説明

位置計測装置及び方法並びに露光装置及び方法

【課題】 ウエハ上のマークの位置を高精度計測する。
【解決手段】 露光装置1は、ウエハホルダ15上に保持されたウエハWの表面状態を検査するための撮像装置22cを有する表面状態検査装置30を備えている。この撮像装置22cで撮像された撮像データD2は主制御系20に供給されてウエハW上の欠陥分布が算出される。この欠陥分布に基づいて主制御系20はウエハWに形成されたマークから計測対象マークを選択し、選択した計測対象マークの位置情報をアライメント検出系ASを用いて計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ等の基板又は物体に形成された位置計測用パターンの位置情報を計測する位置計測装置及び位置計測方法、当該位置計測装置又は位置計測方法を用いて得られた位置情報を用いてウエハの位置合わせ(アライメント)を行い、マスクに形成されたパターンをウエハ上に露光転写する露光装置及び露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子、液晶表示素子、その他のデバイスは、一般的にフォトリソグラフィ技術を用いて製造される。フォトリソグラフィ技術は、微細なパターンが形成されたマスク又はレチクル(以下、これらを総称するときにはマスクという)に照明光を照射してマスクのパターンをフォトレジスト等の感光剤が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板上に転写し、感光剤を現像して基板上にレジストパターンを形成し、そのレジストパターンを用いて基板に対してエッチング等の各種処理を施す技術である。一般的に、上記の一連の処理を複数回に亘って繰り返し、基板上に複数の異なるパターンを重ねて形成することによりデバイスが製造される。
【0003】
デバイスを製造する際には、既に基板上に形成されたパターンと次に形成すべきパターンとの位置合わせを正確に行う必要がある。このため、基板上にパターンを形成する際に、パターンが形成される領域(ショット領域)に付随してアライメントマーク(位置計測用パターン)を形成しておき、次のパターンを形成する際に基板上に形成されているマークの位置情報を計測して各ショット領域の配列座標を求め、この位置情報を元に次に転写すべきパターンが形成されたマスクと各ショット領域との位置合わせを行った上でパターンの転写が行われる。
【0004】
基板上における各ショット領域の配列座標はEGA(エンハンスド・グローバル・アライメント)演算により求められる。このEGA演算は、基板上に設定されたショット領域のうちの予め選択された所定数(数個〜数十個)のサンプルショット(計測対象ショット)に付随したマークの位置情報を計測し、この計測結果を用いて統計処理を行って基板上の全てのショット領域の配列座標を求めるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、デバイスの製造工程の一つとして、基板に対してCMP(化学機械研磨:Chemical Mechanical Polishing)処理が行われることが多くなっている。このCMP処理は、スラリー(化学研磨剤)、研磨パッドなどを用い、デバイスの多層構造化に伴う表面(パターンが形成された面)の凹凸を機械的に削って平坦化したり、膜厚を薄くする処理である。
【0006】
このCMP処理においては、基板表面を機械的に研磨するため、スラリーによる引っ掻き傷(スクラッチ)が生じたり、又はスラリーに含まれる粒子が基板表面に埋め込まれる等の欠陥が生ずることがある。また、CMP処理を終えた基板表面は洗浄処理が施されて基板表面に付着しているスラリーが洗い流されるのであるが、一部が洗い流されずに残渣となることがある。これらの欠陥がマーク上に形成されると(残留していると)、そのマークの位置情報が誤計測されてしまうことがあるという問題があった。サンプルショットに付随したマーク上に欠陥が形成されていると、そのマークの計測結果を用いたEGA演算により求められるショット領域の配列座標も誤ったものになるという問題があった。
【0007】
また、近年の半導体素子は、発熱を抑えるために電気抵抗が低いCu(銅)を用いて配線が形成されることが多く、基板上に形成された配線の余分な部分を取り除くためにCu−CMP処理が行われる。このCu−CMP処理では、研磨が不十分な部分が基板上の特定の部位、例えばスクライブライン(ストリートライン)上に分布しやすい傾向がある。ショット領域に付随するマークはスクライブライン上に形成されることが多いため、研磨が不十分な箇所に形成されているマークの位置情報を正確に計測することができないことが往々にして起こり得るという問題があった。つまり、研磨が不十分な部位にマークが位置している場合には、そのマークの計測結果を用いたEGA演算を行ってもショット領域の配列座標を正確に求められないという問題があった。
【0008】
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、基板上に形成された位置検出用パターンの位置情報を高い精度で計測することができる位置計測装置及び方法、並びに当該装置又は方法を用いて計測された位置情報に基づきマスクと基板とが高い精度で位置合わせされた状態でマスクのパターンを基板上の各ショット領域に露光転写することができる露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、この項に示す説明では、本発明を、実施形態を表す図面に示す部材符号に対応付けて説明するが、本発明の各構成要件は、これら部材符号を付した図面に示す部材に限定されるものではない。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によると、回路パターンが形成されるべき基板(W)上に形成されている複数の位置計測用パターン(Mx、My)の位置情報を計測する位置計測装置であって、前記基板上の、前記位置計測用パターンが形成されている側のほぼ全面に亘る表面状態を検査する検査手段(30)と、前記検査手段の検査結果に基づいて、前記基板上に形成された前記複数の位置計測用パターンの中から所定数の位置計測用パターンを計測対象パターンとして選択する選択手段(45)と、前記選択手段で選択された前記計測対象パターンの位置情報を計測する計測手段(AS)と、を備える位置計測装置が提供される。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点によると、回路パターンが形成されるべき基板(W)上に形成されている複数の位置計測用パターン(Mx、My)の位置情報を計測する位置計測方法であって、前記基板上の、前記位置計測用パターンが形成されている側のほぼ全面に亘る表面状態を検査する検査ステップ(S3)と、前記検査ステップの検査結果に基づいて、前記基板上に形成された前記複数の位置計測用パターンの中から所定数の位置計測用パターンを計測対象パターンとして選択する選択ステップ(S4)と、前記選択ステップで選択された前記計測対象パターンの位置情報を計測する計測ステップ(S5)と、を備える位置計測方法が提供される。
【0012】
これらの発明では、基板の表面状態の検査結果に基づいて位置計測用パターンを選択するようにしたので、面状態が良好でない部位に存在する位置計測用パターンを計測対象パターンから省き、面状態が良好な部位に存在する位置計測用パターンを計測対象パターンとして位置情報を計測することにより、位置計測用パターンの位置情報を高い精度で計測することができるようになる。
【0013】
本発明の第3の観点によると、基板(W)を保持した状態で移動可能に構成された基板ステージ(WST)を備え、マスク(R)のパターンを前記基板上に形成されたショット領域(ES)の各々に露光転写する露光装置(1)において、前記本発明の第1の観点に係る位置計測装置によって計測された前記計測対象パターンの位置情報を用いて統計演算を行い、前記複数のショット領域の位置情報を求める演算手段(47)と、前記演算手段により求められた前記位置情報に基づいて前記基板ステージを移動制御して、前記マスクと前記基板上のショット領域との位置合わせを行う位置合わせ装置(20)とを有する露光装置が提供される。
