説明

載置台構造及び処理装置

【課題】被処理体を直接的に載置する熱分散板の耐久性を向上させて破損し難くし、接続端子が腐食されないようにすることが可能な載置台構造を提供する。
【解決手段】排気が可能になされた処理容器32内に設けられて処理すべき被処理体Wを載置するための載置台構造において、被処理体を加熱する加熱手段72が設けられた載置台本体74と、載置台本体上に設けられると共に、その上面に被処理体を載置する熱分散板76と、載置台本体内に設けられた電極78と、載置台本体を支持するために処理容器の底部より起立された筒体状の支柱70と、支柱内に挿通されると共に上端部が加熱手段に接続されたヒータ給電部材110(110A〜110)と、支柱内に挿通されると共に上端部が電極に接続された電極給電部材112とを備えたことを特徴とする載置台構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の被処理体の処理装置及び載置台構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体集積回路を製造するには、半導体ウエハ等の被処理体に、成膜処理、エッチング処理、熱処理、改質処理、結晶化処理等の各種の枚葉処理を繰り返し行なって、所望する集積回路を形成するようになっている。上記したような各種の処理を行なう場合には、その処理の種類に対応して必要な処理ガス、例えば成膜処理の場合には成膜ガスやハロゲンガスを、改質処理の場合にはオゾンガス等を、結晶化処理の場合にはN ガス等の不活性ガスやO ガス等をそれぞれ処理容器内へ導入する。
【0003】
半導体ウエハに対して1枚毎に熱処理を施す枚葉式の処理装置を例にとれば、真空引き可能になされた処理容器内に、例えば抵抗加熱ヒータを内蔵した載置台を設置し、この上面に半導体ウエハを載置し、所定の温度(例えば100℃から1000℃)で加熱した状態で所定の処理ガスを流し、プラズマを用いて、或いはプラズマを用いないで所定のプロセス条件下にて半導体ウエハに各種の熱処理を施すようになっている(特許文献1〜4)。このため処理容器内の部材については、これらの加熱に対する耐熱性と処理ガスに曝されても腐食されない耐腐食性が要求される。
【0004】
ところで、プラズマを用いて半導体ウエハを処理する処理装置において、半導体ウエハを載置する載置台構造に関しては、一般的には耐熱性耐腐食性を持たせると共に、金属コンタミネーション等の金属汚染を防止する必要から例えばAlN等のセラミック材中に発熱体として抵抗加熱ヒータを埋め込んで高温で一体焼成して載置台本体を作成すると共に、この上面に下部電極等を形成するための電極を埋め込んだ熱分散板を設けて載置台を形成している。また、別工程で同じくセラミック材等を焼成して支柱を形成し、上記載置台側と上記支柱とを、例えば熱拡散接合で溶着して一体化して載置台構造を製造している。このように一体成形した載置台構造は処理容器内の底部に起立させて設けられる。また上記セラミック材に代えて耐熱耐腐食性があり、また熱伸縮も少ない石英ガラスを用いる場合もある。
【0005】
ここで従来の載置台構造の一例について説明する。図6は従来の載置台構造の一例を示す断面図である。この載置台構造は、真空排気が可能になされた処理容器内に設けられており、図6に示すように、この載置台構造は円板状の載置台2を有している。具体的には、上記載置台2は、例えば加熱ヒータ等の加熱手段6が埋め込まれた例えば石英やセラミック材等よりなる載置台本体8と、電極10が内部に埋め込まれた例えばセラミック材よりなる薄い熱分散板12とよりなり、この熱分散板12上に半導体ウエハWが載置されて半導体ウエハWを加熱するようになっている。そして、この載置台2の下面の中央部には同じく例えばAlN等のセラミック材よりなる円筒状の支柱4が例えば熱拡散接合にて接合されて一体化されている。
【0006】
従って、両者は熱拡散接合部5により気密に接合されることになる。尚、載置台2と支柱4とをネジにより連結する場合もある。ここで上記載置台2の大きさは、例えば半導体ウエハサイズが300mmの場合には、直径が350mm程度である。
【0007】
上記支柱4の下端部は、容器底部14に固定ブロック15により固定されることにより起立状態になっている。そして、上記円筒状の支柱4内には、その上端が上記加熱手段6に接続端子16を介して接続されたヒータ給電部材20が設けられており、このヒータ給電部材20の下端部側は絶縁部材22を介して容器底部を下方へ貫通して外部へ引き出されている。また、上記電極10は、接続端子24を介して電極給電部材26に接続されており、この電極給電部材26は支柱4内を挿通され、その下端部は絶縁部材22を下方へ貫通して外部へ引き出されている。
【0008】
そして、上記支柱4内へは不活性ガスとして例えばN ガスが供給されている。これにより、この支柱4内へプロセスガス等が侵入することを防止して、上記各給電部材20、26や接続端子16、24等が上記腐食性のプロセスガスにより腐食されることを防止するようになっている。尚、上記電極10には、チャック用の直流電圧やバイアス用の高周波電力が必要に応じて印加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平07−078766号公報
【特許文献2】特開2004−356624号公報
【特許文献3】特開2006−295138号公報
【特許文献4】特開2007−204855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記した従来の載置台構造にあっては、厚さが5mm程度の非常に薄いセラミック材よりなる熱分散板12内に異物である金属製の電極10を埋め込むようにして一体焼成して形成していることから、両者の熱膨張差等に起因して熱分散板12自体が破損し易かったり、またこの製造自体が複雑で高価なものとなっていた。
