車両
【課題】 誤検出することなく前方の車両や物体を検出できる衝突防止用のセンサを備えた車両を提供すること。
【解決手段】 ゴルフカート10に、追突防止センサと障害物センサ33a等を設けた。追突防止センサは、後方に電波aを発信する送信器31と、前方のゴルフカート10aとの距離が一定距離以内になったときにゴルフカート10aの送信器31から発信された電波aを受信する受信センサ32とからなる。障害物センサ33a等は、電波aの発信距離よりも長い距離に亘って前方に超音波bを発信し、物体に衝突して戻ってくる超音波bを受信することにより前方の物体を検出する。そして、受信センサ32が電波aを受信したときにゴルフカート10は停止し、受信センサ32が電波aを受信せず、障害物センサ33a等が物体を検出したときにゴルフカート10は低速走行するようにした。
【解決手段】 ゴルフカート10に、追突防止センサと障害物センサ33a等を設けた。追突防止センサは、後方に電波aを発信する送信器31と、前方のゴルフカート10aとの距離が一定距離以内になったときにゴルフカート10aの送信器31から発信された電波aを受信する受信センサ32とからなる。障害物センサ33a等は、電波aの発信距離よりも長い距離に亘って前方に超音波bを発信し、物体に衝突して戻ってくる超音波bを受信することにより前方の物体を検出する。そして、受信センサ32が電波aを受信したときにゴルフカート10は停止し、受信センサ32が電波aを受信せず、障害物センサ33a等が物体を検出したときにゴルフカート10は低速走行するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のコースを他の車両と間隔を保って走行し、他の車両や所定の物体との衝突を防止するためのセンサを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゴルフカートのように複数台が一定のコースを間隔を保って走行する車両には、衝突防止用のセンサが備わっている(例えば、特許文献1参照)。この車両(ゴルフカート)には、走行前方位置の車両から発せられた電磁波を受信して車体を減速または停止させる走行制御装置が備わっている。そして、この走行制御装置の受信感度は、車両が高速走行しているときには大きくなり、低速走行しているときには小さくなるように切り換え可能になっている。
【特許文献1】特開平11−134030号公報
【発明の開示】
【0003】
しかしながら、前述した従来の車両では、電磁波の送信と受信とによって前方に位置する車両を検出するため、車両以外の物体が前方にある場合には、その物体を検出することはできない。また、走行制御装置に受信感度切替回路や送信出力切替回路が備わっているため、走行制御装置の構造が複雑になりコストも高くつく。さらに、電磁波の発信範囲を広くした場合には、車両どうしがすれ違う際に、衝突しそうな状態であると誤検出することがある。また、電磁波を広い範囲で発信するため電波法上での問題が発生する可能性もある。
【0004】
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、誤検出することなく前方の車両や物体を検出できる衝突防止用のセンサを備えた車両を提供することである。
【0005】
前述した目的を達成するため、本発明に係る車両の構成上の特徴は、所定のコースを他の車両と間隔を保って走行する車両であって、車両の後方に向けて追突防止信号を発信することのできる追突防止信号送信部と、前方に位置する車両との距離が一定距離以内になったときに前方に位置する車両の追突防止信号送信部から発信された追突防止信号を受信する追突防止信号受信部とからなる追突防止センサと、追突防止信号送信部が発信する追突防止信号の発信距離よりも長い距離に亘って前方に超音波または電磁波を発信し、物体に衝突したときに戻ってくる超音波または電磁波を受信することにより前方に物体があることを検出する障害物センサとを備えたことにある。
【0006】
このように本発明に係る車両は、車両どうし間で接近したことを検出する追突防止センサと、車両の前方に車両を含む所定の物品があるか否かを検出する障害物センサとを備えている。そして、追突防止センサが検出できる距離よりも障害物センサが検出できる距離の方が長くなるようにしている。このため、車両が、追突防止センサを備えた他の車両に接近したときだけでなく、人や物等に接近したときにも検出することができる。なお、この場合の追突防止信号としては電磁波のうちの波長の長い電波を用いることが好ましい。また、障害物センサが発信する電磁波としては、前述した波長の長い電波よりも波長の短いものを用いることが好ましく、この電磁波には、光や赤外線等も含まれる。
【0007】
また、本発明に係る車両の他の構成上の特徴は、追突防止信号受信部が追突防止信号を受信したときには車両が停止し、追突防止信号受信部が追突防止信号を受信せず、かつ障害物センサが所定の物体を検出したときには車両が低速走行するように車両の走行を制御する走行制御装置を備えたことにある。
【0008】
これによると、追突防止信号受信部が追突防止信号を受信したときには車両が停止するため、車両どうしの車間距離を一定以上に保つことができる。この場合の追突防止信号受信部が追突防止信号を受信できる距離は、車両が急停止することなく徐々に減速しながら停止しても前方の車両との車間距離を一定以上に保つことのできる距離に設定しておく。これによって、乗員が不快を感じることなく車両をスムーズに停止させることができる。また、前方の車両と衝突するおそれはないが、かなり前方に車両または何らかの物体があることを障害物センサが検出したときは、車両は低速走行しながらその物体に徐々に接近していく。このため、障害物センサが検出した物体が草やごみ等で、車両がその物体に近づいたときに、物体が障害物センサの検出範囲から外れていれば、車両は元の速度で走行することができる。
【0009】
また、本発明に係る車両のさらに他の構成上の特徴は、障害物センサから発信される超音波または電磁波による検出範囲の幅を車両の幅程度にしたことにある。これによると、すれ違う車両を誤検出して車両が停止したり低速走行したりすることを防止できる。また、コースの横にある壁や塀を物体として検出することもなくなり、適正な検出および走行制御が可能になる。
【0010】
また、本発明に係る車両のさらに他の構成上の特徴は、車両が電動式のゴルフカートであることにある。本発明に係る車両は、四輪車、二輪車にかかわらず種々の車両とすることができるが、ゴルフカートのように、ゴルフ場内における一定距離のカート路を走行する車両であることが特に適している。これによると、他のゴルフカートや物体に対して一定の距離を確実に確保できるとともに、急停止して乗り心地を損ねることのないゴルフカートを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて詳しく説明する。図1および図2は、本発明に係る車両としてのゴルフカート10を示している。このゴルフカート10は、車体11の下部における前部の左右両側にそれぞれ設けられた2個の前輪FL,FRと、車体11の下部における後部の左右両側にそれぞれ設けられた2個の後輪RL,RRとを備えている。また、車体11の中央部の前後に、それぞれ二人用の前部シート12aと三人用の後部シート12bとが並んで設けられている。さらに、車体11の前部における前部シート12aの前側にハンドル13が設けられている。
【0012】
また、車体11の上部に、車体11の四隅に設けられた支持枠14aを介して屋根部14が設けられている。そして、車体11の前端下部にバンパ15aが取り付けられ、車体11の後部を構成するカウル11aの後端下部にバンパ15bが取り付けられている。このゴルフカート10は、自動運転または手動運転が可能になっており、手動運転する場合には、前部シート12aに座った運転者がハンドル13を回転操作することにより前部の両前輪FL,FRが左右に向きを変更して、ゴルフカート10は左旋回したり右旋回したりしながら進行方向を変えて走行する。
【0013】
