説明

電気光学装置及び電気光学装置の製造方法

【課題】電極における線状電極部を精度良く残すとともに、開口部における残渣の発生を抑制することが可能な電気光学装置を提供すること。
【解決手段】共通電極における開口部46(間隙部分)には、共通電極を形成する際に、絶縁層76よりもITO膜の結晶化を抑制させる物質からなる下地層46が形成されている。つまり、下地層46が形成された間隙となる部分におけるITO膜の結晶粒子は、絶縁層76上におけるITO膜の結晶粒子よりも小さくなっている。よって、透明電極材料としてのITO膜をエッチングする際に、間隙となる部分におけるエッチングレートは、絶縁層76上におけるエッチングレートより高くなるため、下地層46上のITO膜を選択的に除去することができる。従って、電極における線状電極部を精度良く残すとともに、開口部における残渣の発生を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置及び電気光学装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶表示装置等の電気光学装置では、マトリックス状に配置された複数の画素を有しており、液晶層等の電気光学層を画素ごとに駆動している。また、透過型の液晶表示装置では、各画素の開口率を向上させるため、画素ごとに配置される画素電極を例えば多結晶ITO(Indium Tin Oxide)のような透光性の導電材料で形成している。
【0003】
このような透明電極は、フォトリソグラフィ技術を用いてエッチングによりパターニングして形成される。ITOをエッチングする場合、一般的に塩酸と硝酸との混合液をエッチャント(エッチング液)としてエッチングを行うが、ITOは酸化物であるため、エッチング速度が遅いことに加え、結晶毎にエッチングが進行することからエッチング後に残渣が生じてしまうことがあった。そのため、狭いピッチで透明電極を配置する場合には、透明電極間の間隔を十分に確保する必要があり、微細化が困難であった。
他方、IPS(In Plane Switching)方式や、FFS(Fringe Field Switching)方式などの横電界方式の液晶表示装置においては、透明電極を狭ピッチで配置したり、透明電極内に幅数μm程度のスリット形状を複数形成する必要があった。つまり、透明電極を微細加工する必要があった。
【0004】
図10(A)は、従来のFFS方式の液晶表示装置における1つの画素を拡大した平面図であり、(B)は、(A)のj−jにおける断面図である。
FFS方式の場合、図10(A)に示すように、一つの画素内において、複数のスリット状の開口部46が形成された透明電極である共通電極34と、その下層側に重なるように配置された画素電極30との間に電界を生じさせて表示を行っていた。共通電極34は、全画素において共通に形成されており、各画素電極30と重なる部分において、複数のスリット状の開口部46が形成されていた。また、複数の開口部46を区画する線状の電極部を線状電極部48という。
詳しくは、図10(B)の矢印に示すように、共通電極34と画素電極30との間に設けられた絶縁層76を介して、各線状電極部48と画素電極30との間に電界を生じさせて、液晶層28の液晶分子を動かしていた。また、この開口部46の幅および線状電極部48の幅は、例えば、共に6μm以上に設定されていたが、開口率や、透過率などの更なる向上のために、より微細なパターニングが求められていた。
【0005】
このような要望に応える技術として、例えば、特許文献1及び2には、エッチングレートを改善するために、エッチング液として、ヨウ化水素、塩化鉄系の薬液を用いたり、濃硫酸、濃塩酸系を昇温させて用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−5899号公報
【特許文献2】特開平10−178177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2の技術を用いてエッチングレートが改善されたとしても、ウエットエッチングであるため、透明電極は等方性にエッチングされることになり、残渣が発生しないように開口部46をしっかりエッチングすれば、隣接する線状電極部48も横方向(側面)からエッチングされてしまう。反対に、線状電極部48を残すようにエッチングすると、開口部46に残渣が残ってしまうという課題があった。換言すれば、透明電極における線状電極部を精度良く残すとともに、開口部における残渣の発生を抑制することは困難であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0009】
(適用例)
基板と、基板に形成された絶縁層と、絶縁層上に、平面的に間隙をなして配置された電極と、間隙部分に形成された絶縁層とは異なる材料からなる下地層と、を少なくとも備え、下地層は、絶縁層よりも電極の材料の結晶化を抑制させる物質からなり、電極を形成する際には、間隙部分に配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【0010】
この電気光学装置によれば、電極における間隙部分には、電極を形成する際に、絶縁層よりも電極の材料の結晶化を抑制させる物質からなる下地層が形成されている。
つまり、下地層が形成された間隙となる部分における電極材料の結晶粒子は、絶縁層上における電極材料の結晶粒子よりも小さくなっている。
よって、電極材料をエッチングする際に、間隙となる部分におけるエッチングレートは、絶縁層上におけるエッチングレートより高くなるため、下地層上(間隙部分)の電極材料を選択的に除去することができる。さらに、絶縁層上における電極(線状電極部)の結晶粒子は、下地層上(間隙部)の結晶粒子よりも大きいため、エッチングレートが遅く、エッチングストッパーとしての機能を果たすことになる。
