壁には、該バッファ槽5に貯留されたフッ素系溶剤Cの液面レベルを検知するためのフロートスイッチ5dを接続している。つまり、フロートスイッチ5dによる検知に基づいて、バッファ槽5に貯留されるフッ素系溶剤Cの貯留量を制御する。
【0034】
バッファ槽5の天井部には、該バッファ槽5内からエアーを抜き取るための排気路5eを接続している。また、バッファ槽5の底部には、バルブ5f,5iと、液送ポンプ5gと、逆止弁5hとを介して、液送路5jの一端を接続している。液送路5jの他端は、後述する水分離槽6内に形成された第1槽6aの上部右壁に接続されている。また、液送路5jの一端には、バルブ5kを介して、バッファ槽5に貯留された液を排出するための排出路5mを接続している。
【0035】
水分離槽6は、第1槽6aと、第2槽6bと、第3槽6cとで構成され、該水分離槽6の天井部に垂設した仕切り壁6d,6eと、底部に立設した仕切り壁6f,6gとで3槽に分割されている。
【0036】
仕切り壁6dで仕切られた第1槽6aの右側液面及び左側液面と対応する側壁には、バルブ6hを介して、水抜き路6iをそれぞれ接続している。つまり、第1槽6aの右側液面及び左側液面に浮上する比重の軽い水分は、水抜き路6iからそれぞれ抜き取って分離する。
【0037】
前記バッファ槽5から供給されるフッ素系溶剤Cは、水分離槽6の第1槽6aに一旦貯留され、第1槽6aに貯留された溶剤は、比重の軽いフッ素系溶剤Cと、比重の重い溶剤とに分離される。比重の重い溶剤は、第1槽6aの右側下部から左側下部へ流入される。
【0038】
また、第1槽6aに貯留された比重の軽い上層側の溶剤と、比重の重い下層側の溶剤との境界部分には、溶剤の表面張力によって微細な異物が集積されやすく、その境界部分に集積された異物によって、該微細な異物よりも大きな異物の通過を阻止することができるので、フィルターとしての濾過作用が得られる。なお、境界部分に集積された異物は定期的に除去する。
【0039】
第1槽6aの左側に流入した比重の重い溶剤は、仕切り壁6fを乗り越えて、第2槽6bの右側にオーバーフローされる。第2槽6bの左側に流入した比重の重い溶剤は、仕切り壁6gを乗り越えて、第3槽6cにオーバーフローされる。これにより、比重の軽い水分と溶剤とが分離され、比重の重い溶剤を、後述する液送路6pを介して貯液槽7に供給することができる。
【0040】
各槽6a〜6cの底部には、バルブ6jを介して、各槽6a〜6cに貯留された液を排出するための排出路6kをそれぞれ接続している。また、各槽6a〜6cの天井部には、各槽6a〜6cからエアーを抜き取るための排気路6mをそれぞれ接続している。
【0041】
第3槽6cの下部左壁には、バルブ6nを介して、液送路6pの一端を接続している。液送路6pの他端は、後述する貯液槽7の上部右壁に接続されている。
【0042】
貯液槽7は、第2処理槽2Bの底部より下方で第1処理槽1Bの外部に配置されている。また、貯液槽7の内側底部には、該貯液槽7に貯留されたフッ素系溶剤Cを加熱するためのシーズ型の加熱ヒータ7aと、フッ素系溶剤C及び蒸気Caを冷却するための冷却コイル7bとを所定間隔に隔てて配置している。
【0043】
なお、冷却コイル7bは、膨張弁7cを介して前記冷凍機4に接続されており、冷凍機4から供給される冷媒によってフッ素系溶剤Cの沸点よりも低い温度に冷却され、蒸気Caを凝縮液化する。
【0044】
貯液槽7の貯液領域に対応する内壁には、貯液槽7に貯留された溶剤の液温を検知するためのサーモ型の温度センサー7dを設けている。つまり、温度センサー7dによる検知に基づいて、加熱ヒータ7aによる加熱温度と冷却コイル7bによる冷却温度とを昇温・降温し、フッ素系溶剤Cを洗浄処理に適した温度に制御する。
