説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法およびプログラム

【課題】 目的地までの予想所要時間を考慮した探索を行えるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】
ナビゲーション装置は、有料道路の料金のデータを含む地図データ入力部と、目的地に至る複数の経路を候補経路として探索する候補経路探索部52と、地図データ入力部から入力された有料道路の料金のデータを用いて、各候補経路に必要な料金を算出する料金算出部54と、目的地までの予想所要時間を候補経路ごとに算出する予想所要時間算出部62と、それぞれの候補経路の料金と予想所要時間とに基づいて、複数の候補経路の中から案内すべき経路を決定する経路決定部58と、経路決定部にて決定された経路の経路案内を行う経路案内部64とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載されるナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載されるナビゲーション装置は広く普及している。従来のナビゲーション装置は、出発地から目的地までの経路をダイクストラ法によって探索するものが主流である。ダイクストラ法による経路探索では、経路の距離のみならず、道路幅員、歩道有無、分離帯有無、交通量などをコストパラメータとして用い、出発地から目的地までの経路コストが最小となるような経路を探索する。
【0003】
特許文献1は、状況に合った経路探索を行うことができるナビゲーション装置を開示している。この文献に記載されたナビゲーション装置は、短期的な状況の変化に応じて、コストパラメータの重み、すなわち探索条件を変えて経路探索を行う。
【特許文献1】特開2007−10571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のナビゲーション装置は、上記した特許文献1に記載されたナビゲーション装置も含め、あらかじめ地図データベース等に記憶された静的なパラメータを用いて探索を行っていた。従来のナビゲーション装置は、探索時の道路状況を考慮して探索を行うことができなかったので、ドライバの望む探索結果が得られない場合もあった。例えば、所要時間を短縮したい場合には、有料道路優先の探索を行うことにより有料道路を使った経路が探索されるが、実際の道路状況によっては、探索された経路は渋滞していて、一般道と同じかそれ以上に時間がかかる場合もあった。
【0005】
そこで、本発明は、上記背景に鑑み、目的地までの予想所要時間を考慮した探索を行えるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のナビゲーション装置は、有料道路の料金のデータを含む道路地図データベースと、目的地に至る複数の経路を候補経路として探索する候補経路探索部と、前記道路地図データベースに記憶された有料道路の料金のデータを用いて、前記各候補経路に必要な料金を算出する料金算出部と、前記目的地までの予想所要時間を前記候補経路ごとに算出する予想所要時間算出部と、それぞれの前記候補経路の前記料金と前記予想所要時間とに基づいて、前記複数の候補経路の中から案内すべき経路を決定する経路決定部と、前記経路決定部にて決定された経路の経路案内を行う経路案内部とを備える。
【0007】
このように候補経路探索部にて複数の候補経路を探索し、探索された候補経路の予想所要時間と料金とに基づいて案内すべき経路を決定することにより、混雑状況などによって変動する予想所要時間を考慮して経路を決定することができる。また、本発明者らが実施したアンケート調査によれば、経路選択には、所要時間と料金とが大きく関わっていることが分かった。つまり、所要時間を短縮するためにいくらまで料金を支払うかという点が、経路選択の一つの決定要因になっている。本発明は、予想所要時間と料金とに基づいて経路を選択する構成としたので経路選択の理由が分かりやすく、ドライバによって受け入れやすい経路を提示できる。
【0008】
本発明のナビゲーション装置は、前記候補経路に必要な料金のデータを用いて前記候補経路の経路コストを算出する経路コスト算出部と、目的地までの所要時間を短縮するために追加的にかかる経路コストのうち乗員が許容できる単位時間当たりの経路コストを許容コストとして記憶した許容コスト記憶部とを備え、前記経路決定部は、前記複数の候補経路のうち前記予想所要時間が最長の経路を基準とし、残りの候補経路のそれぞれについて、その候補経路を選択したときの前記予想所要時間の短縮時間と追加経路コストとを求め、前記追加経路コストを前記短縮時間で割って単位時間当たりの追加経路コストを求め、前記単位時間当たりの追加経路コストが前記許容コスト以下の候補経路の中から、前記予想所要時間が最短の候補経路を案内すべき経路として決定してもよい。
【0009】
この構成により、追加的にかかる経路コストをドライバが許容し得る範囲内で、最短の経路を探索できる。
【0010】
本発明のナビゲーション装置において、前記許容コスト記憶部は、目的地の属性に関連付けて前記許容コストを記憶しており、前記経路決定部は、目的地に応じて前記許容コスト記憶部から経路決定に用いる許容コストを読み出してもよい。
【0011】
許容コストは、ドライブの目的、ドライブシーンによって異なると考えられる。例えば、遊園地等には高い経路コストを費やしてでも早く到着したい場合があるかもしれないし、友人宅にはゆっくり行ってもよいから経路コストを低く抑えたい場合があるかもしれない。目的地に応じて異なる許容コストを用いて経路決定を行うことにより、ドライブシーンに合わせて適切な経路を探索できる。
【0012】
本発明のナビゲーション装置において、前記許容コスト記憶部に記憶する許容コストは、車両の走行履歴に基づいて更新されてもよい。
【0013】
この構成により、それぞれのドライバに適した許容コストを記憶することができる。
【0014】
本発明のナビゲーション装置は、前記候補経路に必要な料金のデータを用いて前記複数の候補経路の経路コストを算出する経路コスト算出部と、出発地から到着地までの所要時間と経路コストを含む走行履歴のデータを記憶した走行履歴データ記憶部とを備え、前記経路決定部は、前記走行履歴のデータから所要時間と経路コストとの相関関係を求め、前記複数の候補経路の中から予想所要時間と経路コストとの関係が、前記相関関係に最も近い候補経路を案内すべき経路として決定する。
