車載電子装置およびタッチパネル装置
【課題】運転席のユーザおよび助手席のユーザのうちのどちらのユーザが操作したか判定できる車載電子装置およびタッチパネル装置を提供する。
【解決手段】車両進行方向に対して右側にステアリングが設けられている場合、紙面に向かって右方向をX座標の正方向とする。光学式位置検出装置が検出した押圧位置のX座標(X2)が、タッチパネルの押圧位置のX座標(X1)に比べて大きな値の場合、タッチパネル装置を操作したのは、運転席のユーザであると判定する。一方、光学式位置検出装置が検出した押圧位置のX座標(X2)は、タッチパネルの押圧位置のX座標(X1)に比べて小さな値の場合、タッチパネル装置を操作したのは、助手席のユーザであると判定する。
【解決手段】車両進行方向に対して右側にステアリングが設けられている場合、紙面に向かって右方向をX座標の正方向とする。光学式位置検出装置が検出した押圧位置のX座標(X2)が、タッチパネルの押圧位置のX座標(X1)に比べて大きな値の場合、タッチパネル装置を操作したのは、運転席のユーザであると判定する。一方、光学式位置検出装置が検出した押圧位置のX座標(X2)は、タッチパネルの押圧位置のX座標(X1)に比べて小さな値の場合、タッチパネル装置を操作したのは、助手席のユーザであると判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転席のユーザおよび助手席のユーザのうちのどちらのユーザが操作したか判定することができる車載電子装置およびタッチパネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転席のユーザの操作が制限されているメニューボタンを視野角度シャッターによって車両の移動中は見えないようにする表示装置が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−55611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されているような従来の表示装置では、車両走行中に運転席のユーザの操作が制限されるボタンの表示位置を、視野角度シャッターの設けられた位置に合わせなくてはいけない。このため、ボタンやアイコンのレイアウトが制限されるという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明の車載電子装置は、映像を表示する表示モニタと、映像を表示する表示モニタの前面に配設され、押圧された位置に応じた第1の位置信号を出力するタッチパネル、およびタッチパネルの画面前方に設けられ、タッチパネルに接近する指の位置に応じた第2の位置信号を出力する位置検出手段を備えたタッチパネル装置と、第1の位置信号と第2の位置信号とに基づいて、タッチパネルを押圧する指がそのタッチパネルに対して運転席側から接近するか、または助手席側から接近するかを検出する方向検出手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の車載電子装置において、位置検出手段は、表示モニタの縁に沿って投光器と受光器の複数の組を配設したことを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1または2に記載の車載電子装置において、方向検出手段で検出された接近方向に基づいて、第1の位置信号により実行される処理の有効/無効を決定する決定手段をさらに備えることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項1または2に記載の車載電子装置において、運転席の方向から視認される第1の画像および助手席の方向から視認される第2の画像を生成する画像生成手段と、方向検出手段で検出された接近方向に基づいて、運転席の方向から視認される第1の画像に関する処理と、助手席の方向から視認される第2の画像に関する処理のいずれを実行するかを決定する決定手段とをさらに備えることを特徴とする。
(5)請求項5の発明のタッチパネル装置は、映像を表示する表示モニタの前面に配設され、押圧された位置に応じた第1の位置信号を出力するタッチパネルと、タッチパネルの画面前方に設けられ、タッチパネルに接近する指の位置に応じた第2の位置信号を出力する位置検出手段とを備えることを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項5に記載のタッチパネル装置において、位置検出手段は、表示モニタの縁に沿って投光器と受光器の複数の組を配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の車載電子装置によれば、運転席のユーザおよび助手席のユーザのうちのどちらのユーザがタッチパネルを押圧したか判定できる。したがって、運転席のユーザが操作してはいけないボタンを隠す必要がなく、ボタンのレイアウトが制限されない。また、本発明のタッチパネル装置を車載電子装置に設ければ上述した効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
−第1の実施形態−
本発明の第1の実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。図1のナビゲーション装置1Aは、押圧位置のみならず押圧方向も検出することができるタッチパネル装置19を備えている。ナビゲーション装置1Aは、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17、スピーカ18、タッチパネル装置19およびディスクドライブ110を有している。ディスクドライブ110には、DVD−ROM111が装填されている。
【0007】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。この制御回路11がDVD−ROM111に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行うと、その処理結果が推奨経路として表示モニタ16に表示される。
【0008】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、車両の進行方向を検出する振動ジャイロ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS( Global Positioning System )衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14cなどからなる。ナビゲーション装置1Aは、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、地図上にその現在地を表示する。
【0009】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはディスクドライブ110によって読み込まれるDVD−ROM111に記憶された地図データに基づいて、適宜生成される。ナビゲーション装置1は、このようにして生成された画像データを用いることによって地図表示など行うことができる。
【0010】
ディスクドライブ110は、装填されたDVD−ROM111から、表示モニタ16へ地図を表示するための地図データを読み出す。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データおよび経路探索用データには、地図データに格納されている道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。なお、DVD−ROM111以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより地図データを読み出してもよい。
