説明

バルブの単一化

バルブプレートおよび/または組み立てられたバルブをリードフレームから単一化するための方法および装置が記載される。方法および装置は、バルブプレートおよび/または組み立てられたバルブをリードフレームに接合するタブを溶融させるために電流を利用する。バルブは、オフセットされたアパーチャ(18、20)を有する第1(14)および第2(16)のバルブプレートと、第1および第2のプレートの間に配設されるとともに第1および第2のプレートの間で移動可能なフラップ(17)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的実施形態は、一般に、通過する流体流を制御するためのバルブに関し、より具体的には、2つのプレートの間に配設されるとともに開位置と閉位置との間で移動可能なフラップを有するバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバルブは、典型的には、種々のアプリケーションについて500Hzを下回る低い周波数で動作する。例えば、多くの従来のコンプレッサは、典型的には、50または60Hzで動作する。当該技術において既知のリニア共振コンプレッサは、150〜350Hzで動作する。かかるポンプは、典型的には、比較的大きく、動作時に可聴ノイズを発生させる。しかし、医療装置を含む多くの可搬型電子装置には、正圧を送達するかまたは真空を提供するための比較的小サイズのポンプが要求され、かかるポンプは、不連続の動作を提供するように動作時に音が聞こえないことが有益である。
【0003】
小サイズ、高効率、および音が聞こえない動作の目的を達成するため、特定のポンプ(国際公開第2006/111775号パンフレットとして公開された国際出願PCT/GB2006/001487号明細書に記載されたもの等)は、非常に高い周波数で動作しなければならず、効果的であるために非常に高い周波数で動作しなければならないバルブを要求する。かかるポンプは、約20kHz以上というはるかに高い周波数で動作することが可能なバルブを要求し、かかるバルブは、一般的には入手不可能である。このような高周波数で動作するため、バルブは、ポンプを通過する正味の流体流を生じさせるように整流することが可能な高周波振動圧力に応答しなければならない。
【0004】
かかる高周波数で動作することが可能な流体流を制御するためのバルブを開示する。バルブは、略垂直に通過して延在するアパーチャを有する第1のバルブプレートと、略垂直に通過して延在するアパーチャをやはり有する第2のバルブプレートとを備え、第2のバルブプレートのアパーチャは、第1のバルブプレートのアパーチャから実質的にオフセットされている。バルブは、さらに、第1および第2のバルブプレートの間に配設された側壁を備え、側壁は、第1および第2のバルブプレートの周囲において閉鎖されることで、第1および第2のバルブプレートのアパーチャと流体連通するキャビティを第1および第2のバルブプレートの間に形成する。バルブは、さらに、第1および第2のバルブプレートの間に配設されるとともに第1および第2のバルブプレートの間で移動可能なフラップを備え、フラップは、第1のバルブプレートのアパーチャから実質的にオフセットされるとともに第2のバルブプレートのアパーチャと実質的に位置合わせされたアパーチャを有する。バルブプレートの製作および取り扱いは、バルブの構築に特定のリードフレーム技術を用いることにより容易になり得る。
【発明の概要】
【0005】
バルブプレートの取り扱いおよび製作のためのリードフレームを用いるための方法および装置を開示する。リードフレームは、タブを有する開口を備え、タブは、製造プロセス中にさらなる製作および取り扱いが行われるバルブプレートを支持するために開口内で内方に延在する。タブを溶融させてバルブプレートをリードフレームから単一化させるため、リードフレームおよびバルブプレートに電流が印加される。
【0006】
例示的実施形態の他の目的、特長、および利点は、本明細書中で開示され、後続の図面および詳細な説明を参照して明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1Aは、閉位置におけるバルブの例示的実施形態の概略断面図である。図1Bは、図5における線1B−1Bに沿う図1Aのバルブの分解断面図である。
【図2】図2は、流体が通過して流れる際の開位置における図1Bのバルブの概略断面図である。
【図3】図3は、開位置と閉位置との間の遷移における図1Bのバルブの概略断面図である。
