説明

車載情報端末

【課題】様々な画面を割り込み表示する車載情報端末において、その割り込み表示による画面の色合いの変化に関わらず、ユーザにとって見やすい表示画面を提供する。
【解決手段】VICS情報を受信すると、車両から出力されるイルミネーション信号に基づいて、そのイルミネーション信号が車両から出力されている場合は、バックライトの発光量を変化させるべきと判定する(ステップS20)。そして、バックライトの発光量を制御して変化させ(ステップS30)、その後、VICS情報による割り込み画像を表示する(ステップS40)。所定時間が経過したら(ステップS50)、バックライトの発光量を元に戻して(ステップS60)割り込み画像を消去する(ステップS70)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な画面を割り込み表示する車載情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
周囲の照明環境が変化してもユーザにとって常に見やすい画面を表示するために、入射光の明るさを検出し、その検出結果に基づいてバックライトの光量を調節することにより、画面の輝度を調節する表示装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−308891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画面の輝度は、バックライトの光量だけでなく画面の色合いによっても変化する。すなわち、バックライトの光量が同じであっても、明るい色合いの画面であれば輝度が高くなり、暗い色合いの画面であれば輝度が低くなる。しかし特許文献1に開示される表示装置では、このような画面の色合いの差違による輝度変化が考慮されていないため、必ずしもユーザにとって見やすい画面とはならない。
【0005】
特に、道路交通情報通信システム(VICS)によって取得された交通情報(VICS情報)を地図画面の表示中に割り込み表示するなど、様々な画面を割り込み表示する車載情報端末では、その割り込み表示によって画面の色合いが急に変化する場合がある。そのため、たとえば夜間において、暗い色合いの地図画面の上に明るい色合いのVICS情報画面が割り込み表示された場合などは、画面の輝度が急に上がってユーザが眩しいと感じることがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明による車載情報端末は、画像を表すためのパネルと、パネルの背後から所定の発光量で光を照射するためのバックライトとを有し、バックライトから照射された光を用いてパネルに表された画像を所定の輝度で画面表示する表示手段と、表示手段により表示された元画面の上に割り込み画面を表示する割り込み表示制御手段と、割り込み表示制御手段により割り込み画面を表示するときに、バックライトの発光量を変化させるべきか否か判定する判定手段と、判定手段によりバックライトの発光量を変化させるべきと判定された場合に、バックライトの発光量を制御して変化させる制御手段とを備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1の車載情報端末において、割り込み画面は、元画面よりも明るい色合いを有しており、判定手段は、車両内の照明がオンされたときに車両から出力されるイルミネーション信号に基づいて、そのイルミネーション信号が車両から出力されている場合はバックライトの発光量を変化させるべきと判定し、制御手段は、判定手段によりバックライトの発光量を変化させるべきと判定された場合に、バックライトの発光量を下げるものである。
請求項3の発明は、請求項1の車載情報端末において、周囲の明るさを検出する明るさ検出手段をさらに備え、割り込み画面は、元画面よりも明るい色合いを有しており、判定手段は、明るさ検出手段によって検出された周囲の明るさが所定の明るさ未満である場合はバックライトの発光量を変化させるべきと判定し、制御手段は、判定手段によりバックライトの発光量を変化させるべきと判定された場合に、バックライトの発光量を下げるものである。
請求項4の発明は、請求項1の車載情報端末において、パネルに表される画像の色合いとバックライトから照射される光の発光量とに基づいて、元画面の輝度Aおよび割り込み画面が表示されたときの輝度Bをそれぞれ算出する輝度算出手段をさらに備え、判定手段は、輝度算出手段により算出された輝度Aと輝度Bを比較し、その比較結果に基づいてバックライトの発光量を変化させるべきか否か判定するものである。
請求項5の発明は、請求項4の車載情報端末において、判定手段は、輝度Aと輝度Bを比較した結果、輝度Aと輝度Bが等しくない場合はバックライトの発光量を変化させるべきと判定するものである。