【0011】
また、支柱4内へ供給された不活性ガスであるN ガスを上記載置台本体8と熱分散板12との接触面の境界隙間28より処理容器内に向けて流しているが、処理容器内の処理ガス等が上記境界隙間28内に僅かではあるが侵入してくることは避けられず、この結果、上記境界隙間28の部分に不要な膜が付着したり、上記接続端子24が腐食性のガスにより腐食される場合が生ずる、といった問題があった。
【0012】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明は、被処理体を直接的に載置する熱分散板の耐久性を向上させて破損し難くすると共に、接続端子が腐食されないようにすることが可能な載置台構造及び処理装置である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る発明は、排気が可能になされた処理容器内に設けられて処理すべき被処理体を載置するための載置台構造において、前記被処理体を加熱する加熱手段が設けられた載置台本体と、前記載置台本体上に設けられると共に、その上面に前記被処理体を載置する熱分散板と、前記載置台本体内に設けられた電極と、前記載置台本体を支持するために前記処理容器の底部より起立された筒体状の支柱と、前記支柱内に挿通されると共に上端部が前記加熱手段に接続されたヒータ給電部材と、前記支柱内に挿通されると共に上端部が前記電極に接続された電極給電部材と、を備えたことを特徴とする載置台構造である。
【0014】
このように、排気が可能になされた処理容器内に設けられて処理すべき被処理体を載置するための載置台構造において、加熱手段が設けられた載置台本体内に電極を設け、この載置台本体上に被処理体を載置する熱分散板を設けるようにしたので、被処理体を直接的に載置する熱分散板の耐久性を向上させて破損し難くすると共に、接続端子が腐食されないようにすることができる。
【0015】
請求項6排気が可能になされた処理容器内に設けられて処理すべき被処理体を載置するための載置台構造において、前記被処理体を加熱する加熱手段が設けられた載置台本体と、前記載置台本体上に設けられると共に、その上面に前記被処理体を載置する熱分散板と、前記載置台本体内に設けられた電極と、前記載置台本体を支持するために前記処理容器の底部側より起立された複数の保護管と、前記保護管内に挿通されると共に上端部が前記加熱手段に接続されたヒータ給電部材と、前記保護管内に挿通されると共に上端部が前記電極に接続された電極給電部材と、を備えたことを特徴とする載置台構造である。
【0016】
請求項10に係る発明は、被処理体に対して処理を施すための処理装置において、排気が可能になされた処理容器と、前記被処理体を載置するために請求項1乃至9のいずれか一項に記載の載置台構造と、前記処理容器内へガスを供給するガス供給手段と、を備えたことを特徴とする処理装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る載置台構造及び処理装置によれば、次のような優れた作用効果を発揮することができる。
排気が可能になされた処理容器内に設けられて処理すべき被処理体を載置するための載置台構造において、加熱手段が設けられた載置台本体内に電極を設け、この載置台本体上に被処理体を載置する熱分散板を設けるようにしたので、被処理体を直接的に載置する熱分散板の耐久性を向上させて破損し難くすると共に、接続端子が腐食されないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る載置台構造の第1実施例を有する処理装置を示す断面構成図である。
【図2】載置台構造の第1実施例を示す拡大断面図である。
【図3】加熱手段の配置状態を模式的に示す平面図である。
【図4】載置台構造の支柱を示す拡大横断面である。
【図5】本発明に係る載置台構造の第2実施例を示す拡大断面図である。
【図6】従来の載置台構造の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る載置台構造及び処理装置の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
<第1実施例>
図1は本発明に係る載置台構造の第1実施例を有する処理装置を示す断面構成図、図2は載置台構造の第1実施例を示す拡大断面図、図3は加熱手段の配置状態を模式的に示す平面図、図4は載置台構造の支柱を示す拡大横断面である。ここではプラズマを用いて成膜処理を行う場合を例にとって説明する。
【0020】
図示するようにこの処理装置30は、例えば断面の内部が略円形状になされたアルミニウム製(アルミニウム合金を含む)の処理容器32を有している。この処理容器32内の天井部には必要な処理ガス、例えば成膜ガスを導入するためにガス供給手段であるシャワーヘッド部34が絶縁層36を介して設けられており、この下面のガス噴射面38に設けた多数のガス噴射孔40A、40Bから処理空間Sに向けて処理ガスを噴射するようになっている。このシャワーヘッド部34はプラズマ処理時に上部電極を兼ねるものである。
【0021】
このシャワーヘッド部34内には、中空状の2つに区画されたガス拡散室42A、42Bが形成されており、ここに導入された処理ガスを平面方向へ拡散した後、各ガス拡散室42A、42Bにそれぞれ連通された各ガス噴射孔40A、40Bより噴射するようになっている。すなわち、ガス噴射孔40A、40Bはマトリクス状に配置されている。このシャワーヘッド部34の全体は、例えばニッケルやハステロイ(登録商標)等のニッケル合金、アルミニウム、或いはアルミニウム合金により形成されている。尚、シャワーヘッド部34として用いるガス種によってはガス拡散室が1つ、或いは3つ以上の場合もある。
