説明

車両用ナビゲーション装置

【課題】 設定した目的地周辺に接近した場合であっても、目的地と現在位置との位置関係を容易に把握できる車両用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 表示装置10に表示された地図画面M上で、車両の進行により現在位置Pが目的地Dに接近すると、目的地Dに近づくほど地図画面Mの表示縮尺が拡大して表示される。そして、表示縮尺が所定の適正限界縮尺に到達すると縮尺が固定されて、拡大が制限される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平11−064032号公報
【0003】
従来、車両用ナビゲーション装置では、自車両の目的地を設定すると、現在設定されている地図尺度で道路地図を表示して、現在地から目的地へと案内する案内画面が表示される。そして、この案内画面は自車両の走行に伴い刻々と変化して表示される。中には、車両が一定以上目的地に近づくと、より詳細に地図が表示されるように地図縮尺が自動変更されるものがある。この表示の場合、手動で縮小・拡大する等の面倒な操作を行わなくとも目的地の接近に伴い地図が自動的に詳細になるので、目的地までの道のりがより把握し易いメリットがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、こうした表示の場合、目的地に近づきすぎるとまわりの建物等が地図から消え、かえって現在地と目的地との位置関係の把握が難くなる場合がある。また、目的地周辺まで到達すると目印となる建物が消えるため、例えば見知らぬ土地へ行った場合等に、目的地周辺の情報が全く分からなくなってしまう場合もある。このように表示が拡大されすぎると、もう少し広域の地図が表示されるようマニュアルで地図縮尺を縮小する等、結局のところ面倒な操作が必要になる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、目的地に近づくに伴い縮尺を拡大して表示する案内表示を行うナビゲーション装置において、設定した目的地周辺に接近した場合であっても、目的地と現在位置との位置関係を容易に把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための車両用ナビゲーション装置であり、
道路地図データを記憶する道路地図データ記憶部と、
道路地図データ上に目的地を設定する目的地設定手段と、
自車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
道路地図データに基づく道路地図を表示装置に表示し、表示された地図画面上に、自車両の進行に応じて、自車両の現在位置と該現在位置から目的地設定手段により設定された目的地までの案内経路を表示する案内経路表示手段と、
現在位置と目的地との双方が地図画面上に同時に表れるように道路地図の表示縮尺を設定するとともに、現在位置が目的地に近づくほど表示縮尺を拡大方向に変更制御する表示制御手段と、
表示縮尺が、最大縮尺より小さい予め定められた適正限界縮尺に到達した場合に、表示制御手段による該表示縮尺の拡大方向への変更を制限する縮尺拡大制限手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
上記本発明の構成によると、目的地の接近に伴い地図画面の表示縮尺が拡大されて表示内容が詳細になるので、目的地までの道のりがより把握し易くなるとともに、その表示縮尺が、適正限界縮尺(最大縮尺よりも小さく設定される)に到達した場合には、地図画面のさらなる拡大が制限されるので、目的地に近づきすぎて現在地と目的地との位置関係が把握し難くなることがない。
【0008】
上記構成における表示制御手段は、現在位置と目的地とのうち現在位置のみが地図画面上に現れる第一の表示縮尺に設定された状態にて、現在位置と目的地とが予め定められた基準距離内に接近した場合に、現在位置と目的地との双方が地図画面上に同時に表れるように道路地図の表示縮尺を、第一の表示縮尺よりも小さい第二の表示縮尺に変更するように構成できる。この構成によると、目的地が遠隔地に設定されている場合には、表示装置に表示される地図画面は縮尺固定で表示されるので、設定されている経路に沿って運転し易い。他方、目的地が接近した場合には、表示装置に表示される地図画面の縮尺を変更して現在位置と目的地とが同時表示されるので、現在位置と目的地との位置関係を容易に把握できるようになる。
【0009】
また、表示制御手段は、現在位置と目的地とのうち現在位置のみが地図画面上に現れる第一の表示縮尺に設定された状態にて、現在位置と目的地とが予め定められた基準距離内に接近した場合に、現在位置と目的地との双方が地図画面上に同時に表れるように地図画面の表示視野を変更するようにも構成できる。この構成によると、目的地が遠隔地に設定されている場合には、表示装置に表示される地図画面は縮尺固定で表示されるので、設定されている経路に沿って運転し易い。他方、目的地が接近してきた場合には、表示装置に表示される地図画面の表示視野が別の視野に変更され、現在位置と目的地とが同時表示されるので、現在位置と目的地との位置関係を容易に把握できるようになる。
【0010】
さらに、表示制御手段は、目的地設定手段により設定された目的地が、目的地設定時の現在位置に対して予め定められた距離以内に収まっている場合に、案内開始時における表示縮尺を、該現在位置と目的地との双方が地図画面上に収まる縮尺値に自動設定するように構成できる。この構成によると、目的地設定時に目的地が現在位置から近い位置にあった場合に、現在位置と目的地とが同時表示されるよう縮尺に拡大又は縮小されるので、案内開始直後から、現在位置と目的地との位置関係を容易に把握できる見やすい縮尺で地図が表示される。
【0011】
上記本発明の構成に、予め定められた操作部からの縮尺変更操作に基づいて、適正限界縮尺を可変設定する適正限界縮尺設定手段を備えることができる。この構成によると、適正限界縮尺をユーザーが可変できるので、ユーザーに応じた適正限界縮尺を設定可能となる。
【0012】
上記本発明の構成において、目的地設定手段が、目的地が設定されるに伴い地図画面上に当該目的地を含む目的地周辺道路地図を表示する目的地周辺道路地図表示手段を備え、適正限界縮尺設定手段が、目的地設定完了画面である目的地周辺道路地図上にて適正限界縮尺を設定するように構成できる。この構成によると、目的地設定完了画面である目的地周辺地図を利用して適正限界縮尺を設定できるので、適正限界縮尺設定用画面を別途設定しておく必要がない。また、目的地設定に続いて適正限界縮尺の設定を行うようにすれば、地図画面の切替えを省略できる。
