説明

シロキサン誘導体及びその硬化物

【課題】高い透明性を有し、硬化性、耐光性、耐熱性、接着性、耐熱衝撃性に優れた硬化物を形成でき、光半導体封止材用として好適なシロキサン誘導体を提供し、そしてこの硬化物からなる光半導体封止材を提供する。
【解決手段】エポキシ基を含有するT単位構造主量の新規なシロキサン誘導体及び該シロキサン誘導体を重合してなる硬化物。この硬化物は光半導体封止材として有用である。該シロキサン誘導体は、エポキシ基と加水分解基を含有するシランの加水分解縮合により得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なシロキサン誘導体及び該シロキサン誘導体を重合してなる硬化物に関する。本発明のシロキサン誘導体を重合してなる硬化物は、高い透明性を有し、硬化性、耐光性、耐熱性、接着性、耐熱衝撃性に優れており、特には光学部品用、電子部品用に、接着剤、コート材、フォトレジスト、シール材、封止材、絶縁材、レンズ材、基板材等の用途として有用である。その中でも光半導体封止材用として好適な、新規なシロキサン誘導体及び該シロキサン誘導体を重合してなる硬化物、該硬化物からなる光半導体封止材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光ダイオード(LED)等の光半導体の封止材としては、使用環境、用途等に応じて、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が用いられてきている。しかし、エポキシ樹脂を用いた場合には接着性は優れるものの、耐光性及び耐熱性の特性が不十分で黄変してしまうという問題があり、一方でシリコーン樹脂の場合には耐光性及び耐熱性は優れるものの、軟質材料としたときの埃等の付着、硬質材料としたときの接着性及び耐熱衝撃性が不十分という問題がある。
【0003】
これら、エポキシ樹脂の硬化特性及び接着性とシリコーン樹脂の耐光性、耐熱性を両立させる考え方から、エポキシ基を有するシロキサン誘導体の検討も行われている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。しかし、これらシロキサン誘導体はエポキシ基の導入量が多いために、近年のLEDの高輝度化、ハイパワー化に伴い、耐光性、耐熱性が十分ではなくなってきており、高い透明性を有し、硬化性、耐光性、耐熱性、接着性、耐熱衝撃性に優れた硬化物を形成できる新規材料の開発が望まれている。
【特許文献1】特開2005−171021号公報
【特許文献2】特開2004−238589号公報
【特許文献3】特開2004−359933号公報
【特許文献4】特開2006−104248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高い透明性を有し、硬化性、耐光性、耐熱性、接着性、耐熱衝撃性に優れた硬化物を形成でき、適正な粘度で作業性良好である、光半導体封止材用として好適なシロキサン誘導体及び該シロキサン誘導体を重合してなる硬化物を提供し、そしてこの硬化物からなる光半導体封止材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、特定のシロキサン誘導体、及び該シロキサン誘導体を重合してなる硬化物によって、上記課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は、以下に記載のシロキサン誘導体、該シロキサン誘導体を重合してなる硬化物を提供し、そしてこの硬化物からなる光半導体封止材を提供するものである。
【0006】
本発明のシロキサン誘導体は、下記一般式(1)で表される構成単位を有するエポキシ基含有シロキサン誘導体であり、該シロキサン誘導体のエポキシ価が0.001〜0.35(当量/100g)であることを特徴とする。
【化1】

一般式中Rはエポキシ基含有基を示し、エポキシ基以外の有機基を有していてもよく、その有機基が置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基又は分岐鎖状アルキル基である。
【0007】
本発明のシロキサン誘導体においては、エポキシ基含有基が下記一般式(2)、下記一般式(3)、下記一般式(4)又は下記一般式(5)で表されることが好ましい。
【化2】

一般式中Rはメチレン基又は二価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基又は炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。
【化3】

一般式中Rはメチレン基又は二価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基又は炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。
【化4】

一般式中Rはメチレン基又は二価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基又は炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。
【化5】

一般式中Rはメチレン基又は二価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基又は炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。
【0008】
本発明のシロキサン誘導体においては、下記一般式(6)で表されることが好ましい。
【化6】

一般式中Rはエポキシ基含有基を示し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。Rは炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。Rはエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。Rはエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。R10は炭素数1〜4のアルキル基を示し、複数のR10は互いに同一でも異なっていてもよい。また、a、b、c、dは実数を示し、a>0、b≧0、c≧0、d≧0である。
【0009】
本発明のシロキサン誘導体においては、前記一般式(6)においてb>0であることが好ましい。
【0010】
本発明のシロキサン誘導体においては、前記一般式(6)においてb>aであることが好ましい。
【0011】
本発明のシロキサン誘導体においては、前記一般式(6)においてc>0であることが好ましい。
【0012】
本発明のシロキサン誘導体においては、下記一般式(7)で表される構成単位を更に有することが好ましい。
【化7】

一般式中R11、R12、R13はエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、R11、R12、R13は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0013】
本発明のシロキサン誘導体においては、下記一般式(8)で表されることが好ましい。
【化8】

一般式中R14はエポキシ基含有基を示し、複数のR14は互いに同一でも異なっていてもよい。R15は炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のR15は互いに同一でも異なっていてもよい。R16はエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のR16は互いに同一でも異なっていてもよい。R17はエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のR17は互いに同一でも異なっていてもよい。R18は炭素数1〜4のアルキル基を示し、複数のR18は互いに同一でも異なっていてもよい。R19、R20、R21はエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、R19、R20、R21は互いに同一でも異なっていてもよい。また、e、f、g、h、iは実数を示し、e>0、f≧0、g≧0、h≧0、i>0である。
【0014】
本発明のシロキサン誘導体においては、前記一般式(8)においてf>0であることが好ましい。
【0015】
本発明のシロキサン誘導体においては、前記一般式(8)においてf>eであることが好ましい。
【0016】
本発明のシロキサン誘導体においては、前記一般式(8)においてg>0であることが好ましい。
【0017】
本発明のシロキサン誘導体においては、加水分解性シランを加水分解・縮重合させることにより得られる化合物であることが好ましい。
【0018】
本発明のシロキサン誘導体においては、下記一般式(9)で表される加水分解性シラン及び下記一般式(10)で表される加水分解性シランを、共加水分解・縮合させることにより得られる化合物であることが好ましい。
【化9】

一般式中R22はエポキシ基含有基を示し、複数のR22は互いに同一でも異なっていてもよい。Xはアルコキシ基又はハロゲン原子を示し、複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。
【化10】

一般式中R23は炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のR23は互いに同一でも異なっていてもよい。Xはアルコキシ基又はハロゲン原子を示し、複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0019】
本発明のシロキサン誘導体においては、前記一般式(9)で表される加水分解性シラン及び前記一般式(10)で表される加水分解性シラン及び下記一般式(11)で表される加水分解性シランを、共加水分解・縮合させることにより得られる化合物であることが好ましい。
【化11】

一般式中R24、R25、R26はエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、R24、R25、R26は互いに同一でも異なっていてもよい。Xはアルコキシ基又はハロゲン原子を示し、複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0020】
本発明のシロキサン誘導体においては、エポキシ基含有基が前記一般式(2)で表されることが好ましい。
【0021】
本発明の硬化物は、上記シロキサン誘導体を重合してなることを特徴とする。
【0022】
本発明の硬化物においては、重合開始剤としてカチオン重合開始剤を用いて重合してなることが好ましい。
【0023】
本発明の硬化物においては、硬化剤として酸無水物を用いて重合してなることが好ましい。
【0024】
本発明の硬化物においては、硬化促進剤を更に用いて重合してなることが好ましい。
【0025】
本発明の硬化物においては、熱により重合してなることが好ましい。
【0026】
本発明の硬化物においては、下記一般式(12)で表される構成単位を有するシリコーン化合物を添加して、重合してなることが好ましい。
【化12】

一般式中R27、R28はエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、R27、R28は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0027】
本発明の光半導体封止材は、上記硬化物からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、高い透明性を有し、硬化性、耐光性、耐熱性、接着性、耐熱衝撃性に優れた硬化物を得ることができ、また、適正な粘度で作業性良好であり、保存安定性にも優れたシロキサン誘導体、及び該シロキサン誘導体を重合してなる硬化物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のシロキサン誘導体は、下記一般式(1)で表される構成単位を有するエポキシ基含有シロキサン誘導体であり、該シロキサン誘導体のエポキシ価が0.001〜0.35(当量/100g)であることを特徴としている。
【化13】

一般式中Rはエポキシ基含有基を示し、エポキシ基以外の有機基を有していてもよく、その有機基が置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基又は分岐鎖状アルキル基である。
【0030】
このシロキサン誘導体のエポキシ価は0.001〜0.35(当量/100g)である。これは、エポキシ価が0.001(当量/100g)以上であると、硬化性に優れ、エポキシ価が0.35(当量/100g)以下であると、特に耐光性及び耐熱性に優れ、かつ接着性や耐熱衝撃性とのバランスにも優れているためである。以上の観点から、エポキシ価は0.001〜0.25(当量/100g)であることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.20(当量/100g)、もっと好ましくは0.001〜0.15(当量/100g)、更に好ましくは0.005〜0.12(当量/100g)、最も好ましくは0.01〜0.10(当量/100g)である。なお、ここでの耐光性及び耐熱性とは、主には、光や熱による黄変が極めて起こり難いことを指しており、以下、本願における耐光性及び耐熱性についても同様である。
【0031】
また、本発明のシロキサン誘導体はエポキシ基以外の有機基を有していてもよく、その有機基は置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基又は分岐鎖状アルキル基である。エポキシ基以外の有機基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル等)、ヘキシル(n−ヘキシル、i−ヘキシル等)、ヘプチル(n−ヘプチル、i−ヘプチル等)、オクチル(n−オクチル、i−オクチル、t−オクチル等)、ノニル(n−ノニル、i−ノニル等)、デシル(n−デシル、i−デシル等)、ドデシル(n−ドデシル、i−ドデシル等)等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、また、これらの水素原子又は主鎖骨格の一部又は全部が、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シロキサン基、フッ素等のハロゲン原子、メタクリル基、アクリル基、メルカプト基、アミノ基、ヒドロキシル基からなる群から選ばれた少なくとも1種で置換されていてもよい。直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であると、耐光性や耐熱性に優れるという利点があり、また、作業性良好なシロキサン誘導体を得易い。これら有機基中の置換基も含めた全炭素原子数は、通常15個以下であるが、耐熱性が高い点で、10個以下が好ましく、より好ましくは6個以下であり、同様の観点で非置換の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。また、この有機基が直鎖状のアルキル基であると、耐光性や耐熱性の観点で更に好ましい。以上を踏まえると、エポキシ基以外の有機基の例としては、特に好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基であり、最も好ましくは、メチル基、エチル基である。
【0032】
本発明のシロキサン誘導体に含まれるエポキシ基含有基としては、下記一般式(2)、下記一般式(3)、下記一般式(4)又は下記一般式(5)で表されると、硬化性、耐光性、耐熱性等の観点で好ましい。
【化14】

一般式中Rはメチレン基又は二価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基又は炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。
【化15】

一般式中Rはメチレン基又は二価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基又は炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。
【化16】

一般式中Rはメチレン基又は二価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基又は炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。
【化17】

