説明

露光装置、デバイス製造方法及び基板

【課題】基板の位置を容易に検出可能にする。
【解決手段】本発明の露光装置EXは、露光対象の基板Pに回路パターンを露光する露光部と、基板Pを貫通して設けられ、露光の位置基準となるアライメントマークAMに光を通して基板Pの位置を検出するアライメント系4を備える。アライメント系4は、光を射出する光学部材と、光学部材から射出されてアライメントマークAMを通った光を反射させる反射部とを備えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置、デバイス製造方法及び基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種デバイスを製造するときのパターンの形成等に、露光装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。露光装置は、例えば、基板ステージ、アライメント系及び投影光学系等を備えている。基板ステージは、露光対象となるデバイス製造用の基板を保持し、この基板の投影光学系に対する位置を管理する。アライメント系は、基板の位置を検出する。投影光学系は、露光対象の基板の位置が管理された状態で、この基板にパターンの像を投影する。
【0003】
近年では、例えばMEMS等のデバイス製造時に、基板の表裏両面にパターンを形成することがある。基板は、投影光学系に向ける露光対象の面(表面又は裏面)を切替えながら、露光される。このような場合に基板の位置を検出する方法として、例えば下記の第1、第2の方法が考えられる。第1の方法は、基板(例えばシリコン基板)を透過する波長の検出光(例えば赤外光)を用いて、基板を透かしてアライメントマークを検出する方法等である。第2の方法は、基板ステージ上の基板の表面側に配置されたアライメント系と、裏面側に配置されたアライメント系を用いる方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−303951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような従来技術にあっては、次に説明するように、基板の位置を検出する上で改善の余地がある。デバイス製造過程の基板には、例えば不純物がドープされた半導体膜や、導電膜、絶縁膜等のデバイス構成要素が形成されている。上記の第1の方法では、検出光の透過率が上記のデバイス構成要素の影響を受けることによって、検出精度が低下するおそれがある。上記の第2の方法では、複数のアライメント系を設けるので、露光装置の構成が複雑になるおそれがある。
本発明は、上記の事情に鑑み成されたものであって、基板の位置を容易に検出可能にすることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の露光装置は、露光対象の基板に回路パターンを露光する露光部と、基板を貫通して設けられ、露光の位置基準となるアライメントマークに光を通して基板の位置を検出するアライメント系を備える。
【0007】
本発明のデバイス製造方法は、上記の露光装置を用いて基板に露光することと、露光された基板を現像することとを含んでいる。
【0008】
本発明の基板は、基板本体を貫通する3以上のアライメントマークを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板の位置を容易に検出可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態の露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】(a)はアライメントマークの一例を示す平面図、(b)、(c)は基板の各面に検出光が入射するときの基板の断面図である。
【図3】第2実施形態の露光装置の概略構成を示す図である。
【図4】(a)〜(d)は、変形例1〜4の基板を示す図である。
【図5】本発明に係るデバイス製造方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。説明に用いる図面において、各種構造の寸法や縮尺を実際の構造に対して異ならせている場合がある。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の露光装置の概略構成を示す図である。図1に示す露光装置EXは、基板ステージ1、パターン生成部2、投影光学系3、アライメント系4、及び制御部5を備えている。本実施形態の露光装置EXは、マスクレス方式の露光装置である。露光装置EXは、例えばMEMS等のデバイスの製造に使用される。MEMS等のデバイスは、デバイス製造用の基板Pの両面にパターン形成等の基板処理を施すこと等によって、製造される。
【0013】
