説明

道路通信システム,通信端末,データ再生処理方法およびデータ再生用プログラム

【課題】緊急性が高い特定の情報を効果的に再生処理をすること。
【解決手段】車載器200は、路側無線装置100から受信したデータから特定の受信コンテンツデータであるか否かを判定し、特定の受信コンテンツデータであると判定した場合に優先的に特定の受信コンテンツデータを再生させるように再生部へ命令する処理を行うと共に、特定の受信コンテンツデータの一部を路側無線装置100から受信したか否かを判定し、受信したと判定した場合において、予め車載器200の記憶部に記録されている特定の受信コンテンツデータパターンと受信したデータを比較して送信されてくる特定の受信コンテンツデータを予測し、予測された特定の受信コンテンツデータを再生させる処理をおこなう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路通信システム,通信端末,データ再生処理方法およびデータ再生用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路などを走行する車両に対し、道路に沿って設置されている路側無線装置から避難誘導情報を車載器へ送信し、乗員を安全に誘導し避難させるシステムが知られている。(特許文献1参照)。また、情報通信技術を用いて人と道路と車両とを関連付けて、交通事故、渋滞などといった道路交通問題の解決を目的に新しい交通システムであるITS(Inteligent Transport System)が、日本において構築されつつある。
【0003】
【特許文献1】特開2007−193650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によって、乗員が道路の非常用設備情報をリアルタイムで受信可能となることから、落ち着いて避難することは可能となる。しかし、次のような重要な2つの問題を解決していない。
【0005】
第1の問題は、特許文献1では、避難が必要である事件の発生を乗員に伝えられるものではなく、乗員が事件を確認したら緊急ボタンを押下しなければならない。これでは、他の車両を運転している人にとっては、安全性が十分高いものとは言えない。
【0006】
第2の問題は、次の点である。第1の問題を解決するため、仮に他の乗用車が道路上で炎上している場合にその事故を感知できるようにし、感知した情報を他の車両に通知できるシステムを構築したとする。しかし、このようなシステムを構築した場合、同時に再生するべき情報として路側無線装置から動画、画像、文字、音声といった複数の受信コンテンツデータが送信されたときは、全ての受信コンテンツデータの受信が完了しなければ、緊急情報の再生処理をおこなうことができない。
【0007】
たとえば、当該緊急情報の動画、文字情報、音声データそれぞれが同時に再生するべき受信コンテンツデータとして送信された場合には、仮に音声データの受信が完了していても、その他の文字情報や動画データなどが受信完了していなければ、再生処理をすることができない。すなわち第2の問題は、特定の受信コンテンツデータや緊急情報のみを乗員へ提供することができない。
【0008】
上述したITSでは、見えないカーブ先の渋滞情報がわかるように通知されるといわれており、これが実現すると追突事故などの危険性が減少し、上述した第1の問題をある程度解決することができる。しかし、上述した第2の問題に対しては、解決を図っていない。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するべく、路側無線装置側から送られた送信データ、たとえば安全運転支援情報などの緊急性が高い特定の情報を効果的に再生処理をする道路通信システム,通信端末,データ再生処理方法およびデータ再生用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明は、道路側に設置された路側無線装置と、車両に搭載され上記路側無線装置の通信部から送信されたデータを受信して再生する車載器と、を備えた道路通信システムであって、車載器の制御部は、路側無線装置から受信したデータが特定の受信コンテンツデータであるか否かを判定し、特定の受信コンテンツデータであると判定した場合に優先的に特定の受信コンテンツデータを再生させるように再生部へ命令する処理を行うと共に、特定の受信コンテンツデータの一部を路側無線装置から受信したか否かを判定し、受信したと判定した場合において、予め車載器の記憶部に記録されている特定の受信コンテンツデータパターンと受信したデータを比較して送信されてくる特定の受信コンテンツデータを予測し、予測された特定の受信コンテンツデータを再生させる処理をおこなうことを特徴とする。
【0011】
他の発明は、道路側に設置された路側無線装置と、車両に搭載され路側無線装置の通信部から送信されたデータを受信して再生する車載器と、を備えた道路通信システムであって、車載器の制御部は、路側無線装置から受信したデータが特定の受信コンテンツデータであるか否かを判定し、特定の受信コンテンツデータであると判定した場合に優先的に特定の受信コンテンツデータを再生させるように再生部へ命令する処理を行うと共に、特定の受信コンテンツデータを構成する一部のデータを路側無線装置から全て受信したか否かを判定し、全てを受信できなかったと判定した場合、受信した一部のデータと予め記録されている特定の受信コンテンツデータのパターンを比較し、比較した結果から送信されてくる特定の受信コンテンツデータを推測し、推測された特定の受信コンテンツデータのパターンを再生させる処理を行うことを特徴とする。
【0012】
更に他の発明は、道路側に設置された路側無線装置と、車両に搭載され路側無線装置の通信部から送信されたデータを受信して再生する車載器と、を備えた道路通信システムであって、車載器の制御部は、路側無線装置から受信したデータが特定の受信コンテンツデータであるか否かを判定し、特定の受信コンテンツデータであると判定した場合に優先的に特定の受信コンテンツデータを再生させるように再生部へ命令する処理を行うと共に、その処理は、路側無線装置から受信した複数の受信コンテンツデータのうち、安全運転にとって緊急性が高い情報を、安全運転にとって緊急性が低い他の受信コンテンツデータより優先して再生させる処理を行うことを特徴とする。
【0013】
更に他の発明は、上述の発明に加えて、路側無線装置は記憶部、制御部および通信部を有し、車載器は、記憶部、制御部、通信部および再生部を有し、路側無線装置に対して複数の受信コンテンツデータを提供する情報提供サーバとを更に有し、路側無線装置の制御部は、情報提供サーバから送信された複数の受信コンテンツデータを路側無線装置の記憶部に記録する手段と、路側無線装置の記憶部に記録された受信コンテンツデータを所定のパケット単位に分割する手段と、受信コンテンツデータを分割したデータにヘッダ情報を付与する手段と、を備え、路側無線装置の通信部は、ヘッダ情報を付与した分割データを複数回送信する手段と、を備え、車載器の制御部は、ヘッダ情報に基づいて分割データを受信コンテンツデータとして再構成する手段と、分割データから特定の受信コンテンツデータであるか否かを判定する手段と、特定の受信コンテンツデータの再生処理をする手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
