説明

配信システム及びセンター装置

【課題】すでに配信されているコンテンツの再配信を防止する。
【解決手段】車載器と、前記車載器と無線通信を用いて接続する路側無線装置と、前記路側無線装置を介して前記車載器にコンテンツを配信するセンター装置とを有する配信システムであって、前記センター装置は、前記車載器に対して配信すべき前記コンテンツを一意に識別する識別情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された識別情報に対応付けられた前記コンテンツを配信するか否かを制御する制御手段と、を備え、前記車載器は、予め指定された前記コンテンツを受信した際に当該コンテンツが更新された旨の通知を行う通知手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信システム及びセンター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置のような車載器では、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等を利用して路上に設置された路側無線装置と狭域無線通信を行い、当該路側無線装置を介してセンター装置から情報提供を受けることが可能となっている。すなわち、車両が路側無線装置の通信範囲内にある間のみ、車両の車載器と路側無線装置との双方向通信が可能となり、この間にセンター装置が路側無線装置を介して、地域情報(例えば周辺の店舗や医療機関の情報)や広告情報等の各種コンテンツを配信するのである。
【0003】
また、前記車載器では、路側無線装置から配信された各種コンテンツを記憶することにより、路側無線装置と通信できず受信時にコンテンツの再生ができない環境においても当該各種コンテンツを再生することが可能になっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−109032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車載器と路側無線装置が無線通信接続した場合、路側無線装置は車載器から送信された嗜好データ等に関する情報を参照し、このテーブルに指定された分類に属するカテゴリの情報を車載器へ送信する。
【0005】
路側無線装置は、車載器から送信される情報により、車載器がどのような情報を保持しているかを認識することができるが、この情報がいつ受信した情報であるかを認識することはできない。
【0006】
車載器側においては、路側無線装置から受信したコンテンツに対して、既に受信済みで記憶されているコンテンツにおいて当該コンテンツと同じ識別情報(情報コード)を持つコンテンツがあるか否かの判別はできる。しかし、予め保持しているコンテンツがある場合に、当該コンテンツの内容が新たに受信したコンテンツの内容と同一か否か、または前回受信したときから更新された内容のコンテンツであるのか否かを判断することはできない。そのため、路側無線装置では、車載器から送信された嗜好データ等に関する情報に基づくコンテンツを全て車載器に対して配信する必要がある。つまり、車載器は全く同じ内容のコンテンツを記憶しているにも関わらず、路側無線装置から配信されたコンテンツを受信し、保存しなければならない。同様に、路側無線装置は、車載器が記憶しているコンテンツと全く同じ内容のコンテンツを配信し続けてしまう恐れもある。
【0007】
したがって、車載器は受信したコンテンツを無条件に上書きして保存するため、自己が保存するコンテンツのうち、どのコンテンツが更新されたのかを判別することができない。また、路側無線装置は車載器が記憶しているコンテンツと全く同じ内容のコンテンツを配信してしまうため、配信すべきコンテンツ全ての配信が完了するまでに多くの時間がかかり、無駄な無線通信が発生する可能性がある。
【0008】
本発明は、上述したような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、すでに配信されているコンテンツの再配信を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
車載器と、前記車載器と無線通信を用いて接続する路側無線装置と、前記路側無線装置を介して前記車載器にコンテンツを配信するセンター装置とを有する配信システムであって、
前記センター装置は、
前記車載器に対して配信すべき前記コンテンツを一意に識別する識別情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された識別情報に対応付けられた前記コンテンツを配信するか否かを制御する制御手段と、
を備え、
前記車載器は、
予め指定された前記コンテンツを受信した際に当該コンテンツが更新された旨の通知を行う通知手段を備えることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明は、
コンテンツを記憶及び再生することのできる車載器と無線通信を用いて接続する路側無線装置を介して接続されたセンター装置であって、
前記車載器に対して配信すべき前記コンテンツを一意に識別する識別情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された識別情報に対応付けられた前記コンテンツを配信するか否かを制御する制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記識別情報は前記コンテンツが更新された時間を示す情報を含むことを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の発明において、
前記記憶手段は、前記車載器に対して配信した前記コンテンツを識別する配信情報を記憶し、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記識別情報と前記配信情報をもとに前記コンテンツを配信するか否かを制御することを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、
前記制御手段は、前記コンテンツを配信した際に前記記憶手段に記憶された前記配信情報を更新することを特徴としている。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の発明において、
前記車載器が記憶している前記コンテンツを示す情報であるログ情報を取得するログ情報取得手段を更に備え、
前記制御手段は、前記ログ情報取得手段によって取得された前記ログ情報と前記記憶手段に記憶された前記識別情報をもとに前記コンテンツを配信するか否かを制御することを特徴としている。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記コンテンツは当該コンテンツが更新されているか否かを示す更新フラグを含み、
前記車載器が記憶している前記コンテンツを示す情報であるログ情報を取得するログ情報取得手段を更に備え、
前記制御手段は、前記ログ情報取得手段によって取得された前記ログ情報、前記記憶手段に記憶された前記識別情報と前記更新フラグをもとに前記コンテンツを配信するか否かを制御することを特徴としている。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の発明において、
前記車載器から駐車した日時を示す立寄り情報を取得する立寄り情報取得手段を更に備え、
前記制御手段は、前記立寄り情報取得手段によって取得された前記立寄り情報と前記識別情報をもとに前記コンテンツを配信するか否かを制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、すでに配信されているコンテンツの再配信を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1の実施の形態)
まず、構成を説明する。
図1に、本実施形態における配信システム100を示す。
配信システム100は、図1に示すように、車両Cに搭載された車載器10、路側無線装置20、センター装置30を含んで構成される。センター装置30は路側無線装置20を介して車載器10にコンテンツを配信する。
路側無線装置20は路上や駐車場等に複数設置され、各路側無線装置20はネットワークNを介してセンター装置30と接続されている。路側無線装置20と、車両Cの車載器10とは無線通信が可能である。
【0019】
なお、コンテンツとは、データ形式等の詳細は後述するが、店舗の広告や駐車場、医療施設の案内等のコンテンツ(テキスト情報、画像情報、音情報)の他、コンテンツを提供する事業者に関する情報、コンテンツの有効期限の情報(例えば、有効期限の開始と終了の日時)、サービスを提供可能な対象地点の情報(例えば、広告している店舗の地点を示す緯度経度や店舗名等)が含まれる。例えば、目的地等の情報を含むコンテンツであれば緯度経度情報も格納されているが、コンテンツに目的地等の情報が含まれなければ緯度経度情報は必要がなく、当該情報を示すデータ領域には情報は格納されない。
