説明

エピタキシャルウェーハ製造方法及びサセプタ

【課題】エピタキシャルウェーハの外周部の厚さを容易且つ適切に制御することのできる技術を提供する。
【解決手段】エピタキシャル層を生成する際における、ウェーハWを載置するためのサセプタ26の外周部の高さ位置から、サセプタ26のウェーハWを載置する位置までのザグリ深さを特定するザグリ深さ情報を決定し(ステップS1)、サセプタ26におけるザグリ深さが、ザグリ深さ情報により特定されるザグリ深さとなるように、サセプタ26の外周部の高さ方向にシリコン膜を生成させ(ステップS4)、サセプタ26にウェーハWを載置させ、ウェーハWにエピタキシャル層を生成する(ステップS7)ようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハにエピタキシャル層を生成してエピタキシャルウェーハを製造するエピタキシャルウェーハ製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウェーハにエピタキシャル層を生成させる成膜反応装置が知られている。成膜反応装置においては、例えば、ウェーハを円板状のサセプタに載置し、サセプタを回転させつつ、ウェーハの上面に略平行な方向にエピタキシャル層を生成するための原料ガスを流すことにより、ウェーハの上面にエピタキシャル層を生成している。
【0003】
近年では、ウェーハにおけるデバイスとして利用可能な領域を増加させるために、ウェーハの外周部における膜厚の均一化が要請されている。ウェーハの外周部における膜厚を制御する技術としては、例えば、原料ガス(例えば、SiHCl(トリクロロシラン)ガス)の濃度を制御する方法や、エピタキシャル成長を行なう際の成長温度を制御する方法が知られている。また、ウェーハの外周部における膜厚を制御する他の技術としては、その上面を、ウェーハの上主面とウェーハ肉厚中心の間の高さにしたサセプタを用いてエピタキシャル成長を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−71921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に記載された技術によると、気相成長させるウェーハに適したサセプタを用意して、気相成長装置を構成しておき、その気相成長装置を用いて、気相成長させることにより、ウェーハの外周部の均一性を向上させることができる。
【0006】
しかしながら、例えば、厚さの異なる複数種類のウェーハに対して処理を行うような場合においては、処理対象のウェーハのそれぞれに適したサセプタを複数用意しなければならない。更に、処理対象のウェーハに応じて、対応するサセプタを気相成長装置に組み込む必要がある。このため、気相成長装置の炉内を開放する必要があり、気相成長装置からサセプタを取り除くための処理や、サセプタを交換して気相成長装置を組み上げた後に必要な処理(例えば、装置内部に所定の膜を形成する枯らし処理等)を行わなければならず、時間と手間が掛かるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、エピタキシャルウェーハの外周部のエピタキシャル層の厚さを容易且つ適切に制御することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的達成のため、本発明の第1の観点に係るウェーハにエピタキシャル層を生成してエピタキシャルウェーハを製造するエピタキシャルウェーハ製造方法であって、エピタキシャル層を生成する際における、ウェーハを載置するためのサセプタの外周部の高さ位置から、サセプタのウェーハを載置する位置までのザグリ深さを特定するザグリ深さ情報を決定する決定ステップと、サセプタにおけるザグリ深さが、ザグリ深さ情報により特定されるザグリ深さとなるように、サセプタの外周部の高さ方向にシリコン膜を生成させるシリコン膜生成ステップと、このシリコン膜を生成させたサセプタにウェーハを載置させ、ウェーハにエピタキシャル層を生成するエピタキシャル成長ステップとを有する。係るエピタキシャルウェーハ製造方法によると、シリコン膜を生成させてサセプタにおけるザグリ深さを所定の深さにすることができ、そのサセプタを用いてウェーハに対してエピタキシャル層を生成させることができる。このため、異なるサセプタを用意することなく、サセプタの外周部に生成させるシリコン膜の厚みを調整することにより、所望とする複数のザグリ深さを容易に実現することができる。これにより、ウェーハの周辺部におけるエピタキシャル膜厚さを適切に制御することができる。
