説明

2光束アッセンブリ及びクロマティックポイントセンサ装置の動作方法

【課題】2つの表面領域を同期測定できるクロマティックポイントセンサ装置(CPS装置)の動作方法を提供すること。
【解決手段】2光束アッセンブリが取り付けられた1光束CPS光学ペンを用いたセンサ装置の第1測定光束および第2測定光束を、それぞれ第1表面領域および第2表面領域に位置合わせする。2つの反射光が2光束CPSの共焦点開口部を通過する。第1測定光束および第2測定光束にそれぞれ起因する第1測定および第2測定を含んだ少なくとも1の測定セットを実行する。様々な位置での測定セットの実行のため、少なくとも第1表面領域を移動させる。各測定結果は、極めて良好な分解能(例えば、少なくとも10nmの分解能)で決定される。本センサ装置と動作方法は、干渉計または他の高額で複雑な構成要素を使わないで、高い分解能と精度を必要とする測定に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的な精密測定機器に関し、特に、2つの表面領域を同期測定する2光束を生成するための2光束アッセンブリ及びクロマティックポイントセンサ装置の動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
色収差の制御技術は、距離検知の測定工学分野に利用され得る。非特許文献1に記載されているように、制御された長手方向の色収差(ここでは、別名、軸方向の色分散とも呼ぶ。)を光学イメージング装置に導入し、イメージング装置の焦点長さが波長と共に変化するようにし、この波長が光学測定用の手段になる。特に、レンズを、その背面焦点距離(BFL)が波長の単調関数であるように設計することができる。白色光での動作で、そのようなレンズは軸方向に分散した焦点の虹を呈し、距離検知分野の分光プローブとして用いることができる。
【0003】
さらなる例として、その内容がここにすべて参照として取り込まれている特許文献1に記載されているように、軸方向色収差(軸方向又は長手方向色分散とも称する)を有する光学要素を、広帯域光源を集束するのに用いて、焦点までの軸方向距離が波長により変化するようにすることができる。このように、唯一つの波長の光のみが表面上に正確に合焦し、軸方向の距離または表面の高さが、どの波長が最も良く合焦するかを決定する。表面から反射された光は、ピンホールおよび/または光ファイバ端部のような、小さな検出器アパーチャ上で再び合焦する。表面から反射され、表面上によく合焦された波長のみがピンホールおよび/またはファイバ上によく集束される。他の波長は全て、ファイバ上に不完全に集束し、その光のほとんどのパワーはファイバ中でカップリングしない。従って、信号レベルは、物体の高さに対応する波長で最大となる。検出器の位置で分光計が、各波長の信号レベルを測定し、これが物体の高さを効率良く示す。
【0004】
あるメーカーは、工業的に据え付けることができるクロマティック共焦点式の照準器に適した実用的で小型の光学アセンブリを「クロマティック共焦点ポイントセンサ」及び/又は「光学ペン」として言及している。Z高さを測定する光学ペン機器の一例として、フランス国エクサンプロバンスのSTIL S.A.社(STIL S.A.)により製造されている物がある。特に、STIL光学ペン(モデル番号OP300NL)は、Z高さを測定し、300μmの測定範囲を有する。
【0005】
他の構成のクロマティック共焦点ポイントセンサは、同一出願人による特許文献2に記載されている。特許文献2に開示されたレンズ形状によれば、光学的な処理能力およびスポットサイズが改善され、結果として、商業的に入手可能な様々な機器構成のものに比較して、測定分解能を改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,477,401号
【特許文献2】米国特許第7,626,705号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“PseudocolorEffects of Longitudinal Chromatic Aberration”,G.Molesini andS.Quercioli,J.Optics(Paris),1986,Volume 17,No.6,pages 279−282
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現状で入手できる光学ペンを用いた様々な測定形態の中で、様々な測定への適用を考慮して、その動作方法を改良することが望まれている。例えば、異なる表面上の多数の測定点を測定できる能力、および/または、これらの測定点を異なる測定範囲で同時に測定できる能力など。本発明の目的は、2つの表面領域を同期測定する2光束を生成するための2光束アッセンブリ及びクロマティックポイントセンサ装置の動作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る2光束アッセンブリは、測定範囲Rを有する1の光源光束を供給するクロマティック共焦点ポイントセンサペン(光学ペン)に取り付け可能で、前記光源光束に基づく2つの測定光束を生成するためのものである。
前記2光束アッセンブリは、前記クロマティック共焦点ポイントセンサペンに取り付けられる取付要素と、第1反射要素と、を備える。
前記2光束アッセンブリは、前記クロマティック共焦点ポイントセンサペンに前記取付要素を操作可能に取り付ける際に、前記第1反射要素が、前記光源光束の光軸上に配置されて、前記光源光束を第1測定光束および第2測定光束に分割するように、構成される。
また、前記2光束アッセンブリは、前記第1測定光束を第1測定軸に沿って、および、前記第2測定光束を第2測定軸に沿って、それぞれワークピースの異なる部分に向けて出射すると共に、前記第1測定光束および前記第2測定光束に起因するワークピース測定光を前記クロマティック共焦点ポイントセンサペンに戻すことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るクロマティックポイントセンサ装置は、クロマティック共焦点ポイントセンサペン(光学ペン)の配置構成を備えており、光学ペンからの光で構成される第1測定光束は、(例えば、ワークピースの)第1表面領域に位置決めされ、同時に、光学ペンからの光で構成される第2測定光束は、第2表面領域に位置決めされるように構成されている。また、前記第1測定光束および前記第2測定光束に起因する測定光は、前記光学ペンおよび前記共焦点開口部に逆方向に通過して、受光されるように構成されている。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態では、クロマティック共焦点ポイントセンサペンの端部に取り付け可能な2光束アッセンブリが提供される。その他の点では、クロマティック共焦点ポイントセンサペンは、2光束アッセンブリの無い状態で、測定範囲Rを有する1の光源光束を供給する。一実施形態では、2光束アッセンブリは、クロマティック共焦点ポイントセンサペンの端部に取り付け可能に構成された取付要素を含む。また、2光束アッセンブリは、取付要素に取り付けられた第1反射要素を含む。第1反射要素は、光学ペンからの光源光束の中に位置決めされる。例えば、色収差を含む光源光束が集束する部分の中に、第1反射要素が位置決めされる。そして、第1反射要素は、光源光束を第1測定光束および第2測定光束に分割する。2光束アッセンブリは、第1および第2測定軸に沿って、第1および第2測定光束を出射する。また、2光束アッセンブリは、第1および第2測定光束に起因するワークピース測定光をクロマティック共焦点ポイントセンサペンに戻す。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態では、一実施例として、第1反射要素が、反射領域および透過領域のパターンを含む。一実施形態では、反射領域が平面状の反射鏡領域を含み、透過領域が開口を含む。一実施例として、パターンは、切り込まれた開口パターンとして形成され、その開口(例えば、シリコンチップや金属シートのような薄い材料を貫通する孔など)を介して光束の各部分が伝達される。特定の実施形態では、ビームスプリッタキューブなどの使用よりも、そのような開口技術の使用が好ましい。ある実施例では、ビームスプリッタキューブなどを使用すると、伝達される光束に収差が生じてしまうためである。
他の実施形態では、あらゆる伝達要素(例えば、ビームスプリッタ、プリズム要素など)により生じたあらゆる収差の影響を補償するために、校正技術が利用される。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、第1反射要素の反射領域は光源光束の中に全反射エリアを持ち、また、透過領域は光源光束の中に全透過エリアを持ち、全反射エリアは、全透過エリアの特定の割合(例えば、±25%)以内の大きさである。特定の実施形態では、全反射エリアは、全透過エリアと特定の面積差(例えば、少なくとも±5%以内)である。特定の実施例では、反射領域および透過領域のパターンは、全体的にその中心を通る線に対して反射のシメントリ性を有するように設計されている。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、第2反射要素は、第2測定光束の進行方向を、第2測定軸に沿って変更するように構成されている。一実施形態では、第2反射要素は、平面状の第1反射鏡を含む。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、第1および第2反射要素の平面状の反射表面が互いに平行になるように、2光束アッセンブリが構成されている。他の実施形態では、第1および第2反射要素の平面状の反射表面が互いに直交している。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、選択された測定動作を実行できるように、第1および第2測定光束の第1および第2測定軸が様々な構成となるように方向付けられている。例えば、測定軸が光学ペンの光軸に対して同じ向きに方向付けられている。また、測定軸が光学ペンの光軸に対して横向き(例えば、垂直に)になるように方向付けられている。また、測定軸が互いに横向き(例えば、垂直に)になるように、または、互いに同一平面状になるように、または、互いに反対方向を向くように方向付けられている。
【0017】
第1および第2測定光束が互いに直交する構成が様々なタイプの測定(例えば、2表面の交角の変化の測定、底面と側面の表面粗さの同時測定など)に便利であることが認識される。
また、第1および第2測定光束が測定軸に平行に進行する構成も様々なタイプの測定(例えば、ステップ高さの測定など)に便利であることが認識される。
先行技術と比較して、この方法の利点は、共通モードの表面うねり(例えば、切削ツールの迷走(ふらつき)や振動が原因となって生じるもの)が、溝やステップの寸法測定に影響を与えないこと、また、単一の光学ペンにより2つの測定を実行できること、さらに、異なる軸または線に沿った一連の測定を実行するために、ペンおよび/または測定表面を横方向に前後に移動させる必要が無いということである。これに相応して、測定の迅速化および測定精度の改善(すなわち、振動やステージの動作などが打ち消し合うため)につながる。
加えて、この方法は、単一の光学ペンを使って測定範囲の異なる2つの測定の同期測定も許容する。加えて、多点測定機能を提供するための2光束アッセンブリを、従来の光学ペンに容易に取り付けることができる。
実施形態における特定の例として、ステップ高さの測定が望まれるケースには、プリント基板(PCB)のトラック高さ、シリコンウェハ層の厚さ(例えば、混濁層の厚さ)、集積回路上の素子、エッチング、MEMS測定、直定規に沿った溝、Oリング用の溝など)などが含まれる。
【0018】
特定のタイプの測定(例えば、直定規やOリング用の溝に沿った溝の測定)のための一実施例では、モータ付き機器によって、光学ペンまたは被測定表面を、互いに相対的に移動させる(例えば、直定規のための直線移動や、Oリング用溝のための回転移動)。そのため、これら全ての被測定形状の長さ方向に沿って、連続測定を実行することができる。
他の実施例では、ステージの真直度または平坦度を測定することができる。加えて、特定の実施例では、ステージの動的横揺れ、縦揺れ、首振りを測定することができる。
本発明に係る2光束アッセンブリを使わずに、特定タイプの測定を実行するには、干渉計および高価で大きくて扱いにくい特別な光学系を使用する従来技術を用いなければならない。
本発明に係る2光束アッセンブリの利点は、従来技術の干渉計を用いた構成よりも、構成が容易になり、高価でなくなり(すなわち、簡単な光学系になり)、測定に必要な空間が少なくて済む(すなわち、光学系が小さくなる)といったことなどである。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態では、取付要素が、少なくとも1つの外部軸合わせ面を含む。この外部軸合わせ面は、第1測定軸および前記第2測定軸のうちの一方に平行、または直交する面を含む。
他の実施形態では、取付要素が、以下のように構成された一つの境界面を含む。すなわち、取付要素の境界面がクロマティック共焦点ポイントセンサペンの境界面と接するときに、第1測定軸および第2測定軸の少なくとも一つが、クロマティック共焦点ポイントセンサペンの光軸に平行または直交になるように、取付要素の境界面が構成されている。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、2光束アッセンブリが、調整機能付き取付具を含む。この調整機能付き取付具は、第1反射要素の反射平面を光源光束の光軸に沿って調整して位置決めできるように、取付要素に対して第1反射要素を相対的な位置に調整して位置決めすることができる。
他の実施形態では、2光束アッセンブリは、調整機能付き取付アレンジメントを含む。この調整機能付き取付アレンジメントは、第1反射要素の反射平面を光源光束の光軸に沿って調整して位置決めできるように、クロマティック共焦点ポイントセンサペンに対して取付要素を相対的な位置に調整して位置決めすることができる。
他の実施形態では、2光束アッセンブリが、調整機能付き取付アレンジメントを含む。この調整機能付き取付アレンジメントは、第2反射要素の反射平面を前記第2測定光束の光軸に沿って調整して位置決めできるように、前記第1取付要素に対して前記第2反射要素を相対的な位置に調整して位置決めすることができる。
このような実施形態は、2光束アッセンブリによって、2つの測定範囲同士の関係を調整する場合に使用される。
【0021】
本発明の他の態様に従って、いくつかの実施形態では、第1反射要素の反射面および第2反射要素の反射面の間の第2測定光束に沿った間隔距離SEPPは、クロマティック共焦点ポイントセンサペンの最大焦点距離MF未満である。一実施形態では、間隔距離SEPPは、測定範囲R未満になる。例えば、同じ表面上での2つの測定のため、または、小さな段差の測定のために、間隔距離SEPPが測定範囲R未満になるケースでは、2つの測定が測定範囲R内で実行されるように、センサ装置を理想的に設計することができると認識されるだろう。他の実施形態では、間隔距離SEPPは、少なくとも測定範囲Rである。
間隔距離SEPPが少なくとも測定範囲Rに等しくなるケースでは、本質的に規定の範囲を超えて拡張されたペンの有効な測定範囲(例えば、光学ペンの規定の測定範囲Rよりも高いステップ高さの測定のための測定範囲)が許容されると認識されるだろう。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、もし、光学ペンの光学系によって本質的に提供される測定範囲よりも、2つの被測定表面間の距離が大きければ(すなわち、もし、間隔距離SEPPが測定範囲Rに等しいまたは測定範囲Rよりも大きい場合には)、その後、第1測定光束が第1呼び最小距離より大きい第1測定範囲を提供し、第2測定光束が第2呼び最小距離より大きい第2測定範囲を提供するような、オフセットを提供できるように、2光束アッセンブリが構成される。
特定の複数の実施例のように、間隔距離SEPPの調整により、光学ペンの一般的な測定範囲Rがたった50ミクロンをカバーするように元々設計されていれば、50ミクロンから開始できるように測定範囲が設定される(このように、少なくとも約50から100ミクロンのステップ高さの範囲を控えめにカバーすること)。または、100ミクロンから開始できるように測定範囲が設定される(このように、少なくとも約100から150ミクロンのステップ高さの範囲を控えめにカバーすること)。または、150ミクロンから開始できるように測定範囲が設定される(このように、少なくとも約150から200ミクロンのステップ高さの範囲を控えめにカバーすること)。
そのような構成は、前述の光学ペンよりも意義深い利点を提供することが認識されるだろう。もし、光学ペンの測定範囲よりも大きい距離によって分離された2つの表面について測定すること(例えば、2つの表面間のステップ高さの測定)が望ましいならば、その後、2つの測定表面間を前進後退する都度、光学ペンまたは表面の物理的位置がZ軸方向に調整される必要がある。