一般式中Rはメチレン基又は二価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基又は炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。R、R、R、Rの炭素数は、耐熱性の観点から10以下が好ましい。このような観点から好ましいR、R、R、Rの構造を例示すると、−(CH)−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−CH(CH)CH−、−C(CH−等が挙げられ、−(CH−、−(CH−、−CH(CH)CH−がより好ましく、更に好ましくは−(CH−、−(CH−である。また、エポキシ基含有基が一般式(2)又は一般式(4)で表されると入手性の観点から好ましく、一般式(2)で表されると硬化性の観点から更に好ましい。以上を総合して、本発明のシロキサン誘導体におけるエポキシ基含有基として特に好ましいものとしては、3−グリシドキシプロピル基、2−(3’、4’−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(2’−ヒドロキシエトキシ)プロピル基等が挙げられ、その中でも2−(3’、4’−エポキシシクロヘキシル)エチル基が、硬化性に優れる点で最も好ましい。
【0033】
本発明におけるシロキサン誘導体とは、RSiO1/2で示されるM構造、RSiOで示されるD構造、RSiO3/2で示されるT構造、SiOで示されるQ構造の何れを有していてもよい(Rは後述一般式(6)におけるRと同様)。このとき、一般式(1)で表されるような構成単位、つまりT構造を有していると、低いエポキシ価でありながら硬化性に優れており、硬化物としたときのTgを高めることができる。また、作業性、接着性、耐熱衝撃性等とのバランスを取り易いという利点もある。
【0034】
一般式(1)で表されるようなT構造の構成単位を有するシロキサン誘導体としてはシルセスキオキサン化合物が挙げられる。また、他の構成単位を含んでいてもよく、例えば、M構造とT構造を有する化合物、D構造とT構造を有する化合物、M構造とD構造とT構造を有する化合物、T構造とQ構造を有する化合物、M構造とT構造とQ構造を有する化合物、D構造とT構造とQ構造を有する化合物、M構造とD構造とT構造とQ構造を有する化合物等が挙げられる。また、例えば、異種のT構造を有していてもよく、つまり、異種の置換基(上記のR)を有する複数の一般式(1)で表される構成単位を有していてもよい。
【0035】
本発明のシロキサン誘導体としては、下記一般式(6)で示される化合物であることが好ましい。これにより、分子量の調整が比較的容易で、その結果、適正粘度で作業性良好となり、かつ硬化性、接着性、耐熱衝撃性等の性能とのバランスに優れているシロキサン誘導体が得られる。なお、該シロキサン誘導体は1種又は2種以上の混合物であってもよく、以下、本願におけるシロキサン誘導体の化学式は、平均組成式を示す。
【化18】

一般式中Rはエポキシ基含有基を示し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。Rは炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。Rはエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。Rはエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。R10は炭素数1〜4のアルキル基を示し、複数のR10は互いに同一でも異なっていてもよい。また、a、b、c、dは実数を示し、a>0、b≧0、c≧0、d≧0である。
【0036】
一般式(6)で示されるシロキサン誘導体としては、ラダー状シルセスキオキサン構造を有する化合物、カゴ状シルセスキオキサン構造を有する化合物、不定形シルセスキオキサン構造を有する化合物、及びこれらの構造が混在する化合物を挙げることができる。
【0037】
なお、各シルセスキオキサン構造同士は、直接結合されていてもよく、任意の原子又は官能基、例えば、酸素原子又は有機基を介して結合されていてもよい。有機基としては、炭化水素基、オキシアルキレン基、シロキサン基、それらの重合体、並びにそれらを組み合わせた構造等が挙げられる。
【0038】
一般式(6)におけるRの例としては、前記のエポキシ基含有基と同様であり、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表されると、硬化性、耐光性、耐熱性等の観点で好ましく、一般式(2)又は一般式(4)で表されるとより好ましく、一般式(2)で表されると更に好ましい。また、一般式(6)において[RSiO3/2]で表される構成単位が複数ある場合、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0039】
一般式(6)におけるRの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル等)、ヘキシル(n−ヘキシル、i−ヘキシル等)、ヘプチル(n−ヘプチル、i−ヘプチル等)、オクチル(n−オクチル、i−オクチル、t−オクチル等)、ノニル(n−ノニル、i−ノニル等)、デシル(n−デシル、i−デシル等)、ドデシル(n−ドデシル、i−ドデシル等)等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、また、これらの水素原子又は主鎖骨格の一部又は全部が、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シロキサン基、フッ素等のハロゲン原子、メタクリル基、アクリル基、メルカプト基、アミノ基、ヒドロキシル基からなる群から選ばれた少なくとも1種で置換されていてもよい。一般式(6)におけるRが直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であると、耐光性や耐熱性に優れるという利点があり、また、作業性良好なシロキサン誘導体を得易い。これら有機基中の置換基も含めた全炭素原子数は、通常15個以下であるが、耐熱性が高い点で、10個以下が好ましく、より好ましくは6個以下であり、同様の観点で非置換の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。また、Rが直鎖状のアルキル基であると、耐光性や耐熱性の観点で更に好ましい。以上を踏まえると、一般式(6)におけるRとしては、特に好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基であり、最も好ましくは、メチル基、エチル基である。また、一般式(6)において[RSiO3/2]で表される構成単位が複数ある場合、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0040】
一般式(6)におけるR、Rの例としては、各々独立に、前記一般式(6)におけるRの例やRの例の中から選択される少なくとも1種である。また、[RSiO(OH)]で表される構成単位が複数ある場合、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよく、[RSiO(OR10)]で表される構成単位が複数ある場合、複数のRやR10は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0041】
一般式(6)におけるR10の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル)等が挙げられ、反応性等の観点から、メチル又はエチルであることが好ましい。
【0042】
本発明において一般式(6)で表されるシロキサン誘導体としては、耐光性及び耐熱性に優れ、かつ接着性や耐熱衝撃性とのバランスにも優れている点で、一般式(6)においてb>0であることが好ましい。同様の観点で、b>aであることが好ましく、b>3aであることがより好ましく、b>5aであることがもっと好ましく、b>7aであることが更に好ましく、b>8aであることが特に好ましく、b>9aであることが最も好ましい。
【0043】
また、一般式(6)で表されるシロキサン誘導体においては、c>0であること、つまりシラノール基を有していることが好ましい。c/(a+b+c+d)の値としては、好ましくは0より大きく、より好ましくは0.001以上、もっと好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.01以上、特に好ましくは0.02以上、最も好ましくは0.03以上の実数である。これにより、硬化性がアップすると共に、高接着性の硬化物が得られる。更には、該シロキサン誘導体及び該シロキサン誘導体を含む硬化性樹脂組成物の保存安定性の観点から、c/(a+b+c+d)の値は、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.4以下、特に好ましくは0.3以下、最も好ましくは0.2以下の実数である。ここで、シラノール基の含有量は、H−NMR及び29Si−NMRから求めることができる。29Si−NMRよりT2構造(シラノール基及びアルコキシ基)及びT3構造の含有量が分かり、H−NMRよりアルコキシ基の含有量が分かり、その結果、シラノール基含有量が分かる。つまり、一般式(6)とNMRの関連は、(c+d)/(a+b+c+d)=T2/(T2+T3)となっており、例えば、H−NMRからアルコキシ基が殆ど残存していない場合、つまり一般式(6)においてd=0の場合には、[全T構造中のシラノール基濃度]=T2/T=T2/(T2+T3)=c/(a+b+c)となる。
【0044】
なお、該シロキサン誘導体中におけるアルコキシ基の含有量は、硬化時に脱アルコールの問題がある観点から、少ない方が好ましい。一般式(6)においては、d/(a+b+c+d)の値が1以下であると好ましく、0.5以下であるとより好ましく、0.1以下であると特に好ましく、0.05以下であると最も好ましい。
【0045】
本発明のシロキサン誘導体は、一般式(1)で表される構成単位を少なくとも有するが、下記一般式(7)で表される構成単位を更に有することが好ましい。これにより、分子量の調整が非常に容易で、その結果、適正粘度で作業性良好なシロキサン誘導体が得られ、また、耐熱衝撃性も向上させることができる。更に、一般式(1)で表される構成単位を有するシロキサン誘導体、或いは一般式(6)で表されるシロキサン誘導体中に、T構造を有する低分子量成分の量が増えると、シロキサン誘導体に濁りが生じる場合があるが、一般式(7)で表される構成単位を更に有することにより、濁りの発生を抑制させ、均一で無色透明なシロキサン誘導体を得ることができる利点もある。
【化19】

式中R11、R12、R13はエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、R11、R12、R13は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0046】
一般式(7)におけるR11、R12、R13の例としては、各々独立に、前記一般式(6)におけるRの例やRの例の中から選択される少なくとも1種である。一般式(7)で表されるようなM構造の構成単位を更に有するシロキサン誘導体としては、M構造とT構造を有する化合物が挙げられるが、他の構成単位を含んでいてもよく、例えば、M構造とD構造とT構造を有する化合物、M構造とT構造とQ構造を有する化合物、M構造とD構造とT構造とQ構造を有する化合物等も挙げられる。また、例えば、異種のM構造を有していても良く、つまり、異種の置換基を有する複数の一般式(7)で表される構成単位を有していてもよい。
【0047】
これらシロキサン誘導体としては、適正粘度で作業性良好であり、接着性、耐熱衝撃性等の性能とのバランスに優れている点で、一般式(1)及び一般式(7)で表される構成単位を有することが好ましく、更に好ましくは下記一般式(8)で示される化合物である。
【化20】

