説明

レジスト膜除去装置及びレジスト膜除去方法

【課題】 レジストの水による物性変化(膨潤性等)を利用して、レジスト膜を容易且つ確実に剥離する。これにより、資源・エネルギー多消費型技術からの脱却、すなわちレジストの除去にエネルギーや化学溶剤に依存しない環境共生型技術を実現させる。
【解決手段】 水蒸気噴射ノズル3をラインスリットノズルが直径方向となるように配置してミスト含有水蒸気をレジスト膜の表面に噴射し、当該レジスト膜を剥離・除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路等の微細構造形成のためのリソグラフィー工程において不可欠であるレジスト除去装置及びレジスト除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、レジスト膜を除去する手法としては、酸素プラズマによりレジスト膜を灰化除去する方法と、有機溶媒(フェノール系・ハロゲン系など有機溶媒、90℃〜130℃)を用いてレジスト膜を加熱溶解させる方法、または濃硫酸・過酸化水素を用いる加熱溶解法がある。これら何れの手法も、レジスト膜を分解し溶解するための時間、エネルギー及び化学材料が必要であり、リソグラフィー工程の負担となっている。このような灰化や溶解による除去に替わる新しいレジスト除去技術への要求は大きいが、剥離技術の開発は未だ数少ない。その代表例は、剥離液を開発し高周波超音波の剥離作用を用いる新技術である。剥離液として例えば「IPA−H成分系+フッ化物などの塩類」の剥離効果が認められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、レジストの水蒸気及び紫外線による物性変化と構造変化を利用して、レジスト膜を剥離することにあり、資源・エネルギー多消費型技術からの脱却、即ちレジストの除去にエネルギーや化学溶剤に依存しない環境共生型技術を実現させるレジスト膜除去装置及びレジスト膜除去方法を提供することである。
【0004】
具体的には、レジスト膜の水蒸気及び紫外線による軟化、膨張、水和、膨潤、凝固などの物性変化及び架橋・酸化・分解などの構造変化による変質を利用し、また変質を促進する添加成分を選択して作用せしめ、レジスト膜を除去することである。
【0005】
換言すれば、レジスト膜に水蒸気・加圧水・加圧炭酸ガスを噴射する手段(処理)、前記水蒸気・加圧水に化学成分を付加する手段(処理)、基板を加熱・冷却する手段(処理)、紫外線を照射する手段(処理)等の適用を時間/空間的・温度的及び化学的に交絡する効果により、レジスト膜を除去することである。
【0006】
本発明者らは、下記の各要素技術を課題として取り上げ研究開発を行った。
レジスト膜の水蒸気による変質
レジスト膜の化学的変質促進
レジスト膜の紫外線照射による変質促進
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のレジスト膜除去装置は、半導体装置又は液晶表示装置のリソグラフィー工程において用いられる装置であって、水蒸気をレジスト膜に接触せしめる手段と、水蒸気をレジスト膜に噴射する手段とを備え、前記水蒸気の作用により当該レジスト膜を剥離する。
【0008】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様は、温度が70℃〜200℃である飽和水蒸気または過熱水蒸気によりレジスト膜を剥離する。
【0009】
本発明のレジスト膜除去装置は、リソグラフィー工程において用いられる装置であって、飽和水蒸気をレジスト膜に噴射する手段を備え、前記飽和水蒸気の作用によりレジスト膜を剥離する。
【0010】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様では、前記飽和水蒸気の到達部位における温度が70℃〜100℃である。
【0011】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様は、レジスト変質促進成分を含む水蒸気を前記レジスト膜の表面に接触及び/又は噴射し、剥離する。
【0012】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様は、水蒸気発生機構と、水蒸気加熱機構と、供給水量及び加熱熱量の制御機構と、水蒸気圧力制御機構とを有し、超純水供給ラインに接続して70℃〜200℃の飽和水蒸気または過熱水蒸気を切り替え供給する水蒸気供給装置を備える。
【0013】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様において、前記水蒸気供給装置は、前記超純水供給ラインとレジスト変質促進成分を含有する溶液の供給ラインとの切り替え機構及び注入ポンプを更に有し、前記レジスト変質促進成分を含有する水蒸気と含有しない水蒸気を切り替える水蒸気供給装置を備える。
【0014】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様は、水蒸気に対する透過距離が10mm以上となる波長の紫外線ランプを備える紫外線反応装置を付帯しており、前記紫外線ランプを前記表面に平行して設置し、前記レジスト膜の水蒸気処理中の基板表面を照射すること及びレジスト膜除去後の基板表面を照射する。
【0015】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様において、基板搬出入機構、雰囲気パージ機構及び排出機構を有するチャンバー内に、水蒸気を導入する機構と、基板表面に対して水蒸気噴射ノズルが相対的に移動することにより噴射面が掃引される駆動機構が設けられており、前記水蒸気噴射ノズルは、前記基板表面に水蒸気を噴射し、当該レジスト膜を剥離する。
【0016】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様は、前記チャンバー内に、炭酸ガスボンベからのガス供給機構を更に有し、ガス噴射ノズルから前記基板表面に炭酸ガスを噴射してレジスト膜を急冷し、当該レジスト膜を剥離する。
【0017】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様は、前記水蒸気供給装置に付帯する基板洗浄用薬液の供給ラインを更に有し、レジスト膜除去に引き続いて紫外線照射と水蒸気噴射による洗浄を行う装置であり、引き続いて過熱水蒸気噴射による乾燥を行う装置である。
【0018】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様は、排出液中に存する剥離された前記レジスト膜を濾過する濾過装置又は遠心分離装置を備え、剥離された前記レジスト膜を分離した膜剥液を再使用する。
【0019】
本発明のレジスト膜除去方法は、半導体装置又は液晶表示装置のリソグラフィー工程において実行される方法であって、飽和水蒸気または過熱水蒸気をレジスト膜に接触せしめる処理と、飽和水蒸気または過熱水蒸気をレジスト膜に噴射する処理とを行い、前記水蒸気の作用により当該レジスト膜を剥離する。
【0020】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、前記レジスト変質促進成分を含む水蒸気を前記レジスト膜の表面に接触せしめ、剥離する。
【0021】
本発明のレジスト膜除去方法は、リソグラフィー工程において実行される方法であって、飽和水蒸気をレジスト膜に噴射する処理とを行い、前記飽和水蒸気の作用により当該レジスト膜を剥離する。
【0022】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様において、前記飽和水蒸気の到達部位における温度が70℃〜100℃である。
【0023】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様において、水蒸気に対する透過距離が10mm以上である波長のエキシマ紫外線を、前記レジスト膜の水蒸気処理中の基板表面を照射し、レジスト膜除去後の基板表面を照射する。
【0024】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、レジスト膜除去後の基板表面に、引き続いて紫外線照射を行いながら水蒸気の噴射による有機物汚染、金属汚染及び粒子汚染の除去を行い、引き続いて水蒸気の噴射による洗浄及び乾燥を行う。
【0025】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、レジスト変質促進成分を含む水蒸気を前記レジスト膜の表面に接触及び/又は噴射し、剥離する。
【0026】
本発明のレジスト膜除去装置は、リソグラフィー工程において用いられるものであって、水蒸気をレジスト膜に作用せしめる手段を備え、当該水蒸気作用により前記レジスト膜を剥離する。
【0027】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様では、前記水蒸気が飽和水蒸気であり、当該飽和水蒸気の到達部位における温度が70℃〜100℃である。
【0028】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様では、レジスト変質促進成分を含む水蒸気を前記レジスト膜の表面に作用せしめ、剥離する。
【0029】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様は、前記レジスト膜に水を作用せしめる手段と、前記レジスト膜にイソプロピルアルコール蒸気を作用せしめる手段と、前記レジスト膜に加圧炭酸ガスを作用せしめる手段と、前記水蒸気及び/又は前記水に化学成分を付加する手段と、前記レジスト膜に紫外線を照射する手段と、前記レジスト膜に高周波超音波を照射する手段と、前記レジスト膜が形成されてなる基板を冷却する手段とのうち、少なくとも1つの前記手段を備え、前記各手段を作動させる時間/空間的条件、温度的条件、及び物理/化学的条件のうち、少なくとも1つの前記条件の交絡により、前記レジスト膜を剥離する。
【0030】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様は、前記基板毎に前記チャンバー内に設置される枚葉式のチャンバーを備え、前記前記チャンバーは、前記各手段が配されるとともに、前記レジスト膜が形成された基板の搬出入機構と、雰囲気パージ・排出機構と、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる手段と、前記レジスト膜に水を作用せしめる手段、前記レジスト膜に加圧炭酸ガスを作用せしめる手段のうちの少なくとも1つの前記手段とを、前記基板の表裏面に対して相対的に移動せしめる駆動機構とを有する。
【0031】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様において、前記各手段及び/又は前記各機構を作動させる前記時間/空間的条件として、前記レジスト膜の表面、及び前記基板の表裏面の全面、片面、局所部位の各作動部位について、作動順序及び作動間隔を交絡させる。
【0032】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様において、前記各手段及び/又は前記各機構を作動させる前記温度的条件として、前記レジスト膜の表面、及び前記基板の表裏面の全面、片面、局所部位の各作動部位について、処理温度及びその昇降速度を交絡させる。
【0033】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様において、前記水蒸気及び/又は前記水に化学成分を付加する手段と、前記レジスト膜に紫外線を照射する手段と、前記レジスト膜に高周波超音波を照射する手段のうち少なくとも1つを作動させる前記物理/化学的条件として、前記水蒸気及び/又は前記水への化学成分の配合、前記超音波の周波数、前記紫外線の波長を交絡させる。
【0034】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様において、前記時間/空間的条件、前記温度的条件、及び前記物理/化学的条件を相互に交絡させる。