請求項6の発明は、請求項5の車載情報端末において、制御手段は、判定手段によりバックライトの発光量を変化させるべきと判定された場合に、輝度Bより輝度Aが大きければ、バックライトの発光量を上げるものである。
請求項7の発明は、請求項5の車載情報端末において、制御手段は、判定手段によりバックライトの発光量を変化させるべきと判定された場合に、輝度Aより輝度Bが大きければ、バックライトの発光量を下げるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、様々な画面を割り込み表示する車載情報端末において、その割り込み表示による画面の色合いの変化に関わらず、ユーザにとって見やすい表示画面とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
−第1の実施の形態−
本発明の第1の実施の形態について以下に説明する。本実施形態によるナビゲーション装置は図1に示す構成を有している。このナビゲーション装置は車両に搭載されており、推奨経路を探索して道路地図を表示することにより、自車両を目的地まで誘導する。また、VICSセンターから送信されるVICS情報を受信して、そのVICS情報を道路地図上に表示する。図1に示すナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17、VICS情報受信部18およびディスクドライブ19を有している。ディスクドライブ19には、地図データが記録されたDVD−ROM20が装填される。
【0009】
制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行することにより、後で説明するような各種の処理や制御を行う。制御回路11には、車両から出力される車両イルミネーション信号(イルミ信号)が入力される。このイルミ信号は、車両内の照明がオンされたときに車両から出力され、オフされている場合は出力されない。
【0010】
現在地検出装置14は、自車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方向を検出する振動ジャイロセンサ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14c等の各種センサ類からなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出される自車両の現在地に基づいて、後述する経路探索開始点を決定したり、自車位置を道路地図上に示したりすることができる。
【0011】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを一時的に格納する。この画像データは、道路地図を表示するための道路地図描画用データや各種の図形データ等からなり、DVD−ROM20に記録されている地図データや、後で説明するVICS情報受信部18により受信したVICS情報などに基づいて、制御回路11において作成される。制御回路11により作成された画像データが画像メモリ15に出力されることによって、表示モニタ16に道路地図画像やVICS情報画像などの様々な画像が適宜表示される。
【0012】
表示モニタ16は、液晶パネル16aおよびバックライト16bを有している。液晶パネル16aは、液晶、透明基板、偏光フィルタ、カラーフィルタ等によって構成されている。透明基板に挟まれた液晶の配向状態が画像メモリ15に格納された画像データに基づいて表示ドット単位で制御されることにより、液晶パネル16aに前述したような様々な画像が表される。バックライト16bは、蛍光管や発光ダイオードなどが用いられ、液晶パネル16aの背面部分に設置されている。
【0013】
バックライト16bによって液晶パネル16aの背後から所定の発光量で照射された光が液晶パネル16aを透過することにより、液晶パネル16aに表された画像が所定の輝度で表示モニタ16に画面表示される。なお、バックライト16bの発光量は、予め設定された画面の明るさ設定値に応じて制御される。さらに、後で説明するように、割り込み表示の際にはイルミ信号の有無に応じて、画面の明るさ設定とは別にバックライト16bの発光量が制御される。このようなバックライト発光量の制御は、制御回路11によって行われる。
【0014】
入力装置17は、車両の目的地や経由地(以下、これらを合わせて単に目的地という)をユーザが設定したりするための各種入力スイッチを有している。この入力装置17は、操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16に表示される画面指示に従って入力装置17を操作することにより、地名や地図上の位置などを指定して目的地を設定することができる。
