ルテニウム金属キャップ層を形成する方法
ルテニウム(Ru)金属の堆積を半導体デバイスの製造に統合することで、銅(Cu)金属のエレクトロマイグレーション及びストレスマイグレーションを改善する方法が供される。本発明の実施例は、NHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって、金属層及びlow-k誘電材料を含むパターニングされた基板を処理することで、前記low-k誘電材料に対する前記金属層上でのRu金属キャップ層の選択形成を改善する方法を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体処理及び半導体デバイスに関し、より詳細には、半導体デバイスを製造するためのルテニウム(Ru)金属膜の選択成長方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、様々な半導体デバイス及び複数の金属パスを有する。前記複数の金属パスは、前記半導体デバイスに電力を供し、かつこれらの半導体デバイスが、情報の共有及びやり取りを行うことを可能にする。集積回路内部では、金属層は、該金属層を互いに分離する金属間すなわち層間誘電層を用いることによって、相互に堆積される。通常各金属層は、少なくとも1層の追加の金属層との電気的コンタクトを形成しなければならない。そのような電気的コンタクトは、金属層を分離する層間誘電体中にエッチングにより穴(すなわちビア)を形成し、かつエッチングにより形成されたビアに金属を充填することで相互接続を形成することによって実現される。「ビア」とは通常、凹部を有する構造を指称する。凹部を有する構造とはたとえば、誘電層内部に形成された穴、ライン、又は、他の構造であって、金属が充填されるときには、誘電層を貫通して該誘電層の下に存在する導体層への電気的接続を供するものである。同様に、2つ以上のビアを接続する凹部を有する構造は通常トレンチと呼ばれる。
【0003】
集積回路を製造する多層メタライゼーション法において銅(Cu)金属を用いることで、解決が求められる複数の問題が生じる。たとえば誘電材料及びSi中でのCu原子の移動度が高いことで、これらの材料へのCu原子のマイグレーションが生じる恐れがある。その結果、集積回路を破壊させる恐れのある電気的欠陥が形成される。従って、Cu金属層、Cuが充填されたトレンチ、及びCuが充填されたビアは通常、Cu原子が誘電層へ拡散するのを防止するためのバリア層によって封止される。バリア層は通常、Cuの堆積前に、トレンチ及びビアの側壁と底部に堆積され、好適にはCuとは反応も混和もしない材料を有し、前記誘電材料に対する良好な接合を供し、かつ低電気抵抗を供して良い。集積回路の相互接続における電流密度は、各連続するテクノロジーノードで顕著に増大する。エレクトロマイグレーション(EM)及びストレスマイグレーション(SM)の寿命は電流密度に反比例するので、EM及びSMは早晩重要課題となる。Cuデュアルダマシン相互接続構造におけるEM寿命は、バルクCu金属と周辺材料(たとえばキャップ層)の界面での原子Cuの輸送に強く依存する。原子Cuの輸送はこれらの界面での接合に直接相関する。良好な接合及び良好なEM寿命を供する新たなキャップ材料が精力的に研究されてきた。たとえばコバルト−タングステン−リン(CoWP)層は、無電解メッキ法を用いることによってバルクCu金属上に選択的に堆積された。CoWPとバルクCu金属の界面は、長いEM寿命を与える優れた接合強度を有する。しかし、特に密なピッチでのCu配線について、バルクCu金属上で許容可能な堆積選択性を維持し、かつ良好な膜の均一性を維持することは、この複雑なプロセスの許容度に影響を及ぼしてきた。しかも酸性溶液を用いたウエットプロセスは、CoWPの使用にとって有害であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第12/018074号明細書
【特許文献2】米国特許出願第11/173814号明細書
【特許文献3】米国特許出願第12/173814号明細書
【特許文献4】米国特許第5024716号明細書
【特許文献5】米国特許第7270848号明細書
【特許文献6】米国特許出願第11/853393号明細書
【特許文献7】米国特許出願第11/998420号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、Cuに対する良好な接合を供し、かつバルクCu金属のEM及びSM特性を改善する金属キャップ層を堆積する新たな方法が求められている。特にこれらの方法は、誘電体表面と比較して、金属表面上での金属の堆積について良好な選択性を供するものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例は、Ru金属堆積を半導体デバイスの製造と統合することで、Cuメタライゼーションにおけるエレクトロマイグレーションとストレスマイグレーションを改善する方法を供する。本発明の実施例は、Cuパスと誘電体領域を有する平坦化された基板の処理に対して、前記誘電体領域上に対して前記Cuパス上にRuキャップ層を選択的に形成する前に適用されて良い。前記処理は、前記平坦化された基板から残留物と銅酸化物を除去することができる。一例では、前記残留物は、化学機械平坦化(CMP)法において用いられる有機材料を有して良い。
【0007】
本発明の一の実施例によると、当該方法は、プラズマ処理チャンバ内にパターニングされた基板を供する工程を有する。前記パターニングされた基板は、low-k誘電材料内に形成された凹部構造と該凹部構造の底部に設けられた第1メタライゼーション層を有する。当該方法はさらに、NH3を含む第1処理気体から、前記プラズマ処理チャンバ内に生成されるNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって、前記パターニングされた基板を処理する工程;前記第1メタライゼーション層上に第1ルテニウム(Ru)金属キャップ層を形成する工程であって、前記第1メタライゼーション層上には、前記low-k誘電材料上及び前記第1Ru金属キャップ層上が含まれる、工程;前記凹部構造内にバリア層を堆積する工程;並びに前記凹部構造を銅(Cu)金属で充填する工程、を有する。
【0008】
本発明の他の実施例によると、当該方法はさらに、前記充填に続いて、Cuパス及びlow-k誘電体領域を有する実質的に平坦な面を形成する工程;NH3を含む第2処理気体から、前記プラズマ処理チャンバ内に生成されるNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって、前記Cuパス及び前記low-k誘電体領域を処理する工程;並びに、前記の処理されたCuパス上に第2Ru金属キャップ層を形成する工程、を有する。
【0009】
本発明のさらに他の実施例によると、当該方法は、プラズマ処理チャンバ内の基板ホルダ上にパターニングされた基板を供する工程であって、前記パターニングされた基板はCuパス及びlow-k誘電体領域を有する実質的に平坦な面を有する、工程;前記プラズマ処理チャンバ内に生成されるNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって、前記Cuパス及び前記low-k誘電体領域を処理する工程;並びに、前記の処理されたCuパス上にRu金属キャップ層を形成する工程、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本発明の実施例による様々な処理条件を用いた処理後のlow-k材料表面のC/Si比、N/Si比、及びO/Si比を図示している。
【図1B】本発明の実施例によるCu金属上に対する被処理low-k材料上での金属堆積の選択性を図示している。
【図2】AとBは、疎水性表面と親水性表面を含むSiCOH low-k材料の概略的断面を図示している。
【図3】A-Fは、本発明の実施例によるデュアルダマシン相互接続構造中にRu金属キャップ層を統合する概略的断面図を示している。
【図4】本発明の実施例による基板を処理するためのプラズマ処理チャンバの概略図を示している。
【図5】本発明の実施例によるRu金属膜を堆積する熱化学気相成長(TCVD)システムの概略図を示している。
【図6】本発明の他の実施例によるRu金属膜を堆積する他のTCVDシステムの概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明及び本発明の利点をより完全な評価は、以降の詳細な説明を、特に添付図面と共に考慮しながら参照することですぐに明らかとなる。
【0012】
本発明の実施例は、Ru金属キャップ層を半導体デバイスのCuメタライゼーションへ統合することで前記半導体デバイスのエレクトロマイグレーション(EM)及びストレスマイグレーション(SM)を改善する方法を供する。当該方法は、Cuパス間の誘電体表面上に対する金属表面−たとえばCuパス−上のRu金属キャップ層堆積の選択性を改善する。選択的Ru金属堆積の結果、Cuパス間の誘電体領域上のRu金属不純物が減少し、かつライン間破壊及び電気的な漏れについての許容範囲が改善される。
【0013】
low-k SiCOH材料を半導体製造に統合することで、複数の問題が生じる。たとえばこれらの材料は脆性(つまり小さな凝集強さ、破断点伸度、及び低破壊靱性を有する)であり、液体の水及び水蒸気はその材料の凝集強さをさらに減少させ、かつ、炭素(C)がSi-CH3基として結合する場合、low-k SiCOH材料はすぐにレジスト剥離プラズマ及び他の統合プロセス統合プロセスと化学反応することで、これらの材料は損傷する。誘電体領域上に対するCuパス上へのRu金属キャップ層の堆積の選択性を改善するため、本願発明者らは、Ru金属の堆積前でのCu金属を含む基板及びlow-k誘電材料を含む基板の各異なる表面処理の影響を調べた。Low-k誘電材料は、SiO2よりも小さな誘電率(k)(k〜3.9)を有する誘電材料である。
【0014】
図1Aは、受け取った状態のlow-k材料表面及び各異なる処理条件を用いて処理された後の前記low-k材料表面のX線光電子分光(XPS)測定から得られた炭素(C)/Si、窒素(N)/Si、及び酸素(O)/Siの比を示している。調べたlow-k材料は、アプライドマテリアル(Applied Materials)社から市販されているBLACK DIAMOND(登録商標)II (BDII)SiCOH材料であった。BDIIは300mmSiウエハ上に堆積され、150nmの厚さを有する。Siウエハは真空処理装置へ導入された。一旦真空処理装置へ導入されると、Siウエハは最初、アルゴン(Ar)ガス雰囲気中において基板(ウエハ)温度350℃にて80秒間脱ガスされた。脱ガスは、SiCOH材料表面から不純物−たとえば水及び他の残留ガス−を除去するために行われた。
【0015】
脱ガスに続いて、Siウエハの一部は、様々な処理条件を用いることによってさらに処理された。また表1を参照すると、様々な処理条件は、260℃の基板温度での60秒間の処理気体の曝露を有する。処理条件は、処理条件#3)気体圧力1.5Torrでの熱(非プラズマ)処理におけるH2気体;処理条件#4)中程度の高周波(RF)出力(700W)及び3Torrの気体圧力を用いてプラズマ励起されたH2気体;処理条件#5)高周波(RF)出力(700W)及び3Torrの気体圧力を用いてプラズマ励起されたH2気体;処理条件#6)気体圧力が1Torrで熱(非プラズマ)処理におけるNH3気体;処理条件#7)50Wの低RF出力及び1Torrの気体圧力を用いてプラズマ励起されたNH3気体;処理条件#8)50Wの低RF出力及び3Torrの気体圧力を用いてプラズマ励起されたNH3気体;並びに、処理条件#8)50Wの低RF出力及び1Torrの気体圧力を用いてプラズマ励起されたN2/H2混合気体(500sccmNH3+2000sccmH2)を有する。処理条件#3)-#6)を用いた処理が、スロット面アンテナ(SPA)を有するプラズマ処理チャンバ内で実行された。SPAを有するプラズマ処理チャンバは特許文献4に記載されている。処理条件#7)-#9)を用いた処理が、図4に概略的に図示されたプラズマ処理システム内で実行された。
【0016】
【表1】
表1に記載された処理に続いて、Siウエハが真空処理装置から取り外され、かつC/Si、N/Si、及びO/Si比がXPSによって大気中で測定された。表1及び図1Aでは、参照用試料とは、XPS解析前には脱ガスもさらなる処理も行われない受け取ったままのSiCOH材料のことを指称する。図1Aは、処理条件#4)、#5)、#7)、及び#9)を用いたプラズマ処理の結果、処理条件#1)SiCOH参照用(未処理)、処理条件#2)脱ガスのみ、処理条件#3)及び#6)を用いた非プラズマ処理、並びに、高い気体圧力でプラズマ励起されたNH3気体を用いて、NHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルを生成する処理条件#8)を用いた処理と比較して、C/Si比が低くなることを示している。
【0017】
図2A及び図2Bは、疎水性表面及び親水性表面をそれぞれ有するSiCOH low-k材料の概略的断面図を示している。図2Aは、疎水性表面214を含むSiCOH low-k材料204を概略的に図示している。表面214は金属前駆体吸着位置をほとんど有していないので、表面214に金属前駆体を曝露する結果、潜伏期間が長くなり、かつ疎水性表面214上での金属の堆積が遅延する。
【0018】
図2Bは、親水性表面214’を含むSiCOH low-k材料204’を概略的に図示している。親水性表面214’は、図2Aの表面214からCHx基を除去することによって生成された複数の金属前駆体吸着位置230を有する。吸着位置230の存在は、図2Aの疎水性表面214と比較して、金属堆積の潜伏期間を顕著に減少させると考えられる。図1Aに戻ると、処理条件#4)、#5)、#7)、及び#9)を用いたプラズマ処理で観測されるC/Si比が低いのは、プラズマ処理による疎水性表面214からのCHxの除去によって親水性表面214’が生成されるためと考えられる。しかし本願発明者らは、処理条件#8)を用いたプラズマ処理は、C/Si比を大きく変化させないことを発見した。この結果は、処理条件#4)、#5)、#7)、及び#9)を用いたプラズマ処理におけるHイオンとNHx(x<3)イオンへのSiCOH low-k材料の曝露と比較して、処理条件#8)を用いたプラズマにおけるNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルへのSiCOH low-k材料の曝露に起因すると考えられる。本発明の実施例によると、Ru金属キャップ層堆積にとっては疎水性表面214が好まれる。その理由は疎水性表面214は、Cu金属上及びRu金属堆積の潜伏期間を短くする他の金属上での選択的なRu金属キャップ層の堆積を可能にし、かつ改善する。
【0019】
図1Bは、本発明の実施例による、Cu金属に対する被処理low-k材料上でのRu金属の堆積の選択性を図示している。前述した図1Aを参照すると、様々な処理条件が記載されている。各処理プロセスに続いて、Ru金属膜が、被処理low-k材料を大気曝露することなくその場で堆積された。比較用に、Ru金属膜もまた、イオン化物理気相成長(IPVD)法によって300mmSiウエハ上に形成されたCu金属膜上に堆積された。全てのRu金属膜は、Ru3(CO)12前駆体蒸気及びCOキャリア気体を含む処理気体を用いた熱CVD(非プラズマ)処理によって堆積された。Siウエハは、基板温度190℃で60秒間処理気体に曝露されることで、Cu金属膜上に厚さ4-5nmのRu金属膜が形成された。しかしlow-k材料表面上のRu金属の量はわずかなものである。Cu金属膜上のRu金属膜の厚さは、半導体デバイス中のCuパス上のRu金属キャップ層及びメタライゼーション層において用いることのできる厚さに匹敵して良い。
【0020】
図1Bでは、Ru金属のCVD選択性(SRu)が(1)式に従って計算された。
SRu=(RuCu-Rulow-k)/RuCu (1)
ここで、RuCuはCu金属膜上に堆積されたRu金属の量を表し、かつRulow-kはlow-k材料上に堆積されたRu金属の量を表す。(1)式によると、選択性が1であるとは、low-k材料上に対するCu金属膜上でのRu金属堆積が理想の選択性を示すことを意味し、かつ、選択性が0であるとは、low-k材料上に対するCu金属膜上でのRu金属堆積が選択性を示さないことを意味する。RuCu及びRulow-kはその場X線蛍光(XRF)分光法によって測定された。Ru3(CO)12及びCOキャリアガスを用いたRu金属堆積の例は特許文献1、5、及び6に記載されている。また表1を参照すると、図1Bは、脱ガスのみが行われたlow-k材料、H2ガス中で熱処理(非プラズマ)されたlow-k材料、又は高い気体圧力のNH3ガスでのプラズマ処理でRu金属堆積の選択率が最高となったことを示している。比較すると、処理条件#4)、#5)、#7)、及び#9)を用いてプラズマ処理されたlow-k材料ではRu金属堆積の選択性は顕著に減少した。
【0021】
まとめると、図1A及び図1Bに示された実験結果は、高いC/Si比が高いRu金属堆積選択率と相関している可能性があることを示している。脱ガスしか行われなかったlow-k材料が良好なRu金属堆積選択率を示しているとはいえ、脱ガスのみでは、Cuパス上に形成された酸化されたCuの除去に有効であるとはいえない。しかし本発明の実施例によると、高い気体圧力でのNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによるパターニングされた基板の処理は、Cuパスから酸化されたCuを除去し、かつCuパス上での優れたRu金属堆積選択性を供する。
【0022】
本発明の実施例は、low-k材料を含むパターニングされた基板上の被処理金属表面(たとえばCu金属)上でのRu金属膜の高選択堆積方法を供する。パターニングされた基板は、Cu金属によって少なくとも実質的に充填されたlow-k誘電材料中の高アスペクト比の凹部を有することが可能なので、前記凹部内にCuパスが形成される。本発明の一の実施例によると、凹部は、パターニングされた基板内に形成されたトレンチ及びビアを含むデュアルダマシン相互接続構造を有して良い。ビアは、約2:1以上のアスペクト比(深さ/幅)−たとえば3:1、4:1、5:1、6:1、12:1、15:1又はそれ以上−を有して良い。ビアは約200nm以下の幅−たとえば150nm、100nm、65nm、45nm、32nm、20nm、又はそれ以下−を有して良い。しかし本発明の実施例はこれらのアスペクト比又はビアの幅に限定されない。他のアスペクト比又はビアの幅が利用されて良い。
