説明

不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法

【課題】 セル部のブロック絶縁膜の誘電率を低下させることなく、セル部のブロック絶縁膜を分断するセル間における絶縁膜中の欠陥を低減し、電荷保持特性の劣化を抑制する不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 実施形態の不揮発性半導体記憶装置においては、半導体基板上にトンネル絶縁膜、前記トンネル絶縁膜上に電荷蓄積層、前記電荷蓄積層上にブロック絶縁膜が設けられる。前記半導体基板に設けられた素子分離溝部に埋め込まれ、底面が前記半導体基板と前記トンネル絶縁膜の接する面の高さよりも低く、かつ上面が前記電荷蓄積層および前記ブロック絶縁膜の接する面の高さよりも低い第1の素子分離絶縁膜が設けられる。前記第1の素子分離絶縁膜上に形成され、前記ブロック絶縁膜の側面と接して前記ブロック絶縁膜上面まで突出し、かつSi濃度が前記ブロック絶縁膜よりも高い第2の素子分離絶縁膜が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MONOS(metal-oxide-nitride-oxide-silicon)型不揮発性半導体記憶装置におけるセルは微細化が進行している。このセルの微細化に伴い電荷蓄積層からの電荷抜けが起こりやすくなり、トンネル絶縁膜に印加する電圧の確保が困難になる。このため、電荷蓄積層上に高誘電率材料のブロック絶縁膜が用いられている。
【0003】
しかし、従来ブロック絶縁膜として用いられていたランタンアルミネートは潮解性を有するため、欠陥が多く含まれる。そのため、電荷蓄積層からの隣接セルへの電荷抜けが発生し、電荷保持特性が劣化する問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−74096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、セル部のブロック絶縁膜の誘電率を低下させることなく、セル部のブロック絶縁膜を分断するセル間における絶縁膜中の欠陥を低減し、電荷保持特性の劣化を抑制する不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、半導体基板を持つ。前記半導体基板上にはトンネル絶縁膜が設けられる。前記トンネル絶縁膜上には電荷蓄積層が設けられる。前記電荷蓄積層上にはブロック絶縁膜が設けられる。前記半導体基板に設けられた素子分離溝部に埋め込まれ、底面が前記半導体基板と前記トンネル絶縁膜の接する面の高さよりも低く、かつ上面が前記電荷蓄積層および前記ブロック絶縁膜の接する面の高さよりも低い第1の素子分離絶縁膜が設けられる。前記第1の素子分離絶縁膜上に形成され、前記ブロック絶縁膜の側面と接して前記ブロック絶縁膜上面まで突出し、かつSi濃度が前記ブロック絶縁膜よりも高い第2の素子分離絶縁膜が設けられる。前記ブロック絶縁膜および前記第2の素子分離絶縁膜上には制御ゲート電極が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】ワードライン方向に平行な不揮発性半導体記憶装置の基本構造を示す断面図。
【図1B】ビットライン方向に平行な不揮発性半導体記憶装置の基本構造を示す断面図。
【図2】第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
【図3】第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1Aは第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のワードライン方向に平行な断面図を示しており、図1Bは第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のビットライン方向に平行な断面図を示す。
【0010】
シリコン基板1上のトンネル絶縁膜3、電荷蓄積層4、ブロック絶縁膜10および制御ゲート電極14からなる積層構造の両端において、シリコン基板1にそれぞれソース領域2aおよびドレイン領域2bが形成されている。
【0011】
シリコン基板1上におけるビットラインとワードラインの交差部にはトンネル絶縁膜3が設けられる。トンネル絶縁膜3には、シリコン酸化膜が用いられるが、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜でもよい。他にもシリコン酸化膜とシリコン窒化膜の多層構造をトンネル絶縁膜とすることができる。トンネル絶縁膜3の膜厚は3nm〜9nm程度である。
【0012】
電荷蓄積層4は、トンネル絶縁膜3上に設けられ、第2の素子分離絶縁膜13の側面と接している。電荷蓄積層4には、例えば膜厚が5nm〜10nm程度のシリコン窒化膜が用いられる。
