チタン酸ストロンチウムベースの誘電体層を有するキャパシタを備えたメモリセルの形成方法およびそれから得られるデバイス
【課題】低い等価酸化膜厚(EOT)および低い漏洩電流を有する金属−絶縁体−金属キャパシタを提供する。
【解決手段】低温原子層堆積(ALD)法を用いて、SrxTiyO3ベースの金属−絶縁体−金属(MIM)キャパシタを製造する方法が開示される。好ましくは、下部電極を形成するためにTiNが用いられる。キャパシタのSrxTiyO3誘電体層でのSr/Ti比率は、キャパシタの電気的特性を調整するために変化できる。SrxTiyO3誘電体層の誘電率および漏洩電流は、このSrxTi1−xO3誘電体層のSr含有量とともに単調に減少する。SrxTiyO3誘電体層とTiN下部電極との間の界面でのSr含有量を増加させることによって、界面の等価酸化膜厚(EOT)をさらに低減できる。
【解決手段】低温原子層堆積(ALD)法を用いて、SrxTiyO3ベースの金属−絶縁体−金属(MIM)キャパシタを製造する方法が開示される。好ましくは、下部電極を形成するためにTiNが用いられる。キャパシタのSrxTiyO3誘電体層でのSr/Ti比率は、キャパシタの電気的特性を調整するために変化できる。SrxTiyO3誘電体層の誘電率および漏洩電流は、このSrxTi1−xO3誘電体層のSr含有量とともに単調に減少する。SrxTiyO3誘電体層とTiN下部電極との間の界面でのSr含有量を増加させることによって、界面の等価酸化膜厚(EOT)をさらに低減できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、絶縁材料が金属上部電極と金属下部電極との間に挟まれたキャパシタ構造に関する。これらのキャパシタ構造は、MIM(金属−絶縁体−金属)キャパシタ構造としても知られている。特に、本開示は、こうしたMIMキャパシタ構造を備えた揮発性メモリセルに関する。
【背景技術】
【0002】
将来のダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)のノードは、0.5nm未満の等価酸化膜厚(EOT)、および低い漏洩電流密度、即ち、10−7A/cm2未満を有する金属−絶縁体−金属キャパシタ(MIMcaps)が必要になる。
【0003】
製造ラインで今日使用されている典型的な高誘電率(K)材料、例えば、ZrO2/Al2O3/ZrO2は、低すぎる高誘電率(K〜40)のために、将来のDRAMノードの可能性ある手法としてもはや考えられていない。
【0004】
従って、こうしたMIMキャパシタの製造、特に、DRAMメモリセルでの使用のために種々の材料系が探索されている。種々の材料のうち、SrxTiyO3(STO)が有望な候補と考えられる。この材料の関心は、その良好な誘電特性(K〜150−300)、および高いアスペクト比のDRAM応用に適した合理的に低い処理温度(≦300℃)でコンフォーマル(conformal)STO薄膜の堆積を可能にする原子層堆積(ALD)プロセスでの最近の改良の両方によって説明できる。
【0005】
米国特許第7108747号は、SrTiO3薄膜を製造するための原子層堆積(ALD)プロセスを開示する。米国特許出願第2006/0219157号もまた、チタン含有の酸化物薄膜を製造するための原子層堆積(ALD)プロセスを開示する。
【0006】
最近、Sr前駆体としてSr(thd)2を用いたALD SrxTiyO3が、Ru,Ptなどの貴金属電極上での有望な結果とともに報告されている。オー・ソン・クゥオンら(Oh Seong Kwon et al)は、文献「Atomic Layer Deposition and Electrical Properties of SrTiO3 Thin films Grown using Sr(C11H19O2)2, Ti (Oi-C3H7)4 and H20, Journal Of electrochemical Society 154 (6), G127-G133 (2007)」において、特定の前駆体を用いて原子層堆積(ALD)によってSrTiO3(STO)薄膜を成長させる方法を開示している。
【0007】
誘電体薄膜は、Ru下部電極の上で成長する。しかしながら、使用するプロセスは、高い堆積温度(>350℃)、及び/又は、酸化環境での堆積後(post-deposition)アニールを必要とし、TiN下部電極と不適合になる。さらに、Ru,Ptなどの金属は、最新の半導体プロセスと適合しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7108747号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2006/0219157号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Oh Seong Kwon et al, Atomic Layer Deposition and Electrical Properties of SrTiO3 Thin films Grown using Sr(C11H19O2)2, Ti (Oi-C3H7)4 and H20, Journal Of electrochemical Society 154 (6), G127-G133 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、0.5nm以下のEOT、および5×10−7A/cm2未満の漏洩電流を有する金属−絶縁体−金属キャパシタ構造を製造するニーズが存在する。
【0011】
標準的な半導体プロセスと適合するプロセス工程および材料を用いて、こうしたキャパシタを製造するニーズが存在する。
【0012】
300℃以下の温度で、こうしたキャパシタの絶縁層を形成するニーズが存在する。
【0013】
絶縁層と下部電極との間で、減少したEOTの界面酸化物を有する、こうしたキャパシタを製造するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
金属−絶縁体−金属キャパシタは、下部電極、絶縁層および上部電極の積層体を備え、絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyOz酸化物{但し、q,x,y,zは整数、0<q<1、(x/y)>(1/1)}である。好ましくは、この絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyO3酸化物である。q=1の場合、この絶縁層はSrxTiyOz酸化物である。q=0の場合、この絶縁層はBaxTiyOz酸化物である。[Ba1−qSrq]/Tiの比(x/y)は、1より大きく、好ましくは(1/1)<(x/y)<(4/1)である。この金属−絶縁体−金属キャパシタの下部電極は、Tiを含んでもよく、好ましくは、TiNからなる。
【0015】
DRAMメモリセルは、金属−絶縁体−金属キャパシタと、選択デバイスとを備える。金属−絶縁体−金属キャパシタは、下部電極、絶縁層および上部電極の積層体を備え、絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyOz酸化物{但し、q,x,y,zは整数、0<q<1、(x/y)>(1/1)}である。好ましくは、この絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyO3酸化物である。q=1の場合、この絶縁層はSrxTiyOz酸化物である。q=0の場合、この絶縁層はBaxTiyOz酸化物である。[Ba1−qSrq]/Tiの比(x/y)は、1より大きく、好ましくは(1/1)<(x/y)<(4/1)である。この金属−絶縁体−金属キャパシタの下部電極は、Tiを含んでもよく、好ましくは、TiNからなる。
【0016】
金属−絶縁体−金属キャパシタを製造する方法は、下部電極を形成することと、下部電極の上に絶縁層を形成することと、絶縁層の上に上部電極を形成することとを含み、絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyOz酸化物{但し、q,x,y,zは整数、0<q<1、(x/y)>(1/1)}である。好ましくは、この絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyO3酸化物である。q=1の場合、この絶縁層はSrxTiyOz酸化物である。q=0の場合、この絶縁層はBaxTiyOz酸化物である。[Ba1−qSrq]/Tiの比(x/y)は、1より大きく、好ましくは(1/1)<(x/y)<(4/1)である。この金属−絶縁体−金属キャパシタの下部電極は、Tiを含んでもよく、好ましくは、TiNからなる。絶縁層は、原子層堆積(ALD)法で形成できる。好ましくは、絶縁層は、下部電極(TiN)の上に直接形成され、該方法は、形成したままの絶縁層にアニール工程を実施して、絶縁層を結晶ペロブスカイト相にすることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本開示に係るMIMキャパシタの概略を示す。
【図2】トランジスタおよび本開示に係るMIMキャパシタを含むDRAMメモリセルを示す。
【図3a】処理ステップの概略断面図を用いて、本開示に係るMIMキャパシタを製造するための方法を示す。
【図3b】処理ステップの概略断面図を用いて、本開示に係るMIMキャパシタを製造するための方法を示す。
【図3c】処理ステップの概略断面図を用いて、本開示に係るMIMキャパシタを製造するための方法を示す。
【図4】第1の例示の実施形態に係るMIMキャパシタを製造するためのALD STO堆積プロセスのパルスシーケンスの概略を示す。
【図5】第1の例示の実施形態に従って、Sr/Tiパルス比率(n*/m*)の関数として、RBSによって決定されるSr/Ti原子比率x/yを示す。
【図6】第1の例示の実施形態に従って、図5で示した3つの組成:標準組成(菱形)、Tiリッチ(四角)、Srリッチ(三角)について、STO膜の高分解能RBSプロファイルを示す。
【図7】第1の例示の実施形態に従って、図5で示した3つの組成の1つを有するSTO膜についてのペロブスカイト結晶化温度(℃)を膜厚(nm)の関数として示す。
【図8】第1の例示の実施形態に従って、ALD TiN下部電極の上にある、図5で示した3つの組成の1つを有するSTO膜のXRDスペクトルを示す(堆積したまま(実線)、600℃にアニール後(白丸)、高温アニール後(黒丸))。
【図9】第1の例示の実施形態に従って、2つの異なるSTO膜厚について、図5に示すように、結晶標準組成または結晶Srリッチ組成を有するSTO膜のキャパシタンス−電圧(C−V)およびコンダクタンス−電圧(G−V)のカーブを示す。
【図10】第1の例示の実施形態に従って、種々の熱処理後にMOCVD TiN下部電極の上に堆積した場合、図5に示すように標準組成を有するSTO膜についてEOT厚(nm)を物理厚さ(nm)の関数として示す。
【図11】第1の例示の実施形態に従って、ALD TiN下部電極の上にある、図5で示した3つの組成の1つを有するSTO膜のキャパシタ面積(μm2)の関数として、キャパシタンス(C)(黒塗り)およびコンダクタンスG(白抜き)を示す(標準組成(菱形)、Tiリッチ(四角)、Srリッチ(三角))。
【図12】第1の例示の実施形態に従って、ALD TiN下部電極の上にある、図5で示した3つの組成の1つを有する結晶化STO膜についての漏洩電流密度(Jg)−電圧(V)特性を示す(標準組成(菱形)、Tiリッチ(四角)、Srリッチ(三角))。
【図13】第1の例示の実施形態に従って、ALD TiN下部電極の上に形成されたSTO膜についてのEOT厚を物理厚さの関数として示すもので、STO膜は、図5で示したような標準組成またはSrリッチ組成を有する。
【図14】第1の例示の実施形態に従って、図5で示したように、8nm結晶化SrリッチSTO膜について、漏洩電流密度(Jg)−電圧(V)特性を示す(標準組成(菱形)、Tiリッチ(四角)、Srリッチ(三角))。
【図15】第1の例示の実施形態に従って、図5で示したような標準組成またはSrリッチ組成を有し、異なるタイプの下部電極:W,ALD TiN,MOCVD TiN、および異なる熱処理について、結晶化STO膜についての漏洩電流密度(Jg)−電圧(V)特性を示す。
【図16】第2の例示の実施形態に従って、STO膜の種々の組成についてSrxTiyO3膜の高分解能RBSプロファイルを示す。
【図17】第2の例示の実施形態に従って、STO膜の組成および厚さの関数として、ペロブスカイトSrxTiyO3相への結晶化温度を示す。結晶化温度は、IS−XRD測定から抽出される。
【図18】第2の例示の実施形態に従って、高温アニール後で、TiN下部電極の上に種々の組成で堆積した10nmのSrxTiyO3膜のθ−2θ XRDダイアグラムを示す。
【図19】第2の例示の実施形態に従って、堆積したまま、600℃のアニール後、および高温アニール後の10nmのSrリッチ(3:1)SrxTiyO3膜の(200)ブラッグピークに注目したXRDダイアグラムを示す。比較として、報告された立方晶SrTiO3(200)ピークの位置を示す。
【図20】第2の例示の実施形態に従って、種々の組成を有する、堆積したまま(アモルファス)のSrxTiyO3膜の等価酸化膜厚(EOT)−物理厚さを示す。下部(あるいは上部)電極は、TiN(あるいはPt)であった。
【図21】第2の例示の実施形態に従って、種々の組成を有する、16nmの堆積したまま(アモルファス)のSrxTiyO3膜の漏洩電流密度(Jg)−印加電圧(V)特性を示す。遅延時間は10msであった。
【図22】第2の例示の実施形態に従って、種々の組成を有する、10nmの結晶SrxTiyO3膜のキャパシタンス(0V、1kHzで測定)−キャパシタ面積を示す。結晶化アニールは、600℃、1分間、N2中で実施した。下部(あるいは上部)電極は、TiN(あるいはPt)であった。
【図23】第2の例示の実施形態に従って、種々の組成を有する、結晶SrxTiyO3膜の等価酸化膜厚(EOT)−物理厚さを示す。結晶化アニールは、600℃、1分間、N2中で実施した。下部(あるいは上部)電極は、TiN(あるいはPt)であった。
【図24a】第2の例示の実施形態に従って、誘電率の変化をSTO膜組成の関数として示す。K値は、図23で提示したEOT−物理厚さデータの線形フィッティングから抽出される。
