車両の車体構造
【課題】 衝突荷重を分散し、車体の変形を低減する。
【解決手段】 アーム回転軸48によって車体に回転可能に支持されたリヤサスペンション44のサスペンションアーム44Aの後部下方には、ショックアブソーバ54の前方側端部54Aが軸56によって回転可能に軸支されている。ショックアブソーバ54は車体前後方向に対して後方が上方へ傾斜した状態で取付けられており、後方側端部54Bはリヤバンパリインフォースメント12の取付部12Aに取付けらている。また、リヤバンパリインフォースメント12とリヤサイドメンバ18との間に取付けられているバンパアーム14の前後方向中間部には圧縮変形する脆弱部40が形成されている。
【解決手段】 アーム回転軸48によって車体に回転可能に支持されたリヤサスペンション44のサスペンションアーム44Aの後部下方には、ショックアブソーバ54の前方側端部54Aが軸56によって回転可能に軸支されている。ショックアブソーバ54は車体前後方向に対して後方が上方へ傾斜した状態で取付けられており、後方側端部54Bはリヤバンパリインフォースメント12の取付部12Aに取付けらている。また、リヤバンパリインフォースメント12とリヤサイドメンバ18との間に取付けられているバンパアーム14の前後方向中間部には圧縮変形する脆弱部40が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車体前後方向に沿って延びるサイドメンバを有する自動車等の車両の車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車体前後方向に沿って延びるサイドメンバを有する自動車等の車両の車体構造においては、リヤサイドメンバ(リヤサイドフレームともいう)の湾曲部とスペアタイヤパンとをリインフォースメントによって連結した構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の車両の車体構造では、リヤバンパリインフォースメントからリヤサイドメンバに入力される車両後突時の荷重の一部をリインフォースメントによってスペアタイヤパンへ分散している。
【特許文献1】実公平6−28382
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の車両の車体構造では、車両後突時にリインフォースメントを介してスペアタイヤパンへ伝達された荷重がスペアタイヤパンに集中することによって、スペアタイヤパンが変形することが考えられる。
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、衝突荷重を分散し、車体の変形を低減できる車両の車体構造を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明における車両の車体構造は、車体前後方向に沿って延びるサイドメンバと、車体前後方向内側の回転中心に上下方向に回転可能に支持されたサスペンションアームと、前記サイドメンバの車体前後方向外方に設けられたバンパリインフォースメントと、車体前後方向内側下部から車体前後方向外側上部に向かって傾斜して配置され、下方側端部が前記サスペンションアームの車体前後方向外側に連結されると共に上方側端部が前記バンパリインフォースメントに連結された連結部材と、前記連結部材の上方側連結部と前記サイドメンバとの間に取付けられ、所定値以上の圧縮荷重により圧縮変形する衝撃吸収手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
バンパリインフォースメントに車体前後方向外側から衝突荷重が作用し、衝撃吸収手段が圧縮変形して衝突エネルギを吸収する。また、バンパリインフォースメントからサイドメンバに荷重が伝達される際に、荷重の一部が連結部材に伝達される。この結果、バンパリインフォースメントに連結された連結部材の上方側端部が車体前後方内側へ移動し、連結部材が連結されたサスペンションアームが、車体前後方向内側を中心に下方へ回転しようとする。このため、路面からの反力によって、バンパリインフォースメントが上方へ押し上げられ、サイドメンバは水平方向から車体前後方向外側部が上方へ移動し傾斜する。即ち、サイドメンバに車体前後方向へ作用する衝突荷重が、車体を上方へ浮かせる荷重と、サイドメンバの軸方向に作用する荷重とに分散吸収される。この結果、サイドメンバの軸方向に作用する荷重が低減されサイドメンバの変形を防止する。
【0007】
なお、車体前後方向の2つの部位について、車体前後方向中央に近い部位を車体前後方向内側(内方)と記載し、車体前後方向中央から遠い部位を車体前後方向外側(外方)と記載する。
【0008】
請求項2記載の本発明における車両の車体構造は、車体前後方向に沿って延びるリヤサイドメンバと、車体前部側の回転中心に上下方向に回転可能に支持されたリヤサスペンションアームと、前記リヤサイドメンバの後方に設けられたリヤバンパリインフォースメントと、車体前方下部から車体後方上部に向かって傾斜して配置され、前部が前記リヤサスペンションアームの後部側に連結されると共に後部が前記リヤバンパリインフォースメントに連結された連結部材と、前記連結部材の後方上側連結部と前記サイドメンバとの間に取付けられ、所定値以上の圧縮荷重により圧縮変形する衝撃吸収手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
リヤバンパリインフォースメントに車体後方から衝突荷重が作用し、衝撃吸収手段が圧縮変形して衝突エネルギを吸収する。また、リヤバンパリインフォースメントからリヤサイドメンバに荷重が伝達される際に、荷重の一部が連結部材に伝達される。この結果、リヤバンパリインフォースメントに連結された連結部材の後部が車体前方へ移動し、連結部材の前部が連結されたリヤサスペンションアームが、車体前部側を中心に下方に回転しようとする。このため、路面からの反力によって、リヤバンパリインフォースメントが上方へ押し上げられ、リヤサイドメンバは水平方向から後部が上方へ移動し傾斜する。即ち、リヤサイドメンバに車体後方から車体前方へ向って作用する衝突荷重が、車体を上方へ浮かせる荷重と、リヤサイドメンバの軸方向に作用する荷重とに分散吸収される。この結果、リヤサイドメンバの軸方向に作用する荷重が低減されリヤサイドメンバの変形を防止する。
