説明

二次元測定機

【課題】電力消費量が少なく高熱の発生を伴わずに太陽光に近い白色光で被測定物を照明できる照明手段を備えた二次元測定機を提供する。
【解決手段】
テーブル12に載置した被測定物Wに対して垂直を保持したままX−Y方向に自在に移動する顕微鏡一体型CCDカメラ30と、顕微鏡光学系と同軸状の被測定物照明手段と、を備えた二次元測定機で、前記照明手段を、顕微鏡20の鏡筒21内のハーフミラー24と、ハーフミラー24に対応する鏡筒21側方延長位置に配置したクロスプリズム54と、該クロスプリズム54を取囲んで配置した赤,青,緑の単色LED52R,G,Bで構成し、単色LED52R,G,Bの発光がクロスプリズム54で合成されてハーフミラー24に導かれる。単色LED52R,G,Bの同時点灯で、太陽光に近い十分な光量の白色照明光が得られ、モニタ画面に映し出されるカラー画像が非常に見易い。照明用光源の電力消費量,発熱量が小さく、省エネルギー対策にも合致する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平なテーブル上に載置した被測定物を顕微鏡に搭載したCCDカメラで上方から撮像して被測定物の測定を行う二次元測定機に係り、特にCCDカメラに一体化した顕微鏡部または被測定物下方の顕微鏡部に正対する位置に該顕微鏡光学系の光軸と同軸状の光軸をもつ照明手段を設けた二次元測定機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1,2は、テーブル上に載置された略平板状の被測定物に対して垂直に保持されたまま被測定物に対して相対的にX−Y方向に自在に移動する顕微鏡一体型CCDカメラを備えた二次元測定機で、CCDカメラの撮像した被測定物の映像は、画像合成回路を経て、モニターテレビに映し出されるが、モニターテレビの映像が見やすいように、顕微鏡側、または被測定物の下方であって顕微鏡と正対する側に被測定物表面のCCDカメラ撮像位置を照明する照明手段が設けられている。
【0003】
即ち、文献1では、被測定物下方の顕微鏡一体型CCDカメラの真下に、被測定物を下方から照明する透過照明手段を設けたり、被測定物を上方から照明する照明手段が設けられている。
【0004】
一方、文献2では、被測定物が透過性を備えていない場合は、CCDカメラの両側にカメラの撮像位置を照明する落射照明手段を設け、被測定物が透過性を備えている場合は、被測定物を下方から照明する透過照明手段を設けるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−189813号公報(段落0013、0021、図1)
【特許文献2】特開2000−259829号公報(段落0009、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の二次元測定機においては、CCDカメラの撮像位置を照明する光としては、モニタ画面に映し出されるカラー画像が見易いという観点から、太陽光に近い光が望まれており、一般には、ハロゲンランプ,メタルハライドランプ,キセノンランプといった白色高輝度ランプが使用されている。
【0007】
しかし、ハロゲンランプの発光は赤味が強く、光量(明るさ)調整すると照明の色合いが変化してしまう。また、メタルハライドランプおよびキセノンランプの発光は、ハロゲンランプの発光に比べて白色ではあるが、消費電力が大きく、光源装置としてのコストも高い。さらに、前記した白色高輝度ランプは、いずれも発熱量が大きく、熱対策を要する。
【0008】
本発明は、前記した従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、電力消費量が少なく高熱の発生を伴わずに太陽光に近い白色光で被測定物を照明できる照明手段を備えた二次元測定機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、請求項1に係る二次元測定機(落射照明機能付き)においては、テーブル上に載置された略平板状の被測定物に対して垂直に保持されたまま被測定物に対して相対的にX−Y方向に自在に移動する、被測定物表面撮像用の顕微鏡一体型CCDカメラと、前記顕微鏡の光学系と同軸状に設けられた被測定物照明手段と、を備えた二次元測定機において、