【0009】
上記エピタキシャルウェーハ製造方法において、シリコン膜生成ステップにおいて、サセプタにダミーウェーハを載置して、シリコン膜を生成させて、その後、ダミーウェーハを取り除くようにしてもよい。係るエピタキシャルウェーハ製造方法によると、ウェーハが載置される位置にシリコン膜が生成されることを適切に低減することができる。
【0010】
また、上記エピタキシャルウェーハ製造方法において、シリコン膜生成ステップの前に、サセプタに生成されたシリコン膜を除去する除去ステップを更に有するようにしてもよい。係るエピタキシャルウェーハ製造方法によると、サセプタに生成されたシリコン膜を除去することができる。このため、その後のシリコン膜を生成する際に、シリコン膜の厚さを適切な厚さにすることができる。
【0011】
また、上記エピタキシャルウェーハ製造方法において、除去ステップと、シリコン膜生成ステップと、エピタキシャル成長ステップとを異なるウェーハに対して繰り返し実行するようにしてもよい。係るエピタキシャルウェーハ製造方法によると、複数のエピタキシャルウェーハを効率よく製造することができる。
【0012】
また、上記エピタキシャルウェーハ製造方法において、シリコン膜生成ステップにおいて、サセプタの外周部の高さ方向に生成させるシリコン膜の厚さは、1μm以上、100μm以下であってもよい。係るエピタキシャルウェーハ製造方法によると、ザグリ深さを1μm以上、100μm以下の範囲で調整することができ、ウェーハの外周部の高さ方向の厚さを詳細に制御することができる。
【0013】
また、上記目的達成のため、本発明の第2の観点に係るサセプタは、エピタキシャル層を生成させるウェーハを載置するためのサセプタであって、サセプタの少なくとも外周部にシリコン膜が形成されており、外周部の高さ位置からサセプタのウェーハを載置する位置までのザグリ深さが、サセプタにシリコン膜が全く形成されていない場合における外周部の高さ位置と、ウェーハを載置する位置までの初期ザグリ深さと異なる。係るサセプタによると、サセプタの外周部におけるシリコン膜の厚さが加わった高さ位置と、サセプタのウェーハの載置位置との間のザグリ深さが、シリコン膜が全く形成されていない場合における初期ザグリ深さと異なっているので、このサセプタを用いることにより、ウェーハの外周部のエピタキシャル層の膜厚を、初期ザグリ深さの場合と異なるように制御することができる。
【0014】
上記サセプタにおいて、ウェーハを載置する位置には、シリコン膜が生成されていないようにしてもよい。係るサセプタによると、載置位置においてシリコン膜が生成されていないので、ウェーハのサセプタとの接触部分に対してシリコン膜が転写されることを適切に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る成膜反応装置の要部を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るサセプタのザグリ深さを説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るザグリ深さの違いによるエピタキシャル層の膜厚の違いを説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るザグリ深さと、エッジ傾きとの関係を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るエピタキシャルウェーハ製造処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
まず、本発明の一実施形態に係る成膜反応装置について説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態にかかる成膜反応装置の要部を示す断面図である。この成膜反応装置1は、例えばシリコンウェーハのような半導体ウェーハ(ウェーハ)の表面に、シリコンのような半導体材料のエピタキシャル層を形成するために使用することができる。
【0019】
