車両情報通信システム、管理サーバ、車載端末及び車両情報通信方法
【課題】車両情報通信サービスの利用者に煩わしさを感じさせずに、車両のユーザが車両情報通信サービスの契約が継続していることを認識できる車両情報通信システム、管理サーバ、車載端末及び車両情報通信方法を提供すること。
【解決手段】ユーザが使用する情報端末4から管理センタを介して車載装置5と通信可能な車両情報通信システムにおいて、車載装置5が以前と異なる情報端末4を検出した場合、管理センタ2が車両のユーザを確認するためのユーザ確認処理を行う、ことを特徴とする。
【解決手段】ユーザが使用する情報端末4から管理センタを介して車載装置5と通信可能な車両情報通信システムにおいて、車載装置5が以前と異なる情報端末4を検出した場合、管理センタ2が車両のユーザを確認するためのユーザ確認処理を行う、ことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの使用する情報端末から管理センタを介して車載装置と通信する車両情報通信システム、管理サーバ、車載端末及び車両情報通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車を中心とした車両情報提供サービス(テレマティクスサービス)の高度化が推進されており、車両と運転者(所有者)を仲介して種々のサービスを所有者に提供したり、種々の情報そのものを双方向でやり取りすることが容易になってきている(例えば、特許文献1参照。)。車両情報通信サービスでは、車両と所有者とが離れた場所にあっても管理センタを介して車両と所有者が携帯する情報端末とが通信することができ、所有者は情報端末を操作して、遠隔地から車両の駐車場所を調べたりエンジン始動の検出通知を受信することができる。したがって、車両情報提供サービスの契約者は、車両から離れていても車両の状況に関する情報を取得したり、車載装置を操作すること等が可能となる。
【0003】
車両情報通信サービスを利用する場合、契約者は、予め、管理センタと所定の契約を行い住所、氏名、携帯電話番号等の契約者情報と認証のためのパスワード等を登録しておく。契約者が遠隔地からリモート操作により車両の情報を取得するような場合、情報端末から認証操作を行うことで本人確認が得られ、車両情報提供サービスが提供する種々のサービスを利用可能となる。
【特許文献1】特開2004−102939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両はオークションや個人間の売買によっても所有者が移転することが少なくないが、車両情報通信サービスと契約したままの車両について個人売買や貸与などが行われると、車両情報通信サービスの契約者と車両の所有者に齟齬が生じる。
【0005】
図1は、車両の所有者と車両情報通信サービスの契約者とが異なっている場合の関係を示す図である。車両5のユーザA(契約者)は車両情報通信サービスの契約を管理センタ2と結び、その後、車両5をユーザBに譲渡した。ユーザAが契約を解除しない場合、ユーザAと車両情報通信サービスとの間に契約が残存したまま、ユーザBが車両5を運転することとなる。ユーザBが新たに車両情報通信サービスと契約すれば、車体番号等により車両5に車両情報通信サービスとの間に契約が残存していることが判明する場合があるが、ユーザBが車両情報通信サービスと契約するとは限らず、また、同じ車両情報通信サービスの運営者と契約するとも限らない。
【0006】
このように、いったん車両の所有者と車両情報通信サービスの契約者とが異なってしまうと、車両情報通信サービスでは車両5の側から所有者に契約者の認証を要求することは少ないため、車両5に乗車したユーザBは車両情報通信サービスの契約が残存していることに気づかないまま車両5を使用することが多い。
【0007】
したがって、図1のように契約者と所有者とが異なった場合、ユーザAが情報端末によりリモート操作をして、車両5の場所や車両情報の取得をしたり車載装置を操作するなど、ユーザBが望まない行為をユーザBの気づかないうちに働くおそれがあるという問題がある。
【0008】
このような行為を防止するため、車両5の現在の使用者であるユーザBが契約した本人か否かを確認することが望ましいが、管理センタ2や車両5は車両5の譲受の有無やそのタイミングを知らないので乗車の度など定期的に確認作業を行う事となり、車両のユーザに煩わしさを感じさせるという不都合が生じる。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑み、車両情報通信サービスの利用者に煩わしさを感じさせずに、車両のユーザが車両情報通信サービスの契約が継続していることを認識できる車両情報通信システム、管理サーバ、車載端末及び車両情報通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑み、本発明は、ユーザが使用する情報端末から管理センタを介して車載装置と通信可能な車両情報通信システムにおいて、車載装置が以前と異なる情報端末を検出した場合、管理センタが車両のユーザを確認するためのユーザ確認処理を行う、ことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、車両情報通信サービスの利用者に煩わしさを感じさせずに、車両情報通信サービスの契約が継続していることを認識させることができる車両情報通信サービスの契約が継続していることを認識した車両のユーザは、契約を解除できるので車両を譲渡したユーザが所有者又は車両に不測の行為を働くことが防止できる。
【0012】
また、本発明の車両情報通信システムの一形態において、以前と異なる情報端末を車載装置が所定回数以上検出した場合、管理センタがユーザ確認処理を行う、ことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、以前と異なる情報端末を所定回数以上検出した場合にユーザ確認するので、単なる貸与を除外してユーザ確認できる。
【0014】
また、所定回数は所定期間内における回数とすれば、複数のユーザで1つの車両を使用している場合を除外してユーザ確認することができる。
【0015】
また、以前と異なる情報端末と同一の情報端末が連続して所定回数以上検出された場合、ユーザ確認処理を行うこととすれば、所定期間の経過を待たずにユーザ確認することができる。
【0016】
また、本発明の車両情報通信システムの一形態において、車載装置はブルートゥース通信により情報端末を検出することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、ユーザが特に操作することなく以前と異なる情報端末の検出が可能となる。
【0018】
また、本発明の車両情報通信システムの一形態において、ユーザ確認処理は、当該車両情報通信システムの契約者の情報をユーザに通知する処理である、ことを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、契約者の情報を新たなユーザが知覚することで車両情報通信サービスの契約が継続していることを認識することができる。
【発明の効果】
【0020】
車両情報通信サービスの利用者に煩わしさを感じさせずに、車両のユーザが車両情報通信サービスの契約が継続していることを認識できる車両情報通信システム、管理サーバ、車載端末及び車両情報通信方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【0022】
図2は、本実施の形態に係る車両情報通信システムの全体構成図を示す。このシステムにより車両情報通信サービスが提供される。車両情報通信システムは、車両5と情報端末4を仲介し車両5から情報を取得したり車両5をリモート操作するなどの種々のサービスを所有者(ユーザA又はB)に提供する管理センタ2と、ユーザBが所有する車両5と、ユーザAが使用する情報端末4とがネットワーク1を介して構成される。
【0023】
図2では、ユーザAが過去に車両5の所有者だった者であり、車両情報通信サービスの契約者である。また、ユーザBはユーザAから車両5を譲渡された者であり、現在の車両5の所有者である。なお、所有者とは車両5を支配する権利を有するものであるが、本実施の形態ではそこまで厳密なものではなく、所定期間、車両5を使用することができる者であれば所有者と称す。また、単にユーザといった場合に所有者を意味する場合がある。
【0024】
管理センタ2は、インターネット等のネットワーク1に接続されている。また、車両5及び情報端末4は、ネットワーク1に接続された基地局3又は7と無線又は有線で通信可能に構成されている。通信方式の形態は、例えば、基地局3又は7から管理センタ2までは公衆電話交換網(PSTN)やデジタル通信ネットワーク(ISDN)、光ファイバ等の有線で接続され、基地局3又は7から情報端末4又は車両5までは携帯電話網、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、衛星電話、ビーコン等の無線で接続される。データの送受信には例えばTCP(Transmission Control Protocol )/IP(Internet Protocol)等のプロトコルと上位互換であるHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)、MIME(Multipurpose Internet Mail Extension)等のプロトコルが使用される。
【0025】
情報端末4は、携帯電話、携帯コンピュータ、電子手帳(パーソナル・ディジタル・アシスタント(PDA))、PHS(Personal Handyphone System)、携帯ゲーム機等である。情報端末4は、比較的遠距離にある基地局3に接続しネットワーク1を介して管理センタ2と通信する遠距離通信機能と、車両5の車載装置と直接に通信する近距離通信機能とを有する。
【0026】
図3は、情報端末4の機能ブロック図を示す。情報端末4は、近距離通信部41、表示部42、操作部43、遠距離通信部44、音声処理部45、メモリ46、スピーカ47、マイク48及び制御部40を有する。
【0027】
表示部42は液晶等の情報端末4の画面表示装置であり、制御部40から出力される表示データをこの表示部42に表示させる。また、操作部43は、押しボタン等のメカニカルスイッチ、表示面に重ねて設けられたタッチパネル、スクロールキー等から成り、これらが操作されると操作内容に基づいた信号を制御部40に出力する。
【0028】
近距離通信部41は、ブルートゥース、無線LAN、赤外線通信、有線接続等により車載装置と通信する。ブルートゥースの場合、アンテナが受信した信号に対して増幅、周波数変換、復調、A/D変換等、所定のブルートゥースの無線通信プロトコルに従った処理を施し、処理の結果得られた信号を制御部40に出力する。また、近距離通信部41は、制御部40から入力されたデータに対してD/A変換、変調、周波数変換、増幅等、所定のブルートゥースの無線通信プロトコルに従った処理を施し、その結果の電波をアンテナから出力する。
【0029】
ブルートゥースでは通信する機器の種類ごとに策定されたプロトコル(プロファイル)があり、HSP(Headset Profile)ではブルートゥースを搭載したヘッドセット(マイク及びイヤフォン)と情報端末4との通信が可能となる。また、HFP (Hands-Free Profile)では、情報端末4と車載装置を接続し車両のマイクやスピーカを使用したハンズフリー通話を可能とする。また、SPP(Serial Port Profile)では、ブルートゥース機器に仮想のシリアルポートを作り、情報端末4から車載装置へ(又はその逆)データ転送することを可能とする。
【0030】
なお、有線型のハンズフリー装置のように情報端末4と車載装置を有線で接続した場合所定のプロトコルでデータを通信し、無線LANで接続した場合IP等の所定のプロトコルでデータを転送する。
【0031】