前記照明手段は、前記顕微鏡の鏡筒内に配置されたハーフミラーと、前記ハーフミラーの側方延長位置に配置されたクロスプリズムと、前記クロスプリズムを取囲んで配置された赤,青,緑に発光する3種の光源である単色LEDとを備え、前記各単色LEDの発光が前記クロスプリズムによって合成されて前記ハーフミラーに導かれ、該ハーフミラーでの反射光が前記被測定物を上方から照明するように構成した。
【0010】
また、前記目的を達成するために、請求項4に係る二次元測定機(透過照明機能付き)においては、テーブル上に載置された略平板状の被測定物に対して垂直に保持されたまま被測定物に対して相対的にX−Y方向に自在に移動する、被測定物表面撮像用の顕微鏡一体型CCDカメラと、前記顕微鏡の光学系と同軸状に設けられた被測定物照明手段と、を備えた二次元測定機において、
前記照明手段は、前記被測定物より下方で前記顕微鏡の真下に配置されたハーフミラーと、前記ハーフミラーの側方延長位置に配置されたクロスプリズムと、前記クロスプリズムを取囲んで配置された赤,青,緑に発光する3種の光源である単色LEDとを備え、
前記各単色LEDの発光が前記クロスプリズムによって合成されて前記ハーフミラーに導かれ、該ハーフミラーでの反射光が前記被測定物を下方から照明するように構成した。
(作用)赤,青,緑に発光する3種の単色LEDのそれぞれの発光(赤,青,緑の発光)は、クロスプリズムを透過することで合成された白色光としてハーフミラーに導かれ、請求項1では鏡筒内のハーフミラーで反射され、請求項4では顕微鏡の真下に配置されたハーフミラーで反射されて、請求項1,4のいずれの場合も、顕微鏡光学系と同軸の光軸をもつ白色の照明光となる。
【0011】
特に、クロスプリズムから出射する合成された白色光が太陽光に近い光となるように、各単色LEDの光量バランス(輝度バランス)を予め所定値に設定しておくことで、3種の単色LEDの同時点灯により、太陽光に近い白色の照明光が得られる。
【0012】
また、クロスプリズムには、入射光を波長域で選択するフィルタ機能がないので、クロスプリズムを透過しても入射光の光量に対する出射光の光量が低下することはなく、3種の単色LEDの光量を加算した十分な光量の照明光が得られる。
【0013】
また、ハロゲンランプ,メタルハライドランプ,キセノンランプといった白色高輝度ランプに比べて、3種の単色LEDの点灯による消費電力は小さく、発熱量も少ない。
【0014】
また、請求項1に記載の二次元測定機において、前記照明手段を構成する前記クロスプリズム,前記3種の単色LEDおよび前記クロスプリズムから出射した光を前記ハーフミラーに導く光学系を、前記クロスプリズムを中心とする十字型に配置した照明用光源ユニットとして一体化して、
請求項2では、前記照明手段の光軸が前記顕微鏡の光軸に一致するように、前記鏡筒に取り外し可能に取着するように構成し、
請求項3では、前記装置本体に取り外し可能に固定保持するとともに、前記照明手段の光軸が前記顕微鏡の光軸に一致するように、該照明用光源ユニットから導出するフレキシブルライトガイドを前記鏡筒に取り外し可能に接続するように構成した。
【0015】
また、請求項4に記載の二次元測定機において、前記照明手段を構成する前記クロスプリズム,前記3種の単色LEDおよび前記クロスプリズムから出射した光を前記ハーフミラーに導く光学系を、前記クロスプリズムを中心とする十字型に配置した照明用光源ユニットとして一体化して、
請求項5では、前記照明手段の光軸が前記顕微鏡の光軸に一致するように、前記ハーフミラーを収容するミラーハウジングに取り外し可能に取着するように構成し、
請求項6では、前記装置本体に取り外し可能に固定保持するとともに、前記照明手段の光軸が前記顕微鏡の光軸に一致するように、該照明用光源ユニットから導出するフレキシブルライトガイドを前記ハーフミラーを収容するミラーハウジングに取り外し可能に接続するように構成した。