【図4】図4は、図1Bのバルブの概略斜視図である。
【図5】図5は、図1Bのバルブの概略上面図である。
【図6】図6は、バルブを利用したディスクポンプの概略断面図、ポンプ内における流体の圧力振動のグラフ、およびポンプにおいて利用された状態の開位置における図1Bのバルブの分解断面図である。
【図7】図7Aは、例示的実施形態による図1Bのバルブの両側に印加される振動圧力差のグラフである。図7Bは、開位置と閉位置との間の図1Bのバルブの動作サイクルのグラフである。
【図8】図8Aは、例示的実施形態によるバルブプレートを支持するためのタブを含むリードフレームの概略上面図である。図8Bは、図8Aのバルブプレートを支持するタブの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
いくつかの例示的実施形態の後続の詳細な説明では、本明細書の一部を形成するとともに本発明を実施し得る具体的な好適な実施形態を例示により示す添付の図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することを可能にするために十分詳細に説明され、また、他の実施形態を利用してもよく、本発明の要旨を逸脱することなく論理的、構造的、機械的、電気的、および化学的変更を行ってもよいことが理解される。当業者が本明細書に記載の実施形態を実施することを可能にするために必要でない詳細を回避するため、説明では、当業者に既知の特定の情報を省略するかもしれない。このため、後続の詳細な説明は、限定的な意味で捉えるべきではなく、例示的実施形態の範囲は、付帯の請求項によってのみ定義される。
【0009】
図1A〜図5を参照すると、例示的実施形態によるバルブ10が示されている。バルブ10は、リング状であるとともに一端が保持プレート14により閉じられ他端が封止プレート16により閉じられた実質的に円筒状の壁12を備える。壁12の内側面、保持プレート14、および封止プレート16により、バルブ10内のキャビティ15が形成される。バルブ10は、さらに、図1Aおよび図1Bに示すように保持プレート14と封止プレート16との間に配設されるが封止プレート16に隣接して配設された実質的に円形のフラップ17を備える。以下でより詳細に説明するように、代替の実施形態において、フラップ17は、保持プレート14に隣接して配設されてもよく、この意味において、フラップ17は、封止プレート16または保持プレート14のいずれか一方に対して「付勢」されていると考えられる。フラップ17の周縁部は、フラップ17がフラップ17の表面に対して実質的に垂直な方向に動かないように、封止プレート16とリング状壁12との間に挟まれている。また、代替の実施形態において、フラップ17の周縁部は、封止プレート16または壁12のいずれかに直接取り付けてもよい。フラップ17の残りの部分は、十分に柔軟であり、図1B、図2、および図3に示すように、フラップ17のいずれかの表面に印加された力によりフラップ17が封止プレート16と保持プレート14との間で駆動されるように、フラップ17の表面に対して実質的に垂直な方向に移動可能である。
【0010】
保持プレート14および封止プレート16は、ともにそれぞれ穴18および20を有し、かかる穴18および20は、図1〜図3の断面図に示すように、各プレートを通過して延在する。また、フラップ17は、気体または液体を含む流体が図2において破線の矢印24により示すように通過して流れ得る通路を提供するように、保持プレート14の穴18と略位置合わせされた穴22を有する。また、フラップ17における穴22は、保持プレート14における穴18と部分的に位置合わせされ、すなわち、部分的にのみ重なってもよい。穴18、20、22は、略均一なサイズおよび形状で示しているが、本発明の範囲を限定することなく異なる直径さらには異なる形状であってもよい。本発明の一実施形態において、穴18および20は、図4および図5においてそれぞれ実線および破線の円により示すように、プレートの表面に亘り交互のパターンを形成する。他の実施形態において、穴18、20、22は、破線の矢印24、36の個々のセットにより示される個々の対をなす穴18、20、22の機能に関してバルブ10の動作に影響を与えることなく、異なるパターンに編成してもよい。穴18、20、22のパターンは、要求に応じてバルブ10を通過する全流体流を制御するため、穴の数を増加または減少させるように設計してもよい。例えば、穴18、20、22の数を増加させることで、バルブ10の流動抵抗を低下させ、バルブ10の全流量を増加させてもよい。