【0045】
貯液槽7の左側底部には、バルブ7e,7gと液送ポンプ7fとを介して、供給路7hの一端を接続している。供給路7hの他端は、後述する蒸留槽8の上部右壁に接続されており、貯液槽7に貯留されたフッ素系溶剤Cを蒸留槽8へ供給する。
【0046】
また、供給路7hより左側の槽底部には、バルブ7i,7j,7mと、Y型ストレーナ7kと、循環ポンプ7nとを介して、供給路7pの一端を接続している。供給路7pの他端は、エアーバルブ7rと後述する第1及び第2の濾過装置9,9とを介して、前記第2処理槽2Bの開口部2a上方で、前記第1処理槽1Bの上部側壁に設けられた供給口1cに接続されている。循環ポンプ7nの上流及び下流の供給路7pには、バルブ7sを介して、供給路7p内から液を排出するための排出路7tを接続している。
【0047】
また、貯液槽7の左側外壁には、バルブ7uと迂回路7vとを介して、該貯液槽7に貯留されたフッ素系溶剤Cの液面レベルを表示するための液面指示計7wを接続している。左側の上部外壁には、バルブ7xを介して給水口7yを接続している。
【0048】
該左側の中央内壁には、該貯液槽7に貯留された溶剤の液面レベルを検知するためのフロートスイッチ7zを上下方向に所定間隔に隔てて複数配置している。つまり、フロートスイッチ7z…による検知に基づいて、貯液槽7に貯留される溶剤の貯留量を制御する。
【0049】
また、供給路7hより右側の槽底部には、バルブ7a1を介して、貯液槽7に貯留された溶剤を排出するための排出路7a2を接続している。
【0050】
蒸留槽8の内側底部には、該蒸留槽8に貯留されたフッ素系溶剤Cを沸点又は沸点に近い温度に加熱するためのシーズ型の加熱ヒータ8a,8aを所定間隔に隔てて配置している。蒸留槽8の貯液領域に対応する内壁には、蒸留槽8に貯留されたフッ素系溶剤Cの液温を検知するための温度センサー8bを設けている。つまり、温度センサー8bによる検知に基づいて、加熱ヒータ8aによる加熱温度を昇温・降温し、蒸留槽8に貯留されたフッ素系溶剤Cが蒸発気化する温度に制御する。
【0051】
蒸留槽8の左側外壁には、バルブ8cと迂回路8dとを介して、該蒸留槽8に貯留されたフッ素系溶剤Cの液面レベルを表示するための液面指示計8eを接続している。
【0052】
該左側の中央内壁には、該蒸留槽8に貯留されたフッ素系溶剤Cの液面レベルを検知するためのフロートスイッチ8fを所定間隔に隔てて上中下に配置している。つまり、フロートスイッチ8f…による検知に基づいて、蒸留槽8に貯留されるフッ素系溶剤Cの貯留量を制御する。
【0053】
また、蒸留槽8の左側底部には、バルブ8gを介して、蒸留槽8に貯留された液を排出するための排出路8hを接続している。
【0054】
蒸留槽8の上部外壁には、該蒸留槽8内で蒸発気化されたフッ素系溶剤Cの蒸気Caを第2処理槽2Bと第1処理槽1Bとに供給するための蒸気路8iの一端を接続している。蒸気路8iの他端は、一方の分岐蒸気路8jと他方の分岐蒸気路8nとに分岐され、一方の分岐蒸気路8jは、バルブ8kとエアーバルブ8mとを介して、第2処理槽2Bの貯液領域と対応する底部側壁に接続されている。他方の分岐蒸気路8nは、バルブ8pとエアーバルブ8qとを介して、第1処理槽1Bの貯液領域と対応する冷却ジャケット3より下方の底部側壁に接続されている。つまり、蒸留槽8内で蒸発気化されたフッ素系溶剤Cの蒸気Caを、第2処理槽2B及び第1処理槽1Bの内部に対して下部領域側から供給する。
【0055】
濾過装置9は、フッ素系溶剤Cを濾過するためのフィルター9a,9aと、フィルター9aを通過させるフッ素系溶剤Cの通過量を可変調整するためのバルブ9b…とで構成される。つまり、貯液槽7に貯留されたフッ素系溶剤Cを第2処理槽2Bへ供給する際に、一対のフィルター9a,9aで清浄濾過して供給する。