一般式中R14はエポキシ基含有基を示し、複数のR14は互いに同一でも異なっていてもよい。R15は炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のR15は互いに同一でも異なっていてもよい。R16はエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のR16は互いに同一でも異なっていてもよい。R17はエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のR17は互いに同一でも異なっていてもよい。R18は炭素数1〜4のアルキル基を示し、複数のR18は互いに同一でも異なっていてもよい。R19、R20、R21はエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、R19、R20、R21は互いに同一でも異なっていてもよい。また、e、f、g、h、iは実数を示し、e>0、f≧0、g≧0、h≧0、i>0である。
【0048】
一般式(8)で示されるシロキサン誘導体としては、ラダー状シルセスキオキサン構造及びM構造を有する化合物、カゴ状シルセスキオキサン構造及びM構造を有する化合物、不定形シルセスキオキサン構造及びM構造を有する化合物、及びこれらの構造が混在する化合物を挙げることができる。
【0049】
なお、各シルセスキオキサン構造同士は、直接結合されていても良く、任意の原子又は官能基、例えば、酸素原子又は有機基を介して結合されていても良い。有機基としては、炭化水素基、オキシアルキレン基、シロキサン基、それらの重合体、並びにそれらを組み合わせた構造等が挙げられる。
【0050】
一般式(8)におけるR14の例としては、前記のエポキシ基含有基と同様であり、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表されると、硬化性、耐光性、耐熱性等の観点で好ましく、一般式(2)又は一般式(4)で表されるとより好ましく、一般式(2)で表されると更に好ましい。また、一般式(8)において[R14SiO3/2]で表される構成単位が複数ある場合、複数のR14は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0051】
一般式(8)におけるR15の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル等)、ヘキシル(n−ヘキシル、i−ヘキシル等)、ヘプチル(n−ヘプチル、i−ヘプチル等)、オクチル(n−オクチル、i−オクチル、t−オクチル等)、ノニル(n−ノニル、i−ノニル等)、デシル(n−デシル、i−デシル等)、ドデシル(n−ドデシル、i−ドデシル等)等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、また、これらの水素原子又は主鎖骨格の一部又は全部が、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シロキサン基、フッ素等のハロゲン原子、メタクリル基、アクリル基、メルカプト基、アミノ基、ヒドロキシル基からなる群から選ばれた少なくとも1種で置換されていてもよい。一般式(8)におけるR15が直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であると、耐光性や耐熱性に優れるという利点があり、また、作業性良好なシロキサン誘導体を得易い。これら有機基中の置換基も含めた全炭素原子数は、通常15個以下であるが、耐熱性が高い点で、10個以下が好ましく、より好ましくは6個以下であり、同様の観点で非置換の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。また、R15が直鎖状のアルキル基であると、耐光性や耐熱性の観点で更に好ましい。以上を踏まえると、一般式(8)におけるR15としては、特に好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基であり、最も好ましくは、メチル基、エチル基である。また、一般式(8)において[R15SiO3/2]で表される構成単位が複数ある場合、複数のR15は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0052】
一般式(8)におけるR16、R17の例としては、各々独立に、前記一般式(8)におけるR14の例やR15の例の中から選択される少なくとも1種である。また、[R16SiO(OH)]で表される構成単位が複数ある場合、複数のR16は互いに同一でも異なっていてもよく、[R17SiO(OR18)]で表される構成単位が複数ある場合、複数のR17やR18は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0053】
一般式(8)におけるR18の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル)等が挙げられ、反応性等の観点から、メチル又はエチルであることが好ましい。
【0054】
一般式(8)におけるR19、R20、R21の例としては、各々独立に、前記一般式(8)におけるR14の例やR15の例の中から選択される少なくとも1種である。また、[R192021SiO1/2]で表される構成単位が複数ある場合、複数のR19や複数のR20や複数のR21は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0055】
本発明において一般式(8)で表されるシロキサン誘導体としては、耐光性及び耐熱性に優れ、かつ接着性や耐熱衝撃性とのバランスにも優れている点で、一般式(8)においてf>0であることが好ましい。同様の観点で、f>eであることが好ましく、f>3eであることがより好ましく、f>5eであることがもっと好ましく、f>7eであることが更に好ましく、f>8eであることが特に好ましく、f>9eであることが最も好ましい。
【0056】
また、一般式(8)で表されるシロキサン誘導体においては、g>0であること、つまりシラノール基を有していることが好ましい。g/(e+f+g+h)の値としては、好ましくは0より大きく、より好ましくは0.001以上、もっと好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.01以上、特に好ましくは0.02以上、最も好ましくは0.03以上の実数である。これにより、硬化性がアップすると共に、高接着性の硬化物が得られる。更には、該シロキサン誘導体及び該シロキサン誘導体を含む硬化性樹脂組成物の保存安定性の観点から、g/(e+f+g+h)の値は、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.4以下、特に好ましくは0.3以下、最も好ましくは0.2以下の実数である。なお、シラノール基含有量の求め方は、前記と同様の方法である。
【0057】
なお、該シロキサン誘導体中におけるアルコキシ基の含有量は、硬化時に脱アルコールの問題がある観点から、少ない方が好ましい。一般式(8)においては、h/(e+f+g+h)の値が1以下であると好ましく、0.5以下であるとより好ましく、0.1以下であると特に好ましく、0.05以下であると最も好ましい。
【0058】
M構造の含有量は、一般式(8)においてiで表される。分子量の調整が非常に容易で、その結果、適正粘度で作業性良好なシロキサン誘導体が得られ、また、耐熱衝撃性も向上させることができるという観点で、更に、前記のように、濁りの発生を抑制させ、均一で無色透明なシロキサン誘導体が得られるという観点で、i/(e+f+g+h)が0.001以上であると好ましく、また、該シロキサン誘導体を含む硬化性樹脂組成物の硬化物のTgの低減を抑制できる観点で、i/(e+f+g+h)が2以下であると好ましい。以上の観点から、i/(e+f+g+h)が、0.001〜1であるとより好ましく、0.001〜0.7であるともっと好ましく、0.005〜0.5であると更に好ましく、0.01〜0.4であると特に好ましく、0.01〜0.2であると最も好ましい。
【0059】
なお、M構造の含有量は、29Si−NMRから求めることができる。29Si−NMRよりT2構造(シラノール基及びアルコキシ基)、T3構造、M構造の含有量が分かり、一般式(8)とNMRの関連も踏まえると、[M構造/T構造]=M/T=M/(T2+T3)=i/(e+f+g+h)となる。
【0060】
本発明のシロキサン誘導体の数平均分子量は、特に制限はされないが、500〜100000が好ましい。数平均分子量が500以上であれば硬化性に優れ、硬化物のTgが高くなる傾向にあり、数平均分子量が100000以下であると、シロキサン誘導体及び該シロキサン誘導体を含む硬化性樹脂組成物の作業性に優れる。このような観点から、より好ましい数平均分子量の範囲は、700〜50000、もっと好ましくは700〜10000、更に好ましくは800〜8000、特に好ましくは900〜6000、最も好ましくは1000〜4000である。なお、数平均分子量はGPC測定における数平均分子量によって規定される。
【0061】
シロキサン誘導体の合成法としては、特に限定されるものではないが、例えば、1種類又は2種類以上の加水分解性シランを加水分解・縮重合させる方法を挙げることができる。
【0062】
前記一般式(6)で表されるようなシロキサン誘導体は、下記一般式(9)で表される加水分解性シラン及び下記一般式(10)で表される加水分解性シランを、共加水分解・縮合させることにより得ることができる。
【化21】

式中R22はエポキシ基含有基を示し、複数のR22は互いに同一でも異なっていてもよい。Xはアルコキシ基又はハロゲン原子を示し、複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。
【化22】

式中R23は炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のR23は互いに同一でも異なっていてもよい。Xはアルコキシ基又はハロゲン原子を示し、複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0063】
一般式(9)におけるR22の例としては、前記のエポキシ基含有基と同様であり、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表されると、硬化性、耐光性、耐熱性等の観点で好ましく、一般式(2)又は一般式(4)で表されるとより好ましく、一般式(2)で表されると更に好ましい。また、一般式(9)で表される加水分解性シランを2種類以上使用してもよく、その場合、複数のR22や複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0064】
一般式(9)におけるXの例としては、Xがアルコキシ基の場合、XはOR29と表すことができ、R29は炭素数1〜4のアルキル基である。そのときのR29の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル)等が挙げられ、反応性等の観点から、メチル又はエチルであることが好ましい。Xがハロゲン原子の場合は、Xの例としては塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、この中では塩素が好ましい。
【0065】
一般式(10)におけるR23の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル等)、ヘキシル(n−ヘキシル、i−ヘキシル等)、ヘプチル(n−ヘプチル、i−ヘプチル等)、オクチル(n−オクチル、i−オクチル、t−オクチル等)、ノニル(n−ノニル、i−ノニル等)、デシル(n−デシル、i−デシル等)、ドデシル(n−ドデシル、i−ドデシル等)等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、また、これらの水素原子又は主鎖骨格の一部又は全部が、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シロキサン基、フッ素等のハロゲン原子、メタクリル基、アクリル基、メルカプト基、アミノ基、ヒドロキシル基からなる群から選ばれた少なくとも1種で置換されていてもよい。一般式(10)におけるR23が直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であると、耐光性や耐熱性に優れるという利点があり、また、作業性良好なシロキサン誘導体を得易い。これら有機基中の置換基も含めた全炭素原子数は、通常15個以下であるが、耐熱性が高い点で、10個以下が好ましく、より好ましくは6個以下であり、同様の観点で非置換の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。また、R23が直鎖状のアルキル基であると、耐光性や耐熱性の観点で更に好ましい。以上を踏まえると、一般式(10)におけるR23としては、特に好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基であり、最も好ましくは、メチル基、エチル基である。また、一般式(10)で表される加水分解性シランを2種類以上使用してもよく、その場合、複数のR23や複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0066】
一般式(10)におけるXの例としては、Xがアルコキシ基の場合、XはOR30と表すことができ、R30は炭素数1〜4のアルキル基である。そのときのR30の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル)等が挙げられ、反応性等の観点から、メチル又はエチルであることが好ましい。Xがハロゲン原子の場合は、Xの例としては塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、この中では塩素が好ましい。
【0067】
一般式(9)で表される加水分解性シラン及び一般式(10)で表される加水分解性シランを、共加水分解・縮合させる場合、合成時における一般式(9)で表される加水分解性シランと一般式(10)で表される加水分解性シランの配合比としては、耐光性及び耐熱性に優れ、かつ接着性や耐熱衝撃性とのバランスにも優れている点で、[一般式(10)で表される加水分解性シランのmol数/一般式(9)で表される加水分解性シランのmol数]の値が、1より大きいことが好ましく、3より大きいことがより好ましく、5より大きいことがもっと好ましく、7より大きいことが更に好ましく、8より大きいことが特に好ましく、9より大きいことが最も好ましい。
【0068】
前記一般式(8)で表されるようなシロキサン誘導体は、一般式(9)で表される加水分解性シラン及び一般式(10)で表される加水分解性シラン及び下記一般式(11)で表される加水分解性シランを、共加水分解・縮合させることにより得ることができる。
【化23】

