光素子の外装およびその外装法
【課題】
解決すべき課題は、端面発光型、面発光型といった光源の形態や、単一モード、多モードといった光ファイバの種類に依らず、多芯光ファイバに接続できるサブアッセンブリ外装であって、作製時にアクティブアライメントを必要とせず、電気的リード線を短くすることと、光素子の外界からの隔離することとを両立させられる安価な光素子の外装を提供することである。
【解決手段】
本発明は、既存の多芯光ファイバ用標準フェルールと相補的な形状と結合機構を持ち標準フェルールと同質の材料を主な材料とした外装に、光素子の位置合せを簡単化した機構を組み合わせて、上記課題を解決しようとするものである。
解決すべき課題は、端面発光型、面発光型といった光源の形態や、単一モード、多モードといった光ファイバの種類に依らず、多芯光ファイバに接続できるサブアッセンブリ外装であって、作製時にアクティブアライメントを必要とせず、電気的リード線を短くすることと、光素子の外界からの隔離することとを両立させられる安価な光素子の外装を提供することである。
【解決手段】
本発明は、既存の多芯光ファイバ用標準フェルールと相補的な形状と結合機構を持ち標準フェルールと同質の材料を主な材料とした外装に、光素子の位置合せを簡単化した機構を組み合わせて、上記課題を解決しようとするものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ伝送に用いる光素子、中でもアレイ型光素子の外装に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最初に従来の外装を、単チャンネルの光通信用半導体レーザを例に説明する。先ず小さな球レンズ付の金属製キャップを、半導体レーザチップをマウントしたTO型ステムに被せ電気熔接して気密封止する。これに、光ファイバと嵌合するフェルールを載せ、このフェルールにモニタ用光ファイバを仮に挿入して半導体レーザを発光させ、光量を観視しつつ上記フェルールを動かして最適位置を見つける。この状態で上記TO型外装と上記フェルールとをレーザ熔接して固定・一体化する。この作業をアクティブアライメントと称する。できた物をTOSAと称して光部品の一単位、サブアッセンブリ、として取り扱う。これをモジュールメーカが、使うシステムのインタフェースに合せ、電気的部品を加えてモジュール化して通信システムに使うのである。受光素子であるホトダイオードも、TO型外装を施し、上記フェルールと一体化して、ROSAと称するサブアッセンブリとしている。
【0003】
多チャンネルの光伝送になると、上述の方法では、端面発光型半導体レーザの小さな発光点とレンズ及び単一モード光ファイバの小さなコアーの3者間の位置合せ操作が大変煩雑になる。さらに、それぞれのチャンネルの信号速度が高く各光素子への導線を長く出来なくなったことも加わって、TOSAやROSAといったサブアッセンブリが存在せず、モジュール全体で外装されるようになった。また、多チャンネル光伝送システムの用途が、通常の公共通信などに比べ近距離伝送であることから、光ファイバ内光量に多くを求めずとも事足りることから、レンズを省略することができる。
【0004】
しかし、先述の金属製キャップ先端の球レンズは、半導体光素子に水滴の付着や塵埃の付着、或は外部応力から素子チップを保護する働きを持っていたので、これに代わる保護機構を導入しなければならない。従来一般に用いられてきた光素子の外装ように、対向するファイバ端を並べたフェルールとの間に、単純にガラス板などを用いれば、保護の目的は達するが、発光面と光ファイバの間の距離が離れて、結合効率が下がると同時に隣接する光ファイバへ光が洩れ込む漏話が増大する危惧がある。
【0005】
セラミック製V溝中に多芯光ファイバ片を熔着し、これをアレイ型の端面発光型半導体レーザアレイにアクティブアライメントで正確に位置合せした後レーザ熔接して、これをモジュールの外装の一部とする光モジュールも市販され、既に公知の技術となっている。これは、単一モードを含む多芯光ファイバを伝送路として数キロメートル程度までの光伝送を実現したものである。ここでは、光素子と電気的回路との間は、周波数帯域幅を勘案して短くしたいとの必要性から、素子或はサブアッセンブリとしての外装はされず、モジュール全体として外装された。
【0006】
この種のモジュールは、その生産数量が汎用半導体製品ほど多くは無い為、筐体を金属の削り出しで作製したこと、セラミック製V溝を使用するなど原価低減が難しかった。また、セラミック製V溝中の多芯光ファイバ片を介して出力されて光はMPOコネクタを介して多芯光ファイバケーブルに接続されるが、このコネクタは一般に合成樹脂製フェルールを使っているため、対向するセラミック製V溝と熱膨張係数が合わず、温度変化によってチャンネル間で信号強度が変動する問題もあった。
【0007】
近年は、多チャンネルの光伝送の用途が数十メートル以下と極近距離のものに限られることから、光出力も光ファイバの伝送損失もあまり問題にならず、多モード光ファイバを使ってもモード分散も問題にならないため、850nmで発光する面発光型半導体レーザアレイを光源とし、多モード光ファイバを伝送路とする系統の採用が増えている。面発光型半導体レーザは、端面発光型半導体レーザに比べ発光点の大きさが10倍以上大きく放射角が狭いことと、コアー径の大きな多モード光ファイバの採用で、相互の位置合せが容易である。これは、製造に当りアクティブアライメントとレーザ熔着から開放し、安価に系統を構成することを可能にした。
【特許文献1】特開平11−72662号公報
【0008】
多芯光ファイバを用いた光伝送系統に用いるアレイ型光素子の外装に関する先行例として、特開平11−72662を挙げることができる。この構成では、位置合せ用のガイド穴を有するリードフレーム上の所定の位置にアレイ型の面発光型半導体レーザを半田付けしてモジュールとなし、このモジュール中のリードフレームの位置合せ用ガイド穴にガイドピンを使って対向するフェルール付き光ファイバアレイに効率よく光学的結合を行なう。
【0009】