他にも、コンテンツとして、当該コンテンツの通知を行うためのポップアップを再生を行うべき再生地点(例えば、ポップアップの再生地点を示す緯度経度、ポップアップを再生する道路種別や車両の進入方向を指定する情報等)、コンテンツの表示画面の遷移情報(次に表示する画面を指定する情報等)、嗜好情報等を含む情報が格納されていてもよい。
【0020】
以下、各構成装置について詳細に説明する。
路側無線装置20は、図2に示すように本体装置20aとアンテナ20bとから構成されている。路側無線装置20は、道路脇や道路上方に設置されたアンテナ20bから、到達距離が限定されたDSRCの電波を放射して、路側無線装置20近傍に路側エリアZを形成する。この路側エリアZ内にある車両Cの車載器10とだけ双方向狭域無線通信が可能となる。以下、路側無線装置20と車載器10間の狭域無線通信を路車間通信という場合がある。
【0021】
DSRCは5.8GHz帯域の電波を使った通信方式であり、その通信範囲は例えば数メートルから数十メートルである。路側無線装置20からのDSRCの送信出力は何れも同じ程度に設定されているので、複数の路側無線装置20がそれぞれ形成する路側エリアZは設置場所に関係なく、ほぼ一定である。
【0022】
本体装置20aは、車載器10とセンター装置30間の情報のやりとりを仲介するための処理を行う。すなわち、アンテナ20bを介して車載器10から受信された情報をセンター装置30に転送し、センター装置30から送信されたコンテンツを車載器10へ転送する。本体装置20aは、情報処理や通信制御を行う制御部、記憶部等を備えたコンピュータ端末を適用することができる。
【0023】
車載器10は、車両Cに搭載され、案内経路への誘導のための処理等を行うナビゲーション機能の他、DSRCによるETC(Electronic Toll Collection System)利用のための処理を行う機能等を有している。
車載器10は、図3に示すように、カーナビ部1、通信モジュール2、DSRC部3、制御部4を備えて構成されている。
【0024】
制御部4は、制御手段として機能し、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、記憶部1fに記憶された制御プログラムとの協働により各種演算を行う他、各部の集中制御を行う。
例えば、路側無線装置20との路車間通信を行う際にはDSRC部3の通信動作を制御する。なお、DSRC部3の制御にあたってはDSRC部3のDSRC制御部3aとの協働により制御を行う。また、DSRC部3を介してセンター装置30から受信したコンテンツの保存、再生制御等を行う再生手段としても機能する。
【0025】
カーナビ部1は、カーナビ制御部1a、現在地検出部1b、地図記憶部1c、入力部1d、表示部1e、記憶部1f等を備えて、車両Cを案内経路へ誘導するための処理を行う。
カーナビ制御部1aは、現在地検出部1bから取得した現在地の情報及び地図記憶部1cに記憶された地図情報等に基づいて、車両Cの現在地から入力部1dを介して設定された目的地までの案内経路を算出する。そして、地図記憶部1cに記憶されている地図情報を用いて算出した案内経路へ誘導するための地図画面を生成し、表示部1eにより表示させる。
【0026】
現在地検出部1bは、GPSアンテナ、角度センサ、方位センサ、距離センサ等の各種センサを備え、これらセンサによる検出結果に基づいて車両Cの現在地を検出する。GPSアンテナは、GPS衛星から送信されるGPS信号を検出する。また、角度センサは移動方向の変化量を示す車の加速度(単位時間あたりの水平方向への回転速度)を検出し、方位センサは地磁気の検出を行い、車両の絶対方位を検出する。現在地検出部1bは、これらセンサから取得した各検出結果に基づいて車両の現在地を示す現在地情報(経度、緯度等の情報)を生成し、カーナビ制御部1aに出力する。
【0027】
地図記憶部1cは、メモリやDVD等の記録媒体から構成され、案内表示に必要な地図情報、通信モジュール2を介して受信されるガイド情報(道路情報、渋滞情報等)等を記憶している。
【0028】
入力部1dは、操作キーや表示部1eと一体に構成されるタッチパネル等から構成されている。入力部1dは、これらの操作に対応する操作信号を生成し、制御部31に出力する。
表示部1eは、モニタを備え、制御部4の制御に従ってモニタ上に各種情報を表示する。例えば、設定画面や地図画面、センター装置30から受信したコンテンツの表示画面等である。
【0029】
記憶部1fは、記憶手段として機能し、メモリから構成され、制御部4やカーナビ制御部1aにより実行される制御プログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータ等を記憶している。
また、記憶部1fは、センター装置30に提供するアップリンク情報を記憶するとともに、センター装置30から受信したコンテンツを記憶する。ユーザがコンテンツの配信について契約をした配信事業者(以下、正規の配信事業者という。)が複数ある場合には、アップリンク情報は各配信事業者に応じた内容で制御部4によりそれぞれ生成され、記憶部1fに記憶される。アップリンク情報は最新の内容となるように制御部4が常に更新を行って記憶部1fに保存させる。アップリンク情報の詳細については後述する。
【0030】
通信モジュール2は、光通信用、FM通信用、2.4GHz電波通信用のアンテナをそれぞれ備え、通信センターと光通信、FM通信、電波通信を行う。通信モジュール2は通信センターから渋滞情報や道路交通情報等を受信し、制御部4に出力する。なお、通信センターとしてはVICSセンター等を挙げることができるが、これに限らず、また、通信センターから受信する情報としては、渋滞情報や道路交通情報に限らない。
【0031】
DSRC部3は、DSRCによるETC利用のための処理や、センター装置30からコンテンツを受信するための通信処理等を行う。
DSRC部3は、図3に示すようにDSRC制御部3a、通信部3b、記憶部3c、ETC処理部3e、ICカードI/F3fを備えて構成されている。
【0032】
DSRC制御部3aは、CPU、RAM等から構成され、記憶部3cに記憶されている制御プログラムとの協働によりDSRC部3の各部の動作を制御する。
例えば、ETCによる決済を行う際には、通信部3bの通信動作を制御してETC基地局(ETC決済を行うためにETCゲート付近等に設けられる無線基地局)と決済情報の送受信を行わせる。また、ETC処理部3eにより決済情報の書込処理を行わせる。
また、センター装置30からコンテンツを受信する際には、制御部4の指示に従って記憶部3cのアップリンク情報記憶領域Mに記憶されている情報を、通信部3bにより路側無線装置20に送信させる一方、通信部3bにより路側無線装置20を介してコンテンツを受信した場合にはこれを制御部4に出力する。
【0033】
通信部3bは、例えば車両Cのダッシュボード上でフロントガラス近傍等の位置に固設されたアンテナを備え、このアンテナを介して路側無線装置20やETC基地局等と、DSRCの電波の送受信を行う。
【0034】
記憶部3cは、DSRC制御部3aにより実行される制御プログラム等を記憶している。
また、記憶部3cにはアップリンク情報記憶領域Mが設けられている。アップリンク情報記憶領域Mは、センター装置30に対してユーザが欲する情報を提供するためのアップリンク情報専用に設けられた記憶領域であり、車載器10の特性情報が記憶される。
【0035】
アップリンク情報とは、センター装置30においてどのような内容のコンテンツ情報を配信するかを決定する際に用いられる情報である。アップリンク情報には、配信事業者の特定情報、車両Cの目的地情報、経由地情報、累計走行距離情報、過去の立ち寄り地情報、ユーザの嗜好情報、広告視聴履歴情報等が含まれる。アップリンク情報は配信事業者毎に生成され、アップリンク情報記憶領域Mに記憶される。
【0036】
嗜好情報は、センター装置30においてユーザの嗜好に合わせてコンテンツ情報を編成するために用いるものであり、本実施の形態においては嗜好ジャンルテーブルT0に嗜好情報が保存される。嗜好情報は、コンテンツ情報を分類した複数の項目毎にユーザの嗜好性に関する情報を設定したものである。項目は配信事業者が任意に設定できる。
【0037】
図4に、1〜96項目についてユーザが視聴したいか否かの嗜好性が設定された嗜好ジャンルテーブルT0の一例を示す。図4に示すように、嗜好ジャンルテーブルT0のバージョンの情報、全項目数の情報を先頭に、各項目について項目番号、項目名を示す表示用テキスト、階層の情報が設定されている。
【0038】
項目は階層構造を有しており、上記階層の情報は各項目がどの階層にあたるのかを示す情報である。「0」は最上位の階層であることを示し、「1」、「2」と数字が大きくなるにつれて下位になることを示す。また、項目間の従属関係は項目番号により示す。つまり、従属関係のある項目群単位で各項目を並べ、その項目群の中でも従属関係のある項目については、上位の項目のすぐ後に従属する下位の項目を並べて項目番号を付与することにより、項目番号順に階層の情報を読み込めば従属関係と階層を判断することができる。