【0023】
図3A-3Eは、本発明の実施例によるデュアルダマシン相互接続構造にRu金属膜を統合する様子の概略的断面を図示している。図3Aは、本発明の実施例によるデュアルダマシン相互接続構造300を含むパターニングされた基板の概略的断面を図示している。デュアルダマシン相互接続構造300は、当業者にとって既知の標準的なリソグラフィ及びエッチング法を用いることによって形成されて良い。本発明の実施例はまた、low-k材料中に形成される単純又は複雑なデュアルダマシン相互接続構造及び他の種類の凹部に適用されても良い。
【0024】
図3Aでは、デュアルダマシン相互接続構造300は、誘電層304中でのエッチングにより形成されたトレンチ352とビア354を含む凹部350を有する。さらにデュアルダマシン相互説構造300は、ビア354の底部にメタライゼーション層302(たとえばCu金属又はタングステン(W)金属)を有する。誘電層304はたとえば、たとえばフッ化シリコンガラス(FSG)のようなlow-k誘電材料、炭素がドーピングされた酸化物、ポリマー、SiCOH含有low-k材料、非有孔性low-k材料、有孔性low-k材料、CVD low-k材料、スピンオン誘電体(SOD)low-k材料、又は他の適切な誘電材料を有して良い。BDIIに加えて、他の炭素含有材料が市販されている。そのような市販された他の炭素含有材料には、ダウケミカル(Dow Chemical)から販売されているSilk(登録商標)及びCyclotene(登録商標)(ベンゾシクロブテン)が含まれる。図示されてはいないが、相互接続構造300は追加の層を有して良い。追加の層とはたとえば、誘電層301と304との間に設けられたトレンチエッチストップ層、ビアエッチストップ層、及び、誘電層301からメタライゼーション層302を分離するバリア層である。
【0025】
本発明の一の実施例によると、図3Aに図示されたパターニングされた基板は、NH3を有する処理気体から、プラズマ処理チャンバ内に生成されるNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって処理される。前記処理は、パターニングされた基板を500℃未満−たとえば150℃〜400℃−の基板温度にまで加熱する工程を有して良く、かつたとえばアルゴン(Ar)のような希ガスを有して良い。一例では、純粋なNH3が用いられて良い。一例では、10:1のNH3/Ar混合気体が用いられて良い。一例では、プラズマ処理チャンバ内の処理気体の気体圧力は1Torrより大きい。1Torrより大きな圧力とはたとえば、2Torr、3Torr、又はそれ以上の圧力である。一例では、100W未満のRF出力を、基板(ウエハ)を支持するように備えられた基板ホルダへ印加することによって、プラズマ処理チャンバ内にプラズマが生成される。RF出力はたとえば、90、80、70、60、50[W]又はそれ以下のワット数を有して良い。本発明の実施例によると、処理中、プラズマ条件は、プラズマ中に生成されたイオンへの基板の曝露が抑制されるように選ばれる。これは、NHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルに基板を曝露するが、プラズマ中に生成されるイオンへの基板の曝露を抑制する処理気体の高い気体圧力及びプラズマ出力を用いることによって実現されて良い。
【0026】
前記処理に続いて、図3Bに図示されているように、第1Ru金属キャップ層312が、メタライゼーション層302上に形成されて良い。本発明の一の実施例によると、第1Ru金属キャップ層312は、メタライゼーション層302上で選択的に堆積されて良い。第1Ru金属キャップ層312はたとえば、パターニングされた基板を100℃〜300℃の基板温度にまで加熱しながら堆積されて良い。第1Ru金属キャップ層312は、Ru3(CO)12前駆体蒸気及びCO気体を含む処理気体を用いるTCVDプロセスによって堆積されて良い。一例では、第1Ru金属キャップ層312の平均厚さは約2〜100Å−たとえば2、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100Å−であって良い。しかし、本発明の実施例はそれらの厚さに限定されるわけではない。より厚い第1Ru金属キャップ層312が形成及び利用されても良い。メタライゼーション層302上の第1Ru金属キャップ層312の表面被覆は、メタライゼーション層302を露出させるギャップが存在する不完全な状態であって良い。一の実施例によると、第1Ru金属膜の処理及び堆積は同一処理チャンバ内で実行されて良い。あるいはその代わりに、第1Ru金属膜の処理及び堆積は各異なる処理チャンバ内で実行されても良い。
【0027】
本発明の一の実施例によると、第1Ru金属キャップ層312は、図3Bに図示されたデュアルダマシン相互接続構造300から省略されて良い。
【0028】
図3Cは、凹部350内に形成されたバリア層318及び凹部350内のバリア層318上に形成された平坦化されたCuパス322を概略的に図示している。平坦化されたCuパス322は、凹部350をバルクCu金属で充填し、かつ平坦化法−たとえば化学機械研磨(CMP)法を用いて余剰Cuを除去することによって形成されて良い。前記平坦化法はさらに、図3Cにおいて概略的に図示されているように、low-k誘電領域314からバリア層318を除去する。バルクCu金属堆積法は当業者にとって周知であり、かつたとえば電気化学メッキ法又は無電解メッキ法を有して良い。さらにCMP法は当業者には周知である。図3Cには1つのCuパス322しか図示されていないが、当業者は、半導体デバイスが複数のCuパスを有することを十分理解している。
【0029】
バリア層318はたとえば、タンタル(Ta)含有材料(たとえばTa、TaC、TaN、若しくはTaCN、又はこれらの組み合わせ)、チタン(Ti)含有材料(たとえばTi、TiN、又はこれらの組み合わせ)、又はタングステン(W)含有材料(たとえばW、WN、又はこれらの組み合わせ)を有して良い。一例では、バリア層318は、第三級アミルイミド-トリス-ジメチルアミドタンタル(Ta(NC(CH3)2C2H5)(N(CH3)2)3)及びH2の交互曝露を用いることによって、プラズマ原子層堆積(PEALD)システム内で堆積されたTaCNを有して良い。他の例では、バリア層318は、Ta含有層又はTi含有層上に形成されるRu金属層−たとえばRu/TaN、Ru/TaCN、Ru/TiN、又はRu/TiCN−を有して良い。さらに他の例では、バリア層318は、RuとTa含有材料との混合物又はRuとTi含有材料との混合物−たとえばRuTaN、RuTaCN、RuTiN、又はRuTiCN−を有して良い。
【0030】
さらに図3Cを参照すると、low-k誘電領域314は、残留物317とCuパス322上に形成された銅酸化物層315を有して良い。残留物317及び銅酸化物層315は、CMP法によって形成されて良い。残留物317は、CMP法において一般的に用いられる化学剤であるベンゾトリアジン(BTA)を有して良い。他の実施例によると、残留物317及び/又は銅酸化物層315は、図3Cの構造に存在しなくても良い。
【0031】
本発明の一の実施例によると、図3Cのデュアルダマシン相互接続構造の形成に続いて、平坦化されたバルクのCuパス322とlow-k誘電領域314は、NH3を含む処理気体からプラズマ中に生成されるNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって処理される。その結果形成された構造が図3Dに図示されている。前記処理は、パターニングされた基板を500℃未満−たとえば150℃〜400℃−の基板温度にまで加熱する工程を有して良く、かつたとえばアルゴン(Ar)のような希ガスを有して良い。一例では、純粋なNH3が用いられて良い。一例では、10:1のNH3/Ar混合気体が用いられて良い。一例では、プラズマ処理チャンバ内の処理気体の気体圧力は1Torrより大きい。1Torrより大きな圧力とはたとえば、2Torr、3Torr、又はそれ以上の圧力である。一例では、100W未満のRF出力を、基板(ウエハ)を支持するように備えられた基板ホルダへ印加することによって、プラズマ処理チャンバ内にプラズマが生成される。本発明の実施例によると、処理中、プラズマ条件は、プラズマ中に生成されたイオンへの基板の曝露が抑制されるように選ばれる。これは、NHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルに基板を曝露するが、プラズマ中に生成されるイオンへの基板の曝露を抑制する処理気体の高い気体圧力及びプラズマ出力を用いることによって実現されて良い。
【0032】
前記処理に続いて、図3Eに図示されているように、第2Ru金属キャップ層324が、被処理平坦化Cuパス322上に選択的に堆積される。第2Ru金属キャップ層312はたとえば、パターニングされた基板を100℃〜300℃の基板温度にまで加熱しながら堆積されて良い。第2Ru金属キャップ層324は、Ru3(CO)12前駆体蒸気及びCO気体を含む処理気体を用いるTCVDプロセスによって堆積されて良い。一例では、第1Ru金属キャップ層312の平均厚さは約2〜100Å−たとえば2、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100Å−であって良い。しかし、本発明の実施例はそれらの厚さに限定されるわけではない。より厚い第2Ru金属キャップ層324が形成及び利用されても良い。
【0033】
一の実施例によると、Cuパス322上の第2Ru金属キャップ層324の表面被覆は、平坦化されたCiuパス322を露出させるギャップが存在する不完全な状態であって良い。一の実施例によると、前記処理及びRu金属膜の堆積は同一処理チャンバ内で実行されて良い。あるいはその代わりに、前記処理及びRu金属膜の堆積は各異なる処理チャンバ内で実行されても良い。
【0034】
Cuパス322上での第2Ru金属キャップ層324の選択的堆積に続き、図3Eに図示された一部が製造された半導体デバイスがさらに処理される。図3Fは、第2Ru金属キャップ層324及びlow-k誘電領域314上に堆積されたコンフォーマルなキャップ層326を図示している。キャップ層326はたとえば、シリコン窒化物又はシリコン炭窒化物を有して良い。本発明の一の実施例によると、キャップ層326を堆積する前に、第2Ru金属キャップ層324及びlow-k誘電領域314は、H2、N2、及び/又はNH3が存在する中で、パターニングされた基板を150℃〜400℃の基板温度にまで加熱しながら、プラズマ処理又は非プラズマ処理によって処理されて良い。一例では、第2Ru金属キャップ層324及びlow-k誘電領域314は、上述のNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって処理されて良い。
【0035】
図4は、本発明の実施例による、基板を処理するプラズマ処理システムの概略図を示している。処理システム400は、基板425を支持するように備えられている基板ホルダ420を有する処理チャンバ410を有する。処理チャンバ410はさらに、処理気体供給システム440及びパージガス供給システム442と結合する上部集合体430を有する。それに加えてプラズマ処理システム400は、基板ホルダ420と結合して基板425の温度の昇温及び制御を行うように備えられた基板温度制御システム460を有する。
【0036】
さらに図4を参照すると、プラズマ処理システム400は、200mm基板、300mm基板、又はより大きなサイズの基板を処理するように備えられて良い。実際、当業者には明らかなように、当該プラズマ処理システム400は、基板、ウエハ、LCDをそのサイズに関係なく処理するように備えられて良いと考えられる。従って本発明の態様は半導体基板の処理に関連して説明されているが、本発明は半導体基板の処理のみに限定されるわけではない。
【0037】
処理気体供給システム440は、処理気体を処理チャンバ410へ導入するように備えられる。本発明の実施例によると、処理気体は、NH3又はNH3と不活性気体を含んで良い。それに加えてパージガス供給システム442は、パージガスを処理チャンバ410へ導入するように備えられて良い。
【0038】
さらに図4を参照すると、プラズマプロセスシステム400は、処理チャンバへの処理気体の導入の少なくとも一部の実行中にプラズマを生成するように備えられたプラズマ生成システム451を有する。プラズマ生成システム451は、処理チャンバ410と結合して該処理チャンバ410と電力とを結合させるように備えられた第1電源450を有して良い。第1電源450は、可変電源であって良く、かつ高周波(RF)発生装置とインピーダンス整合ネットワークを有して良い。第1電源450はさらに、処理チャンバ410内のプラズマとRF電源とが結合する電極を有して良い。前記電極は上部集合体430内に形成されて良い。前記電極は、基板ホルダ420に対向するように備えられて良い。インピーダンス整合ネットワークは、整合ネットワークの出力インピーダンスと、電極及びプラズマを有する処理チャンバの入力インピーダンスとを整合させることによって、RF発生装置からプラズマへのRF電力の移送を最適化するように備えられて良い。そのインピーダンス整合ネットワークは、反射電力を減少させることによって、処理チャンバ410のプラズマへのRF電力の輸送を改善にするように機能する。整合ネットワーク形態(たとえばL型、π型、T型)、及び自動制御方法は当技術分野において周知である。
【0039】
あるいはその代わりに、第1電源450はRF発生装置及びインピーダンス整合ネットワークを有して良い。第1電源450はさらに、たとえば誘導コイルのようなアンテナを有して良い。前記アンテナを介してRF電力は処理チャンバ410内のプラズマを結合する。前記アンテナはたとえば、ヘリカルコイル又はソレノイダルコイル−たとえば誘導結合プラズマ源又はヘリコンコイル内に備えられているような−を有して良い。あるいは前記アンテナはたとえば、変成器結合プラズマ源内に備えられているようなフラットコイルを有して良い。
【0040】
あるいはその代わりに第1電源450は、マイクロ波周波数発生装置と、さらにマイクロ波アンテナとマイクロ波窓を有して良い。前記マイクロ波窓を介して、マイクロ波出力は処理チャンバ410内のプラズマと結合する。マイクロ波電力の結合は、電子サイクロトロン共鳴(ECR)を用いて実現されて良い。あるいはその代わりに、マイクロ波電力の結合は、表面波プラズマ技術−たとえば特許文献4に記載されているようなスロット面アンテナ(SPA)のような−を用いて利用されても良い。
【0041】
本発明の一の実施例によると、プラズマ処理システム400は、基板バイアス発生システム453を有する。基板バイアス発生システム453は、処理チャンバ410への処理気体の導入の少なくとも一部の実行中に基板ホルダ420のバイアス印加を介してプラズマの生成(の支援)を行うように備えられている。基板バイアス発生システム453は、処理チャンバ410と結合して基板425と電力とを結合するように備えられた基板電源452を有して良い。基板電源452はRF発生装置及びインピーダンス整合ネットワークを有して良い。基板電源452はさらに、RF電力が基板425と結合する電極を有して良い。前記電極は基板ホルダ420内に形成されて良い。たとえば基板ホルダ420は、RF発生装置(図示されていない)からインピーダンス整合ネットワーク(図示されていない)を介して基板ホルダ420へ流れるRF電力の伝送によって、RF電圧で電気的にバイアス印加されて良い。RFバイアスの典型的周波数は約0.1MHz〜約100MHzの範囲であって良く、かつ13.56MHzであって良い。プラズマ処理のためのRFバイアスシステムは当業者には周知である。あるいはその代わりに、RF電力は、複数の種類の周波数で基板ホルダの電極に印加される。
【0042】
プラズマ発生システム451及び基板バイアス発生システム453が別個の装置として図4に図示されているが、プラズマ発生システム451及び基板バイアス発生システム453は、基板ホルダ420と結合する1つ以上の電源を有して良い。
【0043】
さらに図4を参照すると、プラズマ処理システム400は、基板ホルダ420と結合して基板425の温度の昇温と制御を行うように備えられた基板温度制御システム460を有する。基板温度制御システム460は温度制御素子を有する。前記温度制御素子にはたとえば、基板ホルダ420から熱を受け取り、かつ熱を熱交換システム(図示されていない)へ輸送するか又は加熱するときには前記熱交換システムから熱を輸送する再循環冷却流が含まれる。それに加えて前記温度制御素子は加熱/冷却素子-たとえば抵抗加熱素子又は熱電ヒーター/クーラーのような-を有して良い。加熱/冷却素子は、基板ホルダ20内だけではなく、処理チャンバ410のチャンバ壁又は当該処理システム400内部の他の装置内に含まれても良い。
【0044】
基板425と基板ホルダ420との間の熱伝達を改善するため、基板ホルダ420は、機械的に固定するシステム又は電気的に固定するシステムを有して良い。それにより、基板425は基板ホルダ420の上側表面へ固定される。さらに基板425と基板ホルダ420との間のガスギャップによる熱伝導を改善するため、基板ホルダ420は、基板425の背面へガスを導入するように備えられている基板背面ガス供給システムをさらに有して良い。係るシステムは、基板温度を昇温又は降温させるような温度制御が必要なときに、利用されて良い。たとえば基板背面ガスシステムは、2領域ガス供給システムを有して良い。ここでヘリウムガスギャップ圧は、基板425の中心から端部の間で独立して変化して良い。
【0045】
さらに処理チャンバ410はさらに、ダクト438を介して、真空排気システム434とバルブ436を有する圧力制御システム432と結合する。圧力制御システム432は、処理チャンバ410を制御可能なように排気するように備えられている。真空排気システム434は最大5000リットル/秒(以上)の排気能力を有するターボ分子ポンプ(TMP)又はクライオポンプを有して良い。バルブ436はチャンバ圧力を絞るゲートバルブを有して良い。しかもチャンバ圧力を監視する装置(図示されていない)が処理チャンバ410と結合して良い。圧力測定装置は絶対キャパシタンスマノメータであって良い。