【0015】
この構成により、ドライバの過去の走行履歴に合った経路が探索される。
【0016】
本発明のナビゲーション装置において、前記経路決定部は、前記相関関係として単位時間あたりの経路コストの平均値を求め、前記候補経路の経路コストを前記予想所要時間で割って求めた単位時間当たりの経路コストが、前記平均値に最も近い経路を案内すべき経路として決定してもよい。
【0017】
このように単位時間あたりの経路コストの平均値を用いることにより、過去の所要時間と経路コストとの関係と、候補経路の予想所要時間と経路コストとの関係とを容易に比較することができる。
【0018】
本発明のナビゲーション装置は、前記予想所要時間と前記料金を用いて前記候補経路の経路コストを算出する経路コスト算出部を備え、前記経路決定部は、前記複数の候補経路の中で前記経路コストが最小の経路を案内すべき経路として決定してもよい。
【0019】
この構成により、予想所要時間と料金を反映した経路コストを用いて、複数の候補経路の中から最適な経路を求めることができる。
【0020】
本発明のナビゲーション装置は、前記予想所要時間に乗ずべき重み係数を記憶した重み係数記憶部を備え、前記経路コスト算出部は、前記候補経路の前記予想所要時間に前記重み係数を乗じ、得られた値に前記候補経路に必要な前記料金を加算した値を経路コストとして算出してもよい。
【0021】
このように予想所要時間に所定の重み係数を乗じることにより、ドライバの予想所要時間に対する評価基準と料金に対する評価基準とを合わせ、適切に経路コストを求めることができる。
【0022】
本発明のナビゲーション装置において、前記重み係数記憶部は、目的地の属性に関連付けて異なる重み係数を記憶しており、前記経路コスト算出部は、目的地に応じた重み係数を用いて前記経路コストを算出してもよい。
【0023】
このように目的地に応じて異なる重み係数を用いて経路コストを求めることにより、ドライブシーンに合わせて適切な経路を探索できる。
【0024】
本発明のナビゲーション装置において、前記重み係数記憶部に記憶する重み係数は、車両の走行履歴に基づいて更新されてもよい。
【0025】
この構成により、それぞれのドライバに適した重み係数を記憶することができる。
【0026】
本発明のナビゲーション装置において、前記経路コスト算出部は、前記候補経路の道路の特徴のデータをさらに用いて、経路コストを算出してもよい。
【0027】
このように道路の特徴を経路コストの計算に含めることにより、料金のみならず、ドライバにとって苦手な道路特徴を経路コストに反映させることができる。道路の特徴とは、例えば、幅員が減少している箇所、工事現場、五差路などの特徴である。
【0028】
本発明のナビゲーション装置は、ドライバがよく通る道路あるいは回避する道路のデータを記憶した道路嗜好データ記憶部と、前記候補経路探索部にて探索された複数の候補経路を前記道路嗜好データ記憶部に記憶されたデータを用いて修正する候補経路修正部とを備え、前記経路決定部は、前記候補経路修正部にて修正された候補経路から、案内すべき経路を決定してもよい。
【0029】
このように道路嗜好データに基づいて候補経路を修正する構成により、特定の道路を通る候補経路や特定の道路を回避する候補経路を生成することが可能となる。従来のナビゲーション装置では、探索条件に基づいて経路を探索していたので、このように個別の道路を含めたり、回避したりする経路を探索することは不可能であった。なお、経路決定部は、候補経路修正部にて生成された新たな候補経路の中から経路を決定してもよいし、修正前の候補経路と修正後の候補経路の両方の中から経路を決定してもよい。また、道路嗜好データ記憶部には、あらかじめドライバがよく通る道路や回避すべき道路を設定しておいてもよいし、過去の走行履歴からよく通る道路や回避している道路を検出して設定してもよい。
【0030】
本発明のナビゲーション装置は、情報センタから送信される道路の渋滞情報を受信する渋滞情報受信部を備え、前記予想所要時間算出部は、前記渋滞情報に基づいて前記予想所要時間を算出してもよい。
【0031】
この構成により、渋滞情報を加味してそれぞれの候補経路の予想所要時間を計算するので、探索時の状況に合った経路を決定できる。
【0032】
本発明のナビゲーション方法は、目的地に至る複数の経路を候補経路として探索するステップと、道路地図データベースに記憶された有料道路の料金のデータを用いて、前記各候補経路に必要な料金を算出するステップと、前記目的地までの予想所要時間を前記候補経路ごとに算出するステップと、それぞれの前記候補経路の前記料金と前記予想所要時間とに基づいて、前記複数の候補経路の中から案内すべき経路を決定するステップと、前記経路決定部にて決定された経路の経路案内を行うステップとを備える。
【0033】
この構成により、本発明のナビゲーション装置と同様に、経路探索時の混雑状況などに基づく予想所要時間を考慮して経路を決定することができる。なお、本発明のナビゲーション装置の各種の構成を本発明のナビゲーション方法に適用することも可能である。
【0034】
本発明のプログラムは、目的地までの経路案内を行うためのプログラムであって、コンピュータに、目的地に至る複数の経路を候補経路として探索するステップと、道路地図データベースに記憶された有料道路の料金のデータを用いて、前記各候補経路に必要な料金を算出するステップと、前記目的地までの予想所要時間を前記候補経路ごとに算出するステップと、それぞれの前記候補経路の前記料金と前記予想所要時間とに基づいて、前記複数の候補経路の中から案内すべき経路を決定するステップと、前記経路決定部にて決定された経路の経路案内を行うステップとを実行させる。
【0035】
この構成により、本発明のナビゲーション装置と同様に、経路探索時の混雑状況などに基づく予想所要時間を考慮して経路を決定することができる。なお、本発明のナビゲーション装置の各種の構成を本発明のプログラムに適用することも可能である。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、探索された複数の候補経路の予想所要時間と料金とに基づいて案内すべき経路を決定するので、経路探索時の混雑状況などに基づく予想所要時間を考慮して適切な経路を決定することができる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明のナビゲーション装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明のナビゲーション装置1の構成を示す図である。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、位置検出器10と、地図データ入力部20と、操作スイッチ群22と、送受信機26と、外部メモリ28と、表示装置30と、音声コントローラ32と、スピーカ34と、音声認識装置36と、マイク38と、リモコンセンサ40と、リモートコントロール端末(以下、「リモコン」という)42と、これらの各装置が接続された制御装置24を備えている。