【0035】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様において、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる手段は、前記水蒸気を前記レジスト膜に接触させる機能と、前記水蒸気を前記レジスト膜に噴射する機能とを有しており、前記接触処理と前記噴射処理を交絡させる。
【0036】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様において、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる手段は、飽和水蒸気を作用せしめる機能と、過熱水蒸気を作用せしめる機能とを有しており、前記飽和水蒸気処理と前記過熱水蒸気処理を交絡させる。
【0037】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様において、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる手段による水蒸気処理と、前記水蒸気に化学成分を付加する手段による化学成分配合処理とを交絡させる。
【0038】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様において、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる手段による水蒸気処理と、前記レジスト膜に水を作用せしめる手段による水噴射処理とを交絡させる。
【0039】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様において、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる手段による水蒸気処理と、前記レジスト膜に紫外線を照射する手段による紫外線照射処理とを交絡させる。
【0040】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様において、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる手段による水蒸気処理と、前記レジスト膜に高周波超音波を照射する手段による高周波超音波重畳水照射処理とを交絡させる。
【0041】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様において、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる手段による水蒸気処理と、前記レジスト膜に加圧炭酸ガスを作用せしめる手段による加圧炭酸ガス噴射処理とを交絡させる。
【0042】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様において、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる手段による水蒸気処理と、前記レジスト膜が形成されてなる基板を冷却する手段による冷却処理とを交絡させる。
【0043】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様において、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる手段による水蒸気処理と、前記イソプロピルアルコール蒸気をレジスト膜に作用せしめる手段による水蒸気処理とを交絡させる。
【0044】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様において、前記レジスト膜に加圧炭酸ガスを作用せしめる手段による加圧炭酸ガス噴射処理と、前記レジスト膜に紫外線を照射する手段による紫外線照射処理とを交絡させる。
【0045】
本発明のレジスト膜除去装置の一態様において、前記各手段及び/又は前記各機構を作動させる前記時間/空間的条件、前記温度的条件、及び前記物理/化学的条件を交絡させることにより、前記レジスト膜除去後の前記基板表面を処理して前記レジスト膜の残さ・異物を除去し、当該表面を浄化する。
【0046】
本発明のレジスト膜除去方法は、リソグラフィー工程において実行する手法であって、水蒸気をレジスト膜に作用せしめる処理を行い、当該水蒸気作用により前記レジスト膜を剥離する。
【0047】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、前記レジスト膜に水を作用せしめる処理と、前記レジスト膜にイソプロピルアルコール蒸気を作用せしめる処理と、前記レジスト膜に加圧炭酸ガスを作用せしめる処理と、前記水蒸気及び/又は前記水に化学成分を付加する処理と、前記レジスト膜に紫外線を照射する処理と、前記レジスト膜に高周波超音波を照射する処理と、前記レジスト膜が形成されてなる基板を冷却する処理とのうち、少なくとも1つの前記処理を備え、前記各処理を作動させる時間/空間的条件、温度的条件、及び物理/化学的条件のうち、少なくとも1つの前記条件の交絡により、前記レジスト膜を剥離する。
【0048】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、前記各処理を作動させる前記時間/空間的条件として、前記レジスト膜の表面、及び前記基板の表裏面の全面、片面、局所部位の各作動部位について、作動順序及び作動間隔を交絡させる。
【0049】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、前記各処理を作動させる前記温度的条件として、前記レジスト膜の表面、及び前記基板の表裏面の全面、片面、局所部位の各作動部位について、処理温度及びその昇降速度を交絡させる。
【0050】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、前記水蒸気及び/又は前記水に化学成分を付加する処理と、前記レジスト膜に紫外線を照射する処理と、前記レジスト膜に高周波超音波を照射する処理のうち少なくとも1つを作動させる前記物理/化学的条件として、前記水蒸気及び/又は前記水への化学成分の配合、前記超音波の周波数、前記紫外線の波長を交絡させる。
【0051】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、前記時間/空間的条件、前記温度的条件、及び前記物理/化学的条件を相互に交絡させる。
【0052】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる処理は、前記水蒸気を前記レジスト膜に接触させる工程と、前記水蒸気を前記レジスト膜に噴射する工程とを有しており、前記接触工程と前記噴射工程を交絡させる。
【0053】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる処理は、飽和水蒸気を作用せしめる工程と、過熱水蒸気を作用せしめる工程とを有しており、前記飽和水蒸気工程と前記過熱水蒸気工程を交絡させる。
【0054】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる処理による水蒸気工程と、前記水蒸気に化学成分を付加する処理による化学成分配合工程とを交絡させる。
【0055】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる処理による水蒸気工程と、前記レジスト膜に水を作用せしめる処理による水噴射工程とを交絡させる。
【0056】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる処理による水蒸気工程と、前記レジスト膜に紫外線を照射する処理による紫外線照射工程とを交絡させる。
【0057】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる処理による水蒸気工程と、前記レジスト膜に高周波超音波を照射する処理による高周波超音波重畳水照射工程とを交絡させる。
【0058】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる処理による水蒸気工程と、前記レジスト膜に加圧炭酸ガスを作用せしめる処理による加圧炭酸ガス噴射工程とを交絡させる。
【0059】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる処理による水蒸気工程と、前記レジスト膜が形成されてなる基板を冷却する処理による冷却工程とを交絡させる。
【0060】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、前記水蒸気をレジスト膜に作用せしめる処理による水蒸気工程と、前記イソプルピルアルコール蒸気をレジスト膜に作用せしめる処理による水蒸気工程と交絡させる。
【0061】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、前記レジスト膜に加圧炭酸ガスを作用せしめる処理による加圧炭酸ガス噴射工程と、前記レジスト膜に紫外線を照射する処理による紫外線照射工程とを交絡させる。
【0062】
本発明のレジスト膜除去方法の一態様は、前記各処理を作動させる前記時間/空間的条件、前記温度的条件、及び前記物理/化学的条件を交絡させることにより、前記レジスト膜除去後の前記基板表面を処理して前記レジスト膜の残さ・異物を除去し、当該表面を浄化する。
【発明の効果】
【0063】
本発明によれば、レジストの水蒸気による物性変化(膨潤性等)と紫外線による光分解効果を利用して、容易且つ確実にレジスト膜を剥離することが可能となり、資源・エネルギー多消費型技術からの脱却、即ちレジストの除去にエネルギーや化学溶剤に依存しない環境共生型技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明のレジスト除去装置の噴射ノズル近傍を示す模式図である。
【図2】KOHを含有する水蒸気によるレジスト除去において、KOH濃度と除去速度との関係を示す特性図である。
【図3】本発明の一実施形態の水蒸気供給装置の主要構成を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施形態のレジスト除去装置の主要構成を示す模式図である。
【図5】レジスト膜の剥離を実施する各試料の様子を示す概略断面図である。
【図6】スピン回転機構を持つ枚葉式レジスト除去装置を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、本発明を適用した好適な実施形態について説明する。
【0066】
1.水蒸気によるレジスト剥離
レジスト化学構造の空孔性と水素結合性:
リソグラフィー工程とは、半導体集積回路の微細構造を形成するために、加工表面にレジスト膜を接着させ、マスクに形成される微細構造パターン間隙を通して電磁波エネルギーを照射し、照射部位と非照射部位とのレジスト溶解性の差異を利用してパターンを現像し、パターンエッチングを行なう工程である。
【0067】
フォトリソグラフィーでは集積度の世代の進展とともに、g線、i線、ArF〜F2エキシマレーザーと次第に短波長の紫外線が用いられる。当然のこととして、レジストの化学構造は短波長化とともに改革され、将来のX線及び電子線リソグラフィー時代に向けて今後ともさらに改革されてゆく。重要なことは、レジストの化学構造が改革されてゆくなかに、基本的に変わらない基幹構造の物性を見極めることである。
【0068】
本発明者らは、レジストのべースポリマー基幹構造の空孔性と水素結合性に着目する。
表1に、初期のレジストKPRから現在主流のレジスト、更にARFエキシマ用レジストなど各種フォトレジストのべースポリマー基幹構造を示している。主鎖・側鎖の化学構造は各種各様に全く異なる。しかしこの各様の基幹構造の間に、基本的共通点が存在する。
【0069】
【表1】

