説明

車両用運転補助装置

【課題】注意地点における安全確認等の手順を運転者に案内することができる車両用運転補助装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明による車両用運転補助装置100は、車両走行時における注意地点を検出する注意地点検出部114と、車両における運転者により目視可能な位置に配置され、車両の外部環境を映し出す複数のミラー190,192と、注意地点検出部114により注意地点が検出された場合に、該注意地点において目視すべきミラー190,192の順序を、運転者に対して案内する目視案内処理部113とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注意地点における運転者による安全確認や安全操作を補助する車両用運転補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、モニタに表示された地図上に車両の走行位置に対応して前記車両の進行に係わる道路案内情報を表示する車載用経路誘導装置の補助表示装置において、運転席の正面に配置され、前記車載用経路誘導装置から出力される前記道路案内情報に基づく方向指示が左折指示である場合に発光する左折表示器と、前記運転席の正面に配置され、前記車載用経路誘導装置から出力される前記道路案内情報に基づく方向指示が右折指示である場合に発光する右折表示器と、前記車両の走行位置から左折地点または右折地点までの距離に応じて発光した前記左折表示器または前記右折表示器の発光色を変える発光制御部と、を備えることを特徴とする車載用経路誘導装置の補助表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−149190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の発明では、運転者は、右左折方向は理解できるが、右左折時に行うべき安全確認や安全操作をどのような順序で行うべきかを自身が判断しなければならない。
【0004】
そこで、本発明は、注意地点における安全確認や安全操作の手順を運転者に案内することができる車両用運転補助装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る車両用運転補助装置は、車両走行時における注意地点を検出する注意地点検出手段と、
車両における運転者により目視可能な位置に配置され、車両の外部環境を映し出す複数の外部環境表示手段と、
前記注意地点検出手段により注意地点が検出された場合に、該注意地点において目視すべき前記外部環境表示手段の順序を、運転者に対して案内する案内手段とを備えることを特徴とする。これにより、注意地点における安全確認の手順を運転者に案内することができる。
【0006】
第2の発明は、第1の発明に係る車両用運転補助装置において、
前記案内手段は、前記注意地点において目視すべき前記外部環境表示手段の順序を、該順序に合わせて、前記外部環境表示手段を順次点灯させることにより、案内することを特徴とする。これにより、注意地点における安全確認の手順を、より分かりやすい態様で、運転者に案内することができる。尚、点灯させることは、点灯及び消灯を繰り返す点滅を含む。
【0007】
第3の発明に係る車両用運転補助装置は、車両走行時における注意地点を検出する注意地点検出手段と、
車両における運転者により操作可能な位置に配置される操作手段と、
前記注意地点検出手段により注意地点が検出された場合に、該注意地点において実行すべき前記操作手段の操作の順序を、運転者に対して案内する案内手段とを備えることを特徴とする。これにより、注意地点における安全操作の手順を運転者に案内することができる。尚、操作手段の操作の順序は、複数の操作手段に対する一連の操作の順序であってもよいし、1つの操作手段に対する一連の操作の順序であってもよい。
【0008】
第4の発明は、第3の発明に係る車両用運転補助装置において、
前記案内手段は、前記注意地点において実行すべき前記操作手段の操作の順序を、該順序に合わせて、前記操作手段を順次点灯させることにより、案内することを特徴とする。これにより、注意地点における安全操作の手順を、より分かりやすい態様で、運転者に案内することができる。
【0009】
第5の発明に係る車両用運転補助装置は、車両走行時における注意地点を検出する注意地点検出手段と、
車両における運転者により目視可能な位置に配置され、車両の外部環境を映し出す外部環境表示手段と、
車両における運転者により操作可能な位置に配置される操作手段と、
前記注意地点検出手段により注意地点が検出された場合に、該注意地点において実行すべき一連の外部環境表示手段の目視及び操作手段の操作の順序を、運転者に対して案内する案内手段とを備えることを特徴とする。これにより、注意地点における一連の安全確認及び安全操作の手順を運転者に案内することができる。
【0010】
第6の発明は、第5の発明に係る車両用運転補助装置において、