【0011】
フラップ17の付勢に打ち勝つ何らの力もフラップ17のいずれの表面にも印加されていないときは、フラップ17が封止プレート16に対して付勢され、フラップの穴22が封止プレート16の穴18に対してオフセットされるかまたは位置合わせされていないため、バルブ10は、「常閉」位置にある。この「常閉」位置において、封止プレート16を通過する流体流は、図1Bに示すように、フラップ17の穴が設けられていない部分により遮断されるかまたは覆われている。図2に示すようにフラップ17の付勢に打ち勝つとともに封止プレート16から離れて保持プレート14に向かうようにフラップ17を駆動する圧力がフラップ17のいずれかの側に印加されると、バルブ10は、ある期間、すなわち開時間遅延(T)をかけて常閉位置から「開」位置に移動し、破線の矢印24により示す方向に流体を流れさせる。圧力が方向を変えると、フラップ17は、封止プレート16に向かって閉位置に戻るように駆動される。圧力が方向を変えると、図1Bに示すようにフラップ17が封止プレート16の穴20を封止して封止プレート16を通過する流体流を遮断するまで、流体は、図3に示す破線の矢印32により示すように反対方向に短い期間、すなわち閉時間遅延(T)の間流れる。本発明の他の実施形態において、フラップ17が保持プレート14に対して付勢され、穴18、22が「常開」位置に位置合わせされてもよい。本実施形態において、フラップ17を「閉」位置に駆動するためにはフラップ17に対して正圧を印加することが必要である。
【0012】
バルブ10の動作は、バルブ10の両側における流体の圧力差(ΔP)の方向における変化の関数である。図1Bにおいて、下向きの矢印により示すように、圧力差に負の値(−ΔP)が割り当てられている。本実施形態において、圧力差が負の値(−ΔP)を有するとき、バルブ10の保持プレート側34の流体圧は、バルブ10の封止プレート側36の流体圧よりも大きい。この負の圧力差(−ΔP)により、フラップ17が上記のように完全に閉じた位置に駆動され、かかる位置において、フラップ17が封止プレート16に対して押圧されることで封止プレート16における穴20を閉塞することにより、バルブ10を通過する流体流が防止される。バルブ10の両側における圧力差が反転して図2において上向きの矢印により示すように正の圧力差(+ΔP)になると、フラップ17は、封止プレート16から離れて保持プレート14に向かって開位置に駆動される。本実施形態において、圧力差が正の値(+ΔP)を有するとき、バルブ10の封止プレート側36の流体圧は、バルブ10の保持プレート側34の流体圧よりも大きい。開位置において、フラップ17の移動により封止プレート16の穴20の閉塞が解除され、破線の矢印24により示すように、流体は、穴20ならびにフラップ17および保持プレート14それぞれの位置合わせされた穴22および18を通過して流れることが可能になる。
【0013】
バルブ10の両側における圧力差が図3において下向きの矢印により示すように負の圧力差(−ΔP)に戻ると、流体は、破線の矢印32により示すようにバルブ10を通過して反対方向に流れ始め、フラップ17を図1Bに示す閉位置に向かって押し戻す。図3において、フラップ17と封止プレート16との間の流体圧は、フラップ17と保持プレート14との間の流体圧よりも低い。従って、フラップ17は、矢印38により表される正味の力を受け、かかる力により、フラップ17が封止プレート16に向かって加速してバルブ10を閉じる。このように、変化する圧力差により、バルブ10の両側における圧力差の方向(すなわち、正圧または負圧)に基づいてバルブ10が閉位置と開位置との間をサイクル動作する。バルブ10のアプリケーションによっては、バルブ10が用いられていないときに開位置においてフラップ17を保持プレート14に対して付勢する、すなわち、バルブ10を「常開」位置にすることも可能であることを理解すべきである。
【0014】