【0039】
図4の例で説明すると、最上位である「暮らし」の項目は項目番号「1」、階層は「0」である。そのすぐ後の項目番号「2」の「病院」の項目は階層が「1」であるので、「暮らし」の項目より階層が下位でありかつ「暮らし」の項目に従属していることが分かる。ここで、「病院」の項目にさらに「小児科」、「内科」の項目が従属する場合にはこれらの項目は「病院」のすぐ後の項目番号「3」、「4」が付され、階層は何れも「2」とされる。また、「暮らし」と同じ階層位の項目「ショッピング」がある場合、「ショッピング」の項目には、「暮らし」の項目に従属する全ての項目のすぐ後の順番となるよう項目番号が付され、階層は「0」とされる。
【0040】
各項目については、ユーザがその項目のコンテンツ情報を視聴したいか否かの嗜好性を設定することができ、視聴したいと設定された場合にはその項目に「1」のフラグが書き込まれる。一方、視聴したくないと設定された場合には「0」のフラグが書き込まれる。
【0041】
ETC処理部3eは、ICカードI/F3fに挿抜されるIC付きクレジットカード又はデビットカード等に対して決済情報等の読み書きを行う。
ICカードI/F3fは、上記クレジットカード等のスロットを備え、このスロットに挿入されたクレジットカード等のICとETC処理部3eの間で情報のやりとりを仲介する。
【0042】
次に、センター装置30について説明する。
センター装置30は、コンテンツを記憶し、これを路側無線装置20を介して車載器10に配信する。
なお、図1では1台のセンター装置30のみ示したが、コンテンツを配信する配信事業者は複数あり、センター装置30は配信事業者毎に備えられるものである。
【0043】
図5に、センター装置30の機能的構成を示す。
図5に示すように、センター装置30は制御部31、入力部32、表示部33、記憶部34、通信部35を備えて構成されている。
【0044】
制御部31は、制御手段として機能し、CPU、RAM等から構成され、記憶部34に記憶された制御プログラムとの協働により各種演算を行う他、各部の集中制御を行う。
例えば、制御部31は記憶部34に保存されているコンテンツを読み出して編成したり、編成したコンテンツの配信制御を行う。なお、編成とは配信するコンテンツを選択し、選択したコンテンツを図5及び図6に示す配信用のフォーマットに合わせてデータを構築することを言う。
【0045】
入力部32は、キーボード等を備えて操作入力を受け付け、当該操作入力に応じた操作信号を制御部31に出力する。
表示部33はディスプレイを備え、制御部31の表示制御に従ってディスプレイ上に各種画面を表示する。
【0046】
記憶部34は記憶手段として機能し、制御部31により実行されるプログラムの他、後述する配信コンテンツ管理テーブルF1や配信情報管理テーブルF2、プログラムの実行に必要な各種データを記憶する。また、記憶部34は配信すべきコンテンツを記憶している。コンテンツは複数の項目に分類されている。以下、コンテンツの詳細について説明する。
【0047】
図6は、センター装置30から配信されるコンテンツのデータ構造の一例について示す説明図である。図6に示すように、センター装置30からは一時に複数の情報グループが配信され、車載器10では複数の情報グループを受信して、再生又は記憶部1fに蓄積することとなる。
ここで、図6における情報グループ1、2、・・nのそれぞれが1つのコンテンツであり、車載器10においてはコンテンツを単位として再生処理が行われる。
【0048】
図6に示すように、1つのコンテンツは、内容により分類された複数の要素で構成される。各構成要素はID番号(00、01、・・等)と当該ID番号に対応して格納される実データからなる。図6において、情報グループ1を構成するコンテンツには、ID00(ID番号が“00”であることを示す、以下同じ)、ID01、ID02、ID03、ID04、ID05、ID10、ID30で規定される情報が含まれていることを示している。
【0049】
図7に、コンテンツのフォーマットの一例を示す。
図7に示すように、コンテンツには、個々にIDが付された情報、例えば区分情報、事業者、コンテンツ詳細、有効期限、時間提供、対象地点、再生地点、遷移情報、駐車場情報、運転支援情報、嗜好情報等が含まれている。
【0050】
ID00の区分情報は、コンテンツに含まれる各情報の識別番号の一覧を示す情報である。この区分情報中の各情報の識別番号の有無を確認することにより、当該各情報が存在するか否かを即時に判断することが出来る。
また、その他にも、区分情報は識別番号に対応する情報のデータ量等を示す。
【0051】
識別番号は、コンテンツに含まれる各情報の分類を示す。
また、識別番号は、ID00〜ID255まで割り振られており、例えばID10は対象地点情報、ID40は詳細情報であることを示す。
なお、コンテンツに含まれる各IDに対応する情報にはヘッダ情報(図示せず)が含まれており、各IDに含まれている情報量を示す情報バイト等、各IDに対応する内容を示す情報やフラグ等がヘッダ情報として格納されている。
以下、識別番号に対応する各情報について説明する。
【0052】
ID01の事業者の情報は、サービス事業者を特定するための情報であり、例えばサービス事業者に一意に付与されたサービス事業者コード等である。
ID02のコンテンツ詳細はコンテンツに関する詳細な情報であり、例えば当該コンテンツの情報提供元を特定することのできる情報提供企業コード、サービス事業者がコンテンツに対し個別に割り付けた情報コード、コンテンツが属する嗜好情報のカテゴリ、再生を即時に行うか蓄積するかを示す即時/蓄積コード等である。
他にも、サービス事業者が配信するコンテンツの提供元を示すコード、当該企業を通知するテキスト、コンテンツを検索、並び替え、及び削除等するための情報表示テキスト等をID02のコンテンツ詳細として格納してもよい。
【0053】
情報コードは先述の通り、コンテンツに割り当てられたコードであり、コンテンツを識別することができる。また、本実施の形態における配信システム100では、同様のコンテンツをセンター装置30が送信する場合は、基本的に同一の情報コードを使用する。つまり、あるコンテンツの内容が新しく更新された場合は、同一の情報コードを付して当該更新されたコンテンツを車載器10に対して配信することにより、車載器10では、古いコンテンツに対して新たなコンテンツを上書きすることができる。例えば、車載器10が1月20日にある場所でコンテンツを受信し、その中に有効期限が2月1日となっているコンテンツの情報コードが「025」であったとする。その後、2月20日にある場所で当該車載器10がコンテンツを受信し、その中に有効期限が3月1日であり、先に1月20日に受信した内容と同様のコンテンツを受信したとすれば、センター装置30は同一の情報コードである「025」を付与して配信することになる。
【0054】
ID04の有効期限はコンテンツの再生についての有効期限を示す情報であり、有効期限の開始時期及び終了時期を示す日時で表される。
ID05の時間提供は後述する対象地点においてサービスを提供できる営業時間等の情報である。
【0055】
ID10の対象地点とはサービスの提供を行う店舗や施設等をいい、対象地点の情報としては、例えば対象地点の位置を示す対象地点座標(緯度経度)、対象地点名称等を示す対象地点表示用テキスト、例えば対象地点の説明等に係るコンテンツであるテキスト、画像、音声、対象地点の情報をIP通信により提供する際のURL、対象地点を地図上に表示する際に使用されるアイコン画像、提携駐車場情報等からなる。なお、対象地点が存在しないコンテンツの場合は、画面遷移のための説明の情報が格納されていてもよい。
【0056】
ID20の情報提供地点の情報はコンテンツを再生させたい情報提供エリアに関する情報である。蓄積されたコンテンツについては、情報提供エリア内にある道路である方向から対象車両Cが進入した際にコンテンツがあることを通知するポップアップ通知を行い、そこで再生の指示がなされるとコンテンツの再生を行う。ID20の情報提供地点は、このときのポップアップ通知やコンテンツ再生等を行う際の条件を指定する情報である。例えば、情報提供エリアの中心座標(緯度経度)、半径、車両Cの進入方向を示す方向コード、道路種別、ポップアップ通知用の表示画像、音声等からなる。つまり、実際にポップアップされてユーザに通知される内容はID20の表示画像や音声等のデータである。
【0057】
ID30の遷移情報は、ID20の情報提供地点のコンテンツに画像が含まれるコンテンツが複数あり、各コンテンツの画像を遷移させて表示する場合に用いる情報である。遷移情報は、例えば次の遷移先の情報コードを示す次再生情報コード等からなる。ID30の情報はID10の対象地点情報と関連する。
【0058】
ID40の詳細情報は、ID10のコンテンツに関する詳細な情報である。
詳細情報は、当該コンテンツの内容の説明をするためのテキスト情報等が格納される。
表示用文字データは、サービス対象地点や画面遷移の案内を行う情報等、ユーザを補助するための情報である。表音文字列は音声によってユーザに伝達するための情報を格納している。