(作用)請求項2(5)では、照明用光源ユニットを顕微鏡の鏡筒(ミラーハウジング)から取り外し、かつ照明用光源ユニットを装置本体から取り外すことができ、一方、請求項3(6)では、ライトガイドを顕微鏡の鏡筒やミラーハウジングから取り外し、かつ照明用光源ユニットを装置本体から取り外すことができるので、いずれの場合も、必要に応じて、照明用光源ユニットを顕微鏡やミラーハウジングや装置本体から簡単に分離できる。
【0016】
また、請求項7においては、請求項1〜6のいずれかに記載の二次元測定機において、前記3種の単色LEDの任意のLEDを点灯できるように構成した。即ち、3種の単色LEDの任意のLEDの点灯により、前記被測定物照明光が白色,赤色,青色,緑色、または赤色と青色と緑色のうちのいずれか2色の混色に切替わるように構成した。
(作用)コントラストに優れる等の測定する上での最適な波長域(色)が予めわかっている場合は、給電(点灯)する単色LEDを選択することで、照明光量の低下を招くことなく、被測定物照明光を白,赤,青,緑、または赤,青,緑のうちのいずれか2色の混色の中から測定に最適な色の光にして、CCDカメラによる撮像、およびCCDカメラからの画像データを画像処理することで、高精度の測定が可能となる。
【0017】
また、コントラストに優れる等の測定する上での最適な波長域(色)が不明な場合は、被測定物照明光を例えば赤色,青色,緑色に順次切り替え、CCDカメラが撮像した各単色光に対応する画像のうちの最も濃度差(コントラスト)が大きい画像を選択して被測定物のエッジを抽出する画像処理を行うことで、高精度の測定が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明から明らかなように、請求項1,4に係る二次元測定機によれば、光源である3種の単色LEDの同時点灯によって、太陽光に近い白色の十分な光量の照明光が得られるので、モニタ画面に映し出されるカラー画像が非常に見易く、それだけ使い勝手に優れる。
【0019】
また、被測定物照明用光源の電力消費量および発熱量が小さく、現在進められている省エネルギー対策にも合致する。
【0020】
請求項2,3,5,6によれば、照明用光源ユニットを顕微鏡やミラーハウジングや測定機本体から分離した状態にして、顕微鏡光学系や照明光学系を調整できるので、顕微鏡光学系や照明光学系の調整作業が容易となる。
【0021】
また、照明用光源ユニットを顕微鏡やミラーハウジングや装置本体から分離したコンパクトな形態にして梱包や搬送できるので、被測定物照明手段の梱包・搬送作業が容易となる。
【0022】
請求項7によれば、画像のコントラストに優れる等の測定する上での最適な波長域(色)が予めわかっている場合は、照明光の色を被測定物の測定に最適な色にして撮像すれば、画像処理工程が簡潔となるとともに、測定作業時間も短縮される。
【0023】
画像のコントラストに優れる等の測定する上で最適な波長域(色)が不明な場合は、照明光を赤色,青色,緑色に順次切り替え、CCDカメラが撮像した各単色光に対応する画像のうちの最も濃度差(コントラスト)が大きい画像を用いて被測定物のエッジを抽出する画像処理を行うことで、特許文献2に示すような「CCDカメラの撮像したカラー画像を、赤画像,青画像,緑画像の3色の構成画像に分離する工程」が省かれるので、画像処理がそれだけ簡潔となって、安価な画像処理装置を二次元測定機に組み込むことができる。即ち、複雑な画像処理を伴うことなく高精度の測定を可能にする二次元測定機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施例である二次元測定機の斜視図である。
【図2】被測定物照明手段の全体構成を示す斜視図である。
【図3】被測定物照明手段の全体構成を示す断面図である。
【図4】クロスプリズムの作用を示す図である。
【図5】顕微鏡の鏡筒と照明用光源ユニット間の連結部の拡大断面図である。
【図6】本発明の第2の実施例である二次元測定機の要部である被測定物照明手段の全体構成を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施例である二次元測定機の要部である被測定物照明手段の全体構成を示す図である。