上述のように、バルブ10は、人間の可聴範囲を越える、極めて高い周波数で動作するポンプにおいて用いてもよい。かかる周波数において、ポンプは、極めて小サイズであり、圧力または真空の送達が要求される広範囲の可搬型電子装置への組み込みに好適であってもよい。かかるポンプ60を図6に示す。ポンプ60は、側壁63により形成されるとともに実質的に円形の端壁64、65により両端が閉じられた流体を収容するための実質的に円筒形のキャビティ62を有するポンプ本体61を備える。ポンプ60は、さらに、端壁65のほぼ中心において最大の振幅で端壁65に対して実質的に垂直な方向の端壁65の振動運動を生じさせるように端壁65の中心部に動作的に関連付けられたアクチュエータ66を備えることにより、使用時に端壁65の変位振動を発生させる。ポンプ60は、さらに、キャビティ62の側壁63への端壁65の接続により生じる変位振動を減衰低減させるように端壁65の周縁部に動作的に関連付けられた絶縁体67を備える。ポンプ60は、さらに、端壁64のほぼ中心に配設された中心アパーチャ68と、端壁65の中心と側壁63との間に配設された2つの二次アパーチャ69とを備える。アクチュエータ66が端壁65の振動運動を発生させると、変位振動によりポンプ本体61のキャビティ62内の流体圧の径方向振動が発生し、矢印により示すようにアパーチャ68、69を通過する流体流が生じる。また、ポンプ60は、流体を一方向にのみ中心アパーチャ68を通過して流れさせる中心アパーチャ68に配設されたバルブ70を備える。このバルブ70がアクチュエータ66により発生する高周波数で動作するためには、バルブ70は、圧力変化の時間スケールよりもはるかに短い時間スケールで開閉することが可能であるように、極めて速い反応時間を有さなければならない。用いることが可能なバルブ70の一実施形態は、図6の分解図に示すバルブ10である。
【0015】
バルブ10は、流体が実線の矢印により示されるように一次アパーチャ68を通じてキャビティ62内に引き込まれるとともに二次アパーチャ69を通じてキャビティ62から排出されるように中心アパーチャ68内に配設されることにより、一次アパーチャ68における低下した圧力源を提供する。本明細書において用いる「低下した圧力」との用語は、一般に、ポンプ60が配置された周囲圧未満の圧力を言うものである。「真空」および「負圧」との用語を用いて低下した圧力を説明し得るが、実際の圧力低下は、完全な真空に通常関連付けられる圧力低下よりもはるかに小さくてもよい。圧力が「負」であるというのは、ゲージ圧である、すなわち、周囲大気圧を下回って低下した圧力であるという意味においてである。そうでないと明記しない限り、本明細書中で述べる圧力の値は、ゲージ圧である。低下した圧力における増加への言及は、典型的には、絶対圧力における減少を言うものであり、低下した圧力における減少は、典型的には、絶対圧力における増加を言うものである。
【0016】
また、図6は、端壁65の軸方向の変位振動の結果生じるキャビティ62内の圧力振動を示す1つの可能性のある圧力振動プロファイルも示す。実線の曲線および矢印は、一時点における圧力を表し、破線の曲線は、半サイクル後の圧力を表す。このモードおよびより高次のモードにおいて、圧力振動の振幅は、キャビティ62の中心近くにおける中心圧力波腹71と、キャビティ62の側壁63近くにおける周縁圧力波腹72とを有する。圧力振動の振幅は、中心圧力波腹71と周縁圧力波腹72との間の環状圧力波腹73において実質的にゼロである。円筒状のキャビティについては、キャビティ62における圧力振動の振幅の径方向依存性は、第1種ベッセル関数により近似し得る。上記の圧力振動は、キャビティ62における流体の径方向移動の結果生じるものであるため、アクチュエータ66の「軸方向変位振動」と区別してキャビティ62内における流体の「径方向圧力振動」と称される。
【0017】
上向きの実線の矢印により示される一次アパーチャ68を通過する流体流は、やはり上向きの破線の矢印により示されるバルブの穴18、20を通過する流体流に対応する。上述のように、バルブ10の動作は、負圧ポンプの本実施形態のためのバルブ10の保持プレート14の全表面の両側における流体の圧力差(ΔP)の方向における変化の関数である。保持プレート14の直径がキャビティ62における圧力振動の波長に対して小さいため、さらにその上、バルブが一次アパーチャ68における中心圧力波腹71の振幅が比較的一定であるキャビティ62の中心近くに配置されているため、圧力差(ΔP)は、保持プレート14の全表面の両側において実質的に均一であるものと想定される。バルブ10の両側における圧力差が反転して図2に対応する正の圧力差(+ΔP)になると、付勢されたフラップ17は、封止プレート16から離れて保持プレート14に向かって開位置に駆動される。この位置において、フラップ17の移動により封止プレート16の穴20の閉塞が解除され、流体は、破線の矢印24により示すように、穴20ならびに保持プレート14の位置合わせされた穴18およびフラップ17の穴22を通過して流れることが許される。圧力差が変化して負の圧力差(−ΔP)に戻ると、流体は、バルブ10を通過して反対方向に流れ始め(図3参照)、フラップ17を閉位置に向かって押し戻す(図1B参照)。従って、キャビティ62における圧力振動によりバルブ10が常閉位置と開位置との間をサイクル動作する際、ポンプ60は、バルブ10が開位置にある半サイクル毎に低下した圧力を提供する。
