説明

MOCVD装置

【課題】結晶成長中において基板の形状を計測し、かつ原料ガスの流れの乱れを少なくすることができるMOCVD装置を提供する。
【解決手段】本発明のMOCVD装置は、原料ガス38aを供給して基板33の被処理面に結晶を成長させ、基板33の被処理面に面した壁に、基板33の被処理面の中央部を望み得る窓30cを有する反応室30と、反応室30に設けられ、基板33を載置して回転(移動)させるための回転台(移動台)31と、回転台31によって回転する基板33の被処理面に、窓30cを介してレーザー光40aを垂直に照射するとともに、被処理面から反射したレーザー光40bを、窓30cを介して受光して、ドップラー効果を利用して基板33の回転速度を計測するための第1の速度計測手段40と、第1の速度計測手段40による計測結果を処理して基板33の形状情報を出力するための処理手段41とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハなどの基板上にガスを利用して結晶成長させるMOCVD装置に関し、特に、反応室の内部における基板の形状を結晶成長中に計測可能な計測装置を備えたMOCVD装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザー素子、LED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)素子等の化合物半導体の製造には、MOCVD(有機金属化学気相成長法;Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置もしくはMBE(分子線エピタキシー法;Molecular Beam Epitaxy)装置が広く用いられている。
【0003】
特に、MOCVD装置は有機金属やその他のガスを用いて結晶成長を行う装置であって、MBE装置と比較して生産性、メンテナンス性が良いことから、工業的に素子を量産する場合には一般にMOCVD装置が使用されている。
【0004】
例えば、図6は、従来のMOCVD装置の一例を示す概略の構成図である。このMOCVD装置は、原料ガス12が流路を横方向に水平に流れることから一般に横型MOCVD装置と呼称される。
【0005】
この横型MOCVD装置1は、図6に示すように、反応室2と、反応室2を貫通する原料ガス12の流路とを有している。流路は、一端にガス吹き出し口11が設けられ、他端に排出経路14が設けられている。また、流路の略中央部には開口部が形成されており、開口部には載置プレート5が設置され、載置プレート5は基板3もしくは基板3を保持する基板保持部材を有している。また、載置プレート5の下部には基板3を加熱するためのヒーター8が設置されている。
【0006】
原料ガス12は、結晶膜の原料としてガス吹き出し口11から供給されて、載置プレート5上に載置されかつヒーター8によって加熱された基板3上を通過した後、排気経路14より排気される。その結果、基板3上の近傍で所望の化学反応が行われることによって基板3上に所望の結晶成長が実行される。
【0007】
なお、載置プレート5は回転機構によって回転する場合もある。また、載置プレート5の周囲には、反応室2内部の空間を隔てる略平行な隔壁10が設けられている。
【0008】
このようなMOCVD装置1は、同時に結晶成長できる基板の枚数が1〜3枚程度と少ないが、装置の構造が単純で規模も小さく、また原料ガス12の流れの均一性が得やすいため、研究目的から高品質結晶の生産まで広く用いられている。
【0009】
また、図7は、従来のMOCVD装置の他の一例を示す概略の構成図である。このMOCVD装置1’において、図8に示すように、反応室2の内部には複数枚(本例では6枚)の基板3が、回転台4の上面に設けられた複数の載置プレート5に載せられている。
【0010】
図7に示すように、回転台4は回転軸6の上端に支持されており、回転軸6はモーター7によって回転するようになっている。また、回転台4の上面に設けられた複数の載置プレート5は、それぞれ自転するように構成されている。
【0011】
載置プレート5が自転する仕組みとしては、特許文献1に記載のようなギヤの噛み合わせによって回転台4の回転と同期して回転する方法や、特許文献2に記載のような載置プレート5の下より回転駆動用ガスを供給して載置プレート5を浮上・回転させる方法などがある。したがって、載置プレート5上に載せられた基板3は、回転台4の回転と、載置プレート5の自転とで、自転および公転をすることになる。
【0012】
この基板3を自転および公転させる仕組みは、結晶成長層の均一性を向上させるために設けられたもので、結晶成長中にこれらによって基板3を自転および公転させることにより、成長する結晶成長層(膜)の均一性を高めることができる。
【0013】
さらに、回転台4の下方には、ヒーター8が配置されており、ヒーター8によって基板3を加熱するようになっている。回転台4の上方には、反応室2内部の空間を隔てる略平行な隔壁10が設けられている。
【0014】
反応室2の上部には供給配管9が接続されている。この供給配管9の一端はガス供給器13に接続されており、他端は回転台4と隔壁10との間に配置され、ガス吹き出し口11となっている。従って、回転台4の回転軸上から回転台4表面に沿って放射状に、原料ガス12が結晶膜の原料として供給される。