【0014】
本発明の第4の観点によると、マスク(R)のパターンを基板(W)上に形成されたショット領域(ES)の各々に露光転写する露光方法において、前記本発明の第2の観点に係る位置計測方法によって計測された前記計測対象パターンの位置情報に基づいて、前記基板とマスクとの位置合わせを行う位置合わせステップ(S6,S7)を含む露光方法が提供される。
【0015】
これらの発明では、位置計測用パターンの位置情報を高い精度で計測することができる前記第1の観点に係る位置計測装置又は第2の観点に係る位置計測方法により計測された位置情報に基づいて、マスクと基板上のショット領域とが位置合わせされるため、基板上に既に形成されたパターンとマスクのパターンとを高い精度で重ね合わせることができるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、位置計測用パターンの位置情報を高い精度で計測することができるようになるという効果がある。
【0017】
また、基板上に既に形成されたパターンとマスクのパターンとを高い精度で重ね合わせることができるので、高品質、高性能なデバイス等を、高い歩留まりで高効率的に製造することができるようになるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る露光装置の全体構成の概略を示す図である。この露光装置1は、投影光学系PLに対してマスクとしてのレチクルRと基板としてのウエハWとを相対的に移動させつつ、レチクルRに形成されたパターンをウエハWに逐次転写して半導体素子を製造するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置である。
【0019】
なお、以下の説明においては、図中にXYZ直交座標系を設定し、必要に応じてこのXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。図1中のXYZ直交座標系は、X軸及びY軸がウエハWに対して平行となるよう設定され、Z軸がウエハWに対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ直交座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、本実施形態ではレチクルR及びウエハWを同期移動させる方向(以下、走査方向という)をY方向に設定している。なお、以下この座標系を静止座標系ということがある。
【0020】
露光装置1は、露光用照明光を射出する照明系10、マスクとしてのレチクルRを保持するマスクステージとしてのレチクルステージRST、投影光学系PL、基板としてのウエハWを保持してXY平面内をXY2次元方向に移動する基板ステージとしての基板テーブル14を搭載するウエハステージ装置16、ウエハWの外縁形状を撮像するとともに、ウエハWの表面状態を検出する表面状態検査装置(検査手段)の一部を兼ねるプリアライメント検出系RAS、ウエハW上に形成されたアライメントマーク(位置計測用パターン)を検出するアライメント検出系AS、及びこれらの制御系等を含んで構成される。なお、ウエハWの直径は、ここでは、300mm程度である。
【0021】
照明系10は、光源ユニット、シャッタ、オプティカルインテグレータ、ビームスプリッタ、集光レンズ系、レチクルブラインド、及び結像レンズ系等(いずれも不図示)を備えて構成されている。光源ユニットとしては、KrFエキシマレーザ光源(発振波長248nm)若しくはArFエキシマレーザ光源(発振波長193nm)等のエキシマレーザ光源、Fレーザ光源(発振波長157nm)、銅蒸気レーザ光源やYAGレーザの高調波発生装置、又は超高圧水銀ランプ(g線、i線等)等を用いることができる。
【0022】
光源ユニットで発光された照明光は、シャッタが開いているとオプティカルインテグレータ(ここでは、フライアイレンズ)に入射し、オプティカルインテグレータに照明光が入射すると、その射出側焦点面に多数の光源像からなる面光源、即ち2次光源が形成される。オプティカルインテグレータから射出された照明光は、ビームスプリッタ及び集光レンズ系を介してレチクルブラインドに至る。レチクルブラインドを通過した照明光は、結像レンズ系を介して照明光ILとしてミラー11へ向けて射出され、ミラー11によって光路が鉛直下方(−Z方向)に折り曲げられ、レチクルステージRST上に保持されたレチクルR上の矩形の照明領域IARを照明する。
【0023】
レチクルステージRST上には、レチクルRが真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、レチクルRの位置決めのため、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内で2次元的に(X方向及びこれに直交するY方向及びXY平面に直交するZ軸回りの回転方向に)移動可能に構成されている。また、このレチクルステージRSTは、不図示のレチクルベース上をリニアモータ等で構成されたレチクル駆動部(図示省略)により、走査方向(Y方向)に指定された走査速度で移動可能となっている。
【0024】
レチクルステージRST上にはレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)13からのレーザビームを反射する移動鏡12が固定されており、レチクルステージRSTのステージ移動面内の位置はレチクル干渉計13によって、所定の分解能で常時検出される。ここで、実際には、レチクルステージRST上には走査方向(Y方向)に直交する反射面を有する移動鏡(又は、少なくとも1つのコーナーキューブ型ミラー)と非走査方向(X方向)に直交する反射面を有する移動鏡とが設けられ、レチクル干渉計13も各移動鏡ごとに1軸分又は複数軸分設けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡12、レチクル干渉計13としてそれぞれ示している。
【0025】
レチクル干渉計13からのレチクルステージRSTの位置情報(又は速度情報)RPVはステージ制御系21及びこれを介して主制御系20に送られ、ステージ制御系21では主制御系20からの指示に応じてレチクルステージRSTの位置情報に基づいてレチクル駆動部(図示省略)を介してレチクルステージRSTを駆動する。
【0026】
投影光学系PLは、その光軸AXの方向がZ方向とされ、ここでは、両側テレセントリックで所定の縮小倍率(例えば1/5、1/4、又は1/6)を有する屈折光学系(但し、反射屈折光学系、反射光学系でも良い)が使用されている。照明系10からの照明光ILによってレチクルRの照明領域IARが照明されると、このレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(部分倒立像)が表面にフォトレジストが塗布されたウエハW上の露光領域IAに投影される。
【0027】
ウエハステージWSTは、例えば2次元リニアアクチュエータにより、ベースBS上を走査方向であるY方向(図1における左右方向)及びY方向と直交するX方向(図1における紙面直交方向)に駆動されるようになっている。このウエハステージWST上には基板テーブル14が設けられている。また、基板テーブル14上にはウエハホルダ15が載置され、このウエハホルダ15によってウエハWが真空吸着により保持される。なお、ウエハステージWST、基板テーブル14、及びウエハホルダ15でウエハステージ装置16が構成されている。
【0028】
基板テーブル14は、ウエハステージWST上に、3個のアクチュエータを介して3点支持されており、これらが独立してZ方向に駆動されることにより、基板テーブル14上に保持されたウエハWの面位置(Z方向位置及びXY平面に対する傾斜)が所望の状態に設定されるようになっている。