【0046】
さらに図4を参照すると、制御装置470は、マイクロプロセッサ、メモリ、及びデジタルI/Oポートを有する。前記デジタルI/Oポートは、プラズマ処理システム400からの出力を監視するのみならず、プラズマ処理システム400への入力をやり取りし、かつ起動させるのに十分な制御電圧を発生させる能力を有する。メモリに記憶されたプログラムは、記憶されたプロセスレシピに従った、プラズマ処理システム400との相互作用に利用されて良い。しかも制御装置470は、処理チャンバ410、基板ホルダ420、上部集合体430、処理気体供給システム440、パージガス供給システム442、第1電源450、基板電源452、基板温度制御システム460、及び圧力制御システム432と結合して、かつ情報をやり取りして良い。たとえば、メモリ内に記憶されたプログラムは、処理プロセスを実行するためのプロセスレシピに従って、プラズマ処理システムの上記装置への入力を起動させるのに利用されて良い。
【0047】
制御装置470は、メモリ内に含まれる1つ以上の命令からなる1つ以上のシーケンスを実行する処理装置に応答して、マイクロプロセッサに基づく本発明の処理工程の一部又は全部を実行する汎用コンピュータシステムで実装されても良い。そのような命令は、他のコンピュータによる読み取りが可能な媒体(たとえばハードディスク又は取り外し可能な媒体ドライブ)から制御装置へ読み取られて良い。多重処理装置内の1つ以上の処理装置はまた、主メモリ内に含まれる命令のシーケンスを実行する制御装置マイクロプロセッサとして用いられても良い。代替実施例では、ハードウエアにより実装された回路は、ソフトウエア命令に替わって、又はそれと併用されて良い。よって実施例はハードウエア回路及びソフトウエアの特定の組み合わせに限定されない。
【0048】
制御装置470は、本発明の教示に従ってプログラムされた命令を保持し、かつデータ構造、テーブル、レコード、又は本発明の実施に必要と思われる他のデータを含む少なくとも1つのコンピュータによる読み取りが可能な媒体又はメモリ−たとえば制御装置メモリ−を有する。コンピュータによる読み取りが可能な媒体の例には、コンパクトディスク(たとえばCD-ROM)若しくは他の光学式媒体、ハードディスク、フロッピーディスク、テープ、磁気光学ディスク、PROMs(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM若しくは他の磁気媒体、パンチカード、紙テープ若しくは穴のパターンを有する他の物理媒体、又は搬送波(後述)若しくはコンピュータによる読み取りが可能な他の媒体がある。
【0049】
コンピュータによる読み取りが可能な媒体(の結合)に保存された状態で、制御装置470を制御し、(複数の)装置を駆動し、及び/又は制御装置470が人間であるユーザーと相互作用できるようにするソフトウエアを有する。係るソフトウエアには、装置のドライバ、OS、開発ツール、及びアプリケーションが含まれて良いが、これらに限定されるわけではない。係るコンピュータによる読み取りが可能な媒体はさらに、上述の処理の一部(プロセスが分配される場合)又は全部を実行するコンピュータプログラム製品をも含む。
【0050】
本発明のコンピュータコード装置は、如何なる解釈可能又は実行可能なコード機構であって良い。コンピュータコード装置には、解釈可能なプログラム、ダイナミックリンクライブラリ(DLLs)、Javaクラス、及び完全に実行可能なプログラムが含まれるが、これらに限定されるわけではない。しかも処理のほとんどは、性能、信頼性、及び/又はコストを向上するために分配されて良い。
【0051】
本明細書で用いられている“コンピュータによる読み取りが可能な媒体”という語は、実行するための制御装置470のプロセッサへ命令を供することに関与する媒体を意味する。コンピュータによる読み取りが可能な媒体は如何なる形式を取っても良い。コンピュータによる読み取りが可能な媒体には、不揮発性媒体及び透過性媒体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。不揮発性媒体にはたとえば、ハードディスクや取り外し可能な媒体ドライブのような、光学ディスク、磁気ディスク、及び磁気光学ディスクが含まれる。揮発性媒体には主メモリのようなダイナミックメモリが含まれる。しかも、実行用の制御装置のプロセッサへ1つ以上の命令を含む1つ以上のシーケンスを実行する際には、様々な形式のコンピュータによる読み取りが可能な媒体が含まれて良い。たとえば命令は最初離れた位置にあるコンピュータの磁気ディスク上で実行されて良い。その離れた位置にあるコンピュータは、離れた場所から命令を読み取ってダイナミックメモリへ送り、ネットワークを介して命令を制御装置470へ送る。
【0052】
制御装置470は、プラズマ処理システム400に対して局所的に設置されても良いし、又はインターネット又はイントラネットを介してプラズマ処理システム400に対して離れた場所に設置されても良い。よって制御装置470は、直接接続、イントラネット、インターネット及びワイヤレス接続のうちの少なくとも1を用いることによって処理システム1とのデータのやり取りをして良い。制御装置470は、たとえば顧客側(つまりデバイスメーカー等)のイントラネットと結合して良いし、又はたとえば売り手側(つまり装置製造者等)のイントラネットと結合しても良い。さらに別なコンピュータ(つまり制御装置、サーバー等)が、たとえば制御装置470とアクセスすることで、直接接続、イントラネット及びインターネットのうちの少なくとも1つを介してデータのやり取りをして良い。当業者がすぐ理解にするように、制御装置470は、ワイヤレス接続を介してプラズマ処理システムとデータのやり取りをして良い。
【0053】
図5は、本発明の実施例による、Ru3(CO)12前駆体蒸気及びCOガスからRu金属膜を堆積する熱化学気相成長(TCVD)システムの概略図を表す。当該TCVDシステム1は基板ホルダ20を有する処理チャンバ10を有する。基板ホルダ20は、上にRu金属膜が形成されるパターニングされた基板25を支持するように備えられている。処理チャンバ10は、気相前駆体供給システム40を介して金属前駆体気化システム5と結合する。
【0054】
処理チャンバ10はさらに、ダクト36を介して真空排気システム38と結合する。真空排気システム38は、処理チャンバ10、気相前駆体供給システム40、及び金属前駆体気化システム50を、パターニングされた基板25上でのRu金属膜の形成及び金属前駆体気化システム50内でのRu3(CO)12前駆体52の気化に適した圧力にまで排気するように備えられている。
【0055】
さらに図5を参照すると、金属前駆体気化システム50は、Ru3(CO)12前駆体52を貯蔵し、Ru3(CO)12前駆体52を気化するのに十分な温度にまで加熱し、かつRu3(CO)12前駆体蒸気を気相前駆体供給システム40へ導入するように備えられている。固相Ru3(CO)12前駆体52を昇華させるのに必要な温度を実現するため、金属前駆体気化システム50は、気化温度を制御するように備えられた気化温度制御システム54と結合する。
【0056】
たとえばRu3(CO)12前駆体52の温度は約40℃〜約150℃に昇温されて良い。あるいはその代わりに気化温度は約40℃〜約150℃に維持されても良い。Ru3(CO)12前駆体52が加熱されて昇華することで、CO含有気体は、Ru3(CO)12前駆体52を通過することで、生成されるRu3(CO)12前駆体蒸気を捕獲する。CO含有気体は、CO及び任意で不活性キャリアガス−たとえばN2若しくは希ガス(つまりHe、Ne、Ar、Kr、Xe)又はこれらの混合気体−を含んで良い。CO気体が存在する中でRu3(CO)12前駆体を気化することで、パターニングされた基板へのRu3(CO)12前駆体蒸気の供給が制限されるという問題を緩和することができる。生成されているRu3(CO)12前駆体蒸気にCO気体を加えることで、気化温度を上昇させることが可能となる。そのような昇温はRu3(CO)12前駆体の蒸気圧を増大させる。その結果、処理チャンバへのRu3(CO)12前駆体の供給が増大し、パターニングされた基板25上でのRu金属膜の堆積速度が増大する。処理チャンバ10へRu3(CO)12前駆体を供給する前に気相前駆体供給システム40中で早すぎるRu3(CO)12前駆体の分解が起こるのを減少させるためにCO気体を用いることで、Ru3(CO)12前駆体蒸気が処理チャンバへ効率的に輸送されて、特許文献5に記載されたRu金属膜の堆積を促進することが示された。
【0057】
一例では、金属前駆体気化システム50は、Ru3(CO)12蒸気の効率的な気化及び輸送を行うように備えられた多重トレイ気化システムであって良い。典型的な多重トレイ気化システムは特許文献7に記載されている。
【0058】
たとえば気体供給システム60は金属前駆体気化システム50と結合する。また気体供給システム60はたとえば、CO、キャリアガス、又はこれらの混合気体を、供給ライン61を介してRu3(CO)12前駆体52付近に又は供給ライン62を介してRu3(CO)12前駆体52全体にわたって供給するように備えられている。それに加えて、気体供給システム60は、金属前駆体気化システム50から下流で気相前駆体供給システム40に結合することで、Ru3(CO)12前駆体52が気相前駆体供給システム40へ入り込む際又はその後、供給ライン63を介してRu3(CO)12前駆体52の蒸気へ気体を供給する。さらにRu3(CO)12前駆体とCO気体にパターニングされた基板25を曝露する前に、吸着したCOによってパターニングされた基板25の曝露表面を飽和させるため、供給ライン63は、CO気体を含む前処理気体によってパターニングされた基板を前処理するのに利用されて良い。
【0059】
図示されてはいないが、気体供給システム60は、キャリアガス、CO気体源、1つ以上の制御バルブ、1つ以上のフィルタ、及びマスフローコントローラを有して良い。たとえばCO含有気体の流速は約0.1sccm〜約1000sccmであって良い。あるいはその代わりにCO含有気体の流速は約10sccm〜約500sccmであって良い。さらにあるいはその代わりにCO含有気体の流速は約50sccm〜約200sccmであって良い。本発明の実施例によると、CO含有気体の流速は約0.1sccm〜約1000sccmの範囲であって良い。あるいはその代わりにCO含有気体の流速は約1sccm〜約500sccmであって良い。
【0060】
金属前駆体気化システム50から下流で、処理チャンバ10と結合する蒸気分配システム30を介して処理気体が処理チャンバ10へ入り込むまで、Ru3(CO)12前駆体蒸気とCO気体を含む処理気体は気相前駆体供給システム40を通り抜けて流れる。蒸気ライン温度の制御及びRu3(CO)12前駆体蒸気の凝集と分解の防止を目的として、気相前駆体供給システム40は蒸気ライン温度制御システム42と結合して良い。気相前駆体供給システム40はたとえば、50℃〜100℃の温度に維持されて良い。
【0061】
さらに図5を参照すると、処理チャンバ10と結合して処理チャンバ10の一部を構成する蒸気分配システム30は蒸気分配プレナム32を有する。蒸気分配プレナム32内部では、蒸気分配プレート34を通過し、基板25上の領域33に入り込む前に蒸気が拡がる。それに加えて、蒸気分配プレート34は、その温度を制御するように備えられた分配プレート温度制御システム35と結合して良い。
【0062】
一旦Ru3(CO)12前駆体蒸気とCO気体を含む処理気体が処理チャンバ10の処理領域33へ入り込むと、パターニングされた基板25の温度上昇による基板表面での吸着の際に、Ru3(CO)12前駆体蒸気は熱分解し、かつRu金属膜がパターニングされた基板25上に形成される。基板ホルダ20は、基板温度制御システム22と結合する基板ホルダ20によってパターニングされた基板25の温度を上昇させるように備えられている。たとえば基板温度制御システム22は、パターニングされた基板25の温度を最大約500℃にまで昇温するように備えられて良い。それに加えて処理チャンバ10は、チャンバ壁の温度を制御するように備えられたチャンバ温度制御システム12と結合して良い。
【0063】
さらに図5を参照すると、堆積システム1はさらに、該堆積システム1の動作とその制御を行うように備えられた制御システム80を有して良い。制御システム80は、処理チャンバ10、基板ホルダ20、基板温度制御システム22、チャンバ温度制御システム12、蒸気分配システム30、気相前駆体供給システム40、金属前駆体気化システム50、及び気体供給システム60と結合する。
【0064】
図6は、本発明の実施例による、Ru3(CO)12前駆体蒸気及びCOガスからRu金属膜を堆積する他のTCVDシステムの概略図を表す。当該TCVDシステム100は基板ホルダ120を有する処理チャンバ110を有する。基板ホルダ120は、上にRu金属膜が形成されるパターニングされた基板25を支持するように備えられている。処理チャンバ110は、金属前駆体気化システム150を有する前駆体供給システム105及び気相前駆体供給システム140と結合する。金属前駆体気化システム150はRu3(CO)12前駆体152を貯蔵及び気化するように備えられている。気相前駆体供給システム140はRu3(CO)12前駆体152の蒸気を処理チャンバ110へ搬送するように備えられている。
【0065】
処理チャンバ110は、上部チャンバ部111、下部チャンバ部112、及び排出チャンバ113を有する。開口部114は下部チャンバ部112内部に形成される。下部チャンバ部112は排出チャンバ113と結合する。
【0066】
さらに図6を参照すると、基板ホルダ120は、処理されるべきパターニングされた基板(又はウエハ)125を支持する水平面を供する。基板ホルダ120は、排出チャンバ113の下部から上方に延びる円筒形支持部122によって支持されて良い。さらに基板ホルダ120は、基板ホルダ温度制御システム128と結合するヒーター126を有する。ヒーター126はたとえば1つ以上の抵抗加熱素子を有して良い。あるいはその代わりにヒーター126はたとえば放射加熱システム-たとえばタングステン-ハロゲンランプ-を有して良い。基板ホルダ温度制御システム128は電源を有して良い。その電源は、1つ以上の加熱素子、基板温度及び/又は基板ホルダの温度を測定する1つ以上の温度センサ、並びに、パターニングされた基板125若しくは基板ホルダの温度を監視、調節、又は制御のうちの少なくとも1つを実行するように備えられた制御装置に電力を供する。
【0067】
処理中、加熱されたパターニングされた基板125は、Ru3(CO)12前駆体蒸気を熱的に分解し、かつパターニングされた基板125上でのRu金属膜の堆積を可能にする。基板ホルダ120は、パターニングされた基板125上への所望のRu金属膜の堆積に適した所定温度に加熱される。それに加えて、チャンバ温度制御システム121と結合するヒーター(図示されていない)は、処理チャンバ110の壁内に埋め込まれることで、その壁を所定温度に加熱して良い。そのヒーターは処理チャンバの壁の温度を約40℃〜約150℃、又は約40℃〜約80℃に維持して良い。圧力ゲージ(図示されていない)が処理チャンバ圧力の測定に用いられる。本発明の実施例によると、処理チャンバ圧力は約1mTorr〜約500mTorrであって良い。あるいはその代わりに処理チャンバ圧力は約10mTorr〜約100mTorrであって良い。
【0068】
また図6に図示されているように、蒸気分配システム130は処理チャンバ110の上部チャンバ部111と結合する。蒸気分配システム130は蒸気分配プレート131を有する。蒸気分配プレート131は、蒸気分配システム132から1つ以上のオリフィス134を介してパターニングされた基板125の上方である処理領域133へ前駆体蒸気を導入するように備えられている。
【0069】
さらに上部チャンバ部111には、気相前駆体供給システム140から蒸気分配プレナム132へRu3(CO)12前駆体蒸気及びCOガスを有する処理気体を導入するための開口部135が供されている。しかも蒸気分配システム130の温度を制御することで該蒸気分配システム130内部でのRu3(CO)12前駆体の分解又は凝集を防止するための温度制御素子136-たとえば冷却又は加熱流体を流すように備えられた同心円状の流体チャネル-が供される。たとえば流体-たとえば水-は、蒸気分配温度制御システム138から流体チャネルへ供給されて良い。蒸気分配温度制御システム138は、流体源、熱交換器、流体温度及び/又は蒸気分配プレート温度を測定する1つ以上の温度センサ、並びに蒸気分配プレート131の温度を約20℃〜約150℃に制御するように備えられた制御装置を有して良い。Ru3(CO)12前駆体については、蒸気分配プレート131の温度は、プレート131上での前駆体の凝集を回避するため約65℃以上の温度に維持されて良い。
【0070】
図6に図示されているように、金属前駆体気化システム150は、Ru3(CO)12前駆体152を保持してRu3(CO)12前駆体152の温度を昇温することによって、Ru3(CO)12前駆体152を気化(昇華)させるように備えられている。“気化”、“昇華”及び“蒸発”の語は、たとえば固体から液体そして気体、固体から気体、あるいは液体から気体というような転移に関係なく、固相又は液状前駆体から蒸気(ガス)が生成されることを広く意味するものとして同義的に用いられている。Ru3(CO)12前駆体152を加熱して、所望のRu3(CO)12前駆体152の蒸気圧を生成する温度に維持するために前駆体ヒーター154が供される。前駆体ヒーター154は、Ru3(CO)12前駆体152の温度を制御するように備えられた気化温度制御システム156と結合する。たとえば前駆体ヒーター154は、Ru3(CO)12前駆体152の温度を約40℃〜約150℃又は約60℃〜約90℃に調節するように備えられて良い。
【0071】