【図8】本発明の第4の実施例である二次元測定機の要部である被測定物照明手段の全体構成を示す図である。 図1〜3において、符号10は二次元測定機本体で、被測定物W載置用の平板状の透明な水平テーブル12を備えている。テーブル12の上方には、Y方向に往復動自在の門型スライダ(Y軸スライダ)14が設けられ、スライダ14には、X方向に移動自在な顕微鏡20一体型CCDカメラ30が設けられている。即ち、門型スライダ14には、X方向移動自在なX軸スライダ16が組み付けられ、スライダ16には、顕微鏡20一体型CCDカメラ30が組み付けられている。
【0025】
顕微鏡20は、図3に示すように、水平に配設された透明なテーブル12に対し垂直に設けられて、被測定物Wを上方から視準する。被測定物Wにおける顕微鏡20が視準する領域は、CCDカメラ30によって撮像され、その画像データは、画像処理装置42を含むコンピュータ40に取り込まれ、二次元測定機本体10の近傍に設置したモニタ46の画面46aにカラー画像として表示される。
【0026】
即ち、CCDカメラ30からカラー画像の信号がコンピュータ40に入力されると、コンピュータ40は、このカラー画像から被測定物のパターンの境界線であるエッジを検出し、該エッジの位置から画像を認識するように構成されている。さらに、コンピュータ40は、同一の画像であるが色(赤,緑,青またはこれら3色のうちの2色の混色)を変えた画像信号が順次入力された場合には、異なる色の画像毎に、被測定物に対応する部分と該部分の周囲の部分との濃度差(コントラスト)を求め、最も濃度差(コントラスト)の大きい色の画像を用いて被測定物のパターンの境界線であるエッジを抽出し、該エッジの位置から画像を認識するように構成されている。
【0027】
なお、図3における符号21は、顕微鏡20の鏡筒、符号22は、対物レンズである。符号28は、顕微鏡20の鏡筒21に設けられた一対のブラケットで、顕微鏡20をスライダ16に取着するためのものである。
【0028】
また、図3に示すように、顕微鏡20の鏡筒21内の顕微鏡光学系の光軸L1上には、該光軸L1に対し45度傾斜するハーフミラー24が配置され、ハーフミラー24に対応する鏡筒21の側方延長位置には、クロスプリズム54が配置され、クロスプリズム54の周りには、赤,青,緑に発光する光源である3種の単色LED52R,52G,52Bが互いに直交するように配置されており、各単色LED52R,52G,52Bの発光はクロスプリズム54で合成されて白色光となってハーフミラー24に導かれ、ハーフミラー24で反射されて被測定物Wを上方から照明する落射照明光を形成する。
【0029】
即ち、図4に拡大して示すように、クロスプリズム54に入射した赤色LED52Rの発光(赤色光)LRは、クロスプリズム54の赤反射面54Rで反射され、クロスプリズム54に入射した青色LED52Bの発光(青色光)LBは、クロスプリズム54の青反射面54Bで反射(符号LB参照)され、クロスプリズム54に入射した緑色LED52Gの発光(緑色光)LGは、クロスプリズム54(の赤反射面54R,青反射面54B)を透過する。このため、クロスプリズム54に入射した赤色光LR,緑色光LGおよび青色光LBは、クロスプリズム54のLED52R,52G,52Bが配置されていない面から、合成された白色光として出射する。
【0030】
そして、クロスプリズム54には、入射光を波長域で選択するフィルタ機能がないので、クロスプリズム54を透過しても入射光の光量に対する出射光の光量が低下することはなく、3種の単色LEDの光量を加算した十分な光量の落射照明光が得られる。
【0031】
また、落射照明用の光源として、3種の単色LED52R,52G,52Bが用いられているが、ハロゲンランプ,メタルハライドランプ,キセノンランプといった白色高輝度ランプに比べて、3種の単色LEDの点灯による消費電力は小さく、発熱量も少ない。
【0032】