【0015】
VICS情報受信部18は、不図示のVICS情報センターからナビゲーション装置1に対して送信されるVICS情報を受信する。このVICS情報により、渋滞情報や通行規制情報、駐車場情報などの様々な道路交通情報がナビゲーション装置1に対して送信される。VICS情報受信部18において受信されたVICS情報は制御回路11に出力され、前述したように制御回路11において、そのVICS情報の内容を画像表示するための画像データが作成される。
【0016】
VICS情報センターからナビゲーション装置1へのVICS情報の送信は、主に高速道路上に設置されている電波ビーコンや、主に一般道路上に設置されている光ビーコン、またはFM多重放送によって行われる。電波ビーコンや光ビーコンは、その設置地点付近を通過する車両に対して、電波あるいは光(赤外線)により局所的にVICS情報を送信するものである。これに対して、FM多重放送では比較的広い地域に対してVICS情報を送信することができる。
【0017】
ディスクドライブ19は、装填されたDVD−ROM20より、道路地図を表示するための地図データを読み出す。この地図データには、ルート探索に用いられる経路計算データや、交差点名称および道路名称など、推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられる経路誘導データ、さらに道路を表す道路データなどが含まれている。また、河川や鉄道、地図上の各種施設等(ランドマーク)など、道路以外の地図形状を表す背景データなども地図データに含まれている。なお、道路データには各道路の道路区分(道路種別)を表すための道路区分データが含まれている。この道路区分により、たとえば高速道路や国道、県道などが表される。
【0018】
道路データにおいて、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれており、各道路は複数のリンクによって構成されている。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報(座標情報)を有している。このノードの位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。なお、ここではDVD−ROMを用いた例について説明しているが、DVD−ROM以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより、地図データを読み出すこととしてもよい。
【0019】
ユーザが入力装置17を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、現在地検出装置14により検出された現在地を経路探索開始点として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算を行うことにより、現在地から目的地までのルート探索を行う。ルート探索の結果求められた推奨経路は、その表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、他の道路とは区別して道路地図上に表される。これにより、ユーザは推奨経路を表示モニタ16に表示された道路地図上において認識することができる。また、この推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ナビゲーション装置1は、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示を行うことにより、自車両を誘導する。このように、道路地図を表示して推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導することにより、目的地までのルート案内が行われる。
【0020】
上記のルート案内の際には、自車位置を示すための自車位置マークが道路地図上に表示される。この自車位置マークが自車両の走行に合わせて道路地図上を移動することにより、ユーザはどの地点を自車両が走行しているか知ることができる。この自車位置は、前述のように現在地検出装置14によって検出される。
【0021】
ナビゲーション装置1は、VICS情報受信部18によりVICS情報を受信すると、そのVICS情報の内容を表示モニタ16に表示する。たとえば、道路上の渋滞箇所をその渋滞度合いに応じてオレンジ色や赤色で示したり、通行規制箇所を特定のマークを用いて示したりする。また、駐車場の空き状況に応じて色分けした駐車場マークを道路地図上の各駐車場の位置に表示することにより、駐車場情報の内容を表示する。このように、各種の道路交通情報が様々な表示マークを用いて道路地図上に表される。
【0022】