この例では、モジュールハウジングと称する外装は述べられているが、半導体レーザ前面の保護に関する記載は無い。このままでは、光ファイバフェルールの挿抜に伴う異物の混入・付着あるいは圧迫や水の侵入・付着が危惧され、信頼性があるとは云い難い。一方、光ファイバフェルールを固定として外装の一環と考えるならば、ピッグテールファイバ付モジュールとなる。これは、特定の相手へ繋がることになり、別の範疇になる。また、ピッグテールの他端に別のコネクタを付け、これを含めて全体で光モジュールとすることも考えられるが、煩雑になる。さらに、対向する多芯光ファイバのフェルールは、一般に、エポキシ樹脂など合成樹脂で作られ、半導体光素子或はリードフレームとは熱膨張係数が大きく異なる。このため、温度変化に伴う位置のずれから、結合効率の大きな変化が起こる。
【0010】
最近の流れでは、多芯光ファイバを用いた光伝送系統でも、数百メートル以上への伝送距離の延伸も求められている。上述の例に見るように、既存の多チャンネル光伝送は、面発光型半導体レーザを光源とし、多モード光ファイバを伝送路とするため、伝送損失とモード分散のため、この要求に添えない憾みもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決すべき課題は、端面発光型、面発光型といった光源の形態や、単一モード、多モードといった光ファイバの種類に依らず、多芯光ファイバに接続できるサブアッセンブリ外装であって、作製時にアクティブアライメントを必要とせず、電気的リード線を短くすることと、光素子の外界からの隔離することとを両立させられる安価な光素子の外装を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、既存の多芯光ファイバ用標準フェルールと相補的な形状と結合機構を持ち標準フェルールと同質の材料を主な材料とした外装に、光素子の位置合せを簡単化した機構を組み合わせて、上記課題を解決しようとするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、広く使われている安価な材料・部品を用い、平易な工程で安価に組み立てられ、素子の型を選ばず適用でき、半導体光素子を塵埃、液滴などから保護でき、小さなサブアッセンブリとして取り扱え、多芯光ファイバケーブルやコードに直接繋がり、計算機相互接続、光通信用機器間相互接続など広い分野に採用可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る光素子外装の実施形態を、添付図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の第一実施形態の第一の実施例を示す光素子の外観斜視図である。図中(10)は素子基板ユニットを示し、(21)は外装の主体を示し、多芯光ファイバ接続用コネクタに用いるフェルールと同じ或はほぼ同質の合成樹脂で作られている。(22)は外部の多芯光ファイバと接続する際の位置合せ用案内孔を示す。(23a)は光ファイバ片の外端を示し、これら外端(23a)と上記案内孔(22)とは、多芯光ファイバ接続用コネクタの標準規格で定まった位置関係に配してある。(25)は内部観察・確認用窓の蓋である。
【0016】
図2(a)は、素子基板ユニット(10)の詳細を示す。金属基板(13)上に、アレイ型半導体レーザチップ(11)がサブマウント(16)を介して半田付けされている。また、この金属基板(13)上に、アレイ型の端面発光型半導体レーザチップ(11)の各発光点と対応したV溝を持つシリコン製ガイド(12)が接着されている。このアレイ型半導体レーザチップ(11)の共通電極は金属基板(13)に接続され、各発光点へ電流を供給する他の電極は、外部への導線に繋がれる、ここでは導線として、金属基板(13)上に蝋付けされたセラミック基板(14)上のそれぞれの電極パターン(15)を用いており、他の電極はこの電極パターン(15)に金線(17)で接続されている。
【0017】
図2(b)は、アレイ型半導体レーザチップ(11)とサブマウント(16)の部分の詳細を拡大して示す。一般に、端面発光型半導体レーザチップ(11)は厚さ100ミクロンで、発光位置はほぼ上面から数ミクロン下にある。アレイの各発光点を駆動する一方の電極は上面にあり、金線(17)の先端の金球(171)を押し付けてこの上面電極に圧着し、他端は電極パターン(15)の接続されている。もう一方の共通電極はチップ裏面にあって、別途金属基板(13)に接続されている。サブマウント(16)は熱膨張係数と熱伝導度の観点から、窒化アルミニウム(161)を無酸素銅板(162)上に蝋付けしたものである。この高さ、h、は、ここでは300ミクロンである。従って、発光点の高さは金属基板(13)の面からほぼ395ミクロンにある。
【0018】
これに対して、同図(c)に示すようにガイド(12)に刻まれたV溝(121a)は、その底角が60°で、直径125ミクロンの光ファイバの中心高さ、h、は、395ミクロンでなければならないから、V溝の底は下面から270ミクロンになる。また、このV溝のアレイ型半導体レーザチップ(11)とは反対側の角(121b)は何れも数十ミクロンに亘ってエッチングで面を取ってある。ここで、ガイド(12)の角を広く面を取る作業に代えて、ガイド(12)を数度から十度アレイ型半導体レーザチップ(11)とは反対側へ傾けておいても同様の効果が得られる。当然、高さの調整は必要である。
【0019】
図3(a)は、光素子を内包する前の状態にあるフェルール型キャップユニット(20)を示している。右側にこの側面図を示し、左側にA-A断面図を示す。ファイバ片(23)が、その外端(23a)周辺を外装の主体(21)に、接着・固定され、反対側の内端(23b)は長さ1mm以上に亘り半自由な状態にある。
【0020】
図3(b)は、素子基板ユニット(10)をフェルール型キャップユニット(20)に挿入した状態を示す。光ファイバ(23)の半自由にされていた内端(23b)は、ガイド(12)のV溝上に嵌り、アレイ型半導体レーザチップ(11)の発光点に対向する所定の位置に来ている。この状態で固定し、素子基板ユニット(10)とフェルール型キャップユニット(20)との嵌合部をエポキシ樹脂(31)で接着固定する。この後、同図(c)に示すように、フェルール型キャップユニット(20)の側面にあって、ファイバ片内端(23b)とガイド(12)のV溝との関係を観察・確認し、必要に応じて調整する窓(25)も、窓材(26)を接着して塞がれる。