【図24b】第2の例示の実施形態に従って、界面EOTの変化をSTO膜組成の関数として示す。界面EOT値は、図23で提示したEOT−物理厚さデータの線形フィッティングから抽出される。
【図25】第2の例示の実施形態に従って、種々の組成を有する、16nmの結晶SrxTiyO3膜の漏洩電流密度(Jg)−印加電圧(V)特性を示す。遅延時間は550msであった。結晶化アニールは、600℃、1分間、N2中で実施した。下部(あるいは上部)電極は、TiN(あるいはPt)であった。
【発明を実施するための形態】
【0018】
説明する図面は、概略的に過ぎず、非限定的なものである。図面において、幾つかの要素のサイズは、説明目的のために誇張したり、縮尺どおり描写していないことがある。寸法および相対寸法は、本発明の実際の具体化に必ずしも対応していない。
【0019】
さらに、説明および請求項での用語「第1」「第2」「第3」などは、類似の要素を区別するための使用しており、必ずしも連続した順または時間順を記述するためではない。こうした用語は、適切な状況下で交換可能であり、本発明の実施形態は、ここで説明したり図示したものとは別の順番で動作可能である。
【0020】
さらに、説明および請求項での用語「上(top)」、「下(bottom)」、「の上に(over)」、「の下に(under)」等は、説明目的で使用しており、必ずしも相対的な位置を記述するためのものでない。こうして用いた用語は、適切な状況下で交換可能であって、ここで説明した本発明の実施形態がここで説明または図示した以外の他の向きで動作可能であると理解すべきである。
【0021】
請求項で用いた用語「備える、含む(comprising)」は、それ以降に列挙された手段に限定されるものと解釈すべきでなく、他の要素またはステップを除外していない。記述した特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を、参照したように特定するように解釈する必要があるが、1つ又はそれ以上の他の特徴、整数、ステップまたは構成要素、あるいはこれらのグループの存在または追加を除外していない。そして「手段A,Bを備えるデバイス」という表現の範囲は、構成要素A,Bだけからなるデバイスに限定すべきでない。本開示に関して、デバイスの関連した構成要素だけがA,Bであることを意味する。
【0022】
MIMキャパシタ10は、図1に示すように、絶縁材料の層12を金属上部電極13と金属下部電極11の間に挟むことによって形成される。下部電極11は、絶縁層12と直接に物理的に接触した層である。下部電極11の下方に他の層が存在して、他のデバイス20との良好な電気的接触を提供したり、及び/又は拡散バリアを提供してもよい。絶縁層は、下地の下部電極11の上に、良好な段差カバーレッジ(coverage)を提供するようにコンフォーマル(conformal)な方法で形成すべきである。こうしたキャパシタ10は、ダイナミックランダムアクセスメモリセル(DRAM)を形成するために特に用いられる。DRAMセルは、好ましくは、材料、特に、トランジスタなどのロジック半導体デバイスのプロセスと適合し、同じチップ上でロジックデバイスおよびMIMキャパシタのプロセスを可能にする金属を用いて製造される。これらの材料は、低コストで入手可能であり、製造が容易なものである。
【0023】
基本的なDRAMメモリセル1は、図2に示すように、トランジスタなどの選択素子20と、キャパシタ10とで構成される。トランジスタ20は、キャパシタ10へのアクセスを制御し、このキャパシタ10はトランジスタ10の一方の接合とグラウンドGNDとの間に接続されている。こうしたメモリセルにおいて、対応する電荷量をキャパシタ10に保存することによって情報が蓄積される。典型的には、これらのメモリセルは、マトリクス構成で配列され、ワードライン30が同じ列にある各トランジスタ10のゲートと接続し、一方、ビットライン40が同じ列にある各トランジスタ10の他方の接合と接続している。
【0024】
絶縁層12の材料は、高い値の相対誘電率kおよび低い漏洩電流を有するように、制限された電荷量で情報が一時的に保存できるように選択される。絶縁層12の高い相対誘電率kは、物理的により厚い層に対して薄い電気的等価酸化膜厚(EOT)が得られるため、単位面積当り高いキャパシタンス値を提供する。高誘電率(high-k)材料とは、1より大きな相対誘電率k、典型的には10より大きな相対誘電率kを有する誘電材料を意味する。
【0025】
上部電極13および下部電極11の金属は、メモリセル1の全体直列抵抗を低減するのに役立つように選択される。絶縁層12を形成するためのプロセスは、下部電極11を形成するために使用する材料と適合する必要がある。堆積の際、または堆積後のアニール工程の際、絶縁層12を形成するために使用する高い熱履歴(thermal budget)は、下部電極11の物理的および電気的特性に影響を及ぼすかもしれない。また、絶縁層12を形成するときの環境が下部電極11の物理的および電気的特性に影響を及ぼすかもしれない。
【0026】
SrxTiyOz(STO)ベースの金属−絶縁体−金属(MIM)キャパシタ10は、0.5nm以下のEOTおよび、1Vが上部電極13と下部電極11の間に印加された場合、5×10−7A/cm2未満、好ましくは、1×10−7A/cm2未満の漏洩電流を有する。x,y,zは整数であり、zは好ましくは3であり、x/y>1である。
【0027】
このSTO絶縁層12の堆積したままの層厚は、5〜30nmの範囲にある。Sr対Tiの比率x/y>1であり、好ましくは(1/1)<(x/y)<(4/1)である。
【0028】
本開示に係る金属−絶縁体−金属キャパシタ10において、堆積したままの絶縁材料2は、ストロンチウムリッチのSrxTiyOz材料(x,y,zは整数)である。SrリッチのSrxTiyOzとは、Sr対Tiの比率x/y>1が化学量論的比率より大きい、即ち、Sr対Tiの比率x/yが1より大きい酸化物を意味する。図5は、こうした非化学量論的SrxTiyOz材料の例を示す。
【0029】
本開示に係る金属−絶縁体−金属キャパシタ10において、化学量論的比率x/y=1を超えたSr含有量を持つSrxTiyOz結晶粒(grain)が、絶縁層12の中に存在し得る。これらのSrリッチ粒は、この層12のエリアに渡って分布することがあり、その結果、上部電極13と下部電極11の間に漏洩経路が抑制されたり、あるいは少なくともこうした漏洩経路の数が化学量論的SrTiO3絶縁層と比べて減少するようになる。
【0030】
これらのSrリッチ粒は、化学量論的SrTiO3絶縁層と比べてより小さな直径を有することがあるため、本開示の非化学量論的層はより少ないクラックを示すであろう。
【0031】
本開示に係る金属−絶縁体−金属キャパシタ10において、Ti含有の下部電極11とSrxTiyOz絶縁層12との間の界面は、チタン酸化物が実質的に存在せず、その結果、Ti含有の下部電極11は絶縁層12と直接に物理的に接触している。チタン酸化物がTi含有の下部電極の上部において異なる結晶方位で存在することがあるため、こうしたチタン酸化物の上部に必要な特性を有するSrxTiyOzを成長させることは面倒である。
【0032】
このMIMキャパシタ10のSrxTiyOzベースの絶縁層12は、図1に示すように、下部電極11と上部電極13との間に挟まれる。このMIMキャパシタ10の絶縁体12は、ストロンチウムおよびチタンの酸化物を含み、下部電極11はTiを含む。金属上部電極13は、Ptまたは、MIMキャパシタ10用の上部電極を形成するために先行技術で使用される他の金属で形成できる。
【0033】
好ましい実施形態では、この絶縁体12は、ストロンチウムおよびチタンの酸化物のみからなり、下部電極11はTiNのみからなる。
【0034】
0.5nm未満の等価酸化膜厚(EOT)および、好ましくは5×10−7A/cm2未満の漏洩電流を有する、SrxTiyOzベースの金属−絶縁体−金属(MIM)キャパシタを製造するための方法が開示される。
【0035】
該方法は、低温原子層堆積(ALD)法を用いて絶縁層を形成することを含む。好ましくは、このALD法は、Sr(t−Bu3Cp)2ベースの前駆体系を採用する。ALD法は、300℃、好ましくは250℃未満の温度で行われる。この方法は、ALD堆積変数、絶縁層の組成および絶縁層堆積後処理を最適化することをさらに必要とする。
【0036】
この製造方法は、低コストで、製造が容易なTiN下部電極の使用を可能にする。キャパシタのSrxTiyOz誘電体層でのSr/Ti比率を変化させることによって、キャパシタの電気的特性が膜結晶化温度として調整可能であり、その組織(texture)および形態(morphology)は、この比率に強く依存する。誘電率および漏洩電流は、Srリッチ化絶縁層12でのSr含有量とともに単調に減少する。EOT−物理厚さプロットの線分(intercept)は、下部TiNとの膜界面でのSr含有量を増加させると、より低い界面等価酸化膜厚(EOT)をもたらすことをさらに示している。
【0037】
図3a〜図3cに示すように、こうした金属−絶縁体−金属キャパシタ10を形成するための方法が開示され、絶縁体12は、ストロンチウムおよびチタンの酸化物を含み、金属下部電極11はTiを含む。該方法は、チタンを含む下部電極11を形成すること(図3a)と、下部電極の上に、ストロンチウムおよびチタンの酸化物を含む絶縁層12を形成すること(図3b)と、絶縁層12の上に上部電極13を形成すること(図3c)とを含み、上部電極13は下部電極11と電気絶縁される。
【0038】
好ましい実施形態において、図3a〜図3cに示すように、こうした金属−絶縁体−金属キャパシタ10を形成するための方法が開示され、絶縁体12は、ストロンチウムおよびチタンの酸化物のみからなり、金属下部電極11はTiNのみからなる。該方法は、TiNのみからなる下部電極11を形成すること(図3a)と、下部電極の上に、ストロンチウムおよびチタンの酸化物のみからなる絶縁層12を形成すること(図3b)と、絶縁層12の上に上部電極13を形成すること(図3c)とを含み、上部電極13は下部電極11と電気絶縁される。絶縁層12は下部電極11と直接に物理的に接触し、上部電極13は絶縁層12と直接に物理的に接触している。
【0039】
金属上部電極13を形成するステップの前に、絶縁層12を結晶化するために熱ステップを実施できる。SrリッチSrxTiyOz酸化物の場合、結晶酸化物は、600℃未満、さらには550℃未満の温度で得られ、これにより高誘電率(high-k)ペロブスカイト結晶相が得られる。この結晶化ステップは、好ましくは500℃〜600℃の温度範囲、より好ましくは530℃〜570℃の温度範囲、典型的には約550℃の温度で実施される。
【0040】
Tiを含む下部電極11は、原子層堆積(ALD)、有機金属化学気相成長法(MOCVD)、物理的気相成長法(PVD)または、半導体プロセス技術で知られた他のテクニックによって形成できる。
【0041】
絶縁層12は、低酸素環境、好ましくは無酸素環境で形成され、絶縁層12形成プロセスの際、下地のTi含有下部電極11は実質的に酸素無しのままになる。この絶縁層12は、選択した前駆体を用いた原子層堆積(ALD)によって形成可能であり、より低い温度、即ち、200℃〜300℃で、低酸素環境または無酸素環境において絶縁層12の形成を可能にする。この前駆体は、好ましくは、Sr(t−Bu3Cp)2ベースの前駆体系である。
【0042】
米国特許第7108747号は、SrTiO3薄膜を製造するための原子層堆積(ALD)プロセスを開示する。米国特許出願第2006/0219157号もまた、チタン含有の酸化物薄膜製造するための原子層堆積(ALD)プロセスを開示する。両方とも参照によりここに組み込まれる。
【0043】
堆積したままの絶縁材料12は、ストロンチウムリッチのSrxTiyOz材料(x,y,zは整数)である。SrリッチのSrxTiyOzとは、Sr対Tiの比率x/y>1が化学量論的比率より大きい、即ち、Sr対Tiの比率x/yが1より大きい酸化物を意味する。
【0044】
SrxTiyOz絶縁層12を堆積させるステップの際、Sr対Tiの比率x/yは、化学量論的比率x/y=1より高く維持できる。任意には、このSr対Tiの比率x/yは、化学量論的比率1とほぼ等しいように維持でき、一方、堆積プロセスの一部だけ、このSr対Tiの比率x/yは化学量論的比率1より高く設定される。
【0045】
好ましい実施形態では、こうした金属−絶縁体−金属キャパシタ10を形成するための方法が開示され、絶縁体12は、ストロンチウムおよびチタンの酸化物のみからなり、下部電極11はTiNのみからなる。該方法は、窒化チタンのみからなる下部電極11を形成することと、下部電極11の上に、ストロンチウムおよびチタンの酸化物のみからなる絶縁層12を形成することと、絶縁層12の上に上部電極13を形成することとを含み、上部電極13は下部電極11と電気絶縁される。
【0046】
本願に係る金属−絶縁体−金属キャパシタ10は、0.5nm未満の等価酸化膜厚(EOT)を示すとともに、絶縁層12を通過する漏洩電流は、上部電極13と下部電極11の間に1Vを印加した場合、500nA/cm3未満である。
【0047】
(実施例1)
(実験の詳細)
クロスフローASM Pulsar(登録商標)2000反応装置において、250℃〜300℃の範囲の反応装置温度で、STO層を原子層堆積(ALD)によって堆積した。前駆体は、Sr(t−Bu3Cp)2,H2O,およびTi(OCH3)4であった。所定の厚さを有する層を製作するために、全サイクルを回数x*分繰り返す必要があり、一方、図4に示すように、全サイクルの各々において、全サイクル内の所望のSr/Ti比率の観点からSr前駆体パルスの数n*およびTi前駆体パルスの数m*が選択できる。Sr前駆体およびTi前駆体のパルスシーケンスを変化させることによって、ALDは、純粋なTiO2からSrリッチまで、素直な組成調整による幅広い組成多様性のSTO膜の成長を可能にする。図2は、図4に示すシーケンスを参照してSr/Tiパルス比率(n*/m*)の関数として、ラザフォード後方散乱(RBS)によって決定されるSr/Ti原子比率x/yを示す。約1.5のパルスサイクル比率(n*/m*)が、化学量論的SrTiO3(x=y=1,z=3)に対応している。
【0048】
