説明

光結合回路及びこれを用いた信号送受信用光モジュール

【課題】電気伝送を代替する光インターコネクション用の光結合回路を部品点数が少なく且つ安価に入手し得るようにし、損失の少ない送受信用光モジュールを提供すること。
【解決手段】光インターコネクション回路の一部を成す光結合回路11を、ボード10上に入力される光信号を一方の端部から他方の端部に案内する導波路12と、この導波路12の他方の端部に異なった方向への光信号の送受信を案内する45度多重反射ミラー14と、この45度多重反射ミラー14を介して光信号を送受信し外部に対して信号の授受を中継する信号伝達手段15,25…とを備え、前記導波路12には前記45度多重反射ミラー14内での光信号の広がりを抑制する光レンズ部12cを設け、この光レンズ部12cを前記導波路と一体化するように構成した。そして、信号送受信用光モジュールでは、この光結合回路を装備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光結合回路及びこれを用いた信号送受信用光モジュールに係り、特に、サーバ,ルータ,又はHPCに適用する光インターコネクション用モジュールに用いられる光結合回路及びこれを用いた信号送受信用光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
(最近の動向)
10〔Gbps 〕以上のインターコネクションの高速化において、電気伝送の限界が見えはじめている。特に、筐体間の伝送距離を確保するための電気伝送では、波形整形回路を付加するなどに起因して消費電力の増大が問題になっている。そのため、昨今にあっては、光インターコネクションを用いて波形整形回路を不要とすることで消費電力を低減することが提案されている。
【0003】
一方、インターコネクション用として光インターコネクションを用いる場合には、電気信号を光信号に、又光信号を電気信号に変換する光モジュールが必要である。
このような光モジュールの例として、非特許文献1や非特許文献2にはマルチチャンネルの光トランシーバが報告されている。
【0004】
非特許文献1の図1や非特許文献2の図7および図9に示されるように、光モジュールは、光駆動回路(LDD,TIA)と光素子(VCSEL,PD)、レンズ、電気配線、光配線、ミラー、及びコネクタから構成される。このような光モジュールでは、光素子としては面発光レーザ素子(面発光型半導体レーザ:VCSEL)が用いられる。
【0005】
この面発光レーザ(VCSEL)は端面発光レーザに比べて動作電流が小さく、これを駆動するICの消費電力を抑制できるメリットがある。この面発光レーザにおいては、レーザ光はVCSELチップに対して垂直方向に出射される。
このため、非特許文献1のようにポリマー導波路を光信号線路に用いる場合や、非特許文献2のようにマルチモード光ファイバ(MMF)と結合し且つモジュールが実装されるボードとボードの間隔が狭い場合には、反射端面が45度に設定された45度ミラーとレンズとを介することで、光素子と導波路の間の光結合を行なっている。
【0006】
この45度ミラーは作製しやすく光路を変換できるが、自由空間において45度ミラーだけでは光が広がってしまう。従って高効率の光結合を実現するためにレンズと一緒に用いられる。
【0007】
これに対して、45度ミラーとレンズの組み合わせを用いずに光路を変換するものとしては特許文献1の図14や図17に示される光路変換部品がある。
この特許文献1に開示された構造では、光は導波路により閉じ込められたまま45度ミラーにより光路が変換できるために、光は広がることなく光路変換をすることが可能となる。
更に、電気信号を光信号に変換して光導波路に送り込む光電変換部材として面発光レーザが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-334343
【特許文献2】特開2009-141119
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】OFC/NFOEC2008 予稿集 OThS4
【非特許文献2】ECTC2008 予稿集 1838 ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、電気伝送を代替するような光インタ−コネクションには、従来より低コスト化が求められる。しかしながら、この光インタ−コネクションについては、光モジュールの部品コスト及びアセンブリコストが高いため、高性能コンピューティングシステム(HPC:High Performance Computing systems)や高級ルータなどの高価な装置にしか導入が進んでいなかった。
【0011】
又、非特許文献1や非特許文献2のようにレンズとミラーを使う光モジュールには、低コスト化に向けて部品点数の削減が求められている。
更に、レンズを用いない特許文献1のような構造では、部品点数を減らせる可能性はあるものの部材の作製ばらつきを考慮すると、光路変換部品と導波路の間の光軸調整が難しいという課題があり、これがため、低コストの画像処理などを利用しての実装を適用することができないという問題があった。
また、特許文献2では、光電変換部材にかかる技術内容の開示にとどめられており、その応用回路については開示がない。
【0012】
(発明の目的)
本発明は、かかる関連技術の有する不都合を改善し、特に部品点数が少なく且つ安価に入手し得る生産性良好な光結合回路及びこれを用いた信号送受信用光モジュールを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明にかかる光結合回路は、基板上に配設され一方の端部にて入出力される光信号を他方の端部に向けて案内する導波路と、この導波路の他方の端部に対向して配設され当該導波路の設置面とは異なった方向への光信号の送受信を案内する45度多重反射ミラーと、この45度多重反射ミラーを介して前記導波路との間で光信号を連係して送受信し外部に対しては信号の授受を中継する信号伝達手段とを備え、
前記導波路の他方の端部を、前記45度多重反射ミラーが備えている複数の光信号伝送多重層の内の少なくとも一つの層に対応させて配設すると共に、
この導波路の前記45度多重反射ミラー側に、当該45度多重反射ミラーの光入出面に対向して前記光信号の広がりを抑制する光レンズ部を設けると共に、この光レンズ部を前記導波路と一体化するという構成を採っている。
【0014】
又、上記目的を達成するため、本発明にかかる信号送受信用光モジュールは、同一ボード上に装備され伝送信号処理部に外部入力される電気信号を外部に向けて送信する発信信号処理部に伝送するための光式インターコネクション回路を備え、
前記光式インターコネクション回路を、前記伝送信号処理部に連結された送信側光アセンブリと、前記発信信号処理部に連結された受信側光アセンブリと、前記各光アセンブリを相互に連結するポリマー導波路とにより構成すると共に、
前記送信側光アセンブリとしては電気信号を光信号に変換する面発光レーザを含むものを採用し、又受信側光アセンブリとしてはホトダイオード含むものを採用した。
【0015】
更に、上記目的を達成するため、本発明にかかる信号送受信用光モジュールは、一方のボードに装備された複数の伝送信号処理部に入力される送信用の電気信号を、他方のボードに装備され外部に発信する複数の発信信号処理部に伝送するための光式インターコネクション回路を備え、
前記光式インターコネクション回路を、前記各伝送信号処理部から出力される複数の電気信号を光信号に変換する複数の送信側光アセンブリと、前記光信号を複数のポリマー導波路を介して取り込み前記他方のボード側へ伝送する光信号中継手段と、この光信号中継手段を介して伝送されて来る光信号を複数のポリマー導波路を介して取り込み電気信号に変換して前記各発信信号処理部に伝送する複数の受信側光アセンブリとを含む構成とし、
前記光信号中継手段を、前記一方と他方の各ボード相互間に設置された光結合用の複数本の中継光ファイバーと、この複数本の中継光ファイバーと前記一方のボード上の前記複数の導波路とを光結合する一方の中継用光連結回路と、前記複数本の中継光ファイバーと前記他方のボード上の前記複数の導波路とを光結合する他方の中継用光連結回路とにより構成した。
更に、前記送信側光アセンブリとしては電気信号を光信号に変換する面発光レーザを含むものを採用し、又受信側光アセンブリとしてはホトダイオード含むものを採用した。
【0016】
また、上記目的を達成するため、本発明にかかる信号送受信用光モジュールは、同一ボード上に装備された伝送信号処理部に外部入力される電気信号を、外部に向けて送信する発信信号処理部に伝送するための光式インターコネクション回路を備えた信号送受信用モジュールにおいて、
前記光式インターコネクション回路を、前記伝送信号処理部に連結された送信側光アセンブリ(一方の光結合回路)と、前記発信信号処理部に連結された受信側光アセンブリ(他方の光結合回路)と、前記各光アセンブリを相互に連結するポリマー導波路とにより構成し、
前記送信側光アセンブリとして前記請求項4に記載の光結合回路を装備すると共に、この光結合器が備えている信号伝達手段を当該信号伝達手段に併設されている45度多重反射ミラーと共に前記ボード上に固定する光・電気連係ソケット部を装備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は上述したように構成されているので、これによると、電気伝送を代替するような光インタ−コネクションとして、複数の導入送信信号の変換及び伝送に際しては光信号用の複数の導波路と45度多重反射ミラーと信号変換素子を45度多重反射ミラーに装備すると共に各導波路の45度多重反射ミラー側にレンズ部を装備するという構成を採用したので、これにより部品点数が大幅に少なくなり、更に低コストの部品を組み合わせた構成および実装が可能となるという優れた光結合回路及びこれを用いた信号送受信用光モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる光結合回路を含む信号送受信用光モジュールの第1実施形態を示す概略平面図である。
【図2】図1に開示した光モジュールに含まれる送信側光アセンブリ(第1の光結合回路)の一部を示す斜視図である。
【図3】図2に開示した送信側光アセンブリ(一方の光結合回路)示す図で、図3(A)は平面図、図3(B)は正面図である。
【図4】図1に開示した第1の光結合回路の一部を示す導波路と45度多重反射ミラーとの配置関係を示す説明図である。
【図5】図1に開示した光モジュールに含まれる受信側光アセンブリ(他方の光結合回路)の一部を示す斜視図である。
【図6】図5に開示した受信側光アセンブリ(他方の光結合回路)示す図で、図6(A)は平面図、図6(B)は正面図である。
【図7】図2に開示した送信側光アセンブリ(一方の光結合回路)に装備されている光レンズ部の他の例を示す図で、図7(A)は斜視図、図7(B)は平面図、図7(C)は正面図である。
【図8】図2に開示した送信側光アセンブリ(一方の光結合回路)に装備されている光レンズ部の更に他の例を示す図で、図8(A)は斜視図、図8(B)は平面図、図8(C)は正面図である。
【図9】図2に開示した送信側光アセンブリ(一方の光結合回路)に装備されている光レンズ部の更に他の例を示す図で、図9(A)は斜視図、図9(B)は平面図、図9(C)は正面図である。
【図10】図2に開示した送信側光アセンブリ(一方の光結合回路)に装備されている光レンズ部の更に他の例を示す図で、図10(A)は斜視図、図10(B)は平面図、図10(C)は正面図である。
【図11】図2に開示した送信側光アセンブリ(一方の光結合回路)に装備されている45度多重反射ミラーおよび光信号の内部伝搬の様子を示す説明図である。
【図12】図2に開示した送信側光アセンブリ(一方の光結合回路)に装備されている45度多重反射ミラーおよび光信号の内部伝搬の様子を示す他の説明図である。
【図13】図2に開示した送信側光アセンブリ(一方の光結合回路)に装備されている45度多重反射ミラーおよび光信号の内部伝搬の様子を示す更に他の説明図である。
【図14】図2に開示した送信側光アセンブリ(一方の光結合回路)に装備されている45度多重反射ミラーにおける面発光レーザの出射面入射角φに対する光出射角θの広がりとの関係の計算結果を示す線図である。
【図15】面発光レーザ(VCSEL)の遠視野像を示す線図である。
【図16】本発明にかかる光結合回路を含む信号送受信用光モジュールの第2実施形態を示す概略平面図である。
【図17】図16に開示した信号送受信用光モジュールの一部を構成する第3の光結合回路(送信側段付光結合回路)の一例を示す概略斜視図である。
【図18】図16に開示した信号送受信用光モジュールの一部を構成する第4の光結合回路(MMFアレイ連結用送信側光結合回路)の一例を示す概略斜視図である。
【図19】図16に開示した信号送受信用光モジュールの一部を構成する第5の光結合回路(MMFアレイ連結用送信側光結合回路)の一例を示す概略斜視図である。
【図20】図16に開示した信号送受信用光モジュールの一部を構成する第6の光結合回路(受信側段付光結合回路)の一例を示す概略斜視図である。
【図21】本発明にかかる光結合回路を含む信号送受信用光モジュールの第3実施形態を示す概略平面図である。
【図22】図21に開示された信号送受信用光モジュールの一部を構成する二層構造の送信側光アセンブリ(一方の光結合回路)を示す図で、図22(A)はその一部を示す平面図、図22(B)は図22(A)の正面図である。
【図23】図21に開示された信号送受信用光モジュールの一部を構成する二層構造の受信側光アセンブリ(他方の光結合回路)を示す図で、図23(A)はその一部を示す平面図、図23(B)は図23(A)の正面図である。
【図24】本発明の第4実施形態を示す概略平面図概略平面図である。
【図25】図24に開示した一方の光結合回路部分の送信側光変換部を示す概略断面図である。
【図26】図24に開示した一方の光結合回路部分の送信側光結合部を示す概略断面図である。
【図27】図24に開示した送信側光変換部の要部を構成する光電気統合ソケット部分を示す説明図である。
【図28】図27に開示した光電気統合ソケット部で用いる異方性導電シート(45度多重反射ミラー)の製造方法の概略説明図である。
【図29】図24に開示した他方の光結合回路部分の受信側光変換部を示す概略断面図である。
【図30】図24に開示した他方の光結合回路部分の受信側光結合部を示す概略断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図1乃至図15に基づいて説明する。
図1に、本発明にかかる光結合回路11,12を組み込んだ信号送受信用の光モジュール1を示す。
【0020】
<光モジュール>
この図1において、光モジュール1は、外部入力される信号を取り込んで伝送信号として信号処理する伝送信号処理部2と、この伝送信号処理部2からの出力信号を光信号に変換する一方の光結合回路(送信側光アセンブリ)11と、この一方の光結合回路11から出力される光信号を予め設置されている導波路(ポリマー導波路)12を介して取り込んで電気信号に変換する他方の光結合回路(受信側光アセンブリ)13と、この他方の光結合回路13で変換された電気信号を外部に向けて発信するための信号処理を行う発信信号処理部3とを備えている。
【0021】
ここで、上記一方の光結合回路(送信側光アセンブリ)11と、この一方の光結合回路11から出力される光信号を取り込んで電気信号に変換する他方の光結合回路(受信側光アセンブリ)13と、この一方と他方の各光結合回路を連結する導波路(ポリマー導波路)12とにより、光信号伝送路(光式インターコネクション回路)1Aが構成されている。又、符号10は、上記各構成部材を保持する基板を示す。
【0022】
<送信側光アセンブリ11>
送信側光アセンブリ(一方の光結合回路)11は、図2乃至図3に示すように、受信側光アセンブリ(他方の光結合回路)13に向けて送り出される光信号を案内する導波路12(12,12,12)と、この各導波路12〜12の他方の端部(図2の右端部)に対向して配設され当該各導波路12〜12に向けて光信号の伝搬を案内する45度多重反射ミラー14と、この45度多重反射ミラー14を介して前記各導波路12〜12に対して伝送信号処理部2から入力される電気信号を光信号に変換して送り込む信号伝達手段15とを備えている。
【0023】
ここで、各導波路12〜12の全体を指標する場合は、符号12をもって導波路とする。また、この各導波路12〜12およびこれに関連する構成部材(例えば後述する面発光レーザ16,16,16等)については、本第1実施形態ではそれぞれ三個の場合を例示しているが、4個以上であってもよい。他の実施形態においても同様である。
【0024】