従って、電極における線状電極部を精度良く残すとともに、開口部における残渣の発生を抑制することが可能な電気光学装置を提供することができる。
【0011】
また、上記電気光学装置において、電極は、ITO、またはIZOからなる透明電極であることが好ましい。
また、上記電気光学装置において、絶縁層は、シリコン窒化膜からなり、下地層は、シリコン酸化膜、または有機絶縁膜からなることが好ましい。
また、上記電気光学装置において、絶縁層は、シリコン酸化膜からなり、下地層は、有機絶縁膜からなることが好ましい。
【0012】
平面的に間隙をなして配置された電極を備えた電気光学装置の製造方法であって、(a)基板に絶縁層を形成する工程と、(b)絶縁層上における間隙となる部分に、選択的に下地層を形成する工程と、(c)絶縁層、および下地層を覆って導電層を形成する工程と、(d)導電層上において、平面的に間隙となる部分が露出したレジスト層を形成する工程と、(e)レジスト層をマスクとして、導電層をエッチングして電極を形成する工程と、を含み、下地層は、絶縁層よりも、(c)工程の導電層の形成時における導電層の結晶化を抑制させる物質からなることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【0013】
また、上記電気光学装置の製造方法において、導電層は、ITO層、またはIZO層であり、(c)工程においては、スパッタ法を用いてITO層、またはIZO層を形成することが好ましい。
また、上記電気光学装置の製造方法において、絶縁層は、シリコン窒化膜からなり、下地層は、シリコン酸化膜、または有機絶縁膜からなることが好ましい。
また、上記電気光学装置の製造方法において、絶縁層は、シリコン酸化膜からなり、下地層は、有機絶縁膜からなることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A)液晶表示装置を対向基板の側から見た平面図、(B)は(A)におけるi−i断面図。
【図2】液晶表示装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図3】液晶表示装置の画素の拡大平面図。
【図4】図3のj−j断面図。
【図5】選択的エッチングの原理説明図。
【図6】(A)〜(D)素子基板の製造方法を示す工程断面図。
【図7】(A)〜(C)素子基板の製造方法を示す工程断面図。
【図8】(A)〜(C)液晶表示装置を備えた電子機器を示す図。
【図9】(A)〜(D)変形例1における透明電極の平面図。
【図10】(A)従来の液晶表示装置における画素拡大図、(B)は(A)におけるj−j断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。尚、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を適宜変更している。又、カラーフィルターや配向膜等の図示は省略してある。
【0016】
「液晶表示装置の概略構成」
図1(A)は、液晶表示装置を対向基板の側から見た平面図であり、(B)は(A)のi−i断面図である。
本実施形態に係る液晶表示装置2は、LTPS(Low Temperature Poly Silicon)液晶パネルであり、FFS方式に対応した画素が形成されている。
【0017】
図1(A)、(B)において、液晶表示装置2は、透過型のアクティブマトリックス型液晶表示装置であり、素子基板(基板)12の上には、シール材14が対向基板10の縁に沿うように設けられている。素子基板12において、シール材14の外側の領域には、データ線駆動回路16及び実装端子18が素子基板12の一辺に沿って設けられており、実装端子18が配列された辺に隣接する2辺に沿っては、走査線駆動回路20が形成されている。素子基板12の残る一辺には、画像表示領域22の両側に設けられた走査線駆動回路20間をつなぐための複数の配線24が設けられており、更に、額縁26の下等を利用して、プリチャージ回路や検査回路等の周辺回路が設けられることもある。
対向基板10は、シール材14と略同じ輪郭を備えており、このシール材14によって対向基板10が素子基板12に固着されている。素子基板12と対向基板10との間に液晶層(電気光学層)28が挟持されている。
【0018】
詳しくは後述するが、素子基板12には、画素電極30がマトリックス状に形成されている。これに対して、対向基板10には、シール材14の内側領域に遮光性材料からなる額縁26が形成され、その内側が画像表示領域22とされている。対向基板10では、素子基板12の画素電極30の縦横の境界領域と対向する領域にブラックマトリックス、或いはブラックストライプ等と称せられる遮光膜32が形成されている。
【0019】
本実施形態の液晶表示装置2は、液晶層28をFFSモードで駆動する。このため、素子基板12の上には、画素電極30に加えて共通電極(電極)34も形成されており、対向基板10には、対向電極が形成されていない。
【0020】
「液晶表示装置の詳細な構成」
図2は、液晶表示装置の電気的な構成を示す等価回路図である。
続いて、図2を参照して、本実施形態に係る液晶表示装置2及びそれに用いた素子基板12の構成を説明する。
【0021】
図2に示すように、液晶表示装置2の画像表示領域22には複数の画素36がマトリックス状に形成されている。複数の画素36の各々には、画素電極30、及び画素電極30を制御するための画素スイッチング用の薄膜トランジスター(画素スイッチング素子)38が形成されており、データ信号(画像信号)を線順次で供給するデータ線40が薄膜トランジスター38のソースに電気的に接続されている。