【0013】
また、上記本発明の構成における適正限界縮尺設定手段は、目的地を含む目的地周辺道路地図を地図画面上に表示するとともに、当該目的地周辺道路地図上にて縮尺変更操作により選択された任意の表示縮尺を、適正限界縮尺として確定させる適正限界縮尺確定操作部を有するものとできる。この構成によると、ユーザーの縮尺変更操作により実際に地図画面の縮尺を可変して表示し、それを見ながら適正限界縮尺を設定できるので、ユーザーの好みに応じた適正限界縮尺を設定可能となる。
【0014】
上記本発明の構成において、目的地を含む目的地周辺道路地図を地図画面上に表示するとともに、当該目的地周辺道路地図上にて目的地とは別に、当該目的地に到達する上での目印となるべき目印地点を設定する目印地点設定手段を有するものとし、適正限界縮尺設定手段を、目的地と目印地点との双方が地図画面上に同時に表れるように適正限界縮尺を定めるものとすることができる。この構成によると、目的地に接近すると、自車両の現在位置と目的地とともに目印地点が必ず表示されるようになるので、その目印地点を参考にして、目的地と現在位置との位置関係をより正確に把握できる。
【0015】
この場合、道路地図データ記憶部は、表示装置の地図画面上に予め定められたランドマークを表示するためのランドマーク位置情報を道路地図データとともに記憶するものとして構成でき、さらに、目印地点設定手段を、目印地点とするべきランドマークを地図画面上にて選択するランドマーク選択手段を有するものとして構成できる。この構成によると、ユーザーが地図画面上にて任意にランドマークを選択できるので、ユーザーの最も分かり易い目印地点をランドマークとして容易に設定できる。
【0016】
また、この場合のランドマーク選択手段は、地図画面上にて道路地図をスクロールするスクロール操作部と、該スクロールにより、記憶されているランドマークの少なくとも1のものが、目的地とともに地図画面上に現れている状態で、当該画面をランドマーク選択画面として入力確定させるランドマーク選択画面入力確定手段とを有して構成できる。この構成によると、地図画面上の道路地図をスクロールして選択すべきランドマークを探すことができるので、ランドマークの選択が容易となる。また、ランドマークが含まれる画面を選択するだけで適正限界縮尺を設定できる。
【0017】
なお、適正限界縮尺設定手段を、目的地と目印地点との双方が地図画面上に同時に表れるように適正限界縮尺を定める場合には、該適正限界縮尺設定手段を、ランドマークと目的地とが地図画面上に同時に表示可能な最大表示縮尺を適正限界縮尺として設定するものとできる。これにより、適正限界縮尺が容易に算出・設定される。また、適正限界縮尺にて表示される地図画面では、目印地点と目的地とが離れて表示されるので、自車両が目的地周辺に到達した場合に、その現在位置を目的地と目印地点との位置関係から把握し易い。
【0018】
他方、ランドマーク選択手段を、目的地の周辺に存在するランドマークを、該目的地に近い順にて予め定められた個数まで検索するランドマーク検索手段を有して構成することもでき、この場合の適正限界縮尺設定手段は、検索された全てのランドマークと目的地とが地図画面上に同時に表示可能な最大表示縮尺を計算し、該表示縮尺を適正限界縮尺として設定するものとすることができる。この構成によると、適正限界縮尺をユーザー操作に依存することなく設定できる。また、設定されるランドマークの個数を変更するランドマーク数変更操作部を設けて構成することもでき、この場合、状況に応じてユーザーの好みにあった数のランドマークを設定できる。
【0019】
上記本発明の構成における適正限界縮尺設定手段は、適正限界縮尺を設定する際に、目的地が、地図画面の中央位置に固定となるように道路地図の表示視野を定める形で適正限界縮尺を設定するものとできる。この構成によると、適正限界縮尺を設定する際に、目的地が絶えず画面中央位置に表示されるので目的地の位置把握が容易となる。
【0020】
他方、適正限界縮尺設定手段を、地図画面の周縁領域に目的地の表示位置を定める形で、該目的地と目印地点とを同時表示可能な最大表示縮尺を見出し、該表示縮尺を適正限界縮尺として設定するものともできる。この構成によると、設定される適正限界縮尺が、少なくともランドマークと目的地とが表示されるようなできるだけ拡大された縮尺となるので、目的地周辺走行時の案内画面には、余計なエリアが表示されず、目的地周辺をより詳細に表示できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の車両用ナビゲーション装置を、図面を参照しながら説明する。図1は、車両用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称)100の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行う音声合成回路24,スピーカ15,メモリ9,表示器10,送受信機13,ハードディスク装置(HDD)21,LAN(Local Area Network)I/F(インターフェース)26,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12等を備えて構成され、車両(以下、車両とは、ナビゲーション装置100を搭載の車両のことを意味する)に搭載されるものである。
【0022】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ3,車両の走行距離を検出する距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。なお、位置検出器1が本発明の位置検出手段に相当する。
【0023】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザーがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、周知のいわゆる静電容量方式を用いてもよい。メカニカルスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、表示器10とその周辺を覆い意匠枠となるエスカッションに、操作スイッチ群7のうちのメカニカルスイッチを配置してもよい。
【0024】