ハンドル13は、車体11の前側下部からやや後部側の上方に向って延び軸回り方向に回転可能に設置されたステアリング軸13aの上端に固定されており、ハンドル13を支持するステアリング軸13aの下端は水平方向に設置されたラックバー16に噛合している。このラックバー16は、ステアリング軸13aの回転により左右(ラックバー16の軸方向)に移動し、このラックバー16の移動により左右の前輪FL,FRの向きが変わるように構成されている。また、ステアリング軸13aは下部側部分と上部側部分とで構成されており、その間に、下部側部分と上部側部分とを連結したり切り離したりするためのステアリングクラッチ17が設けられている。
【0014】
このステアリングクラッチ17によってステアリング軸13aの上部側部分と下部側部分とを連結したときには、運転者によるハンドル13の操作に応じて前輪FL,FRが操向される。また、ステアリングクラッチ17によって、ステアリング軸13aの上部側部分が下部側部分から切り離されたときには、ハンドル13は固定されて一定位置に静止する。この場合には、自動運転が行われステアリング軸13aの下部側部分に設けられたステアリングモータ18の作動によって、ステアリング軸13aの下部側部分が回転しその回転に応じて前輪FL,FRは向きを左右に変更する。
【0015】
また、車体11の前部側におけるハンドル13の下方にアクセルペダル21とブレーキペダル22とが並んで設けられ、車体11の後部側には、駆動モータ23および駆動モータ23の駆動力を後輪RL,RRに伝達するためのトランスミッション24等が設けられている。アクセルペダル21およびブレーキペダル22は、ゴルフカート10を走行させる際に、運転者によって操作されるものである。アクセルペダル21は、アクセルポテンショメータ21aを介してコントローラ25に接続されており、運転者がアクセルペダル21を踏み込むとアクセルペダル21の位置(踏込み量)がアクセルポテンショメータ21aによって検出される。
【0016】
そして、アクセルポテンショメータ21aが検出した検出値は、アクセル位置信号として、コントローラ25に送信される。コントローラ25は、本発明に係る走行制御装置を構成するもので、CPU、ROM、RAMおよびタイマ(図示せず)等を備えており、アクセルポテンショメータ21aからのアクセル位置信号に基づいて、駆動モータ23を駆動させ、トランスミッション24を介して後輪RL,RRを回転させる。これによって、ゴルフカート10は加速しながら走行する。そして、ゴルフカート10を自動運転させる場合には、コントローラ25の制御によって駆動モータ23を駆動させて後輪RL,RRを回転させる。
【0017】
また、ブレーキペダル22は、ディスクブレーキシステムを介して、前輪FL,FRおよび後輪RL,RRにそれぞれ設けられたディスクブレーキに連結されているとともに、ブレーキモータ22aを介してコントローラ25に接続されている。そして、ブレーキペダル22には、ブレーキペダル22を踏み込んだときに生じる圧力を検出するための圧力センサ22bが備わっている。
【0018】
このため、運転者がブレーキペダル22を踏込むと、ブレーキペダル22の踏込み量は、ディスクブレーキシステムを介して、前輪FL,FRおよび後輪RL,RRにそれぞれ設けられたディスクブレーキに伝達され、ディスクブレーキの作動により前輪FL,FRおよび後輪RL,RRの回転駆動が制動される。また、自動運転する場合には、コントローラ25の制御によってブレーキモータ22aが駆動することにより、運転者がブレーキペダル22を踏込んだときと同様に、ディスクブレーキを作動させて前輪FL,FRおよび後輪RL,RRの回転駆動を制動する。
【0019】
また、ゴルフカート10は、駆動バッテリ26、メインリレー27、制御バッテリ26aおよび電磁ブレーキ28を備えている。駆動バッテリ26は、駆動モータ23を作動させるための電力をメインリレー27およびコントローラ25を介して駆動モータ23に供給する。メインリレー27は駆動バッテリ26とコントローラ25との間を接続したり遮断したりする。また、制御バッテリ26aは、コントローラ25を作動させるための電力をコントローラ25に供給する。電磁ブレーキ28は、コントローラ25の制御によって駆動することにより、後輪RL,RRのディスクブレーキを作動させて後輪RL,RRをロックすることによりゴルフカート10を制動する。
【0020】
また、ゴルフカート10は、本発明の追突防止センサの追突防止信号送信部としての送信器31、本発明の追突防止センサの追突防止信号受信部としての受信センサ32、一対の障害物センサ33a,33b、車速検出センサ34、誘導線センサ35および定点センサ36の各種のセンサやリモコン受信機37、警告ブザー38、電源スイッチ、発進・停止スイッチ(図示せず)等を備えている。送信器31は、車体11の後部に設置されており、後方に向って所定の幅で広がるようにして進む電波a(図5ないし図8参照)を発生する。
【0021】
この電波aの進行方向に直交する幅は、ゴルフカート10の幅よりもやや大きくなるように設定される。また、受信センサ32は、車体11の前部に設置された後述する誘導線センサ35の前部中央に取り付けられており、前方に位置するゴルフカート10a(図5ないし図8参照)との車間距離が、例えば、4m以内になったときに、前方のゴルフカート10aの送信器31から送信される電波aを受信する。
【0022】
障害物センサ33a,33bは、バンパ15aの前部両側にそれぞれ取り付けられており、ともに、超音波を発信する発信部と、物体に当たって跳ね返ってくる超音波を受信する受信部とを備えている。障害物センサ33a,33bが発信する超音波は、前方に位置する物体との距離が、例えば、6m以内になったときに、物体から跳ね返って障害物センサ33a,33bまで戻り障害物センサ33a,33bが受信できる強さに設定される。また、障害物センサ33a,33bが発信する超音波の進行方向に直交する幅は、ゴルフカート10の幅程度になるように設定されている。車速検出センサ34は、車体11の後部に設置されてゴルフカート10の走行速度を検出する。
【0023】
誘導線センサ35は、ステアリング軸13aの下端部とラックバー16との連結部分から水平方向に揺動可能な状態で前方に延びる棒状部材と、その棒状部材の前端部に中央部が連結された左右に延びる取付部材とからなる支持部材35aの取付部材に取り付けられている。すなわち、誘導線センサ35は、3個のセンサからなっており、3個のセンサは、支持部材35aの取付部材に左右に一定間隔で配置されている。そして、ゴルフカート10は、この誘導線センサ35を、図3に示した電磁誘導線GLに追従させながらゴルフ場のカート路CR上を走行する。
【0024】
図3は、ゴルフカート10が、ゴルフ場のカート路CR上を走行している状態を示しており、このカート路CRの地下における路面近傍部分の幅方向の中央部には、走行方向に沿って電磁誘導線GLが設けられている。そして、ゴルフカート10が自動運転する場合には、コントローラ25は、誘導線センサ35が電磁誘導線GLに追従するように、ステアリングモータ18を制御してステアリング軸13aを回転させる。この場合、誘導線センサ35の両側のセンサよりも内側に、電磁誘導線GLを位置させるようにしてゴルフカート10は走行する。
【0025】
また、電磁誘導線GLの近傍部分には、ゴルフカート10を自動運転させるための所定の信号を発信する定点部材Pが所定間隔を保って設けられている。定点センサ36は、ゴルフカート10の底面に設けられており、ゴルフカート10が走行する際に、カート路CRに設けられた定点部材Pを検出する。そして、定点部材Pを介して発信される走行指示信号に基づいてゴルフカート10は走行する。リモコン受信機37は、ゴルフカート10の上部に取り付けられており、リモコン37aから送信される発進信号および停止信号を受信してコントローラ25に送信する。
【0026】
コントローラ25は、リモコン受信機37から送られた発進信号に基づいて、各装置の制御を開始してゴルフカート10を自動走行させ、リモコン受信機37から送られた停止信号に基づいてゴルフカート10の走行を停止させる。これによって、リモコン37aによるゴルフカート10の発進および停止の遠隔操作が可能になる。警告ブザー38は、駆動バッテリ26の残量が少なくなったとき等、ゴルフカート10が備える各装置に異常が生じたり、ゴルフカート10の走行に支障が生じたりしたときに、コントローラ25の制御により警告音を発する。
【0027】