これに対して、本発明によれば、追加の光学ペンのZ軸方向への移動を必要とせず、適切に構成された2光束アッセンブリの使用によって、そのような測定を同時に実行できる。
さらに意義深い利点として、もし、多測定点(例えば、単一の位置のみではなく、エッジに沿って連続して多測定点でのステップ高さの測定)を得たいならば、光学ペンまたは被測定ワークピースは、移動手段(例えば、軸受、ステージ、回転手段など)上に配置することができる。また、エッジに沿ってスキャンするために移動させることができる。これによって、Z軸方向の追加的な動作を要求されないで、多点連続測定を容易に実行できる。
【0023】
もっとも多い適用では、通常、2つの被測定表面間のZ軸高さの差よりも異なるように、オフセットが設定されることが望ましい。さらに特徴的なことは、第1および第2測定表面に対応する第1および第2スペクトル・ピーク間の検出器の測定軸に沿った距離に関して、以下のことが認識される。すなわち、もし、オフセット距離が2つの表面間のZ軸の高さの差に等しいならば、2つのスペクトル・ピークが互いのほぼ頂点に位置するのである。
それゆえ、与えられた2つの表面間のZ軸高さの差を測定するためには、通常、Z軸高さの差からオフセット距離が十分に異なるようにして、また、2つの測定高さを示すスペクトル・ピークが望ましい程度に区別できるように、センサ装置を構成するのが望ましい。
しかしながら、特定の実施形態では、スペクトル・ピークが検出器測定軸の望ましい範囲内になるように、また、両方のスペクトル・ピークが同じ検出器で測定できるように、その差が十分に小さいことが望ましいと認識されるだろう。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態では、スペクトル・ピークに相対的な信号強度に関して、高い処理能力と最速を備えた測定を達成するために、第1および第2測定光束からの2つの信号ができる限り大きいことが望ましい。
これに代わる実施形態として、もし、第1および第2測定光束をそれらの強度に応じて互いに区別できるようにすること望ましい場合、特定の実施形態では、第1または第2測定光束の一方を、わざと、他よりも小さい信号強度になるように設定して、光束をより明確に区別することができる。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、光学ペンの光学系部分のレンズ群を、光学ペンの1光束部分の端部に位置する1のレンズ、および、2光束アッセンブリの端部に位置する1以上のレンズに分割することができる。
分割されたレンズにより、2光束アッセンブリの端部において2つの測定光束を提供できる。
このようなレンズ群を光学ペンの1光束部分から分離された要素として用いることで、レンズ群の設計・選択において、より大きなフレキシブル性が許容される。レンズ群の設計・選択には、特定の望ましい特性を有したレンズ郡の利用(例えば、類似する、または異なった、軸方向の色分散性を有するレンズ群の利用)を含む。
【0026】
本発明の一態様に従って、2つの表面領域をほぼ同時に、または同期測定するための2光束クロマティックポイントセンサ装置の動作方法が提供される。
この方法についての実施形態では、2光束クロマティックポイントセンサ装置は、共焦点開口部を有し、光束アッセンブリを取り付けられた光学ペンを含む。
他の実施形態では、2光束クロマティックポイントセンサ装置は、共焦点開口部および、クロマティックポイントセンサの光学ペンに関連付けられた規定の長軸方向の色収差をもったレンズ間に位置決めされた光束アッセンブリを有する光学ペンを含む。
方法の様々な実施形態において、センサ装置からの第1測定光束が第1表面領域に位置決めされ、センサ装置からの第2測定光束が第2表面領域に位置決めされる。つまり、2光束クロマティックポイントセンサとなる。
ここで使用されるように、ワークピースは、どんな要素、つまり、測定光束を反射し、また、光学ペンに相対的に移動するような要素にも当てはまる。
第1および第2測定光束に起因する測定光は、光学ペンおよび共焦点開口部を逆方向に通過して受光される。
第1および第2測定光束に起因する第1および第2測定を含む少なくとも1つの測定セットが決定される。
少なくとも1の測定セットに基づいて、ワークピースの性状測定、および、ワークピース性状の位置による変化の少なくとも1つが決定される。
各測定は、比較的高い分解能(例えば、少なくとも10nmの分解能)で、決定される。
本発明のセンサ装置が、干渉計または他の複雑な装置の使用を要求されずに、そのような正確な測定を達成できることが認識されるだろう。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1表面領域およびクロマティックポイントセンサ装置の少なくとも一方は、複数の測定セットを取得するために、互いに相対的に移動する。その移動は、第1および第2測定光束に、第1および第2表面領域に沿ったスキャンを行わせて、複数の測定セットを取得する。
様々な実施形態において、相対的な動作は、直線的でもよく、ワークピースを回転させることで達成してもよい。
クロマティックポイントセンサ装置は、第1測定光束に対応する第1測定範囲と第2測定光束に対応する第2測定範囲との間のZオフセットが、クロマティックポイントセンサ装置の測定範囲Rの5%より大きくなるように構成されている。これにより、センサ装置の検出器における区別可能に分離された信号ピークを提供できる。
クロマティックポイントセンサ装置は、第1測定光束に対応する第1測定範囲と前記第2測定光束に対応する第2測定範囲との間のZオフセットが、クロマティックポイントセンサ装置の測定範囲R未満になるように構成されている。
【0028】
いくつかの実施形態に係る方法によれば、溝深さ/ステップ高さを測定できるように2光束クロマティックポイントセンサ装置を構成することができる。
例えば、第1測定光束および第2測定光束は、平行にされて、また、第1表面領域は、少なくとも溝の底面または低い方のステップの一方の表面領域とする。また、第2表面領域は、少なくとも溝の肩部または高い方のステップの一方の表面領域とする。そして、複数の測定セットは、溝/ステップに沿った複数位置での、溝/ステップの高さまたは高さの変化の少なくとも一方の測定を指し示す。
そのような実施形態では、クロマティックポイントセンサ装置は、第1測定光束に対応する第1測定範囲と第2測定光束に対応する第2測定範囲との間のZオフセットから、溝/ステップの高さの呼び寸法相当量を引いた値が、クロマティックポイントセンサ装置の測定範囲R未満であり、かつ、少なくとも測定範囲Rの5%であるように構成されている。
【0029】
いくつかの実施形態に係る方法によれば、溝/隙間の幅および/または位置を測定できるように2光束クロマティックポイントセンサ装置を構成することができる。
例えば、第1および第2測定光束は互いに逆方向に向けられ、第1表面領域は、溝/隙間の第1側面上であり、また、第2表面領域は、溝/隙間の反対側の第2側面上であり、そして、複数の測定セットとは、溝/隙間に沿った複数位置での、溝/隙間の幅または幅の変化の少なくとも一方の測定を指し示す。
【0030】
いくつかの実施形態に係る方法によれば、表面/軸受の振れを測定できるように2光束クロマティックポイントセンサ装置を構成することができる。
例えば、第1および第2測定光束は平行に向けられ、第1表面領域は、振れの表面領域にあり、また、第2表面領域は、基準面の領域にあり、その基準面は、クロマティックポイントセンサ装置に相対的な位置で固定されている。そして、複数の測定セットとは、振れを有する表面に沿った複数位置での、基準面から振れを有する表面までの高さまたは高さの変化の少なくとも一方の測定を指し示す。
そのような実施形態において、クロマティックポイントセンサ装置は、第1測定光束に対応する第1測定範囲と第2測定光束に対応する第2測定範囲との間のZオフセットから、振れを有する表面と基準面との間の呼び高さの差の相当量を引いた値が、クロマティックポイントセンサ装置の測定範囲R未満であり、かつ、クロマティックポイントセンサ装置の測定範囲Rの少なくとも5%であるように構成されている。
【0031】
いくつかの実施形態に係る方法によれば、表面/軸受について、動作に対する横振れまたは縦揺れを測定できるように2光束クロマティックポイントセンサ装置を構成することができる。
例えば、第1測定光束および第2測定光束は、平行にされて、第1表面領域および第2表面領域は、ワークピース上であり、複数の測定セットを取得する際に、第1測定光束および第2測定光束の測定軸間には、間隔が設けられ、この間隔は、動作方向に垂直な間隔距離SEPPROLL、および、動作方向に平行な間隔距離SEPPPITCHの少なくとも一方の間隔である。
そのような実施形態において、その間隔が、クロマティックポイントセンサ装置の測定範囲R未満であると都合がよい。
そのような実施形態において、動作方向に平行な軸に対するワークピースの横揺れ角度を決定するために、複数の測定セットを間隔距離SEPPROLLの値と組み合わせて使用される。
そのような実施形態において、動作方向に平行な軸に対するワークピースの縦揺れ角度を決定するために、複数の測定セットを間隔距離SEPPPITCHの値と組み合わせて使用される。
【0032】
いくつかの実施形態では、2光束アッセンブリを搭載および配置に使用したマシンビジョン装置が提供される。また、搭載および配置に使用したマシンビジョン装置を使用して、実行する上記の方法が提供される。
【0033】
いくつかの実施形態では、2光束アッセンブリを搭載および配置に使用した真円度測定装置が提供される。また、搭載および配置に使用した真円度測定装置を使用して、実行する上記の方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、特定の測定範囲をカバーする1測定光束を生成する代表的なクロマティックポイントセンサ装置の構成図である。
【図2】図2は、2つの特定の測定範囲をカバーする2つの測定光束を供給できる、本発明において模式的に表現された2光束アッセンブリによって、一層品質が強化された図1のクロマティックポイントセンサ装置の構成図である。
【図3】図3は、図2に示すクロマティックポイントセンサ装置からのスペクトラル・プロフィール・データの線図であり、この線図は、2つの測定光束に関連する2つのスペクトル・ピークを描いている。
【図4】図4は、光学ペンに連結される第1実施形態に係る2光束アッセンブリの分解図である。
【図5】図5は、図4の2光束アッセンブリのうちの選択された構成要素の分解図である。
【図6】図6は、図4の2光束アッセンブリの縦断面図、および、これを用いた光学ペンの図である。
【図7】図7は、図4の第1反射要素の反射面に利用し得るパターン図である。
【図8】図8は、光学ペンに連結される第2実施形態に係る2光束アッセンブリの縦断面図である。
【図9】図9は、光学ペンに連結される第3実施形態に係る2光束アッセンブリの縦断面図である。
【図10】図10は、光学ペンに連結される第4実施形態に係る2光束アッセンブリの縦断面図である。
【図11】図11は、代案として2光束アッセンブリに使用できる様々な形態の反射要素形状の模式図である。
【図12】図12は、光学ペンに連結される第5実施形態に係る2光束アッセンブリの縦断面図である。
【図13】図13は、2つの異なる表面領域を同期測定するためにクロマティックポイントセンサ装置を利用する際の、代表的な一般的ルーティンを表わすフロー図である。
【図14】図14は、溝深さ、またはステップ高さをクロマティックポイントセンサ装置によって測定する方法を示す代表的なルーティン・フロー図である。
【図15】図15は、溝または隙間の、幅および/または位置をクロマティックポイントセンサ装置によって測定する方法を示す代表的なルーティン・フロー図である。
【図16】図16は、表面、または軸受の振れをクロマティックポイントセンサ装置によって測定する方法を示す代表的なルーティン・フロー図である。
【図17】図17は、動作中の表面の横揺れ、または、その縦揺れをクロマティックポイントセンサ装置によって測定する方法を示す代表的なルーティン・フロー図である。
【図18】図18は、2光束アッセンブリを搭載、また使用のために配置したマシンビジョン検査装置の代表的な実施形態を示す図である。
【図19】図19は、2光束アッセンブリを搭載、また使用のために配置した真円度測定機の代表的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、代表的なクロマティックポイントセンサ装置100を示すブロック図である。クロマティックポイントセンサ装置100は、同時係属中の米国特許出願11/940,214号および米国特許出願12/463,936号(以降では、それぞれ出願‘214号および出願‘936号と呼ぶ。)にも記載されている。
図1に示すように、クロマティックポイントセンサ装置100は光学ペン120と電子機器部分160を含む。
光学ペン120は、光ファイバコネクタ107と、筐体130と、光学系部分150とを含む。光ファイバコネクタ107は、筐体130の端部に取り付けられている。光ファイバコネクタ107は、入出力光ファイバを覆う光ファイバケーブル112を通じて、その入出力光ファイバ(詳細は省く)を受け入れている。
入出力光ファイバは、ファイバ開口部(共焦点開口部)195を通して光源光を出射すると共に、ファイバ開口部195を通して測定信号の反射光を受光する。
【0036】
動作中、ファイバ開口部195を通ってファイバ端部から放射された広周波数帯域の光源光(例えば白色光)は、光学系部分150により焦点を合わせられる。この光学系部分150は、軸方向の色分散を提供する1つの、または複数のレンズを含む。軸方向の色分散とは、共焦型のクロマティックポイントセンサ装置で既知のように、光軸OAに沿った焦点が、光の波長に応じて異なった距離に生じる現象をいう。
光源光は、光学ペン120に相対的なZ軸位置にあるワークピース表面190上に焦点が合うような波長を含んでいる。
ワークピース表面190からの反射については、その反射光は光学系部分150によりファイバ開口部195上で再び焦点が合う。
有効な光原光および反射光は、限定光線LR1,LR2によって、その境界が限られている。
軸方向の色分散により、1つの波長のみが、光学ペン120から表面190までの測定距離に一致する前方の焦点距離FFを有する。表面190で最も良く焦点が合う波長が、反射光においてもファイバ開口部195で最も良く焦点が合う波長になるように、光学ペン120が構成されている。ファイバ開口部195は、最も良く焦点の合う波長が主にファイバ開口部195を通過して光ファイバケーブル112の芯部へ入るように、反射光を空間的にフィルタリングしている。以下の詳細な記載および取り込まれている参考文献の記載にあるように、光ファイバケーブル112は、信号の反射光を波長検出器162に伝搬する。この波長検出器162は、ワークピース表面190までの測定距離に対応する主強度(dominant intensity)を有する波長を決定するために利用される。
【0037】
電子機器部分160は、ファイバ・カップラ161と波長検出器162と光源164と信号演算器166と記憶部168とを含む。
様々な実施形態では、波長検出器162は分光計または分光器アレンジメントを含んでいる。波長検出器162の中に、光ファイバケーブル112を通る反射光を例えば回折格子のような分散素子が受光し、さらに結果として生じるスペクトル強度プロファイルをその分散素子が検出器アレイ163へ伝達するようになっている。
波長検出器162は、関連する信号演算処理機能(例えば、いくつかの実施形態では信号演算器166により提供される機能)も含めることができる。
このように、いくつかの実施形態では、波長検出器162および信号演算器166における特定の態様を統合してもよく、または区別がなくてもよい。
【0038】
白色光源164は、信号演算器166によって制御されており、光学カップラ161(例えば、2×1光学カップラ)によってファイバケーブル112に接続されている。上述したように、光は、光学ペン120を通過する。このとき、光学ペン120は、長軸方向の色収差を生成する。これは、光の波長に応じてその焦点長さが変化するためである。光ファイバを逆方向に通過する際に最も効率よく伝達される光の波長は、Z軸位置において表面190上に焦点の合った波長である。
次に、再びファイバ・カップラ161を通過して、波長依存の反射光強度は、その約50%が波長検出器162に向けられるようになっている。波長検出器162は、検出器アレイ163の測定軸に沿ったピクセルの配列アレイにわたって分布するスペクトル強度プロファイルを受け取り、以下の図3の記載および取り込まれている参考文献において詳細に説明されているように、対応するプロファイルデータを提供するように動作する。