【0010】
請求項3記載の本発明は請求項1、2の何れか1項に記載の車両の車体構造において、前記連結部材がショックアブソーバであることを特徴とする。
【0011】
請求項1、2の何れか1項に記載の内容に加えて、ショックアブソーバの軸方向に作用する荷重の運動エネルギーをショックアブソーバの減衰力によって熱エネルギーに変換する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の本発明における車両の車体構造は、上記の構成とすることで、衝突荷重を分散し、車体の変形を低減できる。
【0013】
請求項2記載の本発明における車両の車体構造は、上記の構成とすることで、衝突荷重を分散し、車体の変形を低減できる。
【0014】
請求項3記載の本発明は請求項1、2の何れか1項に記載の車両の車体構造において、連結部材がショックアブソーバであるため、ショックアブソーバによって荷重の運動エネルギーを吸収できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明における車両の車体構造の第1実施形態を図1〜図6に従って説明する。
【0016】
なお、図中矢印FRは車体前方方向を、矢印UPは車体上方方向を、矢印INは車幅内側方向を示す。
【0017】
図1に示される如く、自動車の車体10における後端下部に車幅方向に沿ってリヤバンパのリヤバンパリインフォースメント12が取付けられており、リヤバンパリインフォースメント12の車幅方向から見た断面形状は矩形枠形が上下2段に一体的に連結された形状とされている。なお、リヤバンパリインフォースメント12以外のバンパカバー等のバンパ部品は図示を省略している。
【0018】
図4に示される如く、リヤバンパリインフォースメント12の車幅方向両端部の車体前方側には、衝撃吸収手段としての左右一対のバンパアーム14が取付けられている。これらのバンパアーム14は、バックパネル16を挟んでリヤサイドメンバ18の後端部に取付けられており、バンパアーム14は、リヤバンパリインフォースメント12とリヤサイドメンバ18との間に取付けられている。
【0019】
なお、リヤサイドメンバ18の後部18Aは、車体前後方向に沿って略水平に配設されており、リヤサイドメンバ18の車体後方側の延長線上にリヤリヤバンパリインフォースメント12が取付けられている。
【0020】
図5に示される如く、リヤサイドメンバ18は、リヤサイドメンバ18の下部を構成するリヤサイドメンバアンダ19と、リヤサイドメンバ18の上部を構成するリヤサイドメンバアッパ21とで構成されている。リヤサイドメンバアンダ19の車体前後方向から見た断面形状は、開口部を車体上方へ向けたコ字状とされており、車幅方向内側側壁部19Aの上端部には車幅方向内側へ屈曲されたフランジ19Bが形成されている。一方、リヤサイドメンバアッパ21の車体前後方向から見た断面は、略水平とされた基部21Aの車幅方向外側端部に上方へ向って屈曲したフランジ21Bを備えたL字状とされている。
【0021】
リヤサイドメンバアッパ21のフランジ21Bの車幅方向外側面にはリヤサイドメンバアンダ19の車幅方向外側側壁部19Cの上端部19Dが溶着されており、リヤサイドメンバアッパ21における基部21Aの車幅方向内側端部21Cの下面には、リヤサイドメンバアンダ19のフランジ19Bが溶着されている。従って、リヤサイドメンバ18は車体前後方向に沿って延びるリヤサイドメンバ閉断面23を備えている。
【0022】
図6に示される如く、バンパアーム14は、上壁部14A、下壁部14B、左右の側壁部14C及び後壁部14Hを備えた箱形状となっている。また、左右の側壁部14Cの前端には、互いに離間する方向へ向ってフランジ14Dが形成されている。これらのフランジ14Dの上下には図示を省略した貫通孔が形成されている。
【0023】
また、バックパネル16におけるバンパアーム14のフランジ14Dとバックパネル16には、それぞれ車体後方側からボルト34が貫通され、これらのボルト34は、バックパネル16の前面に固定されたナット36に螺合して、バンパアーム14のフランジ14Dとバックパネル16とが固定されている。
【0024】
また、バンパアーム14の上壁部14Aの前端には、車体上方へ向ってフランジ14Eが形成されており、このフランジ14Eはバックパネル16の後面16Aに当接している。なお、図示を省略したがバンパアーム14の下壁部14Bの前端には、車体下方へ向ってフランジが形成されており、このフランジもバックパネル16の後面16Aに当接している。
【0025】
従って、バンパアーム14は、ボルト34とナット36を外すことによって取外し可能に締結されている。
【0026】
バンパアーム14の上壁部14Aの車幅方向両端部には車体下方へ向かってフランジ14Fが形成されており、これらのフランジ14Fは、両側壁部14Cの上端縁部の外側面に溶着されている。また、バンパアーム14の下壁部14Bの車幅方向両端部には車体上方へ向かってフランジ14Gが形成されており、これらのフランジ14Gは、両側壁部14Cの下端縁部の外側面に溶着されている。
【0027】
バンパアーム14の前後方向中間部には、脆弱部40が形成されている。脆弱部40はバンパアーム14の上壁部14Aの車幅方向両端部から、左右の側壁部14Cを通り下壁部14Bの車幅方向両端部に達している。具体的には、この脆弱部40は上壁部14A、下壁部14Bの両側部及び左右の側壁部14Cに形成した凹屈曲部により構成されている。
【0028】
また、脆弱部40の平面視形状(車体上下方向から見た形状)は三角形状の凹部であって、バンパアーム14の内側に向って凹陥している。また、脆弱部40の前後方向の幅Wは、上方から下方へ向って連続的に広くなっている。
【0029】
