説明

低減された誘電率を有する誘電体の製造方法、および半導体デバイス構成要素、および基板

【課題】低減された誘電率を有する誘電体、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】第1の態様では、低減された誘電率を有する誘電体を製造する第1の方法を提供する。第1の方法は、(1)基板上のトレンチを含む誘電体層を形成するステップと、(2)誘電体の実効誘電率を減少させるために、トレンチの側壁および底部のうちの少なくとも一方に沿って、誘電体層内に複数の空隙を形成することにより、誘電体層内にクラッディング領域を形成するステップとを含む。他の多数の態様を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、半導体デバイスの製造に関し、さらに詳細には、低減された実効誘電率を有する誘電体、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔性の低誘電率(k)、すなわち「low k」誘電性は、相互接続の静電容量を減少させるために使用されうる。しかしながら、従来の多孔性の低k誘電体は、化学機械研磨(CMP)のようなバック・エンド・オブ・ライン(BEOL)プロセスにより機械的に破損しうる。このような機械的破損を防止するために、より機械的に強い誘電体が使用されうる。しかしながら、通常、より機械的に強い誘電体は、望ましくない静電容量の増加をもたらしうる、より高いkを有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、低減された誘電率を有する誘電体、およびその製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様では、低減された誘電率を有する誘電体を製造する第1の方法を提供する。第1の方法は、(1)基板上のトレンチを含む誘電体層を形成するステップと、(2)誘電体の実効誘電率(effective dielectric constant)を減少させるために、トレンチの側壁および底部のうちの少なくとも一方に沿って、誘電体層内に複数の空隙を形成することにより、誘電体層内にクラッディング領域を形成するステップとを含む。
【0005】
本発明の第2の態様では、第1の装置を提供する。第1の装置は、(1)基板上のトレンチを含む誘電体層と、(2)誘電体の実効誘電率を減少させるために、トレンチの側壁および底部のうちの少なくとも一方に沿って、誘電体層内に複数の空隙を含む、誘電体層内のクラッディング領域とを含む、半導体デバイス構成要素である。
【0006】
本発明の第3の態様では、第1のシステムを提供する。第1のシステムは、(1)基板上のトレンチを含む誘電体層と、(2)誘電体の実効誘電率を減少させるために、トレンチの側壁および底部のうちの少なくとも一方に沿って、誘電体層内に複数の空隙を含む、誘電体層内のクラッディング領域とを有する、半導体デバイス構成要素を含む基板である。本発明の、これらの、および他の態様に基づいて、他の多数の態様を提供する。
【0007】
本発明の他の特徴および態様は、以下の詳細な説明、請求項、および添付図面から、より完全に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、低減された誘電率(k)を有する誘電体、およびその製造方法を提供する。このような誘電体は、半導体デバイス構成要素の形成時に使用されうる。例えば、いくつかの実施形態では、本発明は、相互接続構造、およびその製造方法を提供し、かつ含む。特に、本発明は、相互接続構造に含まれる相互接続の1つ以上の側部上に形成されるクラッディング領域を有する相互接続構造を提供する。クラッディング領域は、相互接続の1つ以上の側部上に形成される誘電体領域内に含まれうる。クラッディング領域は、誘電体と、空気、プロセス・ガスおよびその種の他のものの空隙、もしくは、空気、プロセス・ガスまたはその種の他のものの空隙とを含みうる。その結果、クラッディング領域の実効的なkを、誘電体領域の残存部分内の誘電体のkより低くすることができて、それにより、誘電体の実効的なkを減少させる。さらに、クラッディング領域の機械的強度を、同様のkを有する誘電体の機械的強度よりも強くすることができる。したがって、CMPが、このような相互接続を形成するために使用されうる。このように、本発明は、改良された相互接続構造、およびその製造方法を提供し、かつ含む。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に基づいて、低減された誘電率(k)を有する誘電体を製造する方法の第1のステップに従う基板100の横断面図を示す。