基板Pは、本発明を適用したデバイス製造用の基板である。基板Pは、基板本体P0、感光膜(図示略)、及び複数のアライメントマークAMを含んでいる。ここでは、説明の便宜上、基板Pの片面を表面Paと呼び、もう片面を裏面Pbと呼ぶ。
【0014】
基板本体P0は、例えばシリコン含有の半導体基板や石英基板、ガラス基板、材質が異なる2種以上の基板を接合した基板等である。上記の感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。複数のアライメントマークAMは、基板本体P0を貫通している。本実施形態のアライメントマークAMは、基板Pの外周から離れた位置に設けられた貫通孔を含んでいる。上記の貫通孔は、デバイス製造用の加工が施される領域(チップ領域)よりも外周側、例えばエッジリンス領域に設けられる。
【0015】
基板Pは、基板本体P0に形成された膜パターンや凹部、凸部等の構造物を含むことがある。上記の構造物は、例えばデバイスの一部を構成する構成要素である。膜パターンの具体例として、電極や配線となる導電膜パターン、スイッチング素子の一部を構成する半導体膜パターン、パッシベーション膜等となる絶縁膜パターン等が挙げられる。また、基板Pは、デバイスの製造過程又は製造後の機能する膜として、例えば露光光等の反射を防止する反射防止膜や、上記の感光膜を保護する保護膜(トップコート膜)等を含むことがある。
【0016】
基板Pの表面Paに露光するときに、基板Pは、表面Paを投影光学系3に向けて基板ステージ1上に保持される。基板Pの裏面Pbに露光するときに、基板Pは、裏面Pbを投影光学系3に向けて基板ステージ1上に保持される。
【0017】
露光装置EXは、概略すると以下のように動作する。制御部5は、露光装置EXの各部の動作を総括して制御する。基板ステージ1は、露光対象の基板Pを保持して移動可能である。アライメント系4は、基板Pに設けられたアライメントマークAMの位置を検出する。制御部5は、アライメント系4の検出結果に基づいて基板ステージ1の位置を管理し、実質的に、投影光学系3の投影領域に対する基板Pの相対位置を管理する。パターン生成部2は、制御部5に制御されて、パターンの像を生成する。投影光学系3は、パターン生成部2によって生成されたパターンの像を基板Pに投影する。
【0018】
次に、露光装置EXの構成要素について詳しく説明する。ここでは、図1に示すXYZ直交座標系に基づいて、各種構成要素の位置関係等を説明する。このXYZ直交座標系において、Z軸方向は投影光学系3の光射出側の光軸に平行な方向であり、X軸方向及びY軸方向は投影光学系3の光射出側の光軸に直交する面内で互いに直交する方向である。例えば、X軸方向及びY軸方向が水平方向に設定され、Z軸方向が鉛直方向に設定される。
【0019】
基板ステージ1は、例えば減圧吸着や静電吸着等によって基板Pを着脱可能に保持する。基板Pは、表面Pa及び裏面Pbの法線方向がZ軸方向と平行になるように、基板ステージ1の上面1aに保持される。基板ステージ1は、基板PをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸周りの回転方向、Y軸周りの回転方向、及びZ軸周りの回転方向の6方向に移動可能である。
【0020】
パターン生成部2は、露光用光源6、コレクタレンズ7、ライトバルブ8、及び対物レンズ9を含んでいる。露光用光源6から射出された露光光ELは、コレクタレンズ7を通過して平行化され、ライトバルブ8に入射する。ライトバルブ8は、露光光ELを用いてパターンの像を形成する。ライトバルブ8から射出された露光光ELは、パターンの像を示す光となって対物レンズ9に入射する。
【0021】
露光光ELは、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、及びFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。露光用光源6の構成は、露光光ELの波長等に応じて、適宜選択される。制御部5は、露光用光源6の点灯消灯等の動作を制御する。
【0022】
ライトバルブ8は、例えばデジタルミラーデバイス(DMD)を含んでいる。DMDは、二次元的に配列された複数の画素を有している。DMDの各画素は、マイクロミラーを含んでおり、各画素に入射した露光光ELの分割光束を反射させる。マイクロミラーの反射面は、入射する露光光ELの進行方向に対する角度を可変に制御可能である。このように、ライトバルブ8は、各画素で反射した分割光束の進行方向を画素ごとに制御可能であり、パターンの像を形成可能である。制御部5は、ライトバルブ8によって形成するパターン像を示すデータをライトバルブ8に供給し、ライトバルブ8の動作を制御する。
【0023】
なお、パターン生成部としては、自発光型のパネルを含んだ構成も可能である。この自発光型のパネルは、二次元的に配列された複数の発光素子を含んでいる。各発光素子は、レーザーダイオードイや発光ダイオード等によって構成される。各発光素子は、発光素子ごとに点灯消灯が制御可能される。自発光型のパネルは、各発光素子から各画素を示す光を射出し、パターンの像を形成可能である。