【0015】
ガス供給器13から供給配管9を介して供給された原料ガス12は、載置プレート5上に載せられかつヒーター8によって加熱された基板3上を通過後、回転台4の外周に設けられた排気経路14より排気される。その結果、基板3上の近傍で所望の化学反応が行われることによって基板3上に所望の結晶成長が実行される。
【0016】
なお、MOCVD装置1’においては、自転および公転の仕組みを有する装置、自転のみの仕組みしかない装置、公転のみの仕組みしかない装置、どちらの仕組みも存在しない装置がある。また、隔壁10が存在しない装置もある。
【0017】
MOCVD装置1’は、同時に結晶成長できる基板の枚数が多いため、結晶の生産量の拡大に従って生産現場に普及しつつあるが、MOCVD装置1と比較して材料ガスや温度の均一性に課題がある。
【0018】
また、MOCVD装置において、基板3を加熱し、基板3表面に結晶膜を成長させる際に、結晶成長層と基板との熱膨張差や格子不整合が原因で、基板3が反る場合がある。
【0019】
特に、GaN系化合物半導体を中心とするIII 族窒化物の成膜では、基板が反ることが知られている。例えば、特許文献3には基板が反ることで発生する問題やその解決方法が記載されている。
【0020】
しかしながら、特許文献3は結晶成長後の基板の反りとそれに伴う課題のみに注目しており、MOCVD装置の内部における結晶成長中での基板の反りと、それに伴う課題については一切記載(着目)されていない。
【0021】
結晶成長後に通常の環境下で行う基板の反り測定であれば、例えば特許文献4に記載のように、レーザー光を用いた三角測量の原理を用いた方法を使用することができる。
【0022】
三角測量の原理を用いた方法として、仮に、反応室2内の基板の反りを計測することを考えた場合の各機器の配置を図9に概略図として示す。
【0023】
図9に示すように、レーザー発振器16から発射された計測用レーザー光17は、反応室2に設けられた窓18から反応室2内に入射し、ガスの乱れを抑えるガス整流板となる隔壁10に設けられた穴部19を通って載置プレート5上に載せられた基板3に照射される。基板3に照射された計測用レーザー光17は基板3表面で反射し、穴部19と窓18とを通って受光素子20に到達する。
【0024】
三角測量の原理を用いた方法は高精度な計測が可能であり、計測器の入手も容易なことから様々な用途に広く使用されている。しかしながら、計測には「レーザー光が往復可能な光学的に透明な領域」が必要となる。つまり、図9では、穴部19と窓18とが「レーザー光が往復可能な光学的に透明な領域」にあたる。
【0025】
また、別の計測手段として、例えば特許文献5(特に図1)や特許文献6(特に図5)に記載されている「光てこ法」が考えられる。
【0026】
さらに、図10は、従来の計測器を用いて基板の反り状態を計測する原理を説明する図である。つまり、平行なレーザー光を基板に入射して、基板から反射したレーザースポットを計測器で測定し、レーザースポット間の距離変位を検出することで、基板の反り状態を測定する方法である。図10(a)〜(c)に示すように、基板に照射される平行なレーザー光間の距離をΔXとし、基板から反射されるレーザー光間の距離をΔXとした場合、ΔXと測定したΔXとを比較することで、基板の反り状態を判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開2002−175992号公報(2002年6月21日公開)
【特許文献2】特表2004−513243号公報(2004年4月30日公表)
【特許文献3】特開2005−72561号公報 (2005年3月17日公開)
【特許文献4】特開平10−267648号公報 (1998年10月9日公開)
【特許文献5】特開2007−191761号公報(2007年8月2日公開)
【特許文献6】US7,374,960 (2008年5月29日公開、2008年5月20日登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
しかしながら、特許文献4に記載のようなレーザー光を用いた三角測量は、原料ガスが流れる流路に上述した「レーザー光が往復可能な光学的に透明な領域」を設ける必要があり、かつレーザー光を用いた三角測量はレーザー光の往路と復路とが異なることから、そのどちらもが通過可能な大きな窓18を反応室2に設ける必要があり、かつ隔壁10を有するMOCVD装置の場合は隔壁10に大きな穴部19を設ける必要がある。したがって、ガス整流板となる隔壁10に大きな穴を開けるため、ガスの流れが乱れるとともに、ガス成分が変化する、または、ビューポート汚染が生じるなどの悪影響を及ぼす。
【0029】
一方で、MOCVD装置は原料にガスを使用することはすでに述べたが、原料ガスの組成分布や流速分布が結晶特性に大きく影響することが知られており、安定な生産にはこれら分布を極力乱さないようにしなければならない。
【0030】
また、例えば、図9における隔壁10の穴部19を、例えば石英のような透明な物質(透明部材)で塞ぐ方法や、隔壁10そのものを廃止する方法も考えられるが、実際の結晶成長プロセスでは隔壁10内面に不透明な膜が形成されることが分かっており、穴部19を透明な物質で塞いでも、透明な物質がすぐに不透明となってしまうため、「レーザー光が往復可能な光学的に透明な領域」が失われてしまうという課題がある。