【0059】
ID50の駐車場情報は、予め登録されている駐車場に関する情報である。駐車場情報は、例えば情報配信装置において予め登録されている駐車場の駐車場ID、満空情報等である。満空情報とは満車、空車の状況や、満車率等の混み具合を示す情報をいう。
【0060】
ID60の運転支援情報は、駐車場の出入口付近や駐車場内の合流分岐、速度案内等、敷地内の運転に関して運転の補助となる情報である。運転支援情報は、例えば運転支援のための画像、当該コンテンツを受信した際に情報の内容を発話することによりユーザに対して知らせるための音声案内を行うのに用いられる表音文字列、圧縮音声、音声の再生順の情報等である。
【0061】
ID80の嗜好情報は、上述したように配信するコンテンツの選択に用いる情報である。嗜好情報は、例えば嗜好情報のバージョン、そのバージョンで定められているカテゴリの名称を示す表示用テキスト、表音文字列、カテゴリの詳細情報等からなる。
【0062】
コンテンツは上記各IDの情報を含めて予め作成されたものを記憶部34に保存しておき、配信時に、これらコンテンツのうち配信するコンテンツを制御部31が選択する。なお、各IDの情報は必要に応じてコンテンツに含められ、常に全てのIDの情報がコンテンツに含まれているわけではない。例えば、対象地点において提携指定されている提携駐車場が無ければ、ID10の対象地点に提携駐車場情報は含まれないことになる。
【0063】
次に、動作について説明する。
【0064】
図8に、コンテンツ送信の際の一般的な配信システムの処理の流れを模式的に示す。
図8に示すように、DSRC接続が確立されると路側システムから車載器10に対してコンテンツが配信される(ステップS801)。なお、路側システムと車載器10とのDSRC接続が確立された際に、車載器10から路側システムに対して車載器10ごとに一意に割り振られた車載器IDが送信されている。本処理におけるステップS801で配信されるコンテンツは、車載器10の表示部1eに表示される初期表示画面等であり、車載器10は当該コンテンツが受信され、実行される(ステップS802)。次いで、当該コンテンツのサービス事業者コードが車載器10の制御部4において保持される(ステップS803)。そして、コンテンツを受信した旨を示す応答が車載器10から路側システムに対して送信される(ステップS804)。
【0065】
路側システムでは車載器10から応答を受信すると、路側システムにおいては車載器10がコンテンツを受信したと認識される(ステップS805)。次いで、路側システムにおいてはアップリンク情報の取得要求が車載器10に対して送信される(ステップS806)。車載器10ではアップリンク情報取得要求が受信されると、アップリンクデータ構築がなされ、路側システムに対してアップリンクデータが送信される(ステップS807)。具体的には、車載器10の記憶部1fに記憶されているコンテンツからサービス事業者コードと情報コードが抽出され、嗜好ジャンルテーブルT0等のデータとともにアップリンクデータとして路側システムに対して送信される。
【0066】
図9と図10に、本実施の形態においてコンテンツを送信する際にセンター装置30において行われるコンテンツ配信処理の流れを示す。
コンテンツ配信処理は、コンテンツ送信の指示がセンター装置30の制御部31に対して入力された際に制御部31と記憶部34に記憶されたプログラムとの協働によるソフトウェア処理により実現される。当該コンテンツ配信処理では、更新されていると判断されたコンテンツのみを車載器10に対して送信する。コンテンツ配信処理によって制御部31は制御手段として機能する。
【0067】
図9に示すように、センター装置30においては、車載器10とDSRC接続がされた際に、車載器10からセンター装置30に対して通知された車載器IDが取得される(ステップS901)。次いで、車載器10がアップリンクされた嗜好ジャンルテーブル(以下、車載器10からアップリンクされた嗜好ジャンルテーブルを嗜好ジャンルテーブルT1をいう)と、嗜好ジャンルテーブルT1のバージョンが取得される(ステップS902)。
【0068】
センター装置30で保持されている嗜好ジャンルテーブル(以下、センター装置30で保持されている嗜好ジャンルテーブルを嗜好ジャンルテーブルT2という)とステップS902で取得された嗜好ジャンルテーブルT1のバージョンが同一か否かが判断される(ステップS903)。嗜好ジャンルテーブルT2と嗜好ジャンルテーブルT1のバージョンが同一である場合(ステップS903;YES)、車載器10からアップリンクされた嗜好ジャンルテーブルT1が、コンテンツ選択対象の嗜好ジャンルテーブル(以下、コンテンツ選択対象となる嗜好ジャンルテーブルを嗜好ジャンルテーブルT3という)として設定される(ステップS904)。
【0069】
嗜好ジャンルテーブルT2と嗜好ジャンルテーブルT1のバージョンが異なる場合(ステップS903;NO)、路側システムが保持している最新バージョンの嗜好ジャンルテーブルT2が車載器10へ送信される(ステップS905)。車載器10では、当該嗜好ジャンルテーブルT2が保持されることになる。次いで、嗜好ジャンルテーブルT2が、コンテンツ選択対象の嗜好ジャンルテーブルT3として設定される(ステップS906)。
そして、嗜好ジャンルテーブルT3に指定されたカテゴリに属する未送信のコンテンツが配信コンテンツ管理テーブルF1から選択される(ステップS907)。
【0070】
図11に、本実施の形態における配信コンテンツ管理テーブルF1の一例を示す。
配信コンテンツ管理テーブルF1は、配信すべきコンテンツを一意に識別する識別情報が記憶されており、センター装置30から車載器10に対して配信すべきコンテンツを管理するテーブルであり、図11に示すように、配信コンテンツ管理テールF1は、「サービス事業者コード」フィールド、「企業コード」フィールド、「情報コード」フィールド、「嗜好データカテゴリ」フィールド、「コンテンツ識別」フィールド、及び「更新日時」フィールドから構成される。「サービス事業者」フィールドは、当該レコードに該当するコンテンツを提供する事業者のサービス事業者コードが格納される。「企業コード」フィールドは、当該レコードに該当するコンテンツに関する企業の企業コードが格納される。「情報コード」フィールドは、当該レコードに該当するコンテンツの情報コードが格納される。「嗜好データカテゴリ」フィールドは、当該レコードに該当するコンテンツの嗜好データのカテゴリが格納される。「コンテンツ識別」フィールドは、当該レコードに属するコンテンツを識別するための情報(情報提供企業コード等)が格納される。「更新日時」フィールドは、当該レコードに該当するコンテンツが更新された日時(年月月日時分秒含む)が格納される。
ステップS907では、「嗜好データカテゴリ」フィールドが参照され、嗜好ジャンルテーブルT3に指定されたカテゴリに属するレコードに該当するコンテンツが抽出されることになる。
【0071】
ステップS901で取得された車載器IDと、配信情報管理テーブルF2の配信先車載器IDが一致するレコードが存在するか否か判断される(ステップS908)。
【0072】
図12に、本実施の形態における配信情報管理テーブルF2の一例を示す。
図12に示すように、配信情報管理テーブルF2は、「配信先車載器ID」フィールド、「サービス事業者コード」フィールド、「企業コード」フィールド、「情報コード」フィールド、及び「コンテンツ配信日時」フィールドから構成される。「配信先車載器ID」フィールドは、過去にコンテンツを配信した車載器IDが格納されている。「サービス事業者」フィールドは、当該レコードに該当するコンテンツを提供する事業者のサービス事業者コードが格納される。「企業コード」フィールドは、当該レコードに該当するコンテンツに関する企業の企業コードが格納される。「情報コード」フィールドは、当該レコードに該当するコンテンツの情報コードが格納される。「コンテンツ配信日時」フィールドは、当該レコードに該当するコンテンツが配信された日時(年月月日時分秒含む)が格納される。
センター装置30は、コンテンツを車載器10に対して送信するたびに新たなレコードとして当該コンテンツに関する情報を配信情報管理テーブルF2に保存する。
このように、配信情報管理テーブルF2の各レコードを参照することにより、センター装置30から車載器10に対して過去に送信されたコンテンツを特定することができる。
【0073】
車載器IDが一致するレコードが存在した場合(ステップS908;YES)、当該レコードに対応するコンテンツの情報コードと、配信情報管理テーブルF2の配信先車載器IDに登録されているコンテンツの各コード(サービス事業者コード、企業コード、及び情報コード)が一致しているレコードが存在するか否か判断される(ステップS909)。具体的には、ステップS908によって車載器IDが一致すると判断されたレコードの「サービス事業者コード」フィールド、「企業コード」フィールド、及び「情報コード」フィールドの情報と、配信情報管理テーブルF2に格納されているレコードのうち、車載器IDが一致するレコードの「サービス事業者コード」フィールド、「企業コード」フィールド、及び「情報コード」フィールドの情報が一致しているレコードが存在するか否かが判断される。