前記案内手段は、前記注意地点において実行すべき一連の外部環境表示手段の目視及び操作手段の操作の順序を、該順序に合わせて、前記外部環境表示手段及び前記操作手段を順次点灯させることにより、案内することを特徴とする。これにより、注意地点における一連の安全確認及び安全操作の手順を、より分かりやすい態様で、運転者に案内することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、注意地点における安全確認及び/又は安全操作の手順を運転者に案内することができる車両用運転補助装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、幾つかの実施例に分けて、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1による車両用運転補助装置100の主要構成を示すシステム構成図である。
【0014】
車両用運転補助装置100は、制御ECU110を中心として構成される。制御ECU110は、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータとして構成されている。ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。
【0015】
制御ECU110には、自車位置検出手段130が接続される。自車位置検出手段130には、GPSアンテナ132が接続されている。自車位置は、GPS受信機によりGPSアンテナ132を介してGPS衛星が出力するGPS信号に基づいて測位・演算される。測位方法は、単独測位や相対測位(干渉測位を含む。)等の如何なる方法であってもよい。この際、自車位置は、車速センサやジャイロセンサ等の各種センサの出力や、ビーコン受信機及びFM多重受信機を介して受信される各種情報に基づいて補正されてよい。自車位置は、また、公知のマップマッチング技術により、不定期的に、地図データベース140内の地図データを用いて適宜補正されてよい。このようにして導出される自車位置は、演算周期毎に、制御ECU110に供給される。
【0016】
制御ECU110には、地図データベース140が接続される。地図データベース140には、地図データが格納されている。地図データには、通常的なものと同様、道路分岐点(交差点)に対応するノードの座標情報、高速道路の合流点/分岐点に各々対応する各ノードの座標情報、隣接するノードを接続するリンク情報、各リンクに対応する道路の幅員情報、各リンクに対応する国道・県道・高速道路等の道路種別、各リンクの通行規制情報等の各種道路情報が含まれている。また、道路情報としては、各リンクの制限速度、一時停止線、駐車禁止区域、信号機の有無、踏み切りの有無、追い越し禁止区間、一方通行、スクールゾーン、Uターン禁止、事故多発地点情報等のような、注意地点を判断するために有用な情報を含んでよい。
【0017】
制御ECU110には、目視順序情報データベース142が接続される。目視順序情報データベース142には、注意地点において目視すべきミラーの順序を表す情報(目視順序情報)が格納される。目視順序情報は、目視すべきミラーの順序とともに、そのタイミングを規定した情報を含む。目視のタイミングは、注意地点の位置に対する相対的な位置で規定されてよい。目視順序情報は、注意地点毎又は注意地点の属性毎に、当該注意地点又はその属性に応じて作成されたものが格納されてよい。
【0018】
制御ECU110には、制御対象として、ルームミラー灯190a及びサイドミラー灯192aが接続される。ルームミラー灯190a及びサイドミラー灯192aは、例えばLED(light-emitting diode)を光源とし、ルームミラー190及びサイドミラー192にそれぞれ設定される。ルームミラー灯190a及びサイドミラー灯192aは、ルームミラー190及びサイドミラー192における運転者から目視可能な位置に設定され、点灯ないし点滅することで、運転者にルームミラー190及びサイドミラー192の存在ないし位置をアピールする役割を果たす。
【0019】
制御ECU110には、視線検出カメラ160が接続されている。視線検出カメラ160は、可視光又は赤外線感応CCD(charge-coupled device)センサアレイを備えるカメラである。視線検出カメラ160は、車両の運転者の顔を撮像できる適切な位置・向きに配置される。例えば、視線検出カメラ160は、ルームミラー190に取り付けられてもよいし、インストルメントパネルのダッシュボードやステアリングコラム等に取り付けられてもよい。視線検出カメラ160は、車両走行中にリアルタイムに運転者の顔部の画像を取得し、所定のフレーム周期(例えば30fps)のストリーム形式で制御ECU110に供給するものであってよい。
【0020】
制御ECU110は、図1に示すように、その主要な機能として、視線検出部112と、目視案内処理部113と、注意地点検出部114と、経路設定部115とを備える。
【0021】