【0038】
制御装置24は、通常のコンピュータであり、内部にはCPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するためのバスラインを備えている。ROMには、制御装置24が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。制御装置24による処理を実行させるためのプログラムも本発明の範囲に含まれる。
【0039】
位置検出器10は、車両の絶対方位を検出するための地磁気センサ12、車両の相対方位を検出するためのジャイロスコープ14、車両の走行距離を検出する距離センサ16、および衛星からの電波に基づいて車両の位置を測定するグローバルポジショニングシステム(GPS)のためのGPS受信機18を有している。これらのセンサ等12、14、16、18は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサ等12、14、16、18により各々を補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては、上述したうちの一部で位置検出器10を構成してもよく、更に、図示しないステアリングの回転センサ、各転動輪の車速センサ等を用いてもよい。
【0040】
地図データ入力部20は、たとえばDVD−ROM、CD−ROMなどの図示しない記憶媒体を備え、その記憶媒体には、道路データ、背景データ、文字データ、施設データおよび有料道路の料金データなどを含むデジタル地図データが格納されており、それらのデータを制御装置24に入力する。
【0041】
操作スイッチ群22は、たとえば表示装置30と一体になったタッチスイッチもしくは表示装置30の周辺に設けられるメカニカルなスイッチ等からなる。操作スイッチ群22は、表示装置30に表示された地図の縮尺変更、メニュー表示選択、目的地設定、経路探索、経路案内開始、現在位置修正、表示画面変更、音量調整等の各種入力に使用される。また、リモコン42には、図示しない複数の操作スイッチが設けられ、その操作スイッチの操作により操作スイッチ群22と同様の入力操作が行える。リモコン42に入力された入力操作を表す信号は、リモコンセンサ40を介して制御装置24へ供給される。
【0042】
記憶装置である外部メモリ28は、たとえば、メモリカードやハードディスク等であり、書き込み可能な記憶媒体を備えている。この外部メモリ28には、ユーザによって設定された自宅位置や、テキストデータ、画像データ、音声データ等の各種データが記憶される。
【0043】
表示装置30は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイによって構成され、その表示装置30の所定の地図表示領域には、車両の現在位置に対応する自車位置マークが地図データによって生成された車両周辺の道路地図上に重畳表示される。また、表示装置30には、その他に、現在時刻、渋滞情報などの他の情報表示を付加的に表示することもできる。
【0044】
送受信機26は、外部との通信接続をするための通信機であり、道路に敷設されたビーコンや各地のFM放送局を介して、VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)センタ44から提供される道路交通情報、気象情報、日付情報、施設情報、広告情報を受信するVICSセンサ44と接続され、この道路交通情報等を制御装置24へ送信する。また、上記制御装置24で処理した情報を送受信機26から出力することもできる。
【0045】
スピーカ34は、音声コントローラ32から入力された音声出力信号に基づき所定の音声(案内のための音声や画面操作の説明、音声認識結果等)を外部に出力する。
【0046】
マイク38は、操作者が発声した音声を電気信号として音声認識装置36に入力する。音声認識装置36は、マイク38から入力された操作者の入力音声と、内部に記憶する認識辞書(不図示)中の語彙データ(比較対照パターン)とを照合し、最も一致度の高いものを認識結果として音声コントローラ32に入力する。
【0047】
音声コントローラ32は、音声認識装置36を制御するとともに、音声入力のあった操作者に対し、スピーカ34を通じてトークバック出力制御(音声出力)する。また、音声認識装置36の認識結果を制御装置24に入力する処理も行う。
【0048】
制御装置24は、音声認識装置36からの情報に基づき、操作者の発声に対する所定の処理および操作スイッチ群22あるいはリモコン42の入力操作に対する所定の処理(例えば、外部メモリ28への地図データの記憶処理、地図縮尺変更処理、メニュー表示選択処理、目的地設定処理、経路探索実行処理、経路案内開始処理、現在位置修正処理、表示画面変更処理、音量調整処理等)を実行する。また、制御装置24で処理された経路案内音声情報等は、音声コントローラ32を介してスピーカ34から適宜報知される。
【0049】
図2は、制御装置24の機能を示すブロック図である。制御装置24は、目的地入力受付部50と、候補経路探索部52と、料金算出部54と、経路コスト算出部56と、経路決定部58と、許容コスト決定部60と、予想所要時間算出部62と、経路案内部64とを有している。
【0050】
目的地入力受付部50は、操作スイッチ群22、リモコン42等を通じて、目的地の入力を受け付ける機能を有する。目的地の入力は、例えば、電話番号によって施設の検索を行い、検索された施設から目的地を選択させてもよいし、住所によって目的地の入力を受け付けてもよい。
【0051】
候補経路探索部52は、車両の現在位置から目的地までの複数の経路を探索する。候補経路探索部52は、例えば、探索条件(一般道優先、有料道路優先等)を変えて複数の経路を探索する。
【0052】
料金算出部54は、候補経路探索部52にて探索したそれぞれの候補経路を通るために必要な料金を求める。料金算出部54は、地図データ入力部20に記憶された有料道路の料金のデータを用いて、候補経路の料金を計算する。