式中R24、R25、R26はエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、R24、R25、R26は互いに同一でも異なっていてもよい。Xはアルコキシ基又はハロゲン原子を示し、複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0069】
一般式(11)におけるR24、R25、R26の例としては、各々独立に、前記一般式(8)におけるR14の例やR15の例の中から選択される少なくとも1種である。
【0070】
また、この場合においても、一般式(9)で表される加水分解性シランを2種類以上使用してもよく、その場合、複数のR22や複数のXは互いに同一でも異なっていてもよく、また、一般式(10)で表される加水分解性シランを2種類以上使用してもよく、その場合、複数のR23や複数のXは互いに同一でも異なっていてもよく、更に、一般式(11)で表される加水分解性シランを2種類以上使用してもよく、その場合、複数のR24や複数のR25や複数のR26や複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0071】
一般式(11)におけるXの例としては、Xがアルコキシ基の場合、XはOR31と表すことができ、R31は炭素数1〜4のアルキル基である。そのときのR31の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル)等が挙げられ、反応性等の観点から、メチル又はエチルであることが好ましい。Xがハロゲン原子の場合は、Xの例としては塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、この中では塩素が好ましい。
【0072】
一般式(9)で表される加水分解性シラン及び一般式(10)で表される加水分解性シラン及び一般式(11)で表される加水分解性シランを、共加水分解・縮合させる場合、合成時における一般式(9)で表される加水分解性シランと一般式(10)で表される加水分解性シランの配合比としては、耐光性及び耐熱性に優れ、かつ接着性や耐熱衝撃性とのバランスにも優れている点で、[一般式(10)で表される加水分解性シランのmol数/一般式(9)で表される加水分解性シランのmol数]の値が、1より大きいことが好ましく、3より大きいことがより好ましく、5より大きいことがもっと好ましく、7より大きいことが更に好ましく、8より大きいことが特に好ましく、9より大きいことが最も好ましい。また、分子量の調整が非常に容易で、その結果、適正粘度で作業性良好なシロキサン誘導体が得られ、また、耐熱衝撃性も向上させることができるという観点で、更に、前記のように、濁りの発生を抑制させ、均一で無色透明なシロキサン誘導体が得られるという観点で、[一般式(11)で表される加水分解性シランのmol数/一般式(9)及び一般式(10)で表される加水分解性シランの総mol数]の値が0.001以上であると好ましく、また、該シロキサン誘導体を含む硬化性樹脂組成物の硬化物のTgの低減を抑制できるという観点で、10以下であると好ましい。以上の観点から、0.001〜5であるとより好ましく、0.001〜2であるともっと好ましく、0.005〜1であると更に好ましく、0.01〜0.7であると特に好ましく、0.01〜0.5であると最も好ましい。
【0073】
なお、異なる2種類以上の加水分解性シランを共加水分解・縮合させる場合、異種の加水分解性シランを添加する順序は、同一であっても異なっていても良い。
【0074】
以上のように、加水分解性シランを加水分解・縮重合させてシロキサン誘導体を合成する場合、加水分解性シランとしては、前記のようにアルコキシシラン化合物やクロロシラン化合物等が挙げられるが、反応系内にエポキシ基が存在する場合には、合成中でのエポキシ基の開環を抑制できる点でアルコキシシラン化合物が好ましい。アルコキシシラン化合物としては、M構造で表される構成単位を形成するにはモノアルコキシシラン化合物を、D構造で表される構成単位を形成するにはジアルコキシシラン化合物を、T構造で表される構成単位を形成するにはトリアルコキシシラン化合物を、Q構造で表される構成単位を形成するにはテトラアルコキシシラン化合物を使用すればよい。また、M構造で表される構成単位を導入する際、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサンのような化合物を用いてもよい。
【0075】
アルコキシシラン化合物の加水分解・縮重合反応を、酸又は塩基の存在下、所定の条件で行うことによりシロキサン誘導体を得ることができる。その際、反応に使用する触媒の種類及び量、水の量、反応溶媒の種類及び量、反応の温度及び時間等により、シロキサン誘導体の構造、分子量、シラノール量等を調整することができる。
【0076】
触媒の例として、酸としては塩酸、硫酸、硝酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、マレイン酸等が挙げられ、塩基としては水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、アミン化合物等が例示できる。反応系内にエポキシ基が存在する場合には、合成中でのエポキシ基の開環を抑制できる、分子量の制御をし易い点で塩基が好ましい。触媒量は、触媒の添加mol数/アルコキシ基の総mol数=0.0005〜5が好ましく、より好ましくは0.001〜1、更に好ましくは0.001〜0.5、特に好ましくは0.001〜0.1である。
【0077】
水の添加量としては、水の添加mol数/アルコキシ基の総mol数=0.1〜5が好ましく、水の添加量を0.1以上にするとアルコキシ基の加水分解量を増やすことができ、水の添加量を5以下にするとシラノール基生成量を適正にできることに伴い、シロキサン誘導体及び該シロキサン誘導体を含む硬化性樹脂組成物の保存安定性を高めることができる。以上の観点から、より好ましくは0.1〜3、更に好ましくは0.2〜1.5、特に好ましくは0.2〜1.2、最も好ましくは0.3〜1.0である。
【0078】
反応溶媒の量としては、反応溶媒の質量部/アルコキシシラン化合物の総質量部=0.1〜20が好ましく、より好ましくは0.2〜15、更に好ましくは0.5〜10である。反応液濃度を変えることにより分子量を調節することが可能であり、反応溶媒の量をこの範囲に設定すると、適正な分子量、つまり作業性良好なシロキサン誘導体を得ることができる。
【0079】
塩基触媒下で合成して反応終了後に中和を行う場合、中和の方法は特に限定されるものではないが、中和剤の例としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、炭酸ガス、イオン交換樹脂等が挙げられる。また、中和の際に塩酸等の強酸を用いる際は、炭酸水素ナトリウム等を併用すると、中性付近に安定させることができ、その結果、エポキシ基の開環を防ぐことが可能となる。
【0080】
本発明のシロキサン誘導体からなる硬化物を得るには、本発明のシロキサン誘導体を重合させる訳であるが、該シロキサン誘導体を重合して硬化する方法としては、熱硬化、エネルギー線による硬化及びそれらの組み合わせによる硬化が挙げられる。短時間で硬化するにはエネルギー線による硬化が好ましく、耐熱性及び耐光性のより優れる硬化物を得るには、熱硬化がより好ましい。
【0081】
本発明のシロキサン誘導体をエネルギー線により硬化させる場合、硬化を促進させる化合物として、光カチオン重合開始剤や光塩基発生剤を添加してもよい。
【0082】
前記光カチオン重合開始剤とは、エネルギー線照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能な化合物であり、特に好ましいものとしては照射によりルイス酸を放出するオニウム塩である。このようなものとしては、ルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨードニウム塩、ルイス酸のスルホニウム塩等が挙げられ、これらはカチオン部分がそれぞれ芳香属ジアゾニウム、芳香属ヨードニウム、芳香属スルホニウムであり、アニオン部分がBF、PF、SbF、[BX(ただし、Xは少なくとも2つ以上のフッ素又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基)等により構成されたオニウム塩である。
【0083】
具体的には、四フッ化ホウ素のフェニルジアゾニウム塩、六フッ化リンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化アンチモンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化ヒ素のトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、四フッ化アンチモンのトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジフェニルヨードニウム塩、アセチルアセトンアルミニウム塩とオルトニトロベンジルシリルエーテル混合体、フェニルチオピリジウム塩、六フッ化リンアレン−鉄錯体等を挙げることができる。更に具体的には、CD−1012(商品名:SARTOMER社製)、PCI−019、PCI−021(商品名:日本化薬社製)、オプトマーSP−150、オプトマーSP−170(商品名:旭電化社製)、UVI−6990(商品名:ダウケミカル社製)、CPI−100P、CPI−100A(商品名:サンアプロ社製)、TEPBI−S(商品名:日本触媒社製)等を用いることができ、これらは単独でも2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0084】
また、光カチオン重合開始剤には、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル、チオキサントン、アントラセン等の光増感剤を併用することもでき、具体的には4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4’−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0085】
前記光塩基発生剤としては、例えばベンジルカルバメイト化合物、ベンゾインカルバメイト化合物、o−カルバモイルヒドロキシアミン類、o−カルバモイルオキシム、芳香族スルホンアミド類、N−(2−アリールエテニル)アミド類、アリールアジド類、N−アリールホルムアミド類、アシルオキシイミノ化合物、及びN−置換−4−(オルトニトロフェニル)ジヒドロピロジン類が挙げられる。
【0086】
これら光重合開始剤の配合量は、硬化性及び硬化物の耐光性や耐熱性の観点から、本発明のシロキサン誘導体100質量部に対して0.001〜20質量部が好ましく、0.1〜15質量部がより好ましく、0.2〜10質量部が更に好ましい。
【0087】
本発明のシロキサン誘導体を光硬化させる場合、該シロキサン誘導体を硬化させるのに使用できる光源としては、所定の作業時間内で硬化させることができるものであれば特に制限はなく、通常、紫外線、可視光線の波長の光を照射できるものであり、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライド灯、無電極放電ランプ等が挙げられる。なお、硬化を促進するために、上記方法で得られた硬化物を恒温槽、赤外線ヒーター等で加温してもよい。
【0088】
本発明のシロキサン誘導体を熱硬化させる場合、酸無水物硬化或いはカチオン重合による硬化が、耐光性及び耐熱性に優れる点で好ましい。
【0089】
本発明のシロキサン誘導体を酸無水物により熱硬化する場合、該シロキサン誘導体に酸無水物を添加する。本発明に使用することができる酸無水物としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水コハク酸、酸無水物末端ポリジメチルシロキサン等の無色〜淡黄色の酸無水物が挙げられ、単独で若しくは2種以上を併せて用いることができ、これらの中でメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸の無水物が耐光性及び耐熱性の観点からより好ましい。
【0090】
酸無水物は単独又は2種以上の混合物として使用してもよく、その配合量は、硬化性、耐湿性、耐光性、耐熱性、接着性、耐熱衝撃性等の観点から、本発明のシロキサン誘導体のエポキシ基に対して0.01〜5当量となるように添加するのが好ましく、0.01〜2当量となるように添加するのがより好ましく、0.01〜1.5当量となるように添加するのが更に好ましい。また、特段優れた耐熱性及び耐光性の観点からは、本発明のシロキサン誘導体のエポキシ基に対して0.01〜0.7当量となるように添加するのが好ましく、0.01〜0.5当量となるように添加するのがより好ましく、0.01〜0.3当量となるように添加するのが更に好ましい。シロキサン誘導体100質量部に対する酸無水物の配合量は、シロキサン誘導体のエポキシ価にもよるが、好ましくは0.1〜200質量部、より好ましくは1〜50質量部、もっと好ましくは1〜25質量部、更に好ましくは1〜12質量部、最も好ましくは1〜7質量部である。
【0091】
また、本発明のシロキサン誘導体を酸無水物硬化する場合には、硬化促進剤を更に添加しても良い。硬化促進剤としては、イミダゾール化合物、4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、アミン化合物、アルミニウムキレート化合物、有機ホスフィン化合物等が挙げられる。これらの中でイミダゾール化合物、4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、有機ホスフィン化合物などが着色の少ない硬化物を与える傾向があるため、好ましい。具体的には、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノール等のアミン化合物及びその塩、テトラメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミドなどの4級アンモニウム塩、アルミニウムキレート、テトラ−n−ブチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−0,0−ジエチルホスホロジチオエートなどの有機ホスフィン化合物、クロム(III)トリカルボキシレート、オクチル酸スズ、アセチルアセトネートCr等が挙げられる。これらの中で、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルホスホニウム−0,0−ジエチルホスホロジチオエート等が着色の少ない硬化物を与える傾向がある。また、市販品としては、サンアプロ社よりU−CAT SA1、U−CAT 2026、U−CAT 18X等を好適に用いることができる。
【0092】
これら硬化促進剤は単独又は2種以上の混合物として使用してもよく、その配合量は、本発明のシロキサン誘導体100質量部に対して0質量部以上であり、反応性の観点から0.001質量部以上であることが好ましく、また、耐湿性、耐光性、耐熱性の観点から10質量部以下であることが好ましい。以上の観点から、より好ましくは0.01〜5質量部、更に好ましくは0.01〜2質量部、特に好ましくは0.05〜1質量部である。
本発明のシロキサン誘導体をカチオン重合により熱硬化する場合、該シロキサン誘導体に熱カチオン重合開始剤を添加する。
【0093】
本発明に使用することができる熱カチオン重合開始剤は、熱によりカチオン種を発生して重合を開始させる化合物であり、例えば、第四級アンモニウム塩類、ホスホニウム塩類、スルホニウム塩類等の各種オニウム塩類が例示される。具体的には、第四級アンモニウム塩としては、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウムハイドロジェンサルフェート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムp−トルエンスルホネート、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウムヘキサフルオロアンチモネート、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジメチル−N−ベンジルピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、N,N−ジエチル−N−ベンジルトリフルオロメタンスルホネート、N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。ホスホニウム塩としては、エチルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、テトラブチルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。スルホニウム塩としては、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルシネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアルシネート、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアルシネート等が挙げられる。以上の中でも、スルホニウム塩類におけるヘキサフルオロアンチモネート系化合物が、均一で着色もなく高いガラス転移温度を示す傾向がある。
【0094】
これらオニウム塩類には市販品があり、例えば、アデカオプトンCP−66、CP−77(いずれも製品名:旭電化工業社製)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L及びサンエイドSI−100L(いずれも製品名:三新化学工業社製)、CI-2855、CI−2624(いずれも製品名:日本曹達社製)、CAT EX−1(製品名:ダイセル化学工業社製)等が挙げられる。
【0095】
また、他の熱カチオン重合開始剤として、有機金属錯体類が挙げられ、例えば、アルミニウムトリスアセチルアセトナート等のアルミニウム錯体を含むアルミニウム化合物、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウム錯体を含むジルコニウム化合物、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタネート等のチタニウム錯体を含むチタン化合物等が挙げられる。これらの中では、アルミニウム化合物が好ましい。
【0096】
これら熱カチオン重合開始剤は、単独又は2種以上の混合物として使用してもよく、その配合量は、硬化性及び硬化物の耐光性や耐熱性の観点から、本発明のシロキサン誘導体100質量部に対して0.001〜20質量部が好ましく、0.001〜10質量部がより好ましく、0.002〜5質量部がもっと好ましく、0.002〜1質量部が更に好ましく、0.002〜0.5質量部が特に好ましく、0.005〜0.1質量部が最も好ましい。
【0097】
本発明のシロキサン誘導体を熱硬化する場合、酸無水物による硬化とカチオン重合による硬化を組み合わせてもよく、つまり、酸無水物、熱カチオン重合開始剤を組み合わせて使用してもよく、酸無水物、硬化促進剤、熱カチオン重合開始剤を組み合わせて使用してもよい。
【0098】
また、本発明のシロキサン誘導体を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物は、通常、液状の形態を有し、熱硬化の場合には、80〜250℃に加熱することにより硬化することができる。熱硬化成形方法には特に限定されず、例えば、注型、低圧トランスファ成形、ポッティング、ディッピング、加圧成形、射出成形などによって成形することができる。また、該硬化性樹脂組成物が固形の場合は、プレス機、低圧トランスファ成形機などを用いて加圧下で加熱硬化させて、成形することができる。
【0099】
また、本発明のシロキサン誘導体を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物に有機溶剤を含有させた組成物を硬化させても良い。そして、該硬化性樹脂組成物又は該硬化性樹脂組成物に有機溶剤を含有させた組成物を、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙等の基材に含浸させ、光硬化又は熱硬化、或いは加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成型する等して硬化物を得ることもできる。
【0100】
本発明のシロキサン誘導体を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物において、下記一般式(12)で表される構成単位を有するシリコーン化合物を更に含有すると、耐熱衝撃性の高い硬化物を形成できる点で好ましく、また、粘度、硬化物の硬度やTgを調整できる。また、該シリコーン化合物の配合量によっては、硬化性樹脂組成物中におけるエポキシ濃度を低減させることとなり、その結果、耐光性及び耐熱性も向上させることができる。
【化24】