なお、VICSセンターより送信されるVICS情報にはレベル1〜レベル3の3段階のレベルがあり、VICS情報のレベルによって表示形態が異なる。レベル1の場合、文字によってVICS情報の内容が表される。たとえば、渋滞地点名や渋滞距離、ある地点間の所要時間などを表現した文章が、レベル1のVICS情報として表示される。レベル2のVICS情報は、簡易図形(道路線形を簡易的な図形で表したもの)を用いて表される。たとえば、特定の道路の渋滞箇所を赤やオレンジ色などによって簡易図形上に表した画像が、レベル2のVICS情報として表示される。レベル3のVICS情報は、道路地図と組み合わせることによって表される。すなわち、前述したような渋滞箇所や通行規制箇所、駐車場マークなどを道路地図上に表示することにより、レベル3のVICS情報の表示が行われる。
【0023】
上記の3段階のVICS情報のうち、レベル1とレベル2のVICS情報については、受信されたときに所定時間だけ画面上に割り込み表示される。すなわち、道路地図の表示中にレベル1またはレベル2のVICS情報が受信されると、そのVICS情報による文字画像(レベル1)または簡易図形画像(レベル2)が道路地図上に重ねて表示される。こうしてVICS情報が割り込み表示されてから所定の表示時間が経過すると、道路地図上に表示されていた文字画像または簡易図形画像が画面から消され、元の道路地図を表示した画面に切り替えられる。
【0024】
図2(a)は、VICS情報の受信前に表示モニタ16に表示されている元の道路地図画面の例を表している。ここでレベル2のVICS情報が受信され、そのVICS情報による簡易図形画像が割り込み表示されることにより、図2(b)に示すような割り込み画面が表示される。この画面において元の地図画面上に割り込み表示されている簡易図形画像31には、現在地から見た各進行方面に対してそれぞれ設定された各目標地点の地名、その各目標地点までの所要時間、道路名、路線番号などが表示されている。なお、簡易図形上のハッチング部分32は、その方面へ向かう道路が渋滞していることを表している。
【0025】
図2(b)の割り込み画面が表示されてから所定の表示時間が経過すると、再び図2(a)の元画面が表示される。なお、ここではレベル2のVICS情報によって簡易図形画像が割り込み表示された例を説明したが、レベル1のVICS情報により文字画像を割り込み表示する場合も同様である。
【0026】
ところで、上記のようにVICS情報によって割り込み表示される文字画像や簡易図形画像には、道路地図と比べて全体的に明るい色合いのものが用いられることが多い。そのため、特に夜間の運転時において、VICS情報の割り込み表示によって画面の輝度が急に上がり、ユーザが眩しいと感じる可能性がある。このような夜間運転時における画面輝度の急激な変化は、ユーザの運転操作に支障をきたす場合もありえる。そこで本発明では、VICS情報を割り込み表示する際のバックライト光量を下げることにより、画面の輝度が急激に変化しないようにする。
【0027】
本実施形態によるナビゲーション装置1では、上記のようなバックライト光量の変化を車両のイルミ信号の有無に応じて制御する。すなわち、車両からイルミ信号が入力されている場合は、バックライトの発光量を変化させるべき夜間運転時であると判断して、割り込み表示の際にバックライト16bの発光量を下げる。これに対してイルミ信号がオフである場合は、夜間運転時ではないと判断して、バックライト16bの発光量を変化させない。このようにすることで、夜間運転時には割り込み表示する際のバックライト光量を下げ、画面の輝度変化を抑える。
【0028】
本実施形態においてVICS情報を割り込み表示するときに実行されるフローチャートを図3に示す。このフローチャートは制御回路11において実行されるものであり、VICS情報受信部18によってレベル1またはレベル2のVICS情報が受信されたときに実行される。なお、レベル3のVICS情報が受信された場合は、前述のように渋滞情報などを道路地図と組み合わせて表示するための処理が実行され、図3のフローチャートは実行されない。
【0029】
ステップS10では、VICS情報の割り込み表示要求(VICS割り込み)が発生したか否かを判定する。すなわち、レベル1またはレベル2のいずれかのVICS情報がVICS情報受信部18において受信されたか否かを判定する。レベル1またはレベル2いずれかのVICS情報が受信された場合は、VICS割り込みが発生したとして次のステップS20へ進む。
【0030】
ステップS20では、イルミ信号がオンであるか否かを判定する。イルミ信号がオンである場合は次のステップS30へ進み、イルミ信号がオフである場合はステップS30を実行せずにステップS40へ進む。すなわち、イルミ信号が車両から出力されている場合は、夜間運転時であると判断されるため、バックライトの発光量を変化させるべきと判定してステップS30へ進む。逆にイルミ信号が車両から出力されていない場合は、夜間運転時ではなく、したがってバックライトの発光量を変化させる必要がないと判定して、ステップS30を飛ばしてステップS40へ進む。