従って、バンパアーム14に車体前後方向から所定値以上の圧縮荷重が作用した場合には、バンパアーム14が図1に示す通常状態から、図2に示される如く、脆弱部40を起点にして軸圧縮変形するようになっている。
【0030】
図1に示される如く、リヤサイドメンバ18の下方には、トーションビーム式のリヤサスペンション44が取付けられており、リヤサスペンション44はリヤタイヤ46を支持している。また、リヤサスペンション44のサスペンションアーム44Aは、車幅方向に沿って延びるアーム回転軸48を中心に上下方向(図1の矢印A方向と矢印B方向)へ回転可能に車体10のリヤサスペンション取付部、例えば、リヤサイドメンバ18に固定したサブフレーム(図示省略)に取付けられている。
【0031】
なお、アーム回転軸48は、サスペンションアーム44Aに固定されたサスペンションブシュ49を貫通しており、サスペンションブシュ49は、外筒49Aと内筒49Bとの間にゴム材49Cを充填した構成となっている。
【0032】
サスペンションアーム44Aの後部には、アブソーバブラケット50が固定されており、アブソーバブラケット50の後端下部50Aには、連結部材としてのショックアブソーバ54の前方側端部54Aが、車幅方向に沿って配設された軸56によって回転可能に軸支されている。
【0033】
リヤサスペンション44の回転中心となるアーム回転軸48の地上高H1は、ショックアブソーバ54のサスペンション側回転中心となる軸56の地上高H2以上となっている。また、ショックアブソーバ54は車体前後方向に対して前方が下方で後方が上方となった傾斜状態で取付けられており、ショックアブソーバ54の前方下側への延長線より、高い位置にアーム回転軸48が設けらている。
【0034】
なお、ショックアブソーバ54は、シリンダ54Cとロッド54Dとが軸方向(伸縮方向)へ相対移動することで、内部の流体抵抗等により軸方向の振動を吸収するようになっている。
【0035】
図3に示される如く、ショックアブソーバ54の後方側端部54Bは、サスペンションブシュ58を介してリヤバンパリインフォースメント12の取付部12Aに取付けらている。
【0036】
図1、4、6に示される如く、リヤバンパリインフォースメント12の取付部12Aは、リヤバンパリインフォースメント12を車体後方下側から凹陥して形成されており、サスペンションブシュ58の両端部58Cを接合する取付面12Bは、ショックアブソーバ54の軸線方向に沿った傾斜面となっている。
【0037】
図3に示される如く、サスペンションブシュ58は、外筒58Aと内筒58Bとの間にゴム材を充填した構成となっており、軸方向を車幅方向にして取付けられている。また、内筒58Bの両端部58Cは板状とされ、両端部58Cと取付部12Aにはそれぞれボルト60が車体後方側から貫通されている。
【0038】
図1に示される如く、ボルト60は取付部12Aにおける取付面12Bの裏面に取付けたナット61に螺合しており、サスペンションブシュ58の両端部58Cは、ボルト60とナット61とによってリヤバンパリインフォースメント12の取付面12Bに締結されている。
【0039】
図3に示される如く、リヤバンパリインフォースメント12の取付部12Aの上部には、ボルト28が車体後方側から貫通されている。図6に示される如く、リヤバンパリインフォースメント12の取付部12Aの貫通孔に車体後方側から貫通されたボルト28は、バンパアーム14の後壁部14Hの前面に固定されたナット30に螺合しており、リヤバンパリインフォースメント12は、左右一対のバンパアーム14にボルト28とナット30とによって取外し可能に締結されている。
【0040】
図4に示される如く、サスペンションアーム44Aのアブソーバブラケット50の車体前方側近傍には、皿形状のスプリングシート64が固定されている。また、スプリングシート64の上方のリヤサイドメンバ18にはスプリング受部66が取付けられており、スプリング受部66とスプリングシート64の底部64Aとの間には、スプリング68が支持されている。
【0041】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0042】
本実施形態では、車両後突時の初期にリヤバンパリインフォースメント12に車体後方から車体前方へ向う荷重(図1の矢印F1)が作用すると、バンパアーム14を介して荷重F1の一部(図1の矢印F2)がリヤサイドメンバ18に伝達されると共に、荷重F1の他の一部(図1の矢印F3)がショックアブソーバ54を介してリヤサスペンション44のサスペンションアーム44Aに固定されたアブソーバブラケット50に伝達される。
【0043】
また、車両後突時の初期にリヤバンパリインフォースメント12からバンパアーム14に所定値以上の圧縮荷重が作用すると、バンパアーム14が図1に示す通常状態から脆弱部40を起点にして図2に示される如く軸圧縮変形して、衝突エネルギの一部を吸収する。
【0044】
この結果、リヤバンパリインフォースメント12の取付部12Aに連結されたショックアブソーバ54の後方側端部54Bが車体前方(図2の矢印C方向)へ移動する。この時、ショックアブソーバ54の前方側端部54Aが連結されたサスペンションアーム44Aが、前方のアーム回転軸48を中心に下方向(図2の矢印B方向)に回転しようとする。このため、リヤタイヤ46が受ける路面Sからの反力F4によって、リヤバンパリインフォースメント12が上方(図2の矢印D方向)へ押し上げられることによって衝突エネルギの他の一部を吸収する。
【0045】
従って、リヤサイドメンバ18は図1に示す水平方向から図2に示すように後部が上方へ移動し、前後方向に対して傾斜する。即ち、図2に示される如く、リヤサイドメンバ18に対して車体後方から車体前方へ向って作用する荷重F2が、車体を上方へ浮かせる荷重F5と、リヤサイドメンバ18の軸方向に沿って車体斜め前側下方へ向って作用する荷重F6とに分散される。
【0046】
よって、車両後突時にリヤサイドメンバ18に作用する軸方向の荷重F6を低減でき、リヤサイドメンバ18の変形を防止できる。この結果、衝突荷重を分散し、車体の変形を低減できる。また、圧縮変形したバンパアーム14のみの交換で修理可能となるため、修理に要する費用を低減できる。