式中R27、R28はエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、R27、R28は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0101】
シリコーン化合物としては、一般式(12)で表される構成単位を有する化合物であれば特に限定されなく、反応性であっても非反応性であってもよく、そのシロキサン骨格は直鎖状、分岐鎖状、環状及びこれらの組み合わせのいずれであってもよい。
【0102】
一般式(12)におけるR27、R28の例としては、各々独立に、前記のようなエポキシ基含有基の他、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル等)、ヘキシル(n−ヘキシル、i−ヘキシル等)、ヘプチル(n−ヘプチル、i−ヘプチル等)、オクチル(n−オクチル、i−オクチル、t−オクチル等)、ノニル(n−ノニル、i−ノニル等)、デシル(n−デシル、i−デシル等)、ドデシル(n−ドデシル、i−ドデシル等)等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、また、これらの水素原子又は主鎖骨格の一部又は全部が、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シロキサン基、フッ素等のハロゲン原子からなる群から選ばれた少なくとも1種で置換されていてもよい。これらの中では、R27、R28が直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であると、耐光性や耐熱性に優れるという利点があり、また、作業性良好な硬化性樹脂組成物を得易い。これら有機基中の置換基も含めた全炭素原子数は、通常15個以下であるが、耐熱性が高い点で、10個以下が好ましく、より好ましくは6個以下であり、同様の観点で非置換の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。また、R27、R28が直鎖状のアルキル基であると、耐光性や耐熱性の観点で更に好ましい。以上を踏まえると、一般式(12)におけるR27、R28としては、特に好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基であり、最も好ましくは、メチル基、エチル基である。また、一般式(12)で表される構成単位が、異なる2種類以上あってもよく、その場合、複数のR27や複数のR28は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0103】
該シリコーン化合物が反応性シリコーンの場合には、反応性基の位置はシリコーン化合物の末端、側鎖、末端かつ側鎖のいずれであってもよく、また、反応性基が複数ある場合、複数の反応性基は互いに同一でも異なっていてもよい。反応性基の種類の例としては、カルビノール基、シラノール基、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基、メルカプト基、アミノ基、ビニル基、SiH基、カルボキシル基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0104】
反応性シリコーンを配合する場合、反応性基がカルビノール基、シラノール基、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基等の場合には、本発明のシロキサン誘導体のエポキシ基等と反応し得るが、それ以外の反応性基の場合には、反応性基の反応を促進させる触媒等を更に添加してもよい。例えば、SiH基含有シリコーンを配合した場合、SiH基は水酸基と反応するので、触媒として、ビス(2−エチルヘキシル)スズ、ジブチルジラウリルスズ、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄等の各種金属塩を添加してもよい。このときの水酸基を有する化合物としては、本発明のシロキサン誘導体のエポキシ基が開環した際に生成する水酸基、或いはシロキサン誘導体がシラノール基を有している場合にはそれ自身でもよい。勿論、水酸基を有する化合物としてカルビノール基含有シリコーンやシラノール基含有シリコーンを更に配合してもよい。また、ビニル基含有シリコーン及びSiH基含有シリコーンを配合した場合には、ヒドロシリル化反応の触媒、具体的には白金触媒等を添加するのが好ましい。メタクリル基、アクリル基等の場合には、ラジカル重合開始剤を更に添加してもよい。
【0105】
本発明のシロキサン誘導体を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物において上記シリコーン化合物を配合する場合、その配合量としては、本発明のシロキサン誘導体100質量部に対して、0.5〜5000質量部が好ましく、1〜1000質量部がより好ましく、2〜500質量部が更に好ましく、2〜100質量部が特に好ましく、5〜50質量部が最も好ましい。この範囲内で配合すると、前述のような本発明のシロキサン誘導体の優れた特性とシリコーン化合物配合の効果を両立させることができる。
【0106】
本発明のシロキサン誘導体を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物には、1分子中に1個又はそれ以上のアルコール性水酸基を有する有機化合物を配合してもよい。これにより硬化性や接着性を高めることができる。そのような化合物としては、ペンチルアルコール、ブタノール、オクタノールなどの一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、オクタンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコールなどの二価アルコール、グリセリン、エリトリトール、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオールなどの三価以上のアルコール等が挙げられる。これら1分子中に1個又はそれ以上のアルコール性水酸基を有する化合物を配合する場合、その配合量は、本発明のシロキサン誘導体100質量部に対して、接着性を高めるという観点から0.1質量部以上、耐熱性、耐湿性の観点から50質量部以下であることが好ましい。より好ましい配合量は1〜30質量部、更に好ましくは2〜20質量部、最も好ましくは2〜15質量部である。
【0107】
本発明のシロキサン誘導体を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物には、さらに接着性、可撓性等を付与する目的で有機樹脂を配合することができる。有機樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。特に、他の成分と反応可能な基を有するものが好ましく、エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂としては、ビスA型エポキシ樹脂、ビスF型エポキシ樹脂、水添型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等が挙げられる。有機樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲で使用することができ、その配合量は通常、本発明のシロキサン誘導体100質量部に対して0〜80質量部、好ましくは0〜30質量部である。
【0108】
また、本発明のシロキサン誘導体を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物を光又は熱によりカチオン重合させて硬化物を得る場合、他のカチオン重合性化合物を配合してもよい。カチオン重合性化合物としては、エポキシ基を有する化合物、オキセタン環を有する化合物、ビニルエーテル化合物、前記以外の環状エーテル化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物等を挙げることができる。また、以上の化合物が水酸基を有していてもよく、水酸基を有することにより、硬化性や接着性を向上させることができる。これらの中では、硬化性や透明性等の観点で、エポキシ基を有する化合物及び/又はオキセタン環を有する化合物を用いることが好ましい。なお、光硬化性を向上させる、特にキセノンランプ等の長波長領域ランプでの硬化性を向上させるためには、エポキシ基を有する化合物とオキセタン環を有する化合物を併用するのが好ましい。
【0109】
本発明のシロキサン誘導体を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物には、本発明の範囲を逸脱しない量的質的範囲内で、染料、劣化防止剤、離型剤、希釈剤、粘度調整剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、熱安定化剤、帯電防止剤、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤、ワックス類、スリップ剤、腐食防止剤、難燃剤、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を配合することができる。また、本発明の硬化性樹脂組成物には、耐光性、耐熱性、硬度、導電性、熱伝導性、チキソ性、低熱膨張性、屈折率の改良及び調整等を目的として、必要に応じて無機酸化物に代表されるフィラーを配合することができる。
【0110】
酸化防止剤としては、従来公知の全ての酸化防止剤を使用することができる。例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
【0111】
この酸化防止剤を使用する場合、その配合量は特に制限されないが、通常、本発明のシロキサン誘導体に対して5〜20000質量ppmが好ましく、10〜10000質量ppmがより好ましく、100〜1000質量ppmが特に好ましい。この範囲内で配合すると、酸化防止効果が十分発揮され、着色、白濁もなく、耐熱性にも耐光性にも優れる。
【0112】
耐光性を更に向上させたい場合には、光安定剤を配合することができる。光安定剤としては、硬化物が劣化の際に生成するラジカルを捕捉するヒンダードアミン系安定剤が適している。上記酸化防止剤と併用しても良く、それにより酸化防止効果をより向上できる。光安定剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、イオン交換体、多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、有機錫化合物、スルフィド化合物等が挙げられる。
【0113】
フィラーとしては、シリカ(ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、沈降性シリカ等)、窒化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物又は無機窒化物、ガラス、ガラスファイバー、タルク、粘土、セラミックス、銀粉、金粉、銅粉等が挙げられる。それらのフィラーは表面処理をしているか又はしていない状態で使用することができ、表面処理をしていると、フィラーの分散性が高まり、組成物の流動性が高まったり、充填率を上げることができる点等で好ましい。また、これらのフィラーの平均粒径は、500ナノメートル以下であると硬化物の透明性が高いため好ましく、より好ましくは200ナノメートル以下、更に好ましくは100ナノメートル以下である。
【0114】
本発明のシロキサン誘導体及び該シロキサン誘導体を重合してなる硬化物は、高い透明性を有し、硬化性、耐光性、耐熱性、接着性、耐熱衝撃性に優れており、接着剤、塗料、機械部品材料、自動車部品材料、土木建築材料、成型材料等、特には光学部品用、電子部品用に、接着剤、コート材、フォトレジスト、シール材、封止材、絶縁材、レンズ材、基板材等の用途として有用である。具体的には、眼鏡レンズ、光学機器用レンズ、CDやDVDのピックアップ用レンズ、自動車ヘッドランプ用レンズ、プロジェクター用レンズ等のレンズ材料、光ファイバー、光導波路、カラーフィルター等の光フィルター、光学用接着剤、光ディスク基板、光ディスクの光透過層、層間絶縁層、プリント配線板、銅張積層板等の積層板、ディスプレイ基板、導光板、反射防止膜等、また、半導体、液晶、有機EL等の封止材等が挙げられる。そして特には、光半導体装置の封止材、ダイボンディングペースト及びそれを硬化したダイボンド材、あるいはチップの周囲を被覆するチップコート材、レンズ材などの光半導体装置用途に好適に使用することができる。光半導体としては、LEDランプ、チップLED、半導体レーザ、フォトカプラ、フォトダイオードなどを挙げることができる。
【0115】
本発明のシロキサン誘導体を重合してなる硬化物を用いてなる光半導体の発光波長は、赤外から赤色、緑色、青色、紫色、紫外まで幅広く用いることができ、従来の封止材では耐光性及び耐熱性が不足して劣化してしまう250nm付近の短波長の光までも実用的に用いることができる。発光波長とは、主発光ピーク波長を指す。本発明のシロキサン誘導体を重合してなる硬化物を光半導体封止材として用いることで、封止材の黄変や剥離が起きず、長期にわたり輝度の劣化が少ない発光ダイオード等の光半導体装置が得られる。
【0116】
本発明のシロキサン誘導体を重合してなる硬化物を用いて光半導体を製造する場合、発光素子を本発明のシロキサン誘導体を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物で封止することにより製造することができる。封止の際、本発明のシロキサン誘導体を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物のみで封止してもよいが、他の封止材と併用してもよい。併用する場合、本発明のシロキサン誘導体を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物で封止した後に他の封止材で封止してもよいし、他の封止材で封止した後に本発明のシロキサン誘導体を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物で封止してもよい。他の封止材としては例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシシリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、イミド樹脂、ガラス等が挙げられる。封止部分の形状としては、例えば、砲弾型のレンズ形状、板状、薄膜状等が挙げられる。
【0117】
本発明のシロキサン誘導体を重合してなる硬化物を用いてなる光半導体は、従来公知の方法で性能の向上を図ることができる。性能の向上方法としては、例えば、発光素子背面に光の反射層或いは集光層を設ける方法、補色着色部を底部に形成する方法、主発光ピークより短波長の光を吸収する層を発光素子上に設ける方法、発光素子を封止した後更に硬質材料で封止する方法、光半導体を貫通孔に挿入して固定する方法、光半導体をフリップチップ接続等によってリード部材等と接続して基板方向から光を取り出す方法、発光素子と封止材の界面や封止材と空気の界面等の各界面に賦形処理を行う方法等が挙げられる。
【0118】
本発明のシロキサン誘導体を重合してなる硬化物を用いてなる光半導体は、例えば、液晶ディスプレイや携帯電話等のバックライト、照明、自動車ヘッドランプ、車両用計器光源、各種センサー、プリンター、コピー機等の光源、信号灯、表示灯、表示装置、面上発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等として有用である。
【0119】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
本実施例において、エポキシ価(当量/100g)は、JIS K−7236に準拠して求めた。数平均分子量の測定法であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定には、カラムとしてShodex KF−804L(昭和電工社製)、ポンプとしてLC−10AT(島津製作所社製)、検出器としてRID−6A(RI:示差屈折計、島津製作所社製)、移動相としてテトラヒドロフランを用いた。また、NMRスペクトルの測定には、JEOL GSX−400を用いた。
【0120】
また、本実施例における各種物性評価は次の方法で実施した。
(1)シロキサン誘導体を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物の作業性
硬化性樹脂組成物の作業性の評価は、作業性が良好な場合は◎、作業性に支障がない場合は○、粘度が高過ぎて作業性に支障がある場合は△、作業性が悪すぎて取り扱えない場合は×とした。
【0121】
(2)硬化性
硬化物を指触観察し、硬質の場合は◎、軟質であるがべたつきがない場合は○、べたつきが残っている場合は×とした。
【0122】
(3)耐熱性
ガラス板にシロキサン誘導体を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物を塗布、硬化し、膜厚が160μmの硬化膜を得た。得られたサンプルを、260℃×30分加熱、又は150℃×500時間加熱の各々の条件で処理した。そして、加熱処理前後の400nmにおける透過率の変化を紫外可視分光光度計 V−550(日本分光社製)にて測定し、透過率の保持率(%)を求めた。
【0123】
(4)耐光性
ガラス板にシロキサン誘導体を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物を塗布、硬化し、膜厚が160μmの硬化膜を得た。得られたサンプルに、400W高圧水銀灯露光機(セン特殊光源社製)の光を室温にて12時間照射し、照射前後の365nmにおける透過率の変化を紫外可視分光光度計 V−550(日本分光社製)にて測定し、透過率の保持率(%)を求めた。
【0124】
(5)接着性、耐熱衝撃性
20mm×20mm×2mmの平板の中央に5mmφ深さ2mmの窪みの施したポリフタルアミド(ソルベイ社製アモデル4122)製樹脂片を用意し、窪みの底部に1.5mm×1.5mm×0.4mmのSiチップを接着させておく。この窪み内にシロキサン誘導体を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物を注型、硬化して、サンプルを得た。得られたサンプルを冷熱サイクル試験で室温〜−40℃〜100℃〜室温のサイクルで冷熱サイクル試験にかけ、顕微鏡で観察する。硬化物とポリフタルアミドの間に剥離が発生した回数、又は硬化物にクラックが発生した回数で評価し、100回以上剥離又はクラックが発生しない場合は◎、5〜100回で剥離又はクラックが発生した場合は○、5回未満で剥離又はクラックが発生した場合は×とした。
【0125】
(6)光半導体耐久性
ポリフタルアミド(ソルベイ社、アモデル4122、ガラス繊維22%含有)製のカップ状ハウジング材を用いて、InGaN層を含むIII族窒化物系化合物半導体発光素子をサファイア基板上に実装し、シロキサン誘導体を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物をポッティングした後に加熱成形して発光ピーク波長が380nmの表面実装型LEDを作成した。このLEDを85℃で1000時間発光させた後、封止樹脂を目視で観察し、初期状態と全く変らない場合を◎、着色がほぼ認められない場合を○、薄く着色した場合を△、着色した場合を×とした。
【0126】
[合成例1]
還流冷却器、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、エチルトリメトキシシラン33.5g、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン5.1g、テトラヒドロフラン340g、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液10.1gを入れ、窒素置換後、大気圧窒素雰囲気下で攪拌しながら60℃に加熱した。この条件で3時間攪拌した後、室温まで冷却してから1mol/l塩酸10.5gを攪拌しながら添加し、更に炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液5gを添加して反応溶液を中和した。
【0127】
この反応液中のテトラヒドロフランを減圧留去した後、分液ロートを用いて水/ジエチルエーテルでの洗浄、飽和食塩水/ジエチルエーテルでの洗浄を行った後、無水硫酸マグネシウムを添加して1晩静置した。得られた処理液を減圧濾過し、濾液を加熱減圧処理して溶媒留去し、若干白濁しているシロキサン誘導体を得た。
【0128】
得られたシロキサン誘導体のエポキシ価は0.088、数平均分子量は1600であった。また、29Si−NMR(重クロロホルム、テトラメチルシラン内部標準)での検出ピークは、−67ppm付近(T3構造)、−56ppm付近(T2構造)であり、T2/T=0.087、M/T=0であった。なお、室温1ヶ月後においても外観に変化はなかった。
【0129】
[合成例2]
還流冷却器、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、エチルトリメトキシシラン59.1g、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン9g、トリメチルエトキシシラン5g、テトラヒドロフラン147g、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液17.8gを入れ、窒素置換後、大気圧窒素雰囲気下で攪拌しながら60℃に加熱した。この条件で3時間攪拌した後、室温まで冷却してから1mol/l塩酸18.5gを攪拌しながら添加し、更に炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を5.5g添加して反応溶液を中和した。
【0130】
この反応液の後処理は合成例1と同様に行い、無色透明のシロキサン誘導体を得た。得られたシロキサン誘導体のエポキシ価は0.084、数平均分子量は2200であった。また、29Si−NMR(重クロロホルム、テトラメチルシラン内部標準)での検出ピークは、−67ppm付近(T3構造)、−56ppm付近(T2構造)、9ppm付近(M構造)であり、T2/T=0.098、M/T=0.051であった。なお、室温1ヶ月後においても外観に変化はなかった。
【0131】
[合成例3]
還流冷却器、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、エチルトリメトキシシラン52.5g、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン8g、トリメチルエトキシシラン45.2g、テトラヒドロフラン130g、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液15.8gを入れ、窒素置換後、大気圧窒素雰囲気下で攪拌しながら60℃に加熱した。この条件で3時間攪拌した後、室温まで冷却してから1mol/l塩酸16.4gを攪拌しながら添加し、更に炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を4.7g添加して反応溶液を中和した。
【0132】
この反応液の後処理は合成例1と同様に行い、無色透明のシロキサン誘導体を得た。得られたシロキサン誘導体のエポキシ価は0.064、数平均分子量は1200であった。また、29Si−NMR(重クロロホルム、テトラメチルシラン内部標準)での検出ピークは、−67ppm付近(T3構造)、−56ppm付近(T2構造)、8ppm付近(M構造)であり、T2/T=0.087、M/T=0.42であった。なお、室温1ヶ月後においても外観に変化はなかった。
【0133】
[合成例4]
還流冷却器、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、エチルトリメトキシシラン55.3g、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン15g、トリメチルエトキシシラン5g、テトラヒドロフラン151g、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液17.7gを入れ、窒素置換後、大気圧窒素雰囲気下で攪拌しながら60℃に加熱した。この条件で3時間攪拌した後、室温まで冷却してから1mol/l塩酸18.5gを攪拌しながら添加し、更に炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を6g添加して反応溶液を中和した。
【0134】
この反応液の後処理は合成例1と同様に行い、無色透明のシロキサン誘導体を得た。得られたシロキサン誘導体のエポキシ価は0.14、数平均分子量は2400であった。また、29Si−NMR(重クロロホルム、テトラメチルシラン内部標準)での検出ピークは、−67ppm付近(T3構造)、−56ppm付近(T2構造)、9ppm付近(M構造)であり、T2/T=0.095、M/T=0.056であった。なお、室温1ヶ月後においても外観に変化はなかった。
【0135】
[合成例5]