図1を参照すると、基板100が提供されうる。化学気相蒸着法(CVD)、スピンオン法、または他の好適な方法が、基板100上の誘電体(例えば、炭素および水素成分、もしくは、炭素または水素成分をドーピングされた酸化シリコン(SiO(C、H))およびその種の他のもの、もしくは、炭素および水素成分、もしくは、炭素または水素成分をドーピングされた酸化シリコン(SiO(C、H))またはその種の他のもの)層102を形成するために使用されうる。誘電体層102は、約2.9のkを有しうる(しかしながら、異なったkを有する他の好適な材料層も使用できる)。CVD、スピンオン法、または他の好適な方法が、誘電体層102の上端面上に、ハード・マスク層(例えば、窒化シリコン(Si)、二酸化シリコン(SiO)およびその種の他のもの、もしくは、窒化シリコン(Si)、二酸化シリコン(SiO)またはその種の他のもの)104を蒸着するために使用されうる。反応性イオン・エッチング(RIE)または他の好適な方法が、誘電体層102およびハード・マスク層104の部分を除去して、相互接続トラフ106を形成するために使用されうる。相互接続トラフ106は、導電体(例えば、銅、アルミニウム、タングステンおよびその種の他のもの、もしくは、銅、アルミニウム、タングステンまたはその種の他のもの)が形成されうる領域として機能しうる。このように、誘電体層102は、金属線パターンを形成するためにパターン化されて、かつエッチングされうる。相互接続トラフ106は、幅約500〜約1500オングストローム、および深さ約500〜約5000オングストロームの寸法を有しうる(しかしながら、より大きい、またはより小さい、および異なった幅および深さ、もしくは、異なった幅または深さ、もしくは、より大きい、またはより小さい、または異なった幅および深さ、もしくは、異なった幅または深さも使用できる)。
【0010】
図2は、本発明の実施形態に基づいて、低減されたkを有する誘電体を製造する方法の第2のステップに従う基板100の横断面図を示す。図2を参照すると、CVD、スピンオン法、または他の好適な方法が、基板100のパターン層102、104上に、P+ドーピング・シリコン材料(例えば、アモルファス、多結晶およびその種の他のもの、もしくは、アモルファス、多結晶またはその種の他のもの)の犠牲層を(例えば、整合的に)形成するために使用されうる。P+ドーピング・シリコン材料の犠牲層は、約3ナノメートル〜約100ナノメートルの厚さを有しうる(しかしながら、より大きい、またはより小さい、および異なった厚さの範囲、もしくは、より大きい、またはより小さい、または異なった厚さの範囲も使用できる)。その後、陽極酸化電流、または他の好適な方法を用いる陽極酸化処理が、P+ドーピング・シリコン材料層を、気孔201を有する多孔性シリコン層200に(例えば、化学的に)変化させるために使用されうる。例えば、基板100は、電気的にバイアスをかけられたフッ化水素(HF)、または類似の溶液内に配設されうる。多孔性シリコン層200の有孔率は、P+ドーパントの密度、陽極酸化電流およびその種の他のもの、もしくは、P+ドーパントの密度、陽極酸化電流またはその種の他のものに基づいて変化しうる。有孔率は、約10パーセントから約50パーセントまで変化しうる(しかしながら、より大きい、またはより小さい、および異なった有孔率、もしくは、より大きい、またはより小さい、または異なった有孔率も使用できる)。後述するように、多孔性シリコン層200は、誘電体層102の部分内に空隙を形成するために使用されうる。
【0011】
図3は、本発明の実施形態に基づいて、低減されたkを有する誘電体を製造する方法の第3のステップに従う基板100の横断面図を示す。図3を参照すると、酸化処理、または他の好適な方法が、多孔性シリコン層200を酸化物(例えば、SiO)層300に変化させるために使用されうる。このような反応は、次の式、Si+O→SiOにより表されうる。例えば、基板100は、バイアスを印加されない高圧の酸素(例えば、Oおよびその種の他のもの、もしくは、Oまたはその種の他のもの)プラズマ処理、または他の好適なプロセスに露出されうる。酸化処理時に、酸素は、酸化多孔質層の後方の誘電体層102内に、酸化物(例えば、SiO)材料の突出部302を形成するために、多孔性シリコン層200内の気孔(図2の201)を介して拡散しうる。このような反応は、式、SiO(C、H)+O→SiOにより表されうる。突出部302は、直径約5オングストローム、および長さ約200オングストロームでありうる(しかしながら、より大きい、またはより小さい直径および長さ、もしくは、より大きい、またはより小さい直径または長さも使用できる)。バイアスを印加されない高圧のO2プラズマにより作り出された酸化物層300は、異方的に、誘電体層102の側壁に対して垂直に貫通する。