【0011】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の地図などの各種情報を画面表示としてユーザに提供する。入力装置17は、ユーザが各種コマンドの設定などするための操作キーを有し、操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16の表示画面の指示に従って入力装置17を手動で操作することにより、目的地を選択して設定する。スピーカ18は、ユーザに操作案内したり、経路誘導したりするための音声を出力する。
【0012】
目的地がユーザにより設定されると、ナビゲーション装置1はGPSセンサ14cにより検出された現在地を出発地として目的地までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う。このようにして求められたルート(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して画面表示される。これにより、ユーザは地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、推奨経路にしたがって車両が走行できるように、表示モニタ16に表示された道路地図に推奨経路を表示し、ユーザに対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を経路誘導する。
【0013】
タッチパネル装置19は表示モニタ16のモニタ画面上に設けられた透明パネルであり、表示モニタ16に表示した表示画面はタッチパネル装置19を通して表示される。また、表示モニタ16の表示画面を押圧すると、タッチパネル装置19によって押圧位置が算出される。タッチパネル装置19は、入力装置17と同様に入力機能を有する。表示モニタ16に表示された地図画面や各種機能のメニュー、ボタン、アイコンなどを指で押圧すると、タッチパネル装置19が押圧され、押圧位置に基づいて目的地が設定されたり、各種機能のメニューやボタン、アイコンに定義された処理が実行される。
【0014】
本発明の一実施形態におけるタッチパネル装置19の構成を図2に示す。タッチパネル装置19は、タッチパネル21、タッチパネルコントロール部22、光学式位置検出装置23および光学式位置検出装置コントロール部24を有している。また、図3の本発明の一実施形態におけるタッチパネル装置19の分解図に示すように、タッチパネル21を表示モニタ16の表示画面上に設け、光学式位置検出装置23をタッチパネル21の上に重ねて設ける。
【0015】
タッチパネル21は、図4に示すように、透明抵抗膜方式であり、抵抗膜の一種であるITO(Indium Tin Oxide)成膜フィルム31とITO成膜ガラス32とをスペーサを介して対向配置して構成される。ITO成膜フィルム31のX軸方向の両端部には上部電極41a,41bが、ITO成膜ガラス32のY軸方向の両端部には下部電極42a,42bがそれぞれ取り付けられている。ITO成膜フィルム31はある程度弾力を有しており、その上面に圧力をかけると圧力をかけた箇所が撓んでITO成膜ガラス32に接触する。以下では、ITO成膜フィルム31を水平抵抗膜R1と呼び、ITO成膜ガラス32を垂直抵抗膜R2と呼ぶ。
【0016】
タッチパネルコントロール部22は、タッチパネル21における押圧位置を算出する。押圧位置は次のようにして算出される。上部電極41a,41bに所定の電圧を印加して下部電極42a,42bの電圧値を検出することによって、押圧位置のX座標を算出し、上部電極42a,42bに所定の電圧を印加して下部電極41a,41bの電圧値を検出することによって、押圧位置のY座標を算出する。
【0017】
光学式位置検出装置23は、図3に示すように、額縁形状であり、矩形開口部25を通して、表示モニタ16の表示画面が観察される。図5に示すように、光学式位置検出装置23は、発光ダイオード51とフォトダイオード52とを有しており、発光ダイオード51とフォトダイオード52とは矩形開口部25の内部に向けて対向配置されている。発光ダイオード51は赤外線を放射し、フォトダイオード52は、発光ダイオード51が放射した赤外線を検出する。
【0018】
タッチパネル21を指などで押圧すると、指などにより発光ダイオード51が放射した赤外線が遮蔽され、その発光ダイオード51に対向配置されているフォトダイオード52は赤外線を検出しない。このような赤外線を検出していないフォトダイオード52の位置から光学式位置検出装置コントロール部24は、押圧位置を算出する。
【0019】
タッチパネルコントロール部22および光学式位置検出装置コントロール部24において算出された押圧位置は、制御回路11に出力される。
【0020】
次に、図6を参照して、運転席のユーザがタッチパネル装置19を操作したか、助手席のユーザがタッチパネル装置19を操作したかを判定する原理について説明する。符号61は発光ダイオード51から放射されている赤外線を示し、一部が指によって遮蔽される。
【0021】
車両の進行方向に対して右側にステアリングが設けられている右ハンドル車の場合、運転席のユーザが指でタッチパネル装置19を押圧すると、図6(a)に示すように、紙面の右方向から指が伸び、タッチパネル装置19を押圧することになる。このとき、タッチパネル装置19の座標系を紙面に向かって右方向をX座標の正方向とした場合、光学式位置検出装置23が検出した押圧位置のX座標(X2)は、タッチパネル21により検出した押圧位置のX座標(X1)に比べて大きな値になる。つまり、光学式位置検出装置23で検出した押圧位置は、タッチパネル21において検出された押圧位置に比べて運転席側にずれたものとなる。これより、タッチパネル装置19の押圧方向が運転席方向であることを検出することができ、タッチパネル装置19を操作したのは運転席のユーザであることを判定できる。
【0022】
一方、助手席のユーザが指でタッチパネル装置19を押圧すると、図6(b)に示すように、紙面から左方向から指が伸び、タッチパネル装置19を押圧することになる。このとき、紙面に向かって右方向をX座標の正方向とした場合、光学式位置検出装置23が検出した押圧位置のX座標(X2)は、タッチパネル21により検出した押圧位置のX座標(X1)に比べて小さな値になる。つまり、光学式位置検出装置23で検出した押圧位置は、タッチパネル21において検出された押圧位置に比べて助手席側にずれたものとなる。これより、タッチパネル装置19の押圧方向が助手席方向であることを検出することができ、タッチパネル装置19を操作したのは助手席のユーザであることを判定できる。
【0023】
次に、表示画面に表示されたボタンが運転席のユーザによって押圧されたか、助手席のユーザによって押圧されたかを判断する押圧ボタン判断処理について、図7および図8を参照して説明する。
【0024】
図7は、表示モニタ16に表示されている表示画面を説明するための図である。表示画面には、地図70が表示されている。地図70には、自車位置マーク71が重ねて表示されている。地図70の右側には、地図70を広域地図に切り替える広域ボタン72a、地図70を詳細地図に切り替える詳細ボタン72bおよびメインメニューを開くメニューボタン72cが表示されている。ここで車両は走行中であるので、運転席のユーザには、メニュー画面を開くことが禁止されているものとする。
【0025】
図7に示すようにメニューボタン72cが押圧されたとき、押圧方向が運転席側の場合は、運転席のユーザが操作したものと判定し、メニューボタン72cが押圧されてもメニュー画面を表示しない。一方、押圧方向が助手席側の場合は、助手席のユーザが操作したものと判定し、図8に示すように、メニュー画面73が表示モニタ16に表示される。ここで、メニュー画面73には、目的地となる施設などを検索する検索ボタン74a、各種設定を行う設定ボタン74b、推奨経路の探索を行う探索ボタン74cおよび交通情報を表示する交通情報ボタン74dが表示される。