図1に示すように、成膜反応装置1は、内部に反応室20Aをもつ反応器20を備える。反応室20Aの形状は、扁平なほぼ円柱形である。反応室20Aの上面の全域は、ほぼ円板形のアッパードーム21でカバーされる。つまり、アッパードーム21は、反応室20Aの天井壁を構成する。反応器20の底壁は、ほぼ円環形のロワーライナー24と、ロワーライナー24の内側の円形開口内に配置された円板形のサセプタ26とから構成される。サセプタ26は、例えば、C(カーボン)を基材として、その周りを高純度の炭化珪素(SiC)で覆われて所定の形状に形成されている。
【0020】
アッパーライナー22は、その周縁部の全周に、下方に突出した突出環状部22Aを有する。アッパーライナー22の突出環状部22Aは、ロワーライナー24の周縁部24Aに結合し、反応室20Aの側壁を構成する。サセプタ26上に、ウェーハ(基板)Wが載置されることになる。サセプタ26は、その下面にてサセプタサポートシャフト30に結合され、成膜工程中、ウェーハWの中心を回転中心として回転駆動されるようになっている。ウェーハWは、例えば、直径が200mmとなっている。
【0021】
また、反応室20Aの上方と下方には、それぞれ、加熱用の多数のランプ32,32,…の円環形の列が配置される。ランプ32,32,…からの輻射熱がサセプタ26およびウェーハWに良好に伝わるよう、アッパードーム21、ロワードーム31の主要部は、石英のような光透過性の耐熱材料製である。
【0022】
反応室20Aの一側(図中左側)の端部にガス流入口20Bが形成される。また、反応室20Aのガス流入口20Bとは反対側(図中右側)の端部にガス排出口20Cが形成される。ガス流入口20Bもガス排出口20Cも、ウェーハWの周縁の外側の近傍位置に配置され、ウェーハWの周縁に沿ってこれとほぼ平行に円弧状に延びている。ガス流入口20Bとガス排出口20Cの幅方向(ガス流入口20Bとガス排出口20CがウェーハWの周縁に沿って延びている方向)の寸法、つまり幅は、サセプタ26上のウェーハWの直径よりも若干大きい。そして、ガス流入口20Bとガス排出口20Cのそれぞれの幅方向の中心位置は、ウェーハWの同幅方向での中心位置に一致する。従って、反応室20A内では、ガス流入口20Bからガス排出口20Cへ向かう方向(ウェーハWの上面と略平行な方向)に向かって、ウェーハWの全領域をカバーするための広い幅をもつ帯状の反応ガス流が形成される。
【0023】
具体的には、反応ガスは、ガス流入口20Bを通って帯状のガス流となって反応室20A内へ流入する。ガス流入口20Bから反応室20A内に流入した帯状のガス流は、サセプタ26上のウェーハWの表面の全ての領域上を通過して、ウェーハWの表面上にエピタキシャル層を形成する。その後、反応ガス流は、ガス排出口20Cに入り、アウトレットフランジ42内を通ってガス排出管44へ出て行く。
【0024】
この成膜反応装置1においては、ウェーハWを搬送するための搬送ロボットが設けられた図示しない移送チャンバが設けられ、移送チャンバは反応室20Aを大気開放することなく反応室20Aと連通可能となっている。従って、移送チャンバの搬送ロボットにより、反応室20A内を大気開放することなく、サセプタ26へのウェーハWの載置、及びサセプタ26からのウェーハWの取出しができるようになっている。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態に係るサセプタのザグリ深さを説明する図である。
【0026】
図2Aは、サセプタ26の外周部の高さ方向にシリコン膜(Si膜)が形成されていない場合(初期状態)におけるザグリ深さ(初期ザグリ深さ)を示し、図2Bは、サセプタ26の外周部にシリコン膜が形成され、且つウェーハWの載置位置にシリコン膜が形成されていない場合におけるザグリ深さを示し、図2Cは、サセプタ26の外周部と、ウェーハの載置位置とにシリコン膜が形成されている場合におけるザグリ深さを示している。ここで、サセプタ26の外周部とは、サセプタ26にウェーハWを載置した場合に、ウェーハWよりも外側にある部分を示す。また、サセプタ26にウェーハWを載置した場合におけるウェーハWの厚さ方向(図中の下から上に向かう方向)を、高さ方向ということとし、ウェーハWのサセプタ26に接触する面(図中下面)からウェーハWの他の面(図中上面)へ向かう方向に行くほど高さが高いということとする。また、サセプタ26の外周部の最も高い部分の位置を外周部の高さ位置ということとする。
【0027】