【0047】
また、本実施形態では、図2に示される如く、バンパアーム14が圧縮変形した後、ショックアブソーバ54が軸方向の圧縮を開始する。この結果、ショックアブソーバ54によって荷重F3の運動エネルギーをショックアブソーバ54の減衰力(液体の流通抵抗)によって熱エネルギーに変換し、吸収できる。
【0048】
また、本実施形態では、連結部材としてショックアブソーバ54を使用するため、別途連結部材を設ける必要が無い。
【0049】
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、衝撃吸収手段を脆弱部40を形成したバンパアーム14としたが、バンパアーム14に代えて、リヤバンパリインフォースメント12の取付部12Aとリヤサイドメンバ18との間となるリヤバンパリインフォースメント12の部位等に脆弱部を形成し衝撃吸収手段としても良い。また、脆弱部40の前後方向の幅Wは、上方から下方へ向って一定としても良い。更に、脆弱部40は、平面視で三角形状の凹部に限定されず、切欠部、薄肉部等の他の構成としても良い。
【0050】
また、上記実施形態では、連結部材としてショックアブソーバ54を使用したが、連結部材はショックアブソーバ54に限定されず、軸方向に伸縮しない棒材でも良い。
【0051】
また、本発明における車両の車体構造が適用可能なリヤサスペンションは、トーションビーム式のリヤサスペンション44に限定されない。このため、本発明における車両の車体構造は、図7に示される第2実施形態のようにフルトレーリングアーム70Aを有するフルトレーリングアーム式サスペンション70、図8に示される第3実施形態のようにセミトレーリングアーム72Aを有するセミトレーリングアーム式サスペンション72、図9に示される第4実施形態のようにトレーリングアーム74Aとウィシュボーンアーム74Bとを有するトレーリングウィシュボーン式サスペンション74、図10に示される第5実施形態のようにロアアーム76Aとストラット式ショックアブソーバ(図示省略)とを有するストラット式サスペンション76、図11に示される第6実施形態のようにアッパアーム78Aとロアアーム78Bとを有するダブルウィッシュボーン式サスペンション78、図12に示される第7実施形態のように複数のリンク80Aを有するマルチリンク式サスペンション80であっても良い。
【0052】
また、本発明における車両の車体構造は、フロントバンパリインフォースメント、フロントタイヤ、フロントサスペンション、フロントサイドメンバを有する車体前部の車体構造にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両の車体構造を示す側断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る車両の車体構造の車両後突状態を示す図1に対応する側断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る車両の車体構造を示す車体後方から見た正面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る車両の車体構造を示す車体斜め後方内側から見た斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る車両の車体構造を示す車体斜め前方外側から見た斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る車両の車体構造を示す車体斜め後方外側から見た斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る車両の車体構造を示す側断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る車両の車体構造を示す側断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る車両の車体構造を示す側断面図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係る車両の車体構造を示す側断面図である。
【図11】本発明の第6実施形態に係る車両の車体構造を示す側断面図である。
【図12】本発明の第7実施形態に係る車両の車体構造を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0054】
10 車体
12 リヤバンパリインフォースメント
14 バンパアーム(衝撃吸収手段)
16 バックパネル
18 リヤサイドメンバ
23 リヤサイドメンバ閉断面
40 脆弱部
44 リヤサスペンション
44A サスペンションアーム
46 リヤタイヤ
48 アーム回転軸
54 ショックアブソーバ(連結部材)
56 軸
【技術分野】
【0001】
本発明は車体前後方向に沿って延びるサイドメンバを有する自動車等の車両の車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車体前後方向に沿って延びるサイドメンバを有する自動車等の車両の車体構造においては、リヤサイドメンバ(リヤサイドフレームともいう)の湾曲部とスペアタイヤパンとをリインフォースメントによって連結した構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の車両の車体構造では、リヤバンパリインフォースメントからリヤサイドメンバに入力される車両後突時の荷重の一部をリインフォースメントによってスペアタイヤパンへ分散している。
【特許文献1】実公平6−28382
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の車両の車体構造では、車両後突時にリインフォースメントを介してスペアタイヤパンへ伝達された荷重がスペアタイヤパンに集中することによって、スペアタイヤパンが変形することが考えられる。