【0024】
対物レンズ9から射出された露光光ELが入射する位置に、波長選択ミラー10が配置されている。波長選択ミラー10は、例えばダイクロイックミラー等によって構成される。本実施形態の波長選択ミラー10は、露光光ELが反射し、後述する検出光SLが通過する特性を有している。
【0025】
対物レンズ9から射出されて波長選択ミラー10で反射した露光光ELは、波長選択ミラー10で反射した後に、投影光学系3に入射する。投影光学系3は、レンズ等の光学部品を1以上含んでいる。露光光ELが示すパターンの像を基板P上の投影領域に投影する。この投影領域は、投影光学系3によってパターンの像を投影可能な領域を含む。
【0026】
アライメント系4は、アライメント用光源11、対物レンズ12、分光部品13、対物レンズ14、及び検出部15を含んでいる。アライメント用光源11は、例えば露光光ELと異なる波長の光を検出光SLとして射出する。本実施形態のアライメント用光源11は、検出光SLとして赤外光を射出する発光素子を含んでいる。
【0027】
アライメント用光源11から射出された検出光SLは、対物レンズ12を通過して分光部品13に入射する。分光部品13は、ハーフミラー等によって構成され、入射した検出光SLを分光する。分光部品13は、検出光SLに対する反射率が0以上1未満に設定されている。分光部品13に入射した検出光SLの一部は、分光部品13で反射し、他の一部は分光部品13を通過する。
【0028】
分光部品13で反射した検出光SLは、投影光学系3を介して、アライメントマークAM及びその周囲に照射される。検出光SLの一部は基板Pの表面Paに入射し、他の一部は基板PのアライメントマークAMを通過する。投影光学系3から射出された検出光SLの一部は、表面Pa又はアライメントマークAMの内側を経由して、投影光学系3に再度入射する。投影光学系3に再度入射した検出光SLは、分光部品13に入射する。分光部品13に入射した検出光SLの一部は、分光部品13を通過して対物レンズ14を通過し、検出部15に入射する。
【0029】
検出部15は、検出部15に入射した検出光SLの強度分布を検出可能である。検出部15は、例えばCCDカメラ等によって構成される。CCDカメラは、例えば二次元的に配列された複数の画素を含んでいる。CCDカメラの各画素は、例えばフォトダイオード等の受光素子と、薄膜トランジスター等のスイッチング素子とを含んでいる。検出光SLが受光素子に入射すると、受光素子に電荷が発生する。スイッチング素子は、受光素子に発生した電荷の読出しをスイッチングする。検出部15の検出結果に基づいて、投影光学系3の投影領域に対するアライメントマークAMの位置が検出される。検出部15の検出結果は、制御部5に出力される。
【0030】
図2(a)はアライメントマークの一例を示す平面図、図2(b)は基板の表面に検出光が入射するときの基板の断面図、図2(c)は基板の裏面に検出光が入射するときの基板の断面図である。図2(b)、図2(c)は、図2(a)のA−A’線断面図に相当する。
【0031】
図2(a)〜図2(c)に示すアライメントマークAMは、基板本体P0を貫通する貫通孔P1を含んでいる。基板Pの表面Pa側における貫通孔P1の開口P2は、基板Pの裏面Pb側における貫通孔P1の開口P3とほぼ相似形状になっている。開口P2の中心(重心)のXY面での座標は、開口P3の中心(重心)とほぼ一致している。貫通孔P1内の基板Pの側面P4は、表面Paから裏面Pbに向うにつれて内寸が縮小するテーパー形状になっている。開口P2の内寸は、開口P3の内寸よりも大きくなっている。
【0032】
本実施形態の開口P2、P3は、2つの帯状部が互いに交差するクロスハッチ形状になっている。2つの帯状部は、それぞれが1つのアライメントマークとして機能する。すなわち、クロスハッチ形状のアライメントマークAMは、実質的に2つのアライメントマークとして利用可能である。なお、アライメントマークの形状は、クロスハッチ形状の形状に限らず適宜選択可能である。アライメントマークの他の例については、後述する。
【0033】
本実施形態の基板Pは、上記の6方向のうちの少なくともX軸方向、Y軸方向、及びZ軸周りの回転方向の3方向にて基板Pの位置(座標)を検出可能なようにアライメントマークAMが設けられている。すなわち、基板Pには、3以上のアライメントマークが設けられている。上述のようにクロスハッチ形状のアライメントマークは、2つのアライメントマークとして利用可能であるので、このアライメントマークの他に1以上のアライメントマークが基板Pに設けられていれば、上記の3方向での基板Pの位置を検出可能である。
【0034】