【0070】
それは、基幹構造の空孔性と構成基の水素結合性である。環状構造であったり脂環基・フェノール基などの側鎖を持つ構造のために、ポリマー基幹構造は大きい間隙を持っている。
【0071】
また、水素結合性の強い構成基、例えばフェノール基、カルボニール基、エステル基などが導入されている。これらの基の導入は、レジストが光エネルギーに敏感に感応するために必要である。また、レジストは現像液に溶解性を持たねばならないので、空孔性と水素結合性は溶解に必要な物性である。
【0072】
また、レジストの水透過率は他の有機ポリマーより大きい。例えば、テフロン(登録商標)、ポリエチレンの水透過率(Pa・cm・s−1・m−2)は約3×10−11であるが、レジストのベースポリマー基幹構造(表1参照)から考えて、レジストの水の透過率は、より大きいと考えられる。
この理由は、構造規則性の有機ポリマーの緻密性に対して、レジストのポリマー構造が空孔性であり、さらに水素結合性を持っためである。
【0073】
レジストは今後、化学増幅型であることが要求され、化学増幅成分の添加がおこなわれる。
しかし、「レジスト剥離」を支配するのはベースポリマー基幹構造である。本発明の特徴は、レジストの基本的物性である空孔性と水素結合性を利用することにある。
【0074】
水蒸気によるレジスト膜の変質:
本発明者らは、水蒸気によってレジスト膜の状態が急速かつ顕著に変化する事実に着目する。高温水蒸気による軟化・膨張などの物理的変化は当然のこととして、膨潤・分離・凝固などの物性的変化が生じ、レジストの種類と水蒸気条件によってその様相はさまざまであるが、レジスト膜の化学構造的変質が発生していることが認められる。この変質の内容は下記のように推測される。
【0075】
前述したように、レジストベースポリマーの基幹構造は空孔性を持つために、水蒸気のレジスト透過性は極めて大きい。水蒸気に接触したレジスト膜は瞬間的に高温化学反応系に投入されることになる。高温の水の化学作用は強力であることはよく知られ、高温水による有機化合物の加水分解例も数多い。レジスト化学構造中には水素結合性の大きい側鎖や光感応基が存在する。これらの基の加水分解・酸化に留まらず、レジスト基幹構造の架橋が進行する。
【0076】
飽和水蒸気または過熱水蒸気の作用:
レジスト膜の処理に必要な水蒸気温度は、レジストの種類及びレジスト工程条件によって異なる。水蒸気温度は、70℃〜200℃の適性値に選択される。基板の事情が許せば200℃以上であってもよい。過熱水蒸気は紫外線照射において、ミストによる紫外線吸収と散乱がなく、紫外線透過効率が高い。また、過熱水蒸気はレジスト膜剥離表面の乾燥においてミストの影響を受けない。
【0077】
水蒸気噴射による膨潤レジスト膜と基板の剥離:
水蒸気の噴射力は、膨潤レジスト膜と基板の剥離に有効に作用する。高温水蒸気及びミスト、更には膨潤促進成分により水和・膨潤し柔軟化しているレジスト膜は、水蒸気噴射の線速度が数m/秒〜数10m/秒で基板表面から容易に剥離する。剥離速度は、レジストの種類に依存するが、特にイオン注入されたレジストは剥離し難い傾向がある。パターン形状も関係し、特にアスペクト比が大きいとき剥離し難い傾向がある。このようなレジスト物性・基板構造を勘案し、噴射の線速度と噴射時間を制御する。レジスト剥離にともなって、露出面の微細構造にダメージを与えないために噴射線速度を抑制することが重要である。
【0078】
水蒸気の接触と噴射:
レジスト膜に水蒸気を接触せしめ変質させるステップと、変質したレジスト膜に水蒸気を噴射し剥離するステップを組み合わせることのできる装置が必要である。
【0079】
レジスト剥離によって露出する表面構造は、いささかのダメージもなく保護されねばならない。線速度数、1m/秒〜数10m/秒の水蒸気の噴射力は強力であって、レジスト剥離に有効である一方、デバイス表面にダメージを与えるおそれがある。接触ステップにおいてレジスト膜変質を進行させた後、短時間の噴射ステップで剥離するという、2ステップ処理が有効である。特に、変質速度の遅いイオン打ち込みレジスト膜の除去や、構造アスペクト比が大きい表面でのレジスト膜除去に適する。
【0080】
飽和水蒸気の噴射のみによるレジスト剥離:
本発明者らは、前述のように水蒸気の接触と噴射の2段階を経ることなく、液滴を含有する水蒸気、即ち飽和水蒸気の噴射のみによりレジスト膜を剥離することに想到した。
【0081】
具体的には、図1に示すように、例えば基板42上でSiO膜43をパターニングした後にレジスト膜44を除去するに際して、水蒸気の噴射ノズル41をレジスト膜44に対向させ、水蒸気を噴射して、レジスト膜44を剥離する。このとき、噴射条件としては水蒸気の到達部位、即ちレジスト膜44の表面部位における飽和水蒸気の温度を70℃〜100℃、好ましくは75℃〜85℃となるようにする。これは、当該温度範囲に調節すれば、噴射された水蒸気はレジスト膜44の表面部位でレジスト剥離に好適な液滴含有の飽和水蒸気となるからである。そして図示の例では、当該温度範囲内となる一例として、噴射ノズル41からレジスト膜44の表面での距離を10mmとした。また、噴射ノズル41の先端部位における水蒸気噴射圧力は10kg/cm未満、好ましくは1〜2kg/cmとなるようにする。これは、当該圧力が10kg/cmを超えると、噴射ノズル41や基板42上に形成されたデバイス部材に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。
【0082】
次節に述べるレジスト変質促進成分含有水蒸気は接触ステップに用い、噴射ステップには純水水蒸気を用いる処理は、金属配線表面のダメージの防止に有効である。
【0083】
レジスト変質促進成分:
高温水蒸気による物性的・構造的変質は、水蒸気中に変質を促進する成分を含有させて加速することができることを認めた。特に、イオン注入処理プロセスにより硬化したレジスト膜は剥離が極めて困難であるが、水蒸気に促進成分が含有されると迅速な剥離が可能となる。促進成分の内容は、レジストの種類によって異なるので個々に選択する必要がある。また、レジスト剥離後の構造基板の保護、例えばメタル配線基板のメタル表面への化学作用を配慮する必要がある。
【0084】
酸化性物質は、架橋または酸化の促進成分として有効である。例えば、過酸化水素はイオン注入処理レジスト膜も短時間に変質・剥離させる。強力なラジカル反応によるレジストの化学結合の酸化作用によると思われる。オゾン水も酸化の促進成分として有効である。
【0085】
その他の酸化性物質として、Cl−HO,Br−HO,I−KI,NaClO,NaClO,KMnO,KCrO,Ce(SOなどが選択される。
【0086】
アルカリは、強力な促進成分である。例えばpH値で8〜14程度、好ましくは10〜12の苛性アルカリ水溶液が用いられる。レジスト表面に濡れ性・浸透性を持ち、除去作用が迅速となる。アルカリとして、KOH,NaOH,NaCO,Ca(OH),Ba(OH),NHOH,TMAHなどが用い得る。
【0087】
具体的に、レジスト変質促進成分としてアルカリのKOHを用い、図1に示した手法で、不純物(As)をイオン注入する際にマスクとして用いたレジスト膜を除去する際の除去速度を調べた。測定結果を図2に示す。ここで、横軸がKOHの濃度(重量%)、縦軸が除去速度(秒)である。このように、KOH濃度が高いほど除去速度が速く、効率的なレジスト除去が実現することがわかる。但し、KOH濃度がある程度の値を超えると、デバイス材料に対する悪影響が懸念されるため、0.1(重量%)程度以下が妥当であると思われる。
【0088】
酸及び酸化性酸類も変質の促進成分である。例えば、HSOはレジストを強く架橋させる。HSO,HNO,HClO,HClO,HCl,HFなどが用い得る。
【0089】
界面活性剤は界面浸透作用を持つと同時に、除去されたレジスト薄片が表面に再付着することを防止する表面作用がある。界面活性剤として、レジスト表面に対する接触角が30度以下好ましくは20度以下であるようなアニオン、カチオン、ノニオン性界面活性剤が選択される。
【0090】
2.紫外線によるレジスト剥離
(1)紫外線によるレジストの分解
表2に、フォトレジストの紫外線による分解試験データを示す。紫外線ランプとしてXeエキシマランプ(波長172nm)を用い、フォトレジスト光分解できる。しかし、レジストを除去するプロセスに適用するには、分解速度は小さい。オゾンを高濃度に存在させて、加速する試みがあるが、実用には困難が多い。
【0091】
【表2】