【0026】
次に、運転席のユーザの操作が禁止されているボタンを運転席のユーザが押圧操作しても、そのボタンに定義された処理を実行しないボタン無効化処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。図9の処理は、制御回路11において、表示画面にボタンが表示されるとスタートするプログラムを実行して行われる。
【0027】
ステップS901では、タッチパネル装置19のタッチパネル21が押圧されているか判定する。押圧されている場合はステップS901が肯定判定され、ステップS902へ進む。押圧されていない場合はステップS901を繰り返す。ステップS902では、タッチパネル21の押圧位置をタッチパネルコントロール部22で算出して、タッチパネル21の押圧位置を検出する。ステップS903では、光学式位置検出装置23によって、タッチパネル21の押圧位置を検出する。
【0028】
ステップS904では、光学式位置検出装置23によって検出された押圧位置とタッチパネル21によって検出された押圧位置とを比較して、押圧方向が運転席側か判定する。運転席側の場合はステップS904が肯定判定され、ステップS905へ進む。運転席側ではない場合はステップS904が否定判定され、ステップS906へ進む。ステップS905では、運転席のユーザの操作が制限されているボタン72cを無効にする。このとき、ボタン72cが押圧されても、ボタン72cに定義された処理を実行しない。ステップS906では、運転席のユーザの操作が制限されているボタン72cを有効にする。このとき、ボタン72cが押圧されると、ボタン72cに定義された処理を実行する。
【0029】
以上の第1の実施形態によるナビゲーション装置1Aは次のような作用効果を奏する。
タッチパネル21を押圧する押圧方向から運転席のユーザと助手席のユーザとのうちのどちらのユーザがタッチパネル装置19を操作したか判定できる。したがって、運転席のユーザの操作が制限されるボタン72cを隠す必要はない。
【0030】
以上の実施の形態のナビゲーション装置1Aを次のように変形することができる。
(1)光学式位置検出装置23は、光学式であれば実施形態に限定されない。たとえば、再帰反射枠に放出した光をイメージセンサにより検出し、三角測量方式によって押圧位置を検出する装置を用いてもよい。
【0031】
(2)光学式位置検出装置23の発光ダイオード51から放射される赤外線とタッチパネル21との間の距離は、押圧方向を検出することができれば特に限定されない。たとえば、指の第1関節(3cm)くらいにしてもよい。
【0032】
−第2の実施形態−
本発明の第2の実施形態によるナビゲーション装置1Bの構成を図10に示す。第1の実施形態のナビゲーション装置1Aと共通する部分は同一の符号を付し、第1の実施形態のナビゲーション装置1Aと異なる部分を主に説明する。このナビゲーション装置1Bでは、一つの表示モニタ16に運転席用画像と助手席用画像を表示し、たとえば、運転席側からは自車位置周辺の地図を視認可能とし、助手席側からは地上デジタル放送映像を視認可能とする。ナビゲーション装置1Bは、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画面メモリ15、表示モニタ16、表示モニタコントロール部112、入力装置17、スピーカ18、タッチパネル装置19、ディスクドライブ110および地上デジタル放送受信部113を有している。
【0033】
地上デジタル放送受信部113は、地上デジタル放送を受信し、その受信した放送の内容を表示モニタコントロール部112やスピーカ18に出力する。
【0034】
表示モニタ16は、自車位置付近の地図などの各種情報を画面表示としてユーザに提供するほかに、地上デジタル放送受信部113で受信した地上デジタル放送の映像情報を出力する。表示モニタ16には2つの表示画像が表示され、表示モニタ16の液晶パネルの前面に配置された光学系分離素子によって、運転席側から1つの表示画像が観察され、助手席側からは他の表示画像が観察される。表示モニタコントロール部112は、運転席側からは一の表示画像が、助手席側からは他の表示画像が観察されるように表示画像を生成する。たとえば、運転席側からは自車位置付近の地図が見えるように、助手席側からは地上デジタル放送の映像が見えるように表示モニタ16の映像信号を生成する。
【0035】
スピーカ18は、地上デジタル放送受信部113で受信した地上デジタル放送の音声情報を出力する。
【0036】
運転席用画像に表示されたボタンと助手席用画像に表示されたボタンのうちのどちらのボタンに定義された処理を実行すればよいか判定する押圧ボタン判定処理について、図12および図13を参照して説明する。
【0037】
図11は、運転席用画像を説明する図である。図11(a)に示すように、表示モニタ16の運転席側から視認される表示画像には、図3と同様に地図70、自車位置マーク71、広域ボタン72a、詳細ボタン72bおよびメニューボタン72cが表示されている。車両停止中に、図11(a)に示すように、運転席のユーザがメニューボタン72cを押圧すると、図11(b)に示すように、メニュー画面73が表示モニタ16に表示される。一方、助手席のユーザがメニューボタン72cを押圧してもメニュー画面73が表示モニタ16に表示されない。
【0038】
このように、運転席のユーザがメニューボタン72cを押圧するとメニュー画面73が表示されるようにするために以下の処理がなされる。図11(a)に示すようにメニューボタン72cが押圧されたとき、タッチパネル装置19が検出した押圧方向が運転席側の場合は、運転席のユーザが操作したものと判定し、図11(b)に示すように、メニュー画面73を表示モニタ16に表示する。一方、タッチパネル装置19が検出した押圧方向が助手席側の場合は、助手席のユーザが操作したものと判定し、メニューボタン72cが押圧されてもメニュー画面73を表示しない。
【0039】
図12は、助手席運転席用画像を説明するための図である。助手席側から視認される表示画面には、図12(a)に示すように、地上デジタル放送の映像が表示されているものとする。地上デジタル放送の映像に重ねて、映像の右側には、チャンネル切替画面を開くメニューボタン91が表示される。メニューボタン91の表示位置は、運転席側から視認される表示画像に表示されたメニューボタン72cの表示位置と同じであるものとする。
【0040】
図12(a)に示すように、助手席のユーザがメニューボタン91を押圧すると、図12(b)に示すようにチャンネル切替画面92が表示される。ここで、チャンネル切替画面92には、視聴している地上デジタル放送のチャンネルを切り替える各種ボタン93a〜93hが表示される。一方、運転席のユーザがメニューボタン91を押圧してもチャンネル切替画面92が表示モニタ16に表示されない。
【0041】
このように、助手席のユーザがメニューボタン91を押圧すると、チャンネル切替画面92が表示されるようにするために以下の処理がなされる。図12(a)に示すようにメニューボタン91が押圧されたときタッチパネル装置19が検出した押圧方向が助手席側の場合は、助手席のユーザが操作したものと判定し、図12(b)に示すように、チャンネル切替画面92を表示モニタ16に表示する。一方、タッチパネル装置19が検出した押圧方向が運転席側の場合は、運転席のユーザが操作したものと判定し、メニューボタン91が押圧されてもチャンネル切替画面92を表示しない。
【0042】