視線検出部112は、視線検出カメラ160により取得された各画像に対する画像処理により、運転者の視線の向きを認識する。例えば、視線検出部112は、先ず、視線検出カメラ160により取得された画像から、顔の代表的なポイント(特徴点)を抽出する。この特徴抽出方法は、適切な任意の方法であってよく、例えばActive Appearance Model(AAM)をベースにした技術が用いられてよい。次いで、適切なエッジ検出アルゴリズム(例えばSobelのエッジ検出アルゴリズム)を適用して、目周辺の特徴の境界を抽出し、次いで、図2に示すように、眼球の輪郭線を抽出して、運転者の視線方向を認識する。或いは、赤外光オン時(可視光を遮断した状態)の顔画像と赤外光オフ時の顔画像との差分画像に基づいて、眼球の位置を認識し、運転者の視線方向を認識することも可能である。
【0022】
経路設定部115は、通常的なナビゲーション装置における経路設定部と同様であってよく、ユーザにより入力される目的地に対して、現在の車両位置からの最適なルートを探索・設定する。
【0023】
注意地点検出部114は、自車位置検出手段130から供給される自車位置情報と、地図データベース140内の情報とに基づいて、経路設定部115により設定された案内経路上における注意地点を検出する。注意地点は、例えば、案内経路上の右左折地点や、信号機の無い一時停止線の存在する地点、事故多発地点等であってよい。
【0024】
図3は、制御ECU110の目視案内処理部113により実現される主要処理の流れを示すフローチャートである。
【0025】
ステップ10では、目視案内処理部113は、注意地点検出部114の検出結果に基づいて、自車の前方に注意地点が近接したか否かを判定する。注意地点が近接した場合には、ステップ11に進み、それ以外の場合には、今回の処理ルーチンはそのまま終了する。
【0026】
ステップ11では、目視案内処理部113は、目視順序情報データベース142から、近接している注意地点に関する目視順序情報を読み出す。
【0027】
ステップ12では、目視案内処理部113は、目視順序情報及び自車位置情報に基づいて、i番目(初回の場合、i=1)の目視案内タイミングが到来したか否かを判定する。目視案内タイミングが到来した場合には、ステップ13に進む。
【0028】
ステップ13では、目視案内処理部113は、i番目に行うべき目視を案内する。例えば、i番目に行うべき目視が、ルームミラー190に対する目視である場合、目視案内処理部113は、ルームミラー灯190aを点灯させる。これにより、運転者は、ルームミラー灯190aの点灯に気が付き、ルームミラー190を目視するので、ルームミラー190による安全確認が促進される。
【0029】
ステップ14では、目視案内処理部113は、視線検出部112の検出結果に基づいて、目視案内に応答して運転者が、目視対象のミラー190又は192を目視したか否かを評価する。尚、眼球の位置は個人差があるため、運転者に対して予め試験等により各視線に対応した基準画像(即ちルームミラー190やサイドミラー192を目視しているときの画像)を取得しておき、当該基準画像との比較により評価してもよい。
【0030】
ステップ15では、目視案内処理部113は、目視順序情報に基づいて、今回の注意地点に対する全ての目視案内が完了したか否かを判定する。今回の注意地点に対する全ての目視案内が完了した場合には、今回の注意地点に対する処理ルーチンを終了する。一方、今回の注意地点に対する全ての目視案内が完了していない場合、即ち今回の注意地点において実行すべき一連の目視の回数がN[回]であるときにN>iの場合、iをインクリメントして(ステップ16)、ステップ12に戻る。その後、同様に、ステップ13にて、例えば、i+1番目に行うべき目視が、サイドミラー192に対する目視である場合、目視案内処理部113は、目視順序情報に規定されたタイミングに従って、サイドミラー灯192aを点灯させる。これにより、運転者は、サイドミラー灯192aの点灯に気が付き、サイドミラー192を目視するので、サイドミラー192による安全確認が促進される。
【0031】
このように本実施例によれば、注意地点において安全確認の手順が案内されるので、運転者による適切な安全確認が促進され、運転補助の有用性を高めることができる。また、上述の如く、目視すべき対象のミラー190又は192が点灯されるので、運転者は、目視すべき対象のミラー190又は192を容易に理解することができる。また、上述の如く、目視すべき対象のミラー190又は192が、目視すべきタイミングで順次点灯されるので、運転者は、適切なタイミングで順次、各種ミラー190及び192で安全確認を行うことが可能となる。即ち、運転者は、注意地点で行うべき重要な安全確認を、忘れてしまうことなく適切な目視手順で行うことが容易となる。
【実施例2】
【0032】
実施例2は、上述の実施例1に対して、案内対象が目視でなく、車載機器の操作である点が主に異なる。実施例2の説明においては、上述の実施例1と同様の構成については、適宜説明を省略し、実施例2に特有の構成について重点的に説明する。