【0031】
さらに、隔壁10を廃止し、窓18の構成要素である透明部材に原料ガス12の作用によって生成物が付着しないように、図9に示すように、反応室2内部から窒素ガス等のパージガス28を透明部材に吹き付ける方法も考えられる。しかしながら、パージガス28によって原料ガス12の流れが乱れ、結晶成長の結果に悪影響を及ぼすという課題が新たに生じる。
【0032】
また、特許文献5,6に記載の方法も、三角測量の原理を用いた方法と同様に、「レーザー光が往復可能な光学的に透明な領域」を設ける必要があり、かつ、互いの距離が明確な複数のレーザー光を基板に照射する必要がある。さらに、三角測量の原理を用いた方法と同様に、大きな窓18を反応室2に設ける必要があり、かつ、隔壁10を有するMOCVD装置の場合は大きな穴部19を隔壁10に設ける必要があるという課題がある。
【0033】
そして、上記二つの計測手段のどちらも、基板に照射したレーザー光の戻り光の戻り位置を計測する方法であって、戻り光の戻り位置を計測するためにCCD(電荷結合素子:Charge Coupled Device) や2(4)分割光ディテクタ、PSD(光位置センサ:Position Sensitive Detector)を使用する。
【0034】
ところが、これらのセンサは基本的に光強度を計測するので、結晶成長中の基板のように高温の物体を計測する場合は基板からの温度輻射がベースノイズとして作用する。このため、計測信号のS/N比が低下してしまい、精度のよい計測が困難になるという課題もある。
【0035】
また、図10のように、基板の反り状態を、レーザーを照射して反射光の間隔変動を検出することで測定すると、原料ガスによる揺らぎが発生して、測定誤差が大きくなる可能性もある。
【0036】
このように、これまで結晶成長中に発生する基板の反りという課題については、存在は知られていたものの、結晶成長中に発生する基板の反りを計測する有効な手段が無かったため、結晶成長終了後の結果から試行錯誤して基板の反りを抑制する方法しか実質的には行われていなかった。
【0037】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、結晶成長中に発生する基板の反りの計測が可能となりかつ原料ガスの流れを乱さない、ドップラー効果を用いた基板の形状の計測装置、その計測装置を備えたMOCVD装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
上記目的を達成するために、本願のMOCVD装置は、原料ガスを供給して被処理基板の被処理面に結晶を成長させるための反応室を備えたMOCVD装置において、上記被処理基板の被処理面に面した反応室の壁は、上記被処理面の中央部を臨み得る窓を少なくとも一つ有し、上記反応室に設けられ、被処理基板を載置して移動させることができる移動台と、上記移動台によって移動する上記被処理基板の被処理面に、上記窓を介してレーザー光を垂直に照射するとともに、被処理面から反射したレーザー光を、上記窓を介して受光して、ドップラー効果を利用して被処理基板の被処理面に対する法線方向での移動速度を計測する第1の速度計測手段と、上記第1の速度計測手段による計測結果を処理して被処理基板の形状情報を出力するようになっている処理手段とを備えることを特徴としている。
【0039】
上記構成によれば、レーザー光によるドップラー効果を利用した第1の速度計測手段を用いることから、レーザー光の往路と復路とが一致していても計測可能であるので、反応室の被処理基板の被処理面に面して形成された窓の大きさを、例えば数mm以下に小さくする(従来よりも小さくする)ことができる。したがって、MOCVD装置では、原料ガスの作用によって窓の構成要素である例えば透明部材に不透明な膜が付着することを防止するために、窓の反応室内側をパージガス雰囲気とする仕組みが必要であるが、上記構成によれば、反応室の内部から窓の透明部材に吹き付けるパージガスの量を最小限にすることができる。それゆえ、MOCVD装置内を流れる原料ガスの流れを上記パージガスの影響によって乱すことなく、被処理基板の形状を計測することができる。
【0040】
また、レーザー光によるドップラー効果を利用して、光強度ではなく周波数のシフトを計測対象とするため、被処理基板の温度による輻射の影響を受けにくいことから、結晶成長中において、被処理基板の形状を、精度よく計測することができる。
【0041】
上記MOCVD装置は、反応室内における被処理基板の被処理面側の上部空間を、当該被処理基板側の空間と反応室の内壁側の空間とに隔てる隔壁を備え、当該隔壁は、反応室の壁の窓から上記被処理面の中央部を臨み得るように、開口部を少なくとも一つ有することが好ましい。
【0042】
上記構成によれば、隔壁によって反応室の窓と被処理基板とを隔てることができるので、窓の構成要素である例えば透明部材に悪影響を与える原料ガスの量が極少量になり、さらに、レーザー光の往路と復路とが一致している場合には隔壁の穴の大きさを例えば数mm以下に小さくする(従来よりも小さくする)ことができる。従って、MOCVD装置内を流れる原料ガスの流れを乱すことなく、被処理基板の形状を計測することができる。
【0043】