【0056】
また、第1及び第2の濾過装置9直前の供給路7pには、バルブ9cを介して、圧力センサー9dとセンサー制御装置9eとを接続している。つまり、圧力センサー9dによる検知に基づいて、濾過装置9に供給されるフッ素系溶剤Cの移送圧を制御する。
【0057】
また、第2の濾過装置9直後の供給路7pには、バルブ9f,9hとエアーバルブ9gとを介して、返還路9iの一端を接続している。返還路9iの他端は、貯液槽7の天井部に接続されており、濾過装置9で濾過されたフッ素系溶剤Cを貯液槽7へ返還する。
【0058】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、被処理物洗浄装置1により被処理物Aを洗浄処理する際の方法を説明する。
【0059】
先ず、図1に示すように、被処理物Aを浸漬洗浄処理する際に、第1処理槽1Bの蓋体1bと第2処理槽2Bの蓋体2bとを開放し、該処理槽1B,2Bの開口部1a,2aを開口した後、被処理物Aを、図示しない昇降装置によって第1処理槽1Bに搬入し、予め第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤Cに浸漬する。或いは、第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤Cの液面上に放出された蒸気Ca中を通過させて、第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤Cに浸漬する。
【0060】
被処理物Aの全体が第2処理槽2Bのフッ素系溶剤Cに浸漬された際に、処理槽1B,2Bの開口部1a,2aを蓋体1b,2bで気密状態に閉塞する。この後、超音波振動子2eを超音波振動させて、第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤Cの超音波振動によって、被処理物Aに付着する油分、残液等の異物を分離及び除去する(図2参照)。
【0061】
被処理物Aの浸漬洗浄処理が完了した際に、被処理物Aを第2処理槽2Bに収容したまま位置を変更せずに、第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤Cをフ蒸気Caに入れ替えて一つの槽で蒸気洗浄処理を行うので、多槽式の洗浄装置と同等の洗浄効果が得られるとともに、乾燥ロスを削減し、フッ素系溶剤C及び蒸気Caの拡散を防止することができる。
【0062】
つまり、第2処理槽2Bへのフッ素系溶剤Cの供給を停止した後、第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤Cを、そのフッ素系溶剤Cの自重を利用して重力に逆らわずに第2処理槽2Bの底部に接続された排出路2f及び分岐排出路2gから下方へ排出して貯液槽7へ供給するので、第2処理槽2Bと貯液槽7との間に重力に沿ったフッ素系溶剤Cの流れを作ることができる(図3参照)。これにより、フッ素系溶剤Cや異物を抵抗なくスムーズに槽外へ移動させることができ、第2処理槽2B内の角隅部等に滞留させることなく貯液槽7へ効率よく供給することができる。貯液槽7に貯留されたフッ素系溶剤Cは、次に浸漬洗浄処理が行われるまで一旦貯留しておく。
【0063】