以上より、運転席側から視認されるメニューボタン72cと助手席側から視認されるメニューボタン91との表示位置が同じであっても、押圧方向を検出することによって、運転席のユーザがメニューボタン72cを押圧すると、助手席側から視認される表示画像にチャンネル切替画面92を開くことなく、メニュー画面73を開くことができ、助手席のユーザがメニューボタン91を押圧すると、運転席側から視認される表示画像にメニュー画面73を開くことなく、チャンネル切替画面92を開くことができる。
【0043】
次に、運転席用画像に表示されたボタンと、助手席画像に表示されたボタンとのどちらのボタンに定義された処理を実行すればよいか判定する処理ボタン判定処理について、図13のフローチャートを参照して説明する。図13の処理は、制御回路11において、表示画面にボタンが表示されるとスタートするプログラムを実行して行われる。ここで、第1の実施形態における図9のボタン無効化処理と同一のステップについては同一の符号を付し、第1の実施形態におけるボタン無効化処理と異なる部分を主に説明する。
【0044】
第1の実施形態と同様にステップS904まで進み、ステップS904では、タッチパネル装置19によって検出された押圧方向は、運転席側であるか判定する。運転席側の場合はステップS904が肯定判定され、ステップS1301へ進む。運転席側でない場合はステップS904が否定判定され、ステップS1302へ進む。
【0045】
ステップS1301では、運転席用画像に表示されたボタンを有効にし、助手席用画像に表示されたボタンを無効にする。そして、リターンする。ステップS1302では、助手席用画像に表示されたボタンを有効にし、運転席用画像に表示されたボタンを無効にする。そして、リターンする。
【0046】
以上の実施形態によるナビゲーション装置1は次のような作用効果を奏する。
運転席のユーザと助手席のユーザのうちのどちらのユーザがナビゲーション装置1のタッチパネル装置19を押圧操作したか判定できるので、運転席用画像に表示されたボタンに定義された処理を実行するか、助手席用画像に表示されたボタンに定義された処理を実行するか判定することができる。したがって、どちらの表示画面に表示されたボタンが押圧されたか判定できるようにするために、運転席用画像に表示されるアイコンやボタンの表示位置と、助手席用画像に表示されるアイコンやボタンの表示位置とが重畳しないように表示位置をずらしたり表示のタイミングをずらしたりする必要はない。
【0047】
以上の第2の実施形態のナビゲーション装置1Bを次のように変形することができる。
【0048】
(1)第1の実施形態と同様に、光学式位置検出装置23は、光学式であれば実施形態に限定されない。たとえば、再帰反射枠に放出した光をイメージセンサにより検出し、三角測量方式によって押圧位置を検出する装置を用いてもよい。
【0049】
(2)表示モニタ16に表示される表示画像の種類は、実施形態に限定されない。たとえば、運転席用画像に車両のエアコンの設定画面やオーディオ画面を表示し、助手席用画像にビデオテープやDVDの映像を表示するようにしてもよい。
【0050】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本願発明の位置検出手段は光学式位置検出装置23および光学式位置検出装置コントロール部24に対応し、方向検出手段は制御回路11、タッチパネル21、タッチパネルコントロール部22、光学式位置検出装置23および光学式位置検出装置コントロール部24に対応する。決定手段は制御回路11に対応し、画像生成手段は表示モニタコントロール部112に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置におけるタッチパネル装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置におけるタッチパネル装置の分解図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置におけるタッチパネルを説明するための図である。
【図5】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置における光学式位置検出装置を説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置におけるタッチパネル装置の押圧方向を検出する原理を説明するための図である。
【図7】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置の表示モニタに表示されたボタンを説明するための図である。
【図8】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置の表示モニタに表示されたメニュー画面を説明するための図である。
【図9】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置におけるボタン無効化処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第2の実施形態のナビゲーション装置における運転席用画像を説明するための図である。
【図12】本発明の第2の実施形態のナビゲーション装置における助手席用画像を説明するための図である。
【図13】本発明の第2の実施形態におけるナビゲーション装置の処理ボタン判定処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1A,1B ナビゲーション装置
11 制御回路
16 表示モニタ
19 タッチパネル装置
21 タッチパネル
22 タッチパネルコントロール部
23 光学式位置検出装置
24 光学式位置検出装置コントロール部
112 表示モニタコントロール部
113 地上デジタル放送受信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転席のユーザおよび助手席のユーザのうちのどちらのユーザが操作したか判定することができる車載電子装置およびタッチパネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転席のユーザの操作が制限されているメニューボタンを視野角度シャッターによって車両の移動中は見えないようにする表示装置が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−55611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されているような従来の表示装置では、車両走行中に運転席のユーザの操作が制限されるボタンの表示位置を、視野角度シャッターの設けられた位置に合わせなくてはいけない。このため、ボタンやアイコンのレイアウトが制限されるという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明の車載電子装置は、映像を表示する表示モニタと、映像を表示する表示モニタの前面に配設され、押圧された位置に応じた第1の位置信号を出力するタッチパネル、およびタッチパネルの画面前方に設けられ、タッチパネルに接近する指の位置に応じた第2の位置信号を出力する位置検出手段を備えたタッチパネル装置と、第1の位置信号と第2の位置信号とに基づいて、タッチパネルを押圧する指がそのタッチパネルに対して運転席側から接近するか、または助手席側から接近するかを検出する方向検出手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の車載電子装置において、位置検出手段は、表示モニタの縁に沿って投光器と受光器の複数の組を配設したことを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1または2に記載の車載電子装置において、方向検出手段で検出された接近方向に基づいて、第1の位置信号により実行される処理の有効/無効を決定する決定手段をさらに備えることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項1または2に記載の車載電子装置において、運転席の方向から視認される第1の画像および助手席の方向から視認される第2の画像を生成する画像生成手段と、方向検出手段で検出された接近方向に基づいて、運転席の方向から視認される第1の画像に関する処理と、助手席の方向から視認される第2の画像に関する処理のいずれを実行するかを決定する決定手段とをさらに備えることを特徴とする。
