説明

通信システム

【課題】通信システムにおいて、通信帯域を無駄に占有することなく、移動端末装置または車載装置が必要なデータを取得できるようにする。
【解決手段】通信システム1においては、ナビゲーション装置10が携帯電話機30に対して一対一で通信するよう構成されている。そして、携帯電話機30およびナビゲーション装置10のうちの少なくとも一方の装置に備えられた近距離無線通信モジュール18,36は、自己の記憶部に格納されたデータの少なくとも一部を送信する。また、携帯電話機30およびナビゲーション装置10のうちの他方の装置に備えられた近距離無線通信モジュール18,36は、送信されたデータを受信する。よって、一方の装置は、他方の装置と一対一で通信を行うことによりデータを取得することができるので、広域通信網における通信帯域を無駄に占有することなく、必要なデータを外部から取得することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置と移動端末装置とを備えた通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信機能を備えた移動端末装置が、広域ネットワーク網に接続された基地局との間で通信を行うことにより移動端末装置が基地局からデータの配信を受ける通信システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、無線通信機能を備えたカーナビゲーション装置等の車載装置が基地局からデータの配信を受ける通信システムも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−086579号公報
【特許文献2】特開2006−184772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特に近年、例えばカーナビゲーション装置等の車載装置は大容量化・高機能化が進んでおり、車載装置の記憶手段には、移動端末装置に提供しうる多々のデータ(例えば店舗の情報等)が格納されている。
【0005】
また、例えば携帯電話機やPDA等の移動端末装置においては、一般的に車載装置よりも入力インターフェイス(例えばキーボード等)が優れており、データの編集が容易であるため、車載装置では編集し難いデータ(例えば楽曲の曲目名のデータ等)を移動端末装置から車載装置に提供しうる。
【0006】
しかしながら、上記通信システムにおいて移動端末装置は、車載装置等の他の装置の記憶手段に必要なデータが既に格納されていたとしても、他の装置からデータを取得することなく基地局から必要なデータを受信するので、データ通信を行うたびに所定の通信帯域(無線通信の場合には電波帯域)を必要としてしまう。また、車載装置においても、基地局から必要なデータを受信するので、同様の問題がある。
【0007】
また、上記システムにおいては、データ通信の際に広域ネットワーク網を使用しているので、データ通信のたびに使用者に通信費の負担を強いることなり、このことが上記システムの普及に悪影響を及ぼしている可能性がある。
【0008】
そこで、上記のような問題点を鑑み、使用者により所持される移動端末装置と、車両に搭載され、前記移動端末装置に対して一対一で通信可能に構成された車載装置と、を備えた通信システムにおいて、通信帯域を無駄に占有することなく、移動端末装置または車載装置が必要なデータを取得できるようにすることを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために成された請求項1に記載の通信システムにおいては、車載装置が移動端末装置に対して一対一で通信するよう構成されている。そして、移動端末装置および車載装置のうちの少なくとも一方に備えられた送信手段は、自己の記憶手段に格納されたデータの少なくとも一部を送信し、移動端末装置および車載装置のうちの他方に備えられた受信手段は、送信手段により送信されたデータを受信する。
【0010】
このような通信システムによれば、移動端末装置および車載装置のうちの少なくとも一方の装置は、移動端末装置および車載装置のうちの他方の装置と一対一で通信を行うことによりデータを取得することができるので、広域通信網における通信帯域を無駄に占有することなく、移動端末装置または車載装置が必要なデータを外部から取得することができる。
【0011】
なお、本発明でいう「一対一」での通信とは、広域ネットワーク網(インターネット網や電話回線網等)を使用することなく各装置が直接的に通信を行うことを示す。
また、本発明でいう「近接」とは、車両の内部およびその周囲の見通し範囲内程度の範囲内であって、移動端末装置および車載装置が一対一で通信できる範囲内を示す。
【0012】
さらに、本発明における送信手段を具体的に実現する態様としては、送信手段は例えば、赤外線送信や省電力電波送信等の近距離無線通信によりデータを送信する態様が挙げられる。送信手段にこのような態様を採用した通信システムによれば、当該通信システムがデータ通信する際に赤外線や電波を送信するエリア範囲を極力狭くすることができるので、他の機器による通信に悪影響を与えることを防止することができる。
【0013】
ところで、請求項1に記載の通信システムにおいて、車載装置は、請求項2に記載のように、車両の現在地を検出する車両現在地検出手段と、車両現在地検出手段により検出された車両の現在地の検出精度が予め設定された基準精度よりも良好であるか否かを判定する精度判定手段と、車両の現在地の検出精度が基準精度よりも不良である場合に、現在地情報を要求する現在地情報要求手段と、現在地情報要求手段による要求後に、移動端末装置から送信された現在地情報を受信する受信手段としての現在地情報受信手段と、を備えていてもよい。
【0014】
この場合、移動端末装置は、移動端末装置の現在地を検出する端末現在地検出手段と、車載装置から現在地情報の要求を受けると、端末現在地検出手段により検出された移動端末装置の現在地の情報を車載装置に対して送信する送信手段としての現在地情報提供手段と、を備えていればよい。