【0022】
そして、このシャワーヘッド部34と処理容器32の上端開口部の絶縁層36との接合部には、例えばOリング等よりなるシール部材44が介在されており、処理容器32内の気密性を維持するようになっている。そして、このシャワーヘッド部34には、マッチング回路46を介して例えば13.56MHzのプラズマ用の高周波電源48が接続されており、必要時にプラズマを生成可能になっている。この周波数は上記13.56MHzに限定されない。
【0023】
また、処理容器32の側壁には、この処理容器32内に対して被処理体としての半導体ウエハWを搬入搬出するための搬出入口50が設けられると共に、この搬出入口50には気密に開閉可能になされたゲートバルブ52が設けられている。
【0024】
そして、この処理容器32の底部54の側部には、排気口56が設けられる。この排気口56には、処理容器32内を排気、例えば真空引きするための排気系58が接続されている。この排気系58は、上記排気口56に接続される排気通路60を有しており、この排気通路60には、圧力調整弁62及び真空ポンプ64が順次介設されており、処理容器32を所望する圧力に維持できるようになっている。尚、処理態様によっては、処理容器32内を大気圧に近い圧力に設定する場合もある。
【0025】
そして、この処理容器32内の底部54には、これより起立させて本発明の特徴とする載置台構造66が設けられる。具体的には、この載置台構造66は、上面に上記被処理体を載置して支持するための載置台68と、上記載置台68に接続されると共に、上記載置台68を上記処理容器32の底部54から起立させて支持するための筒体状の支柱70とを主に有している。
【0026】
上記載置台68は、内部に被処理体としての半導体ウエハWを加熱するための加熱手段72が設けられた載置台本体74と、この載置台本体74の上面に設置されると共に、その上面に上記半導体ウエハWを載置する薄い熱分散板76とにより構成されている。そして、この載置台本体74内に電極78が設けられている。
【0027】
具体的には、上記載置台本体74は、全体が石英やセラミック材等の厚い円板状の誘電体よりなり、この載置台本体74内に上記加熱手段72と電極78とが埋め込むようにして設けられ、上記電極78は加熱手段72の上方に位置されている。この加熱手段72は、載置台本体74の略全面に亘って配設されたヒータ線80を有しており、図3に示すようにヒータ線80は、同心円状に複数、ここでは2つに分割されて内周ヒータ線80Aと外周ヒータ線80Bとよりなっている。そして、上記各ヒータ線80A、80Bの起点及び終点は、載置台本体74の中央部に集中されており、後述するように各ヒータ線80A、80Bは個別に温度制御できるようになっている。
【0028】
これにより、内周加熱ゾーン82Aと外周加熱ゾーン82Bが形成される。このヒータ線80としては、カーボン線が用いられているが、カーボン線に限定されず、カーボン線、タングステン線、モリブデン線よりなる群から選択される1の材料を用いることができる。
【0029】
また上記ヒータ線80の上方に配置される電極78は載置台本体74の略全面に亘って設けられると共に、例えばメッシュ状に形成された導体線84よりなり、この導体線84としては、例えばカーボン等を用いることができる。この電極78は、静電チャックを行うチャック用電極と発生したプラズマに高周波のバイアス電圧を印加するためのバイアス用電極とを兼ねており、下部電極を構成するものである。
【0030】
上記載置台本体74を形成するには、この載置台本体74を例えば上中下の3枚の円板状の分割体に分割しておき、上中下の各分割体の間に上記ヒータ線80と導体線84とをそれぞれ介在させて熱拡散等によって各分割体を一体的に溶着することにより形成することができる。この載置台本体74としては、窒化アルミニウム等のセラミック材や石英やアルミニウム(アルミニウム合金を含む)等の金属を用いることができる。
【0031】
この載置台本体74上に設置される円板状の熱分散板76としては、不透明な誘電体を用いることができ、その厚さはかなり薄く、例えば5〜10mm程度である。この誘電体としては、例えば窒化アルミニウム(AlN)や多数の気泡が含まれた不透明石英等を用いることができる。この熱分散板76内には、従来の載置台構造と異なって電極等の異物が含まれていないので、その耐久性を高くすることができる。
【0032】
また、上記載置台本体74と熱分散板76とを同じ材料、例えば窒化アルミニウムや石英で構成してもよく、これによれば熱伸縮量が同じなので、熱伸縮が生じても、両者間に大きな負荷が生ずることを抑制することが可能となる。また、この載置台本体74の下面及び側面は、耐熱性のカバー部材86により覆われている(図2参照)。このカバー部材86は、窒化アルミニウム等のセラミック材により形成されている。
【0033】
また、上記支柱70は、ここでは窒化アルミニウム等のセラミック材や石英により円筒体状に形成されており、その上端部は上記載置台本体74の下面の中央部に熱拡散接合や熱溶着等によって気密に接合されて、ここに例えば熱接合部88(図2参照)が形成される。尚、上記熱溶着等に替えて、載置台本体74と支柱70とをネジにより連結するようにしてもよい。
【0034】
また、上記載置台68には、この上下方向に貫通して複数、例えば3本のピン挿通孔90が形成されており(図1及び図2においては1つのみ示す)、この3本のピン挿通孔90は、図3に示すように120度間隔で同一円周上に配置されている。そして、上記各ピン挿通孔90に上下移動可能に遊嵌状態で挿通させた押し上げピン92を配置している。この押し上げピン92の下端には、円弧状の例えばアルミナのようなセラミック製の押し上げリング94が配置されており、この押し上げリング94に、上記各押し上げピン92の下端が乗っている。この押し上げリング94から延びるアーム部96は、処理容器32の底部54を貫通して設けられる出没ロッド98に連結されており、この出没ロッド98はアクチュエータ100により昇降可能になされている。