【0053】
経路コスト算出部56は、有料道路の料金のデータを用いて経路コストを計算する。本実施の形態では、経路コスト算出部56は、料金のデータのみを用いて経路コストを求める。すなわち、料金のデータをそのまま経路コストとして用いる。
【0054】
予想所要時間算出部62は、それぞれの候補経路を使って目的地に到着するまでに要する予想所要時間を算出する。予想所要時間算出部62は、VICSセンタ44から受信した道路交通情報を用いて、現在の道路状況下で目的地に到着するまでに要する予想所要時間を算出する。なお、VICSセンタ44からは種々の道路交通情報が送信されるが、予想所要時間算出部62は、例えば、渋滞情報や交通規制情報などを利用して、予想所要時間を算出する。予想所要時間算出部62は、例えば、渋滞1kmにつき予想所要時間を10分増やす等の処理を行って、渋滞情報を予想所要時間に反映させる。
【0055】
経路決定部58は、予想所要時間と料金とに基づいて、複数の候補経路の中から案内すべき経路を決定する。具体的には、経路決定部58は、まず、複数の候補経路の中から基準経路を決定する。基準経路としては、予想所要時間が最長で、かつ経路コストが最小の候補経路を選択する。このような候補経路が存在しない場合の処理については後述する。
【0056】
経路決定部58は、基準経路以外の残りの候補経路を採用した場合に、基準経路より予想所要時間を短縮できる時間の大きさに対して、追加で必要になる経路コストを許容できるか否かを判断し、許容できる範囲の中で予想所要時間が最短の候補経路を案内すべき経路として決定する。経路決定の詳しい処理については、ナビゲーション装置1の動作説明において行う。
【0057】
図3は、外部メモリ28に記憶された許容コストデータの例を示す図である。許容コストデータは、目的地の属性に応じて、単位時間(この例では1分)あたりの許容コストを示すデータである。図3の例によれば、目的地属性が「遊園地」である場合には、1分短縮するために「30」のコストまで許容することが分かる。本実施例では、料金をそのまま経路コストとして用いているので、1分短縮するために30円まで支払うことを示している。
【0058】
許容コスト決定部60は、目的地入力受付部50に入力された目的地の属性に対応する許容コストを外部メモリ28から読み出し、経路決定に用いる許容コストを決定する。許容コスト決定部60は、決定された許容コストを経路決定部58に入力する。
【0059】
経路案内部64は、経路決定部58にて決定された経路の案内を行う。具体的には、経路案内情報を表示装置30やスピーカ34から出力する。
【0060】
図4は、第1の実施の形態のナビゲーション装置1の動作を示す図である。ナビゲーション装置1は、まず、目的地の設定を受け付けると(S10)、目的地の属性を検索する(S12)。目的地の属性の検索は、地図データ入力部20に記憶された施設データを参照して行う。
【0061】
次に、ナビゲーション装置1は、車両の現在位置から目的地までの複数の候補経路を探索する(S14)。候補経路の探索方法は、従来のナビゲーション装置と同様の方法を採用してもよい。
【0062】
次に、ナビゲーション装置1は、それぞれの候補経路を使って目的地に到着するのに要する予想所要時間を算出する(S16)。ナビゲーション装置1は、候補経路の距離と、候補経路の平均の法定速度と、候補経路の渋滞情報のデータとを用いて、予想所要時間を算出する。なお、予想所要時間の算出に用いるパラメータとしては様々なものが考えられ、本発明が上記に示した例に限定されるものではない。
【0063】
続いて、ナビゲーション装置1は、探索されたそれぞれの候補経路の経路コストを算出する(S18)。本実施の形態では、ナビゲーション装置1は、それぞれの候補経路について必要な料金を料金算出部54にて算出し、算出された料金を経路コストとする。ナビゲーション装置1は、予想所要時間と経路コストのデータを用いて、複数の候補経路の中から案内すべき経路を決定する。
【0064】
図5は、案内経路を決定する動作を示すフローチャートである。ナビゲーション装置1は、まず、複数の経路候補の中から予想所要時間が最長の候補経路を選択する(S30)。ナビゲーション装置1は、選択した候補経路より経路コストが小さい経路があるか否かを判定する(S32)。この判定の結果、予想所要時間が最長の候補経路の経路コストが最小である場合には(S32でNO)、ナビゲーション装置1は、選択した候補経路を基準経路として決定する(S34)。判定の結果、他に経路コストが小さい候補経路が存在する場合には(S32でYES)、ステップS30で選択した候補経路を除外して(S36)、残った候補経路の中で予想所要時間が最長の候補経路を選択する(S30)。予想所要時間が最長の経路の経路コストが最小でないならば、ドライバがその候補経路を好む理由がないので、ここでの処理では、そのような候補経路を除外する処理を行っている。
【0065】
次に、ナビゲーション装置1は、基準経路と残りの候補経路とを比較し、残りの候補経路が基準経路より追加でかかる経路コストを算出する(S38)。ナビゲーション装置1は、残りの候補経路が、基準経路より予想所要時間を短縮できる時間を算出する(S40)。次に、ナビゲーション装置1は、追加でかかる経路コストを短縮できる時間で割って、短縮できる単位時間あたりの追加経路コストを求める(S42)。
【0066】
図6(a)は、3本の候補経路の所要時間と料金の例を示す図である。図6(a)に示すように、経路Cは、料金はかからないが所要時間が最長と予想される経路、経路Bは最も高い料金がかかるが所要時間が最短と予想される経路、経路Aは、経路Bと経路Cの中間の経路である。3本の候補経路のうち予想所要時間が最長の経路Cが基準経路となる。
【0067】
図6(b)は、基準経路に対して追加でかかる経路コスト(欄(1))と、基準経路(経路C)より短縮できる時間(欄(2))と、単位時間あたりの追加経路コスト(欄(3))を求めた例を示す図である。図6(b)に示すように、経路Aは、単位時間あたり22.9の経路コストが余計にかかり、経路Bは単位時間あたり30.8の経路コストが余計にかかることが分かる。
【0068】