【0092】
本発明者らは、紫外線によるレジストの変質に着目する。レジスト分解ではなく、レジスト剥離を意図する。紫外線フォトンは強力な架橋または酸化の促進作用を持つので、レジストの変質作用は強力である。水蒸気の変質作用との重畳効果を利用する。また、紫外線はレジスト透過性が大きいので、レジスト/基板の境界層に充分到達する。強力な浸透作用である。境界層の変質は、直接的に剥離効果につながる。
【0093】
3.水蒸気供給装置
図3に、水蒸気供給装置の原理図を例示する。飽和水蒸気発生のための蒸発器1及び蒸発用加熱ブロック2、過熱水蒸気発生のための過熱器3及び過熱用加熱ブロック4が、定流量ポンプ5と圧力制御ニードルバルブ6の間に配置される。この水蒸気発生システムの内圧は圧力計7により測定される。飽和水蒸気温度及び過熱水蒸気温度は、温度計8及び9により測定される。蒸発器1の伝熱面積は、沸騰特性曲線のバーンアウトポイント条件を満足するように設計する。
【0094】
純水水蒸気と促進成分含有水蒸気の切り替え:
超純水の水蒸気発生時には超純水ライン用バルブ10を開き、促進成分を含有する水蒸気発生時には水溶液ライン用バルブ11を開く。
【0095】
飽和水蒸気と過熱水蒸気の切り替え:
飽和水蒸気供給時は、過熱用加熱ブロック4には熱量を供給せず、このとき過熱器3は単に水蒸気通路となる。過熱水蒸気供給時は、過熱用加熱ブロック4に熱量を供給し、過熱器3により過熱する。
【0096】
水蒸気接触と水蒸気噴射の切り替え:
処理チャンバー15に水蒸気を導入する場合はを導入バルブ12を開く。水蒸気を処理表面に噴射する場合は、水蒸気噴射バルブ13を開き水蒸気噴射ノズル14から処理表面16に水蒸気を噴射する。
【0097】
表3に水蒸気供給の制御条件を例示する。表4に水蒸気噴射ノズルの条件を例示する。ノズル形状・水蒸気量・噴射速度は、目的に適合するよう任意に設計される。
【0098】
【表3】

