説明

ウェーハハンドリング方法およびイオン注入装置

【課題】 ウェーハのツイスト角度を、イオン注入条件の一つとして与えられる角度に精度良く合わせることができる方法および装置を提供する。
【解決手段】 光源64からの光74を導いてウェーハ2の外周部に光照射領域を4箇所形成するライトガイド66、70a〜70dと、カメラ84と、画像処理装置とを設けておく。そして、アライナー40において、ウェーハ2をプラテン14へ移載したときに上記光照射領域の内の一つ内にノッチ4が位置するようにアライメント角度αを調整し、ウェーハ搬送装置42a、46によってアライナー40からプラテン14へウェーハ2を搬送する。更に上記画像処理装置を用いて、プラテン14上のウェーハ2のノッチ4の角度を検出して、その角度とアライメント角度αとの第1の差に、アライメント角度αとイオン注入条件の一つとして与えられるツイスト角度との第2の差を加味した角度ぶん、ウェーハ2を回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ウェーハにイオンビームを照射してイオン注入を行うイオン注入装置において、ウェーハの搬送およびツイスト角度の調整等を行うウェーハハンドリング方法、および、当該ウェーハハンドリング方法を実施するイオン注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
注入室内に設けられたプラテンにウェーハを保持して当該ウェーハにイオンビームを照射してイオン注入を行うイオン注入装置であって、プラテンを水平状態および起立状態にする機構、プラテンをイオンビームと交差する方向に機械的に走査する機構ならびにプラテンを回転させてプラテン上のウェーハのツイスト角度を調整するツイスト角度調整機構を有するプラテン駆動装置と、注入室の外または内に設けられていて、ウェーハを回転させてそのノッチの角度を所定のアライメント角度に調整するアライナーと、当該アライナーとプラテン駆動装置のツイスト角度調整機構との間でウェーハを搬送するウェーハ搬送装置とを備えているイオン注入装置が、例えば特許文献1、2に記載されている。
【0003】
アライナーは、特許文献1に記載のイオン注入装置では注入室の外に設けられている。特許文献2に記載のイオン注入装置では、ウェーハを回転させる回転台を注入室内で回転させることができるので、アライナーは注入室内に設けられていると言うこともできる。
【0004】
特許文献1、2に記載のイオン注入装置では、プラテンおよびそれを回転させる回転機構が、上記ツイスト角度調整機構を構成している。
【0005】
ウェーハのノッチ4は、例えば図1に示す例のように、ウェーハ2の結晶方向の判別および整列を容易にする等のために、ウェーハ2の外周部に設けられた切り欠きである。
【0006】
ウェーハのツイスト角度βは、例えば図1に示す例のように、ツイスト角度調整機構上におけるウェーハ2のノッチ4の、所定の基準位置92からの角度である。基準位置92は、例えば、ウェーハ2をイオン注入用に立てた時の垂直方向の線である。ウェーハ2を、その中心2aを軸として回転させてツイスト角度βを調整する。
【0007】
アライメント角度は、アライナーにおいて調整するノッチ4の、所定の基準位置からの角度である。ウェーハの搬送過程でウェーハに周方向(回転方向)の位置ずれ(換言すれば、ノッチの角度のずれ。以下同様)が無ければ、アライメント角度と上記ツイスト角度βとの間には、装置構成によって決まる一定の関係がある。
【0008】
例えば、特許文献1、2に記載のような従来のイオン注入装置では、アライナーでアライメント角度を0度に調整する(第1工程)。
【0009】
次いで、ウェーハ搬送装置によってウェーハを、アライナーからプラテン駆動装置のツイスト角度調整機構(より具体的にはそのプラテン)へ搬送する(第2工程)。このとき、搬送過程でウェーハに周方向の位置ずれが無ければ、プラテン上のウェーハのツイスト角度βは0度になる。これが次工程での基準となる。
【0010】
次いで、ツイスト角度βが0度であることを前提にして、ツイスト角度調整機構によってプラテンおよびウェーハを所定角度回転させて、ツイスト角度βを、イオン注入条件(レシピ)の一つとして与えられるツイスト角度に調整する(第3工程)。例えば、ツイスト角度βが50度であれば、ウェーハを50度回転させる。
【0011】
その後、イオン注入を行う場合は、プラテンおよびウェーハを起立状態にして、ウェーハにイオンビームを照射してイオン注入を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−39285号公報
【特許文献2】特公平7−54688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記従来の技術では、アライナーでアライメント角度が調整された後に、プラテンまでウェーハが搬送される過程で、何らかの原因(例えばウェーハの移載時の振動等)でウェーハに周方向の位置ずれが生じてしまった場合、その位置ずれを検出する手段も補正する手段もないので、その位置ずれを含んだまま、ウェーハのツイスト角度が調整されることになり、ツイスト角度に誤差が生じてしまう。
【0014】
近年のイオン注入装置においては、イオン注入の更なる高精度化が要望されており、その高精度化の一つとして、ツイスト角度を、イオン注入条件の一つとして与えられる角度に精度良く合わせることが要望されている。
【0015】
そこでこの発明は、ウェーハのツイスト角度を、イオン注入条件の一つとして与えられる角度に精度良く合わせることができる方法および装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明に係るウェーハハンドリング方法は、注入室内に設けられたプラテンに、外周部にノッチを有するウェーハを保持して、当該ウェーハにイオンビームを照射してイオン注入を行うイオン注入装置であって、前記プラテンを水平状態および起立状態にする機構、前記プラテンを前記イオンビームと交差する方向に機械的に走査する機構ならびに前記プラテンに保持前または保持後のウェーハを回転させて当該ウェーハのノッチの、基準位置からの角度であるツイスト角度を調整するツイスト角度調整機構を有するプラテン駆動装置と、前記注入室の外または内に設けられていて、前記ウェーハを回転させてそのノッチの角度を所定のアライメント角度に調整するアライナーと、前記アライナーと前記プラテン駆動装置のツイスト角度調整機構との間でウェーハを搬送するウェーハ搬送装置とを備えているイオン注入装置において、
前記注入室の外に設けられていて光を発する光源と、前記光源からの光を導いて、前記ツイスト角度調整機構上のウェーハの外周部に裏面側から光を照射して、当該外周部のシルエットを作る光照射領域を少なくとも3箇所形成するライトガイドと、前記ウェーハの表面側から、前記ツイスト角度調整機構上のウェーハを撮影するカメラと、前記カメラからの画像データを処理して、前記ツイスト角度調整機構上のウェーハのノッチの角度を検出する機能を有する画像処理装置とを設けておき、前記アライナーにおいて、ウェーハを前記ツイスト角度調整機構へ移載したときに前記光照射領域の内の一つ内にウェーハのノッチが位置するように、ウェーハを回転させて前記アライメント角度を調整するアライメント工程と、前記アライメント工程後に、前記ウェーハ搬送装置によって、前記アライナーから前記プラテン駆動装置のツイスト角度調整機構へウェーハを搬送する搬送工程と、前記搬送工程後に、前記画像処理装置を用いて、前記ツイスト角度調整機構上のウェーハのノッチの角度を検出して、当該ノッチの角度と前記アライメント角度との第1の差に、前記アライメント角度とイオン注入条件の一つとして与えられる前記ツイスト角度との第2の差を加味した角度ぶん、前記ツイスト角度調整機構によってウェーハを回転させて、当該ツイスト角度調整機構上のウェーハのノッチの角度を、前記イオン注入条件の一つとして与えられる前記ツイスト角度に一致させるツイスト工程とを実行することを特徴としている。
【0017】