【0015】
このような通信システムによれば、車載装置において現在地測定精度が不良であるときには、移動端末装置が検出した現在地情報を取得することができるので、車載装置における現在地の測定精度を向上させることができる。
【0016】
なお、移動端末装置における端末現在地検出手段は、車載装置における車両現在地検出手段とは異なる手法により現在地を検出するようにすれば、車載装置はより多くの手法を用いて車両の位置を検出することができるので、車両の現在地の検出精度をより向上させることができる。
【0017】
さらに、請求項2に記載の通信システムにおいては、例えば、車載装置は取得した現在地をそれぞれ表示するようにしてもよいが、車載装置は、請求項3に記載のように、現在地情報受信手段により受信した移動端末装置の現在地の情報と、車両現在地検出手段により検出した車両の現在地の情報とに基づいて、車両の現在地を補正する補正手段を備えていてもよい。
【0018】
このような通信システムによれば、補正手段が車両の現在地を補正することにより、車両の現在地を精度よく検出することができる。
また、請求項1に記載の通信システムにおいて、車載装置は、請求項4に記載のように、車両現在地検出手段と、車両が駐車状態になったか否かを判定する駐車状態判定手段と、駐車状態判定手段により車両が駐車状態になったと判定されると、移動端末装置に対して、少なくとも車両現在地検出手段により検出された車両の現在地の情報を送信する前記送信手段としての位置情報送信手段と、を備えていてもよい。
【0019】
この場合には、移動端末装置は、車載装置から送信された車両の現在地の情報を受信する受信手段としての位置情報受信手段を備えていればよい。
このような通信システムによれば、車両の使用者(運転者)が車両を駐車して車両から離れたとしても、移動端末装置は車両の現在地の情報を受信しているので、車両の使用者が移動端末装置を所持して行動すれば、車両の位置を容易に把握することができる。
【0020】
特に多くの車両を駐車可能な駐車場に車両を駐車した際に、車両の駐車場所が分からなくなってしまうことを防止することができる。
なお、請求項4の記載において、請求項2,3の記載と構成要素(各種手段)が重複することを考慮しなければ、本発明を請求項2,3の従属項にすることができる。
【0021】
さらに、請求項4に記載の通信システムにおいて、移動端末装置は、請求項5に記載のように、端末現在地検出手段と、端末現在地検出手段により検出された移動端末装置の現在地の情報、および予め記憶手段に格納された地図情報に基づいて、この移動端末装置の使用者を車両の現在地まで誘導する誘導手段と、を備えていてもよい。
【0022】
このような通信システムによれば、移動端末装置の現在地と車両の現在地とを対応付けながら車両の位置に移動端末装置の使用者を誘導することができる。よって、移動端末装置の使用者が迷うことなく車両の位置まで誘導することができる。
【0023】
加えて、請求項4または請求項5に記載の通信システムにおいて、車載装置は、請求項6に記載のように、外部指令を受けたとき、或いは前記駐車状態判定手段により前記車両が駐車状態になったと判定されたときに、当該車載装置の記憶手段に格納された各種情報のうち、前記車両現在地検出手段により検出された車両の現在地の周辺の情報を送信する周辺情報送信手段を備えていてもよい。
【0024】
車載装置は移動端末装置に対して、車両の現在地だけでなく、車両の周辺の情報も送信するので、移動端末装置の使用者は、車両から離れたとしても車載装置に格納された情報のうち、必要な情報(車両周辺の情報)を移動端末装置に保持させた状態で移動することができる。
【0025】
なお、本発明において「周辺」とは、例えば、車両現在地検出手段により検出された車両の現在地を中心とする予め設定された半径内の領域を示し、「周辺の情報」とは、この領域内に位置する店舗や施設に関する情報を示す。
【0026】
また、請求項1〜請求項6の何れかに記載の通信システムにおいて、車載装置は、請求項7に記載のように、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、走行状態検出手段により検出された車両の走行状態の情報を移動端末装置に対して送信する送信手段としての走行状態送信手段と、を備えていてもよい。
【0027】
この場合、移動端末装置は、車載装置から送信された車両の走行状態の情報を受信する受信手段としての走行状態受信手段と、走行状態受信手段により受信された情報に基づいて、車両が走行しているか否かを判定する走行判定手段と、走行判定手段により車両が走行していると判定されると、この移動端末装置が有する機能の少なくとも一部の機能における作動を制限する作動制限手段と、を備えていればよい。
【0028】
このような通信システムによれば、車両が走行状態であるときには、移動端末装置の機能における作動を制限することができるので、車両の走行中に移動端末装置が操作されることによる車両事故を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
[通信システム1の概要]
図1は、本発明が適用された通信システム1の概略構成を示すブロック図である。
【0030】
通信システム1は、例えば乗用車等の車両に搭載されたナビゲーション装置10と、携帯電話機30とを備えて構成されている。ここで、ナビゲーション装置10および携帯電話機30は、周知のナビゲーション装置または周知の携帯電話機としての機能に加えて、後述するようにナビゲーション装置10および携帯電話機30間で、相互にデータを共有する機能を有するものである。
【0031】
なお、後述する処理において、ナビゲーション装置10の現在地と携帯電話機30の現在地とは、厳密には位置が異なるが、GPS受信機13による検出精度が悪くなったときには、これらの位置の偏差の大きさはGPS受信機13による検出誤差の大きさに対して無視できる程度の大きさになる。このため、本実施形態においては、ナビゲーション装置10の現在地と携帯電話機30の現在地とが同一であるものとして説明を進める。