遠距離通信部44は、通話アンテナ31が受信した信号に対して増幅、周波数変換、復調、A/D変換等、所定のセルラー通話のプロトコル(PDC(Personal Digital Cellular)、CDMA(Code Division Multiple Access)、GSM(Global System for Mobile Communications)等)に従った処理を施し、その結果を制御部40に出力する。また遠距離通信部44は、制御部40から入力されたデータに対してD/A変換、変調、周波数変換、増幅等、所定のセルラー通話のプロトコルに従った処理を施し、処理結果の信号をアンテナに出力する。
【0032】
メモリ46は、図示しないROM、RAM、NV−RAM(Non Volatile RAM)等から成る。ROMやフラッシュメモリには、制御部40が読み出して実行するプログラム、当該情報端末4の電話番号、情報端末固有の固有番号、等が記憶されている。
【0033】
音声処理部45は、マイク48から入力された音声信号をデジタルデータに変換して制御部40に出力し、また制御部40から入力されたデジタルデータを音声信号に変換してスピーカ47に出力する。
【0034】
制御部40は、CPUと入出力部等から成り、メモリ46から読み出したプログラムを実行する。制御部40は、実行するプログラム、操作部42からの信号、近距離通信部41及び遠距離通信部44からの受信データ、音声処理部45からの音声データに基づいた処理を行う。例えば、制御部40は、メモリ46に格納されたブラウザプログラムやメールプログラムを実行して、管理センタ2から受信した操作画面やメッセージを表示する。また、情報端末4が車両5から所定範囲に近づけたり有線で接続されると、制御部40はメモリ46から取得した固有番号を車載装置5に送信する。
【0035】
車両5について説明する。図4は、車両5の有する車載装置の機能ブロック図を示す。車両5は、管理センタ2から送信された操作信号を受信し、また操作信号に応じた車両の情報や操作結果を管理センタ2に送信する送受信装置21、車両5のリモート操作を制御する遠隔操作ECU(Electrical Control Unit)22を有する。遠隔操作ECU22は、CAN(Controller Area Network)等のプロトコルによりバス接続された種々の車載ECUと通信可能に接続されている。図4では一例として、ドアの開閉やウィンドウの開閉を制御するドア制御ECU23、車内や車外の温度、設定温度等に基づき空調するエアコンECU24、駐車中の車両への振動や車内への侵入を検知するセキュリティECU25、エンジンの運転状態を検知し燃料噴射制御や点火時期制御、アイドル回転数制御を行うエンジンECU26、ナビゲーションシステムを制御するカーナビECU27、キーの登録及び照合する照合ECU30、が接続されている。また、カーナビECU27には表示装置28及びスピーカ29が接続されている。
【0036】
照合ECU30は、車両5に登録されているキーを管理する。照合ECU30はイモビライザーのキー認証手順に従って、キーのトランスポンダに内蔵されたキーIDと照合ECUが管理するIDが一致する場合にエンジン始動を許可する。
【0037】
遠隔操作装置(特許請求の範囲における車載端末)は、少なくとも送受信装置21、遠隔操作ECU22及び表示装置28を含み、更に、本実施の形態で説明する注意喚起のための制御に必要な車載装置を含む。
【0038】
送受信装置21は、管理センタ2から送信された操作信号を受信回路により受信して操作信号を復調する。復調された操作信号は遠隔操作ECU22に送出され、遠隔操作ECU22は操作内容を判別し、判別結果に応じて所定のECUと通信する。各ECUは遠隔操作ECU22と通信して各車載装置の状態を遠隔操作ECUに送出したり、遠隔操作ECU22からの制御信号に応じてアクチュエータを駆動してドアをロックするなど所定の車載装置を制御する。
【0039】
車両5はGPS(Global Positioning System)装置を搭載しており、カーナビECU27はGPS衛星から送信される電波の到達時間を利用して現在の位置を検出する。車両情報通信サービスの契約者が離れた場所から車両5の位置を知りたい場合、ユーザAは情報端末4を操作することで、カーナビECU27が駐車前に検出した車両5の位置を、情報端末4の画面上に地図と共に表示することができる。
【0040】
また、バスには制御部31が接続されており、制御部31は近距離通信部32、マイク35及びスピーカ36が接続された音声処理部33及びメモリ34が接続されている。近距離通信部32及び音声処理部33は、図3の近距離通信部41及び音声処理部45と同様の処理を行う。
【0041】
表示装置28は、液晶や有機EL、HUD(Head Up Display)等であり、操作メニューや交通情報、道路地図、目的地までのルート等を表示する。また、表示装置28にタッチパネルを設け、操作を入力可能としてもよい。スピーカ29はカーナビECU27が案内する経路を右左折ポイントなどの手前で音声により出力する。表示装置28やスピーカ29は、その他テレビやラジオなどのメディアや音楽プレーヤ、DVD(Digital Versatile Disk)プレーヤの出力にも使用される。
【0042】
また、管理センタ2がユーザBが車両5の所有者か否かを確認する場合、遠隔操作ECU22は、表示手段28に管理センタ2から送信されるメッセージを表示し、また、スピーカ29から音声を出力する。
【実施例1】
【0043】
本実施例ではユーザBの情報端末4の固有番号を利用して車両5の譲渡を推定し、ユーザBにユーザ確認を行う。車両5の譲渡が推定された場合、管理センタ2は車両5の現在のユーザに、車両5が車両情報通信サービスの契約対象なっている事実を認識させるため、注意喚起するようなメッセージを車両5に送信する。
【0044】
車両5に乗車したユーザBが契約者情報6に登録されている者でない場合、このメッセージによりユーザBは、車両5が車両情報通信サービスの対象なっていて契約が残存している事実を認識できる。車両情報通信サービスの契約が残存していることをユーザBが認識できれば、車両5の駐車場所など車両の情報の取得や車載装置の操作をユーザAに行われる可能性があることを認識できる。
【0045】
始めに、本実施例の管理センタ2について説明する。管理センタ2は、車両5とユーザA(情報端末4)を仲介して種々のサービスをユーザAに提供するものであり、管理センタ2により車両5とユーザAとが所定以上離れていても、第三者の車両5への侵入やエンジン始動等を監視して所有者に通知したり、所有者が車両5を操作することが可能となる。また、車両5のエアバッグが作動した場合や緊急スイッチが押下された場合には車両5から管理センタ2に信号が送信され、警備員の派遣など所定の処理を実行する。
【0046】
管理センタ2は、CPU、ROM、RAM、記憶装置(HDD)、通信装置、NV−RAM、ドライブ装置等が相互にバスで接続されたコンピュータとして構成された、管理サーバとして機能する。また、管理センタ2の記憶装置には、車両情報通信システムの契約者の情報が記憶された契約者情報6が格納されている。
【0047】
図5(a)は、管理センタ2(管理サーバ)の機能ブロック図を示す。図5(a)に示す管理センタ2の機能ブロック図はユーザ確認を支援するためのものであり、送受信部11、操作画面生成部12、車両譲渡推定部13及び契約者情報6とを有するように構成される。
【0048】
送受信部11は、ネットワーク1を介して情報端末4及び車両5と通信するネットワークインターフェイスである。送受信部11は、操作画面生成部12が生成した操作画面の生成情報やメッセージを情報端末4や車両5に送信する。
【0049】
車両譲渡推定部13は、車両5の所有者が変わったこと、本実施例ではユーザAからユーザBに車両5が譲渡されたことを推定する。推定方法については後述するが、情報端末4の固有番号と車両5のキーIDとの組み合わせを例えばイグニションがオンの度に記録し、その組み合わせが変化する場合に車両5が譲渡されたことを推定する。
【0050】
操作画面生成部12は、情報端末4や後述する車両5の表示装置に表示する操作画面の生成情報、ユーザA又はBに連絡するメッセージ等、ユーザとのインターフェイスを生成する。操作画面の生成情報やメッセージは、HTML(HyperText Markup Language)やXML(eXtensible Markup Language)等で記述され、情報端末4や車両5の表示装置が備えるブラウザにより解釈され表示される。
【0051】
管理センタ2の記憶装置には、管理サーバを,操作画面生成部12及び車両譲渡推定部13として機能させるプログラムが格納されており、CPUがこれらのプログラムを実行する事でかかる機能が実現される。
【0052】
契約者情報6について説明する。図5(b)は、管理センタ2に登録されている契約者情報6の一例を示す。ユーザAは管理センタ2と契約を結んでおり契約者は変更されていないので、ユーザAの契約者情報が登録されている。契約者情報6には、契約時に契約毎に付与される契約ID、ユーザAを識別するためのユーザID、氏名、住所、電話番号、性別、年齢が記憶されている。また、契約者情報にはユーザIDと対応づけて契約者を認証するためのパスワードが登録されている。なお、ユーザAの認証に指紋や声紋,顔の輪郭,虹彩、静脈配置などの生体識別情報を用いてもよい。
【0053】
ユーザAが情報端末4を使用して管理センタ2にアクセスする場合、情報端末4を所定のURL(Uniform Resource Locator)に接続することで要求されるユーザIDとパスワードを入力し、管理センタ2に送信する。管理センタ2は入力されたユーザIDとパスワードの整合性をもってユーザAを認証する。
【0054】
認証された所有者が情報端末4の操作画面やメッセージを見て所望の操作を入力すると、情報端末4から送信された操作信号が、携帯電話網やネットワーク1を介し管理センタ2に送信される。管理センタ2は情報端末4から送信された操作信号を受信し、操作内容の解釈、実行可否判定、車両5が解釈可能な操作信号への変換等を行い、送受信部11はそれを車両5へ送信する。
【0055】
続いて、遠隔操作ECU22がキーID及び固有番号とを取得するまでの手順について説明する。
【0056】
制御部31が近距離通信部32により情報端末4の近距離通信部41と通信する処理の流れを図6のフローチャート図に基づき説明する。図6のフローチャート図は、ブルートゥースにより通信する場合の処理である。近距離通信部32は、情報端末4から送信されるデバイス検索信号を受信して、ブルートゥースの認証を行うことで情報端末4との無線接続を確立し、その後に情報通信モードに入る。なお、車両5の近距離通信部41と情報端末4の近距離通信部32は、パスキー(認証鍵又はPIN)により既にペアリングされている。
【0057】
まず、制御部31は、IG(イグニション)又はACC(アクセサリー)がオンであるか否かを判定する(S11)。制御部31はエンジンECU26や電源ECUからIG(イグニション)又はACCの状態を判定する。IG又はACCがオフである場合、ステップS11の判定を繰り返す。
【0058】
IG又はACCがオンである場合(S11のYes)、制御部31は近距離通信部32を起動して、情報端末4の近距離通信部41からの待ち受けを開始する(S12)。
【0059】
ついで、制御部31は情報端末4より送信されるデバイス検索信号を近距離通信部32が受信したか否かを判定する(S13)。デバイス検索信号が受信されれば、ステップS14に進み、受信されなければステップS13の判定を繰り返す。
【0060】
デバイス検索信号が受信された場合(S13のYes)、制御部31は応答送信を行う(S14)。具体的には、入力のあったデバイス検索信号に応答するための信号を送信データとして近距離通信部32に出力する。
【0061】
ついで、制御部31はブルートゥースの認証処理を行う(S15)。具体的には、上記のパスキーを使用して情報端末4と接続を確立する。