更に他の発明は、記憶部、制御部、通信部および再生部を有する通信端末であって、通信端末の制御部は、受信した分割データのヘッダ情報に基づいて受信コンテンツデータを再構成する手段と、分割データから特定の受信コンテンツデータであるか否かを判定する手段と、特定の受信コンテンツデータである場合には優先的に特定の受信コンテンツデータを再生させるように再生部へ命令する手段と、更に下記の(A)〜(D)のいずれか一つまたは複数の手段を有し、(A)特定の受信コンテンツデータの一部である分割データを受信したと判定した場合において、予め記憶部に記録されている特定の受信コンテンツデータのパターンと受信した分割データを比較して送信されてくる特定の受信コンテンツデータを予測する手段と、予測された特定の受信コンテンツデータを再生させるように再生部へ命令する手段と(B)特定の受信コンテンツデータを構成する分割データを全て受信できなかったと判定した場合において、受信した分割データと予め記録されている特定の受信コンテンツデータのパターンを比較する手段と、比較した結果から送信されてくる特定の受信コンテンツデータを推測する手段と、推測された特定の受信コンテンツデータを再生させるように再生部へ命令する手段と、(C)特定の受信コンテンツデータを構成する分割データを全て受信できなかったと判定した場合において、受信した分割データから一部を抽出する手段と、抽出した一部のデータを再生部に再生するように命令する手段と、(D)特定の受信コンテンツデータの一部または全部を受信したと判定した場合において受信した複数の受信コンテンツデータのうち、安全運転にとって緊急性が高い特定の受信コンテンツデータを安全運転にとって緊急性が低い他の受信コンテンツデータより優先して再生部に再生するように命令する手段と、再生部は、(A)〜(D)いずれかひとつまたは複数の手段に基づいて情報の再生処理をする手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
更に他の発明は、記憶部および再生部を有する通信端末に用いるデータ再生処理方法であって、受信した分割データのヘッダ情報に基づいて受信コンテンツデータを再構成するステップと、分割データから特定の受信コンテンツデータであるか否かを判定するステップと、特定の受信コンテンツデータである場合には優先的に特定の受信コンテンツデータを再生させるように再生部へ命令するステップと、更に下記の(A)〜(D)のいずれかひとつまたは複数のステップを有し、(A)特定の受信コンテンツデータの一部である分割データを受信したと判定した場合において、予め記憶部に記録されている特定の受信コンテンツデータのパターンと受信した分割データを比較して送信されてくる特定の受信コンテンツデータを予測するステップと、予測された特定の受信コンテンツデータを再生させるように再生部へ命令するステップと、(B)特定の受信コンテンツデータを構成する分割データを全て受信できなかったと判定した場合において、受信した分割データと予め記録されている特定の受信コンテンツデータのパターンを比較するステップと、比較した結果から送信されてくる特定の受信コンテンツデータを推測するステップと、推測された特定の受信コンテンツデータを再生させるように再生部へ命令するステップと、(C)特定の受信コンテンツデータを構成する分割データを全て受信できなかったと判定した場合において、受信した分割データから一部を抽出するステップと、抽出した一部のデータを再生部に再生するように命令するステップと、(D)特定の受信コンテンツデータの一部または全部を受信したと判定した場合において受信した複数の受信コンテンツデータのうち、安全運転にとって緊急性が高い特定の受信コンテンツデータを安全運転にとって緊急性が低い他の受信コンテンツデータより優先して再生部に再生するように命令するステップと、再生部は、(A)〜(D)のステップいずれかひとつまたは複数のステップに基づいて情報の再生処理をするステップと、を備えることを特徴とする。
【0016】
更に他の発明は、記憶部および再生部を有するコンピュータを機能させるデータ再生用プログラムであって、受信した分割データのヘッダ情報に基づいて受信コンテンツデータを再構成する手段、上記分割データから特定の受信コンテンツデータであるか否かを判定する手段、上記特定の受信コンテンツデータである場合には優先的に上記特定の受信コンテンツデータを再生させるように上記再生部へ命令する手段、更に下記の(A)〜(D)のいずれかひとつまたは複数の手段、(A)上記特定の受信コンテンツデータの一部である分割データを受信したと判定した場合において、予め上記記憶部に記録されている上記特定の受信コンテンツデータのパターンと受信した上記分割データを比較して送信されてくる上記特定の受信コンテンツデータを予測する手段、予測された上記特定の受信コンテンツデータを再生させるように上記再生部へ命令する手段、(B)上記特定の受信コンテンツデータを構成する分割データを全て受信できなかったと判定した場合において、受信した上記分割データと予め記録されている上記特定の受信コンテンツデータのパターンを比較する手段、比較した結果から送信されてくる上記特定の受信コンテンツデータを推測する手段、推測された上記特定の受信コンテンツデータを再生させるように上記再生部へ命令する手段、(C)上記特定の受信コンテンツデータを構成する分割データを全て受信できなかったと判定した場合において、受信した上記分割データから一部を抽出する手段、上記抽出した一部のデータを上記再生部に再生するように命令する手段、(D)上記特定の受信コンテンツデータの一部または全部を受信したと判定した場合において受信した複数の受信コンテンツデータのうち、安全運転にとって緊急性が高い上記特定の受信コンテンツデータを安全運転にとって緊急性が低い他の受信コンテンツデータより優先して上記再生部に再生するように命令する手段、上記再生部は、上記(A)〜(D)のいずれかひとつまたは複数の手段に基づいて特定された受信コンテンツデータの再生処理をする手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、緊急性が高い特定の情報を効果的に再生処理をする道路通信システム,通信端末,データ再生処理方法およびデータ再生用プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について道路通信システムを例に説明する。
【0019】
この道路通信システムは、図1に示すように、道路、駐車場など車両が通行する場所の近傍に設置された路側無線装置100と、車両に搭載され、路側無線装置100との間で狭域通信をおこない、運転者等に送信すべき交通情報、安全運転支援情報ならびに商業情報を提供する車載器(通信端末)200と、路側無線装置100に対して上記交通情報や商業情報等の情報を供給する情報提供サーバ300と、から構成される。
