電界効果トランジスタ及びその製造方法
【課題】高品質な特性を有する電界効果トランジスタ及びその方法を提供する。
【解決手段】素子分離領域106間のソース/ドレイン領域114、及びポケット領域116を含んでいる半導体基板102と、素子分離領域間の半導体基板の上面のトレンチ110内にあって、(100)面を有する底面及び上面と、2つ以上の平面を有する側面とを有するシリコンゲルマニウム層112と、ゲート絶縁層120、ゲート電極122、及びサイドスペーサ128を含むシリコンゲルマニウム層上のゲート構造と、ゲート構造によって覆われていないシリコンゲルマニウム層及び半導体基板の上部分上のメタルシリサイド124とを備え、シリコンゲルマニウム層は、チャネル長方向において、ゲート構造の下で側面を有していない。
【解決手段】素子分離領域106間のソース/ドレイン領域114、及びポケット領域116を含んでいる半導体基板102と、素子分離領域間の半導体基板の上面のトレンチ110内にあって、(100)面を有する底面及び上面と、2つ以上の平面を有する側面とを有するシリコンゲルマニウム層112と、ゲート絶縁層120、ゲート電極122、及びサイドスペーサ128を含むシリコンゲルマニウム層上のゲート構造と、ゲート構造によって覆われていないシリコンゲルマニウム層及び半導体基板の上部分上のメタルシリサイド124とを備え、シリコンゲルマニウム層は、チャネル長方向において、ゲート構造の下で側面を有していない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の記載は、概して、チャネルシリコンゲルマニウム層を有する電界効果トランジスタ(field effect transistor:FET)及びチャネルシリコンゲルマニウム層を有する電界効果トランジスタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
論理ゲートは、1またはそれ以上の論理入力の論理的な演算を行い、単一の論理出力を生成する。電子の論理において、論理レベルは電圧及び電流で表され、使われている電子の論理のタイプに依存する。各論理ゲートは、正しい出力電圧を達成するため電流を供給し、排出することができる電力を必要とする。
【0003】
NAND及びNOR論理ゲートは、ロジックの二つの柱である。他のタイプのブーリアン論理ゲート(例えばAND、OR、NOT、XOR、XNOR)は、NANDゲートの適切なネットワークまたは、NORゲートのみから形成されることができる。これらは、インバーター及び2つの入力ANDゲートまたはORゲートを形成することができる複数のトランジスタから構築される。すなわち、NANDゲート及びNORゲートは、ユニバーサルゲートと呼ばれる。
【0004】
論理回路は、マルチプレクサー、レジスタ、論理演算装置(arithmetic logic units:ALUs)、そしてコンピュータメモリから1億以上のゲートを含むことができる完全なマイクロプロセッサまでを含む。実際には、ゲートは電界効果トランジスタで形成される。電界効果トランジスタは、トランジスタの1つのタイプであり、形状(状態)と、半導体材料における電荷キャリアの一つのタイプのチャネルの導電性とを制御する電界に依存する。
【0005】
FETのチャネルはn型半導体かp型半導体を形成するためにドープされ、それゆえに、NFETまたはPFETと呼ばれる。ドレイン及びソースは、エンハンスメントモードFETsのケースの場合、チャネルと反対のタイプがドープされ、または、デプレッションモードFETsの場合チャネルと同じタイプがドープされることができる。最も一般的に使われているFETは、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field effect transistor)またはIGFET(insulated-gate field effect transistor)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−166396号公報
【特許文献2】特開2002−100762号公報
【特許文献3】特開2005−311184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高品質な特性を有する電界効果トランジスタ及びその方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、電界効果トランジスタを提供する。電界効果トランジスタは、ソース/ドレイン領域、及びポケット領域を含んでいる半導体基板と、半導体基板内の素子分離領域(STI:shallow trench isolation)と、素子分離領域間の半導体基板の上面のトレンチ内のシリコンゲルマニウム層と、ゲート絶縁層、ゲート電極、及びサイドスペーサを含むシリコンゲルマニウム層上のゲート構造と、ゲート構造によって覆われていないシリコンゲルマニウム層及び半導体基板上のメタルシリサイドとを含むことができる。シリコンゲルマニウム層は、(100)面を有する底面及び上面と、2つ以上の平面を有する側面とを有している。シリコンゲルマニウム層は、チャネル長方向において、ゲート構造の下で側面を有さない。
【0009】
本発明の他の態様は、他の電界効果トランジスタに関する。電界効果トランジスタは半導体基板内の素子分離領域間にソース/ドレイン及びポケット領域を含んでいる半導体基板と、素子分離領域間の半導体基板のほぼ全ての上面のトレンチ内のシリコンゲルマニウム層と、ゲート絶縁層、ゲート電極、及びサイドスペーサを含むシリコンゲルマニウム層上のゲート構造と、ゲート構造によって覆われていないシリコンゲルマニウム層及び半導体基板上のメタルシリサイドとを含むことができる。シリコンゲルマニウム層は、(100)面を有する底面及び上面と、2つ以上の平面を有する側面とを有している。
【0010】
本発明のさらに他の態様では、電界効果トランジスタの形成方法を提供する。この方法は、素子分離領域間の半導体基板のほぼ全ての上部のトレンチを形成し、トレンチは、底面の(100)面及び側面の(111)面を有し、トレンチの側面の(111)面を2以上の異なる平面に変えるために半導体基板を熱し、トレンチ内にシリコンゲルマニウム層を形成し、シリコンゲルマニウム層は、底面及び上面の(100)面と側面の2以上の平面とを有し、シリコンゲルマニウム層上にゲート絶縁層と、ゲート電極、及びサイドスペーサを備えるゲート構造形成し、半導体基板内にソース/ドレイン領域及びポケット領域を形成し、シリコンゲルマニウム層及び半導体基板のゲート構造を覆わない上部にメタルシリサイドを形成することを含むことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高品質な特性を有する電界効果トランジスタ及びその方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1(a)は、本発明の一態様に従った例示的な電界効果トランジスタの一部の上面図であり、図1(b)は、本発明の一態様に従った例示的な電界効果トランジスタの一部の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図1(c)は、本発明の一態様に従った例示的な電界効果トランジスタの一部の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図2】図2(a)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図2(b)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図3】図3(a)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図3(b)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図4】図4(a)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図4(b)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図5】図5(a)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図5(b)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図6】図6(a)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図6(b)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図7】図7(a)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図7(b)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図8】図8(a)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図8(b)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図9】図9(a)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図9(b)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図10】図10(a)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図10(b)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図11】本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法のフローダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここに記載されている本発明は、電界効果トランジスタ及びその製造方法を提供する。特に、本発明はチャネルシリコンゲルマニウム層を有する電界効果トランジスタを提供する。電界効果トランジスタは、半導体基板間のシリコンゲルマニウム層及びゲート構造を備えている。
【0014】
シリコンゲルマニウム層は(100)面を有する底面及び上面と、2以上の平面を有する側面とを有することが可能である。シリコンゲルマニウムは電界効果トランジスタのチャネル領域上に実質的に均一の高さを有することが可能である。一例において、シリコンゲルマニウム層は、チャネル長方向においてゲート構造によって覆われている半導体基板の一部において側面を有さない。他の例において、シリコンゲルマニウムはゲート構造によって覆われていない半導体基板の部分にのみ側面を有する。この電界効果トランジスタは、チャネルシリコンゲルマニウムによって、ひとつかそれ以上の電流(Ion)特性、線形ドレイン電流(Idlin)特性、及び、閾値電圧(Vth)特性改良することが出来る。
【0015】
電界効果トランジスタは、ソース/ドレイン領域及びポケット領域を中に含む半導体基板と、半導体基板内の素子分離領域としてのSTIとを含むことができる。電界効果トランジスタは、素子分離領域間の半導体基板の上面のトレンチ内のシリコンゲルマニウム層と、ゲート絶縁層、ゲート電極、及びサイドスペーサを備え、シリコンゲルマニウム層上のゲート構造と、ゲート構造に覆われていないシリコンゲルマニウム層及び半導体基板の上部分上のメタルシリサイドとをさらに含むことができる。
【0016】