【0032】
[通信システム1の概略構成]
ナビゲーション装置10は、CPU、ROM、RAM等を備えた周知のマイクロコンピュータとして構成された制御部11を中心に構成されており、この制御部11には、マップデータ記憶部12、GPS(全地球測位システム)受信機13、ジャイロセンサ14、入力部15、スピーカ16、表示部17、および近距離無線通信モジュール18が接続されている。
【0033】
なお、例えば制御部11のROM等のメモリには、ナビゲーション装置10が有する機能(例えば、ミュージックサーバとしての機能や携帯電話機30をハンズフリーで使用するための機能等)の一覧を示す機能リストが格納されている。また、制御部11には、図示しないインターフェイス(例えば車内LAN通信装置)を介して、当該車両の車速を表す車速信号、当該車両がパーキング状態であることを表すパーキング状態信号が入力される。
【0034】
マップデータ記憶部12は、緯度経度の情報を対応させて、地図データおよび店舗・施設の情報等が格納されている。
GPS受信機13は、複数のGPS衛星から送信された信号を受信することにより車両の現在地を検出する。
【0035】
ジャイロセンサ14は、車両の傾きや加速度を検出し、車両の現在地を検出する精度を向上させることに寄与する。
入力部15は、例えば、表示部17の表面を使用者が触れたことを検出するタッチパネルや、表示部17の周囲に位置する操作ボタンとして構成され、使用者の操作に応じた信号を制御部11に出力する。
【0036】
スピーカ16は、制御部11からの音響信号に応じた音波を車室内に出力する。
表示部17は、例えばLCD(液晶表示装置)として構成されており、制御部11からの映像信号に応じた画像を表示する。
【0037】
近距離無線通信モジュール18は、例えば、赤外線通信モジュールや、ブルートゥースモジュールとして構成されており、当該ナビゲーション装置10がこの装置10に近接して位置する他の近距離無線通信モジュールを搭載した装置(本実施形態においては携帯電話機30)と一対一で通信するためのインターフェイスとして機能する。ここで、「一対一」での通信とは、広域ネットワーク網(インターネット網や電話回線網等)を使用することなく各装置が直接的に通信を行うことを意味する。
【0038】
また、ナビゲーション装置10における近距離無線通信モジュール18は、通信可能エリアが当該車両の内部およびその周囲(例えば半径10m程度の範囲内)に設定されている。このため、本実施形態においてナビゲーション装置10は、携帯電話機30がこの通信可能エリア内に位置するとき(即ち、近接しているとき)に、携帯電話機30との間でデータの交換(共有)ができるように設定されている。
【0039】
次に、携帯電話機30は、CPU、ROM、RAM等を備えた周知のマイクロコンピュータとして構成された処理部31を中心に構成されており、この処理部31には、GPS受信機32、アプリケーション記憶部33、入力部34、対基地局通信部35、近距離無線通信モジュール36、表示部37、およびスピーカ38が接続されている。
【0040】
GPS受信機32、近距離無線通信モジュール36、表示部37、およびスピーカ38は、ナビゲーション装置10に搭載された各部と同様の構成であり、これらの各部32,36〜38は、処理部31との間で各種信号のやりとりを実施する。
【0041】
アプリケーション記憶部33は、処理部31により実行可能なアプリケーションが格納されている。なお、処理部31のRAM等のメモリには、アプリケーション記憶部33や処理部31のROM等のメモリに格納された各種アプリケーションの一覧を示す機能リストが格納されている。
【0042】
入力部34は、例えば、携帯電話機30を用いて電話番号を入力する際等に使用される複数の番号キーや機能を切り替える際に使用されるメニューキー等の複数のボタンを備え、操作されたボタンに応じた信号を処理部31に出力する。なお、後述する各種処理が実行される際には、入力部34が操作されることによりナビゲーション装置10からの近距離無線通信モジュール36を介して入力される信号を受け付け可能な通信モードに切り替えられることになる。
【0043】
対基地局通信部35は、携帯電話通信網と接続された基地局に対して無線通信するための機能を有する。
ここで、対基地局通信部35は、複数の基地局から発せられる電波の電波強度を検出し、このうち電波強度が予め設定された閾値レベルよりも強いものを選択して接続するよう構成されており、複数の基地局からの電波強度に応じて携帯電話機30の現在地を検出する。そして、処理部31は、GPS受信機32による検出結果、および複数の基地局からの電波強度を総合的に組み合わせることにより、精度よく携帯電話機30の現在地を検出する。
【0044】
また、本実施形態におけるアプリケーション記憶部33には、特に、ナビゲーションソフトが格納されており、処理部31は、入力部34が操作されることによりナビゲーションモードに設定されたときに、携帯電話機30の現在地に応じた地図を表示部37に表示させる処理を実行する。また、入力部34や近距離無線通信モジュール36を介して目的地が入力されると、携帯電話機30の使用者をこの目的地まで誘導する処理を実施する(案内機能:誘導手段)。
【0045】
さらに、ナビゲーション装置10の制御部11や携帯電話機30の処理部31は、後述するようにナビゲーション装置10および携帯電話機30間でデータを共有する機能を利用した各種処理を実行する。これらの処理については、順を追って以下に説明する。
【0046】
なお、ナビゲーション装置10は本発明でいう車載装置に相当し、携帯電話機30は本発明でいう移動端末装置に相当する。また、ナビゲーション装置10におけるGPS受信機13は車両現在地検出手段に相当し、携帯電話機30におけるGPS受信機32は端末現在地検出手段に相当する。さらに、近距離無線通信モジュール18,36は、本発明でいう送信手段、受信手段、および位置情報受信手段に相当する。
【0047】
[現在地補正処理(接続処理)]