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、衝突荷重を分散し、車体の変形を低減できる車両の車体構造を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明における車両の車体構造は、車体前後方向に沿って延びるサイドメンバと、車体前後方向内側の回転中心に上下方向に回転可能に支持されたサスペンションアームと、前記サイドメンバの車体前後方向外方に設けられたバンパリインフォースメントと、車体前後方向内側下部から車体前後方向外側上部に向かって傾斜して配置され、下方側端部が前記サスペンションアームの車体前後方向外側に連結されると共に上方側端部が前記バンパリインフォースメントに連結された連結部材と、前記連結部材の上方側連結部と前記サイドメンバとの間に取付けられ、所定値以上の圧縮荷重により圧縮変形する衝撃吸収手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
バンパリインフォースメントに車体前後方向外側から衝突荷重が作用し、衝撃吸収手段が圧縮変形して衝突エネルギを吸収する。また、バンパリインフォースメントからサイドメンバに荷重が伝達される際に、荷重の一部が連結部材に伝達される。この結果、バンパリインフォースメントに連結された連結部材の上方側端部が車体前後方内側へ移動し、連結部材が連結されたサスペンションアームが、車体前後方向内側を中心に下方へ回転しようとする。このため、路面からの反力によって、バンパリインフォースメントが上方へ押し上げられ、サイドメンバは水平方向から車体前後方向外側部が上方へ移動し傾斜する。即ち、サイドメンバに車体前後方向へ作用する衝突荷重が、車体を上方へ浮かせる荷重と、サイドメンバの軸方向に作用する荷重とに分散吸収される。この結果、サイドメンバの軸方向に作用する荷重が低減されサイドメンバの変形を防止する。
【0007】
なお、車体前後方向の2つの部位について、車体前後方向中央に近い部位を車体前後方向内側(内方)と記載し、車体前後方向中央から遠い部位を車体前後方向外側(外方)と記載する。
【0008】
請求項2記載の本発明における車両の車体構造は、車体前後方向に沿って延びるリヤサイドメンバと、車体前部側の回転中心に上下方向に回転可能に支持されたリヤサスペンションアームと、前記リヤサイドメンバの後方に設けられたリヤバンパリインフォースメントと、車体前方下部から車体後方上部に向かって傾斜して配置され、前部が前記リヤサスペンションアームの後部側に連結されると共に後部が前記リヤバンパリインフォースメントに連結された連結部材と、前記連結部材の後方上側連結部と前記サイドメンバとの間に取付けられ、所定値以上の圧縮荷重により圧縮変形する衝撃吸収手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
リヤバンパリインフォースメントに車体後方から衝突荷重が作用し、衝撃吸収手段が圧縮変形して衝突エネルギを吸収する。また、リヤバンパリインフォースメントからリヤサイドメンバに荷重が伝達される際に、荷重の一部が連結部材に伝達される。この結果、リヤバンパリインフォースメントに連結された連結部材の後部が車体前方へ移動し、連結部材の前部が連結されたリヤサスペンションアームが、車体前部側を中心に下方に回転しようとする。このため、路面からの反力によって、リヤバンパリインフォースメントが上方へ押し上げられ、リヤサイドメンバは水平方向から後部が上方へ移動し傾斜する。即ち、リヤサイドメンバに車体後方から車体前方へ向って作用する衝突荷重が、車体を上方へ浮かせる荷重と、リヤサイドメンバの軸方向に作用する荷重とに分散吸収される。この結果、リヤサイドメンバの軸方向に作用する荷重が低減されリヤサイドメンバの変形を防止する。
【0010】
請求項3記載の本発明は請求項1、2の何れか1項に記載の車両の車体構造において、前記連結部材がショックアブソーバであることを特徴とする。
【0011】
請求項1、2の何れか1項に記載の内容に加えて、ショックアブソーバの軸方向に作用する荷重の運動エネルギーをショックアブソーバの減衰力によって熱エネルギーに変換する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の本発明における車両の車体構造は、上記の構成とすることで、衝突荷重を分散し、車体の変形を低減できる。
【0013】
請求項2記載の本発明における車両の車体構造は、上記の構成とすることで、衝突荷重を分散し、車体の変形を低減できる。
【0014】
請求項3記載の本発明は請求項1、2の何れか1項に記載の車両の車体構造において、連結部材がショックアブソーバであるため、ショックアブソーバによって荷重の運動エネルギーを吸収できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明における車両の車体構造の第1実施形態を図1〜図6に従って説明する。
【0016】
なお、図中矢印FRは車体前方方向を、矢印UPは車体上方方向を、矢印INは車幅内側方向を示す。
【0017】
図1に示される如く、自動車の車体10における後端下部に車幅方向に沿ってリヤバンパのリヤバンパリインフォースメント12が取付けられており、リヤバンパリインフォースメント12の車幅方向から見た断面形状は矩形枠形が上下2段に一体的に連結された形状とされている。なお、リヤバンパリインフォースメント12以外のバンパカバー等のバンパ部品は図示を省略している。
【0018】
図4に示される如く、リヤバンパリインフォースメント12の車幅方向両端部の車体前方側には、衝撃吸収手段としての左右一対のバンパアーム14が取付けられている。これらのバンパアーム14は、バックパネル16を挟んでリヤサイドメンバ18の後端部に取付けられており、バンパアーム14は、リヤバンパリインフォースメント12とリヤサイドメンバ18との間に取付けられている。
【0019】