手短に言えば、例えばピーク位置座標のような、プロファイルデータのサブピクセル分解能距離指示座標(DIC:sub pixel-resolution distance indicating coordinate)が、信号演算器166により計算される。そして、波長ピークに対応する距離指示座標(DIC)により、距離の校正用ルックアップテーブルを介して表面190までの測定距離が決まる。校正用ルックアップテーブルはメモリ部168に記憶されている。距離指示座標(DIC)は、様々な方法により(例えば、プロファイルデータのピーク領域に含まれるプロファイルデータの重心の決定により)決定することができる。
【0039】
より詳細に後述するように、本発明によれば、いくつかの事例においてクロマティックポイントセンサ装置100が第1表面190までの距離を測定できるだけでなく、第2表面190’までの距離も測定できることが望ましい。
例えば、いくつかの実施において、ステップ高さ(段差)を測定できることが望ましい。その他の点では、2つの表面を測定できることが望ましい。図1に示すように、このような事例では、第2ワークピース表面190’が、第1ワークピース表面190から十分離れており、そのため、2つの面の距離Zdiff が光学ペン120の規定の測定範囲Rから外れてしまう。
言い換えると、光学ペン120は、範囲の最小距離ZMINと、範囲の最大距離ZMAXとによって限られた測定範囲Rを有する。図1に示される位置では、表面190は測定範囲Rの真ん中であるが、表面190’は測定範囲Rから外れている。
例えば、公知の光学ペンを用いたいくつかの事例では、測定範囲Rは、ペンの端部からの呼び最小距離または呼び動作距離の約1/10になる。(例えば、数十マイクロメートルから数ミリメートルの範囲になる。)
ステップ高さ測定を要求される場合への適用や、表面190および表面190’の両方の測定を要求される他の実施例においては、光学ペン120が1箇所のZ軸位置で、これら複数の表面を測定できることが望ましい。
たとえ、表面190’が光学ペン120の規定の測定範囲R内にある事例であっても、光学ペン120を更に移動させることなく、両方の表面190,190’までの距離を測定できることが望ましい。
図2についてより詳細に後述するように、本発明によれば、光学ペン120の端部に取付け可能な2光束アッセンブリによって、光学ペン120が追加的に移動することを要求されることなく、光学ペン120が異なる測定範囲Rに渡っている2つの表面(例えば、表面190,190’)の測定を成し遂げることができるようになった。
【0040】
図2は、本発明の一実施形態に係る図1のクロマティックポイントセンサ装置100の構成図であり、このクロマティックポイントセンサ装置100には、模式的に表現された2光束アッセンブリ200が取り付けられている。
より詳細に後述するように、1つの形状の2光束アッセンブリ200は、第1測定光束FMBを第1測定軸MA1に沿って出射し、第2測定光束SMBを第2測定軸MA2に沿って出射する。
図2に示すように、2光束アッセンブリ200は、光学ペン120の光源光束SBの光路に配置された第1反射要素210を含む。第1反射要素210は、光源光束SBを2つの部分に効果的に分割する。より特徴的なことは、第1反射要素210は、光源光束SBの第1部分を第1測定光束FMBとして伝達し、光源光束SBの第2部分を第2測定光束SMBとして反射する。
2光束アッセンブリ200は、オプションとして、第2反射要素220を含む。第2反射要素220は、第2測定光束SMBの全部または一部を反射する。第2反射要素220を備えた一実施形態では、第2測定光束SMBが反射して第2測定軸MA2に沿う。第2測定軸MA2は、第1測定光束FMBの第1測定軸MA1に平行である。
間隔距離SEPPは、測定軸MA1,MA2の間を示し、第1反射要素210と第2反射要素220間の距離でもある。
【0041】
2光束アッセンブリ200を取り付けた光学ペン120の動作に関して、まず、第1測定光束FMBを用いて達成可能な測定を示すために、最小距離Z1MINおよび最大距離Z1MAXを有する測定範囲R1を示す。
一実施形態において、範囲R1、距離Z1MINおよび距離Z1MAXは、図1に示す範囲R、距離ZMINおよび距離ZMAXに概ね対応している。図2に示すように、表面190のZ1位置は、測定範囲R1の中央部分になる。
【0042】
第2反射要素220を反射して、測定軸A2に沿っている第2測定光束SMBは、測定範囲R2を有する。
図2に示すように、測定範囲R2は、最小距離Z2MINおよび最大距離Z2MAXを有する。同図のように、表面190’のZ2位置は測定範囲R2の中央部分になる。
加えて、オフセット距離OFFSETは、測定範囲R1,R2の差異オフセットを表示する。
より詳細に後述するように、間隔距離SEPPの調整(例えば、固定されたスペーサ要素の利用、スペーサ要素の幅は、第1反射要素210および第2反射要素220間の幅であり、様々に変更できる。および/または、第1反射要素210および第2反射要素220間の距離、または、第1反射要素210および第2反射要素220の位置を調整可能にすること等でもよい。)に様々な技術を利用できる。
【0043】
図2に示す構成のため、オフセット距離OFFSETは、間隔距離SEPPに概ね、または、全く等しく、このように2光束アッセンブリ200の設計または調整によって、オフセット距離OFFSETを制御または調整することができることを認識することができる。
1つの特徴的な実施例では、有効な距離SEPP,OFFSETを調整するために、光学ペンに対して第1反射要素210を相対的に(例えば、光源光束SBの光軸に沿って)位置決めできる、調整可能な取付具を提供できることが認識されるであろう。
これは、2光束アッセンブリ200に対して範囲R1,R2の最小距離を相対的に調整可能にすることができる。
図2については、第2測定光束SMBの有効な位置決め、および/または、規定された測定範囲が少なくとも2通りの方法で調整され得ることが認識されるであろう。
第1の例は、第1反射要素210が第1測定光束FMBの進行方向に沿って移動される場合である。第1反射要素210は、第2測定光束SMBの反射位置を第1反射要素210に沿って効果的に変化させる。そして、これに対応して、第1反射要素210は、光学ペン120の端部と第2測定光束SMBの上方への反射位置との距離を僅かに増減させることができる。
第2の例は、第2反射要素220が、第2測定光束SMBの進行方向に沿って移動できる場合である。
様々な実施形態において、もし、測定範囲の最大距離および最小距離(例えば、測定範囲R1の最大距離Z1MAXおよび最小距離Z1MIN、また、測定範囲R2の最大距離Z2MAXおよび最小距離Z2MINなど)が特定の光学装置の制約を受けて決められていれば、本発明には利点がある。
手短に言えば、測定範囲の最大値および最小値を決定する上での第1の要因は、物理的距離である。その物理的距離とは、特定のレンズ群が特定の精度レベルで特定の波長範囲の光を合焦できる物理的距離を示す。
より一般的には、最小制限値および最大制限値を有する各々の範囲は、以下のような範囲に全体的に対応していると言える。その範囲とは、入手可能な入力スペクトルが色収差を使って上手く合焦し得る範囲である。
加えて、検出器自身の様々な制約は、測定範囲を決定する上での他の要因となる。
言い換えると、予想していた測定波長と、実際に要求される測定波長とが異なるため、高い分解能を達成するには、検出器のアレイ中に広がった波長(群)が望ましい。要するに、特定の最小距離および最大距離を持つ範囲は、一般的に、スペクトルを効果的に合焦できる能力に関連する制約を受けて決定され、また、検出器上の波長の分散に関連する設計上の選択によって決定される。スペクトルの合焦能力とは、スペクトルを特定の軸に沿った距離上に効果的に合焦できる能力である。
【0044】
2光束アッセンブリ200の利用により、単一の光学ペン120を用いて多数の測定点を測定できることが認識されるであろう。
加えて、異なる測定範囲(例えば、間にオフセット距離を有する測定範囲R1,R2等)異なる測定光束に関連付けることができる。すなわち、表面190,190’に対して光学ペン120を相対的に位置調整するような追加的な要求を受けないで、異なるZ軸位置にある複数の表面を効率的に測定できる。
【0045】
より詳細に後述するように、図6、8、9、10および11については、様々な実施形態において、望ましい測定機能が得られるように、第1測定軸MA1および第2測定軸MA2が、光学ペン120に相対的に様々な方向付けがなされている。および/または、第1測定軸MA1および第2測定軸MA2が、互いに相対的に方向付けられている。
例えば、測定軸MA1,MA2を、光学ペン120の光軸OAと同方向に方向付けることができる。また、光軸OAを横切る方向(例えば直交方向)に方向付けることも、同一平面上にすることも、逆方向に方向付けることも、互いに交わる方向(例えば直交方向)に方向付けること等も可能である。
互いに直交する測定光束の一例では、図2に示されるように、第2反射要素220が無いか、第2反射要素220が第2測定光束SMBの一部を他の方向に伝達するような実施形態では、第2測定光束SMBの進行が、代わりに第2測定軸MA2’に沿って継続する。
本実施形態では、最小距離Z2MIN’と最大距離Z2MAX’とを有する測定範囲R2’が提供される。
より詳細に後述するように、図9について、第1測定光束FMBの方向を効果的に横切る(例えば、直角)方向に第2測定光束SMBを方向付けることが要求される場合に、このような実施例を利用することができる。例えば、2つの表面の成す角が変化するような測定に利用できる。
【0046】
図3はクロマティック共焦点ポイントセンサ装置100からのプロファイルデータ310のグラフ300であり、ここに開示された原理に基づく2光束アッセンブリ(例えば2光束アッセンブリ200)を取り付けた光学ペンから2表面までの距離を表わすスペクトルのピークデータを示している。
図3に示されているようなスペクトルデータは、ここに組み込まれた参考文献に記載されているように、従来技術であると一般的に理解されるかも知れない。プロファイルデータ310は、各ピクセルpに関連付けられた信号レベル(正規化された電圧で示される)を示す。
プロファイルデータ310は、2光束アッセンブリを取り付けた光学ペン(例えば、図2に示されたクロマティックポイントセンサ装置100および2光束アッセンブリ200に類似のもの)を用いて実行される測定動作に対応する。
【0047】
より詳細に後述するように、プロファイルデータ310は、ピーク位置座標(例えば、P(Z1)やP(Z2+OFFSET))を有するスペクトル・ピークを表わしている。
ピーク位置座標P(Z1),P(Z2+OFFSET)は、プロファイルデータ310のピーク領域にカーブをフィットさせて、そのカーブのピークに基づいて決定される。または、ピーク位置座標は、プロファイルデータ310のピーク領域の重心、または、その他、様々な校正および信号処理方法に基づいて決定される。ピーク位置座標の分解能はサブピクセルレベルになる。
前述した図1についての議論のように、測定距離「Z」を、ピーク位置座標値に呼応した測定距離として決定することができる。そのピーク位置座標値は、距離についての校正データ中に蓄積されている。
様々な実施形態において、距離についての蓄積された校正データは、サブピクセルのピーク位置座標に対応した正確な測定距離を与えるために、内挿法で取得される。
【0048】
検出器の信号と、実際のワークピース表面位置またはZ1値、Z2値との関係について言えば、一実施形態では、以下の従来技術に従って、ワークピースの実寸を決定する。Z値は、絶対値測定された位置、または、Z方向に沿った値として定義される。
このように、図2、図3および以下の式中の、Z1値およびZ2値は、第1測定光束FMBまたは第2測定光束SMBによって決定された測定値(Z値)であると、理解することができる。測定値Z1,Z2は、特定の基準位置(例えば、光学ペン120の端部等)に対する相対値であると理解することができる。
このように、基準点位置に相対する特定最小距離値(specified standoff value)またはオフセット値を、測定範囲内の位置に追加できることが一般的である。
【0049】
いくつかの実施例において、測定値Z1を、2つの測定値の「より代表となる値」と考えることができる。
すなわち、図2の実施形態では、測定値Z1は、測定軸から第2反射要素まで光路の進行方向を変えない第1測定光束FMBから取得される。
このように、測定値Z1は、まるで2光束アッセンブリ200が無いかのように(例えば、図1に示すように)、名目上は、同じ値になる。
さらに特徴的なことは、図2に示すように、測定値Z1を決定する第1測定光束FMBは、図1の測定値Z1を決定する測定光束(すなわち、元のままの光源光束)とほぼ同じ光線で構成されている。
このように、特にこの事例では、第1測定光束FMBと、スペクトル・ピーク位置座標を対応するZ距離に関連付けるZ距離校正カーブ(distance
calibration curve)とによって決定された測定値Z1は、一般的に、2光束アッセンブリ200の有無に関わらず同じになるべきである。
このケースでは、Z1は、第1測定光束FMBに起因する信号P(Z1)に対応する校正カーブのZ値に本質的に一致すると言える。
このことは一般的に真実ではない。その理由は、どんな第2測定光束も(例えば、第2測定光束SMBのように)異なる方向へ曲がるためには、2番目の反射を経るからである。また、どんな第2測定光束も、いくつかの分割距離SEPPを有するからである。それゆえ、以下により詳しく議論するように、どんな第2測定光束も、Z軸方向に沿ってオフセット距離OFFSETを有するからである。
【0050】
上記主張に基づき、図2および図3を参照すると、次式を定義でき、または導き出せる。
(数1)
Z1 = Zcal P(FMB) = P(Z1) (1)
(数2)
Z2 = Zcal P(SMB) - OFFSET
= Zcal P(Z2+OFFSET) - OFFSET (2)
【0051】
式(2)によれば、Z軸方向に沿って絶対測定位置Z2に達する前に、第2測定光束SMBが、変更された該第2測定光束SMBの光路方向へ、Z軸方向を横切るように、余分の距離(SEPP=OFFSET)だけ進行することが判る。第2測定光束SMBが、この余分の距離(SEPP=OFFSET)を進行するため、結果として得られる信号が、まるで、ペンからZ軸方向に沿った位置Z2よりも遠い距離の測定結果であるかのようになる。
それゆえ、OFFSETは、Z軸方向に沿った真の距離Z2を決定するために、明確な測定距離でなければならない。この測定距離は、第2測定光束SMBに起因する信号によって指し示される。
【0052】
さらに式(2)に関して、一実施例では、前記の信号をピークのピクセルで表わすことができる。このように、第2測定光束SMBに基づく測定に対応する図3中の左側のピークP(SMB)は、P(Z2+OFFSET)とも呼ばれる。また、Z1は(上述したように)2光束アッセンブリを取り付けていない状態で返された値と一致すると考えることができるため、第1測定光束FMBの信号ピークに関連付けられたピークP(FMB)は、P(Z1)とも呼ばれる。
【0053】
このように、一実施例では、光学ペン120に用いる標準的なルックアップテーブルを使って、Z1値を決定することができる。第2測定光束SMBに基づくピークに関して言えば、ルックアップされた値が、合計値(Z2+OFFSET)に対応する。
オフセット距離OFFSETは、設計値(例えば、間隔距離SEPPの設定値)によって明らかになる。または、オフセット距離OFFSETは、校正(例えば、平らで垂直の表面に向けられた、オフセット距離OFFSETの異なる2つの光束)によって明らかになる。このようにして、前記信号および既知のオフセット距離OFFSETに基づいて、Z2値およびZ1値を得るのに必要な値を、決定できる。
【0054】
図3では、検出器上のピークの間隔を、関数f(Z1,Z2,OFFSET)と呼んでいる。あるいは、これに代えて、関数f(Z1,Zdiff,OFFSET)と表わすことができる。
ピクセル位置からの面では、ピーク間隔は、Zdiffの関数になることは勿論で、Z1の関数にもなる。この理由は、与えられたピクセルから与えられた距離への校正が比例関係にならないため、特にこの比例関係ではないカーブ上の位置への校正を別途行なう必要があるからである。
これに代えて、比例変換のみを利用する実施例においては、次にその間隔は、Zdiff値およびOFFSET距離に依存するだろう。
【0055】
上記の主張に基づいて、図2および図3を参照すると、ステップ高さZdiff(Zdiff=Z1−Z2)がOFFSETと同じ場合、ピークP(FMB),P(SMB)は、検出器上で同じ位置になるだろう。すなわち、これらのピークをカーブ310上にて区別することができない。
これらの考察から、様々な実施例においては、期待されるステップ高さ(距離)Zdiff(Zdiff=Z1−Z2)の範囲を参考にして、オフセット距離OFFSETを選択または調整することが望ましい。これにより、P(FMB)=P(Z1)を示すピークおよびP(SMB)=P(Z2+OFFSET)を示すピークは一致することがなく、区別できる。