まず、ナビゲーション装置10が携帯電話機30により検出された携帯電話機30の現在地の情報を利用して、ナビゲーション装置10が検出する車両の現在地を補正する処理について図2〜図4を用いて説明する。図2はナビゲーション装置10の制御部11が実行する現在地補正処理を示すフローチャート、図3はナビゲーション装置10の制御部11および携帯電話機30の処理部31が実行する接続処理を示すフローチャート、図4はナビゲーション装置10の制御部11および携帯電話機30の処理部31が実行する現在地情報取得処理を示すフローチャートである。
【0048】
図2に示す現在地補正処理は、ナビゲーション装置10が起動されると繰り返し実行される処理であって、ナビゲーション装置10(GPS受信機13および制御部11によるマップマッチング)による現在地検出精度が、高層ビルが林立する都市部で悪化することを解決するための処理である。
【0049】
まず、S110〜S130の処理にて、車両における現在地の検出精度が良好であるか否かを判定する(精度判定手段)
具体的には、GPS受信機13による検出信号の受信状況が良好であるか否かを判定する(S110)。この処理においては、GPS受信機13が予め設定された数(例えば5個)以上のGPS衛星からの信号を捕捉していれば、受信状態が良好であると判断し、この数未満のGPS衛星からの信号しか捕捉していなければ、受信状況が不良であると判断する。
【0050】
GPS受信機13による検出信号の受信状況が良好であれば(S110:YES)、現在地の補正をする必要はないものとして、S110の処理を繰り返す。また、GPS受信機13による検出信号の受信状況が不良であれば(S110:NO)、GPS受信機13の検出信号に基づいて検出された車両の現在地が、マップデータ記憶部12に格納されている地図データの都市部(つまり、所定スケールの詳細な地図データが存在する場所)に該当するか否かを判定する(S120)。
【0051】
車両の現在地が地図データの都市部に該当しなければ(S120:NO)、現在地の補正をする必要はないものとして、S110以下の処理を繰り返す。また、車両の現在地が地図データの都市部に該当すれば(S120:YES)、ナビゲーション装置10により検出した現在地の精度が悪いものとして(S130)、S140〜S160にて携帯電話機30から携帯電話機30の現在地の情報を取得する処理を実施する。
【0052】
具体的には、始めに接続処理を実施する(S140)。この接続処理においては、図3に示すような処理を実施する。即ち、携帯電話機30においてもナビゲーション装置10における接続処理に対応した接続処理が実施される。なお、携帯電話機30における接続処理は、携帯電話機30が近距離無線通信モジュール36を介して入力される信号を受け付け可能な通信モードに切り替えられたときに開始される。
【0053】
ナビゲーション装置10における接続処理は、まず、携帯電話機30と既に接続済みであるか否かを判定する(S210)。既に接続済みであれば(S210:YES)、ナビゲーション装置10と携帯電話機30とが接続(通信)できない状態を表すエラーフラグをOFF(つまり通信可能な旨を示す状態)に設定し(S300)、接続処理を終了する。
【0054】
なお、携帯電話機30における接続処理においては、ナビゲーション装置10による接続処理と同様に、まず、ナビゲーション装置10と既に接続済みであるか否かを判定する(S410)。既に接続済みであれば(S410:YES)、接続処理を終了する。
【0055】
また、未接続であれば(S410:NO)、ナビゲーション装置10からの呼び出しがあったか否かを判定し(S420)、呼び出しがなければ(S420:NO)、呼び出しがあるまでS420の処理を繰り返す。
【0056】
さて、ナビゲーション装置10においては、携帯電話機30と未接続であれば(S210:NO)、制御部11のRAM等のメモリに格納された所定の携帯電話機30の呼び出しを行う(S220)。そして、携帯電話機30から応答があるまで所定時間(例えば2秒)待機し(S230:NO、S240:NO)、所定時間内に携帯電話機30から応答があれば(S230:YES)、S250〜S270にて認証処理を実施する。
【0057】
また、所定時間内に携帯電話機30から応答がなければ(S230:NO、S240:YES)、エラーフラグをONに設定し(S280)、接続処理を終了する。
携帯電話機30においては、ナビゲーション装置10からの呼び出しがあれば(S420:YES)、この呼び出しに対する応答をナビゲーション装置10に対して送信する(S430)。そして、S440〜S470,S490にて認証処理を実施する。
【0058】
ナビゲーション装置10における認証処理は、まず、携帯電話機30に対して認証情報を送信する(S250)。ここで、認証情報としては、認証ID(例えばナビゲーション装置10の製造番号等の固有の識別子)および認証キー(暗証番号やパスワード)を送信する。
【0059】
そして、携帯電話機30から認証が成功した旨の応答があるまで所定時間(例えば2秒)待機し(S260:NO、S270:NO)、所定時間内に携帯電話機30から応答があれば(S260:YES)、ナビゲーション装置10を携帯電話機30との間で自由にデータのやりとりを実行可能な接続状態に設定し(S290)、エラーフラグをOFFに設定し(S300)、接続処理を終了する。
【0060】
また、所定時間内に携帯電話機30から認証が成功した旨の応答がなければ(S260:NO、S270:YES)、エラーフラグをONに設定し(S280)、接続処理を終了する。
【0061】
一方、携帯電話機30における認証処理においては、ナビゲーション装置10から認証情報を受信するまで所定時間(例えば2秒)待機し(S440:NO、S490:NO)、所定時間内にナビゲーション装置10から応答があれば(S440:YES)、受信した認証情報が予め携帯電話機30のROM等のメモリに格納された認証データと一致することを確認し(S450)、これらが一致していれば(S460:YES)、認証が成功したものとしてその旨をナビゲーション装置10に対して送信する(S470)。