ALDにおいて、STO成長は自己制御式の表面反応によって決定され、進化したDRAM構造で必要になる高いアスペクト比の構造で、STOのコンフォーマル(conformal)な堆積を保証する。7〜30nm範囲のSTO膜12が、それぞれALD TiN、MOCVD TiNまたはWの下部電極11の上に成長した。3つの異なるSr:Ti組成原子比率x/y、即ち、化学量論的原子比率に近い「標準組成」(x/y〜1)、Tiリッチ組成(x/y〜0.2)、およびSrリッチ組成(x/y〜1.5)を検討した。
【0049】
(物理的分析)
図6は、3つの組成、即ち、標準組成(Std Comp)(菱形)、Tiリッチ(四角)、Srリッチ(三角)について、ALD TiN下部電極11の上にあるSTO膜12の高分解能ラザフォード後方散乱(RBS)プロファイルの例を示す。堆積したままのSTO膜はアモルファスである。
【0050】
これら3つのSTO膜12の組成のSTO結晶化挙動の注意深い特徴付けは、He環境でランプ(ramp)アニールの際、その場(in-situ)XRD測定によって行った。膜は、ALDチャンバ内でアニールした。全て3つの膜組成は、高誘電率(high-k)ペロブスカイトSTO相に、540〜620℃範囲の温度で結晶化した。サブ10nmの標準組成(x/y〜1)膜12およびSrリッチ(x/y〜1.5)膜12の結晶化は、外部(ex-situ)で550℃、1分間、N2中のアニール後、断面TEMでも確認した。図7は、ALD TiN下部電極11の上に形成された3つのSTO膜のタイプの温度を、膜厚の関数として示すものであり、その温度でSTO膜がペロブスカイト相に結晶化する。温度は、0.2°C/秒で傾斜させた。結晶化温度は、Tiリッチ膜(x/y〜0.2)について、特により薄い膜についてより高かった。
【0051】
TEM分析は、14nmのTiリッチ膜は、550℃アニール後でも大部分がアモルファスであることを示した。600℃に達するアニール後、Srリッチ膜(x/y〜1.5)についてのSTOピーク位置は、報告されたバルク、即ち、極めて厚いSTO層に対してシフトしてることが判った。STO値は、より高いTのアニールでバルク値に到達した。図8は、ASD TiN下部電極11の上に堆積した3つのSTO膜タイプのXRDスペクトルを示す。シフトは、800℃超えで達成されるバルクSTO値を持つ、より厚いSrリッチSTO膜について明らかである。これは、Srが、低温結晶化アニール後、STO中に溶解して、より高温においてSTO粒から追い出されているかもしれないことを示唆している。図6のRBSデータは、過剰なSrが下部TiN界面に優先的に接近していることを示唆している。
【0052】
(電気的評価)
3つのSTO膜タイプの電気的評価を行うために、絶縁STO層12を結晶ペロブスカイト相にアニールした後、PT上部電極13を、個々の結晶STO層12/TiN下部電極11の積層体の上に形成した。
【0053】
図9は、STO膜12が標準組成(x/y〜1)またはSrリッチ組成(x/y〜1.5)を有し、550℃、60秒間でN2中の急速熱アニール(RTA:Rapid Thermal Anneal)後、これらのSTO膜12/ALD TiN膜11の上で測定した典型的なC−V、G−Vカーブを示す。高いキャパシタンス密度で平坦なC−V特性が観測され、コンダクタンス値は低いままである。
【0054】
MOCVD TiN下部電極11の上にあるSTO膜の電気的特性に対する結晶化の影響は、図10に明確に示されており、標準組成(Std. Comp.:x/y〜1)を有するSTO膜12についてEOT厚(nm)と物理厚さ(nm)との関係を、結晶化アニール工程の関数、即ち、アニール無し(堆積したまま)、500℃アニール、550℃アニール、600℃アニールの関数として示す。標準組成の結晶STO膜について得られた典型的なK値は、〜150である。図8で示した、その場(in situ)XRD測定の結果と一致して、500℃アニールは、標準組成STO膜を結晶化するのに充分ではなく、これはアモルファス膜に匹敵するK値(〜20)を示すようになる。ALD TiN下部電極12を使用した場合、これらのSTO膜について同様な結果が得られた。
【0055】
図11は、ALD TiN下部電極11とPt上部電極13との間に挟まれた、図5に係るアニールした結晶STO膜12について測定したキャパシタンス(C)およびコンダクタンスGを示す。図4と図5に関して上述の議論と一致して、標準組成およびSrリッチのSTO膜は550℃でアニールし、一方、TiリッチのSTO膜は600℃でアニールした。各タイプのSTO膜1について、キャパシタンスCは、キャパシタ面積と線形的に増減する。EOTについて抽出された値は、7.5nmのSrリッチ膜(x/y〜1.5)については0.49nm程度に低く、9nmの標準組成膜(x/y〜1)については0.69nmであり、一方、コンダクタンスは低いままであり、即ち、低い漏洩電流を示す。
【0056】
図12は、ALD TiN下部電極の上にある、図5で示す3つの組成(標準組成(菱形)、Tiリッチ(四角)、Srリッチ(三角))の1つを有する結晶化STO膜について、漏洩電流密度Jg−電圧Vの特性を示す。Tiリッチ(x/y〜0.2)STO膜については、図8と図9で判るように、これらの膜で観測された高い導電率/高い漏洩に起因してEOTを抽出することが困難であった。
【0057】
図13は、結晶化STO膜の電気的特性を、図5で示したような標準組成(x/y〜1)およびSrリッチ組成(x/y〜1.5)とさらに比較している。EOTと物理厚さとの間の線形的な関係が観測され、これによりK値が両方の組成から抽出可能である。Srリッチサンプルは、標準組成膜より低いKおよびより低い漏洩を示す。薄膜(tphys<10nm)ついては、より低いKにも関わらず、Srリッチ膜について、より低いEOTが達成でき、これは下地のTiN下部電極11とのより良好な界面に寄与している。
【0058】
Pt上部電極13/結晶化SrリッチSTO絶縁層12/TiN下部電極11で構成され、絶縁層は0.49nmのEOTを有するMIMcapデバイス10の典型的な漏洩電流密度Jg−Vの挙動を、図14に示している。Jg(+1V)=3.5×10−7 A/cm2およびJg(−1V)=8.9×10−7 A/cm2という優れた低い電流挙動が観測され、これらは、〜0.5nmのEOTを持つSTOに関して報告されたものに限り、最低の漏洩値である。
【0059】
STO膜での漏洩経路を顕微鏡スケールで理解するために、導電性AFM測定を行った。これらの測定から、漏洩伝導は、粒バルクを通って、表面形態(topography)に追従しており、より高い表面形態はより高い漏洩に対応していると結論付けられる。標準組成(x/y〜1)およびSrリッチ組成(x/y〜1.5)を有するSTO膜(tphys<10nm)について、これらの導電性AFM測定(Vg=3.2V)によって得られるような漏洩スポット密度を比較すると、漏洩スポット密度は標準組成についてより高くなり、図12に示すI−Vカーブと一致していることが判る。
【0060】
TiN(ALD,MOCVD)およびW下部電極11の上に堆積した、結晶化した標準組成(x/y〜1)およびSrリッチ組成(x/y〜1.5)のSTO膜12について、異なる熱処理後、±1Vでの漏洩密度値をEOTの関数として、図15に示しており、これはRuに関して最近公開されたデータよりもTiN上の膜について改善を示している。550℃が最適なアニール温度であるように思われる。それは、より高いTが、漏洩減少なしでEOTを増加させ、より低いTが、非結晶の低誘電率(lower-K)膜を生じさせるからである。Srリッチ組成は、標準組成よりも、薄膜について全体的により低い漏洩およびより低いEOTをもたらす。
【0061】
(実施例2)
(実験の詳細)
クロスフローASM Pulsar(登録商標)3000反応装置において、250℃の反応装置温度で、1nmのSiO2または20nmのSiO2/10nmのALD TiNのいずれかで覆われた300mmSi(100)基板の上に、SrxTiyO3層を原子層堆積によって堆積した。前駆体は、Sr(t−Bu3Cp)2およびTi(OCH3)4であり、酸化剤としてH2Oを用いた。SrおよびTiの供給源はそれぞれ180℃と160℃に加熱し、飽和ALDプロセスにとって充分高いドーズ量を確保した。H2O容器の温度は15℃であった。蒸気圧は、300℃未満の温度でのSTO堆積を達成するのに充分高く設定した。Sr対Ti比率を変化させることによって、ALDは、幅広い組成多様性のSrxTiyO3膜の成長を可能にする。ALDプロセスは、1ステップで行い、SrTiOx層の堆積前にシード層最適化を必要としない。7〜20nm範囲のSrxTiyO3膜が、ALD TiN基板の上で主に成長した。異なるSr:Tiパルス比率n*/m*、即ち、1:1、4:3、3:2、2:1、3:1、4:1について検討して、異なるSr:Ti組成比率が得られた。この例示の実施形態では、組成は、パルス比率を与えることによって示される。
【0062】
膜の厚さおよび密度は、X線反射率測定法(XRR)によって評価し、一方、偏光解析法を用いてウエハ全体の均一性を検査した(KLA−Tencor ASET F5)。膜の組成および汚染レベルは、(i)高分解能ラザフォード後方散乱分光計(HRRBS)、(ii)二重イオンビームモードで動作するION−TOF IV機器を用いた、飛行時間型二次イオン質量分析装置TOFSIMSの深さプロファイル、(iii)単色化したAl Kα線(1486.6eV)でThermo Theta300機器を用いた角度分解X線光電子分光法(ARXPS)、によって調査した。
【0063】
SrxTiyO3結晶化温度および相は、その場(in situ)X線回折によって検討し、一方、膜の粗さおよびミクロ組織は、Veeco Dimension 3100機器を用いた原子間力顕微鏡(AFM)、およびTecnai F30を用いて300kVの透過型電子顕微鏡(TEM)によって評価した。STO結晶化アニールは、適用した場合、制御した雰囲気環境でヒートパルス(Heat-Pulse)システムを用いて、上部電極堆積の前に、急速熱アニール(RTA)によって実施した。電気的測定は、Pfeiffer PLS 580ツールを用いて、シャドウマスクを介する電子ビーム蒸着によって堆積したPt上部電極(直径100〜500μm)を用いて行った。C−VとG−Vの特性は、Agilent 4284A LCRメータで測定し、I−V測定は、Keithley 2602マルチメータを用いて行った。Keithley 2602は、〜10pAの限界電流精度を有するが、高速で自動化したサンプル選別を可能にする。これらの膜での伝導機構をより理解するために、顕微鏡的な電気的特性は、顕微鏡的な導電性AFM(C−AFM)測定によって補足した。Veeco Dimension 3100機器は、単に、(i)接触モード画像化のためのチップを電気的測定のためのPt/Irコーティング(20−30nm)を備えたチップに変更し、(ii)センス増幅器を置き換えることによって、AFMからCAFMへ変換した。最後に、種々のSr含有量を有するSrxTiyO3の光学バンドギャップは、800〜190nmのスペクトル範囲でSopra GES 5光学プラットフォームを用いて分光偏光解析法によって測定した。
【0064】
第1原理の密度汎関数理論(DFT)線形応答手法を用いて、一連のSrxTiyO3組成(化学量論からストロンチウムリッチまで)、例えば、SrTiO3,Sr2TiO4,Sr3Ti2O7、Sr4Ti3O10の誘電率およびバンドギャップを計算した。
【0065】
(物理的分析)
・厚さおよび均一性
300mmウエハについて偏光解析法によって測定したSrxTiyO3の厚さ均一性は、内側ウエハ厚さの不均一性≦2.5%を示した。さらに、STO膜の厚さおよび密度は、結晶化アニールの前後で代表的なサンプルについてXRRを用いて測定した。典型的な厚さ収縮は、600℃、N2中で1分間のアニール後で約10%であった。膜の密度は、バルク値(5.12g/cm3)の〜85%から〜95%に増加した。
【0066】
・組成および汚染分析
図16は、4:3(化学量論)から4:1(67%Sr)までのSr:Ti ALDパルス比率で、堆積したままの20nm厚SrxTiyO3膜のSrおよびTiのHRRBS深さプロファイルを示す。予想したように、Sr信号およびTi信号は、Sr:Tiパルス比率に依存しており、Sr(あるいはTi)信号は、Sr:Tiパルス比率を増加させると、増加(あるいは減少)することが判った。抽出した膜組成は、ALD Sr:Tiパルス比率の関数として、下記(表1)に示している。
【0067】
【表1】
【0068】
(表1) ALD Sr:Tiパルス比率および、高分解能ラザフォード後方散乱分光計(HRRBS)によって測定した対応する組成(原子%)。
【0069】
ウエハ全体の組成(Sr:Ti比率)均一性は、優秀であった(<1.4%)。さらに、組成は、下地となる基板の変更、あるいは600℃でのアニール(1分間、N2雰囲気)によっても影響されないことが判明した。TOFSIMSプロファイルは、膜のバルク内での低いC、FおよびClの汚染を示した。XPSで測定したCの汚染レベルは、検出限界未満であった(<1%)。SrxTiyO3膜の特徴付けは、さらにARXPS測定によって行い、膜表面でのSrCO3の存在を示した。堆積したままの膜では、SrCO3濃度は、Sr:Ti ALDパルス比率の増加とともに増加することが判った。このSrCO3濃度は、600℃、1分間、N2中の熱処理によって大きく減少できる。
【0070】
・結晶化の挙動
SrxTiyO3膜の結晶化の挙動は、N2中のランプ(ramp)アニール(0.2℃/s)の際、その場(in-situ)XRD(θ−2θ配置)によって評価した。堆積したままのSrxTiyO3膜は、アモルファスであり、520〜640℃の範囲の温度でペロブスカイトSTO相に結晶化される。結晶化温度は、図17に示すように、膜の組成および厚さに大きく依存している。化学量論的SrTiO3膜([Sr/(Sr+Ti)]〜0.5)は、所定の厚さで最低の結晶化温度を示している。予想したように、より薄い膜は、結晶化のため、より高い温度を必要とする。結晶化温度に対する厚さの影響は、Ti含有量が増加した場合、より顕著に見える。
【0071】
その場(in-situ)XRDは、SrxTiyO3膜の結晶化の挙動に対する組成の影響に関して、2つの別の顕著な特徴を明らかにしている。全ての膜がペロブスカイト構造に結晶化するが、SrxTiyO3膜ブラッグピークの相対強度は、組成とともに劇的に変化する。この点をより良く説明するために、図18に示すように、ランプ(ramp)アニールの完了後、θ−2θ走査を行った。TiNの上に堆積した化学量論的SrTiO3膜は、バルクの多結晶SrTiO3膜について報告されたものに近いXRDパターンを示している。ストロンチウムの添加は、組織(texture)の変化を引き起こし、Srリッチ膜は、より(200)配向となる。この効果は、下地の層に大きく関連しており、SrTiO3を同じ処理パラメータでSi上に直接に堆積した場合は、劇的な組織変化は観測されなかった。