【0099】
【表4】

【0100】
4.紫外線反応装置
紫外線反応装置に用いるランプの紫外線波長と時間特性の選定は重要な技術要素である。
【0101】
紫外線波長の選定:
紫外線は短波長となるほどエネルギーは大に、照射雰囲気の透過率は小になる。紫外線波長は、透過率を満足するように選定せねばならない。
【0102】
雰囲気に存在する分子の光吸収断面積と光透過率の関係は(1)式で与えられる。透過率の対数と距離が比例関係となる。発明者らは、50%透過距離を指標とする。この50%透過距離は(2)式で与えられる。表5に紫外線波長と、(2)式あるいは実測により得られた空気、水、水蒸気の50%透過距離の関係を示す。例えば、波長172nmの紫外線の空気の50%透過距離は、酸素の光吸収断面積(0.259×10‐19分子数/cm)から3.1mmと得られ、一方実測値は2.2mmと得られほぼ一致する。
【0103】
δCL=ln(I/I) ・・・(1)
δ:光吸収断面積(分子数/cm),O…0.259×10‐19
C:分子濃度(分子分圧)
L:透過距離(cm)
/I:光透過率=入射光強度/透過光強度 ・・・(2)
δCL50=ln(100/50)
50:50%透過距離
【0104】
【表5】

【0105】
時間応答性の選定:
紫外線処理を、瞬間型と定常型のいずれで行なうかによって紫外線ランプを選定する。
紫外線エキシマランプは、瞬間型処理に用い得る。点灯して数秒で定常状態に達する。
枚葉型紫外線処理における秒単位時間のシーケンシャルプロセスに適する。低圧水銀ランプ、i線ランプなどは定常型処理に用い得る。点灯して定常状態に達するのに数10分を要するが、以後安定である。
【0106】
5.枚葉式レジスト剥離装置
(1)装置構成
枚葉式レジスト剥離装置は、水蒸気処理チャンバーと紫外線ランプチャンバーから構成される。
基板搬出入機構・雰囲気パージ機構・排液機構を有するチャンバー内に、基板表面と水蒸気噴射ノズルが相対的に移動することにより噴射面が掃引される駆動機構を持ち、ポイントノズルまたはラインスリットノズルを配置して構成される。
【0107】
図4に、スピン回転機構を持つ枚葉式レジスト剥離装置を例示する。この装置は、基板21を回転させるスピン回転機構22を備える水蒸気処理チャンバー23と、紫外線ランプ24を収納し石英窓板25を有するランプチャンバー26から構成される。チャンバーへのガス導入口27と排出ダクト28が付帯される。
【0108】
水蒸気供給装置31(図3に示した装置)から処理チャンバーに水蒸気を導入する場合は、水蒸気導入バルブ12を開く。処理表面に水蒸気を噴射する場合は、水蒸気噴射バルブ13を開き水蒸気噴射ノズル14から基盤21の処理表面に水蒸気を噴射する。
【0109】
水蒸気噴射ノズル14は、ラインスリットノズルを直径方向に配置した場合を示した。
スポットノズルを半径方向に駆動し、あるいは数個のノズルを適当な距離で移動または固定する方式でもよい。ノズルの噴射角度と噴射距離及び水蒸気噴射線遠度は、処理目的・基板の表面構造・ダメージ保護など種々の面から最適化する。
【0110】
水蒸気処理チャンバー23は保温される。水蒸気はチャンバー内壁で僅かずつ凝縮し、内壁の洗浄に役立つ。このようにして、チャンバー内は常時清浄に維持される。
【0111】
チャンバーへのガス導入口27は、基板搬出入時のチャンバー雰囲気置換に用いる。また、処理に有効な成分を雰囲気に添加する目的にも用いる。排出ダクト28は冷却する構造を持つのがよい。
【0112】
(2)物理的剥離促進
レジスト膜のクエンチング(急冷):
図4には省略されているが、炭酸ガス噴射ノズルを基板表面に配置し、炭酸ガスを噴出してドライアイス粒を基板表面に噴射し、レジスト膜をクエンチング(急冷)することができる。加熱され膨潤したレジスト膜は収縮・固化し基板から剥離する。レジストの種類により、このようなクエンチングが剥離を促進することが認められる。
【0113】
高速スピン回転:
スピン回転機構を利用し回転数を2000rpm以上とするとき、剥離が促進される。特に、水蒸気噴射効果が周辺部で弱い場合に剥離を促進する。
【0114】
6.レジスト剥離プロセスと剥離後表面浄化プロセスの連続化
レジスト剥離プロセスとレジスト剥離後表面浄化プロセスを連続プロセスとすることができる。
レジスト膜剥離装置から、レジスト膜剥離後に表面浄化装置への切り替えは簡単である。
【0115】
図3の水蒸気供給装置の水溶液ライン11を、更に剥離促進溶液ライン11Aと表面浄化溶液ライン11Bの切り替えシステムとすることにより、レジスト剥離装置とレジスト剥離後表面浄化装置は任意に切り替えられる。
水蒸気・紫外線重畳処理は、剥離時間・浄化時間の双方を効果的に短縮するので、スループットを低下することなく一体化が実現できる。
【実施例】
【0116】
以下、諸実施例により、発明実施の具体的形態を述べる。各実施例には記載を省略しているが、レジスト剥離状態は各噴射時間毎の剥離面の光学顕微鏡観察による。
【0117】
(実施例1)
純水水蒸気によるレジスト膜剥離の実施例を示す。
試料:図5(a)ドライエッチング熱酸化膜上に形成されたレジスト膜
図5(b)ドライエッチングゲート電極(ポリシリコン膜)上に形成されたレジスト膜水蒸気:純水水蒸気
剥離結果:
表6、噴射30秒〜1分で剥離できた。
【0118】
【表6】

【0119】
(実施例2)
促進成分含有水蒸気によるレジスト膜剥離の実施例を示す。
レジスト膜はイオン注入処理されており、極めて剥離が困難であることが知られている。
【0120】
試料:図5(c)シリコン熱酸化膜エッチング、下層シリコン基板ヘイオン注入
イオン注入条件:加速エネルギー80KeV、リンのドーズ量6×1015/ccm
促進成分含有水蒸気:促進成分、アルカリ(KOH)及び界面活性剤
剥離結果:
表7に示すように、水蒸気噴射2分で剥離できた。変質促進成分がアルカリの場合は、剥離後の表面に剥離断片の付着が僅かにあったが、アルカリ+界面活性剤の場合は剥離断片は全く認められない。
【0121】
【表7】