他の例において、電界効果トランジスタは素子分離領域間のソース/ドレイン領域及びポケット領域を中に含む半導体基板と、素子分離領域間の半導体基板の実質的に全ての上面のトレンチ内のシリコンゲルマニウム層とを含み、シリコンゲルマニウム層上のゲート構造はゲート絶縁層、ゲート電極、およびサイドスペーサを備えている。電界効果トランジスタは、シリコンゲルマニウム層の上部分上のメタルシリサイドとゲート構造によって覆われていない半導体基板上のメタルシリサイドとをさらに含むことが可能である。シリコンゲルマニウム層は(100)面を有する底面及び上面と、2つ以上の平面を有する側面を有する。シリコンゲルマニウム層は、チャネル長方向のゲート構造の下において側面を有さない。
【0017】
図1(a)は、例示的な電界効果トランジスタ100の一部の上面図を示している。図1(b)は、図1(a)の線X−Xに沿った電界効果トランジスタ100の一部の断面図である。図1(c)は、図1(a)の線Y−Yに沿った電界効果トランジスタ100の断面図である。
【0018】
電界効果トランジスタ100は半導体基板(例えばシリコン基板)102を有している。電界効果トランジスタ100は、素子分離領域(STI:sallow trench isolation)106間の半導体基板内の活性領域104と、活性領域104上のゲート構造108とを有している。活性領域104は半導体基板の上面のトレンチ110と、トレンチ110内のシリコンゲルマニウム層112とを有している。活性領域104はソース及びドレイン(ソース/ドレイン)領域114と、半導体基板内のポケット領域116とをさらに有している。活性領域104はソース及びドレイン領域間のチャネル領域118を有している。ゲート構造108は、シリコンゲルマニウム層112上のゲート絶縁層120と、ゲート絶縁層120上のゲート電極122とを有している。電界効果トランジスタ100は、シリコンゲルマニウム及び半導体基板の上部分のメタルシリサイド124を含むことが可能である。ゲート構造108は、ゲート電極122の上部分のメタルシリサイド126をさらに有することが可能である。ゲート構造108はゲート絶縁層120及びゲート電極122の側面に隣接したサイドスペーサ(側壁層)128をさらに有することが可能である。電界効果トランジスタ100はp型の電界効果トランジスタであることが可能である。
【0019】
電界効果トランジスタ100は、いくつかの適切なチャネル幅を有している。チャネル幅は一般的に活性領域の長さの方向における活性領域の長さである。チャネル幅は典型的に、約100nm以上、2000nm以下である。電界効果トランジスタ100は、いくつかの適切なチャネル長を有している。チャネル長は一般的にソース/ドレインに対応する領域間に定義される。チャネル長は一般的に、約10nm以上、100nm以下である。
【0020】
一例において、トレンチ110はチャネル長方向(例えばY−Y方向)において、ゲート構造108の下で側面を有していない。トレンチ110は、チャネル長方向のゲート構造108に覆われている半導体基板の一部において、側面を有していない。トレンチ110は、チャネル長方向のゲート構造108に覆われていない半導体基板の部分においてのみ側面を有している。他の例において、トレンチ110はソース/ドレインに対応する領域間において側面を有さない。
【0021】
一例において、シリコンゲルマニウム層112はチャネル長方向において、ゲート構造108の下で側面を有していない。シリコンゲルマニウムは、チャネル長方向のゲート構造108に覆われている半導体基板の一部において、側面を有していない。シリコンゲルマニウムは、チャネル長方向のゲート構造108に覆われていない半導体基板の部分においてのみ側面を有している。他の例において、シリコンゲルマニウムはソース/ドレインに対応する領域間において側面を有さない。
【0022】
簡潔のために、図1(a)〜図1(c)には示していないが、電界効果トランジスタ100は、電界効果トランジスタ構造において一般的に使用されることができるどのような構造でも備えることが可能である。例えば、ゲートコンタクトプラグ、ソース・ドレインコンタクト、ゲート構造108間の絶縁層等、電界効果トランジスタ内にさらに含むことが可能なものがある。
【0023】
トレンチ110は底面と側面を有している。底面は(100)面(例えば、平面方向または平面の方位)または底面と同等の平面(例えば(100)、(010)または(001)面)(正確には(100)面として言及される)を有している。トレンチ110の側面は、(111)面または、側面と同等の平面(正確には(111)面として言及される)及び他の平面を含むことができる。側面は、実質的に(111)面のみを含まない。言い換えると、トレンチ110の側面は、2以上の異なる平面を有している。
【0024】
シリコンゲルマニウム層112は底面及び上面を有している。底面及び上面は(100)面を有している。シリコンゲルマニウム層112は側面をさらに有している。シリコンゲルマニウム層112の側面は(111)面及び他の平面を含むことが可能である。シリコンゲルマニウムの側面は、実質的に(111)面のみを含まない。言い換えると、シリコンゲルマニウムの側面は、2以上の異なる平面を有している。
【0025】
シリコンゲルマニウム層112は、チャネル領域118内においてホールの移動性が上昇することができるゲルマニウムの量であるかぎり、適当な量のゲルマニウムを含有している。一例において、シリコンゲルマニウム層112は、約0wt%以上、約80wt%以下のシリコン、及び約20wt%以上、約100wt%のゲルマニウムを含む。他の例において、シリコンゲルマニウム層112は、約30wt%以上、約75wt%以下のシリコン、及び約25wt%以上、約70wt%のゲルマニウムを含む。さらに他の例において、シリコンゲルマニウム層112は、約60wt%以上、約70wt%以下のシリコン、及び約30wt%以上、約40wt%のゲルマニウムを含む。
【0026】
ソース/ドレイン領域114はp型導電性(例えば、ボロンのようなpドーパント濃度)を有することができる。ポケット領域116は、n型導電性(例えば、砒素、燐、アンチモンのようなnドーパント濃度)を有することができる。ゲート絶縁層120は、金属酸化物または、メタロイド酸化物(ハフニウム酸化物)、シリコン酸化物(例えばSiO2)、セラミック酸化物等の適当な無機の酸化物を含むことができる。ゲート電極122は、ポリシリコン、アモルファスシリコン、チタンナイトライド等を含むことができる。メタルシリサイド124及び126は、タングステン、タンタル、モリブデン等の高融点金属、及び、プラチナ、パラジウム、コバルト、ニッケル等の周期表の第8族の金属を含むことができる。サイドスペーサ128及びまたは素子分離領域126は酸化物のような適当な絶縁材料を含むことができる。酸化物の例は、シリコン酸化物、TEOS(tetraethylorthosilicate)酸化物、HARP(high aspect ratio plasma)酸化物、シリコン酸化物、HTO(high temperature oxide)、HDP(high density plasma)酸化物、ALD(atomic layer deposition)工程によって形成される酸化物(例えばシリコン酸化物)等を含む。
【0027】
図2(a)、図2(b)〜図10(a)、図10(b)には、電界効果トランジスタの形成の多くの可能な例示的な実施形態のうちのひとつが詳細に図示されている。図2(a)は例示的な電界効果トランジスタ200の中間状態の図1(a)に示す線X−Xに沿った断面図である。図2(b)は例示的な電界効果トランジスタ200の中間状態の図1(a)に示す線Y−Yに沿った断面図である。
【0028】
電界効果トランジスタ200は基板(例えばシリコン基板)202及び半導体基板中に素子分離領域204を含むことが可能である。素子分離領域204はCVD(chemical vapor deposition)、リソグラフィ、エッチング技術等で形成されることが可能である。パターンが形成されたハードマスクが半導体基板上に形成される。パターンが形成されたハードマスクによって覆われていない半導体基板の部分が、例えば半導体基板内に開口部を形成するためにエッチングして除去される。素子分離領域204はSTI材料を開口部に埋めることで形成することが可能である。
【0029】
図2(a)及び図2(b)には示していないが、ウェル及びチャネルは素子分離領域204間の半導体基板内に形成することが可能である。電界効果トランジスタ200がPFETの場合、ウェルは、一つ以上のnドーパント(例えば燐)の導入によって形成され、チャネルは、一つ以上のnドーパント(例えば砒素)の導入によって形成される。
【0030】
図3(a)及び図3(b)はトレンチ300を、素子分離領域204間の半導体基板の部分を除去することで、半導体基板の上部分に形成することを図示している。トレンチ300は、素子分離領域204間の半導体基板の実質的に上部分全面に形成することが可能である。トレンチ300は異方性の化学的ウエットエッチングによって形成されることが可能である。異方性の化学的ウエットエッチングを行う前に、酸化物が半導体基板上に形成されている場合、酸化物は希釈のフッ化ホウ素酸(HF)を用いて除去することが可能である。半導体基板は希釈のHFに短く浸すことが可能である。
【0031】
トレンチ300は(100)面を有する底面302を備えるトレンチ300を形成するエッチングである限り、適当な異方性の化学的ウエットエッチングによって形成されることができる。異方性の化学的ウエットエッチングは一般的に、(100)面の底面と、(111)面を有する側面(例えば、サイドファセット)304とを形成する。
【0032】
異方性の化学的ウエットエッチングのエッチャントの例は、テトラアルキルアンモニウム水酸化物(TMAH:tetramethylammonium hydroxide:テトラメチルアンモニウム水酸化物)及びアンモニウム水酸化物(NH4OH)等の基本溶液を含む。例として、TMAH溶液を用いたトレンチの形成することは下記に記載されている。TMAH溶液を用いてトレンチを形成することは、半導体基板200をTMAH溶液に浸す、またはTMAH溶液を半導体基板200の上面上に噴霧または散布することで処理される。
【0033】
TMAH溶液は実質的に他の構成要素をダメージまたはエッチング無しで半導体基板200の部分の除去を容易にする充分な量のTMAH含むことが可能である。一例では、TMAH溶液は重量に対して約0.5%以上のTMAH、重量に対して約40%以下のTMAHを含んでいる。他の例では、TMAH溶液は重量に対して約1%以上のTMAH、重量に対して約25%以下のTMAHを含んでいる。TMAHは、望ましいTMAH濃度を有するTMAH溶液を生成するために脱イオン水のような水によって希釈してもよい。
【0034】
半導体基板202は、トレンチ300の形成を容易にするためにTMAH溶液と適当な温度で接触される。一例において、半導体基板は、約20℃以上または約100℃以下でTMAH溶液と接触される。他の例において、半導体基板は、約30℃以上または約60℃以下でTMAH溶液と接触される。半導体基板はトレンチ300の形成を容易にするために、適当な時間でTMAH溶液と接触される。一例において、半導体基板は、約5秒以上、約20分以下TMAH溶液と接触される。一例において、半導体基板は、約10秒以上、約15分以下TMAH溶液と接触される。例えば、半導体基板は、約45℃の温度で約2.5分、重さに対して約2.5%のTMAHを含むTMAH溶液と接触される。
【0035】
他の例において、エッチャントはNH4OH溶液である。NH4OHは、望ましい濃度のNH4OH(例えば、NH4OH:H2O=1:3000(wt/wt))を有するTMAH溶液を生成するために脱イオン水のような水によって希釈してもよい。半導体基板は、約45℃の温度で約100秒、NH4OH溶液に接触される。
【0036】