ピークを区別できることに関しては、検出器においてピークが、測定範囲の5−10%よりも互いに接近していないことが、特定の実施例においては、望ましい。例えば、約70ピクセル分の間隔をもった2つのピークの例が図3に示されている。同図で、これらのピークを、スペクトル・プロファイルデータ310aのセットを表わす点線で示す。
簡略のため、このことは、以下のように言い換えることができる。すなわち、(Zdiff−OFFSET)>0.05*Rとなるように、オフセットOFFSETの距離を設けることが要求される。または、より保守的な実施例では、全ての期待されるZdiff値が(Zdiff−OFFSET)>0.1*Rとなるように、オフセットOFFSETの距離を設けることが要求される。
【0056】
このように、特定の実施例では、クロマティックポイントセンサ装置100が、前述の考察に従って、2光束アッセンブリ200を含んで構成されていることが望ましい。
特に、前述に従って、2光束アッセンブリと光学ペンの構成では、干渉を生じないZの測定範囲を、R+OFFSETと同程度の大きさにすることができる。
しかしながら、オフセットOFFSETの距離が測定範囲Rを超過した場合、その後、全測定範囲の中間部分において、測定のとぎれ(gap)、または干渉が生じてしまう。その測定範囲では、光束が妥当な測定を実行することもできない。
光束の本数をNで示すと、論理上は、干渉の生じない測定範囲を、N*Rで示される範囲にすることができる。
もし、より小さい信号を用いた動作が許容されれば、各々の光束をより多くの回数に分けることができる。また、光学ペンの最大焦点距離の大きい部分まで接近することができる測定範囲が得られる。例えば、ある特定の実施例では、測定範囲を10*Rのオーダーまで大きくすることができ、最小距離(standoff)と同等の範囲にすることができる。
少し保守的に価値を判断して、各光束でのより低い光強度、および、多分割で生じる光学的な劣化のために、S/N比またはサンプル率を用いてある程度の信号の劣化を含めた場合であっても、上記のような実施例では、真の動作範囲を少なくとも8*Rとすることができる。
【0057】
図4は、光学ペン120に接続された第1実施形態に係る典型的な2光束アッセンブリ400の分解図である。
図4では、図2の2光束アッセンブリ200における構成要素と同じまたは類似する構成要素に、同じまたは類似の参照符号が付けられている。
図4の2光束アッセンブリ400は、先に記載した模式的に表現された2光束アッセンブリ200と、第1測定光束FMBおよび第2測定光束SMBが光学ペン120の光軸に直交する測定軸に沿って両方とも下方に向かっている点で異なる。
【0058】
図4に示すように、光学ペン120に2光束アッセンブリ400を確実に取り付けるために、取付要素402を用いている。例えば、上側にスロットを有する取付用のつば(collar)などで、つばによってアッセンブリが光学ペンに締結される。
クランプ用ボルト403は、光学ペン120の端部周りに取付要素402を締結するためのものである。
第1反射要素アッセンブリ210’は、取付要素402に取り付けることができる。第2反射要素アッセンブリ220’は、第1反射要素アッセンブリ210’に取り付けることができる。
特定の実施形態では、第1および第2反射要素アッセンブリ210’,220’を、図2の第1および第2反射要素210,220で構成することができる。
図4に示すように、第1反射要素アッセンブリ210’は、第1反射要素ホルダ406と、第1反射要素フレーム408と、第1反射要素410とを含むことができる。
スペーサ要素404は、取付要素402および光学ペン120に対して第1反射要素アッセンブリ210’の相対的なスペースを調整するためのものである。
第2反射要素アッセンブリ220’は、第2反射要素ホルダ416と第2反射要素420とを含むことができる。
スペーサ要素414は、第1反射要素アッセンブリ210’、取付要素402および光学ペン120に対して、第2反射要素アッセンブリ220’の相対的なスペースを調整するためのものである。
図6に示すように、スペーサ要素414は、間隔距離SEPPの寸法を(それゆえ、概略を上述したように、オフセットOFFSETの値も)調整するためのものである。
【0059】
図4に示すように、スペーサ要素404は、調整のために取付要素402および第1反射要素ホルダ406から分離することができる。
第1反射要素ホルダ406は、精度の良い寸法で形成され、かつ、真っ直ぐに設けられた四角形の開口(opening)を含む。この開口は、次の図5により詳しく記載したように、第1反射要素410を取り付ける方向から第1反射要素フレーム408を確実に受けるために設けられている。
スペーサ要素414は、調整のために第1反射要素ホルダ406を第2反射要素ホルダ416から分離するためのものである。
第2反射要素ホルダ416は、精度の良い寸法で形成され、かつ、真っ直ぐに設けられた四角形の開口(opening)を含む。この開口は、第2反射要素420を接着剤または他の接着手段によって第1反射要素フレーム408に接着される方向から、該第2反射要素420(例えば、第1表面反射プリズム(45―45―90))を確実に受けるために設けられている。
組立用ボルト417は、精度の良い組立用孔に通されて、2光束アッセンブリ400の構成要素を正確に一列に配列して組み立てるために用いられる。
【0060】
動作中は、2光束アッセンブリ400が、測定軸に沿って、第1および第2測定光束FMB,SMBを提供する。この測定軸は、通常は、光学ペン120本来の光軸を横切るものか、または光軸に直交している。
第1測定光束FMBは、第1反射要素410によって下方向(光学ペン120の光軸を横切る方向)へ反射される。これと同時に、第2測定光束SMBは、第2反射要素420によって下方向(光学ペン120の光軸を横切る方向)へ反射される。
後述の図5において、より詳細に説明するように、第1および第2反射要素ホルダ406,416は、第1測定光束FMBおよび第2測定光束SMBの正確な軸合わせのために、第1および第2反射要素410,420を確実に掴み、かつ、これらを確実に一列に配列するように設計されている。
【0061】
図5は、図4の2光束アッセンブリ400から選択された構成要素の分解図である。
図5に示すように、第1反射要素ホルダ406は、四角形の孔を有する。この孔は、第1反射要素410を取り付ける方向から第1反射要素フレーム408を受けて、かつ、この第1反射要素フレーム408を一列に配列するために設けられており、該孔は、精度の良い寸法に形成され、真っ直ぐに形成されている。
また、第1反射要素ホルダ406は、指定された取付面MSPA,MSPB,MSREを持つ。
取付面MSPAは、第1の構成で示した光学ペン120に向けて取り付けられる。この取付面MSPAは、光源光束SBが孔HAを通り、かつ、第1および第2測定光束FMB,SMBが、光学ペン120の光軸OAに直交する測定軸に沿って進行することを目的にして設けられている。例えば、図6においてより詳細に後述する。
これに代わる構成では、取付面MSPBが、光学ペン120に向けて取り付けられる。この取付面MSPBは、光源光束SBが孔HBを通り、かつ、第1および第2測定光束FMB,SMBが、光学ペン120の光軸OAに平行な測定軸に沿って進行することを目的にして設けられている。例えば、図8においてより詳細に後述する。
取付面MSREは、現在説明している構成では、通常、第2反射要素ホルダ416に含められた第2反射要素420を向くように設けられる。
取付面と組立用孔との正確な軸合わせによって、第1および第2測定光束FMB,SMBの、それらの正確な方向における正確な軸合わせが、保障されることが認識されるだろう。
この一列の正確な軸合わせは、第1反射要素ホルダ406と第2反射要素ホルダ416との慎重な組み立てを通じて保障される。第1反射要素ホルダ406は、第1反射要素410が取り付けられる第1反射要素フレーム408を確実に保持するためのものであり、第2反射要素ホルダ416は、第2反射要素420を確実に保持するためのものである。
【0062】
第1反射要素ホルダ406は、孔HA,HB,HCを有し、同時に、第1反射要素フレーム408は、言うまでも無く第1反射要素の取付面MSFREを有し、さらに、孔H1,H2,H3も有している。
第1反射要素410は、第1反射要素フレーム408の第1反射要素の取付面MSFREに取り付けられている。例えば、接着剤またはその他の接着手段により取り付けられている。
いくつかの実施形態に係る2光束アッセンブリでは、第1および第2測定光束FMB,SMBが、次のような光線を形成している方が都合がよい。その光線は、如何なる光学材料、および/または、潜在的にディストネーション(歪み)を生じさせるような屈折面を通過しない光線である。
それゆえ、図4〜図10に示される実施形態に係る第1反射要素は、第1の平面反射ミラー領域および透過領域を含むパターンの付いたミラー要素となっている。第1の平面反射ミラー領域は、例えば、研磨金属シートの材料領域である。また、透過領域は、開口を形成している。例えば、研磨金属シートの貫通孔などである。
様々な実施形態に係る第2反射要素(但し、第2反射要素が存在する場合に限る。)は、全ての光を反射するものであればよい。それゆえ、そのような実施形態で第2反射要素としては、手ごろな構成要素(例えば、図5に示されるプリズム要素420)からなる第1表面ミラーを利用することができる。
【0063】
図6については、より詳細に後述するように、ある構成(すなわち、取付面MSPAが、光学ペン120を向くように取り付けられている場合)では、孔HA,H1が光学ペン120からの光源光束を受ける。また同時に、その光束の一部分が孔H2を通過して、さらに、第1反射要素410の開口部分を通過する。この第1反射要素410の開口部分を通過する光束を第2測定光束SMBとする。また、光束の他の部分は、下方に反射して、孔H3,HCを通過して、第1測定光束FMBとなる。
図8については、後でより詳細に説明するように、前述の代わりとなる構成(すなわち、取付面MSPBが光学ペン120を向くように取り付けられている構成)である。この構成では、光学ペン120からの光源光束は、孔HBを通過して受けられ、同時に、光源光束の一部分は、第1反射要素410の開口部を通過して、その後、孔H3と孔HCを通過する。この光束を、第1測定光束FMBと呼ぶ。また、光源光束の他の部分は、第1反射要素410の反射部分を反射されて、第2測定光束SMBになる。
【0064】
図6は、図4、5の2光束アッセンブリ400および光学ペン120の断面図である。例えば、これらが現在使用されている場合を示す。
図6に示すように、取付要素402は、光学ペン120の端部を取り囲んでいる。また、取付要素402は、クランプ用ボルト403を用いて所定の場所で挟持されている。取付要素402に、各表面190,190’までの距離測定のための外部軸合わせ面ASを含めることができる。測定軸の正確な軸合わせ、および、2光束アッセンブリ400の安定性を援助するために、前記外部軸合わせ面ASを、他の表面上に載せることも可能である。
図6の実施形態では、軸合わせ面ASが、第1および第2測定光束FMB,SMBの測定軸に直交していることが示されている。
これに代わる実施形態として、他の軸合わせ面を、取付要素402の他の部分上に、または、他の構成要素上(例えば、第1反射要素ホルダ406または第2反射要素ホルダ416上)に設けることができることが認識されるだろう。
【0065】
スペーサ要素404が、取付要素402および第1反射要素ホルダ406間の望ましいスペース距離を提供していることが示されている。
上述したように図4,図5については、第1反射要素ホルダ406が、第1反射要素410を取り付けた第1反射要素フレーム408を挟持している。
後述する第1反射要素ホルダ406のように、スペーサ要素414は、第1反射要素ホルダ406および第2反射要素ホルダ416間の望ましいスペース距離を提供している。例えば、前述に概説したように、いくつかの実施形態において、望ましい寸法(SEPP=OFFSET)を提供するためにスペーサ要素414を設ける。
図4,図5については、上述したように、第2反射要素ホルダ416は、第2反射要素420を所定の場所に正確に位置決めした状態で、第2反射要素420を確実に保持する。組立て用ボルト417は、正確な位置決め、および、2光束アッセンブリ400の構成要素の組立てに使用される。
【0066】
動作中は、アパーチャ195から光学ペン120のレンズ150を通過してくる光が、光源光束SBとして第1反射要素410へと進んでいく。そして、第1反射要素410の開口部を通過する光束の一部分は、第2測定光束SMBとして進んでいき、この第2測定光束SMBは、第2反射要素420を反射して、第2測定軸に沿って下方向に、表面190’に向かって進む。
光源光束の他の部分も、第1反射要素410を反射して、第2測定軸に沿って下方向に、第1測定光束FMBとして表面190に向かって進んでいく。
【0067】
図2、図3については上述したように、間隔距離SEPPおよびオフセット距離OFFSETのような様々な寸法が、予想されるワークピース寸法に対して相応の注意を払って、選択または調整される。例えば、図3を参照して概説したように、検出器の測定軸に沿って、望ましい位置にあるスペクトル・ピーク、または、望ましい最小間隔を有するスペクトル・ピークが生成されるようにする。
このように、図6に示されたスペーサ要素404,414では、上記目的のために望ましい厚さ寸法が選択されることが認識されるであろう。
図6に示すように、スペーサ要素414は、物理的な間隔と、第1測定光束FMBおよび第2測定光束SMBの各対応する測定範囲のオフセットとの両方を決定する。
図3については上述したように、各スペクトル・ピークが区別できる程度にオフセットを大きくし、一方、各スペクトル・ピークが検出器の望ましい測定範囲に入る程度に小さくすることが望ましい。
また、図6にも示されるように、スペーサ要素404は、2光束アッセンブリ400に関連する測定光束のため、動作距離の最小距離の全寸法を決定するために設けられている。
様々な実施形態において、例えば、様々な数のスペーサ要素を挿入したり、または、異なる幅寸法のスペーサ要素を挿入したりすることで、スペーサ要素404,414の幅寸法を変更できる。
【0068】
図6の構成では、第1および第2測定光束FMB,SMBがそれぞれ表面190,190’に向けて進行するようになっている。この構成では、図2に示すように、また上述したように、表面190,190’間のステップ高さを寸法Zdiffとして測定することを見込んでいることが認識されるであろう。
この方法の先行技術に対する利点は、単一の光学ペン120で2つの測定を達成できること、Zdiffがその光学ペンの規定の測定範囲Rを超過してもよいこと、および、ペンおよび/または測定面を測定のために前進後退させる必要がないことである。これに相応して、より早い測定および測定精度の向上を提供できる(すなわち、振動、ステージ動作などの相殺)。
また、従来の光学ペンを、たった2光束アッセンブリ400の取付要素402を取り付けるだけで、以下の特徴を有する光学ペンに容易に変えることができると認識されるだろう。その特徴とは、まず、2光束測定の機能性を発揮できること、また、2つの測定領域を含むか、または、拡張された測定範囲を含むことである。
【0069】
図7は、一揃いの反射パターン410A〜410Dを示す図であり、典型的な実施形態で使用できるものを表わす。
そのパターンは、破線で区切られている。その区切りは、そのパターン部分で受ける光(illumination)におおよそ対応する。
図7に示すように、パターンは、材料シートの拡張エリアに含まるか、または、ガラス上の薄いフィルムに含まれる。パターンは、例えば、図示したような四角形のシートまたはフィルムに形成される。これらは、前述の概説、および、さらに後述の説明の通りである。
図7に示すように、反射パターン410Aは、4つの区域S1A〜S4Aに分けられる。そのうちの第1区域S1Aおよび第3区域S3Aは、開口している(または透過性がある)。また、第2区域S2Aおよび第4区域S4Aは、反射性を有する。
パターン410Bは、8区域S1B〜S8Bに分けられていることが示されている。区域S1B,S3B,S5BおよびS7Bは開口し、同時に、区域S2B,S4B,S6BおよびS8Bは反射性を有する。
パターン410Cには、中央の円形区域S1Cが開口し、同時に外側の環状区域S2Cは反射性を有する。パターン410Dでは、中央の円形区域S1Dが開口し、反射性を有する内側の円形区域S2Dに囲まれている。この円形区域S2Dは、開口した円形区域S3Dに囲まれている。この円形区域S3Dは、さらに反射性を有する外側の円形区域S4Dに囲まれている。
反射パターン410Dが材料シートに形成されているとき、そのパターンは、区域S2Dを支持するために最小限度の架橋区域BRを含む。パターンがガラス上の薄いフィルムなどに形成されている場合、架橋区域BRは省略できる。
【0070】