【0072】
第2の観測では、600℃のアニール後のSTOピーク位置は、報告されたバルクペロブスカイトSTO値に対してシフトしており、より高いアニール温度でバルク値に接近することが判った。この効果は、図19に示すように(10nm 3:1膜)、特にSrリッチ膜について存在する。これは、Srが、低温結晶化アニール後はSTO中に溶解して、より高温においてSTO粒から追い出されているかもしれないことを示唆する。
【0073】
この推定をサポートするために、種々の温度でアニールした10nmの化学量論的(4:3)膜およびSrリッチ(3:1)膜についてSEM平面画像を撮影した。化学量論的膜は、525℃までのアニール温度ではアモルファスである。IS−XRDと一致して、結晶的特徴、即ち、SrTiO3粒および星形状パターンが600℃で観測できる。層での星形状パターンの出現は、TEM分析によって層内の応力に起因すると考えられる。700℃、1分間、N2中の結晶化アニールの後、クラックが化学量論的SrTiO3膜の膜表面に現れる。一方、700℃、1分間、N2中でアニールした場合、Srリッチ膜は大きなSrリッチ結晶の形成を示す。600℃では、TEM断面で見えるように、IS−XRD結果と一致して、Srリッチ膜は結晶性である(粒サイズ〜40nm)が、Srリッチ結晶の形成は無い。550℃では、SrリッチSTO膜は、依然としてアモルファスである。これらのSEM観察は、低い結晶化アニール温度で溶解している過剰なSrの存在と、より高い温度ではSrTiO3粒からの偏析(segregation)とを含むシナリオと良く一致している。
【0074】
(電気的評価)
・堆積したままのSrxTiyO3膜
堆積したままのSrxTiyO3膜をベースとしたキャパシタの電気的特性が、図17と図18に要約されている。
【0075】
図20は、種々のSr:Ti比率を持つ堆積したままの膜のEOT評価を、これらの物理厚さの関数として示す。これらの結果に基づいて2つの主要な結論が導かれる。全ての組成について、EOTは、膜厚とともに線形的に変化している。さらに、傾斜は全ての組成についてかなり類似しており、アモルファス層の固有(バルク)の誘電率が膜組成での変化によって僅かしか影響されないことを示唆している。抽出した相対誘電率Kは、16〜18に及ぶ。一方、全ての所定の厚さについて、EOT値は、Sr含有量の増加とともに系統的に増加している。これは、SrxTiyO3層と電極との間の界面が膜組成に対して敏感であることを示している。膜表面で観測されるSrCO3層は、そのEOT不利益(penalty)の原因となり、SrCO3量はSr含有量とともに増加すると考えられる。
【0076】
図18は、種々のSr含有量を有する16nmの堆積したままのSrxTiyO3膜の漏洩電流密度Jg−Vカーブを示す。驚くことに、Srリッチ膜で観測されるEOTの増加は、漏洩電流での増加と関連している。この観測は、膜中で観測される種々のSrCO3量に潜在的に起因して、SrxTiyO3膜と電極との間のバリア高さの相違を示唆している。
【0077】
・結晶SrxTiyO3膜。EOTおよびkに対する組成の影響
図19は、45%から62%までの範囲の組成(Sr/(Sr+Ti))を有する結晶SrxTiyO3膜(600℃、1分間、N2中でアニール)について、キャパシタンス(0V、1kHzで測定)をキャパシタサイズの関数として示す。全ての組成について、測定したキャパシタンスは、面積とともに線形的に増減する(一方、コンダクタンスは、全てのキャパシタサイズについて、<10μSのままである)。さらに、SrxTiyO3膜のSr濃縮は、より低いキャパシタンスを系統的にもたらす(所定のキャパシタサイズについて)。
【0078】
図23は、600℃の結晶化アニール後、種々のALDパルス比率および厚さを有する、Pt上部電極13/SrxTiyO3絶縁層12/TiN下部電極13の積層体キャパシタを有するMIMキャパシタの電気的特性をさらに比較している。図21で既に見たように、EOTと物理厚さとの線形関係が観測される。それでもなお、堆積したままの膜とは対照的に、Sr含有量は、EOTと物理厚さとの比例定数に対して大きな影響を有している。
【0079】
抽出した相対誘電率Kを、SrxTiyO3組成の関数として図24aに示している。誘電率は、Sr含有量の増加とともに単調に減少する(化学量論的4:3膜についてK〜210であり、Srリッチ3:1膜についてK〜56)。実験的に観測された、Sr含有量の増加に伴うK値の減少は、理想的なRuddlesden-Popper相についてのAb-initioモデリングによって予測される傾向と定量的に一致している。さらに、図24bに示すゼロtphysに向かうEOTの外挿は、Sr含有量の増加とともに界面EOTの減少を示唆しているであろう。これらの外挿は、EOT抽出での可能性ある変動要因を考慮した注意を伴うと考えるべきである。それでもなお、図18に既に示したように、SrxTiyO3膜の組織(texture)は、Sr含有量とともに変化することが判明した。この組織変化は、SrxTiyO3は、立方晶の対称性を有することを考慮すると、バルクSrxTiyO3の誘電特性に大きな影響を与えることはないが、Srリッチ膜について外挿したより低い界面EOTを裏付けているであろう。
【0080】
・結晶SrxTiyO3膜。漏洩特性に対する組成の影響
対象の異なる組成を持つ16nmの結晶SrxTiyO3膜の漏洩特性を図25に示している。同じ物理厚さでは、Srリッチ膜がかなり低い漏洩電流を示すことは明らかである。この現象をより理解するために、2つの要因を検討した。
【0081】
Sr:Ti比率の関数としてSrxTiyO3バンドギャップの「内在的」変更は、分光偏光解析法を用いて評価した(SiO2上に堆積され、600℃、1分間、N2中でアニールした20nmのSrxTiyO3膜について)。抽出した光学バンドギャップは、Sr含有量の増加(化学量論的3:2からSrリッチ4:1まで)とともに増加し(3.7eVから4eVまで)、高誘電率(high-K)STO層と電極との間でより高いバンドオフセットを示唆しており、その結果、Srリッチ膜についてより低い漏洩電流をもたらす。Sr含有量の増加に伴うバンドギャップの増加は、過剰なストロンチウムがRP相の形成によって構造内に収容されることを考慮したAb-initio計算によっても予測されることに留意する。
【0082】
Srリッチ膜について観測されるより低い漏洩をさらに説明できる、可能性のある「外因性」の要因を見るために、600℃、1分間、N2中の結晶化アニール後、Tiリッチ膜(1:1 ALDパルス比率)およびSrリッチ膜(3:1 ALDパルス比率)について導電性AFM測定を行った。Tiリッチ膜は、漏洩スポットの不均一な分布を示す。漏洩経路のクラスタ化は、TiリッチSrTiO3膜厚が10nmから15nmへの増加とともにより明らかになる。〜220−250nm直径の低い漏洩エリアは、2次元網状組織の漏洩経路によって包囲される。同様な挙動は、化学量論的SrTiO3膜について観測された。膜が全て結晶性であることが判ると、漏洩の不均一性は、例えば、SrまたはTiの偏析に起因した粒境界でのより高い漏洩、あるいは膜内のマイクロクラックに帰着するであろう。多くの場合、第2のシナリオは、下記の理由のため、観測パターンの起源となる。(i)CAFM調査によると、漏洩は粒のバルク内で圧倒的に発生しており、粒境界ではないことを示した。(ii)化学量論膜について700℃のアニール後は、Tiリッチ膜でも観測されたように、明瞭なクラックの存在が見られた。一方、漏洩スポットの極めて均一な分布は、Srリッチ膜について実証され、これはこれらの膜内において明白なクラック形成が無いことを示唆している。膜は、極めて滑らかである(RMS粗さ〜0.17nm)。これは、SEMによる観測結果と全体的に一致している。
【0083】
(要約)
実験結果は、種々のSr:Tiパルス比率n*/m*(即ち、1:1、4:3、3:2、2:1、3:1、4:1)を用いたALDによって、TiN下部電極12の上に堆積したSrxTiyO3薄膜11の物理的および電気的な特徴付けの系統的な研究である。幾つかの結論は、次ぎのように導かれる。
【0084】
(i)堆積プロセスは、組成および厚さ均一性の点で上手く制御されていることが示された。
【0085】
(ii)慎重な膜組成分析は、HRRBS,TOFSIMSおよびARXPSによって行った。全体として良好な組成制御および低レベルのバルク汚染にも拘わらず、ARXPSは、SrxTiyO3膜表面上にSrCO3の存在を示した。SrCO3の量は、堆積したままの膜ではSr含有量とともに増加し、結晶化アニールによって著しく減少させることができる。
【0086】
(iii)SrxTiyO3膜の結晶化に対するSr含有量および厚さの影響は、その場(in situ)XRDによって検討した。化学量論膜(Sr:Ti=4:3または3:2)の結晶化温度は、他のSrxTiyO3組成のものより低いことが示された。さらに、その場(in situ)XRD測定は、Sr含有量の増加とともに膜組織の変化を示した。また、600℃でアニールしたSrリッチのSrxTiyO3膜に対応する回折ピークは、バルクSrTiO3膜ペロブスカイトの最新のピーク位置より低い角度で現れる。たとえSrxTiyO3構造による過剰Srの収容の基礎となる機構が不明確なままであっても、低温結晶化アニール後はSrがSrxTiyO3に溶解し、より高い温度ではSrTiO3粒から追い出されてSrリッチ粒を形成しているようである。
【0087】
(iv)低いEOTと低い漏洩との間の明らかなトレードオフ(tradeoff)が、結晶膜について観測された。検討した厚さの範囲では、Srリッチ膜は、化学量論膜またはTiリッチ膜より高いEOT(より低いK値)およびより低い漏洩電流を示しているが、ゼロ物理厚さへの外挿は、Srリッチ組成についてより低い界面EOTを示唆しているであろう。Ab-initioモデリングによって予測される、EOTおよび漏洩のSr含有量への依存性は、電気的な証拠によって、および分光偏光解析法による光学バンドギャップ抽出によってサポートされた。C−AFM調査は、Tiリッチ膜について観測された漏洩の増加は、層内のより高い応力におそらく起因した、膜内のマイクロクラック形成から由来するであろうことを示唆する。
【0088】
結論として、上記実験観測は、SrxTiyO3の物理的および電気的な特性は、Sr:Ti比率に対して極めて敏感であることを示し、慎重な組成選択が目標とするデバイス応用にとって必要であることを論証する。
【0089】
前の段落および実施形態において、MIMcapデバイス10およびMIMcapデバイス10を製造する方法が開示され、Tiを含む下部電極11と上部電極13との間に挟まれた、非化学量論的SrxTiyO3絶縁層12を有する。非化学量論的SrxTiyO3絶縁層12は、Sr対Ti原子比率x/y>1を有し、Srリッチである。Srの代わりに、BaまたはSrとBの組合せが、非化学量論的金属−チタン−酸化物絶縁層を形成するために使用できる。従って、絶縁層12は、上述の段落および実施形態で検討したように、一般に、[Ba1−qSrq]xTiyOz酸化物(但し、q,x,y,zは整数、x/y>1)として記述可能であり、アルカリ土類金属Ba及び/又はSrがリッチである非化学量論的酸化物が得られる。q=0の場合、チタン酸バリウムSrxTiyOzが得られ、q=1の場合、チタン酸ストロンチウムSrxTiyOzが得られる。
【技術分野】
【0001】
本開示は、絶縁材料が金属上部電極と金属下部電極との間に挟まれたキャパシタ構造に関する。これらのキャパシタ構造は、MIM(金属−絶縁体−金属)キャパシタ構造としても知られている。特に、本開示は、こうしたMIMキャパシタ構造を備えた揮発性メモリセルに関する。
【背景技術】
【0002】
将来のダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)のノードは、0.5nm未満の等価酸化膜厚(EOT)、および低い漏洩電流密度、即ち、10−7A/cm2未満を有する金属−絶縁体−金属キャパシタ(MIMcaps)が必要になる。
【0003】
製造ラインで今日使用されている典型的な高誘電率(K)材料、例えば、ZrO2/Al2O3/ZrO2は、低すぎる高誘電率(K〜40)のために、将来のDRAMノードの可能性ある手法としてもはや考えられていない。
【0004】
従って、こうしたMIMキャパシタの製造、特に、DRAMメモリセルでの使用のために種々の材料系が探索されている。種々の材料のうち、SrxTiyO3(STO)が有望な候補と考えられる。この材料の関心は、その良好な誘電特性(K〜150−300)、および高いアスペクト比のDRAM応用に適した合理的に低い処理温度(≦300℃)でコンフォーマル(conformal)STO薄膜の堆積を可能にする原子層堆積(ALD)プロセスでの最近の改良の両方によって説明できる。
【0005】
米国特許第7108747号は、SrTiO3薄膜を製造するための原子層堆積(ALD)プロセスを開示する。米国特許出願第2006/0219157号もまた、チタン含有の酸化物薄膜を製造するための原子層堆積(ALD)プロセスを開示する。
【0006】
最近、Sr前駆体としてSr(thd)2を用いたALD SrxTiyO3が、Ru,Ptなどの貴金属電極上での有望な結果とともに報告されている。オー・ソン・クゥオンら(Oh Seong Kwon et al)は、文献「Atomic Layer Deposition and Electrical Properties of SrTiO3 Thin films Grown using Sr(C11H19O2)2, Ti (Oi-C3H7)4 and H20, Journal Of electrochemical Society 154 (6), G127-G133 (2007)」において、特定の前駆体を用いて原子層堆積(ALD)によってSrTiO3(STO)薄膜を成長させる方法を開示している。
【0007】