図2Aに示すように、サセプタ26は、外周部における上面にある本体部分26aが一番高くなっており、内周側(図面右側)は、ウェーハWを載置するために凹んだ形状となっている。サセプタ26の内周側には、ウェーハWの下面外周部と接触して、ウェーハWを支持する支持部26bが形成されている。図2Aに示す場合には、ウェーハWを支持(載置)している支持部26bの接触位置(載置位置)26cの高さ位置P1と、サセプタ26の外周部の本体部分26aの高さ位置(図2Aにおける外周部の高さ位置)T1との間の距離がザグリ深さ(初期ザグリ深さ)となる。
【0028】
図2Bは、サセプタ26の外周部において、外周にある本体部分26aの上(高さ方向)にシリコン膜26dが形成されているが、支持部26bの上には、シリコン膜が形成されていない場合におけるザグリ深さを示している。図2Bに示す場合には、ウェーハWを載置している支持部26bの接触位置(載置位置)26cの高さ位置P1と、サセプタ26の外周部のシリコン膜26dの上面26dtの高さ位置(図2Bにおける外周部の高さ位置)T2との間の距離がザグリ深さとなる。
【0029】
図2Cは、サセプタ26の外周部において、外周にある本体部分26aの上(高さ方向)にシリコン膜26dが形成されているとともに、支持部26bの上にも、シリコン膜26eが形成されている場合におけるザグリ深さを示している。なお、同図においては、外周部のシリコン膜厚と、支持部26bのシリコン膜厚との高さ方向の厚さが異なっている場合の例を示している。図2Cに示す場合には、ウェーハWを載置している支持部26bに生成されたシリコン膜26eにおけるウェーハWの接触位置(載置位置)26etの高さ位置P2と、サセプタ26の外周部のシリコン膜26dの上面26dtの高さ位置(図2Cにおける外周部の高さ位置)T2との間の距離がザグリ深さとなる。このように、サセプタ26の外周部のシリコン膜の厚さ、サセプタ26の支持部26bにおけるシリコン膜の厚さの少なくとも一方を調整することにより、サセプタ26のザグリ深さを初期ザグリ深さと異なるザグリ深さに調整することができる。
【0030】
次に、ザグリ深さの違いによるエピタキシャル層厚への影響について説明する。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態に係るザグリ深さの違いによるエピタキシャル層の膜厚の違いを説明する図である。図3は、サセプタ26のザグリ深さを変えた場合についての、ある位置における、ウェーハW中心からの距離と、ウェーハWのエピタキシャル層の膜厚の平均の膜厚(平均膜厚)に対する生成されたエピタキシャル層の膜厚との関係を示している。
【0032】
ここで、ザグリ深さAは、サセプタ26にシリコン膜を全く生成していない場合のザグリ深さ(初期ザグリ深さ)であり、ザグリ深さBは、サセプタ26の外周部に100μmのシリコン膜を生成した場合のザグリ深さである。なお、同図は、ウェーハWの直径が200mmの場合を例に示している。
【0033】
図3に示すように、ウェーハWの中心から98mmから95mmの範囲、すなわち、ウェーハWの外周部においては、ザグリ深さが大きい(深い)ザグリ深さBとした場合のほうが、ザグリ深さAとした場合に比して、ウェーハWの中心に近づくほど外周部に比して膜厚が厚くなる傾向にあることがわかる。このような傾向を、図4を参照して更に説明する。
【0034】
図4は、本発明の一実施形態に係るザグリ深さと、エッジ傾きとの関係を示す図である。ここで、エッジ傾きとは、ウェーハWの外周部の膜厚を制御したい所定の範囲(例えば、ウェーハ中心から98mmから95mmの範囲)における膜厚の変化の割合を示す指標であり、本実施形態では、エッジ傾き=((ウェーハ中心から98mmの位置における膜厚)―(ウェーハ中心から95mmの位置における膜厚)/ウェーハの平均膜厚)としている。このエッジ傾きによると、マイナスの値を取る場合には、ウェーハWの外周に向かって膜厚が減少していることを示し、絶対値が大きくなるほど(値が小さくなるほど)減少する割合が大きいことを示す。
【0035】
図4に示すように、ザグリ深さが大きく(深く)なるほど、エッジ傾きが小さくなることがわかる。このことから、ザグリ深さを変更することにより、ウェーハWの外周部の膜厚を制御することができることがわかる。例えば、ウェーハWの外周部の膜厚を抑えたい場合であって、ザグリ深さにより制御する場合においては、基本的には、ザグリ深さを大きくすればよいことがわかる。