より詳細に後述するように、2光束アッセンブリ400の動作に有利になるように、全てのパターン410A〜410Dがシメントリで形成されている。
より特徴的なことは、特定の実施形態においては、そのパターンの中心を通る線に対してシメントリな反射パターンに形成され、反射パターンが反射のシメントリ性を有することが望ましい。または、所定の他の方法で、パターンの中心回りにそのパターンが180度回転したときに、同一もしくは類似のパターンが得られるように、反射パターンが形成されていることが望ましい。
図6のパターン410A,410Bに示されるように、これはあるタイプの実施形態において、偶数の開口区域と偶数の反射区域とを有するパターンを用いることによって、達成できる。各開口区域は、パターンの中心を横切る線に対して、その開口区域にシメントリな対応する開口区域を有する。また、各反射区域は、パターンの中心を横切る線に対してその反射区域にシメントリな反射区域を有する。
このタイプの構成は、光学ペン120からの光源光束に関して、その光源光束の上側部分の光線が、ワークピース表面を反射した測定光束の下側の光学部分へ戻される場合において、動作可能になる。
同様に、その光源光束の下側部分からの光線は、ワークピース表面を反射した測定光束の上側の光学部分へ戻される。
このように、例えばパターン410Aでは、光源光束の一部分は開口区域S1Aを通過して、測定される表面を反射して、さらに開口区域S3Aを通過して戻される。
同様に、光源光束の一部分は、反射区域S2Aを反射して、測定される表面を反射して戻される。さらに、反射区域S4Aを反射して光学ペン120に向かう。このようにして望ましい測定情報が提供される。
同様に、光源光束の一部分は、開口区域S3Aを通過して、測定表面を反射した後、開口区域S1Aに戻される。そして、光源光束の他の部分は、第4区域S4Aを反射して、測定表面を反射した後、第2区域S2Aに戻される。
類似した動作が、パターン410Bのシメントリな8つの区域S1B〜S8Bの各区域についても生じることが認識されるであろう。
【0071】
パターン410Cおよびパターン410Dに関して、類似する動作可能なシメントリが円形パターンに対応して存在していることが認識されるだろう。
例えば、光源光束の一部分は、開口区域S1Cの端部の一付近の開口エリアを通過して、測定表面を反射した後、開口区域S1Cの反対側の端部付近の開口エリアを通過するように戻される。
同様に、光源光束の一部分は、反射区域S2Cの端部の一付近の反射エリアを反射して、測定表面を反射した後、反射区域S2Cの反対側の端部の反射エリアに向かうように戻される。円形パターン410Dの開口区域および反射区域の各区域についても類似する動作が生じることが認識されるだろう。
【0072】
いくつかの実施形態では、反射領域は、光源光束(点線の範囲内)中の全ての反射エリアを有するように設計され、透過領域は、光源光束中の全ての透過エリアを有するように設計されている。そして、全ての反射エリアは、全ての透過エリアに対して特定の割合(例えば、±25%)になっている。第1および第2測定光束のエネルギーが少なくとも一部分においてバランスして、各測定光束のエネルギーが両方とも望ましい信号強度レベルを提供できるようにするためである。
他の特定の実施形態では、全反射エリアは、全透過エリアに対する特定の差(例えば、少なくとも±5%)を持っている。第1および第2測定光束のエネルギーが検出可能な程度に異なるようにするためである。検出器での各エネルギーの信号強度(例えば、それらのピーク高さ)に基づく、各エネルギーの信号はお互いに区別できる。
【0073】
図8は、光学ペン120に接続された第2実施形態に係る2光束アッセンブリ800の縦断面図である。
2光束アッセンブリ800の構成要素は、類似する番号が付された図4〜図7の2光束アッセンブリ400の構成要素と類似または一致していることが認識されるだろう。
この2光束アッセンブリ800における主な違いは、第1測定光束FMBおよび第2測定光束SMBが両方とも、光学ペン120の光軸OAに平行な測定軸に沿っていることである。
【0074】
図8に示すように、取付要素802は、光学ペン120の端部に2光束アッセンブリ800を取り付ける際に利用され、クランプ用ボルト803により締結されている。
取付要素802上の外部軸合わせ面ASは、2光束アッセンブリ800により射出される第1および第2測定光束FMB,SMBの測定軸に平行であることが示されている。2光束アッセンブリ800の残りの構成要素は、全体として図6の2光束アッセンブリ400における同等の構成要素を相対的に90度回転したものになっている。
2光束アッセンブリ800においてさらに特徴的なことは、第1反射要素ホルダ806が、第2反射要素ホルダ816よりも下方に位置づけられていることである。図6に示された第1反射要素ホルダ406および第2反射要素ホルダ416の左右方向の配置に比較した場合にそのように言える。
【0075】
第1反射要素ホルダ806は、第1反射要素810を取り付けた第1反射要素フレーム808を含む。上述した図7のように、第1反射要素810には、開口区域および反射区域を有するパターンが形成されている。第2反射要素ホルダ816は、第2反射要素820を含む。組立用ボルト817は、2光束アッセンブリ800の構成要素を組み立てて、正確に軸合わせするために、設けられている。
【0076】
動作中、光学ペン120からの光源光束は、第1反射要素810に向かって進む。第1反射要素810の開口区域を通過する光源光束の部分は、第1測定軸に沿って表面190に向かう第1測定光束FMBとなる。
第1反射要素810の反射区域を反射する光源光束の部分は、第2反射要素820に向かって進む。それから、第2反射要素820は、第2測定光束SMBを第2測定軸に沿って表面190に向ける。
このように第1および第2測定光束FMB,SMBは、光学ペン120の光軸OAと同じ方向に沿って、互いに平行に進むことが認識されるだろう。
【0077】
一実施形態では、図8および図4で類似の添え字で番号を付した構成要素は、互いに類似または一致していると共に、通常は図4に描かれた代わりの取付け孔を用いて、互いに相対的に異なった方向に組み立てられているだけである。
【0078】
図9は、光学ペン120に接続された第3実施形態に係る2光束アッセンブリ900の縦断面図である。2光束アッセンブリ900の構成要素は、類似する番号が付された上述の2光束アッセンブリ400,800の構成要素と類似または一致していることが認識されるだろう。
この2光束アッセンブリ900における主な違いは、第1測定光束FMBが光学ペン120の光軸と同方向の第1測定軸に沿っていると同時に、第2測定光束SMBが光学ペン120の光軸に直交する第2測定軸に沿っていることである。
【0079】
図9に示すように、取付要素902は、光学ペン120の端部に2光束アッセンブリ900を取り付ける際に利用され、クランプ用ボルト903により締結されている。
取付要素902上の外部軸合わせ面ASは、第1測定光束FMBの測定軸に平行であることが示され、また、第2測定光束SMBの測定軸に直交することが示されている。スペーサ要素904は、取付要素902および第1反射要素ホルダ906間の指定されたスペースを提供する。
第1反射要素ホルダ906は、第1反射要素910を取り付ける第1反射要素フレーム908を含む。上述した図7のように、第1反射要素910は、開口区域および反射区域を有するパターンを形成している。
【0080】
動作中は、光学ペン120からの光源光束SBは、第1反射要素910に向かって進む。第1反射要素910の開口区域を通過する光源光束の部分は、第1測定軸に沿って進む第1測定光束FMBとなる。第1反射要素910の反射区域を反射する光源光束の部分は下方向を向き、第2測定軸に沿って進む第2測定光束SMBになる。
この図9に示すように、第1および第2測定光束FMB,SMBは、通常、互いに相対的に直交している。そのような構成は、様々なタイプの表面形状の測定(例えば、2面の交角の変化の測定、また、底面および側面の表面粗さの同時測定など)に便利であることが認識されるだろう。
【0081】
一実施形態では、類似する番号が付された図9と図4の構成要素は、類似または一致している。また、図4に描かれた構成要素のいくつかは単に省いてもよい。
【0082】
図10は、光学ペン120に接続された第4実施形態に係る2光束アッセンブリ1000の縦断面図である。2光束アッセンブリ1000の構成要素は、類似する番号が付された上述の2光束アッセンブリ400,800,900の構成要素に、類似または一致していることが認識されるだろう。
この2光束アッセンブリ1000における主な違いは、第1測定光束FMBが、光学ペン120の光軸OAに直交して上方に向かう第1測定軸に沿っていると同時に、第2測定光束SMBが、第1測定光束FMBの方向とは反対方向である第2測定軸に沿って下方に向かっていることである。
【0083】
図10に示すように、取付要素1002は、光学ペン120の端部に2光束アッセンブリ1000を取り付ける際に利用され、クランプ用ボルト1003により締結されている。取付要素1002上の外部軸合わせ面ASは、第1および第2測定光束FMB,SMBの測定軸に直交していることが示されている。
スペーサ要素1004は、取付要素1002および第1反射要素ホルダ1006間の指定されたスペースを提供する。第1反射要素ホルダ1006は、第1反射要素1010を取り付ける第1反射要素フレーム1008を含む。上述した図7のように、第1反射要素1010は、開口区域および反射区域を有するパターンを形成している。
【0084】
第1反射要素ホルダ1006に続いて、スペーサ要素1014が、第1反射要素ホルダ1006および第2反射要素ホルダ1016間に指定されたスペースを提供する。第2反射要素ホルダ1016は、第2反射要素1020を含む。組立用ボルト1017は、2光束アッセンブリ1000の構成要素の軸合わせおよび組み立て用である。
【0085】
動作中は、光学ペン120からの光源光束SBは、第1反射要素1010に向かって進む。第1反射要素1010の反射区域を反射して下方に向かう光源光束の部分は、第1測定軸に沿って進む第1測定光束FMBとして下方向へ進む。第1反射要素1010の開口区域を通過する光源光束SBの部分は第2反射要素1020を反射して、第2測定軸に沿って進む第2測定光束SMBとして上方向へ進む。
互いに反対方向に向けられた第1および第2測定光束FMB,SMBは、様々なタイプの測定(例えば、隙間の幅の測定など)に利用できることが認識されるだろう。
【0086】
一実施形態では、図10および図4で類似の添え字で番号を付した構成要素は、互いに類似または一致していると共に、通常は図4に描かれた代わりの取付け孔を用いて、互いに相対的に異なった方向に組み立てられているだけである。
例えば、2光束アッセンブリ1000の構成要素は、図6に示された2光束アッセンブリ400の構成要素に、第2反射要素ホルダ1016が180度回転していることを除けば、実質的に一致しているように見える。
構成要素が回転および/または調整できるように構成された2光束アッセンブリの構成によって、異なる2光束アッセンブリの構成が、1セットの2光束アッセンブリ部品によって達成されることが認識されるだろう。
【0087】
図11は、典型的な反射要素の構成1100A〜1100Fを説明するための図である。これらの構成1100A〜1100Fは、様々な測定方式(例えば、プリズム状のブロック要素や、これらの要素を組み合わせたものを利用した測定方式)を提供できる。
より詳細に後述するように、反射要素の構成1100A〜1100Fは、前述の2光束アッセンブリ600,800,900および1000の構成と同様に、第1および第2測定光束FMB,SMBを特定方向に方向付けることができる。
いくつかの実施形態において、光源光束SBが、図7を参照して概説された原理に対応する第1反射要素の表面のパターンを反射できることが理解されるだろう。そのようなパターンとしては、例えば、プリズム状のブロック上に形成された薄いフィルム状のパターンでもよい。
これに代えて、いくつかの実施形態では、光源光束SBが、第1反射要素の表面で「half-silverirng(半銀付け)」されたミラー表面などを反射するようにしてもよい。
しかしながら、このような表面形態は経済的にはなるが、同時に、その表面に測定光束が戻る際に、結果として光損失または光の浪費になる可能性がある。
第2反射要素の表面が、第2測定光束の向きを測定軸MA2に沿った方向に変えるような実施形態では、その第2反射要素の表面を完全なミラー面にすることができる。
プリズム状のブロック要素を利用する場合、プリズム状の要素によって、第1および第2測定光束FMB,SMBに特定レベルの歪みを生じさせることが認識されるだろう。とは言え、そのような場合であっても、特定の実施形態ではどんなレベルの歪みであっても、従来技術として既知の校正技術を用いて処理することができるので、結果として動作可能な機器を提供することができる。
【0088】
図11に示すように、特にこの構成では、反射要素の構成1100Aは、三角形プリズム状の要素を含む。この要素は、2つの側面上に完全な反射ミラーの表面を持つ。
反射要素1110Aは、光軸OAに沿って進行する光源光束SBを、第1測定光束FMBおよび第2測定光束SMBに分割する。この第1測定光束FMBは、第1測定軸MA1に沿って上方に進む。また、第2測定光束SMBは、第2測定軸MA2に沿って下方に進む。
そのような構成は、図10の2光束アッセンブリ1000の代替として提供できて、上述したように、第1および第2測定光束FMB,SMBを反対方向に向け得ることが認識されるだろう。
【0089】
特定の実施形態では、三角形のプリズム要素1110Aの2つの側面が、光軸OAに対して45度未満の交角θで方向付けられていることが望ましい。このことは、プリズム要素1110Aの各側面が、集束性の光源光束SBの半分を受ける場合には、望ましい。
言い換えると、そのデバイス(プリズム要素)に集束性の光源光束SBの全てを逆戻りさせて像を作るようにすることが望ましいならば、三角形のプリズム要素1110Aの表面は、集束を考慮して、また、集束の半分は各側面に含まれるという事実を考慮して、傾斜にする必要がある。
このように、特定の一実施形態では、交角θが、45度から開口数(NA)の約半分だけ逸脱する。
交角θを正確に決定することによって、第1および第2測定光束FMB,SMBが、それぞれの表面190,190’を反射して戻された後、互いに交差するように戻され、また、光束が分割された際とおおよそ同じようにして戻される。この方法では、光学ペン120に戻っていく類似の光束が有する本来の光軸に沿って、測定表面を反射した類似の光束が戻っていく。このようにして、正確な測定が達成できる。
【0090】
さらに図11に示されるように、次の反射要素の構成1100Bは、第1反射要素1110Bと、第2反射要素1120Bとを含む。第1反射要素1110Bは、一部分が反射性を有し、他の部分が透過性を有するシート(すなわち、光学的に既知のもの)からなる。このため、光軸OAに沿って提供される光源光束の一部分が、第1測定光束として第1測定軸MA1に沿って上方に反射される。
加えて、光源光束の他の部分も、第2反射要素1120Bに伝達されて、第2測定光束として第2測定軸MA2に沿って上方に反射される。
この構成は、第1および第2測定軸MA1,MA2に沿って、第1および第2測定光束の方向付けを提供することが認識されるだろう。このことは、図6で説明されている2光束アッセンブリ400の構成に類似している。
【0091】
次の反射要素の構成1100Cは、光束スプリッター1107Cを含む。この光束スプリッター1107Cは、光軸OAに沿って進行する光源光束の一部分を、第1測定軸MA1に沿った第1測定光束として伝達する。
この光束スプリッター1107Cは、また、内部の反射面1110Cで、光源光束の他の部分を、第2測定軸MA2に沿った第2測定光束として上方に反射する。
第1および第2測定軸MA1,MA2に沿った方向へ、それぞれ方向付けられた第1および第2測定光束の出射は、図9で説明されている2光束アッセンブリ900の構成に類似していることが認識されるだろう。
【0092】
次の反射要素の構成1100Dは、プリズム要素1107Dを含む。このプリズム要素1107Dの内部の第1境界面1110Dにおいて、光軸OAに沿って進行する光源光束の一部分は、第1測定軸MA1に沿った第1測定光束として、上方に反射される。
加えて、光源光束の残りの部分は、内部の境界面1110Dを通過して、プリズム要素1107Dの第2の表面1120Dまで伝達される。この第2の表面1120Dは、光源光束の残りの部分を、第2測定軸MA2に沿った第2測定光束として上方に反射する。
この構成は、第1および第2測定軸MA1,MA2に沿って、第1および第2測定光束の方向付けを生み出すことが認識されるだろう。このことは、図6で説明されている2光束アッセンブリ400の構成に類似している。
【0093】
次の反射要素の構成1100Eは、菱形状のプリズム要素1107Eを含む。このプリズム要素1107Eの第1表面1110Eにおいて、光軸OAに沿って進行する光源光束の一部分は、第1測定軸MA1に沿った第1測定光束として、上方に反射される。