また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識技術により処理を行い、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル22,およびマイク31により、種々の指示を入力することが可能である。
【0025】
送受信機13は、例えば道路に沿って設けられた送信機(図示せず)から出力される光ビーコン、または電波ビーコンによってVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信、あるいはFM多重放送を受信するための装置である。また、送受信機13を用いてインターネット等の外部ネットワークに接続可能な構成としてもよい。
【0026】
また、ETC車載器17と通信することにより、ETC車載器17が路側器(図示せず)から受信した料金情報などをナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器17によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14等との通信を行う構成をとってもよい。
【0027】
制御回路8は、通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84,A/D変換部86,描画部87,時計IC88,およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行う。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。また、CPU81からHDD21に対してデータの読み書きの制御ができなくなった場合のために、ROM82にナビゲーション装置100として必要最低限の動作を行うためのプログラムを記憶しておいてもよい。
【0028】
A/D変換部86は、周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【0029】
描画部87は、HDD21等に記憶された地図データ21m(後述),表示用のデータや表示色のデータから表示器10に表示させるための表示画面データを生成する。
【0030】
時計IC88は、リアルタイムクロックICとも呼ばれ、CPU81からの要求に応じて時計・カレンダーのデータを送出あるいは設定するものである。CPU81は時計IC88から日時情報を取得する。また、GPS受信機5で受信したGPS信号に含まれる日時情報を用いてもよい。また、CPU81に含まれるリアルタイムカウンタを基にして日時情報を生成してもよい。取得された日時情報は、例えば走行履歴管理に用いられる。
【0031】
HDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データベースである地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。なお、この地図データ21mが本発明の道路地図データであり、その記憶領域が本発明の道路地図データ記憶部に相当する。
【0032】
また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザーが独自にデータを書き込むことができ、ユーザーデータ21uとして記憶される。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報はデータベース21dとしても記憶される。
【0033】
ナビプログラム21p,地図データ21m,ユーザーデータ21u,およびデータベース21dは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行うことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークを介してデータをダウンロードする構成を用いてもよい。
【0034】
メモリ9は、EEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能なデバイスによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、メモリ9は、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても記憶内容が保持されるようになっている。また、メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをメモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0035】
表示器(本発明における表示装置)10は、周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行うための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8(描画部87)から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。また、表示器10として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。なお、表示器10は車両のセンターパネル付近に運転者が視認可能なように取り付けられている。
【0036】
スピーカ15は、周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によってメモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データが音声合成回路24においてアナログ音声に変換されたものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき必要に応じて繋ぎ合わせる録音編集方式、文字入力情報からそれに対応する音声を合成するテキスト合成方式などがある。
【0037】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両の速度に換算して、車両の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両の走行区間毎の平均車速を算出する。
【0038】
LAN I/F26は車内LAN27を介して他の車載機器やセンサとのデータの遣り取りを行うためのインターフェース回路である。また、LAN I/F26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器17との接続を行ってもよい。