電源スイッチは、キーをハンドル13の近傍に設けられたキー穴に差し込んで回転させることによりオン位置とオフ位置とに回転するようになっており、オン位置に回転することにより、ゴルフカート10は走行可能な状態になる。また、電源スイッチがオフ位置に回転することによりゴルフカート10は走行不能な状態になる。また、発進・停止スイッチは、ゴルフカート10を自動走行させるときに使用するものでゴルフカート10を発進させたり、停止させたりするためのスイッチである。発進・停止スイッチの操作状態は、信号としてコントローラ25に送信される。
【0028】
電源スイッチをオン位置にした状態で、手動発進・停止スイッチを押すことにより、ゴルフカート10は発進を開始し、再度手動発進・停止スイッチを押すことにより、ゴルフカート10は停止する。また、コントローラ25のROMには、後述するプログラムやマップデータが記憶されており、コントローラ25のRAMには各種のデータが書き換え可能な状態で記憶される。そして、コントローラ25のCPUは、各種のデータに基づいてROMが記憶するプログラムを実行する。
【0029】
この構成において、乗員がゴルフカート10に乗ってゴルフカート10を自動運転する場合には、まず、電源スイッチおよび発進・停止スイッチをオン状態にする。これによって、駆動モータ23が作動してゴルフカート10は走行を開始する。この場合のゴルフカート10の追突防止制御は、図4に示したフローチャートにしたがって行われる。このフローチャートは、電源スイッチがオン状態になったのちに、コントローラ25のCPUによって所定時間ごとに繰り返し実行される。
【0030】
図4に示したフローチャートは、まず、ステップ100でスタートしたのちに、ステップ102に進み、車速検出センサ34が検出する車速Vのデータを読み込む処理が行われる。ついで、ステップ104に進み、目標車速がV0km/hよりも大きいか否かの判定が行われる。この目標車速は、ゴルフカート10を走行させる速度として予め設定された複数の数値であり、ゴルフカート10の走行状態に応じて適宜変更しながら設定される。目標車速がV0km/hよりも大きければ高速側とし、V0km/h以下であれば低速側とする。ここで、目標車速がV0km/hよりも大きければ、ステップ106に進んで、追突警告距離L0を、L1mに設定し、ゴルフカート10の減速度α0をα1m/s2に設定する処理が行われる。
【0031】
追突警告距離L0は、ゴルフカート10が車速V0km/hで走行しているときに、前方に位置する他のゴルフカート10aにこれ以上接近すると必要な車間距離がとれなくなると判断して設定する距離である。そして、減速度α0は、車間距離が追突警告距離L0のときに必要な車間距離を確保することのできる減速度として設定するものである。ステップ104において、目標車速がV0km/h以下であれば、ステップ108に進んで、追突警告距離L0を、L1mよりも小さなL2mに設定し、減速度α0をα1m/s2よりも小さなα2m/s2に設定する処理が行われる。
【0032】
つぎに、プログラムは、ステップ110に進み、前方に位置するゴルフカート10aの送信器31が発信する電波aを、ゴルフカート10の受信センサ32が検出する検出距離Lが追突警告距離L0よりも大きいか否かの判定が行われる。この場合の追突警告距離L0は、ステップ106またはステップ108で設定した距離であり、検出距離Lが追突警告距離L0よりも大きければ、「Yes」と判定して、プログラムはステップ112に進む。そして、ステップ112において、障害物センサ33a,33bが前方に物体があることを検出していないか否かの判定が行われる。この場合、障害物センサ33a,33bが物体を検出できる距離は、例えば6mとする。
【0033】
ここで、障害物センサ33a,33bは物体を検出してなく、「Yes」と判定すると、ステップ114に進む。この場合のゴルフカート10とその前方に位置するゴルフカート10aとの位置関係は、図5に示したようになる。すなわち、ゴルフカート10aの送信器31が発信する電波aは、ゴルフカート10の受信センサ32に届かず、ゴルフカート10の障害物センサ33a,33bが発信する超音波bは、ゴルフカート10aに到達しない状態にある。したがって、ゴルフカート10とゴルフカート10aとの車間距離は一定以上確保されていると判断して、ステップ114においては、ゴルフカート10を通常走行させる制御が行われる。
【0034】
そして、プログラムは、ステップ116に進んで一旦終了したのちに、再度ステップ100から開始される。そして、ステップ110,112において「Yes」と判定する間は、通常走行が継続される。また、障害物センサ33a,33bが、ゴルフカート10aまたは所定の物体を検出し,ステップ112において「No」と判定すると、ステップ118に進む。この場合のゴルフカート10とその前方に位置するゴルフカート10aとの位置関係は、図6に示したようになる。すなわち、ゴルフカート10aの送信器31が発信する電波aは、ゴルフカート10の受信センサ32に届かず、ゴルフカート10の障害物センサ33a,33bが発信する超音波bは、ゴルフカート10aに到達した状態にある。
【0035】
したがって、ゴルフカート10がゴルフカート10aまたはゴルフカート10a以外の何かの物体に接近していると判断して、ステップ118では、ゴルフカート10を減速させる制御が行われる。ここでは、減速度βでゴルフカート10を減速させる処理が行われる。この減速度βは、ゴルフカート10の走行速度を所定の設定車速まで下げるために予め設定した値であり、例えば、ステップ102で読み込んだ車速Vの値と係数cとの積から所定の係数dを減算した数値とする。
【0036】
そして、ステップ120において、ゴルフカート10の走行速度が設定車速V1km/h以下か否かの判定が行われる。ここで、ゴルフカート10の走行速度が設定車速V1km/h以下になっていれば、ステップ122において、車両減速制御を解除して現在の車速(設定車速V1km/h程度)を維持する制御が行われる。これによって、ゴルフカート10は設定車速V1km/h程度の低速で走行する。そして、プログラムは、ステップ116に進んで一旦終了し、再度ステップ100から開始される。また、ゴルフカート10の走行速度が設定車速V1km/h以下になってなく、ステップ120で「No」と判定すると、ステップ124に進む。
【0037】
この場合、車両減速制御が継続され、ゴルフカート10の走行速度は徐々に遅くなって設定車速V1km/hに近づいていく。そして、プログラムは、ステップ116に進んで一旦終了し、再度ステップ100から開始される。ゴルフカート10の走行速度が設定車速V1km/hに到達するまで、車両減速制御が継続され、ゴルフカート10の走行速度が設定車速V1km/hに到達すると、前述したステップ122の処理により、ゴルフカート10は一定の低速で走行する。また、その間に、障害物センサ33a,33bが物体の検出をしなくなると、ステップ114の処理により、ゴルフカート10の走行速度は通常の走行速度に変更される。
【0038】
また、ステップ110において、検出距離Lが追突警告距離L0以下であれば、「No」と判定して、プログラムはステップ126に進む。この場合のゴルフカート10とその前方に位置するゴルフカート10aとの位置関係は、図7に示したようになる。すなわち、ゴルフカート10aの送信器31が発信する電波aは、ゴルフカート10の受信センサ32に受信され、ゴルフカート10の障害物センサ33a,33bが発信する超音波bも、ゴルフカート10aに到達して、ゴルフカート10aを検出した状態にある。
【0039】
したがって、ゴルフカート10がゴルフカート10aに接近していると判断して、ステップ126では、ゴルフカート10を減速させる制御が行われる。ここでは、減速度α0でゴルフカート10を減速させる処理が行われる。この場合、減速度α0がステップ106で設定されていれば減速度α0はα1m/s2となり、減速度α0がステップ108で設定されていれば減速度α0はα2m/s2となる。つぎに、ステップ128において、ゴルフカート10の車速Vが車速V2km/h以下であるか否かの判定が行われる。
【0040】
車速V2km/hは、ゴルフカート10が停止した状態に近い速度で走行中であるか否かを判定するために設定した値であり、前述した設定車速V1km/hよりも小さな値に設定されている。ここで、ゴルフカート10の車速Vが車速V2km/h以下でなく、ステップ128で「No」と判定すると、ステップ102に進み、再度、前述したステップ102〜110、126,128の処理を繰り返す。そして、ゴルフカート10の車速Vが車速V2km/h以下になるまで、車両減速制御が継続され、ゴルフカート10の車速Vが車速V2km/h以下になると、「Yes」と判定してステップ130に進む。