【0029】
基板テーブル14上にはレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)19からのレーザビームを反射する移動鏡18が固定され、ウエハ干渉計19により、基板テーブル14のXY面内での位置が所定の分解能で常時検出されている。ここで、実際には、基板テーブル14上には走査方向であるY方向に直交する反射面を有する移動鏡18Yと非走査方向であるX方向に直交する反射面を有する移動鏡18Xとが設けられ、ウエハ干渉計19X,19Yは移動鏡ごとに1軸分あるいは複数軸分設けられている(図2参照)。但し、図1ではこれらが代表的に移動鏡18、ウエハ干渉計19としてそれぞれ示している。
【0030】
基板テーブル14の位置情報(又は速度情報)WPVはステージ制御系21及びこれを介して主制御系20に送られ、ステージ制御系21は主制御系20からの指示に応じて位置情報(又は速度情報)WPVに基づいて、ウエハ駆動装置17を介してウエハステージWSTを制御する。また、基板テーブル14上には、後述するオフアクシス方式のアライメント検出系ASの検出中心から投影光学系PLの光軸AXまでの距離を計測するベースライン計測等のための各種基準マークが形成された不図示の基準部材が固定されている。
【0031】
プリアライメント検出系RASは、投影光学系PLと離間した位置に、不図示の保持部材によって保持されている。このプリアライメント検出系RASは、不図示のウエハローダによって搬送され、ウエハホルダ15に保持されたウエハWの外緑部3箇所の位置を検出する3つのプリアライメントセンサ22a,22b,22cを備えている。ここで、プリアライメント検出系RASの構成について、図2を参照して説明する。
【0032】
図2に示す通り、ウエハWの外周部は円形形状であり、その一部に直線状の切り欠きであるオリエンテーションフラットOFが形成されている。プリアライメントセンサ22a,22bは、オリエンテーションフラットOFの両端付近を撮像する位置にそれぞれ配置されている。また、プリアライメントセンサ22cは、オリエンテーションフラットOFの形成部以外のウエハWの外縁位置の一部を撮像する位置に配置されている。図2に示す例では、ウエハWのオリエンテーションフラットOFがX軸に平行に且つプリアライメントセンサ22a,22bの下方(−Z方向)に配置されているときに、ウエハWの中心から−X方向に位置するウエハWの外周部を撮影可能な位置にプリアライメントセンサ22cが配置されている。なお、プリアライメントセンサ22a,22b,22cの相対的な位置関係は、予め定められている。
【0033】
これらのプリアライメントセンサ22a,22b,22cは、CCD等の撮像素子と、下方(−Z方向)から入射する光学像を撮像素子の撮像面に結像させる光学系と、撮像素子から出力される画像信号の画像処理を行う画像処理回路とを含んで構成されている。また、プリアライメント系RASに設けられるプリアライメントセンサ22a,22b,22cの何れか1つあるいは複数が、ウエハWの表面状態を検査するための表面状態検査装置の一部として用いられる。なお、本実施形態ではプリアライメントセンサ22cが表面状態検査装置の一部として用いられるものとする。
【0034】
表面状態検査装置は、CMP処理が施されたウエハW上に形成されたスクラッチ、CMP処理において用いられるスラリーに含まれる粒子のウエハW上への埋め込み、及びウエハW上のスラリー残渣、並びにウエハW上に塗布されたレジストの塗布むらをウエハWの表面状態として検査する装置である。表面状態検査装置において、プリアライメントセンサ22cは、ウエハW表面からの反射光、回折光等を受光する受光装置として用いられる。
【0035】
図3は、本実施形態の露光装置1に設けられる表面状態検査装置の構成を示す図である。この表面状態検査装置30は、ウエハホルダ15上に保持されたウエハWの表面に検出用照明光を照射する検出用照明系30a、検出用照明光の照射によりウエハWからの反射光、回折光等を集光する結像光学系30b、及びプリアライメントセンサ22cとを含んで構成される。
【0036】
検出用照明系30aは、メタルハライドランプ等の放電光源31と、放電光源31からの照明光束を集光するコレクタレンズ32と、コレクタレンズ32により集光された照明光束を透過させて波長選択を行う波長選択フィルタ33と、調光を行うニュートラルデンシティフィルタ34と、波長選択フィルタ33及びニュートラルデンシティフィルタ34を透過した照明光束を集光するインプットレンズ35とを含んで構成される。インプットレンズ35により集束された照明光はファイバ36の一端36aに導入される。
【0037】
ここで、波長選択フィルタ33は、切替駆動機構33aを有した円盤(ターレット)33b内に設けられており、いくつかの種類のフィルタを切換えて使用することが可能となっている。例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)等の特定の波長の光だけを透過させる干渉フィルタ、特定の波長帯域の光を透過させるバンドパスフィルタ、又は所定の波長より長い波長の光だけを透過させるシャープカットフィルタ等を必要に応じて選択して用いることができる。ニュートラルデンシティフィルタ34は、回転角に応じて透過光量が順次変化する円盤状のフィルタからなり、回転駆動機構34aにより回転制御されて透過光量を制御できるように構成されている。
【0038】
検出用照明系30aは、さらにファイバ36の他端36bから射出される発散光束を受ける照明系凹面鏡37を有しており、この照明系凹面鏡37からほぼその焦点距離だけ離れた位置にファイバ36の他端36bが配設されている。このため、ファイバ36の一端36aに導入されてファイバ36の他端36bから照明系凹面鏡37に向けて射出された照明光は、照明系凹面鏡37によって平行光束となってウエハホルダ15に保持されたウエハWの表面に照射される。
【0039】
このとき、ウエハWの表面に照射される照明光束は、ウエハWの表面と垂直な軸AX1(鉛直軸)に対して角度θをもって入射し、角度θをもって射出される。これら入射角θと射出角θとの関係は、ウエハWの表面に平行な軸AX2(例えば、X軸に平行な軸)を中心としてウエハホルダ15をチルト(傾動)させることにより調整可能である。即ち、ウエハホルダ15のチルトによりウエハWの載置角度を変化させて、入射角θと射出角θとの関係を調整可能である。
【0040】
ウエハWの表面からの射出光(ここでは回折光を用いる)は結像光学系22cにより集光される。プリアライメントセンサ22cは、ウエハからの反射光を撮像素子で撮像する。ここで、プリアライメントセンサ22cの計測視野MVの大きさは、ウエハWの一部を撮影する程度の大きさに設定される。
【0041】
表面状態検査装置30はウエハWの面状態を、その一部について詳細に検査するものではなく、ウエハWの表面全体に亘る状態の検査を行う、所謂マクロ検査を行うものである。このため、本来的には計測視野MVの大きさはウエハWの全体を一度に撮影することができる程度の大きさに設定されることが望ましい。しかしながら、本実施形態ではプリアライメント時に用いられるプリアライメントセンサ22cを表面状態検査装置30で兼用しているため、計測視野MVの大きさはウエハWの大きさよりも小さく設定されている。本実施形態の表面状態検査装置30は、ウエハステージWSTを移動させつつウエハWの各部からの光を取り込むことによりウエハW全体についてのマクロ検査を行う。
【0042】
なお、表面状態検査装置30の詳細な構成は、特開2002−162368号公報に開示されている。又はより広範囲を一度に検査できるようプリアライメント系22cの中に倍率切り換え機構を配してもよい。その例として、倍率切り換え機構30bがプリアライメント時にはプリアライメントセンサ22cの計測視野外に退避され、ウエハWの面状態検査時にプリアライメントセンサ22cの計測視野内に配置される構成としてもよい。また、22a,22bにも22cと同様の機能をもたせ同時に計測することで、計測時間を短縮することもできる。