【0039】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザーが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニュー(図示せず)から目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0040】
すなわち、まず、ユーザーは目的地を探索する。目的地の探索方法は、例えば、地図上の任意の地点を指定する方法、目的地の所在する地域から探索する方法,目的地の電話番号から探索する方法,五十音表から目的地の名称を入力して探索する方法,あるいはユーザーがよく利用する施設としてメモリ9に記憶されているものから探索する方法などがある。なお、ナビゲーションプログラム21pが実行されることで、本発明の目的地設定手段、目的地周辺道路地図表示手段が機能する。
【0041】
目的地が設定されると、位置検出器1により車両の現在位置が求められ、該現在位置を出発地として目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。このように自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。最適な案内経路が設定されると、案内画面表示プログラム212pが実行されて、表示器10上に、地図データ21mに基づく道路地図を表示し、その道路地図上に案内経路を重ねて表示する形で、ユーザーに対し経路案内を行う。なお、経路案内は、スピーカ15により音声でも行われる。また、表示器10およびスピーカ15によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行うこともできる。
【0042】
本実施形態においては、表示器10上に案内経路を表示して経路案内を行う際に、案内開始当初は、図2(a)のように、表示される地図縮尺が予め設定された設定縮尺に固定されて表示される縮尺固定モードにて表示され、車両の現在位置Pと案内経路Gのみが表示されているが、車両の現在位置が目的地に接近すると、図2(b)のように、表示器10の画面内に現在位置と目的地との双方が表示されるようになって、縮尺固定モードが縮尺変更モードに切り替えられる。縮尺変更モードでは、図2(c)のように、現在位置と目的地との双方を表示させた状態を維持しながら、地図縮尺を車両が目的地に近づくにつれて徐々に拡大される。なお、この縮尺変更モードにおいて、車両が目的地から遠ざかると、今度は地図縮尺を徐々に縮小する。そして、目的地が現在位置から予め定められた距離離れると、表示モードは縮尺変更モードから縮尺固定モードに切り替わる。本実施形態においては、案内画面表示プログラム212pにより縮尺固定モードが設定されることで、本発明の表示制御手段が機能する。
【0043】
なお、本実施形態において、縮尺固定モードにおける固定地図縮尺は、予め用意された複数の縮尺の中から、操作部7,12,22(本実施形態ではタッチパネル22)のユーザー操作により選択されたユーザー設定縮尺である。他方、縮尺変更モードにおいては、縮尺を変更する際に、予め用意された複数の縮尺の中から、現在設定されている縮尺に隣接する値の縮尺のうち、縮尺の変更方向側の縮尺を選択する形で、縮尺の変更がなされる。具体的には、現在位置が目的地に接近する場合には、縮尺が拡大方向側に隣接する縮尺(次に大きい縮尺値)に変更され、現在位置が目的地から離れる場合には、縮尺が縮小方向に隣接する縮尺(次に小さい縮尺値)に変更される。
【0044】
ところが、こうした縮尺変更モードのような表示機能を有する従来の車両では、以下のような課題があった。即ち、目的地に近づくほど地図縮尺が拡大されるので、図2(e)のように、目的地周辺では地図が拡大されすぎて、周囲の目印となる表示すら見えなくなり、目的地と現在位置との位置関係の把握が困難となる。
【0045】
そこで、本実施形態のナビゲーション装置100では、案内画面表示プログラム212pにより、表示縮尺が、最大縮尺より小さい予め定められた適正限界縮尺に到達した場合に、図2(d)のように、表示制御手段による該表示縮尺の拡大方向への変更を制限することができる。さらに、案内画面表示設定プログラム211pを実行することにより、予め定められた操作部からの縮尺変更操作に基づいて、適正限界縮尺を変更して設定できる。なお、CPU81が案内画面表示プログラム212pを実行することで、本発明の縮尺拡大制限手段が機能し、CPU81が案内画面表示設定プログラム211pを実行することで、本発明の適正限界縮尺設定手段が機能する。
【0046】
ここで、本実施形態における案内画面表示プログラム212pの流れを、図3及び図4のフローチャートを用いて説明する。案内画面表示プログラム212pが起動すると、まず、S1では、位置検出器1から車両の現在位置を取得し、S2では、現在ナビゲーション装置に設定されている目的地を取得する。S3では、タッチパネル22、操作スイッチ郡7、又はリモコン端末12等の操作部をユーザーが操作することにより、表示器10で現在表示中の地図縮尺を取得する。なお、現在表示中の地図縮尺は、予め定められた表示用縮尺記憶部(本実施形態においてはRAM82の所定の記憶領域)に書き込まれているので、その記憶部から取得する。S4では、ユーザー設定縮尺を取得する。ユーザー設定縮尺は、予め定められたユーザー設定縮尺記憶部に記憶されている(本実施形態においてはHDD21の所定の記憶領域に、ユーザーデータ21uの一種として記憶されている)ので、その記憶部を参照して取得する。なお、この案内画面表示プログラム212pによる表示器10への地図画面の表示は、RAM82に書き込まれた地図縮尺に基づいて行われる。そして、案内開始時には、RAM82のその記憶領域にユーザー設定縮尺が書き込まれる。
【0047】
S5では、S1で取得した現在地とS2で取得した目的地との間の距離(本実施形態においては現在地と目的ととの直線距離)が予め定められた基準距離d以上であるか否かを判定する。基準距離d以上と判定された場合には、縮尺固定モードを設定してS6に進む。S6では、RAM82の表示用縮尺記憶領域にユーザー設定縮尺を書き込み、S7で、そのユーザー設定縮尺に縮尺を固定する形で表示器10に地図画面Mを表示して、案内表示を行う。他方、S5にて基準距離d未満と判定された場合には、縮尺変更モードを設定してS8に進む。S8で縮尺変更処理を実行し、S7ではS8で設定された縮尺で案内表示を行う。そしてS7を実行した後、本プログラムを終了する。そして、このプログラムは、予め定められた間隔で繰り返し実行される。