上記MOCVD装置は、移動台の移動速度を計測する第2の速度計測手段を備え、上記処理手段は、上記第1の速度計測手段による計測結果を上記第2の速度計測手段による計測結果で処理することで被処理基板の形状情報を出力するようになっていることが好ましい。
【0044】
上記構成によれば、移動台の移動速度の変動が被処理基板の形状の計測結果に与える影響を排除することができる。
【0045】
上記MOCVD装置において、移動台は、被処理基板の被処理面の中央部を避けた被処理面に対して垂直な回転軸を中心として、被処理基板を回転させることができるようになっていることが好ましい。
【0046】
上記構成によれば、MOCVD装置によって、原料ガスを被処理基板の被処理面に導入して結晶を成長する際に、所望の薄膜をより安定に形成し、かつ、薄膜の膜厚および膜の組成を均一化することができる。
【0047】
上記MOCVD装置は、処理手段が出力する上記形状情報に基づいて、装置の動作を制御するための制御パラメータを変更させるようになっていることが好ましい。
【0048】
また、制御パラメータとしては、例えば、被処理基板温度、原料ガス流量、原料ガス温度、被処理基板回転数、もしくはそれらの組み合わせが含まれていることが好ましい。
【0049】
上記構成によれば、処理手段が出力する形状情報に基づいてMOCVD装置の制御パラメータを変更させるので、被処理基板の破損などの回復不可能な事態となる前に回復対応を行い、被処理基板の回復不可能な破損を回避することができるので、コストを低減することができる。また、上記のように、変更させる制御パラメータは、計測、制御、管理が容易であり、再現性のよい結晶成長を行うことができる。
【0050】
その結果、結晶成長中において、被処理基板の形状を計測することができるようになるため、反りなどを抑制する結晶成長条件を、反り量を計測しながら制御することができ、適切な条件を見出すことによって、高品質の結晶成長を行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、レーザー光によるドップラー効果を利用した第1の速度計測手段を用いることから、レーザー光の往路と復路とが一致していても計測可能であるので、反応室の被処理基板の被処理面に面して形成された窓の大きさを、例えば数mm以下に小さくすることができる。したがって、反応室の内部から窓の透明部材に吹き付けるパージガスの量を最小限にすることができる。それゆえ、MOCVD装置内を流れる原料ガスの流れを上記パージガスの影響によって乱すことなく、被処理基板の形状を計測することができる。つまり、従来技術において、レーザー光が通過する窓を小さくすることができないために計測できなかった結晶成長中における被処理基板の形状を、精度よく計測することができる。
【0052】
また、レーザー光によるドップラー効果を利用して、光強度ではなく周波数のシフトを計測対象とするため、被処理基板の温度による輻射の影響を受けにくいことから、結晶成長中において、被処理基板の形状を、精度よく計測することができる。
【0053】
さらに、本発明によれば、被処理基板の破損などの回復不可能な事態となる前に回復対応を行い、被処理基板の回復不可能な破損を回避することができるので、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るMOCVD装置の一例を示す構成図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態に係るMOCVD装置の変形例を示す構成図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態に係るMOCVD装置において、被処理基板が回転台に設置された状態を示す平面図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態に係るMOCVD装置の一例を示す構成図である。
【図5】図5は、本発明の第3実施形態に係るMOCVD装置の一例を示す構成図である。
【図6】図6は、従来技術に係るMOCVD装置の一例を示す概略の構成図である。
【図7】図7は、従来技術に係るMOCVD装置の他の一例を示す概略の構成図である。
【図8】図8は、従来技術に係るMOCVD装置において、被処理基板が回転台に設置された状態を示す平面図である。
【図9】図9は、従来技術に係るMOCVD装置が、レーザー光を用いた三角測量の原理を用いた方法で基板の反りを計測する場合の構成を説明する説明図である。
【図10】図10は、従来技術において基板の反り状態を計測する原理を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0056】
(1)第1実施形態
まず、図1〜3を参照して、本発明の第1実施形態におけるMOCVD装置の構成について説明する。
【0057】
MOCVD装置の概略の構成を表す図1に示すように、本実施形態におけるMOCVD装置100は、基板(被処理基板)の被処理面に結晶成長を実行する反応装置と、反応装置に計測用レーザー光を照射して、結晶成長中において反応装置の基板の反りを計測する計測装置とを有している。
【0058】