このウェーハハンドリング方法によれば、上記アライメント工程を実行するので、ウェーハの全周に光を照射する必要はない。従って、ウェーハに光を照射する手段の構成が容易かつ簡素になる。
【0018】
しかも、上記ツイスト工程において、ツイスト角度調整機構上のウェーハのノッチの角度を検出して、当該ノッチの角度とアライメント角度との第1の差に、アライメント角度とイオン注入条件の一つとして与えられるツイスト角度との第2の差を加味した角度ぶん、ツイスト角度調整機構によってウェーハを回転させて、当該ツイスト角度調整機構上のウェーハのノッチの角度を、前記イオン注入条件の一つとして与えられるツイスト角度に一致させるので、仮にウェーハの搬送過程でウェーハに周方向の位置ずれが生じても、その位置ずれは、ツイスト角度調整機構上のウェーハのノッチの角度とアライメント角度との第1の差として検出される。そしてこの第1の差を加味してウェーハを回転させてツイスト角度を合わせるので、ウェーハのツイスト角度を、イオン注入条件の一つとして与えられる角度に精度良く合わせることができる。
【0019】
前記アライメント工程において、前記イオン注入条件の一つとして与えられる前記ツイスト角度に最も近い前記光照射領域内にウェーハのノッチが位置するように、前記アライメント角度を調整しても良い。
【0020】
前記ライトガイドから出た光を、前記注入室内の反射体で反射させて前記光照射領域を形成するようにしても良い。
【0021】
ウェーハ搬送装置の搬送アームによってウェーハを前記プラテン駆動装置のツイスト角度調整機構の上方に保持した状態において、前記画像処理装置を用いて、ウェーハの半径方向の位置ずれを検出する位置ずれ検出工程を更に実行しても良い。
【0022】
この発明に係るイオン注入装置は、注入室内に設けられたプラテンに、外周部にノッチを有するウェーハを保持して、当該ウェーハにイオンビームを照射してイオン注入を行うイオン注入装置であって、前記プラテンを水平状態および起立状態にする機構、前記プラテンを前記イオンビームと交差する方向に機械的に走査する機構ならびに前記プラテンに保持前または保持後のウェーハを回転させて当該ウェーハのノッチの、基準位置からの角度であるツイスト角度を調整するツイスト角度調整機構を有するプラテン駆動装置と、前記注入室の外または内に設けられていて、前記ウェーハを回転させてそのノッチの角度を所定のアライメント角度に調整するアライナーと、前記アライナーと前記プラテン駆動装置のツイスト角度調整機構との間でウェーハを搬送するウェーハ搬送装置とを備えているイオン注入装置において、
前記注入室の外に設けられていて光を発する光源と、前記光源からの光を導いて、前記ツイスト角度調整機構上のウェーハの外周部に裏面側から光を照射して、当該外周部のシルエットを作る光照射領域を少なくとも3箇所形成するライトガイドと、前記ウェーハの表面側から、前記ツイスト角度調整機構上のウェーハを撮影するカメラと、前記カメラからの画像データを処理して、前記ツイスト角度調整機構上のウェーハのノッチの角度を検出する機能を有する画像処理装置と、外部からイオン注入条件の一つとして前記ツイスト角度が与えられ、前記プラテン駆動装置、前記アライナー、前記ウェーハ搬送装置および前記画像処理装置を制御して、(a)前記アライナーにおいて、ウェーハを前記ツイスト角度調整機構へ移載したときに前記光照射領域の内の一つ内にウェーハのノッチが位置するように、ウェーハを回転させて前記アライメント角度を調整するアライメント制御と、(b)前記アライメント制御後に、前記ウェーハ搬送装置によって、前記アライナーから前記プラテン駆動装置のツイスト角度調整機構へウェーハを搬送させる搬送制御と、(c)前記搬送制御後に、前記画像処理装置と協働して、前記ツイスト角度調整機構上のウェーハのノッチの角度を検出して、当該ノッチの角度と前記アライメント角度との第1の差に、前記アライメント角度と前記イオン注入条件の一つとして与えられる前記ツイスト角度との第2の差を加味した角度ぶん、前記ツイスト角度調整機構によってウェーハを回転させて、当該ツイスト角度調整機構上のウェーハのノッチの角度を、前記イオン注入条件の一つとして与えられる前記ツイスト角度に一致させるツイスト制御とを実行する機能を有している制御装置とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
請求項1、6に記載の発明によれば、仮にウェーハの搬送過程でウェーハに周方向の位置ずれが生じても、その位置ずれは、ツイスト角度調整機構上のウェーハのノッチの角度とアライメント角度との第1の差として検出される。そしてこの第1の差を加味してウェーハを回転させてツイスト角度を合わせるので、ウェーハのツイスト角度を、イオン注入条件の一つとして与えられる角度に精度良く合わせることができる。
【0024】
しかも、アライメント工程(請求項6の場合はアライメント制御)を実行するので、ウェーハの全周に光を照射する必要はない。従って、ウェーハに光を照射する手段の構成が容易かつ簡素になる。特に、この発明のようにプラテンおよびそれに保持したウェーハを、水平状態だけでなく起立状態にもする構成の場合は、仮にウェーハの全周に裏面側から光を照射しようとすると、それ用に円環状の発光器が必要になり、この発光器が起立状態にする際のウェーハに当たることになるので、実現は難しい。これに対して、この発明によれば、上記のように、ウェーハの全周に光を照射する必要はないので、ウェーハに光を照射する手段の構成が容易かつ簡単になる。
【0025】
請求項2、7に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、アライメント工程(請求項7の場合はアライメント制御)において、イオン注入条件の一つとして与えられるツイスト角度に最も近い光照射領域内にウェーハのノッチが位置するようにアライメント角度を調整するので、アライメント角度と上記ツイスト角度との第2の差を小さくすることができる。その結果、ツイスト工程(請求項7の場合はツイスト制御)においてウェーハを回転させる角度を小さくすることができるので、ツイスト角度合わせに要する時間を短縮することができる。
【0026】
請求項3、8に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、ライトガイドから出た光を、注入室内の反射体で反射させて光照射領域を形成するので、ライトガイドから出た光を広げて、各光照射領域を広くすることができる。その結果、アライメント工程(請求項8の場合はアライメント制御)におけるアライメント角度の選択の幅が広がるので、アライメント角度の調整がより容易になる。
【0027】
しかも、ウェーハの外周部に照射する光が強過ぎると、光の回折現象によってノッチに似た凹みの像が現れて、それをノッチと誤検出してしまう恐れがあり、かと言って単に光を弱くすると、光照射領域が狭くなってしまうというジレンマに陥るのに対して、反射体で反射させることによって、光照射領域の明るさが適度に下がるので、上記光の回折現象による誤検出を抑えることができると共に、各光照射領域を広くすることができるという、一挙両得の効果を得ることができる。
【0028】
請求項4、5、9、10に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、搬送アームによってウェーハをプラテン駆動装置のツイスト角度調整機構の上方に保持した状態において、画像処理装置を用いて、ウェーハの半径方向の位置ずれを検出する位置ずれ検出工程(請求項9、10の場合は位置ずれ検出制御)を更に実行するので、搬送アーム上のウェーハの位置ずれを検出することができる。そしてこの検出結果を、例えば、ウェーハの搬送を停止する等の措置を行うことに用いて、ウェーハの搬送異常やイオン注入不良等が発生するのを未然に防止することに役立てることができる。しかもこれを、ウェーハのツイスト角度を精度良く合わせるために設けた光源、ライトガイド、カメラ、画像処理装置等を活用して行うことができるので、構成の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ウェーハのツイスト角度を説明するための図である。