Ru3(CO)12前駆体152が加熱されて気化(昇華)することで、CO含有気体は、Ru3(CO)12前駆体52を通過することで、生成されるRu3(CO)12前駆体蒸気を捕獲する。CO含有気体は、CO及び任意で不活性キャリアガス−たとえばN2若しくは希ガス(つまりHe、Ne、Ar、Kr、Xe)又はこれらの混合気体−を含んで良い。たとえば気体供給システム160は、金属前駆体気化システム150と結合し、かつたとえばRu3(CO)12前駆体152を通過して流れるように備えられている。図6には図示されていないが、Ru3(CO)12前駆体52が気相前駆体供給システム40へ入り込む際又はその後、Ru3(CO)12前駆体とCO気体にパターニングされた基板125を曝露する前に、吸着したCOによってパターニングされた基板25の曝露表面を飽和させるため、気体供給システム160はまた気相前駆体供給システム140と結合することで、CO気体をRu3(CO)12前駆体152へ供給して良い。
【0072】
気体供給システム160は、不活性キャリアガス、CO気体、若しくはそれらの混合気体を含む気体源161、1つ以上のフィルタ164、及びマスフローコントローラ165を有して良い。たとえばCO含有気体のマスフロー速度は約0.1sccm〜約1000sccmの範囲であって良い。
【0073】
それに加えて、金属前駆体気化システム150からの全気体流を測定するセンサ166が供される。センサ166はたとえばマスフローコントローラを有して良い。処理チャンバ110へ供給されるRu3(CO)12前駆体蒸気の量は、センサ166とマスフローコントローラ165を用いることによって決定されて良い。あるいはその代わりにセンサ166は、処理チャンバ110へ向かう気体流内でのRu3(CO)12前駆体濃度を測定する光吸収センサを有して良い。
【0074】
バイパスライン167が、センサ166の下流に設けられて良い。バイパスライン167は、蒸気供給システム140を排気ライン116と接続して良い。バイパスライン167が供されることで、気相前駆体供給システム140は排気され、処理チャンバ110へのRu3(CO)12前駆体とCO気体の供給は安定化する。それに加えて、バイパスバルブ168がバイパスライン167上に供される。バイパスバルブ168は、気相前駆体供給システム140の分岐位置から下流に設けられている。
【0075】
さらに図6を参照すると、気相前駆体供給システム140は、第1バルブ141及び第2バルブ142を有する高コンダクタンスの蒸気ラインを有する。それに加えて気相前駆体供給システム140は、ヒーター(図示されていない)を介して気相前駆体供給システム140を加熱するように備えられた蒸気ライン温度制御システム143をさらに有する。蒸気ラインの温度は、蒸気ライン内でルテニウムカルボニル前駆体蒸気の凝集が起こらないように制御されて良い。蒸気ラインの温度は、約20℃から約100℃、又は約40℃から約90℃で制御されて良い。
【0076】
しかもCO気体は気体供給システム190から供給されて良い。たとえば気体供給システム160は気相前駆体供給システム140と結合し、かつ、CO気体を含む前処理気体によるパターニングされた基板125の前処理、又は、バルブ141の下流の気相前駆体供給システム140内で別なCO気体とRu3(CO)12前駆体蒸気との気相前駆体供給システム140内での混合を行うように備えられている。気体供給システム190は、CO気体源191、1つ以上の制御バルブ192、1つ以上のフィルタ194、及びマスフローコントローラ195を有して良い。たとえばCO気体のマスフローコントローラは約0.1sccm〜約1000sccmの範囲であって良い。
【0077】
マスフローコントローラ165と195及びバルブ162、192、168、141と142は制御装置196によって制御される。制御装置196は、不活性キャリアガス、CO気体、及びRu3(CO)12前駆体蒸気の供給、停止、及び流れを制御する。センサ166も制御装置196に接続する。センサ166の出力に基づいて、制御装置196は、マスフローコントローラ165を通るキャリアガスの流れを制御することで、所望の処理チャンバ110へのRu3(CO)12前駆体流を得ることができる。
【0078】
図6に図示されているように、排気ライン116は、排気チャンバ113を排気システム118と接続する。真空ポンプ119は、処理チャンバ110を所望の真空度まで排気し、かつプロセス中に、処理チャンバ110から気体物質を除去するのに用いられる。自動圧力制御装置(APC)115及びトラップ117は、真空ポンプ119と繋いで用いられて良い。真空ポンプ119は、最大で毎秒500リットル(以上)の排気速度を有するターボ分子ポンプ(TMP)を有して良い。あるいはその代わりに、真空ポンプ119は、乾燥型粗引きポンプを有しても良い。プロセス中、処理気体がプロセスチャンバ110内に導入され、チャンバ圧力はAPC115によって調節されて良い。APC115は、蝶型バルブ又はゲートバルブを有して良い。トラップ117は、未反応Ru3(CO)12前駆体材料、及び副生成物を、処理チャンバ110から回収して良い。
【0079】
図6に図示された処理チャンバ110内の基板ホルダ120を参照すると、基板50を保持し、上昇させ、かつ下降させる3の基板リフトピン127(2つのみ図示されている)が供される。基板リフトピン127は、プレート123に固定され、かつ基板ホルダ120の上側面よりも下にまで下降させることができる。たとえば空気シリンダを利用する駆動機構は、プレート123を上昇及び下降させる手段を供する。パターニングされた基板125は、ロボットによる搬送システム(図示されていない)によって、ゲートバルブ200及びチャンバ貫通接続口202を通って、処理チャンバ110へ搬入し、かつ処理チャンバ110から搬出されて良い。またパターニングされた基板125は、基板リフトピン127によって受け取られて良い。一旦パターニングされた基板125が搬送システムから受け取られると、基板リフトピン127を下げることによって、パターニングされた基板125を基板ホルダ120の上側面にまで下げることが可能である。
【0080】
さらに図6を参照すると、堆積システム制御装置180は、マイクロプロセッサ、メモリ、及びデジタルI/Oポートを有する。デジタルI/Oポートは、堆積システム100からの出力を監視するのみならず、堆積システム100の入力をやり取りし、かつ起動させるのに十分な制御電圧を発生させる能力を有する。しかも制御装置180は、処理チャンバ110、制御装置196と蒸気ライン温度制御システム143と気化温度制御システム156を有する前駆体供給システム105、蒸気分配温度制御システム138、真空排気システム118、及び基板ホルダ温度制御システム128と結合して情報のやり取りをすることができる。真空排気システム118では、制御装置180は、処理チャンバ110内の圧力を制御するAPC115と結合して情報をやり取りして良い。基板25上でのプラズマプロセスを実行するためのプロセスレシピに従って、メモリ内に記憶されたプログラムは、堆積システム100の上述の処理用装置への入力を起こすのに利用されて良い。
【0081】
制御装置180は、メモリ内に含まれる1つ以上の命令からなる1つ以上のシーケンスを実行する処理装置に応答して、マイクロプロセッサに基づく本発明の処理工程の一部又は全部を実行する汎用コンピュータシステムで実装されても良い。そのような命令は、他のコンピュータによる読み取りが可能な媒体−たとえばハードディスク又は取り外し可能な媒体ドライブ−から制御装置へ読み取られて良い。多重処理装置内の1つ以上の処理装置はまた、主メモリ内に含まれる命令のシーケンスを実行する制御装置マイクロプロセッサとして用いられても良い。代替実施例では、ハードウエアにより実装された回路は、ソフトウエア命令に替わって、又はそれと併用されて良い。よって実施例はハードウエア回路及びソフトウエアの特定の組み合わせに限定されない。
【0082】
制御装置180は、本発明の教示に従ってプログラムされた命令を保持し、かつデータ構造、テーブル、レコード、又は本発明の実施に必要と思われる他のデータを含む少なくとも1つのコンピュータによる読み取りが可能な媒体又はメモリ−たとえば制御装置メモリ−を有する。コンピュータによる読み取りが可能な媒体の例には、コンパクトディスク(たとえばCD-ROM)若しくは他の光学式媒体、ハードディスク、フロッピーディスク、テープ、磁気光学ディスク、PROMs(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM若しくは他の磁気媒体、パンチカード、紙テープ若しくは穴のパターンを有する他の物理媒体、又は搬送波(後述)若しくはコンピュータによる読み取りが可能な他の媒体がある。
【0083】
コンピュータによる読み取りが可能な媒体(の結合)に保存された状態で、制御装置470を制御し、(複数の)装置を駆動し、及び/又は制御装置470が人間であるユーザーと相互作用できるようにするソフトウエアを有する。係るソフトウエアには、装置のドライバ、OS、開発ツール、及びアプリケーションが含まれて良いが、これらに限定されるわけではない。係るコンピュータによる読み取りが可能な媒体はさらに、上述の処理の一部(プロセスが分配される場合)又は全部を実行するコンピュータプログラム製品をも含む。
【0084】
本発明のコンピュータコード装置は、如何なる解釈可能又は実行可能なコード機構であって良い。コンピュータコード装置には、解釈可能なプログラム、ダイナミックリンクライブラリ(DLLs)、Javaクラス、及び完全に実行可能なプログラムが含まれるが、これらに限定されるわけではない。しかも処理のほとんどは、性能、信頼性、及び/又はコストを向上するために分配されて良い。
【0085】
本明細書で用いられている“コンピュータによる読み取りが可能な媒体”という語は、実行するための制御装置180のプロセッサへ命令を供することに関与する媒体を意味する。コンピュータによる読み取りが可能な媒体は如何なる形式を取っても良い。コンピュータによる読み取りが可能な媒体には、不揮発性媒体及び透過性媒体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。不揮発性媒体にはたとえば、ハードディスクや取り外し可能な媒体ドライブのような、光学ディスク、磁気ディスク、及び磁気光学ディスクが含まれる。揮発性媒体には主メモリのようなダイナミックメモリが含まれる。しかも、実行用の制御装置のプロセッサへ1つ以上の命令を含む1つ以上のシーケンスを実行する際には、様々な形式のコンピュータによる読み取りが可能な媒体が含まれて良い。たとえば命令は最初離れた位置にあるコンピュータの磁気ディスク上で実行されて良い。その離れた位置にあるコンピュータは、離れた場所から命令を読み取ってダイナミックメモリへ送り、ネットワークを介して命令を制御装置180へ送る。
【0086】
制御装置180は、堆積システム100に対して局所的に設置されても良いし、又はインターネット又はイントラネットを介して堆積システム100に対して離れた場所に設置されても良い。よって制御装置180は、直接接続、イントラネット、インターネット及びワイヤレス接続のうちの少なくとも1を用いることによって処理システム1とのデータのやり取りをして良い。制御装置180は、たとえば顧客側(つまりデバイスメーカー等)のイントラネットと結合して良いし、又はたとえば売り手側(つまり装置製造者等)のイントラネットと結合しても良い。さらに別なコンピュータ(つまり制御装置、サーバー等)が、たとえば制御装置180とアクセスすることで、直接接続、イントラネット及びインターネットのうちの少なくとも1つを介してデータのやり取りをして良い。当業者がすぐ理解にするように、制御装置180は、ワイヤレス接続を介して堆積システム100とデータのやり取りをして良い。
【0087】
選択的Ru堆積を半導体デバイスの製造に統合することで、CuメタライゼーションにおけるEMとSMを改善する複数の実施例が開示されている。本発明の実施例の上記説明は例示及び説明を目的としたものであり、本発明を開示された厳密な形態に限定するものではない。本明細書及び以降の請求項は、説明目的であって限定と解されてはならない語句を含んでいる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体処理及び半導体デバイスに関し、より詳細には、半導体デバイスを製造するためのルテニウム(Ru)金属膜の選択成長方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、様々な半導体デバイス及び複数の金属パスを有する。前記複数の金属パスは、前記半導体デバイスに電力を供し、かつこれらの半導体デバイスが、情報の共有及びやり取りを行うことを可能にする。集積回路内部では、金属層は、該金属層を互いに分離する金属間すなわち層間誘電層を用いることによって、相互に堆積される。通常各金属層は、少なくとも1層の追加の金属層との電気的コンタクトを形成しなければならない。そのような電気的コンタクトは、金属層を分離する層間誘電体中にエッチングにより穴(すなわちビア)を形成し、かつエッチングにより形成されたビアに金属を充填することで相互接続を形成することによって実現される。「ビア」とは通常、凹部を有する構造を指称する。凹部を有する構造とはたとえば、誘電層内部に形成された穴、ライン、又は、他の構造であって、金属が充填されるときには、誘電層を貫通して該誘電層の下に存在する導体層への電気的接続を供するものである。同様に、2つ以上のビアを接続する凹部を有する構造は通常トレンチと呼ばれる。
【0003】
集積回路を製造する多層メタライゼーション法において銅(Cu)金属を用いることで、解決が求められる複数の問題が生じる。たとえば誘電材料及びSi中でのCu原子の移動度が高いことで、これらの材料へのCu原子のマイグレーションが生じる恐れがある。その結果、集積回路を破壊させる恐れのある電気的欠陥が形成される。従って、Cu金属層、Cuが充填されたトレンチ、及びCuが充填されたビアは通常、Cu原子が誘電層へ拡散するのを防止するためのバリア層によって封止される。バリア層は通常、Cuの堆積前に、トレンチ及びビアの側壁と底部に堆積され、好適にはCuとは反応も混和もしない材料を有し、前記誘電材料に対する良好な接合を供し、かつ低電気抵抗を供して良い。集積回路の相互接続における電流密度は、各連続するテクノロジーノードで顕著に増大する。エレクトロマイグレーション(EM)及びストレスマイグレーション(SM)の寿命は電流密度に反比例するので、EM及びSMは早晩重要課題となる。Cuデュアルダマシン相互接続構造におけるEM寿命は、バルクCu金属と周辺材料(たとえばキャップ層)の界面での原子Cuの輸送に強く依存する。原子Cuの輸送はこれらの界面での接合に直接相関する。良好な接合及び良好なEM寿命を供する新たなキャップ材料が精力的に研究されてきた。たとえばコバルト−タングステン−リン(CoWP)層は、無電解メッキ法を用いることによってバルクCu金属上に選択的に堆積された。CoWPとバルクCu金属の界面は、長いEM寿命を与える優れた接合強度を有する。しかし、特に密なピッチでのCu配線について、バルクCu金属上で許容可能な堆積選択性を維持し、かつ良好な膜の均一性を維持することは、この複雑なプロセスの許容度に影響を及ぼしてきた。しかも酸性溶液を用いたウエットプロセスは、CoWPの使用にとって有害であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第12/018074号明細書
【特許文献2】米国特許出願第11/173814号明細書
【特許文献3】米国特許出願第12/173814号明細書
【特許文献4】米国特許第5024716号明細書
【特許文献5】米国特許第7270848号明細書
【特許文献6】米国特許出願第11/853393号明細書
【特許文献7】米国特許出願第11/998420号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、Cuに対する良好な接合を供し、かつバルクCu金属のEM及びSM特性を改善する金属キャップ層を堆積する新たな方法が求められている。特にこれらの方法は、誘電体表面と比較して、金属表面上での金属の堆積について良好な選択性を供するものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例は、Ru金属堆積を半導体デバイスの製造と統合することで、Cuメタライゼーションにおけるエレクトロマイグレーションとストレスマイグレーションを改善する方法を供する。本発明の実施例は、Cuパスと誘電体領域を有する平坦化された基板の処理に対して、前記誘電体領域上に対して前記Cuパス上にRuキャップ層を選択的に形成する前に適用されて良い。前記処理は、前記平坦化された基板から残留物と銅酸化物を除去することができる。一例では、前記残留物は、化学機械平坦化(CMP)法において用いられる有機材料を有して良い。
【0007】
本発明の一の実施例によると、当該方法は、プラズマ処理チャンバ内にパターニングされた基板を供する工程を有する。前記パターニングされた基板は、low-k誘電材料内に形成された凹部構造と該凹部構造の底部に設けられた第1メタライゼーション層を有する。当該方法はさらに、NH3を含む第1処理気体から、前記プラズマ処理チャンバ内に生成されるNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって、前記パターニングされた基板を処理する工程;前記第1メタライゼーション層上に第1ルテニウム(Ru)金属キャップ層を形成する工程であって、前記第1メタライゼーション層上には、前記low-k誘電材料上及び前記第1Ru金属キャップ層上が含まれる、工程;前記凹部構造内にバリア層を堆積する工程;並びに前記凹部構造を銅(Cu)金属で充填する工程、を有する。
【0008】
本発明の他の実施例によると、当該方法はさらに、前記充填に続いて、Cuパス及びlow-k誘電体領域を有する実質的に平坦な面を形成する工程;NH3を含む第2処理気体から、前記プラズマ処理チャンバ内に生成されるNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって、前記Cuパス及び前記low-k誘電体領域を処理する工程;並びに、前記の処理されたCuパス上に第2Ru金属キャップ層を形成する工程、を有する。
【0009】