トレンチ300は適当な深さを有することが可能である。トレンチ300は実質的に同一の深さを有することが可能である。深さは変更することが可能であり、本発明にとって重要ではない可能性がある。例えば、深さは、形成された電界効果トランジスタ200の望ましい完成形に依存する可能性がある。一例において、トレンチ300の深さは約5nm以上約20nm以下である。他の例において、トレンチ300の深さは約6nm以上約17nm以下である。さらに他の例において、トレンチ300の深さは約7nm以上約15nm以下である。さらに他の例において、トレンチ300の深さは約10nmである。
【0037】
図4(a)及び図4(b)はトレンチの側面の平面方向を変えるために半導体基板を熱すること図示している。側面が単一の平面方向を有している場合、熱処理は単一の平面方向を、2以上の平面方向に変化させる。側面が単一の(111)面を有している場合、熱処理は単一の(111)面方向を、例えば、(112)面、(200)面、(101)面、(011)面などを含んでいる2以上の平面に変化させる。熱処理により、トレンチ400は2以上の平面の側面402を有することができる。底面の(100)面は変化しないで残される。半導体基板はこの熱処理によって再結晶化されることが可能である。
【0038】
半導体基板202は、トレンチ400の側面の2以上の平面の形成およびまたは半導体基板の再結晶化を容易にする、どのような適当な条件下でも熱されることが可能である。一例において、約700℃以上、約900℃以下の温度で、約1分以上、約10分以下で半導体基板は水素中で熱される。他の例において、約500℃以上、約900℃以下の温度で、約10秒以上、約30分以下で半導体基板は水素中で熱される。
【0039】
図5(a)及び図5(b)は、トレンチ内にシリコンゲルマニウム層500を形成することを図示している。シリコンゲルマニウム層500はエピタキシャル技術によって形成されることができる。シリコンゲルマニウムエピタキシャル成長は、例えばシリコンソースガス(例えば、SiH4、Si2H6、SiH8、SiF4等)、ゲルマニウムソースガス(例えば、GeH4、GeF4等)、及び任意のキャリアガスを用いて、上昇した温度(例えば1100℃)において、どのような適当な条件下でも行うことができる。シリコンゲルマニウムのエピタキシャル成長は、シリコンゲルマニウムの上面が、半導体基板およびまたは素子分離領域の上面と実質的に同一平面である場合に終わらすことができる。
【0040】
一例において、トレンチが底面の(100)面を有している時、シリコンゲルマニウム層500は底面502の(100)面を有する。シリコンゲルマニウム層500は上面504の(100)面を有することができる。他の例において、トレンチが2以上の異なる平面を有している側面を有する時、シリコンゲルマニウム層500は側面506の2以上の異なる平面を有する。さらに他の例において、トレンチが実質的に同一の深さを有する時、シリコンゲルマニウム層500は実質的に同一の高さを有する。
【0041】
図6(a)及び図6(b)はシリコンゲルマニウム層500上にゲート絶縁層602およびゲート電極を有するゲート構造600を形成することを図示している。ゲート構造600は、シリコンゲルマニウム上のゲート絶縁層602、及びゲート絶縁層602上のゲート電極層604を形成し、ゲート絶縁層602及びゲート電極層604をパターニングすることで、形成することができる。
【0042】
ゲート絶縁層は、金属酸化物または、メタロイド酸化物(ハフニウム酸化物)、シリコン酸化物(例えばSiO2)、セラミック酸化物等の適当な無機の酸化物を含むことができる。ゲート電極は、ポリシリコン、アモルファスシリコン、チタンナイトライド等を含むことができる。ゲート絶縁層及びゲート電極は適当な技術で形成されることができる。例えば、ゲート絶縁層及びゲート電極は、堆積(例えばCVD、スピンオン技術等)、リソグラフィ、エッチング技術によって形成されることができる。ゲート絶縁層は、エピタキシャル成長技術(例えば、シリコンエピタキシャル成長)及び酸化技術(例えば、熱酸化、プラズマ酸化等)によって形成されることができる。
【0043】
図7(a)及び図7(b)は、ゲート構造600と隣接した半導体基板内にソース/ドレインエクステンション領域700を形成することと、ソース/ドレインエクステンション領域間の半導体基板内にチャネル領域702を形成することとを図示している。適当なインプラント組成及び濃度はソース/ドレインエクステンション領域に用いることが可能である。例えば、ソース/ドレインエクステンション領域は、1つ以上のp型ドーパント(例えばボロン)を含有している。
【0044】
ソース/ドレインエクステンション領域は適当な技術によって形成されることができる。ソース/ドレインエクステンション領域は1以上のドーパントのインプラントによって形成することができる。ドーパントはゲート構造600によって覆われていない半導体基板の部分内に埋め込まれる。ゲート構造600はインプラントスクリーンとすることが可能である。ソース/ドレインエクステンション領域は、比較的に低いエネルギーレベルおよびまたは比較的に低いドーパントのドーズのインプラントによって形成することができる。一例において、ソース/ドレインエクステンション領域は約0.1KeV以上、約1KeV以下のエネルギーレベル、及び約1E14atoms/cm2以上、3E15atoms/cm2以下のドーズで形成される。他の例において、ソース/ドレインエクステンション領域は約1KeV以上、約5KeV以下のエネルギーレベル、及び約5E13atoms/cm2以上、3E15atoms/cm2以下のドーズで形成される。
【0045】
図7(a)及び図7(b)はポケット領域704をゲート構造600の側面の下に隣接した半導体基板内に形成することをさらに図示している。適当なインプラント組成及び濃度はポケット領域704に用いることが可能である。例えば、ポケット領域704は、1つ以上のn型ドーパント(例えば砒素)を含有している。ポケットインプラントは、電界効果トランジスタ200のVth特性を改善することができる。
【0046】
ポケット領域は、ポケット領域がメモリデバイスのコンタクトパンチスルー(punch-through)リーク特性を改善することができる限り、適当なサイズ、形状、インプラント組成、インプラント濃度を有することが可能である。一例において、ポケット領域は、半導体基板の表面に対して垂直な半導体基板からの軸の方向に対して約0度以上、約40度以下傾いたインプラント角度を有している。ポケット領域は、適当なインプラント角度で1つ以上のドーパントのインプラントによって形成されることができる。ドーパントは、矢印706で示すように、半導体基板に向かって角度θ1でインプラントされる。角度θ1は、図7(b)に示すように、半導体基板の表面に向かって垂直な線から計測される。
【0047】
一例において、ポケット領域は約25KeV以上、約60KeV以下のエネルギーレベルで形成される。他の例において、ポケット領域は約30KeV以上、約70KeV以下のエネルギーレベルで形成される。一例において、ポケット領域は約5E12atoms/cm2以上、8E13atoms/cm2以下のドーズで形成される。他の例において、ポケット領域は約5E12atoms/cm2以上、1E14atoms/cm2以下のドーズで形成される。
【0048】
図8(a)及び図8(b)は、ゲート絶縁層602及びゲート電極600の側面に隣接し、シリコンゲルマニウム層500の上面にサイドスペーサ(例えば、側壁層)800を形成することを図示している。サイドスペーサ800は酸化物のような適当な絶縁材料を有することが可能である。酸化物の例は、シリコン酸化物、TEOS(tetraethylorthosilicate)酸化物、HARP(high aspect ratio plasma)酸化物、HTO(high temperature oxide)、HDP(high density plasma)酸化物、ALD(atomic layer deposition)工程によって形成される酸化物(例えばシリコン酸化物)等を含む。サイドスペーサ材料の他の例は、ナイトライド(例えば、シリコンナイトライド、シリコンオキシナイトライド、シリコンリッチシリコンナイトライド)、シリケイト、ダイアモンドライクカーボン、カーバイド等を含む。図示していないが、ソース/ドレインエクステンション領域およびまたはポケット領域はサイドスペーサを形成した後に形成することができる。
【0049】
サイドスペーサは、適当な技術によって形成されることが可能である。例えば、スペーサ材料を含んでいる層を半導体基板上に形成し、続いて、ゲート構造600の側面に隣接していないスペーサ材料層の部分を除去する。スペーサ材料層は、少なくともゲート構造600の側面上に堆積技術(例えば、CVD、スピンオン技術等)によって形成することができる。
【0050】
スペーサ材料層を形成した後、スペーサ材料層の部分は、例えばエッチングで除去することが出来る。ゲート絶縁層及びゲート電極の側面及びシリコンゲルマニウム層上に隣接したスペーサを残すことが出来るエッチングである限り、適当なエッチングを用いることが可能である。ウエットエッチングおよびまたはドライエッチングウエットエッチングを適用可能である。エッチングの例は、RIE(reactive ion etching)、化学プラズマエッチング、または、適当な化学反応を利用している他の適当な異方性エッチングを含む。
【0051】
図9(a)及び図9(b)は、ゲート構造600に隣接した半導体基板内にソース/ドレイン領域900を形成し、ソース/ドレイン領域900間の半導体基板内にチャネル領域902を形成することを図示している。適当なインプラント組成及び濃度はソース/ドレイン領域に用いることが可能である。例えば、ソース/ドレイン領域は、1つ以上のp型ドーパント(例えばボロン)を含有している。図9(a)及び図9(b)には図示していないが、インプラントされたドーパントは半導体基板のアニールによって活性化することが可能である。
【0052】
ソース/ドレイン領域900は適当な技術で形成することが可能である。ソース/ドレイン領域900は、一つ以上のインプラントによって形成することが可能である。ドーパントは、ゲート構造600及び、サイドスペーサ800によって覆われていない半導体基板の部分の中にインプラントされる。ゲート構造600及びサイドスペーサ800は、インプラントスクリーンとすることが可能である。ソース/ドレイン領域900は、比較的に高いエネルギーレベルおよびまたは比較的に高いドーパントのドーズのインプラントによって形成することができる。一例において、ソース/ドレイン領域900は約5KeV以上、約20KeV以下のエネルギーレベル、及び約8E14atoms/cm2以上、1E16atoms/cm2以下のドーズで形成される。他の例において、ソース/ドレイン領域900は約2KeV以上、約8KeV以下のエネルギーレベル、及び約1E14atoms/cm2以上、1E16atoms/cm2以下のドーズで形成される。さらに他の例において、ソース/ドレイン領域900は、エピタキシャルSiGeを埋め込むことで形成されることが可能である。ドーパントはインサイチュー(in-situ)のドープエピタキシャルによって形成されることが可能である。
【0053】
図10(a)及び図10(b)は、ゲート構造(例えば、ゲート構造及びサイドスペーサ)600によって覆われていないシリコンゲルマニウムの部分及び半導体基板上にメタルシリサイド1000を形成することを図示している。ゲート電極604がシリコンを含有する場合、メタルシリサイド1002はゲート電極604上に形成される。メタルシリサイドは、ゲート構造600によって覆われていない電界効果トランジスタの部分の電界効果トランジスタ上の金属層の化学反応によって形成することが可能である。メタルシリサイドは、電界効果トランジスタのシリコン含有層/シリコン含有要素に接触していない金属層において形成されない。