【0020】
図1に示す各路側無線装置100は、いわゆる電波ビーコン(beacon)や光ビーコンを利用して、指向性のある特定の通信エリア内で高速道路等を走行する車両に搭載された車載器200と狭域通信をおこなう。各路側無線装置100は、送信対象の受信コンテンツデータおよび再生制御データ(以下、コンテンツ情報および再生制御データを併せて受信コンテンツデータという)を情報提供サーバ300から受信して、記憶する。
【0021】
(ハードウェアの機能別全体構成)
図2は、この道路通信システムの機能別構成を示す図である。路側に設置された路側無線装置100は、情報提供サーバ300から提供される複数の受信コンテンツデータを、順次通信エリア内を通過する車両に搭載されている車載器200に対して同報通信する。
【0022】
路側無線装置100は、車載器200に順次受信コンテンツデータを同報通信するために、データ更新部101、サイクリック部102、分割送信部103および通信部104を備えている。
【0023】
データ更新部101は、情報提供サーバ300から提供される複数の受信コンテンツデータLを路側無線装置100が保有する受信コンテンツデータリストに追加・更新する機能である。たとえば、情報提供サーバ300から複数のコンテンツ更新データI1〜Inの提供があると、現在提供している受信コンテンツデータリストLと比較して更新すべき受信コンテンツデータの有無を確認する。そして、当該受信コンテンツデータが存在しない場合および当該コンテンツ更新データに更新するべき場合にはそれらの受信コンテンツデータを追加・更新処理をおこなう。
【0024】
サイクリック部102は、路側無線装置100の保有している受信コンテンツデータリストLから送信するべき受信コンテンツデータを選択して分割送信部103に通知する機能である。たとえば、路側無線装置100の保有している受信コンテンツデータリストLに受信コンテンツデータN1〜Nnがあるとする。サイクリック部102は、これらの受信コンテンツデータから受信コンテンツデータN1を送信するべき受信コンテンツデータとして選択し、分割送信部103へ通知する。原則としてサイクリック部102は、受信コンテンツデータリストLの保有する受信コンテンツデータN1〜Nnを先頭からシーケンシャルに処理する。
【0025】
分割送信部103は、サイクリック部102から通知された受信コンテンツデータを所定単位に分割した分割データを作成する。そして、分割送信部103は、この分割データのヘッダ情報に分割ヘッダ情報を新たに付加し、特定の通信エリア内へ同報通信をおこなうための送信データを作成する。たとえば、分割送信部103は、サイクリック部102により選択された受信コンテンツデータN1を分割データM1〜M3として分割し、それぞれの分割データのヘッダ情報に分割ヘッダ情報H1〜H3を追加する。その後、通信部104は、分割ヘッダ情報が付加された分割データを順番に無線信号や光信号に変換して送信する。
【0026】
車載器200は、通信処理部211、分割データ組立部212、同時再生等制御部213、動画再生部214、音声情報再生部215および文字情報表示部216を備える。
【0027】
通信処理部211は、車載器200から送信された分割データを受信する機能を備える。分割データ組立部212は、順次通信処理部211によって受信した分割データM1〜M3に付加されている分割ヘッダ情報H1〜H3にもとづいて、もとの受信コンテンツデータN1として再構成する機能を備える。同時再生等制御部213は、受信した受信コンテンツデータN1〜Nnを同時に再生すべきか否か、位置情報等により再生するべき情報か否かなどの再生条件の判定をおこなう機能を備える。動画再生部214,音声情報再生部215および文字情報表示部216は、同時再生等制御部213の判定結果にもとづき、運転者に対して適宜情報提供をおこなう。
【0028】
(各装置のハードウェア構成と各部の動作)
まず、路側無線装置100のハードウェア構成を説明する。路側無線装置100のハードウェアは、図3に示すように上述した無線通信部104に加え、通信制御部111、記憶装置112、制御部113、ROM(Read Only Memory)114、RAM(Randam Access Memory)115、およびシステムバス116から構成される。
【0029】
無線通信部104は、電波信号、光信号等の無線信号により通過車両に設置された車載器200との間で情報を交信する。無線通信部104は、たとえば情報提供サーバ300より提供された交通情報等を車載器200へ送信する。また、無線通信部104は、車載器200から送信されてくる車両ID等の情報を取得する。
【0030】
通信制御部111は、情報提供サーバ300から送信される受信コンテンツデータを受信する。また、通信制御部111は、取得した交通情報等を情報提供サーバ300に提供する。また、通信制御部111は、狭域通信(Dedicated Short Range Communication:以下「DSRC」という)の通信方式に則って、データ更新機能、サイクリック機能、分割送信機能を備える。
【0031】
記憶装置112は、情報提供サーバ300から受信した交通情報等や、自装置固有の交通情報等を格納する。
【0032】
制御部113は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサから構成され、路側無線装置100全体の動作を制御する。特に、制御部113は、記憶装置112に格納されている交通情報等を、無線通信部104から送信し、無線通信部104を介して取得した情報を記憶装置112に格納する。また、制御部113は、記憶装置112に格納されている自機が取得した交通情報等を、通信制御部111及びITS通信網NW2を介して情報提供サーバ300に送信し、情報提供サーバ300から通信制御部111を介して取得した情報を記憶装置112に格納する。
【0033】
ROM114は、この路側無線装置100全体の動作制御に必要なOS(Operating System)や各種のデータを記憶する。RAM115は、制御部113のワークエリア(演算処理用領域)として機能する。システムバス116は、上記各部の間で命令やデータを転送するための伝送経路である。
【0034】
続いて車載器200のハードウェア構成と各部の動作について説明する。
【0035】
図1に示す車載器200は、各車両に搭載され、たとえばカーナビゲーション装置と一体に構成される。一般的なカーナビゲーションの機能と共に路側無線装置100から送信された交通情報をはじめとした様々な情報を通知する機能を備える。
【0036】
車載器200は、図4に示すように通信処理部211、音声処理部212、出力部213、操作部214、I/O(Input/Output)装置215、記憶装置216、制御部217、ROM218、RAM219、およびシステムバス220から構成される。
【0037】
通信処理部211は、上述した通信部201と分割データ組立部202機能等を含むもので、GPS(Global Positioning System)モジュール211a、DSRCモジュール211bを含む。