薄膜トランジスター38のゲートには走査線42が電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線42に走査信号を線順次で印加するように構成されている。画素電極30は、薄膜トランジスター38のドレインに電気的に接続されており、薄膜トランジスター38を一定期間だけそのオン状態とすることにより、データ線40から供給されるデータ信号を各画素36に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極30を介して、図1(B)に示す液晶層28に書き込まれた所定レベルの画素信号は、素子基板12に形成された画素電極30と共通電極34との間で一定期間保持される。ここで、画素電極30と共通電極34との間には保持容量44が形成されており、画素電極30の電圧は、例えば、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い表示を行うことのできる液晶表示装置2が実現される。
【0022】
なお、図2において保持容量44は、等価的にコンデンサーとして図示しているが、実際は、絶縁層76(図4)を挟持した画素電極30と共通電極34とが保持容量として機能しているため、別途容量素子が形成されている訳ではない。これは、FFS方式の特長の一つである。
また、図2では、共通電極34が走査線駆動回路20から延びた配線のように示してあるが、共通電極34は、素子基板12の画像表示領域22の略全面に形成された共通電極であり、対向電極生成回路(図示せず)から対向電極電圧Vcomが供給されている。なお、共通電極34は、画像表示領域22の略全面に形成されているが、各画素においては、複数のスリット状の開口部46(図3)が形成されている。
【0023】
「各画素の構成」
図3は、本実施形態に係る液晶表示装置の画素の拡大平面図であり、図10(A)に対応している。図4は、図3のj−j断面図であり、図10(B)に対応している。また、図10の構成と同じ部位には、同じ番号を附している。
なお、図3において、画素電極30は長い点線で示し、データ線40及びそれと同時形成された薄膜は一点鎖線で示し、走査線42は二点鎖線で示し、共通電極34は実線で示している。
【0024】
図3は、1つの画素の拡大平面図であり、図示は省略しているが、画像表示領域22(図1)には、同様の画素が上下方向、および左右方向にマトリックス状に配置されている。なお、この図は、対向基板10側から素子基板12を透過して観察した様子を示しており、最上面には、全画素に共通して形成されたITO膜からなる共通電極34が形成されている。共通電極34には、その下層側に形成された画素電極30(長い点線で囲まれた領域)と重なる部分に、複数のスリット状の開口部46が形成されている。また、間隙部としての複数の開口部46を区画する線状の電極部を線状電極部48という。
また、図3の図面に向かって左右方向には、2本の走査線42が略平行に延在しており、上下方向には2本のデータ線40が略平行に延在している。画素電極30は、この走査線42およびデータ線40に囲まれた縦長の長方形をなした領域内に形成されている。そして、この長方形をなした領域内の構成を一つの画素36としている。
共通電極34におけるスリット状の開口部46は、当該長方形の短辺から若干の傾斜をなしており、同じ傾斜をなした複数の開口部46が略等ピッチですだれ状に配置されている。また、画素36には、画素電極30に駆動電圧を供給する薄膜トランジスター38が形成されている。
【0025】
図4に示すように、液晶表示装置2は、液晶層28を素子基板12と対向基板10とで挟持した構成となっている。
素子基板12の基体である透明基板50は、石英基板や耐熱性のガラス基板、または無アルカリガラスなどの透明基板から構成されている。また、対向基板10も同様な透明基板を用いることができる。または、フォトリソ加工を行う必要がなければ、安価なソーダガラスや、樹脂基板を用いても良い。
素子基板12は、透明基板50上に、ゲート絶縁層62、第1層間絶縁層64、第2層間絶縁層70、画素電極30、絶縁層76、共通電極34などを積層した構成となっている。
【0026】
まず、透明基板50上には、シリコン酸化膜等からなる下地保護膜(図示せず)が形成され、その表面側には、トップゲート構造の薄膜トランジスター38が形成されている。
薄膜トランジスター38は、島状の半導体膜54に対して、チャネル形成領域56、ソース領域58、ドレイン領域60が形成された構造を備えている。また、チャネル形成領域56の両側に低濃度領域を備えたLDD(Lightly Doped Drain)構造を有するように形成されることもある。本実施形態において、半導体膜54は、素子基板12に対してアモルファスシリコン膜を形成した後、レーザアニールやランプアニール等により多結晶化されたポリシリコン膜である。
【0027】
半導体膜54の上層には、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、或いはそれらの積層膜からなるゲート絶縁層62が形成され、ゲート絶縁層62の上層には、走査線42の一部がゲート電極として重なって配置されている。なお、本実施形態では、平面的に半導体膜54がコの字形状に屈曲するとともに、ゲート電極がチャネル方向における2箇所に形成されたツインゲート構造を採用している。
【0028】
ゲート電極(走査線42)の上層には、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、或いはそれらの積層膜からなる第1層間絶縁層64が形成されている。第1層間絶縁層64の表面にはデータ線40が形成され、このデータ線40は、第1層間絶縁層64に形成されたコンタクトホール66(図3)を介して、最もデータ線40側に位置するソース領域に電気的に接続している。