【0074】
以下、図10を参照しつつ説明する。
各コードが一致しているレコードが存在する場合(ステップS909;YES)、当該レコードのコンテンツの更新日時が、配信情報管理テーブルF2に登録されているコンテンツ配信日時以降であるか否か判断される(ステップS910)。具体的には、ステップS909で配信コンテンツ管理テーブルF1の情報コードが一致していると判断されたレコードの「更新日時」フィールドの情報と、配信管理テーブルF2の当該情報コードに該当するレコードの「コンテンツ配信日時」が比較される。
【0075】
登録されているコンテンツ配信日時以降であった場合(ステップS910;YES)、選択されたコンテンツが車載器10に対して送信される(ステップS911)。
【0076】
一方、車載器IDが一致するレコードが存在しない場合(ステップS908;NO)、ステップS907において選択されたコンテンツが車載器10に対して送信される(ステップS911)。つまり、車載器IDが配信情報管理テーブルF2に登録されていない場合は、当該車載器IDに対応する車載器10は路側システム(センター装置30と路側無線装置20)と接続したことがなく、コンテンツを初めて送信することを意味する。
【0077】
また、各コードが一致しているレコードが存在しない場合(ステップS909;NO)、ステップS907において選択されたコンテンツが車載器10に対して送信される(ステップS911)。
次いで、車載器10から応答コマンドが受信されたか否かが判断される(ステップS912)。応答コマンドが受信された場合(ステップS912;YES)、配信情報管理テーブルF2の情報が記録/上書きされる(ステップS913)。具体的には、配信情報管理テーブルF2のサービス事業者コード、企業コード、情報コード、コンテンツ配信日時が記録/上書きされる。
【0078】
一方、登録されているコンテンツ配信日時以降でない場合(ステップS910;NO)、ステップS914へ移行する。
そして、全コンテンツの送信が完了したか否か判断される(ステップS914)。全コンテンツの送信が完了していない場合(ステップS914;NO)、ステップS907に戻る。全コンテンツの送信が完了している場合(ステップS914;YES)、処理は終了する。
【0079】
一方、車載器10から応答コマンドが受信されていない場合(ステップS912;NO)、車載器10からの応答コマンドの受信が待ち受けられる(ステップS915)。次いで、応答コマンドの待ち時間がタイムアウトとなったか否かが判断される(ステップS916)。応答コマンドの待ち時間がタイムアウトでない場合(ステップS916;NO)、ステップS912に戻る。応答コマンドの待ち時間がタイムアウトとなった場合(ステップS916;YES)、処理は終了する。
【0080】
以上のように、本実施の形態における配信システム100によれば、センター装置30から車載器10に対して送信したコンテンツの情報と、車載器10から送信されたコンテンツ保持の情報から、車載器10が記憶しているコンテンツをセンター装置30は把握することができる。
【0081】
また、配信情報管理テーブルF2において、センター装置30から車載器10に対して配信したコンテンツを管理することにより、センター装置30は車載器10に対し、更新されたコンテンツ又は車載器10が記憶していないコンテンツのみを配信することができる。したがって、センター装置30は車載器10に対して必要なコンテンツの配信のみを行えばよいので、通信量の削減および車載器10の消費電力削減を図ることができる。また、車載器10は全てのコンテンツの受信をするために通信エリア内に車両Cを停車しておく時間を短縮することができる。したがって車両Cのエンジンを起動させておく時間も短縮することになり、車両Cの無駄な燃料消費を防止することもできる。
【0082】
また、車載器10が記憶しているコンテンツの情報コードと同一の情報コードのコンテンツがセンター装置30から配信された場合は、当該情報コードに対応するコンテンツは更新されているコンテンツであるため、車載器10は自己が保存しているコンテンツと同一の情報コードのコンテンツが配信された場合には、当該コンテンツは更新されているものと判断することができる。したがって、車載器10のユーザが予めお気に入りのコンテンツを指定していた場合には、当該指定したコンテンツの情報コードと同一の情報コードのコンテンツを受信した時は、当該コンテンツが更新されていると判断し、更新されたコンテンツを受信した旨を表示画面等でユーザに通知することにより、車載器10の制御部4は通知手段として機能することができる。
【0083】
なお、本実施の形態においては、配信コンテンツ管理テーブルF1を使用して車載器10へ送信するコンテンツの候補を選択したが、コンテンツの更新日時を判別することができればよく、センター装置30が保持するコンテンツを管理する方法はこれに限られない。例えば、別の構成のテーブルをもとにコンテンツの候補を選択するようにしてもよいし、センター装置30に記憶されているコンテンツ全てを候補として選択するようにしてもよい。
【0084】
その他、本発明が上記実施形態に限定されず、適宜変更可能であるのは勿論である。
【0085】
(第2の実施の形態)
次に図13から図15を参照しつつ、本発明に係る配信システム100の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態は、主にコンテンツ配信処理が第1の実施の形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施の形態と異なる点について説明する。
【0086】
第2の実施の形態では、広告受信/再生ログが路側システムにアップリンクされる点で第1の実施の形態と異なる。具体的には、図8に示すステップS807においてアップリンクデータ構築がなされ、路側システムに対して送信する際には、後述する広告受信/再生ログが作成され、アップリンクデータとともに路側システムに対して送信されることになり、センター装置30の制御部31はログ情報取得手段として機能する。
【0087】
図13に、広告受信/再生ログF3のデータ形式の一例を模式的に示す。
図13に示すように、広告受信/再生ログF3は「サービス事業者コード」フィールドと、「受信情報コード」フィールド、及び「受信年月日」フィールドから構成される。「サービス事業者コード」フィールドには、車載器10が受信したコンテンツのサービス事業者コードが格納される。「受信情報コード」フィールドには、受信したコンテンツの情報コードが格納される。「受信年月日」フィールドには、当該レコードに対応するコンテンツを受信した時間(年月日時分秒を含む)が格納される。車載器10はコンテンツを受信すると、その受信した時間を当該コンテンツと対応付けて記憶することになる。
路側システムでは、広告受信/再生ログF3を受信することにより、車載器10がどのコンテンツをいつ受信しているかを判断することができる。
【0088】
図14及び図15に、本実施の形態におけるコンテンツ配信処理(以下、第1の実施の形態と区別をするために、コンテンツ配信処理Bという)を示す。
コンテンツ配信処理Bは、コンテンツ送信の指示が入力された際に制御部31と記憶部34に記憶されたプログラムとの協働によるソフトウェア処理により実現される。当該コンテンツ配信処理では、更新されているコンテンツのみを車載器10に対して送信する。
【0089】
図14に示すように、センター装置30においては車載器10とDSRC接続がされた際に車載器10から通知された車載器IDが取得される(ステップS1401)。次いで、車載器10がアップリンクした嗜好ジャンルテーブルT1と、嗜好ジャンルテーブルT1のバージョンが取得される(ステップS1402)。そして、車載器10によってアップリンクされた広告受信/再生ログF3が取得される(ステップS1403)。
【0090】
次いで、車載器10の嗜好ジャンルテーブルT1が最新か否か判断される(ステップS1404)。具体的には、路側システムで保持している嗜好ジャンルテーブルT2と車載器10の嗜好ジャンルテーブルT1のバージョンが同一か否かが判断されることによって判断が行われる。車載器10の嗜好ジャンルテーブルT1が最新である場合(ステップS1404;YES)、車載器10からアップリンクされた嗜好ジャンルテーブルT1が、コンテンツ選択対象の嗜好ジャンルテーブルT3として設定される(ステップS1405)。
【0091】
車載器10の嗜好ジャンルテーブルT1が最新でない場合(ステップS1404;NO)、路側システムが保持している最新バージョンの嗜好ジャンルテーブルT2が車載器10へ送信される(ステップS1406)。次いで、嗜好ジャンルテーブルT2が、コンテンツ選択対象の嗜好ジャンルテーブルT3として設定される(ステップS1407)。
【0092】