【図2】この発明に係るウェーハハンドリング方法を実施するイオン注入装置の一実施形態を示す平面図である。
【図3】図2の装置を矢印Q方向に見て部分的に示す側面図である。
【図4】ウェーハの周辺部の光照射領域の一例を示す平面図である。
【図5】ウェーハの中心位置を検出する方法の一例を説明するための図である。
【図6】ウェーハのノッチ位置を検出する方法の一例を説明するための図である。
【図7】ウェーハのエッジ付近での明るさの変化および当該明るさの変化率の一例を示す図である。
【図8】図6に示したウェーハのノッチ付近におけるエッジ付近での明るさの変化率の違いの例を示す図である。
【図9】搬送アーム上に保持したウェーハの位置ずれを検出する場合の一例を示す図であり、説明に大事でない部分の図示は省略している。
【図10】ツイスト角度調整機構の他の例を示す平面図である。
【図11】図10の線F−Fに沿う概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(1)ウェーハハンドリング方法およびイオン注入装置の第1の実施形態
図2、図3に、この発明に係るウェーハハンドリング方法を実施するイオン注入装置の一実施形態を示す。
【0031】
このイオン注入装置は、注入室8内に設けられたプラテン14に、前述した(図1およびその説明参照)ノッチ4を有するウェーハ2を保持して、当該ウェーハ2にイオンビーム6を照射してイオン注入を行うものである。注入室8は、図示しない真空排気装置によって真空に排気される。
【0032】
方向の理解を容易にするために、図中に、1点で互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を図示している。例えば、X方向およびZ方向は水平方向であり、Y方向は垂直方向である。イオンビーム6は、この例ではZ方向に進行する。
【0033】
ウェーハ2は、例えばシリコンウェーハであるが、これに限られるものではない。
【0034】
イオンビーム6は、この実施形態では、X方向に走査されることによって、X方向の寸法がY方向の寸法よりも大きいリボン状をしているが、それに限られるものではなく、X方向の走査を経ることなくリボン状をしているもの等でも良い。
【0035】
プラテン14は、例えば、静電気によってウェーハ2を吸着して保持する静電チャック、または当該静電チャックとその支持部材とで構成されているが、これに限られるものではない。
【0036】
プラテン14は、ウェーハ2よりも直径が小さい。従って、プラテン14に保持されたウェーハ2は、その周縁部の全周がプラテン14からはみ出した状態になる。ウェーハ2のノッチ4も、小さいので、プラテン14からはみ出した状態になる。
【0037】
なお、図2、図4等に示すウェーハ2のノッチ4の位置は、あくまでも一例である。
【0038】
このイオン注入装置は、プラテン駆動装置10、アライナー40およびウェーハ搬送装置を備えている。
【0039】
プラテン駆動装置10は、例えば特開2004−95434号公報に記載されているホルダ駆動装置と似た構造をしており、プラテン14をウェーハ2と共にウェーハ2の中心2aを軸として矢印A4 で示すように(またはその逆方向に)回転させる回転機構(ツイスト回転機構)16と、プラテン14をウェーハ2および回転機構16と共に矢印A5 で示すように往復回転させて、プラテン14およびウェーハ2を水平状態および起立状態にする回転機構(チルト回転機構)18と、プラテン14を、上記機構と共に、矢印A6 で示すように、イオンビーム6と交差する方向(例えばY方向)に機械的に走査する(昇降させる)走査機構24とを有している。
【0040】
この実施形態では、上記プラテン14およびその回転機構16が、プラテン14に保持後のウェーハ2を回転させてそのツイスト角度βを調整するツイスト角度調整機構12aを構成している。従って、以下において、ツイスト角度調整機構12aにウェーハ2を搬送することや、ツイスト角度調整機構12a上のウェーハ2等という説明をしている場合、より具体的には、ツイスト角度調整機構12aを構成するプラテン14にウェーハ2を搬送することや、当該プラテン14上のウェーハ2等ということである。
【0041】
プラテン14およびウェーハ2を、所定の角度(例えば垂直、またはそれから所定のチルト角だけ傾いた角度)に立てた状態でY方向に走査することによって、ウェーハ2の全面にイオンビーム6を照射してイオン注入を行う。プラテン14を水平にした状態で、当該プラテン14に対するウェーハ2の受け渡し、および、ウェーハ2のノッチ4の角度の検出等を行う。以下においては、断わりがない限り、プラテン14は水平状態にあるものとする。これらのことは、後述するツイスト角度調整機構12bを採用する場合も同様である。
【0042】
アライナー40は、注入室8内に設けられる場合もあるが、この実施形態では、注入室の外側(即ち大気側)に設けられている。このアライナー40は、公知の構成のものであり、ウェーハ2をその中心2aを軸として例えば矢印A3 で示すように回転させて、当該ウェーハ2のノッチ4の、所定の基準位置94からの角度であるアライメント角度αを調整するものである。
【0043】
前述したように、ウェーハ2の搬送過程でウェーハ2に周方向の位置ずれが無ければ、上記アライメント角度αと、プラテン14上のウェーハ2のツイスト角度βとの間には、装置構成によって決まる一定の関係がある。例えば、この実施形態では、図1に示したツイスト角度βの基準位置92を、前述したように、ウェーハ2を立てた時の垂直方向の線(換言すればウェーハ2を水平にした時のZ方向に平行な線)とし、アライメント角度αの基準位置94も図2に示すようにZ方向に平行な線としている。このようにすると、例えば後述するウェーハ搬送装置42aによってウェーハ2をアライナー40からロードロック機構54aへ搬送すると、ウェーハ2はXZ平面内において時計方向に90度回転し、ウェーハ搬送装置46の搬送アーム50aによってウェーハ2をロードロック機構54aからプラテン14へ搬送すると、ウェーハ2はXZ平面内において反時計方向に90度回転することになり、両回転が相殺されるので、アライメント角度αとツイスト角度βとは互いに等しくなる。ウェーハ搬送装置42bおよびウェーハ搬送装置46の搬送アーム50bを用いて、ウェーハ2をアライナー40からロードロック機構54bを経由してプラテン14へ搬送する場合も同様である。
【0044】
上記ウェーハ搬送装置は、アライナー40とプラテン駆動装置10のツイスト角度調整機構12a(具体的にはその水平状態にあるプラテン14)との間でウェーハ2を搬送するものである。より具体的にはこの実施形態では、上記ウェーハ搬送装置は、ウェーハ2を保持する搬送アーム44aを有していて、アライナー40と第1のロードロック機構54aとの間でウェーハ2を搬送する第1のウェーハ搬送装置42aと、ウェーハ2を保持する搬送アーム50aを注入室8内に有していて、ロードロック機構54aとプラテン14との間でウェーハ2を搬送する第2のウェーハ搬送装置46とで構成されている。
【0045】
ウェーハ搬送装置46は、この実施形態では、注入室8内に二つの搬送アーム50a、50bを有していて、それらを互いに独立して、矢印A1 、A2 で示すように往復旋回させることができる。搬送アーム50bは搬送アーム50aの上側にある。各搬送アーム50a、50bは、その支持部52にウェーハ2を1枚ずつ保持することができる。各搬送アーム50a、50bは、プラテン14とのウェーハ2の受け渡し時にはプラテン14の上方に位置する(図3参照)。搬送アーム50aによって、ロードロック機構54aとプラテン14との間でウェーハ2を搬送することができる。搬送アーム50bによって、ロードロック機構54bとプラテン14との間でウェーハ2を搬送することができる。
【0046】
このイオン注入装置は、ウェーハ2を保持する搬送アーム44bを有していて、アライナー40とロードロック機構54bとの間でウェーハ2を搬送する第3のウェーハ搬送装置42bを更に備えており、このウェーハ搬送装置42bおよび上記ウェーハ搬送装置46も、上記ウェーハ搬送装置を構成している。