本発明のさらに他の実施例によると、当該方法は、プラズマ処理チャンバ内の基板ホルダ上にパターニングされた基板を供する工程であって、前記パターニングされた基板はCuパス及びlow-k誘電体領域を有する実質的に平坦な面を有する、工程;前記プラズマ処理チャンバ内に生成されるNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって、前記Cuパス及び前記low-k誘電体領域を処理する工程;並びに、前記の処理されたCuパス上にRu金属キャップ層を形成する工程、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本発明の実施例による様々な処理条件を用いた処理後のlow-k材料表面のC/Si比、N/Si比、及びO/Si比を図示している。
【図1B】本発明の実施例によるCu金属上に対する被処理low-k材料上での金属堆積の選択性を図示している。
【図2】AとBは、疎水性表面と親水性表面を含むSiCOH low-k材料の概略的断面を図示している。
【図3】A-Fは、本発明の実施例によるデュアルダマシン相互接続構造中にRu金属キャップ層を統合する概略的断面図を示している。
【図4】本発明の実施例による基板を処理するためのプラズマ処理チャンバの概略図を示している。
【図5】本発明の実施例によるRu金属膜を堆積する熱化学気相成長(TCVD)システムの概略図を示している。
【図6】本発明の他の実施例によるRu金属膜を堆積する他のTCVDシステムの概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明及び本発明の利点をより完全な評価は、以降の詳細な説明を、特に添付図面と共に考慮しながら参照することですぐに明らかとなる。
【0012】
本発明の実施例は、Ru金属キャップ層を半導体デバイスのCuメタライゼーションへ統合することで前記半導体デバイスのエレクトロマイグレーション(EM)及びストレスマイグレーション(SM)を改善する方法を供する。当該方法は、Cuパス間の誘電体表面上に対する金属表面−たとえばCuパス−上のRu金属キャップ層堆積の選択性を改善する。選択的Ru金属堆積の結果、Cuパス間の誘電体領域上のRu金属不純物が減少し、かつライン間破壊及び電気的な漏れについての許容範囲が改善される。
【0013】
low-k SiCOH材料を半導体製造に統合することで、複数の問題が生じる。たとえばこれらの材料は脆性(つまり小さな凝集強さ、破断点伸度、及び低破壊靱性を有する)であり、液体の水及び水蒸気はその材料の凝集強さをさらに減少させ、かつ、炭素(C)がSi-CH3基として結合する場合、low-k SiCOH材料はすぐにレジスト剥離プラズマ及び他の統合プロセス統合プロセスと化学反応することで、これらの材料は損傷する。誘電体領域上に対するCuパス上へのRu金属キャップ層の堆積の選択性を改善するため、本願発明者らは、Ru金属の堆積前でのCu金属を含む基板及びlow-k誘電材料を含む基板の各異なる表面処理の影響を調べた。Low-k誘電材料は、SiO2よりも小さな誘電率(k)(k〜3.9)を有する誘電材料である。
【0014】
図1Aは、受け取った状態のlow-k材料表面及び各異なる処理条件を用いて処理された後の前記low-k材料表面のX線光電子分光(XPS)測定から得られた炭素(C)/Si、窒素(N)/Si、及び酸素(O)/Siの比を示している。調べたlow-k材料は、アプライドマテリアル(Applied Materials)社から市販されているBLACK DIAMOND(登録商標)II (BDII)SiCOH材料であった。BDIIは300mmSiウエハ上に堆積され、150nmの厚さを有する。Siウエハは真空処理装置へ導入された。一旦真空処理装置へ導入されると、Siウエハは最初、アルゴン(Ar)ガス雰囲気中において基板(ウエハ)温度350℃にて80秒間脱ガスされた。脱ガスは、SiCOH材料表面から不純物−たとえば水及び他の残留ガス−を除去するために行われた。
【0015】
脱ガスに続いて、Siウエハの一部は、様々な処理条件を用いることによってさらに処理された。また表1を参照すると、様々な処理条件は、260℃の基板温度での60秒間の処理気体の曝露を有する。処理条件は、処理条件#3)気体圧力1.5Torrでの熱(非プラズマ)処理におけるH2気体;処理条件#4)中程度の高周波(RF)出力(700W)及び3Torrの気体圧力を用いてプラズマ励起されたH2気体;処理条件#5)高周波(RF)出力(700W)及び3Torrの気体圧力を用いてプラズマ励起されたH2気体;処理条件#6)気体圧力が1Torrで熱(非プラズマ)処理におけるNH3気体;処理条件#7)50Wの低RF出力及び1Torrの気体圧力を用いてプラズマ励起されたNH3気体;処理条件#8)50Wの低RF出力及び3Torrの気体圧力を用いてプラズマ励起されたNH3気体;並びに、処理条件#8)50Wの低RF出力及び1Torrの気体圧力を用いてプラズマ励起されたN2/H2混合気体(500sccmNH3+2000sccmH2)を有する。処理条件#3)-#6)を用いた処理が、スロット面アンテナ(SPA)を有するプラズマ処理チャンバ内で実行された。SPAを有するプラズマ処理チャンバは特許文献4に記載されている。処理条件#7)-#9)を用いた処理が、図4に概略的に図示されたプラズマ処理システム内で実行された。
【0016】
【表1】
表1に記載された処理に続いて、Siウエハが真空処理装置から取り外され、かつC/Si、N/Si、及びO/Si比がXPSによって大気中で測定された。表1及び図1Aでは、参照用試料とは、XPS解析前には脱ガスもさらなる処理も行われない受け取ったままのSiCOH材料のことを指称する。図1Aは、処理条件#4)、#5)、#7)、及び#9)を用いたプラズマ処理の結果、処理条件#1)SiCOH参照用(未処理)、処理条件#2)脱ガスのみ、処理条件#3)及び#6)を用いた非プラズマ処理、並びに、高い気体圧力でプラズマ励起されたNH3気体を用いて、NHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルを生成する処理条件#8)を用いた処理と比較して、C/Si比が低くなることを示している。
【0017】
図2A及び図2Bは、疎水性表面及び親水性表面をそれぞれ有するSiCOH low-k材料の概略的断面図を示している。図2Aは、疎水性表面214を含むSiCOH low-k材料204を概略的に図示している。表面214は金属前駆体吸着位置をほとんど有していないので、表面214に金属前駆体を曝露する結果、潜伏期間が長くなり、かつ疎水性表面214上での金属の堆積が遅延する。
【0018】
図2Bは、親水性表面214’を含むSiCOH low-k材料204’を概略的に図示している。親水性表面214’は、図2Aの表面214からCHx基を除去することによって生成された複数の金属前駆体吸着位置230を有する。吸着位置230の存在は、図2Aの疎水性表面214と比較して、金属堆積の潜伏期間を顕著に減少させると考えられる。図1Aに戻ると、処理条件#4)、#5)、#7)、及び#9)を用いたプラズマ処理で観測されるC/Si比が低いのは、プラズマ処理による疎水性表面214からのCHxの除去によって親水性表面214’が生成されるためと考えられる。しかし本願発明者らは、処理条件#8)を用いたプラズマ処理は、C/Si比を大きく変化させないことを発見した。この結果は、処理条件#4)、#5)、#7)、及び#9)を用いたプラズマ処理におけるHイオンとNHx(x<3)イオンへのSiCOH low-k材料の曝露と比較して、処理条件#8)を用いたプラズマにおけるNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルへのSiCOH low-k材料の曝露に起因すると考えられる。本発明の実施例によると、Ru金属キャップ層堆積にとっては疎水性表面214が好まれる。その理由は疎水性表面214は、Cu金属上及びRu金属堆積の潜伏期間を短くする他の金属上での選択的なRu金属キャップ層の堆積を可能にし、かつ改善する。
【0019】
図1Bは、本発明の実施例による、Cu金属に対する被処理low-k材料上でのRu金属の堆積の選択性を図示している。前述した図1Aを参照すると、様々な処理条件が記載されている。各処理プロセスに続いて、Ru金属膜が、被処理low-k材料を大気曝露することなくその場で堆積された。比較用に、Ru金属膜もまた、イオン化物理気相成長(IPVD)法によって300mmSiウエハ上に形成されたCu金属膜上に堆積された。全てのRu金属膜は、Ru3(CO)12前駆体蒸気及びCOキャリア気体を含む処理気体を用いた熱CVD(非プラズマ)処理によって堆積された。Siウエハは、基板温度190℃で60秒間処理気体に曝露されることで、Cu金属膜上に厚さ4-5nmのRu金属膜が形成された。しかしlow-k材料表面上のRu金属の量はわずかなものである。Cu金属膜上のRu金属膜の厚さは、半導体デバイス中のCuパス上のRu金属キャップ層及びメタライゼーション層において用いることのできる厚さに匹敵して良い。
【0020】
図1Bでは、Ru金属のCVD選択性(SRu)が(1)式に従って計算された。
SRu=(RuCu-Rulow-k)/RuCu (1)
ここで、RuCuはCu金属膜上に堆積されたRu金属の量を表し、かつRulow-kはlow-k材料上に堆積されたRu金属の量を表す。(1)式によると、選択性が1であるとは、low-k材料上に対するCu金属膜上でのRu金属堆積が理想の選択性を示すことを意味し、かつ、選択性が0であるとは、low-k材料上に対するCu金属膜上でのRu金属堆積が選択性を示さないことを意味する。RuCu及びRulow-kはその場X線蛍光(XRF)分光法によって測定された。Ru3(CO)12及びCOキャリアガスを用いたRu金属堆積の例は特許文献1、5、及び6に記載されている。また表1を参照すると、図1Bは、脱ガスのみが行われたlow-k材料、H2ガス中で熱処理(非プラズマ)されたlow-k材料、又は高い気体圧力のNH3ガスでのプラズマ処理でRu金属堆積の選択率が最高となったことを示している。比較すると、処理条件#4)、#5)、#7)、及び#9)を用いてプラズマ処理されたlow-k材料ではRu金属堆積の選択性は顕著に減少した。
【0021】
まとめると、図1A及び図1Bに示された実験結果は、高いC/Si比が高いRu金属堆積選択率と相関している可能性があることを示している。脱ガスしか行われなかったlow-k材料が良好なRu金属堆積選択率を示しているとはいえ、脱ガスのみでは、Cuパス上に形成された酸化されたCuの除去に有効であるとはいえない。しかし本発明の実施例によると、高い気体圧力でのNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによるパターニングされた基板の処理は、Cuパスから酸化されたCuを除去し、かつCuパス上での優れたRu金属堆積選択性を供する。
【0022】
本発明の実施例は、low-k材料を含むパターニングされた基板上の被処理金属表面(たとえばCu金属)上でのRu金属膜の高選択堆積方法を供する。パターニングされた基板は、Cu金属によって少なくとも実質的に充填されたlow-k誘電材料中の高アスペクト比の凹部を有することが可能なので、前記凹部内にCuパスが形成される。本発明の一の実施例によると、凹部は、パターニングされた基板内に形成されたトレンチ及びビアを含むデュアルダマシン相互接続構造を有して良い。ビアは、約2:1以上のアスペクト比(深さ/幅)−たとえば3:1、4:1、5:1、6:1、12:1、15:1又はそれ以上−を有して良い。ビアは約200nm以下の幅−たとえば150nm、100nm、65nm、45nm、32nm、20nm、又はそれ以下−を有して良い。しかし本発明の実施例はこれらのアスペクト比又はビアの幅に限定されない。他のアスペクト比又はビアの幅が利用されて良い。
【0023】
図3A-3Eは、本発明の実施例によるデュアルダマシン相互接続構造にRu金属膜を統合する様子の概略的断面を図示している。図3Aは、本発明の実施例によるデュアルダマシン相互接続構造300を含むパターニングされた基板の概略的断面を図示している。デュアルダマシン相互接続構造300は、当業者にとって既知の標準的なリソグラフィ及びエッチング法を用いることによって形成されて良い。本発明の実施例はまた、low-k材料中に形成される単純又は複雑なデュアルダマシン相互接続構造及び他の種類の凹部に適用されても良い。
【0024】
図3Aでは、デュアルダマシン相互接続構造300は、誘電層304中でのエッチングにより形成されたトレンチ352とビア354を含む凹部350を有する。さらにデュアルダマシン相互説構造300は、ビア354の底部にメタライゼーション層302(たとえばCu金属又はタングステン(W)金属)を有する。誘電層304はたとえば、たとえばフッ化シリコンガラス(FSG)のようなlow-k誘電材料、炭素がドーピングされた酸化物、ポリマー、SiCOH含有low-k材料、非有孔性low-k材料、有孔性low-k材料、CVD low-k材料、スピンオン誘電体(SOD)low-k材料、又は他の適切な誘電材料を有して良い。BDIIに加えて、他の炭素含有材料が市販されている。そのような市販された他の炭素含有材料には、ダウケミカル(Dow Chemical)から販売されているSilk(登録商標)及びCyclotene(登録商標)(ベンゾシクロブテン)が含まれる。図示されてはいないが、相互接続構造300は追加の層を有して良い。追加の層とはたとえば、誘電層301と304との間に設けられたトレンチエッチストップ層、ビアエッチストップ層、及び、誘電層301からメタライゼーション層302を分離するバリア層である。
【0025】
本発明の一の実施例によると、図3Aに図示されたパターニングされた基板は、NH3を有する処理気体から、プラズマ処理チャンバ内に生成されるNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって処理される。前記処理は、パターニングされた基板を500℃未満−たとえば150℃〜400℃−の基板温度にまで加熱する工程を有して良く、かつたとえばアルゴン(Ar)のような希ガスを有して良い。一例では、純粋なNH3が用いられて良い。一例では、10:1のNH3/Ar混合気体が用いられて良い。一例では、プラズマ処理チャンバ内の処理気体の気体圧力は1Torrより大きい。1Torrより大きな圧力とはたとえば、2Torr、3Torr、又はそれ以上の圧力である。一例では、100W未満のRF出力を、基板(ウエハ)を支持するように備えられた基板ホルダへ印加することによって、プラズマ処理チャンバ内にプラズマが生成される。RF出力はたとえば、90、80、70、60、50[W]又はそれ以下のワット数を有して良い。本発明の実施例によると、処理中、プラズマ条件は、プラズマ中に生成されたイオンへの基板の曝露が抑制されるように選ばれる。これは、NHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルに基板を曝露するが、プラズマ中に生成されるイオンへの基板の曝露を抑制する処理気体の高い気体圧力及びプラズマ出力を用いることによって実現されて良い。
【0026】
前記処理に続いて、図3Bに図示されているように、第1Ru金属キャップ層312が、メタライゼーション層302上に形成されて良い。本発明の一の実施例によると、第1Ru金属キャップ層312は、メタライゼーション層302上で選択的に堆積されて良い。第1Ru金属キャップ層312はたとえば、パターニングされた基板を100℃〜300℃の基板温度にまで加熱しながら堆積されて良い。第1Ru金属キャップ層312は、Ru3(CO)12前駆体蒸気及びCO気体を含む処理気体を用いるTCVDプロセスによって堆積されて良い。一例では、第1Ru金属キャップ層312の平均厚さは約2〜100Å−たとえば2、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100Å−であって良い。しかし、本発明の実施例はそれらの厚さに限定されるわけではない。より厚い第1Ru金属キャップ層312が形成及び利用されても良い。メタライゼーション層302上の第1Ru金属キャップ層312の表面被覆は、メタライゼーション層302を露出させるギャップが存在する不完全な状態であって良い。一の実施例によると、第1Ru金属膜の処理及び堆積は同一処理チャンバ内で実行されて良い。あるいはその代わりに、第1Ru金属膜の処理及び堆積は各異なる処理チャンバ内で実行されても良い。
【0027】
本発明の一の実施例によると、第1Ru金属キャップ層312は、図3Bに図示されたデュアルダマシン相互接続構造300から省略されて良い。
【0028】
図3Cは、凹部350内に形成されたバリア層318及び凹部350内のバリア層318上に形成された平坦化されたCuパス322を概略的に図示している。平坦化されたCuパス322は、凹部350をバルクCu金属で充填し、かつ平坦化法−たとえば化学機械研磨(CMP)法を用いて余剰Cuを除去することによって形成されて良い。前記平坦化法はさらに、図3Cにおいて概略的に図示されているように、low-k誘電領域314からバリア層318を除去する。バルクCu金属堆積法は当業者にとって周知であり、かつたとえば電気化学メッキ法又は無電解メッキ法を有して良い。さらにCMP法は当業者には周知である。図3Cには1つのCuパス322しか図示されていないが、当業者は、半導体デバイスが複数のCuパスを有することを十分理解している。
【0029】
バリア層318はたとえば、タンタル(Ta)含有材料(たとえばTa、TaC、TaN、若しくはTaCN、又はこれらの組み合わせ)、チタン(Ti)含有材料(たとえばTi、TiN、又はこれらの組み合わせ)、又はタングステン(W)含有材料(たとえばW、WN、又はこれらの組み合わせ)を有して良い。一例では、バリア層318は、第三級アミルイミド-トリス-ジメチルアミドタンタル(Ta(NC(CH3)2C2H5)(N(CH3)2)3)及びH2の交互曝露を用いることによって、プラズマ原子層堆積(PEALD)システム内で堆積されたTaCNを有して良い。他の例では、バリア層318は、Ta含有層又はTi含有層上に形成されるRu金属層−たとえばRu/TaN、Ru/TaCN、Ru/TiN、又はRu/TiCN−を有して良い。さらに他の例では、バリア層318は、RuとTa含有材料との混合物又はRuとTi含有材料との混合物−たとえばRuTaN、RuTaCN、RuTiN、又はRuTiCN−を有して良い。