【0018】
圧力差(ΔP)は、上記のように中心圧力波腹71に対応するため、保持プレート14の全表面の両側において実質的に均一であるものと想定され、そのため、バルブ10の両側における圧力に空間的変化がないことを示す良好な近似となる。実際、バルブの両側における圧力の時間依存性は概ね正弦波状であり得るが、後続の解析において、正の圧力差(+ΔP)値と負の圧力差(−ΔP)値との間の圧力差(ΔP)のサイクルは、図7Aに示すように、それぞれ正圧期間(tP+)および負圧期間(tP−)に亘り方形波により近似することが可能である。圧力差(ΔP)によりバルブ10が常閉位置と開位置との間をサイクル動作する際、ポンプ60は、上でも説明し図7Bに示すように、開時間遅延(T)および閉時間遅延(T)に従いバルブ10が開位置にある半サイクル毎に低下した圧力を提供する。当初はバルブ10が閉じた状態で負であった(図1B参照)バルブ10の両側における圧力差が反転して正の圧力差(+ΔP)になると、付勢されたフラップ17は、開時間遅延(T)後、封止プレート16から離れて保持プレート14に向かって開位置に駆動される(図2参照)。この位置において、フラップ17の移動により封止プレート16の穴20の閉塞が解除されることで、破線の矢印により示すように、流体は、穴20ならびに保持プレート14の位置合わせされた穴18およびフラップ17の穴22を通過して流れることが許されることにより、開期間(t)に亘りポンプ60の一次アパーチャ68の外側に低下した圧力源が提供される。バルブ10の両側における圧力差が変化して負の圧力差(−ΔP)に戻ると、流体は、バルブ10を通過して反対方向に流れ始め(図3参照)、閉時間遅延(T)後、フラップ17を閉位置に向かって押し戻す。バルブ10は、半サイクルの残りの間、または閉期間(t)の間、閉じたままである。
【0019】
保持プレート14および封止プレート16は、著しい機械的変形を伴わずにそれらが受ける流体圧力振動に耐えるために十分に強いものであるべきである。保持プレート14および封止プレート16は、ガラス、シリコン、セラミック、または金属などのいずれの好適な剛性材料から形成してもよい。保持プレート14および封止プレート16における穴18、20は、化学エッチング、レーザ加工、機械ドリル加工、粉体ブラスト加工、および打ち抜き加工を含むいずれの好適なプロセスにより形成してもよい。一実施形態において、保持プレート14および封止プレート16は、厚さ100〜200ミクロンのシート鋼から形成され、それらのプレートにおける穴18、20は、化学エッチングにより形成される。穴18、20は、500ミクロン未満の直径を有してもよい。フラップ17は、金属またはポリマフィルムなどのいずれの軽量の材料から形成してもよい。一実施形態において、バルブの保持プレート側34または封止プレート側36のいずれかにおいて20kHz以上の流体圧力振動が生じるとき、フラップ17は、厚さ1ミクロン〜20ミクロンの薄いポリマシートから形成されてもよい。例えば、フラップ17は、厚さ約3ミクロンのポリエチレンテレフタレート(PET)または液晶ポリマフィルムから形成されるとともに、150ミクロン未満の穴18、20を有する保持プレート14と封止プレート16との間に位置決めされてもよい。
【0020】
上述のように、保持プレート14および封止プレート16は、バルブ10の一部として製作され組み立てられたときに非常に小さく、取り扱いが難しい。バルブ10を構築するための小さい金属プレートの製作および取り扱いは、より大きいリードフレームを用いることにより容易になる。かかるリードフレームアセンブリは、ただ1つのバルブプレート、またはマトリクス編成における多くのバルブプレートのアレイを支持してもよい。バルブプレートのアレイを有するいくつかのリードフレームアセンブリを上下に積層させることで、組立プロセスの一部として多くのバルブ10の保持プレート14、封止プレート16、およびフラップ17を一度に位置合わせするための簡便な手段を提供することにより、バルブ10の組立を容易にしてもよい。