【0047】
ロードロック機構54a、54bは、それぞれ、例えば上記特許文献1、2に記載されたロードロック機構と同様の構造をしており、注入室8の例えば天井面に隣接する真空予備室と、当該真空予備室と注入室8および大気側とをそれぞれ仕切る真空弁とをそれぞれ有している(いずれも図示省略)。
【0048】
上記のように二つのウェーハ搬送装置42a、42b、二つの搬送アーム50a、50bおよび二つのロードロック機構54a、54bを備えていると、ウェーハ2の搬送等を、ロードロック機構54a側と54b側とで併行して行うことができるのでスループットが向上するけれども、これらを二つずつ備えていることは、この発明に必須のものではない。
【0049】
このイオン注入装置は、更に、光源64、ライトガイド66、70a〜70d、カメラ84、画像処理装置86および制御装置90を備えている。
【0050】
光源64は、光74を発するものであり、注入室8の外に設けられている。注入室8内では、気体による熱伝導および対流がないので、自分が発する熱で壊れるからである。光源64は、例えば、発光ダイオード(略称LED)であるが、それに限られるものではなく、ランプ等のその他の光源でも良い。
【0051】
光源64からの光74は、ライトガイド66によって注入室8内に導かれる。62はフィードスルーである。ライトガイド66で導かれた光74は、この実施形態では、注入室8内の分岐部68によって4分岐されて、4本のライトガイド70a〜70dにそれぞれ導入される。各ライトガイド70a〜70dは、その先端の出射部72a〜72dから出た光74を、水平状態にあるプラテン14上のウェーハ2の外周部に裏面側から照射して、当該外周部のシルエット(影絵または影絵状態の像)を作る光照射領域76a〜76d(図4参照)をそれぞれ形成する。即ちこの実施形態では、4箇所の光照射領域76a〜76dを形成するけれども、4箇所形成は必須ではなく、少なくとも3箇所形成すれば良い。その理由は後述する。
【0052】
より具体的には、この実施形態では、各ライトガイド70a〜70dから出た(より具体的にはその出射部72a〜72dから出た。以下同様)光74を、注入室8内の床面8aを反射体として用いて当該床面8aで反射させて、上記光照射領域76a〜76dを形成するように構成されている。その効果等については後述する。各ライトガイド70a〜70dの出射部72a〜72dは、図示しないスタンドに、斜め下向きに取り付けられている。
【0053】
各ライトガイド66、70a〜70dは、例えば、複数本の光ファイバーを用いて構成されている。
【0054】
上記光照射領域76a〜76dは、互いに近くに集めるよりも、適度に分散させておく方が好ましい。その方が様々なツイスト角度βにより柔軟に対応することができるからである。上記光照射領域76a〜76dの一例を図4に示す。上記基準位置92を0度とすると、例えば、光照射領域76a〜76dの中心は、それぞれ、反時計回りに0度、65度、180度、295度の位置にある。但しこれらの角度はあくまでも一例であり、それ以外の角度でも良い。
【0055】
なお、図2、図3では、図示を簡略化して、各ライトガイド70a〜70dから出た光74をそれぞれ1本の線で表しているが、各光74は、実際は、広がって上記光照射領域76a〜76dを形成する。後述する図9においても同様である。
【0056】
注入室8の天井面8bであって、水平状態にあるプラテン14の中央上方の部分に、透明な窓板82が設けられており、その外側の近傍にカメラ84が設けられている。このカメラ84は、水平状態にあるプラテン14上のウェーハ2を撮影することができる。より具体的には、上記光照射領域76a〜76dにおけるウェーハ2の上記シルエットを撮影することができる。
【0057】
カメラ84は、例えばCCDカメラであるが、その他のカメラでも良い。
【0058】
画像処理装置86は、注入室8の外に設けられている。この画像処理装置86は、カメラ84からの画像データを処理して、プラテン14上のウェーハ2のノッチの角度φ(図4参照)を検出する機能を有している。
【0059】
上記カメラ84および画像処理装置86を用いて、ウェーハ2のノッチの角度φを検出する方法の具体例を説明する。
【0060】
まず、ウェーハ2の中心位置を検出するのが好ましい。この検出には、上記4箇所の光照射領域76a〜76dの内の3箇所を用いる。例えば、図5に示す例のように、光照射領域76b〜76dの3箇所を用いる。そして、この3箇所におけるウェーハ2の画像データから、ウェーハ2の3箇所の端点78b〜78dを検出する。この端点78b〜78dを検出する方法の具体例としては、例えば、後で図6、図7を参照して説明する端点位置P1 の検出方法と同様の方法を用いれば良い。上記三つの端点78b〜78dを直線でそれぞれ結ぶと、三角形80となる。この三角形80の外接円81を求めて、その中心81aを求めると、それがウェーハ2の中心2aであり、このようにしてウェーハ2の実際の中心位置を検出することができる。
【0061】
仮にウェーハ2の端点を2点(例えば端点78bと78d)検出しても、その2点を結んでも直線にしかならないので、ウェーハ2の中心位置を検出することはできない。ウェーハ2の実際の中心位置を検出することは、ノッチ4の角度φを正確に検出する上で好ましいことである。このような理由から、上記光照射領域(76a〜76d)を少なくとも3箇所形成するようにしている。
【0062】
更に、上記中心2aを通る線(上記基準位置92)からのノッチ4の角度φを次のようにして検出する。即ち、上記アライメント角度αの調整によってノッチ4が位置している光照射領域(例えば光照射領域76b)の画像データを用いて、ウェーハ2の端付近の明るさの変化率を検出する。これは、ウェーハ2は通常は不透明または半透明であり、ウェーハ2が存在する箇所では暗く、ウェーハ2以外では明るい画像が得られるからである。そして、ウェーハ2の外周に沿って所定間隔刻みで、ウェーハ2の周辺から中心に向かう半径方向での明るさの変化率を検出する。
【0063】
例えば図6に示すA点において、ウェーハ2の周辺部から中心に向かう半径方向の明るさおよびその変化率は図7に示すようになり、当該変化率のピーク位置P1 がウェーハ2の端点(エッジ)位置である。なお、この図6は、見やすくするために、図4に示した光照射領域76bを下側に持って来ている。
【0064】
上記のような測定を、矢印A7 で示すように、ウェーハ2の外周に沿って所定間隔刻みで行う。例えば、位置A〜E・・・と測定する。この位置A〜Eにおける上記明るさの変化率の例を図8に示す。ノッチ4はほぼ三角形をしているので、このような測定結果が得られる。そして、これらの測定結果を比較して、上記変化率のピークが最もウェーハ2の中心に近かった位置(この例では位置C)を特定し、この位置Cの上記基準位置92からの角度をノッチ4の角度φとする。このようにして、ノッチ4の実際の角度φを検出することができる。
【0065】
但し、上記検出方法は一例であり、他の検出方法を用いても構わない。例えば、特開平10−38539号公報等に記載されているような公知の技術を用いて、上記光照射領域76bにおける画像データを処理して、ノッチ4の座標を求めて、ノッチ4の実際の角度φを検出しても良い。
【0066】
制御装置90は、上記プラテン駆動装置10、アライナー40、ウェーハ搬送装置42a、42b、ウェーハ搬送装置46、画像処理装置86等を制御する機能を有している。これについては後で詳述する。
【0067】
上記イオン注入装置におけるウェーハハンドリング方法の第1の実施形態を、主に図2〜図4を参照して説明する。
【0068】