【0041】
ステップ130では、電磁ブレーキ28を作動させてゴルフカート10を停止させる処理が行われる。そして、ステップ132においてプログラムは終了する。この場合のゴルフカート10とその前方に位置するゴルフカート10aとの位置関係は、図8に示したようになり、ゴルフカート10はゴルフカート10aに対して所定間隔を保った状態で停止する。また、ステップ126において車速減速制御を実施している間に、ゴルフカート10aが走行開始または加速して、ゴルフカート10との車間距離が、追突警告距離L0以上になれば、プログラムはステップ112に進む。以下、前述した処理が行われる。
【0042】
なお、この追突防止制御において、追突警告距離L0をL1mに設定し、減速度α0をα1m/s2に設定した場合の車速と時間との関係を図9に示し、追突警告距離L0をL2mに設定し、減速度α0をα2m/s2に設定した場合の車速と時間との関係を図10に示している。図9および図10において、横軸は時間の経過を示し、縦軸は車速の大きさを示している。また、図9および図10ともに、本実施形態による速度制御の状態を実線で示し、障害物センサ33a,33bによる検出を行わない場合の速度制御の状態を二点鎖線(図10では省略している。)で示している。
【0043】
さらに、図9および図10における実線の屈曲した点e,fは、ともに障害物センサ33a,33bが物体を検出して減速制御が開始された点を示しており、破線g、hは、ゴルフカート10aの送信器31が発信した電波aを、ゴルフカート10の受信センサ32が受信したことにより減速制御が開始された点を示している。図9の二点鎖線から分かるように、障害物センサ33a,33bがない場合には、ゴルフカート10の受信センサ32がゴルフカート10aの送信器31から発信される電波aを受信すると、ゴルフカート10は大きな減速度で減速する。
【0044】
これに対して、図9および図10の実線から分かるように、障害物センサ33a,33bを設けたことによって、減速度を小さくできるため、ゴルフカート10が高速走行しているときであっても、低速走行をしているときであっても、物体を検出するとゴルフカート10は徐々に減速していくようになるため、乗員に不快感を与えることがなくなる。特に、ゴルフカート10が高速走行しているときにこの効果は大きい。
【0045】
また、図11には、平行する2本の電磁誘導線GLが設けられたカート路CRにおいて、ゴルフカート10aの後方に位置するゴルフカート10の横を他のゴルフカート10bが逆方向に走行する状態を示している。この場合、ゴルフカート10bの送信器31が発信する電波aは検出範囲が狭く、ゴルフカート10の受信センサ32に受信されない。また、ゴルフカート10の障害物センサ33a,33bが発信する超音波の幅は狭いため、ゴルフカート10bを検出することはない。したがって、ゴルフカート10の各センサがゴルフカート10bに対して誤検出することはない。
【0046】
以上のように、本実施形態に係るゴルフカート10は、前方に位置するゴルフカート10aの送信器31が発信する電波aを受信する受信センサ32と、前方に位置するゴルフカート10aや物体を超音波bによって検出する障害物センサ33a,33bとを備えている。そして、電波aによる検出距離よりも超音波bによる検出距離の方が長くなるようにしている。このため、ゴルフカート10が、前方に位置するゴルフカート10aに接近したときだけでなく、人や物等に接近したときにも検出できるようになる。
【0047】
また、ゴルフカート10の障害物センサ33a,33bが前方に位置するゴルフカート10aを検出したときには、ゴルフカート10は低速走行するようになる。このため、ゴルフカート10は、ゴルフカート10aに対して徐々に接近していくか、または、車間距離を保持した状態で走行するようになる。そして、ゴルフカート10が、ゴルフカート10aにさらに接近して、ゴルフカート10の受信センサ32がゴルフカート10aの送信器31が発信する電波aを受信したときには、ゴルフカート10は停止する。
【0048】
このため、ゴルフカート10がゴルフカート10aに接近することを防止できる。この場合のゴルフカート10の減速は、障害物センサ33a,33bがゴルフカート10aを検出したときから始まるため、減速度を小さくすることができる。これによって、乗員が不快を感じることなくゴルフカート10をスムーズに停止させることができる。また、ゴルフカート10の前方にゴルフカート10a以外の物体がある場合にも、ゴルフカート10は低速走行しながらその物体に徐々に接近していく。
【0049】
このため、障害物センサ33a,33bが検出した物体が草やごみ等で、ゴルフカート10がその物体に近づいたときに、物体が障害物センサ33a,33bの検出範囲から外れていれば、ゴルフカート10は元の速度で走行することができる。また、電波aによる検出範囲を狭くするとともに、超音波bによる検出範囲を細長くしているため、すれ違うゴルフカート10bを誤検出して車両が停止したり低速走行したりすることを防止できる。また、カート路CRの横にある壁や塀を物体として検出することもなくなり、適正な検出および走行制御が可能になる。
【0050】
また、本発明に係る車両は、前述した実施形態に限定するものでなく、適宜変更して実施することができる。例えば、前述した実施形態では、追突防止信号を電波aとし、障害物センサ33a,33bを超音波を発信するセンサとしたが、電波aに代えて波長の短い電磁波を用いてもよいし、超音波に代えて光、赤外線および波長の短い電磁波等を用いることもできる。また、前述した実施形態では、2個の障害物センサ33a,33bを用いているが、この障害物センサは1個でもよい。この場合、障害物センサは、バンパ15aの中央部に設置することが好ましい。さらに、前述した実施形態では、車両をゴルフカート10等としたが、この車両は、ゴルフカートに限定するものでなく、四輪自動車や、自動二輪車等の種々の車両とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係るゴルフカートを示した側面図である。
【図2】ゴルフカートの概略を示した構成図である。
【図3】ゴルフカートがカート路を走行する状態を示した説明図である。
【図4】追突防止制御を実施するためのプログラムを示したフローチャートである。
【図5】前方位置のゴルフカートが検出範囲外にある状態を示した平面図である。
【図6】前方位置のゴルフカートが障害物センサの検出範囲内に入った状態を示した平面図である。
【図7】前方位置のゴルフカートが追突防止センサの検出範囲内に入った状態を示した平面図である。
【図8】ゴルフカートが、前方位置のゴルフカートの後方で停止した状態を示した平面図である。
【図9】高速走行時のゴルフカートの減速状態を示したグラフである。
【図10】低速走行時のゴルフカートの減速状態を示したグラフである。
【図11】ゴルフカートが他のゴルフカートとすれ違うときの検出状態を示した平面図である。
【符号の説明】
【0052】
10,10a,10b…ゴルフカート、25…コントローラ、31…送信器、32…受信センサ、33a,33b…障害物センサ、a…電波、b…超音波、CR…カート路、L…検出距離。
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のコースを他の車両と間隔を保って走行し、他の車両や所定の物体との衝突を防止するためのセンサを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゴルフカートのように複数台が一定のコースを間隔を保って走行する車両には、衝突防止用のセンサが備わっている(例えば、特許文献1参照)。この車両(ゴルフカート)には、走行前方位置の車両から発せられた電磁波を受信して車体を減速または停止させる走行制御装置が備わっている。そして、この走行制御装置の受信感度は、車両が高速走行しているときには大きくなり、低速走行しているときには小さくなるように切り換え可能になっている。
【特許文献1】特開平11−134030号公報
【発明の開示】
【0003】