【0043】
図1に戻り、プリアライメント検出系RASを用いたプリアライメント時のウエハWの外縁の撮像データD1は、主制御系20に供給される。なお、撮像データD1は、プリアライメントセンサ22aによる撮像結果データDAと、プリアライメントセンサ22bによる撮像結果データDBと、プリアライメントセンサ22cによる撮像結果データDCとから構成されている。また、ウエハWの表面状態を検査する時にプリアライメントセンサ22cにより撮像された撮像データD2も主制御系20に出力される。D1で求めたウエハの方向情報にもとづいてウエハを回転、所定の向きにした後、ウエハホルダーにおかれ、アライメント検出系ASの下に移動する。
【0044】
アライメント検出系ASは、投影光学系PLの側面に配置されており、本実施形態ではウエハW上に形成されたスクライブライン(ストリートライン)や位置検出用マーク(ファインアライメントマーク)を計測する結像アライメントセンサからなるオフアクシス方式のアラインメント顕微鏡が用いられている。このアライメント検出系ASの詳細な構成は、例えば特開平9−219354号公報及び米国特許5,859,707号等に開示されている。アライメント検出系ASで観測されたウエハWの像データD3は主制御系20に供給される。
【0045】
さらに、この露光装置には、露光領域IA(前述した照明領域IARと光学的に共役なウエハW上の領域)内部分及びその近傍領域にそれぞれ設定される計測点でウエハW表面のZ方向(光軸AX方向)の位置を検出するための斜入射方式のフォーカス検出系(焦点検出系)の一つである、多点フォーカス位置検出系(不図示)が設けられている。この多点フォーカス位置検出系は、光ファイバ束、集光レンズ、パターン形成板、レンズ、ミラー、及び照射対物レンズからなる照射光学系と、集光対物レンズ、回転方向振動板、結像レンズ、受光用スリット板、及び多数のフォトセンサを有する受光器からなる受光光学系と(いずれも不図示)から構成されている。この多点フォーカス位置検出系の詳細な構成等については、例えば特開平6−283403号公報及びこれに対応する米国特許第5,448,332号等に開示されている。
【0046】
次に、主制御系20について説明する。図4は、この露光装置が備える主制御系20の主要部の構成を示すブロック図である。主制御系20は、画像データ記憶部41、ウエハ設計データ記憶部42、ウエハ位置誤差算出部43、欠陥分布算出部44、マーク選択部45、マーク位置情報算出部46、ショット配列算出部47、及び制御部48を含んで構成される。
【0047】
画像データ記憶部41は、プリアライメント検出系RAS(プリアライメントセンサ22a〜22c)から出力される撮像データD1、ウエハWの表面状態を検査する時にプリアライメントセンサ22cから出力される撮像データD2、及びアライメント検出系ASから出力される像データD3のそれぞれを一時的に記憶する。ウエハ設計データ記憶部42は、ウエハW上おけるショット領域の設計上の配列座標(ショットマップデータ)及び各ショット領域に付随するマーク(ファインアライメントマーク)の設計上の座標値を記憶している。
【0048】
ここで、ウエハW上に設定されるショット領域について簡単に説明する。図5は、ウエハW上に設定されるショット領域の配列の一例を示す図である。なお、この図5のウエハ上には、ショットES(サンプルショットSA)の周りにスクラッチが多く発生している例をイメージ的に分かりやすいように示している。図5に示す通り、ウエハW上には図1に示す静止座標系(X,Y)とは異なる座標系(x,y)が設定されており、この座標系(x,y)に沿って規則的にショット領域ES,ES,…,ES(Mは3以上の整数)が形成されている。各ショット領域ES(i=1〜M)にはそれまでの工程によりそれぞれチップパターンが形成されている。また、各ショット領域ESはx方向及びy方向に伸びる所定幅のスクライブラインで区切られており、各ショット領域ESに接するx方向に伸びたスクライブラインの中央部にX軸用のマークMxが形成され、各ショット領域ESに接するy方向に伸びたスクライブラインの中央部にY軸用のマークMyが形成されている。なお、一例として、ショット領域ESの大きさは、30mm角程度であり、スクライブラインの幅は50〜80μm程度である。
【0049】
X軸用のマークMx及びY軸用のマークMyはそれぞれx方向及びy方向に所定ピッチで3本の直線パターンを並べたものであり、これらのパターンはウエハWの下地に凹部、凸部、又はうめ込みのパターンとして形成されている。ウエハW上の座標系(x,y)でのマークMxのx座標(設計上の座標値)x、及びマークMyのy座標(設計上の座標値)yは既知であり、上記のウエハ設計データ記憶部42に記憶されている。この場合、マークMxのx座標、及びマークMyのy座標を、それぞれショット領域ESのx座標及びy座標とみなす。
【0050】
また、ウエハW上に設定された複数のショット領域ES〜ESの内、予め所定数のショット領域がサンプルショット(サンプル領域)として選択されている。図5に示す例では、斜線を付した9個のショット領域がサンプルショットSA〜SAとして選択されている。サンプルショットSA〜SAの各々にはマークMx,Myがそれぞれ設けられている。例えば、サンプルショットSAには、マークMx,Myがそれぞれ設けられている。なお、サンプルショットSA(ショットES)に付随して設けられているマーク上には、他のマークに比して多くのスクラッチが生じているものとする。
【0051】
図4に戻り、ウエハ位置誤差算出部43は、画像データ記憶部41に記憶された撮像データD1に対して画像処理を行ってウエハWに形成されたオリエンテーションフラットOFの位置を求め、基板テーブル14上に予め設定された基準位置からのウエハWの位置誤差と回転量とを算出する。ウエハ位置誤差算出部43が算出した位置誤差及び回転量は、制御部48に出力される。
【0052】
欠陥分布算出部44は、画像データ記憶部41に記憶された撮像データD2と予め記憶されている良品ウエハの表面の画像(検査基準画像)との比較処理を行ったり、予め学習させておいた検査基準画像の特徴との相違点の有無検査を行い、ウエハW上における欠陥分布を算出する。ここで、欠陥分布算出部44により算出される分布は、CMP処理を行ってウエハW上に形成されたスクラッチの分布、スラリー残渣の分布、レジストの塗布むら分布、ウエハW表面に対して行われるエッチング等の各種処理のばらつきによる反射率又は分光特性の分布、洗浄工程後の残り物質の分布等である。これらは、ウエハW表面の形状(凹凸)の不均一性、反射率の不均一性、分光特性の不均一性として現れる。
【0053】
欠陥分布算出部44は、例えばスクラッチの分布を求める際には、上記の相違点の有無検査を行った撮像データD2に対して図6に示す閾値THを設定し、この閾値THを超えた信号が得られる画素をウエハWに形成されたスクラッチを撮像した画素、即ち欠陥部位を撮像した画素であると判断する。図6は、欠陥分布算出部44で行われる処理の一例を説明するための図である。欠陥分布算出部44は、撮像データD2の全体に亘って以上の処理を行ってウエハW上における分布を求める。欠陥の分布は、例えば各ショット領域ESに毎にこれらに含まれる欠陥数(欠陥画素数)で表現し、あるいはウエハW上を所定の複数の領域に分割して、これらの分割領域毎にこれらに含まれる欠陥数で表現することができる。また、レジストの塗りむらの分布を算出する場合には、欠陥分布算出部44はアライメントセンサ22cで撮像される色むら又は明暗縞等から算出する。なお、スクラッチの幅の一例は100μm程度である。
【0054】