【0021】
図8をより具体的に参照して、図示のリードフレームアセンブリ80は、開口83と、バルブプレート86を支持するために開口83内において内方に延在する2つの三角形のタブ84とを有する単一のリードフレーム82を備える。リードフレーム82およびバルブプレート86は、化学エッチング、レーザ切断、ダイス切断、または当該技術において既知の同様のプロセスにより開口82が形成された、シートメタルの同じピースから構築される。バルブプレート86は、バルブプレート86の取り扱いおよび製作に必要ないずれの数のタブ84により支持されてもよい。リードフレーム82を用いてバルブプレート86を固定位置に保持することで、化学エッチング、レーザ加工、または機械ドリル加工により穴88を形成するなどの様々なプロセスをバルブプレート86に施し、例えば図4および図5に示す保持プレート14および封止プレート16などの完成したバルブプレートを形成することが可能である。
【0022】
タブ84は、いずれの形状であることも可能であるが、バルブプレート86の支持を提供するためにバルブプレート86に接続された材料の比較的小さい首部85を有する。タブ84の首部85は、バルブプレート86をひねってタブ84から切り離すことでバルブプレート86をリードフレーム82から別個のコンポーネントとして取り外すことが可能であるように、すなわち、バルブプレート86がリードフレーム82から単一化されるように、十分に狭くなければならない。バルブプレート86をひねることにより、タブ84の首部85を疲労させるが、プロセス中にバルブプレート86を損傷させることもあり得る。いくつかのバルブプレート86が上下に積層されていると、ひねっている間により大きい損傷がバルブプレート86に生じ得る。加えて、リードフレーム82が3つ以上のタブ84を利用する場合、バルブプレート86をひねることがより大きい問題を伴う。
【0023】
バルブプレート86をひねるまたはタブ84の首部85を切断するのではなく、電流をタブ84を通過して印加することで、タブ84の首部85を溶融させ、バルブプレート86をリードフレーム82から単一化させてもよい。例えば、例えば10Vおよび50Aの定格を有する高電流低電圧の電源と、例えば22,000μFのキャパシタンスを有するキャパシタとを備える加熱回路(不図示)を用いて、良好な結果が達成される。キャパシタは、リードフレーム82上の接点92と、バルブプレート86上の接点94とに電気的に接続される。電気接点92、94は、リードフレーム80およびバルブプレート86のいずれの側に位置決めされてもよい。キャパシタが24Vまで充電されると、キャパシタは、タブ84および首部85を通過してバルブプレート86に放電することが可能である。電流により、タブ84の首部85を溶解させてバルブプレート86をリードフレーム82から単一化させるために十分な熱が発生する。酸化窒素を用いて電気接点92、94およびタブ84の首部85を包み込むことで、発生する高温により生じる酸化およびデブリを軽減してもよい。タブ84の首部85は、所定の電流がリードフレーム82およびバルブプレート86に印加されるときに首部85が溶融することを保証するために、十分に狭いものであるべきである。上記の例について、タブ84の首部85の幅は、約150μmである。
【0024】
一実施形態において、タブ84の首部85にエッチングを施すことで、首部85の厚さを減少させて溶融プロセスを容易にしてもよい。エッチングステップにより、電流密度がその場所において増加するため、溶融が生じる点がより良好に定義される。タブ84の首部85にエッチングを施すことの別の利点は、タブ84を溶融させるために要求される電流の量と、タブ84の首85部を溶解させるために必要な熱の量とが低下することである。熱の量を低下させることにより、溶融プロセスの結果生じ得るタブ84の首部85に隣接するバルブプレート86の歪みが軽減される。上記の例において、タブ84の首部85におけるエッチングは、深さ約50〜90μmである。
【0025】