【0033】
図4は、本発明の実施例2による車両用運転補助装置200の主要構成を示すシステム構成図である。車両用運転補助装置200は、制御ECU210を中心として構成される。制御ECU210には、実施例1と同様の地図データベース240及び自車位置検出手段230が接続される。
【0034】
制御ECU210には、操作手段270が接続される。操作手段270は、車載機器を操作するために用いられるものであり、例えば、ウインカー(ターニングランプ)を操作するためのウインカーレバー(方向指示器操作レバー)や、ハザードランプを点灯させるためのスイッチや、トランスミッションの変速比を変更操作するためのシフトレバーである。
【0035】
制御ECU210には、操作順序情報データベース242が接続される。操作順序情報データベース242には、注意地点において実行すべき操作手段270の操作順序を表す情報(操作順序情報)が格納される。操作順序情報は、操作すべき操作手段270の順序とともに、そのタイミングを規定した情報を含む。操作タイミングは、注意地点の位置に対する相対的な位置で規定されてよい。操作順序情報は、注意地点毎又は注意地点の属性毎に、当該注意地点又はその属性に応じて作成されたものが格納されてよい。
【0036】
制御ECU210には、制御対象として、操作部指示灯290が接続される。操作部指示灯290は、例えばLEDを光源とし、操作手段270毎に設定される。操作部指示灯290は、操作手段270における運転者から目視可能な位置に設定され、点灯ないし点滅することで、運転者に当該操作手段270の存在ないし位置をアピールする役割を果たす。操作部指示灯290は、操作手段270を構成する操作部材に埋設されてもよいし、取り付けられてもよい。
【0037】
制御ECU210は、図1に示すように、その主要な機能として、操作案内処理部213と、注意地点検出部214と、経路設定部215とを備える。
【0038】
経路設定部215は、ユーザにより入力される目的地に対して、現在の車両位置からの最適なルートを探索・設定する。
【0039】
注意地点検出部214は、自車位置検出手段230から供給される自車位置情報と、地図データベース240内の情報とに基づいて、経路設定部215により設定された案内経路上における注意地点を検出する。注意地点は、例えば、案内経路上の右左折地点や、信号機の無い一時停止線の存在する地点、事故多発地点等であってよい。
【0040】
図5は、制御ECU210の操作案内処理部213により実現される主要処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
ステップ20では、操作案内処理部213は、注意地点検出部214の検出結果に基づいて、自車の前方に注意地点が近接したか否かを判定する。注意地点が近接した場合には、ステップ21に進み、それ以外の場合には、今回の処理ルーチンはそのまま終了する。
【0042】
ステップ21では、操作案内処理部213は、操作順序情報データベース242から、近接している注意地点に関する操作順序情報を読み出す。
【0043】
ステップ22では、操作案内処理部213は、操作順序情報及び自車位置情報に基づいて、i番目(初回の場合、i=1)の操作案内タイミングが到来したか否かを判定する。操作案内タイミングが到来した場合には、ステップ23に進む。
【0044】
ステップ23では、操作案内処理部213は、i番目に行うべき操作を案内する。例えば、i番目に行うべき操作が、操作手段270としてのウインカーレバーに対する操作である場合、操作案内処理部213は、ウインカーレバーに設定された操作部指示灯290を点灯させる。これにより、運転者は、ウインカーレバーの操作部指示灯290の点灯に気が付き、ウインカーレバーの操作が促進される。
【0045】
ステップ24では、操作案内処理部213は、操作手段270からの操作信号に基づいて、操作案内に応答して運転者が、操作対象の操作手段270を操作したか否かを評価する。
【0046】
ステップ25では、操作案内処理部213は、操作順序情報に基づいて、今回の注意地点に対する全ての操作案内が完了したか否かを判定する。今回の注意地点に対する全ての操作案内が完了した場合には、今回の注意地点に対する処理ルーチンを終了する。一方、今回の注意地点に対する全ての操作案内が完了していない場合、即ち今回の注意地点において実行すべき一連の操作の回数がN[回]であるときにN>iの場合、iをインクリメントして(ステップ26)、ステップ22に戻る。その後、同様に、ステップ23にて、例えば、i+1番目に行うべき操作が、シフトダウンである場合、操作案内処理部213は、シフトレバーに設定された操作部指示灯290を点灯させる。これにより、運転者は、シフトレバーの操作部指示灯290の点灯に気が付き、シフトレバーの操作(シフトダウン)が促進される。
【0047】