第1層間絶縁層64の表面には、ドレイン電極68が形成されており、ドレイン電極68は、データ線40と同時形成された導電膜である。
データ線40及びドレイン電極68の上層側には、第2層間絶縁層70が形成されている。第2層間絶縁層70は、厚さが約1.5〜2.0μmの厚い感光性樹脂からなる平坦化膜である。
【0029】
第2層間絶縁層70の表面にはITO膜からなる画素電極30が島状に形成されている。画素電極30は、第2層間絶縁層70に形成されたコンタクトホール72を介してドレイン電極68に電気的に接続している。また、ドレイン電極68は、第1層間絶縁層64及びゲート絶縁層62に形成されたコンタクトホール74を介して薄膜トランジスター38のドレイン領域60に電気的に接続している。
【0030】
図4において、画素電極30の近傍形状を示すf部(丸で囲んだ部分)の拡大図が図面の右上に示されている。
画素電極30の表面には、画素電極30と共通電極34との電極間を絶縁するために絶縁層76が形成されている。絶縁層76は、シリコン窒化膜(SiN)、またはシリコン酸化膜(SiO2)から構成される。
絶縁層76上には、複数の開口部46を有する共通電極34が形成されている。
ここで、共通電極34の開口部46には、下地層(46)が形成されている。なお、開口部46と、下地層46とは同一部位となるため、同じ番号を附して説明する。
下地層46は、共通電極34を形成する際には、開口部46(間隙)となる部分に選択的に形成されており、シリコン酸化膜、または有機絶縁膜(アクリル樹脂)から構成されている。
【0031】
この下地層46の材質は、絶縁層76に用いる材料よりも、ITOの結晶化を抑制する材料となるように選定する。例えば、絶縁層76がシリコン窒化膜であった場合には、下地層46をシリコン酸化膜、または有機絶縁膜とする。また、絶縁層76がシリコン酸化膜であった場合には、下地層46を有機絶縁膜とする。
これは、発明者等が行った種々の実験結果を熟慮し、創意工夫した上で導出したものであり、共通電極34を形成する前段階において、開口部46(間隙)となる部分に上述したような組み合わせとなる下地層46を選択的に形成しておくことにより、開口部46のITO膜を選択的にエッチングすることが可能となる。
以下に、この原理について説明する。
【0032】
「選択的エッチングの原理について」
図5は、選択的エッチングの原理説明図であり、材質の異なる下地層(絶縁層)上におけるITO膜の結晶状態を模式的に示した図である。
詳細は後述するが、ITO膜はスパッタ法によって絶縁層(下地層)上に形成される。発明者等は、この際のITOの結晶性(結晶の大きさ)の違いは、絶縁層の材質の違いに関係していることを見出した。なお、以下の説明において、下地層および絶縁層を包括して絶縁層という表現を用いる。
図5において、絶縁層90は、ガラス基板(図示せず)上に、複数の材料からなる絶縁層が領域ごとに形成されている。詳しくは、図面に向かって左側から、シリコン窒化層91、シリコン酸化層92、有機絶縁層93、シリコン窒化層91の順に異なる絶縁層が形成されている。また、平面的には、例えば、図3の開口部46および線状電極部48からなるストライプ状の領域ごとに異なる絶縁層が形成されている。また、絶縁層90の表面は、略平坦であるとする。
【0033】
ここで、絶縁層90上にスパッタ法によってITO膜を形成した場合、各絶縁層に形成されるITO膜の結晶粒子の大きさは、次のようになる。
結晶粒子91p〜93pの大きさは、シリコン窒化層91、シリコン酸化層92、有機絶縁層93(例えば、アクリル樹脂)の順に小さくなる。詳しくは、図5に示すように、シリコン窒化層91上の結晶粒子91pが最も大きく、次いでシリコン酸化層92上の結晶粒子92p、最も小さいのが有機絶縁層93上の結晶粒子93pとなる。
これは、同一条件でスパッタリングを行った場合であっても、絶縁層との相性によって結晶性が異なるためであり、各絶縁層に含まれる水分量が影響しているものと推測している。詳しくは、水分の含有量が多い程、結晶粒子のサイズが小さくなると思われる。ちなみに、水分の含有量は、シリコン窒化層91、シリコン酸化層92、有機絶縁層93の順に多くなる。
【0034】
このようにITOが成膜された状態で、エッチング液によるウエットエッチングを行った場合、まず、有機絶縁層93上の結晶粒子93pがエッチングされることになる。
これは、結晶粒子の比表面積が粒径の逆数に比例しているため、粒径が小さいほど早く溶けるからである。また、エッチング残渣も生じ難い。そして、次に、シリコン酸化層92上の結晶粒子92pがエッチングされ、最後まで残るのは、シリコン窒化層91上の結晶粒子91pとなる。
また、例えば、有機絶縁層93上の結晶粒子93pとシリコン窒化層91上の結晶粒子91pとのように、粒径が異なるITO層が隣接している場合、大きい粒径の結晶粒子91pが横方向のエッチングストッパーとしても機能することになる。これは、選択的にエッチングしたいITO層(結晶粒子)に隣接して粒径の大きいITO層が形成されている部分であれば、同様である。
【0035】
発明者等が行った代表的な試験データを下記に記す。
スパッタ法としては、直流スパッタ法を用い、減圧環境下において絶縁層90上にITO膜を形成した。また、絶縁層90の厚さは、約80nmとした。
詳しくは、減圧環境下において、不活性ガスを導入しながら、絶縁層90とターゲット(ITO材料)との間に直流高電圧を印加し、イオン化した不活性ガスをターゲットに衝突させて、はじき飛ばされたターゲット物質を絶縁層90上に成膜した。