【0036】
次に、本発明の一実施形態に係るエピタキシャルウェーハ製造処理を説明する。
【0037】
図5は、本発明の一実施形態に係るエピタキシャルウェーハ製造処理を示すフローチャートである。
【0038】
まず、ウェーハWにエピタキシャル層を生成して製造するエピタキシャルウェーハの仕様を実現するための最適な制御条件を決定する。本実施形態では、その制御条件の一つとして、適切な膜厚にするために最適なザグリ深さを決定し、そのザグリ深さとするために必要なシリコン膜厚(ザグリ深さ特定情報)を決定する(ステップS1)。本実施形態では、シリコン膜厚は、1μm以上、100μm以下の厚さとしている。ここで、ウェーハWに生成するエピタキシャル層を適切な膜厚にするための制御対象としては、ザグリ深さの他に、原料ガス(例えば、SiHClガス)の濃度や、エピタキシャル層の成長温度などがある。そして、これらの最適な制御条件を決定する方法としては、これら制御対象と、生成されるエピタキシャル層の膜厚との関係を予め把握しておき、これらの関係に基づいて、仕様に最も適した制御条件の組み合わせを検出すればよい。なお、複数の制御対象についての最適な制御条件を検出する方法については、種々の方法が知られているので、ここでは説明を省略する。
【0039】
次いで、成膜反応装置1において、反応室20A内に、塩化水素(HCL)ガスを供給して、反応室20A内をクリーニングする(ステップS2)。これにより、サセプタ26上に形成されていたシリコン膜等は、適切に除去される。
【0040】
次に、成膜反応装置1のサセプタ26上に、サセプタ26のウェーハWの載置位置にシリコン膜が形成されないようにするためのカバーウェーハを載置し(ステップS3)、成膜反応装置1において、ステップS1で決定した厚さのシリコン膜をサセプタ26の外周部に生成させ(ステップS4)、図示しない搬送ロボットによりサセプタ26からカバーウェーハを取り出す(ステップS5)。これによって、サセプタ26の外周部には、図2Bに示すように、所望の厚さのシリコン膜が形成され、ウェーハWの載置位置には、カバーウェーハによりシリコン膜が形成されない。したがって、サセプタ26のザグリ深さは、予め決定した最適な深さとなる。なお、サセプタ26の外周部に適切な厚さのシリコン膜を形成する方法としては、予め種々の条件でシリコン膜を形成して、それぞれの条件におけるサセプタ26の外周部のシリコン膜の厚さを測定し(又は、それと同等と考えられるカバーウェーハ上のシリコン膜の厚さ測定し)ておいて、ステップS4においてシリコン膜を形成する際に、形成すべき膜厚が得られた条件に従ってシリコン膜を形成するようにすればよい。
【0041】
次いで、エピタキシャルウェーハを製造するためのウェーハWをサセプタ26上に載置し(ステップS6)、決定した制御条件に従って、エピタキシャル成長処理を行う(ステップS7)。これによって、ウェーハWは、所望する厚さのエピタキシャル層が形成されたエピタキシャルウェーハとなる。
【0042】
次いで、搬送ロボットにより、サセプタ26上のウェーハWを取出し(ステップS8)、所定の搬出先に搬送させる。
【0043】
次いで、成膜反応装置1の図示しない制御部が、処理対象の全ウェーハに対するエピタキシャル成長処理を終了したか否かを判定し(ステップS9)、全てのウェーハWに対して処理を終了していない場合(ステップS9:NO)には、ステップS2からの処理を行う一方、全ウェーハWに対してのエピタキシャル成長処理を終了している場合(ステップS9:YES)には、エピタキシャルウェーハの製造処理を終了する。
【0044】
上記実施形態によると、サセプタ26のザグリ深さを適切に調整することができるので、エピタキシャルウェーハの外周部の膜厚を適切に制御することができる。
【0045】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施形態に限られず、他の様々な態様に適用可能である。
【0046】