【0054】
図10(a)及び図10(b)には図示しないが、金属層は、電界効果トランジスタ上に形成される。金属層は、続くプロセスでメタルシリサイドに変換することが可能である適当な金属要素を含むことが可能である。金属の例は、タングステン、タンタル、モリブデン等の高融点金属及び、プラチナ、パラジウム、コバルト、ニッケル等の周期表の第8族の金属を含むことができる。金属層は、続く熱処理によって、シリコン基板中およびまたはゲート電極中の下にあるシリコンからなるメタルシリサイドを形成して変換される。金属層は、例えば、CVD、PVD(physical vapor deposition)等の適当な技術によって形成されることが可能である。金属層は、例えば続く工程で形成されたメタルシリサイドの望ましい厚さに依存して、適当な厚さを有することが可能である。
【0055】
金属層は金属層及び下にある電界効果トランジスタのシリコン含有層/シリコン含有要素間で化学反応を引き起こすために金属層を熱することでメタルシリサイドに変換することが可能である。一例において、メタルシリサイドは、金属層と、下にあるシリコン基板のシリコンおよびまたは、ゲート電極のポリシリコンとのシリコンの化学反応により形成される。シリサイド化の工程において、金属層の金属は、下にあるシリコン含有層/シリコン含有要素中に拡散することが可能であり、そしてメタルシリサイドを形成する。結果として、メタルシリサイドは、電界効果トランジスタ上に選択的に形成することができる。
【0056】
メタルシリサイドは、例えば望まれた実施およびまたは形成される電界効果トランジスタに依存して、適当な高さを有することが可能である。一例では、メタルシリサイドは約5nm以上、約30nm以下の高さである。他の例では、メタルシリサイドは約10nm以上、約25nm以下の高さである。
【0057】
シリサイド化工程の適当な条件及びパラメータ(例えば、温度、熱処理の時間等)の選択は、例えば、メタルシリサイドの望ましい次元(例えば、高さ)、金属層およびまたは下にあるシリコン含有要素/シリコン含有層の形状およびまたは成分、望まれた実施およびまたは形成される電界効果トランジスタ等に依存する。例えば、メタルシリサイドは、RTA(rapid thermal annealing)によって形成される。
【0058】
金属層の部分は、例えばサイドスペーサ及び素子分離領域上は反応せずに残り、そして、例えばエッチングによって除去することができる。金属層の反応しなかった部分は、メタルシリサイドのような電界効果トランジスタの他の層/要素の完全な状態に実質的に作用またはダメージを与えない適当な金属エッチャントと反応していない金属が接触することによって除去することが可能である。金属エッチャントの例は、酸化エッチャント溶液を含む。酸化エッチャントの例は、例えばH2SO4/H2O2、HNO3/H2O2、HCl/H2O2、H2O2/NH4OH/H2O、H3PO4、HNO3、CH3COOH等を含有している酸性溶液を含む。他の金属エッチャントも、電界効果トランジスタの他の要素/層に対して選択的に反応していない金属層の部分を除去することができる限り、使用されることが可能である。
【0059】
メタルシリサイドは、シリコン及びポリシリコンに比べて顕著に低いシート抵抗を有することが可能である。ゲートを有しているポリシリコン上に形成したメタルシリサイドは、一般的にポリサイドゲートとして言及される。このポリサイドゲートはポリシリコンゲートに比べて、かなりゲート構造の抵抗を減少させる。結果として、全てのゲート電極の導電性は向上する可能性がある。
【0060】
図11は電界効果トランジスタの典型的な形成方法1100を示している。1102において、トレンチは素子分離領域間の半導体基板の実質的に上部分全面に形成され、トレンチは、底面の(100)面及び側面の(111)面を有している。1104において、半導体基板は、トレンチの側面の(111)面を2以上の異なる平面に変化させるために熱される。1106において、シリコンゲルマニウム層はトレンチ内に形成され、シリコンゲルマニウム層は底面及び上面の(100)面と、側面の2以上の平面とを有している。1108において、ゲート絶縁層、ゲート電極及びサイドスペーサを含有しているゲート構造はシリコンゲルマニウム層上に形成される。1110において、ソース/ドレイン領域及びポケット領域は半導体基板内に形成される。1112において、メタルシリサイドは、ゲート構造によって覆われてないシリコンゲルマニウム層及び半導体基板の上部分上に形成される。
【0061】
図11には示してないが、トレンチは異方性の化学ウエットエッチングによって形成することができる。他の例において、トレンチは、TMAH溶液またはアンモニウム水酸化溶液を用いて形成される。さらに他の例において、シリコンゲルマニウムはシリコンゲルマニウムエピタキシャル工程によって形成される。そのまたさらに他の例において、トレンチの側面の(111)面は、約700℃以上、約1300℃以下の温度で、約5分以上、約100分以下だけ水素中で半導体基板を熱することで、2以上の異なる平面に変化される。
【0062】
図11に示していないが、コンタクトホール、導電性配線及び他の適当な要素は適当な半導体デバイスの製造工程によって形成されることが可能である。一般的な半導体デバイスの製造工程は、マスキング、パターニング、エッチング、クリーニング、プラナライゼーション、熱酸化、インプラント、アニ―ル、熱処理、そして一般的に半導体デバイスを形成するために使用される堆積技術を含んでいる。
【0063】
なお、上述したトレンチ及び該トレンチ上に形成されるシリコンゲルマニウム層の側面は、2以上の異なる平面(多面)を有している。しかし、マクロな視点からであると、なだらかな曲面として認識され得る。
【0064】
また、基板を45度回転させて、上述したトレンチの形成を行った場合は、トレンチの側面は(311)面または、側面と同等の平面(正確には(311)面として言及される)及び他の平面を含むことができる。この場合も、側面は実質的に(311)面のみを含まない。言い換えると、トレンチの側面は、2以上の異なる平面(多面)を有している。この場合でも、上述した実施形態に適応可能である。
【0065】
所定の特徴のためのどのような図面または数値の範囲に関して、図面または一つの範囲からのパラメーターは、数値の範囲を生成するため同じ特徴のための異なる範囲からの他の図または他のパラメーターと組み合わされても良い。
【0066】
実施例やその他示された部分以外の、明細書中及び請求項中において使用される成分の量や反応条件等について言及している全ての数字、値およびまたは表現は、全ての例において用語「約」によって、変形されたとして理解される。
【0067】
上述したことは、開示した発明の例を含んでいる。勿論、開示した発明の記載の目的のための構成要素及び方法の全ての考えうる組み合わせを書く事は不可能である。しかし、本発明の技術分野における当業者は、開示された発明の更なる組み合わせ及び入れ替えが可能であると認識できる。したがって、開示された発明は、添付された請求項の精神及び目的の中に含まれる変形、改良及び変化のような全ての変更を包含するつもりである。さらに、詳細な説明または請求項で使われている、含む、有する、含有する、またはこれらの系統の用語は、備えるという用語が、転換語としてクレームにて記載された場合と類似の解釈を含む。
【0068】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示された構成要件を適宜組み合わせることによって種々の発明が抽出される。例えば、開示された構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、所定の効果が得られるものであれば、発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0069】
100…電界効果トランジスタ
102…半導体基板
104…活性領域
106…素子分離領域
108…ゲート構造
110…トレンチ
112…シリコンゲルマニウム層
114…ソース/ドレイン領域
116…ポケット領域
118…チャネル領域
120…ゲート絶縁層
122…ゲート電極
124…メタルシリサイド
126…メタルシリサイド
128…サイドスペーサ
200…電界効果トランジスタ
202…半導体基板
204…素子分離領域
300…トレンチ
302…底面
304…側面
400…トレンチ
402…側面
500…シリコンゲルマニウム層
502…底面
504…上面
506…側面
600…ゲート構造
602…ゲート絶縁層
700…ドレインエクステンション領域
702…チャネル領域
704…ポケット領域
706…矢印
800…サイドスペーサ
900…ソース/ドレイン領域
902…チャネル領域
1000…メタルシリサイド
1002…メタルシリサイド
【技術分野】
【0001】
以下の記載は、概して、チャネルシリコンゲルマニウム層を有する電界効果トランジスタ(field effect transistor:FET)及びチャネルシリコンゲルマニウム層を有する電界効果トランジスタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
論理ゲートは、1またはそれ以上の論理入力の論理的な演算を行い、単一の論理出力を生成する。電子の論理において、論理レベルは電圧及び電流で表され、使われている電子の論理のタイプに依存する。各論理ゲートは、正しい出力電圧を達成するため電流を供給し、排出することができる電力を必要とする。
【0003】
NAND及びNOR論理ゲートは、ロジックの二つの柱である。他のタイプのブーリアン論理ゲート(例えばAND、OR、NOT、XOR、XNOR)は、NANDゲートの適切なネットワークまたは、NORゲートのみから形成されることができる。これらは、インバーター及び2つの入力ANDゲートまたはORゲートを形成することができる複数のトランジスタから構築される。すなわち、NANDゲート及びNORゲートは、ユニバーサルゲートと呼ばれる。
【0004】
論理回路は、マルチプレクサー、レジスタ、論理演算装置(arithmetic logic units:ALUs)、そしてコンピュータメモリから1億以上のゲートを含むことができる完全なマイクロプロセッサまでを含む。実際には、ゲートは電界効果トランジスタで形成される。電界効果トランジスタは、トランジスタの1つのタイプであり、形状(状態)と、半導体材料における電荷キャリアの一つのタイプのチャネルの導電性とを制御する電界に依存する。
【0005】
FETのチャネルはn型半導体かp型半導体を形成するためにドープされ、それゆえに、NFETまたはPFETと呼ばれる。ドレイン及びソースは、エンハンスメントモードFETsのケースの場合、チャネルと反対のタイプがドープされ、または、デプレッションモードFETsの場合チャネルと同じタイプがドープされることができる。最も一般的に使われているFETは、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field effect transistor)またはIGFET(insulated-gate field effect transistor)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−166396号公報
【特許文献2】特開2002−100762号公報