バルブ10の製造および製作は、保持プレート14および封止プレート16のための穴88を形成するためにバルブプレート86が既に加工されている、いくつかのリードフレームアセンブリ80の積層を含んでもよい。例えば、複数のフラップ17を支持する第1のリードフレームアセンブリは、各フラップ17の穴22が各封止プレート16の穴20から正確にオフセットされるように、複数の封止プレート14を支持する第2のリードフレームアセンブリ上に位置決めされる。複数の円筒壁12を支持する第3のリードフレームアセンブリは、フラップ17を支持する第2のリードフレームアセンブリ上に位置決めされる。複数の保持プレート14を支持する第4のリードフレームアセンブリは、各フラップ17の穴22と正確に位置合わせされる。その結果、各封止プレート16、フラップ17、円筒壁12、および保持プレート14が積層されることにより、図4および図5に示す単一のバルブ10アセンブリが形成され、それらの各々は、3対のタブ84(不図示)により、すなわち、封止プレート16用の一対、保持プレート14用の一対、および円筒壁12(不図示)用の一対により、支持される。このリードフレームアセンブリ80の積層は、各々が保持プレート14と封止プレート16との間の絶縁体として機能する薄いポリマシートである、フラップ17を含む。積層がこれらの絶縁層を含むとき、またはその他、絶縁層を伴うことなく各バルブ10アセンブリのスタックを通じた導電性が低いとき、電気接点92、94をスタックの上部と底部との両方上に配置することで、電流がスタックを通過してより均一に分配され、タブ84のすべての首部85を溶融させ、すべてのバルブ10アセンブリをタブ84から首尾よく単一化させてもよい。
【0026】
著しい利点を有する発明が提供されたことが上記から明らかである。本発明をその形態のいくつかにおいてのみ示したが、本発明は、ただ限定されるのはでなく、本発明の精神から逸脱することなく様々な変更および修正が行われる。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのバルブプレートを有するバルブを製作するための方法において:
少なくとも2つのタブを有する開口を有する第1のリードフレームを形成するステップであって、前記タブは、前記開口内において第1のバルブプレートを支持するための首部まで前記開口内において内方に延在する、ステップと;
前記第1のリードフレームおよび前記第1のバルブプレートに、前記タブの前記首部を溶融させるために十分に大きい電流を印加するステップと;を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、さらに:
前記首部の溶融を容易にするために前記タブの前記首部をエッチングするステップ;を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、さらに:
少なくとも2つのタブを有する開口を有する第2のリードフレームを形成するステップであって、前記タブは、前記開口内において第2のバルブプレートを支持するための首部まで前記開口内において内方に延在する、ステップと;
前記第1のリードフレームを前記第2のリードフレーム上に前記第2のリードフレームと電気的に接触するように積層させることにより、前記電流により前記第2のバルブプレートを支持する前記首部を溶融させる、ステップと;を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、さらに:
前記首部の溶融を容易にするために前記タブの前記首部をエッチングするステップ;を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の方法において、
前記バルブは、さらに、前記少なくとも2つのバルブプレートの間に絶縁材料のバルブフラップを備え、前記方法は、さらに:
前記第1のリードフレームおよび前記第1のバルブプレートと前記第2のリードフレームおよび前記第2のバルブプレートとの両方に電流を印加するステップ;を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
流体流を制御するためのバルブにおいて、前記バルブは:
通過して延在するアパーチャを有する第1のバルブプレートであって、前記プレートは、リードフレーム内に形成されるとともに前記リードフレームから電気的に溶融される、第1のバルブプレートと;
通過して延在するとともに前記第1のバルブプレートの前記アパーチャから実質的にオフセットされたアパーチャを有する第2のバルブプレートであって、前記第2のプレートは、リードフレーム内に形成されるとともに前記リードフレームから電気的に溶融される、第2のバルブプレートと;
前記第1のバルブプレートと前記第2のバルブプレートとの間に配設されることで、前記第1のバルブプレートの前記アパーチャおよび前記第2のバルブプレートの前記アパーチャと流体連通するキャビティを前記第1のバルブプレートと前記第2のバルブプレートとの間に形成するスペーサと;