次に、上記導波路12については、コア層12aが屈折率の異なる透明部材からなるクラッド部12bに取り囲まれて導波路12が特定され当該クラッド部12bと一体的に形成されている。他の導波路12,12についても同様である。
そして、この各導波路(コア層12a)12,12,12とクラッド部12bと後述するレンズ部12cとにより導波路アレイ12が構成されている。
【0025】
前述した各導波路12〜12の各他端部(図2の右端部)には、45度多重反射ミラー14との対向面部分に、当該45度多重反射ミラー14から送り出される(後述する受信側光アセンブリでは、送り込まれる)光信号の拡散を抑制する光レンズ部12cが、それぞれ設置されている。そして、この各光レンズ部12c,12c,12cは、前述した各導波路12〜12にそれぞれ一体化されて構成されている。
【0026】
ここで、45度多重反射ミラー14は、本第1実施形態にあっては、四角柱状に形成され、その断面内には45度方向に反射ミラー膜14bがほぼ等間隔に複数設けられ、この反射ミラー膜14b相互間には透明部材からなる誘電体が充填された状態に組み込まれ、これによって複数の光信号伝送多重層14a,14a,…が形成されている。
【0027】
そして、前述した各導波路12〜12は、その光レンズ部12c部分が、上記45度多重反射ミラー14が備えている複数の光信号伝送多重層14a,14a,…の内の少なくとも一つの層に対応させて、配設されている。この場合、導波路12と45度多重反射ミラー14とは、図3(b)に示すように、3つの光信号伝送多重層14aに対応させて配設されている。他の各導波路12,12の場合も同様である。
【0028】
これにより、各導波路12〜12と上述した45度多重反射ミラー14との間における光信号の拡散が有効に抑制され、光信号の伝搬途上における感度低下が有効に抑制されている。
【0029】
図4に、導波路12と45度多重反射ミラー14との対応位置関係を示す。導波路12,12についても同様である。この図4に示す三次元座標は、以後の説明において成される座標位置関係に全て適用されるものとする。
【0030】
前述した信号伝達手段15は、図2乃至図3に示すように、45度多重反射ミラー14の前記各導波路12〜12に対して光学的に導通した面の反対側の端面(図1では上端面)に設置された面発光レーザ16,16,16と、この各面発光レーザ16〜16に対して駆動用の電気信号を個別に送り込む電気配線回路17,17,17とを含んで構成されている。
【0031】
ここで、符号18は複数の面発光レーザ16,16,16を備えた面発光レーザアレイを示す。この面発光レーザアレイ18は、図2,図3に示すように、上述した複数の面発光レーザ16〜16と、当該各面発光レーザ16〜16を保持すると共に予め設定された装備位置を特定するレーザ保持部材18Aと、このレーザ保持部材18Aに装備された前記各面発光レーザ16〜16に対応して個別に設置された複数のレーザ用電極18a,18a,……と、前記各電気配線回路17,17,17の端部に個別に対応して設置された複数のバンプ用通電電極18b,18b,……と、この各電極18a,18bの相互間を個別に接続する電極接続回路18c,18c,……とを、それぞれ備えて構成されている。
【0032】
符号20a,20a,……は、対応する各電気配線回路17〜17とバンプ用通電電極18b,18b,……とを個別に接続するバンプ(球状接続端子)を示す。
ここで、このバンプ(球状接続端子)20aは、本実施形態では、電気信号の伝達に直接寄与しない箇所にも、組立バランス上、図2,図3に示すように複数装備されている。符号18e,18e,……は、バンプ用通電電極18bと同等に形成されたバンプ装備用の他の電極を示す。
【0033】
これにより、前述した各面発光レーザ16〜16に対しては、上記各電気配線回路17〜17から前述した駆動信号が、対応する上記各電極18a,18bおよび電極接続回路18cを介して個別に送り込まれ、各別に印加されるようになっている。
【0034】
このため、各電気配線回路17〜17を介して前述した伝送信号処理部2から送り込まれる所定の電気信号(レーザ用駆動信号)は、面発光レーザ16〜16を駆動すると共にこれによってレーザ駆動信号に含まれる所定の電気信号が光信号に変換され、45度多重反射ミラー14を介して各光レンズ部12cで個別に集光されて対応する各導波路12〜12へ確実に伝送されるようになっている。
【0035】
次に、上述した一方の光結合回路(送信側光アセンブリ)11の各構成要素について詳述する。
【0036】
(45度多重反射ミラー)
まず、前述した45度多重反射ミラー14は、交互に積層された光信号伝送多重層(誘電体層)14a,14a,……と、反射ミラー膜(金属薄膜)14b,14b,……とからなる。
この45度多重反射ミラー14は、誘電体層14aと金属薄膜14bの多層構造を作製した後、ダイシングにより作製される。
【0037】
光信号伝送多重層(誘電体層)14aの形成に際しては、まず、Siやガラスなどの基板上にスパッタ,CVD,PCVD,又はスピンコートなどで製膜する方法があり、或いは、プリフォーム法を用いた熱延伸などの製膜方法がある。一方、反射ミラー膜を成す金属薄膜14bの製膜方法には、スパッタ,真空蒸着,E-gun ,又はメッキなどによる手法が用いられる。
【0038】
光信号伝送多重層(誘電体層)14aの素材である誘電体としては、SiOx,SiOxNy,SiNx,ポリマー,BCBなどがある。一方、反射ミラー膜(金属薄膜)14bの素材である薄膜としては、Ti,Pt,Au,Ni ,Cu,Ag,Snなど、及びこれらの組み合わせにより構成される。これらの素材については、使用する光の波長帯や材料との密着性を考慮して選択される。
【0039】
上記誘電体層14aおよび金属薄膜14bの多層構造の形成に際しては、製膜の場合、誘電体と金属薄膜を交互に基板上に形成すればよい。プリフォームを用いた方法であれば誘電体のシートを作製した後に金属薄膜を形成し、金属面同士を張り合わせるなどの方法を採用してもよい。
【0040】
(導波路について)
導波路(ポリマー導波路)12〜12部分は、まず、当該各導波路12〜12を構成する素材部分であるコア層12aをフォトリソグラフィーとドライエッチングで形成し、その後に、各導波路12〜12の周囲を構成するクラッド層12bで埋め込まれることで形成される。
この場合、上記各光レンズ部12cは、本第1実施形態では半円柱状に形成されている。この各光レンズ部12cは、フォトリソグラフィーとドライエッチングにより各導波路12〜12に端部を円弧に加工することで得られる。
【0041】
ドライエッチング用のマスクとしては、まず金属薄膜を形成し、レジストマスクで金属薄膜をエッチング加工し、このパターニングされた金属薄膜をマスクにしてドライエッチングを行なうようにしてもよい。又、この場合の金属薄膜は、ポリイミドの加工の目的のほかに、電気部品を実装する際の電気の配線パターンや光部品を実装するためのマーカーとして用いることも可能である。また、感光性のポリイミドなどを用いて、導波路パターンや円柱状レンズを直接形成してもよい。
【0042】
(送信側光アセンブリの構築)
又、送信側光アセンブリ(一方の光結合回路)11の製造工程では、導波路12〜12に対して45度多重反射ミラーを併設装備した後に、面発光レーザ(VCSEL)16〜16を搭載する。
【0043】
従って、導波路12〜12のコア位置の表面位置からの差分情報を参考に、45度多重反射ミラー14の表面の位置(即ち、Y軸方向)の制御を行うことで、面発光レーザ16〜16の搭載のZ軸方向の位置が一意的に決まる。この面発光レーザ16〜16の搭載位置は、45度多重反射ミラー14のY軸方向情報(導波路表面と45度多重反射ミラー表面位置の差分)とZ軸方向の情報(導波路表面に形成したマーカ等に対する、45度多重反射ミラーの導波路側のエッジ位置の差分)をもとに算出され、高精度な実装が可能となる。
【0044】
この場合、面発光レーザ(VCSEL)16〜16と導波路12〜12との間で高効率の結合を実現するには開口数NA(Numerical Aerture )を調整する必要がある。光のスポットサイズが小さくても導波路12〜12の内部に入った光のコア/クラッドの反射角が全反射角よりも小さいと、コア層内の光がクラッド層側に抜けてしまい光が伝播しないためである。
【0045】
導波路12〜12のX軸方向に関しては半円柱状レンズでNAを調整することができる。又、導波路12〜12のY軸方向にはNAの調整機構はないので、導波路12〜12のNAをレーザ光の放射角に対して大きくとる必要がある。そのため、例えば屈折率1.5付近のポリマー導波路では、コア層とクラッド層の間の屈折率差は2〔%〕以上とするとよい。
【0046】
<受信側光アセンブリ13>
次に、受信側光アセンブリである他方の光結合回路13を、図5乃至図6に基づいて説明する。
【0047】
この他方の光結合回路(受信側光アセンブリ)13は、本第1実施形態では、前述した一方の光結合回路(送信側光アセンブリ)11と同一の基板10上に設置され、前述したように、当該一方の光結合回路11から導波路2(12〜12)を介して送り込まれる光信号Bを電気信号Aに変換して出力する。そして、この変換された電気信号Aは、前述した発信信号処理部3を介して外部へ発信されるようになっている。
【0048】
この受信側光アセンブリである他方の光結合回路13は、図5乃至図6に示すように、上記一方の光結合回路11にあって、前述した複数の面発光レーザ16〜16に代えて光電変換素子であるホトダイオード26〜26を装備した点に特徴を有する。符号28a,28a,……は、ホトダイオード26〜26に対応して装備された複数の光電変換素子用電極を示す。
【0049】
即ち、この他方の光結合回路13は、図5乃至図6に示すように、前述した一方の光結合回路11から送り込まれる光信号を案内する導波路(コア層12a)12,12,12と、この各導波路12〜12の他方の端部(図5の右端部)に対向して配設され当該各導波路12〜12とは異なった方向への光信号を案内する45度多重反射ミラー14と、この45度多重反射ミラー14を介して前記各導波路12〜12からの光信号にかかる信号を外部に対して送り出す中継機能を備えた信号伝達手段25とを備えている。
【0050】
この内、信号伝達手段25は、図5乃至図6に示すように、45度多重反射ミラー14の前記各導波路12〜12と光学的に導通した面の反対側の端面(図5では上端面)に設置された光電変換素子としてのホトダイオード26,26,26と、この各ホトダイオード26〜26から出力される電気信号を外部へ個別に送り出す電気配線回路17,17,17とを含むで構成されている。
【0051】
ここで、符号28は前述した面発光レーザアレイ18に代えて装備されたホトダイオードアレイを示す。このホトダイオードアレイ28は、図6(b)に示すように、上述した複数のホトダイオード26〜26と、当該各ホトダイオード26〜26を保持すると共に予め設定された装備位置を特定するダイオード保持部材28Aと、このダイオード保持部材28Aに対応して個別に設置された複数のホトダイオード用電極28a,28a,……と、前記各電気配線回路17,17,17の端部に個別に対応して設置された複数のバンプ用通電電極18b,18b,……と、この各電極18a,18bの相互間を個別に接続する電極接続回路18c,18c,……とを、それぞれ備えて構成されている。
【0052】
又、符号28e,28e,……は、バンプ用通電電極28bと同等に形成されたバンプ装備用の他の電極を示す。
その他の構成は、前述した一方の光結合回路(送信側光アセンブリ)11と同一となっている。
【0053】
これにより、前述した各ホトダイオード26〜26にて光電変換された電気信号は、上述したように各電気配線回路17〜17を介して前述した発信信号処理部3へ送られ当該発信信号処理部3から外部へ発信されるようになっている。
【0054】
(受信側光アセンブリの構築)
受信側光アセンブリ13の製造工程では各導波路12〜12に対して45度多重反射ミラー14を併設装備した後に対応する各ホトダイオード26〜26を搭載する順番になる。従って、各導波路12〜12のコア層12aの表面からの位置情報を参考に45度多重反射ミラー14の表面の位置(即ち、Y軸方向)の制御を行うことで、各ホトダイオード26〜26の搭載のZ軸方向位置が一意的に決まる。
【0055】
各ホトダイオード26〜26の搭載位置は、45度多重反射ミラー14のY方向情報(導波路の表面と45度多重反射ミラーの表面位置の差分)とZ方向情報(導波路表面に形成したマーカ等に対する、45度多重反射ミラーの導波路側のエッジ位置の差分)をもとに算出され高精度な実装が可能となる。
【0056】
導波路12〜12と各ホトダイオード26〜26の間の高効率結合を実現するには、X軸方向には半円柱状レンズ12Cがあるので集光が可能である。導波路12〜12のY軸方向には集光の機能がないので、各ホトダイオード26〜26の吸収層の直径に比べて導波路12〜12のY方向のコア層の厚みが薄く、各ホトダイオード26〜26の吸収層の直径に比べて45度多重反射ミラーに薄く閉じ込められていることが望ましい。
【0057】
<光レンズ部12cの他の例>
ここで、前述した光レンズ部12cの他の例について説明する。
円柱状レンズ部の構造は上記図4のような構造のものに限定されるものではない。下記に示す図7乃至図10のような構成も、有効に使用することができる。
【0058】
(拡張レンズ型(1))
図7にこれを示す。
この図7に示す拡張レンズ型の光レンズ部12Pは、半円柱状レンズを基本構成とすると共に、前述した導波路12を構成するコア層の端部を含み且つ前述した45度多重反射ミラー14(図11乃至図13参照)の光信号伝送多重層14a,14aの入力端面に沿ってT字状に広げられ且つ両側に位置するクラッド層を覆う状態に設定されている。この光レンズ部12Pは、前述したコア層と同一の素材で一体的に構成されている。
【0059】
ここで、図7(A)は拡張レンズ型の光レンズ部12Pを前記45度多重反射ミラー14側の端部に配置した導波路12の光レンズ部部分を示す斜視図、図7(B)は平面図、図7(C)は正面図をそれぞれ示す。その他の構成は前述した図4における光レンズ部12Cの場合と同一となっている。
【0060】
この図7の場合、導波路12は導波路がポリマー内部でとぎれた構造となっている。一方、円柱レンズ部12PのY軸方向には、コア層とクラッド層の構造を維持しており光は閉じ込められている。このため、レンズ径を大きくすることでX方向に広がった光を集光できる。
【0061】
このため、この図7の場合、導波路12と45度多重反射ミラー14との相互間における光信号の授受に際しては、拡散を更に有効に抑制することができ、相互間での光信号の授受を効率よく実行することが可能となる。
他の導波路12,12についても同様の光レンズ部12Pが設けられ同様に機能するようになっている。
【0062】
(拡張レンズ型(2))
図8にこれを示す。
この図8に示す拡張レンズ型の光レンズ部12Qは、上記拡張レンズ型(1)と同一の形状に形成されている。一方、この光レンズ部12Qは、その素材を前述したコア層を取り巻く周囲のクラッド層12bと同一の素材で形成した点に特徴を有する。
【0063】
ここで、図8(A)は拡張レンズ型の光レンズ部12Qを先端部に配置した導波路12の光レンズ部12Q部分を示す斜視図、図8(B)は平面図、図8(C)は正面図をそれぞれ示す。その他の構成は前述した図4における光レンズ部12cの場合と同一となっている。
【0064】
この図8の例でも、導波路12がポリマー内部でとぎれた構造となっている。円柱レンズ部12Q側ではそのY軸方向にコア層とクラッド層の構造はない。このため、レンズ部12QではY軸方向の光の閉じ込めが無いのでレンズ部12QでY軸方向には光がレンズの厚み分広がる。一方、コア層がないことにより、コア層を形成後に感光性のポリイミドで埋め込むことが可能となり、かかる点において導波路12の作製プロセスが簡易化され、生産性を高めることができる。
【0065】
他の導波路12,12についても同様の光レンズ部12Qが設けられ同様に機能するようになっている。
このようにしても、前述した図7に示す光レンズ部12Pの場合とほぼ同様の作用効果を安価に得ることができる。
【0066】
(フレネルレンズ型)
図9にこれを示す。
この図9に示すフレネルレンズ型の光レンズ部12Fは、図7に開示した上記拡張レンズ型(1)におけるレンズ部分を、フレネルレンズ型のレンズ部分とした点に特徴を有する。一方、この光レンズ部12Fは、その素材を前述したコア層12aと同一の素材で形成した点に特徴を有する。
【0067】
ここで、図9(A)はフレネルレンズ型の光レンズ部12Fを先端部に配置した導波路12の光レンズ部12F部分を示す斜視図、図9(B)は平面図、図9(C)は正面図をそれぞれ示す。その他の構成は前述した図4における光レンズ部12Cの場合と同一となっている。