【0062】
制御部31は認証に成功したか否かを判定し(S16)、認証に成功しない場合(S16のNo)、処理を終了する。
【0063】
認証に成功したら(S16のYes)、情報端末4と車載装置との間でデータの送受信が可能な情報通信モードとなる(S17)。
【0064】
なお、制御部31は、情報端末4と接続中には、情報端末4から発されたハンズフリー機能実行の命令を近距離通信部32を介して受信し、ハンズフリー機能のプログラムを実行する。このプログラムを実行することで制御部31は、情報端末4が電話通信を行っている通話相手からの音声データを近距離通信部32を介して受信し、この受信した音声データを音声処理部33により処理した後、スピーカ36から出力する。また、マイク35から入力して音声処理部33により処理された車両5内のユーザの音声データを、近距離通信部32を介して情報端末4に送信する。これにより、情報端末4はユーザの音声を通話相手へ送信する。
【0065】
図7は、遠隔操作ECU22が情報端末4の固有番号を取得する処理を示すフローチャート図である。
【0066】
まず、遠隔操作ECU22は情報端末4の固有番号を取得する(S21)。ブルートゥースによる接続が確立し情報通信モードになると、車両5の制御部31は情報端末4の制御部40に固有番号の取得を依頼する。制御部40はメモリ46に記憶されている固有番号を抽出し、ブルートゥース通信により車両5に送信する。
【0067】
ついで、遠隔操作ECU22はキーIDを取得する(S23)。イグニション又はACCはオンとなっているので、キーのトランスポンダに内蔵されたキーIDは照合ECU30に検出されている。検出されていなければ、遠隔操作ECU22が照合ECU30に改めてキーIDの取得を依頼する。
【0068】
遠隔操作ECU22は、例えばIGオンとされた日時と対応づけて固有番号及びキーIDをNV−RAM等に記憶する(S23)。
【0069】
なお、情報端末4側で固有番号の外部への通知を拒否する設定がされている場合、その他の情報端末4の情報、好ましくは固有な情報をキーIDと共に記憶する。例えば、電話番号、メールアドレス、氏名、住所、車両情報通信サービスのユーザID等である。本実施の形態では、ユーザが変わったか否かを判定できればよいので、ユーザを識別可能な情報であれば完全に一意であることが保証されたものでなくてもよい。
【0070】
遠隔操作ECU22は、固有番号及びキーIDを管理センタ2に送信する(S24)。遠隔操作ECU22は、ステップS23のような記憶処理をIGオン毎又は1日1回程度繰り返していくので、管理センタ2への送信処理は1日1回送信すればよい。
【0071】
以上のようにして、管理センタ2は情報端末4の固有番号を利用して車両5に乗車するユーザを認識することができる。管理センタ2の車両譲渡推定部13は、固有番号及びキーIDに基づき、次のようにして車両5の譲渡を推定する。
【0072】
図8(a)は固有番号及びキーIDの組み合わせの記憶内容を時間の経過と共に示す図である。図8(a)では、「A」が所定桁数から成る1つのキーIDを、「B」「C」がそれぞれ1つの情報端末4の固有番号を示す。図の左方向が過去を示す。
【0073】
車両譲渡推定部13は、所定日時t1以前は、キーIDが「A」固有番号が「B」であったが、所定日時t1以降は、キーIDは「A」のままで固有番号が「C」となることを検出する。車両譲渡推定部13は、固有番号が変化したことにより車両5が譲渡されたものと推定する。なお、キーIDが「A」から「C」に変化した直後は、例えば、車両5を単に貸与しただけの場合があるため、3日から1週間程度、変化した後の組み合わせが継続した場合に、車両譲渡推定部13は車両5が譲渡されたものと推定する。なお、固有番号が契約者情報6に記憶されている場合、記憶された固有番号と比較してもよい。
【0074】
操作画面生成部12は、車両譲渡推定部13が車両の譲渡を推定したことを受けて、車両5の表示装置28に表示する操作画面の生成情報及びメッセージを生成し、送受信部11により車両5に送信する。車両5の遠隔操作ECU22は受信したメッセージ及び操作画面をカーナビECU27に表示させる。車両5にユーザBが乗車していない場合は、メッセージ及び操作画面を記憶しておき、イグニッションがオンとされたら表示する。
【0075】
図9(a)は、表示装置28に表示されるメッセージの一例を示す。図9(a)では「A様、いつもご利用ありがとうございます。」というメッセージを表示している。ユーザBは、このようなメッセージが管理センタ2から表示される事で、メッセージの配信という事実や配信元等から車両情報通信サービスが利用されている事に気づく事ができる。
【0076】
また、メッセージにおいて「A様」とは契約者として契約者情報6に記録されているユーザAの氏名である。車両5はユーザBが使用しているので、「A様、…」というメッセージはユーザBが見る事になる。ユーザBは「A様」という問いかけに対して、自分と異なる氏名でありまた車両5の前所有者の氏名である事から車両情報通信サービスの存在を認識することができる。
【0077】
また、車両の譲渡が行われていない場合であっても、「いつもご利用ありがとうございます。」というメッセージであれば、契約者の確認であることを印象づけるおそれが少ない。メッセージを季節や時刻に応じて変更すれば、メッセージが単調に成らず好適である。
【0078】
なお、メッセージの内容として図9(a)では氏名としたが、電話番号や住所等、ユーザBにユーザAを意識させる内容であればよく、契約者情報6の内容全てが該当しうる。
【0079】
また、メッセージとして車両情報通信サービスのサービス内容を表示してもよい。図9(b)はサービス内容として表示されたメッセージの一例を示す。図9(b)では「いつもご利用ありがとうございます。本サービスは、車両情報を取得したり車載装置を操作することが可能です。」と表示されるので、ユーザBは、車両5の情報を取得されるおそれがあることを認識できる。また、サービス内容には、サービスの具体的な内容だけでなくサービス名、提供元、運営元、広告、ロゴ表示、有料サービスであること等を含めてもよい。
【0080】
なお、車両5の譲渡が行われなくてもユーザAが情報端末4を買い換えた場合に固有番号が変化する。このような場合を想定すれば、例えば、「A様、新しい情報端末4の調子はいかがですか?」というようなメッセージを表示してもよい。このようなメッセージであれば、「A様」という問いかけによりユーザBに注意喚起することもでき、車両5が譲渡されていない場合は情報端末4について問いかけるのでユーザAに煩わしさを感じさせない。
【0081】
ところで、固有番号が変化した場合であっても、車両5を複数のユーザが利用する場合等、車両5の譲渡があったとは限らない。図8(b)は固有番号及びキーIDの組み合わせの別の例を時間の経過と共に示す図である。
【0082】
図8(b)では、所定日時t2以降は「C」という固有番号が現れるが、「B」の固有番号がなくなるわけでなく「C」と「B」が不規則に表示されている。このような状態では、車両5の譲渡があったか否かが不明であり、車両5の譲渡がなくても次のような場合に生じうる。
・車両5を複数のユーザが利用している。
・1人のユーザが複数の情報端末4を所持している。
【0083】
そこで、車両譲渡推定部13は、所定日時t2以降に「C」という固有番号が所定回数以上現れたら、車両5が譲渡されたものと推定する。車両5が譲渡されている場合、ユーザBが所定回数以上車両5を使用していることになるため、車両5が車両情報通信サービスの対象となっていることを通知した方が好ましいからである。例えば、5回新たな固有番号「C」が現れたら車両5の譲渡を推定する場合、図7(b)では日時t3に、既に車両5は譲渡されているものと推定する。
【0084】
しかしながら、「C」という固有番号が現れた回数のみでは、複数のユーザで車両5を使い分けている場合でも時間の経過と共にいずれは車両5が譲渡されたものと推定されてしまうので、所定期間内に固有番号「C」が現れる回数に基づき推定してもよい。例えば、車両譲渡推定部13は直近の1週間に4回以上、固有番号「C」が現れたら車両5が譲渡されたものと推定するのであれば、図7(b)では日時t4に、既に車両5は譲渡されているものと推定する(図7(b)が1日1回乗車していることを表す場合)。なお、回数でなく、所定期間内の「B」と「C」の比率に基づき判定してもよい。
【0085】
所定期間内の回数又は比率で譲渡を判定すると、少なくとも所定期間経過してしまうため、「C」という固有番号が連続して所定回数以上現れた場合に、車両5が譲渡されたものと推定してもよい。例えば、連続して2回以上新たな固有番号が現れたら譲渡を推定する場合、図7(b)では日時t5に、既に車両5は譲渡されているものと推定する。新たな固有番号が連続して現れる回数に基づき判定すれば、より短期間に車両5の譲渡を検出できる。
【0086】
なお、このように回数又は比率に基づき判定した場合でも、車両5が譲渡されていない可能性が少なくないため、表示装置28に表示するメッセージはよりソフトなものにすることが好適である。図9(c)は、回数又は比率に基づき判定した場合に表示装置28に表示されるメッセージの一例を示す。図9(c)では「A様、お車の調子は如何ですか?」と表示されているが、このように問いかけるようなメッセージであれば、車両5が譲渡されていない場合であってもユーザAは煩わしさを感じない。また、車両5が譲渡されている場合、「A様」という表示や、このようなメッセージが管理センタ2から表示される事で、メッセージの配信という事実や配信元等から、ユーザBは車両情報通信サービスの契約が継続している事に気づく事ができる。
【0087】
なお、本実施例では、車両5から管理センタ2にキーID及び固有番号を送信し、管理センタ2が車両5の譲渡を検出することとしたが、車両5が譲渡を推定してもよい。車両5が譲渡を検出する場合、遠隔操作ECU22がキーID及び固有番号の組み合わせの履歴を記憶しておき、上記と同様に譲渡を推定する。
【0088】
本実施例によれば、以前と異なる情報端末4が車内に持ち込まれた場合に車両5の譲渡を推定して、ユーザを確認することができる。情報端末4は意識せずに車内に持ち込むことが多いため、ブルートゥースを利用すればユーザBが特別な操作をしなくても車両5の譲渡を推定できる。また、以前と異なる情報端末4が車内に持ちこまれた場合に、メッセージが表示されるので、車両情報通信サービスの利用者に煩わしさを感じさせる事が防止できる。また、定期的(例えば、1ヶ月毎)に契約者の名前を表示するのではないため、メッセージの効果が薄れる事もない。
【実施例2】
【0089】
本実施例では、管理センタ2から定期的に所有者を確認する車両情報通信システムについて説明する。車両5の所有者が変わった場合、車両情報通信システムのサービスも新たな車両の所有者が享受するべきと考えられる。このため、管理センタ2は定期的に所有者が変わったか否かを確認するための処理を実行する。
【0090】
図10は、本実施例における管理センタ2(管理サーバ)の機能ブロック図を示す。なお、図10において図5(a)と同一構成部には同一の符号を付しその説明は省略する。図10の管理センタ2は契約者確認部14を有する点で図5(a)と異なる。なお、車両5の機能ブロック図は図3と同様である。
【0091】
契約者確認部14について詳しくは後述するが、契約者確認部14は車両5の所有者が契約者と同じか否かを確認するためユーザに所定の応答を求める要求メッセージを車両5の表示装置28に表示する。そして、ユーザの応答に基づき車両5のユーザが契約者と同じか否かを確認する。
【0092】
図11は、ユーザの確認のために定期的に車両5に要求メッセージを表示するまでの概略を示す。
T1:車両5のユーザA(1stオーナ)は、車両情報通信サービスの契約者もユーザAである。
T2:ユーザAが車両5をユーザB(2ndオーナ)に譲渡する。譲渡の際、ユーザAは車両情報通信サービスを解約しておらず、また、ユーザBに車両情報通信サービスやその契約の有無についても説明していない。