【0035】
これにより、上記各押し上げピン92を半導体ウエハWの受け渡し時に各ピン挿通孔90の上端から上方へ出没させるようになっている。また、上記出没ロッド98の処理容器32の底部54の貫通部には、伸縮可能なベローズ102が介設されており、上記出没ロッド98が処理容器32内の気密性を維持しつつ昇降できるようになっている。
【0036】
ここで上記ピン挿通孔90は、図2にも示すように、上記載置台本体74と上記熱分散板76とカバー部材86とを連結する締結具であるボルト104に、その長さ方向に沿って形成された貫通孔106によって形成されている。具体的には、上記載置台本体74、熱分散板76及びカバー部材86には、上記ボルト104を通すボルト孔(図示せず)が形成されており、このボルト孔に上記貫通孔106が形成されたボルト104を挿通し、これをナット108で締め付けることにより、上記載置台本体74と熱分散板76とカバー部材86とを一体的に結合するようにしている。
【0037】
尚、カバー部材86は必要に応じて設ければよく、省略することもできる。これらのボルト104及びナット108は、例えば窒化アルミニウムやアルミナ等のセラミック材、或いは金属汚染の恐れが少ない金属材料、例えばニッケル、ニッケル合金等により形成する。この場合、上記載置台本体74と熱分散板76との接触面には、僅かな境界隙間109が発生する。
【0038】
そして、上記支柱70内に細長く形成されたヒータ給電部材110が挿通させて設けられており、このヒータ給電部材110の上端部が上記加熱手段72に接続されている。また、上記支柱70内に細長く形成された電極給電部材112が挿通させて設けられており、この電極給電部材112の上端部が上記電極78に接続されている。
【0039】
具体的には、上記ヒータ給電部材110は、例えば長尺な棒状に成形された例えばカーボン製の給電棒111を有しており、各給電棒111の上端部を上記加熱手段72の内周ヒータ線80Aの両端と外周ヒータ線80Bの両端とに、それぞれ接続している。図3及び図4では、上記内周ヒータ線80Aの両端に接続される2本のヒータ給電部材110A、110Bが示されると共に、外周ヒータ線80Bの両端に接続される2本のヒータ給電部材110C、110Dが示されているが、図1においては代表として1本のヒータ給電部材110のみを示している。そして、全てのヒータ給電部材110A〜110Dの構成及び取り付け状態は同じようになされている。上記接続に際しては、載置台本体74の下面より上記内周ヒータ線80Aと外周ヒータ線80Bの起点と終点とに向けて接続穴114(図2参照)を形成し、これにヒータ給電部材110A〜110Dの各給電棒111の上端部を挿入してろう付け等によって接続している。
【0040】
そして、上記各ヒータ給電部材110(110A〜110D)は、それぞれ個別に細長い誘電体よりなる保護管116内に挿通されており、この保護管116の上端部は上記載置台本体74の下面に熱溶着や熱拡散等によって気密に接合されている。上記誘電体としては、窒化アルミニウム等のセラミック材や石英を用いることができる。また、この給電棒111の下部には、例えばモリブデン等よりなる短い導電性の第1の金属棒118が接続されており、この第1の金属棒118の部分で上記保護管116が封止されている。この保護管116内には、He等の希ガスやN よりなる不活性ガスが封入されており、例えばカーボン製の給電棒111が腐食されることを防止している。そして、上記第1の金属棒118の下方へは、更に寄り線よりなる短い導電線120及びモリブデン等よりなる短い導電性の第2の金属棒122が順次接続されている。
【0041】
上記電極給電部材112も、例えば長尺な棒状に成形された例えばカーボン製の給電棒124を有しており、この給電棒124の上端部を載置台本体74の下面に形成した接続穴126内へ挿入し、これと上記電極78とを接続端子128を介してろう付け等により接続している。この給電棒124の下部には、寄り線よりなる第1の導電線130、モリブデン等よりなる短い導電性の第1の金属棒132、寄り線よりなる第2の導電線134及び例えばモリブデン等よりなる導電性の第2の金属棒136が順次接続されている。
【0042】
そして、この電極給電部材112は、細長い誘電体よりなる保護管138内に挿通されており、この保護管138の上端部は上記載置台本体74の下面に熱溶着や熱拡散等によって気密に接合されている。上記誘電体としては、窒化アルミニウム等のセラミック材や石英を用いることができる。また、この保護管138は、上記第1の金属棒132の部分で封止されている。この保護管138内には、He等の希ガスやN よりなる不活性ガスが封入されており、例えばカーボン製の給電棒124が腐食されることを防止している。
【0043】
ここで上記給電棒111、124は、カーボンに限定されず、ニッケル合金、タングステン合金、モリブデン合金等を用いることができる。また、上記支柱70内には、上記加熱手段72の加熱ゾーン数に対応した本数、ここでは2本の熱電対140A、140Bが挿通されている。そして、この内の1本の熱電対140Aの上部は、載置台本体74を貫通して形成した連通孔142内を挿通されて、温測接点である先端部を熱分散板76の内周加熱ゾーン82A(図3参照)の領域に接触させてこの部分の温度を測定できるようになっている。
【0044】