【0068】
この図9では、導波路12がポリマー内部でとぎれた構造となっている。ただし、円柱レンズ部12FのY軸方向にはコア層とクラッド層の構造を維持しており光は閉じ込められている。そして、レンズ径を大きくすることでX軸方向に広がった光を集光できると同時に、フレネルレンズを用いることでレンズ周辺部と45度多重反射ミラー14との間の自由空間での光路長を減らし、自由空間で光がY軸方向に広がるのを有効に抑制することができる。
【0069】
他の導波路12,12についても同様の光レンズ部12Fが設けられ同様に機能するようになっている。
このようにしても、前述した図7に示す光レンズ部12Pの場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0070】
(二重レンズ型)
図10にこれを示す。
この二重レンズ型光レンズ部12Wは、図9に開示したフレネルレンズ型のレンズ部12Fのレンズ面に対向して、図10に示すように半円柱状レンズ部12Gを設けた点に特徴を有する。この半円柱状レンズ部12Gは、前述した導波路12の周囲の部材であるクラッド層12bとは異なった屈折率の透明素材によって構成されている。
【0071】
ここで、図10(A)はフレネルレンズ型の光レンズ部12Fを先端部に配置した導波路12の光レンズ部12F部分を示す斜視図、図10(B)は平面図、図10(C)は正面図をそれぞれ示す。その他の構成は前述した図4における光レンズ部12Cの場合と同一となっている。
【0072】
図10では半円柱状レンズ部12Gをポリマー内部に含む構成になっている。これにより、多重反射ミラーと接する部分を直線の端面で構成できる。このため、前述した45度多重反射ミラー14と半円柱状レンズ部12Gのレンズ面との間をコア層12aと同じ透明樹脂で埋めることもでき、結露等にも強くなりモジュールの信頼性を高めることができる。
【0073】
このように、半円柱状レンズについては、図7乃至図9の単一レンズ系に限らず図10のように複数のレンズを組み合わせてもよい。これにより、設計自由度を高めることができる。又、図10のような半円柱状レンズ部12Gであれば、45度多重反射ミラー14の内部の誘電体層にも形成することは可能である。しかし、その場合には、45度多重反射ミラー14を導波路に配置する際に45度多重反射ミラー14もX軸方向の位置も正確に制御する必要が生じるが、特に不都合はない。
【0074】
即ち、この二重レンズ型光レンズ部12Wは、半円柱状レンズ部12Gの凸部が前述したフレネルレンズ型のレンズ部12Fのレンズ面に対向して設置されているので、前述した45度多重反射ミラー14の側面(光授受面)を平坦な端面とすることができる。このため、45度多重反射ミラー14と導波路12とをレンズ部12Wを介して密着させて連結装備することができ、かかる点において光信号の拡散を更に有効に阻止して効率のよい光信号の授受が可能となるという利点を得るもことができる。
他の導波路12,12についても、同様の二重レンズ型光レンズ部12Wが設けられ同様に機能するようになっている。
【0075】
<全体の動作>
次に、上記第1実施形態における全体的な動作について説明する。
まず、図1において、外部から所定の送信信号が設定入力されると、伝送信号処理部2がこれを取り込んで信号処理し伝送信号として出力する。この伝送信号処理部2から出力された伝送信号は、光信号伝送路1Aで光信号に変換されて発信信号処理部3に向けて伝送され再び電気信号に変換されて当該発信信号処理部3へ送り込まれる。
【0076】
この場合、光信号伝送路1Aでは、まず、その一端部に装備された一方の光結合回路(送信側光アセンブリ)11が伝送信号処理部2からの電気信号を光信号に変換する。具体的には、電気配線回路17,17,17を介して伝送信号処理部2から送り込まれる電気信号(レーザ駆動信号)は、信号伝達手段15の一部を成す面発光レーザアレイ18に装備された面発光レーザ16〜16によって、個別に光信号に変換され、送信側の45度多重反射ミラー14を介して対応する導波路12,12,12へ送り込まれ、この導波路12〜12を介して一端部に装備された他方の光結合回路(受信側光アセンブリ)13へ送られる。
【0077】
ここで、面発光レーザ16〜16のレーザ発光部から出力された光は、Z軸方向に関して、45度多重反射ミラー14におけるミラーとミラーの間に閉じ込められ、空間的に広がるのを抑制されたまま、導波路12〜12に送り込まれる。
【0078】
このため、光信号伝送路1Aでは、その前段側で、各電気配線回路17〜17を介して前述した伝送信号処理部2から送り込まれる所定の電気信号(レーザ用駆動信号)は、面発光レーザ16〜16を駆動すると共にこれによってレーザ駆動信号に含まれる所定の電気信号が光信号に変換され、45度多重反射ミラー14を介して各光レンズ部12cで個別に集光されて対応する各導波路12〜12へ確実に伝送される。
【0079】
次に、導波路12〜12を介して伝送された光信号は、受信側の信号伝達手段25の一部を成すホトダイオードアレイ28に装備されたホトダイオード(光電変換素子)26〜26で個別に光電変化され、受信側の45度多重反射ミラー14及び電気配線回路17,17,17を介して個別に前述した発信信号処理部3へ送り込まれる。
【0080】
この場合、導波路12〜12を介して送り込まれた光信号は、45度多重反射ミラー14におけるミラーとミラーの間に閉じ込められ、空間的に広がるのを抑制されたままホトダイオード(光電変換素子)26〜26に到達し、このホトダイオード26〜26でよって個別に電気信号に変換されて前述したように発信信号処理部3へ送り込まれる。
【0081】
(45度多重反射ミラーの作用)
ここで、上述した45度多重反射ミラー14内における光信号の伝搬状態を、図11乃至図15に基づいて説明する。
【0082】
まず、45度多重反射ミラー14内の光線追跡の例を図11乃至図13に示す。
この内、図11に示すように、多重反射ミラー出射側において光線の軌道は、軌道Aと軌道Bの大きく二つに分類される。
通常の面発光レーザ(VCSEL)の空気に対する放射全角は35度以下であり、片側では17.5度以下になる。例えば屈折率1.54の媒体の中では片側11.2度以下となる。
【0083】
又、図11に示すように、多重反射の軌跡によっては、出射面に対する入射角φが異なる。即ち、軌道Aの場合、入射角φは11.2度以下になる。一方、軌道Bの場合は「90−11.2=78.8度」以上になる。
一方、図12に示すように、出射面の外側の領域が空気であれば、軌道Aの場合は空気と誘電体の屈折率差分の透過率をもって出射する。軌道Bの場合も出射面x点) で一度全反射し、再度金属ミラーで反射したのち空気と誘電体の屈折率差分の透過率をもって出射する。
【0084】
また、図13に示すように、出射面の外側の領域の屈折率が誘電体に近い屈折率であれば軌道Aの場合はそのまま出射する。一方、軌道Bの場合には出射面で深い角度のまま出射し迷光となる。
【0085】
図14は、ミラー間隔5〔μm〕の45度多重反射ミラー14を用いた場合の上述の出射面入射角φとレーザ出射角θ(全体の広がり角度)の関係を示す計算結果である。
また、図12における軌道Bのように、出射面での入射角が大きくなるのは、レーザ光の放射角が広い場合であって、レーザ光の放射角がプラス側のみで生じた場合である。
【0086】
放射角の比較的広い図15のような面発光レーザ(VCSEL)の遠視野像を仮定し、図13のように45度多重反射ミラー14の出射面の外側領域の屈折率が誘電体に近いとして、軌道Bのように出射面で深い角度のまま出射し迷光となる比率を計算したところ、5〔%〕以下であった。
このことから、45度多重反射ミラー14が面発光レーザ16〜16のような光源に対して光路変換として効率の高いものであるになっていることがわかった。
【0087】
一方、図2乃至図3の場合、X軸方向に関して光は閉じ込められていないのでレーザ光出射点から導波路入り口にかけて広がるが、半円柱レンズ12cを介して有効に集光される。
【0088】
実装上の観点から45度多重反射ミラー14は周期的な構造を有しているので、部材の精度としてY軸方向に対して金属層(ミラー面)がずれていても周期構造の周期分のずれしか位置ずれを生じない。又、多重反射ミラーはX軸方向に対し同じ形を有するので、ずれても問題を生じない。
即ち、45度多重反射ミラー14は積層構造になっているため、ミラー位置が平行にずれてもミラー間隔分しかずれの影響を生じない。このため、部品の作製精度がゆるく、光レンズなどにくらべて低コストに作製が可能である。
【0089】
更に、45度多重反射ミラー14の配置位置は、ビジュアルアライメントを用いて部材のエッジや部材に予め形成したマーカを参照し、Z軸方向およびX軸方向の制御が可能である。また、導波路12〜12表面の高さを参照面として、同じ側にある45度多重反射ミラー14の表面(即ち、Y軸方向)の位置制御をすることもできる。高さの固定には、半田や銀ペーストを用いることができる。
加熱してどろどろに融けた状態から硬化するまで高さを保持することで高さの制御が可能である。導波路12〜12を形成する基板10が透明であれば光硬化樹脂を用いてもよい。
【0090】
又、本第1実施形態にあっては、導波路12〜12にモノリシックに付された半円柱状レンズ12cはフォトリソグラフィーで作製できるため、量産に向いており低コストに作製できる。又、半円柱状レンズを装備することで光の放射角が変換される。これにより、導波路12〜12もしくは45度多重反射ミラー14に形成された半円柱状レンズ12cは光軸と垂直な面内の1軸に関して放射角を変換する。
【0091】
更に、垂直なもう一つの軸の放射角を変換するために、図10に示すもう一つの半円柱状レンズ12Gを用いると、これにより2軸方向に関して放射角を変換することができ、ポリマー導波路よりもNA(開口数)が小さい導波路に対しても結合が可能となる。又、45度多重反射ミラーおよびこれに隣接して配置する半円柱状ミラーも1方向に関して均一な構造になっているため作製が容易であり、実装においても制御が簡単になるため、低コストの実装が可能になる。
【0092】
又、横方向の光閉じ込めが光軸に垂直な2軸のうち1軸方向に強い面発光レーザ(VCSEL)16〜16を用い、導波路12〜12に形成した半円柱状レンズ12cを用いることで光閉じ込めが強くなり放射角が大きくなる軸の放射角を変換する。
【0093】
例えば、面発光レーザ(VCSEL)16〜16は横方向の光閉じ込めを強くすることでモード体積が小さくなる。これにより面発光レーザ16〜16の緩和振動周波数が大きくなり、高速化が可能になる。
更に、本実施形態では45度多重反射ミラー14の形状が直方体としたことにより、光路変換後の光の出射位置と入射位置の関係を、どちらか一方の情報から予想できる。
【0094】
又、本第1実施形態における光結合回路を用いると、面発光レーザ16〜16を用いて信号伝送速度の高速化を図ることができる。本第1実施形態で、面発光レーザ16〜16を用い、その特性を有効に利用して、放射角の大きい軸をX方向,放射角の小さい軸をZ方向にそれぞれ配置すると、45度多重反射ミラー14内に別にレンズを必要とすることなく導波路12〜12に対して高効率な光結合が可能になる。
【0095】
<実施形態の効果>
本第1実施形態にあっては、上述したように構成され機能するので、これによると、電気信号の伝送を代替するような光インタ−コネクションとして、複数の導入送信信号の変換及び伝送に際しては光信号用の複数の導波路12〜12と45度多重反射ミラー14と信号変換素子(面発光レーザ)16〜16(又はホトダイオード26〜26)を45度多重反射ミラー14に装備すると共に各導波路12〜12の45度多重反射ミラー14側にレンズ部12cを装備するという構成を採用したので、これにより、各導波路12〜12の端部に形成したレンズ部12cと45度多重反射ミラー14とにより垂直な面内の2軸方向に対して光閉じ込めが行われ、光が空間に広がるのを確実に抑制することが可能となり、これにより信号伝送に際しての感度低下を有効に抑制することができ、更に部品点数が大幅に少なくなり、低コストの部品を組み合わせた構成および実装が可能となり、これがため装置全体を安価に得ることができるという生産性良好な優れた光結合回路及びこれを用いた信号送受信用光モジュールを提供することができる。
【0096】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を図16乃至図20に基づいて説明する。
この第2の実施形態では、図16に示すように、筐体内で若しくは筐体相互間をつなぐ光信号伝送路を備えた送受信用光モジュールにかかるものである。
ここで、前述した第1実施形態と同一の構成部材については同一の符号を用いるものとする。
【0097】
この図16乃至図20に示す送受信用光モジュールは、一方の基板(ボード)10Aに装備された二つの伝送信号処理部2A,2Bに入力される送信用の電気信号を、他方の基板(ボード)10Bに装備され外部に発信する複数の発信信号処理部3A,3Bに伝送するための光信号伝送路(光式インターコネクション回路)30Aを備えている。
【0098】
この内、光式インターコネクション回路30Aは、前述した各伝送信号処理部2A,2Bから出力される複数の電気信号を二つのグループに分けて光信号に変換する二つの送信側光アセンブリ3A,3Bと、前記光信号を複数のポリマー導波路12,12,12……を介して取り込み前記他方の基板(ボード)10B側へ伝送する光信号中継手段99Aと、この光信号中継手段99Aを介して伝送されて来る光信号を複数のポリマー導波路12,12,12……を介して取り込み電気信号に変換して前記各発信信号処理部3A,3Bに伝送する複数の受信側光アセンブリ13A,13Bとを備えている。
【0099】
ここで、上記光信号中継手段99Aは、上記一方と他方の各基板10A,10Bの相互間に設置された光結合用の複数本の中継光ファイバー(MMFアレイ)100と、この複数本の中継光ファイバー(MMFアレイ)100と前記一方の基板10A上の前記複数の導波路12,12,12……とを光結合する一方の中継用光結合回路(第4の光結合回路)32と、前記複数本の中継光ファイバー(MMFアレイ)100と前記他方の基板10B上の前記複数の導波路12,12,12……とを光結合する他方の中継用光結合回路(第5の光結合回路)33とにより構成されている。
【0100】
以下、これを更に詳述する。
まず、図16において、符号30は本第2実施形態における信号送受信用の光モジュールを示す。この光モジュール30では、本発明にかかる第1乃至第8の各光結合回路11A,11B,31,32,33,34,13A,13Bが、内部伝送用の一方の基板10Aと他方の基板10Bとに分けられて、それぞれ装備されている。
【0101】
上記一方の基板10Aには、更に、図1の左端部上に設置され前述した第1実施形態における伝送信号処理部2と同等に機能する二つの伝送信号処理部2A,2Bが、同一面上に設けられている。
【0102】
この内、一方の伝送信号処理部2Aには、当該伝送信号処理部2Aから出力される複数の電気信号を電気配線(電気配線回路)17,17,17……(図2参照)を介して取り込むと共に複数の光信号B1にそれぞれ変換し出力する一方の送信側光アセンブリとしての第1の光結合回路11A(図1における一方の光結合回路11に同じ)が併設されている。ここで、符号12,12,12……(図2参照)は、第1の光結合回路11Aから出力される複数の光信号をそれぞれ個別に案内する導波路を示す。
【0103】
同様に、上述した他方の伝送信号処理部2Bには、当該伝送信号処理部2Bから出力される複数の電気信号を前記第1の光結合回路11Aの電気配線(17,17,17……)とは別に装備された電気配線(電気配線回路)17,17,17……を介して取り込むと共に、複数の光信号B2にそれぞれ変換し出力する他方の送信側光アセンブリとしての第2の光結合回路11B(図1における一方の光結合回路11に同じ)が併設されている。
【0104】
第2の光結合回路11Bから出力される複数の光信号も、前述した第1の光結合回路11Aにかかる導波路(12,12,12…)とは別に設置された導波路12,12,12…(図2参照)により、それぞれ他方の基板10Bへ伝送されるようになっている。
【0105】
上記一方の基板10Aの前述した第1,第2の各光結合回路11A,11Bから別々の導波路12,12,12…(同一符号を使用)を介して送られてくる光信号B1,B2を上下二層構造の状態の導波路(例えば12,12)を介して取り込む前述した第4の光結合回路32が設置されている。そして、この第4の光結合回路32による上下二層構造を維持しつつ前記各一の光信号(例えば12,12)を他方の基板10B側に送り込むMMF(マルチモードファイバ)アレイ100が、上記一方と他方の基板10A,10B相互間に設置されている。