【0122】
(実施例3)
促進成分含有水蒸気によるレジスト膜剥離の実施例を更に示す。
【0123】
試料:図5(d)シリコン熱酸化膜ウエットエッチング、ネガ型レジスト膜
図5(e)金属配線エッチング後、ポジ型レジスト膜
促進成分含有水蒸気:促進成分、過酸化水素及び界面活性剤
剥離結果:
変質促進成分含有の水蒸気噴射で熱酸化膜の表面からは1分で完全剥離し、剥離性に劣る金属配線エチングーイオン注入表面でも2分で完全剥離した。
【0124】
【表8】

【0125】
(実施例4)
金属配線表面の2ステップ水蒸気処理の実施例を示す。
2ステップ処理の目的:金属配線の化学的ダメージを回避する目的である。レジストが金属配線表面をカバーしているときには促進成分を用い、レジストが剥離され金属配線表面が露出するときは、促進成分を用いない。
【0126】
2ステップ処理の内容:
第1ステップ(水蒸気接触処理)アルカリ含有水蒸気使用
第2ステップ(水蒸気噴射処理)純水水蒸気使用
剥離結果:
表9に示す。第2ステップ30秒の水蒸気処理でレジストは除去され、金属配線ダメージはなかった。
比較として、アルカリ含有水蒸気処理のみの場合を示す、この場合は、噴射時間2分を必要とし、レジスト除去後の表面の金属配線にダメージが見られた。
【0127】
【表9】

【0128】
(実施例5)
剥離困難なイオン注入レジスト膜について、高温水蒸気処理の実施例を示す。
試料:図5(c)シリコン熱酸化膜エッチング、下層シリコン基板ヘイオン注入
イオン注入条件:加速エネルギー80KeV、リンのドーズ量6×1013/cm
剥離結果を表10に示す。
条件1の100℃飽和水蒸気処理では、噴射10分でも除去できない。
条件2の120℃飽和水蒸気処理では、接触処理2分、噴射処理1分で除去できた。
条件3の130℃飽和水蒸気処理30秒の後、140℃過熱水蒸気処理では噴射処理30秒で除去できた。
高温飽和水蒸気による変質効果と、高温過熱水蒸気による剥離効果が認められる。
【0129】
【表10】

【0130】
(実施例6)
剥離困難なイオン注入レジスト膜について、水蒸気・紫外線重畳処理の実施例を示す。
紫外線ランプ:KrIエキシマランプ
波長191nm
紫外線照射量:10mW/cm(処理表面)
剥離結果を表11に示す。条件1の100℃飽和水蒸気処理と紫外線照射処理2分の後、噴射処理1分で除去できた。
条件2の120℃飽和水蒸気処理と紫外線照射処理30秒の後、噴射処理30秒で除去できた。
【0131】
【表11】

【0132】
(実施例7)
レジスト剥離プロセスと剥離後表面浄化プロセスの連続化の実施例を示す。
紫外線ランプ:KrIエキシマランプ
波長191nm
紫外線照射量:10mW/cm(処理表面)
【0133】
レジスト剥離ステップ:
各種レジスト処理に適応する温度の飽和水蒸気を用い、紫外線照射を重畳しながら第1ステップ水蒸気接触と第2ステップ水蒸気噴射によりレジスト剥離を行う。
【0134】
洗浄ステップ:
洗浄液供給ラインから各薬液を逐次供給して薬液含有水蒸気を発生させる。まず、フッ酸・過酸化水素含有飽和水蒸気を基板表面に噴射し、金属・有機物を除去する。この時、水蒸気ミストの噴射力により粒子が除去される。次いで、希フッ酸含有飽和水蒸気を基板表面に噴射する。例えば、基板表面コンタクトホールのシリコン表面はベヤーシリコンとなる。最後に、純水の水蒸気を噴射し洗浄する。この薬液処方は処理目的に応じて任意に選択される。
【0135】
乾燥ステップ:
過熱水蒸気はミストを含有しないので、迅速な乾燥ができる。紫外線照射の重畳は、乾燥の促進と共に、表面浄化の仕上げが達成される。
【0136】
剥離結果:
レジスト除去と表面浄化はともに完全に達成された。
【0137】
【表12】

