説明

マイクロメカニカル構造体およびマイクロメカニカル構造体の製造方法

マイクロメカニカル構造体およびマイクロメカニカル構造体の製造方法が提供される。前記マイクロメカニカル構造体は、シリコン(Si)系基板と、前記基板上に直接形成されたマイクロメカニカル要素と、前記マイクロメカニカル要素の開放された部分の下に形成されたアンダーカットと、を備えるものであり、前記アンダーカットは、前記シリル系基板に形成された凹部状のものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロメカニカル構造体およびマイクロメカニカル構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の半導体製造技術では、オプトエレクトロニクスデバイスやマイクロエレクトロニクスデバイスにおいて、ワイドバンドギャップを有する材料が一般的に用いられている。このような材料の一例として窒化ガリウム(GaN)が挙げられる。GaNは、バンドギャップが広く(たとえば、E〜3.4eV(300K))、弾性係数が高く、圧電係数および圧電抵抗係数が高く、化学的に不活性であるという性質を有する。このように、GaNは、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)に適用するための材料として適しており、特に、高温圧電性や高い破壊電圧などが要求される条件のような厳しい条件下において用いられるものに適したものである。
【0003】
一般的に、GaNの単結晶が不足しているため、オプトエレクトロニクスデバイスやマイクロエレクトロニクスデバイス用のGaNヘテロエピタキシャル層は、格子不整合度が約16%であるサファイア(α−Al)基板や格子不整合度が約3.4%である炭化ケイ素(SiC)基板などの「異材料」からなる基板上で成長が行なわれる。なお、このような「異材料」からなる基板は典型的なものであり、必ずしも望ましいものではない。たとえば、サファイア基板上で成長させたGaNフィルムは、GaNのエピ層と基板との間の格子不整合度および熱膨張率の差が大きいため、格子欠陥(たとえば、主として、貫通転位)を高密度で含むものである。
【0004】
「異材料」からなる基板の代わりとして、たとえば、シリコン(Si)基板やシリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板などのGaNのヘテロエピタキシャル成長に用いることができる他の基板が挙げられる。Si(111)基板上でGaNの成長を行なう方法により、従来用いられている基板の代わりとして、より安価で、より入手し易いシリコンを用いるという選択が可能となる。そもそも、GaN系のデバイスは、十分に確立されたシリコンプロセス技術に基づいて集積されている。しかしながら、格子定数および熱膨張係数の差異が大きいため、有機金属化学成長法(MOCVD)によって、Si基板上に優れた品質を有するGaNフィルムを形成することができなかった。Si上に形成されるGaNの品質を改善するために、AlN層やAl0.27Ga0.73N/AlN層のような別の緩衝層や中間層を使用する方法が提案されている。この方法によれば、適切な条件により成長を行なうことで、格子定数および熱的性質が大きく異なってしまうことを避けることができる。高温のAlN緩衝層は別にして、「“Effects of periodic delta-doping on the properties of GaN:Si films grown on Si(111) substrates”, Appl. Phys. Lett. 85, 5881 (2004)」に開示されたWangらによる方法によれば、シリコンをデルタドープした中間層を用いることで、クラックや伸張ストレスの低減を可能としている。
【0005】
優れた品質を有するウルツ鉱型GaNエピ層が、Si(100)基板またはSOI基板上で成長可能であれば、シリコンエレクトロニクスによるGaN系のデバイスの集積が可能となる。Zhouらは、「“Comparison of the properties of GaN grown on complex Si-based structures”, Appl. Phys. Lett., 86, 081912 (2005)」において、集積化のために、SOI(111)上にGaNを成長させる技術を開示している。SOI系の技術は、一般的に、エレクトロニックデバイスやマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)デバイスを含むマイクロスケール用途において用いられ、この場合においては、工程制御に優れ、かつ、電気的および機械的性質の信頼性が改善されているという利点を有するシリコン単結晶を提供することができる。SOIウェハは、一般的に、ウェハボンディングやスマートカットなどの各工程や、いわゆるイオン打ち込み法(SIMOX;Separation by Implantation of Oxygen)のような方法を用いて調製することができる。SOI基板を用いることで、サファイア基板やSiC基板を用いた場合よりも、複数の利点がある。このような利点としては、大きなサイズの基板(たとえば、12インチ以上)を使用できることが挙げられ、これにより、コストを低減でき、さらには、Si系のマイクロエレクトロニクスによる集積をより容易にすることが可能となる。
【0006】
M.A. Shah、S.Vicknesh、L. S. Wang、J. Arokiaraj、A. Rama、S. J. ChuaおよびS. Tripathyは、「“Fabrication of Freestanding GaN Micromechanical Structures on Silicon-on-Insulator Substrates”, Electrochem. Solid-State Lett., 8, G275 (2005)」において、MOCVDを用いたSIMOX法により調製した(100)配向のSOI基板上にGaN系エピ層を成長させ、SOIプラットフォーム上にGaN系のマイクロメカニカル構造体を形成するための製造方法を開示している。L. S. Wang、S. Tripathy、S. J. ChuaおよびK. Y. Zangは、「“InGaN/GaN multi-quantum-well structures on (111)-oriented bonded silicon-on-insulator substrates”, Appl. Phys. Lett., 87 111908 (2005)」において、(111)配向の貼り合わせSOI基板上に、明確な界面を有するInGaN/GaN多重量子井戸(MQWs;multi-quantum-well)を成長させる点が開示されている。
【0007】
GaN系のMEMSの開発における一つの問題として、犠牲層をエッチングするための優れたエッチング液がないことが挙げられる。R. A. BeachおよびT. C. McGillによる「“Fabrication of GaN suspended microstructures”, Appl. Phys. Lett., 78 3226 (2001)」、A. R. Stonas、N. C. MacDonald、K. L. Turner、S. P. DenBaarsおよびE. L. Huによる「“Photoelectrochemical undercut etching for fabrication of GaN microelectromechanical systems”, J. Vac. Sci. Technol., B 19 2838 (2001)」、ならびに、A. R. Stonas、P. Kozodoy、H. Marchand、P. Fini、S. P. DenBaars、U. K. MishraおよびE. L. Huによる「“Backside-illuminated photoelectrochemical etching for the fabrication of deeply undercut GaN structures”, Appl. Phys. Lett., 77 2610 (2000)」などによれば、化学エッチングを用いたIII族窒化物系のMEMSの製造方法が開示されている。
【0008】
S. Davies、T. S. Huang、M. H. Gass、A. J. Papworth、T. B. JoyceおよびP. R.Chalkerによる「“Fabrication of GaN cantilevers on silicon substrates for microelectromechanical devices”, Appl. Phys. Lett., 84 2556 (2004)」、S. Davies、T. S. Huang、R. T. Murray、M. H. Gass、A. J. Papworth、T. B. JoyceおよびP. R.Chalkerによる「“Fabrication of epitaxial III-nitride cantilevers on silicon (111) substrates”, J. Mat. Sci., 15 705 (2004)」、Z. Yang、R. N. Wang、S. Jia、D. Wang、B. S. Zhang、K. M. LauおよびK. J. Chenによる「“Mechanical characterization of suspended GaN microstructures fabricated by GaN-on-patterned-silicon technique”, Appl. Phys. Lett., 88, 041913 (2006)」、ならびに、Z. Yang、R. Wang、D. Wang、B. Zhang、K. M. LauおよびK.J. Chenによる「“GaN-on-patterned-silicon (GPS) technique for fabrication of GaN-based MEMS”, Sensors and Actuators A, Accepted for Publication (Inpress)」などによれば、乾式および湿式の化学エッチング工程を組み合わせることで、Si(III)基板上に、GaN表面がマイクロマシン化されてなるマイクロ構造体を得ることができる点が開示されている。しかしながら、犠牲層のエッチングに湿式の化学エッチングを用いると、マイクロ構造体が、メニスカス力(静止摩擦力)により崩壊してしまうことを防ぐため、開放されたマイクロ構造体(released microstructures)をある程度乾燥する必要があるという問題がある。
【0009】
すなわち、表面がマイクロマシン化されたフリースタンディングの構造体を得るための典型的な製造過程においては、脱イオン(DI)水を使用して湿式の化学エッチング液を洗い流して、化学エッチング液の含まれていない構造体を得て、得られた構造体をエバポレーションにより乾燥する必要がある。この製造過程を用いる場合には、エアギャップ中における水滴の毛細管力により、しなやかなマイクロ構造体を、基板に引き下ろさせることができ、これにより、マイクロ構造を完全に乾燥させた後においても、マイクロ構造体を基板にくっつけておくことができる。また、複数の研究によれば、ソリッドブリッジング(solid bridging)や、ファンデルワールス力、静電気力などの要因も静止摩擦力を与えることができると報告されている。