加えて、光源光束の残りの部分は、第1表面1110Eを通過して、プリズム要素1107Eの第2表面1120Eまで伝達される。この第2表面1120Eは、光源光束の残りの部分を、第2測定軸MA2に沿った第2測定光束として上方に反射する。
この構成も、第1および第2測定軸MA1,MA2に沿って、第1および第2測定光束を方向付けることが認識されるだろう。このことは、図6で説明されている2光束アッセンブリ400の構成に類似している。
【0094】
次の反射要素の構成1100Fは、台形状のプリズム要素1107Fを含む。この台形状のプリズム要素1107Fの第1表面1110Fにおいて、光軸OAに沿って進行する光源光束の一部分は、第1測定軸MA1に沿った第1測定光束として、上方に反射される。
加えて、第1表面1110Fは、また、光源光束の残りの部分をプリズム要素1107Fの第2表面1120Fまで伝達する。この第2表面1120Fは、光源光束の残りの部分を、第2測定軸MA2に沿った第2測定光束として下方に反射する。
この構成は、第1および第2測定軸MA1,MA2に沿って、第1および第2測定光束を方向付けることが認識されるだろう。このことは、図10で説明されている2光束アッセンブリ1000の構成に類似している。
【0095】
図12は、光学ペン120に接続された第5実施形態に係る2光束アッセンブリ1200の縦断面図である。
2光束アッセンブリ1200の構成要素は、類似する番号が付された上述の2光束アッセンブリ200,400,800,900,1000の構成要素に、類似または一致していることが認識されるだろう。この2光束アッセンブリ1200では、第1および第2測定光束FMB,SMBの方向付けが、図8の2光束アッセンブリ800の方向付けに類似する。すなわち、第1および第2測定光束FMB,SMBは、両方とも、光学ペン120の光軸OAと同方向に互いに平行な測定軸に沿って進行する。
この2光束アッセンブリ1200における主な違いは、(特に図2の2光束アッセンブリ200を参照すると、)2光束アッセンブリ1200が、光学系部分150のレンズの間に配置されていることである。
すなわち、光学系部分150は、光学ペン120の端部にあるレンズ150Aと、2光束アッセンブリ1200の端部に配置された2つのレンズ150B,150B’とに分割されている。
いくつかの実施形態では、この構成は、光学ペン120内部の2光束アッセンブリ1200の構成要素の配置とみなすことができる。また、この構成は、2光束の光学ペンとみなすこともできる。
どのケースにおいても、クロマティックポイントセンサ(CPS)装置の色分散の光学構成における最後のレンズに入る前に、2光束アッセンブリ200によって2光束が生成されるため、レンズ150B,150B’を設けたように、2光束のそれぞれに分離されたレンズが必要になる。
【0096】
さらに特徴的なことは、図12に示すように、レンズ150Bが、第1測定光束FMBの測定軸MA1に沿って配置され、同時に、レンズ150B’が、第2測定光束SMBの測定軸MA2に沿って配置されていることである。
動作において、光学ペン120からの光源光束SBは、第1反射要素1210に向かう。
第1反射要素1210の開口区域を通過して進行する光源光束の各部分は、レンズ150Bを通過して、第1測定光束として第1測定軸MA1に沿って進行する。
第1反射要素1210の反射区域を反射する光源光束の他の各部分は、第2反射要素1220に向かって進行する。この第2反射要素1220は、それから、第2測定光束SMBがレンズ150B’を通過して第2測定軸MA2に沿って進むように、第2測定光束SMBの方向付けを行なう。
【0097】
レンズ150A,150B,150B’によって提供される軸方向の色分散に関する動作は、図2についての上述の説明に類似する。
各レンズ150B,150B’は、レンズ150Aと組になり、望ましい軸方向の色分散を提供する。そのために、クロマティック共焦点センサ装置として知られているように、測定軸MA1,MA2に沿った焦点は、光の波長に応じて異なった距離に位置する。
1つのワークピース表面または、複数のワークピース表面からの反射上で、第1および第2測定光束FMB,SMBのそれぞれの反射光は、レンズ150Aと組になるレンズ150B,150B’により、ファイバ開口部195でそれぞれ再び焦点が合うようになる。
レンズ150B,150B’を光学ペン120から分離した要素として備えたことにより、特定の望ましい特性を備えたレンズの利用(例えば、類似または異なる軸方向の色分散性を備えたレンズの利用など)を含めて、レンズの設計/選択におけるより大きな融通性が得られる。
そのような構成において、レンズ150Aを通り過ぎた光源光束SBが、名目上、平行光にされると、都合がよい。そのようなケースでは、第1測定光束FMBと第2測定光束SMB間の光路長の差は、設計の困難性の原因にならない。また、いくつかの実施形態において、レンズ150B,150B’は、類似または一致させることができる。
さらに、レンズ150B,150B’は、名目上、それぞれ平行光とされた各光束の光路に沿って、比較的自由に位置決めできる。このことは、第1測定光束FMBおよび第2測定光束SMBの測定範囲同士に望ましい関係(例えば、望ましい測定範囲OFFSET)を提供することを容易にする。
いくつかの実施形態では、レンズ150B,150B’は、異なるものにすることができる。そのため、必要であれば、例えば、300μmの測定範囲と、3mmの測定範囲といったように、それぞれ長さの異なる測定範囲のレンズ150B,150B’を提供することができる。
【0098】
上述に概説したような、どのタイプの2光束または多光束のクロマティックポイントセンサ装置であっても、以下に述べる多光束CPS装置の測定方法、または、各用途への適用を実行することができると認識される。
【0099】
図13は、本発明に従って、2つの異なる測定領域を同期測定するためにクロマティックポイントセンサ装置を利用する際の典型的な処理手順1300の全体フロー図である。図13に示すように、工程1310にて、2光束クロマティックポイントセンサ装置(CPS装置、センサ装置とも称す)が設けられ、ワークピース上の少なくとも1箇所における2つの異なる測定領域を同期測定するように構成される。
一実施形態では、共焦点開口部を有し、かつ、2光束アッセンブリを取り付けられた光学ペンをセンサ装置が含んでいる。
クロマティックポイントセンサ装置を用いて2つの異なる表面領域を同期測定する別の方法についての特定の実施例については、図14〜図18を用いて後で詳しく説明する。
【0100】
工程1320にて、センサ装置からの第1測定光束を、第1表面領域に位置決めし、センサ装置からの第2測定光束を、第2表面領域に位置決めする。
第1および第2表面領域のいくつかの例としては、後でかなり詳しく説明する。手短に言えば、第1および第2表面領域は、第1および第2測定光束の位置関係に対応した空間的な関係がある。
ワークピース表面の異なる部分を、第1および/または第2測定光束の位置に入れることができる。また、後述するように、工程1340で対応する測定セットを行なう間、その異なる部分を、一時的に、第1および/または第2表面領域にすることができる。
工程1330にて、第1および第2測定光束に起因するワークピース測定光が、共焦点開口部およびセンサ装置を逆方向に通過して、受光される。
工程1340にて、少なくとも1つの測定セットが決定される。各測定セットは、それぞれ第1および第2測定光束に起因する第1および第2測定を含む。
一実施形態では、各測定が、比較的良好な分解能(例えば、少なくとも10nmの分解能)で決定される。本発明のセンサ装置が、そのような高精度測定を、干渉計または他のより複雑な装置の使用を要求されずに、実行できることが認識されるだろう。
【0101】
工程1350にて、ワークピース性状測定、および、ワークピース性状の位置による変化の測定の少なくとも一方の測定を、前記の少なくとも1つの測定セットに基づいて決定する。
例えば、第1および第2測定光束を通過するようにワークピースを移動させることで、第1および第2表面領域の高さの差を決定することができる。または、その決定することができる。
高さの差の変化は、後でより詳細に説明するように、ステップ高さ(step-height)の変化、表面の角度(surface angle)の変化、または、凹凸などの表面の振れ(surface runout)などを指し示す。
【0102】
図14は、溝深さ/ステップ高さの測定のための2光束クロマティックポイントセンサの測定方法を構成するための典型的なサブルーチン1420のフロー図である。
例えば、サブルーチン1420の動作は、図3の工程1320で実行される動作に、おおよそ対応するものであり、または、その動作として使用できる。また、いくつかの実施形態のように、処理手順1300で溝深さ/ステップ高さを測定するケースでは、工程1340でのワークピースの動作(motion)を提供するためにサブルーチン1420の動作を使用できる。
工程1421にて、本センサ装置の構成において使用する溝深さ/ステップ高さを決定する。例えば、溝深さ/ステップ高さの呼び寸法を、図面または仕様から決定する。または、事前の測定などで決定する。
工程1422にて、2光束クロマティックポイントセンサの測定を起動する。この測定では、固定されたZオフセットから、工程1421で決定された溝深さ/ステップ高さを引いた値が、最大値(例えば、CPSの測定範囲R)未満になり、かつ、最小値(例えば、0.05*R)よりも大きくなる。また、その測定では、2つの測定光束が、2光束クロマティックポイントセンサ装置の検出器の測定範囲内で、区別できる2つの測定ピークを分離生成する。
工程1423にて、測定光束が2つの測定軸に沿って(例えば、平行に)進行するように、2光束アッセンブリが構成される。その2つの測定軸は、一方が溝の底面/低い方のステップの表面領域に位置決めされると共に、他方が溝の肩部/高い方のステップの表面領域に位置決めされるように方向付けられている。
そのような2つの測定光束の方向付け(すなわち、2つの測定光束が平行に進むもの)は、図11の構成1100B,1100D,1100Eおよび図12に説明されたものはもちろん、図6や図8に説明されている。
【0103】
判断工程1424にて、ワークピースの部分が、2光束アッセンブリに相対的に回転しているかどうかが、決定される。例えば、2光束光学ペンが真円度試験器に取り付けられ、ワークピースが真円度試験器で回転されたかどうかを判断する。
もし、ワークピースが回転していれば、工程1425のサブルーチンに続く。工程1425では、サブルーチン1420が終了した後、ワークピースのための回転機構が動作する。
溝深さ測定のために真円度試験器に取り付けられた光学ペンの例については、図20A−20Dにおいて後で詳述する。
ワークピースが回転していなければ、その後、判断工程1426のサブルーチンに続く。判断工程1426では、ワークピース部分が2光束アッセンブリに相対的に直線移動しているかどうかを決定する。例えば、2光束光学ペンが基準の構造体、機械フレーム、図18Aに示すように画像装置の測定ヘッドなどに取り付けられ、ワークピースがリニア軸受装置で直線移動する場合に、判断する。
もし、ワークピースが直線移動していれば、その後、工程1427のサブルーチンに続く。工程1427では、サブルーチン(例えば、図13の工程1330での測定動作、および、工程1330および/または工程1340で実行されるワークピースの動作)が終了した後、直線移動機構(例えば、マシンビジョン検査装置のステージ)が動作する。
もし、ワークピースの部分が、直線移動していなければ、その後、そのサブルーチンは終了する。
【0104】
図15は、溝/隙間の幅および/または位置の測定のための2光束クロマティックポイントセンサの測定方法を構成するための典型的なサブルーチン1520のフロー図である。例えば、サブルーチン1520の動作は、図13の工程1320で実行される動作に、おおよそ対応するものであり、または、その動作として使用できる。また、いくつかの実施形態のように、処理手順1300で溝/隙間の幅および/または位置を測定するケースでは、工程1340でのワークピースの動作(motion)を提供するためにサブルーチン1520の動作を使用できる。
工程1521にて、本センサ装置の構成において使用する溝/隙間の幅および/または位置を決定する。例えば、溝/隙間の幅および/または位置の呼び寸法を、図面または仕様から決定できる。または、事前の測定などで決定してもよい。
工程1522にて、2光束クロマティックポイントセンサの測定を起動する。この測定では、2光束の測定範囲が、工程1421で決定された溝/隙間の幅と同等の距離で分離されるように構成される。また、固定されたZオフセットが、最大値(例えば、CPSの測定範囲R)未満になり、かつ、最小値(例えば、少なくとも0.05*R)よりも大きくなる。また、その測定では、2つの測定光束が、2光束クロマティックポイントセンサ装置の検出器の測定範囲内で、区別できる2つの測定ピークを分離生成する。
工程1523にて、測定光束が2つの測定軸に沿って(例えば、反対方向ではあるが、互いに平行に)進行するように、2光束アッセンブリが構成される。その2つの測定軸は、一方が溝/隙間の第1側面の表面領域に位置決めされると共に、他方が溝/隙間の第2側面の表面領域に位置決めされるように方向付けられている。
そのような2つの測定光束の方向付け(すなわち、2つの測定光束が逆方向に平行に進むもの)は、図11の構成1100A,1100Fに説明されたものはもちろん、図10に詳しく説明されている。
【0105】
判断工程1524にて、ワークピースの部分が、2光束アッセンブリに相対的に回転しているかどうかが、決定される。例えば、2光束光学ペンが真円度試験器に取り付けられ、ワークピースが真円度試験器で回転されたかどうかを判断する。
もし、ワークピースが回転していれば、工程1525のサブルーチンに続く。工程1525では、サブルーチン1520が終了した後、ワークピースのための回転機構が動作する。ワークピースが回転していなければ、その後、判断工程1526のサブルーチンに続く。判断工程1526では、ワークピース部分が2光束アッセンブリに相対的に直線移動しているかどうかを決定する。
もし、ワークピース部分が直線移動していれば、その後、工程1527のサブルーチンに続く。工程1527では、直線移動機構が動作する。例えば、2光束光学ペンが基準の構造体、機械フレーム、図18Aに示すように画像装置の測定ヘッドなどに取り付けられ、ワークピースがリニア軸受装置で直線移動する場合に、その直線移動機構が動作する。この工程は、サブルーチン(例えば、図13の工程1330での測定動作、および、工程1330および/または工程1340で実行されるワークピースの動作)が終了した後に、実行される。もし、ワークピースの部分が、直線移動していなければ、その後、そのサブルーチンは終了する。
【0106】
図16は、表面/軸受の振れの測定のための2光束クロマティックポイントセンサの測定方法を構成するための典型的なサブルーチン1620のフロー図である。例えば、サブルーチン1620の動作は、図13の工程1320で実行される動作に、おおよそ対応するものであり、または、その動作として使用できる。また、いくつかの実施形態のように、処理手順1300で表面の振れを測定するケースでは、工程1340でのワークピースの動作(motion)を提供するためにサブルーチン1620の動作を使用できる。
振れは、平面または円筒面からの逸脱量に当てはまる。この逸脱量は、ワークピースをそのワークピースの表面に平行とみなせる方向に沿って移動させた場合に、その表面の法線方向に沿った逸脱量を指す。
工程1621にて、本センサ装置の構成において使用する高さの差(height
difference)を決定する。この高さの差とは、振れ(公称値)を有する表面と基準面との高さの差を言う。例えば、高さの差(公称値)を、図面または仕様から決定できる。または、事前の測定などで決定してもよい。
工程1622にて、測定を起動する。この測定では、固定されたZオフセットが、同等で、振れ(公称値)を有する表面と基準面との高さの差とは異なる。また、この測定では、2つの測定光束が、2光束クロマティックポイントセンサ装置の検出器の測定範囲内で、区別できる2つの測定ピークを分離生成する。
【0107】
工程1623にて、測定光束が2つの測定軸に沿って(例えば、平行に)進行するように、2光束アッセンブリが構成される。その2つの測定軸は、第1測定光束が振れの表面領域に位置決めされると同時に、第2測定光束が基準面の表面領域に位置決めされるように、方向付けられている。なお、基準面の表面領域は、振れの表面に隣接する位置に設けられている。また、2光束アッセンブリは、光学ペンに相対的な位置に固定されている。
工程1624にて、第1および第2測定光束に起因する複数の測定セットを取得するために、光学ペンに対して振れの表面を相対的に移動させる機構を設ける。例えば、2光束光学ペンが、基準の構造体または機械フレームに取り付けられ、ワークピースが、リニア軸受装置または回転軸受装置で移動させられる場合が挙がる。この機構による移動は、サブルーチン(例えば、図13の工程1330での測定動作、および、工程1330および/または工程1340で実行されるワークピースの動作)が終了した後に、実行される。