まず、ウェーハ2をツイスト角度調整機構12a(具体的にはそのプラテン14)へ移載したときに上記4箇所の光照射領域76a〜76dの内のいずれか一つ内にウェーハ2のノッチ4が位置するように、アライナー40において、ウェーハ2を回転させて上記アライメント角度αを調整するアライメント工程を実行する。その場合、このイオン注入装置にイオン注入条件の一つとして与えられる上記ツイスト角度βに最も近い光照射領域内にウェーハ2のノッチ4が位置するように、アライメント角度αを調整するのが好ましく、この実施形態ではそのようにする。その理由は後述する。上記イオン注入条件は、この技術分野において、レシピと呼ばれるものであり、外部から例えば制御装置90に与えられる。
【0069】
具体的な角度の一例を示すと、例えば、イオン注入条件の一つとして与えられるツイスト角度βが50度の場合、図4に示す例のように、中心が65度に位置する光照射領域76bが最も近い光照射領域であるので、この光照射領域76b内にノッチ4が位置するように、アライナー40においてアライメント角度αを調整する。例えば、アライメント角度αを65度に調整する。
【0070】
次いで、例えば上記ウェーハ搬送装置42aおよび46によって、この実施形態ではロードロック機構54aを経由して、アライナー40からツイスト角度調整機構12a(具体的にはそのプラテン14)へウェーハ2を搬送する搬送工程を実行する。
【0071】
次いで、上記カメラ84および画像処理装置86を用いて、前述したような方法で、ツイスト角度調整機構12a上のウェーハ2のノッチ4の角度φを検出して、当該ノッチ4の角度φと上記アライメント角度αとの第1の差に、上記アライメント角度αとイオン注入条件の一つとして与えられる上記ツイスト角度βとの第2の差を加味した角度ぶん、ツイスト角度調整機構12aによってウェーハ2を回転させて、当該ツイスト角度調整機構12a(具体的にはそのプラテン14)上のウェーハ2のノッチ4の角度φを、上記イオン注入条件の一つとして与えられるツイスト角度βに一致させるツイスト工程を実行する。
【0072】
例えば、上記例のようにアライメント角度αを65度、イオン注入条件の一つとして与えられるツイスト角度βを50度とすると、上記第2の差は15度になる。反時計方向を+記号、時計方向を−記号で表すとすれば、上記第2の差は+15度となる。
【0073】
また、上記搬送工程においてウェーハ2が搬送される過程で、何らかの原因(例えばウェーハ2の移載時の振動等)で、ウェーハ2に周方向の位置ずれが例えば+2度生じたとすると、上記第1の差は+2度となる。
【0074】
従ってこの例の場合は、上記第1の差と第2の差の合計は+17度となるので、ツイスト工程において、ウェーハ2を−17度回転させる。これによって、ツイスト角度調整機構12a上のウェーハ2のツイスト角度βを、イオン注入条件の一つとして与えられた上記50度に精度良く合わせることができる。
【0075】
なお、上記のように−17度回転させる場合、(a)−17度だけ一挙に回転させても良いし、(b)まず上記第1の差を補正する−2度だけ回転させた後に、上記第2の差ぶんの−15度を回転させても良い。
【0076】
この第1の実施形態のウェーハハンドリング方法によれば、仮にウェーハ2の搬送過程でウェーハ2に周方向の位置ずれが生じても、その位置ずれは、ツイスト角度調整機構12a上のウェーハ2のノッチ4の角度φと上記アライメント角度αとの第1の差として検出される。そしてこの第1の差を加味してウェーハ2を回転させてツイスト角度βを合わせるので、ウェーハ2のツイスト角度βを、イオン注入条件の一つとして与えられる角度に精度良く合わせることができる。
【0077】
しかも、上記アライメント工程を実行するので、ウェーハ2の全周に光を照射する必要はない。前述したように、上記光照射領域(76a〜76d)を少なくとも3箇所形成すれば良い。従って、ウェーハ2に光を照射する手段の構成が容易かつ簡素になる。特に、このイオン注入装置のようにプラテン14およびそれに保持したウェーハ2を、水平状態だけでなく起立状態にもする構成の場合は、仮にウェーハ2の全周に裏面側から光を照射しようとすると、それ用に円環状の発光器が必要になり、この発光器が起立状態にする際のウェーハ2に当たることになるので、実現は難しい。これに対して、このウェーハハンドリング方法によれば、上記のように、ウェーハ2の全周に光を照射する必要はないので、ウェーハ2に光を照射する手段の構成が容易かつ簡単になる。
【0078】
また、この実施形態のように、アライメント工程において、イオン注入条件の一つとして与えられるツイスト角度βに最も近い光照射領域76b内にウェーハ2のノッチ4が位置するようにアライメント角度αを調整すると、アライメント角度αと上記ツイスト角度βとの第2の差を小さくすることができる。例えば、前述した例のようにツイスト角度βが50度の場合、アライメント工程において、ウェーハ2のノッチ4が例えば上記光照射領域76c内に位置するように(例えば180度に)アライメント角度αを調整しても良いけれども、その場合は、アライメント角度αとツイスト角度βとの第2の差は+130度になる。これよりもこの実施形態の方が、上記第2の差を小さな角度(上記例の場合は+15度)にすることができる。その結果、上記ツイスト工程においてウェーハ2を回転させる角度を小さくすることができるので、ツイスト角度合わせに要する時間を短縮することができる。
【0079】
ツイスト工程の後に、イオン注入を行う場合は、プラテン14およびウェーハ2を起立状態にして、ウェーハ2にイオンビーム6を照射してイオン注入を行う。
【0080】
上記制御装置90は、この実施形態では、上記アライメント工程、搬送工程およびツイスト工程に相当する制御を行う機能を有している。即ち、制御装置90には、外部から、イオン注入条件の一つとして上記ツイスト角度βが与えられる。そして制御装置90は、上記プラテン駆動装置10、上記アライナー40、上記ウェーハ搬送装置(42a、42b、46)および上記画像処理装置86を制御して、(a)上記アライナー40において、ウェーハ2をツイスト角度調整機構12a(具体的にはそのプラテン14。以下同様)へ移載したときに上記光照射領域76a〜76dの内の一つ内にウェーハ2のノッチ4が位置するように、ウェーハ2を回転させて上記アライメント角度αを調整するアライメント制御と、(b)当該アライメント制御後に、上記ウェーハ搬送装置によって、アライナー40からプラテン駆動装置10のツイスト角度調整機構12aへウェーハ2を搬送させる搬送制御と、(c)当該搬送制御後に、画像処理装置86と協働して、ツイスト角度調整機構12a上のウェーハ2のノッチ4の角度φを検出して、当該ノッチの角度φと上記アライメント角度αとの第1の差に、上記アライメント角度αと上記イオン注入条件の一つとして与えられるツイスト角度βとの第2の差を加味した角度ぶん、ツイスト角度調整機構12aによってウェーハ2を回転させて、当該ツイスト角度調整機構12a上のウェーハ2のノッチ4の角度φを、上記イオン注入条件の一つとして与えられるツイスト角度βに一致させるツイスト制御とを実行する機能を有している。
【0081】
更にこの実施形態では、制御装置90は、上記アライメント制御において、上記イオン注入条件の一つとして与えられるツイスト角度βに最も近い上記光照射領域(例えば76b)内にウェーハ2のノッチ4が位置するように、上記アライメント角度αを調整する。
【0082】
従って、このような制御装置90を備えているイオン注入装置は、上記第1の実施形態のウェーハハンドリング方法について述べたのと同様の効果を奏することができる。
【0083】
なお、上記各ライトガイド70a〜70dから出た光74は、直接(即ち反射体で反射させることなく)、ウェーハ2の外周部に裏面側から照射して上記光照射領域76a〜76dを形成しても良いけれども、この実施形態のように、注入室8内の反射体で反射させて上記光照射領域76a〜76dを形成する方が好ましい。
【0084】
上記反射体は、例えば、この実施形態のように注入室8内の床面8aでも良いし、注入室8内の床面8a以外の壁面でも良いし、注入室8内に設けた反射板でも良いし、これらの組み合わせでも良い。
【0085】