【0021】
この様に、フェルール型キャップユニット(20)の材質として、多芯光ファイバ用コネクタに用いられているフェルールと同じ材質を用いていることで、温度変化があってもこのファイバ片(23)の外端(23a)と、これに対向する光ファイバ位置は共に同方向に移動することになり、結合損失に大きな変化は起きない。また、フェルール型キャップユニット(20)内にあるファイバ片(23)の内端(23b)は半導体であるシリコン製のガイド(12)で支えられ、アレイ型半導体レーザチップ(11)の発光点と共に移動するため、やはり結合損失に大きな変化は起きず、全体として安定して使える。
【0022】
この実施例では、ガイド(12)はV溝の場合について説明したが、図4に示すような円形の穴であっても良い。穴(122)の直径、d、は、用いる光ファイバの直径より僅かに大きい程度が良く、125ミクロンの直径を持つ通常の光ファイバに対しては126〜130ミクロン程度が良い。当然、穴(122)の中心の金属基板(13)からの高さ、h、は、上述の通り395ミクロンとした。さらに、ファイバ片(23)の半自由な内端(23b)を容易にこの穴(122)へ導くため、ロート状の穴(122a)にしてある。この直径、D、は、160〜180ミクロンにした。穴の形は、光ファイバがガタ5ミクロン以下で通れば、円形以外の三角形、四角形、或は六角形など、何でも構わない。
【0023】
また、金属基板(13)は、内部で発生する熱を外部へ導く効果がある。電気的に絶縁しながら、放熱を図りたい場合には、絶縁物であるセラミック、中でも熱伝導性の良い窒化アルミニウムや炭化シリコンなどの材料を用いることもできる。
【0024】
各発光点へ電流を供給する導線として、セラミック基板(14)上の電極パターン(15)を用いたが、これをマイクロストリップ線路或は、コ・プラナ線路とすることで、十ギガビット程度の高速電気信号を伝えることができる。
【実施例2】
【0025】
図5(a)は、半導体光素子をアレイ型ホトダイオードとして、ROSAとした実施例の素子基板ユニット(10−1)の細部を示す図である。金属基板(13)上に、ガイド(12)と、電極パターン(15)付のセラミック基板(14)が接着されている点は実施例1と同じである。サブマウント(16)上にアレイ型半導体レーザチップ(11)を置く代わりに、サブマウント(163)の側面にアレイ型ホトダイオードチップ(111)を接着した物を配する。先の実施例1の端面発光型半導体レーザは、チップ側面に光を放出するに対し、ここで使うホトダイオードはチップ表面に垂直方向からの光を感じる構造である為、サブマウントの側面に半田付けすることになる。この側面から見た詳細図を同図(b)に示す。各チャンネルに相当する受光面が(111a)で示され、これに対応する電気的出力は、金球(172)から金線(17)を通って導線としての電極パターン(15)へ出力される。受光面(111a)の金属基板(13)上面からの高さ、h、は先の実施例同様395ミクロンである。
【実施例3】
【0026】
アレイ型面発光型半導体レーザチップの外観は、上記面受光型のホトダイオードと同じである。従って、上記実施例2のホトダイオードを面発光型半導体レーザと読み替えれば、殆どそのままでアレイ型面発光型半導体レーザを光源とするTOSAとすることができる。
【実施例4】
【0027】
さらに、この外装内にトランスインピーダンスアンプ(TIA)や、抵抗、コンデンサなどの電子部品をもセラミック基板(14)上に組み込んで、低インピーダンスの電圧出力として扱えるようになり、電気的出力信号の対雑音比を改善したROSAとすることができた。同様に、駆動用ICを組み込んだTOSAとすることもできる。チャンネル間の電気的漏話を低減することも可能になる。
【実施例5】
【0028】
図6(a)は、1つの外装の中に、送信の役割を果たす光源と受信の役割を担う受光素子とを含めた実施例の図である。幅の狭い金属基板(13)上に4点アレイ型端面発光型半導体レーザを組み込んだ素子基板ユニット(10−2)と、同じく幅の狭い金属基板(13)上に4点アレイ型ホトダイオードを組み込んだ素子基板ユニット(10−3)とを8本の光ファイバ片を備えたフェルール形キャップユニット(20−1)に挿入しTROSAとも呼ぶべきサブアッセンブリとした。この例では、金属基板(13)を含めてセラミック基板(14)など全てが別の素子基板ユニットをつかった。しかし、同図(b)の様に、一枚の金属基板(13)上に素子基板ユニット(10−4)を構成した。この方が最終組立の煩雑さを低減できる。
【実施例6】
【0029】
図7は、セラミック基板やその上の導線パターンを使わず、全てをリードフレーム上に形成し組み立て後、これを切り離して電極とする実施例である。図中、(15−1)はこうして形成したリードリードフレームから切り離し、各リードを曲げてモジュール側の基板に半田付けし易くした導線である。これは、電気的導線と放熱板とを兼ねるものでもある。フェルール形キャップユニット(20−3)の形状はこれまでの実施例と同じである。
【実施例7】
【0030】
図8は、電気的導線をセラミック基板に代えて、曲げ易く配線の自由度が高いポリイミド板(14−1)を使うものである。導線パターン(15−2)をポリイミド板(14−1)上に描いてある。セラミック基板では、モジュールの構造、部品の配置に強く制約を課すことになり、使いにくいが、ポリイミドを使うことでこの制約を大幅に低減することになる。また、ポリイミドは高周波損失が少なく、10Gビット帯でも使用に耐える。さらに、薄くできることから単位面積当たりの表裏の静電容量を大きくとれ、同じ特性インピーダンスを得るのに幅の狭いパターンとできるので、多くの信号を出し入れしなければならないチャンネル数の多いTROSAなどに必須となる。この実施例では、放熱と保持の為、金属基板(13)を設けてある。フェルール形キャップユニット(20−4)の形状はこれまでの実施例と同じである。
【実施例8】
【0031】