【0012】
図4は、本発明の実施形態に基づいて、低減されたkを有する誘電体を製造する方法の第4のステップに従う基板100の横断面図を示す。図4を参照すると、希釈HFウェット・エッチング(例えば、SiO(C、H)に対して非常に高い選択性を有する)、または他の好適な方法が、酸化物層300および突出部302のすべて、または実質的にすべてを除去して、誘電体層102内に空隙400を形成するために使用されうる。希釈HFウェット・エッチングは、従来のBEOLプロセスのSiO(C、H)損傷層を除去することと同等でありうる。空隙400は、直径5オングストローム、および長さ約200オングストロームでありうる(しかしながら、より大きい、またはより小さい直径および長さ、もしくは、より大きい、またはより小さい直径または長さも使用できる)。このように、空隙400を含むクラッディング領域402が、誘電体層102内に形成されうる。クラッディング領域402は、後で相互接続トラフ106内に形成される相互接続(例えば、金属配線)に隣接しているか、または近傍にあるであろう。空隙400は、約1.0のkを有しうる(しかしながら、より大きい、またはより小さいkも使用できる)。したがって、クラッディング領域402は、誘電体のkよりも小さい実効的なkを有しうる。例えば、クラッディング領域402は、約2.0未満の実効的なkを有し、かつ誘電体層102の残存部分は、約2.9のkを有しうる(しかしながら、クラッディング領域402および誘電体、もしくは、クラッディング領域402または誘電体は、より大きい、またはより小さいkを有しうる)。さらに、クラッディング領域402、および誘電体層102の残存部分は、機械的な強度を有しうる。例えば、CMP、または他のこのようなBEOLプロセスは、クラッディング領域402、および誘電体層102の残存部分に損傷を与えることなく、基板100上に使用されうる。
【0013】
図5は、本発明の実施形態に基づいて、低減されたkを有する誘電体を製造する方法の第5のステップに従う基板100の横断面図を示す。図5を参照すると、物理的気相蒸着法(PVD)、または他の好適な方法が、誘電体層102の上端面上に、拡散障壁(例えば、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、ルテニウム(Ru)およびその種の他のもの、もしくは、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、ルテニウム(Ru)またはその種の他のもの)層500を形成するために使用されうる。拡散障壁層500の厚さは、約2〜約80ナノメートルでありうる(しかしながら、より大きい、またはより小さい、および異なった厚さ、もしくは、より大きい、またはより小さい、または異なった厚さも使用できる)。拡散障壁層500は、相互接続トラフ106の少なくとも1つの表面上の空隙400の開口部502を被覆しうる。拡散障壁層500は、材料(例えば、銅(Cu)およびその種の他のもの、もしくは、銅(Cu)またはその種の他のもの)が、誘電体層102の中に拡散すること、および開口部502を通して空隙400に入り込むこと、もしくは、誘電体層102の中に拡散すること、または開口部502を通して空隙400に入り込むことを防止するために使用されて、それにより、誘電体層102の表面を密封できる。
【0014】
図6は、本発明の実施形態に基づいて、低減されたkを有する誘電体を製造する方法の第6のステップに従う基板100の横断面図を示す。図6を参照すると、金属ダマシンプロセスCVDの一部として、電気メッキ、または他の好適な方法が、基板100の上端面上に、金属(銅、アルミニウム(Al)、Al不純物を含有する銅Cu(Al)、タングステン(W)およびその種の他のもの、もしくは、銅、アルミニウム(Al)、Al不純物を含有する銅Cu(Al)、タングステン(W)またはその種の他のもの)相互接続層600を形成するために使用されうる。このように、金属相互接続層600は、相互接続トラフ(図5の106)を埋めることができる。障壁層500の上端面上の金属相互接続層600の厚さは、約400〜約1000ナノメートルでありうる(しかしながら、より大きい、またはより小さい、および異なった厚さ、もしくは、より大きい、またはより小さい、または異なった厚さも使用できる)。
【0015】