【0038】
GPSモジュール211aは、複数のGPS衛星からのGPS電波をアンテナ221で受信し、制御部217に供給する。
【0039】
DSRCモジュール211bは、路側無線装置100との間でアンテナ211を介してDSRC方式により通信を行う。DSRCモジュール211bは、上述した分割データ組立部202の機能を実行するもので、具体的には、分割送信されたデータを組み立てて再構成した上でデータ処理をおこなう。
【0040】
音声処理部212は、制御部217から入力されたディジタルオーディオ信号をD/Aコンバータ(図示せず)でアナログオーディオ信号に変換して、スピーカ222に出力する。また、音声処理部212は、マイクロフォン223から入力された音声をA/Dコンバータ(図示せず)でディジタルオーディオ信号に変換して、制御部217に入力する。これにより、ユーザはナビゲーション音声を聞いたり、音声を入力したりすることができる。
【0041】
出力部213は、モニタ装置を備え、通信処理部211により取得されたナビゲーション画像やTV画像、あるいは記憶装置216等に予め記憶されたマップ画像などを表示する。
【0042】
操作部214は、タッチパネル式入力装置などから構成され、ユーザによる指示入力に基づいて指示入力信号を生成して、制御部217に入力する。
【0043】
I/O装置215は、DVD−ROM(Digital Versatile Disk−Read Only Memory)ドライブを含み、所定の地図情報などを納めたDVD−ROMやCD−ROMからデータを読み出して制御部217に入力する。また、I/O装置215は、速度センサ、走行距離センサ、方位センサ等のセンサ群225の検出信号を入力し、制御部217に供給する。
【0044】
記憶装置216は、HDD(Hard Disk Drive)を含み、所定の地図情報(マップデータ)や各種設定情報などを記憶する。なお、記憶装置216は、メモリカードなどの他のメモリを備えていてもよい。
【0045】
制御部217は、地図情報を記憶したDVD−ROM等の記憶媒体から随時この地図情報を読み出してもよいし、記録媒体から予めこの地図情報を読み出して記憶装置216に書き込んでおく(インストールしておく)ようにしてもよい。制御部217は、CPU(Central Processing Unit)から構成され、車載器200全体の動作を制御する。例えば、制御部217は、GPSモジュール211aを介して受信したGPS信号に基づいて、自機の現在位置を判別する。また、制御部217は、センサ群225に含まれている方向センサの出力をI/O装置215を介して取り込み、現在の車両の進行方向を判別する。また、制御部217は、距離センサの出力から走行距離を求める。また、制御部217は、DSRCモジュール211bを介して路側無線装置100からの交通情報などのコンテンツ情報を受信し、受信した交通情報等に含まれている再生タイミング制御データ(パラメータ)に基づいて、これを再生する。また、制御部217は、緊急性の高いコンテンツ情報に対して後述する再生制御処理も行う。なお、制御部217は、コプロセッサ等を備えても良い。
【0046】
ROM218は、車載器200全体の動作制御に必要なOSのプログラムや各種のデータが記録される。RAM219は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、通信処理部211により取得されたデータ、DVD−ROMから読み出したデータ等が保持される。また、制御部217は、RAM219をワークメモリ(演算処理用領域)として使用する。システムバス220は、上記各部を相互に接続し、命令やデータを転送するための伝送経路である。
【0047】
車載器200は、機能的には、次のようにも分けることができる。すなわち図5に示すようにデータ取得部251と、音声再生条件判別部252と、データ再生部253と、自己位置検出部254と、位置一致判別部255と、進行方向検出部256と、方向一致判別部257と、受信コンテンツデータ判別部258と、通信エリア検知部259から構成されるとすることができる。
【0048】
データ取得部251は、再生すべき1つ又は複数の受信コンテンツデータCを路側無線装置100から取得する。この受信コンテンツデータには、その再生条件を指示する再生制御データ(制御パラメータ)を含む。受信コンテンツデータCは、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)形式などの動画像データ、JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式などの静止画データ、TTS(Text−to−Speech)形式の音声データ、文字情報などのテキストデータを含む。データ取得部251は、を、通信処理部211により受信したこれらの動画像データ、静止画データ、音声データ、テキストデータなどの分割データを再構成した上でデコードして、あるいは、記憶装置216に記憶されたデータを所定のタイミングで読み出して取得する。データ取得部251は、制御部217と通信処理部211と記憶装置216とが協働して動作することにより構成される。
【0049】
音声再生条件判別部252は、データ取得部251により取得された受信コンテンツデータCのうち、1つの受信コンテンツデータCと並行して再生すべき他の受信コンテンツデータCがあるか否かを判別する。
【0050】
データ再生部253は、受信コンテンツデータCを再生する。このデータ再生部253は、制御部217により構成され、先の同時再生等制御部203、動画再生部204、音声情報再生部205および文字情報表示部206の各機能を有する部分である。データ再生部253は、コンテンツを再生するに際し、複数のコンテンツを並列的に再生する必要があるか否かを音声再生条件判別部252の判別に基づいて判別し、また、コンテンツそれぞれに付されている再生条件が満たされたか否かを、位置一致判別部255、方向一致判別部257、受信コンテンツデータ判別部258の判別結果から判別し、受信コンテンツデータCを再生データSとして再生する。
【0051】
自己位置検出部254は、GPS信号を処理して現在位置を検出する。自己位置検出部254は、通信処理部211と制御部217のGPS信号を処理する部分から構成される。
【0052】
位置一致判別部255は、制御部217により構成され、データ取得部251が取得したコンテンツが、そのコンテンツを再生する位置を指定しているときに、制御情報が指示する位置と自己位置検出部254が検出した自己位置とを照合し、再生する位置及びその位置を中心とした所定の半径内にある場合に、データ再生部253にデータ再生の許可を出す。なお、位置一致判別部255は、進行方向の他にも道路種別(高速道路や一般道路等)の一致を判定して再生の許可を出すようにしてもよい。
【0053】
進行方向検出部256は、車両の進行方向を検出する機能であり、方向センサ、I/O部、制御部217から構成される。
【0054】