【0010】
GaNに加えて、フォトニクスやエレクトロニクスに用いるのに適したその他の材料として、酸化亜鉛(ZnO)が挙げられる。ZnOは、一般的に、半導体、光伝導、圧電センサおよび光学電波管など広い分野において用いられている。ZnOは、ダイレクトワイドバンドギャップ(たとえば、E〜3.3eV(300K))を有し、励起状態における結合エネルギーが大きい(〜60meV)などの特有の特性を多く有する。ZnOは、Si、GaAs、SiCまたはGaNなどの各材料と比較して放射線耐性に優れるため、一般的に、宇宙空間や原子炉などの厳しい環境下で動作する半導体デバイスに用いられる。
【0011】
ZnOをMEMSに適用するために用いる場合には、ZnO材料が、犠牲層をエッチングする際に一般的に用いられる湿式の化学エッチング液に容易にエッチングされてしまうという問題がある。そのため、ZnOを用いたMEMSを得るためには、ドライ開放技術(dry-releasing technique)の開発が望まれている。
【0012】
上記に加えて、厳しい環境に用いられるMEMSを開発するためのさらに別の材料として、微結晶ダイヤモンドやナノ結晶性ダイヤモンド(NCD)が挙げられる。これらの材料は、十分な機械強度を有しており、化学的に不活性であり、熱的安定性およびトライボロジー性能も十分である。フリースタンディングのNCDメカニカル構造体は、通常、犠牲層としてSiOを使用して製造される。しかしながら、SiO犠牲層は、通常、フッ化水素(HF)水および/またはフッ化水素ガスによるエッチングを用いて除去される。そのため、犠牲層のエッチングに湿式の化学エッチングを用いると、マイクロ構造体が、メニスカス力(上述した静止摩擦力)により崩壊してしまうことを防ぐため、開放されたダイヤモンドマイクロ構造体(released diamond microstructures)をある程度乾燥する必要があるという問題がある。
【0013】
したがって、静止摩擦力による問題を避けながら、ワイドバンドギャップを有する超ナノ結晶性ダイヤモンドや超微結晶ダイヤモンドのマイクロメカニカル構造体、および/または表面がマイクロメカニカル化されたGaNやZnOのマイクロ構造体を得るためには、ドライ開放技術(dry release technique)の開発が望まれている。
【0014】
シリコンをエッチングするためには、シリコンのエッチャントとして、二フッ化キセノン(XeF)を用いた気相パルスエッチング(gas phase pulse etching)が用いられている。XeFは、ClF、BrF、BrFおよびIFなどを含むフッ素系のシリコンのエッチャントのうちの一種である。XeFの蒸気が、シリコンに対するフッ素エッチング化学のメカニズムの研究に最初に用いられた際に、XeFは、室温下において、エッチング速度が速く反応率も高いことが見出された。シリコンのエッチャントとして、XeFは、活性化剤や外部からのエネルギー源がなくてもエッチング可能であり、そのため、従来から集積回路を製造する際に用いられている多くの金属、誘電体、高分子に対して高い選択性を示し、かつ、等方性のエッチングを行なうことができ、さらには、穏やかな乾式の反応エッチングを行うことができるという特有の性質を有している。XeFは、室温、大気圧下では、白色の固体状物質である一方で、真空環境下では、固体のXeFは、即座に昇華し、物理的に励起される必要なく、等方的にシリコンをエッチングする。
【0015】
Hoffmanらは、「"3D structures with piezoresistive sensors in standard CMOS," Proceedings of Micro Electro Mechanical Systems Workshop (MEMS '95), 288 (1995)において、バルク状のマイクロマシン化されたチップを得るために、XeFを用いた標準的なCMOS製造工程において、ピエゾ抵抗センサで三次元構造を作製している。さらに、米国特許第7041224号明細書、米国特許第6942811号明細書、米国特許第6960305号明細書、および米国特許第7027200号明細書には、改良された装置(たとえば、エッチング工程の終了時点を、正確に決めることのできる装置)や、マイクロメカニカル構造体のシリコン犠牲層のエッチングを行なう際に、気相エッチャントを用いる方法(たとえば、露光時の投影を制御するためのマイクロミラーアレイを用い、シリコン系からなるMEMS要素を避ける方法)、さらに、該方法において、プラズマを用いない方法(XeFを1または2以上の希釈剤とともに用いる方法など)が開示されている。このように、シリコンは、チタン、金、アルミニウムおよびこれらの化合物のほか、炭化ケイ素、窒化ケイ素、種々のフォトレジスト、ポリイミド、および酸化ケイ素などのシリコン以外の材料と比較して優先的にエッチングすることができる。Jangらは、米国特許出願公開第2003/0193269号明細書において、所定の周波数信号に対して共振活性を有する領域を備えたフィルム・バルク・アコースティック・レゾネータ(FBAR)を形成する方法を開示している。この方法においては、犠牲層としてポリシリコン層を形成し、これに続いて、XeFを用いて該犠牲層を除去することで、対応するエアギャップを形成している。さらに、この方法においては、シリコンやGaAsなどの半導体基板上に、AlNやZnOなどの誘電体材料からなる薄膜層を形成することで、該薄膜層の圧電特性を用いて、共振特性を発現させている。
【0016】
上述の公報においては、乾式エッチングのためにXeFを用いるものであるため、XeFを用いたドライエッチングの後にエアギャップを形成するために、犠牲層を堆積し、パターン化を行なうという付加的な工程が必要となる。しかしながら、このような犠牲層の堆積およびパターン化は、製造過程をより複雑にし、かつ、コスト増を招くものである。
【0017】
これに対して、マイクロメカニカル構造体およびマイクロメカニカル構造体の製造方法において、上述の問題を解決することが望まれている。
【発明の概要】
【0018】
本発明によれば、シリコン(Si)系基板と、前記基板上に直接形成されたマイクロメカニカル要素と、前記マイクロメカニカル要素の開放された部分の下に形成されたアンダーカットと、を備え、前記アンダーカットは、前記シリル系基板に形成された凹部状のものであることを特徴とするマイクロメカニカル構造体が提供される。
【0019】
前記Si系基板が、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板である。
【0020】
前記SOI基板のSi被覆層の厚みは、前記マイクロメカニカル要素の開放された部分の応力をコントロールするために選択される。
【0021】
前記凹部が、実質的に、前記SOI基板のSi被覆層の厚さ部分まで伸びている。
【0022】
前記厚みが、約10nm〜10μmの範囲である。
【0023】
前記SOI基板が、ウェハボンディング若しくはイオン打ち込み法(SIMOX)、またはこれらの両方の方法を用いて得られたものである。
【0024】
前記SOI基板の結晶配向は、前記マイクロメカニカル要素の開放された部分の応力をコントロールするために選択される。
【0025】
前記結晶配向が、(100)または(111)である。
【0026】
前記Si系基板が、バルクのSi基板からなる。
【0027】
前記バルクのSi基板の結晶配向が、(100)または(111)である。
【0028】
前記マイクロメカニカル要素が、ZnO、Zn(Mg)O、Zn(Cd)O、ZnS、GaN、AlN、AlGaN、InGaN、InN、多結晶ダイヤモンド、およびナノ結晶ダイヤモンドからなる群から選択される1または2以上の材料で構成されている。
【0029】
前記凹部が、ドライエッチングプロセスを用いて、Si系基板中に形成されたものである。
【0030】
前記ドライエッチングプロセスが、XeFを用いるものである。
【0031】
前記マイクロメカニカル要素が、オプトエレクトロニクスデバイスである。
【0032】
前記マイクロメカニカル要素が、マイクロエレクトロニクスデバイスである。
【0033】
前記オプトエレクトロニクスデバイスが、発光ダイオード(LED)である。
【0034】
前記マイクロエレクトロニクスデバイスが、1または2以上の電界効果トランジスタ(FET)である。
【0035】
また、本発明の他の側面によれば、シリコン(Si)系基板を準備する工程と、前記基板上に直接、マイクロメカニカル要素を形成する工程と、前記マイクロメカニカル要素の開放された部分の下に、凹部状のアンダーカットを形成する工程と、前記Si系基板に凹部を形成する工程と、を有するマイクロメカニカル構造体の製造方法が提供される。
【0036】
前記Si系基板が、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板である。
【0037】
前記マイクロメカニカル要素の開放された部分の応力をコントロールするために、前記SOI基板のSi被覆層の厚みを選択する工程をさらに有する。
【0038】
前記凹部が、実質的に、前記SOI基板のSi被覆層の厚さ部分まで伸びている。
【0039】
前記厚みが、約10nm〜10μmの範囲である。
【0040】
前記SOI基板が、ウェハボンディング若しくはイオン打ち込み法(SIMOX)、またはこれらの両方の方法を用いて得られたものである。
【0041】
前記マイクロメカニカル要素の開放された部分の応力をコントロールするために、前記SOI基板の結晶配向を選択する工程をさらに有する。
【0042】
前記結晶配向が、(100)または(111)である。
【0043】
前記Si系基板が、バルクのSi基板からなる。
【0044】
前記バルクのSi基板の結晶配向が、(100)または(111)である。
【0045】
前記マイクロメカニカル要素が、ZnO、Zn(Mg)O、Zn(Cd)O、ZnS、GaN、AlN、AlGaN、InGaN、InN、多結晶ダイヤモンド、およびナノ結晶ダイヤモンドからなる群から選択される1または2以上の材料で構成されている。
【0046】
前記凹部状のアンダーカットの形成が、ドライエッチングプロセスを用いて行なわれる。
【0047】
前記ドライエッチングプロセスが、XeFを用いるものである。
【0048】
前記マイクロメカニカル要素が、オプトエレクトロニクスデバイスである。
【0049】
前記マイクロメカニカル要素が、マイクロエレクトロニクスデバイスである。
【0050】
前記オプトエレクトロニクスデバイスが、発光ダイオード(LED)である。
【0051】
前記マイクロエレクトロニクスデバイスが、1または2以上の電界効果トランジスタ(FET)である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1(a)は、一実施形態に係るシリコン・オン・インシュレータのイオン打ち込み法(SIMOX_SOI)(100)基板上に形成された窒化ガリウム(GaN)層からなるサンプルを示す概略図である。図1(b)は、GaN層についてマイクロ−ラマンスペクトル測定を行った際における、ラマンシフトに対する強度を示すグラフである。図1(c)は、GaN層についてフォトルミネッセンス(PL)測定を行った際における、波長に対するPL強度を示すグラフである。