前記第1のバルブプレートと前記第2のバルブプレートとの間に配設されるとともに前記第1のバルブプレートと前記第2のバルブプレートとの間で移動可能なフラップであって、前記フラップは、前記第1のバルブプレートの前記アパーチャから実質的にオフセットされるとともに前記第2のバルブプレートの前記アパーチャと実質的に位置合わせされたアパーチャを有する、フラップと;を備えることを特徴とするバルブ。
【請求項7】
請求項6に記載のバルブにおいて、前記フラップは、圧力差が実質的にゼロであるときに第1の位置において前記第1および第2のバルブプレートのいずれか一方に隣接して配設されるとともに、圧力差が印加されるときに第2の位置において前記第1および第2のバルブプレートの他方まで移動可能であることにより、前記フラップは、前記バルブの外側の前記流体の圧力差の方向における変化に応答して前記第1の位置から前記第2の位置に、および前記流体の圧力差の方向における反転に応答して前記第1の位置に戻るように駆動されることを特徴とするバルブ。
【請求項8】
請求項7に記載のバルブにおいて、前記フラップは、常開位置において前記第2のバルブプレートに隣接して配設されることにより、前記フラップが前記第1の位置にあるときに前記流体が前記バルブを通過して流れるとともに、前記フラップが前記第2の位置にあるときに前記流体流が前記バルブにより遮断されることを特徴とするバルブ。
【請求項9】
請求項7に記載のバルブにおいて、前記フラップは、常閉位置において前記第1のバルブプレートに隣接して配設されることにより、前記フラップが前記第1の位置にあるときに前記流体流が前記バルブにより遮断されるとともに、前記フラップが前記第2の位置にあるときに前記流体が前記バルブを通過して流れることを特徴とするバルブ。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか一項に記載のバルブにおいて、前記第1および第2のバルブプレートは、金属から形成されていることを特徴とするバルブ。
【請求項11】
請求項10に記載のバルブにおいて、前記金属は、100〜200ミクロンの厚さを有する鋼であることを特徴とするバルブ。
【請求項12】
請求項6〜11のいずれか一項に記載のバルブにおいて、前記フラップならびに前記第1および第2のバルブプレートのいずれか一方は、5ミクロン〜150ミクロンの距離だけ離れていることを特徴とするバルブ。
【請求項13】
請求項6〜12のいずれか一項に記載のバルブにおいて、前記フラップは、1〜20ミクロンの厚さを有するポリマから形成されていることを特徴とするバルブ。
【請求項14】
請求項6〜13のいずれか一項に記載のバルブにおいて、前記第1および第2のバルブプレートにおける前記アパーチャは、直径500ミクロン未満であることを特徴とするバルブ。
【請求項15】
請求項6〜14のいずれか一項に記載のバルブにおいて、前記フラップは、約3ミクロンの厚さを有するポリマから形成され、前記第1のバルブプレートにおける前記アパーチャは、直径150ミクロン未満であることを特徴とするバルブ。
【請求項16】
請求項6〜15のいずれか一項に記載のバルブにおいて、前記第1および第2のバルブプレートは、約100ミクロンの厚さを有する鋼から形成され、前記第1のバルブプレートの前記アパーチャ、前記第2のバルブプレートの前記アパーチャ、および前記フラップの前記アパーチャは、直径約150ミクロンであり、前記フラップは、約3ミクロンの厚さを有するポリマフィルムから形成されていることを特徴とするバルブ。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載のバルブを有するポンプを含む負圧療法装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2013−519038(P2013−519038A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552080(P2012−552080)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2011/023580
【国際公開番号】WO2011/097362
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】