この実施例は、導線を引出すのではなく、図9に示すように、端子或は電極パッド(15−3)としたものである。フェルール形キャップユニット(20−5)の中身は、実施例7と類似である。即ち、図8の金属基板(13)とポリイミド板(14−1)とをフェルール形キャップユニット(20−5)の下端に達する程度に短くし、貫通した導線を多数備えたガラスエポキシ基板(18)上面の一部の導線端に短い金属基板(13)の下端を半田付けし、短くしたポリイミド板(14−1)上のパターン(15−2)の各チャンネル端をガラスエポキシ基板(18)の残りの導線端に半田付けし、フェルール形キャップユニット(20−5)を被せて、ガラスエポキシ基板(18)との間を接着、密封して完成させる。モジュールに組み込む際に便利である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
図10は、本発明による光素子(1)をモジュールに組み込む場合、光素子(1)は、モジュールの一方の端にアダプタ(51)と共に金具(54)と板材(55)を用い、ビス・ナット(56)でモジュール本体(52)に固定される。繋ぐべき相手の多芯光ファイバコネクタには、国際的規格従ったMPOコネクタ(60)が付いている。アダプタは、このMPOコネクタ(60)と着脱自在に繋げる為の機構の相手方の部品である。このMPOコネクタ(60)には、多芯光ファイバの先端を所定の位置に保持するフェルール(40)とその結合状態を維持する為のもう一方の相補的機構が入っている。相互の位置合せは、MPOコネクタ(60)先端のフェルール(40)から突き出した案内子が、フェルール形キャップユニット(20)にある案内孔に挿入されることでじつげんする。
【0033】
図11は、本発明になる光素子(1)を組み込み、アダプタ(51)を備えた光モジュール本体(52)と、MPOコネクタ(60)付多芯光ファイバ(42)とを繋ごうとしている様子を示している。MPOコネクタ(60)の先端に案内子(44)がでている。MPOコネクタ(60)を光モジュール(52)のアダプタ(51)に挿入することで、光素子(1)と光ファイバ(42)とが繋がると、電気信号は光モジュール(52)の端子(53)を通って出入りする。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第一の実施形態に於ける第一の実施例(外観図)
【図2】本発明の第一の実施例に於ける素子基板ユニット部分を示す図 (a)素子基板ユニットの外形図 (b)アレイ型半導体レーザチップとサブマウントの部分を示す図 (c)ガイドとこれに刻まれたV溝を示す図
【図3】本発明の第一の実施例に於ける (a)光素子を挿入する前のフェルール型キャップユニットを示す図 (b)素子基板ユニットをフェルール型キャップユニットに挿入した状態を示す図 (c)フェルール型キャップユニットの側面の窓を窓材で閉塞することを示す図
【図4】本発明の第一の実施例の部分変形例として、ガイドをV溝から円形の穴に変えた例
【図5】本発明の第二の実施例 (a)半導体光素子をアレイ型ホトダイオードとして、ROSAとした素子基板ユニットを示す図 (b)アレイ型ホトダイオードの受光面周辺を説明する図
【図6】本発明の第五の実施例 (a)4点アレイ型端面発光型半導体レーザを組み込んだ素子基板ユニットと、4点アレイ型ホトダイオードを組み込んだ素子基板ユニットとを1つのフェルール形キャップユニットの中に、挿入した図 (b)一枚の金属基板上に2種類の素子基板ユニット機能を構成した図
【図7】本発明の第六の実施例として、導線にリードフレームを使った図
【図8】本発明の第七の実施例として、電気的導線をポリイミド板上に形成した図
【図9】本発明の第八の実施例として、導線を引出すのではなく、電極パッドとした図
【図10】本発明による光素子のモジュールへの組み込み法を示す図
【図11】本発明になる光素子を組み込んだ光モジュールと、MPOコネクタ付多芯光ファイバとの接続を示す図
【符号の説明】
【0035】
1:本発明による光素子
10:素子基板ユニット
11:アレイ型半導体レーザチップ
12:ガイド
13: 金属基板
14:セラミック基板
15:電極パターン
16:サブマウント
17:金線
18:ガラスエポキシ基板
20:フェルール型キャップユニット
21:外装の主体
22: 案内孔
23:ファイバ片
23a:ファイバ片の外端
23b:ファイバ片の内端
25:窓
26:窓材
31:エポキシ樹脂
40:フェルール
42:多芯光ファイバ
44:案内子(44)
51:アダプタ
52:モジュール本体
53:端子
54: 金具
55:板材
56:ビス・ナット
60:MPOコネクタ
10−1:ROSA素子基板ユニット
10−2:素子基板ユニット
10−3:素子基板ユニット
10−4:素子基板ユニット
14−1:ポリイミド板
15−1:リードリードフレームの各リードを曲げた導線
15−2:導線パターン
15−3:端子或は電極パッド
20−1:フェルール形キャップユニット
20−2:フェルール形キャップユニット
20−3:フェルール形キャップユニット
20−4:フェルール形キャップユニット
20−5:フェルール形キャップユニット
111:アレイ型ホトダイオードチップ
111a:受光面
121a: V溝
121b: V溝の半導体レーザチップとは反対側の角
122:穴
122a:ロート状の穴
161: 窒化アルミニウム
162: 無酸素銅板
163:サブマウント
171:金球
172:金球
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ伝送に用いる光素子、中でもアレイ型光素子の外装に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最初に従来の外装を、単チャンネルの光通信用半導体レーザを例に説明する。先ず小さな球レンズ付の金属製キャップを、半導体レーザチップをマウントしたTO型ステムに被せ電気熔接して気密封止する。これに、光ファイバと嵌合するフェルールを載せ、このフェルールにモニタ用光ファイバを仮に挿入して半導体レーザを発光させ、光量を観視しつつ上記フェルールを動かして最適位置を見つける。この状態で上記TO型外装と上記フェルールとをレーザ熔接して固定・一体化する。この作業をアクティブアライメントと称する。できた物をTOSAと称して光部品の一単位、サブアッセンブリ、として取り扱う。これをモジュールメーカが、使うシステムのインタフェースに合せ、電気的部品を加えてモジュール化して通信システムに使うのである。受光素子であるホトダイオードも、TO型外装を施し、上記フェルールと一体化して、ROSAと称するサブアッセンブリとしている。