このように本実施例によれば、注意地点において安全操作の手順が案内されるので、運転者による適切な安全操作が促進され、運転補助の有用性を高めることができる。また、上述の如く、操作すべき対象の操作手段270が実質的に点灯されることになるので、運転者は、操作すべき対象の操作手段270を容易に理解することができる。また、上述の如く、操作すべき対象の操作手段270(正確には、その操作部指示灯290)が、操作すべきタイミングで順次点灯されるので、運転者は、適切なタイミングで順次、操作手段270の操作を行うことが可能となる。即ち、運転者は、注意地点で行うべき重要な操作を、忘れてしまうことなく適切な操作手順で行うことが容易となる。
【実施例3】
【0048】
実施例3は、上述の実施例1、2に対して、案内対象が一連の目視と車載機器の操作である点が主に異なる。以下では、上述の実施例1、2と同様の構成については、適宜説明を省略し、実施例3に特有の構成について重点的に説明する。また、以下の実施例3では、より具体的な操作手段や順序を一例として特定しながら説明する。
【0049】
図6は、本発明の実施例3による車両用運転補助装置300の主要構成を示すシステム構成図である。車両用運転補助装置300は、制御ECU310を中心として構成される。制御ECU310には、実施例1と同様の自車位置検出手段330、視線検出カメラ360、操作手段370、操作部指示灯390、ルームミラー灯392a及びサイドミラー灯394aが接続される。
【0050】
制御ECU310には、ユーザ(主に運転者)により操作される入力装置350が接続される。入力装置350は、例えばタッチパネルやリモコン等であってよい。入力装置350は、例えば、ユーザが自ら、案内が必要な注意地点を新たなに登録したり、登録した注意地点を削除したりするために利用される。
【0051】
制御ECU310には、案内に従って各種目視・操作を行ったかについての評価結果を出力する出力装置352が接続される。出力装置352は、例えばナビゲーション装置のディスプレイと共用であってよい。
【0052】
制御ECU310には、注意地点データベース344が接続される。注意地点データベース344は、書き換え可能なメモリ(例えば、ハードディスク)からなる。注意地点データベース344には、安全確認の必要な注意地点に関する注意地点情報が格納されている。注意地点情報は、注意地点の位置情報の他、注意地点の属性(例えば、右左折地点、一時停止線、踏み切り等の種別)を含む。注意地点情報は、ユーザにより登録され、事後的に変更可能とされる。尚、本例では、注意地点情報は、地図データに対応付けられた状態で、注意地点データベース344内に一括して管理されるものとする。
【0053】
制御ECU310には、目視・操作順序情報データベース342が接続される。目視・操作順序情報データベース342には、注意地点において実行すべき一連の目視及び操作の順序に関する情報(目視・操作順序情報)が格納されている。例えば、右左折地点の場合、目視・操作順序情報は、例えば、1番目にサイドミラー394の目視及び2番目にウインカーレバーの操作を表す。
【0054】
制御ECU310は、図6に示すように、その主要な機能として、視線検出部312と、目視/操作案内処理部313と、注意地点検出部314と、経路設定部315と、データベース管理部316とを備える。視線検出部312及び経路設定部315の機能については、上述の実施例1の同部の機能と同様であってよい。
【0055】
データベース管理部316は、注意地点データベース344及び/又は目視・操作順序情報データベース342内の情報を管理する。例えば、データベース管理部316は、入力装置350を介して入力されるユーザからの指示に従って、注意地点データベース344及び/又は目視・操作順序情報データベース342内の情報を変更する。これにより、例えば、ユーザは、踏み切り地点での案内が不要な場合には、注意地点データベース344内から当該踏み切り地点を削除し、また、過去に危ない経験をした地点(いわゆるヒヤリハット地点)を注意データベース344内に新たなに登録したりできる。目視・操作順序情報データベース342には、注意地点の属性に応じて目視・操作順序情報が格納されているが、同様に、ユーザにより目視・操作順序やタイミングが適宜定義・変更されてもよい。
【0056】
注意地点検出部314は、自車位置検出手段330から供給される自車位置情報と、注意地点データベース344内の注意地点情報とに基づいて、経路設定部315により設定された案内経路上における注意地点を検出する。
【0057】
図7は、制御ECU310の目視/操作案内処理部313により実現される主要処理の流れを示すフローチャートである。
【0058】
ステップ30では、目視/操作案内処理部313は、注意地点検出部314の検出結果に基づいて、自車の前方に注意地点が近接したか否かを判定する。注意地点が近接した場合には、ステップ32に進み、それ以外の場合には、今回の処理ルーチンはそのまま終了する。
【0059】
ステップ32では、目視/操作案内処理部313は、目視・操作順序情報データベース342から、近接している注意地点の属性に応じた目視・操作順序情報を読み出す。