【0048】
次に、S7で実行される縮尺変更処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。まず、上記図3の処理のS1及びS2にて取得した現在地と目的地を、S3で取得した現在の地図縮尺で同時表示可能か否かを判定する。同時表示できないと判定された場合はS84に進み、現在設定されている地図縮尺を1段階小さい地図縮尺に設定してS85に進む。S85では、設定された地図縮尺が適正限界縮尺以下であるか否かを判定する。適正限界縮尺以下であった場合にはS85に進み、RAM82の表示用縮尺記憶領域に適正限界縮尺を書き込む。そして、本プログラムを終了して図3のS7に進む。適正限界縮尺を上回っていた場合にはS89に進み、変更した地図縮尺をRAM82の表示用縮尺記憶領域に書き込む。そして、本プログラムを終了して図3のS7に進む。
【0049】
S81で同時表示可能と判定された場合にはS82に進む。S82では、現在設定されている地図縮尺を拡大する余地があるか否かを判定する。具体的には、現在表示されている地図縮尺を、1段階大きい縮尺に設定した際に現在地と目的地とが同時表示可能である場合を縮尺拡大の余地ありと定め、これを基準に判定する。縮尺拡大の余地がないと判定されれば本プログラムを終了して、図3のS7に進む。他方、縮尺拡大の余地があると判定された場合にはS87に進む。S87では、設定された地図縮尺がユーザー設定縮尺以下であるか否かを判定する。ユーザー設定縮尺以下であった場合にはS88に進み、RAM82の表示用縮尺記憶領域にユーザー設定縮尺を書き込む。そして、本プログラムを終了して図3のS7に進む。ユーザー設定縮尺を上回っていた場合にはS89に進み、変更した地図縮尺をRAM82の表示用縮尺記憶領域に書き込む。そして、本プログラムを終了して図3のS7に進む。
【0050】
なお、上記縮尺変更処理においては、ユーザー設定縮尺を最大縮尺と定めているが、該ユーザー設定縮尺が適正限界縮尺以下であった場合には、ユーザー設定縮尺として適正限界縮尺を定めるように構成するものとしてもよい。
【0051】
上記ような案内画面表示プログラム212pによると、目的地が遠隔地に有る場合には縮尺固定モードが設定され、表示器10に表示される地図画面は縮尺固定で表示される。これにより、設定されている経路に沿って運転し易くなる。他方、目的地が接近してきた場合には縮尺変更モードが設定され、表示器10に表示される地図画面の縮尺を変更して、現在位置と目的地とが同時表示される。これにより、現在位置と目的地との位置関係を容易に把握できるようになる。
【0052】
ここでは、その表示モードの切り替わりについて、図5を用いて説明する。図5において、状態T1及び状態T2は、現在位置Pと目的地Dとの間の距離は、基準距離d以上であるから、表示器10に表示される表示モードは縮尺固定モードである。この縮尺固定モードにおいては、状態T1及び状態T2のように、現在位置Pと目的地Dとのうち現在位置Pのみが地図画面M上に現れ、その縮尺は、第一の表示縮尺(本実施形態ではユーザー設定縮尺)に設定されている。そして、状態T2から、現在位置Pと目的地Dとが予め定められた基準距離d未満に接近した状態T3となると、表示モードが縮尺変更モードに切り替わり、状態T5のように、現在位置Pと目的地Dとの双方が地図画面M上に同時に表れるように表示内容が切り替わる。具体的には、図5の状態T5のように、地図画面Mの表示縮尺を、現在位置Pと目的地Dとの双方が地図画面M上に同時に表れるような第二の表示縮尺に変更(拡大又は縮小:図5の場合は縮小)する形で表示内容が切り替えることができる。なお、別の方法として、図5の状態T4のように、地図画面Mの表示視野を、現在位置Pと目的地Dとの双方が地図画面M上に同時に表れるような視野に変更する(図5の場合は状態T3の視野を左下に移動させる)形で行うこともできる。また、双方の方法を同時に行う形でもできる。本実施形態においては、縮尺変更によりモード切替がなされるものとする。
【0053】
なお、上記の案内画面表示プログラム212pでは、設定された目的地Dが、目的設定時の現在位置Pに対して予め定められた距離d以内にある場合には、案内開始時における表示縮尺が、該現在位置Pと目的地Dとの双方が地図画面M上に収まる縮尺値に自動設定される。
【0054】
また、上記の案内画面表示プログラム212pでは、縮尺変更モードにおける最小縮尺がユーザー設定縮尺に設定されており、縮尺が必要以上に小さくなることを防止している。なお、このユーザー設定縮尺は、上記の案内画面表示プログラム212p実行中においても、ユーザーにより任意の縮尺に変更できる。
【0055】
次に、本実施形態における案内画面表示設定プログラム211pの流れを、図6のフローチャートを用いて説明する。図6の案内画面表示設定プログラム211pは、案内画面表示設定処理Aを実行するものであり、ナビゲーションプログラム21pによる目的地設定処理に続く形で実行される。目的地Dが設定されるに伴い表示器10の地図画面M上には、設定された目的地Dを含む目的地周辺道路地図M1が目的地設定完了画面として表示されるから、S21では、この目的地周辺道路地図M1を用いた適正限界縮尺設定画面を表示する。こS22では、表示器10に表示される目的地周辺道路地図M1の表示縮尺をユーザーによる縮尺変更操作により変更可能な状態とし、該操作に応じて目的地周辺道路地図M1の表示縮尺を変更する。具体的には、タッチパネル22、操作スイッチ郡7、又はリモコン端末12等のいずれかに設けられた操作部(本発明における縮尺変更用操作部であり、本実施形態ではタッチパネル22として設けられる)52,53をユーザーが操作(縮尺変更操作)して、表示されている目的地周辺道路地図M1を操作に応じて変更された縮尺にて表示する。そして、表示されている目的地周辺道路地図M1を適正限界縮尺に設定したい場合には、タッチパネル22、操作スイッチ郡7、又はリモコン端末12等のいずれかに設けられた、適正限界縮尺として確定させるための操作部(本発明における適正限界縮尺確定操作部であり、本実施形態ではタッチパネル22として設けられる)51を操作することで設定される(S23)。
【0056】