図2(b)に示すように、表面Paが投影光学系3側(Z軸方向の正側)に向いているときに、表面Paに入射した検出光SLは、その一部が表面Paで反射して投影光学系3に向けて折り返される。貫通孔P1を通過した検出光SLは、その一部が基板ステージ1の上面1aで反射して投影光学系3に向けて折り返される。基板Pの表面Pa又は基板ステージ1の上面1aで反射した検出光SLは、投影光学系3を通って検出部15に入射する。基板Pの表面Paでの検出光SLの反射率が、基板ステージ1の上面1aでの検出光SLの反射率と異なることにより、アライメントマークAMの位置を検出可能である。
【0035】
検出部15での受光結果に基づいて、アライメントマークAMの位置を算出するには、例えば二値化処理等を用いたエッジ検出、パターンマッチング、画像相関法等が適宜用いられる。アライメントマークAMの位置を算出するときの演算については、制御部5が実行してもよいし、制御部5とは別の演算装置や画像処理装置が実行してもよい。
【0036】
図2(c)に示すように、裏面Pbが投影光学系3に向いているときについても同様に、基板Pの裏面Pb又は基板ステージ1の上面1aで反射した検出光SLは、投影光学系3を通って検出部15に入射する。基板Pの表面Paでの検出光SLの反射率が、基板ステージ1の上面1aでの検出光SLの反射率と異なることによって、アライメントマークAMの位置を検出可能である。
【0037】
なお、貫通孔P1の側面P4に入射した検出光SLの一部は、側面P4で反射する。側面P4がテーパー形状であるので、側面P4で反射した検出光SLは、その一部又は全部が投影光学系3に向かう光路から除去される。したがって、検出部15の検出結果において、アライメントマークAMの内側に相当する領域に、アライメントマークAMの外側に相当する領域よりも検出光量が小さい領域が存在することになる。よって、表面Paと側面P4の境界(開口P2の輪郭)や、裏面Pbと側面P4の境界(開口P3の輪郭)を高精度に検出可能である。
【0038】
上述のように、第1実施形態の露光装置EXは、基板Pを貫通するアライメントマークAMに検出光SLを通して、基板Pの位置を検出するアライメント系4を備えている。したがって、基板Pの表面Paと裏面Pbのいずれが投影光学系3に向いている場合でも、アライメントマークAMを投影光学系3側から検出可能になり、基板Pの位置を容易に検出可能になる。
【0039】
第1実施形態では、開口P2は、開口P3とほぼ相似形状になっており、開口P2の中心が開口P3の中心とほぼ一致している。したがって、検出された開口P2の輪郭の中心と検出された開口P3の輪郭の中心とを比較すること等によって、表裏両面でのアライメントマークAMの位置を対応付けることが容易になり、基板Pの位置を高精度かつ容易に検出可能である。
【0040】
[第2実施形態]
次に、図3を参照しつつ、第2実施形態の露光装置について説明する。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成要素については、同じ符号を付して図示し、その詳細な説明を省略する場合がある。図3では、基板ステージ1の図示を省略している。
【0041】
図3に示す露光装置EXのアライメント系4は、反射部16を備えている。投影光学系3は、露光光ELを射出する光学部材を含んでいる。反射部16は、投影光学系3の光学部材から射出された検出光SLが入射可能な位置に配置されている。例えば、反射部16は、図1に示した基板ステージ1の上面1aに埋め込まれていてもよい。また、基板ステージ1に検出光SLが通過する通過部が設けられており、反射部16は通過部を通った検出光SLが入射する位置に設けられていてもよい。上記の通過部は、例えば検出光SLが通過する貫通孔や透光部材を含んで構成される。
【0042】
本実施形態の反射部16は、その反射面が投影光学系3の光軸と直交するように配置されている。反射部16での検出光SLの反射率は、基板ステージ1の上面1aでの検出光SLの反射率よりも高く設定されている。また、反射部16での検出光SLの反射率は、基板Pの表面Pa及び裏面Pbでの検出光SLの反射率よりも高く設定されている。
【0043】
第2実施形態の露光装置EXにおいて、投影光学系3から射出された検出光SLの一部は、基板Pの表面Paで反射する。表面Paで反射した検出光SLは、投影光学系3を介して検出部15によって検出される。また、投影光学系3から射出された検出光SLの他の一部は、アライメントマークAMを通過して反射部16で反射する。反射部16で反射した検出光SLは、アライメントマークAMを再度通過し、投影光学系3を介して検出部15によって検出される。反射部16での検出光SLの反射率が、基板ステージ1の上面1aでの検出光SLの反射率及び基板Pでの検出光SLの反射率よりも高く設定されているので、アライメントマークAMを高精度に検出することができる。基板Pの裏面Pbが投影光学系3を向いている場合にも同様に、アライメントマークAMを高精度に検出することができる。
【0044】