スパッタ条件は、減圧環境を0.1〜1.0Paとし、直流高電圧を0.5〜5W/cm2に設定し、不活性ガスとしてアルゴンガス(O2濃度:0〜10%以内)を用いた。
その結果、シリコン窒化層91上の結晶粒子91pの粒径は約3〜5μmであり、シリコン酸化層92上の結晶粒子92pの粒径は約2〜3μmであり、有機絶縁層93上の結晶粒子93pの粒径は約2μmであった。
【0036】
図4に戻る。
なお、このような構成の液晶表示装置2における表示原理は、図10での説明と同様である。具体的には、共通電極34と画素電極30との間に設けられた絶縁層76を介して、各線状電極部48と画素電極30との間に斜め方向の電界を生じさせて、液晶層28の液晶分子を動かして光の透過率を制御する。換言すれば、FFS方式で表示駆動している。
なお、液晶表示装置2は、透過式であるため、背面にはバックライト(図示せず)が配置され、バックライトから供給される光の透過率を液晶層28で調整することになる。また、液晶層28を透過した表示光は、対向基板10に形成されたカラーフィルター(図示せず)において色光選択されてカラー表示がなされることになる。
【0037】
「素子基板の製造方法」
図6(A)〜(D)、および図7(A)〜(C)は、素子基板の製造方法を示す工程断面図である。
ここでは、液晶表示装置2の製造工程のうち、複数の開口部46(下地層)を有する共通電極34の製造工程を含む素子基板12の製造工程を説明する。なお、この製造方法は、上述した選択的エッチングの原理に基づくものである。
まず、図6(A)において、透明基板50上に、シリコン酸化膜からなる下地保護膜(図示せず)を形成した後、薄膜トランジスター38を形成する。
具体的には、先ず、ポリシリコン膜からなる半導体膜54を島状に形成する。それには、基板温度が150〜450℃の温度条件下で、透明基板50の全面に、非晶質シリコン膜からなる半導体膜をプラズマCVD法により、例えば、40〜80nmの厚さに形成した後、レーザアニール法等により、シリコン膜を多結晶化させた後、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングし、半導体膜54を形成する。
次に、CVD法等を用いて、半導体膜54の表面にシリコン窒化膜やシリコン酸化膜、或いはそれらの積層膜からなるゲート絶縁層62を形成する。
【0038】
次に、透明基板50の表面全体にモリブデン膜、アルミニウム膜、チタン膜、タングステン膜、タンタル膜等の金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングし、走査線42(ゲート電極)を形成する。
次に、半導体膜54に不純物を導入して、ソース領域58やドレイン領域60等を形成する。
次に、第1層間絶縁層64形成工程では、CVD法等を用いて、シリコン窒化膜やシリコン酸化膜、或いはそれらの積層膜からなる第1層間絶縁層64を形成する。次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、第1層間絶縁層64にコンタクトホール66,74(図3)を形成する。
【0039】
次に、データ線40形成工程では、透明基板50の表面全体にモリブデン膜、アルミニウム膜、チタン膜、タングステン膜、タンタル膜、或いはそれらの積層膜等の金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングし、データ線40及びドレイン電極68を形成する。
【0040】
次に、第2層間絶縁層70形成工程では、感光性樹脂を塗布した後、露光、および現像し、コンタクトホール72を備えた第2層間絶縁層70を約1.5〜2.0μmの厚さに形成する。この状態が、図6(A)に示されている。
【0041】
続いて、図6(B)に示すように、第2層間絶縁層70上に、ITO膜からなる透明導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、画素電極30を形成する。なお、ITO膜の形成には、例えば、スパッタ法を用いる。
【0042】
続いて、図6(C)に示すように、画素電極30上に、シリコン窒化膜、またはシリコン酸化膜を形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし絶縁層76を形成する。なお、シリコン窒化膜、またはシリコン酸化膜の形成には、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いる。CVD法としては、熱、光、プラズマ法などを用いることができるが、本実施形態では、好適例としてプラズマCVD法を用いた。
【0043】
続いて、図6(D)に示すように、絶縁層76上に、シリコン酸化膜、または有機絶縁膜からなる下地準備層82を形成する。なお、シリコン酸化膜の形成には、例えば、CVD法を用いる。有機絶縁膜の形成には、スピンコート法などの塗布法や、印刷法などを用いる。
そして、シリコン酸化膜、または有機絶縁膜上に、レジストを塗布し、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、図6(D)に示すように、開口部46(図3)となる部分のみにレジストを残したレジスト層84を形成する。
次に、レジスト層84をマスクとして、下地準備層82をエッチングし、開口部46と重なる部分以外のシリコン酸化膜、または有機絶縁膜を除去した下地層46を形成する。
【0044】
図7(A)には、エッチング後、レジスト層84を除去した状態の下地層46が示されている。下地層46は、絶縁層76上において、開口部(46)となる部分のみに選択的に配置されている。また、下地層46の厚さは、約50nmとする。なお、上述した選択的エッチングの原理における機能を得るとともに、加工性を考慮すると、下地層46の厚さは、約30〜100nmの範囲内に設定することが望ましい。