反応装置は、原料ガスを供給して基板の被処理面に結晶を成長させるための容器となる反応室30、反応室30の内部に配置される回転台(移動台)31、回転台31の上面に載置される複数の載置プレート32、加熱手段として回転台31の下側に配置されるヒーター34、回転台31の下側に接続される回転軸35、回転軸35を駆動するモーター36、供給配管37を介して反応室30の内部に原料ガス38aを供給するガス供給手段38、および、反応室30の内部を排気する排気手段(図示せず)などを備えている。基板33は、載置プレート32の上面に配置されるようになっている。
【0059】
反応室30には、ガス供給手段38から供給される結晶成長に必要な原料ガス38aの入り口となる供気口(ガス吹き出し口)30a、排気手段(図示せず)に接続されて、反応室30内部の原料ガス等を排出するための排気口30b、および、計測装置から照射される計測用レーザー光が透過可能な窓30cが形成されている。供気口30aは、基板33の被処理面に向かって原料ガス38aを吹き出すことができるように、上記基板33の被処理面に面した反応室30の壁に形成されている。
【0060】
供給配管37は、その一端がガス供給手段38に接続されており、他端は供気口30aを通って反応室30の上部から内部に挿入されている。そして、挿入された先端は、反応室30の上壁と回転台31との間に位置して、ガス吹き出し口37aとなっている。したがって、ガス供給手段38から供給された原料ガス38aは、供給配管37を経由して、回転台31の回転軸上から回転台31表面に沿って放射状に、結晶膜の原料として供給される。反応後のガス(原料ガス等)は、排気口30bに接続されている排気管(図示せず)などを経由して、反応室30から外部に排出される。
【0061】
窓30cは、計測用レーザー光が基板33の被処理面を垂直(実質的に垂直であると見なすことができる場合も含む)に照射することができるように、上記基板33の被処理面に面したその被処理面の中央部(実質的に中央部であると見なすことができる近傍部分も含む)を臨み得るように反応室30の壁に形成されている。排気口30bは、基板33からみて供気口30aの反対側に形成されている。上記窓30cは、反応室30内部へ向かって計測用レーザー光が照射される場所であるので、計測用レーザー光が透過することができるように、例えば石英のような透明な物質(透明部材)で構成されている。
【0062】
ヒーター34は、基板33を加熱するための加熱手段として、回転台31の下側に設置されている。本実施形態においては、加熱手段として、ヒーター34を反応室30に内蔵して設置したが、これに限らず、例えば、反応室30全体を加熱するためにヒーターあるいはコイルなどの加熱手段を反応室30の外周部に設置してもよい。
【0063】
そして、反応室30に、窓30cの構成要素である透明部材に原料ガス38aの作用によって生成物(不透明な膜)が付着することを防止するために、反応室30内部から窒素ガス等のパージガスを透明部材に吹き付ける(反応室30内側をパージガス雰囲気とする)ためのパージ装置(図示せず)を必要に応じて設置することができる。パージ装置の構成は公知であるので、その説明は省略する。
【0064】
回転台31は、円盤状に形成されており、下側に接続された回転軸35によって回転可能であり、反応室30の内部に設置されている。回転台31は、モーター36が回転軸35を駆動することによって、任意の速度で回転するようになっている。
【0065】
回転軸35は、回転台31の底部中央部に接続されている。当該回転軸35は、下端に設けられたモーター36の駆動により回転台31を回転させることにより、載置プレート32の上面に配置されている基板33を回転(公転)させるようになっている。本実施形態においては、回転軸35の下端に設けられたモーター36を反応室30の外部に配置しているが、これに限らず、反応室30の内部に配置することもできる。また、載置プレート32は、基板33を回転(自転)させることができるように回転機構(図示せず)を備えている。したがって、基板33は、被処理面に結晶を成長させるときに、自転および公転を行うようになっている。これにより、原料ガス38aを基板33の被処理面に導入して結晶を成長する際に、所望の薄膜をより安定に形成し、かつ、薄膜の膜厚および膜の組成を均一化することができる。
【0066】
図3に示すように、回転台31上面の外周部分には、複数の載置プレート32が回転台31の同心円上に等間隔で配置されており、各々の載置プレート32の上面には基板33が配置されている。すなわち、回転台31には、基板33がそれぞれ設置されている複数(本実施形態では6つ)の載置プレート32が、互いに隙間Spを介して等間隔に一定の円周上(同心円上)に並べられている。したがって、回転台31を回転させると、6つの基板33の中心33aは、軌跡Lpを辿るようになっている。
【0067】
基板33は、載置プレート32の上面に直接配置される場合の他に、載置プレート32の上面に直接配置しないで、例えば石英や窒化ホウ素などで形成された基板ホルダー(図示せず)を介して配置される場合もある。基板33は少なくとも、結晶が成長される被処理面が、例えば、GaAsやInP、GaN、サファイアからなっている。
【0068】
なお、MOCVD装置100を用いて基板33の被処理面に結晶を成長させるための具体的な工程(製造方法)は公知であるので、その説明は省略する。
【0069】