ライトガイド70a〜70dから出た光74を、上記反射体で反射させて光照射領域76a〜76dを形成することによって、ライトガイド70a〜70dから出た光74を広げて、各光照射領域76a〜76dを広くすることができる。これは、反射体で反射させることによって、ライトガイド70a〜70dの先端(即ち出射部72a〜72d)からウェーハ2までの距離が大きくなり、その間に光74が広がるからである。また、反射体が光74を散乱させる性質を有している場合は、この散乱作用によっても、各光照射領域76a〜76dを広くすることができる。その結果、上記アライメント工程におけるアライメント角度αの選択の幅が広がるので、アライメント角度αの調整がより容易になる。
【0086】
しかも、ウェーハ2の外周部に照射する光が強過ぎると、光の回折現象によってノッチ4に似た凹みの像が現れて、それをノッチ4と誤検出してしまう恐れがあり、かと言って単に光を弱くすると、光照射領域76a〜76dが狭くなってしまうというジレンマに陥るのに対して、上記反射体で反射させることによって、光照射領域76a〜76dの明るさが適度に下がるので、上記光の回折現象による誤検出を抑えることができると共に、各光照射領域76a〜76dを広くすることができるという、一挙両得の効果を得ることができる。
【0087】
また、反射体で光74を反射させて間接光にすることによって、各光照射領域76a〜76d内での明るさの斑(むら)を緩和して明るさを均一化することができるので、この観点からもノッチ4の検出が容易になる。反射体が上記のように光74を散乱させる性質を有している場合は、上記明るさを均一化する効果はより大きくなる。
【0088】
上記反射体のより具体例として、例えば、ステンレス鋼板(略称SUS)が挙げられる。ステンレス鋼板は、通常、光74を散乱させる性質をも有しているので、上述した効果を奏することができる。
【0089】
(2)ウェーハハンドリング方法およびイオン注入装置の第2、第3の実施形態
まず、一例として、ウェーハ搬送装置46の搬送アーム50aに着目して説明する。
【0090】
上記イオン注入装置では、図9に示す例のように、ウェーハ搬送装置46の搬送アーム50aによってウェーハ2をツイスト角度調整機構12a(具体的にはそのプラテン14)の上方に保持した状態においても、当該搬送アーム50aおよびその支持部52に邪魔されることなく、ライトガイド70b、70dから出た光74によって上記光照射領域が2箇所形成される。より具体的には、図4に示した光照射領域76bおよび76dが形成される。
【0091】
この場合、上記画像処理装置86は、カメラ84からの上記光照射領域76bおよび76dの画像データと、例えば当該画像処理装置86に予め記憶しておいた、搬送アーム50a上のウェーハ2の1箇所の端点位置データ(これを以下においては仮想データと呼ぶことにする)とを用いて、搬送アーム50a上のウェーハ2の中心位置を検出し、かつ当該中心位置の、基準位置からの半径方向の位置ずれを検出する機能を更に有しているものにしても良い。
【0092】
上記光照射領域が少なくとも2箇所あれば、例えば先に図6、図7を参照して説明した方法によって、搬送アーム50a上のウェーハ2の端点位置を少なくとも2箇所実測して検出することができる。それと、上記1箇所の仮想データとを用いることによって、少なくとも3箇所の端点位置が分かるので、例えば先に図5を参照して説明した方法によって、搬送アーム50a上のウェーハ2の中心2aの位置を検出することができる。更には、この検出した中心位置と、予め定められた基準位置とを比較することによって、検出した中心位置の、基準位置からの半径方向の位置ずれを検出することができる。画像処理装置86はこのような検出を行う機能を更に有している。
【0093】
なお、上記仮想データを得るには、過去の正常に保持された搬送アーム50a上のウェーハ2をカメラ84で撮影して、当該ウェーハ2の1箇所の端点位置データを、上記仮想データとして、例えば画像処理装置86が有する記憶装置に記憶しておけば良い。
【0094】
そして、この第2の実施形態のウェーハハンドリング方法では、搬送アーム50aによってウェーハ2をツイスト角度調整機構12a(具体的にはそのプラテン14)の上方に保持した状態において、画像処理装置86を用いて、ウェーハ2の上記半径方向の位置ずれを検出する位置ずれ検出工程を実行する。
【0095】
それによって、搬送アーム50a上のウェーハ2の位置ずれを検出することができる。そしてこの検出結果を、例えば、ウェーハ2の搬送を停止する等の措置を行うことに用いて、ウェーハ2の搬送異常やイオン注入不良等が発生するのを未然に防止することに役立てることができる。しかもこれを、ウェーハ2のツイスト角度βを精度良く合わせるために設けた光源64、ライトガイド66、70b、70d、カメラ84、画像処理装置86等を活用して行うことができるので、構成の簡素化を図ることができる。
【0096】
なお、上記1箇所の仮想データを用いると、後述する3箇所の実測データを用いる実施形態に比べて、搬送アーム50a上のウェーハ2の中心位置検出の精度が若干低下する場合があるかもしれないけれども、それでもウェーハ2の位置ずれを検出することはできる。ウェーハ2の搬送異常等を未然に防止する観点からは、上記のような精度でも十分な場合が多い。
【0097】
上記位置ずれ検出工程は、例えば、搬送アーム50aからツイスト角度調整機構12aへウェーハ2を渡す前、またはツイスト角度調整機構12aから搬送アーム50aへウェーハ2を渡した後の少なくともいずれか一方の時点で行えば良い。また以上は、ウェーハ搬送装置46の搬送アーム50aに着目して説明したが、搬送アーム50aの代わりに搬送アーム50bを用いる場合も、上記と同様である。後述する他の実施形態においても同様である。また、後述するツイスト角度調整機構12b(図10、図11参照)を採用する場合も、搬送アームからツイスト角度調整機構12bへウェーハ2を渡す前、またはツイスト角度調整機構12bから搬送アームへウェーハ2を渡した後の少なくともいずれか一方の時点で上記のような位置ずれ検出を行えば良い。
【0098】
制御装置90は、この実施形態では、上記位置ずれ検出工程に相当する制御を行う機能を更に有している。即ち、制御装置90は、搬送アーム50aまたは50bによってウェーハ2をツイスト角度調整機構12aの上方に保持した状態において、画像処理装置86と協働して、ウェーハ2の半径方向の位置ずれを検出する位置ずれ検出制御を実行する機能を更に有している。
【0099】
従って、このような制御装置90を備えているイオン注入装置は、上記第2の実施形態のウェーハハンドリング方法について述べたのと同様の効果を奏することができる。
【0100】
上記ライトガイド70a〜70dの配置や、搬送アーム50a、50b、その支持部52の構造等を適宜変更して、例えば搬送アーム50a、50bや支持部52に光74を通す切り欠きを設ける等して、搬送アーム50aまたは50bによってウェーハ2をツイスト角度調整機構12aの上方に保持した状態においても、ライトガイド70a〜70dから出た光74によって上記光照射領域(76a〜76d)が少なくとも3箇所形成されるようにしても良い。この実施形態は、少なくとも3箇所の実測データを用いるものである。これが第3の実施形態のウェーハハンドリング方法である。
【0101】
この実施形態の場合は、上記画像処理装置86は、カメラ84からの少なくとも3箇所の光照射領域の画像データを用いて、搬送アーム50aまたは50b上のウェーハ2の中心位置を検出し、かつ当該中心位置の、基準位置からの半径方向の位置ずれを検出する機能を更に有しているものにすれば良い。少なくとも3箇所のデータを用いて、ウェーハ2の中心位置およびその位置ずれを検出する方法の例は、上記少なくとも2箇所の実測データと1箇所の仮想データとを用いる第2の実施形態の場合と同様であるので、重複説明を省略する。
【0102】
そして、この第3の実施形態のウェーハハンドリング方法も、搬送アーム50aまたは50bによってウェーハ2をツイスト角度調整機構12aの上方に保持した状態において、画像処理装置86を用いて、ウェーハ2の上記半径方向の位置ずれを検出する位置ずれ検出工程を実行する。
【0103】