続いて、図7(B)に示すように、絶縁層76、および下地層46を覆って、直流スパッタ法により導電層としてのITO膜85を形成する。スパッタ条件は、減圧環境を0.1〜1.0Paとし、直流高電圧を0.5〜5W/cm2に設定し、不活性ガスとしてアルゴンガス(O2濃度:0〜10%以内)を用いた。なお、スパッタ法は、直流スパッタ法に限定するものではなく、高周波スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、ECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタ法などを用いても良い。
【0045】
続いて、ITO膜85上に、レジストを塗布し、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、図7(C)に示すように、下地層46が露出した状態のレジスト層86を形成する。換言すれば、共通電極34となる部分と重なる部分のみにレジスト層86を形成する。つまり、間隙としての開口部(46)となる部分が露出した状態のレジスト層86を形成する。
次に、レジスト層86をマスクとして、ITO膜85をウエットエッチングし、開口部46のITO膜を除去し、共通電極34を形成する。また、エッチング液としては、硫酸と、塩酸の混合液を用いた。
そして、エッチング後、レジスト層84を除去した状態の共通電極34は、図4に示すように、線状電極部48と開口部(下地層)46とが交互にストライプ状に現れる態様となる。なお、図7(C)では、ITO膜85の表面形状を下地層46の有無に応じて模式的に凸凹状に描いているが、前述したように、下地層の厚さは、約30〜100nm程度と薄く、略平面として捉えることができるため、実際の共通電極34の表面状態は、図4に示すように略平坦となる。
【0046】
また、発明者等は、上記製造方法によって、図3における開口部46の幅および線状電極部48の幅を共に3μm以下とすることに成功している。また、このとき、開口部46に残渣は確認されず、また、線状電極部48もオーバーエッチングなく所期の形状にパターニングされていた。
なお、現在実験中ではあるが、上記製造方法によれば、条件を最適化することにより、開口部46の幅および線状電極部48の幅を共に3μmよりも小さくすることも可能であると考察している。
また、上記においては、導電層としてITO膜を用いることとして説明したが、透明電極であれば良い。例えば、ZnO(酸化亜鉛)膜や、IZO(登録商標)(酸化インジウム+酸化亜鉛)膜などの透明電極を用いても良い。発明者等の実験結果によれば、特に、IZO膜については、ITO膜と同様に機能することが確認されている。換言すれば、ITO膜の替わりにIZO膜を用いることができる。
【0047】
上述した通り、本実施形態に係る液晶表示装置2、およびその製造方法によれば、以下の効果を得ることができる。
液晶表示装置2によれば、共通電極34における開口部46(間隙部分)には、共通電極34を形成する際に、絶縁層76よりもITO膜の結晶化を抑制させる物質からなる下地層46が形成されている。
つまり、下地層46が形成された間隙となる部分におけるITO膜の結晶粒子は、絶縁層76上におけるITO膜の結晶粒子よりも小さくなっている。
よって、透明電極材料としてのITO膜をエッチングする際に、間隙となる部分におけるエッチングレートは、絶縁層76上におけるエッチングレートより高くなるため、下地層46上のITO膜を選択的に除去することができる。さらに、絶縁層76上における線状電極部48上の結晶粒子は、下地層46上(間隙部分)の結晶粒子よりも大きいため、エッチングレートが遅く、側面方向におけるエッチングストッパーとしての機能を果たすことになる。
従って、電極における線状電極部を精度良く残すとともに、開口部における残渣の発生を抑制することが可能な液晶表示装置2を提供することができる。よって、精度良く形成された電極によってFFSモードの表示が行われるため、鮮明な画像が得られる液晶表示装置2を提供することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る製造方法は、図6(C)に示すように、透明基板50の上層に絶縁層76を形成する工程と、図7(A)に示すように、絶縁層76上における間隙となる部分に、選択的に下地層46を形成する工程と、図7(B)に示すように、絶縁層76、および下地層46を覆って導電層としてのITO膜85を形成する工程と、図7(C)に示すように、ITO膜85上において、平面的に間隙部分(下地層46)が露出したレジスト層86を形成する工程と、レジスト層86をマスクとして、ITO膜85をエッチングして共通電極34を形成する工程と、を含んでいる。
そして、下地層46は、絶縁層76よりも、ITO膜の形成時におけるITOの結晶化を抑制させる物質から構成されている。
【0049】
よって、レジスト層86をマスクとしてITO膜85をエッチングする際に、下地層46上におけるITO膜の結晶粒子の粒径は、絶縁層76上におけるITO膜の結晶粒子の粒径よりも小さくなるため、エッチング液に対する可溶性が高まり、下地層46上のITO膜を選択的に除去することができる。また、粒径が小さく可溶性が高いため、残渣も発生し難い。
特に、下地層46上のITO膜のエッチングが進んだ段階においても、その側面には、結晶化度合いが高い粒径の大きな絶縁層76上のITO膜が配置されているため、その線状電極部48上の結晶粒子が、側面方向におけるエッチングストッパーとしての機能を果たし、下地層46上のITO膜をより選択的に除去することができる。