方向一致判別部257は、制御部217により構成され、データ取得部251が取得したコンテンツが、そのコンテンツを再生する条件として車両の進行方向を指定しているときに、制御情報が指示する方向と自車の進行方向とを比較し、一致(予め定めた誤差内にあること)したときに、データ再生部253にデータ再生の許可を出す。
【0055】
受信コンテンツデータ判別部258は、制御部217により構成され、データ取得部251で取得した分割データのヘッダ情報を確認して、安全運転支援情報であるか否かを判定する。具体的には受信コンテンツデータ判別部258は、予め安全運転支援情報に使用される情報識別子を記憶しておき、順次分割データのヘッダ部分に記録されている情報識別子を順次読み取ることによりコンテンツの内容を検出する。その結果、安全運転支援情報である場合には、音声再生処理の優先度を車載器200側で変更する。優先度の変更方法としてはたとえば、音声再生条件判別部252の判別処理の結果いかんに関わらず、データ再生部253にデータ再生の割り込み処理をおこなうように制御する方法がある。
【0056】
通信エリア検出部259は、路側無線装置100の指向性ある通信エリア内に車載器200が存在するか否かを検出する。この検出結果は、送信された分割データの受信完了フラグとして、または現在受信している受信コンテンツデータCの残りの分割データが、その後受信する可能性があるか否かのフラグとして用いられる。
【0057】
最後に情報提供サーバ300のハードウェア構成と各部の動作について説明する。
【0058】
図6に示す情報提供サーバ300は、路側無線装置100別に交通情報等の情報を生成し、配信する装置であり、図6に示すように、入力部301、出力部302、通信制御部303,304、記憶装置305、制御部306、ROM307、RAM308およびシステムバス309から構成される。
【0059】
入力部301は、キーボード、マウス、入力インタフェース等を備え、種々のデータや指示を入力する。出力部302は、表示装置などから構成され、データ、メッセージなどを表示する。
【0060】
第1の通信制御部303は、電話回線、インターネット等の一般通信網NW1を介して外部装置と交信し、種々の情報を取得する。第2の通信制御部304は、ITS通信網を介して複数の路側無線装置100に接続され、各路側無線装置100に交通情報等を送信する。また、第2の通信制御部304は、ITS通信網NW2を介して、路側無線装置100が車載器200との交信などにより得た情報を収集する。
【0061】
記憶装置305は、ハードディスク装置等を備え、種々の交通情報を格納する。また、記憶装置305は、各路側無線装置100の位置、アドレス等と共にその近傍の地理情報を記憶する。
【0062】
制御部306は、プロセッサ等から構成され、情報提供サーバ300全体の動作を制御する。また、制御部306は、記憶装置305に格納されている各種情報に基づいて、各路側無線装置100に、その路側無線装置100近傍から配信する情報を作成し、第2通信部304及びITS通信網NW2を介して各路側無線装置100に供給する。
【0063】
ROM307は、この情報提供サーバ300全体の動作制御に必要なOS(Operating System)や各種のデータを記憶する。RAM308は、制御部306のワークエリアとして機能する。システムバス309は、上記各部の間で命令やデータを転送するための伝送経路である。
【0064】
次に、車載器200が行う制御処理やデータ再生処理について説明する。
【0065】
車載器200は、下記の第1、第2、第3、第4の各制御処理を行い、情報提供側の意図を最大限反映しつつ、迅速かつ確実に情報提供をおこなう。
【0066】
車載器200は、第1の制御処理の前提として予め記憶装置216に安全運転支援情報データの内容を記録しておく。たとえば「左からの合流道路の車に注意」や「制限速度を30Km超過しています」や「この先100mに急カーブがあります」などの特定の音声再生データである。この安全運転支援情報はきわめて緊急性の高い情報である。このような特定の情報パターンをいくつか記録しておき、送信されてくるであろう特定の安全運転支援情報を予測するための比較対象データとして使用する。
【0067】
具体的には、図7に示すように通信エリア401内に車両402が進入してきた場合を想定する。なお通信エリア401は、車両402の進行方向に沿って手前側の受信が開始できるようになる領域開始ライン401aと受信ができなくなる領域終了ライン401bとで閉じられた領域である。
【0068】
ここで通信エリア401内に車両が進入し、車載器200がはじめに安全運転支援情報の分割データの一部とその他の関係ない文字情報を路側無線装置100から受信した状況とする。このような状況下では路側無線装置100の通信制御部111は次のような条件を満足しない限り、再び安全運転支援情報について残りの分割データが送信されることはない。すなわち、再び安全運転支援情報について残りの分割データを送信するには、その時点においてサイクリック機能により提供される複数の情報の送信が一巡している必要がある。そこで、安全運転支援情報の一部の分割データと予め記憶装置216に記録されている音声再生データと比較する。
【0069】
たとえば、「制限速度を30Km」という部分の分割データまで通信エリア401内で受信していた場合には、さきほどの「制限速度を30Km超過しています」という情報の16文字中9文字が一致しているので「制限速度を30Km超過しています」という情報が送信しようとしていたデータであると予測して、記憶装置216に記録されている音声再生データを使用して音声再生処理をおこなう。
【0070】
このような処理をおこなうことで、車載器200は、車両の通信エリア401への進入時の通信環境によって音声再生処理が遅れる、または通信エリア401での受信ができないといった状態が生じても、安全運転支援情報の再生が可能となり緊急情報を確実に運転者に知らせることができる。
【0071】
更に車載器200は、理論的には受信コンテンツデータCをすべて受信する前に受信コンテンツデータCを予測することができるため、全てのデータを受信しなくても再生処理をおこなうことができる。したがって、車載器200は、通信エリア401へ進入したら、直ちに、または通信エリア401をでた直後に運転者に対して迅速な情報提供ができる。
【0072】
車載器200は、第2の制御処理の前提として、第一の制御処理と同じく予め記憶装置216に安全運転支援情報の音声再生データをいくつか記録しておく。この音声再生データは、たとえば「制限速度を20km超過しています」や「この先100mに急カーブがあります」などの特定の音声再生データである。車載器200は、通信エリアでの受信状況が悪く、完全に情報を受信できなかったと判定した場合に、一部しか受信できなかった情報と予め記録されている特定の情報パターンを比較し、比較結果から送信されてくるはずであった特定の安全運転支援情報を推測する。
【0073】
このような処理をおこなうことにより、車載器200は、通信エリア401内で全ての分割データを受信できなかった場合でも、安全運転支援情報の音声再生処理をおこなうことができる。したがって、車載器200は、より正確に情報提供が可能となる。