続いて、蒸留槽8で発生されたフッ素系溶剤Cの蒸気Caを、蒸気路8i及び分岐蒸気路8j,8nから取り出して第1処理槽1B及び第2処理槽2Bに供給し、第2処理槽2B内に放出されたフッ素系溶剤Cの蒸気Caで被処理物Aを蒸気洗浄処理する(図4参照)。また、第2処理槽2Bから排出されるフッ素系溶剤Cの液面が下降すると、第2処理槽2B内の気圧も低下するので、その負圧を利用して、フッ素系溶剤Cの蒸気Caを第2処理槽2B内に効率よく供給することができる。また、第1処理槽1Bに供給される蒸気Caの圧力が、第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤Cの液面に付加されるので、自重のみで排出するよりも、フッ素系溶剤Cを排出する際に要する時間が短縮され、第2処理槽2Bから効率よく排出することができる。
【0064】
蒸気洗浄処理に使用される蒸気Caの温度よりも、浸漬洗浄処理に使用されるフッ素系溶剤Cの温度の方が低いので、浸漬洗浄処理された被処理物Aの表面に蒸気Caが接触すると凝縮液化され、被処理物Aの表面に付着する。被処理物Aに残着するフッ素系溶剤Cが凝縮液化されたフッ素系溶剤Cに溶け込み、フッ素系溶剤Cと一緒に第2処理槽2Bの底部に滴下される。これにより、被処理物Aに残着するフッ素系溶剤Cを、フッ素系溶剤Cの蒸気Caによって洗浄除去することができる。
【0065】
第2処理槽2Bの底部に滴下されるフッ素系溶剤Cが含まれるフッ素系溶剤Cは、排出路2f及び分岐排出路2gから取り出して貯液槽7へ供給する。第2処理槽2Bから貯留槽2s…にオーバーフローされるフッ素系溶剤Cは、排出路2u…から取り出して貯液槽7へ供給し、次に浸漬洗浄処理が行われるまで貯液槽7に一旦貯留しておく。なお、貯留槽2s…にオーバーフローされた一部のフッ素系溶剤Cは、排出路2u…から取り出され、第1処理槽1B内の底部へ自重流下される。
【0066】
貯液槽7に貯留されたフッ素系溶剤Cは、供給路7pから取り出して濾過装置9,9で濾過した後、第2処理槽2Bへ供給して、次の浸漬洗浄処理に使用するので、フッ素系溶剤Cの全体を確実に濾過することができる。また、清浄な状態に濾過されたフッ素系溶剤Cを浸漬洗浄処理に使用することができる。
【0067】
貯液槽7に貯留されたフッ素系溶剤Cを第2処理槽2Bへ供給する際に、フッ素系溶剤Cの供給量をバルブ等で調整して、貯液槽7から第2処理槽2Bへ供給される液量を増やせば、第2処理槽2Bの液面に浮上する比重の軽い水分や油分、粒子等の異物をフッ素系溶剤Cと一緒に貯留槽2s…へオーバーフローさせることができる。これにより、フッ素系溶剤Cを短期間で澱みを残すことなく効率よく濾過することができる。また、第2処理槽2Bへ供給される液量と、第2処理槽2Bから排出される液量とを増減調整すれば、第2処理槽2B内に貯留された溶剤に乱流が発生しやすく、異物を滞留させることなく効率よく排出する効果が得られる。
【0068】
被処理物Aの蒸気洗浄処理が完了した際には、処理槽1B,2Bの蓋体1b,2bを開放し、処理槽1B,2Bの開口部1a,2aを開口した後、被処理物Aを、図示しない昇降装置によって第2処理槽2Bの開口部2aより上方へ上昇させ、第2処理槽2Bの開口部2a上方に放出されたフッ素系溶剤Cの蒸気Ca中を通過させながら、第1処理槽1Bの開口部1aから槽外へ搬出する。これにより、被処理物Aの浸漬洗浄処理及び蒸気洗浄処理が完了する。
【0069】
第1処理槽1B内に放出されたフッ素系溶剤Cの蒸気Caは、第2処理槽2Bの底部より下方に配置された冷却ジャケット3の冷却作用によって沸点より低い温度に冷却され、第1処理槽1Bの底部に貯留される(図4参照)。つまり、冷却ジャケット3に近くなるほど、フッ素系溶剤Cの蒸気Caの濃度が濃く、比重が重くなるため、冷却ジャケット3の付近に濃度の濃い蒸気Caが貯留される。
【0070】