【0106】
ここで、前述した第1の光結合回路(一方の送信側アセンブリ)11Aと第4の光結合回路32との間に、第1の光結合回路11Aから送り出される光信号B1にかかる導波路(12,12,12…)を、前記第4の光結合回路31の入力側領域で前述した第1の光結合回路11Bから送り出される光信号B2にかかる導波路12,12,12…の上に重ねて配置し二層構造の導波路を形成するための上層導波路用光結合回路(第3の光結合回路)31が装備されている。
【0107】
これにより、前述した第4の光結合回路32では、第1,第2の各光結合回路11A,11Bから別々の導波路12,12,12…を介して送られてくる光信号B1,B2を、上下二層構造の状態の導波路(例えば12,12)を介して円滑に取り込むことができるようになっている。
【0108】
上記光信号B1,B2の内の他の各光信号についても、対応する例えば上下二層構造の導波路12,12、12,12、……を介して且つ同様に別に設定された第4の光結合回路32に取り込まれ(光信号B1については第3の光結合回路31を介して)、上下二層構造を維持されて、MMF(マルチモードファイバ)アレイ100を介して、それぞれ他方の基板10B側に送り出されるようになっている。
【0109】
又、MMF(マルチモードファイバ)アレイ100は、前述した導波路12,12、12,12、12,12、……に対応して二本一組で構成された複数のMMF回線100aを備えている(図16,図18参照)。
【0110】
(第3の光結合回路31/上層導波路用光結合回路)
上述した上層導波路用光結合回路(第3の光結合回路)31は、前述したように、一方の基板10A上の図16における前記第1の光結合回路11Aから送り出される光信号B1を対象としたものであり、上下二層構造の導波路(例えば12,12)の上層部に配置するためのものであり、図17にその一例を示す。
【0111】
この図17に示す上層導波路用光結合回路(第3の光結合回路)31は、第1の光結合回路11A側から送り出される光信号B1を取り込む入力側導波路(例えば12)と、この入力側導波路12の伝送方向先の端部に対向して個別に配設され当該導波路入力側導波路12とは異なった方向(図17では斜め上方)への光信号の伝送(送信)を案内する45度多重反射ミラー14と、この45度多重反射ミラー14を介して前記下段の導波路12との間で光信号を連係して取り込んで上段側から外部に対して当該光信号B1を中継し送り出す信号伝達手段35とを備えている。
【0112】
ここで、前記入力側導波路12の伝送方向先の端部は、前記45度多重反射ミラー14が備えている複数の光信号伝送多重層14aの内の一つ以上の層(入力側端面)に対応させて配設されている。又、この入力側導波路12と前記45度多重反射ミラー14の前記光信号伝送多重層14aとの間には、前記光信号の拡散を抑制する光レンズ部が設けられている。
【0113】
この光レンズ部としては、前述した図10に開示した二重レンズ型光レンズ部12Wと同様に形成された二重レンズ型光レンズ部12Waが装備されている。そして、この二重レンズ型光レンズ部12Waと前記入力側導波路12とは一体化されている。
【0114】
更に、この二重レンズ型光レンズ部12Waから送り出される光信号B1を前記45度多重反射ミラー14を介して取り込む前述した信号伝達手段35として、本第2実施形態では、図10に開示した二重レンズ型光レンズ部12Wと同様に形成され且つ前後位置を180度回転させた状態の二重レンズ型光レンズ部12Wbが装備されている。
【0115】
換言すると、この図17に示す上層配置光結合回路(第3の光結合回路)31は、前記第1の光結合回路11A側の下段の入力側導波路(例えば12)を前述した45度多重反射ミラー14を介して上段の出力側導波路12に光結合させるように構成したもので、下段の入力側導波路12の前記45度多重反射ミラー14側には、レンズ部として前述した図10に開示した二重レンズ型光レンズ部12Wと同様に形成された二重レンズ型光レンズ部12Waが装備されている。
【0116】
又、前記45度多重反射ミラー14側の光伝送出力側に配置された上段の出力側導波路12には、上述したように、その45度多重反射ミラー14の光出力端面に対向して上記二重レンズ型光レンズ部12Waと同様に形成された二重レンズ型光レンズ部12Wbが、前述したように図17における上記二重レンズ型光レンズ部12Waを180度回転させた状態に(図17中の左右を逆にして設定した状態)で配設されている。図17の図中、矢印は光信号B1の伝搬経路の例を示す。
【0117】
この場合、X方向の光は導波路12に形成された二重レンズ型光レンズ部12Waにより閉じ込められ(拡散が有効に抑制され)、Y方向の光は45度多重反射ミラー14の多重層14a,14b,の間に閉じ込められる。このため、45度多重反射ミラー14のZ方向の厚みTを、上下二重層の各導波路12,12の間隔Sにあわせることで異なる段(下層)の導波路12から異なる段(上層)の導波路12への光結合が可能となる。
【0118】
ここで、この図17で使用される45度多重反射ミラー14は、それ以前に開示したもとは異なり、Z方向に入射し出射位置を変えて同じくZ方向に出射するものである。先述の45度多重反射ミラーを二つ重ねた状態の高さを備えたものとなっている。
【0119】
これにより、伝搬中の光信号B1は、その拡散が二重レンズ型光レンズ部12Wa,12Wb及び45度多重反射ミラー14によって効果的に抑制され、感度低下をきたすことなく、下段の入力側導波路12から上段の出力側導波路12へZ方向への伝送方向を維持して伝送させることが可能となっている。
【0120】
他の下段の導波路12,12,……(図16参照)についても、同様にそれぞれ対応して装備された他の二重レンズ型光レンズ部12Wa,12Wb及び他の45度多重反射ミラー14によって、上段の導波路12,12,……にそれぞれ連結されるようになっている。
【0121】
ここで、この各上段の導波路12,12,12,……(光信号B1用)は、前述したように、第2の光結合回路11B側から送り出される光信号B2用の下段の導波路12,12,12,……と、それぞれ二層構造を構成し、前述した段付構造の第4の光結合回路32に光結合されている。
【0122】
(第4の光結合回路32/段付構造の光結合回路)
次に、第4の光結合回路(段付構造の光結合回路)32を、図18に基づいてについて説明する。
この図18に示す第4の光結合回路32は、前述した光信号B1,B2を上下二層構造の導波路(例えば12,12)を介して取り込むと共に、MMF(マルチモードファイバ)アレイ100を介して前述した他方の基板10B側に送り込む光信号中継伝送機能を備えている。
【0123】
この第4の光結合回路32は、前述したように、一方の基板10A上の図16における右端部に装備され、前述した第1,第2の各光結合回路(送信側光アセンブリ)11A,11Bから送り出される光信号B1,B2の双方を対象としたものであり、上下二層構造の導波路(例えば12,12)に対応して設置されている。この場合、上下二層構造にしたのは、前述したMMF(マルチモードファイバ)アレイ100との間に装備されるコネクタの集約度を高めるためである。
【0124】
この図18に示す第4の光結合回路32は、前述した第1,第2の各光結合回路11A,11B側から送り出される光信号B1,B2を取り込む導波路(例えば12,12)と、この導波路12,12の各他方の端部に対向して個別に配設され当該導波路12とは異なった方向(斜め上方)への光信号の伝送(送信)を案内する45度多重反射ミラー14,14と、この45度多重反射ミラー14,14の上段面から光信号を外部に対して送り出す信号伝達手段32Aとを含んで構成されている。
【0125】
ここで、上記二層構造の前記各導波路12,12は、下層に位置する導波路12が前方(45度多重反射ミラー14側/図18内の右方向)に突設され、上層に位置する導波路12が後方(図18内の左方向)に後退した形態をもって配置され、これにより、二層構造の導波路12,12の端部が段付構造となっている。そして、この段付構造部分に、前記上層に位置する導波路12用の45度多重反射ミラー14が設置され、下段の突設された部分の先端面に対向して、下層に位置する導波路12用の前記45度多重反射ミラー14が設置されている。
【0126】
又、この各導波路12,12には、前記45度多重反射ミラー14,14の側面(光入力面)である前記光信号伝送多重層に端面に対向して、前記光信号の拡散を抑制する光レンズ部12cが、それぞれ装備されている。この光レンズ部12cとしては、前述した図4に開示した半円柱状レンズ部が使用され前記各導波路12,12に一体化されている。
【0127】
前述した信号伝達手段32Aは、上記各半円柱状レンズ部12cから送り出される光信号B1,B2を前記45度多重反射ミラー14,14を介して別々に取り込んで、前述した他方の基板10B側に送出する機能を備えている。
【0128】
この信号伝達手段32Aは、本第2実施形態では、図18に示すように前記各45度多重反射ミラー14,14の上面に沿って配置された半円柱状レンズ体31A,31Bと、この半円柱状レンズ体32A,32Bを介して上方に向けて送り出される光信号B1,B2を前述したMMF(マルチモードファイバ)回線100aの一端部に向けて図18内の右方向に反射送出する45度反射ミラー32Cと、この45度反射ミラー32Cと前記MMF(マルチモードファイバ)回線100aとを連結する光コネクタ部32Dとを備えている。
【0129】
即ち、上記信号伝達手段32Aは、前記各45度多重反射ミラー14から外部に対して送受信される光信号を反射して伝送する45度反射ミラー32Cと、この45度反射ミラー32Cに係合して設置され外部と送受信される前記光信号を中継する中継光ファイバ(MMF回線100a)を一部とするMMF(マルチモードファイバ)アレイ100と、前記MMF回線100aの開口端部と前記45度反射ミラーとの間に配置された二個の集光レンズ32Da,32Dbを備えたMMF用光コネクタ部31Dとを含んで構成されている。
【0130】
これにより、一方の基板10Aにおける第1,第2の各光結合回路(送信側光アセンブリ)11A,11Bから送り出される光信号B1,B2は、第4の光結合回路32からMMF回線100aを介して他方の基板10B側へ伝送されるようになっている。
【0131】
(他方の基板10B側との連係)
図18に示すように、第1,第2の各光結合回路(送信側光アセンブリ)11A,11Bから出力される光信号B1,B2は、それぞれ二段に形成されたポリマー導波路12(例えば12,12)を通して一つのコンパクトな光コネクタ部32Dで束ねられてMMFアレイ100の一部であるMMF回線100aに送り込まれる。
【0132】
そして、他方の基板10B側では、MMF回線100aを介して送られてくる光信号B1,B2を光コネクタ部33Dを介して取り込み、同じく二段に形成された対応するポリマー導波路12,12(例えば12,12)を通して第7,第8の各光結合回路(送信側光アセンブリ)13A,13Bに伝送される。
他のポリマー導波路12,12、12,12、……(図16参照)についても同様である。
【0133】
ここで、コンパクトな光コネクタ部33Dを実現するには、前述したように、導波路を二段以上の多段にすることが必要となる。この場合、光コネクタ部33Dの光路はマトリックス状に形成され、そしてマトリックス状に配置されたMMFアレイ100と光結合される。
【0134】
図16の構成(光モジュール)における一方の基板10A側では、光信号B1,B2が通過する各光結合回路と各段に対する導波路12の結合、又異なる段の導波路12から異なる段の導波路12への結合回路、そして、多段の導波路からMMFアレイ100への結合回路が必要となり、そのため、上述したように、第1乃至第4の各光結合回路11A,11B,31,32が各導波路12(12,12,12……)を個別に光結合するため構成部材として装備されている。
【0135】
ここで、異なる段の導波路12(12,12,12,……)から他の異なる段の導波路12(12,12,12,……)への光結合は、図17に示す第3の光結合回路31で実現される。又、二層の導波路12,12、12,12、12,12……からMMF回線100aへの光結合は、図18に示す第4の光結合回路32で対応することができる。
【0136】
そして、MMFアレイ100への光結合では、コネクタ数を削減するために、マトリックス状にMMFが配列した光コネクタ部32Dを想定している。導波路12,12、12,12、12,12……は、前述したように階段状に加工し、二種類の45度多重反射ミラー14,14を配置し、この各45度多重反射ミラー14,14の上面には、前述したように半円柱状レンズ体31A,31Bを配置した。
【0137】
これにより、多層のポリマー導波路12,12、12,12、12,12……のピッチPをMMF回線100aのピッチPFのように広くなるように変換できる。そして、各導波路12,12、12,12、12,12……に装備した半円柱状レンズ部12cと、部品として配置した半円柱状レンズ体31A,31Bとにより平行光が形成され、光コネクタ部32Dとの光結合が容易となる。
【0138】
又、本第2実施形態では、半円柱状レンズ体31A,31Bは光素子と同じように配置することを想定したが、この半円柱状レンズ体31A,31Bの厚み精度が高ければ、先に45度多重反射ミラー14,14に当該半円柱状レンズ体31A,31Bを張り合わせておいてもよい。
図18に示す階段状の導波路12,12を形成するには、1段目導波路形成後に金属マスクを予め形成してから2段目の導波路を形成し、2段目の金属マスクを形成したのちに一括で2段の導波路に対してドライエッチングを施せばよい。
【0139】
(他方の基板10B側の構成)
図16に示すように、前記他方の基板10B上には、前記一方の基板10Aから送られてくる光信号B1,B2を電気信号に有効に変換するため、前述した第1乃至第4の各光結合回路11A,11B,31,32とほぼ同等に形成された第5乃至第8の各光結合回路33,34,13A,13Bが、前述したMMF回線100aを挟んで、前述した第1乃至第4の各光結合回路11A,11B,31,32に対してそれぞれ対称の位置に設置されている。
【0140】
即ち、図16において、MMF回線100aを介して一方の基板10A側から送り込まれる光信号B1,B2は、第4の光信号結合回路32と同等に形成された段付構造の光結合回路である第5の光信号結合回路33にて二層構造の各導波路12,12(12,12、12,12……)に送り込まれ、他方の基板10B側に取り込まれる。この第5の光信号結合回路33を図19に示す。
【0141】
この図19に示すように、第5の光信号結合回路33は、前述した第4の光信号結合回路32と全く同一に構成され、前記第4の光信号結合回路32とは逆向きに設置されMMF回線100aに連結されている。矢印は光信号B1,B2の反射伝搬方向を示す。
【0142】
この第5の光信号結合回路33から送り出される光信号B1,B2の内、光信号B1を案内する二層構造の上層に位置する導波路12(12,12……)部分は、後述する図20に開示した第6の光信号結合回路34によって下層に設置された光信号B1用の導波路12(12,12……)部分に光結合される。
【0143】
ここで、この第6の光信号結合回路34は、図20に示すように前述した第3の光信号結合回路31と全く同一に形成されており、この他方の基板10B側では逆向きに設置され(矢印B1参照)、これによって上述したように下層に設置された光信号B1用の導波路12(12,12……)部分に光結合される。
図20中、矢印はB1は光信号B1の伝搬方向を示す。
【0144】
そして、光信号B1は、この第6の光信号結合回路34および下層に位置する光信号B1用の導波路12(12,12……)を介して受信側アセンブリである光信号B1用の第7の結合回路(一方の受信側結合回路)13Aへ送り込まれる。
【0145】
この受信側アセンブリである一方の受信側結合回路13Aは、前述した第1実施形態における受信側アセンブリ(他方の光結合回路)13と全く同一に形成され、同一に機能するようになっている。
【0146】
これにより、前記一方の受信側アセンブリ(第7の光結合回路)13Aに伝送されてきた光信号B1は、当該第7の光結合回路13Aで電気信号に変換されて外部向けの信号処理を行う発信信号処理部3Aへ送り込まれ、所定の信号送信処理に付される。
【0147】
一方、図19に示す上記第5の光信号結合回路(段付構造の光結合回路)33から取り込まれた光信号B1,B2の内の光信号B2を案内する二層構造の下層に位置する導波路12(12,12……)部分はそのまま延設されて他方の受信側アセンブリである光信号B2用の第8の光信号結合回路13Bへ送り込まれる。