【0138】
−本発明を他の観点から捉えた諸実施例−
本発明者らは、上記のように、水蒸気を用いてレジスト膜を剥離する技術を実現し、これに化学成分の促進効果及び紫外線照射効果を重畳する技術を確立した。
【0139】
これと並行して、本発明者らは、剥離作用の適用、具体的には剥離機構の作動を、時間/空間的条件・温度的条件及び物理化学的条件に関して緻密に交絡することにより、更に剥離を確実かつ迅速ならしめる技術を提示する。即ち、前記各交絡態様を考慮するという新たな観点からレジスト膜の剥離技術を捉え、当該技術をより具体化して現実的に把握することを可能とする。
【0140】
1.処理条件の交絡
一般に処理条件は定常的に設定される場合が多い。しかしながら、膜の剥離現象とは接着という定常状態の破綻の現象である。従って剥離とは、本質的に非定常的現象である。例えば、水蒸気の作用によりレジスト膜は膨潤・水和するが、その物理化学作用の持続では剥離現象に到達しない。噴射という物理作用が変じわらなければならない。このように、剥離処理には非定常的に種々の条件が交錯する必要がある。
【0141】
交絡とは、異なる条件の単なる交わりではない。交絡とは、手段と結果の予測と把握を前提とする条件配置のことをいう。その内容は、割り込み条件設計、逆転条件設計、変動条件設計などである。このような処理条件の交絡によって、効果を生み出す手法である。
【0142】
特に、レジスト膜剥離技術に処理条件の交絡が必要である最大の理由は、剥離露出表面の微細構造組織の保護が確保されねばならないという聖域が存在するからである。剥離過程では、レジスト膜面と微細構造面が一時的に共存する。剥離に有効な条件が、一方では微細構造面の損傷条件となる。剥離と微細構造面保護を両立させるには、処理条件の交絡が必要である。
【0143】
2.処理条件の交絡の具体的態様
(1)時間/空間的な交絡の態様
時間的に交絡する態様は、例えばA・Bの二つの条件や機構を作動せしめる順序を、例えばA→B順序あるいはA←B順序あるいはAB同時とし、作動時間をA・Bそれぞれに設定する。
空間的に交絡する態様は、例えば処理表面が全面の場合・片面の場合・部分的表面の場合とする。
【0144】
(2)温度的な交絡の態様
加熱/冷却機構を作動せしめる部位を、処理表面の全面・片面・部分的表面とする。例えば片面加熱一片面冷却というように組み合わせる。予熱か急熱か、予冷か急冷かを設定する。即ち、温度の適用を時間/空間的に交絡する態様もある。
【0145】
(3)物理化学的な交絡の態様
化学成分の組成組み合わせ・濃度組み合わせ、化学成分適用の時間/空間的な交絡という態様である。高周波超音波・紫外線の照射を組み合わせる態様である。
以上のように、上記(1),(2),(3)もそれぞれ交絡できる態様である。
【0146】
3.処理条件の交絡の具体的内容
以下、交絡の具体的内容を例示する、条件交絡はこの例示に限定されるものではない。
【0147】
(1)水蒸気接触と水蒸気噴射の交絡(時間的条件交絡)
レジスト膜が水蒸気の化学作用により膨潤・水和するには時間が必要である。この過程は水蒸気の静的接触処理がよい。レジスト膜が水蒸気で変質した時点では、水蒸気の噴射力が必要である。即ち、水蒸気接触過程と水蒸気噴射過程を時間間隔をおいて組み合わせる必要がある。
この具体例が、上記した実施例4であり、水蒸気接触、噴射とアルカリの交絡として捉えられる。
【0148】
(2)飽和水蒸気処理と過熱水蒸気処理の交絡(時間的・温度的・物理化学的条件交絡)
飽和水蒸気は湿潤条件を与え、過熱水蒸気は高温乾燥条件を与える。例えば、100℃飽和水蒸気処理過程と100℃飽和〜150℃過熱水蒸気処理過程を交絡する。100℃飽和水蒸気処理過程では、レジスト膜の膨潤・水和が進行する。100℃飽和〜150℃過熱水蒸気処理過程ではレジスト膜の接着境界が乾燥され、これが境界剥離力として作用する。従って、100℃飽和水蒸気処理過程と100℃飽和〜150℃過熱水蒸気処理過程を、適切な時間間隔で組み合わせるのが有効である。
また、過熱水蒸気処理過程は、剥離〜洗浄過程終了後の乾燥過程に用い有効である。
この具体例が、上記した実施例5であり、飽和水蒸気と過熱水蒸気との交絡として捉えられる。
【0149】
(3)水蒸気処理と化学成分含有水蒸気処理の交絡(物理化学的及び時間的条件交絡)
レジスト膜の変質が化学成分含有水蒸気で促進される事実は既に明らかにされている。例えば、アルカリ成分を添加した水蒸気は、迅速にレジスト膜を剥離する。しかし、微細構造が例えばメタル配線表面であるとき、アルミニウム・銅など(特にアルミニウム)の配線材料はアルカリにエッチングされ損傷を受ける。この場合は、ある種の界面活性剤を含んだ水蒸気を用いることによって、アルミニウムの化学的損傷を日常的に問題とならない程度に減少させることができる。この具体例が、上記した実施例2,3であり、アルカリ・過酸化水素の交絡として捉えられる。
【0150】
(4)水蒸気処理とイソプロピルアルコール(IPA)蒸気処理の交絡
IPA−水−塩類系の剥離液のレジスト剥離効果が知られている。IPAの気液界面作用はマランゴーニ効果として有名である。発明者らは、水蒸気雰囲中においてIPA蒸気がレジスト剥離促進効果を持つことを見出した。IPAは、表面材料に全く作用しない有機化学成分であるため、メタル配線表面の損傷なく用いることができる。
交絡態様の1:(時間的・物理化学的条件交絡)
水蒸気処理とIPA蒸気処理を時間的に交絡する。
交絡態様の2:(物理化学的条件交絡)
IPA蒸気処理、即ち、化学成分の組成を交絡する。
【0151】
(実施例8)
各種類のレジスト膜について、水蒸気処理におけるIPA蒸気処理の交絡効果を調査した。
以下の表13に示す交絡処理条件により、1分〜2分でレジスト膜剥離が達成できた。
【0152】
【表13】

【0153】
(5)水蒸気処理と水噴射処理及び高周波超音波重畳の交絡
水蒸気処理の後に水蒸気の噴射力で充分に剥離できるレジスト膜と、水蒸気の噴射力では剥離に時間を必要とするレジスト膜がある。後者の場合、水噴射処理の交絡が有効である。同じ噴射量では、水の衝突力は約3桁の質量差に比例して水蒸気より大きい。また、水蒸気温度で軟化しているレジストが、水噴射で冷却硬化することによる剥離作用が働く。
【0154】
高圧加圧水、即ちジェット水流は、シリコンウエハを切断する用途や外科手術のメスの用途に用いられている。加圧水噴射は、いかなる強固な膜も剥離可能である一方、微細加工表面の損傷保護条件が充分保持されねばならない。従って、圧力・噴射量条件の緩和、即ち微細構造保護のために、水噴射の線速度設計が重要である。
【0155】
交絡態様の1:(温度的・物理化学的条件交絡)
水蒸気接触処理の後に緩和された圧力で水噴射処理を行う。水蒸気の高温化学作用と加圧水の冷却作用の交絡効果が得られる。
【0156】
交絡態様の2:(温度的・空間的条件交絡)
スピン回転表面の片側で水蒸気噴射処理、他の片側で水噴射処理を行う。表面には回転数のサイクルで加熱・冷却の温度振幅が与えられる。この交絡態様でも、上記と同様の剥離作用が働く。
【0157】
交絡態様の3:(物理化学的条件交絡)
交絡態様の1,2のいずれかにおいて、高周波超音波ノズルを用いて水噴射処理を行う。噴射力と超音波力が重畳され剥離力は大きいので、微細回路構造保全のためにそれぞれの強度を緩和する条件で実施する。
【0158】
(実施例9)
各種類のレジスト膜について、水蒸気処理に水噴射処理及び高周波超音波重畳の交絡効果を調査した。以下の表14に示す交絡処理条件により、1分〜2分でレジスト膜剥離が達成できた。
【0159】
【表14】

【0160】
(6)水蒸気処理と加圧炭酸ガス噴射処理の交絡
この交絡効果は、水噴射処理の交絡と同様の冷却硬化効果の他に、特殊な効果がある。
加圧炭酸ガス噴射により生成するドライアイス微粒子の温度はマイナス55℃である。水蒸気処理によりレジスト膜の接着境界に浸透している水分は、炭酸ガス噴射で瞬間に結晶化し膨張する。即ち水分の氷結による霜柱効果が発生し、強力な剥離力として働く。
【0161】
交絡態様の1:(温度的・時間的・物理化学的条件交絡)
水蒸気処理と加圧炭酸ガス噴射処理を時聞的交互に反復するとき、加熱・冷却の温度振幅による剥離作用が働く。物質により膨張係数が異なるからである。例えば線膨張係数は、シリコンは0.076×10‐4/kであり、おおくの有機物質では2.2〜5.0×10‐4/kであり約1〜2桁の差がある。シリコン基板とレジスト膜の線膨張係数の差は、約150℃の温度振幅によって境界層剥離力となる。
【0162】
交絡態様の2:(温度的・空間的・物理化学的条件交絡)
スピン回転表面の片側で水蒸気噴射処理、他の片側で加圧炭酸ガス噴射処理を行うとき、表面には回転数のサイクルで加熱・冷却の温度振幅が与えられる。この交絡態様でも、上記と同様の剥離作用が働く。
【0163】
交絡態様の3:(温度的・空間的・物理化学的条件交絡)
スピン回転するレジスト面の側で水蒸気噴射処理、裏面側で加圧炭酸ガス噴射処理を行うとき、レジスト面と基板の境界面に温度差が与えられる。この交絡態様でも、上記と同様の剥離作用が働く。
【0164】
(実施例10)
各種類のレジスト膜について、水蒸気処理に加圧炭酸ガス噴射処理の交絡効果を調査した。以下の表15に示す交絡処理条件により、1分〜2分でレジスト除去が達成できた。
【0165】
【表15】