嗜好ジャンルテーブルT3に指定されたカテゴリに属する未送信のコンテンツが配信コンテンツ管理テーブルF1から選択される(ステップS1408)。次いで、ステップS1408で選択されたコンテンツの各コード(サービス事業者コード、及び情報コード)と一致するレコードが広告受信/再生ログF3内に存在するか否か判断される(ステップS1409)。
【0093】
ステップS1408で選択されたコンテンツの各コードと一致するレコードが広告受信/再生ログF3内に存在する場合(ステップS1409;YES)、当該コンテンツの更新日時が、広告受信/再生ログF3内の当該レコードのコンテンツ受信日時以降であるか否か判断される(ステップS1410)。コンテンツの更新日時が、広告受信/再生ログF3内の当該レコードのコンテンツ受信日時以降である場合(ステップS1410;YES)、ステップS1408で選択されたコンテンツが車載器10に対して送信される(ステップS1411)。
一方、ステップS1409で選択されたコンテンツの各コードと一致するレコードが広告受信/再生ログF3内に存在しない場合(ステップS1409;NO)、ステップS1411へと移行し、ステップS1408で選択されたコンテンツが車載器10に対して送信される。
【0094】
次いで、車載器10から応答コマンドが受信されたか否かが判断される(ステップS1412)。応答コマンドが受信された場合(ステップS1412;YES)、全コンテンツの送信が完了したか否か判断される(ステップS1413)。
【0095】
一方、コンテンツの更新日時が、広告受信/再生ログF3内の当該レコードのコンテンツ受信日時以降でない場合(ステップS1410;NO)、ステップS1413に移行する。
全コンテンツの送信が完了していない場合(ステップS1413;NO)、ステップS1408に戻る。全コンテンツの送信が完了している場合(ステップS1414;YES)、処理は終了する。
【0096】
一方、車載器10から応答コマンドが受信されていない場合(ステップS1412;NO)、車載器10からの応答コマンドの受信が待ち受けられる(ステップS1414)。次いで、応答コマンドの待ち時間がタイムアウトとなったか否かが判断される(ステップS1415)。応答コマンドの待ち時間がタイムアウトでない場合(ステップS1415;NO)、ステップS1412に戻る。応答コマンドの待ち時間がタイムアウトとなった場合(ステップS1415;YES)、処理は終了する。
【0097】
以上のように、本実施の形態によれば、車載器10からアップリンクされる広告受信/再生ログF3に情報コードごとに受信日時が格納されているので、広告受信再生ログF3を受信したセンター装置30は、自己が保持するコンテンツの更新日時を比較することにより、車載器10が記憶しているコンテンツが更新されているか否かを判別することができる。車載器10が記憶しているコンテンツが更新されている場合にのみ、センター端末30はコンテンツ配信処理によって当該コンテンツを配信するので、第1の実施の形態と同様、通信量の軽減や電力消費の軽減等につながる。
【0098】
また、車載器10においては、既に記憶部1fに記憶されているコンテンツと同一の情報コードのコンテンツが配信された際には、当該コンテンツは更新されたコンテンツであると判断することができる。更新されたと判断されたコンテンツを表示する際には、第1の実施の形態と同様、コンテンツが更新された旨をユーザに対して通知することができ、予めお気に入りとしてユーザが指定したコンテンツが更新された時にのみ、更新の旨の通知を行うこともできる。
【0099】
なお、本実施の形態において、広告受信/再生ログF3は図13に示すような構成としたが、車載器10が記憶しているコンテンツの受信年月日を特定することができればよく、当該特定する方法はこれに限られない。例えば、受信した時間ではなくても保存した時間や他の情報を使用して車載器10が現在記憶しているコンテンツを判断するようにしてもよい。
【0100】
その他、本発明が上記実施形態に限定されず、適宜変更可能である。
【0101】
(第3の実施の形態)
次に図16及び図18を参照しつつ、本発明に係る配信システム100の第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態は、情報コードの構成とコンテンツ配信処理が第2の実施の形態と異なるものであるため、以下においては、特に第2の実施の形態と異なる点について説明する。
【0102】
また、第3の実施の形態においては、コンテンツが更新されたか否かを示す更新フラグがコンテンツ内に含まれている点で第1の実施の形態と異なる。具体的には、コンテンツのデータ領域の一部を、当該コンテンツが更新されたか否かを識別するための更新フラグとして使用し、更新フラグの情報によって、当該コンテンツが更新されたか否かを識別する。更新フラグのデータ形式について以下説明する。
【0103】
図16に、本実施の形態における情報コードのコード構成の一例を示す。
図16に示すように、本実施の形態においては、情報コードは更新フラグと情報識別コードから構成される。更新フラグは、後述するコンテンツ配信処理によって、当該コンテンツが更新されたか否かを示す情報である。情報識別コードは、コンテンツに一意に割り振られたコードであり、コンテンツを識別するための情報である。したがって、本実施の形態においてはセンター端末30及び車載器10は、情報コードの下位のビットである情報識別コードを参照することによって、コンテンツを特定することができる。
なお、図16の例では、情報コードを24ビット、更新フラグを3ビット、情報識別コードを21ビットとするが、情報コード、更新フラグ、及び情報識別コードの構成はこれに限られない。例えば、更新フラグに割り当てる領域が図16の例よりも多くてもよいし少なくてもよい。
【0104】
図16に示すように更新フラグの領域を割り当てた場合、情報を配信する側であるセンター端末30は、コンテンツが更新されるたびに更新フラグの値を加算していく。図16の例では更新フラグに3ビットを割り当てているので、コンテンツが更新されるたびに、0、1、2、3のように値を変化させ、更新フラグが7の状態でコンテンツが更新された場合は再び更新フラグは0に戻る。
例えば、更新フラグを0とし、情報識別コードが25の値が付与されたコンテンツが更新された場合、センター端末30は当該更新されたコンテンツの更新フラグを1とし、情報識別コードを25として値を付与しコンテンツを配信する。
【0105】
図17及び図18に、本実施の形態におけるコンテンツ配信処理(以下、第1の実施の形態と区別をするために、コンテンツ配信処理Cという)を示す。
コンテンツ配信処理Cは、コンテンツ送信の指示がセンター端末30に対して入力された際に制御部31と記憶部34に記憶されたプログラムとの協働によるソフトウェア処理により実現される。当該コンテンツ配信処理Cでは、更新されているコンテンツのみを車載器10に対して送信する。
【0106】
図17に示すように、センター装置30においては車載器10とDSRC接続がされた際に車載器10から通知された車載器IDが取得される(ステップS1701)。次いで、車載器10がアップリンクした嗜好ジャンルテーブルT1と、嗜好ジャンルテーブルT1のバージョンが取得される(ステップS1702)。そして、車載器10がアップリンクした広告受信/再生ログF3が取得される(ステップS1703)。
【0107】
次いで、車載器10の嗜好ジャンルテーブルT1が最新か否か判断される(ステップS1704)。具体的には、路側システムで保持している嗜好ジャンルテーブルT2と車載器10の嗜好ジャンルテーブルT1のバージョンが同一か否かが判断されることによって判断が行われる。車載器10の嗜好ジャンルテーブルT1が最新である場合(ステップS1704;YES)、車載器10からアップリンクされた嗜好ジャンルテーブルT1が、コンテンツ選択対象の嗜好ジャンルテーブルT3として設定される(ステップS1705)。
【0108】
車載器10の嗜好ジャンルテーブルT1が最新でない場合(ステップS1704;NO)、路側システムが保持している最新バージョンの嗜好ジャンルテーブルT2が車載器10へ送信される(ステップS1706)。次いで、嗜好ジャンルテーブルT2が、コンテンツ選択対象の嗜好ジャンルテーブルT3として設定される(ステップS1707)。
【0109】
嗜好ジャンルテーブルT3に指定されたカテゴリに属する未送信のコンテンツが配信コンテンツ管理テーブルF1から選択される(ステップS1708)。次いで、ステップS1708で選択されたコンテンツの情報識別コード(情報コードの下位ビット)と一致するレコードが広告受信/再生ログF3内に存在するか否か判断される(ステップS1709)。
【0110】
ステップS1708で選択されたコンテンツの情報識別コードと一致するレコードが広告受信/再生ログF3内に存在する場合(ステップS1709;YES)、当該コンテンツの更新フラグが、広告受信/再生ログF3内の当該レコードの更新フラグと同一であるか否か判断される(ステップS1710)。コンテンツの更新フラグが、広告受信/再生ログF3内の当該レコードの更新フラグと同一でない場合(ステップS1711;YES)、ステップS1708で選択されたコンテンツが車載器10に対して送信される(ステップS1711)。