【図2】図2(a)〜図2(c)は、45delta Tの一定時間間隔で二フッ化キセノン(XeF)エッチングした後のサンプルの顕微鏡写真である。図2(d)は、図2(c)に示すサンプルについてマイクロ−ラマンスペクトルを測定した際における、ラマンシフトに対する強度を示すグラフである。
【図3】図3(a)は、別の実施形態に係るより大きい膜サイズを有するサンプルの顕微鏡写真である。図3(b)は、図3(a)に示すサンプルについてマイクロ−ラマンスペクトルを測定した際における、ラマンシフトに対する強度を示すグラフである。図3(c)は、図1(a)に示すSIMOX SOI(100)基板上のGaNカンチレバー構造サンプルの下に形成されているエアギャップを示す走査型顕微鏡(SEM)写真である。図3(d)は、SIMOX SOI(100)プラットフォームサンプル上のフリースタンディングメンブレンに接触してなるGaN梁部サンプルの下に形成されているエアギャップを示すSEM写真である。
【図4】図4(a)は、図2(c)に示すサンプルのEフォノンピーク強度のマッピング図である。図4(b)は、図2(c)に示すサンプルのラマン応力プロファイル(Raman stress profile)のマッピング図である。
【図5】図5(a)は、一実施形態に係るSi(111)基板上に成長させた高温窒化アルミニウム(AlN)バッファ層を有するGaNエピ層からなるサンプルを示す概略図である。図5(b)は、図5(a)に示すサンプルのPLスペクトルのPL強度とバンドギャップエネルギーとの関係を示すグラフである。
【図6】図6(a)は、図5(a)に示すサンプルの開放されたGaN構造体の走査型顕微鏡(SEM)写真である。図6(b)は、図6(a)に示すGaN構造体についてマイクロ−ラマンスペクトル測定を行なった際における、強度とラマンシフトとの関係を示す図である。図6(c)は、図6(a)に示すGaN構造体のEフォノンピーク強度のマッピング図である。図6(d)は、図6(a)のGaN構造体のラマン応力プロファイル(Raman stress profile)のマッピング図である。
【図7】図7(a)は、図5(a)に示すサンプルのフリースタンディングGaNカンチレバー構造を示すSEM写真である。図7(b)は、図5(a)に示すサンプルのGaNカンチレバー構造のEフォノンピーク強度のマッピング図である。図7(c)は、図5(a)に示すサンプルのGaNカンチレバー構造のラマン応力プロファイル(Raman stress profile)のマッピング図である。
【図8】図8(a)は、別の実施形態に係るサンプルを示す概略図である。図8(b)は、77K〜370Kの間で、図8(a)に示すサンプルについて、温度依存マイクロ−PL測定を行なった際における、PL強度と波長との関係を示すグラフである。図8(c)は、ZnO層について室温におけるPLスペクトル測定を行なった際における、PL強度と波長との関係を示すグラフである。図8(d)は、図8(a)に示すサンプルの切断面のSEM写真である。
【図9】図9(a)は、図8(a)に示すサンプルのXeFエッチングを行なう前のカンチレバー構造の顕微鏡写真である。図9(b)は、図8(a)に示すサンプルのXeFエッチングを行なった後のカンチレバー構造の顕微鏡写真である。
【図10】図10(a)は、一実施形態に係るサンプルを示す概略図である。図10(b)は、図10(a)に示すサンプルについてPLスペクトル測定を行なった際における、PL強度と波長との関係を示すグラフである。
【図11】図11(a)は、図10(a)に示すサンプルのXeFエッチングを行なった後のZnOブリッジ構造を示す顕微鏡写真である。図11(b)は、図10(a)に示すサンプルのXeFエッチングを行なった後のカンチレバー構造を示す顕微鏡写真である。
【図12】図12(a)は、図10(a)に示すサンプルの開放されたZnOブリッジ構造のSEM写真である。図12(b)は、図10(a)に示すサンプルのカンチレバー構造のSEM写真である。
【図13】図13(a)は、図11(a)に示すブリッジ構造についてマイクロ−ラマンスペクトル測定を行なった際における、強度とラマンシフトとの関係を示すグラフである。図13(b)は、図11(b)に示すカンチレバー構造について、マイクロ−ラマンスペクトル測定を行なった際における、強度とラマンシフトとの関係を示すグラフである。図13(c)は、図11(a)に示すZnOマイクロ−ブリッジ構造におけるEフォノンピーク強度のラマンマッピング図である。
【図14】図14(a)は、別の実施形態に係るバルクのSi(111)プラットフォーム上の開放されたZnOブリッジ構造のSEM写真である。図14(b)は、該実施形態におけるバルクのSi(111)プラットフォーム上のカンチレバー構造のSEM写真である。
【図15】図15(a)は、一実施形態に係るフリースタンディングのナノ結晶性ダイヤモンド(NCD)カンチレバー構造のSEM写真である。図15(b)は、図15(b)は、該実施形態におけるフリースタンディングのNCDブリッジ構造のSEM写真である。
【図16】図16(a)は、別の実施形態に係る化学成長法(CVD)により成長させたマイクロ結晶ダイヤモンドメカニカル構造体を示す切断面のSEM写真である。図16(b)は、該実施形態における多結晶/マイクロ結晶ダイヤモンドカンチレバーを示すSEM写真である。図16(c)は、該実施形態における多結晶/マイクロ結晶マイクロ−ブリッジ構造を示すSEM写真である。
【図17】図17(a)は、別の実施形態に係るバルクのシリコンプラットフォーム上に形成した発光ダイオード(LED)マイクロ構造体を示す光学顕微鏡写真である。図17(b)は、該実施形態におけるバルクのシリコンプラットフォーム上に形成した電界効果トランジスタ(FET)カンチレバーを示す光学顕微鏡写真である。図17(c)は、該実施形態におけるSOIプラットフォーム上に形成したLEDマイクロ構造体を示す光学顕微鏡写真である。図17(d)は、該実施形態におけるSOIプラットフォーム上に形成したFETカンチレバーを示す光学顕微鏡写真である。
【図18】図18(a)は、さらに別の実施形態に係るマイクロディスクLED構造体の光学顕微鏡写真である。図18(b)は、該実施形態におけるマイクロディスクLED構造体のSEM写真である。図18(c)は、該実施形態におけるマイクロディスクLED構造体についてエレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルを測定した際における、エレクトロルミネッセンス(EL)強度と波長との関係を示すグラフである。
【図19】図19は、マイクロメカニカル構造体の形成方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明は、添付図面と共に以下の本発明の実施形態の説明を参照することによって、より良く理解され、当業者に明らかなものとなるであろう。
【0054】
以下に説明する本実施形態によれば、ドライ開放技術(dry releasing technique)により、Si基板および/またはSOI基板上に直接成長させた、ワイドバンドギャップを有し、かつ、表面がマイクロマシン化されたナノ/マイクロメカニカル構造体(たとえば、ZnO、GaNおよびナノ結晶性ダイヤモンドからなる構造体)を提供することができる。本実施形態のドライ開放技術においては、Si基板および/またはSOI基板に形成されているSi被覆層およびSOI被覆層を選択的にエッチング可能な二フッ化キセノン(XeF)を用いた気相パルスエッチングを行ない、これにより、ワイドバンドギャップを有する材料をアンダーカットする。本実施形態においては、ドライ開放技術は、Si基板および/またはSOI基板上に形成されているSiまたはSi被覆層を犠牲層とし、これらをエッチングするために用いられ、これにより、Si基板および/またはSOI基板の表面上に成長させたワイドバンドギャップを有する材料に、エアギャップを形成する。そして、これにより、本実施形態においては、専用の犠牲層をさらに設け、これをパターンニングする必要がなくなる。他方、本実施形態では、所望のSi被覆層厚みを有するSOI基板を準備することで、エアギャップの厚みの制御を可能とすることができる。言い換えれば、このような態様においては、たとえば、エアギャップの厚み制御を、基板上にGaN、ZnO、NCDなどの各材料を堆積するデバイス集積工程と別に行うことができるという利点があり、むしろ、ウェハボンディングやSIMOXなどの既に確立されているSOI形成技術において、単にシリコンの厚みの制御を行うことにより、SOIウェハ製造の前工程に組み入れることができる。
【0055】
SIMOXを用いてシリコンの厚みを制御する際には、M. Bruelによる「“Silicon on insulator material technology”, Electron. Lett., 31, 1201 (1995)」、M. Bruel、B. Asparおよび A. J. Auberton−Herveによる「Smart-Cut: A New Silicon On Insulator Material Technology Based on Hydrogen Implantation and Wafer Bonding”, Jpn. J. Appl. Phys., Part 1, 36, 1636 1997」、ならびに、O. W. Holland、D. FathyおよびD. K. Sadanaによる「“Formation of ultrathin, buried oxides in Si by O+ ion implantation ”, Appl. Phys. Lett., 69, 674 1996」などを参照することができる。
【0056】
基板を製造する際にシリコン被覆層の厚みを制御することにより、形成されるエアギャップの厚みを制御することができる。そして、ワイドバンドギャップを有する材料の下に配置される基板に形成されるシリコン被覆層をデザインすることによって、ワイドバンドギャップを有する材料の残存応力を制御することができる。本実施形態においては、XeFは、誘電体に対して高い選択性を有するため、XeFは、基板に形成されているシリコン被覆層を選択的にエッチングし、これにより、対応するエアギャップを形成することができる。その一方で、XeFは、SOI基板のシリコン被覆層の下に形成されているSiO層については、エッチングしない。このように、SOI基板のSiO層は、エッチングを停止するために機能する。
【0057】
以下においては、本実施形態について詳細に説明する前に、本実施形態におけるサンプルの調製/形成方法、および特性解析方法を簡単に紹介する。
【0058】
一実施形態においては、MOCVDを用いたSIMOX法により製造された市販の(100)配向および(111)配向のSOI基板上にGaN系エピ層を成長させる。このような基板は、厚み約150〜350nmの埋め込み酸化膜層、および厚み約50〜200nmのSi被覆層を有している。バルクのSi(111)上に、直接GaNマイクロメカニカル構造体を形成するドライ開放技術の可能性を強調するために、あるサンプルにおいては、薄膜のAlNバッファ層が形成されたGaN層を、Si(111)基板上に成長させる。このような例においては、周期的にデルタドーピングを行うことにより、バルクのシリコン(111)基板およびSOI基板上にGaN層を成長させることで、クラックや伸張応力を低減する。AlNバッファ層などの上に層を成長させ、かつ、MOCVDを行なう際に周期的にデルタドーピングを行なうことにより、Si(111)上に、良好なGaNエピタキシーを製造できることが理解されると推察できる。このような成長法は、SIMOX SOI(111)基板およびSIMOX SOI(100)基板にも応用することができる。さらには、別の態様においては、他のワイドバンドギャップを有する材料を用いた場合について明らかにするために、ZnOサンプルを、SIMOX法により製造された(111)配向のSOI基板やウェハボンディングされたSOI基板上に、RFマグネトロンスパッタリングなどにより、堆積/成長させる。このサンプルにおいては、埋め込み酸化膜層の厚みが約370nm〜2.0μmであり、Si被覆層の厚みが200nm〜3.0μmである。