【0003】
多チャンネルの光伝送になると、上述の方法では、端面発光型半導体レーザの小さな発光点とレンズ及び単一モード光ファイバの小さなコアーの3者間の位置合せ操作が大変煩雑になる。さらに、それぞれのチャンネルの信号速度が高く各光素子への導線を長く出来なくなったことも加わって、TOSAやROSAといったサブアッセンブリが存在せず、モジュール全体で外装されるようになった。また、多チャンネル光伝送システムの用途が、通常の公共通信などに比べ近距離伝送であることから、光ファイバ内光量に多くを求めずとも事足りることから、レンズを省略することができる。
【0004】
しかし、先述の金属製キャップ先端の球レンズは、半導体光素子に水滴の付着や塵埃の付着、或は外部応力から素子チップを保護する働きを持っていたので、これに代わる保護機構を導入しなければならない。従来一般に用いられてきた光素子の外装ように、対向するファイバ端を並べたフェルールとの間に、単純にガラス板などを用いれば、保護の目的は達するが、発光面と光ファイバの間の距離が離れて、結合効率が下がると同時に隣接する光ファイバへ光が洩れ込む漏話が増大する危惧がある。
【0005】
セラミック製V溝中に多芯光ファイバ片を熔着し、これをアレイ型の端面発光型半導体レーザアレイにアクティブアライメントで正確に位置合せした後レーザ熔接して、これをモジュールの外装の一部とする光モジュールも市販され、既に公知の技術となっている。これは、単一モードを含む多芯光ファイバを伝送路として数キロメートル程度までの光伝送を実現したものである。ここでは、光素子と電気的回路との間は、周波数帯域幅を勘案して短くしたいとの必要性から、素子或はサブアッセンブリとしての外装はされず、モジュール全体として外装された。
【0006】
この種のモジュールは、その生産数量が汎用半導体製品ほど多くは無い為、筐体を金属の削り出しで作製したこと、セラミック製V溝を使用するなど原価低減が難しかった。また、セラミック製V溝中の多芯光ファイバ片を介して出力されて光はMPOコネクタを介して多芯光ファイバケーブルに接続されるが、このコネクタは一般に合成樹脂製フェルールを使っているため、対向するセラミック製V溝と熱膨張係数が合わず、温度変化によってチャンネル間で信号強度が変動する問題もあった。
【0007】
近年は、多チャンネルの光伝送の用途が数十メートル以下と極近距離のものに限られることから、光出力も光ファイバの伝送損失もあまり問題にならず、多モード光ファイバを使ってもモード分散も問題にならないため、850nmで発光する面発光型半導体レーザアレイを光源とし、多モード光ファイバを伝送路とする系統の採用が増えている。面発光型半導体レーザは、端面発光型半導体レーザに比べ発光点の大きさが10倍以上大きく放射角が狭いことと、コアー径の大きな多モード光ファイバの採用で、相互の位置合せが容易である。これは、製造に当りアクティブアライメントとレーザ熔着から開放し、安価に系統を構成することを可能にした。
【特許文献1】特開平11−72662号公報
【0008】
多芯光ファイバを用いた光伝送系統に用いるアレイ型光素子の外装に関する先行例として、特開平11−72662を挙げることができる。この構成では、位置合せ用のガイド穴を有するリードフレーム上の所定の位置にアレイ型の面発光型半導体レーザを半田付けしてモジュールとなし、このモジュール中のリードフレームの位置合せ用ガイド穴にガイドピンを使って対向するフェルール付き光ファイバアレイに効率よく光学的結合を行なう。
【0009】
この例では、モジュールハウジングと称する外装は述べられているが、半導体レーザ前面の保護に関する記載は無い。このままでは、光ファイバフェルールの挿抜に伴う異物の混入・付着あるいは圧迫や水の侵入・付着が危惧され、信頼性があるとは云い難い。一方、光ファイバフェルールを固定として外装の一環と考えるならば、ピッグテールファイバ付モジュールとなる。これは、特定の相手へ繋がることになり、別の範疇になる。また、ピッグテールの他端に別のコネクタを付け、これを含めて全体で光モジュールとすることも考えられるが、煩雑になる。さらに、対向する多芯光ファイバのフェルールは、一般に、エポキシ樹脂など合成樹脂で作られ、半導体光素子或はリードフレームとは熱膨張係数が大きく異なる。このため、温度変化に伴う位置のずれから、結合効率の大きな変化が起こる。
【0010】
最近の流れでは、多芯光ファイバを用いた光伝送系統でも、数百メートル以上への伝送距離の延伸も求められている。上述の例に見るように、既存の多チャンネル光伝送は、面発光型半導体レーザを光源とし、多モード光ファイバを伝送路とするため、伝送損失とモード分散のため、この要求に添えない憾みもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決すべき課題は、端面発光型、面発光型といった光源の形態や、単一モード、多モードといった光ファイバの種類に依らず、多芯光ファイバに接続できるサブアッセンブリ外装であって、作製時にアクティブアライメントを必要とせず、電気的リード線を短くすることと、光素子の外界からの隔離することとを両立させられる安価な光素子の外装を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、既存の多芯光ファイバ用標準フェルールと相補的な形状と結合機構を持ち標準フェルールと同質の材料を主な材料とした外装に、光素子の位置合せを簡単化した機構を組み合わせて、上記課題を解決しようとするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、広く使われている安価な材料・部品を用い、平易な工程で安価に組み立てられ、素子の型を選ばず適用でき、半導体光素子を塵埃、液滴などから保護でき、小さなサブアッセンブリとして取り扱え、多芯光ファイバケーブルやコードに直接繋がり、計算機相互接続、光通信用機器間相互接続など広い分野に採用可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る光素子外装の実施形態を、添付図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の第一実施形態の第一の実施例を示す光素子の外観斜視図である。図中(10)は素子基板ユニットを示し、(21)は外装の主体を示し、多芯光ファイバ接続用コネクタに用いるフェルールと同じ或はほぼ同質の合成樹脂で作られている。(22)は外部の多芯光ファイバと接続する際の位置合せ用案内孔を示す。(23a)は光ファイバ片の外端を示し、これら外端(23a)と上記案内孔(22)とは、多芯光ファイバ接続用コネクタの標準規格で定まった位置関係に配してある。(25)は内部観察・確認用窓の蓋である。