T3:定期的に管理センタ2が契約者を確認するための要求メッセージを車両5に表示し、スピーカ29からその旨の音声が出力される。
【0093】
この要求メッセージは、車両5に乗車していなければ分からない応答を要求するものであり、その応答の内容により現在の車両5の所有者を確認する。
【0094】
図12は、管理センタ2の契約者確認部14が車両5に要求メッセージを表示するまでの処理手順を示すフローチャート図である。
【0095】
管理センタ2の契約者確認部14は定期的に車両5のユーザが変わったか否かを判定するため、所定期間が経過したか否かを判定する(S101)。所定期間は例えば月に1回程度であるが、頻繁に車両を使用する場合には早めにユーザの変更を検出する方が好ましいので、イグニッションオンの回数が所定以上になった場合としてもよい。この場合は、ユーザの煩わしさを防止するため、月2回まで等の上限を定める。
【0096】
所定期間が経過した場合、操作画面生成部12は車両5に表示する要求メッセージを生成し、送受信部11は生成された要求メッセージを車両5に送信する(S102)。操作画面生成部12は契約者情報6を参照し契約者の氏名など必要な情報を抽出する。
【0097】
車両5の送受信装置21は管理センタ2から要求メッセージを受信し、カーナビECU27に表示させる(S103)。車両5にユーザBが乗車していない場合は、要求メッセージ及び操作画面を記憶しておき、イグニッションがオンとされたら表示する。
【0098】
図13(a)は車両5の表示装置28に表示される要求メッセージの一例を示す。図13(a)には「来月も車両情報通信サービスをご利用なさいますか? A様、確認のため下記の電話番号に電話をおかけください。0186−090−****−**** 」と表示されている。
【0099】
ユーザBが指示に従い情報端末4から電話番号を入力すると、先頭の番号「0186」は発信者番号通知であるので、車両5のユーザの情報端末4の電話番号が管理センタ2の指定した電話先に通知される。
【0100】
なお、表示される電話番号は、毎回変更されるワンタイムの電話番号であるため、車両5を譲渡したユーザAは知ることができず、ユーザAが車両5の譲渡がなかったように偽装することはできない。
【0101】
管理センタ2の契約者確認部14は、通知された電話番号と契約者情報6に記憶されたユーザAの電話番号に基づき応答内容を確認する(S104)。2つの電話番号が一致している場合、契約者確認部14はそのまま処理を終了し、所定期間が経過したら同様の処理を繰り返す。
【0102】
また、契約者確認部14は、通知された電話番号が契約者情報6の電話番号と異なる場合、ユーザが変更されたものと判定して契約者変更処理を行う(S105)。契約者確認処理については後述する。
【0103】
なお、ユーザA又はBが指定された電話番号に電話をかけない場合には、契約者の確認ができないので、2つの電話番号が異なる場合と同様に契約者確認処理を行う。
【0104】
以上のように、ユーザBに応答を求める要求メッセージを送信し、その応答を利用して車両5の譲渡の有無を確認することができる。
【0105】
続いて、要求メッセージの別の形態について説明する。所有者が車両5に乗車していることを確認するには、車両5にのみ表示される情報を利用すればよい。図14は、管理センタ2が車両5に要求メッセージを表示するまでの処理手順を示すフローチャート図である。
【0106】
図12と同様に、所定期間が経過した場合、操作画面生成部12は車両5に表示するメッセージを生成し、送受信部11は生成された要求メッセージを車両5に送信する(S201〜202)。操作画面生成部12は契約者情報6を参照し契約者の氏名など必要な情報を抽出する。
【0107】
車両5の送受信装置21は管理センタ2から要求メッセージを受信し、カーナビECU27に表示させる(S203)。車両5にユーザBが乗車していない場合は、要求メッセージ及び操作画面を記憶しておき、イグニッションがオンとされたら表示する。
【0108】
図13(b)は、車両5の表示装置28に表示される要求メッセージの一例を示す。図13(b)には「TRIPメータの値を入力し、送信ボタンを押してください。」と表示されている。TRIPメータは、ユーザがリセットするまで累積される走行距離であるが、通常、車両には1〜3種類位のTRIPメータの値が表示可能となっているので、この中から車両に乗車しないと見ることのできないTRIPメータを指定して、ユーザにその値を入力させる。
【0109】
ついで、契約者確認部14は車両5から情報を取得するための情報取得命令を生成し、車両5に送信する(S204)。ここで取得を要求する情報は、ステップS203でユーザに入力を要求した情報と同じものである。
【0110】
情報取得命令を受信した遠隔操作ECU22は、命令の内容を判別してTRIPメータの値を管理するECUからTRIPメータ値を取得する(S205)。遠隔操作ECU22は、TRIPメータ値を車両情報として管理センタ2に送信する。
【0111】
また、ユーザBは車両に乗車しエンジンを始動してTRIPメータの値が表示されると、数値を入力する。数値は表示装置28に表示されたキーボードを選択すれば入力される。そして、送信ボタン等を選択することで、入力されたTRIPメータの値が入力情報として管理センタ2に送信される(S207)。
【0112】
管理センタ2は、車両情報と入力情報を受信するので(S206、S208)、それらの値が一致するか否かを照合する(S209)。車両情報と入力情報が一致する場合、契約者確認部14はそのまま処理を終了し、所定期間が経過したら同様の処理を繰り返す。
【0113】
また、契約者確認部14は、車両情報と入力情報が一致しない場合、ユーザが変更されたものと判定して契約者変更処理を行う(S105)。契約者確認処理については後述する。
【0114】
TRIPメータの値は、車両5に乗車してエンジンをかけないと知ることができないので、このような値を契約者確認のための使用することができる。したがって、本実施例で要求する車両5の情報は、車両5に乗車してエンジンをかけないと知ることができない情報であればよく、例えば、ODDメータの値であってもよい。なお、照合に使用する値は、情報端末4からでは参照できないものであることが好ましい。
【0115】
また、このような値は車両5に乗車して走行するたびに増えていくので、ワンタイムの電話番号と同様、一度限り有効な値となるので漏洩するおそれも少ない。
【0116】
契約者変更処理について図15のフローチャート図に基づき説明する。ユーザの電話番号又はTRIPメータの値に基づき、車両5の譲渡があったことが判定された。しかしながら、情報端末4を変えた可能性やTRIPメータの値の入力ミス等も考えられるため、契約者確認手段14はもう一度車両5のユーザの変更があったかな否かを確認する(S301)。例えば、図12又は図14と同じ処理を繰り返してもよいし、確認のためのメッセージ(例えば、「あなたはA様ですか?」「車両5の所有者様ですか?」等)を改めて送信してもよい。
【0117】
確認の結果、所有者が変わっていた場合(ユーザBが車両5を使用していた場合)、管理センタ2はユーザAの情報端末4から車両情報通信サービスの利用を禁止する(S301)。例えば、ユーザAのユーザIDとパスワードによりアクセスがあった場合にログインを禁止してもよいし、ログイン後に「A様のご利用は禁止されております」と表示してもよい。
【0118】
また、管理センタ2は、ユーザBによる車両情報通信サービスの利用を許可する(S303)。例えば、管理センタ2は、仮のパスワードを発行すると共にユーザBの電話番号を仮のユーザIDとして管理センタ2へのログインを許可する。なお、正式なユーザID及びパスワードはユーザBの住所に郵送する。
【0119】
このような処理により、車両5のユーザと車両情報通信サービスの契約者とが異なっていることが確認されたら、車両情報通信サービスの契約者と車両5のユーザを一致させることができる。
【0120】
以上のように、本実施例によれば、情報端末の電話番号又は車両5の所有者でなければ入手できない情報を利用して車両5の所有者が変わったことを検出でき、車両5が譲渡された場合には元の所有者による車両情報通信サービスの利用を禁止することができる。また、所定期間毎に行われるので車両5を譲渡していなくても煩わしさを感じることが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】車両の所有者と車両情報通信サービスの契約者とが異なっている場合の関係を示す図である。
【図2】車両情報通信システムの全体構成図である。
【図3】情報端末の機能ブロック図である。
【図4】車両の有する車載装置の機能ブロック図である。
【図5】管理センタ(管理サーバ)の機能ブロック図である。
【図6】車載装置と情報端末とが通信する処理の流れを示すフローチャート図である。
【図7】遠隔操作ECUが情報端末の固有番号を取得する処理を示すフローチャート図である。
【図8】固有番号及びキーIDの組み合わせの記憶内容を時間の経過と共に示す図である。
【図9】表示装置に表示されるメッセージの一例を示す図である。
【図10】実施例2における管理センタ2(管理サーバ)の機能ブロック図である。
【図11】ユーザの確認のために定期的に車両に要求メッセージを表示するまでの概略を示す図である。
【図12】契約者確認部が車両に要求メッセージを表示するまでの処理手順を示すフローチャート図である。
【図13】車両の表示装置28に表示される要求メッセージの一例を示す図である。
【図14】契約者確認部が車両に要求メッセージを表示するまでの処理手順を示すフローチャート図である。
【図15】契約者変更処理のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0122】
1 ネットワーク
2 管理センタ
4 情報端末
5 車両
6 契約者情報
12 操作画面生成部
13 車両譲渡推定部
14 契約者確認部
22 遠隔操作ECU
31 整備端末
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの使用する情報端末から管理センタを介して車載装置と通信する車両情報通信システム、管理サーバ、車載端末及び車両情報通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車を中心とした車両情報提供サービス(テレマティクスサービス)の高度化が推進されており、車両と運転者(所有者)を仲介して種々のサービスを所有者に提供したり、種々の情報そのものを双方向でやり取りすることが容易になってきている(例えば、特許文献1参照。)。車両情報通信サービスでは、車両と所有者とが離れた場所にあっても管理センタを介して車両と所有者が携帯する情報端末とが通信することができ、所有者は情報端末を操作して、遠隔地から車両の駐車場所を調べたりエンジン始動の検出通知を受信することができる。したがって、車両情報提供サービスの契約者は、車両から離れていても車両の状況に関する情報を取得したり、車載装置を操作すること等が可能となる。
【0003】
車両情報通信サービスを利用する場合、契約者は、予め、管理センタと所定の契約を行い住所、氏名、携帯電話番号等の契約者情報と認証のためのパスワード等を登録しておく。契約者が遠隔地からリモート操作により車両の情報を取得するような場合、情報端末から認証操作を行うことで本人確認が得られ、車両情報提供サービスが提供する種々のサービスを利用可能となる。
【特許文献1】特開2004−102939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両はオークションや個人間の売買によっても所有者が移転することが少なくないが、車両情報通信サービスと契約したままの車両について個人売買や貸与などが行われると、車両情報通信サービスの契約者と車両の所有者に齟齬が生じる。
【0005】