マーク選択部45は、欠陥分布算出部44で求められた欠陥分布に基づいて、EGA演算によりウエハW上のショット領域ESの配列を求める際のEGA演算に用いる計測対象マーク(計測対象パターン)の選択を行う。マーク選択部45は、抽象的には、欠陥の無い若しくは少ないショット領域又は分割領域に含まれるマークMx,Myを選択して計測対象マークとする。より具体的には、マーク選択部45は、各ショット領域毎に均一性(欠陥数の少なさの程度)を求め、該均一性が所定の閾値(第2レベル)以上となるショット領域に付随するマークMx,Myの中から計測対象マークを選択し、あるいは各分割領域毎に均一性を求め、該均一性が予め決められた所定の閾値(第1レベル)以上となる分割領域に含まれる各ショット領域に付随するマークMx,Myの中から計測対象マークを選択する。
【0055】
なお、このような処理により、マークMx,Myを任意に選択すると、例えば、ウエハWの中央部分に形成されたマークのみを選択したとすると、EGA演算で用いられるパラメータであるウエハWの線形伸縮(スケーリング)又はオフセット(ウエハWの平行移動)等の精度が悪化し、却って誤差が大きくなる場合があり得る。そこで、マーク選択部45は、予め分散的に設定されたサンプルショットSA〜SA毎に均一性(欠陥数の少なさの程度)を求め、該均一性が所定の閾値(第2レベル)以上となるサンプルショットSA〜SAに付随するマークMx,Myの中から計測対象マークを選択し、あるいは各分割領域毎に均一性を求め、該均一性が予め決められた所定の閾値(第1レベル)以上となる分割領域に含まれるサンプルショットSA〜SAに付随するマークMx,Myの中から計測対象マークを選択するようにすると良い。このとき、アライメント検出系ASの視野内に配置するのに長時間を要しない位置に形成されたマークを優先的に選択する、あるいは均一性がなるべく同程度となるように選択する等、他の要素も考慮して選択するようにするとさらに良い。なお、上記説明では、サンプルショットの数を9個としたが、これらを考慮すると16個又は32個程度のサンプルショットを設定しておくことが望ましい。
【0056】
また、上記説明では、予め設定された所定の閾値との比較により選択を行うようにしているが、このような閾値を設定せずに、各ショット領域毎又は各分割領域毎の均一性を相対評価することにより選択するようにしても良い。例えば、各ショット領域又は各分割領域の均一性について標準偏差を算出して、該標準偏差を閾値として用いても良い。
【0057】
マーク位置情報算出部46は、画像データ記憶部41に記憶された像データD3、即ちアライメント検出系ASで撮像された像データD3に対して画像処理を施し、ウエハW上に形成されたマークMx,Myの位置情報(サンプルショットの位置情報)を算出する。具体的には、例えば折り返し自己相関処理や、所定のテンプレートを用いたテンプレートマッチング処理や、あるいはエッジ位置計測処理(マークの輪郭を求める処理、得られた輪郭からマークをなすマーク要素各々のエッジ位置を検出する処理、検出したエッジ位置からマーク中心を求める処理)等の処理を行ってサンプルショットの位置情報を算出する。なお、ここで算出される位置情報は、ウエハW上に設定された(x,y)座標系上での位置情報である。ここで、アライメント検出系ASで撮像されるマークは上記のマーク選択部45で選択されたマークである。あるいはASでサンプルショットの像データD3は全て採取し、データD2で選択したマークのみに対して位置情報の算出を行ってもよい。
【0058】
ショット配列算出部47は、マーク位置情報算出部46で算出された位置情報とウエハ設計データ記憶部42に記憶されたショットマップデータとを用いてEGA演算を行い、各ショット領域ESの配列座標を算出する。具体的には、まずマーク位置情報算出部46で算出されたサンプルショットの位置情報(ウエハW上における位置情報)と各サンプルショットをアライメント検出系ASで計測したときの基板テーブル14の位置情報WPVとから静止座標系(XYZ座標系)上におけるサンプルショットの位置情報(実測値)を求める。次いで、サンプルショットの設計上の座標値を実際のサンプルショットの位置に変換する行列式を設定し、この行列式にサンプルショットの各々についての設計上の座標値を代入し、設計上の座標値と計算上の座標値の関係を示す複数の行列式を求める。そして、上記の実測値と計算上の座標値との差が最小となるように上記の行列式を決定する。決定された行列式に各ショット領域ESの座標値を代入することで、全ショット領域の静止座標系上における配列座標が算出される。
【0059】
制御部48は、上記のウエハ位置誤差算出部43〜ショット配列算出部47の各々に制御信号を出力してプリアライメント時の基準位置に対する位置誤差及び回転量を求めさせ、ウエハW上の欠陥分布(均一性)を算出させてEGA演算に用いるマークを選択させ、選択されたマークを用いてEGA演算を行わせてショット領域ESの配列座標を算出させる。また、算出されたショット領域ESの配列座標に基づいてステージ制御系21にステージ制御データCDを供給してウエハステージWSTの位置決めを制御するとともに、露光時にはレチクルRの位置情報(速度情報)RPV及びウエハWの位置情報(速度情報)WPVに基づいて、ステージ制御系21にステージ制御データCDを供給してレチクルステージRSTとウエハステージWSTとを走査する。
【0060】
また、制御部48は、図3に示す表面状態検査装置30に設けられた切替駆動機構33aによる波長選択フィルタ33の切替作動制御及び回転駆動機構34aによるニュートラルデンシティフィルタ34の回転制御を行うとともに、ステージ制御系21にステージ制御データCDを出力して軸AX1を中心としたウエハホルダ15の回転制御、心軸AX2を中心としたウエハホルダ15のチルト制御等を行う。
【0061】
なお、図4においては、各ブロックをハードウェア的に構成し、これらを組み合わせて主制御系20を構成する場合を例に挙げて図示している。しかしながら、ハードウェア的には主制御系20を計算機システムとして構成し、主制御系20を構成する各ブロックの機能を主制御系20に内蔵されたプログラムによって実現することも可能である。また、主制御系20を計算機システムとして構成した場合には、主制御系20を構成する上記の各ブロックの機能を実現するためのプログラムの全てを予め主制御系20に内蔵することは必ずしも必須ではなく、上記の各ブロックの機能を実現するためのプログラムを記録媒体に格納しておき必要なときに記録媒体から読み出してインストールし、さらにはインターネット等を利用し、通信ネットワークを介してインストールすることもできる。
【0062】
次に、露光時の動作について説明する。図7は、この露光装置の露光処理の動作の概略を示すフローチャートである。なお、ここでは、前工程で行われたパターンがウエハW上の各ショット領域に形成されているものとする。また、図7に示すフローチャートは1枚のウエハWに対する処理を示したものであり、個々のウエハWに対して図7に示す処理が行われる。
【0063】
露光処理が開始されると、まず、不図示のレチクルローダを用いて不図示のレチクルライブラリから転写すべきパターンが形成されたレチクルRがレチクルステージRST上にロードされる。また、不図示のウエハローダにより、露光すべきウエハWが基板テーブル14上(ウエハホルダ15上)にロードされる(ステップS1)。
【0064】
次に、主制御系20(より詳しくは、制御部48(図4参照))がステージ制御系21に制御信号を出力してウエハ駆動装置17を介してウエハステージWSTを駆動し、ウエハWをプリアライメントセンサ22a,22b,22cによる撮像位置へ移動させる。具体的には、ウエハWに形成されたオリエンテーションフラットOFがプリアライメントセンサ22a,22bの真下に位置し、オリエンテーションフラットOFの形成部以外のウエハWの外縁位置の一部がプリアライメントセンサ22cの真下に位置するようにウエハWを移動する。
【0065】