図1に示すように、計測装置は、反応装置内の基板33の被処理面に対する法線方向での移動速度を計測するための第1の速度計測手段40と、第1の速度計測手段40による計測結果を予め設定された処理方法によって処理して基板33の形状情報(反り状態などの情報)を出力するための処理手段41とを備えている。また、MOCVD装置100は、上記処理手段41が出力する上記形状情報に基づいて、反応装置の動作を制御するための制御パラメータを変更させるようになっている制御手段(図示せず)を備えている。
【0070】
第1の速度計測手段40は、レーザー光によるドップラー効果の原理を用いた速度計測手段である。そして、レーザー光によるドップラー効果の原理を用いた速度計測手段とは、計測用レーザー光を対象物に照射して当該対象物で反射した戻り光を受光し、対象物の速度によって戻り光の周波数がシフト(変化)するドップラー効果を用いて、対象物の速度(この場合、対象物の反り状態によって当該対象物の中央部と周縁部とで僅かに変化する速度の違い)を計測する速度計測手段である。
【0071】
第1の速度計測手段40は、照射した計測用レーザー光40aが窓30cを透過して反応室30内部の基板33に到達し、かつ、基板33で反射して窓30cを透過した戻り光40bを受光することができる位置に配置されている。より具体的には、第1の速度計測手段40は、計測用レーザー光40aが図3に示す前記軌跡Lp上の一点(すなわち、6つの基板33の中心33a)に、垂直(実質的に垂直であると見なすことができる場合も含む)に照射されるように配置されている。
【0072】
したがって、回転台31を回転させると、複数の基板33の被処理面における軌跡Lp上の一点に、順番に計測用レーザー光40aが照射され、戻り光40bが受光されるので、第1の速度計測手段40によって複数の基板33ごとの反り状態が、順番に速度情報等の計測結果として計測される。
【0073】
処理手段41は、第1の速度計測手段40から入力される計測結果を処理して基板33の形状情報(反り状態などの情報)を出力する手段である。つまり、処理手段41は、第1の速度計測手段40から入力される速度情報等の計測結果を時間積分して位置情報に変更することで、反応装置内における基板33のそれぞれの形状情報(反り状態などの情報)を得て、制御手段に出力する。
【0074】
以上のように、レーザー光によるドップラー効果を利用した第1の速度計測手段40を用いることから、計測用レーザー光40aと戻り光40bとの光路(往路および復路)が一致していても計測可能であるので、反応室30内の基板33の被処理面に面して形成された窓30cの大きさを、例えば数mm以下に小さくする(従来よりも小さくする)ことができる。したがって、MOCVD装置100では、パージ装置から供給されるパージガスの量を最小限にすることができる。それゆえ、反応装置内を流れる原料ガス38aの流れを上記パージガスの影響によって乱すことなく、基板33の形状を計測することができる。また、基板33の被処理面に、良好な結晶成長を実現することができる。
【0075】
また、レーザー光によるドップラー効果を利用して、光強度ではなく周波数のシフトを計測対象とするため、基板33の温度による輻射の影響を受けにくいことから、結晶成長中において、基板33の形状を、精度よく計測することができる。
【0076】
なお、MOCVD装置100の代りに、図2に示すように、上記反応室30の壁と上記基板30の被処理面との間、すなわち、反応室30の壁と上記回転台31との間に、上記レーザー光が通過可能な穴部39aが少なくとも一つ開いた隔壁39が形成されたMOCVD装置100’を用いることもできる。
【0077】
上記隔壁39は、ガス透過性が低い部材からなっており、反応室30の上壁および回転台31と平行(実質的に平行であると見なすことができる場合も含む)に形成され、反応室30内部の空間を上下に隔てるように配置されている。つまり、隔壁39により、基板33の被処理面側の上部空間を、基板33側の空間と反応室30の内壁側の空間とに隔てる。
【0078】
また、上記穴部39aは、計測用レーザー光40aおよび戻り光40bが透過できるように、反応室30の窓30cに対応する位置、すなわち、当該窓30cから基板33の被処理面の中央部を臨み得るようになっている位置に形成されている。さらに、ガス吹き出し口37aは、隔壁39と回転台31との間に配置される。したがって、ガス供給手段38から供給された原料ガス38aは、隔壁39と回転台31との間において、供給配管37を経由して、回転台31の回転軸上から回転台31表面に沿って放射状に、結晶膜の原料として供給される。
【0079】
上記構成において、隔壁39の穴部39aの大きさを、例えば数mm以下に小さくする(従来よりも小さくする)ことができる。したがって、MOCVD装置100’では、パージ装置から供給されるパージガスの量を最小限にすることができる。それゆえ、反応装置内を流れる原料ガス38aの流れを上記パージガスの影響によって乱すことなく、基板33の形状を計測することができる。また、基板33の被処理面に、良好な結晶成長を実現することができる。
【0080】
(2)第2実施形態
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態におけるMOCVD装置200の構成について説明する。ここで、MOCVD装置200の反応装置は、第1実施形態におけるMOCVD装置100’の反応装置と基本的に同じ構成を備えているので、それに対する説明は省略する。