なお、この案内画面表示設定処理Aでは、目的地Dが、地図画面Mの中央位置に固定となるように道路地図の表示視野を定める形で適正限界縮尺を設定するものとする。これにより、縮尺変更操作と適正限界縮尺確定操作だけで、適正限界縮尺を容易に設定することができる。
【0057】
また、この案内画面表示設定処理Aでは、目的地Dを含む目的地周辺道路地図M1を地図画面M上に表示するとともに、当該目的地周辺道路地図M1上にて、目的地Dと、該目的地Dとは別の、当該目的地Dに到達する上での目印地点Lとが同時表示される状態となるようにして、適正限界縮尺を定めることもできる。例えば、図7(a)に示すように、表示器10に表示される目的地周辺道路地図M1が、適正限界縮尺として適する縮尺であり、目印となるランドマークLも適切な位置に表示されている場合には、適正限界縮尺確定操作部51を操作して、現在の表示縮尺を適正限界縮尺として設定する。図7の(b)に示すように、目的地DとランドマークLとが近すぎる位置に表示されている場合には、操作部52,53のうちの詳細ボタン(拡大操作部)52を操作して地図尺度を更新し、目的地DとランドマークLとが適切な位置に表示された場合に適正限界縮尺確定操作部51を操作して、そのときの表示縮尺を適正限界縮尺として設定する。図7の(c)に示すように、目的地DとランドマークLとが遠すぎる、又はランドマークLが表示されないような場合には、縮尺変更用操作部52,53のうちの広域ボタン(縮小操作部)53を操作して地図尺度を更新し、目的地DとランドマークLとが適切な位置に表示された場合に適正限界縮尺確定操作部51を操作して、そのときの表示縮尺を適正限界縮尺として設定する。これにより、現在地が目的地に接近して、表示器10の表示縮尺が適正限界縮尺となった場合に、目的地だけでなく、目印地点も表示されるので、目的地と現在位置との位置関係が把握し易くなる。
【0058】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0059】
例えば、上記実施形態における案内画面表示設定処理Aを、図8に示す案内画面表示設定処理Bとすることもできる。案内画面表示設定処理Bでは、目的地Dを含む目的地周辺道路地図M1を地図画面M上に表示するとともに、当該目的地周辺道路地図M1上にて目的地Dとは別に、当該目的地Dに到達する上での目印となるべき目印地点を設定して、設定した目印地点Lと目的地Dとの双方が地図画面M上に同時に表れるようにして、適正限界縮尺が設定される。
【0060】
図8は、案内画面表示設定処理Bの流れを示すフローチャートである。案内画面表示設定処理Bは、ナビゲーションプログラム21pによる目的地設定処理に続く形で実行される。目的地Dが設定されるに伴い表示器10の地図画面M上には、設定された目的地Dを含む目的地周辺道路地図M1が目的地設定完了画面として表示されるから、S31では、まず、この目的地周辺道路地図M1を用いた適正限界縮尺設定画面を表示する。S32では、表示器10に表示される目的地周辺道路地図M1の表示縮尺を、ユーザーによる縮尺変更操作及びスクロール操作により変更可能な状態とし、該操作に応じて目的地周辺道路地図M1の表示縮尺及び表示視野を変更する。スクロール操作は、地図画面M(目的地周辺道路地図M1)上にて道路地図をスクロールする所定のスクロール操作部の操作であり、該スクロール操作部は、タッチパネル22、操作スイッチ郡7、又はリモコン端末12等のいずれかに設けられている。そして、表示されている目的地周辺道路地図M1上で、目印地点と設定すべき地点を選択する。この選択操作がなされると、目的地Dと目印地点Lとが地図画面M上に同時に表示可能な最大表示縮尺が算出され、その算出結果が適正限界縮尺として自動設定される。なお、自動設定後に、設定された適正限界縮尺にて目印地点L及び目的地Dの双方を地図画面Mに表示し、設定確認を行うようにしてもよい。
【0061】
また、この案内画面表示設定処理Bでは、地図画面M上でユーザーに任意の目印地点を選択させるのではなく、予めナビゲーション装置100に登録されているランドマーク(目印地点)を地図画面M上に表示し、その中からユーザーに選択させる形で行ってもよい。具体的には、表示器10の地図画面上に予め定められたランドマークを表示するためのランドマーク位置情報を地図データ21mとともにHDD21に予め記憶しておき、目印地点とするべきランドマークを地図画面M上に表示し、これをユーザーが選択する形で行う。なお、案内画面表示設定処理Bが実行されることで、本発明における目印地点設定手段が機能することになる。
【0062】
この場合、例えば、図8(a)の左図のような状態で目印となるランドマークL1を画面上で選択した場合は、上記最大表示縮尺の算出の結果として現在と同じ表示縮尺が算出され、これに基づいて図8(a)の右図のような地図画面Mが表示される。この状態で、決定ボタン51を操作することで、図8(a)の右図の表示縮尺が適正限界縮尺として設定される。また、図8(b)の左図のような状態で目印となるランドマークL2を選択した場合は、目的地Dと目印地点L2とを地図画面M上に同時表示するにもまだ拡大する余地が残されているので、上記最大表示縮尺の算出がなされると、算出前の表示縮尺よりも大となる縮尺が算出され、図8(b)の右図のような地図画面Mが表示される。そして、決定ボタン51を操作することで、図8(b)の右図の表示縮尺が適正限界縮尺として設定される。なお、図8(a)及び図8(b)の場合はいずれも、選択すべきランドマークが、目的地周辺道路地図M1上に表示されていたので、表示されているランドマークを選択する操作のみ行えばよかったが、図8(c)の左図のような状態の場合は、広域ボタン(縮小操作部)53を操作して地図画面Mの表示視野が拡がるように地図縮尺を拡大する必要がある。そして、図8(c)の右図のように、選択したいランドマークL1が表示されるまで拡大した後、そのランドマークL1を選択することで上記の最大表示縮尺が算出される。算出後には、上記と同様に、算出された最大表示縮尺で地図画面が表示されるので、そのときに決定ボタン51を操作することで適正限界縮尺が設定される。決定ボタン51が操作されることで、上述した案内画面表示プログラム212pが実行される。
【0063】
なお、図8においては、ランドマーク選択した後に、決定ボタン51が操作されることで適正限界縮尺が確定して設定されるが、ランドマークの選択操作が、適正限界縮尺を確定して設定させる操作となってもよい。
【0064】