なお、リヤサイドメンバ18の後部18Aは、車体前後方向に沿って略水平に配設されており、リヤサイドメンバ18の車体後方側の延長線上にリヤリヤバンパリインフォースメント12が取付けられている。
【0020】
図5に示される如く、リヤサイドメンバ18は、リヤサイドメンバ18の下部を構成するリヤサイドメンバアンダ19と、リヤサイドメンバ18の上部を構成するリヤサイドメンバアッパ21とで構成されている。リヤサイドメンバアンダ19の車体前後方向から見た断面形状は、開口部を車体上方へ向けたコ字状とされており、車幅方向内側側壁部19Aの上端部には車幅方向内側へ屈曲されたフランジ19Bが形成されている。一方、リヤサイドメンバアッパ21の車体前後方向から見た断面は、略水平とされた基部21Aの車幅方向外側端部に上方へ向って屈曲したフランジ21Bを備えたL字状とされている。
【0021】
リヤサイドメンバアッパ21のフランジ21Bの車幅方向外側面にはリヤサイドメンバアンダ19の車幅方向外側側壁部19Cの上端部19Dが溶着されており、リヤサイドメンバアッパ21における基部21Aの車幅方向内側端部21Cの下面には、リヤサイドメンバアンダ19のフランジ19Bが溶着されている。従って、リヤサイドメンバ18は車体前後方向に沿って延びるリヤサイドメンバ閉断面23を備えている。
【0022】
図6に示される如く、バンパアーム14は、上壁部14A、下壁部14B、左右の側壁部14C及び後壁部14Hを備えた箱形状となっている。また、左右の側壁部14Cの前端には、互いに離間する方向へ向ってフランジ14Dが形成されている。これらのフランジ14Dの上下には図示を省略した貫通孔が形成されている。
【0023】
また、バックパネル16におけるバンパアーム14のフランジ14Dとバックパネル16には、それぞれ車体後方側からボルト34が貫通され、これらのボルト34は、バックパネル16の前面に固定されたナット36に螺合して、バンパアーム14のフランジ14Dとバックパネル16とが固定されている。
【0024】
また、バンパアーム14の上壁部14Aの前端には、車体上方へ向ってフランジ14Eが形成されており、このフランジ14Eはバックパネル16の後面16Aに当接している。なお、図示を省略したがバンパアーム14の下壁部14Bの前端には、車体下方へ向ってフランジが形成されており、このフランジもバックパネル16の後面16Aに当接している。
【0025】
従って、バンパアーム14は、ボルト34とナット36を外すことによって取外し可能に締結されている。
【0026】
バンパアーム14の上壁部14Aの車幅方向両端部には車体下方へ向かってフランジ14Fが形成されており、これらのフランジ14Fは、両側壁部14Cの上端縁部の外側面に溶着されている。また、バンパアーム14の下壁部14Bの車幅方向両端部には車体上方へ向かってフランジ14Gが形成されており、これらのフランジ14Gは、両側壁部14Cの下端縁部の外側面に溶着されている。
【0027】
バンパアーム14の前後方向中間部には、脆弱部40が形成されている。脆弱部40はバンパアーム14の上壁部14Aの車幅方向両端部から、左右の側壁部14Cを通り下壁部14Bの車幅方向両端部に達している。具体的には、この脆弱部40は上壁部14A、下壁部14Bの両側部及び左右の側壁部14Cに形成した凹屈曲部により構成されている。
【0028】
また、脆弱部40の平面視形状(車体上下方向から見た形状)は三角形状の凹部であって、バンパアーム14の内側に向って凹陥している。また、脆弱部40の前後方向の幅Wは、上方から下方へ向って連続的に広くなっている。
【0029】
従って、バンパアーム14に車体前後方向から所定値以上の圧縮荷重が作用した場合には、バンパアーム14が図1に示す通常状態から、図2に示される如く、脆弱部40を起点にして軸圧縮変形するようになっている。
【0030】
図1に示される如く、リヤサイドメンバ18の下方には、トーションビーム式のリヤサスペンション44が取付けられており、リヤサスペンション44はリヤタイヤ46を支持している。また、リヤサスペンション44のサスペンションアーム44Aは、車幅方向に沿って延びるアーム回転軸48を中心に上下方向(図1の矢印A方向と矢印B方向)へ回転可能に車体10のリヤサスペンション取付部、例えば、リヤサイドメンバ18に固定したサブフレーム(図示省略)に取付けられている。
【0031】
なお、アーム回転軸48は、サスペンションアーム44Aに固定されたサスペンションブシュ49を貫通しており、サスペンションブシュ49は、外筒49Aと内筒49Bとの間にゴム材49Cを充填した構成となっている。
【0032】
サスペンションアーム44Aの後部には、アブソーバブラケット50が固定されており、アブソーバブラケット50の後端下部50Aには、連結部材としてのショックアブソーバ54の前方側端部54Aが、車幅方向に沿って配設された軸56によって回転可能に軸支されている。
【0033】
リヤサスペンション44の回転中心となるアーム回転軸48の地上高H1は、ショックアブソーバ54のサスペンション側回転中心となる軸56の地上高H2以上となっている。また、ショックアブソーバ54は車体前後方向に対して前方が下方で後方が上方となった傾斜状態で取付けられており、ショックアブソーバ54の前方下側への延長線より、高い位置にアーム回転軸48が設けらている。
【0034】
なお、ショックアブソーバ54は、シリンダ54Cとロッド54Dとが軸方向(伸縮方向)へ相対移動することで、内部の流体抵抗等により軸方向の振動を吸収するようになっている。
【0035】
図3に示される如く、ショックアブソーバ54の後方側端部54Bは、サスペンションブシュ58を介してリヤバンパリインフォースメント12の取付部12Aに取付けらている。
【0036】
図1、4、6に示される如く、リヤバンパリインフォースメント12の取付部12Aは、リヤバンパリインフォースメント12を車体後方下側から凹陥して形成されており、サスペンションブシュ58の両端部58Cを接合する取付面12Bは、ショックアブソーバ54の軸線方向に沿った傾斜面となっている。
【0037】