【0030】
さらに図3Cを参照すると、low-k誘電領域314は、残留物317とCuパス322上に形成された銅酸化物層315を有して良い。残留物317及び銅酸化物層315は、CMP法によって形成されて良い。残留物317は、CMP法において一般的に用いられる化学剤であるベンゾトリアジン(BTA)を有して良い。他の実施例によると、残留物317及び/又は銅酸化物層315は、図3Cの構造に存在しなくても良い。
【0031】
本発明の一の実施例によると、図3Cのデュアルダマシン相互接続構造の形成に続いて、平坦化されたバルクのCuパス322とlow-k誘電領域314は、NH3を含む処理気体からプラズマ中に生成されるNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって処理される。その結果形成された構造が図3Dに図示されている。前記処理は、パターニングされた基板を500℃未満−たとえば150℃〜400℃−の基板温度にまで加熱する工程を有して良く、かつたとえばアルゴン(Ar)のような希ガスを有して良い。一例では、純粋なNH3が用いられて良い。一例では、10:1のNH3/Ar混合気体が用いられて良い。一例では、プラズマ処理チャンバ内の処理気体の気体圧力は1Torrより大きい。1Torrより大きな圧力とはたとえば、2Torr、3Torr、又はそれ以上の圧力である。一例では、100W未満のRF出力を、基板(ウエハ)を支持するように備えられた基板ホルダへ印加することによって、プラズマ処理チャンバ内にプラズマが生成される。本発明の実施例によると、処理中、プラズマ条件は、プラズマ中に生成されたイオンへの基板の曝露が抑制されるように選ばれる。これは、NHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルに基板を曝露するが、プラズマ中に生成されるイオンへの基板の曝露を抑制する処理気体の高い気体圧力及びプラズマ出力を用いることによって実現されて良い。
【0032】
前記処理に続いて、図3Eに図示されているように、第2Ru金属キャップ層324が、被処理平坦化Cuパス322上に選択的に堆積される。第2Ru金属キャップ層312はたとえば、パターニングされた基板を100℃〜300℃の基板温度にまで加熱しながら堆積されて良い。第2Ru金属キャップ層324は、Ru3(CO)12前駆体蒸気及びCO気体を含む処理気体を用いるTCVDプロセスによって堆積されて良い。一例では、第1Ru金属キャップ層312の平均厚さは約2〜100Å−たとえば2、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100Å−であって良い。しかし、本発明の実施例はそれらの厚さに限定されるわけではない。より厚い第2Ru金属キャップ層324が形成及び利用されても良い。
【0033】
一の実施例によると、Cuパス322上の第2Ru金属キャップ層324の表面被覆は、平坦化されたCiuパス322を露出させるギャップが存在する不完全な状態であって良い。一の実施例によると、前記処理及びRu金属膜の堆積は同一処理チャンバ内で実行されて良い。あるいはその代わりに、前記処理及びRu金属膜の堆積は各異なる処理チャンバ内で実行されても良い。
【0034】
Cuパス322上での第2Ru金属キャップ層324の選択的堆積に続き、図3Eに図示された一部が製造された半導体デバイスがさらに処理される。図3Fは、第2Ru金属キャップ層324及びlow-k誘電領域314上に堆積されたコンフォーマルなキャップ層326を図示している。キャップ層326はたとえば、シリコン窒化物又はシリコン炭窒化物を有して良い。本発明の一の実施例によると、キャップ層326を堆積する前に、第2Ru金属キャップ層324及びlow-k誘電領域314は、H2、N2、及び/又はNH3が存在する中で、パターニングされた基板を150℃〜400℃の基板温度にまで加熱しながら、プラズマ処理又は非プラズマ処理によって処理されて良い。一例では、第2Ru金属キャップ層324及びlow-k誘電領域314は、上述のNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって処理されて良い。
【0035】
図4は、本発明の実施例による、基板を処理するプラズマ処理システムの概略図を示している。処理システム400は、基板425を支持するように備えられている基板ホルダ420を有する処理チャンバ410を有する。処理チャンバ410はさらに、処理気体供給システム440及びパージガス供給システム442と結合する上部集合体430を有する。それに加えてプラズマ処理システム400は、基板ホルダ420と結合して基板425の温度の昇温及び制御を行うように備えられた基板温度制御システム460を有する。
【0036】
さらに図4を参照すると、プラズマ処理システム400は、200mm基板、300mm基板、又はより大きなサイズの基板を処理するように備えられて良い。実際、当業者には明らかなように、当該プラズマ処理システム400は、基板、ウエハ、LCDをそのサイズに関係なく処理するように備えられて良いと考えられる。従って本発明の態様は半導体基板の処理に関連して説明されているが、本発明は半導体基板の処理のみに限定されるわけではない。
【0037】
処理気体供給システム440は、処理気体を処理チャンバ410へ導入するように備えられる。本発明の実施例によると、処理気体は、NH3又はNH3と不活性気体を含んで良い。それに加えてパージガス供給システム442は、パージガスを処理チャンバ410へ導入するように備えられて良い。
【0038】
さらに図4を参照すると、プラズマプロセスシステム400は、処理チャンバへの処理気体の導入の少なくとも一部の実行中にプラズマを生成するように備えられたプラズマ生成システム451を有する。プラズマ生成システム451は、処理チャンバ410と結合して該処理チャンバ410と電力とを結合させるように備えられた第1電源450を有して良い。第1電源450は、可変電源であって良く、かつ高周波(RF)発生装置とインピーダンス整合ネットワークを有して良い。第1電源450はさらに、処理チャンバ410内のプラズマとRF電源とが結合する電極を有して良い。前記電極は上部集合体430内に形成されて良い。前記電極は、基板ホルダ420に対向するように備えられて良い。インピーダンス整合ネットワークは、整合ネットワークの出力インピーダンスと、電極及びプラズマを有する処理チャンバの入力インピーダンスとを整合させることによって、RF発生装置からプラズマへのRF電力の移送を最適化するように備えられて良い。そのインピーダンス整合ネットワークは、反射電力を減少させることによって、処理チャンバ410のプラズマへのRF電力の輸送を改善にするように機能する。整合ネットワーク形態(たとえばL型、π型、T型)、及び自動制御方法は当技術分野において周知である。
【0039】
あるいはその代わりに、第1電源450はRF発生装置及びインピーダンス整合ネットワークを有して良い。第1電源450はさらに、たとえば誘導コイルのようなアンテナを有して良い。前記アンテナを介してRF電力は処理チャンバ410内のプラズマを結合する。前記アンテナはたとえば、ヘリカルコイル又はソレノイダルコイル−たとえば誘導結合プラズマ源又はヘリコンコイル内に備えられているような−を有して良い。あるいは前記アンテナはたとえば、変成器結合プラズマ源内に備えられているようなフラットコイルを有して良い。
【0040】
あるいはその代わりに第1電源450は、マイクロ波周波数発生装置と、さらにマイクロ波アンテナとマイクロ波窓を有して良い。前記マイクロ波窓を介して、マイクロ波出力は処理チャンバ410内のプラズマと結合する。マイクロ波電力の結合は、電子サイクロトロン共鳴(ECR)を用いて実現されて良い。あるいはその代わりに、マイクロ波電力の結合は、表面波プラズマ技術−たとえば特許文献4に記載されているようなスロット面アンテナ(SPA)のような−を用いて利用されても良い。
【0041】
本発明の一の実施例によると、プラズマ処理システム400は、基板バイアス発生システム453を有する。基板バイアス発生システム453は、処理チャンバ410への処理気体の導入の少なくとも一部の実行中に基板ホルダ420のバイアス印加を介してプラズマの生成(の支援)を行うように備えられている。基板バイアス発生システム453は、処理チャンバ410と結合して基板425と電力とを結合するように備えられた基板電源452を有して良い。基板電源452はRF発生装置及びインピーダンス整合ネットワークを有して良い。基板電源452はさらに、RF電力が基板425と結合する電極を有して良い。前記電極は基板ホルダ420内に形成されて良い。たとえば基板ホルダ420は、RF発生装置(図示されていない)からインピーダンス整合ネットワーク(図示されていない)を介して基板ホルダ420へ流れるRF電力の伝送によって、RF電圧で電気的にバイアス印加されて良い。RFバイアスの典型的周波数は約0.1MHz〜約100MHzの範囲であって良く、かつ13.56MHzであって良い。プラズマ処理のためのRFバイアスシステムは当業者には周知である。あるいはその代わりに、RF電力は、複数の種類の周波数で基板ホルダの電極に印加される。
【0042】
プラズマ発生システム451及び基板バイアス発生システム453が別個の装置として図4に図示されているが、プラズマ発生システム451及び基板バイアス発生システム453は、基板ホルダ420と結合する1つ以上の電源を有して良い。
【0043】
さらに図4を参照すると、プラズマ処理システム400は、基板ホルダ420と結合して基板425の温度の昇温と制御を行うように備えられた基板温度制御システム460を有する。基板温度制御システム460は温度制御素子を有する。前記温度制御素子にはたとえば、基板ホルダ420から熱を受け取り、かつ熱を熱交換システム(図示されていない)へ輸送するか又は加熱するときには前記熱交換システムから熱を輸送する再循環冷却流が含まれる。それに加えて前記温度制御素子は加熱/冷却素子-たとえば抵抗加熱素子又は熱電ヒーター/クーラーのような-を有して良い。加熱/冷却素子は、基板ホルダ20内だけではなく、処理チャンバ410のチャンバ壁又は当該処理システム400内部の他の装置内に含まれても良い。
【0044】
基板425と基板ホルダ420との間の熱伝達を改善するため、基板ホルダ420は、機械的に固定するシステム又は電気的に固定するシステムを有して良い。それにより、基板425は基板ホルダ420の上側表面へ固定される。さらに基板425と基板ホルダ420との間のガスギャップによる熱伝導を改善するため、基板ホルダ420は、基板425の背面へガスを導入するように備えられている基板背面ガス供給システムをさらに有して良い。係るシステムは、基板温度を昇温又は降温させるような温度制御が必要なときに、利用されて良い。たとえば基板背面ガスシステムは、2領域ガス供給システムを有して良い。ここでヘリウムガスギャップ圧は、基板425の中心から端部の間で独立して変化して良い。
【0045】
さらに処理チャンバ410はさらに、ダクト438を介して、真空排気システム434とバルブ436を有する圧力制御システム432と結合する。圧力制御システム432は、処理チャンバ410を制御可能なように排気するように備えられている。真空排気システム434は最大5000リットル/秒(以上)の排気能力を有するターボ分子ポンプ(TMP)又はクライオポンプを有して良い。バルブ436はチャンバ圧力を絞るゲートバルブを有して良い。しかもチャンバ圧力を監視する装置(図示されていない)が処理チャンバ410と結合して良い。圧力測定装置は絶対キャパシタンスマノメータであって良い。
【0046】
さらに図4を参照すると、制御装置470は、マイクロプロセッサ、メモリ、及びデジタルI/Oポートを有する。前記デジタルI/Oポートは、プラズマ処理システム400からの出力を監視するのみならず、プラズマ処理システム400への入力をやり取りし、かつ起動させるのに十分な制御電圧を発生させる能力を有する。メモリに記憶されたプログラムは、記憶されたプロセスレシピに従った、プラズマ処理システム400との相互作用に利用されて良い。しかも制御装置470は、処理チャンバ410、基板ホルダ420、上部集合体430、処理気体供給システム440、パージガス供給システム442、第1電源450、基板電源452、基板温度制御システム460、及び圧力制御システム432と結合して、かつ情報をやり取りして良い。たとえば、メモリ内に記憶されたプログラムは、処理プロセスを実行するためのプロセスレシピに従って、プラズマ処理システムの上記装置への入力を起動させるのに利用されて良い。
【0047】
制御装置470は、メモリ内に含まれる1つ以上の命令からなる1つ以上のシーケンスを実行する処理装置に応答して、マイクロプロセッサに基づく本発明の処理工程の一部又は全部を実行する汎用コンピュータシステムで実装されても良い。そのような命令は、他のコンピュータによる読み取りが可能な媒体(たとえばハードディスク又は取り外し可能な媒体ドライブ)から制御装置へ読み取られて良い。多重処理装置内の1つ以上の処理装置はまた、主メモリ内に含まれる命令のシーケンスを実行する制御装置マイクロプロセッサとして用いられても良い。代替実施例では、ハードウエアにより実装された回路は、ソフトウエア命令に替わって、又はそれと併用されて良い。よって実施例はハードウエア回路及びソフトウエアの特定の組み合わせに限定されない。
【0048】
制御装置470は、本発明の教示に従ってプログラムされた命令を保持し、かつデータ構造、テーブル、レコード、又は本発明の実施に必要と思われる他のデータを含む少なくとも1つのコンピュータによる読み取りが可能な媒体又はメモリ−たとえば制御装置メモリ−を有する。コンピュータによる読み取りが可能な媒体の例には、コンパクトディスク(たとえばCD-ROM)若しくは他の光学式媒体、ハードディスク、フロッピーディスク、テープ、磁気光学ディスク、PROMs(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM若しくは他の磁気媒体、パンチカード、紙テープ若しくは穴のパターンを有する他の物理媒体、又は搬送波(後述)若しくはコンピュータによる読み取りが可能な他の媒体がある。
【0049】
コンピュータによる読み取りが可能な媒体(の結合)に保存された状態で、制御装置470を制御し、(複数の)装置を駆動し、及び/又は制御装置470が人間であるユーザーと相互作用できるようにするソフトウエアを有する。係るソフトウエアには、装置のドライバ、OS、開発ツール、及びアプリケーションが含まれて良いが、これらに限定されるわけではない。係るコンピュータによる読み取りが可能な媒体はさらに、上述の処理の一部(プロセスが分配される場合)又は全部を実行するコンピュータプログラム製品をも含む。
【0050】
本発明のコンピュータコード装置は、如何なる解釈可能又は実行可能なコード機構であって良い。コンピュータコード装置には、解釈可能なプログラム、ダイナミックリンクライブラリ(DLLs)、Javaクラス、及び完全に実行可能なプログラムが含まれるが、これらに限定されるわけではない。しかも処理のほとんどは、性能、信頼性、及び/又はコストを向上するために分配されて良い。
【0051】
本明細書で用いられている“コンピュータによる読み取りが可能な媒体”という語は、実行するための制御装置470のプロセッサへ命令を供することに関与する媒体を意味する。コンピュータによる読み取りが可能な媒体は如何なる形式を取っても良い。コンピュータによる読み取りが可能な媒体には、不揮発性媒体及び透過性媒体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。不揮発性媒体にはたとえば、ハードディスクや取り外し可能な媒体ドライブのような、光学ディスク、磁気ディスク、及び磁気光学ディスクが含まれる。揮発性媒体には主メモリのようなダイナミックメモリが含まれる。しかも、実行用の制御装置のプロセッサへ1つ以上の命令を含む1つ以上のシーケンスを実行する際には、様々な形式のコンピュータによる読み取りが可能な媒体が含まれて良い。たとえば命令は最初離れた位置にあるコンピュータの磁気ディスク上で実行されて良い。その離れた位置にあるコンピュータは、離れた場所から命令を読み取ってダイナミックメモリへ送り、ネットワークを介して命令を制御装置470へ送る。
【0052】
制御装置470は、プラズマ処理システム400に対して局所的に設置されても良いし、又はインターネット又はイントラネットを介してプラズマ処理システム400に対して離れた場所に設置されても良い。よって制御装置470は、直接接続、イントラネット、インターネット及びワイヤレス接続のうちの少なくとも1を用いることによって処理システム1とのデータのやり取りをして良い。制御装置470は、たとえば顧客側(つまりデバイスメーカー等)のイントラネットと結合して良いし、又はたとえば売り手側(つまり装置製造者等)のイントラネットと結合しても良い。さらに別なコンピュータ(つまり制御装置、サーバー等)が、たとえば制御装置470とアクセスすることで、直接接続、イントラネット及びインターネットのうちの少なくとも1つを介してデータのやり取りをして良い。当業者がすぐ理解にするように、制御装置470は、ワイヤレス接続を介してプラズマ処理システムとデータのやり取りをして良い。
【0053】
図5は、本発明の実施例による、Ru3(CO)12前駆体蒸気及びCOガスからRu金属膜を堆積する熱化学気相成長(TCVD)システムの概略図を表す。当該TCVDシステム1は基板ホルダ20を有する処理チャンバ10を有する。基板ホルダ20は、上にRu金属膜が形成されるパターニングされた基板25を支持するように備えられている。処理チャンバ10は、気相前駆体供給システム40を介して金属前駆体気化システム5と結合する。
【0054】
処理チャンバ10はさらに、ダクト36を介して真空排気システム38と結合する。真空排気システム38は、処理チャンバ10、気相前駆体供給システム40、及び金属前駆体気化システム50を、パターニングされた基板25上でのRu金属膜の形成及び金属前駆体気化システム50内でのRu3(CO)12前駆体52の気化に適した圧力にまで排気するように備えられている。
【0055】