【0016】
図2(a)は、素子基板ユニット(10)の詳細を示す。金属基板(13)上に、アレイ型半導体レーザチップ(11)がサブマウント(16)を介して半田付けされている。また、この金属基板(13)上に、アレイ型の端面発光型半導体レーザチップ(11)の各発光点と対応したV溝を持つシリコン製ガイド(12)が接着されている。このアレイ型半導体レーザチップ(11)の共通電極は金属基板(13)に接続され、各発光点へ電流を供給する他の電極は、外部への導線に繋がれる、ここでは導線として、金属基板(13)上に蝋付けされたセラミック基板(14)上のそれぞれの電極パターン(15)を用いており、他の電極はこの電極パターン(15)に金線(17)で接続されている。
【0017】
図2(b)は、アレイ型半導体レーザチップ(11)とサブマウント(16)の部分の詳細を拡大して示す。一般に、端面発光型半導体レーザチップ(11)は厚さ100ミクロンで、発光位置はほぼ上面から数ミクロン下にある。アレイの各発光点を駆動する一方の電極は上面にあり、金線(17)の先端の金球(171)を押し付けてこの上面電極に圧着し、他端は電極パターン(15)の接続されている。もう一方の共通電極はチップ裏面にあって、別途金属基板(13)に接続されている。サブマウント(16)は熱膨張係数と熱伝導度の観点から、窒化アルミニウム(161)を無酸素銅板(162)上に蝋付けしたものである。この高さ、h、は、ここでは300ミクロンである。従って、発光点の高さは金属基板(13)の面からほぼ395ミクロンにある。
【0018】
これに対して、同図(c)に示すようにガイド(12)に刻まれたV溝(121a)は、その底角が60°で、直径125ミクロンの光ファイバの中心高さ、h、は、395ミクロンでなければならないから、V溝の底は下面から270ミクロンになる。また、このV溝のアレイ型半導体レーザチップ(11)とは反対側の角(121b)は何れも数十ミクロンに亘ってエッチングで面を取ってある。ここで、ガイド(12)の角を広く面を取る作業に代えて、ガイド(12)を数度から十度アレイ型半導体レーザチップ(11)とは反対側へ傾けておいても同様の効果が得られる。当然、高さの調整は必要である。
【0019】
図3(a)は、光素子を内包する前の状態にあるフェルール型キャップユニット(20)を示している。右側にこの側面図を示し、左側にA-A断面図を示す。ファイバ片(23)が、その外端(23a)周辺を外装の主体(21)に、接着・固定され、反対側の内端(23b)は長さ1mm以上に亘り半自由な状態にある。
【0020】
図3(b)は、素子基板ユニット(10)をフェルール型キャップユニット(20)に挿入した状態を示す。光ファイバ(23)の半自由にされていた内端(23b)は、ガイド(12)のV溝上に嵌り、アレイ型半導体レーザチップ(11)の発光点に対向する所定の位置に来ている。この状態で固定し、素子基板ユニット(10)とフェルール型キャップユニット(20)との嵌合部をエポキシ樹脂(31)で接着固定する。この後、同図(c)に示すように、フェルール型キャップユニット(20)の側面にあって、ファイバ片内端(23b)とガイド(12)のV溝との関係を観察・確認し、必要に応じて調整する窓(25)も、窓材(26)を接着して塞がれる。
【0021】
この様に、フェルール型キャップユニット(20)の材質として、多芯光ファイバ用コネクタに用いられているフェルールと同じ材質を用いていることで、温度変化があってもこのファイバ片(23)の外端(23a)と、これに対向する光ファイバ位置は共に同方向に移動することになり、結合損失に大きな変化は起きない。また、フェルール型キャップユニット(20)内にあるファイバ片(23)の内端(23b)は半導体であるシリコン製のガイド(12)で支えられ、アレイ型半導体レーザチップ(11)の発光点と共に移動するため、やはり結合損失に大きな変化は起きず、全体として安定して使える。
【0022】
この実施例では、ガイド(12)はV溝の場合について説明したが、図4に示すような円形の穴であっても良い。穴(122)の直径、d、は、用いる光ファイバの直径より僅かに大きい程度が良く、125ミクロンの直径を持つ通常の光ファイバに対しては126〜130ミクロン程度が良い。当然、穴(122)の中心の金属基板(13)からの高さ、h、は、上述の通り395ミクロンとした。さらに、ファイバ片(23)の半自由な内端(23b)を容易にこの穴(122)へ導くため、ロート状の穴(122a)にしてある。この直径、D、は、160〜180ミクロンにした。穴の形は、光ファイバがガタ5ミクロン以下で通れば、円形以外の三角形、四角形、或は六角形など、何でも構わない。
【0023】
また、金属基板(13)は、内部で発生する熱を外部へ導く効果がある。電気的に絶縁しながら、放熱を図りたい場合には、絶縁物であるセラミック、中でも熱伝導性の良い窒化アルミニウムや炭化シリコンなどの材料を用いることもできる。
【0024】
各発光点へ電流を供給する導線として、セラミック基板(14)上の電極パターン(15)を用いたが、これをマイクロストリップ線路或は、コ・プラナ線路とすることで、十ギガビット程度の高速電気信号を伝えることができる。
【実施例2】
【0025】