【0031】
ステップS30では、バックライト16bの発光量を下げる。ここでは、予め設定された所定の発光量となるようにバックライト16bの発光量を制御する。この所定の発光量には、図2(a)に示すような元の割り込み表示前の画面と、図2(b)に示すような割り込み表示後の画面との色合いの違いに合わせて、これらの画面における輝度変化を抑えるような発光量が予め設定される。なお、このとき前述のように、割り込み表示前の元画面よりも割り込み表示後の画面のほうが明るい色合いを有しているものとする。ステップS30において、レベル1のVICS情報を受信して文字画像を表示する場合と、レベル2のVICS情報を受信して簡易図形画像を表示する場合とでは、バックライト16bを異なる発光量に制御してもよい。
【0032】
ステップS40では、受信したVICS情報による割り込み画像、すなわち、レベル1のVICS情報による文字画像またはレベル2のVICS情報による簡易図形画像を、表示モニタ16に表示する。これにより、図2(a)から(b)のような画面の切り替えが行われる。次のステップS50では、ステップS40で割り込み画像を表示してからの経過時間と、予め設定された割り込み画像の表示時間とを比較することにより、割り込み表示の時間がタイムアウトしたか否かを判定する。経過時間が予め設定された表示時間以内である間は、ステップS40へ戻って割り込み画像の表示を続ける。経過時間が表示時間を越えるとステップS60へ進む。
【0033】
ステップS60では、バックライト16bの発光量を元の設定値に戻す。すなわち、ステップS30においてバックライト16bの発光量を下げていた場合は、下げる前の発光量に戻す。なお、ステップS20においてイルミ信号がオンではないと判定され、ステップS30を実行していなかった場合は、そのままの発光量とする。
【0034】
ステップS70では、ステップS40で表示した割り込み画像を表示モニタ16から消去する。これにより、図2(b)から(a)のような画面の切り替えが行われる。ステップS70を実行したら、図3のフローチャートを終了する。以上説明したようにして、夜間運転時に受信したVICS情報を割り込み表示するときに、画面の輝度が急激に変化しないようにする。
【0035】
以上説明した第1の実施の形態によれば、次の作用効果を奏することができる。
(1)図2(a)の元画面を表示モニタ16に表示し、受信したVICS情報に基づいてその元画面の上に割り込み画面を表示する(ステップS40)ことにより、図2(b)の画面を表示する。このとき、バックライト16bの発光量を変化させるべきか否か判定し(ステップS20)、変化させるべきと判定された場合に、バックライト16bの発光量を制御して変化させることとした(ステップS30)。このようにしたので、割り込み表示による画面の色合いの変化に関わらず、ユーザにとって見やすい表示画面とすることができる。
【0036】
(2)ステップS20においてバックライト16bの発光量を変化させるべきか否か判定する際には、車両から出力される車両イルミネーション信号に基づいて、そのイルミネーション信号が車両から出力されている場合は、バックライト16bの発光量を変化させるべきと判定する。そして、ステップS30においてバックライト16bの発光量を制御して変化させる際には、バックライト16bの発光量を下げることとした。このようにしたので、夜間運転時であることを簡単に判断でき、それに応じて、受信したVICS情報を割り込み表示する際にはバックライト16bの発光量を適切に制御することができる。
【0037】
−第2の実施の形態−
本発明の第2の実施の形態について説明する。上記で説明した第1の実施の形態では、車両からのイルミ信号の有無に応じてバックライト光量の変化を制御することにより、夜間運転時には画面の輝度が急激に変化しないように、受信したVICS情報を割り込み表示する例について説明した。これに対して本実施形態では、周囲の明るさを検出してバックライト光量の変化を制御することにより、夜間運転時には画面の輝度が急激に変化しないように、受信したVICS情報を割り込み表示する。
【0038】
本実施形態によるナビゲーション装置2は、図4に示す構成を有しており、図1の第1の実施の形態によるナビゲーション装置1と比較すると、車両からのイルミ信号が入力されず、その代わりに受光器21が備えられている点以外は同じ構成である。受光器21は車室内に設置されており、CCDやCMOSなどの光検出素子を有している。この受光器21を用いて車室内の光を検出することにより、周囲の明るさが検出されてその検出結果が制御回路11に出力される。こうして制御回路11に出力された周囲の明るさが予め設定された所定値よりも低い場合は、夜間運転時であると判断して、割り込み表示する際にバックライト16bの発光量を下げる。