【0059】
ZnOサンプルおよびGaNサンプルは、マイクロ−フォトルミネッセンス(PL)およびマイクロ−ラマン測定などの光学技術により、その特性の測定が行なわれる。
【0060】
さらに、別の態様においては、約2.0μmの厚みの超ナノ結晶性ダイヤモンド(UNCD)フィルムを、マイクロ波プラズマ化学気相堆積技術によりSi系の基板上に、成長させる。これらのフィルムは、超平滑表面を有するダイヤモンドであり、その結晶品質特性は、マイクロ−ラマン分光法により調べることができる。
【0061】
上述のようにして作製される各サンプルは、切断され、2×2cm角のサンプルとされ、クラス100のクリーンルーム内において、溶剤としてアセトンおよびメタノールを用いて、超音波槽中にて、各溶剤につき約5分ずつの条件にて、洗浄される。その後、前記サンプルについて、DI水を用いて、すすぎを行い、Nガスを用いて乾燥し、約90℃、約10分間、オーブン(たとえば、Memmert)中でプリベイク(pre-bake)を行なう。加熱後、前記サンプルに、スピンコーター(たとえば、Brewer Science, INC.製のCEE 100)を用いて、回転数約5000rpm、約30秒の条件で、AZ4330フォトレジスト(PR)を、スピンコートする。その後、前記サンプルは、オーブン中に入れられ、約90℃、30分間の条件でソフトベイクが行なわれる。その後、Karl Sussマスクアライナー(MA8)のI−lineを用いて、約4.5〜5mWの強度の紫外光(約365nm)により、フォトリソグラフィーが行なわれる。本実施形態では、それぞれ異なるメンブレン構造、カンチレバー構造およびブリッジ構造を有する3インチのマスクプレートを複数用いて、パターンニングを行なう。フォトリソグラフィーの後であり、エッチングの前に、パターン化されたサンプルについて、フォトレジストの厚みを測定したところ、約3μmであった。
【0062】
エッチングに際しては、誘導結合プラズマ(ICP)チャンバー(約2MHzで稼動)およびサンプルを静電チャックするためにRFバイアス(約13.56MHz)からなるロードロック型の高密度プラズマエッチングシステム(UnaxisのSLR770)中にて、エッチングを行なう。この際には、前記サンプルの基板温度をより効果的にコントロールするために、ヘリウムによる冷却を同時に行う。前記サンプルは、エッチングチャンバーに導入される前に、8インチのSiキャリアウェハ上に、真空グリースを用いてマウントされ、純度99.999%の三塩化ホウ素(BCl)ガスおよび塩素(Cl)ガスが構造体のエッチングのために導入される。前記サンプルは、BClの流量が約20sccm、Clの流量が約10sccm、ICPの電力が500W、反応イオンエッチング(RIE)の電力が200W、5mTorrの圧力、および温度6℃の条件で、ワイドバンドギャップを有する材料の種類に応じた時間で、ICPチャンバー中でエッチングされる。
【0063】
エッチングの後、残存する材料およびフォトレジストのエッチング深度が、表面観測装置(KLA TencorのP−10)を用いて決定される。そして、フォトレジストをアセトンを用いて取り除き、エッチングされた材料のステップ高さを、表面観測装置により再び測定する。これは、エッチングするための犠牲層に続いて形成されているワイドバンドギャップを有する材料の下に位置する下層(もともと基板に形成されている層)の露光条件を求めるためである。前記各サンプルに対して、カスタマイズされたペンタバキュームシステム中で、XeFを用いて、基板に形成されたSi被覆層についての犠牲層エッチングを行うことで、ワイドバンドギャップを有する材料を開放(リリース)する(releasing)ことができる。開放された(released)ワイドバンドギャップ構造体の像は、解像度約3.5nm、加速電圧5kV〜10kVである走査型電子顕微鏡(SEM)(JEOLのJSM 5600)の二次電子像(SEI)モードを用いて、捕らえることができる。
【0064】
さらに、開放されたサンプル(released samples)は、空間分解ラマン散乱を用いて、室温下、後方散乱にて、特性の測定が行なわれる。アルゴンイオンレーザーの514.5nm線を、ラマン散乱測定に用いる。散乱光は、液体窒素で冷却された電荷結合素子(CCD)検出器を備えた三重単色光分光システム(JY−T64000)を通って、散乱させられる。ラマン測定の精度は、約0.2cm−1で、方位空間分解能が約1.2μmである。前記サンプルは、基板の軸と直交方向に励起され、後方散乱光は、入射レーザー光を照射するための照準と同じ目的により、検出される。
【0065】
上述した前記サンプルの調製/形成技術、および特性解析技術の簡単な紹介に続いて、以下、本実施形態について詳細に説明する。
【0066】
図1(a)は、一実施形態に係るSIMOX_SOI(100)基板104上に形成されたGaN層102からなるサンプル100を示す概略図である。GaN層102は約1.5〜1.7μmであり、付加的な層あるいは、後に除去される犠牲層を堆積させることなく、基板104上に直接形成されている。基板104には、厚み約200nmの“固有の(inherent)”Si被覆層106、および厚み約350nmの“固有の”埋め込み酸化膜層108が最初から形成されている。サンプル100は、標準的なフォトリソグラフィー法により、様々な膜サイズとなるようにパターン化され、BClの流量が約20sccm、Clの流量が約10sccm、ICPの電力が500W、反応イオンエッチング(RIE)の電力が200W、5mTorrの圧力、および温度6℃の条件で、約2μmの深さまで、約11分間の間エッチングが行われる。
【0067】
したがって、“固有の”Si被覆層の厚みをコントロールすることにより、デバイス集積工程とは別に、エアギャップの厚みを制御することができるという利点があることが理解できる。
【0068】
図1(b)は、GaN層102についてマイクロ−ラマンスペクトル測定を行った際における、ラマンシフトに対する強度を示すグラフであり、図1(c)は、GaN層102についてPLスペクトル測定を行った際における、波長に対するPL強度を示すグラフである。
【0069】
そして、サンプル100に対して、連続的かつ、一定のタイミングの単一パルスを用いながら、Si被覆層106についてXeFエッチングを行う。図2(a)〜図2(c)は、45delta T(Tは、時間[秒])の一定時間間隔でXeFエッチングした後のサンプル100の顕微鏡写真である。図2(a)〜図2(c)から、サンプル100のメンブレン202のコントラストが変化することが観察でき、このことは、メンブレン202の下にエアギャップが形成されていることを示している。図2(c)において、メンブレン202全体のコントラストは、サンプル100のプラットフォーム204と比較して明るくなっており、このことは、フリースタンディングのGaNメンブレン202が、SOI基板104(図1(a))上に形成されていることを示している。図2(c)に示される開放されたメンブレン202(released membrane 202)は、プラットフォーム204、開放されたメンブレン202および梁部206の3点について、マイクロ−ラマン法によるスペクトル測定を行うことで、その特性を特定することができる(差し込み図1を参照)。図2(d)は、マイクロ−ラマンスペクトルを測定した際における、ラマンシフトに対する強度を示すグラフである。
【0070】
図2(d)の測定において、514.5nmの可視アルゴンイオンレーザーを用いることで、その貫通深さにより、シリコン被覆層106(図1(a))と同様にGaN層102(図1(a))全体を、精査することができる。プラットフォーム204は、メンブレン202および梁部206に続いて測定される。図2(d)に示すスペクトルより、プラットフォーム204は、GaNのEフォノン強度が565.9cm−1(符号210参照)において、最も弱くなっている一方で、520cm−1(符号208参照)に強いSi強度を有していることが観察できる。開放されたメンブレン202および梁部206については、Si強度は、520.5cm−1(符号216および218参照)において、最も弱くなっている一方で、それぞれ、567.3cm−1(符号212参照)および567.1cm−1(符号214参照)において、Eフォノン強度が最も強くなっている。Eフォノン周波数は、GaNメンブレンにおける内面応力を観察するために用いることができ、梁部206およびメンブレン202のEフォノン列(E2 phonon line)と比較して、SOI基板(たとえば、プラットフォーム204)上に形成されているGaNメンブレンのEフォノン列は、低エネルギー側への偏移することとなる。赤方偏移が観察されるのは、400μmの厚みのフリースタンディングのGaNにおいて応力がかかっていない状態を標準状態とした場合に、該標準状態における参照フォノンピークと比較して、引っ張り張力が存在していることによる。400μmの厚みのフリースタンディングのGaNにおいて応力がかかっていない標準状態における参照フォノンピークとしては、R.Armitage、Q.Yang、H.Feick、J.Gebauer、E.R.Weber、S.ShinkaiおよびK.Sasakiによる「“Lattice-matched HfN buffer layers for epitaxy of GaN on Si”, Appl. Phys. Lett., 81, 1450 (2002)」や、L.S.Wang、K.Y.Zang、S.TripathyおよびS.J.Chuaによる「“Effects of periodic delta-doping on the properties of GaN:Si films grown on Si (111) substrates”, Appl. Phys. Lett., 85, 5881 (2004)」などを参照することができる。開放されたメンブレンおよび梁部(符号212および214参照)の強いEフォノン強度は、約200nmの厚みのSi被覆層106(図1(a))が完全にエッチングされていることを明確に示している。このことは、図2(d)のマイクロ−ラマンスペクトルおよび図2(c)に示す開放されたメンブレン202の顕微鏡写真のコントラストを用いても、示すことができる。
【0071】
XeFを用いたSiのエッチングは非常に選択的であり、また時間に依存するものでもある。図3(a)は、別の実施形態に係るより大きい膜サイズを有するサンプル300の顕微鏡写真である。サンプル300を、XeFによりエッチングし、プラットフォーム302、メンブレン304および梁部306について、マイクロ−ラマンスペクトル測定を行なう。XeFによるエッチングは、図2(a)〜図2(c)に示すサンプル100のXeFエッチングと同様のタイミングで実行される。図3(a)より、メンブレン304の中心は、メンブレン304のエッジ308および梁部306などと比較して、より暗いコントラストを有していることが観測される。メンブレン304のエッジ308および梁部306は、プラットフォーム302と同程度のコントラストを有している。