図3に示される如く、サスペンションブシュ58は、外筒58Aと内筒58Bとの間にゴム材を充填した構成となっており、軸方向を車幅方向にして取付けられている。また、内筒58Bの両端部58Cは板状とされ、両端部58Cと取付部12Aにはそれぞれボルト60が車体後方側から貫通されている。
【0038】
図1に示される如く、ボルト60は取付部12Aにおける取付面12Bの裏面に取付けたナット61に螺合しており、サスペンションブシュ58の両端部58Cは、ボルト60とナット61とによってリヤバンパリインフォースメント12の取付面12Bに締結されている。
【0039】
図3に示される如く、リヤバンパリインフォースメント12の取付部12Aの上部には、ボルト28が車体後方側から貫通されている。図6に示される如く、リヤバンパリインフォースメント12の取付部12Aの貫通孔に車体後方側から貫通されたボルト28は、バンパアーム14の後壁部14Hの前面に固定されたナット30に螺合しており、リヤバンパリインフォースメント12は、左右一対のバンパアーム14にボルト28とナット30とによって取外し可能に締結されている。
【0040】
図4に示される如く、サスペンションアーム44Aのアブソーバブラケット50の車体前方側近傍には、皿形状のスプリングシート64が固定されている。また、スプリングシート64の上方のリヤサイドメンバ18にはスプリング受部66が取付けられており、スプリング受部66とスプリングシート64の底部64Aとの間には、スプリング68が支持されている。
【0041】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0042】
本実施形態では、車両後突時の初期にリヤバンパリインフォースメント12に車体後方から車体前方へ向う荷重(図1の矢印F1)が作用すると、バンパアーム14を介して荷重F1の一部(図1の矢印F2)がリヤサイドメンバ18に伝達されると共に、荷重F1の他の一部(図1の矢印F3)がショックアブソーバ54を介してリヤサスペンション44のサスペンションアーム44Aに固定されたアブソーバブラケット50に伝達される。
【0043】
また、車両後突時の初期にリヤバンパリインフォースメント12からバンパアーム14に所定値以上の圧縮荷重が作用すると、バンパアーム14が図1に示す通常状態から脆弱部40を起点にして図2に示される如く軸圧縮変形して、衝突エネルギの一部を吸収する。
【0044】
この結果、リヤバンパリインフォースメント12の取付部12Aに連結されたショックアブソーバ54の後方側端部54Bが車体前方(図2の矢印C方向)へ移動する。この時、ショックアブソーバ54の前方側端部54Aが連結されたサスペンションアーム44Aが、前方のアーム回転軸48を中心に下方向(図2の矢印B方向)に回転しようとする。このため、リヤタイヤ46が受ける路面Sからの反力F4によって、リヤバンパリインフォースメント12が上方(図2の矢印D方向)へ押し上げられることによって衝突エネルギの他の一部を吸収する。
【0045】
従って、リヤサイドメンバ18は図1に示す水平方向から図2に示すように後部が上方へ移動し、前後方向に対して傾斜する。即ち、図2に示される如く、リヤサイドメンバ18に対して車体後方から車体前方へ向って作用する荷重F2が、車体を上方へ浮かせる荷重F5と、リヤサイドメンバ18の軸方向に沿って車体斜め前側下方へ向って作用する荷重F6とに分散される。
【0046】
よって、車両後突時にリヤサイドメンバ18に作用する軸方向の荷重F6を低減でき、リヤサイドメンバ18の変形を防止できる。この結果、衝突荷重を分散し、車体の変形を低減できる。また、圧縮変形したバンパアーム14のみの交換で修理可能となるため、修理に要する費用を低減できる。
【0047】
また、本実施形態では、図2に示される如く、バンパアーム14が圧縮変形した後、ショックアブソーバ54が軸方向の圧縮を開始する。この結果、ショックアブソーバ54によって荷重F3の運動エネルギーをショックアブソーバ54の減衰力(液体の流通抵抗)によって熱エネルギーに変換し、吸収できる。
【0048】
また、本実施形態では、連結部材としてショックアブソーバ54を使用するため、別途連結部材を設ける必要が無い。
【0049】
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、衝撃吸収手段を脆弱部40を形成したバンパアーム14としたが、バンパアーム14に代えて、リヤバンパリインフォースメント12の取付部12Aとリヤサイドメンバ18との間となるリヤバンパリインフォースメント12の部位等に脆弱部を形成し衝撃吸収手段としても良い。また、脆弱部40の前後方向の幅Wは、上方から下方へ向って一定としても良い。更に、脆弱部40は、平面視で三角形状の凹部に限定されず、切欠部、薄肉部等の他の構成としても良い。
【0050】
また、上記実施形態では、連結部材としてショックアブソーバ54を使用したが、連結部材はショックアブソーバ54に限定されず、軸方向に伸縮しない棒材でも良い。
【0051】
また、本発明における車両の車体構造が適用可能なリヤサスペンションは、トーションビーム式のリヤサスペンション44に限定されない。このため、本発明における車両の車体構造は、図7に示される第2実施形態のようにフルトレーリングアーム70Aを有するフルトレーリングアーム式サスペンション70、図8に示される第3実施形態のようにセミトレーリングアーム72Aを有するセミトレーリングアーム式サスペンション72、図9に示される第4実施形態のようにトレーリングアーム74Aとウィシュボーンアーム74Bとを有するトレーリングウィシュボーン式サスペンション74、図10に示される第5実施形態のようにロアアーム76Aとストラット式ショックアブソーバ(図示省略)とを有するストラット式サスペンション76、図11に示される第6実施形態のようにアッパアーム78Aとロアアーム78Bとを有するダブルウィッシュボーン式サスペンション78、図12に示される第7実施形態のように複数のリンク80Aを有するマルチリンク式サスペンション80であっても良い。