例えば、上記実施形態では、サセプタ26の外周部の高さより、サセプタ26に載置されたウェーハWの上面が低い例、すなわち、サセプタ26のザグリ深さよりもウェーハWの厚さが薄い例をあげて説明していたが、本発明はこれに限られず、サセプタ26の外周部の高さよりもウェーハWの上面が高く、すなわち、サセプタ26のザグリ深さよりもウェーハWの厚さが厚くてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、サセプタ26にシリコン層を形成する際に、サセプタ26にカバーウェーハを載置させることにより、ウェーハWの載置位置にシリコン膜が形成されないようにしていたが、本発明はこれに限られず、ウェーハWの載置位置にシリコン膜が形成されてもよく、要は、ザグリ深さが、所望とするザグリ深さとなるように調整すればよい。
【0048】
また、上記実施形態では、図5に示すステップS2からの処理を後続のウェーハWに対して行うようにして、複数のウェーハWを処理する際のサセプタ26のザグリ深さを同一としていたが、本発明はこれに限られず、例えば、各ウェーハWに対して、サセプタ26のザグリ深さが異なるようなシリコン膜の膜厚を決定するようにしてもよく、このようにすると、全く異なる厚さのウェーハに対してエピタキシャル成長を行う場合や、複数のウェーハに対して異なる仕様のエピタキシャル成長を行う場合にあっても、それぞれの処理において適切なエピタキシャル膜厚をウェーハWに形成することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 成膜反応装置、20 反応器、20A 反応室、20B ガス流入口、20C ガス排出口、24 ロワーライナー、24A 段状凹部、26 サセプタ、W ウェーハ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハにエピタキシャル層を生成してエピタキシャルウェーハを製造するエピタキシャルウェーハ製造方法であって、
エピタキシャル層を生成する際における、前記ウェーハを載置するためのサセプタの外周部の高さ位置から、前記サセプタの前記ウェーハを載置する位置までのザグリ深さを特定するザグリ深さ情報を決定する決定ステップと、
前記サセプタにおける前記ザグリ深さが、前記ザグリ深さ情報により特定されるザグリ深さとなるように、前記サセプタの前記外周部の高さ方向にシリコン膜を生成させるシリコン膜生成ステップと、
前記シリコン膜を生成させたサセプタに前記ウェーハを載置させ、前記ウェーハにエピタキシャル層を生成するエピタキシャル成長ステップと
を有するエピタキシャルウェーハ製造方法。
【請求項2】
前記シリコン膜生成ステップにおいて、前記サセプタにカバーウェーハを載置して、前記シリコン膜を生成させて、その後、カバーウェーハを取り除く
請求項1に記載のエピタキシャルウェーハ製造方法。
【請求項3】
前記シリコン膜生成ステップの前に、前記サセプタに生成されたシリコン膜を除去する除去ステップを更に有する
請求項1又は請求項2に記載のエピタキシャルウェーハ製造方法。
【請求項4】
前記除去ステップと、前記シリコン膜生成ステップと、前記エピタキシャル成長ステップとを、異なるウェーハに対して繰り返し実行する
請求項3に記載のエピタキシャルウェーハ製造方法。
【請求項5】
前記シリコン膜生成ステップにおいて、前記サセプタの前記外周部の高さ方向に生成させる前記シリコン膜の厚さは、1μm以上、100μm以下である
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のエピタキシャルウェーハ製造方法。
【請求項6】
エピタキシャル層を生成するウェーハを載置するためのサセプタであって、
前記サセプタの少なくとも外周部にシリコン膜が形成されており、前記外周部の高さ位置から前記サセプタの前記ウェーハを載置する位置までのザグリ深さが、前記サセプタにシリコン膜が全く形成されていない場合における外周部の高さ位置と、ウェーハを載置する位置までの初期ザグリ深さと異なるサセプタ。
【請求項7】
前記ウェーハを載置する位置には、前記シリコン膜が生成されていない
請求項6に記載のサセプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−171637(P2011−171637A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35917(P2010−35917)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(302006854)株式会社SUMCO (1,197)
【Fターム(参考)】