図5(a)は、半導体光素子をアレイ型ホトダイオードとして、ROSAとした実施例の素子基板ユニット(10−1)の細部を示す図である。金属基板(13)上に、ガイド(12)と、電極パターン(15)付のセラミック基板(14)が接着されている点は実施例1と同じである。サブマウント(16)上にアレイ型半導体レーザチップ(11)を置く代わりに、サブマウント(163)の側面にアレイ型ホトダイオードチップ(111)を接着した物を配する。先の実施例1の端面発光型半導体レーザは、チップ側面に光を放出するに対し、ここで使うホトダイオードはチップ表面に垂直方向からの光を感じる構造である為、サブマウントの側面に半田付けすることになる。この側面から見た詳細図を同図(b)に示す。各チャンネルに相当する受光面が(111a)で示され、これに対応する電気的出力は、金球(172)から金線(17)を通って導線としての電極パターン(15)へ出力される。受光面(111a)の金属基板(13)上面からの高さ、h、は先の実施例同様395ミクロンである。
【実施例3】
【0026】
アレイ型面発光型半導体レーザチップの外観は、上記面受光型のホトダイオードと同じである。従って、上記実施例2のホトダイオードを面発光型半導体レーザと読み替えれば、殆どそのままでアレイ型面発光型半導体レーザを光源とするTOSAとすることができる。
【実施例4】
【0027】
さらに、この外装内にトランスインピーダンスアンプ(TIA)や、抵抗、コンデンサなどの電子部品をもセラミック基板(14)上に組み込んで、低インピーダンスの電圧出力として扱えるようになり、電気的出力信号の対雑音比を改善したROSAとすることができた。同様に、駆動用ICを組み込んだTOSAとすることもできる。チャンネル間の電気的漏話を低減することも可能になる。
【実施例5】
【0028】
図6(a)は、1つの外装の中に、送信の役割を果たす光源と受信の役割を担う受光素子とを含めた実施例の図である。幅の狭い金属基板(13)上に4点アレイ型端面発光型半導体レーザを組み込んだ素子基板ユニット(10−2)と、同じく幅の狭い金属基板(13)上に4点アレイ型ホトダイオードを組み込んだ素子基板ユニット(10−3)とを8本の光ファイバ片を備えたフェルール形キャップユニット(20−1)に挿入しTROSAとも呼ぶべきサブアッセンブリとした。この例では、金属基板(13)を含めてセラミック基板(14)など全てが別の素子基板ユニットをつかった。しかし、同図(b)の様に、一枚の金属基板(13)上に素子基板ユニット(10−4)を構成した。この方が最終組立の煩雑さを低減できる。
【実施例6】
【0029】
図7は、セラミック基板やその上の導線パターンを使わず、全てをリードフレーム上に形成し組み立て後、これを切り離して電極とする実施例である。図中、(15−1)はこうして形成したリードリードフレームから切り離し、各リードを曲げてモジュール側の基板に半田付けし易くした導線である。これは、電気的導線と放熱板とを兼ねるものでもある。フェルール形キャップユニット(20−3)の形状はこれまでの実施例と同じである。
【実施例7】
【0030】
図8は、電気的導線をセラミック基板に代えて、曲げ易く配線の自由度が高いポリイミド板(14−1)を使うものである。導線パターン(15−2)をポリイミド板(14−1)上に描いてある。セラミック基板では、モジュールの構造、部品の配置に強く制約を課すことになり、使いにくいが、ポリイミドを使うことでこの制約を大幅に低減することになる。また、ポリイミドは高周波損失が少なく、10Gビット帯でも使用に耐える。さらに、薄くできることから単位面積当たりの表裏の静電容量を大きくとれ、同じ特性インピーダンスを得るのに幅の狭いパターンとできるので、多くの信号を出し入れしなければならないチャンネル数の多いTROSAなどに必須となる。この実施例では、放熱と保持の為、金属基板(13)を設けてある。フェルール形キャップユニット(20−4)の形状はこれまでの実施例と同じである。
【実施例8】
【0031】
この実施例は、導線を引出すのではなく、図9に示すように、端子或は電極パッド(15−3)としたものである。フェルール形キャップユニット(20−5)の中身は、実施例7と類似である。即ち、図8の金属基板(13)とポリイミド板(14−1)とをフェルール形キャップユニット(20−5)の下端に達する程度に短くし、貫通した導線を多数備えたガラスエポキシ基板(18)上面の一部の導線端に短い金属基板(13)の下端を半田付けし、短くしたポリイミド板(14−1)上のパターン(15−2)の各チャンネル端をガラスエポキシ基板(18)の残りの導線端に半田付けし、フェルール形キャップユニット(20−5)を被せて、ガラスエポキシ基板(18)との間を接着、密封して完成させる。モジュールに組み込む際に便利である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
図10は、本発明による光素子(1)をモジュールに組み込む場合、光素子(1)は、モジュールの一方の端にアダプタ(51)と共に金具(54)と板材(55)を用い、ビス・ナット(56)でモジュール本体(52)に固定される。繋ぐべき相手の多芯光ファイバコネクタには、国際的規格従ったMPOコネクタ(60)が付いている。アダプタは、このMPOコネクタ(60)と着脱自在に繋げる為の機構の相手方の部品である。このMPOコネクタ(60)には、多芯光ファイバの先端を所定の位置に保持するフェルール(40)とその結合状態を維持する為のもう一方の相補的機構が入っている。相互の位置合せは、MPOコネクタ(60)先端のフェルール(40)から突き出した案内子が、フェルール形キャップユニット(20)にある案内孔に挿入されることでじつげんする。
【0033】
図11は、本発明になる光素子(1)を組み込み、アダプタ(51)を備えた光モジュール本体(52)と、MPOコネクタ(60)付多芯光ファイバ(42)とを繋ごうとしている様子を示している。MPOコネクタ(60)の先端に案内子(44)がでている。MPOコネクタ(60)を光モジュール(52)のアダプタ(51)に挿入することで、光素子(1)と光ファイバ(42)とが繋がると、電気信号は光モジュール(52)の端子(53)を通って出入りする。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第一の実施形態に於ける第一の実施例(外観図)
【図2】本発明の第一の実施例に於ける素子基板ユニット部分を示す図 (a)素子基板ユニットの外形図 (b)アレイ型半導体レーザチップとサブマウントの部分を示す図 (c)ガイドとこれに刻まれたV溝を示す図