図7は、本発明の実施形態に基づいて、低減されたkを有する誘電体を製造する方法の第7のステップに従う基板100の横断面図を示す。図7を参照すると、CMP、または他の好適な方法が、ハード・マスク層104、ならびに金属相互接続層600および障壁蒸着層500の一部を除去して、金属相互接続700を形成するために使用されうる。金属相互接続700の上端面は、誘電体層102の上端面と同一平面をなしうる。CMP時に、基板100の上端面に力がかけられて、誘電体層102およびクラッディング領域402、もしくは、誘電体層102またはクラッディング領域402内に、機械的応力を誘発しうる。誘電体層102、およびクラッディング領域402は、破損することなく機械的応力に耐えうるほど、十分な機械的強度を有しうる。
【0016】
金属相互接続700に隣接するクラッディング領域402は、金属相互接続700の静電容量(例えば、寄生容量)を減少させることができる。金属相互接続700の静電容量は、クラッディング領域402の実効的なkに基づきうる。上述したように、クラッディング領域402は、誘電体層102の残存部分のkよりも小さいkを有しうる。したがって、その結果、誘電体層102全体の実効静電容量は、クラッディング領域402により低減されうる。
【0017】
図8は、形成されうる相互接続構造のシミュレーション・モデルの横断面図を示す。図8を参照すると、シミュレーション・ツールまたは環境(例えば、有限要素静電容量推定器(Foxi/Fierce)およびその種の他のもの)が、相互接続構造800のモデルをシミュレートするために使用されうる。相互接続構造800のシミュレーション・モデルが、さまざまな半導体技術に対する相互接続構造800のシミュレートされたモデルの、BEOLおよびフロント・エンド・オブ・ライン(FEOL)静電容量を、正確に予測するために使用されうる。
【0018】
第1の金属線801、および第2の金属線802(例えば、M3配線レベルの)が、誘電体(例えば、SiCOHおよびその種の他のもの、もしくは、SiCOHまたはその種の他のもの)層804内に配設されうる。誘電体層804は、第1の金属層806(例えば、M4配線層)と第2の金属層808(例えば、M2配線層)の間に配設されうる。誘電体層804は、約3.2のkを有しうる。
【0019】
第1の金属線801の上端面と第1の金属層806の下端面の間の距離は、約160ナノメートルでありうる。第1の金属線801の下端面と第2の金属層808の上端面の間の距離は、約160ナノメートルでありうる。第1の金属線801の右側面と第2の金属線802の左側面の間の距離は、約100ナノメートルでありうる。第1の金属線801、および第2の金属線802のそれぞれの幅は、約100ナノメートルでありうる。第1の金属線801、および第2の金属線802のそれぞれの高さは、約175ナノメートルでありうる。第1および第2の金属線801〜802は、上述したような空隙を含む誘電体のクラッディング領域402に隣接していないことに注目すべきである。
【0020】
誘電体層804は、シミュレーション・ツールまたは環境による電気的シミュレーション時に、電気絶縁物およびその種の他のもの、もしくは、電気絶縁物またはその種の他のものとして機能しうる。さらに具体的に述べると、誘電体層804は、第1の金属ライン801、第2の金属ライン802、第1の金属層806、および第2の金属層808の間の、もしくは、第1の金属ライン801、第2の金属ライン802、第1の金属層806、または第2の金属層808の間の電気絶縁物として機能しうる。第1の金属線801、第2の金属線802、第1の金属層806、および第2の金属層808は、シミュレーション・ツールまたは環境によるシミュレーション時に、導体およびその種の他のもの、もしくは、導体またはその種の他のものとして機能しうる。
【0021】
さらに、シミュレーション・ツールまたは環境は、第1の金属線801の線間静電容量(Cl−l)を計算できる。このようなCl−lは、第2の金属線802、または同一レベル内の他の隣接する線に関する、第1の金属線801の静電容量でありうる。第1の金属線801の線間静電容量の計算結果は、68.6aF/マイクロメートルでありうる。また、シミュレーション・ツールまたは環境は、第1の金属線801の全静電容量(Ctot)を計算できる。このようなCtotは、隣接する線(例えば、第2の金属線802、第1の金属層806および第2の金属層808内の線など)に関する、第1の金属線801の静電容量でありうる。金属線801の計算された全静電容量は、181.9aF/マイクロメートルでありうる。
【0022】