なお、アライメント系が、反射部16に代えて遮光部を備える構成にしてもよい。この遮光部は、アライメントマークAMを通った検出光SLが入射する位置に配置される。この遮光部での検出光SLの反射率は、基板ステージ1の上面1aでの検出光SLの反射率及び基板Pでの検出光SLの反射率よりも低く設定される。このような構成を採用した場合にも、開口P2、P3の輪郭を高精度に検出することができる。
【0045】
次に、図4(a)〜(d)を参照しつつ、本発明の係るデバイス製造用の基板の変形例について説明する。図4(a)〜(c)は、それぞれ、変形例1〜3の基板を示す平面図、図4(d)は変形例4の基板を示す断面図である。
【0046】
図4(a)に示す変形例1の基板Pは、アライメントマークAMの平面形状、すなわち貫通孔の開口形状が矩形になっている。アライメントマークAMの平面形状としては、矩形やクロスハッチ形状の他に、三角形やその他の多角形、楕円形(円形を含む)、多角形と楕円形とを組み合わせた形状、輪郭が閉じた自由曲線である形状等であってもよい。
【0047】
図4(b)に示す変形例2の基板P、図4(c)に示す変形例3の基板Pは、いずれも、アライメントマークAMが基板Pの外周に設けられている。変形例2でのアライメントマークAMは、基板Pの外周での位置が互いに異なる3箇所以上(図示では4箇所)に設けられた四角ノッチである。変形例3でのアライメントマークAMは、基板Pの外周での位置が互いに異なる3箇所以上(図示では4箇所)に設けられた三角ノッチである。
【0048】
変形例1〜3に示したように、アライメントマークAMは、基板Pの外周から離れた位置に設けられた貫通孔を含んでいてもよいし、基板Pの外周に設けられた切欠(ノッチ)を含んでいてもよい。ノッチの形状は、例えば貫通孔の開口の形状として説明した各種形状等から選択可能である。
【0049】
図4(d)に示す変形例4の基板Pにおいて、アライメントマークAMは貫通孔P5を含んでいる。貫通孔P5の内側の側面P6は、表面Paから裏面Pbに向うにつれて内寸が縮小し、表面Paと裏面Pbとの間で内寸が最小になった後に、表面Paから裏面Pbに向うにつれて内寸が拡大している。このような基板Pを形成するには、例えば、テーパー形状の孔部をエッチングや切削加工等によって表面Pa側から形成した後に、同様の孔部を裏面Pb側から形成する。変形例4の基板Pにあっては、表面Pa側と裏面Pb側のいずれから検出光SLが入射するときでも、側面P6に入射する検出光SLが検出部15に検出されにくくなり、アライメントマークAMを高精度で容易に検出可能である。
【0050】
図5は、本発明に係るデバイス製造方法の一例を示す図である。図5に示すデバイス製造方法では、まず、例えば液晶パネル等のデバイスの機能・性能設計を行う(ステップ201)。次いで、デバイスの設計に基づいて、マスク(レチクル)を製作する(ステップ202)。マスクレス方式の露光装置を用いてデバイスを製造する場合には、ステップ202で、パターンの形状を例えば制御部の内部又は外部の記憶装置に登録する。また、デバイスの基材である基板を準備しておく(ステップ203)。
【0051】
次いで、基板上にデバイスを構成する導電膜パターンや絶縁膜パターン、半導体膜パターン等の膜パターンを形成する(ステップ204)。ステップ204は、基板上に膜を形成することと、この膜上にレジストパターンを形成することと、このレジストパターンをマスクにして上記膜をエッチングすることと、を含む。レジストパターンを形成するには、レジスト膜を形成することと、上記の実施形態に従って、露光光で基板を露光することにより形成予定の膜パターンに応じたパターンの像を基板上のレジスト膜に投影することと、露光されたレジスト膜を現像することと、を行う。
【0052】
次いで、製造するデバイスに応じて、例えば、基板をダイシングすることや、一対の基板を貼り合せるとともに一対の基板間に液晶層を形成すること等を行って、デバイスを組み立てる(ステップ205)。次いで、デバイスに検査等の後処理を行う(ステップ206)。以上のようにして、デバイスを製造することができる。
【0053】
なお、本発明は、マスクレス方式の露光装置の他に、マスクと基板とを同期移動してマスクのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)、マスクと基板とを静止した状態でマスクのパターンを一括露光し、基板を順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
【0054】
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板とをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板上に転写した後、第2パターンと基板とをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板を順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