【0148】
この光信号B2用の第8の光信号結合回路13Bは、前述した第1実施形態における受信側アセンブリ(他方の光結合回路)13と全く同一に形成され、同一に機能するようになっている。即ち、この場合の光信号B1用とB2用の各他方の結合回路13A,13Bは、それぞれ全く同一に形成されたものが装備されている。
【0149】
これにより、前記受信側アセンブリ(他方の光結合回路)13Bに伝送されてきた光信号B2は、当該受信側アセンブリ(他方の光結合回路)13Bで電気信号に変換され、外部に向けて発信するための信号処理を行う発信信号処理部3Bへ送り込まれて所定の信号処理に付される。
その他の構成及びその機能は前述した第1実施形態のものと同一となっている。
【0150】
このようにしても、前述した第1実施形態と同一の作用効果を得ることができるほか、更に、各光結合回路における光結合に際しても、光信号の拡散が各レンズ部および45度多重反射ミラー14,14の機能により有効に抑制され、これによって信号授受に際してのインターコネクションの高速化が可能となり、信号伝送距離が長い回路であってもインターコネクションの高速化が可能となり、これがため、スループットの高い光インターコネクションを実現でき、効率のよい光送受信用の光モジュールを得ることができる。
【0151】
ここで、上記第2の実施形態では、光信号B1用と光信号B2用の二つの送信側アセンブリ(一方の光結合回路)11A,11Bを装備した場合を例示したが、この送信側アセンブリ(一方の光結合回路)11A,11Bに代えて導波路12,12,12,……との結合数の多い単一の光結合回路(一方と他方の光結合回路11A,11Bの各光回路を合計してなる光回路を有する)を使用すると共に、当該光結合回路の各光回路を光信号B1用と光信号B2用に二分して使い分けるように構成してもよい。又、受信側アセンブリ(他方の光結合回路)13A,13Bについても同様である。
【0152】
〔第3の実施形態〕
次に、第3の実施形態を、図21乃至図23に基づいて説明する。
ここで、前述した第2実施形態と同一の構成部材については同一の符号を用いるものとする。
【0153】
この第3実施形態は、前述した第2実施形態において、光信号B1用と光信号B2用の二つの送信側アセンブリ(送信側光結合回路である第1,第2の光結合回路)11A,11Bに代えて二層構造の一つの送信側アセンブリ(一方の光結合回路)41を、又、光信号B1用と光信号B2用の二つの受信側アセンブリ(他方の光結合回路)13A,13Bに代えて二層構造の一つの受信側アセンブリ(他方の光結合回路)43を、それぞれ装備した点に特徴を有する。
【0154】
即ち、この第3の実施形態における信号送受信用光モジュール40は、一方の基板(ボード)10Aに装備された二個の伝送信号処理部2A,2Bに入力される送信用の電気信号を、他方の基板(ボード)10Bに装備され外部に発信する複数の発信信号処理部3A,3Bに伝送するための光信号伝送路(光式インターコネクション回路)40Aを備えている。
ここで、上記二個の伝送信号処理部2A,2Bについては、(光モジュール全体の小型化を意図して)図21に示すように他方の伝送信号処理部2Bを後述する導波路73,83上に展開し積層した場合を例示にしたが、一方の伝送信号処理部2A上に積層するように構成してもよい。外部に向けて発信する発信信号処理部3A,3Bについても同様である。又、この伝送信号処理部2A,2Bについては、図21に示すように図示面上90度回転した位置に設置し、これによって光モジュール全体の小型化を図ると共に、送信信号の入出力に際しての操作性を高めた構造としたが、前述した第2実施例の場合と同様に(導波路73,83に沿って)直線状に配置してもよい。発信信号処理部3A,3Bについても同様である。符号2a,2b,3a,3bは、それぞれ送信用の電気信号を送信側アセンブリ41又は受信側アセンブリ43に送り込むための帯状配線群を示す。
【0155】
前述した光信号伝送路(光式インターコネクション回路)40Aは、前記二個の伝送信号処理部2A,2Bから出力される複数の電気信号を二つのグループの光信号B1,B2に分けて変換出力する二層構造の送信側光アセンブリ41と、前記光信号B1,B2を複数のポリマー導波路73,73,73,……、83,83,83,……、を介して個別に取り込み前述した他方の基板(ボード)10B側へ伝送する光信号中継手段99Bと、この光信号中継手段99Bを介して伝送されて来る光信号B1,B2を複数のポリマー導波路73,73,73,……、83,83,83,……、を介して個別に取り込み電気信号に変換して前記各発信信号処理部3A,3Bに伝送する二層構造の受信側光アセンブリ43とを備えて構成されている。
ここで、光信号B1は二層構造のポリマー導波路73,78の内の上層部分のポリマー導波路73,73,73,……を伝搬するものとし、光信号B1は二層構造のポリマー導波路73,78の内の下層部分のポリマー導波路83,83,83,……を伝搬するものとする(図22(B),図23(B)参照)。
【0156】
上記光信号中継手段99Bは、前述した一方と他方の各基板10A,10Bのド相互間に設置された光結合用の複数の中継光ファイバー(MMF回線100aを含むMMF100)と、この中継光ファイバーと前記基板10A上の前記光信号B1,B2に対応したポリマー導波路73,73,73,……、83,83,83,……、とを光結合する一方の中継用光結合回路(第4の光結合回路)32と、前記複数の中継光ファイバー(MMF回線100aを含むMMF100)と前記他方の基板10B上の前記光信号B1,B2に対応したポリマー導波路73,73,73,……、83,83,83,……、とを光結合する他方の中継用光結合回路(第5の光結合回路)33とにより構成されている。
【0157】
ここで、送信側アセンブリ(一方の光結合回路)41の構成内容を図22に示す。
この図22において、送信側アセンブリ(一方の光結合回路)41は、予め上下二層に設置された導波路73,83に対応して、共通に装備された45度多重反射ミラー44を備えている。
【0158】
この45度多重反射ミラー44の上面には面発光レーザ(VCSEL)35,45が配置され、この面発光レーザ35,45から変換出力された光信号B1,B2が、それぞれ45度多重反射ミラー44の側面から光信号B1,B2として前述した導波路73,83に向けて送り出されるように構成されている。他の導波路73,83、73,83、73,83、……(図21参照)についても同様である。
【0159】
ここで、この第3実施形態では、最初から上下二層に設置された導波路(例えば73,83)を対象としていることから、前述した第2実施形態に装備されている第3の光結合回路31および34(図16参照)は不要となっており、装備されていない(図21参照)。
【0160】
図22において、符号201は面発光レーザ35,45を装備した面発光レーザアレイ本体を示す。又、符号35a,45aはそれぞれ面発光レーザ35,45に電気的に接続されたドーナツ形状の電極を示す。
【0161】
又、この各ドーナツ形状の電極35a,45aには、前述した伝送信号処理部2A,2B(図21参照)から出力される伝送信号である電気信号(レーザ駆動信号)を取り込む信号導入電極34a,44aおよび当該取り込んだ電気信号を面発光レーザ35,45側のドーナツ形状の電極35a,45aに案内する信号案内回線34b,44bが上記面発光レーザアレイ本体201に設けられている。符号202は面発光レーザアレイ本体201を保持するレーザアレイ本体支持部を示す。
【0162】
この各面発光レーザ35,45は、電気信号に駆動されて前述した伝送信号を含む光信号B1,B2を変換出力する。そして、この各面発光レーザ35,45で変換出力された光信号B1,B2は、前述した第2実施形態の場合と同様に構成された二層の導波路73,83(73,83、73,83……),第4の光結合回路32,およびMMF回線100aを介して順次光結合され、他方の基板10B側に伝送される。
【0163】
そして、この他方の基板10B側では、MMF回線100aを介して送られてくる光信号B1,B2を、前述した第2実施形態の場合と同様に第5の光結合回路73(図21参照)を介して取り込み、予め設置された二層の導波路73,83(73,83、73,83……)を介して下記に示す二層構造の他方の光結合回路(受信側アセンブリ)43で光電変換され、外部発信用の信号処理を行う発信信号処理部3A,3Bに各別に送り込まれる。
【0164】
ここで、この第3実施形態では、前述した第2実施形態において装備されている光信号B1用と光信号B2用の二つの受信側アセンブリ(他方の光結合回路である第7,第8の光結合回路)13A,13Bに代えて、上述したように、二層構造の一つの受信側アセンブリ(他方の光結合回路)43が装備されている。
この受信側アセンブリ(他方の光結合回路)43の構成内容を図23に示す。
【0165】
この図23において、受信側アセンブリ(他方の光結合回路)43は、予め設定された上下二層の導波路(例えば73,83)に対して45度多重反射ミラー44が共通に1個装備され、この45度多重反射ミラー44の側面から予め上下二層に設置された導波路73,83を介して入射される光信号(受信光信号)B1,B2を45度多重反射ミラー44を介して取り込む共に上面に配設したホトダイオード(PD)55,65によって光電変換し、これを外部発信用の信号処理を行う発信信号処理部3A,3B(図21参照)に、各別に送り込むようになっている。
【0166】
そして、この第3実施形態では、上記他方の基板10B側でも、最初から上下二層に設置された導波路(例えば73,83)を介して光信号B1,B2を伝送するように構成されているため、前述したように第2実施形態で装備された第6の光結合回路34は不要となっており、装備されていない。
【0167】
ここで、符号301は、ホトダイオード(PD)55,65を装備したホトダイオードアレイを示す。又、符号55a,65aは電極配線54b,64bを介してそれぞれホトダイオード(PD)に電気的に接続された信号出力電極を示す。
【0168】
この各信号出力電極55a,65aを介して、前記ホトダイオード(PD)55,65にて光電変換された受信信号(電気信号)が、図示しない配線を介して外部発信用の信号処理を行う発信信号処理部3A,3Bに向けて送り出されるようになっている。その他の構成は前述した第2実施形態と同一となっている。
【0169】
このようにしても、前述した第2実施形態と同等の作用効果を得ることができるほか、二層以上の導波路の積層構造も可能なので、スループットの高い光インターコネクションを実現することができるという利点がある。
【0170】
又、上記二層になっている導波路(例えば73,83)については、図22,図23に示すように、その間隔Sがそのまま光素子である面発光レーザ35,45やホトダイオード(PD)55,65の設定間隔Sになるので、実装に際しては導波路のY軸方向の位置制御が必要となる。
【0171】
また、二層以上の場合には、半円柱状レンズの曲率を下段になるほど小さくする必要がある。この場合には図10のレンズ構成であれば設計自由度が高く、導波路の位置ごとに半円柱状レンズ部の曲率を変えることができる。ここで、導波路に対して面発光レーザ35,45やホトダイオード(PD)55,65の光素子に対する電極35a,45a,55a,65aは金バンプなどを用いて実装できる。
【0172】
〔その他の効果〕
前述した上記各実施形態にあって、上記各光結合回路は、交互に積層された誘電体層と金属薄膜からなる45度多重反射ミラー14と、導波路および当該導波路にモノリシックに形成された半円柱状レンズとを備えて構成されているので、部品点数が少なくなり、更に低コストの部品を組み合わせた構成および低コストの実装で、面発光レーザと導波路の光結合、ホトダイオードと導波路の光結合が可能となり、その結果、低コストの光結合回路を提供することができる。
【0173】
また、上記第2実施形態で開示したように、ポリマー導波路とMMF回線との光結合が可能となり、かかる点においても光インターコネクションが複数の筐体(又は基板)に別れていても低コストの伝搬損失の少ない光結合回路を提供することができる。
更に、45度多重反射ミラー14に対して、横方向の光閉じ込めが光軸に垂直な2軸の内の1軸方向に強い面発光レーザ(VCSEL)を用いることにより可能となるので、低コストで高速動作可能な光送信モジュール(光モジュール)を提供することができる。
【0174】
そして又、上記第2実施形態で開示したように、高さの異なる導波路に対しての光結合も、45度多重反射ミラー14を介して有効に成し得るように構成したので、高効率の光結合を可能とすることができた。
【0175】
又、45度多重反射ミラー14において光路変換後の光の出射位置と入射位置の関係をどちらか一方の情報から予想できることから、画像処理及び実装する導波路に対する高さ検知を、組み合わせて実装することが可能となる。その結果、実装は全自動化され、低コストな実装が可能となる。
<実施例>
【0176】
本発明にかかる光結合回路の具体的な実施例を説明する。
ここで、送信側光アセンブリである第1の光結合回路11は、図1乃至図3に示すように、面発光レーザ(VCSEL)アレイ18と、この面発光レーザ(VCSEL)アレイ18につながる電気伝送路17(17,17,17,……)と、45度多重反射ミラー14およびポリマー導波路12(12,12,12,……)との組合せからなる。
【0177】
ポリマー導波路12はSi基板上にアレイ状に作製し、アレイ間隔250〔μm〕、アレイ数12〔ch〕、コアサイズ30〔μm〕画とし、コアの屈折率は1.54、コアとクラッドの屈折率差は2〔%〕とした。コア上部のクラッド層の厚みは70〔μm〕、コア下部のクラッド層の厚みは100〔μm〕とした。
【0178】
Si基板には、予めTiAu薄膜を形成し、45度多重反射ミラーが配置される位置以外のTiAu膜は、ポリマー導波路形成前にフォトリソグラフィーとウェットエッチングにより取り除いた。
【0179】
最表面に0.1〔μm〕厚のTi薄膜と、0.5〔μm〕厚のAu薄膜を形成し、フォトリソグラフィーにより実装用のマーカーと、半円柱状レンズ12cおよび電気配線のパターン(電気伝送路)17を形成し、電気配線部の抵抗を低減するためにCuメッキを施し、これをマスクとしてドライエッチングを行い、基板面のAu膜に到達するまでエッチングし、これによって半円柱状レンズを形成した。
【0180】
前述した45度多重反射ミラー14は、ガラス基板上にTiとSiOを交互にスパッタで積層した後、ダイシングで形成した。Tiの厚みは0.1〔μm〕でSiOの厚みを4.9〔μm〕とし、100周期形成したのち、ダイシングで45度に切り出し、金属層が45度に形成された直方体(サイズ200〔μm〕×500〔μm〕×3500〔μm〕)の45度多重反射ミラー14を作製し、裏面のTiAuを形成した。
【0181】
又、Si基板上にAuSnボールを配置し、加熱してAuSnを溶かした。
マウントヘッドで予め導波路表面の高さを検出した後、45度多重反射ミラー14はエッジを検出して平行出しを行い、マウントヘッドに真空吸着した。その後、45度多重反射ミラー14をSi基板上に配置し、実装用マーカーに対し、X方向およびZ方向の位置を制御し、同時に高さ制御を行い、冷却によりAuSnを固化し、45度多重反射ミラー14の表面を導波路表面よりも30〔μm〕高い位置に、円柱レンズ端から10〔μm〕離れた位置に固定した。
【0182】
面発光レーザアレイ100には放射全角35度で12ch(250〔μm〕ピッチ)を用いた。波長は0.85〔μm〕である。60〔μm〕の金バンプで実装用マーカーを参照して熱圧着した。
これにより、面発光レーザ(VCSEL)と45度多重反射ミラー表面の距離は30〔μm〕以下に抑えられた。
【0183】
面発光レーザ(VCSEL)から出力された光は、Z軸方向に関して、45度多重反射ミラーにおけるミラー膜とミラー膜の間に閉じ込められ、空間的に広がるのを抑制されたまま、導波路12まで到達する。
【0184】
一方、X軸方向に関して光は閉じ込められていないので、面発光レーザの出射点から導波路入り口にかけて広がるが、半円柱状レンズを介して有効に集光される。
これにより、面発光レーザ(VCSEL)と導波路の間は全チャンネルにおいて1〔dB〕以下の結合損失を低コストで実現できた。
【0185】
ここでは、送信側光アセンブリ(一方の光結合回路)11についての実装技術を示したが、実装方法については受信側光アセンブリ(他方の光結合回路)13でも同様である。 又、ホトダイオード(PD)アレイの吸収層直径を50〔μm〕とすることで高効率のホトダイオード(PD)と導波路の結合が得られ、12〔ch〕で10〔Gbps〕のハイスループット動作が低コストで実現できることを確認することが出来た。