誘電体薄膜は、Ru下部電極の上で成長する。しかしながら、使用するプロセスは、高い堆積温度(>350℃)、及び/又は、酸化環境での堆積後(post-deposition)アニールを必要とし、TiN下部電極と不適合になる。さらに、Ru,Ptなどの金属は、最新の半導体プロセスと適合しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7108747号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2006/0219157号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Oh Seong Kwon et al, Atomic Layer Deposition and Electrical Properties of SrTiO3 Thin films Grown using Sr(C11H19O2)2, Ti (Oi-C3H7)4 and H20, Journal Of electrochemical Society 154 (6), G127-G133 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、0.5nm以下のEOT、および5×10−7A/cm2未満の漏洩電流を有する金属−絶縁体−金属キャパシタ構造を製造するニーズが存在する。
【0011】
標準的な半導体プロセスと適合するプロセス工程および材料を用いて、こうしたキャパシタを製造するニーズが存在する。
【0012】
300℃以下の温度で、こうしたキャパシタの絶縁層を形成するニーズが存在する。
【0013】
絶縁層と下部電極との間で、減少したEOTの界面酸化物を有する、こうしたキャパシタを製造するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
金属−絶縁体−金属キャパシタは、下部電極、絶縁層および上部電極の積層体を備え、絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyOz酸化物{但し、q,x,y,zは整数、0<q<1、(x/y)>(1/1)}である。好ましくは、この絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyO3酸化物である。q=1の場合、この絶縁層はSrxTiyOz酸化物である。q=0の場合、この絶縁層はBaxTiyOz酸化物である。[Ba1−qSrq]/Tiの比(x/y)は、1より大きく、好ましくは(1/1)<(x/y)<(4/1)である。この金属−絶縁体−金属キャパシタの下部電極は、Tiを含んでもよく、好ましくは、TiNからなる。
【0015】
DRAMメモリセルは、金属−絶縁体−金属キャパシタと、選択デバイスとを備える。金属−絶縁体−金属キャパシタは、下部電極、絶縁層および上部電極の積層体を備え、絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyOz酸化物{但し、q,x,y,zは整数、0<q<1、(x/y)>(1/1)}である。好ましくは、この絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyO3酸化物である。q=1の場合、この絶縁層はSrxTiyOz酸化物である。q=0の場合、この絶縁層はBaxTiyOz酸化物である。[Ba1−qSrq]/Tiの比(x/y)は、1より大きく、好ましくは(1/1)<(x/y)<(4/1)である。この金属−絶縁体−金属キャパシタの下部電極は、Tiを含んでもよく、好ましくは、TiNからなる。
【0016】
金属−絶縁体−金属キャパシタを製造する方法は、下部電極を形成することと、下部電極の上に絶縁層を形成することと、絶縁層の上に上部電極を形成することとを含み、絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyOz酸化物{但し、q,x,y,zは整数、0<q<1、(x/y)>(1/1)}である。好ましくは、この絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyO3酸化物である。q=1の場合、この絶縁層はSrxTiyOz酸化物である。q=0の場合、この絶縁層はBaxTiyOz酸化物である。[Ba1−qSrq]/Tiの比(x/y)は、1より大きく、好ましくは(1/1)<(x/y)<(4/1)である。この金属−絶縁体−金属キャパシタの下部電極は、Tiを含んでもよく、好ましくは、TiNからなる。絶縁層は、原子層堆積(ALD)法で形成できる。好ましくは、絶縁層は、下部電極(TiN)の上に直接形成され、該方法は、形成したままの絶縁層にアニール工程を実施して、絶縁層を結晶ペロブスカイト相にすることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本開示に係るMIMキャパシタの概略を示す。
【図2】トランジスタおよび本開示に係るMIMキャパシタを含むDRAMメモリセルを示す。
【図3a】処理ステップの概略断面図を用いて、本開示に係るMIMキャパシタを製造するための方法を示す。
【図3b】処理ステップの概略断面図を用いて、本開示に係るMIMキャパシタを製造するための方法を示す。
【図3c】処理ステップの概略断面図を用いて、本開示に係るMIMキャパシタを製造するための方法を示す。
【図4】第1の例示の実施形態に係るMIMキャパシタを製造するためのALD STO堆積プロセスのパルスシーケンスの概略を示す。
【図5】第1の例示の実施形態に従って、Sr/Tiパルス比率(n*/m*)の関数として、RBSによって決定されるSr/Ti原子比率x/yを示す。
【図6】第1の例示の実施形態に従って、図5で示した3つの組成:標準組成(菱形)、Tiリッチ(四角)、Srリッチ(三角)について、STO膜の高分解能RBSプロファイルを示す。
【図7】第1の例示の実施形態に従って、図5で示した3つの組成の1つを有するSTO膜についてのペロブスカイト結晶化温度(℃)を膜厚(nm)の関数として示す。
【図8】第1の例示の実施形態に従って、ALD TiN下部電極の上にある、図5で示した3つの組成の1つを有するSTO膜のXRDスペクトルを示す(堆積したまま(実線)、600℃にアニール後(白丸)、高温アニール後(黒丸))。
【図9】第1の例示の実施形態に従って、2つの異なるSTO膜厚について、図5に示すように、結晶標準組成または結晶Srリッチ組成を有するSTO膜のキャパシタンス−電圧(C−V)およびコンダクタンス−電圧(G−V)のカーブを示す。
【図10】第1の例示の実施形態に従って、種々の熱処理後にMOCVD TiN下部電極の上に堆積した場合、図5に示すように標準組成を有するSTO膜についてEOT厚(nm)を物理厚さ(nm)の関数として示す。
【図11】第1の例示の実施形態に従って、ALD TiN下部電極の上にある、図5で示した3つの組成の1つを有するSTO膜のキャパシタ面積(μm2)の関数として、キャパシタンス(C)(黒塗り)およびコンダクタンスG(白抜き)を示す(標準組成(菱形)、Tiリッチ(四角)、Srリッチ(三角))。
【図12】第1の例示の実施形態に従って、ALD TiN下部電極の上にある、図5で示した3つの組成の1つを有する結晶化STO膜についての漏洩電流密度(Jg)−電圧(V)特性を示す(標準組成(菱形)、Tiリッチ(四角)、Srリッチ(三角))。
【図13】第1の例示の実施形態に従って、ALD TiN下部電極の上に形成されたSTO膜についてのEOT厚を物理厚さの関数として示すもので、STO膜は、図5で示したような標準組成またはSrリッチ組成を有する。
【図14】第1の例示の実施形態に従って、図5で示したように、8nm結晶化SrリッチSTO膜について、漏洩電流密度(Jg)−電圧(V)特性を示す(標準組成(菱形)、Tiリッチ(四角)、Srリッチ(三角))。
【図15】第1の例示の実施形態に従って、図5で示したような標準組成またはSrリッチ組成を有し、異なるタイプの下部電極:W,ALD TiN,MOCVD TiN、および異なる熱処理について、結晶化STO膜についての漏洩電流密度(Jg)−電圧(V)特性を示す。
【図16】第2の例示の実施形態に従って、STO膜の種々の組成についてSrxTiyO3膜の高分解能RBSプロファイルを示す。
【図17】第2の例示の実施形態に従って、STO膜の組成および厚さの関数として、ペロブスカイトSrxTiyO3相への結晶化温度を示す。結晶化温度は、IS−XRD測定から抽出される。
【図18】第2の例示の実施形態に従って、高温アニール後で、TiN下部電極の上に種々の組成で堆積した10nmのSrxTiyO3膜のθ−2θ XRDダイアグラムを示す。
【図19】第2の例示の実施形態に従って、堆積したまま、600℃のアニール後、および高温アニール後の10nmのSrリッチ(3:1)SrxTiyO3膜の(200)ブラッグピークに注目したXRDダイアグラムを示す。比較として、報告された立方晶SrTiO3(200)ピークの位置を示す。
【図20】第2の例示の実施形態に従って、種々の組成を有する、堆積したまま(アモルファス)のSrxTiyO3膜の等価酸化膜厚(EOT)−物理厚さを示す。下部(あるいは上部)電極は、TiN(あるいはPt)であった。
【図21】第2の例示の実施形態に従って、種々の組成を有する、16nmの堆積したまま(アモルファス)のSrxTiyO3膜の漏洩電流密度(Jg)−印加電圧(V)特性を示す。遅延時間は10msであった。
【図22】第2の例示の実施形態に従って、種々の組成を有する、10nmの結晶SrxTiyO3膜のキャパシタンス(0V、1kHzで測定)−キャパシタ面積を示す。結晶化アニールは、600℃、1分間、N2中で実施した。下部(あるいは上部)電極は、TiN(あるいはPt)であった。
【図23】第2の例示の実施形態に従って、種々の組成を有する、結晶SrxTiyO3膜の等価酸化膜厚(EOT)−物理厚さを示す。結晶化アニールは、600℃、1分間、N2中で実施した。下部(あるいは上部)電極は、TiN(あるいはPt)であった。
【図24a】第2の例示の実施形態に従って、誘電率の変化をSTO膜組成の関数として示す。K値は、図23で提示したEOT−物理厚さデータの線形フィッティングから抽出される。
【図24b】第2の例示の実施形態に従って、界面EOTの変化をSTO膜組成の関数として示す。界面EOT値は、図23で提示したEOT−物理厚さデータの線形フィッティングから抽出される。
【図25】第2の例示の実施形態に従って、種々の組成を有する、16nmの結晶SrxTiyO3膜の漏洩電流密度(Jg)−印加電圧(V)特性を示す。遅延時間は550msであった。結晶化アニールは、600℃、1分間、N2中で実施した。下部(あるいは上部)電極は、TiN(あるいはPt)であった。
【発明を実施するための形態】
【0018】
説明する図面は、概略的に過ぎず、非限定的なものである。図面において、幾つかの要素のサイズは、説明目的のために誇張したり、縮尺どおり描写していないことがある。寸法および相対寸法は、本発明の実際の具体化に必ずしも対応していない。
【0019】
さらに、説明および請求項での用語「第1」「第2」「第3」などは、類似の要素を区別するための使用しており、必ずしも連続した順または時間順を記述するためではない。こうした用語は、適切な状況下で交換可能であり、本発明の実施形態は、ここで説明したり図示したものとは別の順番で動作可能である。
【0020】
さらに、説明および請求項での用語「上(top)」、「下(bottom)」、「の上に(over)」、「の下に(under)」等は、説明目的で使用しており、必ずしも相対的な位置を記述するためのものでない。こうして用いた用語は、適切な状況下で交換可能であって、ここで説明した本発明の実施形態がここで説明または図示した以外の他の向きで動作可能であると理解すべきである。
【0021】
請求項で用いた用語「備える、含む(comprising)」は、それ以降に列挙された手段に限定されるものと解釈すべきでなく、他の要素またはステップを除外していない。記述した特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を、参照したように特定するように解釈する必要があるが、1つ又はそれ以上の他の特徴、整数、ステップまたは構成要素、あるいはこれらのグループの存在または追加を除外していない。そして「手段A,Bを備えるデバイス」という表現の範囲は、構成要素A,Bだけからなるデバイスに限定すべきでない。本開示に関して、デバイスの関連した構成要素だけがA,Bであることを意味する。
【0022】
MIMキャパシタ10は、図1に示すように、絶縁材料の層12を金属上部電極13と金属下部電極11の間に挟むことによって形成される。下部電極11は、絶縁層12と直接に物理的に接触した層である。下部電極11の下方に他の層が存在して、他のデバイス20との良好な電気的接触を提供したり、及び/又は拡散バリアを提供してもよい。絶縁層は、下地の下部電極11の上に、良好な段差カバーレッジ(coverage)を提供するようにコンフォーマル(conformal)な方法で形成すべきである。こうしたキャパシタ10は、ダイナミックランダムアクセスメモリセル(DRAM)を形成するために特に用いられる。DRAMセルは、好ましくは、材料、特に、トランジスタなどのロジック半導体デバイスのプロセスと適合し、同じチップ上でロジックデバイスおよびMIMキャパシタのプロセスを可能にする金属を用いて製造される。これらの材料は、低コストで入手可能であり、製造が容易なものである。
【0023】
基本的なDRAMメモリセル1は、図2に示すように、トランジスタなどの選択素子20と、キャパシタ10とで構成される。トランジスタ20は、キャパシタ10へのアクセスを制御し、このキャパシタ10はトランジスタ10の一方の接合とグラウンドGNDとの間に接続されている。こうしたメモリセルにおいて、対応する電荷量をキャパシタ10に保存することによって情報が蓄積される。典型的には、これらのメモリセルは、マトリクス構成で配列され、ワードライン30が同じ列にある各トランジスタ10のゲートと接続し、一方、ビットライン40が同じ列にある各トランジスタ10の他方の接合と接続している。
【0024】
絶縁層12の材料は、高い値の相対誘電率kおよび低い漏洩電流を有するように、制限された電荷量で情報が一時的に保存できるように選択される。絶縁層12の高い相対誘電率kは、物理的により厚い層に対して薄い電気的等価酸化膜厚(EOT)が得られるため、単位面積当り高いキャパシタンス値を提供する。高誘電率(high-k)材料とは、1より大きな相対誘電率k、典型的には10より大きな相対誘電率kを有する誘電材料を意味する。