次に、ナビゲーション装置1は、ドライバが許容している経路コストの範囲で、予想所要時間が最短となる経路を求める(S44)。具体的には、ナビゲーション装置1は、外部メモリ28から目的地の属性に対応する許容コストを読み出し、ドライバが許容する単位時間あたりの経路コストを求める。例えば、目的地が「遊園地」であったとすると、許容コストとして「30」という値が読み出される。図6(b)に示す例では、許容コスト「30」以下の経路は、経路Aと経路C(追加経路コストは「0」)であるので、ナビゲーション装置1は、このうち予想所要時間が短い方の経路を選択する。この例では、経路Aの方が所要時間が短いので、経路Aが選択される。
【0069】
図4に戻って、ナビゲーション装置1は、探索された経路の経路案内を行う(S22)。以上、第1の実施の形態のナビゲーション装置1の構成および動作について説明した。
【0070】
第1の実施の形態のナビゲーション装置1は、候補経路探索部52にて探索された複数の候補経路のそれぞれの予想所要時間を探索時点の道路交通情報を用いて求め、求めた予想所要時間と料金とを用いて経路を決定するので、状況に応じて適切な経路探索を行うことができる。
【0071】
図7(a)及び図7(b)と図8(a)及び図8(b)を用いて、状況に応じて適切に経路探索を行うことができる点について説明する。図7(a)は、図6(a)と同じ経路において、経路Bの予想所要時間が5分短くなって60分になった例を示す。例えば、経路Bの混雑が解消したとの道路交通情報を受信した場合には、このように予想所要時間が短くなる場合がある。この場合、図7(b)に示すように、経路Bを用いて短縮できる時間は70分になり、1分当たりの経路コストは「28.6」になる。上記した実施の形態と同様に、目的地が「遊園地」であるとすれば、ドライバの許容コストは「30」なので、経路Bも許容コスト以下の候補経路となる。経路A〜Cの中では、経路Bの予想所要時間が最短なので、経路Bが選択されることになる。
【0072】
図8(a)は、図6(a)と同じ経路において、経路Aの予想所要時間が10分延びて105分になった例を示す。例えば、経路Aが渋滞しているとの道路交通情報を受信した場合には、このように予想所要時間が長くなる場合がある。この場合、図8(b)に示すように、経路Aを用いて短縮できる時間は25分になり、1分当たりの経路コストは「32.0」になる。上記した実施の形態と同様に目的地が「遊園地」であるとすれば、ドライバの許容コストは「30」なので、経路Aは許容コストを越えることになる。従って、経路Cが選択されることになる。
【0073】
以上のように、予想される所要時間を用いて経路を決定するので、本実施の形態のナビゲーション装置1は、実際の交通状況を踏まえて適切な経路探索を行うことができる。
【0074】
また、本実施の形態のナビゲーション装置1は、目的地の属性に応じて異なる許容コストを用いて経路決定を行うので、時間を短縮するために料金を支払うべきシーンか否かについてのドライバの価値観を反映した経路探索を行うことができる。上記した実施の形態では、「遊園地」「出張先」に向かう場合には、高い料金を支払ってでも早く到着したいが、友人宅や親戚宅に向かう場合には、それほど急がなくてもよいというドライバの価値観を反映している。
【0075】
なお、許容コストデータをドライバの走行履歴に基づいて更新する構成を採用してもよい。例えば、ナビゲーション装置1にて提案した経路が採用されず、別の経路が選択された場合に、選択された経路の経路コストと提案した経路の経路コストとを比較し、選択された経路の経路コストの方が高い場合には許容コストを高くし、選択された経路の経路コストの方が低い場合には許容コストを低くすることにより、許容コストを更新できる。
【0076】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態のナビゲーション装置について説明する。第2の実施の形態のナビゲーション装置の基本的な構成は、第1の実施の形態のナビゲーション装置1と同じであるが(図1参照)、第2の実施の形態のナビゲーション装置は、候補経路の料金に加え、候補経路の道路の特徴を用いて経路コストを求める点が、第1の実施の形態と異なる。
【0077】
図9は、第2の実施の形態のナビゲーション装置の制御装置24および外部メモリ28の構成を示す図である。制御装置24に含まれる経路コスト算出部56は、外部メモリ28に記憶された苦手ポイントデータ72を参照する。
【0078】
図10は、苦手ポイントデータ72の例を示す図である。苦手ポイントデータ72には、ドライバが苦手とするポイント(以下、「苦手ポイント」という)と、苦手な度合いを示すスコアが対応付けられている。ドライバが苦手とする度合いが大きいほどスコアが高く設定されている。このスコアを加算して経路コストを計算することにより、苦手ポイントが多く含まれる経路は選ばれにくくなる。なお、苦手ポイントや苦手の度合いには個人差があり、また、料金の評価と苦手ポイントの評価の割合も異なるので、苦手ポイントデータはドライバの嗜好や技量を反映することが望ましい。従って、苦手ポイントデータは、車両の走行履歴等に基づいて生成する。
【0079】
図9に示す経路コスト算出部56は、料金算出部54にて算出された料金の値と、候補経路に含まれる全ての苦手ポイントのスコアを合算した値とを加算して、経路コストを求める。
【0080】
第2の実施の形態のナビゲーション装置の動作は、図4、図5を参照して説明した第1の実施の形態のナビゲーション装置1の動作と基本的に同じである。第2の実施の形態では、候補経路の経路コスト算出(S16)において、候補経路の料金だけを用いるのではなく、候補経路の道路特徴から苦手ポイントを検出し、苦手ポイントのスコアを合算した値を経路コストとして求める点が異なる。
【0081】
図11(a)は、3本の候補経路のそれぞれの所要時間、料金および道路特徴の例を示す図である。図11(b)は、基準経路に対して追加でかかる料金(欄(1))と、基準経路との苦手ポイントのスコアの差(欄(2))、基準経路より短縮できる時間(欄(3))と、単位時間あたりの追加経路コスト(欄(4))を求めた例を示す図である。経路Cの方が経路Bより苦手な場合には、苦手ポイントのスコアの差は、マイナスの値になる。例えば、経路Bが走行しやすい高速道路の割合が多い場合には、このようなことが起こり得ると考えられる。
【0082】
図11(b)に示すように、経路Aは単位時間あたり37.7の経路コストが余計にかかり、経路Bは単位時間あたり28.9の経路コストが余計にかかることが分かる。求めた経路コストが許容コスト以下であるかどうかを判定し、許容コスト以下の候補経路の中から、経路を決定する点は、第1の実施の形態の場合と同じである。