(5)請求項5の発明のタッチパネル装置は、映像を表示する表示モニタの前面に配設され、押圧された位置に応じた第1の位置信号を出力するタッチパネルと、タッチパネルの画面前方に設けられ、タッチパネルに接近する指の位置に応じた第2の位置信号を出力する位置検出手段とを備えることを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項5に記載のタッチパネル装置において、位置検出手段は、表示モニタの縁に沿って投光器と受光器の複数の組を配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の車載電子装置によれば、運転席のユーザおよび助手席のユーザのうちのどちらのユーザがタッチパネルを押圧したか判定できる。したがって、運転席のユーザが操作してはいけないボタンを隠す必要がなく、ボタンのレイアウトが制限されない。また、本発明のタッチパネル装置を車載電子装置に設ければ上述した効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
−第1の実施形態−
本発明の第1の実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。図1のナビゲーション装置1Aは、押圧位置のみならず押圧方向も検出することができるタッチパネル装置19を備えている。ナビゲーション装置1Aは、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17、スピーカ18、タッチパネル装置19およびディスクドライブ110を有している。ディスクドライブ110には、DVD−ROM111が装填されている。
【0007】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。この制御回路11がDVD−ROM111に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行うと、その処理結果が推奨経路として表示モニタ16に表示される。
【0008】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、車両の進行方向を検出する振動ジャイロ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS( Global Positioning System )衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14cなどからなる。ナビゲーション装置1Aは、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、地図上にその現在地を表示する。
【0009】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはディスクドライブ110によって読み込まれるDVD−ROM111に記憶された地図データに基づいて、適宜生成される。ナビゲーション装置1は、このようにして生成された画像データを用いることによって地図表示など行うことができる。
【0010】
ディスクドライブ110は、装填されたDVD−ROM111から、表示モニタ16へ地図を表示するための地図データを読み出す。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データおよび経路探索用データには、地図データに格納されている道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。なお、DVD−ROM111以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより地図データを読み出してもよい。
【0011】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の地図などの各種情報を画面表示としてユーザに提供する。入力装置17は、ユーザが各種コマンドの設定などするための操作キーを有し、操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16の表示画面の指示に従って入力装置17を手動で操作することにより、目的地を選択して設定する。スピーカ18は、ユーザに操作案内したり、経路誘導したりするための音声を出力する。
【0012】
目的地がユーザにより設定されると、ナビゲーション装置1はGPSセンサ14cにより検出された現在地を出発地として目的地までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う。このようにして求められたルート(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して画面表示される。これにより、ユーザは地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、推奨経路にしたがって車両が走行できるように、表示モニタ16に表示された道路地図に推奨経路を表示し、ユーザに対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を経路誘導する。
【0013】
タッチパネル装置19は表示モニタ16のモニタ画面上に設けられた透明パネルであり、表示モニタ16に表示した表示画面はタッチパネル装置19を通して表示される。また、表示モニタ16の表示画面を押圧すると、タッチパネル装置19によって押圧位置が算出される。タッチパネル装置19は、入力装置17と同様に入力機能を有する。表示モニタ16に表示された地図画面や各種機能のメニュー、ボタン、アイコンなどを指で押圧すると、タッチパネル装置19が押圧され、押圧位置に基づいて目的地が設定されたり、各種機能のメニューやボタン、アイコンに定義された処理が実行される。
【0014】
本発明の一実施形態におけるタッチパネル装置19の構成を図2に示す。タッチパネル装置19は、タッチパネル21、タッチパネルコントロール部22、光学式位置検出装置23および光学式位置検出装置コントロール部24を有している。また、図3の本発明の一実施形態におけるタッチパネル装置19の分解図に示すように、タッチパネル21を表示モニタ16の表示画面上に設け、光学式位置検出装置23をタッチパネル21の上に重ねて設ける。
【0015】
タッチパネル21は、図4に示すように、透明抵抗膜方式であり、抵抗膜の一種であるITO(Indium Tin Oxide)成膜フィルム31とITO成膜ガラス32とをスペーサを介して対向配置して構成される。ITO成膜フィルム31のX軸方向の両端部には上部電極41a,41bが、ITO成膜ガラス32のY軸方向の両端部には下部電極42a,42bがそれぞれ取り付けられている。ITO成膜フィルム31はある程度弾力を有しており、その上面に圧力をかけると圧力をかけた箇所が撓んでITO成膜ガラス32に接触する。以下では、ITO成膜フィルム31を水平抵抗膜R1と呼び、ITO成膜ガラス32を垂直抵抗膜R2と呼ぶ。