従って、電極における線状電極部を精度良く残すとともに、開口部における残渣の発生を抑制することが可能な電気光学装置の製造方法を提供することができる。
【0050】
さらに、上記製造方法によれば、図3における開口部46の幅および線状電極部48の幅を共に3μm以下とすることができる。
よって、開口部46の幅および線状電極部48の幅が共に6μm以上であった従来の製造方法よりも、2倍以上の狭ピッチを実現することができる。
従って、ITO膜の微細加工が可能な製造方法を提供することができる。
【0051】
「電子機器」
図8(A)〜(C)は、本実施形態に係る液晶表示装置を備えた電子機器を示す図である。詳しくは、図8(A)は電子機器としてのパーソナルコンピューターの斜視図であり、(B)は電子機器としての携帯電話機の斜視図であり、(C)は電子機器としての情報携帯端末の斜視図である。
ここでは、上記実施形態に係る液晶表示装置2を適用した電子機器について説明する。
【0052】
図8(A)のパーソナルコンピューター100は、本体部102と、表示ユニットとしての液晶表示装置2とを備えている。また、本体部102には、電源スイッチ104及びキーボード106が設けられている。
図8(B)の携帯電話機200は、複数の操作ボタン202及びスクロールボタン204、並びに表示ユニットとしての液晶表示装置2を備えている。また、スクロールボタン204を操作することによって、液晶表示装置2に表示される画面がスクロールされる。
図8(C)の情報携帯端末300は、PDA(Personal Digital Assistants)であり、複数の操作ボタン302及び電源スイッチ304、並びに表示ユニットとしての液晶表示装置2を備えている。電源スイッチ304を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が液晶表示装置2に表示される。
このように、これらの電子機器は、鮮明な画像が得られる液晶表示装置2を表示ユニットとして備えている。
従って、鮮明な画像が得られる電子機器を提供することができる。
【0053】
尚、液晶表示装置2が適用される電子機器としては、図8に示すものの他、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した液晶表示装置2が適用可能である。
【0054】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0055】
(変形例1)
図9(A)〜(D)は、変形例1における透明電極の平面図である。
上記実施形態では、共通電極34には、複数の開口部46がすだれ状に配置されているものとして説明したが、透明電極の構成はこれに限定するものではなく、線状電極部48と開口部46とが狭いピッチで配置された透明電極であれば良い。
例えば、図9(A)に示すように、透明電極における開口部46の一端が開放された櫛歯状であっても良い。なお、当該図面では、図面に向かって左側が開放されているが、右側が開放される構成であっても良い。
また、図9(B)に示すように、縦長の長方形をなした画素形状において、縦方向に延在する複数の開口部46を備えた構成であっても良い。また、図9(A)のように、開口部46の上下側の一端が開放された櫛歯状となっていても良い。
また、図9(C)に示すように、縦長の長方形をなした画素形状において、上下で開口部46の傾斜方向が異なるように配置されていても良い。換言すれば、縦長の長方形における略中央において開口部46の形状をミラー反転した構成であっても良い。
また、図9(D)に示すように、開口部46の形状は、ゆるやかな曲面を含むバナナ状であっても良い。また、これらの形状を組み合せた形状であっても良い。
透明電極の平面形状がこれらの形状であっても、上記製造方法を適用することができる。また、同様な作用効果を得ることができる。
【0056】
(変形例2)
上記実施形態では、共通電極34を画素電極30の上層側に形成する構成としたが、これに限定するものではない。両者の積層関係を入れ替えて、画素電極30を共通電極34の上層側に形成しても良い。
この場合、開口部に下地層46が形成された共通電極34を第2層間絶縁層70上に積層した後に、絶縁層76を積層し、その上に、画素電極30を形成すれば良い。
この構成であっても、上記製造方法を適用することができる。また、同様な作用効果を得ることができる。
【0057】
(変形例3)
上記実施形態では、画素電極30が平面略ベタ状の(一様な)電極であり、共通電極34が複数の開口部46を備える構成としたが、これに限定されず、共通電極34を平面略ベタ状の電極とし、画素電極30が複数の開口部46を備えた構成としても良い。
この場合、画素電極30を形成する際において、図6(D)、および図7(A)〜(C)で説明した製造方法を適用し、開口部に下地層が形成された画素電極30を形成すれば良い。
この構成であっても、上記製造方法を適用することができる。また、同様な作用効果を得ることができる。
【0058】
(変形例4)
上記実施形態では、画素電極30が平面略ベタ状の電極であり、共通電極34が複数の線状電極部48を備える構成としたが、電極の構成はこれに限定されず、画素電極30及び共通電極34が、それぞれ複数本の帯状電極を備える構成とすることができる。即ち、画素電極30及び共通電極34が、同層で平面的に隣接して対向する構成の電界発生(横電界)方式を採用することができる。例えば、共通電極及び画素電極のいずれも平面視略櫛歯状の電極とし、それらの櫛歯部分を構成する帯状電極が、互いに噛み合うように配置されている電極構造とすることができる。このように透明電極の構成を変えても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
(変形例5)