図9は、本発明の実施形態に基づいて形成されうるクラッディング領域を有する相互接続構造900のシミュレーション・モデルの横断面図を示す。図9を参照すると、相互接続構造900は、相互接続構造800と類似でありうる。しかしながら、対照的に、相互接続構造900は、第1の金属線801および第2の金属線802、もしくは、第1の金属線801または第2の金属線802の少なくとも一面上に配設されたクラッディング領域(例えば、空隙を有するSiCOHおよびその種の他のもの、もしくは、空隙を有するSiCOHまたはその種の他のもの)902を含みうる。図示したように、クラッディング領域902は、第1の金属線801の複数(例えば、3つ)の側面上、および第2の金属線802の複数(例えば、3つ)の側面上に配設されうる。クラッディング領域902は、1.5の実効的なkを有しうる。これは、変換されたSiO(C、H)の体積の50パーセントをわずかに超える部分を空隙が占めていることを表す。クラッディング領域900の寸法は、シミュレーション時に変更されうる。
【0023】
図10は、本発明の実施形態に基づいて形成されうる相互接続構造900のシミュレーション・モデルのシミュレーション結果のグラフ1000を示す。図10を参照すると、クラッディング領域902の厚さに対する、第1の金属線801のCtotおよびCl−lのプロットが示されている。基本事例のCl−lの破線1001、基本事例のCtotの破線1002、Cl−lの曲線1004、およびCtotの曲線1006が示されている。基本事例のCl−lの破線1001、および基本事例のCtotの破線1002は、相互接続構造800内の第1の金属線801の静電容量Cl−lおよびCtotを表しうる。Cl−lの曲線1004、およびCtotの曲線1006は、クラッディング領域902の厚さに対する、クラッディング領域902を有する第1の金属線801の静電容量Cl−lおよびCtotを示しうる。グラフ1000で示されたデータから、Cl−l曲線1004とクラッディング領域902の厚さの間の、およびCtot曲線1006とクラッディング領域902の厚さの間の反比例関係を観察することができる。特に、グラフ1000は、クラッディング領域902の厚さの増加とともに、金属線800の静電容量Cl−lおよびCtotが減少しうることを示す。例えば、クラッディング層の厚さ20ナノメートルに対して、相互接続構造900は、相互接続構造800と比較して、M3配線の全静電容量(例えば、Ctot)の約25パーセントの低減をもたらす。
【0024】
このように、本発明は、導体(例えば、金属線)に隣接するボリューム内に誘電体の高有孔率構造(例えば、クラッディング領域402)を含む誘電体の機械的強度を保持できる。このような構造は、導体の静電容量を減少させうる。
【0025】
上記説明は、あくまで本発明の模範的な実施形態を開示するに過ぎない。本発明の範囲内にある、上述された装置および方法の変更は、当業者にとって容易に明らかであろう。例えば、上述の実施形態では、誘電体層102は、SiO(C、H)を含むが、他の実施形態では、誘電体層102は、付加的な、および異なった材料、もしくは、付加的な、または異なった材料を含みうる。上述の低減された誘電率(k)を有する誘電体は、相互接続構造を形成するようなBEOL用途に対して使用されるが、このような誘電体は、異なる半導体デバイス構成要素を形成するために使用されうる。
【0026】
したがって、本発明は、その模範的な実施形態に関連して開示されたが、他の実施形態は、請求項で明示された本発明の要旨および範囲内にありうることを理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に基づいて、低減された誘電率(k)を有する誘電体を製造する方法の第1のステップに従う基板の横断面図。
【図2】本発明の実施形態に基づいて、低減されたkを有する誘電体を製造する方法の第2のステップに従う基板の横断面図。
【図3】本発明の実施形態に基づいて、低減されたkを有する誘電体を製造する方法の第3のステップに従う基板の横断面図。
【図4】本発明の実施形態に基づいて、低減されたkを有する誘電体を製造する方法の第4のステップに従う基板の横断面図。
【図5】本発明の実施形態に基づいて、低減されたkを有する誘電体を製造する方法の第5のステップに従う基板の横断面図。
【図6】本発明の実施形態に基づいて、低減されたkを有する誘電体を製造する方法の第6のステップに従う基板の横断面図。
【図7】本発明の実施形態に基づいて、低減されたkを有する誘電体を製造する方法の第7のステップに従う基板の横断面図。
【図8】形成されうる相互接続構造のシミュレーション・モデルの横断面図。
【図9】本発明の実施形態に基づいて形成されうるクラッディング領域を有する相互接続構造のシミュレーション・モデルの横断面図。
【図10】本発明の実施形態に基づいて形成されうる相互接続構造のシミュレーション・モデルのシミュレーション結果のグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上のトレンチを含む誘電体層を形成するステップと、