【特許文献3】特開2005−311184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高品質な特性を有する電界効果トランジスタ及びその方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、電界効果トランジスタを提供する。電界効果トランジスタは、ソース/ドレイン領域、及びポケット領域を含んでいる半導体基板と、半導体基板内の素子分離領域(STI:shallow trench isolation)と、素子分離領域間の半導体基板の上面のトレンチ内のシリコンゲルマニウム層と、ゲート絶縁層、ゲート電極、及びサイドスペーサを含むシリコンゲルマニウム層上のゲート構造と、ゲート構造によって覆われていないシリコンゲルマニウム層及び半導体基板上のメタルシリサイドとを含むことができる。シリコンゲルマニウム層は、(100)面を有する底面及び上面と、2つ以上の平面を有する側面とを有している。シリコンゲルマニウム層は、チャネル長方向において、ゲート構造の下で側面を有さない。
【0009】
本発明の他の態様は、他の電界効果トランジスタに関する。電界効果トランジスタは半導体基板内の素子分離領域間にソース/ドレイン及びポケット領域を含んでいる半導体基板と、素子分離領域間の半導体基板のほぼ全ての上面のトレンチ内のシリコンゲルマニウム層と、ゲート絶縁層、ゲート電極、及びサイドスペーサを含むシリコンゲルマニウム層上のゲート構造と、ゲート構造によって覆われていないシリコンゲルマニウム層及び半導体基板上のメタルシリサイドとを含むことができる。シリコンゲルマニウム層は、(100)面を有する底面及び上面と、2つ以上の平面を有する側面とを有している。
【0010】
本発明のさらに他の態様では、電界効果トランジスタの形成方法を提供する。この方法は、素子分離領域間の半導体基板のほぼ全ての上部のトレンチを形成し、トレンチは、底面の(100)面及び側面の(111)面を有し、トレンチの側面の(111)面を2以上の異なる平面に変えるために半導体基板を熱し、トレンチ内にシリコンゲルマニウム層を形成し、シリコンゲルマニウム層は、底面及び上面の(100)面と側面の2以上の平面とを有し、シリコンゲルマニウム層上にゲート絶縁層と、ゲート電極、及びサイドスペーサを備えるゲート構造形成し、半導体基板内にソース/ドレイン領域及びポケット領域を形成し、シリコンゲルマニウム層及び半導体基板のゲート構造を覆わない上部にメタルシリサイドを形成することを含むことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高品質な特性を有する電界効果トランジスタ及びその方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1(a)は、本発明の一態様に従った例示的な電界効果トランジスタの一部の上面図であり、図1(b)は、本発明の一態様に従った例示的な電界効果トランジスタの一部の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図1(c)は、本発明の一態様に従った例示的な電界効果トランジスタの一部の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図2】図2(a)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図2(b)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図3】図3(a)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図3(b)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図4】図4(a)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図4(b)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図5】図5(a)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図5(b)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図6】図6(a)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図6(b)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図7】図7(a)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図7(b)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図8】図8(a)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図8(b)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図9】図9(a)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図9(b)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図10】図10(a)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線X−Xに沿った断面図であり、図10(b)は、本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法の図1(a)の線Y−Yに沿った断面図である。
【図11】本発明の一態様に従った電界効果トランジスタの例示的な製造方法のフローダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここに記載されている本発明は、電界効果トランジスタ及びその製造方法を提供する。特に、本発明はチャネルシリコンゲルマニウム層を有する電界効果トランジスタを提供する。電界効果トランジスタは、半導体基板間のシリコンゲルマニウム層及びゲート構造を備えている。
【0014】
シリコンゲルマニウム層は(100)面を有する底面及び上面と、2以上の平面を有する側面とを有することが可能である。シリコンゲルマニウムは電界効果トランジスタのチャネル領域上に実質的に均一の高さを有することが可能である。一例において、シリコンゲルマニウム層は、チャネル長方向においてゲート構造によって覆われている半導体基板の一部において側面を有さない。他の例において、シリコンゲルマニウムはゲート構造によって覆われていない半導体基板の部分にのみ側面を有する。この電界効果トランジスタは、チャネルシリコンゲルマニウムによって、ひとつかそれ以上の電流(Ion)特性、線形ドレイン電流(Idlin)特性、及び、閾値電圧(Vth)特性改良することが出来る。
【0015】
電界効果トランジスタは、ソース/ドレイン領域及びポケット領域を中に含む半導体基板と、半導体基板内の素子分離領域としてのSTIとを含むことができる。電界効果トランジスタは、素子分離領域間の半導体基板の上面のトレンチ内のシリコンゲルマニウム層と、ゲート絶縁層、ゲート電極、及びサイドスペーサを備え、シリコンゲルマニウム層上のゲート構造と、ゲート構造に覆われていないシリコンゲルマニウム層及び半導体基板の上部分上のメタルシリサイドとをさらに含むことができる。
【0016】
他の例において、電界効果トランジスタは素子分離領域間のソース/ドレイン領域及びポケット領域を中に含む半導体基板と、素子分離領域間の半導体基板の実質的に全ての上面のトレンチ内のシリコンゲルマニウム層とを含み、シリコンゲルマニウム層上のゲート構造はゲート絶縁層、ゲート電極、およびサイドスペーサを備えている。電界効果トランジスタは、シリコンゲルマニウム層の上部分上のメタルシリサイドとゲート構造によって覆われていない半導体基板上のメタルシリサイドとをさらに含むことが可能である。シリコンゲルマニウム層は(100)面を有する底面及び上面と、2つ以上の平面を有する側面を有する。シリコンゲルマニウム層は、チャネル長方向のゲート構造の下において側面を有さない。
【0017】
図1(a)は、例示的な電界効果トランジスタ100の一部の上面図を示している。図1(b)は、図1(a)の線X−Xに沿った電界効果トランジスタ100の一部の断面図である。図1(c)は、図1(a)の線Y−Yに沿った電界効果トランジスタ100の断面図である。
【0018】
電界効果トランジスタ100は半導体基板(例えばシリコン基板)102を有している。電界効果トランジスタ100は、素子分離領域(STI:sallow trench isolation)106間の半導体基板内の活性領域104と、活性領域104上のゲート構造108とを有している。活性領域104は半導体基板の上面のトレンチ110と、トレンチ110内のシリコンゲルマニウム層112とを有している。活性領域104はソース及びドレイン(ソース/ドレイン)領域114と、半導体基板内のポケット領域116とをさらに有している。活性領域104はソース及びドレイン領域間のチャネル領域118を有している。ゲート構造108は、シリコンゲルマニウム層112上のゲート絶縁層120と、ゲート絶縁層120上のゲート電極122とを有している。電界効果トランジスタ100は、シリコンゲルマニウム及び半導体基板の上部分のメタルシリサイド124を含むことが可能である。ゲート構造108は、ゲート電極122の上部分のメタルシリサイド126をさらに有することが可能である。ゲート構造108はゲート絶縁層120及びゲート電極122の側面に隣接したサイドスペーサ(側壁層)128をさらに有することが可能である。電界効果トランジスタ100はp型の電界効果トランジスタであることが可能である。
【0019】
電界効果トランジスタ100は、いくつかの適切なチャネル幅を有している。チャネル幅は一般的に活性領域の長さの方向における活性領域の長さである。チャネル幅は典型的に、約100nm以上、2000nm以下である。電界効果トランジスタ100は、いくつかの適切なチャネル長を有している。チャネル長は一般的にソース/ドレインに対応する領域間に定義される。チャネル長は一般的に、約10nm以上、100nm以下である。
【0020】
一例において、トレンチ110はチャネル長方向(例えばY−Y方向)において、ゲート構造108の下で側面を有していない。トレンチ110は、チャネル長方向のゲート構造108に覆われている半導体基板の一部において、側面を有していない。トレンチ110は、チャネル長方向のゲート構造108に覆われていない半導体基板の部分においてのみ側面を有している。他の例において、トレンチ110はソース/ドレインに対応する領域間において側面を有さない。
【0021】
一例において、シリコンゲルマニウム層112はチャネル長方向において、ゲート構造108の下で側面を有していない。シリコンゲルマニウムは、チャネル長方向のゲート構造108に覆われている半導体基板の一部において、側面を有していない。シリコンゲルマニウムは、チャネル長方向のゲート構造108に覆われていない半導体基板の部分においてのみ側面を有している。他の例において、シリコンゲルマニウムはソース/ドレインに対応する領域間において側面を有さない。
【0022】
簡潔のために、図1(a)〜図1(c)には示していないが、電界効果トランジスタ100は、電界効果トランジスタ構造において一般的に使用されることができるどのような構造でも備えることが可能である。例えば、ゲートコンタクトプラグ、ソース・ドレインコンタクト、ゲート構造108間の絶縁層等、電界効果トランジスタ内にさらに含むことが可能なものがある。
【0023】