【0074】
車載器200は、第3の制御処理として、受信コンテンツデータCを構成する分割データを全て受信できなかったと判定した場合において、すでに受信した分割データから特定部分のデータを抽出する。
【0075】
具体的には、「この先100mに急カーブがあります」という安全運転支援情報となる受信コンテンツデータCがあったとする。車載器200は、この受信コンテンツデータCの分割データとしてそれぞれ「この先100mに」と、「急カーブがあります」という分割データがあった場合に、「急カーブがあります」という分割データのみ受信した場合には、その中の「急カーブ」のみ音声再生処理を行う。
【0076】
このような処理をおこなうことにより、車載器200は、従来は再生処理自体が出来ない状況下であっても、運転者に対して最低限の注意喚起をすることができる。なお、特定部分のデータとしては、たとえば「急カーブ」、「事故車」、「渋滞」、「路面スリップ」など単語を登録する。これらの単語は、運転者が周囲の状況から察知できる程度の単語であることが望ましい。
【0077】
また、受信エリア401内で受信したデータが多い場合、一旦記憶装置216またはRAM219に記憶された情報から安全運転支援情報を検出するのに時間がかかる恐れがある。
【0078】
このため第4の制御処理は、安全運転支援情報を他の情報に優先して再生処理をする。すなわち、送られてきた分割データを順次再生するのではなく、緊急性の高い安全運転支援情報を他のデータに先がけて再生処理を行う。
【0079】
上述した第1〜第4の制御処理の具体的な処理フローの制御部分について、図8と図9を参照しながら説明する。
【0080】
この処理プロセスは、制御部217がおこなうデータ再生処理を示しており、図8は状態遷移図を示し、図9はフローチャートを示している。
【0081】
制御部217は、図8に示すように受信判定モード501、予測判定モード502、推測判定モード503、抽出判定モード504の4つの状態を遷移しながらデータ再生の制御をおこなう。
【0082】
制御部217は、初期状態を受信判定モード501に設定する。制御部217は、図9に示すように分割データを受信した場合に、処理をスタートする(ステップS510)。制御部217は、ヘッダ情報を読み取って安全運転支援情報を示す識別子と一致するかの判定処理(ステップS511)をおこなう。そして、一致した場合は、予測判定モード502へと移行する。一致しない場合は引き続き受信判定モード501で前述した判定処理(ステップS511)をおこなう。
【0083】
制御部217は、予測判定モード502では、車載器200が通信エリア401内にいるか否かを判定し(ステップS512)、通信エリア401内にいる間は、送信された分割データと一致する発話パターンを検索し、発話内容を予測する処理(ステップS513)を順次おこなう。予測判定処理(ステップS513)は、単一の分割データのみに対しておこなう。制御部217は、受信した分割データが発話パターンと特定の割合以上の一致を確認できた場合には、即時にデータを再生する再生処理(ステップS517)をおこなう。
【0084】
制御部217は、予測判定処理(ステップS513)において受信した分割データが発話パターンと特定の割合以上一致しない場合には、通信エリア401内にいることを条件として、受信判定モード501へ状態移行する。
【0085】
なお制御部217は、予測判定処理(ステップS513)を行っている最中に全ての分割データを受信した場合には、ステップS513の予測判定処理を中止して、即時にデータを再生する処理(ステップS517)をおこなう。また、ステップS512の通信エリア401内か否かの判定条件に代え、通信エリア401から出て所定時間内(たとえば1秒)を経過したか否かの判定条件としてもよい。
【0086】
制御部217は、予測判定モード502にいる状態で、通信エリア検出部259から通信エリア外である旨の通知があった場合、推測判定モード503に移行する。
【0087】
推測判定処理(ステップS514)は、基本的に予測判定モード502での予測判定処理(ステップS513)で使用する発話パターンと同一の方法である。しかし、予測判定処理(ステップS513)との違いは、最後に受信した分割データまでを受信コンテンツデータCとして組み立てて発話パターンとのマッチング処理(ステップS514)をおこなう点である。
【0088】
制御部217は、推測判定モード503においてステップS514の推測判定処理により発話パターンが特定された場合、即時にデータ再生処理(ステップS517)をおこなう。
【0089】
制御部217は、推測判定処理(ステップS514)においてマッチング処理をおこない、結果として発話パターンのいずれにも取得データが一致しない場合に、抽出判定モード504へ移行する。
【0090】
制御部217は、抽出判定モード504において、重要な発話パターン(単語)と一致するかのマッチング処理(ステップS515)をおこなう。制御部217は、取得データが重要な発話パターンと一致する場合、その部分のみ即時にデータ再生処理(ステップS517)をおこなう。
【0091】
制御部217は、取得データが重要な発話パターンのいずれにも一致しない場合には、その受信コンテンツデータCについては再生処理エラーとして内部的に破棄する(ステップS516)。
【0092】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない限り種々変更実施できる。たとえば、本実施形態では予測判定モード502での処理、推測判定モード503での発話処理、抽出判定モード504での発話処理をすべて採用した音声再生処理方法を採用しているが、いずれかの1つの制御処理または2つの制御処理を組み合わせて車載器200の再生制御処理としてもよい。
【0093】
また、安全運転支援情報の中でも特に緊急性が高いものがある場合には、その情報に対して前述した第1から第4の制御処理のいずれか一つまたは複数の制御処理を行うようにしてもよい。また、安全運転支援情報にも緊急性の低いものがあるため、この情報に対して前述した第1から第4の制御処理いずれか一つ又は複数の制御処理を行うようにしてもよい。
【0094】
また、本実施形態で車載器200が受信する受信コンテンツデータCは、車両402が進入した通信エリア401を発生させる路側無線装置100から提供され、即時に音声再生処理をおこなう前提で説明をしている。しかし、再生すべき受信コンテンツデータCが他の複数設置される路側無線装置100との通信により予め車載器200が受信しておき、上述した再生制御処理をおこなってもよい。
【0095】
また、上述した実施形態は、音声の再生を例にして説明したが、画像データを対象としてもよい。すなわち、複数の画像データまたは全ての受信コンテンツデータCのうち、緊急性の高い画像データを上述の第1から第4の制御処理のいずれか1つまたは複数の制御処理を組み合わせて再生処理を行うようにしてもよい。
【0096】