また、他方の熱電対140Bの上部は、載置台本体74を貫通して形成した連通孔144内と、この連通孔144に連通されて載置台本体74の半径方向へ延びるようにして形成された溝部146内とに沿って配設されており、その測温接点である先端部を熱分散板76の外周加熱ゾーン82B(図3参照)の領域に接合部材148を介して取り付けており、この部分の温度を測定できるようになっている。上記各連通孔142、144は、上記熱電対140A、140Bを挿通すると同時に、後述するように支柱70内へ導入された不活性ガスを載置台本体74と熱分散板76との接触面に形成される境界隙間109に供給する機能も有する。
【0045】
また、処理容器32の底部54は例えばステンレススチールよりなり、図1及び図2にも示すように、この中央部には導体引出口150が形成されており、この導体引出口150の内側には、円形リング状になされた例えばアルミニウム合金等よりなる取付台座152がOリング等のシール部材154を介して気密に取り付け固定されている。
【0046】
そして、上記支柱70の下端部には、支柱70と同じ材料よりなるフランジ部160が取り付けられており、このフランジ部160は上記取付台座152上に設置されている。そして、この支柱70のフランジ部160に、例えばアルミニウム合金よりなる断面がL字状になされたリング状の固定部材162を嵌装し、この固定部材162と上記取付台座152とをボルト164で固定することにより、上記支柱70を固定している。この場合、取付台座152とフランジ部160との間にはOリング等よりなるシール部材165が介設されており、この部分を気密に保持している。
【0047】
また上記取付台座152の下部には、これと一体成形された例えばアルミニウム合金製のリング状の取付部166が設けられている。このリング状の取付部166の内径は、上記取付台座152の内径よりも少し大きく設定されており、各給電部材110A〜110D、112同士間に所定の距離以上の間隙を設定して配置できるようになっている。そして、このリング状の取付部166の下端部には、例えばアルミニウム合金等よりなる封止板168がOリング等のシール部材170を介してボルト172により気密に取り付け固定されている。これにより、上記円筒状の支柱70内が気密になされている。
【0048】
そして、上記各ヒータ給電部材110(110A〜110D)の各第2の金属棒122(図2では1本のみ示す)の周囲の一部は、例えばアルミナ等のセラミック材よりなる絶縁スリーブ174により覆われており、そして、この絶縁スリーブ174の部分で上記封止板168を貫通させて、各ヒータ給電部材110(110A〜110D)を気密に外部へ引き出している。そして、この絶縁スリーブ174の貫通部には、例えばアルミニウム合金等よりなる取付板176がOリング等よりなるシール部材178を介してボルト180により気密に取り付け固定されている。
【0049】
また、上記電極給電部材112の第2の金属棒136の周囲の一部は、上述したと同様に例えばアルミナ等のセラミック材よりなる絶縁スリーブ182により覆われており、そして、この絶縁スリーブ182の部分で上記封止板168を貫通させて、電極給電部材112を気密に外部へ引き出している。そして、この絶縁スリーブ182の貫通部には、例えばアルミニウム合金等よりなる取付板184がOリング等よりなるシール部材186を介してボルト188により気密に取り付け固定されている。更には、上記各熱電対140A、140Bも、上記封止板168を気密に貫通して外部へ取り出されており、この貫通部には、Oリング等よりなるシール部材190を介して取付板192がボルト194により取り付け固定されている。
【0050】
ここで各部分について寸法の一例を説明すると、載置台68の直径は、300mm(12インチ)半導体ウエハ対応の場合には340mm程度、200mm(8インチ)半導体ウエハ対応の場合には230mm程度、400mm(16インチ)半導体ウエハ対応の場合には460mm程度である。また各保護管116、138の直径は8〜16mm程度、各給電棒111、124の直径は4〜6mm程度である。
【0051】
そして、上記支柱70の下方には、上記支柱70内へ不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段200が設けられる。具体的には、上記不活性ガス供給手段200は、上記支柱70内へ不活性ガスを導入する不活性ガス導入路202を有しており、図1に示すように、この不活性ガス導入路202の途中には、マスフローコントローラのような流量制御器204及びガス供給時に開状態となる開閉弁206が順次介設されており、必要に応じて不活性ガスとして例えばN ガスを流量正制御しつつ供給できるようになっている。
【0052】
尚、不活性ガスとしては、N に替えてAr、He等の希ガスを用いてもよい。図2に示すように、この不活性ガス導入路202の一部として、上記処理容器32の底部54及び上記取付台座152には上記支柱70内に連通されるガス通路208が、例えば穿孔により形成されている。また、上記底部54と取付台座152との接合面には、上記ガス通路208を囲むようにして、例えばOリングよりなるシール部材210が介在されており、この部分のシール性を維持するようになっている。
【0053】
ここで図1へ戻って、加熱手段72の各ヒータ給電部材110(110A〜110D)に接続される各配線212(図1では1本のみ記す)は、上記ヒータ電源制御部214に接続されており、各熱電対140A、140B(図2参照)により測定された温度に基づいて上記加熱手段72への給電量を各加熱ゾーン82A、82B(図3参照)毎に制御して所望する温度を維持するようになっている。
【0054】