【0013】
ブロック絶縁膜10は、電荷蓄積層4上に設けられ、第2の素子分離絶縁膜13の側面と接するものである。ブロック絶縁膜10には、LaxAlyOz-が用いられる。zの値のとりうる範囲はストイキオメトリー条件においては1.5≦z≦3.0となるが、この範囲外の値でもよい。ブロック絶縁膜10の膜厚は、例えば5nm〜30nm程度である。
【0014】
第1の素子分離絶縁膜9は、シリコン基板1に設けられた素子分離溝部8に埋め込まれる。第1の素子分離絶縁膜9の上面は、第2の素子分離絶縁膜の底面と接する。第1の素子分離絶縁膜9の底面の高さは、半導体基板1およびトンネル絶縁膜3の接する面の高さよりも低い。第1の素子分離絶縁膜9の上面の高さは、電荷蓄積層4の底面より低い。第1の素子分離絶縁膜9には、例えばシリコン酸化膜が用いられる。
【0015】
第2の素子分離絶縁膜13は、第1の素子分離絶縁膜9上に設けられ、電荷蓄積層4およびブロック絶縁膜10の側面に接するものである。第2の素子分離絶縁膜13の底面の高さは電荷蓄積層4の上面より低い。第2の素子分離絶縁膜13には、LaxAlySizOw-が用いられる。LaxAlySizOwは、LaxAlyOzよりも欠陥が少ない。wの値のとりうる範囲はストイキオメトリー条件においては1.5≦z≦5.0となるが、この範囲外の値でもよい。
【0016】
なお、上記ブロック絶縁膜10は、La, Al, Hf, Y, Ce, Ti, Ta, Sc, DyおよびZrのうちから選択される元素を含み、シリコン窒化膜よりも誘電率が高い酸化物、窒化物又は酸窒化物で構成するのがよい。例えば、HfAlO、ZrAlO、HfAlON等をブロック絶縁膜10に用いることができる。また、第2の素子分離絶縁膜13は、前記ブロック絶縁膜10に含まれる元素およびSiを含む酸化物、窒化物又は酸窒化物で構成するのがよい。例えば、HfAlSiO、ZrAlSiO、HfAlSiON等を第2の素子分離絶縁膜13に用いることができる。
【0017】
制御ゲート電極14は、ブロック絶縁膜10および第2の素子分離絶縁膜13上に設けられる。制御ゲート電極14には、例えば金属膜,多結晶シリコン膜又はシリサイド膜が用いられる。
【0018】
第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置によれば、第2の素子分離絶縁膜13にはSi元素が含まれたLaxAlySizOwが用いられている。これによりセル間の絶縁膜の欠陥を低減することができる。
【0019】
第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法について以下説明する。
【0020】
図2は、第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示すワードライン方向に平行な断面図である。
【0021】
図2(a)に示すように、シリコン基板1上を600℃〜1000℃でドライ酸素雰囲気または水蒸気雰囲気において熱酸化することによりトンネル絶縁膜3として、シリコン酸化膜を形成する。このシリコン酸化膜は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法により形成してもよい。
【0022】
次に、図2(b)に示すように、トンネル絶縁膜3上に電荷蓄積層4としてCVD法によりシリコン窒化膜を形成する。600℃〜800℃に加熱された反応炉内にジクロルシラン(SiH2Cl2)とアンモニア(NH3)を導入し、0.1Torr〜1Torr圧力に維持することにより前記シリコン窒化膜を形成する。なお、シリコン窒化膜は、ALD法やMBE(Molecular Beam Epitaxy)法により形成してもよい。
【0023】
次に、電荷蓄積層4上にCVD法によりシリコン酸化膜5を形成する。好適な方法としては、600℃〜800℃とした反応炉内にジクロルシラン(SiH2Cl2)と亜酸化窒素(N2O)を導入し、0.1Torr〜5Torr圧力に維持することによりシリコン酸化膜5を得る方法が挙げられる。
【0024】
次に、図2(c)に示すように、シリコン窒化膜6を、シリコン酸化膜5上にCVD法により形成する。好適な方法として、600℃〜800℃とした反応炉内にジクロルシラン(SiH2Cl2)とアンモニア(NH3)を導入し、圧力を0.1Torr〜1Torrに維持することによりシリコン窒化膜6を得る方法が挙げられる。
【0025】
次に、図2(d)に示すように、フォトレジスト膜7を塗布法により堆積し、図2(e)に示すように、フォトリソグラフィー法によりフォトレジスト膜7を残すようパターニングする。
【0026】
次に、フォトレジスト膜7をマスクとしてシリコン窒化膜6およびシリコン酸化膜5をRIE(Reactive Ion Etching)法によりエッチングする。その後、フォトレジスト膜7を除去し、シリコン窒化膜6をマスクとして電荷蓄積層4、トンネル絶縁膜3および半導体基板1をRIEによりエッチングする。これによりシリコン基板1の表面が露出し、図2(f)に示すように素子分離溝部8を形成する。