また、この案内画面表示設定処理Bにおいて、選択可能なランドマーク数は1以上であってもよい。また、ランドマークを画面上で直接選択せずとも、ユーザーがスクロール操作及び縮尺変更操作により、表示される目的地周辺道路地図M1の表示内容を切り替え、ランドマークの含まれた画面を選択することにより、その選択画面に含まれる全てのランドマーク(目印地点)Lが選択されるようになっていてもよい。この場合、選択された全てのランドマークLと目的地Dとが地図画面M上に同時に表示可能な最大表示縮尺が算出され、その算出結果が適正限界縮尺として自動設定される。この処理が実行されることで、本発明のランドマーク選択画面入力確定手段が機能することになる。
【0065】
上記実施形態における案内画面表示設定処理A及びBを、以下で述べる案内画面表示設定処理Cとすることもできる。案内画面表示設定処理Cでは、適正限界縮尺設定の際に、目的地Dの周辺に存在するランドマークLを、該目的地Dに近い順にて予め定められた個数まで検索する。なお、ランドマークLは、ナビゲーション装置100にランドマークリスト210dの形で予め記憶されており(本実施形態においてはHDD21のデータベース21dに予め記憶されている)、検索は、そのランドマークリストに登録されているランドマークを検索する形でなされる。そして、検索された全てのランドマークと目的地とが地図画面上に同時に表示可能な最大表示縮尺を計算し、該表示縮尺を適正限界縮尺として設定するように構成する。なお、ランドマークリスト210dに登録されているランドマークLは、表示器10の地図画面M上に表示するためのランドマーク位置情報を、地図データ21mとともにHDDに記憶している。これにより、リスト登録されているランドマークLは全て、そのランドマーク位置情報に基づいて表示器10の地図画面上に表示可能となっている。また、検索するランドマークの個数は、ユーザー設定可能である。これにより、設定される適正限界縮尺をユーザーが可変できるようになっている。なお、この案内画面表示設定処理Cが実行されることで、本発明のランドマーク検索手段が機能することとなる。
【0066】
図10は、案内画面表示設定処理Cの流れを示すフローチャートである。案内画面表示設定処理Cは、ナビゲーションプログラム21pによる目的地設定処理に続く形で実行される。目的地Dが設定されるに伴い表示器10の地図画面M上には、設定された目的地Dを含む目的地周辺道路地図M1が目的地設定完了画面として表示されるから、まず、S41では、まず、この目的地周辺道路地図M1を用いた適正限界縮尺設定画面を表示する。S42では、検索するランドマークの個数(以下、検索ランドマーク数という)を設定する。この検索ランドマーク数は、ユーザーデータ21うとして記憶された予め定められた値が読み出されて設定される。なお、検索ランドマーク数はタッチパネル22、操作スイッチ郡7、又はリモコン端末12等のいずれかに設けられたランドマーク検索数設定操作部をユーザーが操作することにより設定可能としてもよいし、さらに、S42にて設定するようにしてもよい。検索ランドマーク数が設定されるとS43に進む。S43では、HDD21に記憶されているランドマークリスト210dに含まれるランドマークLの中から、設定された検索ランドマーク数のランドマークを、目的地に近い順で選択する。そして、S44では、選択されたランドマークリスト(目印地点)Lと目的地Dとが地図画面M上に同時に表示可能な最大表示縮尺を算出し、その算出結果を適正限界縮尺として自動設定する。
【0067】
なお、この適正限界縮尺の自動設定後に、設定された適正限界縮尺にて目印地点L及び目的地Dの双方を地図画面Mに表示し、設定確認を行うようにしてもよい。その場合、図11に示すような縮尺にて適正限界縮尺が設定される。図11の場合、確認ボタンを操作することで適正限界縮尺が確定し、案内が開始される。なお、適正限界縮尺を別の縮尺に変更したい場合は、検索ランドマーク数を変更することで行うことができる。
【0068】
なお、上記全ての案内画面表示設定処理では、適正限界縮尺設定画面上で、目的地Dが、地図画面Mの中央位置に固定となるように道路地図の表示視野を定める形で適正限界縮尺を設定されているが、図12に示すように、地図画面Mの周縁領域に目的地Dの表示位置を定めて、地図画面Mの表示縮尺をできるだけ大きく設定しつつ、目的地周辺を広く表示することもできる。
【0069】
また、上記案内画面表示設定処理B及びCにおいて、適正限界縮尺設定時に、目的地Dが、目的設定時の現在位置Pに対して予め定められた距離d以内にあり、適正限界縮尺設定画面(目的地周辺地図画面)上で、図13に示すように、現在地と目的地との双方が同時表示されている場合には、現在地と、目的地と、目印地点との全てが同時表示可能な最大表示縮尺を見出して、その表示縮尺を適正限界縮尺として設定してもよい。この場合、表示器10に表示される地図画面Mには、案内開始時から縮尺変更モードにて表示される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態であるナビゲーション装置の全体構成を概略的に示すブロック図。
【図2】ナビゲーション装置による案内画面の遷移を説明する図。
【図3】案内画面表示処理の流れを示すフローチャート。
【図4】縮尺変更処理の流れを示すフローチャート。
【図5】表示モードの切替を説明する図。
【図6】案内画面表示設定処理の第一実施例の流れを示すフローチャート。
【図7】図6における表示画面を説明する図。
【図8】案内画面表示設定処理の第二実施例の流れを示すフローチャート。
【図9】図8における表示画面を説明する図。
【図10】案内画面表示設定処理の第三実施例の流れを示すフローチャート。
【図11】図10における表示画面を説明する図。
【図12】適正限界縮尺設定画面の別表示形態を説明する図。
【図13】目的地接近時における適正限界縮尺設定画面を説明する図。
【符号の説明】
【0071】
100 ナビゲーション装置
1 位置検出部
8 制御回路
81 CPU
82 RAM
83 ROM
10 表示器(表示装置)
21 ハードディスク装置(HDD)
7,22,12 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路地図データを記憶する道路地図データ記憶部と、
前記道路地図データ上に目的地を設定する目的地設定手段と、
自車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記道路地図データに基づく道路地図を表示装置に表示し、表示された地図画面上に、前記自車両の進行に応じて、前記自車両の現在位置と該現在位置から前記目的地設定手段により設定された前記目的地までの案内経路を表示する案内経路表示手段と、