ウエハWの移動が完了すると、プリアライメントセンサ22a,22b,22cを用いてウエハWの外縁近傍を撮像する。プリアライメントセンサ22a,22b,22cによって撮像されたウエハWの撮像データD1は、主制御系20に供給される。主制御系20に供給された撮像データD1は、画像データ記憶部41(図4参照)に一時的に記憶される。撮像データD1が画像データ記憶部41に記憶されると、制御部48からウエハ位置誤差算出部43に制御信号が出力され、これによりウエハ位置誤差算出部43においてウエハWの基準位置に対する位置誤差及び回転量を算出する処理が行われる(ステップS2)。この処理により求められたウエハWの基準位置に対する位置誤差及び回転量は、制御部48に出力され、以後ウエハステージWSTを駆動する際の補正値として用いられる。
【0066】
ウエハWのプリアライメントが終了すると、制御部48は図3に示す表面状態検査装置30に設けられた放電光源31から照明光束を射出させるとともに、切替駆動機構33aを制御して波長選択フィルタ33を切り替え、且つ回転駆動機構34aを制御してニュートラルデンシティフィルタ34の回転制御を行う。また、ステージ制御系21にステージ制御データCDを出力して軸AX1を中心としたウエハホルダ15の回転制御、心軸AX2を中心としたウエハホルダ15のチルト制御等を行う。そして、ウエハステージWSTをX方向又はY方向に駆動し、ウエハWを一定速度で移動させつつウエハWの表面からの反射光、回折光等をプリアライメントセンサ22cで撮像する。このときのウエハホルダ15のチルト制御は、例えば、コントラストが最良となるように設定される。
【0067】
プリアライメントセンサ22cで撮像された撮像データD2は、主制御系20に供給されて画像データ記憶部41に一時的に記憶される。撮像データD2が画像データ記憶部41に記憶されると、制御部48から欠陥分布算出部44に制御信号が出力され、撮像データD2と予め記憶されている良品ウエハの表面の画像(検査基準画像)との比較等の処理、及び図6に示す閾値THを用いた欠陥判別処理が行われ各ショット領域ESに含まれる欠陥の数が求められる。このようにして欠陥分布(均一性)が求められてウエハW全体の表面状態の検査(マクロ検査)が行われる(ステップS3)。
【0068】
ウエハWの表面状態が検査されると、制御部48からマーク選択部45に制御信号が出力され、表面状態検査結果に基づいてサンプルショットを選択する処理が行われる(ステップS4)。具体的には、例えば、サンプルショットSA〜SAのうち上記の表面状態検査によって求められた欠陥数が予め設定された閾値を越える(即ち均一性が所定の閾値未満である)サンプルショットを除き、欠陥数が予め設定された閾値以下(即ち均一性が所定の閾値以上である)であるものを選択する。このようにして欠陥の割合が少ないサンプルショットが選択される。なお、図5に示した例の場合には、サンプルショットSA(ショットSE)の辺りの領域上に多くのスクラッチが生じているため、このサンプルショットSAが、EGA演算に用いられるサンプルショットから除外される(後のステップS5における位置計測処理からも除外される)ことになる。
【0069】
ここで選択されたサンプルショットの数が予め設定された数(EGA演算に用いるマークの最大数)よりも多い場合には、例えば各サンプルショットに付随するマークを順にアライメント検出系ASの計測視野内に配置するのに要する総時間が最も短くなるサンプルショットを選択する。選択されたサンプルショットの情報は制御部48に出力される。
【0070】
以上の処理が終了すると、制御部48はステージ制御系21にステージ制御データCDを出力してウエハステージWSTをXY面内で移動させることにより、マーク選択部48で選択されたサンプルショットに付随するマークを順にアライメント検出系ASの計測視野内に配置して撮像する。アライメント検出系ASで撮像されたマークの像データD3は主制御系20に供給されて画像データ記憶部41に一時的に記憶される。
【0071】
選択されたマークの全てについて撮像が完了すると、制御部48からマーク位置情報算出部46に制御信号が出力される。これにより、マーク位置情報算出部46は、像データD3に対して折り返し自己相関処理や、所定のテンプレートを用いたテンプレートマッチング処理や、あるいはエッジ位置計測処理等の処理を行ってステップS4で選択されたサンプルショット各々の位置情報を算出する(ステップS5)。算出された位置情報はショット配列算出部47に出力される。
【0072】
次いで、制御部48からショット配列算出部47に対して制御信号が出力される。この制御信号により、ショット配列算出部47は、マーク位置情報算出部46で求められたサンプルショットの位置情報とウエハ設計データ記憶部42に記憶されたショットマップデータとに基づいてEGA演算を行い、ウエハW上の全ショット領域ESの配列座標を算出する(ステップS6)。算出された配列座標は、制御部48に出力される。
【0073】
以上の処理が完了すると、ウエハWに対する露光が行われる(ステップS7)。この露光動作にあたっては、まず、ウエハW上の最初のショット領域(ファースト・ショット)の露光のための走査開始位置となるように、基板テーブル14が移動される。この移動は、ステップS6で算出された配列座標の各々を、予め高い精度で求めてあるベースライン量(投影光学系PLの投影領域中心とアライメント検出系ASの計測視野中心との距離)で補正した配列座標値、及びウエハ干渉計19からの位置情報(速度情報)等に基づき、主制御系20によりステージ制御系21及びウエハ駆動装置17等を介して行われる。同時に、レチクルRのXY位置が、走査開始位置となるように、レチクルステージRSTが移動される。この移動は、主制御系20によりステージ制御系21及び不図示のレチクル駆動部等を介して行われる。
【0074】
次に、ステージ制御系21が、主制御系20からの制御命令に応じて、多点フォーカス位置検出系によって検出されたウエハWのZ位置情報、レチクル干渉計13によって計測されたレチクルRのXY位置情報、ウエハ干渉計19によって計測されたウエハWのXY位置情報に基づき、不図示のレチクル駆動部及びウエハ駆動装置17を介して、ウエハWの面位置の調整を行いつつ、レチクルRとウエハWとを相対移動させて走査露光を行う。
【0075】
以上の処理によって最初のショット領域の露光が終了すると、次のショット領域の露光のための走査開始位置となるように、基板テーブル14が移動されるとともに、レチクルRのXY位置が、走査開始位置となるように、レチクルステージRSTが移動される。そして、このショット領域に関する走査露光が上述の最初のショット領域と同様にして行われる。以後、同様にして各ショット領域について走査露光が行われ、露光が完了する。ウエハWの露光が完了すると、ウエハステージWSTがアンロード位置に移動された後、不図示のウエハアンローダにより、ウエハWが基板テーブル14からアンロードされる(ステップS8)。こうして、ウエハ1枚についての露光処理が終了する。
【0076】
なお、以上の説明においては、ウエハWの全てについて図7に示す処理が行われるとした。しかしながら、複数枚のウエハからなるロットを処理する場合には、ロット先頭のウエハに対してのみ図7に示す処理を行い、ロットの残りのウエハに対してはロット先頭のウエハで選択されたサンプルショット(サンプルショットに付随するマーク)の位置情報を計測して、EGA演算により全ショット領域の位置情報を求めるようにしても良い。これにより、ウエハWの表面状態検査に要する時間が短縮されるため、スループットの向上を図る上で望ましい。
【0077】
ところで、ウエハWの表面状態の検出の際には、スクラッチやスラリー残渣等の欠陥とともに、既に形成されているパターンも同時に撮像されるため、上記では、撮像データD2と予め記憶されている良品ウエハ(上述した如き欠陥が殆ど生じていないウエハ)の表面の画像(検査基準画像)との比較等を行い、当該欠陥部分を特定するようにしている。但し、各ショット領域に同一のパターンが形成されている場合には、既に形成されているパターンをも含めて撮像した結果に基づいてサンプルショット単位でデータ(欠陥画素数)を集計し、当該パターンをも考慮に入れた閾値を設定して比較評価し、あるいはこれらを相対評価することにより、欠陥の少ないショットと欠陥の多いショット(不良ショット)とを特定し、当該不良ショットに係るマークを除外して計測対象マークを選択するようにしても良い。