この実施形態の場合も、上記第2の実施形態が奏する効果と同様の効果を奏することができる。より詳しく言えば、この実施形態の方が、3箇所の実測データを用いるので、前述したように、搬送アーム50aまたは50b上のウェーハ2の中心位置検出の精度が高くなることが期待できる。
【0104】
制御装置90を、上記第3のウェーハハンドリング方法の位置ずれ検出工程に相当する制御を行う機能を更に有しているものにしても良い。即ち、制御装置90を、搬送アーム50aまたは50bによってウェーハ2をツイスト角度調整機構12aの上方に保持した状態において、画像処理装置86と協働して、ウェーハ2の半径方向の位置ずれを検出する位置ずれ検出制御を実行する機能を更に有しているものにしても良い。
【0105】
このような制御装置90を備えているイオン注入装置は、上記第3の実施形態のウェーハハンドリング方法について述べたのと同様の効果を奏することができる。
【0106】
(3)ツイスト角度調整機構の他の例
上記ツイスト角度調整機構12aの代わりに、プラテン14に保持前のウェーハ2を回転させてそのツイスト角度βを調整するツイスト角度調整機構を採用しても良い。そのようなツイスト角度調整機構12bの例を図10、図11を参照して説明する。
【0107】
この例では、プラテン14は、前述したチルト回転機構18に軸28を介して取り付けられている。このプラテン14は、この例では回転(その中心部を中心にした回転)をさせない構成であるけれども、回転させる構成にしても良い。
【0108】
このツイスト角度調整機構12bは、プラテン14の上方においてウェーハ2の周縁部を複数箇所で支持するリフト部材30と、このリフト部材30を矢印A8 で示すように昇降させる機能ならびに当該リフト部材30およびそれに保持したウェーハ2を、ウェーハ2の中心2aを軸として、矢印A9 で示すように(またはその逆方向に)回転させる機能を有する昇降回転機構38とを備えている。昇降回転機構38は上記チルト回転機構18に取り付けられている。従ってこのツイスト角度調整機構12bも、チルト回転機構18によって、ウェーハ2の受け渡し用等の水平状態と、ウェーハ2へのイオン注入用の起立状態とにすることができる。
【0109】
ウェーハ2をウェーハ搬送装置(例えば前述したウェーハ搬送装置46)との間で受け渡しする時およびウェーハ2を回転させる時は、リフト部材30を上昇させてウェーハ2とプラテン14との間を離しておき(図11に示す状態)、ウェーハ2をプラテン14に保持する時は、リフト部材30を下降させてウェーハ2をプラテン14上に載置する。上昇位置にあるリフト部材30およびウェーハ2を回転させることによって、ウェーハ2の前述したツイスト角度βを調整することができる。
【0110】
なお、昇降回転機構38を、リフト部材30を上記のように昇降させる昇降機構と、リフト部材30を上記のように回転させる回転機構とに分けても良い。
【0111】
リフト部材30は、この例では、ウェーハ2の周縁部を支持する複数の(この例では三つの)支持部32と、それを支持する放射状のアーム部34と、それを支持する円筒部36とを有している。但し、この構成は一例であり、これに限られるものではない。
【0112】
支持部32の配置およびウェーハ2をプラテン14から離す距離と、ウェーハ搬送装置(より具体的にはその搬送アーム)とは、相互に当たらない(機械的に干渉しない)ものにすれば良い。
【0113】
このツイスト角度調整機構12bを用いる場合も、ウェーハ2の外周部に前述した光照射領域を少なくとも3箇所形成することができる。例えば図10に示す例のように、前述した(図2〜図4およびその説明参照)三つの光照射領域76b〜76dを形成することができる。構成を少し変えれば、四つの光照射領域76a〜76dを形成することもできる。
【0114】
従って、前述したツイスト角度調整機構12aを用いる場合と同様に、前記搬送工程およびツイスト工程等を実行して、ウェーハ2のツイスト角度βを、イオン注入条件の一つとして与えられる角度に精度良く合わせることができる。
【0115】
更に、ウェーハ搬送装置の搬送アーム(例えば前述した搬送アーム50a、50b)によってウェーハ2をツイスト角度調整機構12bの上方に保持した状態においても、上記光照射領域を少なくとも2箇所(例えば光照射領域76bおよび76dを)形成することができる。従って、前述したツイスト角度調整機構12aを用いる場合と同様に、前述した、2箇所の実測データおよび1箇所の仮想データを用いる位置ずれ検出工程を実行して、搬送アーム上のウェーハ2の半径方向の位置ずれを検出することができる。
【0116】
また、ライトガイド70a〜70dの配置や、搬送アームの構造等を適宜変更して、搬送アームによってウェーハ2をツイスト角度調整機構12bの上方に保持した状態においても、上記光照射領域を少なくとも3箇所形成するようにしても良い。この場合も、前述したツイスト角度調整機構12aを用いる場合と同様に、3箇所の実測データを用いる位置ずれ検出工程を実行して、搬送アーム上のウェーハ2の半径方向の位置ずれを検出することができる。
【0117】
上記のようなツイスト角度調整機構12bを採用する場合は、前述した制御装置90は、上記ツイスト角度調整機構12aを制御する代わりにこのツイスト角度調整機構12bを制御して、前述したツイスト制御を実行する機能を有しているものにする。勿論、前述したアライメント制御および搬送制御を実行する機能も有しているものにする。また、前述した位置ずれ検出制御を実行する機能を更に有していても良い。
【符号の説明】
【0118】
2 ウェーハ
4 ノッチ
6 イオンビーム
8 注入室
10 プラテン駆動装置
12a、12b ツイスト角度調整機構
14 プラテン
40 アライナー
42a、42b、46 ウェーハ搬送装置
64 光源
66、70a〜70d ライトガイド
74 光
76a〜76d 光照射領域
84 カメラ
86 画像処理装置
90 制御装置
α アライメント角度
β ツイスト角度
φ ノッチの角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入室内に設けられたプラテンに、外周部にノッチを有するウェーハを保持して、当該ウェーハにイオンビームを照射してイオン注入を行うイオン注入装置であって、
前記プラテンを水平状態および起立状態にする機構、前記プラテンを前記イオンビームと交差する方向に機械的に走査する機構ならびに前記プラテンに保持前または保持後のウェーハを回転させて当該ウェーハのノッチの、基準位置からの角度であるツイスト角度を調整するツイスト角度調整機構を有するプラテン駆動装置と、
前記注入室の外または内に設けられていて、前記ウェーハを回転させてそのノッチの角度を所定のアライメント角度に調整するアライナーと、
前記アライナーと前記プラテン駆動装置のツイスト角度調整機構との間でウェーハを搬送するウェーハ搬送装置とを備えているイオン注入装置において、
前記注入室の外に設けられていて光を発する光源と、
前記光源からの光を導いて、前記ツイスト角度調整機構上のウェーハの外周部に裏面側から光を照射して、当該外周部のシルエットを作る光照射領域を少なくとも3箇所形成するライトガイドと、
前記ウェーハの表面側から、前記ツイスト角度調整機構上のウェーハを撮影するカメラと、
前記カメラからの画像データを処理して、前記ツイスト角度調整機構上のウェーハのノッチの角度を検出する機能を有する画像処理装置とを設けておき、
前記アライナーにおいて、ウェーハを前記ツイスト角度調整機構へ移載したときに前記光照射領域の内の一つ内にウェーハのノッチが位置するように、ウェーハを回転させて前記アライメント角度を調整するアライメント工程と、
前記アライメント工程後に、前記ウェーハ搬送装置によって、前記アライナーから前記プラテン駆動装置のツイスト角度調整機構へウェーハを搬送する搬送工程と、