【0025】
上部電極13および下部電極11の金属は、メモリセル1の全体直列抵抗を低減するのに役立つように選択される。絶縁層12を形成するためのプロセスは、下部電極11を形成するために使用する材料と適合する必要がある。堆積の際、または堆積後のアニール工程の際、絶縁層12を形成するために使用する高い熱履歴(thermal budget)は、下部電極11の物理的および電気的特性に影響を及ぼすかもしれない。また、絶縁層12を形成するときの環境が下部電極11の物理的および電気的特性に影響を及ぼすかもしれない。
【0026】
SrxTiyOz(STO)ベースの金属−絶縁体−金属(MIM)キャパシタ10は、0.5nm以下のEOTおよび、1Vが上部電極13と下部電極11の間に印加された場合、5×10−7A/cm2未満、好ましくは、1×10−7A/cm2未満の漏洩電流を有する。x,y,zは整数であり、zは好ましくは3であり、x/y>1である。
【0027】
このSTO絶縁層12の堆積したままの層厚は、5〜30nmの範囲にある。Sr対Tiの比率x/y>1であり、好ましくは(1/1)<(x/y)<(4/1)である。
【0028】
本開示に係る金属−絶縁体−金属キャパシタ10において、堆積したままの絶縁材料2は、ストロンチウムリッチのSrxTiyOz材料(x,y,zは整数)である。SrリッチのSrxTiyOzとは、Sr対Tiの比率x/y>1が化学量論的比率より大きい、即ち、Sr対Tiの比率x/yが1より大きい酸化物を意味する。図5は、こうした非化学量論的SrxTiyOz材料の例を示す。
【0029】
本開示に係る金属−絶縁体−金属キャパシタ10において、化学量論的比率x/y=1を超えたSr含有量を持つSrxTiyOz結晶粒(grain)が、絶縁層12の中に存在し得る。これらのSrリッチ粒は、この層12のエリアに渡って分布することがあり、その結果、上部電極13と下部電極11の間に漏洩経路が抑制されたり、あるいは少なくともこうした漏洩経路の数が化学量論的SrTiO3絶縁層と比べて減少するようになる。
【0030】
これらのSrリッチ粒は、化学量論的SrTiO3絶縁層と比べてより小さな直径を有することがあるため、本開示の非化学量論的層はより少ないクラックを示すであろう。
【0031】
本開示に係る金属−絶縁体−金属キャパシタ10において、Ti含有の下部電極11とSrxTiyOz絶縁層12との間の界面は、チタン酸化物が実質的に存在せず、その結果、Ti含有の下部電極11は絶縁層12と直接に物理的に接触している。チタン酸化物がTi含有の下部電極の上部において異なる結晶方位で存在することがあるため、こうしたチタン酸化物の上部に必要な特性を有するSrxTiyOzを成長させることは面倒である。
【0032】
このMIMキャパシタ10のSrxTiyOzベースの絶縁層12は、図1に示すように、下部電極11と上部電極13との間に挟まれる。このMIMキャパシタ10の絶縁体12は、ストロンチウムおよびチタンの酸化物を含み、下部電極11はTiを含む。金属上部電極13は、Ptまたは、MIMキャパシタ10用の上部電極を形成するために先行技術で使用される他の金属で形成できる。
【0033】
好ましい実施形態では、この絶縁体12は、ストロンチウムおよびチタンの酸化物のみからなり、下部電極11はTiNのみからなる。
【0034】
0.5nm未満の等価酸化膜厚(EOT)および、好ましくは5×10−7A/cm2未満の漏洩電流を有する、SrxTiyOzベースの金属−絶縁体−金属(MIM)キャパシタを製造するための方法が開示される。
【0035】
該方法は、低温原子層堆積(ALD)法を用いて絶縁層を形成することを含む。好ましくは、このALD法は、Sr(t−Bu3Cp)2ベースの前駆体系を採用する。ALD法は、300℃、好ましくは250℃未満の温度で行われる。この方法は、ALD堆積変数、絶縁層の組成および絶縁層堆積後処理を最適化することをさらに必要とする。
【0036】
この製造方法は、低コストで、製造が容易なTiN下部電極の使用を可能にする。キャパシタのSrxTiyOz誘電体層でのSr/Ti比率を変化させることによって、キャパシタの電気的特性が膜結晶化温度として調整可能であり、その組織(texture)および形態(morphology)は、この比率に強く依存する。誘電率および漏洩電流は、Srリッチ化絶縁層12でのSr含有量とともに単調に減少する。EOT−物理厚さプロットの線分(intercept)は、下部TiNとの膜界面でのSr含有量を増加させると、より低い界面等価酸化膜厚(EOT)をもたらすことをさらに示している。
【0037】
図3a〜図3cに示すように、こうした金属−絶縁体−金属キャパシタ10を形成するための方法が開示され、絶縁体12は、ストロンチウムおよびチタンの酸化物を含み、金属下部電極11はTiを含む。該方法は、チタンを含む下部電極11を形成すること(図3a)と、下部電極の上に、ストロンチウムおよびチタンの酸化物を含む絶縁層12を形成すること(図3b)と、絶縁層12の上に上部電極13を形成すること(図3c)とを含み、上部電極13は下部電極11と電気絶縁される。
【0038】
好ましい実施形態において、図3a〜図3cに示すように、こうした金属−絶縁体−金属キャパシタ10を形成するための方法が開示され、絶縁体12は、ストロンチウムおよびチタンの酸化物のみからなり、金属下部電極11はTiNのみからなる。該方法は、TiNのみからなる下部電極11を形成すること(図3a)と、下部電極の上に、ストロンチウムおよびチタンの酸化物のみからなる絶縁層12を形成すること(図3b)と、絶縁層12の上に上部電極13を形成すること(図3c)とを含み、上部電極13は下部電極11と電気絶縁される。絶縁層12は下部電極11と直接に物理的に接触し、上部電極13は絶縁層12と直接に物理的に接触している。
【0039】
金属上部電極13を形成するステップの前に、絶縁層12を結晶化するために熱ステップを実施できる。SrリッチSrxTiyOz酸化物の場合、結晶酸化物は、600℃未満、さらには550℃未満の温度で得られ、これにより高誘電率(high-k)ペロブスカイト結晶相が得られる。この結晶化ステップは、好ましくは500℃〜600℃の温度範囲、より好ましくは530℃〜570℃の温度範囲、典型的には約550℃の温度で実施される。
【0040】
Tiを含む下部電極11は、原子層堆積(ALD)、有機金属化学気相成長法(MOCVD)、物理的気相成長法(PVD)または、半導体プロセス技術で知られた他のテクニックによって形成できる。
【0041】
絶縁層12は、低酸素環境、好ましくは無酸素環境で形成され、絶縁層12形成プロセスの際、下地のTi含有下部電極11は実質的に酸素無しのままになる。この絶縁層12は、選択した前駆体を用いた原子層堆積(ALD)によって形成可能であり、より低い温度、即ち、200℃〜300℃で、低酸素環境または無酸素環境において絶縁層12の形成を可能にする。この前駆体は、好ましくは、Sr(t−Bu3Cp)2ベースの前駆体系である。
【0042】
米国特許第7108747号は、SrTiO3薄膜を製造するための原子層堆積(ALD)プロセスを開示する。米国特許出願第2006/0219157号もまた、チタン含有の酸化物薄膜製造するための原子層堆積(ALD)プロセスを開示する。両方とも参照によりここに組み込まれる。
【0043】
堆積したままの絶縁材料12は、ストロンチウムリッチのSrxTiyOz材料(x,y,zは整数)である。SrリッチのSrxTiyOzとは、Sr対Tiの比率x/y>1が化学量論的比率より大きい、即ち、Sr対Tiの比率x/yが1より大きい酸化物を意味する。
【0044】
SrxTiyOz絶縁層12を堆積させるステップの際、Sr対Tiの比率x/yは、化学量論的比率x/y=1より高く維持できる。任意には、このSr対Tiの比率x/yは、化学量論的比率1とほぼ等しいように維持でき、一方、堆積プロセスの一部だけ、このSr対Tiの比率x/yは化学量論的比率1より高く設定される。
【0045】
好ましい実施形態では、こうした金属−絶縁体−金属キャパシタ10を形成するための方法が開示され、絶縁体12は、ストロンチウムおよびチタンの酸化物のみからなり、下部電極11はTiNのみからなる。該方法は、窒化チタンのみからなる下部電極11を形成することと、下部電極11の上に、ストロンチウムおよびチタンの酸化物のみからなる絶縁層12を形成することと、絶縁層12の上に上部電極13を形成することとを含み、上部電極13は下部電極11と電気絶縁される。
【0046】
本願に係る金属−絶縁体−金属キャパシタ10は、0.5nm未満の等価酸化膜厚(EOT)を示すとともに、絶縁層12を通過する漏洩電流は、上部電極13と下部電極11の間に1Vを印加した場合、500nA/cm3未満である。
【0047】
(実施例1)
(実験の詳細)
クロスフローASM Pulsar(登録商標)2000反応装置において、250℃〜300℃の範囲の反応装置温度で、STO層を原子層堆積(ALD)によって堆積した。前駆体は、Sr(t−Bu3Cp)2,H2O,およびTi(OCH3)4であった。所定の厚さを有する層を製作するために、全サイクルを回数x*分繰り返す必要があり、一方、図4に示すように、全サイクルの各々において、全サイクル内の所望のSr/Ti比率の観点からSr前駆体パルスの数n*およびTi前駆体パルスの数m*が選択できる。Sr前駆体およびTi前駆体のパルスシーケンスを変化させることによって、ALDは、純粋なTiO2からSrリッチまで、素直な組成調整による幅広い組成多様性のSTO膜の成長を可能にする。図2は、図4に示すシーケンスを参照してSr/Tiパルス比率(n*/m*)の関数として、ラザフォード後方散乱(RBS)によって決定されるSr/Ti原子比率x/yを示す。約1.5のパルスサイクル比率(n*/m*)が、化学量論的SrTiO3(x=y=1,z=3)に対応している。
【0048】
ALDにおいて、STO成長は自己制御式の表面反応によって決定され、進化したDRAM構造で必要になる高いアスペクト比の構造で、STOのコンフォーマル(conformal)な堆積を保証する。7〜30nm範囲のSTO膜12が、それぞれALD TiN、MOCVD TiNまたはWの下部電極11の上に成長した。3つの異なるSr:Ti組成原子比率x/y、即ち、化学量論的原子比率に近い「標準組成」(x/y〜1)、Tiリッチ組成(x/y〜0.2)、およびSrリッチ組成(x/y〜1.5)を検討した。
【0049】
(物理的分析)
図6は、3つの組成、即ち、標準組成(Std Comp)(菱形)、Tiリッチ(四角)、Srリッチ(三角)について、ALD TiN下部電極11の上にあるSTO膜12の高分解能ラザフォード後方散乱(RBS)プロファイルの例を示す。堆積したままのSTO膜はアモルファスである。
【0050】
これら3つのSTO膜12の組成のSTO結晶化挙動の注意深い特徴付けは、He環境でランプ(ramp)アニールの際、その場(in-situ)XRD測定によって行った。膜は、ALDチャンバ内でアニールした。全て3つの膜組成は、高誘電率(high-k)ペロブスカイトSTO相に、540〜620℃範囲の温度で結晶化した。サブ10nmの標準組成(x/y〜1)膜12およびSrリッチ(x/y〜1.5)膜12の結晶化は、外部(ex-situ)で550℃、1分間、N2中のアニール後、断面TEMでも確認した。図7は、ALD TiN下部電極11の上に形成された3つのSTO膜のタイプの温度を、膜厚の関数として示すものであり、その温度でSTO膜がペロブスカイト相に結晶化する。温度は、0.2°C/秒で傾斜させた。結晶化温度は、Tiリッチ膜(x/y〜0.2)について、特により薄い膜についてより高かった。
【0051】
TEM分析は、14nmのTiリッチ膜は、550℃アニール後でも大部分がアモルファスであることを示した。600℃に達するアニール後、Srリッチ膜(x/y〜1.5)についてのSTOピーク位置は、報告されたバルク、即ち、極めて厚いSTO層に対してシフトしてることが判った。STO値は、より高いTのアニールでバルク値に到達した。図8は、ASD TiN下部電極11の上に堆積した3つのSTO膜タイプのXRDスペクトルを示す。シフトは、800℃超えで達成されるバルクSTO値を持つ、より厚いSrリッチSTO膜について明らかである。これは、Srが、低温結晶化アニール後、STO中に溶解して、より高温においてSTO粒から追い出されているかもしれないことを示唆している。図6のRBSデータは、過剰なSrが下部TiN界面に優先的に接近していることを示唆している。
【0052】
(電気的評価)
3つのSTO膜タイプの電気的評価を行うために、絶縁STO層12を結晶ペロブスカイト相にアニールした後、PT上部電極13を、個々の結晶STO層12/TiN下部電極11の積層体の上に形成した。
【0053】
図9は、STO膜12が標準組成(x/y〜1)またはSrリッチ組成(x/y〜1.5)を有し、550℃、60秒間でN2中の急速熱アニール(RTA:Rapid Thermal Anneal)後、これらのSTO膜12/ALD TiN膜11の上で測定した典型的なC−V、G−Vカーブを示す。高いキャパシタンス密度で平坦なC−V特性が観測され、コンダクタンス値は低いままである。
【0054】
MOCVD TiN下部電極11の上にあるSTO膜の電気的特性に対する結晶化の影響は、図10に明確に示されており、標準組成(Std. Comp.:x/y〜1)を有するSTO膜12についてEOT厚(nm)と物理厚さ(nm)との関係を、結晶化アニール工程の関数、即ち、アニール無し(堆積したまま)、500℃アニール、550℃アニール、600℃アニールの関数として示す。標準組成の結晶STO膜について得られた典型的なK値は、〜150である。図8で示した、その場(in situ)XRD測定の結果と一致して、500℃アニールは、標準組成STO膜を結晶化するのに充分ではなく、これはアモルファス膜に匹敵するK値(〜20)を示すようになる。ALD TiN下部電極12を使用した場合、これらのSTO膜について同様な結果が得られた。
【0055】
図11は、ALD TiN下部電極11とPt上部電極13との間に挟まれた、図5に係るアニールした結晶STO膜12について測定したキャパシタンス(C)およびコンダクタンスGを示す。図4と図5に関して上述の議論と一致して、標準組成およびSrリッチのSTO膜は550℃でアニールし、一方、TiリッチのSTO膜は600℃でアニールした。各タイプのSTO膜1について、キャパシタンスCは、キャパシタ面積と線形的に増減する。EOTについて抽出された値は、7.5nmのSrリッチ膜(x/y〜1.5)については0.49nm程度に低く、9nmの標準組成膜(x/y〜1)については0.69nmであり、一方、コンダクタンスは低いままであり、即ち、低い漏洩電流を示す。