【0186】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態を図24乃至図30に基づいて説明する。
ここで前述した第1実施形態と同一の構成部材については同一の符号を用いるものとする。
【0187】
最初に本第4実施形態における技術内容の要点を説明し、その後に具体的な内容を詳述する。
まず、本第4実施形態において、光モジュールとしての信号送受信用モジュール400は、同一ボード10上に装備され伝送信号処理部2に外部入力される電気信号を外部に向けて送信する発信信号処理部3に伝送するための光式インターコネクション回路400Aを備えている。
【0188】
この光式インターコネクション回路400Aは、本第4実施形態にあっては、前記伝送信号処理部2に連結された一方の光結合回路(送信側光アセンブリ)411と、前記発信信号処理部3に連結された他方の光結合回路(受信側光アセンブリ)413と、前記各光アセンブリ411,413を相互に連結するポリマー導波路12とにより構成されている。この一方と他方の光結合回路411,413については、その詳細を後述する。
【0189】
更に、この一方と他方の光結合回路411,413が備えている信号伝達手段を、当該信号伝達手段に併設されている45度多重反射ミラー14と共に前記ボード10上に固定する光・電気連係ソケット部96を備えている。
【0190】
そして、この光・電気連係ソケット部96は、前記45度多重反射ミラー14と光結合器回路411(又は413)とを同時に前記同一ボード10に押し当てて固定するロック機構96と、前記光結合回路411が備えている電気配線基板91を介して当該光結合回路411(又は413)の前記ボード10上の位置を決める位置決めピン96Bとを含んで構成されている。
【0191】
以下、これ更に詳述する。
本第4実施形態における信号送受信用の光モジュール(光インターコネクション用モジュール)400は、図24に示すように、外部入力される信号を取り込んで伝送信号として信号処理する伝送信号処理部2と、この伝送信号処理部2からの出力信号を光信号に変換する一方の光結合回路(送信側光アセンブリ)411と、この一方の光結合回路411から出力される光信号を予め設置されている導波路(ポリマー導波路)12を介して取り込んで電気信号に変換する他方の光結合回路(受信側光アセンブリ)413と、この他方の光結合回路413で変換された電気信号を外部に向けて発信するための処理を行う発信信号処理部3とを備えている。
【0192】
ここで、伝送信号処理部2と一方の光結合回路411とにより、送信側光モジュール401が構成されている。又、発信信号処理部3と他方の光結合回路413とにより、受信側光モジュール403が構成されている。
【0193】
又、送信側光モジュール401の一方の光結合回路(送信側光アセンブリ)411は、電気信号を光信号に変換する送信側光変換部411Aと、変換された光信号を前述した光導波路(ポリマー導波路)12を介して前記受信側光モジュール403へ送り出す送信側光結合部411Bとにより構成されている。
【0194】
また、受信側光モジュール403の他方の光結合回路(受信側光アセンブリ)413は、送信側光モジュール401側から送り込まれる光信号を収束して受信し受信側光変換部413A側に向けて送りだす受信側光結合部413Bと、この受信側光結合部413Bから送り込まれる光信号を電気信号に変換して発信信号処理部3へ送り出す受信側光変換部413Aとにより構成されている。
【0195】
ここで、上記送信側光モジュール401の一方の光結合回路(送信側光アセンブリ)411と、受信側光モジュール403の他方の光結合回路(受信側光アセンブリ)413と、この両者を連結する光導波路(ポリマー導波路)12とのより光式インターコネクション回路400Aが構成されている。
【0196】
又、送信側光モジュール401と受信側光モジュール403とは、ボード10上の光導波路12を介して接続されているが、光コネクタを介してボード10上の光導波路とMMFや導波路シートを接続することで、送信側および受信側の光モジュール間にMMFや導波路シートを接続してもよい。
【0197】
<送信側光結合回路411>
次に、図25乃至図26に基づいて送信側光結合回路411を構成する送信側光変換部411Aと送信側光結合部411Bについて説明する。
図25は送信側光結合回路411の断面図である。又、図26は送信側光結合部411Bの説明図である。
【0198】
図25において、送信側光変換部411Aは、電気配線基板91上に伝送信号処理部2からの信号を受けるドライバIC92と、電気信号を光信号に変換して送り込む面発光レーザを備えた光変調デバイスアレイ(以下、光変調デバイという)93と、光変調デバイス93からの光信号を前記電気配線基板91の裏側に伝播する光スルーホール94と、送信側光結合回路411の全体をボード10に固定するために電気配線基板91に設けられた勘合穴91Aと、前記ドライバIC92と光変調デバイス93とを覆い且つドライバIC92の放熱を兼ねる放熱カバー95とを含んで構成されている。
【0199】
この場合、光変調デバイス93と光スルーホール94はバットジョイント構成となっている。また、この光変調デバイス93としては、光スルーホール94に高効率に結合する上で面発光レーザが望ましい。光路を90度に変換する構造を光変調デバイス93自体に付加すれば端面発光レーザでもよい。CW光源と外部変調器の組み合わせでもよい。
また、光スルーホール94については、コアとクラッドから構成される光導波路である。この光スルーホール94はクラッドがなくコアの周りを金属の反射膜で覆った構成でもよい。この場合、コアは材料が充填されていない中空でもよい。
【0200】
送信側光結合部411Bは、図26に示すように光信号を案内する導波路12(12,12,12,12)の他方の端部(図25,図26の各左端部)に対向して配設され且つ当該各導波路12〜12に向けて光信号の伝搬を案内する45度多重反射ミラー14と、この45度多重反射ミラー14の図25における右側面に対向して装備された前記各光導波路12〜12の対向面(光入射用端面)に形成されたレンズ部12cとを含んで構成されている。
【0201】
ここで、この図26に示すボード10上の三次元座標は、以後の説明において成される座標位置関係に全て適用されるものとする。
又、各光導波路12〜12の全体を指標する場合は、符号12をもって光導波路とする。本第4実施形態では光導波路については4本使用した場合を例示しているが、本数は問わない。他の実施形態においても同様である。
【0202】
次に、上記光導波路12については、コア層12aが屈折率の異なる透明部材からなるクラッド部12bに取り囲まれて導波路12が特定され当該クラッド部12bと一体的に形成されている。他の導波路についても同様である。
そして、この各導波路と後述するレンズ部12cとにより導波路アレイ12が構成されている。
【0203】
各導波路12〜12の各他端部(図26の右端部)には、45度多重反射ミラー14との対向面部分に、当該45度多重反射ミラー14から送り出される(後述する受信側光モジュール1B側では「送り込まれる」)光信号の拡散を抑制する前述した光レンズ部12cが、それぞれ設置されている。そして、この各光レンズ部12cは、前述した各光導波路12〜12に、それぞれ一体化されて構成されている。
【0204】
送信側光変換部411Aが備えている光変調デバイス93の複数の面発光レーザに対応して設けられた前記光スルーホール94は、上述したように、45度多重反射ミラー14の前記各導波路12〜12と光学的に導通した面の反対側の端面(図26では上端面)に設置される。
そして、前述した光スルーホール94と各導波路12〜12は、上記45度多重反射ミラー14が備えている複数の光信号伝送多重層(金属薄膜に挟まれた層) の内の少なくとも一つの層に対応させて、配設されている。
【0205】
光スルーホール94からの光信号は、上述した45度多重反射ミラー14のミラーの間に光を閉じ込める効果と導波路端のレンズ12cにより、その拡散が有効に抑制される。 本第4実施形態では光導波路12の端面に半円柱状レンズ12cがあるのでX軸方向(対向面に沿った方向)に広がった光は集光が可能である。Y軸方向には集光の機能がない。しかし、本第4実施形態では45度多重反射ミラー14のおかげでY軸方向には光は広がらない。その結果、光信号の伝搬途上における損失が有効に抑制されている。
【0206】
<光・電気連係ソケット部>
この光・電気連係ソケット部96は、上述した送信側光結合回路411に組み込まれ、当該送信側光結合回路411をボード10上に固定するためのソケットとしての役割を備えている。図27にこれを示す。
【0207】
この図27は、図25の矢印IVーIVに沿った一部省略した概略断面図である。
この場合、光・電気連係ソケット部96は、マザーボード(若しくはドーターボード)10上に配置された弾性を有する45度多重反射ミラー14を内側に配して且つ送信側光結合回路411全体をボード10に押し当てて固定するロック機構96Aと、送信側光結合回路411全体の位置を決めるピン96Bを含んで構成されている。
【0208】
ここで、45度多重反射ミラー(異方導電性シート)14は、本第4実施形態にあっては、直方体の異方性導電シートとしても機能する。
その断面内には45度方向に金属からなる反射ミラー膜14bがほぼ等間隔に複数設けられ、この反射ミラー膜14b相互間には光信号に対して透明かつ絶縁性で弾性のあるゴムまたは樹脂が重点された状態に組み込まれ、これによって複数の光信号伝送多重層14aが形成されている。
【0209】
一方、異方導電性シート14内で反射ミラー膜14aはボード表面と送信側光変換部411Aの裏面をつなぐ電気配線を兼ねる。そして、電気配線を兼ねるため、反射ミラーは図26や図27に示すようにボード10に水平な面内で電気的に分離されるように、縞状に形成される。
【0210】
送信側光変換部411Aの裏面には、等間隔に配置されたBGA電極98が露出している。この送信側光変換部411Aの内部で、光変調デバイス93が備えている面発光レーザアレイは、電気配線基板91上でドライバIC92と接続されており、ドライバIC92に対する電源線や信号線が電気配線基板91の裏面側のBGA電極98に接続している。ボード10上にもBGA電極98と同じ配置で電極98aが形成されており、これにより異方性導電シート14を介して送信側光結合回路411とボード10上の電極とが接続される。
【0211】
ここで、光スルーホール94の間隔とBGA電極98の間隔は異なってもよいが、そろえることが望ましい。これにより異方性導電シート14の構造が簡単化される。
送信側光結合回路411を配置する位置を固定するために、前述したようにボード10上に位置決めピン96Bを配置する。光スルーホール94の位置に対して勘合穴91aのある位置の相対情報をもとに、ボード10上にピン96Bを配置すればよい。
【0212】
位置決めピン96Bの位置は送信側光結合回路411の勘合穴91aと光スルーホール94の位置関係から決定される。位置あわせにおいて、BGA電極98やボード10上の電極のサイズは直径が0.4〔mm〕程度と大きく、光スルーホール94や光導波路12のコアサイズは数10〔μm〕と小さいからである。
【0213】
逆に言えば、電気接続の余裕度は高い。例えば、異方性導電シート14の厚みばらつきや導波路コア中心の高さが変化すると、送信側光結合回路411のBGA電極98と対応するボード10上の電極98aの位置関係が変化する。しかしBGA電極98やボード10上の電極98aのサイズは直径が0.4〔mm〕程度と大きいので、異方性導電シートの厚みが±0.2〔mm〕程度のばらつきがあっても、導電性を十分確保できる。
【0214】
送信側光結合回路411を上から押さえつけるロック機構96Aの下部には、異方性導電シート14の厚みよりも薄いスペーサ96aが配置されることが望ましい。これにより、送信側光結合回路411の底面はこれに当たって止まるため、これ以上に異方性導電シート14がつぶれて壊れることはない。
【0215】
ここで、上述した光・電気連係ソケット部96を含む送信側光結合回路(一方の光結合回路)401の各構成要素について詳述する。
【0216】
(異方性導電シート)
前述した45度多重反射ミラー(兼異方性導電シート)14は、前述した第1実施形態の場合と同様に、交互に積層された光信号伝送多重層(透明で絶縁性および弾性のある樹脂またはゴム)14aと、反射ミラー膜(金属薄膜)14bとからなる。
【0217】
図28を用いてこの異方性導電シートの製造手順を説明する。
異方性導電シート14は、透明で絶縁性および弾性のある樹脂またはゴムからなる信号伝送多重層と金属薄膜の多層構造を作製した後、ダイシングにより作製される。
まず、図28(a)のように信号伝送多重層14aを形成する。Siやガラスなどの基板上にスパッタ,CVD,PCVD,インクジェット印刷, 又はスピンコートなどで製膜することができる。
【0218】
次に、図28(b)のように反射ミラー膜を成す金属薄膜14bを、金属マスク35を用いて縞状に製膜する。製膜方法には、スパッタ,真空蒸着,E-gun ,インクジェット印刷, 又はメッキなどによる手法が用いられる。
金属マスクは金属板に部分的に穴を開けた構造になっており、これをゴムの表面に押し当てて製膜することで、金属薄膜を縞状に形成することができる。
【0219】
続いて、図28(c)のようにスピンコートでゴム層を塗布し、硬化させたのち、金属マスクを用いて金属薄膜を形成することを繰り返すことで:多層構造を形成する。
最後に点線でしめすように45度に長方体形状で切り出すことで図28(d)のように異方性導電シートを作製することができる。
ここでは、金属マスクを使用したが縞状パターンの形成にはフォトリソグラフィーとリフトオフプロセスなどを用いて形成してもよい。
【0220】
光信号伝送多重層14aの素材としては、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル- ブタジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッソゴム、多硫化ゴム、ポリエーテルゴム、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ガラス・エポキシ樹脂、アラミド・フィルム、液晶ポリマなどある。
【0221】
一方、反射ミラー膜(金属薄膜)14bの素材である薄膜としては、Ti,Pt,Au,Ni
,Cu,Ag,Snなど、及びこれらの組み合わせにより構成される。これらの素材については、使用する光の波長帯や材料との密着性を考慮して選択される。
信号伝送多重層の形成には、プリフォーム法を用いた熱延伸などの製膜方法がある。その場合、弾性のある樹脂のシートを作製した後に金属薄膜を印刷し、シート同士を張り合わせるなどの方法を採用してもよい。
【0222】
金属薄膜は、光を通す領域では厚みは0.1〔μm〕以上で0.3〔μm 〕以下の範囲にあることが望ましい。薄くなると反射率が下がり、厚くなるとその厚みで信号伝送多重層に入る前に光を反射してしまうためである。電気を通す領域では10〔μm 〕以上であることが望ましい。薄すぎると接触抵抗や導通時の抵抗が大きくなるためである。
【0223】
(光導波路について)
導波路(ポリマー導波路)12〜12部分は、まず下地となるクラッド層12bを導波路を形成する領域のみにフォトリソグラフィーとドライエッチングで形成し、当該各導波路12〜12を構成する素材部分であるコア層12aを同様に形成し、その後に、各導波路12〜12の周囲を構成するクラッド層12bで埋め込むようにフォトリソグラフィーとドライエッチングで形成される。
【0224】
この場合、上記各光レンズ部12cは、本第4実施形態では半円柱状に形成されている。この各光レンズ部12cは、フォトリソグラフィーとドライエッチングにより各導波路12〜12に端部を円弧に加工することで得られる。
【0225】
ドライエッチング用のマスクとしては、まず金属薄膜を形成し、レジストマスクで金属薄膜をエッチング加工し、このパターニングされた金属薄膜をマスクにしてドライエッチングを行なうようにしてもよい。又、この場合の金属薄膜は、ポリイミドの加工の目的のほかに、電気部品を実装する際の電気の配線パターンや光部品を実装するためのマーカーとして用いることも可能である。また、感光性のポリイミドなどを用いて、導波路パターンや円柱状レンズを直接形成してもよい。
【0226】
(送信側の光・電気連係ソケット部の構築)
前述した光・電気連係ソケット部96の製造工程では、光導波路12〜12に対して、本第4実施形態ににかかる異方性導電シート(45度多重反射ミラー)14と、モジュール位置合わせ用のピン96Bを搭載する。
【0227】