【0060】
以下、同様に、ステップ34〜ステップ42では、目視/操作案内処理部313は、目視・操作順序情報に従って、一連の目視及び操作順序を案内する。例えば、今回検出された注意地点が案内経路上の左折地点である場合、1番目に左側のサイドミラー394の目視及び2番目にウインカーレバーの操作を表す目視・操作順序情報に従って、先ず、目視/操作案内処理部313は、左側のサイドミラー394に係るサイドミラー灯394aを点滅させて目視案内を行い(ステップ34,36)、運転者がそれに応じて左側のサイドミラー394を目視したか否かを視線検出部312の検出結果に基づいて評価する(ステップ38)。この際、左側のサイドミラー394を目視した場合には、目視/操作案内処理部313は、左側のサイドミラー灯394aの点滅を停止させる(即ち消灯させる)。次に、目視/操作案内処理部313は、操作手段370としてのウインカーレバーに対する操作部指示灯390を点滅させて操作案内を行い(ステップ34,36)、運転者がそれに応じてウインカーレバーを操作したか否かを、ウインカーレバーの操作信号に基づいて評価する(ステップ38)。この際、ウインカーレバーの操作信号が検出された場合には、目視/操作案内処理部313は、ウインカーレバーの操作部指示灯390の点滅を停止させる。
【0061】
このようにして今回検出された注意地点に対する一連の目視・操作案内が終了すると(ステップ40のYES判定)、目視/操作案内処理部313は、ステップ38で得られた評価結果を、当該注意地点に対応付けて記憶し、ステップ44に進む。
【0062】
ステップ44では、目視/操作案内処理部313は、図示しないイグニションスイッチからの信号に基づいて、車両が停止(エンジンないし車輪駆動モータが停止)したか否かを判定する。車両が停止した場合、即ち今回のトリップが終了した場合には、ステップ48に進み、依然として走行中である場合には、iを初期値1に戻して(ステップ46)、次に到来しうる注意地点に対してステップ30〜42の処理を繰り返す。
【0063】
ステップ48では、目視/操作案内処理部313は、今回のトリップにおける各注意地点での案内に対する各評価結果を、出力装置352を介して出力する。この際、設定経路に対応付けて各注意地点を表示し、それに対応付けて各評価結果を表示してよい。これにより、運転者は、どの注意地点で適正な目視・操作手順を実現することができて、どの注意地点で適正な目視・操作手順を実現することができていなかったかを容易に把握することができる。また、この際、運転者が普段良く走行する経路に対しては、過去の結果と比較して評価結果を出力することとしてもよい。
【0064】
このように本実施例によれば、注意地点において一連の安全確認及び安全操作の手順が案内されるので、運転者による適切な安全確認及び安全操作が促進され、運転補助の有用性を高めることができる。また、上述の如く、操作すべき対象の操作手段370の操作部指示灯390及び目視対象のミラー(上記の例ではサイドミラー394)が点灯されるので、運転者は、操作すべき対象の操作手段370及び目視対象のミラー392又は394を容易に理解することができる。また、上述の如く、操作すべき対象の操作手段370の操作部指示灯390又は目視対象のミラー392又は394が、操作又は目視すべきタイミングで順次点灯されるので、運転者は、適切なタイミングで順次、一連の安全確認及び安全操作を行うことが可能となる。即ち、運転者は、注意地点で行うべき重要な一連の安全確認及び安全操作を、抜かりなく適切な手順で行うことが容易となる。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0066】
例えば、上述の実施例では、注意地点は登録可能な固定的な地点であったが、車線変更の地点等、走行状況に応じて突発的に発生する注意地点であってもよい。例えば、車線変更の地点の場合には、目視・操作順序情報は、1番目にルームミラー190,392の目視、2番目にサイドミラー192,394の目視、3番目にウインカーレバーの操作を表すものであってよい。また、注意地点に関する情報は、例えば交通渋滞の開始地点のように、外部(例えばVICSセンタ等)から通信により得た情報に基づいて生成されてもよい。
【0067】
また、上述の実施例では、目視の評価方法として、運転者の視線方向を用いているが、それに加えてまたはそれに代えて、運転者の顔向きを考慮してもよい。
【0068】
また、上述の実施例では、サイドミラー192,394とルームミラー190,392の2種類のミラーを例示したが、スポーツユーティリティ車(SUV:Sports Utility Vehicle)では、助手席側のボンネット前方に取り付けられ車両前部側方の環境を映し出す補助ミラーに対しても、同様の目視案内を行うこととしてもよい。
【0069】