【0083】
第2の実施の形態のナビゲーション装置は、第1の実施の形態のナビゲーション装置1と同様に、状況に応じて適切な経路探索を行うことができる。
【0084】
第2の実施の形態のナビゲーション装置では、候補経路の道路特徴のデータを用いているので、ドライバにとっての走りやすさを考慮した経路を探索することができる。なお、苦手ポイントとして「工事現場」「登下校時間帯の通学路」のデータも含まれているので、経路探索時に工事が行われているか、登下校時間帯であるか等のリアルタイムの情報を含めて経路探索を行うことができ、状況に合った経路を探索できる。
【0085】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態のナビゲーション装置について説明する。第3の実施の形態のナビゲーション装置の基本的な構成は、第2の実施の形態のナビゲーション装置と同じであるが、経路探索の方法が異なる。
【0086】
図12は、第3の実施の形態のナビゲーション装置の制御装置24および外部メモリ28の構成を示す図である。制御装置24の平均経路コスト算出部66は、車両の走行履歴のデータから過去の経路コストの平均値を求める機能を有する。
【0087】
図13は、走行履歴データ74の例を示す図である。走行履歴データ74は、データのID、出発地、目的地、目的地属性、経路コスト、所要時間のデータが関連付けられている。経路コストは、第2の実施の形態で説明したように、出発地から目的地までの経路に必要な料金と、その経路の道路特徴に基づいて計算して得られた値である。
【0088】
平均経路コスト算出部66は、目的地入力受付部50にて受け付けた目的地の属性と同じ属性の目的地の走行履歴データ74を外部メモリ28から読み出す。例えば、目的地属性が「遊園地」の場合には、図13に示す走行履歴データ74のうち、データIDが「001」「004」のデータを読み出す。そして、読み出したデータを用いて単位時間あたりの平均の経路コストを求める。図13に示す例では、経路コストが2520+2800=5320となり、所要時間が120+150=270であるので、単位時間あたりの平均の経路コストは、5320/270=19.7となる。
【0089】
経路決定部58は、走行履歴から求めた単位時間あたりの平均の経路コストに最も近い候補経路を、案内すべき経路として決定する。例えば、候補経路が図6(a)及び図6(b)に示す状況の場合には、経路コストの平均値19.7に最も近い経路は経路Aであるので、経路決定部58は、経路Aを探索結果として求める。
【0090】
図14は、第3の実施の形態のナビゲーション装置の動作を示す図である。第3の実施のナビゲーション装置の基本的な動作は、第2の実施の形態のナビゲーション装置と同じであるが、第3の実施の形態のナビゲーション装置では、走行履歴データ74を用いて過去の経路コストの平均を算出し(S50)、算出した経路コストの平均を用いて経路を決定する(S52)点が異なる。以上、第3の実施の形態のナビゲーション装置の構成および動作について説明した。
【0091】
第3の実施の形態のナビゲーション装置は、上記した実施の形態のナビゲーション装置と同様に、候補経路探索部52にて探索された複数の経路のそれぞれを通った場合の予想所要時間を現時点の交通情報を用いて求め、求めた予想所要時間と料金とを用いて経路を決定するので、状況に応じて適切な経路探索を行うことができる。
【0092】
第3の実施の形態のナビゲーション装置は、走行履歴データ74から求められた単位時間あたりの経路コストの平均値に最も近い経路を選択するので、過去にドライバが経路を選択してきた傾向を踏襲し、ドライバにとって受け入れ易い経路を求めることができる。また、第3の実施の形態のナビゲーション装置は、走行履歴データ74を蓄積していくだけで、ドライバの嗜好の変化に対応することができる。
【0093】
なお、本実施の形態では、走行履歴データ74から、単位時間あたりの経路コストの平均値を求めることにより、ドライバの選択の傾向を数値化して評価したが、必ずしも平均値を求める必要はない。車両の走行履歴を利用して経路を決定する方法には、様々なバリエーションが考えられる。
【0094】
一例を挙げると、図15に示すように、走行履歴データ74をグラフ上にプロットし、データの分布状況からドライバが受け入れ易い経路コストを求めてもよい。例えば、経路A〜Cの所要時間、料金を中心とする領域に過去の走行履歴データ74が多く含まれている候補経路を案内すべき経路としてもよい。図15に示す例では、経路Aあるいは経路Bが案内経路として決定されることになる。
【0095】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態のナビゲーション装置について説明する。第4の実施の形態のナビゲーション装置の基本的な構成は、第2の実施の形態のナビゲーション装置と同じであるが、第4の実施の形態のナビゲーション装置は、予想所要時間のデータを経路コストを求めるためのパラメータとして用いる点が異なる。
【0096】
図16は、第4の実施の形態のナビゲーション装置の制御装置24および外部メモリ28の構成を示す図である。外部メモリ28には、所要時間を経路コストのパラメータとして用いるための重み係数データ76を記憶している。
【0097】
図17は、重み係数データ76の例を示す図である。重み係数データ76は、目的地属性と重み係数とが関連付けられている。図17の例では、目的地属性が「遊園地」の場合には、目的地属性が「友人宅」の場合より所要時間を5倍重く見ていることが分かる。各目的地属性に対する重み係数は、ドライバによって異なるので、ドライバの走行履歴に基づいて、重み係数データ76を生成することが望ましい。
【0098】
制御装置24の重み係数決定部68は、目的地入力受付部50にて入力された目的地に対応する重み係数を外部メモリ28から読み出して、重み係数を決定する。重み係数決定部68は、決定した重み係数を経路コスト算出部56に入力する。経路コスト算出部56は、予想所要時間に重み係数を乗じ、その結果得られた値に苦手ポイントのスコアを加算して経路コストを求める。経路決定部58は、それぞれの候補経路の経路コストを比較し、経路コストが最小の候補経路を案内すべき経路として決定する。
【0099】
図18は、第4の実施の形態のナビゲーション装置の動作を示す図である。第4の実施のナビゲーション装置の基本的な動作は、第1の実施の形態のナビゲーション装置1と同じであるが、第4の実施の形態のナビゲーション装置では、目的地属性に対応した重み係数を用いて候補経路の経路コストを算出し(S60)、各候補経路の経路コストを比較して経路を決定する(S62)点が異なる。