還流冷却器、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、エチルトリメトキシシラン48.8g、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン20g、トリメチルエトキシシラン4.8g、テトラヒドロフラン148g、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液16.8gを入れ、窒素置換後、大気圧窒素雰囲気下で攪拌しながら60℃に加熱した。この条件で3時間攪拌した後、室温まで冷却してから1mol/l塩酸17.5gを攪拌しながら添加し、更に炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を5.5g添加して反応溶液を中和した。
【0136】
この反応液の後処理は合成例1と同様に行い、無色透明のシロキサン誘導体を得た。得られたシロキサン誘導体のエポキシ価は0.19、数平均分子量は2400であった。また、29Si−NMR(重クロロホルム、テトラメチルシラン内部標準)での検出ピークは、−67ppm付近(T3構造)、−56ppm付近(T2構造)、9ppm付近(M構造)であり、T2/T=0.082、M/T=0.052であった。なお、室温1ヶ月後においても外観に変化はなかった。
【0137】
[合成例6]
還流冷却器、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、エチルトリメトキシシラン59.1g、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン9g、テトラヒドロフラン147g、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液17.8gを入れ、窒素置換後、大気圧窒素雰囲気下で攪拌しながら60℃に加熱した。この条件で3時間攪拌した後、室温まで冷却してから1mol/l塩酸18.5gを攪拌しながら添加し、更に炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を5.5g添加して反応溶液を中和した。
【0138】
この反応液の後処理は合成例1と同様に行い、無色透明のシロキサン誘導体を得た。得られたシロキサン誘導体のエポキシ価は0.088、数平均分子量は4300であった。また、29Si−NMR(重クロロホルム、テトラメチルシラン内部標準)での検出ピークは、−67ppm付近(T3構造)、−56ppm付近(T2構造)であり、T2/T=0.095、M/T=0であった。なお、室温1ヶ月後においても外観に変化はなかった。
【0139】
[合成例7]
還流冷却器、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、エチルトリメトキシシラン54.8g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン8g、トリメチルエトキシシラン4.7g、テトラヒドロフラン135g、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液16.5gを入れ、窒素置換後、大気圧窒素雰囲気下で攪拌しながら60℃に加熱した。この条件で3時間攪拌した後、室温まで冷却してから1mol/l塩酸17.1gを攪拌しながら添加し、更に炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を6g添加して反応溶液を中和した。
【0140】
この反応液の後処理は合成例1と同様に行い、無色透明のシロキサン誘導体を得た。得られたシロキサン誘導体のエポキシ価は0.086、数平均分子量は3000であった。また、29Si−NMR(重クロロホルム、テトラメチルシラン内部標準)での検出ピークは、−67ppm付近(T3構造)、−56ppm付近(T2構造)、9ppm付近(M構造)であり、T2/T=0.062、M/T=0.051であった。なお、室温1ヶ月後においても外観に変化はなかった。
【0141】
[比較合成例1]
還流冷却器、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン100g、テトラヒドロフラン216g、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液17.5gを入れ、窒素置換後、大気圧窒素雰囲気下で攪拌しながら60℃に加熱した。この条件で3時間攪拌した後、室温まで冷却してから1mol/l塩酸18.2gを攪拌しながら添加し、更に炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を6g添加して反応溶液を中和した。
【0142】
この反応液の後処理は合成例1と同様に行い、シロキサン誘導体を得た。得られたシロキサン誘導体のエポキシ価は0.58、数平均分子量は3500であった。また、29Si−NMR(重クロロホルム、テトラメチルシラン内部標準)での検出ピークは、−67ppm付近(T3構造)、−56ppm付近(T2構造)であり、T2/T=0.056、M/T=0であった。
【0143】
[比較合成例2]
還流冷却器、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン100g、テトラヒドロフラン216g、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液16.8gを入れ、窒素置換後、大気圧窒素雰囲気下で攪拌しながら60℃に加熱した。この条件で3時間攪拌した後、室温まで冷却してから1mol/l塩酸17.5gを攪拌しながら添加し、更に炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を6g添加して反応溶液を中和した。
【0144】
この反応液の後処理は合成例1と同様に行い、シロキサン誘導体を得た。得られたシロキサン誘導体のエポキシ価は0.53、数平均分子量は3300であった。また、29Si−NMR(重クロロホルム、テトラメチルシラン内部標準)での検出ピークは、−67ppm付近(T3構造)、−56ppm付近(T2構造)であり、T2/T=0.052、M/T=0であった。
【0145】
[比較合成例3]
還流冷却器、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、エチルトリメトキシシラン14.7g、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン25g、トリメチルエトキシシラン2.3g、テトラヒドロフラン86g、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液8.2gを入れ、窒素置換後、大気圧窒素雰囲気下で攪拌しながら60℃に加熱した。この条件で3時間攪拌した後、室温まで冷却してから1mol/l塩酸8.6gを攪拌しながら添加し、更に炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を3g添加して反応溶液を中和した。
【0146】
この反応液の後処理は合成例1と同様に行い、シロキサン誘導体を得た。得られたシロキサン誘導体のエポキシ価は0.37、数平均分子量は1900であった。また、29Si−NMR(重クロロホルム、テトラメチルシラン内部標準)での検出ピークは、−67ppm付近(T3構造)、−56ppm付近(T2構造)、9ppm付近(M構造)であり、T2/T=0.072、M/T=0.055であった。
【0147】
[比較合成例4]
還流冷却器、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン8g、フェニルトリメトキシシラン25.3g、テトラヒドロフラン72g、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液6.7gを入れ、窒素置換後、大気圧窒素雰囲気下で攪拌しながら60℃に加熱した。この条件で3時間攪拌した後、室温まで冷却してから1mol/l塩酸6.9gを攪拌しながら添加し、更に炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を3g添加して反応溶液を中和した。
【0148】
この反応液の後処理は合成例1と同様に行い、シロキサン誘導体を得た。得られたシロキサン誘導体のエポキシ価は0.14、数平均分子量は2800であった。
【0149】
[比較合成例5]
還流冷却器、温度計及び攪拌装置を有する反応器に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン7g、シクロヘキシルトリメトキシシラン38.9g、テトラヒドロフラン99g、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液9.0gを入れ、窒素置換後、大気圧窒素雰囲気下で攪拌しながら60℃に加熱した。この条件で3時間攪拌した後、室温まで冷却してから1mol/l塩酸9.4gを攪拌しながら添加し、更に炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を4g添加して反応溶液を中和した。
【0150】
この反応液の後処理は合成例1と同様に行い、シロキサン誘導体を得た。得られたシロキサン誘導体のエポキシ価は0.083、数平均分子量は3100であった。また、29Si−NMR(重クロロホルム、テトラメチルシラン内部標準)での検出ピークは、−67ppm付近(T3構造)、−56ppm付近(T2構造)であり、T2/T=0.052、M/T=0であった。
【0151】
[実施例1]
合成例1で得られたシロキサン誘導体100質量部、熱カチオン重合開始剤としてアデカオプトンCP−66(製品名:旭電化工業社製)0.015質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。この硬化性樹脂組成物を、型に注型、及びガラス基板上に塗工したサンプルを、105℃で30分、120℃で2時間、150℃で2時間、更に170℃で2時間硬化反応を行い、無色透明の硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0152】
[実施例2]
合成例1で得られたシロキサン誘導体100質量部、シリコーン化合物としてX−22−160AS(製品名:信越化学工業社製)10質量部、熱カチオン重合開始剤としてアデカオプトンCP−66(製品名:旭電化工業社製)0.015質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例1と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0153】
[実施例3]
合成例2で得られたシロキサン誘導体100質量部、熱カチオン重合開始剤としてアデカオプトンCP−66(製品名:旭電化工業社製)0.015質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例1と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0154】
[実施例4]
合成例2で得られたシロキサン誘導体100質量部、シリコーン化合物としてX−22−160AS(製品名:信越化学工業社製)10質量部、熱カチオン重合開始剤としてアデカオプトンCP−66(製品名:旭電化工業社製)0.015質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例1と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0155】
[実施例5]
合成例2で得られたシロキサン誘導体100質量部、シリコーン化合物としてX−22−160AS(製品名:信越化学工業社製)20質量部、熱カチオン重合開始剤としてアデカオプトンCP−66(製品名:旭電化工業社製)0.015質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例1と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0156】
[実施例6]
合成例3で得られたシロキサン誘導体100質量部、熱カチオン重合開始剤としてアデカオプトンCP−66(製品名:旭電化工業社製)0.015質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例1と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0157】
[実施例7]
合成例2で得られたシロキサン誘導体100質量部、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を主成分とするリカシッドMH−700G(製品名:新日本理化社製)11質量部(シロキサン誘導体のエポキシ基に対して0.8当量)、硬化促進剤としてU−CAT 18X(製品名:サンアプロ社製)0.25質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。この硬化性樹脂組成物を、型に注型、及びガラス基板上に塗工したサンプルを、120℃で2時間、150℃で2時間、更に170℃で2時間硬化反応を行い、無色透明の硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0158】
[実施例8]
合成例2で得られたシロキサン誘導体100質量部、シリコーン化合物としてX−22−160AS(製品名:信越化学工業社製)5質量部、光カチオン重合開始剤としてCPI−100P(商品名:サンアプロ社製)1質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。この硬化性樹脂組成物を、型に注型、及びガラス基板上に塗工したサンプルに、400W高圧水銀灯露光機(セン特殊光源社製)で3000mJ/cm露光し、無色透明の硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0159】
[実施例9]
合成例4で得られたシロキサン誘導体100質量部、シリコーン化合物としてX−22−160AS(製品名:信越化学工業社製)10質量部、熱カチオン重合開始剤としてアデカオプトンCP−66(製品名:旭電化工業社製)0.015質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例1と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0160】
[実施例10]
合成例5で得られたシロキサン誘導体100質量部、シリコーン化合物としてX−22−160AS(製品名:信越化学工業社製)10質量部、熱カチオン重合開始剤としてアデカオプトンCP−66(製品名:旭電化工業社製)0.015質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例1と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0161】
[実施例11]
合成例6で得られたシロキサン誘導体100質量部、シリコーン化合物としてX−22−160AS(製品名:信越化学工業社製)10質量部、熱カチオン重合開始剤としてアデカオプトンCP−66(製品名:旭電化工業社製)0.015質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例1と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0162】
[実施例12]
合成例7で得られたシロキサン誘導体100質量部、熱カチオン重合開始剤としてアデカオプトンCP−66(製品名:旭電化工業社製)0.015質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例1と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0163】
[実施例13]
合成例2で得られたシロキサン誘導体100質量部、シリコーン化合物としてX−22−160AS(製品名:信越化学工業社製)10質量部、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を主成分とするリカシッドMH−700G(製品名:新日本理化社製)4質量部(シロキサン誘導体のエポキシ基に対して0.3当量)、硬化促進剤としてU−CAT 18X(製品名:サンアプロ社製)0.25質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。この硬化性樹脂組成物を、型に注型、及びガラス基板上に塗工したサンプルを、120℃で2時間、150℃で2時間、更に170℃で2時間硬化反応を行い、無色透明の硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0164】
[実施例14]
合成例4で得られたシロキサン誘導体100質量部、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を主成分とするリカシッドMH−700G(製品名:新日本理化社製)23質量部(シロキサン誘導体のエポキシ基に対して1当量)、硬化促進剤としてU−CAT 18X(製品名:サンアプロ社製)0.25質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。この硬化性樹脂組成物を、型に注型、及びガラス基板上に塗工したサンプルを、120℃で2時間、150℃で2時間、更に170℃で2時間硬化反応を行い、無色透明の硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0165】
[実施例15]
合成例4で得られたシロキサン誘導体100質量部、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を主成分とするリカシッドMH−700G(製品名:新日本理化社製)16質量部(シロキサン誘導体のエポキシ基に対して0.7当量)、硬化促進剤としてU−CAT 18X(製品名:サンアプロ社製)0.25質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。この硬化性樹脂組成物を、型に注型、及びガラス基板上に塗工したサンプルを、120℃で2時間、150℃で2時間、更に170℃で2時間硬化反応を行い、無色透明の硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0166】
[実施例16]
合成例4で得られたシロキサン誘導体100質量部、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を主成分とするリカシッドMH−700G(製品名:新日本理化社製)11質量部(シロキサン誘導体のエポキシ基に対して0.5当量)、硬化促進剤としてU−CAT 18X(製品名:サンアプロ社製)0.25質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。この硬化性樹脂組成物を、型に注型、及びガラス基板上に塗工したサンプルを、120℃で2時間、150℃で2時間、更に170℃で2時間硬化反応を行い、無色透明の硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0167】
[実施例17]
合成例4で得られたシロキサン誘導体100質量部、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を主成分とするリカシッドMH−700G(製品名:新日本理化社製)6質量部(シロキサン誘導体のエポキシ基に対して0.25当量)、硬化促進剤としてU−CAT 18X(製品名:サンアプロ社製)0.25質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。この硬化性樹脂組成物を、型に注型、及びガラス基板上に塗工したサンプルを、120℃で2時間、150℃で2時間、更に170℃で2時間硬化反応を行い、無色透明の硬化物を得た。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0168】
[比較例1]
1,3,5,7−テトラメチル−テトラキス(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)シクロテトラシロキサン(エポキシ価は0.50)100重量部、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を主成分とするリカシッドMH−700G(製品名:新日本理化社製)82質量部(シロキサン誘導体のエポキシ基に対して1当量)、硬化促進剤としてU−CAT 18X(製品名:サンアプロ社製)0.5質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例7と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0169】
[比較例2]
1,3,5,7−テトラメチル−テトラキス(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)シクロテトラシロキサン(エポキシ価は0.50)100重量部、エチレングリコール10部、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を主成分とするリカシッドMH−700G(製品名:新日本理化社製)82質量部(シロキサン誘導体のエポキシ基に対して1当量)、硬化促進剤としてU−CAT 18X(製品名:サンアプロ社製)0.5質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例7と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0170】
[比較例3]
比較合成例1で得られたシロキサン誘導体100質量部、熱カチオン重合開始剤としてアデカオプトンCP−66(製品名:旭電化工業社製)1質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例1と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0171】
[比較例4]
比較合成例2で得られたシロキサン誘導体100質量部、熱カチオン重合開始剤としてアデカオプトンCP−66(製品名:旭電化工業社製)1質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例1と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0172】
[比較例5]
比較合成例1で得られたシロキサン誘導体100質量部、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を主成分とするリカシッドMH−700G(製品名:新日本理化社製)95質量部(シロキサン誘導体のエポキシ基に対して1当量)、硬化促進剤としてU−CAT 18X(製品名:サンアプロ社製)0.5質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例7と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0173】
[比較例6]
比較合成例2で得られたシロキサン誘導体100質量部、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を主成分とするリカシッドMH−700G(製品名:新日本理化社製)87質量部(シロキサン誘導体のエポキシ基に対して1当量)、硬化促進剤としてU−CAT 18X(製品名:サンアプロ社製)0.5質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例7と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0174】
[比較例7]
比較合成例3で得られたシロキサン誘導体100質量部、熱カチオン重合開始剤としてアデカオプトンCP−66(製品名:旭電化工業社製)0.015質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例1と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0175】
[比較例8]
脂環式エポキシ基を有する鎖状のシロキサン誘導体としてECMS−924(製品名:ゲレスト社製、エポキシ価0.091)100質量部、熱カチオン重合開始剤としてアデカオプトンCP−66(製品名:旭電化工業社製)0.015質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例1と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0176】
[比較例9]
比較合成例4で得られたシロキサン誘導体100質量部、熱カチオン重合開始剤としてアデカオプトンCP−66(製品名:旭電化工業社製)0.015質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例1と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【0177】
[比較例10]
比較合成例5で得られたシロキサン誘導体100質量部、熱カチオン重合開始剤としてアデカオプトンCP−66(製品名:旭電化工業社製)0.015質量部を、全体が均一になるまで攪拌後、脱泡して硬化性樹脂組成物を得た。性能評価は実施例1と同様にして行った。得られた硬化物の性能を表1に示す。
【表1】