トレンチ110は底面と側面を有している。底面は(100)面(例えば、平面方向または平面の方位)または底面と同等の平面(例えば(100)、(010)または(001)面)(正確には(100)面として言及される)を有している。トレンチ110の側面は、(111)面または、側面と同等の平面(正確には(111)面として言及される)及び他の平面を含むことができる。側面は、実質的に(111)面のみを含まない。言い換えると、トレンチ110の側面は、2以上の異なる平面を有している。
【0024】
シリコンゲルマニウム層112は底面及び上面を有している。底面及び上面は(100)面を有している。シリコンゲルマニウム層112は側面をさらに有している。シリコンゲルマニウム層112の側面は(111)面及び他の平面を含むことが可能である。シリコンゲルマニウムの側面は、実質的に(111)面のみを含まない。言い換えると、シリコンゲルマニウムの側面は、2以上の異なる平面を有している。
【0025】
シリコンゲルマニウム層112は、チャネル領域118内においてホールの移動性が上昇することができるゲルマニウムの量であるかぎり、適当な量のゲルマニウムを含有している。一例において、シリコンゲルマニウム層112は、約0wt%以上、約80wt%以下のシリコン、及び約20wt%以上、約100wt%のゲルマニウムを含む。他の例において、シリコンゲルマニウム層112は、約30wt%以上、約75wt%以下のシリコン、及び約25wt%以上、約70wt%のゲルマニウムを含む。さらに他の例において、シリコンゲルマニウム層112は、約60wt%以上、約70wt%以下のシリコン、及び約30wt%以上、約40wt%のゲルマニウムを含む。
【0026】
ソース/ドレイン領域114はp型導電性(例えば、ボロンのようなpドーパント濃度)を有することができる。ポケット領域116は、n型導電性(例えば、砒素、燐、アンチモンのようなnドーパント濃度)を有することができる。ゲート絶縁層120は、金属酸化物または、メタロイド酸化物(ハフニウム酸化物)、シリコン酸化物(例えばSiO2)、セラミック酸化物等の適当な無機の酸化物を含むことができる。ゲート電極122は、ポリシリコン、アモルファスシリコン、チタンナイトライド等を含むことができる。メタルシリサイド124及び126は、タングステン、タンタル、モリブデン等の高融点金属、及び、プラチナ、パラジウム、コバルト、ニッケル等の周期表の第8族の金属を含むことができる。サイドスペーサ128及びまたは素子分離領域126は酸化物のような適当な絶縁材料を含むことができる。酸化物の例は、シリコン酸化物、TEOS(tetraethylorthosilicate)酸化物、HARP(high aspect ratio plasma)酸化物、シリコン酸化物、HTO(high temperature oxide)、HDP(high density plasma)酸化物、ALD(atomic layer deposition)工程によって形成される酸化物(例えばシリコン酸化物)等を含む。
【0027】
図2(a)、図2(b)〜図10(a)、図10(b)には、電界効果トランジスタの形成の多くの可能な例示的な実施形態のうちのひとつが詳細に図示されている。図2(a)は例示的な電界効果トランジスタ200の中間状態の図1(a)に示す線X−Xに沿った断面図である。図2(b)は例示的な電界効果トランジスタ200の中間状態の図1(a)に示す線Y−Yに沿った断面図である。
【0028】
電界効果トランジスタ200は基板(例えばシリコン基板)202及び半導体基板中に素子分離領域204を含むことが可能である。素子分離領域204はCVD(chemical vapor deposition)、リソグラフィ、エッチング技術等で形成されることが可能である。パターンが形成されたハードマスクが半導体基板上に形成される。パターンが形成されたハードマスクによって覆われていない半導体基板の部分が、例えば半導体基板内に開口部を形成するためにエッチングして除去される。素子分離領域204はSTI材料を開口部に埋めることで形成することが可能である。
【0029】
図2(a)及び図2(b)には示していないが、ウェル及びチャネルは素子分離領域204間の半導体基板内に形成することが可能である。電界効果トランジスタ200がPFETの場合、ウェルは、一つ以上のnドーパント(例えば燐)の導入によって形成され、チャネルは、一つ以上のnドーパント(例えば砒素)の導入によって形成される。
【0030】
図3(a)及び図3(b)はトレンチ300を、素子分離領域204間の半導体基板の部分を除去することで、半導体基板の上部分に形成することを図示している。トレンチ300は、素子分離領域204間の半導体基板の実質的に上部分全面に形成することが可能である。トレンチ300は異方性の化学的ウエットエッチングによって形成されることが可能である。異方性の化学的ウエットエッチングを行う前に、酸化物が半導体基板上に形成されている場合、酸化物は希釈のフッ化ホウ素酸(HF)を用いて除去することが可能である。半導体基板は希釈のHFに短く浸すことが可能である。
【0031】
トレンチ300は(100)面を有する底面302を備えるトレンチ300を形成するエッチングである限り、適当な異方性の化学的ウエットエッチングによって形成されることができる。異方性の化学的ウエットエッチングは一般的に、(100)面の底面と、(111)面を有する側面(例えば、サイドファセット)304とを形成する。
【0032】
異方性の化学的ウエットエッチングのエッチャントの例は、テトラアルキルアンモニウム水酸化物(TMAH:tetramethylammonium hydroxide:テトラメチルアンモニウム水酸化物)及びアンモニウム水酸化物(NH4OH)等の基本溶液を含む。例として、TMAH溶液を用いたトレンチの形成することは下記に記載されている。TMAH溶液を用いてトレンチを形成することは、半導体基板200をTMAH溶液に浸す、またはTMAH溶液を半導体基板200の上面上に噴霧または散布することで処理される。
【0033】
TMAH溶液は実質的に他の構成要素をダメージまたはエッチング無しで半導体基板200の部分の除去を容易にする充分な量のTMAH含むことが可能である。一例では、TMAH溶液は重量に対して約0.5%以上のTMAH、重量に対して約40%以下のTMAHを含んでいる。他の例では、TMAH溶液は重量に対して約1%以上のTMAH、重量に対して約25%以下のTMAHを含んでいる。TMAHは、望ましいTMAH濃度を有するTMAH溶液を生成するために脱イオン水のような水によって希釈してもよい。
【0034】
半導体基板202は、トレンチ300の形成を容易にするためにTMAH溶液と適当な温度で接触される。一例において、半導体基板は、約20℃以上または約100℃以下でTMAH溶液と接触される。他の例において、半導体基板は、約30℃以上または約60℃以下でTMAH溶液と接触される。半導体基板はトレンチ300の形成を容易にするために、適当な時間でTMAH溶液と接触される。一例において、半導体基板は、約5秒以上、約20分以下TMAH溶液と接触される。一例において、半導体基板は、約10秒以上、約15分以下TMAH溶液と接触される。例えば、半導体基板は、約45℃の温度で約2.5分、重さに対して約2.5%のTMAHを含むTMAH溶液と接触される。
【0035】
他の例において、エッチャントはNH4OH溶液である。NH4OHは、望ましい濃度のNH4OH(例えば、NH4OH:H2O=1:3000(wt/wt))を有するTMAH溶液を生成するために脱イオン水のような水によって希釈してもよい。半導体基板は、約45℃の温度で約100秒、NH4OH溶液に接触される。
【0036】
トレンチ300は適当な深さを有することが可能である。トレンチ300は実質的に同一の深さを有することが可能である。深さは変更することが可能であり、本発明にとって重要ではない可能性がある。例えば、深さは、形成された電界効果トランジスタ200の望ましい完成形に依存する可能性がある。一例において、トレンチ300の深さは約5nm以上約20nm以下である。他の例において、トレンチ300の深さは約6nm以上約17nm以下である。さらに他の例において、トレンチ300の深さは約7nm以上約15nm以下である。さらに他の例において、トレンチ300の深さは約10nmである。
【0037】
図4(a)及び図4(b)はトレンチの側面の平面方向を変えるために半導体基板を熱すること図示している。側面が単一の平面方向を有している場合、熱処理は単一の平面方向を、2以上の平面方向に変化させる。側面が単一の(111)面を有している場合、熱処理は単一の(111)面方向を、例えば、(112)面、(200)面、(101)面、(011)面などを含んでいる2以上の平面に変化させる。熱処理により、トレンチ400は2以上の平面の側面402を有することができる。底面の(100)面は変化しないで残される。半導体基板はこの熱処理によって再結晶化されることが可能である。
【0038】
半導体基板202は、トレンチ400の側面の2以上の平面の形成およびまたは半導体基板の再結晶化を容易にする、どのような適当な条件下でも熱されることが可能である。一例において、約700℃以上、約900℃以下の温度で、約1分以上、約10分以下で半導体基板は水素中で熱される。他の例において、約500℃以上、約900℃以下の温度で、約10秒以上、約30分以下で半導体基板は水素中で熱される。
【0039】
図5(a)及び図5(b)は、トレンチ内にシリコンゲルマニウム層500を形成することを図示している。シリコンゲルマニウム層500はエピタキシャル技術によって形成されることができる。シリコンゲルマニウムエピタキシャル成長は、例えばシリコンソースガス(例えば、SiH4、Si2H6、SiH8、SiF4等)、ゲルマニウムソースガス(例えば、GeH4、GeF4等)、及び任意のキャリアガスを用いて、上昇した温度(例えば1100℃)において、どのような適当な条件下でも行うことができる。シリコンゲルマニウムのエピタキシャル成長は、シリコンゲルマニウムの上面が、半導体基板およびまたは素子分離領域の上面と実質的に同一平面である場合に終わらすことができる。
【0040】
一例において、トレンチが底面の(100)面を有している時、シリコンゲルマニウム層500は底面502の(100)面を有する。シリコンゲルマニウム層500は上面504の(100)面を有することができる。他の例において、トレンチが2以上の異なる平面を有している側面を有する時、シリコンゲルマニウム層500は側面506の2以上の異なる平面を有する。さらに他の例において、トレンチが実質的に同一の深さを有する時、シリコンゲルマニウム層500は実質的に同一の高さを有する。
【0041】
図6(a)及び図6(b)はシリコンゲルマニウム層500上にゲート絶縁層602およびゲート電極を有するゲート構造600を形成することを図示している。ゲート構造600は、シリコンゲルマニウム上のゲート絶縁層602、及びゲート絶縁層602上のゲート電極層604を形成し、ゲート絶縁層602及びゲート電極層604をパターニングすることで、形成することができる。
【0042】
ゲート絶縁層は、金属酸化物または、メタロイド酸化物(ハフニウム酸化物)、シリコン酸化物(例えばSiO2)、セラミック酸化物等の適当な無機の酸化物を含むことができる。ゲート電極は、ポリシリコン、アモルファスシリコン、チタンナイトライド等を含むことができる。ゲート絶縁層及びゲート電極は適当な技術で形成されることができる。例えば、ゲート絶縁層及びゲート電極は、堆積(例えばCVD、スピンオン技術等)、リソグラフィ、エッチング技術によって形成されることができる。ゲート絶縁層は、エピタキシャル成長技術(例えば、シリコンエピタキシャル成長)及び酸化技術(例えば、熱酸化、プラズマ酸化等)によって形成されることができる。
【0043】