【0072】
図3(b)は、マイクロ−ラマンスペクトルを測定した際における、ラマンシフトに対する強度を示すグラフである。プラットフォーム302の測定は、まず、メンブレン304および開放された梁部306(released beam 306)から行なわれる。スペクトルより、プラットフォーム302は、520cm−1(符号310参照)に強いSi強度を有しており、かつ、565.9cm−1(符号312参照)にEフォノン強度の弱い信号を有していることが観測できる。開放されていないメンブレン304(unreleased membrane 304)は、520cm−1(符号314参照)に中程度のSi強度を有しており、また、566.9cm−1(符号316参照)にGaNの最も弱いEフォノン強度を有している。これに対して、開放された梁部306(released beam 306)は、567.3cm−1(符号318参照)に最も強いEフォノン強度および520cm−1(符号320参照)に最も弱いSi強度を有している。SOI基板(たとえば、プラットフォーム302)上のGaNのEフォノン線は、開放された梁部306のEフォノン線と比較して低くなっている。これに対して、開放されていないGaNメンブレン304のEフォノン線は、開放された梁部306のEフォノン線と同程度であり、これのことは、Siピーク(符号314参照)が存在していることにより、メンブレン304がSi被覆層(不図示)から完全に開放されていないということを示しているというよりも、メンブレン304が歪みのないものに近づいていることを示している。XeFエッチングの時間をより長くすることで、メンブレン304を開放することが可能であることがわかる。
【0073】
上記実施形態においては、図2(a)〜図2(c)に示すサンプル100の開放されたメンブレンおよびカンチレバー構造のそれぞれについて調べるために、切断面のSEMを用いることができる。
【0074】
図3(c)は、SIMOX SOI(100)基板104上のGaNカンチレバー構造サンプルの下に形成されているエアギャップを示すSEM写真である。図3(d)は、SIMOX SOI(100)プラットフォームサンプル上のフリースタンディングのメンブレンに接触してなるGaN梁部サンプルの下に形成されているエアギャップを示すSEM写真である。図3(c)および図3(d)のSEM写真は、厚み約1.7μmであり、エアギャップが約200nmであるGaNフリースタンディング構造を示している。
【0075】
図4(a)は、図2(c)に示すサンプル100のEフォノンピーク強度のマッピング図である。図4(b)は、図2(c)に示すサンプル100のラマン応力プロファイル(Raman stress profile)のマッピング図である。無応力状態の400μm厚のフリースタンディングGaNのラマンピークをリファレンスとして用いることで、SOI基板上のGaNに基づく赤方遷移したフォノンピーク402は、面内の引張応力の存在によるものであるということが確認できる。引張応力の大きさは、関係式Δω=Kσを用いて算出することができる。ここにおいて、Kは、比例定数(4.3GPa−1cm−1)である。XeFドライエッチングにより開放されたGaNは、無応力状態のフォノンピークに近づいていることが、ラマン測定により示されている。開放されたGaNメンブレン202(図2(c))の応力の範囲は、約+0.1〜+0.2GPaである一方で、GaN/SOI(100)プラットフォーム204(図2(c))における応力は約0.45±0.05GPaである。上述の各実験は、基板にもともと存在している、Si被覆層の厚みを、それぞれ約50、約100および約200nmに変化させたSIMOX SOI(111)基板を用いて行なわれた。200nmのSOI(111)基板においては、残留応力は、約0.32〜0.40GPaの範囲であることが確認され、また、50nmのSOI(111)基板上にGaNを成長させた場合に、残留応力が約0.2GPaに減少したことが確認された。このような成長により生ずる応力を制御することにより、ドライ開放を行なった後のマイクロ構造体のカールや屈曲を最小限に抑えることができることが確認された。
【0076】
別の実施形態においても、GaN/SOI(111)プラットフォームについて、同様にして、XeFドライエッチング工程および特性解析が行われる。
【0077】
また、さらに別の実施形態においては、付加的な層あるいは後に除去される犠牲層を堆積することなく、バルクのSi(111)基板上に直接形成されたGaN層上に、表面マイクロマシンニングが行なわれる。このことは、大きなエアギャップをドライエッチングにより形成することの実現可能性を示すことができるとともに、ドライエッチングを行なった後に形成されたフリースタンディングGaNメンブレンおよびカンチレバーの機械的安定性のチェックにも用いることができる。
【0078】
図5(a)は、本実施形態における、Si(111)基板504上に成長させた高温AlNバッファ層を有するGaNエピ層502を有するサンプル500を示す概略図である。GaNエピ層502は、厚さ約1.7μmである。図5(b)は、サンプル500のPLスペクトルのPL強度とバンドギャップエネルギーとの関係を示すグラフである。また、X線回折によるロッキングカーブ測定や、透過型電子顕微鏡(TEM)による測定、ラマン測定(いずれも不図示)により、バルクのSi(111)上に成長した単結晶GaNは、良好な光学特性を有するものとすることができることが示されている。
【0079】
サンプル500は、標準フォトリソグラフィーを用いて、それぞれの膜サイズ特性に応じて、パターン化され、BClの流量が約20sccm、Clの流量が約10sccm、ICPの電力が500W、RIEの電力が200W、5mTorrの圧力、および温度6℃の一定条件で、約9分間、深さ約2.5μmまでエッチングされる。続いて、サンプル500について、単一のパルスを連続的に印加することで、SiハンドルウェハのXeFエッチングが行なわれる。
【0080】
連続的にXeFのパルスを印加することでエッチングされたサンプル500の顕微鏡写真より、サンプル500のメンブレンのコントラストが変化することが確認でき、このことは、エアギャップの存在を示している(図2(a)〜図2(c)を比較)。図6(a)は、開放されたGaN構造体602のSEM写真600である。構造体602は、プラットフォーム604、開放された梁部606,608およびメンブレン610からなる。構造体602は、マイクロ−ラマン法を用いて、その特性の測定が行なわれる。図6(b)は、GaN構造体602についてマイクロ−ラマンスペクトル測定を行なった際における、ラマンシフトに対する強度を示すグラフである。プラットフォーム604、開放された梁部606,608およびメンブレン610の4箇所についてスペクトルの測定が行なわれる。測定は、まず、プラットフォーム604について行なわれ、次いで、メンブレン610および2つの梁部606,608について行なわれる。
【0081】
図6(b)より、プラットフォーム604は、520cm−1(符号612参照)に強いSi強度を有しており、かつ、564.9cm−1(符号614参照)にプラットフォーム604に対するGaNのEフォノン強度が最も弱くなることが観測できる。開放されたメンブレン610および梁部606,608については、566.9cm−1(符号616,618,620参照)において、GaNのEフォノン強度が最も強くなっており、かつ、520cm−1(符号622,624,626参照)において、Si強度が最も弱くなっている。このことは、下層に存在するSi(111)ハンドルウェハ基板504(図5(a))がエッチングされこれにより、不定状のエアギャップが形成されていることを示している。XeFを用いてSIMOX_SOI(100)基板上のGaNをエッチングした後に観察されたものと同様に(たとえば、図3(a)と比較)、より大きなサイズを有するGaNメンブレンは、Si基層のエッチングの時間に依存することにより、フリースタンディングなものとはならない。
【0082】
図6(c)は、図6(a)に示すGaN構造体602のEフォノンピーク強度のマッピング図である。図6(d)は、図6(a)のGaN構造体602のラマン応力プロファイル(Raman stress profile)のマッピング図である。側壁をエッチングした際のEラマン強度は、光散乱効果の影響により、わずかに高くなる。ラマン測定によって、XeFドライエッチングにより開放されたGaNは、無応力状態のフォノンピークに近いものとなることが示されている。開放されたGaNメンブレン610における応力の範囲は、約+0.15〜−0.10GPaである一方で、GaN/Si(111)プラットフォーム604における応力は約0.65±0.05GPaである。この実施形態はバルクのSi(111)上のGaNメカニカル構造体に関連し、バルクのSi(111)の厚みは固定されているため、GaN層の厚みおよび層間の条件は、エピ層における応力をコントロールすることとなる。
【0083】
図7(a)は、サンプル500(図5(a))のフリースタンディングGaNカンチレバー構造702,704を示すSEM写真700である。SEM写真700は、厚み約23μmのエアギャップ706を示しており、ここにおいては、基板504(図5(a))のSi層は、XeFによりエッチングされる。SEM写真700から確認できるカンチレバーの配列は、開放された構造702,704、およびプラットフォーム708の光学顕微鏡写真におけるコントラストの変化を示している。しかしその一方で、エッチング停止層(たとえば、SiO)が存在しないため、基板504(図5(a))に基づくSi材料全体は、マスキング工程を全く経ずに、エッチングされることとなる。このように、バルクのSi(111)基板上に被覆させるのにSOIウェハを用いることが好ましい理由の一つとして、基板を形成する間におけるエアギャップのサイズをコントロールすることで、SOIウェハ上におけるSi被覆層および下層であるSiO層の厚みを精密に制御することができる点が挙げられる。残留応力は、予め定められたSOI層の厚みを用いることで、コントロールすることができる。
【0084】
図7(b)は、サンプル500(図5(a))のGaNカンチレバー構造702,704のEフォノンピーク強度のマッピング図である。図7(c)は、サンプル500(図5(a))のGaNカンチレバー構造702,704のラマン応力プロファイル(Raman stress profile)のマッピング図である。ラマン測定により、XeFドライエッチングにより開放されたGaNは、無応力状態のフォノンピークに近いものとなることが示されている。開放されたGaNカンチレバー構造702,704における応力の範囲は、約−0.05〜+0.20GPaであり、これに対して、GaN/Si(111)プラットフォーム708における応力は約0.60±0.05GPaである。この実施形態はバルクのSi(111)上のGaNメカニカル構造体に関するものであり、バルクのSi(111)の厚みは固定されているため、GaN層の厚みおよび層間の条件は、エピ層における応力をコントロールするために用いることができる。したがって、Tripathyらの「“Micro-Raman probing of residual stress in freestanding GaN-based micromechanical structures fabricated by a dry release technique”, J. Appl. Phys. 101, 063525 (2007)」を参照することができる。