しかしながら、前述した従来の車両では、電磁波の送信と受信とによって前方に位置する車両を検出するため、車両以外の物体が前方にある場合には、その物体を検出することはできない。また、走行制御装置に受信感度切替回路や送信出力切替回路が備わっているため、走行制御装置の構造が複雑になりコストも高くつく。さらに、電磁波の発信範囲を広くした場合には、車両どうしがすれ違う際に、衝突しそうな状態であると誤検出することがある。また、電磁波を広い範囲で発信するため電波法上での問題が発生する可能性もある。
【0004】
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、誤検出することなく前方の車両や物体を検出できる衝突防止用のセンサを備えた車両を提供することである。
【0005】
前述した目的を達成するため、本発明に係る車両の構成上の特徴は、所定のコースを他の車両と間隔を保って走行する車両であって、車両の後方に向けて追突防止信号を発信することのできる追突防止信号送信部と、前方に位置する車両との距離が一定距離以内になったときに前方に位置する車両の追突防止信号送信部から発信された追突防止信号を受信する追突防止信号受信部とからなる追突防止センサと、追突防止信号送信部が発信する追突防止信号の発信距離よりも長い距離に亘って前方に超音波または電磁波を発信し、物体に衝突したときに戻ってくる超音波または電磁波を受信することにより前方に物体があることを検出する障害物センサとを備えたことにある。
【0006】
このように本発明に係る車両は、車両どうし間で接近したことを検出する追突防止センサと、車両の前方に車両を含む所定の物品があるか否かを検出する障害物センサとを備えている。そして、追突防止センサが検出できる距離よりも障害物センサが検出できる距離の方が長くなるようにしている。このため、車両が、追突防止センサを備えた他の車両に接近したときだけでなく、人や物等に接近したときにも検出することができる。なお、この場合の追突防止信号としては電磁波のうちの波長の長い電波を用いることが好ましい。また、障害物センサが発信する電磁波としては、前述した波長の長い電波よりも波長の短いものを用いることが好ましく、この電磁波には、光や赤外線等も含まれる。
【0007】
また、本発明に係る車両の他の構成上の特徴は、追突防止信号受信部が追突防止信号を受信したときには車両が停止し、追突防止信号受信部が追突防止信号を受信せず、かつ障害物センサが所定の物体を検出したときには車両が低速走行するように車両の走行を制御する走行制御装置を備えたことにある。
【0008】
これによると、追突防止信号受信部が追突防止信号を受信したときには車両が停止するため、車両どうしの車間距離を一定以上に保つことができる。この場合の追突防止信号受信部が追突防止信号を受信できる距離は、車両が急停止することなく徐々に減速しながら停止しても前方の車両との車間距離を一定以上に保つことのできる距離に設定しておく。これによって、乗員が不快を感じることなく車両をスムーズに停止させることができる。また、前方の車両と衝突するおそれはないが、かなり前方に車両または何らかの物体があることを障害物センサが検出したときは、車両は低速走行しながらその物体に徐々に接近していく。このため、障害物センサが検出した物体が草やごみ等で、車両がその物体に近づいたときに、物体が障害物センサの検出範囲から外れていれば、車両は元の速度で走行することができる。
【0009】
また、本発明に係る車両のさらに他の構成上の特徴は、障害物センサから発信される超音波または電磁波による検出範囲の幅を車両の幅程度にしたことにある。これによると、すれ違う車両を誤検出して車両が停止したり低速走行したりすることを防止できる。また、コースの横にある壁や塀を物体として検出することもなくなり、適正な検出および走行制御が可能になる。
【0010】
また、本発明に係る車両のさらに他の構成上の特徴は、車両が電動式のゴルフカートであることにある。本発明に係る車両は、四輪車、二輪車にかかわらず種々の車両とすることができるが、ゴルフカートのように、ゴルフ場内における一定距離のカート路を走行する車両であることが特に適している。これによると、他のゴルフカートや物体に対して一定の距離を確実に確保できるとともに、急停止して乗り心地を損ねることのないゴルフカートを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて詳しく説明する。図1および図2は、本発明に係る車両としてのゴルフカート10を示している。このゴルフカート10は、車体11の下部における前部の左右両側にそれぞれ設けられた2個の前輪FL,FRと、車体11の下部における後部の左右両側にそれぞれ設けられた2個の後輪RL,RRとを備えている。また、車体11の中央部の前後に、それぞれ二人用の前部シート12aと三人用の後部シート12bとが並んで設けられている。さらに、車体11の前部における前部シート12aの前側にハンドル13が設けられている。
【0012】
また、車体11の上部に、車体11の四隅に設けられた支持枠14aを介して屋根部14が設けられている。そして、車体11の前端下部にバンパ15aが取り付けられ、車体11の後部を構成するカウル11aの後端下部にバンパ15bが取り付けられている。このゴルフカート10は、自動運転または手動運転が可能になっており、手動運転する場合には、前部シート12aに座った運転者がハンドル13を回転操作することにより前部の両前輪FL,FRが左右に向きを変更して、ゴルフカート10は左旋回したり右旋回したりしながら進行方向を変えて走行する。
【0013】
ハンドル13は、車体11の前側下部からやや後部側の上方に向って延び軸回り方向に回転可能に設置されたステアリング軸13aの上端に固定されており、ハンドル13を支持するステアリング軸13aの下端は水平方向に設置されたラックバー16に噛合している。このラックバー16は、ステアリング軸13aの回転により左右(ラックバー16の軸方向)に移動し、このラックバー16の移動により左右の前輪FL,FRの向きが変わるように構成されている。また、ステアリング軸13aは下部側部分と上部側部分とで構成されており、その間に、下部側部分と上部側部分とを連結したり切り離したりするためのステアリングクラッチ17が設けられている。
【0014】
このステアリングクラッチ17によってステアリング軸13aの上部側部分と下部側部分とを連結したときには、運転者によるハンドル13の操作に応じて前輪FL,FRが操向される。また、ステアリングクラッチ17によって、ステアリング軸13aの上部側部分が下部側部分から切り離されたときには、ハンドル13は固定されて一定位置に静止する。この場合には、自動運転が行われステアリング軸13aの下部側部分に設けられたステアリングモータ18の作動によって、ステアリング軸13aの下部側部分が回転しその回転に応じて前輪FL,FRは向きを左右に変更する。
【0015】
また、車体11の前部側におけるハンドル13の下方にアクセルペダル21とブレーキペダル22とが並んで設けられ、車体11の後部側には、駆動モータ23および駆動モータ23の駆動力を後輪RL,RRに伝達するためのトランスミッション24等が設けられている。アクセルペダル21およびブレーキペダル22は、ゴルフカート10を走行させる際に、運転者によって操作されるものである。アクセルペダル21は、アクセルポテンショメータ21aを介してコントローラ25に接続されており、運転者がアクセルペダル21を踏み込むとアクセルペダル21の位置(踏込み量)がアクセルポテンショメータ21aによって検出される。
【0016】
そして、アクセルポテンショメータ21aが検出した検出値は、アクセル位置信号として、コントローラ25に送信される。コントローラ25は、本発明に係る走行制御装置を構成するもので、CPU、ROM、RAMおよびタイマ(図示せず)等を備えており、アクセルポテンショメータ21aからのアクセル位置信号に基づいて、駆動モータ23を駆動させ、トランスミッション24を介して後輪RL,RRを回転させる。これによって、ゴルフカート10は加速しながら走行する。そして、ゴルフカート10を自動運転させる場合には、コントローラ25の制御によって駆動モータ23を駆動させて後輪RL,RRを回転させる。
【0017】