異方性導電シート14と位置合わせ用のピン96Bの配置位置は、ボード10上の光導波路12と光スルーホール94との位置関係、送信側光結合回路411のBGA電極98aと対応するボード10上の電極の位置関係を決める上でパラメータとなる。異方性導電シート14と位置合わせ用のピン96Bのどちらを先に搭載してもよいが、ハンドリングしやすいものを後から搭載することが望ましい。
【0228】
位置決めピン96Bを先に搭載する場合には次のようになる。
位置決めピン96Bは光導波路12のX軸方向の位置情報を元に搭載する。位置決めピン96Bを搭載すると光スルーホール94のX−Y平面上の位置が決定する。
異方性導電シート14の高さ情報と導波路12〜12のコア位置の表面位置からの差分情報を参考に、異方性導電シート14の(即ち、Z軸方向)の制御を行うことで、光スルーホール94と光導波路12の結合を最大化できる。
【0229】
異方性導電シート14を先に搭載する場合には次のようになる。
異方性導電シート14は光導波路のX軸方向の位置情報を元に搭載する。異方性導電シート14を搭載すると、異方性導電シート14の高さ情報と導波路12〜12のコア位置の表面位置からの差分情報から、光スルーホール94のX−Z平面上の位置がきまる。この情報をもとに位置決めピン96Bの(即ち、X軸およびZ軸方向)の制御を行うことで、光導波路12と光スルーホール94の結合を最大化できる。
【0230】
面発光レーザ(VCSEL)を含む光変調デバイス93と導波路12〜12との間で高効率の結合を実現するには、光スルーホール94や光導波路12の開口数NA(Numerical Aperture )を調整する必要がある。
光のスポットサイズが小さくても光スルーホール94や導波路12〜12の内部に入った光のコア/クラッドの反射角が全反射角よりも小さいと、コア層内の光がクラッド層側に抜けてしまい、光が伝播しないためである。
【0231】
導波路12〜12のX軸方向に関しては半円柱状レンズでNAを調整することができるが、導波路12〜12のY軸方向にはNAの調整機構はない。その場合は、コアの屈折率をクラッドの屈折率を大きくとる必要がある。
これにより、光スルーホール94や導波路12〜12のNAをレーザ光の放射角に対して大きくことができる。例えば屈折率1.5付近のポリマー導波路では、コア層とクラッド層の間の屈折率差は2〔%〕以上とするとよい。又、光スルーホールが導波路と同じようにコアとクラッドから構成される場合も光スルーホールのコアとクラッドの屈折率差を2〔%〕以上とすることが望ましい。
【0232】
<受信側光結合回路413>
次に、図29乃至図30に基づいて受信側光結合回路413について説明する。
受信側光結合回路413は、前述したように受信側光変換部413Aと受信側光結合部413Bとにより構成されている。
【0233】
図29に受信側光結合回路413の断面図を示す。又、図30には、受信側光結合部413Bの説明図を示す。
【0234】
まず、図29において、受信側光結合回路413の受信側光変換部413Aは、電気配線基板101上に、光電変換素子としてのホトダイオードアレイ(以下、ホトダイオードという)26と、この各ホトダイオード26から出力される電流信号を増幅して外部へ送り出すレシーバIC(トランスインピーダンスアンプ)102と、ホトダイオード26の光を導く光スルーホール104、光アセンブリ固定用の勘合穴105、レシーバIC102とホトダイオード26を覆い且つトランスインピーダンスアンプの放熱を兼ねる放熱カバー105とを備えている。
【0235】
この内、ホトダイオード26は、電気配線基板101上でレシーバIC(トランスインピーダンスアンプ)102と接続されており、レシーバIC102に対する電源線や信号線が電気配線基板101の裏面側に等間隔に配置されたBGA電極108として露出している。
【0236】
光スルーホール104はコアとクラッドから構成される光導波路である。光スルーホール104はコアの周りを金属の反射膜で覆った構成でもよい。この場合、コアは材料が充填されていない中空でもよい。ホトダイオード26と光スルーホール104とはバットジョイント構成となっている。
【0237】
受信側光結合部413Bは、光導波路12(12〜12)を介して送り込まれる光信号を、受信側光変換部413Aの光スルーホール104に結合する。この光スルーホール104を通った光信号はホトダイオード26と結合し、電流信号に変換して出力される。そして、この変換された電流信号はレシーバIC102で電圧信号に変換され、前述した発信信号処理部3を介して外部へ出力されるようになっている。
【0238】
この受信側光結合部413Bは、図29乃至図30に示すように、光信号を案内する光導波路12(12,12,12,12)の他方の端部(図29の右端部)に対向して配設され当該各導波路12〜12とは異なった方向への光信号を案内する45度多重反射ミラー14と、光導波路12(12,12,12,12)の前記他方の端部(図29の右端部)に設けられたレンズ部12cとのより構成されている。
【0239】
この内、45度多重反射ミラー14は、前記各光導波路12〜12からの光信号を、上述したように受信側光変換部413Aの光スルーホール104に結合する。
本第4実施形態では、光導波路12の端面に半円柱状のレンズ12cがあるのでX軸方向に広がった光は集光が可能である。光導波路12〜12のY軸方向には集光の機能がない。しかし、本第4実施形態では45度多重反射ミラー14のおかげでY軸方向には光は広がらない。その結果、光信号の伝搬途上における損失が有効に抑制されている。
【0240】
<受信側の光・電気連係ソケット部>
この受信側の光・電気連係ソケット部は、前述した送信側の光・電気連係ソケット部96と同等に形成され、上述した受信側光変換部413Aに組み込まれて、受信側光結合回路413の全体をボード10上に固定するためのソケットとしての役割を備えている。
【0241】
図29を用いて、この受信側の光・電気連係ソケット部について説明する。
この場合、光電気統合ソケットは、マザーボード(もしくはドーターボード)10上に配置された弾性を有する異方性導電シート(45度多重反射ミラー)14を内側に配して且つ受信側光結合回路413全体ををボード10に押し当てて固定するロック機構(図示せず/送信側のロック機構に同じ)と、受信側光結合回路413全体の位置を決めるピン107とを含んで構成されている。
【0242】
異方性導電シート(45度多重反射ミラー)14は、その断面内に、45度方向に金属からなる反射ミラー膜14bがほぼ等間隔に複数設けられ、この反射ミラー膜14b相互間には光信号に対して透明かつ絶縁性で弾性のあるゴム又は樹脂が重点された状態に組み込まれ、これによって複数の光信号伝送多重層が形成されている。一方、異方導電性シート内で反射ミラー膜はボード表面と光アセンブリ裏面をつなぐ電気配線を兼ねる。
【0243】
受信側光変換部413Aの裏面には、等間隔に配置されたBGA電極108が露出している。又、受信側光変換部413Aの内部にあって、ホトダイオードアレイ26は、電気配線基板101上でレシーバIC102と接続されており、レシーバIC102に対する電源線や信号線が電気配線基板101の裏面側のBGA電極108に接続している。
ボード10上にもBGA電極108と同じ配置で電極108aが形成されており、これにより、異方性導電シート(45度多重反射ミラー)14を介して送信側光変換部413Aとボード10上の電極とが接続される。
【0244】
前述した送信側と同じく、受信側光結合回路413全体を配置する位置を固定するために、ボード10上に、位置決めピン107を配置する。光スルーホール104位置に対して勘合穴のある位置の相対情報をもとに、ボード10上に位置決めピン107を配置すればよい。
又、この受信側光結合回路413の製造工程でも、送信側と同じく、光導波路12〜12に対して本実施形態にかかる異方性導電シート14と、モジュール位置合わせ用の位置決めピン107を搭載する。
【0245】
異方性導電シート(45度多重反射ミラー)14と位置決めピン107の配置位置は、ボード10上の光導波路12と光スルーホール104の位置、送信側光変換部413AのBGA電極108と対応するボード10上の電極の位置を決める上でパラメータとなる。どちらを先に搭載してもよい。
【0246】
位置決めピン107を先に搭載する場合には次のようになる。
この場合、位置決めピン107は光導波路12のX軸方向の位置情報を元に搭載する。そして、位置決めピン107を搭載すると光スルーホール104のX−Y平面上の位置が決定する。
【0247】
異方性導電シート(45度多重反射ミラー)14の高さ情報と導波路12〜12のコア位置の表面位置からの差分情報を参考に、異方性導電シート14の(即ち、Z 軸方向)の制御を行うことで、光スルーホール104と光導波路の結合を最大化できる。
【0248】
異方性導電シート14を先に搭載する場合には次のようになる。異方性導電シート14は光導波路12のX軸方向の位置情報を元に搭載する。異方性導電シート14を搭載すると異方性導電シート14の高さ情報と光導波路12〜12のコア位置の表面位置からの差分情報から、光スルーホール104のX−Y平面上の位置がきまる。この情報をもとに位置決めピン107(即ち、X−Y軸方向)の制御を行うことで光導波路12と光スルーホール104の結合を最大化できる。
【0249】
導波路12〜12と各ホトダイオード26の間の高効率結合を実現するには、各ホトダイオード26の吸収層の直径に比べて導波路12〜12のY方向のコア層の厚みが薄く、各ホトダイオード26の吸収層の直径に比べて45度多重反射ミラーに薄く閉じ込められていることが望ましい。
【0250】
<全体の動作>
次に、上記第4実施形態における全体的な動作について説明する。
まず、図25において、外部から所定の送信信号が設定入力されると、伝送信号処理部2がこれを取り込んで信号処理し伝送信号として出力する。
【0251】
この伝送信号処理部2から出力された伝送信号は、送信側光変換部411Aで電気信号から光信号に変換され、45度多重反射ミラー14を含む送信側光結合部411Bおよび光導波路12を介して伝播し、受信側光結合回路413で再び電気信号に変換されて前述した発信信号処理部3へ送り込まれる。
【0252】
ここで、送信側光変換部411A内では、面発光レーザ(VCSEL)を含む光変調デバイス93から出力された光は光スルーホール94を通って送信側光結合部411B側の45度多重反射ミラー14に届く。45度多重反射ミラー14においてミラー14bとミラー14bの間に閉じ込められ、Y軸方向に関して空間的に広がるのを抑制されたまま、光導波路12〜12に送り込まれる。
光信号はX軸方向に広がるが、光導波路12に形成された各光レンズ部12cで個別に集光されて対応する各導波路12〜12へ確実に伝送される。
【0253】
次に、導波路12〜12を介して伝送された光信号は、受信側光結合部413Bを介して受信側光変換部413Aへ送り込まれ、当該受信側光変換部413Aの一部を成す光スルーホール104を通って、ホトダイオード(光電変換素子)26で個別に光電変換され(即ち、受信側の45度多重反射ミラー14及び電気配線回路を介して個別に電気信号に変換されて)、前述した発信信号処理部3へ送り込まれる。
【0254】
この場合、光導波路12〜12を介して送り込まれた光信号は、光導波路12の出力端でX軸方向に関して集光され、45度多重反射ミラー14におけるミラー14bとミラー14bの間に閉じ込められ、空間的に広がるのを抑制されたままホトダイオード(光電変換素子)26に到達し、このホトダイオード26によって個別に電気信号に変換されて前述したように発信信号処理部3へ送り込まれる。
【0255】
ここで、前述した送信側光変換部411A内では、ドライバIC92を配置したが、ドライバIC92は伝送信号処理部2と共にボード10上に配置してもよい。同じく、受信側光変換部413A内では、内部にレシーバIC102を配置したが、レシーバIC102は発信信号処理部3と共にボード10上に配置してもよい。
【0256】
即ち、ドライバIC92からの電気信号が異方性導電シート(45度多重反射ミラー)14を介して光変調デバイス93に伝播され、電気光変換が行われる。
又、光導波路12〜12を介して送り込まれた光信号は前述したように異方性導電シート(45度多重反射ミラー)14を介してホトダイオード26へ送り込まれ、このホトダイオード26で光電気変換されてレシーバIC102伝播される。
【0257】
一般に、光モジュール400の寿命は光IC(ドライバIC92、レシーバIC102)よりも光素子(光変調デバイス93、ホトダイオード26)の寿命で決まってしまうので、交換部品である光モジュール400から光ICを取り除くことで、光モジュール400の交換コストを削減することができる。
【0258】
ここで、前述した45度多重反射ミラー14については、その作用は前述した第1実施形態における45度多重反射ミラー14と同一である。
【0259】
更に、45度多重反射ミラー14の配置位置は、ビジュアルアライメントを用いて部材のエッジや縞状の金属薄膜位置を参照し、Z軸方向およびX軸方向の制御が可能である。 この場合、固定には、接着剤を用いることができる。接着剤にも厚みがあるので接着固定する場所にはボード側もしくは異方性導電シート側に接着剤を流しいれる溝があることが望ましい。これにより接着固定後、接着材が溝部分で縮小することで部材の高さをボード面に対して部材厚みと一致させることができる。
【0260】
又、本第4実施形態にあっては、光導波路12〜12にモノリシックに付された半円柱状レンズ12cはフォトリソグラフィーで作製できるため、量産に向いており、低コストに作製できる。又、半円柱状レンズを装備することで光の放射角が変換される。これにより、導波路12〜12もしくは45度多重反射ミラー14に形成された半円柱状レンズ12cは光軸と垂直な面内の1軸に関して放射角を変換する。
【0261】
更に、本第4実施形態では45度多重反射ミラー14の形状が直方体としたことにより、光路変換後の光の出射位置と入射位置の関係をどちらか一方の情報から予想できる。
【0262】
<第4実施形態の効果>
本第4実施形態にあっては、上述したように構成され機能するので、これによると、前述した第1実施形態の場合と同一の作用効果を有するほか、更に、45度多重反射ミラー14は異方導電性シート兼ねるので部品点数が大幅に少なくなり、低コストの部品を組み合わせた構成および実装が可能となり、これがため交換コストも含めて装置全体を安価に得ることができるという生産性良好な優れた光結合回路及びこれを用いた信号送信用および受信用光モジュールを提供することができる。
【0263】
具体的には、上記第4実施形態では、45度多重反射ミラー(異方性導電性シート)14は、送信側光変換部411Aおよび受信側光変換部413Aに対して光信号をやり取りするための光回路の一部であると同時に、ボード10と送信側光結合部411Bおよび受信側光結合部413Bとの間の電気伝送を行うことができ、一石二鳥であるため低コストな光モジュールを提供することができる。
【0264】
更に、45度多重反射ミラー(異方性導電性シート)14は弾性を有する異方性導電シートである。金属薄膜14bはシート14aに対して45度の角度をもって配置されているため、シートの弾性を高く保持することができる。これにより光モジュール基板に反りがある場合にもシートの伸縮量が大きくとれるので、トレランスの高い電気接触を確保できる。
【0265】
また、以下の二つの構造とその効果により面発光レーザからホトダイオードまでの間で量産性に優れ、低コストで高い結合効率を実現できる。
第1の構造として45度多重反射ミラー14は光スルーホールと光導波路との間に配置される。通常の45度ミラーに比べて多重反射ミラーの間に光を閉じ込めることができるために、ボード10に対して直交方向に光が広がることを防ぐことができる。
【0266】
第2の構造は光導波路12に一体形成されたレンズ構造である。光導波路はマザーボードもしくはドーターボード上に量産性に優れるフォトリソグラフィー技術で作製することができる。同じくフォトリソグラフィー技術を用いてボードと平行な面内に作製したレンズ部を装備するという構成を採用したので、ボードに対して水平方向の光の広がりも抑制できる。
【0267】
光スルーホールのボードに対する位置の調整は必要だが、予めボード10に位置あわせ用のピンを配置して、ピンに対して光モジュール用の勘合穴を合わせることで、光モジュール400の交換が可能となる。
【0268】
光スルーホールの位置は光導波路の高さと45度多重反射ミラーの配置で決まり、これにあわせて固定用のピンと勘合穴を配置することで高効率な結合が実現できる。
以上により、結合効率を劣化させることなく量産に適した製造方法で部品点数を削減が可能となり、安価なソケット構造が実現できた。