また、上述した実施形態は、特定の受信コンテンツデータC、すなわち緊急性の高い情報として安全運転支援情報を例にして説明したが、特定の受信コンテンツデータCは運転に直接関係しない情報、たとえば戦争開始情報、地震開始情報などとしてもよい。
【0097】
この上述したシステムは、高速道路に適用すると好ましいものであるが、全ての道路に適用することができる。また、通信方式としてDSRCという狭域通信システムを例として説明したが、広域通信方式にも適用することができる。
【0098】
また、上述した実施形態は通信エリア401から車両402が出た場合(エリアアウト)、そのエリアアウトから所定時間以内(たとえば1秒以内)に安全運転支援情報などの緊急性の高い情報を再生処理する際に好ましいものとなるが、エリアアウトから所定時間内に再生処理する必要がないものにも適用することができる。
【0099】
また、上述したシステムは、情報提供サーバ300を有するシステムとしたが、路側無線装置100に蓄えられるまたは送信される情報が、他のサーバからではなくCD、DVDなどの記憶媒体から受け取ったり、放送網を通じて送信したりしてもよい。
【0100】
また上述の実施形態では、情報受信手段としては車両に搭載されている車載器200を例にして説明したが、携帯可能なパーソナルコンピュータなどの通信端末や携帯電話を車載して動作させるようにしてもよい。さらに上述の実施形態では、路側無線装置100や車載器200などの機能を特定のハードウェアを指定して機能別手段として行わせているが、全ての機能手段に一部の機能をプログラムからなるソフトウェアで処理・実行させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、全ての道路通信システムに利用できる。また、たとえばITSで使用される狭域通信システム、DSRC車載器、これらに用いられる音声再生処理方法、プログラムとして利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施形態に係る道路通信システムの全体構成図である。
【図2】道路通信システムの主要のハードウェアである路側無線装置、車載器および情報提供サーバの関係と主要な状態を示した図である。
【図3】図1の道路通信システムにおいて道路側に設置された路側無線装置のハードウェア構成を示す図である。
【図4】図1の道路通信システムにおいて車両に搭載された車載器の構成を示す図である。
【図5】図1で示された車載器の機能を説明するための図である。
【図6】図1で示された情報提供サーバの構成例を示す図である。
【図7】図1の道路通信システムにおいて、ある一つの通信エリア内に進入してきた車両を示す図である。
【図8】図1の道路通信システムにおいて車載器の音声再生部による処理時の状態遷移図である。
【図9】図1の道路通信システムにおいて車載器の音声再生処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0103】
100 路側無線装置
104 無線通信部
111 通信制御部
112 記憶装置
113 制御部
200 車載器(通信端末)
211 通信処理部212 音声処理部
213 出力部
214 操作部
216 記憶装置
217 制御部251 データ取得部
252 音声再生条件判別部
253 データ再生部
254 自己位置検出部
255 位置一致判別部
256 進行方向検出部
257 方向一致判別部
258 データ種別検出部
259 通信エリア検出部
300 情報提供サーバ
301 入力部
302 出力部
303、304 通信制御部
305 記憶部
306 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路側に設置された路側無線装置と、車両に搭載され上記路側無線装置の通信部から送信されたデータを受信して再生する車載器と、を備えた道路通信システムであって、
上記車載器の制御部は、
上記路側無線装置から受信したデータが特定の受信コンテンツデータであるか否かを判定し、
上記特定の受信コンテンツデータであると判定した場合に優先的に上記特定の受信コンテンツデータを再生させるように上記再生部へ命令する処理を行うと共に、
上記特定の受信コンテンツデータの一部を上記路側無線装置から受信したか否かを判定し、受信したと判定した場合において、予め上記車載器の記憶部に記録されている上記特定の受信コンテンツデータパターンと受信したデータを比較して送信されてくる特定の受信コンテンツデータを予測し、予測された上記特定の受信コンテンツデータを再生させる処理をおこなうことを特徴とする道路通信システム。
【請求項2】
道路側に設置された路側無線装置と、車両に搭載され上記路側無線装置の通信部から送信されたデータを受信して再生する車載器と、を備えた道路通信システムであって、
上記車載器の制御部は、
上記路側無線装置から受信したデータが特定の受信コンテンツデータであるか否かを判定し、
上記特定の受信コンテンツデータであると判定した場合に優先的に上記特定の受信コンテンツデータを再生させるように上記再生部へ命令する処理を行うと共に、
上記特定の受信コンテンツデータを構成する一部のデータを上記路側無線装置から全て受信したか否かを判定し、全てを受信できなかったと判定した場合、受信した上記一部のデータと予め記録されている上記特定の受信コンテンツデータのパターンを比較し、比較した結果から送信されてくる上記特定の受信コンテンツデータを推測し、上記推測された上記特定の受信コンテンツデータのパターンを再生させる処理を行うことを特徴とする道路通信システム。
【請求項3】
道路側に設置された路側無線装置と、車両に搭載され上記路側無線装置の通信部から送信されたデータを受信して再生する車載器と、を備えた道路通信システムであって、
上記車載器の制御部は、
上記路側無線装置から受信したデータが特定の受信コンテンツデータであるか否かを判定し、
上記特定の受信コンテンツデータであると判定した場合に優先的に上記特定の受信コンテンツデータを再生させるように上記再生部へ命令する処理を行うと共に、
その処理は、上記路側無線装置から受信した複数の受信コンテンツデータのうち、安全運転にとって緊急性が高い情報を、安全運転にとって緊急性が低い他の受信コンテンツデータより優先して再生させる処理を行うことを特徴とする道路交通システム。
【請求項4】
前記路側無線装置は記憶部、制御部および通信部を有し、前記車載器は、記憶部、制御部、通信部および再生部を有し、前記路側無線装置に対して複数の前記受信コンテンツデータを提供する情報提供サーバとを更に有し、
前記路側無線装置の制御部は、
上記情報提供サーバから送信された複数の前記受信コンテンツデータを前記路側無線装置の記憶部に記録する手段と、
前記路側無線装置の記憶部に記録された前記受信コンテンツデータを所定のパケット単位に分割する手段と、
前記受信コンテンツデータを分割したデータにヘッダ情報を付与する手段と、を備え、
前記路側無線装置の通信部は、
上記ヘッダ情報を付与した分割データを複数回送信する手段と、を備え、
前記車載器の制御部は、
上記ヘッダ情報に基づいて上記分割データを前記受信コンテンツデータとして再構成する手段と、