【0085】
別の実施形態においては、従来から用いられているRFマグネトロンシステムを用いて、約500〜600nmの厚みのZnO材料を、SIMOX_SOI(111)ウェハ上に直接スパッタリングにより形成する。
【0086】
図8(a)は、この実施形態に係るサンプル800を示す概略図である。サンプル800は、厚さ約370nmの“固有の”SiO層804、厚さ200nmの“固有の”Si被覆層806を含むSIMOX_SOI(111)基板802を有する。またサンプル800は、付加的な層または後に取り除かれる犠牲層を堆積することなく、SIMOX_SOI(111)基板802上に(Si被覆層806上に)スパッタリングにより形成された厚さ600nmのZnO層808をさらに有する。
【0087】
このように、エアギャップの厚みをコントロールすることを、デバイスを集積する工程と別にすることができるという利点があり、また、エアギャップの厚みのコントロールは、“固有の”Si被覆層の厚みを制御することにより達成できるものであることが理解される。
【0088】
図8(b)は、77K〜350Kの間で、SIMOX_SOI基板802上にスパッタリングにより形成したZnO層808について温度依存マイクロ−PL測定を行なった際におけるPL強度と波長との関係を示すグラフである。図8(b)より、低温(77K)のPLスペクトルにおいて、シャープなドナーアクセプター対(DAP)発光(符号810参照)が観測される。DAP発光は、約350Kまで温度を上昇させると、弱まってしまう。同様に、バンド−エッジフリー励起子発光(FX)(符号812参照)は、77KにおけるPLスペクトルにおいて狭い幅で観測され、温度が上昇するに従って、ブロードになっていく。
【0089】
図8(c)は、Si被覆層806上にスパッタリングにより形成したZnO層808について室温におけるPLスペクトル測定を行なった際におけるPL強度と波長との関係を示すグラフである。図8(d)は、サンプル800の切断面のSEM写真である。
【0090】
この実施形態においては、標準的なフォトリソグラフィー法により、ブリッジ部およびカンチレバー部の長さを変化させながら、ZnO層808をパターン化し、BClの流量が約20sccm、Clの流量が約10sccm、ICPの電力が500W、RIEの電力が200W、5mTorrの圧力、および温度6℃の一定条件で、約620nmの深さまで、約10分間の間エッチングが行われる。サンプル800は、それぞれ約100秒間のパルスが2回照射されることで、Si被覆層806のXeFエッチングが行なわれる。
【0091】
図9(a)は、XeFエッチングを行なう前のサンプル800(図8(a))のカンチレバー構造902の顕微鏡写真900である。図9(b)は、XeFエッチングを行なった後のサンプル800(図8(a))のカンチレバー構造体902の顕微鏡写真904である。図9(b)を図9(a)と比較すると、ZnOプラットフォーム906およびカンチレバー構造908においてコントラストの変化が起こっており、このことは、下層であるSi被覆層806(図8(a))が完全にエッチングされていることを示している。
【0092】
このことは、ZnOブリッジから構成される別の実施形態、および100nmのSi被覆層上にスパッタリングにより形成した500nmのZnO層から構成されるさらに別の実施形態についても、同様な効果が観察される。
【0093】
図9(a)および図9(b)に戻り、開放されたZnO構造体902は、マイクロ−ラマンスペクトル測定を用いて、さらなる特性の測定が行なわれる。438cm−1付近に観測されるZnOのEフォノンは、残留応力の評価に用いられる。ZnO構造体は、本来は多結晶であるため、約0.15GPaの残留応力が、フォノンピークシフトから、関係式Δω=Kσの関係を用いて測定される。ここにおいて、Kは、比例定数(6.7GPa−1cm−1)である。ZnO構造体フィルムにおける初期成長に起因する残留応力の低減は、基板に起因する。さらに、開放された構造体902は、100MPaの単位の引張曲げ応力を有していることが観測され、この応力は、「カンチレバーのサイズ/ブリッジのサイズ」により決定されていると考えられる。曲げ応力は、フォノンピーク位置がさらに変化する原因となる。ZnO集積工程のために、基板に形成されているSi被覆層の厚みを約100nm〜約3.0μmの間で変化させたSOI基板を用いることで複数の実験が行なわれた。成長により引き起こされる応力は、Si被覆層の厚みの変化に応じて、約0.20〜0.45GPaの範囲でサンプルごとに変化する結果となった。成長方向に沿った方向である縦方向の応力は、ドライエッチングによりデバイスを開放した後の残留応力をコントロールする結果となった。SOIプラットフォーム上の開放されたZnOカンチレバー部およびZnOマイクロ−ブリッジ部における残留応力は、約−0.05GPa〜約0.40GPa範囲であった。残留応力の変化は、メカニカル構造体の幾何学的なサイズ、成長に起因ずる応力およびSOI上のZnO層の厚みに依存している。
【0094】
別の実施形態においては、ZnOは、貼り合わせSOI基板上にスパッタリングにより形成される。基板は、Si(111)デバイス層(約3±0.5μm厚)、2.0〜2.5μm厚の埋め込みSiO層およびSi(111)ハンドル基板(約400±25μm厚)からなる2インチまたは4インチの直径を有する商用品のSOI構造体で形成することができる。SOI(111)層の配向方向は、0.5°〜4°軸外に傾いている。標準的なRFマグネトロンシステムを用いて、厚みが約2.5μmおよび約1.0μmのZnO材料を、貼り合わせSOI基板上に、それぞれ直接スパッタリングにより形成する。
【0095】
図10(a)は、この実施形態に係るサンプル1000を示す概略図である。サンプル1000は、厚さ約2.0μmの“固有の”SiO層1004および厚さ約3.0μmの“固有の”Si被覆層1006を含むSi(111)貼り合わせSOI基板1002を有している。また、サンプル1000は、付加的な層または後に除去される犠牲像を堆積させることなく、Si被覆層1006上にスパッタリングにより形成された厚さ約2.5μmのZnO層1008をさらに有している。
【0096】
このように、“固有の”Si被覆層の厚みをコントロールすることにより、デバイス集積工程とは別に、エアギャップの厚みを制御することができるという利点があることがわる。
【0097】
マイクロ−PL装置を用いて、77KにおけるPL測定が行なわれる。図10(b)は、Si被覆層1006上にスパッタリングにより形成されたZnO層1008についてスペクトル測定を行なった際におけるPL強度と波長との関係を示すグラフである。図10(b)から、近接バンド−エッジフリー励起子発光(FX)(符号1010参照)、および低温下におけるドナーボンド励起子発光(DX)の存在を示すスペクトルが確認できる。ドナーアクセプター対発光(DAP)は、77Kにおいてより強いものとなっている(符号1012参照)。
【0098】
この実施形態においては、標準的なフォトリソグラフィー法により、ブリッジ部およびカンチレバー部の長さを変化させながら、ZnO層1008をパターン化し、BClの流量が約20sccm、Clの流量が約10sccm、ICPの電力が500W、RIEの電力が200W、5mTorrの圧力、および温度6℃の一定条件で、約3.0μmの深さまで、約20分間の間エッチングが行われる。サンプル1000は、それぞれ約30秒間のパルスを1回照射されることで、Si被覆層1006のXeFエッチングが行なわれる。
【0099】
図11(a)は、XeFエッチングを行なった後のサンプル1000(図10(a))のZnOのブリッジ構造1102を示す顕微鏡写真1100である。図11(b)は、XeFエッチングを行なった後のサンプル1000(図10(a))のカンチレバー構造1106を示す顕微鏡写真1104である。図11(a)においては、ZnOのブリッジ構造1102は、貼り合わせSOIウェハ上において二つの縁部1106,1108上に保持された構造1102として、フリースタンディングなものとして観測される。ブリッジ構造1102のコントラストは、支持構造1110,1112と比較して、より明るいものとして観測される。ブリッジ構造全体の顕微鏡写真を挿入図5として示す。図11(b)において、ZnOのカンチレバー構造1106は、縁部1114において保持されたカンチレバー構造1106として、貼り合わせSOIウェハ上において、フリースタンディングなものとして観測される。カンチレバー構造1106のコントラストは、支持構造1116と比較して、より明るいものとして観測される。カンチレバー構造全体の顕微鏡写真を挿入図6として示す。長いカンチレバー構造1118,1120が、ZnO材料の組み込み応力(in-built stress)により、上方に向かってカールしていることが観測できる。
【0100】
図12(a)は、サンプル1000(図10(a))の開放されたZnOブリッジ構造1202のSEM写真1200である。図12(b)は、サンプル1000(図10(a))のカンチレバー構造1206,1208のSEM写真1204である。図12(a)より、ZnOブリッジ構造1202は、約2.5μmの厚みであり、また、約3μmのエアギャップ1210が形成されている。ブリッジ構造全体のSEM写真を挿入図7として示す。図12(b)より、カンチレバー構造1206,1208は約2.5μmの厚みであり、また、エアギャップ1212が形成されている。ZnO材料の組み込み応力(in-built stress)により、カンチレバー構造1206,1208は上方に向かってカールしている。カンチレバー構造全体のSEM写真を挿入図8として示すが、ここにおいて、カンチレバー構造全体は上方にカールしていることが示されている(符号1214参照)。
【0101】
本実施形態においては、開放されたZnOマイクロ−ブリッジ構造1102(図11(a))およびカンチレバー構造1106(図11(b))は、空間分解マイクロ−ラマン技術により、さらなる特性の測定が行なわれる。図13(a)は、ブリッジ構造1102(図11(a))のマイクロ−ラマンスペクトル測定を行なった際における強度とラマンシフトとの関係を示すグラフである。図13(b)は、カンチレバー構造1106(図11(b))のマイクロ−ラマンスペクトル測定を行なった際における強度とラマンシフトとの関係を示すグラフである。図13(a)より、二つの支持構造またはプラットフォーム1110,1112が、520cm−1(符号1302参照)に強いSi強度を有しており、かつ、437cm−1(符号1304参照)において、Eフォノン強度が最も弱くなることが観測できる。開放された多結晶構造体1102において残留曲げ応力が存在することにより、Eフォノンピーク位置が若干変化していることが観測できる。図13(b)より、カンチレバー構造1106(図11(b))においても同様の効果が観測できる。応力に対して反応し易いEフォノンピークシフトは、関係式Δω=Kσを用いて応力プロファイルを見積もるのに用いられる。ここにおいて、Kは、比例定数(6.7GPa−1cm−1)である。このような関係は、ラマンデータおよびフォノン歪みの可能性を用いて導かれる。ZnOの弾性スティフネス定数は、比例定数を決定するのに用いられる。これらの算出にあたっては、Vickneshらの「“Surface micromachined freestanding ZnO microbridge and cantilever structures on Si(111) substrates”, Appl. Phys. Lett. 90, 091913 (2007).」を参照することができる。