また、図3において、符号53は、各単色LED52R,52G,52Bの発光を平行光にしてクロスプリズム54にそれぞれ導くための一次光源レンズ、符号53’は、クロスプリズム54からの出射光を集光して一次絞り55に導くための一次光源レンズ、符号56a,56bは、色収差を補正するためのアクロマートレンズで構成されて、一次絞り55を透過した光を集光して二次絞り57に導く二次光源レンズ、符号58は、二次絞り57を透過した光を平行光にしてハーフミラー24に導くコリメータレンズで、これらの光学部材は、鏡筒21内のハーフミラー24とともに、落射照明光学系を構成している。符号L2は、落射照明光学系の光軸で、鏡筒21内において顕微鏡光学系の光軸L1に一致している。
【0033】
図3において、符号100は、各単色LED52R,52G,52Bに電流を供給するための電源、符号110は、各単色LED52R,52G,52Bに供給する電流を制御する電源制御ユニット、符号120は、電源制御ユニット110からの信号に基づいて各単色LED52R,52G,52Bの点消灯を切り替える切替スイッチである。即ち、電源制御ユニット110は、LED52R,52G,52Bを全て同時に点灯させたり、LED52R,52G,52Bのいずれか1個だけを点灯させたり、選択した2個を同時に点灯させたり、LED52R,52G,52Bを1個づつ順次点灯させる等、落射照明光の色を任意に調整できるようになっている。また、電源制御ユニット110において、LED52R,52G,52Bのどれを点灯させたか(照明光の色がどんな色であるか)という情報は、信号線112を介してコンピュータ40に出力される。
【0034】
なお、LED52R,52G,52Bの点消灯は、電源制御ユニット110によって制御できるが、切替スイッチ120を直接操作することによっても、単色LED52R,52G,52Bの点消灯を選択できる。例えば、照明光を白色にしたい場合は、赤,緑,青に対応するスイッチ全てをONにすれば、電源100から各単色LED52R,52G,52Bの全てに電流が供給されて、白色照明光が形成され、赤,緑,青に対応するスイッチのいずれかをONにすれば、そのスイッチに対応する単色LED、例えばLED52Gに電流が供給されて、LED52Gの点灯により緑色の落射照明光が形成される。特に、単色LED52R,52G,52Bの全てが同時点灯する場合は、電源制御ユニット120において、各単色LED52R,52G,52Bそれぞれへの供給電流が太陽光の白色に近い白色となる上で最適な大きさ(各単色LED52R,52G,52Bの光量バランス(輝度バランス)が太陽光の白色に近い白色となるに最適な電流量)に制御されて、所望の白色の落射照明光が形成される。
【0035】
また、電源制御ユニット120では、各単色LED52R,52G,52Bに供給する電流量を調整して、各単色LEDそれぞれの光量を調整することもできる。
【0036】
このように本実施例の二次元測定機では、被測定物Wを測定する際に、コントラストに優れる等の測定する上での最適な波長域(色)が予めわかっている場合は、給電(点灯)する単色LEDを選択することで、照明光を白,赤,青,緑、または赤,青,緑のうちのいずれか2色の混色の中から測定に最適な色の光にして、CCDカメラ30による撮像およびその所定色の画像データに基づいた画像処理を行うことで、高精度の測定が可能となる。
【0037】
一方、コントラストに優れる等の測定する上での最適な波長域(色)が不明な場合は、被測定物照明光を例えば赤色,青色,緑色に順次切り替え、CCDカメラが撮像した各単色光に対応する画像のうちの最も濃度差(コントラスト)が大きい画像を選択して被測定物のエッジを抽出する画像処理を行うことで、高精度の測定が可能となる。
【0038】
また、コリメータレンズ58,二次絞り57および二次光源レンズ56bは、鏡筒21のハーフミラー24収容位置に形成された円筒部21a内に配置されて、顕微鏡の鏡筒21側に一体化されているのに対し、単色LED52R,52G,52B,一次光源レンズ53,クロスプリズム54,一次光源レンズ53’,一次絞り55,二次光源レンズ56aは、クロスプリズム54を中心とする十字型に配置された外観十字形状の照明用光源ユニット50として一体化されて、落射照明光学系の光軸L2が顕微鏡の光軸L1に一致するように、鏡筒21の円筒部21aに取り外し可能に取着されている。
【0039】