また、上述の実施例において、制御ECU110,210,310の機能の一部又は全ては、ナビゲーション装置を制御するナビゲーションECUに組み込まれてもよい。また、各種データベース(例えば、地図データベース140及び目視順序情報データベース142)は、一のデータベースに統合されてもよい。
【0070】
また、上述の実施例1,2において、注意地点及び目視順序情報又は操作順序情報は、実施例3と同様に、ユーザにより適宜登録・変更可能とされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施例1による車両用運転補助装置100の主要構成を示すシステム構成図である。
【図2】視線方向の検出方法の一例を示す図である。
【図3】制御ECU110の目視案内処理部113及び注意地点検出部114により実現される主要処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例2による車両用運転補助装置200の主要構成を示すシステム構成図である。
【図5】制御ECU210の操作案内処理部213により実現される主要処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例3による車両用運転補助装置200の主要構成を示すシステム構成図である。
【図7】制御ECU310の目視/操作案内処理部313により実現される主要処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
100,200,300 車両用運転補助装置
110,210,310 制御ECU
112,312 視線検出部
113 目視案内処理部
114,214,314 注意地点検出部
115,215,315 経路設定部
130,230,330 自車位置検出手段
140,240 地図データベース
142 目視順序情報データベース
160,360 視線検出カメラ
132 GPSアンテナ
190 ルームミラー
190a ルームミラー灯
192 サイドミラー
192a サイドミラー灯
213 操作案内処理部
242 操作順序情報データベース
270,370 操作手段
290 操作部指示灯
313 目視/操作案内処理部
316 データベース管理部
342 目視・操作順序情報データベース
344 注意地点データベース
350 入力装置
352 出力装置
390 操作部指示灯
392 ルームミラー
392a ルームミラー灯
394 サイドミラー
394a サイドミラー灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両走行時における注意地点を検出する注意地点検出手段と、
車両における運転者により目視可能な位置に配置され、車両の外部環境を映し出す複数の外部環境表示手段と、
前記注意地点検出手段により注意地点が検出された場合に、該注意地点において目視すべき前記外部環境表示手段の順序を、運転者に対して案内する案内手段とを備えることを特徴とする、車両用運転補助装置。
【請求項2】
前記案内手段は、前記注意地点において目視すべき前記外部環境表示手段の順序を、該順序に合わせて、前記外部環境表示手段を順次点灯させることにより、案内することを特徴とする、請求項1に記載の車両用運転補助装置。
【請求項3】
車両走行時における注意地点を検出する注意地点検出手段と、
車両における運転者により操作可能な位置に配置される操作手段と、
前記注意地点検出手段により注意地点が検出された場合に、該注意地点において実行すべき前記操作手段の操作の順序を、運転者に対して案内する案内手段とを備えることを特徴とする、車両用運転補助装置。
【請求項4】
前記案内手段は、前記注意地点において実行すべき前記操作手段の操作の順序を、該順序に合わせて、前記操作手段を順次点灯させることにより、案内することを特徴とする、請求項3に記載の車両用運転補助装置。
【請求項5】
車両走行時における注意地点を検出する注意地点検出手段と、
車両における運転者により目視可能な位置に配置され、車両の外部環境を映し出す外部環境表示手段と、
車両における運転者により操作可能な位置に配置される操作手段と、
前記注意地点検出手段により注意地点が検出された場合に、該注意地点において実行すべき一連の外部環境表示手段の目視及び操作手段の操作の順序を、運転者に対して案内する案内手段とを備えることを特徴とする、車両用運転補助装置。
【請求項6】
前記案内手段は、前記注意地点において実行すべき一連の外部環境表示手段の目視及び操作手段の操作の順序を、該順序に合わせて、前記外部環境表示手段及び前記操作手段を順次点灯させることにより、案内することを特徴とする、請求項5に記載の車両用運転補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−334829(P2007−334829A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169185(P2006−169185)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】