さらに図5を参照すると、金属前駆体気化システム50は、Ru3(CO)12前駆体52を貯蔵し、Ru3(CO)12前駆体52を気化するのに十分な温度にまで加熱し、かつRu3(CO)12前駆体蒸気を気相前駆体供給システム40へ導入するように備えられている。固相Ru3(CO)12前駆体52を昇華させるのに必要な温度を実現するため、金属前駆体気化システム50は、気化温度を制御するように備えられた気化温度制御システム54と結合する。
【0056】
たとえばRu3(CO)12前駆体52の温度は約40℃〜約150℃に昇温されて良い。あるいはその代わりに気化温度は約40℃〜約150℃に維持されても良い。Ru3(CO)12前駆体52が加熱されて昇華することで、CO含有気体は、Ru3(CO)12前駆体52を通過することで、生成されるRu3(CO)12前駆体蒸気を捕獲する。CO含有気体は、CO及び任意で不活性キャリアガス−たとえばN2若しくは希ガス(つまりHe、Ne、Ar、Kr、Xe)又はこれらの混合気体−を含んで良い。CO気体が存在する中でRu3(CO)12前駆体を気化することで、パターニングされた基板へのRu3(CO)12前駆体蒸気の供給が制限されるという問題を緩和することができる。生成されているRu3(CO)12前駆体蒸気にCO気体を加えることで、気化温度を上昇させることが可能となる。そのような昇温はRu3(CO)12前駆体の蒸気圧を増大させる。その結果、処理チャンバへのRu3(CO)12前駆体の供給が増大し、パターニングされた基板25上でのRu金属膜の堆積速度が増大する。処理チャンバ10へRu3(CO)12前駆体を供給する前に気相前駆体供給システム40中で早すぎるRu3(CO)12前駆体の分解が起こるのを減少させるためにCO気体を用いることで、Ru3(CO)12前駆体蒸気が処理チャンバへ効率的に輸送されて、特許文献5に記載されたRu金属膜の堆積を促進することが示された。
【0057】
一例では、金属前駆体気化システム50は、Ru3(CO)12蒸気の効率的な気化及び輸送を行うように備えられた多重トレイ気化システムであって良い。典型的な多重トレイ気化システムは特許文献7に記載されている。
【0058】
たとえば気体供給システム60は金属前駆体気化システム50と結合する。また気体供給システム60はたとえば、CO、キャリアガス、又はこれらの混合気体を、供給ライン61を介してRu3(CO)12前駆体52付近に又は供給ライン62を介してRu3(CO)12前駆体52全体にわたって供給するように備えられている。それに加えて、気体供給システム60は、金属前駆体気化システム50から下流で気相前駆体供給システム40に結合することで、Ru3(CO)12前駆体52が気相前駆体供給システム40へ入り込む際又はその後、供給ライン63を介してRu3(CO)12前駆体52の蒸気へ気体を供給する。さらにRu3(CO)12前駆体とCO気体にパターニングされた基板25を曝露する前に、吸着したCOによってパターニングされた基板25の曝露表面を飽和させるため、供給ライン63は、CO気体を含む前処理気体によってパターニングされた基板を前処理するのに利用されて良い。
【0059】
図示されてはいないが、気体供給システム60は、キャリアガス、CO気体源、1つ以上の制御バルブ、1つ以上のフィルタ、及びマスフローコントローラを有して良い。たとえばCO含有気体の流速は約0.1sccm〜約1000sccmであって良い。あるいはその代わりにCO含有気体の流速は約10sccm〜約500sccmであって良い。さらにあるいはその代わりにCO含有気体の流速は約50sccm〜約200sccmであって良い。本発明の実施例によると、CO含有気体の流速は約0.1sccm〜約1000sccmの範囲であって良い。あるいはその代わりにCO含有気体の流速は約1sccm〜約500sccmであって良い。
【0060】
金属前駆体気化システム50から下流で、処理チャンバ10と結合する蒸気分配システム30を介して処理気体が処理チャンバ10へ入り込むまで、Ru3(CO)12前駆体蒸気とCO気体を含む処理気体は気相前駆体供給システム40を通り抜けて流れる。蒸気ライン温度の制御及びRu3(CO)12前駆体蒸気の凝集と分解の防止を目的として、気相前駆体供給システム40は蒸気ライン温度制御システム42と結合して良い。気相前駆体供給システム40はたとえば、50℃〜100℃の温度に維持されて良い。
【0061】
さらに図5を参照すると、処理チャンバ10と結合して処理チャンバ10の一部を構成する蒸気分配システム30は蒸気分配プレナム32を有する。蒸気分配プレナム32内部では、蒸気分配プレート34を通過し、基板25上の領域33に入り込む前に蒸気が拡がる。それに加えて、蒸気分配プレート34は、その温度を制御するように備えられた分配プレート温度制御システム35と結合して良い。
【0062】
一旦Ru3(CO)12前駆体蒸気とCO気体を含む処理気体が処理チャンバ10の処理領域33へ入り込むと、パターニングされた基板25の温度上昇による基板表面での吸着の際に、Ru3(CO)12前駆体蒸気は熱分解し、かつRu金属膜がパターニングされた基板25上に形成される。基板ホルダ20は、基板温度制御システム22と結合する基板ホルダ20によってパターニングされた基板25の温度を上昇させるように備えられている。たとえば基板温度制御システム22は、パターニングされた基板25の温度を最大約500℃にまで昇温するように備えられて良い。それに加えて処理チャンバ10は、チャンバ壁の温度を制御するように備えられたチャンバ温度制御システム12と結合して良い。
【0063】
さらに図5を参照すると、堆積システム1はさらに、該堆積システム1の動作とその制御を行うように備えられた制御システム80を有して良い。制御システム80は、処理チャンバ10、基板ホルダ20、基板温度制御システム22、チャンバ温度制御システム12、蒸気分配システム30、気相前駆体供給システム40、金属前駆体気化システム50、及び気体供給システム60と結合する。
【0064】
図6は、本発明の実施例による、Ru3(CO)12前駆体蒸気及びCOガスからRu金属膜を堆積する他のTCVDシステムの概略図を表す。当該TCVDシステム100は基板ホルダ120を有する処理チャンバ110を有する。基板ホルダ120は、上にRu金属膜が形成されるパターニングされた基板25を支持するように備えられている。処理チャンバ110は、金属前駆体気化システム150を有する前駆体供給システム105及び気相前駆体供給システム140と結合する。金属前駆体気化システム150はRu3(CO)12前駆体152を貯蔵及び気化するように備えられている。気相前駆体供給システム140はRu3(CO)12前駆体152の蒸気を処理チャンバ110へ搬送するように備えられている。
【0065】
処理チャンバ110は、上部チャンバ部111、下部チャンバ部112、及び排出チャンバ113を有する。開口部114は下部チャンバ部112内部に形成される。下部チャンバ部112は排出チャンバ113と結合する。
【0066】
さらに図6を参照すると、基板ホルダ120は、処理されるべきパターニングされた基板(又はウエハ)125を支持する水平面を供する。基板ホルダ120は、排出チャンバ113の下部から上方に延びる円筒形支持部122によって支持されて良い。さらに基板ホルダ120は、基板ホルダ温度制御システム128と結合するヒーター126を有する。ヒーター126はたとえば1つ以上の抵抗加熱素子を有して良い。あるいはその代わりにヒーター126はたとえば放射加熱システム-たとえばタングステン-ハロゲンランプ-を有して良い。基板ホルダ温度制御システム128は電源を有して良い。その電源は、1つ以上の加熱素子、基板温度及び/又は基板ホルダの温度を測定する1つ以上の温度センサ、並びに、パターニングされた基板125若しくは基板ホルダの温度を監視、調節、又は制御のうちの少なくとも1つを実行するように備えられた制御装置に電力を供する。
【0067】
処理中、加熱されたパターニングされた基板125は、Ru3(CO)12前駆体蒸気を熱的に分解し、かつパターニングされた基板125上でのRu金属膜の堆積を可能にする。基板ホルダ120は、パターニングされた基板125上への所望のRu金属膜の堆積に適した所定温度に加熱される。それに加えて、チャンバ温度制御システム121と結合するヒーター(図示されていない)は、処理チャンバ110の壁内に埋め込まれることで、その壁を所定温度に加熱して良い。そのヒーターは処理チャンバの壁の温度を約40℃〜約150℃、又は約40℃〜約80℃に維持して良い。圧力ゲージ(図示されていない)が処理チャンバ圧力の測定に用いられる。本発明の実施例によると、処理チャンバ圧力は約1mTorr〜約500mTorrであって良い。あるいはその代わりに処理チャンバ圧力は約10mTorr〜約100mTorrであって良い。
【0068】
また図6に図示されているように、蒸気分配システム130は処理チャンバ110の上部チャンバ部111と結合する。蒸気分配システム130は蒸気分配プレート131を有する。蒸気分配プレート131は、蒸気分配システム132から1つ以上のオリフィス134を介してパターニングされた基板125の上方である処理領域133へ前駆体蒸気を導入するように備えられている。
【0069】
さらに上部チャンバ部111には、気相前駆体供給システム140から蒸気分配プレナム132へRu3(CO)12前駆体蒸気及びCOガスを有する処理気体を導入するための開口部135が供されている。しかも蒸気分配システム130の温度を制御することで該蒸気分配システム130内部でのRu3(CO)12前駆体の分解又は凝集を防止するための温度制御素子136-たとえば冷却又は加熱流体を流すように備えられた同心円状の流体チャネル-が供される。たとえば流体-たとえば水-は、蒸気分配温度制御システム138から流体チャネルへ供給されて良い。蒸気分配温度制御システム138は、流体源、熱交換器、流体温度及び/又は蒸気分配プレート温度を測定する1つ以上の温度センサ、並びに蒸気分配プレート131の温度を約20℃〜約150℃に制御するように備えられた制御装置を有して良い。Ru3(CO)12前駆体については、蒸気分配プレート131の温度は、プレート131上での前駆体の凝集を回避するため約65℃以上の温度に維持されて良い。
【0070】
図6に図示されているように、金属前駆体気化システム150は、Ru3(CO)12前駆体152を保持してRu3(CO)12前駆体152の温度を昇温することによって、Ru3(CO)12前駆体152を気化(昇華)させるように備えられている。“気化”、“昇華”及び“蒸発”の語は、たとえば固体から液体そして気体、固体から気体、あるいは液体から気体というような転移に関係なく、固相又は液状前駆体から蒸気(ガス)が生成されることを広く意味するものとして同義的に用いられている。Ru3(CO)12前駆体152を加熱して、所望のRu3(CO)12前駆体152の蒸気圧を生成する温度に維持するために前駆体ヒーター154が供される。前駆体ヒーター154は、Ru3(CO)12前駆体152の温度を制御するように備えられた気化温度制御システム156と結合する。たとえば前駆体ヒーター154は、Ru3(CO)12前駆体152の温度を約40℃〜約150℃又は約60℃〜約90℃に調節するように備えられて良い。
【0071】
Ru3(CO)12前駆体152が加熱されて気化(昇華)することで、CO含有気体は、Ru3(CO)12前駆体52を通過することで、生成されるRu3(CO)12前駆体蒸気を捕獲する。CO含有気体は、CO及び任意で不活性キャリアガス−たとえばN2若しくは希ガス(つまりHe、Ne、Ar、Kr、Xe)又はこれらの混合気体−を含んで良い。たとえば気体供給システム160は、金属前駆体気化システム150と結合し、かつたとえばRu3(CO)12前駆体152を通過して流れるように備えられている。図6には図示されていないが、Ru3(CO)12前駆体52が気相前駆体供給システム40へ入り込む際又はその後、Ru3(CO)12前駆体とCO気体にパターニングされた基板125を曝露する前に、吸着したCOによってパターニングされた基板25の曝露表面を飽和させるため、気体供給システム160はまた気相前駆体供給システム140と結合することで、CO気体をRu3(CO)12前駆体152へ供給して良い。
【0072】
気体供給システム160は、不活性キャリアガス、CO気体、若しくはそれらの混合気体を含む気体源161、1つ以上のフィルタ164、及びマスフローコントローラ165を有して良い。たとえばCO含有気体のマスフロー速度は約0.1sccm〜約1000sccmの範囲であって良い。
【0073】
それに加えて、金属前駆体気化システム150からの全気体流を測定するセンサ166が供される。センサ166はたとえばマスフローコントローラを有して良い。処理チャンバ110へ供給されるRu3(CO)12前駆体蒸気の量は、センサ166とマスフローコントローラ165を用いることによって決定されて良い。あるいはその代わりにセンサ166は、処理チャンバ110へ向かう気体流内でのRu3(CO)12前駆体濃度を測定する光吸収センサを有して良い。
【0074】
バイパスライン167が、センサ166の下流に設けられて良い。バイパスライン167は、蒸気供給システム140を排気ライン116と接続して良い。バイパスライン167が供されることで、気相前駆体供給システム140は排気され、処理チャンバ110へのRu3(CO)12前駆体とCO気体の供給は安定化する。それに加えて、バイパスバルブ168がバイパスライン167上に供される。バイパスバルブ168は、気相前駆体供給システム140の分岐位置から下流に設けられている。
【0075】
さらに図6を参照すると、気相前駆体供給システム140は、第1バルブ141及び第2バルブ142を有する高コンダクタンスの蒸気ラインを有する。それに加えて気相前駆体供給システム140は、ヒーター(図示されていない)を介して気相前駆体供給システム140を加熱するように備えられた蒸気ライン温度制御システム143をさらに有する。蒸気ラインの温度は、蒸気ライン内でルテニウムカルボニル前駆体蒸気の凝集が起こらないように制御されて良い。蒸気ラインの温度は、約20℃から約100℃、又は約40℃から約90℃で制御されて良い。
【0076】
しかもCO気体は気体供給システム190から供給されて良い。たとえば気体供給システム160は気相前駆体供給システム140と結合し、かつ、CO気体を含む前処理気体によるパターニングされた基板125の前処理、又は、バルブ141の下流の気相前駆体供給システム140内で別なCO気体とRu3(CO)12前駆体蒸気との気相前駆体供給システム140内での混合を行うように備えられている。気体供給システム190は、CO気体源191、1つ以上の制御バルブ192、1つ以上のフィルタ194、及びマスフローコントローラ195を有して良い。たとえばCO気体のマスフローコントローラは約0.1sccm〜約1000sccmの範囲であって良い。
【0077】
マスフローコントローラ165と195及びバルブ162、192、168、141と142は制御装置196によって制御される。制御装置196は、不活性キャリアガス、CO気体、及びRu3(CO)12前駆体蒸気の供給、停止、及び流れを制御する。センサ166も制御装置196に接続する。センサ166の出力に基づいて、制御装置196は、マスフローコントローラ165を通るキャリアガスの流れを制御することで、所望の処理チャンバ110へのRu3(CO)12前駆体流を得ることができる。
【0078】
図6に図示されているように、排気ライン116は、排気チャンバ113を排気システム118と接続する。真空ポンプ119は、処理チャンバ110を所望の真空度まで排気し、かつプロセス中に、処理チャンバ110から気体物質を除去するのに用いられる。自動圧力制御装置(APC)115及びトラップ117は、真空ポンプ119と繋いで用いられて良い。真空ポンプ119は、最大で毎秒500リットル(以上)の排気速度を有するターボ分子ポンプ(TMP)を有して良い。あるいはその代わりに、真空ポンプ119は、乾燥型粗引きポンプを有しても良い。プロセス中、処理気体がプロセスチャンバ110内に導入され、チャンバ圧力はAPC115によって調節されて良い。APC115は、蝶型バルブ又はゲートバルブを有して良い。トラップ117は、未反応Ru3(CO)12前駆体材料、及び副生成物を、処理チャンバ110から回収して良い。
【0079】
図6に図示された処理チャンバ110内の基板ホルダ120を参照すると、基板50を保持し、上昇させ、かつ下降させる3の基板リフトピン127(2つのみ図示されている)が供される。基板リフトピン127は、プレート123に固定され、かつ基板ホルダ120の上側面よりも下にまで下降させることができる。たとえば空気シリンダを利用する駆動機構は、プレート123を上昇及び下降させる手段を供する。パターニングされた基板125は、ロボットによる搬送システム(図示されていない)によって、ゲートバルブ200及びチャンバ貫通接続口202を通って、処理チャンバ110へ搬入し、かつ処理チャンバ110から搬出されて良い。またパターニングされた基板125は、基板リフトピン127によって受け取られて良い。一旦パターニングされた基板125が搬送システムから受け取られると、基板リフトピン127を下げることによって、パターニングされた基板125を基板ホルダ120の上側面にまで下げることが可能である。
【0080】
さらに図6を参照すると、堆積システム制御装置180は、マイクロプロセッサ、メモリ、及びデジタルI/Oポートを有する。デジタルI/Oポートは、堆積システム100からの出力を監視するのみならず、堆積システム100の入力をやり取りし、かつ起動させるのに十分な制御電圧を発生させる能力を有する。しかも制御装置180は、処理チャンバ110、制御装置196と蒸気ライン温度制御システム143と気化温度制御システム156を有する前駆体供給システム105、蒸気分配温度制御システム138、真空排気システム118、及び基板ホルダ温度制御システム128と結合して情報のやり取りをすることができる。真空排気システム118では、制御装置180は、処理チャンバ110内の圧力を制御するAPC115と結合して情報をやり取りして良い。基板25上でのプラズマプロセスを実行するためのプロセスレシピに従って、メモリ内に記憶されたプログラムは、堆積システム100の上述の処理用装置への入力を起こすのに利用されて良い。
【0081】