冷却ジャケット3から遠くなるほど、フッ素系溶剤Cの蒸気Caの濃度が薄く、比重が軽くなるので、第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤Cの液面より上方のフリーボード部に飽和状態より濃度の薄い蒸気Caが放出されることになる。
【0071】
第2処理槽2Bの底部より下方に放出された蒸気Caの濃度に比べて、第2処理槽2Bの開口部2aより上方に放出された蒸気Caの濃度が薄いので、蒸気洗浄処理された被処理物Aを、第2処理槽2Bから取り出し、第1処理槽1Bの開口部1aから槽外へ搬出する際に、被処理物Aと一緒に槽外へ取り出される蒸気Caの漏洩量が少なくなる。これにより、洗浄処理に使用されるフッ素系溶剤Cの損失が少なくて済み、消費量及びコストの低減を図ることができる。特に、第1処理槽1Bの開口部1aが開放された状態で洗浄処理を行っても、従来例の開口部付近に冷却用パイプが設けられた洗浄装置に比べて、槽外へ取り出される蒸気Caの漏洩量が少なく、溶剤の消費量が低減される。
【0072】
一方、第1処理槽1Bの底部に貯留されたフッ素系溶剤Cは、回収路5cから抜き取ってバッファ槽5へ供給する。バッファ槽5に一旦貯留されたフッ素系溶剤Cは、液送路5jから取り出して水分離槽6へ供給する。
【0073】
水分離槽6に供給されたフッ素系溶剤Cは、比重の軽い溶剤と比重の軽い水分とに比重分離される。水分が分離されたフッ素系溶剤Cのみを、液送路6pから取り出して貯液槽7へ供給する。
【0074】
続いて、蒸気洗浄処理から浸漬洗浄処理へ戻る際には、第2処理槽2Bに貯留された蒸気Caをフッ素系溶剤Cに入れ替えて、被処理物Aの浸漬洗浄処理を行う。
【0075】
つまり、第2処理槽2Bへの蒸気Caの供給を停止した後、第2処理槽2Bの底部付近に貯留されたフッ素系溶剤Cの蒸気Caは、排出路2f及び分岐排出路2iから取り出して貯液槽7へ供給する。また、第2処理槽2Bの底部上方に貯留されたフッ素系溶剤Cの蒸気Caは、排出路2mから取り出して、第1処理槽1Bの底部へ供給する。第1処理槽1Bの底部に貯留されたフッ素系溶剤Cの蒸気Caは、排気路1eから取り出して貯液槽7へ供給する。
【0076】
貯液槽7に供給されたフッ素系溶剤Cの蒸気Caは、冷却コイル7bの冷却作用によって凝縮液化される。貯液槽7に貯留された液状のフッ素系溶剤Cは、供給路7hから取り出して蒸留槽8へ供給し、次に蒸気洗浄処理が行われるまで蒸留槽8に貯留しておく。
【0077】
以上のように、第1処理槽1B内に放出されたフッ素系溶剤Cの蒸気Caを、第2処理槽2Bの底部より下方に配置された冷却ジャケット3の冷却作用によって沸点より低い温度に冷却するので、第1処理槽1Bの開口部1aと第2処理槽2Bの開口部2aとの間に放出されたフッ素系溶剤Cの蒸気Caの濃度が薄くなり、蒸気洗浄処理された被処理物Aを第1処理槽1Bの外部へ取り出す際に、被処理物Aと一緒に槽外へ取り出される蒸気Caの漏洩量が少なくなる。これにより、洗浄処理に使用されるフッ素系溶剤C及び蒸気Caの損失が少なくて済み、消費量及びコストの低減を図ることができる。
【0078】
また、第1処理槽1Bの開口部1aの大きさと、該第1処理槽1Bの底部に貯留されたフッ素系溶剤Cの液面或いは冷却ジャケット3で冷却された濃度の濃い蒸気Caから該第1処理槽1Bの開口部1aに至るまでの距離とのフリーボード比が大きく、第2処理槽2Bの上方に冷却ジャケット3等の冷却手段を配置するよりも、フッ素系溶剤Cの揮発ロスを少なくすることができる。
【0079】
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の洗浄液は、実施形態のフッ素系溶剤Cに対応し、
以下同様に、