【0081】
図4に示すように、本実施形態に係るMOCVD装置200の計測装置は、反応装置内の基板33の被処理面に対する法線方向での移動速度を計測するための第1の速度計測手段40と、回転軸35の回転(移動)速度を計測するための第2の速度計測手段42と、第1の速度計測手段40および第2の速度計測手段42による計測結果を予め設定された処理方法によって処理して基板33の形状情報(反り状態などの情報)を出力するための処理手段41とを備えている。また、MOCVD装置200は、上記処理手段41が出力する上記形状情報に基づいて、反応装置の動作を制御するための制御パラメータを変更させるようになっている制御手段(図示せず)を備えている。なお、第2の速度計測手段42は、回転軸35あるいは回転台31の任意の位置に設置することができる。
【0082】
第2の速度計測手段42は、回転台31の回転速度の僅かな変動を計測するために設置されている。つまり、回転軸35の回転によって回転台31が回転される際には、回転台31に僅かな回転変動が発生し、この回転変動は、回転台31上に配置された基板33の回転速度の計測に、或る程度の影響を与える。したがって、処理手段41において基板33の形状情報(反り状態などの情報)を得る際には、第2の速度計測手段42による回転台31の回転変動の計測結果も考慮することで、回転台31の回転変動による計測誤差の発生を避け、精度のよい計測を行うことができる。
【0083】
本実施形態において、処理手段41が行う予め設定された処理方法としては、第1の速度計測手段40による計測結果を、第2の速度計測手段42による計測結果で除する処理が挙げられる。つまり、処理手段41は、第1の速度計測手段40から入力される速度情報等の計測結果を、第2の速度計測手段42から入力される回転変動の計測結果で除して計測データを算出した後、当該計測データを時間積分して位置情報に変更することで、反応装置内における基板33のそれぞれの形状情報(反り状態などの情報)を得て、制御手段に出力する。
【0084】
なお、第2の速度計測手段を、エンコーダ等の回転角度計測手段と、当該回転角度計測手段から入力されるデータを時間微分する微分処理手段との組み合わせで構成してもよい。また、上記微分処理手段を、第2の速度計測手段に設ける代りに、処理手段41に設けてもよい。
【0085】
上記構成によれば、回転台31の回転変動が基板33の形状の計測結果に与える影響を排除することができるので、精度のよい計測を行うことができる。
【0086】
(3)第3実施形態
次に、図5を参照して、本発明の第3実施形態におけるMOCVD装置300の構成について説明する。ここで、MOCVD装置300の反応装置は、第2実施形態におけるMOCVD装置200の反応装置と基本的に同じ構成を備えているので、それに対する説明は省略する。
【0087】
図5に示すように、本実施形態に係るMOCVD装置300の計測装置は、処理手段41から入力される基板33の形状情報(信号)に基づいて、反応装置の動作を制御するための制御パラメータ43aを変更させる制御手段43を備えている。上記制御手段43は、ガス供給手段38やヒーター34、モーター36等を介して反応装置を制御するようになっている。
【0088】
上記制御パラメータ43aは、制御手段43に格納されている。制御パラメータ43aとしては、例えば、基板温度、原料ガス流量、原料ガス温度、基板回転数、もしくはそれらの組み合わせが挙げられる。これら制御パラメータ43aは、計測、制御、管理が容易であり、したがって、再現性のよい結晶成長を行うことができる。
【0089】
制御パラメータ43aの種類や数は、結晶成長への影響、基板の反り状態を引き起こす要因、原料ガス供給等の各種タイミングなどを考慮して適宜決定されるが、本実施形態においては、制御パラメータ43aが基板温度および原料ガス流量である場合を例に挙げて説明する。この場合には、基板の反り量は、原料ガスによる基板冷却効果とヒーターによる基板加熱効果とのバランスによって制御することができる。したがって、基板の反り量が基板の破損などの回復不可能な事態を引き起こす前に、原料ガスによって基板を冷却し、回復対応を行うことができる。
【0090】
つまり、MOCVD装置300の計測装置は、第1の速度計測手段40および第2の速度計測手段42から入力される計測結果を処理手段41で処理して得た基板33の形状情報(信号)を制御手段43に入力し、当該制御手段43が入力された信号に応じてその内部の制御パラメータ43aを変更させるようになっている。そして、制御手段43は、変更させた制御パラメータ43aに基づいて、基板温度および原料ガス流量を調節して反応装置を制御し、その結果として基板33の反り量を制御することができるようになっている。
【0091】
すなわち、上記構成によれば、結晶成長中において、変更された制御パラメータ43aによって基板33の反り状態の程度(基板の形状)を計測することができるようになるため、基板の破損などの回復不可能な事態となる前に回復対応を行い、基板の回復不可能な破損を回避することができるので、コストを低減することができる。また、基板の反りなどを抑制する結晶成長条件を、反り量を計測しながら制御することができ、適切な条件を見出すことによって、高品質の結晶成長を行うことができるようになる。
【0092】