また、ブレーキペダル22は、ディスクブレーキシステムを介して、前輪FL,FRおよび後輪RL,RRにそれぞれ設けられたディスクブレーキに連結されているとともに、ブレーキモータ22aを介してコントローラ25に接続されている。そして、ブレーキペダル22には、ブレーキペダル22を踏み込んだときに生じる圧力を検出するための圧力センサ22bが備わっている。
【0018】
このため、運転者がブレーキペダル22を踏込むと、ブレーキペダル22の踏込み量は、ディスクブレーキシステムを介して、前輪FL,FRおよび後輪RL,RRにそれぞれ設けられたディスクブレーキに伝達され、ディスクブレーキの作動により前輪FL,FRおよび後輪RL,RRの回転駆動が制動される。また、自動運転する場合には、コントローラ25の制御によってブレーキモータ22aが駆動することにより、運転者がブレーキペダル22を踏込んだときと同様に、ディスクブレーキを作動させて前輪FL,FRおよび後輪RL,RRの回転駆動を制動する。
【0019】
また、ゴルフカート10は、駆動バッテリ26、メインリレー27、制御バッテリ26aおよび電磁ブレーキ28を備えている。駆動バッテリ26は、駆動モータ23を作動させるための電力をメインリレー27およびコントローラ25を介して駆動モータ23に供給する。メインリレー27は駆動バッテリ26とコントローラ25との間を接続したり遮断したりする。また、制御バッテリ26aは、コントローラ25を作動させるための電力をコントローラ25に供給する。電磁ブレーキ28は、コントローラ25の制御によって駆動することにより、後輪RL,RRのディスクブレーキを作動させて後輪RL,RRをロックすることによりゴルフカート10を制動する。
【0020】
また、ゴルフカート10は、本発明の追突防止センサの追突防止信号送信部としての送信器31、本発明の追突防止センサの追突防止信号受信部としての受信センサ32、一対の障害物センサ33a,33b、車速検出センサ34、誘導線センサ35および定点センサ36の各種のセンサやリモコン受信機37、警告ブザー38、電源スイッチ、発進・停止スイッチ(図示せず)等を備えている。送信器31は、車体11の後部に設置されており、後方に向って所定の幅で広がるようにして進む電波a(図5ないし図8参照)を発生する。
【0021】
この電波aの進行方向に直交する幅は、ゴルフカート10の幅よりもやや大きくなるように設定される。また、受信センサ32は、車体11の前部に設置された後述する誘導線センサ35の前部中央に取り付けられており、前方に位置するゴルフカート10a(図5ないし図8参照)との車間距離が、例えば、4m以内になったときに、前方のゴルフカート10aの送信器31から送信される電波aを受信する。
【0022】
障害物センサ33a,33bは、バンパ15aの前部両側にそれぞれ取り付けられており、ともに、超音波を発信する発信部と、物体に当たって跳ね返ってくる超音波を受信する受信部とを備えている。障害物センサ33a,33bが発信する超音波は、前方に位置する物体との距離が、例えば、6m以内になったときに、物体から跳ね返って障害物センサ33a,33bまで戻り障害物センサ33a,33bが受信できる強さに設定される。また、障害物センサ33a,33bが発信する超音波の進行方向に直交する幅は、ゴルフカート10の幅程度になるように設定されている。車速検出センサ34は、車体11の後部に設置されてゴルフカート10の走行速度を検出する。
【0023】
誘導線センサ35は、ステアリング軸13aの下端部とラックバー16との連結部分から水平方向に揺動可能な状態で前方に延びる棒状部材と、その棒状部材の前端部に中央部が連結された左右に延びる取付部材とからなる支持部材35aの取付部材に取り付けられている。すなわち、誘導線センサ35は、3個のセンサからなっており、3個のセンサは、支持部材35aの取付部材に左右に一定間隔で配置されている。そして、ゴルフカート10は、この誘導線センサ35を、図3に示した電磁誘導線GLに追従させながらゴルフ場のカート路CR上を走行する。
【0024】
図3は、ゴルフカート10が、ゴルフ場のカート路CR上を走行している状態を示しており、このカート路CRの地下における路面近傍部分の幅方向の中央部には、走行方向に沿って電磁誘導線GLが設けられている。そして、ゴルフカート10が自動運転する場合には、コントローラ25は、誘導線センサ35が電磁誘導線GLに追従するように、ステアリングモータ18を制御してステアリング軸13aを回転させる。この場合、誘導線センサ35の両側のセンサよりも内側に、電磁誘導線GLを位置させるようにしてゴルフカート10は走行する。
【0025】
また、電磁誘導線GLの近傍部分には、ゴルフカート10を自動運転させるための所定の信号を発信する定点部材Pが所定間隔を保って設けられている。定点センサ36は、ゴルフカート10の底面に設けられており、ゴルフカート10が走行する際に、カート路CRに設けられた定点部材Pを検出する。そして、定点部材Pを介して発信される走行指示信号に基づいてゴルフカート10は走行する。リモコン受信機37は、ゴルフカート10の上部に取り付けられており、リモコン37aから送信される発進信号および停止信号を受信してコントローラ25に送信する。
【0026】
コントローラ25は、リモコン受信機37から送られた発進信号に基づいて、各装置の制御を開始してゴルフカート10を自動走行させ、リモコン受信機37から送られた停止信号に基づいてゴルフカート10の走行を停止させる。これによって、リモコン37aによるゴルフカート10の発進および停止の遠隔操作が可能になる。警告ブザー38は、駆動バッテリ26の残量が少なくなったとき等、ゴルフカート10が備える各装置に異常が生じたり、ゴルフカート10の走行に支障が生じたりしたときに、コントローラ25の制御により警告音を発する。
【0027】
電源スイッチは、キーをハンドル13の近傍に設けられたキー穴に差し込んで回転させることによりオン位置とオフ位置とに回転するようになっており、オン位置に回転することにより、ゴルフカート10は走行可能な状態になる。また、電源スイッチがオフ位置に回転することによりゴルフカート10は走行不能な状態になる。また、発進・停止スイッチは、ゴルフカート10を自動走行させるときに使用するものでゴルフカート10を発進させたり、停止させたりするためのスイッチである。発進・停止スイッチの操作状態は、信号としてコントローラ25に送信される。
【0028】
電源スイッチをオン位置にした状態で、手動発進・停止スイッチを押すことにより、ゴルフカート10は発進を開始し、再度手動発進・停止スイッチを押すことにより、ゴルフカート10は停止する。また、コントローラ25のROMには、後述するプログラムやマップデータが記憶されており、コントローラ25のRAMには各種のデータが書き換え可能な状態で記憶される。そして、コントローラ25のCPUは、各種のデータに基づいてROMが記憶するプログラムを実行する。
【0029】
この構成において、乗員がゴルフカート10に乗ってゴルフカート10を自動運転する場合には、まず、電源スイッチおよび発進・停止スイッチをオン状態にする。これによって、駆動モータ23が作動してゴルフカート10は走行を開始する。この場合のゴルフカート10の追突防止制御は、図4に示したフローチャートにしたがって行われる。このフローチャートは、電源スイッチがオン状態になったのちに、コントローラ25のCPUによって所定時間ごとに繰り返し実行される。
【0030】
図4に示したフローチャートは、まず、ステップ100でスタートしたのちに、ステップ102に進み、車速検出センサ34が検出する車速Vのデータを読み込む処理が行われる。ついで、ステップ104に進み、目標車速がV0km/hよりも大きいか否かの判定が行われる。この目標車速は、ゴルフカート10を走行させる速度として予め設定された複数の数値であり、ゴルフカート10の走行状態に応じて適宜変更しながら設定される。目標車速がV0km/hよりも大きければ高速側とし、V0km/h以下であれば低速側とする。ここで、目標車速がV0km/hよりも大きければ、ステップ106に進んで、追突警告距離L0を、L1mに設定し、ゴルフカート10の減速度α0をα1m/s2に設定する処理が行われる。
【0031】
追突警告距離L0は、ゴルフカート10が車速V0km/hで走行しているときに、前方に位置する他のゴルフカート10aにこれ以上接近すると必要な車間距離がとれなくなると判断して設定する距離である。そして、減速度α0は、車間距離が追突警告距離L0のときに必要な車間距離を確保することのできる減速度として設定するものである。ステップ104において、目標車速がV0km/h以下であれば、ステップ108に進んで、追突警告距離L0を、L1mよりも小さなL2mに設定し、減速度α0をα1m/s2よりも小さなα2m/s2に設定する処理が行われる。