【0100】
以上、本発明のナビゲーション装置について実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0101】
例えば、上記した実施の形態では、候補経路探索部58にて候補経路を探索する手法として、複数の探索条件を用いる例について説明したが、特許文献1に記載されているように、短期的に変化する状況に応じて探索条件を変更して、複数の候補経路を求めてもよい。
【0102】
上記した実施の形態において、候補経路探索部52にて探索した候補経路をドライバの嗜好に応じて修正してもよい。
図19は、変形例に係るナビゲーション装置の制御装置24の構成を示す図である。制御装置24は、候補経路探索部24にて探索された候補経路を修正し、新たな候補経路を生成する候補経路修正部78を備えている。候補経路修正部78は、外部メモリ28に記憶された道路嗜好データ80を用いて候補経路を修正する。道路嗜好データ80は、ドライバがよく通る道路を示すデータ、ドライバが回避する道路を示すデータを記憶している。道路嗜好データ80は、ドライバがあらかじめ設定してもよいし、車両の走行履歴を分析して自動的に生成することとしてもよい。
【0103】
図20(a)は、候補経路探索部24にて探索された候補経路A〜Cを示す図、図20(b)は、候補経路修正部78にて修正された修正前の候補経路A〜Cと修正後の候補経路A´、C´を示す図である。図20(a)に示すように、候補経路Aの近くにドライバがよく通る道路が存在する場合、候補経路修正部78は、候補経路Aをよく通る道路を含む候補経路A´に修正する。逆に、候補経路C上にドライバが回避したい道路がある場合には、候補経路Cを回避したい道路を迂回する候補道路C´に修正する。このように、候補経路修正部78は、候補経路A、Cを修正して新たな候補経路A´、C´を生成する。料金算出部54、経路コスト算出部56は、候補経路A〜C、A´、C´につき、料金および経路コストを算出し、経路決定部58は、候補経路A〜C、A´、C´の中から案内すべき経路を決定する。
【0104】
このように候補経路探索部24にて探索した候補経路を、ドライバの嗜好によって修正することにより、適切な経路に変更することができる。探索条件に基づいて経路探索を行う従来のナビゲーション装置では、探索結果を保証していないので、このようなきめ細かい処理を行うことはできなかった。
【0105】
なお、図19では、第1の実施の形態のナビゲーション装置1に候補経路を修正する構成を追加した例について説明したが、候補経路を修正する構成は、第2〜第4のいずれの実施の形態にも適用することができる。また、上記では、修正前の候補経路A〜C、修正後の経路A´、C´の中から案内すべき経路を決定する例について説明したが、経路決定部58は、修正後の候補経路A´、C´と修正のなかった候補経路Bの中から案内すべき経路を決定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上説明したように、本発明は、状況に応じて適切な経路を探索できる効果を有し、車両に搭載されるナビゲーション装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】第1の実施の形態のナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態における制御装置の機能を示す図である。
【図3】許容コストデータの例を示す図である。
【図4】第1の実施の形態のナビゲーション装置の動作を示す図である。
【図5】第1の実施の形態のナビゲーション装置による経路決定の動作を示す図である。
【図6】(a)候補経路の例を示す図である。(b)追加経路コストの算出例を示す図である。
【図7】(a)候補経路の例を示す図である。(b)追加経路コストの算出例を示す図である。
【図8】(a)候補経路の例を示す図である。(b)追加経路コストの算出例を示す図である。
【図9】第2の実施の形態における制御装置の機能を示す図である。
【図10】苦手ポイントデータの例を示す図である。
【図11】(a)候補経路の例を示す図である。(b)追加経路コストの算出例を示す図である。
【図12】第3の実施の形態における制御装置の機能を示す図である。
【図13】走行履歴データの例を示す図である。
【図14】第3の実施の形態のナビゲーション装置の動作を示す図である。
【図15】第3の実施の形態のナビゲーション装置の変形例を示す図である。
【図16】第4の実施の形態における制御装置の機能を示すブロック図である。
【図17】重み係数データの例を示す図である。
【図18】第4の実施の形態のナビゲーション装置の動作を示す図である。
【図19】変形例に係るナビゲーション装置の制御装置の構成を示す図である。
【図20】(a)候補経路の例を示す図である。(b)修正した候補経路の例を示す図である。
【符号の説明】
【0108】
1 ナビゲーション装置
10 位置検出器
12 地磁気センサ
14 ジャイロスコープ
16 距離センサ
18 GPS受信機
20 地図データ入力部
22 操作スイッチ群
24 制御装置
26 送受信機
28 外部メモリ
30 表示装置
32 音声コントローラ
34 スピーカ
36 音声認識装置
38 マイク
40 リモコンセンサ
42 リモコン
44 VICSセンタ
50 目的地入力受付部
52 候補経路探索部
54 料金算出部
56 経路コスト算出部
58 経路決定部
60 許容コスト決定部
62 予想所要時間算出部
64 経路案内部
66 平均経路コスト算出部
68 重み係数決定部
70 許容コストデータ
72 苦手ポイントデータ
74 走行履歴データ
76 重み係数データ
78 候補経路修正部
80 道路嗜好データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有料道路の料金のデータを含む道路地図データベースと、
目的地に至る複数の経路を候補経路として探索する候補経路探索部と、
前記道路地図データベースに記憶された有料道路の料金のデータを用いて、前記各候補経路に必要な料金を算出する料金算出部と、
前記目的地までの予想所要時間を前記候補経路ごとに算出する予想所要時間算出部と、