【図3】本発明の第一の実施例に於ける (a)光素子を挿入する前のフェルール型キャップユニットを示す図 (b)素子基板ユニットをフェルール型キャップユニットに挿入した状態を示す図 (c)フェルール型キャップユニットの側面の窓を窓材で閉塞することを示す図
【図4】本発明の第一の実施例の部分変形例として、ガイドをV溝から円形の穴に変えた例
【図5】本発明の第二の実施例 (a)半導体光素子をアレイ型ホトダイオードとして、ROSAとした素子基板ユニットを示す図 (b)アレイ型ホトダイオードの受光面周辺を説明する図
【図6】本発明の第五の実施例 (a)4点アレイ型端面発光型半導体レーザを組み込んだ素子基板ユニットと、4点アレイ型ホトダイオードを組み込んだ素子基板ユニットとを1つのフェルール形キャップユニットの中に、挿入した図 (b)一枚の金属基板上に2種類の素子基板ユニット機能を構成した図
【図7】本発明の第六の実施例として、導線にリードフレームを使った図
【図8】本発明の第七の実施例として、電気的導線をポリイミド板上に形成した図
【図9】本発明の第八の実施例として、導線を引出すのではなく、電極パッドとした図
【図10】本発明による光素子のモジュールへの組み込み法を示す図
【図11】本発明になる光素子を組み込んだ光モジュールと、MPOコネクタ付多芯光ファイバとの接続を示す図
【符号の説明】
【0035】
1:本発明による光素子
10:素子基板ユニット
11:アレイ型半導体レーザチップ
12:ガイド
13: 金属基板
14:セラミック基板
15:電極パターン
16:サブマウント
17:金線
18:ガラスエポキシ基板
20:フェルール型キャップユニット
21:外装の主体
22: 案内孔
23:ファイバ片
23a:ファイバ片の外端
23b:ファイバ片の内端
25:窓
26:窓材
31:エポキシ樹脂
40:フェルール
42:多芯光ファイバ
44:案内子(44)
51:アダプタ
52:モジュール本体
53:端子
54: 金具
55:板材
56:ビス・ナット
60:MPOコネクタ
10−1:ROSA素子基板ユニット
10−2:素子基板ユニット
10−3:素子基板ユニット
10−4:素子基板ユニット
14−1:ポリイミド板
15−1:リードリードフレームの各リードを曲げた導線
15−2:導線パターン
15−3:端子或は電極パッド
20−1:フェルール形キャップユニット
20−2:フェルール形キャップユニット
20−3:フェルール形キャップユニット
20−4:フェルール形キャップユニット
20−5:フェルール形キャップユニット
111:アレイ型ホトダイオードチップ
111a:受光面
121a: V溝
121b: V溝の半導体レーザチップとは反対側の角
122:穴
122a:ロート状の穴
161: 窒化アルミニウム
162: 無酸素銅板
163:サブマウント
171:金球
172:金球
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と受光素子の少なくとも一方の光素子を内蔵し、該光素子と電気的に外部と繋がる導線あるいは端子を有し、上記光素子と外界とを光ファイバ片が当該光素子の外装の一部をなし、該光ファイバ片の外端と一定の位置関係を持つ機械的案内子又は案内孔を備たことを特徴とする光素子の外装。
【請求項2】
上記請求項1記載の光素子の外装に於いて、外装の主要部分の素材が合成樹脂であることを特徴とする光素子の外装。
【請求項3】
上記請求項1記載の光素子の外装に於いて、内部と外部とに繋がる金属板またはセラミック板、或はこの両方を備えることを特徴とする光素子の外装。
【請求項4】
上記請求項1記載の光素子の外装に於いて、内蔵の光素子と外部とを電気的に結ぶ導線の少なくとも一部がマイクロストリップ線路或はコ・プラナ導波路であることを特徴とする光素子の外装。
【請求項5】
上記請求項1記載の光素子の外装を施す工程に於いて、少なくとも、光ファイバ片の内端を半自由とし外端を外装主体に固定する工程、該光素子の主材と同じ或はそれに近い熱膨張係数を持つ材料で作られたガイドと該光素子チップとを共通の基板上で位置合せして固定する工程、これを上記外装主体に挿入して、上記ガイドに半自由とした上記光ファイバ片内端を宛がう工程とを備えたことを特徴とする光素子の外装法。
【請求項1】
発光素子と受光素子の少なくとも一方の光素子を内蔵し、該光素子と電気的に外部と繋がる導線あるいは端子を有し、上記光素子と外界とを光ファイバ片が当該光素子の外装の一部をなし、該光ファイバ片の外端と一定の位置関係を持つ機械的案内子又は案内孔を備たことを特徴とする光素子の外装。
【請求項2】
上記請求項1記載の光素子の外装に於いて、外装の主要部分の素材が合成樹脂であることを特徴とする光素子の外装。
【請求項3】
上記請求項1記載の光素子の外装に於いて、内部と外部とに繋がる金属板またはセラミック板、或はこの両方を備えることを特徴とする光素子の外装。
【請求項4】
上記請求項1記載の光素子の外装に於いて、内蔵の光素子と外部とを電気的に結ぶ導線の少なくとも一部がマイクロストリップ線路或はコ・プラナ導波路であることを特徴とする光素子の外装。
【請求項5】
上記請求項1記載の光素子の外装を施す工程に於いて、少なくとも、光ファイバ片の内端を半自由とし外端を外装主体に固定する工程、該光素子の主材と同じ或はそれに近い熱膨張係数を持つ材料で作られたガイドと該光素子チップとを共通の基板上で位置合せして固定する工程、これを上記外装主体に挿入して、上記ガイドに半自由とした上記光ファイバ片内端を宛がう工程とを備えたことを特徴とする光素子の外装法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−25433(P2009−25433A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186576(P2007−186576)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(307008749)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(307008749)
【Fターム(参考)】
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