【0111】
次いで、車載器10から応答コマンドが受信されたか否かが判断される(ステップS1712)。応答コマンドが受信された場合(ステップS1712;YES)、全コンテンツの送信が完了したか否か判断される(ステップS1713)。
【0112】
一方、コンテンツの更新フラグが、広告受信/再生ログF3内の当該レコードの更新フラグと同一である場合(ステップS1710;YES)、ステップS1713へと移行する。
全コンテンツの送信が完了していない場合(ステップS1713;NO)、ステップS1708に戻る。全コンテンツの送信が完了している場合(ステップS1714;YES)、処理は終了する。
【0113】
一方、車載器10から応答コマンドが受信されていない場合(ステップS1712;NO)、車載器10からの応答コマンドの受信が待ち受けられる(ステップS1714)。次いで、応答コマンドの待ち時間がタイムアウトとなったか否かが判断される(ステップS1715)。応答コマンドの待ち時間がタイムアウトでない場合(ステップS1715;NO)、ステップS1712に戻る。応答コマンドの待ち時間がタイムアウトとなった場合(ステップS1715;YES)、処理は終了する。
【0114】
以上のように、本実施の形態によれば、コンテンツが更新されたか否かを示す更新フラグを情報コードの中に格納するため、センター装置30と車載器10は当該更新フラグを参照することによって当該コンテンツが更新されたか否かを識別することができる。したがって、センター装置30では、車載器10からアップリンクされた広告受信/再生ログF3に指定された情報コード内の更新フラグと、これから配信しようとするコンテンツの情報コード内の更新フラグを比較することによって、更新されていないコンテンツを送信しないよう制御することができるため、通信量及び消費電力の軽減を図ることができる。
【0115】
また、センター装置30の判断によって更新されたコンテンツのみを車載器10に対して配信するので、車載器10は受信したコンテンツは更新されているコンテンツであるため、車載器10側で更新フラグを参照して更新の有無を判断する必要はなくなる。
【0116】
なお、本実施の形態においては、配信コンテンツ管理テーブルF2は、既に車載器10に対して配信したコンテンツの情報識別コードと更新フラグの値を判別できればよく、配信コンテンツ管理テーブルF2の構成は、本実施の形態における例に限られない。
【0117】
なお、本実施の形態では、情報コード内に含まれる更新フラグを参照して、コンテンツの更新の有無を判断する構成としたが、コンテンツの更新の判断の方法はこれに限られない。例えば、ID40の詳細情報の領域に更新フラグを格納する構成としてもよいし、他のIDのデータ領域の一部を更新フラグとして使用してもよい。センター装置30が更新の有無を判断するためには、更新フラグとして割り当てた領域を参照すればよい。
【0118】
その他、本発明が上記実施形態に限定されず、適宜変更可能である。
【0119】
(第4の実施の形態)
次に図19から図21を参照しつつ、本発明に係る配信システム100の第1の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態は、主にコンテンツ配信処理が第1の実施の形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施の形態と異なる点について説明する。
【0120】
第4の実施の形態では、アップリンク情報に含まれる「過去立寄り地点」のデータを利用してコンテンツ配信処理を行う点で第1の実施の形態と異なる。センター装置30の制御部31は、アップリンク情報に含まれる「過去立寄り地点」のデータを取得する立寄り情報取得手段として機能する。
【0121】
過去立寄り地点とは、アップリンク情報に含まれる情報であり、車両Cを過去に駐車した位置座標等の情報を示す。車両Cのエンジンが切られ、車載器10の電源が切断された際に制御部4は駐車されたと判断し、当該地点を過去立寄り地として登録する。
【0122】
図19に、アップリンク情報に含まれる過去立寄り地点テーブルF4のデータ格納例を示す。
図19に示すように、過去立寄り地点テーブルF4は、「No」フィールド、「立寄り地点」フィールド、及び「立寄り年月日」フィールド等から構成される。
「No」フィールドには、各レコードに連番で割り当てられた値が格納される。図19に示す例では、過去立寄り地点テーブルF4は83のレコードを保持することができる。「立寄り地点」フィールドには、車両Cが過去に立寄った場所を示す緯度、経度情報が格納される。「立寄り年月日」フィールドには、当該レコードに該当する場所に立寄った年月日(年月日時分秒含む)が格納される。
【0123】
過去立寄り地点テーブルF4に格納されたデータは、アップリンクされると消去される。つまり、図8で述べたように路側システムと接続され、車載器10から路側システムに対してアップリンクデータが送信されると、車載器10が保持している過去立寄り地点テーブルF4のデータは消去され、アップリンクした以降に駐車した地点の情報が新たなレコードとして順次格納されていくことになる。
【0124】
図20及び図21に、本実施の形態におけるコンテンツ配信処理(以下、第1の実施の形態と区別をするために、コンテンツ配信処理Dという)を示す。
コンテンツ配信処理Dは、コンテンツ送信の指示が入力された際に制御部31と記憶部34に記憶されたプログラムとの協働によるソフトウェア処理により実現される。当該コンテンツ配信処理では、更新されているコンテンツのみを車載器10に対して送信する。
【0125】
図20に示すように、センター装置30においては車載器10とDSRC接続がされた際に車載器10から通知された車載器IDが取得される(ステップS2001)。次いで、車載器10がアップリンクした嗜好ジャンルテーブルT1と、嗜好ジャンルテーブルT1のバージョンが取得される(ステップS2002)。そして、車載器10によってアップリンクされた広告受信/再生ログF3が取得される(ステップS2003)。
【0126】
次いで、車載器10の嗜好ジャンルテーブルT1が最新か否か判断される(ステップS2004)。具体的には、路側システムで保持している嗜好ジャンルテーブルT2と車載器10の嗜好ジャンルテーブルT1のバージョンが同一か否かが判断されることによって判断が行われる。車載器10の嗜好ジャンルテーブルT1が最新である場合(ステップS2004;YES)、車載器10からアップリンクされた嗜好ジャンルテーブルT1が、コンテンツ選択対象の嗜好ジャンルテーブルT3として設定される(ステップS2005)。
【0127】
車載器10の嗜好ジャンルテーブルT1が最新でない場合(ステップS2004;NO)、路側システムが保持している最新バージョンの嗜好ジャンルテーブルT2が車載器10へ送信される(ステップS2006)。次いで、嗜好ジャンルテーブルT2が、コンテンツ選択対象の嗜好ジャンルテーブルT3として設定される(ステップS2007)。
【0128】
嗜好ジャンルテーブルT3に指定されたカテゴリに属する未送信のコンテンツが配信コンテンツ管理テーブルF1から選択される(ステップS2008)。次いで、車載器10から受信したアップリンク情報に含まれる過去立寄り地点テーブルF4のデータがフルになっているか否か判断される(ステップS2009)。具体的には、図19の例では、過去立寄り地点テーブルF4の「No」フィールドの値が「1」のレコードと「83」のレコードのそれぞれに対応する「立寄り年月日」フィールドの値が比較され、前者が後者よりも新しければ、「No」フィールドの値が「1」のレコードが上書きされているため、過去立寄り地点テーブルF4のデータがフルになっていると判断される。
【0129】
過去立寄り地点テーブルF4のデータがフルになっていない場合(ステップS2009;NO)、ステップS2010で選択されたコンテンツの更新日時が過去立寄り地の最も古い日時以降であるか否か判断される(ステップS2010)。具体的には、ステップS2010で選択されたコンテンツに該当する配信コンテンツ管理テーブルF1のレコードの「更新日時」フィールドの値と、過去立寄り地点テーブルF4の「No」フィールドが1のレコードの「立寄り年月日」フィールドの値が比較される。
【0130】
ステップS2010で選択されたコンテンツの更新日時が過去立寄り地の最も古い日時以降でない場合(ステップS2010;NO)、当該コンテンツは更新されていないと判断され送信されず、ステップS2013に移行する。
【0131】
一方、過去立寄り地点テーブルF4のデータがフルになっている場合(ステップS2009;YES)、及びステップS2010で選択されたコンテンツの更新日時が過去立寄り地の最も古い日時以降である場合(ステップS2010;YES)、当該コンテンツが車載器10に対して送信される(ステップS2011)。
【0132】