【0027】
次に、600℃〜750℃でテトラエトキシシラン(TEOS)を反応炉内に導入して0.1〜5Torr程度の圧力とすることによりシリコン酸化膜を堆積する。その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により、図2(g)に示すように堆積したシリコン酸化膜の表面をシリコン窒化膜6が露出するまで平坦化する。これにより、素子分離溝部8に第1の素子分離絶縁膜9としてシリコン酸化膜を埋め込む。
【0028】
次に、シリコン窒化膜6と選択比のあるRIEにより、図2(h)に示すように、第1の素子分離絶縁膜9であるシリコン酸化膜を電荷蓄積層4の上面の高さまで選択的にエッチングする。この場合、後述するブロック絶縁膜10を平坦に成膜することができ、制御ゲート電極14はボイドを発生することなく成膜することができる。なお、制御ゲート電極14にボイドが発生しない場合には、前記エッチング後の第1の素子分離絶縁膜9の上面の高さと、電荷蓄積層4の上面の高さは異なっていてもよい。
【0029】
次に、200℃程度の燐酸と水の混合溶液で残ったシリコン窒化膜6を選択的にウェットエッチングする。その後、図2(i)に示すように、例えば弗酸によりシリコン酸化膜5を除去する。このとき、エッチング条件および第1の素子分離絶縁膜9の材料によっては第1の素子分離絶縁膜9がエッチングされる場合がある。
【0030】
次に、図2(j)に示すように、CVD法によりブロック絶縁膜10としてLaxAlyOz膜を形成する。La原料としてLa(EtCp)3(トリス(エチルシクロペンタジエニル)ランタン)、Al原料としてTMA(トリメチルアルミニウム)を用い、温度を200℃〜700℃、圧力を0.1Torr〜5Torrの範囲のものとした反応炉内に、前記ガスとともにO3(オゾン)を導入することによりLaxAlyOz膜を形成する。他にもAl2O3ターゲットおよびLa2O3ターゲットを用いたスパッタ法やMBE法によってもLaxAlyOz膜を得ることができる。
【0031】
次に、700℃〜1100℃の窒素雰囲気中の炉内において、熱処理を行うことで第1の素子分離絶縁膜9であるシリコン酸化膜の上層と第1の素子分離絶縁膜9上のブロック絶縁膜10が拡散混合し、図2(k)に示すように第1の素子分離絶縁膜9上部に第2の素子分離絶縁膜13としてLaxAlySizOw膜を形成する。
【0032】
次に、図1Aに示すように、ブロック絶縁膜10および第2の素子分離絶縁膜13上に制御ゲート電極14を形成する。制御ゲート電極14には、例えば、温度を400℃〜700℃、圧力を0.1Torr〜5Torrとした反応炉内にSiH4(モノシラン)とPH3(フォスフィン)を導入することによってリンが添加されたシリコン膜が用いられる。
【0033】
次に、RIEによりワードライン方向の加工を行い、シリコン基板1を露出させる。その後、イオン打ち込みにより、ソース領域2aおよびドレイン領域2bを形成し、図1A、図1Bのように不揮発性半導体記憶装置を形成する。
【0034】
第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法によれば、熱処理を行うことで第1の素子分離絶縁膜9であるシリコン酸化膜の上層と第1の素子分離絶縁膜9上のブロック絶縁膜10が拡散混合し、第2の素子分離絶縁膜13であるLaxAlySizOwを形成する。これにより、ブロック絶縁膜10および第2の素子分離絶縁膜13を緻密化するための熱処理工程が不要となり、製造コストを低減することができる。
【0035】
以上のように、本発明の第1の実施形態によれば、ブロック絶縁膜10はシリコン窒化膜よりも誘電率が高いLaxAlyOzを用い、第1の素子分離絶縁膜9であるシリコン酸化膜上に第2の素子分離絶縁膜13としてLaxAlySizOwを設けている。すなわち、ブロック絶縁膜10は、高誘電率の膜を使用したまま、第2の素子分離絶縁膜13のみSi濃度を高くすることにより、セル間における絶縁膜の欠陥を低減することができる。これにより、電荷蓄積層4に蓄積された電荷が隣接セルへ移動する割合を低減し、電荷保持特性の劣化を抑制することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態による不揮発性半導体記憶装置について図1Aを用いて説明する。この第2の実施形態の構成について図1Aの第1の実施形態の不揮発性半導体記憶装置の構成と同一部分は同一符号で示し、その詳細な説明を省略する。この第2の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、図1Aのブロック絶縁膜10にLaxAlyOzを用いる代わりに、ブロック絶縁膜10としてLaxAlySizOwを用いており、ブロック絶縁膜10よりも第2の素子分離絶縁膜13の方がSi濃度は高い点である。なお、ブロック絶縁膜10および第2の素子分離絶縁膜13は、La, Al, Hf, Y, Ce, Ti, Ta, Sc, DyおよびZrのうちから選択される元素およびSiを含み、シリコン窒化膜よりも誘電率が高い酸化物、窒化物又は酸窒化物で構成するのがよい。例えば、HfAlSiO、ZrAlSiO、HfAlSiON等をブロック絶縁膜10および第2の素子分離絶縁膜13に用いることができる。