上記分割データから特定の受信コンテンツデータであるか否かを判定する手段と、
上記特定の受信コンテンツデータの再生処理をする手段と、を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項の道路通信システム。
【請求項5】
記憶部、制御部、通信部および再生部を有する通信端末であって、
上記通信端末の制御部は、
受信した分割データのヘッダ情報に基づいて受信コンテンツデータを再構成する手段と、
上記分割データから特定の受信コンテンツデータであるか否かを判定する手段と、
上記特定の受信コンテンツデータである場合には優先的に上記特定の受信コンテンツデータを再生させるように上記再生部へ命令する手段と、
更に下記の(A)〜(D)のいずれか一つまたは複数の手段を有し、
(A)上記特定の受信コンテンツデータの一部である分割データを受信したと判定した場合において、予め上記記憶部に記録されている上記特定の受信コンテンツデータのパターンと受信した上記分割データを比較して送信されてくる上記特定の受信コンテンツデータを予測する手段と、
予測された上記特定の受信コンテンツデータを再生させるように上記再生部へ命令する手段と
(B)上記特定の受信コンテンツデータを構成する分割データを全て受信できなかったと判定した場合において、受信した上記分割データと予め記録されている上記特定の受信コンテンツデータのパターンを比較する手段と、
比較した結果から送信されてくる上記特定の受信コンテンツデータを推測する手段と、
推測された上記特定の受信コンテンツデータを再生させるように上記再生部へ命令する手段と、
(C)上記特定の受信コンテンツデータを構成する分割データを全て受信できなかったと判定した場合において、
受信した上記分割データから一部を抽出する手段と、
上記抽出した一部のデータを上記再生部に再生するように命令する手段と、
(D)上記特定の受信コンテンツデータの一部または全部を受信したと判定した場合において受信した複数の受信コンテンツデータのうち、安全運転にとって緊急性が高い上記特定の受信コンテンツデータを安全運転にとって緊急性が低い他の受信コンテンツデータより優先して上記再生部に再生するように命令する手段と、
上記再生部は、上記(A)〜(D)いずれかひとつまたは複数の手段に基づいて上記情報の再生処理をする手段と、を備えることを特徴とする通信端末。
【請求項6】
記憶部および再生部を有する通信端末に用いるデータ再生処理方法であって、
受信した分割データのヘッダ情報に基づいて受信コンテンツデータを再構成するステップと、
上記分割データから特定の受信コンテンツデータであるか否かを判定するステップと、
上記特定の受信コンテンツデータである場合には優先的に上記特定の受信コンテンツデータを再生させるように上記再生部へ命令するステップと、
更に下記の(A)〜(D)の少なくともいずれかひとつまたは複数のステップを有し、
(A)上記特定の受信コンテンツデータの一部である分割データを受信したと判定した場合において、予め上記記憶部に記録されている上記特定の受信コンテンツデータのパターンと受信した上記分割データを比較して送信されてくる上記特定の受信コンテンツデータを予測するステップと、
予測された上記特定の受信コンテンツデータを再生させるように上記再生部へ命令するステップと、
(B)上記特定の受信コンテンツデータを構成する分割データを全て受信できなかったと判定した場合において、受信した上記分割データと予め記録されている上記特定の受信コンテンツデータのパターンを比較するステップと、
比較した結果から送信されてくる上記特定の受信コンテンツデータを推測するステップと、
推測された上記特定の受信コンテンツデータを再生させるように上記再生部へ命令するステップと、
(C)上記特定の受信コンテンツデータを構成する分割データを全て受信できなかったと判定した場合において、受信した上記分割データから一部を抽出するステップと、
上記抽出した一部のデータを上記再生部に再生するように命令するステップと、
(D)上記特定の受信コンテンツデータの一部または全部を受信したと判定した場合において受信した複数の受信コンテンツデータのうち、安全運転にとって緊急性が高い上記特定の受信コンテンツデータを安全運転にとって緊急性が低い他の受信コンテンツデータより優先して上記再生部に再生するように命令するステップと、
上記再生部は、上記(A)〜(D)のステップいずれかひとつまたは複数のステップに基づいて上記情報の再生処理をするステップと、を備えることを特徴とする再生処理方法。
【請求項7】
記憶部および再生部を有するコンピュータを機能させるデータ再生用プログラムであって、
受信した分割データのヘッダ情報に基づいて受信コンテンツデータを再構成する手段、
上記分割データから特定の受信コンテンツデータであるか否かを判定する手段、
上記特定の受信コンテンツデータである場合には優先的に上記特定の受信コンテンツデータを再生させるように上記再生部へ命令する手段、
更に下記の(A)〜(D)のいずれかひとつまたは複数の手段、
(A)上記特定の受信コンテンツデータの一部である分割データを受信したと判定した場合において、予め上記記憶部に記録されている上記特定の受信コンテンツデータのパターンと受信した上記分割データを比較して送信されてくる上記特定の受信コンテンツデータを予測する手段、
予測された上記特定の受信コンテンツデータを再生させるように上記再生部へ命令する手段、
(B)上記特定の受信コンテンツデータを構成する分割データを全て受信できなかったと判定した場合において、受信した上記分割データと予め記録されている上記特定の受信コンテンツデータのパターンを比較する手段、
比較した結果から送信されてくる上記特定の受信コンテンツデータを推測する手段、
推測された上記特定の受信コンテンツデータを再生させるように上記再生部へ命令する手段、
(C)上記特定の受信コンテンツデータを構成する分割データを全て受信できなかったと判定した場合において、受信した上記分割データから一部を抽出する手段、
上記抽出した一部のデータを上記再生部に再生するように命令する手段、
(D)上記特定の受信コンテンツデータの一部または全部を受信したと判定した場合において受信した複数の受信コンテンツデータのうち、安全運転にとって緊急性が高い上記特定の受信コンテンツデータを安全運転にとって緊急性が低い他の受信コンテンツデータより優先して上記再生部に再生するように命令する手段、
上記再生部は、上記(A)〜(D)のいずれかひとつまたは複数の手段に基づいて特定された受信コンテンツデータの再生処理をする手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とするデータ再生用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−93530(P2009−93530A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265386(P2007−265386)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】