【0039】
本実施形態においてVICS情報を割り込み表示するときに制御回路11において実行されるフローチャートを図5に示す。このフローチャートでは、図3に示す第1の実施の形態におけるフローチャートと同じ内容の処理ステップについては、同一のステップ番号としている。この同一ステップ番号の処理ステップについては、以下の記述において特に必要のない限り、その説明を省略する。
【0040】
ステップS21では、受光器21を用いて車室内の光を検出することで周囲の明るさを検出する。次のステップS22では、ステップS21において検出された周囲の明るさが予め定められた所定の明るさ以上であるか否かを判定する。周囲の明るさが所定の明るさ以上である場合は、ステップS30を実行せずにステップS40へ進む。そうでない場合、すなわち所定の明るさ未満である場合はステップS30へ進み、第1の実施の形態で説明したのと同様に、バックライト16bの発光量を所定の発光量となるように制御する。その後ステップS40へ進む。その後は、第1の実施の形態で説明したのと同様の処理を行う。
【0041】
以上説明した第2の実施の形態によれば、次の作用効果を奏することができる。
(1)割り込み画面を表示するときに、バックライト16bの発光量を変化させるべきか否か判定し(ステップS22)、変化させるべきと判定された場合に、バックライト16bの発光量を制御して変化させることとした(ステップS30)。このようにしたので、第1の実施の形態と同様に、割り込み表示による画面の色合いの変化に関わらず、ユーザにとって見やすい表示画面とすることができる。
【0042】
(2)ステップS22においてバックライト16bの発光量を変化させるべきか否か判定する際には、受光器21によって検出された周囲の明るさが所定の明るさ未満である場合は、バックライト16bの発光量を変化させるべきと判定する。そして、ステップS30においてバックライト16bの発光量を制御して変化させる際には、バックライト16bの発光量を下げることとした。このようにしたので、第1の実施の形態と同様に、夜間運転時であることを簡単に判断でき、それに応じて、受信したVICS情報を割り込み表示する際にはバックライト16bの発光量を適切に制御することができる。
【0043】
−第3の実施の形態−
本発明の第3の実施の形態について説明する。上記で説明した第1および第2の実施の形態では、夜間運転時と判断される場合にバックライト光量を予め設定された所定の発光量まで下げることにより、画面の輝度が急激に変化しないように、受信したVICS情報を割り込み表示する例について説明した。これに対して本実施形態では、割り込み表示する前の画面の輝度と、これから割り込み表示しようとする画面の輝度とを算出することにより、両方の輝度に差が生じないようにバックライト光量を制御する。これにより、夜間運転時に限らず、受信したVICS情報を割り込み表示する際には常に画面の輝度が変化しないようにする。
【0044】
本実施形態によるナビゲーション装置3は、図6に示す構成を有しており、図1の第1の実施の形態によるナビゲーション装置1と比較すると、車両からイルミ信号が入力されない点以外は同じ構成である。また図2の第2の実施の形態によるナビゲーション装置2と比較すると、受光器21が備えられていない点以外は同じ構成である。
【0045】
本実施形態においてVICS情報を割り込み表示するときに制御回路11において実行されるフローチャートを図7に示す。このフローチャートでは、図3に示す第1の実施の形態や、図5に示す第2の実施の形態におけるフローチャートと同じ内容の処理ステップについては、同一のステップ番号としている。この同一ステップ番号の処理ステップについては、以下の記述において特に必要のない限り、その説明を省略する。
【0046】
ステップS5では、表示中の画面輝度Aを算出する。この画面輝度Aは、図2(a)に示すような割り込み表示前の画面における全体的な色合いと、バックライト16bにより照射される光の発光量とに基づいて算出される。なお、画面の全体的な色合いは、液晶パネル16aに表される画像の色合いによって求めることができる。たとえば、画像の各画素のRGB値の平均によって求めることができる。ステップS25では、割り込み表示後の画面輝度Bを算出する。この画面輝度Bも、前述の画面輝度Aと同様に、図2(b)に示すような割り込み表示後の画面における全体的な色合いと、バックライト16bの発光量とに基づいて算出される。
【0047】