【0108】
図17は、軸受装置で表面が動作(motion)する中の、その表面の横揺れ、または縦揺れの測定のための2光束クロマティックポイントセンサの測定方法を構成するための典型的なサブルーチン1700のフロー図である。
工程1721にて、本センサ装置の構成において使用する2つの測定光束間の間隔距離SEPPを(例えば、横揺れ測定のために、動作方向に垂直な方向、または、縦揺れ測定のために、動作方向に平行な方向において、)決定する。
工程1722にて、測定を起動する。この測定では、固定されたZオフセットが、少なくとも最小値(例えば、0.05*R)になる。また、この測定では、2つの測定光束が、2光束クロマティックポイントセンサ装置の検出器の測定範囲内で、区別できる2つの測定ピークを分離生成する。
工程1723にて、第1および第2測定光束が2つの測定軸に沿って進行するように、2光束アッセンブリが構成される。その2つの測定軸は、第1測定光束が横揺れまたは縦揺れを有する第1表面領域に位置決めされると同時に、第2測定光束が横揺れまたは縦揺れを有する第2表面領域に位置決めされるように、方向付けられている。
工程1724にて、第1および第2測定光束に起因する複数の測定セットを取得するために、光学ペンに対して横振れの表面(roll surface)を相対的に移動させる機構を設ける。例えば、2光束光学ペンが、基準の構造体または機械フレームに取り付けられ、ワークピースが、リニア軸受装置または回転軸受装置で移動させられる場合を挙げる。この機構による移動は、サブルーチン(例えば、図13の工程1330での測定動作、および、工程1330および/または工程1340で実行されるワークピースの動作)が終了した後に、実行される。
横揺れ角度または縦揺れ角度の変化と動作の関係を、第1および第2の測定光束の各測定の差の変化を決定することによって、計算することができる。各測定の差の変化は、寸法SEPPで分離された異なる動作位置における複数の測定セットより得ることができる。
【0109】
図18A−18Dは、2光束アッセンブリ1801を含む機器配置1800を搭載し、また使用する典型的な実施形態を説明するための図である。
顕微鏡タイプのマシンビジョン検査装置に、前記機器配置1800が搭載され、使用される。このマシンビジョン検査装置は、光学イメージング装置1834を備えている。このことは、同時継続中で同一出願人によるUS特許出願公開第2009/0109285号公報、および、同一出願人によるUS特許第7,454,053号公報に記載されている。
画像測定機器とその制御装置の様々な態様は、また、2004年3月25日に出願され、同一出願人によるUS特許第7,324,682号公報、および、2003年8月4日に出願され、同一出願人によるUS特許出願公開第2005/0031191号公報にも、より詳しく記載されている。
【0110】
US特許第7,324,682号公報、および、US特許出願公開第2005/0031191号公報に詳しく記載されているように、マシンビジョン検査装置は、制御装置部分を含むことができる。この制御装置部分は、取り込みさらに蓄積したワークピース検査画像を、そのワークピース検査画像からワークピース性状を検査・分析するために、呼び戻すことが容易にできて、その検査結果を蓄積および/または出力することもできる。
【0111】
図18Aに示すように、対物レンズ1870を含む光学イメージング装置1834は、光軸OAを有し、ワークピース1880の表面を拡大して画像表示する。Z軸ガイド用軸受1834aに沿って動作することで焦点が合う。ワークピース1880は、ワークピース・ステージ1872上の光学イメージング装置1834の視野(FOV)内に配置されている。このワークピース・ステージ1872は、ガイド軸受1872a上をX−Y軸に沿って移動できる。
マシンビジョン検査装置は、機械的なプローブ装置1836、および、関連する制御ソフトウェアを含むことができる。これらにおおよそ同等の構成は、イリノイ州オーロラに設立されたミツトヨ・アメリカ・コーポレーション(MAC)から入手できる視覚装置のQUICK VISION(登録商標)QV Apex seriesを用いることにより、入手可能である。
プローブ装置1836は、2光束アッセンブリ1801を取り付けた光学ペン120を保持するために用いられ、また、様々な測定機能手段を接続して使用するためにも用いられる。
この構成では、ワークピース・ステージ1872およびワークピース1880を移動させるために、マシンビジョン制御装置を利用しているだけでなく、これと同時に、ワークピース1880に関係付けた位置に光学ペン120および2光束アッセンブリ1801を自動位置決めするために、プローブ装置1836を制御する標準的なマシンビジョン(機械視覚)の技術を組み合わせた標準的な座標測定装置の技術を利用している。これによって、図13〜図17について上述した構成のような測定機能を実行できる。
【0112】
図18Aに示すように、プローブ装置1836は、Z軸ガイド軸受1836aに沿って移動可能であり、プローブヘッド・アッセンブリ1839を含むことができる。このプローブヘッド・アッセンブリ1839は、Z軸回りおよびZ軸に垂直な軸回りに回転するモータ付きヘッド1845を有する。
2光束アッセンブリ1801を有する光学ペン120は、接続部材1844を介して、モータ付きヘッド1845に機械的に接続されている。また、光ファイバ112が光学ペン120と光学ペン用電子機器部分160を接続している。
一実施形態では、モータ付きヘッド1845として、レニショー(登録商標)の刊行物に記載された「PH10モータ付きヘッド・シリーズ」(Gloucestershire, UK Renishaw PLC製)のうちの1つを用いることができる。
図18Aには、典型的な制御回路および/または処理手順を表わすブロックも示す。ブロック図は、コンピュータおよびユーザ・インターフェース1860、および、視覚装置のコントローラ1810を含む。この視覚装置のコントローラ1810は、光学ペン用電子機器部分160とプローブ・ヘッドのコントローラ1830との情報伝達のためのホスト・システムの役目を果たす。全て、互いに内部接続されており、また、電源および制御バス1815によってマシンビジョン検査装置の様々な構成要素にも接続されている。図18Aの実施形態では、電源および制御バス1815が、接続部材1892を介してプローブ装置1836へも接続されている。
光学ペン用電子機器部分160は、2光束アッセンブリを有する光学ペンを使った測定を実行することができ、また、コンピュータおよびユーザ・インターフェース1860および/または視覚装置のコントローラ1810との間で、制御信号および情報信号を交換することができる。
全体として、先行技術の類似する動作のために使用される構成に類似または一致する構成要素や動作を用いる、上述した様々なブロックを構成することができる。
様々な実施形態において、一般的な信号演算器などを使えば、上述したブロックの動作を実行できることが認識されるだろう。また、様々な実施形態において、様々なブロックに関連付けられた回路および/または処理手順を統合でき、または区別できないように構成できることが認識されるだろう。
【0113】
図18B、18Cは、それぞれ、あるタイプの測定動作中の2光束アッセンブリ1801およびワークピース1880の縦断面図および横断面図である。
図18B,18Cに示すように、第1測定光束FMBは、ワークピース1880の第1表面領域FSRに向かって進行すると同時に、第2測定光束SMBは、第2表面領域SSRに向かって進行する。
2光束アッセンブリ1801をワークピース1880に相対的に位置決めし、また、移動するために、プローブ装置1836およびワークピース・ステージ1872のいずれかまたは両方を利用できる。このようにすることで、第1測定光束FMBが第1表面領域FSRに沿ってスキャンでき、同時に、第2測定光束SMBが第2表面領域SSRに沿ってスキャンできる。そして、複数の測定セットの測定位置を取得することができる。
【0114】
図18Dは、ワークピース1880を立体的に示した図である。同図は、第1および第2測定光束FMB,SMBがそれぞれ第1および第2表面領域FSR,SSRに沿ってスキャンできるように、2光束アッセンブリ1801および/またはワークピース1880を互いに相対的に(例えば、Y軸方向に沿って)移動させた際に得られる、第1および第2測定光束FMB,SMBに起因する測定位置を指し示している。
図18Dに示すように、第1測定位置において、1つの測定セットを取得できる。その測定セットは、第1表面測定点FSMP1および第2表面測定点SSMP1を含む。これらの測定点は、第1表面領域FSR上の第1測定光束FMBおよび第2表面領域SSR上の第2測定光束SMBをそれぞれ利用して得られる。
第2測定位置において、第1および第2表面測定点FSMP2,SSMP2の同様のセットを取得できる。また、第3測定位置において、第1および第2表面測定点FSMP3,SSMP3の同様のセットを取得できる。追加の測定点も同様の方法で取得できる。
【0115】
様々な実施形態において、測定点のセットを、様々な測定(例えば、ワークピース1880の選択寸法の測定、または、上述した図13〜図17に示した他の測定)の決定に利用できる。
特定の一実施例において、図18Dで説明したような測定点のセットを、第1および第2表面領域FSR,SSRを同時に、表面粗さおよび/または平坦度または振れなどについて測定する際に利用できる。
もし、動作をX軸およびZ軸方向に分解できるならば、第1および第2表面領域FSR,SSR間の交角Aの測定、または、様々な位置(例えば、位置A1,A2,A3)での交角Aの変化の測定に、使用できる測定のセットを提供することができる。
【0116】
図19A−19Dは、2光束アッセンブリ1901のための機器配置1900を搭載し、また使用する真円度測定装置の典型的な実施形態を説明するための図である。
真円度測定装置1902(すなわち真円度試験器)に、前記機器配置1900が搭載され、使用される。この真円度測定装置は、US特許第号5,926,781公報に記載されている。
【0117】
図19Aに示すように、真円度測定装置1902は、真円度測定器の処理手段1929に制御信号および情報信号ケーブル1931によって接続されている。
真円度測定装置1902は、図示しないモータを内蔵する主筐体1903を含むことができる。そのモータは、駆動スピンドルを介して芯出しおよび水平出しユニット1905および回転テーブル1907を様々な角度に回転させるために制御される。その角度は、図示しないロータリーエンコーダを使用して測定される。芯出しおよび水平出しユニット1905には、芯出しおよび水平出し用ノブが設けられている。コラム1915は、主筐体1903から上方に伸びる。スライダ1917は、コラム1915を上下に移動できて、水平方向に伸びるアーム1919を運ぶ。アーム1919の端部は、プローブ・ホルダ1921を移動させることができる。このプローブ・ホルダ1921は、2光束アッセンブリ1901を取り付けた光学ペン120を支持するために配置されている。また、プローブ・ホルダ1921は、真円度測定装置1902によって様々な測定機能手段を接続する場合にも使用される。光ファイバ112が光学ペン120と光学ペン用電子機器部分160を接続している。光学ペン用電子機器部分160は、制御信号および情報信号ケーブル1931’によって処理手段1929に接続されている。処理手段1929は、光学ペン用電子機器部分160との情報伝達のためのホスト・システムの役目を果たす。
この構成では、図13〜図17にて上述したような測定機能手段を発揮するために、プローブ・ホルダ1921と光学ペン120と2光束アッセンブリ1901とをワークピース1980に相対的に位置決めする際、また、回転テーブル1907とワークピース1980を回転させる際に、標準的な真円度測定装置の技術が利用される。
例えば、光学ペン120および2光束アッセンブリ1901からの出力信号から読み出された値は、複数の測定位置(例えば、測定傾斜位置)として記録される。この複数の測定位置は、回転テーブル1907が回転する際に、駆動スピンドル軸の外周方向に所定間隔で設けられる。
【0118】
図19B,19Cは、それぞれ、あるタイプの測定動作中の2光束アッセンブリ1901およびワークピース1980の縦断面図および横断面図である。
図19B,19Cに示すように、第1測定光束FMBは、ワークピース1980の第1表面領域FSRに向かって進行すると同時に、第2測定光束SMBは、ワークピース1980の第2表面領域SSRに向かって進行する。
回転テーブル1907が回転すると、第1測定光束FMBは、第1表面領域FSRに沿ってスキャンすると同時に、第2測定光束SMBは、第2表面領域SSRに沿ってスキャンする。そして、既知の回転角度位置における複数の測定セットの測定位置を取得することができる。例えば、各傾斜位置での溝の同心度および/または深さの決定に使用できる測定位置を取得できる。
【0119】
図19Dは、第1および第2表面領域FSR,SSRの一部分を除去して立体的に示した図である。同図は、ワークピース1980を回転させた際の、第1および第2測定光束FMB,SMBに起因する測定位置を指し示す。
図19Dに示すように、第1測定位置において、1つの測定セットを取得できる。その測定セットは、第1表面測定点FSMP1および第2表面測定点SSMP1を含む。これらの測定点は、第1表面領域FSR上の第1測定光束FMBおよび第2表面領域SSR上の第2測定光束SMBをそれぞれ利用して得られる。
第2測定位置において、第1および第2表面測定点FSMP2,SSMP2の同様のセットを取得できる。また、第3測定位置において、第1および第2表面測定点FSMP3,SSMP3の同様のセットを取得できる。追加の測定点も同様の方法で取得できる。
【0120】
一実施形態では、複数の測定セットの測定点(例えば、測定点FSMP1,SSMP1、測定点FSMP2,SSMP2、測定点FSMP3,SSMP3など)が、ワークピース1980の測定を決定する際に利用される。
特定の一実施例において、第1および第2表面測定点FSMP1,SSMP1が寸法D1を決定する箇所において、その測定点を溝深さ/ステップ高さの決定に利用できる。すなわち、第1測定点における溝深さ/ステップ高さに対応する。
同様に、第1および第2表面測定点FSMP2,SSMP2が寸法D2を決定すると同時に、第1および第2表面測定点FSMP3,SSMP3が寸法D3を決定する。対応する測定点にそれぞれ対応した溝深さ/ステップ高さになる。
【0121】
図18A〜図18Dおよび図19A〜図19Dに示された構成に加えて、加えられた構成が、複数の測定セットを取得できることが認識されるだろう。例えば、スキャン動作を作り出すために異なる機構を利用してもよい。また、異なる方向付け、および、異なる2光束アッセンブリの構成(例えば、図2〜図12に説明されたように)を、取得したい測定に応じて、利用してもよい。
本発明に係る方法の利点は、従来技術に比べて、共通モードの表面うねり(例えば、切削ツールの迷走(ふらつき)や振動が原因となって生じるもの)が、溝やステップの寸法測定に影響を与えないこと、また、単一の光学ペンにより2つの測定を実行できることである。
さらに、異なる軸または線に沿った一連の測定を実行するために、ペンおよび/または測定表面を異なる二つの寸法または軸に沿ってスキャンする必要が無いという利点もある。このことは、測定の迅速化および測定精度の改善(すなわち、振動やステージの動作などが打ち消し合うため)につながる。
特定の実施形態では、ステージの動的な横揺れ(roll)、縦揺れ(pitch)または首振り(yaw)を測定する。ここに開示された2光束アッセンブリやその動作方法を使わないで、従来技術によって、これらの特定タイプの測定を実行する場合には、高価で大きくて扱いにくい干渉計や特別な光学系が使用されてきた。
これに対して、本発明の2光束アッセンブリおよびその動作方法には、従来技術である干渉測定構造を超える利点がある。本発明のセンサ装置およびその動作方法は、構成し易く、高価な構成要素が少なく(すなわち、簡単な光学系になり)、測定に必要な空間が少なくて済む(すなわち、光学系が小さくなる)。
【0122】
ここには、本発明の好適な実施形態が図示および記載されているが、図示および記載されたような機器配置や処理手順に関して多くの変形例が存在することは、ここに開示した技術分野の当業者にとって明白である。このように、ここでは本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことが可能である。
【0123】
なお、本発明に係る2光束アッセンブリの構成は、以下のようにするとよい。
2光束アッセンブリは、測定範囲Rを有する1の光源光束を供給するクロマティック共焦点ポイントセンサペン(光学ペン)に取り付け可能で、前記光源光束に基づく2つの測定光束を生成するためのものである。