【0078】
また、既に形成されているパターン(基板上に本来的に形成されるべきパターンであり、以下、回路パターンという)と欠陥パターン(基板上に本来的に形成されるべきでないスクラッチやスラリー残渣等の傷パターンであり、以下、痣パターンという)を区別する他の手法としては、暗視野照明を利用する方式がある。この方式について、簡単に説明する。
【0079】
基板を照明する照明系と照明された基板の像を撮像装置に結像する結像系とを備えた検出装置において、結像系の瞳面における回折光の分布は、基板上のパターン(回路パターン、痣パターンを含む)の方向性と照明系の瞳面における照明光の形状により決定されることが知られている。この原理を応用して、 回路パターンの延在する方向は一般に既知であるから、これとの関係で照明系の開口絞りの形状ないし姿勢及び結像系の開口絞りの形状ないし姿勢を適宜に設定することにより、回路パターンと痣パターンとを分離して検出することができる。
【0080】
上述した表面状態検査装置30に適用して、具体的に説明すると、検出用照明系30aの瞳面にウエハWを傾斜照明するための開口絞り(例えば、輪帯形状の開口絞り)を配置して暗視野照明とし、ウエハWの表面を暗視野方式で撮像装置としてのプリアライメントセンサ22cに結像するために結像光学系30bの瞳面にも開口絞り(例えば、スリット形状の開口絞り)を配置する。そして、結像光学系30bの開口絞りの形状ないし姿勢(例えば、スリット形状の開口絞りの場合にはその長手方向の光軸を中心とした回転)を適宜に設定することにより、回路パターンの延在する方向とは異なる方向(斜め方向)に延在する特定パターン(即ち、痣パターン)のみを選択的に撮像することが可能である。なお、回路パターンの方向と痣パターンの方向が一致する場合には、痣パターンの当該一致する部分については検出することはできないが、痣パターンの多くは不規則な方向性をもって形成されるのが通常であるから、それ程問題を生じることはないと考えられる。
【0081】
これとは逆に、回路パターンのみを選択的に撮像するように構成して、このような暗視野照明による方式を採用しないで(即ち、明視野で)撮像した結果(回路パターン、痣パターンの両者を含む)から該回路パターンのみの撮像結果を差し引くことにより、痣パターンを分離するようにしても良い。
【0082】
以上説明した通り、本実施形態によれば、ウエハWの表面状態に基づいて欠陥の無い若しくは少ないショット領域に付随するマークを選択しているため、CMP処理によるスクラッチ若しくはスラリー残渣等の欠陥やウエハW上に塗布されたレジストの塗布むら、その他の傷等が生じていても高い精度でマークの位置情報を求めることができる。また、選択されたマークの位置情報計測結果を用いてウエハW上のショット領域の配列座標を求めることで、高い精度でレチクルRと各ショット領域との位置合わせを行うことができるため、ウエハ上に既に形成されたパターンと次に形成すべきパターンとを高い精度で重ね合わせることができる。この結果、重ね合わせの不具合による不良が大幅に低減されるため、高性能、高品質なマイクロデバイス等を高い歩留まりで高効率的に製造することができる。
【0083】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0084】
例えば、上記実施形態では、表面状態検査装置30としてウエハW表面からの反射光又は回折光を用いてウエハWの表面状態のマクロ検査を行う回折光検出装置を備える場合を例に挙げて説明した。しかしながら、回折光検出装置に代えてウエハWの表面にレーザ光を照射してレーザ光をスキャンさせながらウエハW表面において生ずる散乱光を測定することによりウエハWの表面状態のマクロ検査を行う散乱光検出装置、又は微分干渉装置を用いることができる。ここで、微分干渉装置とは、ウエハWの表面から得られる光の波面と、この波面を横方向(XY面内)にずらした波面との干渉を利用した干渉計であり、例えばノマルスキー微分干渉計に代表される干渉計である。また、これらの装置を単独で設けるのではなく、複数を併設して複数の装置によりウエハWの表面状態を検査しても良い。複数の装置でウエハWの表面状態を検査することで、ウエハWの表面状態に関する情報をより多く得ることができ、安定した高精度な位置計測を行うことができる。
【0085】
また、上記の実施形態では、基板テーブル14(ウエハホルダ15)上に保持されたウエハWのプリアライメントを行うプリアライメント検出系RASに設けられるプリアライメントセンサ22cを表面状態検査装置の撮像装置として兼用していた。しかしながら、ウエハローダが備えるプリアライメント検出系に設けられたプリアライメントセンサを表面状態検査装置に兼用することもできる。また、図1に示すアライメント検出系ASを表面状態検査装置として兼用しても良い。かかる構成の場合には、表面状態検査装置から検出用照明光が射出され、この反射光、回折光等がアライメント検出系ASで受光されることになる。さらに、表面状態検査装置とプリアライメント検出系を個別に設けた構成であっても良い。また、上記の実施形態では、アライメント系ASに画像処理を行う系を例に挙げたが、レーザーをウエハに対してスキャンしてマークの位置を求める系(LSA系など)でもよい。
【0086】
さらに、上記の実施形態では、露光装置に表面状態検査装置が設けられた場合を例に挙げて説明したが、露光装置と表面状態検査装置とを別体として設けてこれらの間をLAN(Local Area Network)等のネットワークで接続し、表面状態検査装置の検査結果を露光装置に送信する構成としても良い。例えば、露光工程の前の工程であるレジスト塗布工程を行うレジスト塗布装置(コータ)や露光工程の後の工程である現像工程を行う現像装置(デベロッパ)、CMP装置を露光装置とインライン形式で接続した構成の場合には、ウエハの搬送経路中に表面状態検査装置を設けると良い。さらに、上記の実施形態では露光装置に本発明の位置計測装置を適用した例について説明したが、本発明の位置計測装置は基板、その他の物体上に形成されたマーク(位置検出用パターン)を計測する装置一般について適用可能である。
【0087】
また、上記実施形態においては、本発明をステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置(ステッパー)にも適用することができる。また、照明光ILとしては、エキシマレーザ等から射出されるレーザ光の他に、レーザプラズマ光源、又はSORから発生する軟X線領域、例えば波長13.4nm、又は11.5nmのEUV(Extreme Ultra Violet)光を用いるようにしてもよい。さらに、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いてもよい。DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いてもよい。なお、EUV光を用いる露光装置では反射型マスクが用いられ、電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられるので、マスクの原版としてはシリコンウエハなどが用いられる。
【0088】
さらに、半導体素子の製造に用いられるデバイスパターンをウエハ上に転写する露光装置だけでなく、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられるデバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、及びDNAチップなどの製造に用いられる露光装置等にも本発明を適用することができる。
【0089】