【0032】
つぎに、プログラムは、ステップ110に進み、前方に位置するゴルフカート10aの送信器31が発信する電波aを、ゴルフカート10の受信センサ32が検出する検出距離Lが追突警告距離L0よりも大きいか否かの判定が行われる。この場合の追突警告距離L0は、ステップ106またはステップ108で設定した距離であり、検出距離Lが追突警告距離L0よりも大きければ、「Yes」と判定して、プログラムはステップ112に進む。そして、ステップ112において、障害物センサ33a,33bが前方に物体があることを検出していないか否かの判定が行われる。この場合、障害物センサ33a,33bが物体を検出できる距離は、例えば6mとする。
【0033】
ここで、障害物センサ33a,33bは物体を検出してなく、「Yes」と判定すると、ステップ114に進む。この場合のゴルフカート10とその前方に位置するゴルフカート10aとの位置関係は、図5に示したようになる。すなわち、ゴルフカート10aの送信器31が発信する電波aは、ゴルフカート10の受信センサ32に届かず、ゴルフカート10の障害物センサ33a,33bが発信する超音波bは、ゴルフカート10aに到達しない状態にある。したがって、ゴルフカート10とゴルフカート10aとの車間距離は一定以上確保されていると判断して、ステップ114においては、ゴルフカート10を通常走行させる制御が行われる。
【0034】
そして、プログラムは、ステップ116に進んで一旦終了したのちに、再度ステップ100から開始される。そして、ステップ110,112において「Yes」と判定する間は、通常走行が継続される。また、障害物センサ33a,33bが、ゴルフカート10aまたは所定の物体を検出し,ステップ112において「No」と判定すると、ステップ118に進む。この場合のゴルフカート10とその前方に位置するゴルフカート10aとの位置関係は、図6に示したようになる。すなわち、ゴルフカート10aの送信器31が発信する電波aは、ゴルフカート10の受信センサ32に届かず、ゴルフカート10の障害物センサ33a,33bが発信する超音波bは、ゴルフカート10aに到達した状態にある。
【0035】
したがって、ゴルフカート10がゴルフカート10aまたはゴルフカート10a以外の何かの物体に接近していると判断して、ステップ118では、ゴルフカート10を減速させる制御が行われる。ここでは、減速度βでゴルフカート10を減速させる処理が行われる。この減速度βは、ゴルフカート10の走行速度を所定の設定車速まで下げるために予め設定した値であり、例えば、ステップ102で読み込んだ車速Vの値と係数cとの積から所定の係数dを減算した数値とする。
【0036】
そして、ステップ120において、ゴルフカート10の走行速度が設定車速V1km/h以下か否かの判定が行われる。ここで、ゴルフカート10の走行速度が設定車速V1km/h以下になっていれば、ステップ122において、車両減速制御を解除して現在の車速(設定車速V1km/h程度)を維持する制御が行われる。これによって、ゴルフカート10は設定車速V1km/h程度の低速で走行する。そして、プログラムは、ステップ116に進んで一旦終了し、再度ステップ100から開始される。また、ゴルフカート10の走行速度が設定車速V1km/h以下になってなく、ステップ120で「No」と判定すると、ステップ124に進む。
【0037】
この場合、車両減速制御が継続され、ゴルフカート10の走行速度は徐々に遅くなって設定車速V1km/hに近づいていく。そして、プログラムは、ステップ116に進んで一旦終了し、再度ステップ100から開始される。ゴルフカート10の走行速度が設定車速V1km/hに到達するまで、車両減速制御が継続され、ゴルフカート10の走行速度が設定車速V1km/hに到達すると、前述したステップ122の処理により、ゴルフカート10は一定の低速で走行する。また、その間に、障害物センサ33a,33bが物体の検出をしなくなると、ステップ114の処理により、ゴルフカート10の走行速度は通常の走行速度に変更される。
【0038】
また、ステップ110において、検出距離Lが追突警告距離L0以下であれば、「No」と判定して、プログラムはステップ126に進む。この場合のゴルフカート10とその前方に位置するゴルフカート10aとの位置関係は、図7に示したようになる。すなわち、ゴルフカート10aの送信器31が発信する電波aは、ゴルフカート10の受信センサ32に受信され、ゴルフカート10の障害物センサ33a,33bが発信する超音波bも、ゴルフカート10aに到達して、ゴルフカート10aを検出した状態にある。
【0039】
したがって、ゴルフカート10がゴルフカート10aに接近していると判断して、ステップ126では、ゴルフカート10を減速させる制御が行われる。ここでは、減速度α0でゴルフカート10を減速させる処理が行われる。この場合、減速度α0がステップ106で設定されていれば減速度α0はα1m/s2となり、減速度α0がステップ108で設定されていれば減速度α0はα2m/s2となる。つぎに、ステップ128において、ゴルフカート10の車速Vが車速V2km/h以下であるか否かの判定が行われる。
【0040】
車速V2km/hは、ゴルフカート10が停止した状態に近い速度で走行中であるか否かを判定するために設定した値であり、前述した設定車速V1km/hよりも小さな値に設定されている。ここで、ゴルフカート10の車速Vが車速V2km/h以下でなく、ステップ128で「No」と判定すると、ステップ102に進み、再度、前述したステップ102〜110、126,128の処理を繰り返す。そして、ゴルフカート10の車速Vが車速V2km/h以下になるまで、車両減速制御が継続され、ゴルフカート10の車速Vが車速V2km/h以下になると、「Yes」と判定してステップ130に進む。
【0041】
ステップ130では、電磁ブレーキ28を作動させてゴルフカート10を停止させる処理が行われる。そして、ステップ132においてプログラムは終了する。この場合のゴルフカート10とその前方に位置するゴルフカート10aとの位置関係は、図8に示したようになり、ゴルフカート10はゴルフカート10aに対して所定間隔を保った状態で停止する。また、ステップ126において車速減速制御を実施している間に、ゴルフカート10aが走行開始または加速して、ゴルフカート10との車間距離が、追突警告距離L0以上になれば、プログラムはステップ112に進む。以下、前述した処理が行われる。
【0042】
なお、この追突防止制御において、追突警告距離L0をL1mに設定し、減速度α0をα1m/s2に設定した場合の車速と時間との関係を図9に示し、追突警告距離L0をL2mに設定し、減速度α0をα2m/s2に設定した場合の車速と時間との関係を図10に示している。図9および図10において、横軸は時間の経過を示し、縦軸は車速の大きさを示している。また、図9および図10ともに、本実施形態による速度制御の状態を実線で示し、障害物センサ33a,33bによる検出を行わない場合の速度制御の状態を二点鎖線(図10では省略している。)で示している。
【0043】
さらに、図9および図10における実線の屈曲した点e,fは、ともに障害物センサ33a,33bが物体を検出して減速制御が開始された点を示しており、破線g、hは、ゴルフカート10aの送信器31が発信した電波aを、ゴルフカート10の受信センサ32が受信したことにより減速制御が開始された点を示している。図9の二点鎖線から分かるように、障害物センサ33a,33bがない場合には、ゴルフカート10の受信センサ32がゴルフカート10aの送信器31から発信される電波aを受信すると、ゴルフカート10は大きな減速度で減速する。
【0044】
これに対して、図9および図10の実線から分かるように、障害物センサ33a,33bを設けたことによって、減速度を小さくできるため、ゴルフカート10が高速走行しているときであっても、低速走行をしているときであっても、物体を検出するとゴルフカート10は徐々に減速していくようになるため、乗員に不快感を与えることがなくなる。特に、ゴルフカート10が高速走行しているときにこの効果は大きい。