【0055】
本発明は、例えば米国特許第6611316号明細書に開示されているように、2つのパターンの像を投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などに適用することができる。また、本発明は、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも適用することができる。
【0056】
本発明は、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
【0057】
本発明は、基板に半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0058】
本発明において、レーザ干渉計を含む干渉計システムを用いて各ステージの位置情報を計測し、その計測結果を基板の位置の管理等に用いることもできる。また、レーザ干渉計を含む干渉計システムの他に、例えば基板ステージに設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。
【0059】
本発明は、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板上に形成することによって、基板上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)に、適用することができる。
【0060】
上述の実施形態の露光装置EXは、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0061】
上述の各実施形態、各変形例の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【符号の説明】
【0062】
1・・・基板ステージ、1a・・・上面、2・・・パターン生成部、
3・・・投影光学系、4・・・アライメント系、5・・・制御部、6・・・露光用光源、
7・・・コレクタレンズ、8・・・ライトバルブ、9・・・対物レンズ、
10・・・波長選択ミラー、11・・・アライメント用光源、12・・・対物レンズ、
13・・・分光部品、14・・・対物レンズ、15・・・検出部、16・・・反射部、
AM・・・アライメントマーク、EL・・・露光光、EX・・・露光装置、
P・・・基板、P0・・・基板本体、Pa・・・表面、Pb・・・裏面、
P1・・・貫通孔、P2、P3・・・開口、P4・・・側面、P5・・・貫通孔、
P6・・・側面、SL・・・検出光(光)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光対象の基板に回路パターンを露光する露光部と、
前記基板を貫通して設けられ、前記露光の位置基準となるアライメントマークに光を通して前記基板の位置を検出するアライメント系を備える、露光装置。
【請求項2】
前記アライメント系は、前記光を射出する光学部材と、前記光学部材から射出されて前記アライメントマークを通った前記光を反射させる反射部とを備える、請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記反射部は、前記光を前記アライメントマークに向けて折り返す、請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記アライメント系は、反射部の反射面が前記光学部材の光軸に直交し、前記反射部で反射して前記光学部材を経由した前記光を検出する検出部をさらに備える、請求項2または請求項3に記載の露光装置。
【請求項5】
前記基板は裏面に回路パターンを備え、前記アライメント系の検出情報に基づいて、前記裏面の回路パターンの位置情報を検出可能であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の露光装置を用いて基板に露光することと、
露光された前記基板を現像することとを含んでいる、デバイス製造方法。
【請求項7】
基板本体を貫通する3以上のアライメントマークを有する、デバイス製造用の基板。
【請求項8】
前記アライメントマークの1以上が前記基板本体の外周に設けられている、請求項7に記載の基板。
【請求項9】
前記アライメントマークの1以上が前記基板本体の外周から離れた位置に設けられている、請求項7又は8に記載の基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−80004(P2012−80004A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225759(P2010−225759)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】