【0062】
そして、ナビゲーション装置10と携帯電話機30とが自由にデータをやりとりすることができる接続許可状態に設定し(S480)、接続処理を終了する。
一方、所定時間内にナビゲーション装置10から認証情報を受信できなかった場合(S440:NO、S490:YES)、および受信した認証情報が認証データと一致しなかった場合(S460:NO)には、認証ナビゲーション装置10を携帯電話機30との間でデータのやりとりを禁止する接続拒否状態に設定し(S500)、接続処理を終了する。
【0063】
接続処理を終了すると、図2の現在地補正処理に戻り、接続処理にてエラーフラグがON状態にされたか否かを判定する(S150)。エラーフラグがON状態であれば(S150:YES)、携帯電話機30との接続が確立できていないことを意味するため、このまま現在地補正処理を終了する。
【0064】
また、エラーフラグがOFF状態であれば(S150:NO)、携帯電話機30との接続が確立された状態であるので、携帯電話機30から現在地の情報を取得する現在地情報取得処理を実施する(S160)。この処理においては、図4に示すような処理を実施する。なお、携帯電話機30においては、ナビゲーション装置10との接続が確立されると接続処理と並行して現在地情報提供処理を実施する。
【0065】
ナビゲーション装置10における現在地情報取得処理では、まず、機能リスト交換処理を実施する(S610)。この処理では、それぞれのRAM等のメモリに格納された機能リストを交換する処理である。
【0066】
続いて、ナビゲーション装置10では、携帯電話機30から受信した機能リストをRAM等のメモリに記録し(S620)、この機能リストの中に前述の案内機能の一部分の機能である現在地機能(現在地表示機能(自己の現在地を検出し、地図とともに自己の現在地を表示させる機能)や、現在地検索機能(自己の現在地を検出し、その現在地の情報(緯度経度の情報)を外部に送信したり数字で表示したりする機能等))が含まれているか否かを判定する(S630)。現在地機能が含まれていなければ(S630:NO)現在地情報取得処理を終了する。
【0067】
また、現在地機能が含まれていれば(S630:YES)、携帯電話機30に対して現在地情報を含む各種情報を要求し(S640:現在地情報要求手段)、この要求に対応するデータを受信し(S650:現在地情報受信手段)、現在地情報取得処理を終了する。
【0068】
一方携帯電話機30における現在地情報提供処理においては、まず、S610の処理に対応して機能リスト交換処理を実施する(S710)。そして、ナビゲーション装置10から現在地情報を含む各種情報の要求があるまで所定時間(例えば2秒)待機し(S720:NO、S730:NO)、所定時間内に携帯電話機30から各種情報の要求があれば(S720:YES)、携帯電話機30の現在地の情報を含む各種情報をナビゲーション装置10に送信し(S740:現在地情報提供手段)、現在地情報提供処理を終了する。
【0069】
また、所定時間内にナビゲーション装置10から各種情報の要求がなければ(S720:NO、S730:YES)、現在地情報提供処理を終了する。
以上のような現在地情報取得処理(現在地情報提供処理)が終了すると、図2の現在地補正処理に戻り、携帯電話機30から取得した携帯電話機30の現在地の情報と、既に検出した車両の現在地の情報とを総合的に判断することにより、車両の現在地を補正する(S170:補正手段)。ここで、ナビゲーション装置10および携帯電話機30は、別々のGPS受信機13,32を用いて現在地の検出を実施しているので、この処理(S170)においては、例えば、より多くのGPS衛星を捕捉できたGPS受信機13,32からの信号を採用するようにすればよい。また、ナビゲーション装置10は、GPS受信機13,32による検出結果に加えて、携帯電話機30が基地局からの電波強度に応じて検出した現在地の情報も使用することができるので、現在地の検出精度をより向上させることができるのである。
【0070】
[情報提供処理]
続いて、携帯電話機30がナビゲーション装置10から情報の提供を受ける処理について、図5を用いて説明する。図5はナビゲーション装置10の制御部11が実行する周辺情報提供処理を示すフローチャートである。
【0071】
この処理では、制御部11が、入力部15を介して情報提供指示を受けたときや、車両が駐車されたことを検出したときに、車両の現在地の情報や、車両周辺の情報等を携帯電話機30に対して提供する処理である。
【0072】
周辺情報提供処理は、まず、入力部15や近距離無線通信モジュール18を介して情報提供指令が入力されたか否かを判定する(S810)。情報提供指令が入力されていれば(S810:YES)、S860に移行する。
【0073】
一方、情報提供指令が入力されていなければ(S810:NO)、S820〜S850の処理にて、車両が駐車したか否かを判定する(駐車状態判定手段)。
即ち、車速が0であるか否か(S820)、パーキング状態であるか否か(S830)、およびイグニッションSWの状態がOFFであるか否か(S840)を判定する各種処理を実施し、これらの何れかの処理で否定判定されれば、車両が駐車状態ではないものとしてS810の処理に戻る。
【0074】
一方、S820〜S840の全ての処理において肯定判定されれば、車両が駐車されたと判定し(S850)、S860に移行する。
続いて、前述の接続処理と同様の処理を実施し(S860)、接続処理にてエラーフラグがON状態にされたか否かを判定する(S870)。エラーフラグがON状態であれば(S870:YES)、携帯電話機30との接続が確立できていないことを意味するため、このまま周辺情報提供処理を終了する。
【0075】
また、エラーフラグがOFF状態であれば(S870:NO)、車両の現在地の検出結果(緯度、経度の情報)、および車両の現在地に応じて地図データを検索することにより当該車両が位置する駐車場名が検索できた場合には、この駐車場名の情報を携帯電話機30に対して近距離無線通信モジュール18を介して送信する(S880:位置情報送信手段)。