【0102】
図13(c)は、ZnOのマイクロ−ブリッジ構造1102(図11(a))におけるEフォノン強度のラマンマッピング図である。中心部分1306は、シリコン被覆層1006(図10(a))を選択的に除去することにより、最大のラマン強度を示している。多結晶ZnO中における残留応力は、支持構造またはプラットフォーム1110,1112(図11(a))およびそのままの状態のフィルム(as-grown films)において、約0.22〜0.11GPaの範囲で変化している。“そのままの状態のフィルム”とは、多結晶のZnOである。プラットフォーム領域における応力は、そのままの状態のフィルムと同様であった。ドライ開放により形成されたフリースタンディング領域は、異なる応力値を有していた。引張曲げ応力は、フリースタンディングのカンチレバー1106(図11(b))において、約0.15〜−0.05GPaの範囲で変化していることがラマン測定により示される。幾何的な効果および成長に起因する機械的な特性は、フリースタンディングのカンチレバー1106(図11(b))において、傾き残留応力の変化を引き起こしている可能性がある。ZnO集積工程のために、基板に形成されているSi被覆層の厚みを約100nm〜約3.0μmの間で変化させたSOI基板を用いることで複数の実験が行なわれた。成長により引き起こされる応力は、Si被覆層の厚みの変化に応じて、約0.20〜0.45GPaの範囲でサンプルごとに変化する結果となった。成長方向に沿った方向である縦方向の応力は、ドライエッチングによりデバイスを開放した後の残留応力に依存する結果となった。SOIプラットフォーム上の開放されたZnOカンチレバー部およびZnOマイクロ−ブリッジ部における残留応力は、約−0.05GPa〜約0.40GPaの範囲となった。残留応力の変化は、メカニカル構造体の幾何学的なサイズ、成長に起因ずる応力およびSOI上のZnO層の厚みに依存している。
【0103】
別の実施形態においては、ZnOは、バルクのSi(111)基板上に形成される。この実施形態においては、XeFドライ開放/エッチングを行なう前および後における、ブリッジ構造およびカンチレバー構造のSEM写真から、アンダーカットエッチングを確認することができる。光学顕微鏡写真(不図示)において、ZnOプラットフォームおよびZnOブリッジ部におけるコントラストの変化は、下層に形成されているSi材料基板がエッチングされたことを示している。
【0104】
図14(a)は、バルクのSi(111)プラットフォーム1404,1406上の開放されたZnOブリッジ構造1402を示すSEM写真1400である。図14(b)は、バルクのSi(111)プラットフォーム1412上に形成されたカンチレバー構造1410のSEM写真1408である。エアギャップ1414,1416のサイズはそれぞれ約4.3μmであり、ブリッジ構造1402およびカンチレバー構造1410における、アンダーカットエッチングが、明確に視認できる。ラマン分析から、本実施形態においては、バルクのSi(111)上に形成されたそのままの状態のZnOフィルム(as-grown ZnO films)(約1.7μm厚)は、約0.55±0.03GPaの残留引張応力を示すことが確認された。パターン化された構造のプラットフォーム領域1404,1406,1412から、応力値は、実質的に変化しないままであり、約0.52〜0.55GPa程度である。図14(a)より、50μmの長さのフリースタンディングのマイクロ−ブリッジ構造1402における残留応力の範囲は、ラマンラインスキャンから、約0.33±0.03〜約0.42±0.03GPaの範囲であると見積もられる。図14(b)より、50μmの長さのカンチレバー構造1410における残留応力の範囲は、ラマンラインスキャンから、約0.29±0.03〜約0.40±0.03GPaの範囲であると見積もられる。長さ約400μmを上限として伸びている梁部を有するカンチレバー構造1410には、カンチレバー構造1410のエッジ部分において、わずかに高い引張応力(約0.43±0.03GPa未満)が観測される。
【0105】
さらに別の実施形態においては、ナノ結晶ダイヤモンドメカニカル構造体および微結晶ダイヤモンドメカニカル構造体が、シリコン上に形成される。ナノ結晶ダイヤモンド(NCD)マイクロ構造体は、XeFエッチングに先立ち、ICPエッチングによりパターン化される。ICPエッチングに際しては、Ar/Oプラズマを用いたダイヤモンドのドライエッチングに、Alハードマスクが用いられる。
【0106】
図15(a)は、この実施形態におけるフリースタンディングのNCDカンチレバー構造1502のSEM写真である。NCDカンチレバー構造1502は、約2分間、XeFエッチングが行なわれる。カンチレバー構造1502領域内におけるコントラストの変化が、挿入図として示した顕微鏡写真1504において観測される。また、コントラストの変化は、SEM写真1500でも観測することができる。
【0107】
図15(b)は、本実施形態におけるフリースタンディングのNCDブリッジ構造1508のSEM写真1506である。NCDブリッジ構造1508は、約2分間、XeFエッチングが行なわれる。ブリッジ構造1508領域内におけるコントラストの変化が、挿入図として示した顕微鏡写真1510において観測される。また、コントラストの変化は、SEM写真1506でも観測することができる。
【0108】
この実施形態において、ダイヤモンドメカニカル構造体1502,1508は、機械的に安定である。
【0109】
別の実施形態においては、同様な形成工程を、化学蒸着(CVD)により成長したマイクロ結晶ダイヤモンドメカニカル構造体においても適用することができる。図16(a)は、この実施形態におけるCVD成長マイクロ結晶ダイヤモンドメカニカル構造体を示す切断面のSEM写真1600である。図16(b)は、この実施形態における多結晶/マイクロ結晶ダイヤモンドカンチレバー1604を示すSEM写真1602である。図16(c)は、この実施形態における多結晶/マイクロ結晶マイクロ−ブリッジ構造1608を示すSEM写真1606である。
【0110】
別の実施形態においては、GaN系発光ダイオード(LED)マイクロ構造体および電界効果トランジスタ(FET)マイクロ構造体が提供される。フォトニックセンサおよびメカニカルセンサを形成するために、フリースタンディングのLEDおよび電界効果トランジスタが、シリコンおよびSOIプラットフォーム上に形成される。
【0111】
図17(a)は、この実施形態におけるバルクのシリコンプラットフォーム上に形成したLEDマイクロ構造膜1704を示す光学顕微鏡写真1702である。図17(b)は、この実施形態におけるバルクのシリコンプラットフォーム上に形成したFETカンチレバー1708を示す光学顕微鏡写真1706である。図17(c)は、この実施形態におけるSOIプラットフォーム上に形成したLEDマイクロ構造膜1712を示す光学顕微鏡写真1710である。図17(d)は、この実施形態におけるSOIプラットフォーム上に形成したFETカンチレバー1716を示す光学顕微鏡写真1714である。
【0112】
この実施形態においては、アンダーエッチングの行なわれた構造体が、XeFドライ開放技術により作製される。このようなメカニカル構造体は、フォトニックセンサとして好適である。InGaN/GaNを用いることはさておき、AlGaN/GaNのFETカンチレバーは、バルクのシリコンプラットフォームおよびSOIプラットフォームの両方の上に形成することができる。メカニカル構造体のアンダーカットエッチングは、非常に選択的であり、また、最終的なデバイスの開放は、シリコンおよびSOIのXeFドライエッチングにより達成される。
【0113】
さらに別の実施形態では、GaN系アンダーカットマイクロディスクLED構造体が提供される。図18(a)は、この実施形態におけるマイクロディスクLED構造体1802の光学顕微鏡写真1800である。図18(b)は、この実施形態におけるマイクロディスクLED構造体1806のSEM写真1804である。図18(c)は、この実施形態におけるマイクロディスクLED構造体1806についてエレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルを測定した際におけるエレクトロルミネッセンス(EL)強度と波長との関係を示すグラフである。
【0114】
この実施形態においては、鉛直なマイクロディスクLED構造体は、上面にp−結合パッドおよびp−接合メタライゼーションの形成処理が行なわれる。このようなマイクロディスクLEDデバイスの代表的なエレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルを図18(c)に示す。InGaN/GaN多重量子井戸を有するアンダーカットLEDは、下層であるSi層をXeFエッチングすることなくマイクロ構造とされたLEDと比較して、青および緑のEL強度を増大させることができることが確認された。XeFエッチングによりSiを選択的に除去することによって、可視光抽出効率を大きく改善できることが、このようなマイクロディスクLEDを、一般的な照明へ適用できるという可能性を示している。このようなアンダーエッチングされた構造体においては、エッジの接合部温度が高いため、白色光に適用するために必要となる高い駆動電流条件下においても、波長安定性を保つことができる。このようなLEDの形成工程は、マイクロ−オプトメカニカルシステムやレゾネータにも適用することができる。
【0115】
図19は、マイクロメカニカル構造体の形成方法を示すフローチャート1900である。ステップ1902においては、シリコン(Si)系基板が供給される。ステップ1904においては、マイクロメカニカル要素が基板上に直接形成される。ステップ1906においては、アンダーカットが、凹部状に、マイクロメカニカル要素の開放された部分の下に形成される。ステップ1908では、凹部がSi系基板に形成される。
【0116】