また、上記電極給電部材112に接続される配線216には、静電チャック用の直流電源218とバイアス用の高周波電力を印加するための高周波電源220とがそれぞれ並列に接続されており、載置台68の半導体ウエハWを静電吸着すると共に、プロセス時に下部電極となる載置台68にバイアスとして高周波電力を印加できるようになっている。この高周波電力の周波数としては13.56MHzを用いることができるが、他に400kHz等を用いることができ、この周波数に限定されるものではない。
【0055】
そして、この処理装置30の全体の動作、例えばプロセス圧力の制御、載置台68の温度制御、処理ガスの供給や供給停止、不活性ガス供給手段200による不活性ガスの供給や供給停止等は、例えばコンピュータ等よりなる装置制御部222により行われることになる。そして、この装置制御部222は、上記動作に必要なコンピュータプログラムを記憶する記憶媒体224を有している。この記憶媒体224は、フレキシブルディスクやCD(Compact Disc)やハードディスクやフラッシュメモリ等よりなる。
【0056】
次に、以上のように構成されたプラズマを用いた処理装置30の動作について説明する。まず、未処理の半導体ウエハWは、図示しない搬送アームに保持されて開状態となったゲートバルブ52、搬出入口50を介して処理容器32内へ搬入され、この半導体ウエハWは、上昇された押し上げピン92に受け渡された後に、この押し上げピン92を降下させることにより、半導体ウエハWを載置台構造66の支柱70に支持された載置台68の熱分散板76の上面に載置してこれを支持する。この時に、載置台68の載置台本体74に設けた電極78に直流電源218より直流電圧を印加することにより静電チャックが機能し、半導体ウエハWを載置台68上に吸着して保持する。尚、静電チャックの代わりに半導体ウエハWの周辺部を押さえるクランプ機構を用いる場合もある。
【0057】
次に、シャワーヘッド部34へ各種の処理ガスを、それぞれ流量制御しつつ供給して、このガスをガス噴射孔40A、40Bより噴射して処理空間Sへ導入する。そして、排気系58の真空ポンプ64の駆動を継続することにより、処理容器32内の雰囲気を真空引きし、そして、圧力調整弁62の弁開度を調整して処理空間Sの雰囲気を所定のプロセス圧力に維持する。この時、半導体ウエハWの温度は所定のプロセス温度に維持されている。すなわち、載置台68の加熱手段72を構成するヒータ線80にヒータ電源制御部214より電圧を印加することにより発熱させている。
【0058】
この結果、ヒータ線80からの熱で半導体ウエハWが昇温加熱される。この場合、熱分散板76には加熱ゾーン82A、82Bに対応させてそれぞれ熱電対140A、140Bが設けられており、この測定値に基づいてヒータ電源制御部214は、フィードバックで各加熱ゾーン82A、82Bに対応するヒータ線80A、80B毎に温度制御することになる。このため、半導体ウエハWの温度を各加熱ゾーン82A、82B毎に温度制御して常に半導体ウエハWの面内均一性が高い状態で温度制御することができる。この場合、プロセスの種類にもよるが、載置台68の温度は例えば700℃程度に達する。
【0059】
またプラズマ処理を行う時には、高周波電源48を駆動することにより、上部電極であるシャワーヘッド部34と下部電極である載置台68との間に高周波を印加し、処理空間Sにプラズマを立てて所定のプラズマ処理を行う。また、この際に、載置台68の載置台本体74に設けた電極78にバイアス用の高周波電源220から高周波電力を印加することにより、プラズマイオンの引き込みを行うことができる。
【0060】
ここで上記載置台構造66における機能について詳しく説明する。まず、上述のように加熱手段72の各ヒータ線80A、80Bへはそれぞれ2本のヒータ給電部材110A〜110Dを介して各加熱ゾーン82A、82B毎に電力が供給される。そして、各加熱ゾーン82A、82Bに対応して設けた熱電対140A、140Bの測定値に基づいて、フィードバック制御により供給電力が制御される。更には、電極78へは、電極給電部材112を介して静電チャック用の直流電圧とバイアス用の高周波電力が印加される。
【0061】
更に半導体ウエハの処理時には、不活性ガス供給手段200により、流量制御された不活性ガスとして例えばN ガスが不活性ガス導入路202を介して支柱70内へ導入されてパージしている。この支柱70内へ導入されたN ガスは、支柱70内を上昇して載置台本体74に設けた連通孔142、144を通ってこの載置台本体74と熱分散板76との接触面に形成された僅かな境界隙間109(図2参照)に入り、この境界隙間109より載置台68の周辺部に僅かずつ放出されることになるので、処理容器32内へ供給されるプロセスガスやクリーニングガス等の腐食性ガスがこの境界隙間109を介して支柱70内へ逆流することを基本的には防止することができる。
【0062】
しかしながら、上記プロセスガスやクリーニングガスは非常に拡散力が大きいので、長期間の使用により僅かではあるが上記境界隙間109内を逆流する場合も生ずる。この場合、従来の載置台構造にあっては、熱分散板12(図6参照)側に電極10を設けていたことから、この熱分散板12の接続端子24に不要な膜が付着したり、接続端子24を腐食させたりしていたが、本発明の載置台構造66にあっては、電極78を載置台本体74側に設けたので、この接続端子128に不要な膜が付着することを防止できるのみならず、この接続端子128が腐食されることを防止することができる。また上述のように、非常に薄い熱分散板76には、異物となる電極78を設けていないことから、この製造が比較的容易であり、且つ耐久性が向上するので繰り返し使用しても破損し難くすることができる。
【0063】