複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み光学調整をするとともに、多数の機械部品からなるレチクルステージや基板ステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、さらに総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより本実施形態の露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルーム内で行うことが望ましい。
【0090】
半導体素子は、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいて、レチクルを製造するステップ、シリコン材料からウエハを製造するステップ、上述した実施形態の露光装置等によりレチクルのパターンをウエハに露光転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施形態に係る露光装置の全体構成の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る露光装置のプリアライメント検出系周辺の構成を概略的に示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る表面状態検査装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る露光装置が備える主制御系の主要部の構成を示すブロック図である。
【図5】ウエハ上に設定されるショット領域の配列の一例を示す図である。
【図6】欠陥分布算出部で行われる処理の一例を説明するための図である。
【図7】本発明の実施形態に係る露光装置の露光処理動作の概略を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0092】
1…露光装置
20…主制御系
30…表面状態検査装置
45…マーク選択部
47…ショット配列算出部
AS…アライメント検出系
ES…ショット領域
Mx、My…マーク
R…レチクル
SA〜SA…サンプルショット
W…ウエハ
WST…ウエハステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路パターンが形成されるべき基板上に形成されている複数の位置計測用パターンの位置情報を計測する位置計測装置であって、
前記基板上の、前記位置計測用パターンが形成されている側のほぼ全面に亘る表面状態を検査する検査手段と、
前記検査手段の検査結果に基づいて、前記基板上に形成された前記複数の位置計測用パターンの中から所定数の位置計測用パターンを計測対象パターンとして選択する選択手段と、
前記選択手段で選択された前記計測対象パターンの位置情報を計測する計測手段と、を備えることを特徴とする位置計測装置。
【請求項2】
前記検査手段は、前記基板の表面上における所定の均一性についての検査を行い、
前記選択手段は、前記検査手段の結果に基づいて、前記均一性が第1レベル以上であると評価された領域に存在する前記位置計測用パターンを、前記計測対象パターンとして選択することを特徴とする請求項1に記載の位置計測装置。
【請求項3】
前記基板上には、前記位置計測用パターンをそれぞれ付随して備える複数のショット領域が形成されており、
前記検査手段は、前記基板の表面上における所定の均一性についての検査を行い、
前記選択手段は、前記複数のショット領域のうち、前記均一性が第2レベル以上となるショット領域に付随する前記位置計測用パターンを、前記計測対象パターンとして選択することを特徴とする請求項1に記載の位置計測装置。
【請求項4】
前記検査手段は、前記基板表面の形状、反射率、及び分光特性のうち少なくとも1つの均一性についての検査を行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の位置計測装置。
【請求項5】
前記検査手段は、前記基板の表面に光を照射して得られる回折光を検出する回折光検出装置、前記基板の表面にレーザ光を照射して得られる散乱光を検出する散乱光検出装置、及び微分干渉装置の少なくとも1つの装置を備えることを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の位置計測装置。
【請求項6】
前記検査手段は、
前記基板上に形成されているパターンのうち、前記回路パターンの延在する方向とは異なる方向に延在する特定パターンに対して有効となるように前記基板を傾斜照明する検出用照明系と、
前記基板表面を暗視野方式で結像する結像光学系を備えた撮像装置とを含み、
前記撮像装置は、前記基板上に形成された前記特定パターンの像を抽出して撮像することを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の位置計測装置。
【請求項7】
基板を保持した状態で移動可能に構成された基板ステージを備え、マスクのパターンを前記基板上に形成されたショット領域の各々に露光転写する露光装置において、
請求項1〜6の何れか一項に記載の位置計測装置によって計測された前記計測対象パターンの位置情報を用いて統計演算を行い、前記複数のショット領域の位置情報を求める演算手段と、
前記演算手段により求められた前記位置情報に基づいて前記基板ステージを移動制御して、前記マスクと前記基板上のショット領域との位置合わせを行う位置合わせ装置と、を有することを特徴とする露光装置。
【請求項8】
回路パターンが形成されるべき基板上に形成されている複数の位置計測用パターンの位置情報を計測する位置計測方法であって、
前記基板上の、前記位置計測用パターンが形成されている側のほぼ全面に亘る表面状態を検査する検査ステップと、
前記検査ステップの検査結果に基づいて、前記基板上に形成された前記複数の位置計測用パターンの中から所定数の位置計測用パターンを計測対象パターンとして選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択された前記計測対象パターンの位置情報を計測する計測ステップと、を備えることを特徴とする位置計測方法。
【請求項9】
前記検査ステップでは、前記基板の表面上における所定の均一性についての検査を行い、
前記選択ステップでは、前記検査ステップでの結果に基づいて、前記均一性が第1レベル以上であると評価された領域に存在する前記位置計測用パターンを、前記計測対象パターンとして選択することを特徴とする請求項8に記載の位置計測方法。
【請求項10】
前記基板上には、前記位置計測用パターンをそれぞれ付随して備える複数のショット領域が形成されており、
前記検査ステップでは、前記基板の表面上における所定の均一性についての検査を行い、
前記選択ステップでは、前記複数のショット領域のうち、前記均一性が第2レベル以上となるショット領域に付随する前記位置計測用パターンを、前記計測対象パターンとして選択することを特徴とする請求項8に記載の位置計測方法。
【請求項11】
前記検査ステップでは、前記基板表面の形状、反射率、及び分光特性のうち少なくとも1つの均一性についての検査を行うことを特徴とする請求項9又は10に記載の位置計測方法。
【請求項12】
マスクのパターンを基板上に形成されたショット領域の各々に露光転写する露光方法において、
請求項8〜11の何れか一項に記載の位置計測方法によって計測された前記計測対象パターンの位置情報に基づいて、前記基板とマスクとの位置合わせを行う位置合わせステップを含むことを特徴とする露光方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−24681(P2006−24681A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200474(P2004−200474)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】