【0052】
また、本発明における車両の車体構造は、フロントバンパリインフォースメント、フロントタイヤ、フロントサスペンション、フロントサイドメンバを有する車体前部の車体構造にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両の車体構造を示す側断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る車両の車体構造の車両後突状態を示す図1に対応する側断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る車両の車体構造を示す車体後方から見た正面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る車両の車体構造を示す車体斜め後方内側から見た斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る車両の車体構造を示す車体斜め前方外側から見た斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る車両の車体構造を示す車体斜め後方外側から見た斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る車両の車体構造を示す側断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る車両の車体構造を示す側断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る車両の車体構造を示す側断面図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係る車両の車体構造を示す側断面図である。
【図11】本発明の第6実施形態に係る車両の車体構造を示す側断面図である。
【図12】本発明の第7実施形態に係る車両の車体構造を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0054】
10 車体
12 リヤバンパリインフォースメント
14 バンパアーム(衝撃吸収手段)
16 バックパネル
18 リヤサイドメンバ
23 リヤサイドメンバ閉断面
40 脆弱部
44 リヤサスペンション
44A サスペンションアーム
46 リヤタイヤ
48 アーム回転軸
54 ショックアブソーバ(連結部材)
56 軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前後方向に沿って延びるサイドメンバと、
車体前後方向内側の回転中心に上下方向に回転可能に支持されたサスペンションアームと、
前記サイドメンバの車体前後方向外方に設けられたバンパリインフォースメントと、
車体前後方向内側下部から車体前後方向外側上部に向かって傾斜して配置され、下方側端部が前記サスペンションアームの車体前後方向外側に連結されると共に上方側端部が前記バンパリインフォースメントに連結された連結部材と、
前記連結部材の上方側連結部と前記サイドメンバとの間に取付けられ、所定値以上の圧縮荷重により圧縮変形する衝撃吸収手段と、
を有することを特徴とする車両の車体構造。
【請求項2】
車体前後方向に沿って延びるリヤサイドメンバと、
車体前部側の回転中心に上下方向に回転可能に支持されたリヤサスペンションアームと、
前記リヤサイドメンバの後方に設けられたリヤバンパリインフォースメントと、
車体前方下部から車体後方上部に向かって傾斜して配置され、前部が前記リヤサスペンションアームの後部側に連結されると共に後部が前記リヤバンパリインフォースメントに連結された連結部材と、
前記連結部材の後方上側連結部と前記サイドメンバとの間に取付けられ、所定値以上の圧縮荷重により圧縮変形する衝撃吸収手段と、
を有することを特徴とする車両の車体構造。
【請求項3】
前記連結部材がショックアブソーバであることを特徴とする請求項1、2の何れか1項に記載の車両の車体構造。
【請求項1】
車体前後方向に沿って延びるサイドメンバと、
車体前後方向内側の回転中心に上下方向に回転可能に支持されたサスペンションアームと、
前記サイドメンバの車体前後方向外方に設けられたバンパリインフォースメントと、
車体前後方向内側下部から車体前後方向外側上部に向かって傾斜して配置され、下方側端部が前記サスペンションアームの車体前後方向外側に連結されると共に上方側端部が前記バンパリインフォースメントに連結された連結部材と、
前記連結部材の上方側連結部と前記サイドメンバとの間に取付けられ、所定値以上の圧縮荷重により圧縮変形する衝撃吸収手段と、
を有することを特徴とする車両の車体構造。
【請求項2】
車体前後方向に沿って延びるリヤサイドメンバと、
車体前部側の回転中心に上下方向に回転可能に支持されたリヤサスペンションアームと、
前記リヤサイドメンバの後方に設けられたリヤバンパリインフォースメントと、
車体前方下部から車体後方上部に向かって傾斜して配置され、前部が前記リヤサスペンションアームの後部側に連結されると共に後部が前記リヤバンパリインフォースメントに連結された連結部材と、
前記連結部材の後方上側連結部と前記サイドメンバとの間に取付けられ、所定値以上の圧縮荷重により圧縮変形する衝撃吸収手段と、
を有することを特徴とする車両の車体構造。
【請求項3】
前記連結部材がショックアブソーバであることを特徴とする請求項1、2の何れか1項に記載の車両の車体構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−88999(P2006−88999A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−280648(P2004−280648)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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