【0037】
第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置によれば、ブロック絶縁膜10にはSi元素が含まれたLaxAlySizOwが用いられている。これにより、ブロック絶縁膜10の耐熱性を向上させることができる。また、第2の素子分離絶縁膜13にはSi元素が含まれたLaxAlySizOwが用いられている。これにより、また第2の素子分離絶縁膜13のSi濃度が高いためセル間の絶縁膜の欠陥を低減することができる。
【0038】
本発明の第2の実施形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法について図を用いて説明する。図3は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示すワードライン方向に平行な断面図である。
【0039】
第1の実施形態と同様にして図2(a)乃至(i)のように、シリコン基板1上にトンネル絶縁膜3および電荷蓄積層4を形成し、素子分離溝部8に第1の素子分離絶縁膜9としてシリコン酸化膜を埋め込む。
【0040】
次に、電荷蓄積層4および第1の素子分離絶縁膜9上にCVD法により第2の絶縁膜12としてシリコン酸化膜を形成する。好適な方法としては、600℃〜800℃とした反応炉内にジクロルシラン(SiH2Cl2)と亜酸化窒素(N2O)を導入し、0.1Torr〜5Torr圧力に維持することによりシリコン酸化膜を得る方法が挙げられる。その後、図3(a)に示すように、CVD法により第1の絶縁膜11としてLaxAlyOz膜を形成する。
【0041】
次に、700℃〜1100℃の窒素雰囲気中の炉内において、熱処理を行うことにより、図3(b)に示すように、セル上部では第1の絶縁膜11であるLaxAlyOzと第2の絶縁膜12であるシリコン酸化膜を拡散混合し、ブロック絶縁膜10としてLaxAlySizOw膜を形成し、素子分離溝部8上部では第1の絶縁膜11であるLaxAlyOz膜、第2の絶縁膜12であるシリコン酸化膜および第1の素子分離絶縁膜9であるシリコン酸化膜の上層が拡散混合し、第2の素子分離絶縁膜13としてLaxAlySizOw膜を形成する。このとき、素子分離溝部8上部では第1の素子分離絶縁膜であるシリコン酸化膜も拡散混合するため、ブロック絶縁膜10より第2の素子分離絶縁膜13の方がSi濃度は高く、また第2の素子分離絶縁膜13の底面は電荷蓄積層4の上面より低いものとなる。
【0042】
次に、第1の実施形態と同様にして、図1A、図1Bのように不揮発性半導体記憶装置を形成する。
【0043】
なお、電荷蓄積層4および第1の素子分離絶縁膜9上において、第2の絶縁膜12であるシリコン酸化膜を形成後、第1の絶縁膜11であるLaxAlyOzを形成する旨上述したが、かかる順序は逆であってもよい。すなわち、電荷蓄積層4および第1の素子分離絶縁膜9上において、第1の絶縁膜11であるLaxAlyOzを形成後、第2の絶縁膜12であるシリコン酸化膜を形成してもよい。
【0044】
第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法によれば、熱処理を行うことにより、セル上部ではブロック絶縁膜10としてLaxAlySizOw膜を形成し、素子分離溝部8上部では第2の素子分離絶縁膜13としてLaxAlySizOw膜を形成する。これにより、ブロック絶縁膜10および第2の素子分離絶縁膜13を緻密化するための熱処理工程が不要となり、製造コストを低減することができる。
【0045】
以上のように、本発明の第2の実施形態によれば、ブロック絶縁膜10はシリコン窒化膜よりも誘電率が高いLaxAlySizOwを用い、第1の素子分離絶縁膜9であるシリコン酸化膜上に第2の素子分離絶縁膜13としてブロック絶縁膜10よりSi濃度の高いLaxAlySizOwを設けている。すなわち、ブロック絶縁膜10は、高誘電率の膜を使用したまま、第2の素子分離絶縁膜13のSi濃度を高くすることにより、ブロック絶縁膜10の耐熱性を向上させ、セル間における絶縁膜の欠陥を低減することができる。これにより、蓄積された電荷が隣接セルへ移動する割合を低減し、電荷保持特性の劣化を抑制することができる。
【0046】