【0178】
以上の結果から、エポキシ価が低いと耐光性、耐熱性、接着性、耐熱衝撃性及び光半導体耐久性に優れている点で好ましく、M構造を導入すると分子量低減に伴う作業性向上の点や、接着性及び耐熱衝撃性が優れている点や、均質なシロキサン誘導体を得易い点で好ましく、エポキシ基が脂環式エポキシ基であると硬化性が優れている点で好ましく、エポキシ基以外の有機基が鎖状アルキル基であると作業性、耐光性、耐熱性、接着性、耐熱衝撃性及び光半導体耐久性に優れている点で好ましく、シリコーン化合物を添加すると作業性、接着性及び耐熱衝撃性が優れている点で好ましく、また、シロキサン誘導体がT構造を有していると、D構造の場合と比較して硬化性が優れている点で好ましいこと等が分かる。まとめると、本発明に係わるシロキサン誘導体及び該シロキサン誘導体を重合してなる硬化物は、比較例に示されるようなエポキシ価の高いシロキサン誘導体等、及びその硬化物と比較し、耐光性、耐熱性及び光半導体耐久性が格段に向上しており、かつ硬化性、接着性、耐熱衝撃性にも優れており、作業性も良好であることが分かる。このことから、本発明に係わるシロキサン誘導体及び該シロキサン誘導体を重合してなる硬化物を用いて封止材とする光半導体は、該硬化物の硬化性、耐光性、耐熱性、接着性、耐熱衝撃性が従来に比べ優れていることから、製品寿命の大幅な改善が期待でき、これまで以上に信頼性の高い光半導体の提供を可能とするものである。
【産業上の利用可能性】
【0179】
本発明のシロキサン誘導体及び該シロキサン誘導体を重合してなる硬化物は、硬化性、接着性、耐熱衝撃性に優れていながら、耐光性及び耐熱性が大幅に向上しているというこれまでにない性質を持っていることから、光半導体等の分野で好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される構成単位を有するエポキシ基含有シロキサン誘導体であり、該シロキサン誘導体のエポキシ価が0.001〜0.35(当量/100g)であることを特徴とするシロキサン誘導体。
【化1】