上記第1〜3実施形態に係る計測装置における第1の速度計測手段40は、レーザー光によるドップラー効果を用いた速度計測手段であるので、基板33に照射される計測用レーザー光40aの光路と、基板33からの戻り光40bの光路とが一致していても計測可能であるという特性を有している。このため、反応装置において、レーザー光が通過する光路に設ける必要がある窓30cや穴部39aの大きさを、ごく小さく(数mm以下に)することができる。具体的には、例えば、窓30cの直径を約30mmに、穴部39aの直径を約1mmにすることができる。もちろん、窓30cおよび穴部39aの大きさはこの値に限定されるものではなく、反応装置の設計に応じて適切な値が選ばれる。
【0093】
したがって、窓30cや穴部39aの大きさを小さくする(従来よりも小さくする)ことができるため、パージ装置から供給されるパージガスの量を最小限にすることができる。それゆえ、反応装置内を流れる原料ガス38aの流れを上記パージガスの影響によって乱すことなく、基板33の形状を計測することができる。また、基板33の被処理面に、良好な結晶成長を実現することができる。
【0094】
また、上記第1〜3実施形態においては、被処理基板である基板33が回転(自転および公転)状態にある場合の基板の形状を計測することを一例として説明したが、例えば、基板33が回転台(移動台)31とともに回転以外の移動を行って結晶成長を実現した場合においても、本願発明に係るMOCVD装置によって基板の形状を計測することが可能である。
【0095】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる形態例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、半導体ウェハなどの基板上にガスを利用して結晶成長させるMOCVD装置に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0097】
30 反応室
30a 供気口
30b 排気口
30c 窓
31 回転台(移動台)
32 載置プレート
33 基板(被処理基板)
34 ヒーター
35 回転軸
36 モーター
37 供給配管
38 ガス供給手段
38a 原料ガス
39 隔壁
39a 穴部
40 第1の速度計測手段
41 処理手段
42 第2の速度計測手段
43 制御手段
43a 制御パラメータ
100,100’,200,300 MOCVD装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガスを供給して被処理基板の被処理面に結晶を成長させるための反応室を備えたMOCVD装置において、
上記被処理基板の被処理面に面した反応室の壁は、上記被処理面の中央部を臨み得る窓を少なくとも一つ有し、
上記反応室に設けられ、被処理基板を載置して移動させることができる移動台と、
上記移動台によって移動する上記被処理基板の被処理面に、上記窓を介してレーザー光を垂直に照射するとともに、被処理面から反射したレーザー光を、上記窓を介して受光して、ドップラー効果を利用して被処理基板の被処理面に対する法線方向での移動速度を計測する第1の速度計測手段と、
上記第1の速度計測手段による計測結果を処理して被処理基板の形状情報を出力するようになっている処理手段とを備えることを特徴とするMOCVD装置。
【請求項2】
上記反応室内における上記被処理基板の被処理面側の上部空間を、当該被処理基板側の空間と反応室の内壁側の空間とに隔てる隔壁を備え、
上記隔壁は、反応室の壁の窓から上記被処理面の中央部を臨み得るように、開口部を少なくとも一つ有することを特徴とする請求項1に記載のMOCVD装置。
【請求項3】
上記移動台の移動速度を計測する第2の速度計測手段を備え、
上記処理手段は、上記第1の速度計測手段による計測結果を上記第2の速度計測手段による計測結果で処理することで被処理基板の形状情報を出力するようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載のMOCVD装置。
【請求項4】
上記移動台は、被処理基板の被処理面の中央部を避けた被処理面に対して垂直な回転軸を中心として、被処理基板を回転させることができるようになっていることを特徴とする請求項1,2または3に記載のMOCVD装置。
【請求項5】
上記処理手段が出力する上記形状情報に基づいて、装置の動作を制御するための制御パラメータを変更させるようになっている制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1,2,3または4に記載のMOCVD装置。
【請求項6】
上記制御パラメータには、被処理基板温度、原料ガス流量、原料ガス温度、被処理基板回転数、もしくはそれらの組み合わせが含まれていることを特徴とする請求項5に記載のMOCVD装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−258383(P2010−258383A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109968(P2009−109968)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】