【0076】
なお、携帯電話機30の処理部31は、これらのデータを受信すると、受信したデータを、例えば地図データ上に重ねて表示させたり、ナビゲーションモードに切り替えられた際に、受信した車両の現在地を目的地に設定したりすることにより、車両の現在地まで使用者を案内する。
【0077】
続いて、車両の現在地周辺(例えば、車両の現在地を中心に徒歩圏内(半径2km以内))の店舗や施設の情報を携帯電話機30に対して送信し(S890:周辺情報送信手段)、この処理が完了すると周辺情報提供処理を終了する。
【0078】
[使用制限処理]
次に、車両の走行中には携帯電話機30が有する機能の作動を制限する処理について図6を用いて説明する。図6はナビゲーション装置10の制御部11および携帯電話機30の処理部31が協働して実行する使用制限処理を示すフローチャートである。なお、携帯電話機30における使用制限処理は、携帯電話機30が通信モードに切り替えられている際に、上記他の処理と並行して繰り返し実行される処理である。
【0079】
ナビゲーション装置10における使用制限処理は、まず、S910〜S940の処理にて、車両の走行状態に変化があったか否かを判定する。
即ち、外部入力される車速信号およびパーキング状態信号を検出し(S910:走行状態検出手段)、今回取得した車速信号と前回取得した車速信号とを比較することにより車速が変化したか否かを判定する(S920)。
【0080】
車速が変化していれば(S920:YES)、車両の走行状態を表す車両情報が変更されたと判定する(S940)。
一方、車速に変化がなかった場合には(S920:NO)、今回取得したパーキング状態信号と前回取得したパーキング状態信号とを比較することによりパーキング状態が変化したか否かを判定する(S930)。パーキング状態に変化がなければ(S930:NO)、車両の走行状態が変化していないものとしてS910以下の処理を繰り返す。また、パーキング状態に変化があれば(S930:YES)、車両の走行状態を表す車両情報が変更されたと判定する(S940)。
【0081】
続いて、前述の接続処理を実施する(S950)。この処理をナビゲーション装置10にて実行すると、携帯電話機30が通信モードに切り替えられていれば、携帯電話機30においても接続処理が実施される(S1010)。
【0082】
ナビゲーション装置10において接続処理が終了すると、接続処理にてエラーフラグがON状態にされたか否かを判定する(S960)。エラーフラグがON状態であれば(S960:YES)、携帯電話機30との接続が確立できていないことを意味するため、このまま使用制限処理を終了する。
【0083】
また、エラーフラグがOFF状態であれば(S960:NO)、変化があった車両情報(ここでは車速信号およびパーキング状態信号)を携帯電話機30に送信し(S970:走行状態送信手段)、この処理が終了すると、使用制限処理を終了する。
【0084】
ここで、携帯電話機30においては、接続処理が終了するとナビゲーション装置10から送信された車両情報を取得する(S1020:走行状態受信手段)。そして、S1030〜S1050の処理にて、車両が走行しているか否かを判定する(走行判定手段)。
【0085】
即ち、まず、受信した車両情報に基づいて車両がパーキング状態であるか否かを判定し(S1030)、車両がパーキング状態でない場合には(S1030:YES)、車速が0であるか否かを判定する(S1040)。
【0086】
車両がパーキング状態である場合(S1030:YES)、および車速が0でない場合(S1040:YES)には、車両が停止しているものとして、携帯電話機30の使用制限を解除し(S1070)、携帯電話機30における使用制限処理を終了する。また、車速が0ではない場合には(S1040:NO)、車両が走行しているものとして(S1050)、携帯電話機30の使用を制限し(S1060:作動制限手段)、携帯電話機30における使用制限処理を終了する。
【0087】
ここで、使用制限処理において制限される携帯電話機30の機能としては、例えば、ハンズフリー機能を除く通話機能や、動画の視聴機能等が挙げられる。
[本実施形態による効果]
以上のように詳述した通信システム1においては、ナビゲーション装置10が携帯電話機30に対して一対一で通信するよう構成されている。そして、携帯電話機30およびナビゲーション装置10(ROM,RAM等のメモリを含む)に備えられた近距離無線通信モジュール18,36は、自己の記憶部に格納されたデータの少なくとも一部を送信する。また、携帯電話機30およびナビゲーション装置10に備えられた近距離無線通信モジュール18,36は、他の装置から送信されたデータを受信する。
【0088】
このような通信システム1によれば、携帯電話機30とナビゲーション装置10とが、一対一で通信を行うことによりデータを互いに取得することができるので、広域通信網における通信帯域を無駄に占有することなく、必要なデータを取得することができる。
【0089】
また、ナビゲーション装置10は、車両の現在地を検出するGPS受信機13を備え、現在地補正処理にて、GPS受信機13により検出された車両の現在地の検出精度が予め設定された基準精度よりも良好であるか否かを判定する。そして、車両の現在地の検出精度が基準精度よりも不良である場合に、携帯電話機30に対して現在地情報を要求する。
【0090】
携帯電話機30は、GPS受信機32を備え、GPS受信機32による検出結果、および携帯電話機30の対基地局通信部35により受信される電波強度に応じて携帯電話機30の現在地を検出する。そして、携帯電話機30は、ナビゲーション装置10から現在地情報の要求を受けると、検出された携帯電話機30の現在地の情報をナビゲーション装置10に対して送信する。
【0091】
そして、ナビゲーション装置10では、現在地情報の要求後に、携帯電話機30から送信された現在地情報を受信する。
従って、このような通信システム1によれば、ナビゲーション装置10において現在地測定精度が不良であるときには、携帯電話機30が検出した現在地情報を取得することができるので、ナビゲーション装置10における現在地の測定精度を向上させることができる。