前記現在位置と前記目的地との双方が前記地図画面上に同時に表れるように前記道路地図の表示縮尺を設定するとともに、前記現在位置が前記目的地に近づくほど前記表示縮尺を拡大方向に変更制御する表示制御手段と、
前記表示縮尺が、最大縮尺より小さい予め定められた適正限界縮尺に到達した場合に、前記表示制御手段による該表示縮尺の前記拡大方向への変更を制限する縮尺拡大制限手段と、
を備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記現在位置と前記目的地とのうち前記現在位置のみが前記地図画面上に現れる第一の表示縮尺に設定された状態にて、前記現在位置と前記目的地とが予め定められた基準距離内に接近した場合に、前記現在位置と前記目的地との双方が前記地図画面上に同時に表れるように前記道路地図の表示縮尺を、前記第一の表示縮尺よりも小さい第二の表示縮尺に変更する請求項1記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記現在位置と前記目的地とのうち前記現在位置のみが前記地図画面上に現れる第一の表示縮尺に設定された状態にて、前記現在位置と前記目的地とが予め定められた基準距離内に接近した場合に、前記現在位置と前記目的地との双方が前記地図画面上に同時に表れるように前記地図画面の表示視野を変更する請求項1又は請求項2に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記目的地設定手段により設定された前記目的地が、目的地設定時の現在位置に対して予め定められた距離以内に収まっている場合に、案内開始時における前記表示縮尺を、該現在位置と前記目的地との双方が前記地図画面上に収まる縮尺値に自動設定する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項5】
予め定められた操作部からの縮尺変更操作に基づいて、前記適正限界縮尺を可変設定する適正限界縮尺設定手段を備える請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記目的地設定手段は、前記目的地が設定されるに伴い前記地図画面上に当該目的地を含む前記目的地周辺道路地図を表示する目的地周辺道路地図表示手段を備え、
前記適正限界縮尺設定手段は、前記目的地設定完了画面である前記目的地周辺道路地図上にて前記適正限界縮尺を設定する請求項5記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記適正限界縮尺設定手段は、前記目的地を含む目的地周辺道路地図を前記地図画面上に表示するとともに、当該目的地周辺道路地図上にて前記縮尺変更操作により選択された任意の表示縮尺を、前記適正限界縮尺として確定させる適正限界縮尺確定操作部を有する請求項5又は請求項6記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項8】
前記目的地を含む目的地周辺道路地図を前記地図画面上に表示するとともに、当該目的地周辺道路地図上にて前記目的地とは別に、当該目的地に到達する上での目印となるべき目印地点を設定する目印地点設定手段を有し、
前記適正限界縮尺設定手段は、前記目的地と前記目印地点との双方が前記地図画面上に同時に表れるように前記適正限界縮尺を定めるものである請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項9】
前記道路地図データ記憶部は、前記表示装置の地図画面上に予め定められたランドマークを表示するためのランドマーク位置情報を前記道路地図データとともに記憶するものであり、
前記目印地点設定手段は、前記目印地点とするべきランドマークを前記地図画面上にて選択するランドマーク選択手段を有する請求項8記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項10】
前記ランドマーク選択手段は、前記地図画面上にて前記道路地図をスクロールするスクロール操作部と、該スクロールにより、記憶されている前記ランドマークの少なくとも1のものが、前記目的地とともに前記地図画面上に現れている状態で、当該画面をランドマーク選択画面として入力確定させるランドマーク選択画面入力確定手段とを有する請求項9記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項11】
前記適正限界縮尺設定手段は、前記目的地と前記目印地点とが前記地図画面上に同時に表示可能な最大表示縮尺を前記適正限界縮尺として設定する請求項8ないし請求項10のいずれか1項に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項12】
前記ランドマーク選択手段は、前記目的地の周辺に存在する前記ランドマークを、該目的地に近い順にて予め定められた個数まで検索するランドマーク検索手段を有し、
前記適正限界縮尺設定手段は、検索された全てのランドマークと前記目的地とが前記地図画面上に同時に表示可能な最大表示縮尺を計算し、該表示縮尺を前記適正限界縮尺として設定する請求項9記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項13】
前記適正限界縮尺設定手段は、前記適正限界縮尺を設定する際に、前記目的地が前記地図画面の中央位置に固定となるように前記道路地図の表示視野を定める形で前記適正限界縮尺を設定するものである請求項6ないし請求項12のいずれか1項に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項14】
前記適正限界縮尺設定手段は、前記地図画面の周縁領域に前記目的地の表示位置を定める形で、該目的地と前記目印地点とを同時表示可能な最大表示縮尺を見出し、該表示縮尺を前記適正限界縮尺として設定するものである請求項6ないし請求項12のいずれか1項に記載の車両用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−89483(P2008−89483A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272290(P2006−272290)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】