即ち、図5に示すように、コリメータレンズ58,二次絞り57および二次光源レンズ56bを収容する鏡筒21側の段付き円筒部21aの開口部内周縁には、光源ユニット50側の円筒形状端部50aが係合できる段差部21bが周設されている。円筒形状端部50aの外周には、円筒部21aの開口部端面に当接するフランジ部50bが形成され、円筒部21aの開口部外周には雌ねじ21cが形成され、一方、照明用光源ユニット50の円筒形状部50aに配された円環状ナット部材51には、顕微鏡20側の雌ねじ21cに整合する雌ねじ51aが形成されている。そして、段付き円筒部21aの段差部21bに照明用光源ユニット50のフランジ部50b付き円筒形状端部50a1が係合するとともに、鏡筒21側の円筒部21aと光源ユニット50側のフランジ部50bとが円環状ナット部材51で締結されて、落射照明光学系の光軸(照明用光源ユニット50の光軸)L2と顕微鏡光学系の光軸L1が一致するように、顕微鏡21に落射照明用光源ユニット50が固定一体化されている。
【0040】
このため、顕微鏡光学系や落射照明光学系を調整したい場合には、必要に応じて円環状ナット部材51による顕微鏡21と照明用光源ユニット50間の連結を解除することで、照明用光源ユニット50を顕微鏡20(鏡筒21)から分離した上で、鏡筒21や光源ユニット50内の光学系を調整する等の作業を行うことができる。
【0041】
また、照明用光源ユニット50を搬送する際には、顕微鏡20から照明用光源ユニット50を分離した状態で搬送できるので、顕微鏡20や照明用光源ユニット50を搬送する際に便利である。
【0042】
図6は本発明の第2の実施例である二次元測定機の要部である被測定物照明手段の全体構成を示す図である。
【0043】
前記した第1の実施例では、照明用光源ユニット50が顕微鏡20(の鏡筒21)に取り外し可能に取着されていたが、この第2の実施例では、照明用光源ユニット50Aが測定機本体10の所定位置(顕微鏡一体型CCDカメラ30の移動の邪魔にならない所定位置)に支柱18により固定保持されるとともに、照明用光源ユニット50Aの円筒部50aから導出する可撓性に優れたフレキシブルライトガイド(光ファイバー)62が鏡筒21の円筒部21aに取り外し可能に接続されて、被測定物照明手段の光軸L2が顕微鏡20の光軸L1に一致するように構成されている。
【0044】
即ち、ライトガイド(光ファイバー)62の両端部には、フランジ状ガイド保持金具64がそれぞれ取着されており、鏡筒21の円筒部21a(照明用光源ユニット50の円筒形状部50a)の開口端側に配したガイド保持金具64を挟み込むように、円環状ナット部材51(図5参照)と同様の構造のナット部材64を円筒部21a(円筒形状部50a)外周にねじ締結することで、照明用光源ユニット50Aの光軸L2と顕微鏡光学系の光軸L1が一致するように構成されている。
【0045】
前記した第1の実施例では、顕微鏡20一体型CCDカメラ30に照明用光源ユニット50が一体化されているため、移動体としての顕微鏡20一体型CCDカメラ30の重量がかさみ、顕微鏡20一体型CCDカメラ30の移動速度が遅く、しかも移動させるための電力消費量も大きいのに対し、この第2の実施例では、照明用光源ユニット50Aが顕微鏡20一体型CCDカメラ30から分離して測定機本体10に固定されているので、移動体としての顕微鏡20一体型CCDカメラ30の重量が軽量となる分、顕微鏡20一体型CCDカメラ30の移動速度が早く、しかも移動させるための電力消費量も小さい。
【0046】
その他は、前記した第1の実施例と同様であるので、同一の符号を付すことでその重複した説明は省略する。
【0047】
図7は、本発明の第3の実施例である二次元測定機の要部である被測定物照明手段の全体構成を示す図である。
【0048】
前記した第1,第2の実施例では、照明用光源ユニット50,50Aがテーブル12の上方に配置されて、照明用光源ユニット50,50Aを含む被測定物照明手段として、上方から被測定物Wを照明する落射照明構造が採用されているが、この第3の実施例では、照明用光源ユニット50およびハーフミラー24が透明なテーブル12の下方に配置されて、照明用光源ユニット50を含む被測定物照明手段として、下方から被測定物Wを照明する透過照明構造が採用されている。