ステップS26では、ステップS5で算出した表示中の画面輝度Aと、ステップS25で算出した割り込み表示後の画面輝度Bを比較する。ステップS31では、その比較結果に基づいてバックライト16bの発光量を変化させるべきか否か判定する。画面輝度Aのほうが大きい場合はステップS32へ進み、現在の設定よりもバックライト16bの発光量を上げる。これにより、割り込み表示後の画面輝度Bが大きくなるように制御する。逆に画面輝度Bのほうが大きい場合はステップS33へ進み、現在の設定よりもバックライト16bの発光量を下げる。これにより、割り込み表示後の画面輝度Bが小さくなるように制御する。ステップS32またはS33のいずれかを実行したら、ステップS25へ戻って上記のような処理を繰り返す。このようにすることで、割り込み表示の前後で画面の輝度に差が生じないようにする。
【0048】
以上説明したような処理を繰り返して画面輝度Aと画面輝度Bが等しくなったら、ステップS31からステップS40へ進む。その後は、第1の実施の形態で説明したのと同様の処理を行う。以上説明したようにして、夜間運転時に限らず、受信したVICS情報を割り込み表示するときに、画面の輝度が変化しないようにする。
【0049】
以上説明した第3の実施の形態によれば、次の作用効果を奏することができる。
(1)割り込み画面を表示するときに、バックライト16bの発光量を変化させるべきか否か判定し(ステップS31)、変化させるべきと判定された場合に、バックライト16bの発光量を制御して変化させることとした(ステップS32、S33)。このようにしたので、第1および第2の実施の形態と同様に、割り込み表示による画面の色合いの変化に関わらず、ユーザにとって見やすい表示画面とすることができる。
【0050】
(2)液晶パネル16aに表される画像の色合いと、バックライト16bにより照射される光の発光量とに基づいて、表示中の画面輝度Aと割り込み表示後の画面輝度Bをそれぞれ算出する(ステップS5、S25)。こうして算出された輝度Aと輝度Bを比較し(ステップS26)、その比較結果に基づいて、ステップS31においてバックライト16bの発光量を変化させるべきか否か判定することとした。このようにしたので、適切なタイミングでバックライト16bの発光量を変化させることができる。
【0051】
(3)ステップS31では、輝度Aと輝度Bが等しくない場合はバックライト16bの発光量を変化させるべきと判定する。その結果、輝度Bより輝度Aが大きければバックライト16bの発光量を上げ(ステップS32)、輝度Aより輝度Bが大きければバックライト16bの発光量を下げる(ステップS33)こととした。このようにしたので、夜間運転時に限らず、受信したVICS情報を割り込み表示する際には常に画面の輝度が変化しないようにすることができる。
【0052】
なお、上記の各実施の形態では、VICS情報を例として、元の画面上に割り込み画面を表示する際にバックライト光量を調節して画面の輝度が急激に変化しないようにする本発明の内容を説明したが、これ以外のものについても本発明を適用できる。たとえば、交差点や高速道路の入口などに近づいたときに、車両の進行方向を分かりやすくユーザに示すために通常の地図画面上に割り込み表示されるジャンクションビュー画面において、本発明を適用することができる。あるいは、通常の地図画面上に、車両のフロント部分やリア部分に設置されたカメラによる撮影画面を割り込み表示する際にも、本発明を適用することができる。これ以外であっても、元の画面上に割り込み画面を表示するものについては、同じように本発明を適用可能である。
【0053】
以上説明した各実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【0054】
上記の各実施の形態では、表示手段を表示モニタ16、明るさ検出手段を受光器21によってそれぞれ実現し、また、割り込み表示制御手段、判定手段、制御手段および輝度算出手段を制御回路11の処理によって実現することとした。具体的には、第1の実施の形態においては、判定手段をステップS20、制御手段をステップS30、割り込み表示制御手段をステップS40によりそれぞれ実現し、第2の実施の形態においては、判定手段をステップS22、制御手段をステップS30、割り込み表示制御手段をステップS40によりそれぞれ実現している。また、第3の実施の形態においては、輝度算出手段をステップS5およびS25、判定手段をステップS26およびS31、制御手段をステップS32またはS33、割り込み表示制御手段をステップS40によりそれぞれ実現している。しかし、これらはあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の各実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係には何ら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】VICS情報による簡易図形画像が割り込み表示された画面例である。