また、上記境界隙間109内へプロセスガスやクリーニングガスが逆流しても支柱70内まではほとんど逆流してこないので、この支柱70内に配設したヒータ給電部材110(110A〜110D)や電極給電部材112が腐食されることを防止することができる。この場合、上記プロセスガスやクリーニングガスが、万一、支柱70内まで逆流してきても上記ヒータ給電部材110(110A〜110D)の例えばカーボンよりなる給電棒111は密閉された保護管116により保護されており、また、上記電極給電部材112の例えばカーボンよりなる給電棒124も密閉された保護管138により保護されているので、これらの各給電棒111、112が腐食されることを略確実に防止することができる。また、上述のように保護管116、118を設けることにより、給電部材間の異常放電が発生することも防止することができる。
【0064】
このように、本発明によれば、排気が可能になされた処理容器32内に設けられて処理すべき被処理体、例えば半導体ウエハWを載置するための載置台構造において、加熱手段72が設けられた載置台本体74内に電極78を設け、この載置台本体上に被処理体を載置する熱分散板76を設けるようにしたので、被処理体を直接的に載置する熱分散板の耐久性を向上させて破損し難くすると共に、接続端子が腐食されないようにすることができる。
【0065】
<第2実施例>
次に、本発明の載置台構造の第2実施例について説明する。先に説明した第1実施例では、直径が大きな支柱70により載置台68を支持するようにしたが、これに限定されず、上記支柱70に替えて、複数本設けられている直径の小さな保護管により載置台68を支持するようにしてもよい。図5は、このような本発明の載置台構造の第2実施例を示す拡大断面図である。尚、図5では、図1乃至図4で説明した構成部分と同一構成部分については同一参照符号を付して、その説明を省略する。また第1実施例で説明した内容は、載置台構造の構成が異なる点を除いて、全てこの第2実施例に適用することができる。
【0066】
図5に示すように、この第2実施例では、先の第1実施例で用いた支柱70は設けておらず、ヒータ給電部材110(110A〜110D)が挿通された各保護管116、電極給電部材112が挿通された保護管138により載置台68が支持されることになる。また、ここでは2つの熱電対140A、140Bを挿通するために一本の誘電体よりなる新たな保護管250を設け、この保護管250でも上記載置台68を支持させるようになっている。
【0067】
具体的には、上記各保護管116、138、250は、上記載置台本体74の下面に例えば熱溶着により気密に一体的になるように接合されている。従って、各保護管116、138、250の上端には、それぞれ熱溶着接合部252が形成されることになる。
【0068】
また、処理容器32の底部54に形成した導体引出口150の内側には、例えばステンレススチール等よりなる板状の取付台座152がOリング等のシール部材154を介して気密に取り付け固定されている。
【0069】
そして、この取付台座152上に、上記各保護管116、138、250を固定する管固定台254が設けられる。上記管固定台254は、上記各保護管116、138、250と同じ材料、すなわちここでは石英により形成されており、各保護管116、138、250に対応させて貫通孔256が形成されている。そして、上記各保護管116、138、250の下端部側は、上記管固定台254の上面側に熱溶着等によって接続固定されている。従って、ここには、熱溶着部258がそれぞれ形成されることになる。
【0070】
この場合、各ヒータ給電部材110A〜110Dを挿通する各保護管116は、上記管固定台254に形成した貫通孔256を下方向へ挿通されており、その下端部は封止されて内部にN やAr等の不活性ガスが減圧雰囲気で封入されている。
【0071】
このように、各保護管116、138、250の下端部を固定する管固定台254の周辺部には、これを囲むようにして例えばステンレススチール等よりなる固定部材162が設けられており、この固定部材162はボルト164によって取付台座152側へ固定されている。
【0072】
また、上記取付台座152には、上記管固定台254の各貫通孔256に対応させて同様な貫通孔260が形成されている。そして、ここでは上記ヒータ給電部材110(110A〜110D)は、上下方向に長く延びる例えばモリブデン製の第1の金属棒118よりなり、また電極給電部材112の例えばモリブデンよりなる第1の金属棒132も下方へ長く延びている。そして、上記金属棒118、132及び熱電対140A、140Bは、上記各貫通孔260内へ挿通されて下方へ延びている。上記管固定台254の下面と、取付台座152の上面との接合面には、上記各貫通孔260の周囲を囲むようにしてOリング等のシール部材262が設けられており、この部分のシール性を高めるようにしている。
【0073】
また、上記電極給電部材112と2本の熱電対140A、140Bが挿通されている各貫通孔260の下端部には、それぞれOリング等よりなるシール部材264、266を介して封止板268、270がボルト272、274により取り付け固定されている。そして、上記電極給電部材112の金属棒132及び熱電対140A、140Bは、上記封止板268、270を気密に貫通させるようにして設けられている。これらの封止板268、270は、例えばステンレススチール等よりなり、この封止板268に対する上記金属棒132の貫通部に対応させて、金属棒132の周囲には絶縁部材276が設けられている。
【0074】
また、上記取付台座152及びこれに接する処理容器32の底部54には、上記電極給電部材112の金属棒132を挿通する貫通孔260及び熱電対140A、140Bを挿通する貫通孔260に連通させて不活性ガス供給手段200の一部であるガス通路208が形成されており、N 等の不活性ガスを供給できるようになっている。
【0075】