蒸気冷却手段は、冷却ジャケット3に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0080】
例えば冷却ジャケット3を、第1処理槽1Bの開口部1aより下方の下部内壁にも設けてもよく、フッ素系溶剤Cの蒸気Caが槽外へ流出するのを防止することができる。また、槽内へ侵入した空気中の水分を凝縮液化して第1処理槽1Bの底部に滴下するので、第2処理槽2Bに貯留されたフッ素系溶剤Cに水分が混入するのを防止することができる。
【0081】
また、浸漬洗浄処理に使用する溶剤の種類によっては、蒸気洗浄処理を行う必要がないので、溶剤に応じて、蒸気洗浄処理するか否かを選択することもできる。
【0082】
また、処理槽を増設すれば、フッ素系溶剤C以外に、炭化水素系溶剤等の他の溶剤或いは複数の溶剤を用いて洗浄処理することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】被処理物洗浄装置による被処理物の洗浄方法を示す全体構成図。
【図2】第2処理槽に収容された被処理物の浸漬洗浄処理を示す説明図。
【図3】第2処理槽に貯留されたフッ素系溶剤の排出状態を示す説明図。
【図4】第2処理槽に収容された被処理物の蒸気洗浄処理を示す説明図。
【符号の説明】
【0084】
A…被処理物
C…フッ素系溶剤
Ca…蒸気
1…被処理物洗浄装置
1B…第1処理槽
1e…排気路
2B…第2処理槽
2e…超音波振動子
2f…排出路
3…冷却ジャケット
7…貯液槽
7p…供給路
8…蒸留槽
8i…蒸気路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を処理槽に貯留された洗浄液に浸漬して洗浄処理する被処理物洗浄装置であって、
前記処理槽を、気密状態に密閉される第1処理槽と、該第1処理槽の内部に設けられた第2処理槽とで構成し、
前記第1処理槽の近くに、該第1処理槽に供給される洗浄液の蒸気を発生する蒸留槽と、前記第2処理槽に供給される洗浄液を貯留する貯液槽とを設け、
前記第1処理槽と前記蒸留槽との間に、
該蒸留槽で発生された洗浄液の蒸気を前記第1処理槽に供給する蒸気路と、該第1処理槽内に放出された洗浄液の蒸気を前記蒸留槽に排気する排気路とを設け、
前記第2処理槽と前記貯液槽との間に、
該第2処理槽に貯留された洗浄液を前記貯液槽に排出する排出路と、該貯液槽に貯留された洗浄液を第2処理槽に供給する供給路とを設け、
前記第1処理槽の内部で前記第2処理槽より下方に、前記第1処理槽内に放出された洗浄液の蒸気を沸点より低い温度に冷却する蒸気冷却手段を設けた
被処理物洗浄装置。
【請求項2】
前記蒸気冷却手段を、前記第2処理槽の底部より下方の前記第1処理槽の下部内壁に沿って設けた
請求項1に記載の被処理物洗浄装置。
【請求項3】
前記第1処理槽の内壁面と前記第2処理槽の外壁面との間に、前記洗浄液の蒸気の流通が許容される空間を設けた
請求項1又は2に記載の被処理物洗浄装置。
【請求項4】
前記蒸留槽の上部に前記蒸気路の一端を接続し、前記第1処理槽及び第2処理槽の底部に前記蒸気路の他端を接続した
請求項1〜3のいずれか一つに記載の被処理物洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−22884(P2010−22884A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183434(P2008−183434)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(599050815)新オオツカ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】