【0092】
特に本実施形態においては、携帯電話機30におけるGPS受信機32が、ナビゲーション装置10におけるGPS受信機13とは異なる手法により現在地を検出するので、車両の現在地の検出精度をより向上させることができる。
【0093】
さらに、ナビゲーション装置10は、現在地補正処理において、受信した携帯電話機30の現在地の情報と、GPS受信機13により検出した車両の現在地の情報とに基づいて、車両の現在地を補正する。
【0094】
このような通信システム1によれば、受信した携帯電話機30の位置情報に基づいて車両の現在地を補正することができるので、車両の現在地を精度よく検出することができる。
【0095】
また、ナビゲーション装置10は、周辺情報提供処理にて車両が駐車状態になったか否かを判定し、車両が駐車状態になったと判定されると、携帯電話機30に対して、少なくともGPS受信機13により検出された車両の現在地の情報を送信する。また、携帯電話機30は、周辺情報提供処理にてナビゲーション装置10から送信された車両の現在地の情報を受信する。
【0096】
従って、このような通信システム1によれば、車両の使用者(運転者)が車両を駐車して車両から離れたとしても、携帯電話機30は車両の現在地の情報を受信しているので、車両の使用者が携帯電話機30を所持して行動すれば、車両の位置を容易に把握することができる。
【0097】
特に多くの車両を駐車可能な駐車場に車両を駐車した際に、車両の駐車場所が分からなくなってしまうことを防止することができる。
さらに、携帯電話機30は、検出された携帯電話機30の現在地の情報、および予め記憶部に格納された地図情報に基づいて、この携帯電話機30の使用者を車両の現在地まで誘導するナビゲーション機能を備えている。
【0098】
従って、このような通信システム1によれば、携帯電話機30の現在地と車両の現在地とを対応付けながら車両の位置に携帯電話機30の使用者を誘導することができる。よって、携帯電話機30の使用者が迷うことなく車両の位置まで誘導することができる。
【0099】
加えて、ナビゲーション装置10は、外部指令を受けたとき、或いは車両が駐車状態になったと判定されたときに、このナビゲーション装置10の記憶部に格納された各種情報のうち、GPS受信機13により検出された車両の現在地の周辺の情報を送信する。
【0100】
このような通信システム1によれば、ナビゲーション装置10は携帯電話機30に対して、車両の現在地だけでなく、車両の周辺の情報も送信するので、携帯電話機30の使用者は、車両から離れたとしても車両に格納された情報のうち、必要な情報(車両周辺の情報)を携帯電話機30に保持させた状態で移動することができる。
【0101】
また、ナビゲーション装置10は、使用制限処理にて車両の走行状態を検出し、車両の走行状態の情報を携帯電話機30に対して送信する。そして、携帯電話機30は、ナビゲーション装置10から送信された車両の走行状態の情報を受信し、受信した情報に基づいて、車両が走行しているか否かを判定する。車両が走行していると判定されると、この携帯電話機30が有する機能の少なくとも一部の機能における作動を制限する。
【0102】
このような通信システム1によれば、車両が走行状態であるときには、携帯電話機30の機能における作動を制限することができるので、車両の走行中に携帯電話機30が操作されることによる車両事故を防止することができる。
【0103】
[その他の実施形態]
本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0104】
例えば、本実施例の通信システム1においては、上記現在地補正処理において、S170の処理を省略して、単に携帯電話機30により検出された現在地の情報を取得するのみに留めておいてもよい。
【0105】
この場合においてナビゲーション装置10の制御部11は、例えば、図7(a)に示すように、ナビゲーション装置10にて検出された現在地、および想定される誤差範囲をナビ検出現在地マーク51として表示部17に表示させるようにすればよい。このとき、制御部11は、携帯電話機30から取得した現在地、および想定される誤差範囲を携帯検出現在地マーク52としてナビ検出現在地マーク51と重ねて表示部17に表示させるようにすればよい。
【0106】
なお、この場合、各マーク51,52の大きさ(ここでは円の大きさ)が誤差範囲の大きさを示し、各マーク51,52が大きいほど誤差範囲が大きく現在地の検出精度が不良であることを示す。また、この誤差範囲は、携帯電話機30が電波を検出した基地局の数およびその配置、捕捉したGPS衛星の数およびその配置等の各種条件を予め設定された数式に当てはめることにより演算される。
【0107】
また、図7(b)に示すように、各マーク51,52をそれぞれ別画像で表示するようにしてもよい。ここで、現在地情報提供処理(図4)のS740の処理にて、携帯電話機30から、現在地の情報に加えて、この現在地の周辺の情報(店舗や施設の情報)を取得している場合には、携帯検出現在地マーク52を表示させる画像上に、取得した現在地周辺の情報を表示させてもよい。このようにすれば、ナビゲーション装置10および携帯電話機30が有する情報を互いに補完して表示させることができる。
【0108】
また、携帯電話機30がテレビ放送を受信して表示させる機能を有する場合等には、携帯電話機30にて表示させる画像をナビゲーション装置10の表示部17に表示させるよう設定してもよい。
【0109】
この場合には、ナビゲーション装置10が携帯電話機30からのテレビ視聴モードに設定された際に前述の現在地情報取得処理を開始し、現在地情報取得処理のS630にて、携帯電話機30にテレビ放送受信機能を備えているか否かを判定し、携帯電話機30はS740の処理にてテレビ画像をナビゲーション装置10に転送するようにすればよい。
【0110】