【0049】
即ち、この第3の実施例では、テーブル12下方の被測定物Wを挟んだ顕微鏡20の真下位置に、ハーフミラー24を収容したミラーハウジング70が配置されている。ミラーハウジング70は、図示しない公知の連係機構(例えば、前記した特許文献1の段落0014、図3参照)によって、被測定物表面撮像用の顕微鏡20一体型CCDカメラ30の移動に連係して移動し、常に顕微鏡20一体型CCDカメラ30の真下に位置するように構成されている。
【0050】
そして、このミラーハウジング70のハーフミラー24対応位置に照明用光源ユニット50が取り外し可能に取着されて、被測定物照明手段の光軸L2が顕微鏡20の光軸L1に一致するように構成されている。
【0051】
その他は、前記した第1の実施例と同様であるので、同一の符号を付すことでその重複した説明は省略する。
【0052】
図8は、本発明の第4の実施例である二次元測定機の要部である被測定物照明手段の全体構成を示す図である。
【0053】
この第4の実施例では、テーブル12の下方において、照明用光源ユニット50Aが支持部材(図示せず)により二次元測定機本体10に固定保持されるとともに、テーブル12下方の被測定物Wを挟んだ顕微鏡20の真下位置には、顕微鏡20一体型CCDカメラ30の移動に連係して移動する、ハーフミラー24を収容したミラーハウジング70が配置されている。
【0054】
照明用光源ユニット50Aから導出するフレキシブルライトガイド(光ファイバー)62は、ミラーハウジング70の円筒部21aに取り外し可能に接続されて、被測定物照明手段の光軸L2が顕微鏡20の光軸L1に一致するように構成されている。
【0055】
その他は、前記した第1,第3の実施例と同様であるので、同一の符号を付すことでその重複した説明は省略する。
【0056】
なお、前記した第1〜第4の実施例では、照明用光源ユニット50,50Aは、その十字型筒状部の一方(LED52R,クロスプリズム54,LED52Bを通る軸)が顕微鏡20の鏡筒21と平行(テーブル12と垂直)となるように配置されていたが、テーブル12と平行となるように照明用光源ユニット50,50Aを配置してもよい。
【0057】
特に、下方から被測定物Wを照明する透過照明構造である第3、第4の実施例では、照明用光源ユニット50,50Aをテーブル12と平行となるように配置することで、照明用光源ユニット50,50Aとテーブル12が干渉しにくいし、透過照明光が出射するミラーハウジング70をテーブル12(上の被測定物W)に接近させて配置できる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
水平なテーブル上に載置された被測定物を顕微鏡に搭載したCCDカメラで上方から撮像し、その画像をモニターテレビに映し出すとともに、その画像を画像処理することで被測定物の測定を行う二次元測定機で、CCDカメラに一体化した顕微鏡部に、またはテーブル下方の顕微鏡と正対する位置に、赤,緑,青の3種の単色LEDの発光をクロスプリズムで合成し白色光にして被測定物を照明する被測定物照明手段が設けられて、該顕微鏡光学系の光軸と同軸の光軸をもつ照明光がCCDカメラの撮像領域を照明する、落射照明または透過照明機能付き二次元測定機に利用できる。
【符号の説明】
【0059】
10 二次元測定機
12 テーブル
W 略平板状の被測定物
20 顕微鏡
21 顕微鏡の鏡筒
24 ハーフミラー
30 CCDカメラ
40 コンピュータ
42 画像処理装置
46 モニター
50,50A 照明用光源ユニット
52R,52G,52B 単色LED
54 クロスプリズム
62 フレキシブルライトガイド(光ファイバー)
70 ミラーハウジング
100 LED点灯用の電源
110 電源制御ユニット
120 照明光切替スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブル上に載置された略平板状の被測定物に対して垂直に保持されたまま被測定物に対して相対的にX−Y方向に自在に移動する、被測定物表面撮像用の顕微鏡一体型CCDカメラと、前記顕微鏡の光学系と同軸状に設けられた被測定物照明手段と、を備えた二次元測定機において、