【0016】
タッチパネルコントロール部22は、タッチパネル21における押圧位置を算出する。押圧位置は次のようにして算出される。上部電極41a,41bに所定の電圧を印加して下部電極42a,42bの電圧値を検出することによって、押圧位置のX座標を算出し、上部電極42a,42bに所定の電圧を印加して下部電極41a,41bの電圧値を検出することによって、押圧位置のY座標を算出する。
【0017】
光学式位置検出装置23は、図3に示すように、額縁形状であり、矩形開口部25を通して、表示モニタ16の表示画面が観察される。図5に示すように、光学式位置検出装置23は、発光ダイオード51とフォトダイオード52とを有しており、発光ダイオード51とフォトダイオード52とは矩形開口部25の内部に向けて対向配置されている。発光ダイオード51は赤外線を放射し、フォトダイオード52は、発光ダイオード51が放射した赤外線を検出する。
【0018】
タッチパネル21を指などで押圧すると、指などにより発光ダイオード51が放射した赤外線が遮蔽され、その発光ダイオード51に対向配置されているフォトダイオード52は赤外線を検出しない。このような赤外線を検出していないフォトダイオード52の位置から光学式位置検出装置コントロール部24は、押圧位置を算出する。
【0019】
タッチパネルコントロール部22および光学式位置検出装置コントロール部24において算出された押圧位置は、制御回路11に出力される。
【0020】
次に、図6を参照して、運転席のユーザがタッチパネル装置19を操作したか、助手席のユーザがタッチパネル装置19を操作したかを判定する原理について説明する。符号61は発光ダイオード51から放射されている赤外線を示し、一部が指によって遮蔽される。
【0021】
車両の進行方向に対して右側にステアリングが設けられている右ハンドル車の場合、運転席のユーザが指でタッチパネル装置19を押圧すると、図6(a)に示すように、紙面の右方向から指が伸び、タッチパネル装置19を押圧することになる。このとき、タッチパネル装置19の座標系を紙面に向かって右方向をX座標の正方向とした場合、光学式位置検出装置23が検出した押圧位置のX座標(X2)は、タッチパネル21により検出した押圧位置のX座標(X1)に比べて大きな値になる。つまり、光学式位置検出装置23で検出した押圧位置は、タッチパネル21において検出された押圧位置に比べて運転席側にずれたものとなる。これより、タッチパネル装置19の押圧方向が運転席方向であることを検出することができ、タッチパネル装置19を操作したのは運転席のユーザであることを判定できる。
【0022】
一方、助手席のユーザが指でタッチパネル装置19を押圧すると、図6(b)に示すように、紙面から左方向から指が伸び、タッチパネル装置19を押圧することになる。このとき、紙面に向かって右方向をX座標の正方向とした場合、光学式位置検出装置23が検出した押圧位置のX座標(X2)は、タッチパネル21により検出した押圧位置のX座標(X1)に比べて小さな値になる。つまり、光学式位置検出装置23で検出した押圧位置は、タッチパネル21において検出された押圧位置に比べて助手席側にずれたものとなる。これより、タッチパネル装置19の押圧方向が助手席方向であることを検出することができ、タッチパネル装置19を操作したのは助手席のユーザであることを判定できる。
【0023】
次に、表示画面に表示されたボタンが運転席のユーザによって押圧されたか、助手席のユーザによって押圧されたかを判断する押圧ボタン判断処理について、図7および図8を参照して説明する。
【0024】
図7は、表示モニタ16に表示されている表示画面を説明するための図である。表示画面には、地図70が表示されている。地図70には、自車位置マーク71が重ねて表示されている。地図70の右側には、地図70を広域地図に切り替える広域ボタン72a、地図70を詳細地図に切り替える詳細ボタン72bおよびメインメニューを開くメニューボタン72cが表示されている。ここで車両は走行中であるので、運転席のユーザには、メニュー画面を開くことが禁止されているものとする。
【0025】
図7に示すようにメニューボタン72cが押圧されたとき、押圧方向が運転席側の場合は、運転席のユーザが操作したものと判定し、メニューボタン72cが押圧されてもメニュー画面を表示しない。一方、押圧方向が助手席側の場合は、助手席のユーザが操作したものと判定し、図8に示すように、メニュー画面73が表示モニタ16に表示される。ここで、メニュー画面73には、目的地となる施設などを検索する検索ボタン74a、各種設定を行う設定ボタン74b、推奨経路の探索を行う探索ボタン74cおよび交通情報を表示する交通情報ボタン74dが表示される。
【0026】
次に、運転席のユーザの操作が禁止されているボタンを運転席のユーザが押圧操作しても、そのボタンに定義された処理を実行しないボタン無効化処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。図9の処理は、制御回路11において、表示画面にボタンが表示されるとスタートするプログラムを実行して行われる。
【0027】
ステップS901では、タッチパネル装置19のタッチパネル21が押圧されているか判定する。押圧されている場合はステップS901が肯定判定され、ステップS902へ進む。押圧されていない場合はステップS901を繰り返す。ステップS902では、タッチパネル21の押圧位置をタッチパネルコントロール部22で算出して、タッチパネル21の押圧位置を検出する。ステップS903では、光学式位置検出装置23によって、タッチパネル21の押圧位置を検出する。
【0028】
ステップS904では、光学式位置検出装置23によって検出された押圧位置とタッチパネル21によって検出された押圧位置とを比較して、押圧方向が運転席側か判定する。運転席側の場合はステップS904が肯定判定され、ステップS905へ進む。運転席側ではない場合はステップS904が否定判定され、ステップS906へ進む。ステップS905では、運転席のユーザの操作が制限されているボタン72cを無効にする。このとき、ボタン72cが押圧されても、ボタン72cに定義された処理を実行しない。ステップS906では、運転席のユーザの操作が制限されているボタン72cを有効にする。このとき、ボタン72cが押圧されると、ボタン72cに定義された処理を実行する。
【0029】
以上の第1の実施形態によるナビゲーション装置1Aは次のような作用効果を奏する。
タッチパネル21を押圧する押圧方向から運転席のユーザと助手席のユーザとのうちのどちらのユーザがタッチパネル装置19を操作したか判定できる。したがって、運転席のユーザの操作が制限されるボタン72cを隠す必要はない。
【0030】
以上の実施の形態のナビゲーション装置1Aを次のように変形することができる。
(1)光学式位置検出装置23は、光学式であれば実施形態に限定されない。たとえば、再帰反射枠に放出した光をイメージセンサにより検出し、三角測量方式によって押圧位置を検出する装置を用いてもよい。
【0031】
(2)光学式位置検出装置23の発光ダイオード51から放射される赤外線とタッチパネル21との間の距離は、押圧方向を検出することができれば特に限定されない。たとえば、指の第1関節(3cm)くらいにしてもよい。
【0032】
−第2の実施形態−
本発明の第2の実施形態によるナビゲーション装置1Bの構成を図10に示す。第1の実施形態のナビゲーション装置1Aと共通する部分は同一の符号を付し、第1の実施形態のナビゲーション装置1Aと異なる部分を主に説明する。このナビゲーション装置1Bでは、一つの表示モニタ16に運転席用画像と助手席用画像を表示し、たとえば、運転席側からは自車位置周辺の地図を視認可能とし、助手席側からは地上デジタル放送映像を視認可能とする。ナビゲーション装置1Bは、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画面メモリ15、表示モニタ16、表示モニタコントロール部112、入力装置17、スピーカ18、タッチパネル装置19、ディスクドライブ110および地上デジタル放送受信部113を有している。