前記誘電体の実効誘電率を減少させるために、前記トレンチの側壁および底部のうちの少なくとも一方に沿って、前記誘電体層内に複数の空隙を形成することにより、前記誘電体層内にクラッディング領域を形成するステップとを含む、
低減された誘電率を有する誘電体を製造する、方法。
【請求項2】
前記トレンチ内に相互接続を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記空隙が、前記トレンチの側壁および底部のうちの前記少なくとも一方に対してほぼ垂直である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記クラッディング領域を形成するステップが、
前記誘電体層内に酸化物の突出部を作るステップと、
前記誘電体層から前記酸化物の突出部をエッチングするステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記誘電体層から前記酸化物の突出部をエッチングするステップが、前記誘電体層から酸化物の突出部を除去するために希釈HFウェット・エッチングを使用するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記誘電体層内に酸化物の突出部を作るステップが、
前記基板上に多孔性シリコン層を形成するステップと、
前記多孔性シリコン層を酸化させて、酸素が、前記多孔性シリコン層の気孔を介して、前記誘電体層の中に拡散するようになされるステップとを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記基板上に前記多孔性シリコン層を形成するステップが、
前記基板上にシリコン層を形成するステップと、
前記シリコン層を前記多孔性シリコン層に変化させるために、陽極酸化処理を使用するステップとを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記多孔性シリコン層を酸化させて、酸素が、前記多孔性シリコン層の気孔を介して、前記誘電体層の中に拡散するようになされるステップが、前記基板を酸素プラズマに露出するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記クラッディング領域と前記トレンチの間に拡散障壁層を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記クラッディング領域を形成するステップが、
相互接続に隣接する材料の実効誘電率を減少させるステップと、
前記誘電体層の強度を保持するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記誘電体層が化学機械研磨に耐えることができる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
基板上のトレンチを含む誘電体層と、
前記誘電体の実効誘電率を減少させるために、前記トレンチの側壁および底部のうちの少なくとも一方に沿って、前記誘電体層内に複数の空隙を含む、前記誘電体層内のクラッディング領域とを含む、
半導体デバイス構成要素。
【請求項13】
前記誘電体層の誘電体が、少なくとも炭素および水素成分をドーピングされた酸化シリコンを含む、請求項12に記載の半導体デバイス構成要素。
【請求項14】
前記誘電体層の誘電体が、約2.9のkを有して、かつ前記クラッディング領域の前記実効誘電率が、約2.0未満である、請求項12に記載の半導体デバイス構成要素。
【請求項15】
各空隙が、直径約5オングストロームおよび長さ約200オングストローム以下である、請求項12に記載の半導体デバイス構成要素。
【請求項16】
前記クラッディング領域と前記トレンチの間の拡散障壁層をさらに含む、請求項12に記載の半導体デバイス構成要素。
【請求項17】
基板上のトレンチを含む誘電体層と、
前記誘電体の実効誘電率を減少させるために、前記トレンチの側壁および底部のうちの少なくとも一方に沿って、前記誘電体層内に複数の空隙を含む、前記誘電体層内のクラッディング領域とを有する、
半導体デバイス構成要素を含む、基板。
【請求項18】
前記トレンチ内に形成された相互接続をさらに含む、請求項17に記載の基板。
【請求項19】
前記相互接続が、前記クラッディング領域と前記トレンチの間の拡散障壁層をさらに含む、請求項18に記載の基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−227921(P2007−227921A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37720(P2007−37720)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】