一般式中Rはエポキシ基含有基を示し、エポキシ基以外の有機基を有していてもよく、その有機基が置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基又は分岐鎖状アルキル基である。
【請求項2】
エポキシ基含有基が下記一般式(2)、下記一般式(3)、下記一般式(4)又は下記一般式(5)で表されることを特徴とする請求項1に記載のシロキサン誘導体。
【化2】

一般式中Rはメチレン基又は二価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基又は炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。
【化3】

一般式中Rはメチレン基又は二価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基又は炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。
【化4】

一般式中Rはメチレン基又は二価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基又は炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。
【化5】

一般式中Rはメチレン基又は二価の炭素数2〜10の直鎖状アルキレン基又は炭素数3〜10の分岐鎖状アルキレン基を示す。
【請求項3】
下記一般式(6)で表されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシロキサン誘導体。
【化6】

一般式中Rはエポキシ基含有基を示し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。Rは炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。Rはエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。Rはエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。R10は炭素数1〜4のアルキル基を示し、複数のR10は互いに同一でも異なっていてもよい。また、a、b、c、dは実数を示し、a>0、b≧0、c≧0、d≧0である。
【請求項4】
前記一般式(6)においてb>0であることを特徴とする請求項3に記載のシロキサン誘導体。
【請求項5】
前記一般式(6)においてb>aであることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のシロキサン誘導体。
【請求項6】
前記一般式(6)においてc>0であることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれかに記載のシロキサン誘導体。
【請求項7】
下記一般式(7)で表される構成単位を更に有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシロキサン誘導体。
【化7】

一般式中R11、R12、R13はエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、R11、R12、R13は互いに同一でも異なっていてもよい。
【請求項8】
下記一般式(8)で表されることを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項7に記載のシロキサン誘導体。
【化8】

一般式中R14はエポキシ基含有基を示し、複数のR14は互いに同一でも異なっていてもよい。R15は炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のR15は互いに同一でも異なっていてもよい。R16はエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のR16は互いに同一でも異なっていてもよい。R17はエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のR17は互いに同一でも異なっていてもよい。R18は炭素数1〜4のアルキル基を示し、複数のR18は互いに同一でも異なっていてもよい。R19、R20、R21はエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、R19、R20、R21は互いに同一でも異なっていてもよい。また、e、f、g、h、iは実数を示し、e>0、f≧0、g≧0、h≧0、i>0である。
【請求項9】
前記一般式(8)においてf>0であることを特徴とする請求項8に記載のシロキサン誘導体。
【請求項10】
前記一般式(8)においてf>eであることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のシロキサン誘導体。
【請求項11】
前記一般式(8)においてg>0であることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載のシロキサン誘導体。
【請求項12】
加水分解性シランを加水分解・縮重合させることにより得られる化合物であることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載のシロキサン誘導体。
【請求項13】
下記一般式(9)で表される加水分解性シラン及び下記一般式(10)で表される加水分解性シランを、共加水分解・縮合させることにより得られる化合物であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のシロキサン誘導体。
【化9】

一般式中R22はエポキシ基含有基を示し、複数のR22は互いに同一でも異なっていてもよい。Xはアルコキシ基又はハロゲン原子を示し、複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。
【化10】

一般式中R23は炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、複数のR23は互いに同一でも異なっていてもよい。Xはアルコキシ基又はハロゲン原子を示し、複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。
【請求項14】
前記一般式(9)で表される加水分解性シラン及び前記一般式(10)で表される加水分解性シラン及び下記一般式(11)で表される加水分解性シランを、共加水分解・縮合させることにより得られる化合物であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項8から請求項11のいずれかに記載のシロキサン誘導体。
【化11】

一般式中R24、R25、R26はエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、R24、R25、R26は互いに同一でも異なっていてもよい。Xはアルコキシ基又はハロゲン原子を示し、複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。
【請求項15】
エポキシ基含有基が前記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれかに記載のシロキサン誘導体。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれかに記載のシロキサン誘導体を重合してなることを特徴とする硬化物。
【請求項17】
重合開始剤としてカチオン重合開始剤を用いて重合してなることを特徴とする請求項16に記載の硬化物。
【請求項18】
硬化剤として酸無水物を用いて重合してなることを特徴とする請求項16に記載の硬化物。
【請求項19】
硬化促進剤を更に用いて重合してなることを特徴とする請求項18に記載の硬化物。
【請求項20】
熱により重合してなることを特徴とする請求項16から請求項19のいずれかに記載の硬化物。
【請求項21】
下記一般式(12)で表される構成単位を有するシリコーン化合物を添加して、重合してなることを特徴とする請求項16から請求項20のいずれかに記載の硬化物。
【化12】

一般式中R27、R28はエポキシ基含有基、炭素数1〜15の置換若しくは非置換の直鎖状アルキル基、又は炭素数3〜15の置換若しくは非置換の分岐鎖状アルキル基を示し、R27、R28は互いに同一でも異なっていてもよい。
【請求項22】
請求項16から請求項21のいずれかに記載の硬化物からなることを特徴とする光半導体封止材。

【公開番号】特開2008−179811(P2008−179811A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336463(P2007−336463)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】