【0033】
地上デジタル放送受信部113は、地上デジタル放送を受信し、その受信した放送の内容を表示モニタコントロール部112やスピーカ18に出力する。
【0034】
表示モニタ16は、自車位置付近の地図などの各種情報を画面表示としてユーザに提供するほかに、地上デジタル放送受信部113で受信した地上デジタル放送の映像情報を出力する。表示モニタ16には2つの表示画像が表示され、表示モニタ16の液晶パネルの前面に配置された光学系分離素子によって、運転席側から1つの表示画像が観察され、助手席側からは他の表示画像が観察される。表示モニタコントロール部112は、運転席側からは一の表示画像が、助手席側からは他の表示画像が観察されるように表示画像を生成する。たとえば、運転席側からは自車位置付近の地図が見えるように、助手席側からは地上デジタル放送の映像が見えるように表示モニタ16の映像信号を生成する。
【0035】
スピーカ18は、地上デジタル放送受信部113で受信した地上デジタル放送の音声情報を出力する。
【0036】
運転席用画像に表示されたボタンと助手席用画像に表示されたボタンのうちのどちらのボタンに定義された処理を実行すればよいか判定する押圧ボタン判定処理について、図12および図13を参照して説明する。
【0037】
図11は、運転席用画像を説明する図である。図11(a)に示すように、表示モニタ16の運転席側から視認される表示画像には、図3と同様に地図70、自車位置マーク71、広域ボタン72a、詳細ボタン72bおよびメニューボタン72cが表示されている。車両停止中に、図11(a)に示すように、運転席のユーザがメニューボタン72cを押圧すると、図11(b)に示すように、メニュー画面73が表示モニタ16に表示される。一方、助手席のユーザがメニューボタン72cを押圧してもメニュー画面73が表示モニタ16に表示されない。
【0038】
このように、運転席のユーザがメニューボタン72cを押圧するとメニュー画面73が表示されるようにするために以下の処理がなされる。図11(a)に示すようにメニューボタン72cが押圧されたとき、タッチパネル装置19が検出した押圧方向が運転席側の場合は、運転席のユーザが操作したものと判定し、図11(b)に示すように、メニュー画面73を表示モニタ16に表示する。一方、タッチパネル装置19が検出した押圧方向が助手席側の場合は、助手席のユーザが操作したものと判定し、メニューボタン72cが押圧されてもメニュー画面73を表示しない。
【0039】
図12は、助手席運転席用画像を説明するための図である。助手席側から視認される表示画面には、図12(a)に示すように、地上デジタル放送の映像が表示されているものとする。地上デジタル放送の映像に重ねて、映像の右側には、チャンネル切替画面を開くメニューボタン91が表示される。メニューボタン91の表示位置は、運転席側から視認される表示画像に表示されたメニューボタン72cの表示位置と同じであるものとする。
【0040】
図12(a)に示すように、助手席のユーザがメニューボタン91を押圧すると、図12(b)に示すようにチャンネル切替画面92が表示される。ここで、チャンネル切替画面92には、視聴している地上デジタル放送のチャンネルを切り替える各種ボタン93a〜93hが表示される。一方、運転席のユーザがメニューボタン91を押圧してもチャンネル切替画面92が表示モニタ16に表示されない。
【0041】
このように、助手席のユーザがメニューボタン91を押圧すると、チャンネル切替画面92が表示されるようにするために以下の処理がなされる。図12(a)に示すようにメニューボタン91が押圧されたときタッチパネル装置19が検出した押圧方向が助手席側の場合は、助手席のユーザが操作したものと判定し、図12(b)に示すように、チャンネル切替画面92を表示モニタ16に表示する。一方、タッチパネル装置19が検出した押圧方向が運転席側の場合は、運転席のユーザが操作したものと判定し、メニューボタン91が押圧されてもチャンネル切替画面92を表示しない。
【0042】
以上より、運転席側から視認されるメニューボタン72cと助手席側から視認されるメニューボタン91との表示位置が同じであっても、押圧方向を検出することによって、運転席のユーザがメニューボタン72cを押圧すると、助手席側から視認される表示画像にチャンネル切替画面92を開くことなく、メニュー画面73を開くことができ、助手席のユーザがメニューボタン91を押圧すると、運転席側から視認される表示画像にメニュー画面73を開くことなく、チャンネル切替画面92を開くことができる。
【0043】
次に、運転席用画像に表示されたボタンと、助手席画像に表示されたボタンとのどちらのボタンに定義された処理を実行すればよいか判定する処理ボタン判定処理について、図13のフローチャートを参照して説明する。図13の処理は、制御回路11において、表示画面にボタンが表示されるとスタートするプログラムを実行して行われる。ここで、第1の実施形態における図9のボタン無効化処理と同一のステップについては同一の符号を付し、第1の実施形態におけるボタン無効化処理と異なる部分を主に説明する。
【0044】
第1の実施形態と同様にステップS904まで進み、ステップS904では、タッチパネル装置19によって検出された押圧方向は、運転席側であるか判定する。運転席側の場合はステップS904が肯定判定され、ステップS1301へ進む。運転席側でない場合はステップS904が否定判定され、ステップS1302へ進む。
【0045】
ステップS1301では、運転席用画像に表示されたボタンを有効にし、助手席用画像に表示されたボタンを無効にする。そして、リターンする。ステップS1302では、助手席用画像に表示されたボタンを有効にし、運転席用画像に表示されたボタンを無効にする。そして、リターンする。
【0046】
以上の実施形態によるナビゲーション装置1は次のような作用効果を奏する。
運転席のユーザと助手席のユーザのうちのどちらのユーザがナビゲーション装置1のタッチパネル装置19を押圧操作したか判定できるので、運転席用画像に表示されたボタンに定義された処理を実行するか、助手席用画像に表示されたボタンに定義された処理を実行するか判定することができる。したがって、どちらの表示画面に表示されたボタンが押圧されたか判定できるようにするために、運転席用画像に表示されるアイコンやボタンの表示位置と、助手席用画像に表示されるアイコンやボタンの表示位置とが重畳しないように表示位置をずらしたり表示のタイミングをずらしたりする必要はない。
【0047】
以上の第2の実施形態のナビゲーション装置1Bを次のように変形することができる。
【0048】
(1)第1の実施形態と同様に、光学式位置検出装置23は、光学式であれば実施形態に限定されない。たとえば、再帰反射枠に放出した光をイメージセンサにより検出し、三角測量方式によって押圧位置を検出する装置を用いてもよい。
【0049】
(2)表示モニタ16に表示される表示画像の種類は、実施形態に限定されない。たとえば、運転席用画像に車両のエアコンの設定画面やオーディオ画面を表示し、助手席用画像にビデオテープやDVDの映像を表示するようにしてもよい。