次いで、車載器10から応答コマンドが受信されたか否かが判断される(ステップS2012)。応答コマンドが受信された場合(ステップS2012;YES)、全コンテンツの送信が完了したか否か判断される(ステップS2013)。
【0133】
全コンテンツの送信が完了していない場合(ステップS2013;NO)、ステップS2008に戻る。全コンテンツの送信が完了している場合(ステップS2013;YES)、処理は終了する。
【0134】
一方、車載器10から応答コマンドが受信されていない場合(ステップS2012;NO)、車載器10からの応答コマンドの受信が待ち受けられる(ステップS2014)。次いで、応答コマンドの待ち時間がタイムアウトとなったか否かが判断される(ステップS2015)。応答コマンドの待ち時間がタイムアウトでない場合(ステップS2015;NO)、ステップS2012に戻る。応答コマンドの待ち時間がタイムアウトとなった場合(ステップS2015;YES)、処理は終了する。
【0135】
以上のように、本実施の形態によれば、車載器10からアップリンクされた過去立寄り地点テーブルF4に格納された車両Cが過去に立寄った地点の立寄り年月日と、センター装置30が保持するコンテンツの更新日時を比較することにより、車載器10が記憶しているコンテンツが更新されているか否かを判別することができる。つまり、過去立寄り地点テーブルF4に格納された車両Cが過去に立寄った地点の立寄り年月日の時間以降は、車載器10は路側システムと通信を行っておらず、車載器10はこの時間以降はコンテンツを受信していないと判断することができる。車載器10が記憶しているコンテンツが更新されている場合にのみ、センター端末30はコンテンツ配信処理によって当該コンテンツを配信するので、第1の実施の形態と同様、通信量の軽減や電力消費の軽減等につながる。
【0136】
なお、本実施の形態において、過去立寄り地点テーブルF4は図19に示すような構成とし、立寄り年月日は車載器10の電源が切られた時間を格納するようにしたが、過去立寄り地点テーブルF4の構成および格納される情報はこれに限られない。車両Cが立寄った地点の年月日を判別することができればよく、センター装置30ではコンテンツ配信処理Dにおいて、配信コンテンツ管理テーブルF1のレコードの「更新日時」フィールドの値と比較することができればよい。
【0137】
なお、本実施の形態では、過去立寄り地点テーブルF4がフルになった場合、新たなレコードが「No」フィールドが1から順次上書きされるため、全コンテンツを車載器10に対して送信するようにしたが、過去立寄り地点テーブルF4がフルになった場合の処理はこれに限られない。例えば、過去立寄り地点テーブルF4のレコードのうち、「立寄り年月日」が最も古いレコードを検索して、ステップS2010で比較させるようにしてもよい。
【0138】
その他、本発明が上記実施形態に限定されず、適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本実施形態における配信システムを示す図である。
【図2】図1の路側無線装置の路側エリアを説明する図である。
【図3】図1の車載器の機能的構成を示す図である。
【図4】本実施の形態における嗜好ジャンルテーブルの一例を示す図である。
【図5】センター装置の機能的構成を示す図である。
【図6】コンテンツのデータ構造の一例を示す図である。
【図7】コンテンツのデータ形式の一例を示す図である。
【図8】一般的な配信システムにおける処理の流れを説明する図である。
【図9】本実施の形態における配信システムにおける処理の流れを説明する図である。
【図10】本実施の形態における配信システムにおける処理の流れを説明する図である。
【図11】本実施の形態における配信コンテンツ管理テーブルの一例を示す図である。
【図12】本実施の形態における配信情報管理テーブルの一例を示す図である。
【図13】第2の実施の形態における広告受信/再生ログの一例を示す図である。
【図14】第2の実施の形態における配信システムにおける処理の流れを説明する図である。
【図15】第2の実施の形態における配信システムにおける処理の流れを説明する図である。
【図16】第3の実施の形態における情報コードの構造を模式的に示す図である。
【図17】第3の実施の形態における配信システムにおける処理の流れを説明する図である。
【図18】第3の実施の形態における配信システムにおける処理の流れを説明する図である。
【図19】第4の実施の形態における過去立寄り地点テーブルの一例を示す図である。
【図20】第4の実施の形態における配信システムにおける処理の流れを説明する図である。
【図21】第4の実施の形態における配信システムにおける処理の流れを説明する図である。
【符号の説明】
【0140】
100 配信システム
10 車載器
1 カーナビ部
1d 入力部
1e 表示部
1f 記憶部
3 DSRC部
3a DSRC制御部
3b 通信部
3c 記憶部
M アップリンク情報記憶領域
4 制御部
20 路側無線装置
30 センター装置
31 制御部
34 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載器と、前記車載器と無線通信を用いて接続する路側無線装置と、前記路側無線装置を介して前記車載器にコンテンツを配信するセンター装置とを有する配信システムであって、
前記センター装置は、
前記車載器に対して配信すべき前記コンテンツを一意に識別する識別情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された識別情報に対応付けられた前記コンテンツを配信するか否かを制御する制御手段と、
を備え、
前記車載器は、
予め指定された前記コンテンツを受信した際に当該コンテンツが更新された旨の通知を行う通知手段を備えることを特徴とする配信システム。
【請求項2】
コンテンツを記憶及び再生することのできる車載器と無線通信を用いて接続する路側無線装置を介して接続されたセンター装置であって、
前記車載器に対して配信すべき前記コンテンツを一意に識別する識別情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された識別情報に対応付けられた前記コンテンツを配信するか否かを制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするセンター装置。
【請求項3】
前記識別情報は前記コンテンツが更新された時間を示す情報を含むことを特徴とする請求項2に記載のセンター装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記車載器に対して配信した前記コンテンツを識別する配信情報を記憶し、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記識別情報と前記配信情報をもとに前記コンテンツを配信するか否かを制御することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のセンター装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記コンテンツを配信した際に前記記憶手段に記憶された前記配信情報を更新することを特徴とする請求項4に記載のセンター装置。
【請求項6】
前記車載器が記憶している前記コンテンツを示す情報であるログ情報を取得するログ情報取得手段を更に備え、
前記制御手段は、前記ログ情報取得手段によって取得された前記ログ情報と前記記憶手段に記憶された前記識別情報をもとに前記コンテンツを配信するか否かを制御することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のセンター装置。
【請求項7】
前記コンテンツは当該コンテンツが更新されているか否かを示す更新フラグを含み、
前記車載器が記憶している前記コンテンツを示す情報であるログ情報を取得するログ情報取得手段を更に備え、
前記制御手段は、前記ログ情報取得手段によって取得された前記ログ情報、前記記憶手段に記憶された前記識別情報と前記更新フラグをもとに前記コンテンツを配信するか否かを制御することを特徴とする請求項2に記載のセンター装置。
【請求項8】
前記車載器から駐車した日時を示す立寄り情報を取得する立寄り情報取得手段を更に備え、
前記制御手段は、前記立寄り情報取得手段によって取得された前記立寄り情報と前記識別情報をもとに前記コンテンツを配信するか否かを制御することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のセンター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−201028(P2009−201028A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43041(P2008−43041)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】