上述した実施形態においては、II−VI幅のバンドギャップを有する半導体マイクロメカニカル構造体や、III−V幅のバンドギャップを有する半導体マイクロメカニカル構造体を、SOI基板上に形成することができる。SOI基板は、ウェハボンディングおよび/または酸素注入による分離(SIMOX)により調製することができる。SOIプラットフォームは、(100)および(111)の両方の配向を有することとなる。シリコン被覆層の厚みを精密に制御することで、異なる配向性を有するSOI基板における応力を調整することができる。II−VIのワイドバンドギャップを有する構造体としては、様々な厚みの単一構造およびヘテロ構造の形状を有する材料であるZnO、Zn(Mg)O、Zn(Cd)OおよびZnSが含まれる。III−Vのワイドバンドギャップを有する構造体としては、様々な厚みの単一構造およびヘテロ構造の形状を材料であるGaN、AlN、AlGaN、InGaNおよびInNが含まれる。この実施形態においては、バルクのSi基板およびSOI基板上に形成された多結晶ダイヤモンドマイクロメカニカル構造体およびナノ結晶ダイヤモンドマイクロメカニカル構造体にも適用することができる。II−VIおよびIII−Vのワイドバンドギャップ層は、張出し構造を実現するために用いられ、また、シリコンの犠牲層エッチング後における残留応力を制御することができる。ドライエッチングのためのシリコン基板は、標準的なリソグラフィー技術により照射が行なわれる。また、この実施形態によれば、バルクのSiプラットフォームまたはSOIプラットフォーム上に形成されたInGaN/GaN系、AlGaN/GaN系、ZnMgO/ZnO系などの発光ダイオード(LED)のような材料からなる光電子デバイスなどのワイドバンドギャップを有する半導体マイクロメカニカル構造体を提供することができる。さらに、この実施形態によれば、AlGaN/GaN系、InAlN/GaN系、ZnO/GaN系などのハイブリッド電界効果トランジスタ(FET)および高電子移動トランジスタ(HEMT)のような材料からなるマイクロ光電子デバイスなどのワイドバンドギャップを有する半導体メカニカル構造体を提供することができる。
【0117】
上述した実施形態では、SiおよびSOIの犠牲的な開放を、種々の成長技術を用いて、ワイドバンドギャップを有する構造体の堆積を行なった後に行う。SOIおよびバルクのSi上に、格子が不整合であったり熱的に不整合である材料を成長させることによる成長に起因する応力が存在する。デバイスを開放した後においては、曲げ応力成分が発生し、このような曲げ応力成分は層の厚さおよび幾何学的なサイズに依存する。このような応力は、予めデザインされた成長に起因ずる応力により、大きく影響されることとなる。このように、これらのパラメータをコントロールすることにより、犠牲的なドライ開放を用いて、機械的な構造が、予測される応力値とともにデザインされる。
【0118】
上述の特定の実施形態に示されているように、広く規定された本発明の趣旨および範囲内において、様々な変更および/または修正を行うことができることは本技術分野における当業者であれば、理解することができる。それゆえ、上述の本実施形態は、本発明を説明するためのものであって、本発明を限定するためのものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン(Si)系基板と、
前記基板上に直接形成されたマイクロメカニカル要素と、
前記マイクロメカニカル要素の開放された部分の下に形成されたアンダーカットと、を備え、
前記アンダーカットは、前記シリル系基板に形成された凹部状のものであることを特徴とするマイクロメカニカル構造体。
【請求項2】
前記Si系基板が、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項3】
前記SOI基板のSi被覆層の厚みは、前記マイクロメカニカル要素の開放された部分の応力をコントロールするために選択されることを特徴とする請求項2に記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項4】
前記凹部が、実質的に、前記SOI基板のSi被覆層の厚さ部分まで伸びていることを特徴とする請求項2または3に記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項5】
前記厚みが、約10nm〜10μmの範囲であることを特徴とする請求項3または4に記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項6】
前記SOI基板が、ウェハボンディング若しくはイオン打ち込み法(SIMOX)、またはこれらの両方の方法を用いて得られたものであることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項7】
前記SOI基板の結晶配向は、前記マイクロメカニカル要素の開放された部分の応力をコントロールするために選択されることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項8】
前記結晶配向が、(100)または(111)であることを特徴とする請求項7に記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項9】
前記Si系基板が、バルクのSi基板からなることを特徴とする請求項1に記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項10】
前記バルクのSi基板の結晶配向が、(100)または(111)であることを特徴とする請求項9に記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項11】
前記マイクロメカニカル要素が、ZnO、Zn(Mg)O、Zn(Cd)O、ZnS、GaN、AlN、AlGaN、InGaN、InN、多結晶ダイヤモンド、およびナノ結晶ダイヤモンドからなる群から選択される1または2以上の材料で構成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項12】
前記凹部が、ドライエッチングプロセスを用いて、Si系基板中に形成されたものであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項13】
前記ドライエッチングプロセスが、XeFを用いるものであることを特徴とする請求項12に記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項14】
前記マイクロメカニカル要素が、オプトエレクトロニクスデバイスであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項15】
前記マイクロメカニカル要素が、マイクロエレクトロニクスデバイスであることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項16】
前記オプトエレクトロニクスデバイスが、発光ダイオード(LED)であることを特徴とする請求項14に記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項17】
前記マイクロエレクトロニクスデバイスが、1または2以上の電界効果トランジスタ(FET)であることを特徴とする請求項15に記載のマイクロメカニカル構造体。
【請求項18】
シリコン(Si)系基板を準備する工程と、
前記基板上に直接、マイクロメカニカル要素を形成する工程と、
前記マイクロメカニカル要素の開放された部分の下に、凹部状のアンダーカットを形成する工程と、
前記Si系基板に凹部を形成する工程と、を有するマイクロメカニカル構造体の製造方法。
【請求項19】
前記Si系基板が、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板であることを特徴とする請求項18に記載のマイクロメカニカル構造体の製造方法。
【請求項20】
前記マイクロメカニカル要素の開放された部分の応力をコントロールするために、前記SOI基板のSi被覆層の厚みを選択する工程をさらに有することを特徴とする請求項19に記載のマイクロメカニカル構造体の製造方法。
【請求項21】
前記凹部が、実質的に、前記SOI基板のSi被覆層の厚さ部分まで伸びていることを特徴とする請求項19または20に記載のマイクロメカニカル構造体の製造方法。
【請求項22】
前記厚みが、約10nm〜10μmの範囲であることを特徴とする請求項20または21に記載のマイクロメカニカル構造体の製造方法。
【請求項23】
前記SOI基板が、ウェハボンディング若しくはイオン打ち込み法(SIMOX)、またはこれらの両方の方法を用いて得られたものであることを特徴とする請求項19〜22のいずれかに記載のマイクロメカニカル構造体の製造方法。
【請求項24】
前記マイクロメカニカル要素の開放された部分の応力をコントロールするために、前記SOI基板の結晶配向を選択する工程をさらに有することを特徴とする請求項19〜23のいずれかに記載のマイクロメカニカル構造体の製造方法。
【請求項25】
前記結晶配向が、(100)または(111)であることを特徴とする請求項24に記載のマイクロメカニカル構造体の製造方法。
【請求項26】
前記Si系基板が、バルクのSi基板からなることを特徴とする請求項18に記載のマイクロメカニカル構造の製造方法体。
【請求項27】
前記バルクのSi基板の結晶配向が、(100)または(111)であることを特徴とする請求項26に記載のマイクロメカニカル構造体の製造方法。
【請求項28】
前記マイクロメカニカル要素が、ZnO、Zn(Mg)O、Zn(Cd)O、ZnS、GaN、AlN、AlGaN、InGaN、InN、多結晶ダイヤモンド、およびナノ結晶ダイヤモンドからなる群から選択される1または2以上の材料で構成されていることを特徴とする請求項18〜27のいずれかに記載のマイクロメカニカル構造体の製造方法。
【請求項29】
前記凹部状のアンダーカットの形成が、ドライエッチングプロセスを用いて行なわれることを特徴とする請求項18〜28のいずれかに記載のマイクロメカニカル構造体の製造方法。
【請求項30】
前記ドライエッチングプロセスが、XeFを用いるものであることを特徴とする請求項29に記載のマイクロメカニカル構造体の製造方法。
【請求項31】
前記マイクロメカニカル要素が、オプトエレクトロニクスデバイスであることを特徴とする請求項18〜30のいずれかに記載のマイクロメカニカル構造体の製造方法。
【請求項32】
前記マイクロメカニカル要素が、マイクロエレクトロニクスデバイスであることを特徴とする請求項18〜31のいずれかに記載のマイクロメカニカル構造体の製造方法。
【請求項33】
前記オプトエレクトロニクスデバイスが、発光ダイオード(LED)であることを特徴とする請求項31に記載のマイクロメカニカル構造体の製造方法。
【請求項34】
前記マイクロエレクトロニクスデバイスが、1または2以上の電界効果トランジスタ(FET)であることを特徴とする請求項32に記載のマイクロメカニカル構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2010−509081(P2010−509081A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536205(P2009−536205)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【国際出願番号】PCT/SG2007/000386
【国際公開番号】WO2008/057055
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(509128890)エージェンシー フォー サイエンス, テクノロジー アンド リサーチ (1)
【氏名又は名称原語表記】AGENCY FOR SCIENCE,TECHNOLOGY AND RESEARCH
【住所又は居所原語表記】20 Biopolis Way, #07−01 Centros, Singapore 138668
【Fターム(参考)】