【0045】
また、図11には、平行する2本の電磁誘導線GLが設けられたカート路CRにおいて、ゴルフカート10aの後方に位置するゴルフカート10の横を他のゴルフカート10bが逆方向に走行する状態を示している。この場合、ゴルフカート10bの送信器31が発信する電波aは検出範囲が狭く、ゴルフカート10の受信センサ32に受信されない。また、ゴルフカート10の障害物センサ33a,33bが発信する超音波の幅は狭いため、ゴルフカート10bを検出することはない。したがって、ゴルフカート10の各センサがゴルフカート10bに対して誤検出することはない。
【0046】
以上のように、本実施形態に係るゴルフカート10は、前方に位置するゴルフカート10aの送信器31が発信する電波aを受信する受信センサ32と、前方に位置するゴルフカート10aや物体を超音波bによって検出する障害物センサ33a,33bとを備えている。そして、電波aによる検出距離よりも超音波bによる検出距離の方が長くなるようにしている。このため、ゴルフカート10が、前方に位置するゴルフカート10aに接近したときだけでなく、人や物等に接近したときにも検出できるようになる。
【0047】
また、ゴルフカート10の障害物センサ33a,33bが前方に位置するゴルフカート10aを検出したときには、ゴルフカート10は低速走行するようになる。このため、ゴルフカート10は、ゴルフカート10aに対して徐々に接近していくか、または、車間距離を保持した状態で走行するようになる。そして、ゴルフカート10が、ゴルフカート10aにさらに接近して、ゴルフカート10の受信センサ32がゴルフカート10aの送信器31が発信する電波aを受信したときには、ゴルフカート10は停止する。
【0048】
このため、ゴルフカート10がゴルフカート10aに接近することを防止できる。この場合のゴルフカート10の減速は、障害物センサ33a,33bがゴルフカート10aを検出したときから始まるため、減速度を小さくすることができる。これによって、乗員が不快を感じることなくゴルフカート10をスムーズに停止させることができる。また、ゴルフカート10の前方にゴルフカート10a以外の物体がある場合にも、ゴルフカート10は低速走行しながらその物体に徐々に接近していく。
【0049】
このため、障害物センサ33a,33bが検出した物体が草やごみ等で、ゴルフカート10がその物体に近づいたときに、物体が障害物センサ33a,33bの検出範囲から外れていれば、ゴルフカート10は元の速度で走行することができる。また、電波aによる検出範囲を狭くするとともに、超音波bによる検出範囲を細長くしているため、すれ違うゴルフカート10bを誤検出して車両が停止したり低速走行したりすることを防止できる。また、カート路CRの横にある壁や塀を物体として検出することもなくなり、適正な検出および走行制御が可能になる。
【0050】
また、本発明に係る車両は、前述した実施形態に限定するものでなく、適宜変更して実施することができる。例えば、前述した実施形態では、追突防止信号を電波aとし、障害物センサ33a,33bを超音波を発信するセンサとしたが、電波aに代えて波長の短い電磁波を用いてもよいし、超音波に代えて光、赤外線および波長の短い電磁波等を用いることもできる。また、前述した実施形態では、2個の障害物センサ33a,33bを用いているが、この障害物センサは1個でもよい。この場合、障害物センサは、バンパ15aの中央部に設置することが好ましい。さらに、前述した実施形態では、車両をゴルフカート10等としたが、この車両は、ゴルフカートに限定するものでなく、四輪自動車や、自動二輪車等の種々の車両とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係るゴルフカートを示した側面図である。
【図2】ゴルフカートの概略を示した構成図である。
【図3】ゴルフカートがカート路を走行する状態を示した説明図である。
【図4】追突防止制御を実施するためのプログラムを示したフローチャートである。
【図5】前方位置のゴルフカートが検出範囲外にある状態を示した平面図である。
【図6】前方位置のゴルフカートが障害物センサの検出範囲内に入った状態を示した平面図である。
【図7】前方位置のゴルフカートが追突防止センサの検出範囲内に入った状態を示した平面図である。
【図8】ゴルフカートが、前方位置のゴルフカートの後方で停止した状態を示した平面図である。
【図9】高速走行時のゴルフカートの減速状態を示したグラフである。
【図10】低速走行時のゴルフカートの減速状態を示したグラフである。
【図11】ゴルフカートが他のゴルフカートとすれ違うときの検出状態を示した平面図である。
【符号の説明】
【0052】
10,10a,10b…ゴルフカート、25…コントローラ、31…送信器、32…受信センサ、33a,33b…障害物センサ、a…電波、b…超音波、CR…カート路、L…検出距離。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のコースを他の車両と間隔を保って走行する車両であって、
前記車両の後方に向けて追突防止信号を発信することのできる追突防止信号送信部と、前方に位置する車両との距離が一定距離以内になったときに前記前方に位置する車両の追突防止信号送信部から発信された追突防止信号を受信する追突防止信号受信部とからなる追突防止センサと、
前記追突防止信号送信部が発信する追突防止信号の発信距離よりも長い距離に亘って前方に超音波または電磁波を発信し、物体に衝突したときに戻ってくる超音波または電磁波を受信することにより前方に前記物体があることを検出する障害物センサと
を備えたことを特徴とする車両。
【請求項2】
前記追突防止信号受信部が追突防止信号を受信したときには前記車両が停止し、前記追突防止信号受信部が追突防止信号を受信せず、かつ前記障害物センサが所定の物体を検出したときには前記車両が低速走行するように前記車両の走行を制御する走行制御装置を備えた請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記障害物センサから発信される超音波または電磁波による検出範囲の幅を前記車両の幅程度にした請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
前記車両が電動式のゴルフカートである請求項1ないし3のうちのいずれか一つに記載の車両。
【請求項1】
所定のコースを他の車両と間隔を保って走行する車両であって、
前記車両の後方に向けて追突防止信号を発信することのできる追突防止信号送信部と、前方に位置する車両との距離が一定距離以内になったときに前記前方に位置する車両の追突防止信号送信部から発信された追突防止信号を受信する追突防止信号受信部とからなる追突防止センサと、
前記追突防止信号送信部が発信する追突防止信号の発信距離よりも長い距離に亘って前方に超音波または電磁波を発信し、物体に衝突したときに戻ってくる超音波または電磁波を受信することにより前方に前記物体があることを検出する障害物センサと
を備えたことを特徴とする車両。
【請求項2】
前記追突防止信号受信部が追突防止信号を受信したときには前記車両が停止し、前記追突防止信号受信部が追突防止信号を受信せず、かつ前記障害物センサが所定の物体を検出したときには前記車両が低速走行するように前記車両の走行を制御する走行制御装置を備えた請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記障害物センサから発信される超音波または電磁波による検出範囲の幅を前記車両の幅程度にした請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
前記車両が電動式のゴルフカートである請求項1ないし3のうちのいずれか一つに記載の車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−98957(P2009−98957A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270320(P2007−270320)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
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