このように形成された第2実施例の場合にも、先の第1実施例と同様な作用効果を発揮することができる。そして、上記保護管116内には不活性ガスを封入し、また他の保護管138、250内には不活性ガスが供給されているので、この場合にも各ヒータ給電部材110(110A〜110D)、電極給電部材112及び熱電対140A、140Bが腐食されることを防止することができる。また各保護管138、250内の容積は、第1実施例の支柱70内の容積よりも遥かに少ないので、その分、不活性ガスであるN ガスの使用量を減らすことができる。
【0076】
尚、上記実施例では、各加熱ゾーン毎のヒータ給電部材110A〜110Dをそれぞれ個別に設けたが、複数の加熱ゾーンに区分された領域を加熱する場合において、各加熱ゾーンのヒータ給電部材の内の1つをアース用のヒータ給電部材として共通に用いるようにしてもよい。また加熱ゾーン数も2つに限定されず、1つ或いは3つ以上に区画してもよい。
【0077】
また、本実施例ではプラズマを用いて成膜処理を行う処理装置を例にとって説明したが、これに限定されず、本発明の載置台構造を用いた全ての処理装置、例えばプラズマを用いたプラズマCVDによる成膜装置、プラズマを用いたエッチング装置等にも適用することができる。
【0078】
更には、ガス供給手段としてはシャワーヘッド部34に限定されず、例えば処理容器32内へ挿通されたガスノズルによりガス供給手段を構成してもよい。また、ここでは被処理体として半導体ウエハを例にとって説明したが、これに限定されず、ガラス基板、LCD基板、セラミック基板等にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
30 処理装置
32 処理容器
34 シャワーヘッド部(ガス供給手段)
58 排気系
66 載置台構造
68 載置台
70 支柱
72 加熱手段
74 載置台本体
76 熱分散板
78 電極
80 ヒータ線
110,110A〜110D ヒータ給電部材
111 給電棒
112 電極給電部材
116 保護管
124 給電棒
138 保護管
142,144 連通孔
200 不活性ガス供給手段
202 不活性ガス導入路
218 静電チャック用の直流電源
220 バイアス用の高周波電源
W 半導体ウエハ(被処理体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気が可能になされた処理容器内に設けられて処理すべき被処理体を載置するための載置台構造において、
前記被処理体を加熱する加熱手段が設けられた載置台本体と、
前記載置台本体上に設けられると共に、その上面に前記被処理体を載置する熱分散板と、
前記載置台本体内に設けられた電極と、
前記載置台本体を支持するために前記処理容器の底部より起立された筒体状の支柱と、
前記支柱内に挿通されると共に上端部が前記加熱手段に接続されたヒータ給電部材と、
前記支柱内に挿通されると共に上端部が前記電極に接続された電極給電部材と、
を備えたことを特徴とする載置台構造。
【請求項2】
前記支柱内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段が設けられることを特徴とする請求項1記載の載置台構造。
【請求項3】
前記載置台本体には、前記載置台本体と前記熱分散板との接触面の境界隙間に前記不活性ガスを供給するための連通孔が形成されていることを特徴とする請求項2記載の載置台構造。
【請求項4】
前記ヒータ給電部材は、誘電体よりなる保護管内に密封状態で挿通されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項5】
前記電極給電部材は、誘電体よりなる保護管内に密封状態で挿通されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項6】
排気が可能になされた処理容器内に設けられて処理すべき被処理体を載置するための載置台構造において、
前記被処理体を加熱する加熱手段が設けられた載置台本体と、
前記載置台本体上に設けられると共に、その上面に前記被処理体を載置する熱分散板と、
前記載置台本体内に設けられた電極と、
前記載置台本体を支持するために前記処理容器の底部側より起立された複数の保護管と、
前記保護管内に挿通されると共に上端部が前記加熱手段に接続されたヒータ給電部材と、
前記保護管内に挿通されると共に上端部が前記電極に接続された電極給電部材と、
を備えたことを特徴とする載置台構造。
【請求項7】
前記載置台本体には、前記載置台本体と前記熱分散板との接触面の境界隙間に前記不活性ガスを供給するための連通孔が形成されていることを特徴とする請求項6記載の載置台構造。
【請求項8】
前記ヒータ給電部材は、誘電体よりなる保護管内に密封状態で挿通されていることを特徴とする請求項6又は7記載の載置台構造。
【請求項9】
前記電極給電部材は、誘電体よりなる保護管内に密封状態で挿通されていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の載置台構造。
【請求項10】
被処理体に対して処理を施すための処理装置において、
排気が可能になされた処理容器と、
前記被処理体を載置するために請求項1乃至9のいずれか一項に記載の載置台構造と、
前記処理容器内へガスを供給するガス供給手段と、
を備えたことを特徴とする処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−61040(P2011−61040A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209689(P2009−209689)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】