上記実施形態の液晶表示装置2は、透過型の液晶表示装置であるが、これに限定する趣旨ではなく、例えば反射型又は半透過反射型の液晶表示装置としてもよい。
【0060】
(変形例6)
上記実施形態の液晶表示装置2に含まれる液晶層28のモードは、FFSモードに限られず、IPS(In Plain Switching)、TN(Twisted Nematic)、VA(Vertical Alignment:垂直配向)、及びSTN(Super Twisted Nematic)等、種々のモードを採用することができる。
【0061】
(変形例7)
上記実施形態では、薄膜トランジスター38を低温ポリシリコン半導体層を備えた薄膜トランジスターとしたが、薄膜トランジスター38としては、アモルファスシリコン半導体層を備えた薄膜トランジスターや、薄膜ダイオード(TFD)、更には半導体層を備えない、いわゆるパッシブ方式等を用いることもでき、特に限定されない。
【0062】
尚、上記実施形態は、電気光学装置及びその製造方法を電気光学層として液晶を用いた装置及びその製造方法に適用した例であるが、これに代えて、電気光学層として電気信号に応じて表示を行う種々の電気光学装置及びその製造方法に適用することができる。換言すれば、狭ピッチで微細加工した透明電極を備えた電気光学装置及びその製造方法に適用することができる。
例えば、表示パネルとしての有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、PDP(Plasma Display Panel)、CRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ、EPD(Electrophoretic Display)等及びそれぞれの製造方法に適用することができる。
又、本実施形態では、電極として、電気光学層を駆動するための電極を例に説明したが、これに代えて、電極を、電気光学装置と外部の回路を接続するための接続端子部、電気光学装置内の各種回路間の接続配線部に適用することもできる。
【符号の説明】
【0063】
2…電気光学装置としての液晶表示装置、10…対向基板、12…素子基板、28…電気光学層としての液晶層、30…画素電極、34…(透明)電極としての共通電極、36…画素、46…間隙部分としての開口部(下地層)、48…線状電極部、50…基板としての透明基板、70…第2層間絶縁層、76…絶縁層、85…導電層としてのITO膜、86…レジスト層、100…電子機器としてのパーソナルコンピューター、200…電子機器としての携帯電話機、300…電子機器としての情報携帯端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に、平面的に間隙をなして配置された電極と、
前記間隙部分に形成された前記絶縁層とは異なる材料からなる下地層と、を少なくとも備え、
前記下地層は、前記絶縁層よりも前記電極の材料の結晶化を抑制させる物質からなり、前記電極を形成する際には、前記間隙部分に配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学装置において、
前記電極は、ITO、またはIZOからなる透明電極であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気光学装置において、
前記絶縁層は、シリコン窒化膜からなり、
前記下地層は、シリコン酸化膜、または有機絶縁膜からなることを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の電気光学装置において、
前記絶縁層は、シリコン酸化膜からなり、
前記下地層は、有機絶縁膜からなることを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
平面的に間隙をなして配置された電極を備えた電気光学装置の製造方法であって、
(a)基板に絶縁層を形成する工程と、
(b)前記絶縁層上における前記間隙となる部分に、選択的に下地層を形成する工程と、
(c)前記絶縁層、および前記下地層を覆って導電層を形成する工程と、
(d)前記導電層上において、平面的に前記間隙となる部分が露出したレジスト層を形成する工程と、
(e)前記レジスト層をマスクとして、前記導電層をエッチングして前記電極を形成する工程と、を含み、
前記下地層は、前記絶縁層よりも、(c)工程の前記導電層の形成時における前記導電層の結晶化を抑制させる物質からなることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の電気光学装置の製造方法において、
前記導電層は、ITO層、またはIZO層であり、
(c)工程においては、スパッタ法を用いて前記ITO層、または前記IZO層を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の電気光学装置の製造方法において、
前記絶縁層は、シリコン窒化膜からなり、
前記下地層は、シリコン酸化膜、または有機絶縁膜からなること特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の電気光学装置の製造方法において、
前記絶縁層は、シリコン酸化膜からなり、
前記下地層は、有機絶縁膜からなることを特徴とする電気光学装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−217248(P2010−217248A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60741(P2009−60741)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】