図7(a)及び図7(b)は、ゲート構造600と隣接した半導体基板内にソース/ドレインエクステンション領域700を形成することと、ソース/ドレインエクステンション領域間の半導体基板内にチャネル領域702を形成することとを図示している。適当なインプラント組成及び濃度はソース/ドレインエクステンション領域に用いることが可能である。例えば、ソース/ドレインエクステンション領域は、1つ以上のp型ドーパント(例えばボロン)を含有している。
【0044】
ソース/ドレインエクステンション領域は適当な技術によって形成されることができる。ソース/ドレインエクステンション領域は1以上のドーパントのインプラントによって形成することができる。ドーパントはゲート構造600によって覆われていない半導体基板の部分内に埋め込まれる。ゲート構造600はインプラントスクリーンとすることが可能である。ソース/ドレインエクステンション領域は、比較的に低いエネルギーレベルおよびまたは比較的に低いドーパントのドーズのインプラントによって形成することができる。一例において、ソース/ドレインエクステンション領域は約0.1KeV以上、約1KeV以下のエネルギーレベル、及び約1E14atoms/cm2以上、3E15atoms/cm2以下のドーズで形成される。他の例において、ソース/ドレインエクステンション領域は約1KeV以上、約5KeV以下のエネルギーレベル、及び約5E13atoms/cm2以上、3E15atoms/cm2以下のドーズで形成される。
【0045】
図7(a)及び図7(b)はポケット領域704をゲート構造600の側面の下に隣接した半導体基板内に形成することをさらに図示している。適当なインプラント組成及び濃度はポケット領域704に用いることが可能である。例えば、ポケット領域704は、1つ以上のn型ドーパント(例えば砒素)を含有している。ポケットインプラントは、電界効果トランジスタ200のVth特性を改善することができる。
【0046】
ポケット領域は、ポケット領域がメモリデバイスのコンタクトパンチスルー(punch-through)リーク特性を改善することができる限り、適当なサイズ、形状、インプラント組成、インプラント濃度を有することが可能である。一例において、ポケット領域は、半導体基板の表面に対して垂直な半導体基板からの軸の方向に対して約0度以上、約40度以下傾いたインプラント角度を有している。ポケット領域は、適当なインプラント角度で1つ以上のドーパントのインプラントによって形成されることができる。ドーパントは、矢印706で示すように、半導体基板に向かって角度θ1でインプラントされる。角度θ1は、図7(b)に示すように、半導体基板の表面に向かって垂直な線から計測される。
【0047】
一例において、ポケット領域は約25KeV以上、約60KeV以下のエネルギーレベルで形成される。他の例において、ポケット領域は約30KeV以上、約70KeV以下のエネルギーレベルで形成される。一例において、ポケット領域は約5E12atoms/cm2以上、8E13atoms/cm2以下のドーズで形成される。他の例において、ポケット領域は約5E12atoms/cm2以上、1E14atoms/cm2以下のドーズで形成される。
【0048】
図8(a)及び図8(b)は、ゲート絶縁層602及びゲート電極600の側面に隣接し、シリコンゲルマニウム層500の上面にサイドスペーサ(例えば、側壁層)800を形成することを図示している。サイドスペーサ800は酸化物のような適当な絶縁材料を有することが可能である。酸化物の例は、シリコン酸化物、TEOS(tetraethylorthosilicate)酸化物、HARP(high aspect ratio plasma)酸化物、HTO(high temperature oxide)、HDP(high density plasma)酸化物、ALD(atomic layer deposition)工程によって形成される酸化物(例えばシリコン酸化物)等を含む。サイドスペーサ材料の他の例は、ナイトライド(例えば、シリコンナイトライド、シリコンオキシナイトライド、シリコンリッチシリコンナイトライド)、シリケイト、ダイアモンドライクカーボン、カーバイド等を含む。図示していないが、ソース/ドレインエクステンション領域およびまたはポケット領域はサイドスペーサを形成した後に形成することができる。
【0049】
サイドスペーサは、適当な技術によって形成されることが可能である。例えば、スペーサ材料を含んでいる層を半導体基板上に形成し、続いて、ゲート構造600の側面に隣接していないスペーサ材料層の部分を除去する。スペーサ材料層は、少なくともゲート構造600の側面上に堆積技術(例えば、CVD、スピンオン技術等)によって形成することができる。
【0050】
スペーサ材料層を形成した後、スペーサ材料層の部分は、例えばエッチングで除去することが出来る。ゲート絶縁層及びゲート電極の側面及びシリコンゲルマニウム層上に隣接したスペーサを残すことが出来るエッチングである限り、適当なエッチングを用いることが可能である。ウエットエッチングおよびまたはドライエッチングウエットエッチングを適用可能である。エッチングの例は、RIE(reactive ion etching)、化学プラズマエッチング、または、適当な化学反応を利用している他の適当な異方性エッチングを含む。
【0051】
図9(a)及び図9(b)は、ゲート構造600に隣接した半導体基板内にソース/ドレイン領域900を形成し、ソース/ドレイン領域900間の半導体基板内にチャネル領域902を形成することを図示している。適当なインプラント組成及び濃度はソース/ドレイン領域に用いることが可能である。例えば、ソース/ドレイン領域は、1つ以上のp型ドーパント(例えばボロン)を含有している。図9(a)及び図9(b)には図示していないが、インプラントされたドーパントは半導体基板のアニールによって活性化することが可能である。
【0052】
ソース/ドレイン領域900は適当な技術で形成することが可能である。ソース/ドレイン領域900は、一つ以上のインプラントによって形成することが可能である。ドーパントは、ゲート構造600及び、サイドスペーサ800によって覆われていない半導体基板の部分の中にインプラントされる。ゲート構造600及びサイドスペーサ800は、インプラントスクリーンとすることが可能である。ソース/ドレイン領域900は、比較的に高いエネルギーレベルおよびまたは比較的に高いドーパントのドーズのインプラントによって形成することができる。一例において、ソース/ドレイン領域900は約5KeV以上、約20KeV以下のエネルギーレベル、及び約8E14atoms/cm2以上、1E16atoms/cm2以下のドーズで形成される。他の例において、ソース/ドレイン領域900は約2KeV以上、約8KeV以下のエネルギーレベル、及び約1E14atoms/cm2以上、1E16atoms/cm2以下のドーズで形成される。さらに他の例において、ソース/ドレイン領域900は、エピタキシャルSiGeを埋め込むことで形成されることが可能である。ドーパントはインサイチュー(in-situ)のドープエピタキシャルによって形成されることが可能である。
【0053】
図10(a)及び図10(b)は、ゲート構造(例えば、ゲート構造及びサイドスペーサ)600によって覆われていないシリコンゲルマニウムの部分及び半導体基板上にメタルシリサイド1000を形成することを図示している。ゲート電極604がシリコンを含有する場合、メタルシリサイド1002はゲート電極604上に形成される。メタルシリサイドは、ゲート構造600によって覆われていない電界効果トランジスタの部分の電界効果トランジスタ上の金属層の化学反応によって形成することが可能である。メタルシリサイドは、電界効果トランジスタのシリコン含有層/シリコン含有要素に接触していない金属層において形成されない。
【0054】
図10(a)及び図10(b)には図示しないが、金属層は、電界効果トランジスタ上に形成される。金属層は、続くプロセスでメタルシリサイドに変換することが可能である適当な金属要素を含むことが可能である。金属の例は、タングステン、タンタル、モリブデン等の高融点金属及び、プラチナ、パラジウム、コバルト、ニッケル等の周期表の第8族の金属を含むことができる。金属層は、続く熱処理によって、シリコン基板中およびまたはゲート電極中の下にあるシリコンからなるメタルシリサイドを形成して変換される。金属層は、例えば、CVD、PVD(physical vapor deposition)等の適当な技術によって形成されることが可能である。金属層は、例えば続く工程で形成されたメタルシリサイドの望ましい厚さに依存して、適当な厚さを有することが可能である。
【0055】
金属層は金属層及び下にある電界効果トランジスタのシリコン含有層/シリコン含有要素間で化学反応を引き起こすために金属層を熱することでメタルシリサイドに変換することが可能である。一例において、メタルシリサイドは、金属層と、下にあるシリコン基板のシリコンおよびまたは、ゲート電極のポリシリコンとのシリコンの化学反応により形成される。シリサイド化の工程において、金属層の金属は、下にあるシリコン含有層/シリコン含有要素中に拡散することが可能であり、そしてメタルシリサイドを形成する。結果として、メタルシリサイドは、電界効果トランジスタ上に選択的に形成することができる。
【0056】
メタルシリサイドは、例えば望まれた実施およびまたは形成される電界効果トランジスタに依存して、適当な高さを有することが可能である。一例では、メタルシリサイドは約5nm以上、約30nm以下の高さである。他の例では、メタルシリサイドは約10nm以上、約25nm以下の高さである。
【0057】
シリサイド化工程の適当な条件及びパラメータ(例えば、温度、熱処理の時間等)の選択は、例えば、メタルシリサイドの望ましい次元(例えば、高さ)、金属層およびまたは下にあるシリコン含有要素/シリコン含有層の形状およびまたは成分、望まれた実施およびまたは形成される電界効果トランジスタ等に依存する。例えば、メタルシリサイドは、RTA(rapid thermal annealing)によって形成される。
【0058】
金属層の部分は、例えばサイドスペーサ及び素子分離領域上は反応せずに残り、そして、例えばエッチングによって除去することができる。金属層の反応しなかった部分は、メタルシリサイドのような電界効果トランジスタの他の層/要素の完全な状態に実質的に作用またはダメージを与えない適当な金属エッチャントと反応していない金属が接触することによって除去することが可能である。金属エッチャントの例は、酸化エッチャント溶液を含む。酸化エッチャントの例は、例えばH2SO4/H2O2、HNO3/H2O2、HCl/H2O2、H2O2/NH4OH/H2O、H3PO4、HNO3、CH3COOH等を含有している酸性溶液を含む。他の金属エッチャントも、電界効果トランジスタの他の要素/層に対して選択的に反応していない金属層の部分を除去することができる限り、使用されることが可能である。
【0059】
メタルシリサイドは、シリコン及びポリシリコンに比べて顕著に低いシート抵抗を有することが可能である。ゲートを有しているポリシリコン上に形成したメタルシリサイドは、一般的にポリサイドゲートとして言及される。このポリサイドゲートはポリシリコンゲートに比べて、かなりゲート構造の抵抗を減少させる。結果として、全てのゲート電極の導電性は向上する可能性がある。
【0060】
図11は電界効果トランジスタの典型的な形成方法1100を示している。1102において、トレンチは素子分離領域間の半導体基板の実質的に上部分全面に形成され、トレンチは、底面の(100)面及び側面の(111)面を有している。1104において、半導体基板は、トレンチの側面の(111)面を2以上の異なる平面に変化させるために熱される。1106において、シリコンゲルマニウム層はトレンチ内に形成され、シリコンゲルマニウム層は底面及び上面の(100)面と、側面の2以上の平面とを有している。1108において、ゲート絶縁層、ゲート電極及びサイドスペーサを含有しているゲート構造はシリコンゲルマニウム層上に形成される。1110において、ソース/ドレイン領域及びポケット領域は半導体基板内に形成される。1112において、メタルシリサイドは、ゲート構造によって覆われてないシリコンゲルマニウム層及び半導体基板の上部分上に形成される。