図1は、車両の所有者と車両情報通信サービスの契約者とが異なっている場合の関係を示す図である。車両5のユーザA(契約者)は車両情報通信サービスの契約を管理センタ2と結び、その後、車両5をユーザBに譲渡した。ユーザAが契約を解除しない場合、ユーザAと車両情報通信サービスとの間に契約が残存したまま、ユーザBが車両5を運転することとなる。ユーザBが新たに車両情報通信サービスと契約すれば、車体番号等により車両5に車両情報通信サービスとの間に契約が残存していることが判明する場合があるが、ユーザBが車両情報通信サービスと契約するとは限らず、また、同じ車両情報通信サービスの運営者と契約するとも限らない。
【0006】
このように、いったん車両の所有者と車両情報通信サービスの契約者とが異なってしまうと、車両情報通信サービスでは車両5の側から所有者に契約者の認証を要求することは少ないため、車両5に乗車したユーザBは車両情報通信サービスの契約が残存していることに気づかないまま車両5を使用することが多い。
【0007】
したがって、図1のように契約者と所有者とが異なった場合、ユーザAが情報端末によりリモート操作をして、車両5の場所や車両情報の取得をしたり車載装置を操作するなど、ユーザBが望まない行為をユーザBの気づかないうちに働くおそれがあるという問題がある。
【0008】
このような行為を防止するため、車両5の現在の使用者であるユーザBが契約した本人か否かを確認することが望ましいが、管理センタ2や車両5は車両5の譲受の有無やそのタイミングを知らないので乗車の度など定期的に確認作業を行う事となり、車両のユーザに煩わしさを感じさせるという不都合が生じる。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑み、車両情報通信サービスの利用者に煩わしさを感じさせずに、車両のユーザが車両情報通信サービスの契約が継続していることを認識できる車両情報通信システム、管理サーバ、車載端末及び車両情報通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑み、本発明は、ユーザが使用する情報端末から管理センタを介して車載装置と通信可能な車両情報通信システムにおいて、車載装置が以前と異なる情報端末を検出した場合、管理センタが車両のユーザを確認するためのユーザ確認処理を行う、ことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、車両情報通信サービスの利用者に煩わしさを感じさせずに、車両情報通信サービスの契約が継続していることを認識させることができる車両情報通信サービスの契約が継続していることを認識した車両のユーザは、契約を解除できるので車両を譲渡したユーザが所有者又は車両に不測の行為を働くことが防止できる。
【0012】
また、本発明の車両情報通信システムの一形態において、以前と異なる情報端末を車載装置が所定回数以上検出した場合、管理センタがユーザ確認処理を行う、ことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、以前と異なる情報端末を所定回数以上検出した場合にユーザ確認するので、単なる貸与を除外してユーザ確認できる。
【0014】
また、所定回数は所定期間内における回数とすれば、複数のユーザで1つの車両を使用している場合を除外してユーザ確認することができる。
【0015】
また、以前と異なる情報端末と同一の情報端末が連続して所定回数以上検出された場合、ユーザ確認処理を行うこととすれば、所定期間の経過を待たずにユーザ確認することができる。
【0016】
また、本発明の車両情報通信システムの一形態において、車載装置はブルートゥース通信により情報端末を検出することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、ユーザが特に操作することなく以前と異なる情報端末の検出が可能となる。
【0018】
また、本発明の車両情報通信システムの一形態において、ユーザ確認処理は、当該車両情報通信システムの契約者の情報をユーザに通知する処理である、ことを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、契約者の情報を新たなユーザが知覚することで車両情報通信サービスの契約が継続していることを認識することができる。
【発明の効果】
【0020】
車両情報通信サービスの利用者に煩わしさを感じさせずに、車両のユーザが車両情報通信サービスの契約が継続していることを認識できる車両情報通信システム、管理サーバ、車載端末及び車両情報通信方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【0022】
図2は、本実施の形態に係る車両情報通信システムの全体構成図を示す。このシステムにより車両情報通信サービスが提供される。車両情報通信システムは、車両5と情報端末4を仲介し車両5から情報を取得したり車両5をリモート操作するなどの種々のサービスを所有者(ユーザA又はB)に提供する管理センタ2と、ユーザBが所有する車両5と、ユーザAが使用する情報端末4とがネットワーク1を介して構成される。
【0023】
図2では、ユーザAが過去に車両5の所有者だった者であり、車両情報通信サービスの契約者である。また、ユーザBはユーザAから車両5を譲渡された者であり、現在の車両5の所有者である。なお、所有者とは車両5を支配する権利を有するものであるが、本実施の形態ではそこまで厳密なものではなく、所定期間、車両5を使用することができる者であれば所有者と称す。また、単にユーザといった場合に所有者を意味する場合がある。
【0024】
管理センタ2は、インターネット等のネットワーク1に接続されている。また、車両5及び情報端末4は、ネットワーク1に接続された基地局3又は7と無線又は有線で通信可能に構成されている。通信方式の形態は、例えば、基地局3又は7から管理センタ2までは公衆電話交換網(PSTN)やデジタル通信ネットワーク(ISDN)、光ファイバ等の有線で接続され、基地局3又は7から情報端末4又は車両5までは携帯電話網、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、衛星電話、ビーコン等の無線で接続される。データの送受信には例えばTCP(Transmission Control Protocol )/IP(Internet Protocol)等のプロトコルと上位互換であるHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)、MIME(Multipurpose Internet Mail Extension)等のプロトコルが使用される。
【0025】
情報端末4は、携帯電話、携帯コンピュータ、電子手帳(パーソナル・ディジタル・アシスタント(PDA))、PHS(Personal Handyphone System)、携帯ゲーム機等である。情報端末4は、比較的遠距離にある基地局3に接続しネットワーク1を介して管理センタ2と通信する遠距離通信機能と、車両5の車載装置と直接に通信する近距離通信機能とを有する。
【0026】
図3は、情報端末4の機能ブロック図を示す。情報端末4は、近距離通信部41、表示部42、操作部43、遠距離通信部44、音声処理部45、メモリ46、スピーカ47、マイク48及び制御部40を有する。
【0027】
表示部42は液晶等の情報端末4の画面表示装置であり、制御部40から出力される表示データをこの表示部42に表示させる。また、操作部43は、押しボタン等のメカニカルスイッチ、表示面に重ねて設けられたタッチパネル、スクロールキー等から成り、これらが操作されると操作内容に基づいた信号を制御部40に出力する。
【0028】
近距離通信部41は、ブルートゥース、無線LAN、赤外線通信、有線接続等により車載装置と通信する。ブルートゥースの場合、アンテナが受信した信号に対して増幅、周波数変換、復調、A/D変換等、所定のブルートゥースの無線通信プロトコルに従った処理を施し、処理の結果得られた信号を制御部40に出力する。また、近距離通信部41は、制御部40から入力されたデータに対してD/A変換、変調、周波数変換、増幅等、所定のブルートゥースの無線通信プロトコルに従った処理を施し、その結果の電波をアンテナから出力する。
【0029】
ブルートゥースでは通信する機器の種類ごとに策定されたプロトコル(プロファイル)があり、HSP(Headset Profile)ではブルートゥースを搭載したヘッドセット(マイク及びイヤフォン)と情報端末4との通信が可能となる。また、HFP (Hands-Free Profile)では、情報端末4と車載装置を接続し車両のマイクやスピーカを使用したハンズフリー通話を可能とする。また、SPP(Serial Port Profile)では、ブルートゥース機器に仮想のシリアルポートを作り、情報端末4から車載装置へ(又はその逆)データ転送することを可能とする。
【0030】
なお、有線型のハンズフリー装置のように情報端末4と車載装置を有線で接続した場合所定のプロトコルでデータを通信し、無線LANで接続した場合IP等の所定のプロトコルでデータを転送する。
【0031】
遠距離通信部44は、通話アンテナ31が受信した信号に対して増幅、周波数変換、復調、A/D変換等、所定のセルラー通話のプロトコル(PDC(Personal Digital Cellular)、CDMA(Code Division Multiple Access)、GSM(Global System for Mobile Communications)等)に従った処理を施し、その結果を制御部40に出力する。また遠距離通信部44は、制御部40から入力されたデータに対してD/A変換、変調、周波数変換、増幅等、所定のセルラー通話のプロトコルに従った処理を施し、処理結果の信号をアンテナに出力する。
【0032】
メモリ46は、図示しないROM、RAM、NV−RAM(Non Volatile RAM)等から成る。ROMやフラッシュメモリには、制御部40が読み出して実行するプログラム、当該情報端末4の電話番号、情報端末固有の固有番号、等が記憶されている。
【0033】
音声処理部45は、マイク48から入力された音声信号をデジタルデータに変換して制御部40に出力し、また制御部40から入力されたデジタルデータを音声信号に変換してスピーカ47に出力する。
【0034】
制御部40は、CPUと入出力部等から成り、メモリ46から読み出したプログラムを実行する。制御部40は、実行するプログラム、操作部42からの信号、近距離通信部41及び遠距離通信部44からの受信データ、音声処理部45からの音声データに基づいた処理を行う。例えば、制御部40は、メモリ46に格納されたブラウザプログラムやメールプログラムを実行して、管理センタ2から受信した操作画面やメッセージを表示する。また、情報端末4が車両5から所定範囲に近づけたり有線で接続されると、制御部40はメモリ46から取得した固有番号を車載装置5に送信する。
【0035】
車両5について説明する。図4は、車両5の有する車載装置の機能ブロック図を示す。車両5は、管理センタ2から送信された操作信号を受信し、また操作信号に応じた車両の情報や操作結果を管理センタ2に送信する送受信装置21、車両5のリモート操作を制御する遠隔操作ECU(Electrical Control Unit)22を有する。遠隔操作ECU22は、CAN(Controller Area Network)等のプロトコルによりバス接続された種々の車載ECUと通信可能に接続されている。図4では一例として、ドアの開閉やウィンドウの開閉を制御するドア制御ECU23、車内や車外の温度、設定温度等に基づき空調するエアコンECU24、駐車中の車両への振動や車内への侵入を検知するセキュリティECU25、エンジンの運転状態を検知し燃料噴射制御や点火時期制御、アイドル回転数制御を行うエンジンECU26、ナビゲーションシステムを制御するカーナビECU27、キーの登録及び照合する照合ECU30、が接続されている。また、カーナビECU27には表示装置28及びスピーカ29が接続されている。