なお、テレビ画像に限らず、携帯電話機30にて表示する画像をナビゲーション装置10に転送するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】通信システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】現在地補正処理を示すフローチャート、
【図3】接続処理を示すフローチャート
【図4】現在地情報取得処理および現在地情報提供処理を示すフローチャートである。
【図5】周辺情報提供処理を示すフローチャートである。
【図6】使用制限処理を示すフローチャートである。
【図7】ナビゲーション装置における車両の現在地の表示例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0112】
1…通信システム、10…ナビゲーション装置、11…制御部、12…マップデータ記憶部、13…GPS受信機、14…ジャイロセンサ、15…入力部、16…スピーカ、17…表示部、18…近距離無線通信モジュール、30…携帯電話機、31…処理部、32…GPS受信機、33…アプリケーション記憶部、34…入力部、35…対基地局通信部、36…近距離無線通信モジュール、37…表示部、38…スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者により所持される移動端末装置と、
車両に搭載され、近接して配置された前記移動端末装置に対して一対一で通信可能に構成された車載装置と、
を備え、
前記移動端末装置および前記車載装置のうちの少なくとも一方の装置は、外部要求を受けると自己の記憶手段に格納されたデータの少なくとも一部を前記移動端末装置および前記車載装置のうちの他方の装置に送信する送信手段を備え、
前記移動端末装置および前記車載装置のうちの少なくとも他方の装置は、前記送信手段により送信されたデータを受信する受信手段を備えたこと
を特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記車載装置は、
当該車載装置が搭載された車両の現在地を検出する車両現在地検出手段と、
前記車両現在地検出手段により車両の現在地を検出したときの検出条件に基づいて、前記車両の現在地の検出精度が予め設定された基準精度よりも良好であるか否かを判定する精度判定手段と、
前記精度判定手段により前記車両の現在地の検出精度が前記基準精度よりも不良であると判定された場合に、前記移動端末装置に対して現在地情報を要求する現在地情報要求手段と、
前記現在地情報要求手段による要求後に、前記移動端末装置から送信された現在地情報を受信する前記受信手段としての現在地情報受信手段と、
を備え、
前記移動端末装置は、
当該移動端末装置の現在地を検出する端末現在地検出手段と、
前記車載装置から現在地情報の要求を受けると、前記端末現在地検出手段により検出された移動端末装置の現在地の情報を前記車載装置に対して送信する前記送信手段としての現在地情報提供手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記車載装置は、
前記現在地情報受信手段により受信した移動端末装置の現在地の情報と、前記車両現在地検出手段により検出した車両の現在地の情報とに基づいて、車両の現在地を補正する補正手段を備えたこと
を特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記車載装置は、
当該車載装置が搭載された車両の現在地を検出する車両現在地検出手段と、
前記車両が駐車状態になったか否かを判定する駐車状態判定手段と、
前記駐車状態判定手段により前記車両が駐車状態になったと判定されると、前記移動端末装置に対して、少なくとも前記車両現在地検出手段により検出された車両の現在地の情報を送信する前記送信手段としての位置情報送信手段と、
を備え、
前記移動端末装置は、
前記車載装置から送信された車両の現在地の情報を受信する前記受信手段としての位置情報受信手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記移動端末装置は、
当該移動端末装置の現在地を検出する端末現在地検出手段と、
前記端末現在地検出手段により検出された移動端末装置の現在地の情報、および予め記憶手段に格納された地図情報に基づいて、当該移動端末装置の使用者を前記車両の現在地まで誘導する誘導手段と、
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記車載装置は、
外部指令を受けたとき、或いは前記駐車状態判定手段により前記車両が駐車状態になったと判定されたときに、当該車載装置の記憶手段に格納された各種情報のうち、前記車両現在地検出手段により検出された車両の現在地の周辺の情報を送信する周辺情報送信手段
を備えたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記車載装置は、
車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
前記走行状態検出手段により検出された車両の走行状態の情報を前記移動端末装置に対して送信する前記送信手段としての走行状態送信手段と、
を備え、
前記移動端末装置は、
前記車載装置から送信された車両の走行状態の情報を受信する前記受信手段としての走行状態受信手段と、
前記走行状態受信手段により受信された情報に基づいて、前記車両が走行しているか否かを判定する走行判定手段と、
前記走行判定手段により前記車両が走行していると判定されると、当該移動端末装置が有する機能の少なくとも一部の機能における作動を制限する作動制限手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−48051(P2008−48051A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−220233(P2006−220233)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】