【0061】
図11には示してないが、トレンチは異方性の化学ウエットエッチングによって形成することができる。他の例において、トレンチは、TMAH溶液またはアンモニウム水酸化溶液を用いて形成される。さらに他の例において、シリコンゲルマニウムはシリコンゲルマニウムエピタキシャル工程によって形成される。そのまたさらに他の例において、トレンチの側面の(111)面は、約700℃以上、約1300℃以下の温度で、約5分以上、約100分以下だけ水素中で半導体基板を熱することで、2以上の異なる平面に変化される。
【0062】
図11に示していないが、コンタクトホール、導電性配線及び他の適当な要素は適当な半導体デバイスの製造工程によって形成されることが可能である。一般的な半導体デバイスの製造工程は、マスキング、パターニング、エッチング、クリーニング、プラナライゼーション、熱酸化、インプラント、アニ―ル、熱処理、そして一般的に半導体デバイスを形成するために使用される堆積技術を含んでいる。
【0063】
なお、上述したトレンチ及び該トレンチ上に形成されるシリコンゲルマニウム層の側面は、2以上の異なる平面(多面)を有している。しかし、マクロな視点からであると、なだらかな曲面として認識され得る。
【0064】
また、基板を45度回転させて、上述したトレンチの形成を行った場合は、トレンチの側面は(311)面または、側面と同等の平面(正確には(311)面として言及される)及び他の平面を含むことができる。この場合も、側面は実質的に(311)面のみを含まない。言い換えると、トレンチの側面は、2以上の異なる平面(多面)を有している。この場合でも、上述した実施形態に適応可能である。
【0065】
所定の特徴のためのどのような図面または数値の範囲に関して、図面または一つの範囲からのパラメーターは、数値の範囲を生成するため同じ特徴のための異なる範囲からの他の図または他のパラメーターと組み合わされても良い。
【0066】
実施例やその他示された部分以外の、明細書中及び請求項中において使用される成分の量や反応条件等について言及している全ての数字、値およびまたは表現は、全ての例において用語「約」によって、変形されたとして理解される。
【0067】
上述したことは、開示した発明の例を含んでいる。勿論、開示した発明の記載の目的のための構成要素及び方法の全ての考えうる組み合わせを書く事は不可能である。しかし、本発明の技術分野における当業者は、開示された発明の更なる組み合わせ及び入れ替えが可能であると認識できる。したがって、開示された発明は、添付された請求項の精神及び目的の中に含まれる変形、改良及び変化のような全ての変更を包含するつもりである。さらに、詳細な説明または請求項で使われている、含む、有する、含有する、またはこれらの系統の用語は、備えるという用語が、転換語としてクレームにて記載された場合と類似の解釈を含む。
【0068】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示された構成要件を適宜組み合わせることによって種々の発明が抽出される。例えば、開示された構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、所定の効果が得られるものであれば、発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0069】
100…電界効果トランジスタ
102…半導体基板
104…活性領域
106…素子分離領域
108…ゲート構造
110…トレンチ
112…シリコンゲルマニウム層
114…ソース/ドレイン領域
116…ポケット領域
118…チャネル領域
120…ゲート絶縁層
122…ゲート電極
124…メタルシリサイド
126…メタルシリサイド
128…サイドスペーサ
200…電界効果トランジスタ
202…半導体基板
204…素子分離領域
300…トレンチ
302…底面
304…側面
400…トレンチ
402…側面
500…シリコンゲルマニウム層
502…底面
504…上面
506…側面
600…ゲート構造
602…ゲート絶縁層
700…ドレインエクステンション領域
702…チャネル領域
704…ポケット領域
706…矢印
800…サイドスペーサ
900…ソース/ドレイン領域
902…チャネル領域
1000…メタルシリサイド
1002…メタルシリサイド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子分離領域間のソース/ドレイン領域、及びポケット領域を含んでいる半導体基板と、
前記素子分離領域間の前記半導体基板の上面のトレンチ内にあって、(100)面を有する底面及び上面と、2つ以上の平面を有する側面とを有するシリコンゲルマニウム層と、
ゲート絶縁層、ゲート電極、及びサイドスペーサを含む前記シリコンゲルマニウム層上のゲート構造と、
前記ゲート構造によって覆われていない前記シリコンゲルマニウム層及び前記半導体基板の上部分上のメタルシリサイドと
を備え、
前記シリコンゲルマニウム層は、チャネル長方向において、前記ゲート構造の下で側面を有していないことを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項2】
前記トレンチは(100)面を有する底面、及び2以上の平面を有する側面を有することを特徴とする請求項1記載の電界効果トランジスタ。
【請求項3】
前記シリコンゲルマニウム層は、約0wt.%以上、約80wt.%以下のシリコン及び約20wt.%以上、約100wt.%以下のゲルマニウムを含むことを特徴とする請求項1記載の電界効果トランジスタ。
【請求項4】
素子分離領域間のソース/ドレイン領域、及びポケット領域を含んでいる半導体基板と、
前記素子分離領域間の前記半導体基板の実質的に上面全面のトレンチ内にあって、(100)面を有する底面及び上面と、2つ以上の平面を有する側面とを有している前記シリコンゲルマニウム層と、
ゲート絶縁層、ゲート電極、及びサイドスペーサを含んでいる前記シリコンゲルマニウム層上のゲート構造と、
前記ゲート構造によって覆われていない前記シリコンゲルマニウム層及び前記半導体基板の上部分上のメタルシリサイドと
を備えることを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項5】
前記トレンチは(100)面を有する底面、及び2以上の平面を有する側面を有することを特徴とする請求項4記載の電界効果トランジスタ。
【請求項6】
前記シリコンゲルマニウム層は、約0wt.%以上、約80wt.%以下のシリコン及び約20wt.%以上、約100wt.%以下のゲルマニウムを含むことを特徴とする請求項4記載の電界効果トランジスタ。
【請求項7】
素子分離領域間の半導体基板の実質的に上部分全面にトレンチを形成し、前記トレンチは、(100)面を有する底面、及び(111)面を有する側面を有し、
前記トレンチの前記側面の前記(111)面を2以上の異なる平面に変化させるために前記半導体基板を熱し、
前記トレンチ内にシリコンゲルマニウム層を形成し、前記シリコンゲルマニウム層は(100)面を有する底面及び上面と、2以上の平面を有する側面とを有し、
前記シリコンゲルマニウム層上にゲート絶縁層、ゲート電極、及びサイドスペーサを含むゲート構造を形成し、
前記半導体基板内にソース/ドレイン領域及びポケット領域を形成し、
前記ゲート構造によって覆われていない前記シリコンゲルマニウム層及び前記半導体基板の上部分上にメタルシリサイドを形成すること
を含むことを特徴とする電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項1】
素子分離領域間のソース/ドレイン領域、及びポケット領域を含んでいる半導体基板と、
前記素子分離領域間の前記半導体基板の上面のトレンチ内にあって、(100)面を有する底面及び上面と、2つ以上の平面を有する側面とを有するシリコンゲルマニウム層と、
ゲート絶縁層、ゲート電極、及びサイドスペーサを含む前記シリコンゲルマニウム層上のゲート構造と、
前記ゲート構造によって覆われていない前記シリコンゲルマニウム層及び前記半導体基板の上部分上のメタルシリサイドと
を備え、
前記シリコンゲルマニウム層は、チャネル長方向において、前記ゲート構造の下で側面を有していないことを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項2】
前記トレンチは(100)面を有する底面、及び2以上の平面を有する側面を有することを特徴とする請求項1記載の電界効果トランジスタ。
【請求項3】
前記シリコンゲルマニウム層は、約0wt.%以上、約80wt.%以下のシリコン及び約20wt.%以上、約100wt.%以下のゲルマニウムを含むことを特徴とする請求項1記載の電界効果トランジスタ。
【請求項4】
素子分離領域間のソース/ドレイン領域、及びポケット領域を含んでいる半導体基板と、
前記素子分離領域間の前記半導体基板の実質的に上面全面のトレンチ内にあって、(100)面を有する底面及び上面と、2つ以上の平面を有する側面とを有している前記シリコンゲルマニウム層と、
ゲート絶縁層、ゲート電極、及びサイドスペーサを含んでいる前記シリコンゲルマニウム層上のゲート構造と、
前記ゲート構造によって覆われていない前記シリコンゲルマニウム層及び前記半導体基板の上部分上のメタルシリサイドと
を備えることを特徴とする電界効果トランジスタ。
【請求項5】
前記トレンチは(100)面を有する底面、及び2以上の平面を有する側面を有することを特徴とする請求項4記載の電界効果トランジスタ。
【請求項6】
前記シリコンゲルマニウム層は、約0wt.%以上、約80wt.%以下のシリコン及び約20wt.%以上、約100wt.%以下のゲルマニウムを含むことを特徴とする請求項4記載の電界効果トランジスタ。
【請求項7】
素子分離領域間の半導体基板の実質的に上部分全面にトレンチを形成し、前記トレンチは、(100)面を有する底面、及び(111)面を有する側面を有し、
前記トレンチの前記側面の前記(111)面を2以上の異なる平面に変化させるために前記半導体基板を熱し、
前記トレンチ内にシリコンゲルマニウム層を形成し、前記シリコンゲルマニウム層は(100)面を有する底面及び上面と、2以上の平面を有する側面とを有し、
前記シリコンゲルマニウム層上にゲート絶縁層、ゲート電極、及びサイドスペーサを含むゲート構造を形成し、
前記半導体基板内にソース/ドレイン領域及びポケット領域を形成し、
前記ゲート構造によって覆われていない前記シリコンゲルマニウム層及び前記半導体基板の上部分上にメタルシリサイドを形成すること
を含むことを特徴とする電界効果トランジスタの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−23700(P2011−23700A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56327(P2010−56327)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(599093591)チャータード・セミコンダクター・マニュファクチャリング・リミテッド (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(599093591)チャータード・セミコンダクター・マニュファクチャリング・リミテッド (8)
【Fターム(参考)】
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