以上詳述した少なくとも一つの実施形態によれば、高誘電率のブロック層を使用したまま、第2の素子分離絶縁膜13のSi濃度を高くすることにより、セル間の絶縁膜の欠陥を低減することができる。これにより、電荷蓄積層4に蓄積された電荷が隣接セルへ移動する割合を低減し、電荷保持特性の劣化を抑制することができる。
【0047】
なお、上述した第1の実施形態および第2の実施形態において、膜厚の値を記載したが、この範囲外の膜厚でも良い。
【0048】
なお、上述した第1の実施形態および第2の実施形態において、MONOS構造の不揮発性半導体記憶装置として説明したが、電荷蓄積層4に浮遊ゲートとしてポリシリコン膜を用いた浮遊ゲート型不揮発性半導体記憶装置でもよい。
【0049】
なお、上述した第1の実施形態および第2の実施形態において、第2の素子分離絶縁膜13の底面が電荷蓄積層4の底面より高いことを前提に説明したが、第2の素子分離絶縁膜13の底面は電荷蓄積層4の底面より低くてもよい。
【0050】
なお、本発明は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
1…シリコン基板
2a…ソース領域
2b…ドレイン領域
3…トンネル絶縁膜
4…電荷蓄積層
5…シリコン酸化膜
6…シリコン窒化膜
7…フォトレジスト膜
8…素子分離溝部
9…第1の素子分離絶縁膜
10…ブロック絶縁膜
11…第1の絶縁膜
12…第2の絶縁膜
13…第2の素子分離絶縁膜
14…制御ゲート電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられるトンネル絶縁膜と、
前記トンネル絶縁膜上に設けられる電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層上に設けられるブロック絶縁膜と、
前記半導体基板に設けられた素子分離溝部に埋め込まれ、底面が前記半導体基板および前記トンネル絶縁膜の接する面の高さよりも低く、かつ上面が前記電荷蓄積層および前記ブロック絶縁膜の接する面の高さよりも低い第1の素子分離絶縁膜と、
前記第1の素子分離絶縁膜上に形成され、前記ブロック絶縁膜の側面と接して前記ブロック絶縁膜上面まで突出し、かつSi濃度が前記ブロック絶縁膜よりも高い第2の素子分離絶縁膜と、
前記ブロック絶縁膜および前記第2の素子分離絶縁膜上に設けられる制御ゲート電極と、
を備えた不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記ブロック絶縁膜は、La, Al, Hf, Y, Ce, Ti, Ta, Sc, DyおよびZrのうちから選択される元素を含み、前記第2の素子分離絶縁膜は、前記ブロック絶縁膜に含まれる元素およびSiを含む請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
半導体基板上にトンネル絶縁膜を形成するステップと、
前記トンネル絶縁膜上に電荷蓄積層を形成するステップと、
前記電荷蓄積層、前記トンネル絶縁膜、および前記半導体基板のエッチングにより素子分離溝部を形成するステップと、
前記素子分離溝部に埋め込まれ、前記電荷蓄積層上面の高さまで第1の素子分離絶縁膜を形成するステップと、
前記電荷蓄積層および前記第1の素子分離絶縁膜上に第1の絶縁膜を形成するステップと、
熱処理により前記電荷蓄積層上のブロック絶縁膜および前記第1の素子分離絶縁膜上部に前記ブロック絶縁膜よりもSi濃度が高い第2の素子分離絶縁膜を形成するステップと、
前記ブロック絶縁膜および前記第2の素子分離絶縁膜上に制御ゲート電極を形成するステップと、
を備えた不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の絶縁膜の一方の面に設けられる第2の絶縁膜を形成するステップをさらに含み、前記第1の素子分離絶縁膜の上部、前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜が熱処理により拡散混合し、前記ブロック絶縁膜および前記第2の素子分離絶縁膜を形成する請求項3に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項5】
前記ブロック絶縁膜は、La, Al, Hf, Y, Ce, Ti, Ta, Sc, DyおよびZrのうちから選択される元素を含み、前記第2の素子分離絶縁膜は、前記ブロック絶縁膜に含まれる元素およびSiを含む請求項3又は請求項4に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−60086(P2012−60086A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204804(P2010−204804)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】