前記2光束アッセンブリは、前記クロマティック共焦点ポイントセンサペンに取り付けられる取付要素と、第1反射要素と、を備える。
前記2光束アッセンブリは、前記クロマティック共焦点ポイントセンサペンに前記取付要素を操作可能に取り付ける際に、前記第1反射要素が、前記光源光束の光軸上に配置されて、前記光源光束を第1測定光束および第2測定光束に分割するように、構成されている。
また、前記2光束アッセンブリは、前記第1測定光束を第1測定軸に沿って、および、前記第2測定光束を第2測定軸に沿って、それぞれワークピースの異なる部分に向けて出射すると共に、前記第1測定光束および前記第2測定光束に起因するワークピース測定光を前記クロマティック共焦点ポイントセンサペンに戻すことを特徴とする。
【0124】
また、前記2光束アッセンブリにおいて、前記第1反射要素は、反射領域と透過領域からなる1つのパターンを含んでいる。
【0125】
また、前記2光束アッセンブリにおいて、前記反射領域は平面状の反射鏡領域を含んでおり、前記透過領域は開口である。
【0126】
また、前記2光束アッセンブリにおいて、前記反射領域は前記光源光束の中に全反射エリアを持ち、また、前記透過領域は前記光源光束の中に全透過エリアを持ち、そして、前記全反射エリアは、前記全透過エリアの±25%以内の大きさである。
【0127】
また、前記2光束アッセンブリにおいて、前記第1反射要素の前記パターンは、その中心を通る線に対して反射のシメントリ性を有している。
【0128】
また、前記2光束アッセンブリは、更に、前記第2測定光束の進行方向を、前記第2測定軸に沿って変更するように構成された第2反射要素を含んでいる。
【0129】
また、前記2光束アッセンブリにおいて、前記第2反射要素は、第1の平面状の反射鏡を含んでいる。
【0130】
また、前記2光束アッセンブリは、前記第1反射要素および前記第2反射要素の反射平面が互いに平行になるように構成されている。
【0131】
また、前記2光束アッセンブリは、前記第1反射要素および前記第2反射要素の反射平面が互いに直交するように構成され、また、前記第1測定軸および前記第2測定軸が互いに平行、かつ逆方向に向かうように配置されている。
【0132】
また、前記2光束アッセンブリは、前記第1測定軸が前記クロマティック共焦点ポイントセンサペンの光軸と直角になるように、かつ、前記第2測定軸が前記第1測定軸に平行になるように構成されている。
【0133】
また、前記2光束アッセンブリは、前記第1測定軸および前記第2測定軸が、前記クロマティック共焦点ポイントセンサペンの光軸に対して横向きになるように構成されている。
【0134】
また、前記2光束アッセンブリにおいて、前記取付要素は、前記第1測定軸および前記第2測定軸のうちの一方に平行、または直交する外部軸合わせ面を少なくとも1つ含んでいる。
【0135】
また、前記2光束アッセンブリにおいて、前記取付要素は以下のように構成された一つの境界面を含んでいる。すなわち、前記取付要素の境界面が前記クロマティック共焦点ポイントセンサペンの境界面と接するときに、前記第1測定軸および前記第2測定軸の少なくとも一つが、前記クロマティック共焦点ポイントセンサペンの光軸に平行または直交になるように、前記取付要素の境界面が構成されている。
【0136】
また、前記2光束アッセンブリにおいて、前記第2測定軸は、前記第1測定軸に対して横向きになるように設けられているのが良い。
【0137】
また、前記2光束アッセンブリにおいて、前記第1反射要素の反射面と前記第2反射要素の反射面との間の前記第2測定光束に沿った距離SEPPは、前記クロマティック共焦点ポイントセンサペンの最大焦点距離MF未満であるのが良い。
【0138】
また、前記2光束アッセンブリにおいて、前記距離SEPPは、前記測定範囲R未満であるのが良い。
【0139】
また、前記2光束アッセンブリにおいて、前記距離SEPPは、少なくとも前記測定範囲Rであるのが良い。
【0140】
また、前記2光束アッセンブリは、少なくとも以下の(a),(b)のうちの一つを含んでいるのがよい。
(a)前記第1反射要素の反射平面を前記光源光束の光軸に沿って調整して位置決めできるように、前記取付要素に対して前記第1反射要素を相対的な位置に調整して位置決めすることができる調整機能付き取付具。
(b)前記第1反射要素の反射平面を前記光源光束の光軸に沿って調整して位置決めできるように、前記クロマティック共焦点ポイントセンサペンに対して前記取付要素を相対的な位置に調整して位置決めすることができる調整機能付き取付アレンジメント。
【0141】
また、前記2光束アッセンブリは、前記第2反射要素の反射平面を前記第2測定光束の光軸に沿って調整して位置決めできるように、前記第1取付要素に対して前記第2反射要素を相対的な位置に調整して位置決めすることができる調整機能付き取付アレンジメントを含んでいると良い。
【0142】
また、前記2光束アッセンブリにおいて、前記第1反射要素は、少なくとも1つの部分反射面および少なくとも1つの部分透過面を有する1つのプリズム要素を含んでいると良い。
【0143】
また、前記2光束アッセンブリにおいて、前記2光束アッセンブリおよび前記クロマティック共焦点ポイントセンサペンの少なくとも一方は、更に、単一の共焦点開口部を含んでおり、この単一の共焦点開口部が分光器へ2つの信号を提供するように構成されていると良い。
【0144】
また、前記2光束アッセンブリにおいて、前記第1反射要素は、反射領域および透過領域を有する1つのパターンを含んでいて、
前記反射領域は、前記光源光束の中に形成された全反射エリアを持ち、また、前記透過領域は前記光源光束の中に形成された全透過エリアを持ち、そして、前記全反射エリアは、前記全透過エリアとの面積差が少なくとも±5%以内であると良い。
【0145】
また、前記2光束アッセンブリにおいて、前記第1測定光束からの測定に比べて、前記第2測定光束からの測定には固定されたZオフセットが含まれている。また、前記2光束アッセンブリは、ステップ高さの特定の呼び寸法を測定できるように構成されている。また、固定された前記Zオフセットと前記ステップ高さの呼び寸法との差は、測定範囲Rの5%より大きくなるように構成されている。
【0146】
また、前記2光束アッセンブリにおいて、前記第1測定軸および第2測定軸は一致していない方がよい。
【符号の説明】
【0147】
100 クロマティックポイントセンサ装置
120 クロマティック共焦点ポイントセンサペン(光学ペン)
190 第1表面
190’ 第2表面
195 ファイバ開口部(共焦点開口部)
200,400,800,900,1000,1200,1801,1901
2光束アッセンブリ
210,410,810,910,1010,1210 第1反射要素
402,802,902,1002 取付要素
1836 プローブ装置(移動装置)
1872 ワークピース・ステージ(移動装置)
1902 真円度試験器
FMB 第1測定光束
SMB 第2測定光束
FSR 第1表面領域
SSR 第2表面領域
FSMP1〜FSMP3,SSMP1〜SSMP3 測定位置
MA1 第1測定軸
MA2 第2測定軸
OFFSET オフセット距離
R 測定範囲
R1 第1測定範囲
R2 第2測定範囲
SB 光源光束
SEPP 間隔距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定範囲Rを有する1の光源光束を供給するクロマティック共焦点ポイントセンサペン(光学ペン)に取り付け可能で、前記光源光束に基づく2つの測定光束を生成するための2光束アッセンブリであって、
前記2光束アッセンブリは、
前記クロマティック共焦点ポイントセンサペンに取り付けられる取付要素と、
第1反射要素と、を備え、
前記2光束アッセンブリは、前記クロマティック共焦点ポイントセンサペンに前記取付要素を操作可能に取り付ける際に、前記第1反射要素が、前記光源光束の光軸上に配置されて、前記光源光束を第1測定光束および第2測定光束に分割するように、構成され、
また、前記2光束アッセンブリは、前記第1測定光束を第1測定軸に沿って、および、前記第2測定光束を第2測定軸に沿って、それぞれワークピースの異なる部分に向けて出射すると共に、前記第1測定光束および前記第2測定光束に起因するワークピース測定光を前記クロマティック共焦点ポイントセンサペンに戻すことを特徴とする2光束アッセンブリ。
【請求項2】
請求項1記載の2光束アッセンブリにおいて、少なくとも以下の(a),(b)のうちの一つを含むことを特徴とする2光束アッセンブリ。
(a)前記第1反射要素の反射平面を前記光源光束の光軸に沿って調整して位置決めできるように、前記取付要素に対して前記第1反射要素を相対的な位置に調整して位置決めすることができる調整機能付き取付具
(b)前記第1反射要素の反射平面を前記光源光束の光軸に沿って調整して位置決めできるように、前記クロマティック共焦点ポイントセンサペンに対して前記取付要素を相対的な位置に調整して位置決めすることができる調整機能付き取付アレンジメント
【請求項3】
請求項1または2記載の2光束アッセンブリにおいて、更に、前記第2測定光束の進行方向を、前記第2測定軸に沿って変更するように構成された第2反射要素を含むことを特徴とする2光束アッセンブリ。
【請求項4】
請求項3記載の2光束アッセンブリにおいて、前記第2反射要素の反射平面を前記第2測定光束の光軸に沿って調整して位置決めできるように、前記第1取付要素に対して前記第2反射要素を相対的な位置に調整して位置決めすることができる調整機能付き取付アレンジメントを含むことを特徴とする2光束アッセンブリ。
【請求項5】
2つの表面領域を同期測定するクロマティックポイントセンサ装置の動作方法であって、前記センサ装置は、共焦点開口部を有する光学ペンを含んでおり、前記動作方法は、
前記センサ装置からの第1測定光束を、少なくともワークピース上にある第1表面領域上に位置決めすると共に、前記センサ装置からの第2測定光束を第2表面領域上に位置決めする工程と、
前記第1測定光束および前記第2測定光束に起因するワークピース測定光を、前記センサ装置および前記共焦点開口部に逆方向に通して、該ワークピース測定光を受光する受光工程と、
前記第1測定光束に起因する第1測定、および、前記第2測定光束に起因する第2測定をそれぞれ含む少なくとも1の測定セットを決定する工程と、
前記少なくとも1の測定セットに基づいて、ワークピースの性状測定、および、ワークピース性状の位置による変化の少なくとも1つを決定する工程と、
を備えることを特徴とするクロマティックポイントセンサ装置の動作方法。
【請求項6】
請求項5記載の動作方法において、
前記測定セットを取得するために、前記第1表面領域と前記クロマティックポイントセンサ装置の少なくとも一方を、互いに相対的に移動させることを特徴とするクロマティックポイントセンサ装置の動作方法。
【請求項7】
請求項6記載の動作方法において、前記移動は直線移動であることを特徴とするクロマティックポイントセンサ装置の動作方法。
【請求項8】
請求項6記載の動作方法において、前記光学ペンは、マシンビジョン検査装置に搭載され、前記移動は、前記マシンビジョン検査装置の移動装置によって行なわれることを特徴とするクロマティックポイントセンサ装置の動作方法。
【請求項9】
請求項6記載の動作方法において、前記移動は回転移動であることを特徴とするクロマティックポイントセンサ装置の動作方法。
【請求項10】
請求項6記載の動作方法において、前記光学ペンは、真円度試験器に搭載され、前記移動は、前記真円度試験器によって行なわれることを特徴とするクロマティックポイントセンサ装置の動作方法。
【請求項11】
請求項6記載の動作方法において、前記複数の測定セットを取得するために、
前記移動では、前記第1測定光束による前記第1表面領域に沿ったスキャンと、前記第2測定光束による前記第2表面領域に沿ったスキャンとを行なうことを特徴とするクロマティックポイントセンサ装置の動作方法。
【請求項12】
請求項11記載の動作方法において、前記第1測定光束および第2測定光束は、平行にされて、
前記第1表面領域は、溝の底面または低い方のステップの少なくとも一方の表面領域であり、また、前記第2表面領域は、溝の肩部または高い方のステップの少なくとも一方の表面領域であり、
そして、前記複数の測定セットとは、前記溝/ステップに沿った複数位置での、前記溝/ステップの高さまたは高さの変化の少なくとも一方の測定を指し示すことを特徴とするクロマティックポイントセンサ装置の動作方法。
【請求項13】
請求項12記載の動作方法において、前記クロマティックポイントセンサ装置は、前記第1測定光束に対応する第1測定範囲と前記第2測定光束に対応する第2測定範囲との間のZオフセットから、前記溝/ステップの前記高さの呼び寸法相当量を引いた値が、前記クロマティックポイントセンサ装置の測定範囲R未満であり、かつ、少なくとも前記測定範囲Rの5%であるように構成されていることを特徴とするクロマティックポイントセンサ装置の動作方法。
【請求項14】
請求項6記載の動作方法において、前記第1測定光束および前記第2測定光束は、互いに逆方向に向けられ、
前記第1表面領域は、溝/隙間の第1側面上であり、また、前記第2表面領域は、溝/隙間の反対側の第2側面上であり、
そして、前記複数の測定セットとは、前記溝/隙間に沿った複数位置での、前記溝/隙間の幅または幅の変化の少なくとも一方の測定を指し示すことを特徴とするクロマティックポイントセンサ装置の動作方法。
【請求項15】
請求項6記載の動作方法において、前記第1測定光束および前記第2測定光束は、平行にされて、
前記第1表面領域は、振れを有する表面領域であり、また、前記第2表面領域は、前記クロマティックポイントセンサ装置に相対する位置に固定された基準面領域であり、
そして、前記複数の測定セットとは、前記振れを有する表面に沿った複数位置での、前記基準面から前記振れを有する表面までの高さまたは高さの変化の少なくとも一方の測定を指し示すことを特徴とするクロマティックポイントセンサ装置の動作方法。
【請求項16】
請求項15記載の動作方法において、前記クロマティックポイントセンサ装置は、前記第1測定光束に対応する第1測定範囲と前記第2測定光束に対応する第2測定範囲との間のZオフセットから、前記振れを有する表面と前記基準面との間の呼び高さの差の相当量を引いた値が、前記クロマティックポイントセンサ装置の測定範囲R未満であり、かつ、少なくとも前記測定範囲Rの5%であるように構成されていることを特徴とするクロマティックポイントセンサ装置の動作方法。
【請求項17】
請求項6記載の動作方法において、
前記第1測定光束および前記第2測定光束は、平行にされて、
前記第1表面領域および前記第2表面領域は、前記ワークピース上であり、
前記複数の測定セットを取得する際に、前記第1測定光束および前記第2測定光束の測定軸間には、間隔が設けられ、前記間隔は、動作方向に垂直な間隔距離SEPPROLL、および、動作方向に平行な間隔距離SEPPPITCHの少なくとも一方の間隔であることを特徴とするクロマティックポイントセンサ装置の動作方法。
【請求項18】
請求項17記載の動作方法において、前記間隔は、前記クロマティックポイントセンサ装置の測定範囲R未満であることを特徴とするクロマティックポイントセンサ装置の動作方法。
【請求項19】
請求項17記載の動作方法において、前記動作方向に平行な軸に対する前記ワークピースの横揺れ角度を決定するために、前記複数の測定セットは、前記間隔距離SEPPROLLの値と組み合わせて、使用されることを特徴とするクロマティックポイントセンサ装置の動作方法。
【請求項20】
請求項19記載の動作方法において、前記動作方向に平行な軸に対する前記ワークピースの縦揺れ角度を決定するために、前記複数の測定セットは、前記間隔距離SEPPPITCHの値と組み合わせて、使用されることを特徴とするクロマティックポイントセンサ装置の動作方法。
【請求項21】
請求項5記載の動作方法において、前記クロマティックポイントセンサ装置は、前記第1測定光束に対応する第1測定範囲と前記第2測定光束に対応する第2測定範囲との間のZオフセットが、前記クロマティックポイントセンサ装置の測定範囲Rの5%より大きくなるように構成されていることを特徴とするクロマティックポイントセンサ装置の動作方法。
【請求項22】
請求項5記載の動作方法において、前記クロマティックポイントセンサ装置は、前記第1測定光束に対応する第1測定範囲と前記第2測定光束に対応する第2測定範囲との間のZオフセットが、前記クロマティックポイントセンサ装置の測定範囲R未満になるように構成されていることを徴とするクロマティックポイントセンサ装置の動作方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2012−47743(P2012−47743A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184050(P2011−184050)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】