【図3】第1の実施の形態においてVICS情報を割り込み表示するときのフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第2の実施の形態においてVICS情報を割り込み表示するときのフローチャートである。
【図6】本発明の第3の実施の形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図7】第3の実施の形態においてVICS情報を割り込み表示するときのフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1、2 ナビゲーション装置 11 制御回路
12 ROM 13 RAM
14 現在地検出装置 15 画像メモリ
16 表示モニタ 17 入力装置
18 VICS情報受信部 19 ディスクドライブ
20 DVD−ROM 21 受光器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表すためのパネルと、前記パネルの背後から所定の発光量で光を照射するためのバックライトとを有し、前記バックライトから照射された光を用いて前記パネルに表された画像を所定の輝度で画面表示する表示手段と、
前記表示手段により表示された元画面の上に割り込み画面を表示する割り込み表示制御手段と、
前記割り込み表示制御手段により割り込み画面を表示するときに、前記バックライトの発光量を変化させるべきか否か判定する判定手段と、
前記判定手段によりバックライトの発光量を変化させるべきと判定された場合に、前記バックライトの発光量を制御して変化させる制御手段とを備えることを特徴とする車載情報端末。
【請求項2】
請求項1の車載情報端末において、
前記割り込み画面は、前記元画面よりも明るい色合いを有しており、
前記判定手段は、車両内の照明がオンされたときに車両から出力されるイルミネーション信号に基づいて、そのイルミネーション信号が車両から出力されている場合は前記バックライトの発光量を変化させるべきと判定し、
前記制御手段は、前記判定手段によりバックライトの発光量を変化させるべきと判定された場合に、前記バックライトの発光量を下げることを特徴とする車載情報端末。
【請求項3】
請求項1の車載情報端末において、
周囲の明るさを検出する明るさ検出手段をさらに備え、
前記割り込み画面は、前記元画面よりも明るい色合いを有しており、
前記判定手段は、前記明るさ検出手段によって検出された周囲の明るさが所定の明るさ未満である場合は前記バックライトの発光量を変化させるべきと判定し、
前記制御手段は、前記判定手段によりバックライトの発光量を変化させるべきと判定された場合に、前記バックライトの発光量を下げることを特徴とする車載情報端末。
【請求項4】
請求項1の車載情報端末において、
前記パネルに表される画像の色合いと前記バックライトから照射される光の発光量とに基づいて、前記元画面の輝度Aおよび前記割り込み画面が表示されたときの輝度Bをそれぞれ算出する輝度算出手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記輝度算出手段により算出された輝度Aと輝度Bを比較し、その比較結果に基づいて前記バックライトの発光量を変化させるべきか否か判定することを特徴とする車載情報端末。
【請求項5】
請求項4の車載情報端末において、
前記判定手段は、前記輝度Aと前記輝度Bを比較した結果、輝度Aと輝度Bが等しくない場合は前記バックライトの発光量を変化させるべきと判定することを特徴とする車載情報端末。
【請求項6】
請求項5の車載情報端末において、
前記制御手段は、前記判定手段によりバックライトの発光量を変化させるべきと判定された場合に、前記輝度Bより前記輝度Aが大きければ、前記バックライトの発光量を上げることを特徴とする車載情報端末。
【請求項7】
請求項5の車載情報端末において、
前記制御手段は、前記判定手段によりバックライトの発光量を変化させるべきと判定された場合に、前記輝度Aより前記輝度Bが大きければ、前記バックライトの発光量を下げることを特徴とする車載情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−17766(P2007−17766A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−200274(P2005−200274)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】