前記搬送工程後に、前記画像処理装置を用いて、前記ツイスト角度調整機構上のウェーハのノッチの角度を検出して、当該ノッチの角度と前記アライメント角度との第1の差に、前記アライメント角度とイオン注入条件の一つとして与えられる前記ツイスト角度との第2の差を加味した角度ぶん、前記ツイスト角度調整機構によってウェーハを回転させて、当該ツイスト角度調整機構上のウェーハのノッチの角度を、前記イオン注入条件の一つとして与えられる前記ツイスト角度に一致させるツイスト工程とを実行することを特徴とするウェーハハンドリング方法。
【請求項2】
前記アライメント工程において、前記イオン注入条件の一つとして与えられる前記ツイスト角度に最も近い前記光照射領域内にウェーハのノッチが位置するように、前記アライメント角度を調整する請求項1記載のウェーハハンドリング方法。
【請求項3】
前記ライトガイドから出た光を、前記注入室内の反射体で反射させて前記光照射領域を形成する請求項1または2記載のウェーハハンドリング方法。
【請求項4】
前記ウェーハ搬送装置は、前記ウェーハを保持して搬送する搬送アームを有しており、
前記搬送アームによってウェーハを前記プラテン駆動装置のツイスト角度調整機構の上方に保持した状態においても、前記ライトガイドから出た光によって前記光照射領域が少なくとも3箇所形成され、
前記画像処理装置は、前記カメラからの前記少なくとも3箇所の光照射領域の画像データを用いて、前記搬送アーム上のウェーハの中心位置を検出し、かつ当該中心位置の、基準位置からの半径方向の位置ずれを検出する機能を更に有しており、
前記搬送アームによってウェーハを前記プラテン駆動装置のツイスト角度調整機構の上方に保持した状態において、前記画像処理装置を用いて、ウェーハの前記半径方向の位置ずれを検出する位置ずれ検出工程を更に実行する請求項1、2または3記載のウェーハハンドリング方法。
【請求項5】
前記ウェーハ搬送装置は、前記ウェーハを保持して搬送する搬送アームを有しており、
前記搬送アームによってウェーハを前記プラテン駆動装置のツイスト角度調整機構の上方に保持した状態においても、前記ライトガイドから出た光によって前記光照射領域が少なくとも2箇所形成され、
前記画像処理装置は、前記カメラからの前記少なくとも2箇所の光照射領域の画像データと、予め記憶しておいた、前記搬送アーム上のウェーハの1箇所の端点位置データとを用いて、前記搬送アーム上のウェーハの中心位置を検出し、かつ当該中心位置の、基準位置からの半径方向の位置ずれを検出する機能を更に有しており、
前記搬送アームによってウェーハを前記プラテン駆動装置のツイスト角度調整機構の上方に保持した状態において、前記画像処理装置を用いて、ウェーハの前記半径方向の位置ずれを検出する位置ずれ検出工程を更に実行する請求項1、2または3記載のウェーハハンドリング方法。
【請求項6】
注入室内に設けられたプラテンに、外周部にノッチを有するウェーハを保持して、当該ウェーハにイオンビームを照射してイオン注入を行うイオン注入装置であって、
前記プラテンを水平状態および起立状態にする機構、前記プラテンを前記イオンビームと交差する方向に機械的に走査する機構ならびに前記プラテンに保持前または保持後のウェーハを回転させて当該ウェーハのノッチの、基準位置からの角度であるツイスト角度を調整するツイスト角度調整機構を有するプラテン駆動装置と、
前記注入室の外または内に設けられていて、前記ウェーハを回転させてそのノッチの角度を所定のアライメント角度に調整するアライナーと、
前記アライナーと前記プラテン駆動装置のツイスト角度調整機構との間でウェーハを搬送するウェーハ搬送装置とを備えているイオン注入装置において、
前記注入室の外に設けられていて光を発する光源と、
前記光源からの光を導いて、前記ツイスト角度調整機構上のウェーハの外周部に裏面側から光を照射して、当該外周部のシルエットを作る光照射領域を少なくとも3箇所形成するライトガイドと、
前記ウェーハの表面側から、前記ツイスト角度調整機構上のウェーハを撮影するカメラと、
前記カメラからの画像データを処理して、前記ツイスト角度調整機構上のウェーハのノッチの角度を検出する機能を有する画像処理装置と、
外部からイオン注入条件の一つとして前記ツイスト角度が与えられ、前記プラテン駆動装置、前記アライナー、前記ウェーハ搬送装置および前記画像処理装置を制御して、(a)前記アライナーにおいて、ウェーハを前記ツイスト角度調整機構へ移載したときに前記光照射領域の内の一つ内にウェーハのノッチが位置するように、ウェーハを回転させて前記アライメント角度を調整するアライメント制御と、(b)前記アライメント制御後に、前記ウェーハ搬送装置によって、前記アライナーから前記プラテン駆動装置のツイスト角度調整機構へウェーハを搬送させる搬送制御と、(c)前記搬送制御後に、前記画像処理装置と協働して、前記ツイスト角度調整機構上のウェーハのノッチの角度を検出して、当該ノッチの角度と前記アライメント角度との第1の差に、前記アライメント角度と前記イオン注入条件の一つとして与えられる前記ツイスト角度との第2の差を加味した角度ぶん、前記ツイスト角度調整機構によってウェーハを回転させて、当該ツイスト角度調整機構上のウェーハのノッチの角度を、前記イオン注入条件の一つとして与えられる前記ツイスト角度に一致させるツイスト制御とを実行する機能を有している制御装置とを備えていることを特徴とするイオン注入装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記アライメント制御において、前記イオン注入条件の一つとして与えられる前記ツイスト角度に最も近い前記光照射領域内にウェーハのノッチが位置するように、前記アライメント角度を調整するものである請求項6記載のイオン注入装置。
【請求項8】
前記ライトガイドから出た光を、前記注入室内の反射体で反射させて前記光照射領域を形成するよう構成されている請求項6または7記載のイオン注入装置。
【請求項9】
前記ウェーハ搬送装置は、前記ウェーハを保持して搬送する搬送アームを有しており、
前記搬送アームによってウェーハを前記プラテン駆動装置のツイスト角度調整機構の上方に保持した状態においても、前記ライトガイドから出た光によって前記光照射領域が少なくとも3箇所形成されるよう構成されており、
前記画像処理装置は、前記カメラからの前記少なくとも3箇所の光照射領域の画像データを用いて、前記搬送アーム上のウェーハの中心位置を検出し、かつ当該中心位置の、基準位置からの半径方向の位置ずれを検出する機能を更に有しており、
前記制御装置は、前記搬送アームによってウェーハを前記プラテン駆動装置のツイスト角度調整機構の上方に保持した状態において、前記画像処理装置と協働して、ウェーハの前記半径方向の位置ずれを検出する位置ずれ検出制御を実行する機能を更に有している請求項6、7または8記載のイオン注入装置。
【請求項10】
前記ウェーハ搬送装置は、前記ウェーハを保持して搬送する搬送アームを有しており、
前記搬送アームによってウェーハを前記プラテン駆動装置のツイスト角度調整機構の上方に保持した状態においても、前記ライトガイドから出た光によって前記光照射領域が少なくとも2箇所形成されるよう構成されており、
前記画像処理装置は、前記カメラからの前記少なくとも2箇所の光照射領域の画像データと、予め記憶しておいた、前記搬送アーム上のウェーハの1箇所の端部位置データとを用いて、前記搬送アーム上のウェーハの中心位置を検出し、かつ当該中心位置の、基準位置からの半径方向の位置ずれを検出する機能を更に有しており、
前記制御装置は、前記搬送アームによってウェーハを前記プラテン駆動装置のツイスト角度調整機構の上方に保持した状態において、前記画像処理装置と協働して、ウェーハの前記半径方向の位置ずれを検出する位置ずれ検出制御を実行する機能を更に有している請求項6、7または8記載のイオン注入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−222733(P2011−222733A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90087(P2010−90087)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(302054866)日新イオン機器株式会社 (161)
【Fターム(参考)】