【0166】
(7)水蒸気処理と基板冷却処理の交絡(温度的条件交絡)
処理基板を冷却プレートで支持しながら、レジスト表面を水蒸気処理する。冷却プレートは、ペルチエ素子による電子冷却方式・フッ素オイル冷媒循環冷却方式・加圧炭酸ガス噴出通気冷却方式などのいずれの方式で冷却してもよい。
水噴射・高圧炭酸ガス噴射の冷却作用と同様の交絡効果と剥離作用が働く。
【0167】
(実施例11)
各種類のレジスト膜について、水蒸気処理における基板冷却効果を調査した。水蒸気噴射ステップと基板冷却ステップの交絡順序及び交絡時間はレジストの種類により異なるので、効果の大きい条件を選択する。以下の表16に示す交絡処理条件はその一例であり、1分〜2分でレジスト除去が達成できた。
【0168】
【表16】

【0169】
(8)水蒸気処理と紫外線照射処理の交絡(物理化学的条件交絡)
水蒸気処理に重畳する場合は、水蒸気50%透過距離が2mm以上の紫外線を用いる。過熱水蒸気処理に重畳するのが効率的である。過熱水蒸気はミストを含有しないため、紫外線の散乱損失がない。紫外線光量及び照射時間は、レジスト接着面に光化学作用による変質を与える程度で充分である。
この具体例が、上記した実施例6であり、水蒸気と紫外線との交絡として捉えられる。
【0170】
(9)高圧炭酸ガス処理と紫外線照射処理の交絡(物理化学的条件交絡)
炭酸ガス雰囲気では、水蒸気50%透過距離が2mm以下の短波長の紫外線も高い透過率で用いることができる。波長172mmの紫外線の炭酸ガス50%透過距離は約30cmである。キセノンエキシマランプ(172mm)が適用できる。レジスト膜剥離後に微細構造間隙において取り切れていないレジスト微細断片を分解除去するに有効である。
【0171】
(実施例12)
微細構造パターンを持つデバイス表面のレジスト剥離処理後のパターンのコーナーや配線の間隙部に微細なレジスト膜片の残留する場合について、紫外線照射処理による残留膜片分解除去を行った。
炭酸ガスを表面に噴射しながらキセノンエキシマランプを照射した。以下の表17に結果を示す。
【0172】
【表17】

【0173】
(10)洗浄処理との交絡
レジスト剥離後の表面の清浄レベル及び次工程が要求する表面の清浄レベルは、プロセス毎にさまざまである。従って、レジスト剥離後の洗浄処理に用いる水蒸気条件の交絡、紫外線の交絡が可能かつ容易な機構が必要である。
この具体例が、上記した実施例6であり、洗浄処理との交絡として捉えられる。
【0174】
3.レジスト除去装置
ここで、各種処理(手段)の交絡態様を考慮したレジスト除去装置の具体例について説明する。
図6は、スピン回転機構を持つ枚葉式レジスト除去装置を示す概略断面図である。
【0175】
このレジスト膜除去装置は、基板搬出入機構、雰囲気パージ機構及び排出機構を有するチャンバー内に、水蒸気を導入する機構に加えてIPA蒸気・水・加圧炭酸ガスをそれぞれ導入する機構、前記水蒸気・水に化学成分を添加する機構、紫外線・高周波超音波をそれぞれ照射する機構、基板を加熱・冷却する機構のいずれか1以上の機構を備え、基板表裏面に対して噴射ノズルが相対的に移動することにより噴射面が掃引される駆動機構が設けられる。
【0176】
水蒸気処理チャンバー101の内部に、スピン回転機構が設けられる。スピン回転機構は、基板102を固定する支持ピン103を有する回転体104と中空回転モータ105から構成される。
【0177】
基板冷却機構として、冷却プレート106が中空回転モータ内に固定される支持機構107によって支持される。
紫外線照射機構として、水蒸気処理チャンバー101の上部に、紫外線ランプ108を収納し石英窓板109を有するランプチャンバー110が配接される。図6には紫外線ランプの断面方向が示されている。
【0178】
水蒸気処理チャンバー101は、水蒸気・IPA蒸気・水・加圧炭酸ガスをそれぞれ導入する機構として、水蒸気導入口111及び水蒸気噴射ノズル112、水噴射ノズル113,IPA蒸気噴射ノズル114、加圧炭酸ガス噴射ノズル115を有する。加圧炭酸ガス裏面噴射ノズル116は、冷却フレート106に換えて基板を冷却する機構である。
【0179】
高周波超音波照射機構として、水噴射ノズル113には高周波超音波発振子117が設置される。それぞれの噴射ノズルの形状は、図6には省略している。また、水蒸気処理チャンバー101は、雰囲気パージガス導入口118及び排出機構119を備えている。
【0180】
水蒸気・水に化学成分を添加する機構として、水蒸気発生装置120及び水噴射ノズルヘの超純水供給ライン121に、定量ポンプから構成される薬液注入装置122が設置される。
【符号の説明】
【0181】
1 蒸発器
2 蒸発用加熱ブロック
3 過熱器
4 過熱用加熱ブロック
5 定流量ポンプ
6 圧力制御ニードルバルブ
7 圧力計
8 温度計
9 温度計
10 超純水ライン用バルブ
11 水溶液ライン用バルブ
12 水蒸気導入バルブ
13 水蒸気噴射バルブ
14,112 水蒸気噴射ノズル
15,101 処理チャンバー
16 処理表面
21,102 基板
22 スピン回転機構
23 水蒸気処理チャンバー
24,108 紫外線ランプ
25,109 石英窓板
26,110 ランプチャンバー
27 ガス導入口
28 排出ダクト
31 水蒸気供給装置
41 噴射ノズル
103 支持ピン
104 回転体
105 中空モータ
106 冷却プレート
107 支持機構
111 水蒸気導入口
113 水噴射ノズル
114 IPA蒸気噴射ノズル
115,116 加圧炭酸ガス噴射ノズル
117 高周波超音波発振子
118 パージガス導入口
119 排出機構
120 水蒸気発生装置
121 超純水供給ライン
122 薬液注入装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィー工程において用いられるレジスト膜除去装置であって、水蒸気をレジスト膜に接触せしめる手段と、水蒸気をレジスト膜に噴射する手段とを備え、前記水蒸気の作用により当該レジスト膜を剥離することを特徴とするレジスト膜除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−39155(P2012−39155A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247144(P2011−247144)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【分割の表示】特願2010−14000(P2010−14000)の分割
【原出願日】平成12年3月10日(2000.3.10)
【出願人】(503187073)アクアサイエンス株式会社 (13)
【Fターム(参考)】