【0036】
照合ECU30は、車両5に登録されているキーを管理する。照合ECU30はイモビライザーのキー認証手順に従って、キーのトランスポンダに内蔵されたキーIDと照合ECUが管理するIDが一致する場合にエンジン始動を許可する。
【0037】
遠隔操作装置(特許請求の範囲における車載端末)は、少なくとも送受信装置21、遠隔操作ECU22及び表示装置28を含み、更に、本実施の形態で説明する注意喚起のための制御に必要な車載装置を含む。
【0038】
送受信装置21は、管理センタ2から送信された操作信号を受信回路により受信して操作信号を復調する。復調された操作信号は遠隔操作ECU22に送出され、遠隔操作ECU22は操作内容を判別し、判別結果に応じて所定のECUと通信する。各ECUは遠隔操作ECU22と通信して各車載装置の状態を遠隔操作ECUに送出したり、遠隔操作ECU22からの制御信号に応じてアクチュエータを駆動してドアをロックするなど所定の車載装置を制御する。
【0039】
車両5はGPS(Global Positioning System)装置を搭載しており、カーナビECU27はGPS衛星から送信される電波の到達時間を利用して現在の位置を検出する。車両情報通信サービスの契約者が離れた場所から車両5の位置を知りたい場合、ユーザAは情報端末4を操作することで、カーナビECU27が駐車前に検出した車両5の位置を、情報端末4の画面上に地図と共に表示することができる。
【0040】
また、バスには制御部31が接続されており、制御部31は近距離通信部32、マイク35及びスピーカ36が接続された音声処理部33及びメモリ34が接続されている。近距離通信部32及び音声処理部33は、図3の近距離通信部41及び音声処理部45と同様の処理を行う。
【0041】
表示装置28は、液晶や有機EL、HUD(Head Up Display)等であり、操作メニューや交通情報、道路地図、目的地までのルート等を表示する。また、表示装置28にタッチパネルを設け、操作を入力可能としてもよい。スピーカ29はカーナビECU27が案内する経路を右左折ポイントなどの手前で音声により出力する。表示装置28やスピーカ29は、その他テレビやラジオなどのメディアや音楽プレーヤ、DVD(Digital Versatile Disk)プレーヤの出力にも使用される。
【0042】
また、管理センタ2がユーザBが車両5の所有者か否かを確認する場合、遠隔操作ECU22は、表示手段28に管理センタ2から送信されるメッセージを表示し、また、スピーカ29から音声を出力する。
【実施例1】
【0043】
本実施例ではユーザBの情報端末4の固有番号を利用して車両5の譲渡を推定し、ユーザBにユーザ確認を行う。車両5の譲渡が推定された場合、管理センタ2は車両5の現在のユーザに、車両5が車両情報通信サービスの契約対象なっている事実を認識させるため、注意喚起するようなメッセージを車両5に送信する。
【0044】
車両5に乗車したユーザBが契約者情報6に登録されている者でない場合、このメッセージによりユーザBは、車両5が車両情報通信サービスの対象なっていて契約が残存している事実を認識できる。車両情報通信サービスの契約が残存していることをユーザBが認識できれば、車両5の駐車場所など車両の情報の取得や車載装置の操作をユーザAに行われる可能性があることを認識できる。
【0045】
始めに、本実施例の管理センタ2について説明する。管理センタ2は、車両5とユーザA(情報端末4)を仲介して種々のサービスをユーザAに提供するものであり、管理センタ2により車両5とユーザAとが所定以上離れていても、第三者の車両5への侵入やエンジン始動等を監視して所有者に通知したり、所有者が車両5を操作することが可能となる。また、車両5のエアバッグが作動した場合や緊急スイッチが押下された場合には車両5から管理センタ2に信号が送信され、警備員の派遣など所定の処理を実行する。
【0046】
管理センタ2は、CPU、ROM、RAM、記憶装置(HDD)、通信装置、NV−RAM、ドライブ装置等が相互にバスで接続されたコンピュータとして構成された、管理サーバとして機能する。また、管理センタ2の記憶装置には、車両情報通信システムの契約者の情報が記憶された契約者情報6が格納されている。
【0047】
図5(a)は、管理センタ2(管理サーバ)の機能ブロック図を示す。図5(a)に示す管理センタ2の機能ブロック図はユーザ確認を支援するためのものであり、送受信部11、操作画面生成部12、車両譲渡推定部13及び契約者情報6とを有するように構成される。
【0048】
送受信部11は、ネットワーク1を介して情報端末4及び車両5と通信するネットワークインターフェイスである。送受信部11は、操作画面生成部12が生成した操作画面の生成情報やメッセージを情報端末4や車両5に送信する。
【0049】
車両譲渡推定部13は、車両5の所有者が変わったこと、本実施例ではユーザAからユーザBに車両5が譲渡されたことを推定する。推定方法については後述するが、情報端末4の固有番号と車両5のキーIDとの組み合わせを例えばイグニションがオンの度に記録し、その組み合わせが変化する場合に車両5が譲渡されたことを推定する。
【0050】
操作画面生成部12は、情報端末4や後述する車両5の表示装置に表示する操作画面の生成情報、ユーザA又はBに連絡するメッセージ等、ユーザとのインターフェイスを生成する。操作画面の生成情報やメッセージは、HTML(HyperText Markup Language)やXML(eXtensible Markup Language)等で記述され、情報端末4や車両5の表示装置が備えるブラウザにより解釈され表示される。
【0051】
管理センタ2の記憶装置には、管理サーバを,操作画面生成部12及び車両譲渡推定部13として機能させるプログラムが格納されており、CPUがこれらのプログラムを実行する事でかかる機能が実現される。
【0052】
契約者情報6について説明する。図5(b)は、管理センタ2に登録されている契約者情報6の一例を示す。ユーザAは管理センタ2と契約を結んでおり契約者は変更されていないので、ユーザAの契約者情報が登録されている。契約者情報6には、契約時に契約毎に付与される契約ID、ユーザAを識別するためのユーザID、氏名、住所、電話番号、性別、年齢が記憶されている。また、契約者情報にはユーザIDと対応づけて契約者を認証するためのパスワードが登録されている。なお、ユーザAの認証に指紋や声紋,顔の輪郭,虹彩、静脈配置などの生体識別情報を用いてもよい。
【0053】
ユーザAが情報端末4を使用して管理センタ2にアクセスする場合、情報端末4を所定のURL(Uniform Resource Locator)に接続することで要求されるユーザIDとパスワードを入力し、管理センタ2に送信する。管理センタ2は入力されたユーザIDとパスワードの整合性をもってユーザAを認証する。
【0054】
認証された所有者が情報端末4の操作画面やメッセージを見て所望の操作を入力すると、情報端末4から送信された操作信号が、携帯電話網やネットワーク1を介し管理センタ2に送信される。管理センタ2は情報端末4から送信された操作信号を受信し、操作内容の解釈、実行可否判定、車両5が解釈可能な操作信号への変換等を行い、送受信部11はそれを車両5へ送信する。
【0055】
続いて、遠隔操作ECU22がキーID及び固有番号とを取得するまでの手順について説明する。
【0056】
制御部31が近距離通信部32により情報端末4の近距離通信部41と通信する処理の流れを図6のフローチャート図に基づき説明する。図6のフローチャート図は、ブルートゥースにより通信する場合の処理である。近距離通信部32は、情報端末4から送信されるデバイス検索信号を受信して、ブルートゥースの認証を行うことで情報端末4との無線接続を確立し、その後に情報通信モードに入る。なお、車両5の近距離通信部41と情報端末4の近距離通信部32は、パスキー(認証鍵又はPIN)により既にペアリングされている。
【0057】
まず、制御部31は、IG(イグニション)又はACC(アクセサリー)がオンであるか否かを判定する(S11)。制御部31はエンジンECU26や電源ECUからIG(イグニション)又はACCの状態を判定する。IG又はACCがオフである場合、ステップS11の判定を繰り返す。
【0058】
IG又はACCがオンである場合(S11のYes)、制御部31は近距離通信部32を起動して、情報端末4の近距離通信部41からの待ち受けを開始する(S12)。
【0059】
ついで、制御部31は情報端末4より送信されるデバイス検索信号を近距離通信部32が受信したか否かを判定する(S13)。デバイス検索信号が受信されれば、ステップS14に進み、受信されなければステップS13の判定を繰り返す。
【0060】
デバイス検索信号が受信された場合(S13のYes)、制御部31は応答送信を行う(S14)。具体的には、入力のあったデバイス検索信号に応答するための信号を送信データとして近距離通信部32に出力する。
【0061】
ついで、制御部31はブルートゥースの認証処理を行う(S15)。具体的には、上記のパスキーを使用して情報端末4と接続を確立する。
【0062】
制御部31は認証に成功したか否かを判定し(S16)、認証に成功しない場合(S16のNo)、処理を終了する。
【0063】
認証に成功したら(S16のYes)、情報端末4と車載装置との間でデータの送受信が可能な情報通信モードとなる(S17)。
【0064】
なお、制御部31は、情報端末4と接続中には、情報端末4から発されたハンズフリー機能実行の命令を近距離通信部32を介して受信し、ハンズフリー機能のプログラムを実行する。このプログラムを実行することで制御部31は、情報端末4が電話通信を行っている通話相手からの音声データを近距離通信部32を介して受信し、この受信した音声データを音声処理部33により処理した後、スピーカ36から出力する。また、マイク35から入力して音声処理部33により処理された車両5内のユーザの音声データを、近距離通信部32を介して情報端末4に送信する。これにより、情報端末4はユーザの音声を通話相手へ送信する。
【0065】
図7は、遠隔操作ECU22が情報端末4の固有番号を取得する処理を示すフローチャート図である。
【0066】
まず、遠隔操作ECU22は情報端末4の固有番号を取得する(S21)。ブルートゥースによる接続が確立し情報通信モードになると、車両5の制御部31は情報端末4の制御部40に固有番号の取得を依頼する。制御部40はメモリ46に記憶されている固有番号を抽出し、ブルートゥース通信により車両5に送信する。
【0067】
ついで、遠隔操作ECU22はキーIDを取得する(S23)。イグニション又はACCはオンとなっているので、キーのトランスポンダに内蔵されたキーIDは照合ECU30に検出されている。検出されていなければ、遠隔操作ECU22が照合ECU30に改めてキーIDの取得を依頼する。
【0068】
遠隔操作ECU22は、例えばIGオンとされた日時と対応づけて固有番号及びキーIDをNV−RAM等に記憶する(S23)。
【0069】
なお、情報端末4側で固有番号の外部への通知を拒否する設定がされている場合、その他の情報端末4の情報、好ましくは固有な情報をキーIDと共に記憶する。例えば、電話番号、メールアドレス、氏名、住所、車両情報通信サービスのユーザID等である。本実施の形態では、ユーザが変わったか否かを判定できればよいので、ユーザを識別可能な情報であれば完全に一意であることが保証されたものでなくてもよい。
【0070】
遠隔操作ECU22は、固有番号及びキーIDを管理センタ2に送信する(S24)。遠隔操作ECU22は、ステップS23のような記憶処理をIGオン毎又は1日1回程度繰り返していくので、管理センタ2への送信処理は1日1回送信すればよい。
【0071】
以上のようにして、管理センタ2は情報端末4の固有番号を利用して車両5に乗車するユーザを認識することができる。管理センタ2の車両譲渡推定部13は、固有番号及びキーIDに基づき、次のようにして車両5の譲渡を推定する。