【0056】
図12は、ALD TiN下部電極の上にある、図5で示す3つの組成(標準組成(菱形)、Tiリッチ(四角)、Srリッチ(三角))の1つを有する結晶化STO膜について、漏洩電流密度Jg−電圧Vの特性を示す。Tiリッチ(x/y〜0.2)STO膜については、図8と図9で判るように、これらの膜で観測された高い導電率/高い漏洩に起因してEOTを抽出することが困難であった。
【0057】
図13は、結晶化STO膜の電気的特性を、図5で示したような標準組成(x/y〜1)およびSrリッチ組成(x/y〜1.5)とさらに比較している。EOTと物理厚さとの間の線形的な関係が観測され、これによりK値が両方の組成から抽出可能である。Srリッチサンプルは、標準組成膜より低いKおよびより低い漏洩を示す。薄膜(tphys<10nm)ついては、より低いKにも関わらず、Srリッチ膜について、より低いEOTが達成でき、これは下地のTiN下部電極11とのより良好な界面に寄与している。
【0058】
Pt上部電極13/結晶化SrリッチSTO絶縁層12/TiN下部電極11で構成され、絶縁層は0.49nmのEOTを有するMIMcapデバイス10の典型的な漏洩電流密度Jg−Vの挙動を、図14に示している。Jg(+1V)=3.5×10−7 A/cm2およびJg(−1V)=8.9×10−7 A/cm2という優れた低い電流挙動が観測され、これらは、〜0.5nmのEOTを持つSTOに関して報告されたものに限り、最低の漏洩値である。
【0059】
STO膜での漏洩経路を顕微鏡スケールで理解するために、導電性AFM測定を行った。これらの測定から、漏洩伝導は、粒バルクを通って、表面形態(topography)に追従しており、より高い表面形態はより高い漏洩に対応していると結論付けられる。標準組成(x/y〜1)およびSrリッチ組成(x/y〜1.5)を有するSTO膜(tphys<10nm)について、これらの導電性AFM測定(Vg=3.2V)によって得られるような漏洩スポット密度を比較すると、漏洩スポット密度は標準組成についてより高くなり、図12に示すI−Vカーブと一致していることが判る。
【0060】
TiN(ALD,MOCVD)およびW下部電極11の上に堆積した、結晶化した標準組成(x/y〜1)およびSrリッチ組成(x/y〜1.5)のSTO膜12について、異なる熱処理後、±1Vでの漏洩密度値をEOTの関数として、図15に示しており、これはRuに関して最近公開されたデータよりもTiN上の膜について改善を示している。550℃が最適なアニール温度であるように思われる。それは、より高いTが、漏洩減少なしでEOTを増加させ、より低いTが、非結晶の低誘電率(lower-K)膜を生じさせるからである。Srリッチ組成は、標準組成よりも、薄膜について全体的により低い漏洩およびより低いEOTをもたらす。
【0061】
(実施例2)
(実験の詳細)
クロスフローASM Pulsar(登録商標)3000反応装置において、250℃の反応装置温度で、1nmのSiO2または20nmのSiO2/10nmのALD TiNのいずれかで覆われた300mmSi(100)基板の上に、SrxTiyO3層を原子層堆積によって堆積した。前駆体は、Sr(t−Bu3Cp)2およびTi(OCH3)4であり、酸化剤としてH2Oを用いた。SrおよびTiの供給源はそれぞれ180℃と160℃に加熱し、飽和ALDプロセスにとって充分高いドーズ量を確保した。H2O容器の温度は15℃であった。蒸気圧は、300℃未満の温度でのSTO堆積を達成するのに充分高く設定した。Sr対Ti比率を変化させることによって、ALDは、幅広い組成多様性のSrxTiyO3膜の成長を可能にする。ALDプロセスは、1ステップで行い、SrTiOx層の堆積前にシード層最適化を必要としない。7〜20nm範囲のSrxTiyO3膜が、ALD TiN基板の上で主に成長した。異なるSr:Tiパルス比率n*/m*、即ち、1:1、4:3、3:2、2:1、3:1、4:1について検討して、異なるSr:Ti組成比率が得られた。この例示の実施形態では、組成は、パルス比率を与えることによって示される。
【0062】
膜の厚さおよび密度は、X線反射率測定法(XRR)によって評価し、一方、偏光解析法を用いてウエハ全体の均一性を検査した(KLA−Tencor ASET F5)。膜の組成および汚染レベルは、(i)高分解能ラザフォード後方散乱分光計(HRRBS)、(ii)二重イオンビームモードで動作するION−TOF IV機器を用いた、飛行時間型二次イオン質量分析装置TOFSIMSの深さプロファイル、(iii)単色化したAl Kα線(1486.6eV)でThermo Theta300機器を用いた角度分解X線光電子分光法(ARXPS)、によって調査した。
【0063】
SrxTiyO3結晶化温度および相は、その場(in situ)X線回折によって検討し、一方、膜の粗さおよびミクロ組織は、Veeco Dimension 3100機器を用いた原子間力顕微鏡(AFM)、およびTecnai F30を用いて300kVの透過型電子顕微鏡(TEM)によって評価した。STO結晶化アニールは、適用した場合、制御した雰囲気環境でヒートパルス(Heat-Pulse)システムを用いて、上部電極堆積の前に、急速熱アニール(RTA)によって実施した。電気的測定は、Pfeiffer PLS 580ツールを用いて、シャドウマスクを介する電子ビーム蒸着によって堆積したPt上部電極(直径100〜500μm)を用いて行った。C−VとG−Vの特性は、Agilent 4284A LCRメータで測定し、I−V測定は、Keithley 2602マルチメータを用いて行った。Keithley 2602は、〜10pAの限界電流精度を有するが、高速で自動化したサンプル選別を可能にする。これらの膜での伝導機構をより理解するために、顕微鏡的な電気的特性は、顕微鏡的な導電性AFM(C−AFM)測定によって補足した。Veeco Dimension 3100機器は、単に、(i)接触モード画像化のためのチップを電気的測定のためのPt/Irコーティング(20−30nm)を備えたチップに変更し、(ii)センス増幅器を置き換えることによって、AFMからCAFMへ変換した。最後に、種々のSr含有量を有するSrxTiyO3の光学バンドギャップは、800〜190nmのスペクトル範囲でSopra GES 5光学プラットフォームを用いて分光偏光解析法によって測定した。
【0064】
第1原理の密度汎関数理論(DFT)線形応答手法を用いて、一連のSrxTiyO3組成(化学量論からストロンチウムリッチまで)、例えば、SrTiO3,Sr2TiO4,Sr3Ti2O7、Sr4Ti3O10の誘電率およびバンドギャップを計算した。
【0065】
(物理的分析)
・厚さおよび均一性
300mmウエハについて偏光解析法によって測定したSrxTiyO3の厚さ均一性は、内側ウエハ厚さの不均一性≦2.5%を示した。さらに、STO膜の厚さおよび密度は、結晶化アニールの前後で代表的なサンプルについてXRRを用いて測定した。典型的な厚さ収縮は、600℃、N2中で1分間のアニール後で約10%であった。膜の密度は、バルク値(5.12g/cm3)の〜85%から〜95%に増加した。
【0066】
・組成および汚染分析
図16は、4:3(化学量論)から4:1(67%Sr)までのSr:Ti ALDパルス比率で、堆積したままの20nm厚SrxTiyO3膜のSrおよびTiのHRRBS深さプロファイルを示す。予想したように、Sr信号およびTi信号は、Sr:Tiパルス比率に依存しており、Sr(あるいはTi)信号は、Sr:Tiパルス比率を増加させると、増加(あるいは減少)することが判った。抽出した膜組成は、ALD Sr:Tiパルス比率の関数として、下記(表1)に示している。
【0067】
【表1】
【0068】
(表1) ALD Sr:Tiパルス比率および、高分解能ラザフォード後方散乱分光計(HRRBS)によって測定した対応する組成(原子%)。
【0069】
ウエハ全体の組成(Sr:Ti比率)均一性は、優秀であった(<1.4%)。さらに、組成は、下地となる基板の変更、あるいは600℃でのアニール(1分間、N2雰囲気)によっても影響されないことが判明した。TOFSIMSプロファイルは、膜のバルク内での低いC、FおよびClの汚染を示した。XPSで測定したCの汚染レベルは、検出限界未満であった(<1%)。SrxTiyO3膜の特徴付けは、さらにARXPS測定によって行い、膜表面でのSrCO3の存在を示した。堆積したままの膜では、SrCO3濃度は、Sr:Ti ALDパルス比率の増加とともに増加することが判った。このSrCO3濃度は、600℃、1分間、N2中の熱処理によって大きく減少できる。
【0070】
・結晶化の挙動
SrxTiyO3膜の結晶化の挙動は、N2中のランプ(ramp)アニール(0.2℃/s)の際、その場(in-situ)XRD(θ−2θ配置)によって評価した。堆積したままのSrxTiyO3膜は、アモルファスであり、520〜640℃の範囲の温度でペロブスカイトSTO相に結晶化される。結晶化温度は、図17に示すように、膜の組成および厚さに大きく依存している。化学量論的SrTiO3膜([Sr/(Sr+Ti)]〜0.5)は、所定の厚さで最低の結晶化温度を示している。予想したように、より薄い膜は、結晶化のため、より高い温度を必要とする。結晶化温度に対する厚さの影響は、Ti含有量が増加した場合、より顕著に見える。
【0071】
その場(in-situ)XRDは、SrxTiyO3膜の結晶化の挙動に対する組成の影響に関して、2つの別の顕著な特徴を明らかにしている。全ての膜がペロブスカイト構造に結晶化するが、SrxTiyO3膜ブラッグピークの相対強度は、組成とともに劇的に変化する。この点をより良く説明するために、図18に示すように、ランプ(ramp)アニールの完了後、θ−2θ走査を行った。TiNの上に堆積した化学量論的SrTiO3膜は、バルクの多結晶SrTiO3膜について報告されたものに近いXRDパターンを示している。ストロンチウムの添加は、組織(texture)の変化を引き起こし、Srリッチ膜は、より(200)配向となる。この効果は、下地の層に大きく関連しており、SrTiO3を同じ処理パラメータでSi上に直接に堆積した場合は、劇的な組織変化は観測されなかった。
【0072】
第2の観測では、600℃のアニール後のSTOピーク位置は、報告されたバルクペロブスカイトSTO値に対してシフトしており、より高いアニール温度でバルク値に接近することが判った。この効果は、図19に示すように(10nm 3:1膜)、特にSrリッチ膜について存在する。これは、Srが、低温結晶化アニール後はSTO中に溶解して、より高温においてSTO粒から追い出されているかもしれないことを示唆する。
【0073】
この推定をサポートするために、種々の温度でアニールした10nmの化学量論的(4:3)膜およびSrリッチ(3:1)膜についてSEM平面画像を撮影した。化学量論的膜は、525℃までのアニール温度ではアモルファスである。IS−XRDと一致して、結晶的特徴、即ち、SrTiO3粒および星形状パターンが600℃で観測できる。層での星形状パターンの出現は、TEM分析によって層内の応力に起因すると考えられる。700℃、1分間、N2中の結晶化アニールの後、クラックが化学量論的SrTiO3膜の膜表面に現れる。一方、700℃、1分間、N2中でアニールした場合、Srリッチ膜は大きなSrリッチ結晶の形成を示す。600℃では、TEM断面で見えるように、IS−XRD結果と一致して、Srリッチ膜は結晶性である(粒サイズ〜40nm)が、Srリッチ結晶の形成は無い。550℃では、SrリッチSTO膜は、依然としてアモルファスである。これらのSEM観察は、低い結晶化アニール温度で溶解している過剰なSrの存在と、より高い温度ではSrTiO3粒からの偏析(segregation)とを含むシナリオと良く一致している。
【0074】
(電気的評価)
・堆積したままのSrxTiyO3膜
堆積したままのSrxTiyO3膜をベースとしたキャパシタの電気的特性が、図17と図18に要約されている。
【0075】
図20は、種々のSr:Ti比率を持つ堆積したままの膜のEOT評価を、これらの物理厚さの関数として示す。これらの結果に基づいて2つの主要な結論が導かれる。全ての組成について、EOTは、膜厚とともに線形的に変化している。さらに、傾斜は全ての組成についてかなり類似しており、アモルファス層の固有(バルク)の誘電率が膜組成での変化によって僅かしか影響されないことを示唆している。抽出した相対誘電率Kは、16〜18に及ぶ。一方、全ての所定の厚さについて、EOT値は、Sr含有量の増加とともに系統的に増加している。これは、SrxTiyO3層と電極との間の界面が膜組成に対して敏感であることを示している。膜表面で観測されるSrCO3層は、そのEOT不利益(penalty)の原因となり、SrCO3量はSr含有量とともに増加すると考えられる。
【0076】
図18は、種々のSr含有量を有する16nmの堆積したままのSrxTiyO3膜の漏洩電流密度Jg−Vカーブを示す。驚くことに、Srリッチ膜で観測されるEOTの増加は、漏洩電流での増加と関連している。この観測は、膜中で観測される種々のSrCO3量に潜在的に起因して、SrxTiyO3膜と電極との間のバリア高さの相違を示唆している。
【0077】
・結晶SrxTiyO3膜。EOTおよびkに対する組成の影響
図19は、45%から62%までの範囲の組成(Sr/(Sr+Ti))を有する結晶SrxTiyO3膜(600℃、1分間、N2中でアニール)について、キャパシタンス(0V、1kHzで測定)をキャパシタサイズの関数として示す。全ての組成について、測定したキャパシタンスは、面積とともに線形的に増減する(一方、コンダクタンスは、全てのキャパシタサイズについて、<10μSのままである)。さらに、SrxTiyO3膜のSr濃縮は、より低いキャパシタンスを系統的にもたらす(所定のキャパシタサイズについて)。
【0078】
図23は、600℃の結晶化アニール後、種々のALDパルス比率および厚さを有する、Pt上部電極13/SrxTiyO3絶縁層12/TiN下部電極13の積層体キャパシタを有するMIMキャパシタの電気的特性をさらに比較している。図21で既に見たように、EOTと物理厚さとの線形関係が観測される。それでもなお、堆積したままの膜とは対照的に、Sr含有量は、EOTと物理厚さとの比例定数に対して大きな影響を有している。