【0050】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本願発明の位置検出手段は光学式位置検出装置23および光学式位置検出装置コントロール部24に対応し、方向検出手段は制御回路11、タッチパネル21、タッチパネルコントロール部22、光学式位置検出装置23および光学式位置検出装置コントロール部24に対応する。決定手段は制御回路11に対応し、画像生成手段は表示モニタコントロール部112に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置におけるタッチパネル装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置におけるタッチパネル装置の分解図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置におけるタッチパネルを説明するための図である。
【図5】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置における光学式位置検出装置を説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置におけるタッチパネル装置の押圧方向を検出する原理を説明するための図である。
【図7】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置の表示モニタに表示されたボタンを説明するための図である。
【図8】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置の表示モニタに表示されたメニュー画面を説明するための図である。
【図9】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置におけるボタン無効化処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第2の実施形態のナビゲーション装置における運転席用画像を説明するための図である。
【図12】本発明の第2の実施形態のナビゲーション装置における助手席用画像を説明するための図である。
【図13】本発明の第2の実施形態におけるナビゲーション装置の処理ボタン判定処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1A,1B ナビゲーション装置
11 制御回路
16 表示モニタ
19 タッチパネル装置
21 タッチパネル
22 タッチパネルコントロール部
23 光学式位置検出装置
24 光学式位置検出装置コントロール部
112 表示モニタコントロール部
113 地上デジタル放送受信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する表示モニタと、
映像を表示する表示モニタの前面に配設され、押圧された位置に応じた第1の位置信号を出力するタッチパネル、および前記タッチパネルの画面前方に設けられ、前記タッチパネルに接近する指の位置に応じた第2の位置信号を出力する位置検出手段を備えたタッチパネル装置と、
前記第1の位置信号と第2の位置信号とに基づいて、前記タッチパネルを押圧する指がそのタッチパネルに対して運転席側から接近するか、または助手席側から接近するかを検出する方向検出手段とを備えることを特徴とする車載電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載電子装置において、
前記位置検出手段は、前記表示モニタの縁に沿って投光器と受光器の複数の組を配設したことを特徴とする車載電子装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車載電子装置において、
前記方向検出手段で検出された接近方向に基づいて、前記第1の位置信号により実行される処理の有効/無効を決定する決定手段をさらに備えることを特徴とする車載電子装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の車載電子装置において、
運転席の方向から視認される第1の画像および助手席の方向から視認される第2の画像を生成する画像生成手段と、
前記方向検出手段で検出された接近方向に基づいて、前記運転席の方向から視認される第1の画像に関する処理と、前記助手席の方向から視認される第2の画像に関する処理のいずれを実行するかを決定する決定手段とをさらに備えることを特徴とする車載電子装置。
【請求項5】
映像を表示する表示モニタの前面に配設され、押圧された位置に応じた第1の位置信号を出力するタッチパネルと、
前記タッチパネルの画面前方に設けられ、前記タッチパネルに接近する指の位置に応じた第2の位置信号を出力する位置検出手段とを備えることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項6】
請求項5に記載のタッチパネル装置において、
前記位置検出手段は、前記表示モニタの縁に沿って投光器と受光器の複数の組を配設したことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項1】
映像を表示する表示モニタと、
映像を表示する表示モニタの前面に配設され、押圧された位置に応じた第1の位置信号を出力するタッチパネル、および前記タッチパネルの画面前方に設けられ、前記タッチパネルに接近する指の位置に応じた第2の位置信号を出力する位置検出手段を備えたタッチパネル装置と、
前記第1の位置信号と第2の位置信号とに基づいて、前記タッチパネルを押圧する指がそのタッチパネルに対して運転席側から接近するか、または助手席側から接近するかを検出する方向検出手段とを備えることを特徴とする車載電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載電子装置において、
前記位置検出手段は、前記表示モニタの縁に沿って投光器と受光器の複数の組を配設したことを特徴とする車載電子装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車載電子装置において、
前記方向検出手段で検出された接近方向に基づいて、前記第1の位置信号により実行される処理の有効/無効を決定する決定手段をさらに備えることを特徴とする車載電子装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の車載電子装置において、
運転席の方向から視認される第1の画像および助手席の方向から視認される第2の画像を生成する画像生成手段と、
前記方向検出手段で検出された接近方向に基づいて、前記運転席の方向から視認される第1の画像に関する処理と、前記助手席の方向から視認される第2の画像に関する処理のいずれを実行するかを決定する決定手段とをさらに備えることを特徴とする車載電子装置。
【請求項5】
映像を表示する表示モニタの前面に配設され、押圧された位置に応じた第1の位置信号を出力するタッチパネルと、
前記タッチパネルの画面前方に設けられ、前記タッチパネルに接近する指の位置に応じた第2の位置信号を出力する位置検出手段とを備えることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項6】
請求項5に記載のタッチパネル装置において、
前記位置検出手段は、前記表示モニタの縁に沿って投光器と受光器の複数の組を配設したことを特徴とするタッチパネル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−331692(P2007−331692A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−168593(P2006−168593)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】
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