制御装置180は、メモリ内に含まれる1つ以上の命令からなる1つ以上のシーケンスを実行する処理装置に応答して、マイクロプロセッサに基づく本発明の処理工程の一部又は全部を実行する汎用コンピュータシステムで実装されても良い。そのような命令は、他のコンピュータによる読み取りが可能な媒体−たとえばハードディスク又は取り外し可能な媒体ドライブ−から制御装置へ読み取られて良い。多重処理装置内の1つ以上の処理装置はまた、主メモリ内に含まれる命令のシーケンスを実行する制御装置マイクロプロセッサとして用いられても良い。代替実施例では、ハードウエアにより実装された回路は、ソフトウエア命令に替わって、又はそれと併用されて良い。よって実施例はハードウエア回路及びソフトウエアの特定の組み合わせに限定されない。
【0082】
制御装置180は、本発明の教示に従ってプログラムされた命令を保持し、かつデータ構造、テーブル、レコード、又は本発明の実施に必要と思われる他のデータを含む少なくとも1つのコンピュータによる読み取りが可能な媒体又はメモリ−たとえば制御装置メモリ−を有する。コンピュータによる読み取りが可能な媒体の例には、コンパクトディスク(たとえばCD-ROM)若しくは他の光学式媒体、ハードディスク、フロッピーディスク、テープ、磁気光学ディスク、PROMs(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM若しくは他の磁気媒体、パンチカード、紙テープ若しくは穴のパターンを有する他の物理媒体、又は搬送波(後述)若しくはコンピュータによる読み取りが可能な他の媒体がある。
【0083】
コンピュータによる読み取りが可能な媒体(の結合)に保存された状態で、制御装置470を制御し、(複数の)装置を駆動し、及び/又は制御装置470が人間であるユーザーと相互作用できるようにするソフトウエアを有する。係るソフトウエアには、装置のドライバ、OS、開発ツール、及びアプリケーションが含まれて良いが、これらに限定されるわけではない。係るコンピュータによる読み取りが可能な媒体はさらに、上述の処理の一部(プロセスが分配される場合)又は全部を実行するコンピュータプログラム製品をも含む。
【0084】
本発明のコンピュータコード装置は、如何なる解釈可能又は実行可能なコード機構であって良い。コンピュータコード装置には、解釈可能なプログラム、ダイナミックリンクライブラリ(DLLs)、Javaクラス、及び完全に実行可能なプログラムが含まれるが、これらに限定されるわけではない。しかも処理のほとんどは、性能、信頼性、及び/又はコストを向上するために分配されて良い。
【0085】
本明細書で用いられている“コンピュータによる読み取りが可能な媒体”という語は、実行するための制御装置180のプロセッサへ命令を供することに関与する媒体を意味する。コンピュータによる読み取りが可能な媒体は如何なる形式を取っても良い。コンピュータによる読み取りが可能な媒体には、不揮発性媒体及び透過性媒体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。不揮発性媒体にはたとえば、ハードディスクや取り外し可能な媒体ドライブのような、光学ディスク、磁気ディスク、及び磁気光学ディスクが含まれる。揮発性媒体には主メモリのようなダイナミックメモリが含まれる。しかも、実行用の制御装置のプロセッサへ1つ以上の命令を含む1つ以上のシーケンスを実行する際には、様々な形式のコンピュータによる読み取りが可能な媒体が含まれて良い。たとえば命令は最初離れた位置にあるコンピュータの磁気ディスク上で実行されて良い。その離れた位置にあるコンピュータは、離れた場所から命令を読み取ってダイナミックメモリへ送り、ネットワークを介して命令を制御装置180へ送る。
【0086】
制御装置180は、堆積システム100に対して局所的に設置されても良いし、又はインターネット又はイントラネットを介して堆積システム100に対して離れた場所に設置されても良い。よって制御装置180は、直接接続、イントラネット、インターネット及びワイヤレス接続のうちの少なくとも1を用いることによって処理システム1とのデータのやり取りをして良い。制御装置180は、たとえば顧客側(つまりデバイスメーカー等)のイントラネットと結合して良いし、又はたとえば売り手側(つまり装置製造者等)のイントラネットと結合しても良い。さらに別なコンピュータ(つまり制御装置、サーバー等)が、たとえば制御装置180とアクセスすることで、直接接続、イントラネット及びインターネットのうちの少なくとも1つを介してデータのやり取りをして良い。当業者がすぐ理解にするように、制御装置180は、ワイヤレス接続を介して堆積システム100とデータのやり取りをして良い。
【0087】
選択的Ru堆積を半導体デバイスの製造に統合することで、CuメタライゼーションにおけるEMとSMを改善する複数の実施例が開示されている。本発明の実施例の上記説明は例示及び説明を目的としたものであり、本発明を開示された厳密な形態に限定するものではない。本明細書及び以降の請求項は、説明目的であって限定と解されてはならない語句を含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスの製造方法であって:
プラズマ処理チャンバ内にパターニングされた基板を供する工程であって、前記パターニングされた基板は、low-k誘電材料内に形成された凹部構造と該凹部構造の底部に設けられた第1メタライゼーション層を有する、基板提供工程;
NH3を含む第1処理気体から、前記プラズマ処理チャンバ内に生成されるNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって、前記パターニングされた基板を処理する基板処理工程;
前記第1メタライゼーション層上に第1ルテニウム(Ru)金属キャップ層を形成する第1金属キャップ層形成工程;
前記low-k誘電材料上及び前記第1Ru金属キャップ層上を含む前記凹部構造内にバリア層を堆積するバリア層堆積工程;並びに
前記凹部構造を銅(Cu)金属で充填する凹部構造充填工程;
を有する方法。
【請求項2】
前記基板処理工程が、前記プラズマ処理チャンバ内の前記第1処理気体について1Torrよりも大きな圧力をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板処理工程が、100W未満のRF電力を前記基板ホルダへ印加することによって、前記第1処理気体からプラズマを生成する工程をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基板処理工程が、前記パターニングされた基板のイオンへの曝露を抑制する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属キャップ層形成工程が、前記low-k誘電材料上に対して前記第1メタライゼーション層上で選択的に第1Ru金属キャップ層を堆積する工程を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1処理気体がNH3からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記low-k誘電材料がSiCOH材料を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記金属キャップ層形成工程が、熱化学気相成長法によって、Ru3(CO)12前駆体蒸気及びCO気体を含む堆積気体に前記パターニングされた基板を曝露する工程を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記凹部構造充填工程に続いて、Cuパス及びlow-k誘電体領域を有する実質的に平坦な面を形成する平坦面形成工程;
NH3を含む第2処理気体から、前記プラズマ処理チャンバ内に生成されるNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって、前記Cuパス及び前記low-k誘電体領域を処理する処理工程;並びに、
前記の処理されたCuパス上に第2Ru金属キャップ層を形成する第2金属キャップ層形成工程;
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記処理工程が、前記プラズマ処理チャンバ内の前記第2処理気体について1Torrよりも大きな圧力をさらに有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記処理工程が、100W未満のRF電力を前記基板ホルダへ印加することによって、前記第2処理気体からプラズマを生成する工程をさらに有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記処理工程が、前記Cuパス及び前記low-k誘電体領域のイオンへの曝露を抑制する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
半導体デバイスの製造方法であって:
プラズマ処理チャンバ内の基板ホルダ上にパターニングされた基板を供する工程であって、前記パターニングされた基板はCuパス及びlow-k誘電体領域を有する実質的に平坦な面を有する、基板提供工程;
NH3を有する処理気体から前記プラズマ処理チャンバ内に生成されるNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって、前記Cuパス及び前記low-k誘電体領域を処理する誘電体領域処理工程;並びに、
前記の処理されたCuパス上にRu金属キャップ層を形成する金属キャップ層形成工程;
を有する方法。
【請求項14】
前記処理工程が、前記プラズマ処理チャンバ内の前記処理気体について1Torrよりも大きな圧力をさらに有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記処理工程が、100W未満のRF電力を前記基板ホルダへ印加することによって、前記処理気体からプラズマを生成する工程をさらに有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記処理工程が、前記Cuパス及び前記low-k誘電体領域のイオンへの曝露を抑制する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記金属キャップ層形成工程が、前記low-k誘電材料上に対して前記Cuパス上で選択的にRu金属キャップ層を堆積する工程を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記処理気体がNH3からなる、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記low-k誘電材料がSiCOH材料を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記金属キャップ層形成工程が、熱化学気相成長法によって、Ru3(CO)12前駆体蒸気及びCO気体を含む堆積気体に前記パターニングされた基板を曝露する工程を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項1】
半導体デバイスの製造方法であって:
プラズマ処理チャンバ内にパターニングされた基板を供する工程であって、前記パターニングされた基板は、low-k誘電材料内に形成された凹部構造と該凹部構造の底部に設けられた第1メタライゼーション層を有する、基板提供工程;
NH3を含む第1処理気体から、前記プラズマ処理チャンバ内に生成されるNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって、前記パターニングされた基板を処理する基板処理工程;
前記第1メタライゼーション層上に第1ルテニウム(Ru)金属キャップ層を形成する第1金属キャップ層形成工程;
前記low-k誘電材料上及び前記第1Ru金属キャップ層上を含む前記凹部構造内にバリア層を堆積するバリア層堆積工程;並びに
前記凹部構造を銅(Cu)金属で充填する凹部構造充填工程;
を有する方法。
【請求項2】
前記基板処理工程が、前記プラズマ処理チャンバ内の前記第1処理気体について1Torrよりも大きな圧力をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板処理工程が、100W未満のRF電力を前記基板ホルダへ印加することによって、前記第1処理気体からプラズマを生成する工程をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基板処理工程が、前記パターニングされた基板のイオンへの曝露を抑制する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属キャップ層形成工程が、前記low-k誘電材料上に対して前記第1メタライゼーション層上で選択的に第1Ru金属キャップ層を堆積する工程を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1処理気体がNH3からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記low-k誘電材料がSiCOH材料を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記金属キャップ層形成工程が、熱化学気相成長法によって、Ru3(CO)12前駆体蒸気及びCO気体を含む堆積気体に前記パターニングされた基板を曝露する工程を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記凹部構造充填工程に続いて、Cuパス及びlow-k誘電体領域を有する実質的に平坦な面を形成する平坦面形成工程;
NH3を含む第2処理気体から、前記プラズマ処理チャンバ内に生成されるNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって、前記Cuパス及び前記low-k誘電体領域を処理する処理工程;並びに、
前記の処理されたCuパス上に第2Ru金属キャップ層を形成する第2金属キャップ層形成工程;
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記処理工程が、前記プラズマ処理チャンバ内の前記第2処理気体について1Torrよりも大きな圧力をさらに有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記処理工程が、100W未満のRF電力を前記基板ホルダへ印加することによって、前記第2処理気体からプラズマを生成する工程をさらに有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記処理工程が、前記Cuパス及び前記low-k誘電体領域のイオンへの曝露を抑制する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
半導体デバイスの製造方法であって:
プラズマ処理チャンバ内の基板ホルダ上にパターニングされた基板を供する工程であって、前記パターニングされた基板はCuパス及びlow-k誘電体領域を有する実質的に平坦な面を有する、基板提供工程;
NH3を有する処理気体から前記プラズマ処理チャンバ内に生成されるNHx(x≦3)ラジカル及びHラジカルによって、前記Cuパス及び前記low-k誘電体領域を処理する誘電体領域処理工程;並びに、
前記の処理されたCuパス上にRu金属キャップ層を形成する金属キャップ層形成工程;
を有する方法。
【請求項14】
前記処理工程が、前記プラズマ処理チャンバ内の前記処理気体について1Torrよりも大きな圧力をさらに有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記処理工程が、100W未満のRF電力を前記基板ホルダへ印加することによって、前記処理気体からプラズマを生成する工程をさらに有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記処理工程が、前記Cuパス及び前記low-k誘電体領域のイオンへの曝露を抑制する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記金属キャップ層形成工程が、前記low-k誘電材料上に対して前記Cuパス上で選択的にRu金属キャップ層を堆積する工程を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記処理気体がNH3からなる、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記low-k誘電材料がSiCOH材料を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記金属キャップ層形成工程が、熱化学気相成長法によって、Ru3(CO)12前駆体蒸気及びCO気体を含む堆積気体に前記パターニングされた基板を曝露する工程を有する、請求項1に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4】
【図5】
【図6】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2012−504347(P2012−504347A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529340(P2011−529340)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/058689
【国際公開番号】WO2010/037074
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
2.JAVA
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/058689
【国際公開番号】WO2010/037074
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
2.JAVA
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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