【0079】
抽出した相対誘電率Kを、SrxTiyO3組成の関数として図24aに示している。誘電率は、Sr含有量の増加とともに単調に減少する(化学量論的4:3膜についてK〜210であり、Srリッチ3:1膜についてK〜56)。実験的に観測された、Sr含有量の増加に伴うK値の減少は、理想的なRuddlesden-Popper相についてのAb-initioモデリングによって予測される傾向と定量的に一致している。さらに、図24bに示すゼロtphysに向かうEOTの外挿は、Sr含有量の増加とともに界面EOTの減少を示唆しているであろう。これらの外挿は、EOT抽出での可能性ある変動要因を考慮した注意を伴うと考えるべきである。それでもなお、図18に既に示したように、SrxTiyO3膜の組織(texture)は、Sr含有量とともに変化することが判明した。この組織変化は、SrxTiyO3は、立方晶の対称性を有することを考慮すると、バルクSrxTiyO3の誘電特性に大きな影響を与えることはないが、Srリッチ膜について外挿したより低い界面EOTを裏付けているであろう。
【0080】
・結晶SrxTiyO3膜。漏洩特性に対する組成の影響
対象の異なる組成を持つ16nmの結晶SrxTiyO3膜の漏洩特性を図25に示している。同じ物理厚さでは、Srリッチ膜がかなり低い漏洩電流を示すことは明らかである。この現象をより理解するために、2つの要因を検討した。
【0081】
Sr:Ti比率の関数としてSrxTiyO3バンドギャップの「内在的」変更は、分光偏光解析法を用いて評価した(SiO2上に堆積され、600℃、1分間、N2中でアニールした20nmのSrxTiyO3膜について)。抽出した光学バンドギャップは、Sr含有量の増加(化学量論的3:2からSrリッチ4:1まで)とともに増加し(3.7eVから4eVまで)、高誘電率(high-K)STO層と電極との間でより高いバンドオフセットを示唆しており、その結果、Srリッチ膜についてより低い漏洩電流をもたらす。Sr含有量の増加に伴うバンドギャップの増加は、過剰なストロンチウムがRP相の形成によって構造内に収容されることを考慮したAb-initio計算によっても予測されることに留意する。
【0082】
Srリッチ膜について観測されるより低い漏洩をさらに説明できる、可能性のある「外因性」の要因を見るために、600℃、1分間、N2中の結晶化アニール後、Tiリッチ膜(1:1 ALDパルス比率)およびSrリッチ膜(3:1 ALDパルス比率)について導電性AFM測定を行った。Tiリッチ膜は、漏洩スポットの不均一な分布を示す。漏洩経路のクラスタ化は、TiリッチSrTiO3膜厚が10nmから15nmへの増加とともにより明らかになる。〜220−250nm直径の低い漏洩エリアは、2次元網状組織の漏洩経路によって包囲される。同様な挙動は、化学量論的SrTiO3膜について観測された。膜が全て結晶性であることが判ると、漏洩の不均一性は、例えば、SrまたはTiの偏析に起因した粒境界でのより高い漏洩、あるいは膜内のマイクロクラックに帰着するであろう。多くの場合、第2のシナリオは、下記の理由のため、観測パターンの起源となる。(i)CAFM調査によると、漏洩は粒のバルク内で圧倒的に発生しており、粒境界ではないことを示した。(ii)化学量論膜について700℃のアニール後は、Tiリッチ膜でも観測されたように、明瞭なクラックの存在が見られた。一方、漏洩スポットの極めて均一な分布は、Srリッチ膜について実証され、これはこれらの膜内において明白なクラック形成が無いことを示唆している。膜は、極めて滑らかである(RMS粗さ〜0.17nm)。これは、SEMによる観測結果と全体的に一致している。
【0083】
(要約)
実験結果は、種々のSr:Tiパルス比率n*/m*(即ち、1:1、4:3、3:2、2:1、3:1、4:1)を用いたALDによって、TiN下部電極12の上に堆積したSrxTiyO3薄膜11の物理的および電気的な特徴付けの系統的な研究である。幾つかの結論は、次ぎのように導かれる。
【0084】
(i)堆積プロセスは、組成および厚さ均一性の点で上手く制御されていることが示された。
【0085】
(ii)慎重な膜組成分析は、HRRBS,TOFSIMSおよびARXPSによって行った。全体として良好な組成制御および低レベルのバルク汚染にも拘わらず、ARXPSは、SrxTiyO3膜表面上にSrCO3の存在を示した。SrCO3の量は、堆積したままの膜ではSr含有量とともに増加し、結晶化アニールによって著しく減少させることができる。
【0086】
(iii)SrxTiyO3膜の結晶化に対するSr含有量および厚さの影響は、その場(in situ)XRDによって検討した。化学量論膜(Sr:Ti=4:3または3:2)の結晶化温度は、他のSrxTiyO3組成のものより低いことが示された。さらに、その場(in situ)XRD測定は、Sr含有量の増加とともに膜組織の変化を示した。また、600℃でアニールしたSrリッチのSrxTiyO3膜に対応する回折ピークは、バルクSrTiO3膜ペロブスカイトの最新のピーク位置より低い角度で現れる。たとえSrxTiyO3構造による過剰Srの収容の基礎となる機構が不明確なままであっても、低温結晶化アニール後はSrがSrxTiyO3に溶解し、より高い温度ではSrTiO3粒から追い出されてSrリッチ粒を形成しているようである。
【0087】
(iv)低いEOTと低い漏洩との間の明らかなトレードオフ(tradeoff)が、結晶膜について観測された。検討した厚さの範囲では、Srリッチ膜は、化学量論膜またはTiリッチ膜より高いEOT(より低いK値)およびより低い漏洩電流を示しているが、ゼロ物理厚さへの外挿は、Srリッチ組成についてより低い界面EOTを示唆しているであろう。Ab-initioモデリングによって予測される、EOTおよび漏洩のSr含有量への依存性は、電気的な証拠によって、および分光偏光解析法による光学バンドギャップ抽出によってサポートされた。C−AFM調査は、Tiリッチ膜について観測された漏洩の増加は、層内のより高い応力におそらく起因した、膜内のマイクロクラック形成から由来するであろうことを示唆する。
【0088】
結論として、上記実験観測は、SrxTiyO3の物理的および電気的な特性は、Sr:Ti比率に対して極めて敏感であることを示し、慎重な組成選択が目標とするデバイス応用にとって必要であることを論証する。
【0089】
前の段落および実施形態において、MIMcapデバイス10およびMIMcapデバイス10を製造する方法が開示され、Tiを含む下部電極11と上部電極13との間に挟まれた、非化学量論的SrxTiyO3絶縁層12を有する。非化学量論的SrxTiyO3絶縁層12は、Sr対Ti原子比率x/y>1を有し、Srリッチである。Srの代わりに、BaまたはSrとBの組合せが、非化学量論的金属−チタン−酸化物絶縁層を形成するために使用できる。従って、絶縁層12は、上述の段落および実施形態で検討したように、一般に、[Ba1−qSrq]xTiyOz酸化物(但し、q,x,y,zは整数、x/y>1)として記述可能であり、アルカリ土類金属Ba及び/又はSrがリッチである非化学量論的酸化物が得られる。q=0の場合、チタン酸バリウムSrxTiyOzが得られ、q=1の場合、チタン酸ストロンチウムSrxTiyOzが得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部電極、絶縁層および上部電極の積層体を備えた、金属−絶縁体−金属キャパシタであって、
絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyOz酸化物{但し、q,x,y,zは整数、0<q<1、(x/y)>(1/1)}であるキャパシタ。
【請求項2】
z=3であって、絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyO3酸化物である請求項1記載のキャパシタ。
【請求項3】
q=1であって、絶縁層は、SrxTiyOz酸化物である請求項1または2記載のキャパシタ。
【請求項4】
q=0であって、絶縁層は、BaxTiyOz酸化物である請求項1または2記載のキャパシタ。
【請求項5】
(1/1)<(x/y)<(4/1)である請求項1〜4のいずれかに記載のキャパシタ。
【請求項6】
下部電極は、Tiを含む請求項1〜5のいずれかに記載のキャパシタ。
【請求項7】
下部電極は、TiNからなる請求項6記載のキャパシタ。
【請求項8】
金属−絶縁体−金属キャパシタと、トランジスタデバイスとを備えたDRAMメモリセルであって、
該キャパシタは、請求項1〜7のいずれかに記載のキャパシタであるDRAMメモリセル。
【請求項9】
金属−絶縁体−金属キャパシタを製造する方法であって、
下部電極を形成することと、
下部電極の上に絶縁層を形成することと、
絶縁層の上に上部電極を形成することとを含み、
絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyOz酸化物{但し、q,x,y,zは整数、0<q<1、(x/y)>(1/1)}である方法。
【請求項10】
z=3であって、絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyO3酸化物である請求項9記載の方法。
【請求項11】
q=1であって、絶縁層は、SrxTiyOz酸化物である請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
q=0であって、絶縁層は、BaxTiyOz酸化物である請求項9または10記載の方法。
【請求項13】
(1/1)<(x/y)<(4/1)である請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
下部電極は、Tiを含む請求項9〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
下部電極は、TiNからなる請求項14記載の方法。
【請求項16】
絶縁層は、原子層堆積法で形成される請求項9〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
絶縁層は、下部電極(TiN)の上に直接形成され、
該方法は、形成したままの絶縁層にアニール工程を実施して、絶縁層を結晶ペロブスカイト相にすることを含む請求項9〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項1】
下部電極、絶縁層および上部電極の積層体を備えた、金属−絶縁体−金属キャパシタであって、
絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyOz酸化物{但し、q,x,y,zは整数、0<q<1、(x/y)>(1/1)}であるキャパシタ。
【請求項2】
z=3であって、絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyO3酸化物である請求項1記載のキャパシタ。
【請求項3】
q=1であって、絶縁層は、SrxTiyOz酸化物である請求項1または2記載のキャパシタ。
【請求項4】
q=0であって、絶縁層は、BaxTiyOz酸化物である請求項1または2記載のキャパシタ。
【請求項5】
(1/1)<(x/y)<(4/1)である請求項1〜4のいずれかに記載のキャパシタ。
【請求項6】
下部電極は、Tiを含む請求項1〜5のいずれかに記載のキャパシタ。
【請求項7】
下部電極は、TiNからなる請求項6記載のキャパシタ。
【請求項8】
金属−絶縁体−金属キャパシタと、トランジスタデバイスとを備えたDRAMメモリセルであって、
該キャパシタは、請求項1〜7のいずれかに記載のキャパシタであるDRAMメモリセル。
【請求項9】
金属−絶縁体−金属キャパシタを製造する方法であって、
下部電極を形成することと、
下部電極の上に絶縁層を形成することと、
絶縁層の上に上部電極を形成することとを含み、
絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyOz酸化物{但し、q,x,y,zは整数、0<q<1、(x/y)>(1/1)}である方法。
【請求項10】
z=3であって、絶縁層は、[Ba1−qSrq]xTiyO3酸化物である請求項9記載の方法。
【請求項11】
q=1であって、絶縁層は、SrxTiyOz酸化物である請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
q=0であって、絶縁層は、BaxTiyOz酸化物である請求項9または10記載の方法。
【請求項13】
(1/1)<(x/y)<(4/1)である請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
下部電極は、Tiを含む請求項9〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
下部電極は、TiNからなる請求項14記載の方法。
【請求項16】
絶縁層は、原子層堆積法で形成される請求項9〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
絶縁層は、下部電極(TiN)の上に直接形成され、
該方法は、形成したままの絶縁層にアニール工程を実施して、絶縁層を結晶ペロブスカイト相にすることを含む請求項9〜16のいずれかに記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24a】
【図24b】
【図25】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24a】
【図24b】
【図25】
【公開番号】特開2010−74172(P2010−74172A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−219308(P2009−219308)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219308(P2009−219308)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【Fターム(参考)】
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