【0072】
図8(a)は固有番号及びキーIDの組み合わせの記憶内容を時間の経過と共に示す図である。図8(a)では、「A」が所定桁数から成る1つのキーIDを、「B」「C」がそれぞれ1つの情報端末4の固有番号を示す。図の左方向が過去を示す。
【0073】
車両譲渡推定部13は、所定日時t1以前は、キーIDが「A」固有番号が「B」であったが、所定日時t1以降は、キーIDは「A」のままで固有番号が「C」となることを検出する。車両譲渡推定部13は、固有番号が変化したことにより車両5が譲渡されたものと推定する。なお、キーIDが「A」から「C」に変化した直後は、例えば、車両5を単に貸与しただけの場合があるため、3日から1週間程度、変化した後の組み合わせが継続した場合に、車両譲渡推定部13は車両5が譲渡されたものと推定する。なお、固有番号が契約者情報6に記憶されている場合、記憶された固有番号と比較してもよい。
【0074】
操作画面生成部12は、車両譲渡推定部13が車両の譲渡を推定したことを受けて、車両5の表示装置28に表示する操作画面の生成情報及びメッセージを生成し、送受信部11により車両5に送信する。車両5の遠隔操作ECU22は受信したメッセージ及び操作画面をカーナビECU27に表示させる。車両5にユーザBが乗車していない場合は、メッセージ及び操作画面を記憶しておき、イグニッションがオンとされたら表示する。
【0075】
図9(a)は、表示装置28に表示されるメッセージの一例を示す。図9(a)では「A様、いつもご利用ありがとうございます。」というメッセージを表示している。ユーザBは、このようなメッセージが管理センタ2から表示される事で、メッセージの配信という事実や配信元等から車両情報通信サービスが利用されている事に気づく事ができる。
【0076】
また、メッセージにおいて「A様」とは契約者として契約者情報6に記録されているユーザAの氏名である。車両5はユーザBが使用しているので、「A様、…」というメッセージはユーザBが見る事になる。ユーザBは「A様」という問いかけに対して、自分と異なる氏名でありまた車両5の前所有者の氏名である事から車両情報通信サービスの存在を認識することができる。
【0077】
また、車両の譲渡が行われていない場合であっても、「いつもご利用ありがとうございます。」というメッセージであれば、契約者の確認であることを印象づけるおそれが少ない。メッセージを季節や時刻に応じて変更すれば、メッセージが単調に成らず好適である。
【0078】
なお、メッセージの内容として図9(a)では氏名としたが、電話番号や住所等、ユーザBにユーザAを意識させる内容であればよく、契約者情報6の内容全てが該当しうる。
【0079】
また、メッセージとして車両情報通信サービスのサービス内容を表示してもよい。図9(b)はサービス内容として表示されたメッセージの一例を示す。図9(b)では「いつもご利用ありがとうございます。本サービスは、車両情報を取得したり車載装置を操作することが可能です。」と表示されるので、ユーザBは、車両5の情報を取得されるおそれがあることを認識できる。また、サービス内容には、サービスの具体的な内容だけでなくサービス名、提供元、運営元、広告、ロゴ表示、有料サービスであること等を含めてもよい。
【0080】
なお、車両5の譲渡が行われなくてもユーザAが情報端末4を買い換えた場合に固有番号が変化する。このような場合を想定すれば、例えば、「A様、新しい情報端末4の調子はいかがですか?」というようなメッセージを表示してもよい。このようなメッセージであれば、「A様」という問いかけによりユーザBに注意喚起することもでき、車両5が譲渡されていない場合は情報端末4について問いかけるのでユーザAに煩わしさを感じさせない。
【0081】
ところで、固有番号が変化した場合であっても、車両5を複数のユーザが利用する場合等、車両5の譲渡があったとは限らない。図8(b)は固有番号及びキーIDの組み合わせの別の例を時間の経過と共に示す図である。
【0082】
図8(b)では、所定日時t2以降は「C」という固有番号が現れるが、「B」の固有番号がなくなるわけでなく「C」と「B」が不規則に表示されている。このような状態では、車両5の譲渡があったか否かが不明であり、車両5の譲渡がなくても次のような場合に生じうる。
・車両5を複数のユーザが利用している。
・1人のユーザが複数の情報端末4を所持している。
【0083】
そこで、車両譲渡推定部13は、所定日時t2以降に「C」という固有番号が所定回数以上現れたら、車両5が譲渡されたものと推定する。車両5が譲渡されている場合、ユーザBが所定回数以上車両5を使用していることになるため、車両5が車両情報通信サービスの対象となっていることを通知した方が好ましいからである。例えば、5回新たな固有番号「C」が現れたら車両5の譲渡を推定する場合、図7(b)では日時t3に、既に車両5は譲渡されているものと推定する。
【0084】
しかしながら、「C」という固有番号が現れた回数のみでは、複数のユーザで車両5を使い分けている場合でも時間の経過と共にいずれは車両5が譲渡されたものと推定されてしまうので、所定期間内に固有番号「C」が現れる回数に基づき推定してもよい。例えば、車両譲渡推定部13は直近の1週間に4回以上、固有番号「C」が現れたら車両5が譲渡されたものと推定するのであれば、図7(b)では日時t4に、既に車両5は譲渡されているものと推定する(図7(b)が1日1回乗車していることを表す場合)。なお、回数でなく、所定期間内の「B」と「C」の比率に基づき判定してもよい。
【0085】
所定期間内の回数又は比率で譲渡を判定すると、少なくとも所定期間経過してしまうため、「C」という固有番号が連続して所定回数以上現れた場合に、車両5が譲渡されたものと推定してもよい。例えば、連続して2回以上新たな固有番号が現れたら譲渡を推定する場合、図7(b)では日時t5に、既に車両5は譲渡されているものと推定する。新たな固有番号が連続して現れる回数に基づき判定すれば、より短期間に車両5の譲渡を検出できる。
【0086】
なお、このように回数又は比率に基づき判定した場合でも、車両5が譲渡されていない可能性が少なくないため、表示装置28に表示するメッセージはよりソフトなものにすることが好適である。図9(c)は、回数又は比率に基づき判定した場合に表示装置28に表示されるメッセージの一例を示す。図9(c)では「A様、お車の調子は如何ですか?」と表示されているが、このように問いかけるようなメッセージであれば、車両5が譲渡されていない場合であってもユーザAは煩わしさを感じない。また、車両5が譲渡されている場合、「A様」という表示や、このようなメッセージが管理センタ2から表示される事で、メッセージの配信という事実や配信元等から、ユーザBは車両情報通信サービスの契約が継続している事に気づく事ができる。
【0087】
なお、本実施例では、車両5から管理センタ2にキーID及び固有番号を送信し、管理センタ2が車両5の譲渡を検出することとしたが、車両5が譲渡を推定してもよい。車両5が譲渡を検出する場合、遠隔操作ECU22がキーID及び固有番号の組み合わせの履歴を記憶しておき、上記と同様に譲渡を推定する。
【0088】
本実施例によれば、以前と異なる情報端末4が車内に持ち込まれた場合に車両5の譲渡を推定して、ユーザを確認することができる。情報端末4は意識せずに車内に持ち込むことが多いため、ブルートゥースを利用すればユーザBが特別な操作をしなくても車両5の譲渡を推定できる。また、以前と異なる情報端末4が車内に持ちこまれた場合に、メッセージが表示されるので、車両情報通信サービスの利用者に煩わしさを感じさせる事が防止できる。また、定期的(例えば、1ヶ月毎)に契約者の名前を表示するのではないため、メッセージの効果が薄れる事もない。
【実施例2】
【0089】
本実施例では、管理センタ2から定期的に所有者を確認する車両情報通信システムについて説明する。車両5の所有者が変わった場合、車両情報通信システムのサービスも新たな車両の所有者が享受するべきと考えられる。このため、管理センタ2は定期的に所有者が変わったか否かを確認するための処理を実行する。
【0090】
図10は、本実施例における管理センタ2(管理サーバ)の機能ブロック図を示す。なお、図10において図5(a)と同一構成部には同一の符号を付しその説明は省略する。図10の管理センタ2は契約者確認部14を有する点で図5(a)と異なる。なお、車両5の機能ブロック図は図3と同様である。
【0091】
契約者確認部14について詳しくは後述するが、契約者確認部14は車両5の所有者が契約者と同じか否かを確認するためユーザに所定の応答を求める要求メッセージを車両5の表示装置28に表示する。そして、ユーザの応答に基づき車両5のユーザが契約者と同じか否かを確認する。
【0092】
図11は、ユーザの確認のために定期的に車両5に要求メッセージを表示するまでの概略を示す。
T1:車両5のユーザA(1stオーナ)は、車両情報通信サービスの契約者もユーザAである。
T2:ユーザAが車両5をユーザB(2ndオーナ)に譲渡する。譲渡の際、ユーザAは車両情報通信サービスを解約しておらず、また、ユーザBに車両情報通信サービスやその契約の有無についても説明していない。
T3:定期的に管理センタ2が契約者を確認するための要求メッセージを車両5に表示し、スピーカ29からその旨の音声が出力される。
【0093】
この要求メッセージは、車両5に乗車していなければ分からない応答を要求するものであり、その応答の内容により現在の車両5の所有者を確認する。
【0094】
図12は、管理センタ2の契約者確認部14が車両5に要求メッセージを表示するまでの処理手順を示すフローチャート図である。
【0095】
管理センタ2の契約者確認部14は定期的に車両5のユーザが変わったか否かを判定するため、所定期間が経過したか否かを判定する(S101)。所定期間は例えば月に1回程度であるが、頻繁に車両を使用する場合には早めにユーザの変更を検出する方が好ましいので、イグニッションオンの回数が所定以上になった場合としてもよい。この場合は、ユーザの煩わしさを防止するため、月2回まで等の上限を定める。
【0096】
所定期間が経過した場合、操作画面生成部12は車両5に表示する要求メッセージを生成し、送受信部11は生成された要求メッセージを車両5に送信する(S102)。操作画面生成部12は契約者情報6を参照し契約者の氏名など必要な情報を抽出する。
【0097】
車両5の送受信装置21は管理センタ2から要求メッセージを受信し、カーナビECU27に表示させる(S103)。車両5にユーザBが乗車していない場合は、要求メッセージ及び操作画面を記憶しておき、イグニッションがオンとされたら表示する。
【0098】
図13(a)は車両5の表示装置28に表示される要求メッセージの一例を示す。図13(a)には「来月も車両情報通信サービスをご利用なさいますか? A様、確認のため下記の電話番号に電話をおかけください。0186−090−****−**** 」と表示されている。
【0099】
ユーザBが指示に従い情報端末4から電話番号を入力すると、先頭の番号「0186」は発信者番号通知であるので、車両5のユーザの情報端末4の電話番号が管理センタ2の指定した電話先に通知される。
【0100】
なお、表示される電話番号は、毎回変更されるワンタイムの電話番号であるため、車両5を譲渡したユーザAは知ることができず、ユーザAが車両5の譲渡がなかったように偽装することはできない。
【0101】
管理センタ2の契約者確認部14は、通知された電話番号と契約者情報6に記憶されたユーザAの電話番号に基づき応答内容を確認する(S104)。2つの電話番号が一致している場合、契約者確認部14はそのまま処理を終了し、所定期間が経過したら同様の処理を繰り返す。
【0102】
また、契約者確認部14は、通知された電話番号が契約者情報6の電話番号と異なる場合、ユーザが変更されたものと判定して契約者変更処理を行う(S105)。契約者確認処理については後述する。
【0103】