それぞれの前記候補経路の前記料金と前記予想所要時間とに基づいて、前記複数の候補経路の中から案内すべき経路を決定する経路決定部と、
前記経路決定部にて決定された経路の経路案内を行う経路案内部と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記候補経路に必要な料金のデータを用いて前記候補経路の経路コストを算出する経路コスト算出部と、
目的地までの所要時間を短縮するために追加的にかかる経路コストのうち乗員が許容できる単位時間当たりの経路コストを許容コストとして記憶した許容コスト記憶部と、を備え、
前記経路決定部は、
前記複数の候補経路のうち前記予想所要時間が最長の経路を基準とし、残りの候補経路のそれぞれについて、その候補経路を選択したときの前記予想所要時間の短縮時間と追加経路コストとを求め、前記追加経路コストを前記短縮時間で割って単位時間当たりの追加経路コストを求め、前記単位時間当たりの追加経路コストが前記許容コスト以下の候補経路の中から、前記予想所要時間が最短の候補経路を案内すべき経路として決定する請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記許容コスト記憶部は、目的地の属性に関連付けて前記許容コストを記憶しており、
前記経路決定部は、目的地に応じて前記許容コスト記憶部から経路決定に用いる許容コストを読み出す請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記許容コスト記憶部に記憶する許容コストは、車両の走行履歴に基づいて更新される請求項2または3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記候補経路に必要な料金のデータを用いて前記複数の候補経路の経路コストを算出する経路コスト算出部と、
出発地から到着地までの所要時間と経路コストを含む走行履歴のデータを記憶した走行履歴データ記憶部と、を備え、
前記経路決定部は、前記走行履歴のデータから所要時間と経路コストとの相関関係を求め、前記複数の候補経路の中から予想所要時間と経路コストとの関係が、前記相関関係に最も近い候補経路を案内すべき経路として決定する請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記経路決定部は、前記相関関係として単位時間あたりの経路コストの平均値を求め、前記候補経路の経路コストを前記予想所要時間で割って求めた単位時間当たりの経路コストが、前記平均値に最も近い経路を案内すべき経路として決定する請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記予想所要時間と前記料金を用いて前記候補経路の経路コストを算出する経路コスト算出部を備え、
前記経路決定部は、前記複数の候補経路の中で前記経路コストが最小の経路を案内すべき経路として決定する請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記予想所要時間に乗ずべき重み係数を記憶した重み係数記憶部を備え、
前記経路コスト算出部は、前記候補経路の前記予想所要時間に前記重み係数を乗じ、得られた値に前記候補経路に必要な前記料金を加算した値を経路コストとして算出する請求項7に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記重み係数記憶部は、目的地の属性に関連付けて異なる重み係数を記憶しており、
前記経路コスト算出部は、目的地に応じた重み係数を用いて前記経路コストを算出する請求項8に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記重み係数記憶部に記憶する重み係数は、車両の走行履歴に基づいて更新される請求項8または9に記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
前記経路コスト算出部は、前記候補経路の道路の特徴のデータをさらに用いて、前記経路コストを算出する請求項2〜10のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項12】
ドライバがよく通る道路あるいは回避する道路のデータを記憶した道路嗜好データ記憶部と、
前記候補経路探索部にて探索された複数の候補経路を前記道路嗜好データ記憶部に記憶されたデータを用いて修正し、修正した経路を新たな候補経路とする候補経路修正部と、を備える請求項1〜11のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項13】
情報センタから送信される道路の渋滞情報を受信する渋滞情報受信部を備え、
前記予想所要時間算出部は、前記渋滞情報に基づいて前記予想所要時間を算出する請求項1〜12のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項14】
目的地に至る複数の経路を候補経路として探索するステップと、
道路地図データベースに記憶された有料道路の料金のデータを用いて、前記各候補経路に必要な料金を算出するステップと、
前記目的地までの予想所要時間を前記候補経路ごとに算出するステップと、
それぞれの前記候補経路の前記料金と前記予想所要時間とに基づいて、前記複数の候補経路の中から案内すべき経路を決定するステップと、
前記経路決定部にて決定された経路の経路案内を行うステップと、
を備えるナビゲーション方法。
【請求項15】
目的地までの経路案内を行うためのプログラムであって、コンピュータに、
目的地に至る複数の経路を候補経路として探索するステップと、
道路地図データベースに記憶された有料道路の料金のデータを用いて、前記各候補経路に必要な料金を算出するステップと、
前記目的地までの予想所要時間を前記候補経路ごとに算出するステップと、
それぞれの前記候補経路の前記料金と前記予想所要時間とに基づいて、前記複数の候補経路の中から案内すべき経路を決定するステップと、
前記経路決定部にて決定された経路の経路案内を行うステップと、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−210508(P2009−210508A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56217(P2008−56217)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】