前記照明手段は、前記顕微鏡の鏡筒内に配置されたハーフミラーと、前記ハーフミラーの側方延長位置に配置されたクロスプリズムと、前記クロスプリズムを取囲んで配置された赤,青,緑に発光する3種の光源である単色LEDとを備え、前記各単色LEDの発光が前記クロスプリズムによって合成されて前記ハーフミラーに導かれ、該ハーフミラーでの反射光が前記被測定物を上方から照明することを特徴とする二次元測定機。
【請求項2】
前記照明手段を構成する前記クロスプリズム,前記3種の単色LEDおよび前記クロスプリズムから出射した光を前記ハーフミラーに導く光学系は、前記クロスプリズムを中心とする十字型に配置された照明用光源ユニットとして一体化されて、前記照明手段の光軸が前記顕微鏡の光軸に一致するように、前記鏡筒に取り外し可能に取着されたことを特徴とする請求項1に記載の二次元測定機。
【請求項3】
前記照明手段を構成する前記クロスプリズム,前記3種の単色LEDおよび前記クロスプリズムから出射した光を前記ハーフミラーに導く光学系は、前記クロスプリズムを中心とする十字型に配置された照明用光源ユニットとして一体化されて、前記装置本体に取り外し可能に固定保持されるとともに、前記照明手段の光軸が前記顕微鏡の光軸に一致するように、該照明用光源ユニットから導出するフレキシブルライトガイドが前記鏡筒に取り外し可能に接続されたことを特徴とする請求項1に記載の二次元測定機。
【請求項4】
テーブル上に載置された略平板状の被測定物に対して垂直に保持されたまま被測定物に対して相対的にX−Y方向に自在に移動する、被測定物表面撮像用の顕微鏡一体型CCDカメラと、前記顕微鏡の光学系と同軸状に設けられた被測定物照明手段と、を備えた二次元測定機において、
前記照明手段は、前記被測定物より下方で前記顕微鏡の真下に配置されたハーフミラーと、前記ハーフミラーの側方延長位置に配置されたクロスプリズムと、前記クロスプリズムを取囲んで配置された赤,青,緑に発光する3種の光源である単色LEDとを備え、
前記各単色LEDの発光が前記クロスプリズムによって合成されて前記ハーフミラーに導かれ、該ハーフミラーでの反射光が前記被測定物を下方から照明することを特徴とする二次元測定機。
【請求項5】
前記照明手段を構成する前記クロスプリズム,前記3種の単色LEDおよび前記クロスプリズムから出射した光を前記ハーフミラーに導く光学系は、前記クロスプリズムを中心とする十字型に配置された照明用光源ユニットとして一体化されて、前記照明手段の光軸が前記顕微鏡の光軸に一致するように、前記ハーフミラーを収容するミラーハウジングに取り外し可能に取着されたことを特徴とする請求項4に記載の二次元測定機。
【請求項6】
前記照明手段を構成する前記クロスプリズム,前記3種の単色LEDおよび前記クロスプリズムから出射した光を前記ハーフミラーに導く光学系は、前記クロスプリズムを中心とする十字型に配置された照明用光源ユニットとして一体化されて、前記装置本体に取り外し可能に固定保持されるとともに、前記照明手段の光軸が前記顕微鏡の光軸に一致するように、該照明用光源ユニットから導出するフレキシブルライトガイドが前記ハーフミラーを収容するミラーハウジングに取り外し可能に接続されたことを特徴とする請求項4に記載の二次元測定機。
【請求項7】
前記3種の単色LEDの任意のLEDを点灯できるように構成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の二次元測定機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−18313(P2012−18313A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155878(P2010−155878)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000148623)株式会社 ソキア・トプコン (114)
【Fターム(参考)】