なお、ユーザA又はBが指定された電話番号に電話をかけない場合には、契約者の確認ができないので、2つの電話番号が異なる場合と同様に契約者確認処理を行う。
【0104】
以上のように、ユーザBに応答を求める要求メッセージを送信し、その応答を利用して車両5の譲渡の有無を確認することができる。
【0105】
続いて、要求メッセージの別の形態について説明する。所有者が車両5に乗車していることを確認するには、車両5にのみ表示される情報を利用すればよい。図14は、管理センタ2が車両5に要求メッセージを表示するまでの処理手順を示すフローチャート図である。
【0106】
図12と同様に、所定期間が経過した場合、操作画面生成部12は車両5に表示するメッセージを生成し、送受信部11は生成された要求メッセージを車両5に送信する(S201〜202)。操作画面生成部12は契約者情報6を参照し契約者の氏名など必要な情報を抽出する。
【0107】
車両5の送受信装置21は管理センタ2から要求メッセージを受信し、カーナビECU27に表示させる(S203)。車両5にユーザBが乗車していない場合は、要求メッセージ及び操作画面を記憶しておき、イグニッションがオンとされたら表示する。
【0108】
図13(b)は、車両5の表示装置28に表示される要求メッセージの一例を示す。図13(b)には「TRIPメータの値を入力し、送信ボタンを押してください。」と表示されている。TRIPメータは、ユーザがリセットするまで累積される走行距離であるが、通常、車両には1〜3種類位のTRIPメータの値が表示可能となっているので、この中から車両に乗車しないと見ることのできないTRIPメータを指定して、ユーザにその値を入力させる。
【0109】
ついで、契約者確認部14は車両5から情報を取得するための情報取得命令を生成し、車両5に送信する(S204)。ここで取得を要求する情報は、ステップS203でユーザに入力を要求した情報と同じものである。
【0110】
情報取得命令を受信した遠隔操作ECU22は、命令の内容を判別してTRIPメータの値を管理するECUからTRIPメータ値を取得する(S205)。遠隔操作ECU22は、TRIPメータ値を車両情報として管理センタ2に送信する。
【0111】
また、ユーザBは車両に乗車しエンジンを始動してTRIPメータの値が表示されると、数値を入力する。数値は表示装置28に表示されたキーボードを選択すれば入力される。そして、送信ボタン等を選択することで、入力されたTRIPメータの値が入力情報として管理センタ2に送信される(S207)。
【0112】
管理センタ2は、車両情報と入力情報を受信するので(S206、S208)、それらの値が一致するか否かを照合する(S209)。車両情報と入力情報が一致する場合、契約者確認部14はそのまま処理を終了し、所定期間が経過したら同様の処理を繰り返す。
【0113】
また、契約者確認部14は、車両情報と入力情報が一致しない場合、ユーザが変更されたものと判定して契約者変更処理を行う(S105)。契約者確認処理については後述する。
【0114】
TRIPメータの値は、車両5に乗車してエンジンをかけないと知ることができないので、このような値を契約者確認のための使用することができる。したがって、本実施例で要求する車両5の情報は、車両5に乗車してエンジンをかけないと知ることができない情報であればよく、例えば、ODDメータの値であってもよい。なお、照合に使用する値は、情報端末4からでは参照できないものであることが好ましい。
【0115】
また、このような値は車両5に乗車して走行するたびに増えていくので、ワンタイムの電話番号と同様、一度限り有効な値となるので漏洩するおそれも少ない。
【0116】
契約者変更処理について図15のフローチャート図に基づき説明する。ユーザの電話番号又はTRIPメータの値に基づき、車両5の譲渡があったことが判定された。しかしながら、情報端末4を変えた可能性やTRIPメータの値の入力ミス等も考えられるため、契約者確認手段14はもう一度車両5のユーザの変更があったかな否かを確認する(S301)。例えば、図12又は図14と同じ処理を繰り返してもよいし、確認のためのメッセージ(例えば、「あなたはA様ですか?」「車両5の所有者様ですか?」等)を改めて送信してもよい。
【0117】
確認の結果、所有者が変わっていた場合(ユーザBが車両5を使用していた場合)、管理センタ2はユーザAの情報端末4から車両情報通信サービスの利用を禁止する(S301)。例えば、ユーザAのユーザIDとパスワードによりアクセスがあった場合にログインを禁止してもよいし、ログイン後に「A様のご利用は禁止されております」と表示してもよい。
【0118】
また、管理センタ2は、ユーザBによる車両情報通信サービスの利用を許可する(S303)。例えば、管理センタ2は、仮のパスワードを発行すると共にユーザBの電話番号を仮のユーザIDとして管理センタ2へのログインを許可する。なお、正式なユーザID及びパスワードはユーザBの住所に郵送する。
【0119】
このような処理により、車両5のユーザと車両情報通信サービスの契約者とが異なっていることが確認されたら、車両情報通信サービスの契約者と車両5のユーザを一致させることができる。
【0120】
以上のように、本実施例によれば、情報端末の電話番号又は車両5の所有者でなければ入手できない情報を利用して車両5の所有者が変わったことを検出でき、車両5が譲渡された場合には元の所有者による車両情報通信サービスの利用を禁止することができる。また、所定期間毎に行われるので車両5を譲渡していなくても煩わしさを感じることが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】車両の所有者と車両情報通信サービスの契約者とが異なっている場合の関係を示す図である。
【図2】車両情報通信システムの全体構成図である。
【図3】情報端末の機能ブロック図である。
【図4】車両の有する車載装置の機能ブロック図である。
【図5】管理センタ(管理サーバ)の機能ブロック図である。
【図6】車載装置と情報端末とが通信する処理の流れを示すフローチャート図である。
【図7】遠隔操作ECUが情報端末の固有番号を取得する処理を示すフローチャート図である。
【図8】固有番号及びキーIDの組み合わせの記憶内容を時間の経過と共に示す図である。
【図9】表示装置に表示されるメッセージの一例を示す図である。
【図10】実施例2における管理センタ2(管理サーバ)の機能ブロック図である。
【図11】ユーザの確認のために定期的に車両に要求メッセージを表示するまでの概略を示す図である。
【図12】契約者確認部が車両に要求メッセージを表示するまでの処理手順を示すフローチャート図である。
【図13】車両の表示装置28に表示される要求メッセージの一例を示す図である。
【図14】契約者確認部が車両に要求メッセージを表示するまでの処理手順を示すフローチャート図である。
【図15】契約者変更処理のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0122】
1 ネットワーク
2 管理センタ
4 情報端末
5 車両
6 契約者情報
12 操作画面生成部
13 車両譲渡推定部
14 契約者確認部
22 遠隔操作ECU
31 整備端末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが使用する情報端末から管理センタを介して車載装置と通信可能な車両情報通信システムにおいて、
前記車載装置が以前と異なる前記情報端末を検出した場合、前記管理センタが車両のユーザを確認するためのユーザ確認処理を行う、
ことを特徴とする車両情報通信システム。
【請求項2】
以前と異なる前記情報端末を前記車載装置が所定回数以上検出した場合、前記管理センタが前記ユーザ確認処理を行う、
ことを特徴とする請求項1記載の車両情報通信システム。
【請求項3】
前記所定回数は所定期間内における回数である、ことを特徴とする請求項2記載の車両情報通信システム。
【請求項4】
以前と異なる前記情報端末と同一の情報端末が連続して所定回数以上検出された場合、前記管理センタが前記ユーザ確認処理を行う、
ことを特徴とする請求項2記載の車両情報通信システム。
【請求項5】
前記車載装置はブルートゥース通信により前記情報端末を検出する、ことを特徴とする請求項1記載の車両情報通信システム。
【請求項6】
前記ユーザ確認処理は、当該車両情報通信システムの契約者の情報を前記ユーザに通知する処理である、ことを特徴とする請求項1記載の車両情報通信システム。
【請求項7】
ユーザの使用する情報端末と車載装置とを仲介して情報を通信する車両情報通信システムの管理サーバにおいて、
前記車載装置が以前と異なる前記情報端末を検出した場合、車両のユーザを確認するためのユーザ確認処理を行う、
ことを特徴とする管理サーバ。
【請求項8】
ユーザが使用する情報端末から管理センタを介して送信された情報を受信して車載装置を制御する車載端末において、
前記車載装置が以前と異なる前記情報端末を検出した場合、前記管理センタから送信された前記情報を前記ユーザに通知する、
ことを特徴とする車載端末。
【請求項9】
ユーザが使用する情報端末から管理センタを介して車載装置と通信を可能とする車両情報通信方法において、
前記車載装置が以前と異なる前記情報端末を検出した場合、前記管理センタが車両のユーザを確認するためのユーザ確認処理を行う、
ことを特徴とする車両情報通信方法。
【請求項1】
ユーザが使用する情報端末から管理センタを介して車載装置と通信可能な車両情報通信システムにおいて、
前記車載装置が以前と異なる前記情報端末を検出した場合、前記管理センタが車両のユーザを確認するためのユーザ確認処理を行う、
ことを特徴とする車両情報通信システム。
【請求項2】
以前と異なる前記情報端末を前記車載装置が所定回数以上検出した場合、前記管理センタが前記ユーザ確認処理を行う、
ことを特徴とする請求項1記載の車両情報通信システム。
【請求項3】
前記所定回数は所定期間内における回数である、ことを特徴とする請求項2記載の車両情報通信システム。
【請求項4】
以前と異なる前記情報端末と同一の情報端末が連続して所定回数以上検出された場合、前記管理センタが前記ユーザ確認処理を行う、
ことを特徴とする請求項2記載の車両情報通信システム。
【請求項5】
前記車載装置はブルートゥース通信により前記情報端末を検出する、ことを特徴とする請求項1記載の車両情報通信システム。
【請求項6】
前記ユーザ確認処理は、当該車両情報通信システムの契約者の情報を前記ユーザに通知する処理である、ことを特徴とする請求項1記載の車両情報通信システム。
【請求項7】
ユーザの使用する情報端末と車載装置とを仲介して情報を通信する車両情報通信システムの管理サーバにおいて、
前記車載装置が以前と異なる前記情報端末を検出した場合、車両のユーザを確認するためのユーザ確認処理を行う、
ことを特徴とする管理サーバ。
【請求項8】
ユーザが使用する情報端末から管理センタを介して送信された情報を受信して車載装置を制御する車載端末において、
前記車載装置が以前と異なる前記情報端末を検出した場合、前記管理センタから送信された前記情報を前記ユーザに通知する、
ことを特徴とする車載端末。
【請求項9】
ユーザが使用する情報端末から管理センタを介して車載装置と通信を可能とする車両情報通信方法において、
前記車載装置が以前と異なる前記情報端末を検出した場合、前記管理センタが車両のユーザを確認するためのユーザ確認処理を行う、
ことを特徴とする車両情報通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−265223(P2007−265223A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−91735(P2006−91735)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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