その結果、導入コストと交換コストを削減かのうな光インターコネクションを提供することができる。
<実施例>
【0269】
ここで、上述した第4実施形態にかかる実施例を説明する。
具体的には、上記第4実施形態において開示した送信側光結合回路411を構成する送信側光変換部411Aと送信側光結合部411Bの具体例を説明する。
【0270】
送信側光変換部411Aは、電気配線基板91上の面発光レーザを備えた光変調デバイス93と、ドライバIC92と、電気配線基板91に形成された光スルーホール94と、勘合穴91Aとから成る。電気配線基板91上で光変調デバイス93とドライバIC92が接続されており、ドライバIC92からの信号線や電源線、制御線、GND線が電気配線基板91の裏面側のBGA電極と接続されている。
【0271】
電気配線基板91のサイズは9〔mm〕×9〔mm〕であり、BGAは1〔mm〕ピッチで形成されている。直径1〔mm〕±5〔μm〕の勘合穴91Aが光スルーホール94との距離誤差±5〔μm〕で形成される。
光スルーホール94は直径30〔μm〕の金属の円形配管からなる。直径50〔μm〕の金属の埋め込みビア内部にドリルで再度直径30〔μm〕の穴をあけて形成される。
【0272】
また、送信側光結合部411Bは、前記光スルーホール94と、異方性導電シートを兼ねる45度多重反射ミラー14と、ポリマー導波路12(12,12,12,……)の各光入力端に形成されたレンズ部12cとの組合せからなる。
【0273】
ここで、本実施例では、ポリマー導波路12はボード10上にアレイ状に作製し、アレイ間隔1000〔μm〕、アレイ数12〔ch〕、コアサイズ30〔μm〕とし、コアの屈折率は1.54、コアとクラッドの屈折率差は2〔%〕とした。コア上部のクラッド層の厚みは70〔μm〕、コア下部のクラッド層の厚みは100〔μm〕とした。
ボード10に別途形成した実装用マーカーを参考にポリマー導波路12は予め電気配線の形成されたボード10上にレンズ部12cと一緒に一括形成した。
屈折率のことなる二種類の感光性のポリイミドを光導波路のコア材料とクラッド材料に用いて、フォトリソグラフィーにより導波路と半円柱状レンズを形成した。
【0274】
前述した異方性導電シート(45度多重反射ミラー)14は、シリコンゴムシート上に金属マスクを用いたPtのスパッタ形成、シリコンゴムのスプレー製膜をくりかえした後、ダイシングで形成した。Ptの厚みは0.1〔μm〕でシリコンゴムの厚みを4.9〔μm〕とし、100周期形成したのち、Pt厚みは10〔μm〕、シリコンゴム厚みは50〔μm〕で15周期形成し、ダイシングで45度に切り出し、金属層が45度に形成された直方体(サイズ200〔μm〕×9000〔μm〕×9000〔μm〕)の45度多重反射ミラー14を作製した。Pt厚の薄い側を45度多重反射ミラーとして用いる。
実装用マーカーを参考にボードに直径1〔mm〕の穴を開けてモジュール固定用のピンと光アセンブリのロック機構を半田固定した。ピンと光アセンブリのロック機構はモールドを使って樹脂で作製した。
【0275】
レーザ測長で導波路表面の高さと異方導電シート厚みを検出した後、異方性導電シート14はエッジを検出して平行出しを行い、マウントヘッドに真空吸着した。その後、異方性導電シート14をボードに配置し、モジュール固定ピンに対し、X方向およびZ方向の位置を制御し、接着固定した。
【0276】
異方性導電シート(45度多重反射ミラー)14の周りに送信側光結合回路411を上から押さえつけるロック機構95の下部には異方性導電シート14の厚みよりも薄いスペーサが配置されており、送信側光変換部411Aの底面はこれに当たって止まるため、これ以上に異方性導電シート(45度多重反射ミラー)14がつぶれることはない。
【0277】
光モジュール400は勘合穴91Aにピン96Bを差し込む形でボード10に配置されX−Z方向を固定され、ボード10上のロック機構95でY軸方向を固定される。この際、光アセンブリの電気配線基板91の底面のBGAの電極端子とボード10上の電極が異方性導電シート(45度多重反射ミラー)14の金属を介して接続される。
【0278】
光変調デバイス93の面発光レーザ(VCSEL)から出力された光は、光スルーホール94を通って、異方性導電シートに形成された45度ミラーに到達する。45度多重反射ミラー14にY軸方向に関して、ミラー膜とミラー膜の間に閉じ込められ、空間的に広がるのを抑制されたまま、光導波路12まで到達する。
一方、X軸方向に関して光は閉じ込められていないので、面発光レーザの出射点から導波路入り口にかけて広がるが、半円柱状レンズを介して有効に集光される。
これにより、面発光レーザ(VCSEL)と導波路の間は全チャンネルにおいて1〔dB〕以下の結合損失を低コストで実現できた。
【0279】
ここでは、送信側光結合回路(送信側光アセンブリ/一方の光結合回路)411についての実装技術を示したが、実装方法については受信側光結合回路(受信側光アセンブリ/他方の光結合回路)413でも同様である。
又、ホトダイオード(PD)アレイの吸収層直径を50〔μm〕とすることで高効率のホトダイオード(PD)と導波路の結合が得られ、12〔ch〕で10〔Gbps〕のハイスループット動作が低コストで実現できることを確認することが出来た。
【0280】
上述した各実施形態については、その新規な技術内容の要点をまとめると、以下の付記のようになる。尚、この付記については、本発明の権利範囲を必ずしもこれに限定するものではない。
〔付記1〕(図2乃至図6参照)
基板上に配設され一方の端部にて入出力される光信号を他方の端部に向けて案内する導波路と、この導波路の他方の端部に対向して配設され当該導波路の設置面とは異なった方向への光信号の送受信を案内する45度多重反射ミラーと、この45度多重反射ミラーを介して前記導波路との間で光信号を連係して送受信し外部に対しては信号の授受を中継する信号伝達手段とを備え、
前記導波路の他方の端部を、前記45度多重反射ミラーが備えている複数の光信号伝送多重層の内の少なくとも一つの層に対応させて配設すると共に、
この導波路の前記45度多重反射ミラー側に、当該45度多重反射ミラーの光入出面に対向して前記光信号の広がりを抑制する光レンズ部を設けると共に、この光レンズ部を前記導波路と一体化したことを特徴とする光結合回路。
【0281】
〔付記2〕
付記1に記載の光結合回路において、
45度多重反射ミラーが絶縁性で弾性を有するゴムや樹脂と交互に積層された金属薄膜により構成され、この異方性導電シートはとしても働くことを特徴とする光結合回路。
【0282】
〔付記3〕(図7参照)
付記1に記載の光結合回路において、
前記光レンズ部を、前記一方の導波路と同一高さ寸法の半円柱状レンズとしたことを特徴とする光結合回路。
【0283】
〔付記4〕(図2乃至図6参照)
付記1に記載の光結合回路において、
前記光レンズ部を、前記導波路と同一高さ寸法の半円柱状レンズとすると共に、この半円柱状レンズは前記導波路の端部を半円柱状に形成して得られたものであることを特徴とする光結合回路。
【0284】
〔付記5〕(図7乃至図9参照)
付記1に記載の光結合回路において、
前記光レンズ部を、前記導波路と同一高さ寸法の半円柱状レンズとすると共に、この半円柱状レンズを、前記導波路の端部を含み且つ前記45度多重反射ミラーの光信号伝送多重層に沿って両側に設置されているクラッド層部分を覆う状態の拡張された円弧状レンズ面を備えた構成の半円柱状レンズとしたことを特徴とする光結合回路。
【0285】
〔付記6〕(図9,図10参照)
付記4に記載の光結合回路において、
前記半円柱状レンズの円弧状レンズ面を、フレネルレンズ面としたことを特徴とする光結合回路。
【0286】
〔付記7〕(図7,図9,図10参照)
付記1乃至5の何れか一つに記載の光結合回路において、
前記光レンズ部を、前記導波路と同一屈折率の素材により一体的に構成したことを特徴とする光結合回路。
【0287】
〔付記8〕(図8参照)
付記1乃至5の何れか一つに記載の光結合回路において、
前記光レンズ部を、前記導波路とは屈折率の異なった透明素材により前記導波路と一体的に構成したことを特徴とする光結合回路。
【0288】
〔付記9〕(図10参照)
付記1に記載の光結合回路において、
前記光レンズ部を、前記導波路と同一高さ寸法の第1レンズ部と、この第1レンズ部と前記45度多重反射ミラーとの間に配設された第2レンズ部とを含む構成とし、
前記第1レンズ部を半円柱状レンズとすると共に、当該半円柱状レンズの前記45度多重反射ミラー側の面を、前記導波路の端部を含み且つ前記45度多重反射ミラーの光信号伝送多重層に沿って当該導波路側に位置するコア層を覆う状態の拡張された円弧状レンズ面とし、
前記第2レンズ部を、前記第1レンズ部に対向する側のレンズ面を円弧状レンズ面とすると共に前記45度多重反射ミラーの光信号伝送多重層に対向するレンズ面を平坦面としてなる半円柱状レンズとしたことを特徴とする光結合回路。
【0289】
〔付記10〕(図10参照)
付記8に記載の光結合回路において、
前記第1レンズ部の円弧状レンズ面を、フレネルレンズ面としたことを特徴とする光結合回路。
【0290】
〔付記11〕(図2,図3参照/単一/送信側光アッセンブリ)
付記1に記載の光結合回路において、
前記信号伝達手段を、前記45度多重反射ミラーの前記導波路とは反対側の端面に設置された面発光レーザと、この面発光レーザを駆動する電気信号を送り込む電気配線回路とを含む構成としたことを特徴とする光結合回路。
【0291】
〔付記12〕(図2,図3参照/複数/送信側光アッセンブリ)
付記1に記載の光結合回路において、
前記光レンズ部を備えた前記導波路を一定間隔で複数併設すると共に、この複数の前記各導波路に個別に対応して前記光信号を前記45度多重反射ミラーを介して送り込む前記信号伝達手段を複数設け、
この各信号伝達手段を、前記45度多重反射ミラーの前記導波路とは反対側の端面に設置された面発光レーザと、この面発光レーザ駆動用の電気信号を送り込む電気配線回路とを含む構成としたことを特徴とする光結合回路。
【0292】
〔付記13〕(図22参照/二層/送信側光アッセンブリ)
付記10に記載の光結合回路において、
前記光レンズ部を備えた前記導波路を、所定間隔を隔てて少なくとも上下二個装備すると共に、前記光レンズ部を前記付記8に記載の光レンズ部により構成し、
前記信号伝達手段が備えている前記面発光レーザを、前記層状に構成された各導波路に前記45度多重反射ミラーを介して個別に光信号を送り込む少なくとも二つの面発光レーザとしたことを特徴とする光結合回路。
【0293】
〔付記14〕(図5,図6参照/単一/受信側光アッセンブリ)
付記1に記載の光結合回路において、
前記信号伝達手段を、前記45度多重反射ミラーの光出力端面に設置され光信号を電気信号に変換する光電変換素子と、この光電変換素子に接続され当該光電変換素子から出力される所定の電気信号を外部送信用として送り出す電気信号伝送回路とを含む構成としたことを特徴とする光結合回路。
【0294】
〔付記15〕(図5,図6参照/複数/受信側光アッセンブリ)
付記1に記載の光結合回路において、
前記光レンズ部を備えた前記導波路を一定間隔で複数併設すると共に、この複数の前記導波路に個別に対応して前記45度多重反射ミラーを介して送り込まれる光信号を電気信号に変換して出力する前記信号伝達手段を複数設け、
この各信号伝達手段を、前記45度多重反射ミラーの光出力端面に設置され光信号を電気信号に変換する光電変換素子と、この光電変換素子に接続され当該光電変換素子により変換された所定の電気信号を外部送信用として送り出す電気信号伝送回路とを含む構成としたことを特徴とする光結合回路。
【0295】
〔付記16〕(図23参照/二層/受信側光アッセンブリ)
付記13に記載の光結合回路において、
前記光レンズ部を備えた前記導波路を、所定間隔を隔てて少なくとも上下二個装備すると共に、前記光レンズ部を前記付記8に記載の光レンズ部により構成し、
前記信号伝達手段が備えている前記光電変換素子を、前記各導波路から前記45度多重反射ミラーを介して個別に送り込まれる光信号に対応して少なくとも二つの光電変換素子としたことを特徴とする光結合回路。
【0296】
〔付記17〕(図17参照)
付記1に記載の光結合回路において、
前記光レンズ部を前記付記8に記載の光レンズ部と同等の光レンズ部により構成すると共に、この光レンズ部から出力される光信号を前記45度多重反射ミラーを介して外部に位置する段違いの他の導波路に送り込む前記信号伝達手段を、前記付記8に記載の光レンズ部と同等の光レンズ部を含んで成る信号伝達手段としたことを特徴とする光結合回路。
【0297】
〔付記18〕(図18,図19参照/段付光結合)
付記1に記載の光結合回路において、
前記光レンズ部を備えた導波路を二個一組として装備すると共に、当該二個の各導波路を上下方向に重ねて二層構造とすると共に上側の導波路を下層の導波路に沿って後退させた状態に配設し、
前記二個の各導波路に個別に対応して前記45度多重反射ミラーを二個配置すると共に当該各45度多重反射ミラーからの光信号の送受信方向を同一方向に設置し、
前記信号伝達手段を、前記各45度多重反射ミラーから外部に対して送受信される光信号を反射して伝送する45度反射ミラーと、この45度反射ミラーに係合して設置され外部と送受信される前記光信号を中継する二本の中継光ファイバと、この各中継光ファイバと前記45度反射ミラーとの間に配置された二個の集光レンズとにより構成し、
前記各45度多重反射ミラーと前記45度反射ミラーとの間に、送受信される前記光信号を集束する半円柱状レンズをそれぞれ設置したことを特徴とする光結合回路。
【0298】
〔付記19〕(図1参照/光モジュール)
同一ボード上に装備され伝送信号処理部に外部入力される電気信号を外部に向けて送信する発信信号処理部に伝送するための光式インターコネクション回路を備えた信号送受信用光モジュールにおいて、
前記光式インターコネクション回路を、前記伝送信号処理部に連結された送信側光アセンブリと、前記発信信号処理部に連結された受信側光アセンブリと、前記各光アセンブリを相互に連結するポリマー導波路とにより構成すると共に、
前記送信側光アセンブリとして前記付記10乃至11の何れか一つに記載の光結合回路を、又これに対応する前記受信側光アセンブリとして前記付記13乃至14の何れか一つに記載の光結合回路を、それぞれ装備したことを特徴とする信号送受信用光モジュール。
【0299】
〔付記20〕(第2実施形態/図16参照)
一方のボードに装備された複数の伝送信号処理部に入力される送信用の電気信号を、他方のボードに装備され外部に発信する複数の発信信号処理部に伝送するための光式インターコネクション回路を備えた信号送受信用光モジュールにおいて、
前記光式インターコネクション回路を、
前記各伝送信号処理部から出力される複数の電気信号を光信号に変換する複数の送信側光アセンブリと、前記光信号を複数のポリマー導波路を介して取り込み前記他方のボード側へ伝送する光信号中継手段と、この光信号中継手段を介して伝送されて来る光信号を複数のポリマー導波路を介して取り込み電気信号に変換して前記各発信信号処理部に伝送する複数の受信側光アセンブリとを含む構成とし、
前記光信号中継手段を、
前記一方と他方の各ボード相互間に設置された光結合用の複数本の中継光ファイバーと、この複数本の中継光ファイバーと前記一方のボード上の前記複数の導波路とを光結合する一方の中継用光結合回路と、前記複数本の中継光ファイバーと前記他方のボード上の前記複数の導波路とを光結合する他方の中継用光結合回路とにより構成し、
前記複数の送信側光アセンブリをそれぞれ前記付記10に記載の光結合回路で構成すると共に、前記複数の受信側光アセンブリをそれぞれ前記付記13に記載の光結合回路で構成したことを特徴とする信号送受信用光モジュール。
【0300】
〔付記21〕(第3実施形態/図21参照)
一方のボードに装備された複数の伝送信号処理部に入力される送信用の電気信号を、他方のボードに装備され外部に発信する複数の発信信号処理部に伝送するための光式インターコネクション回路を備えた信号送受信用光モジュールにおいて、
前記光式インターコネクション回路を、
前記各伝送信号処理部から出力される複数の電気信号を光信号に変換する二層構造の送信側光アセンブリと、前記光信号を複数のポリマー導波路を介して取り込み前記他方のボード側へ伝送する光信号中継手段と、この光信号中継手段を介して伝送されて来る光信号を複数のポリマー導波路を介して取り込み電気信号に変換して前記各発信信号処理部に伝送する二層構造の受信側光アセンブリとを含む構成とし、
前記光信号中継手段を、
前記一方と他方の各ボード相互間に設置された光結合用の複数本の中継光ファイバーと、この複数本の中継光ファイバーと前記一方のボード上の前記複数の導波路とを光結合する一方の中継用光結合回路と、前記複数本の中継光ファイバーと前記他方のボード上の前記複数の導波路とを光結合する他方の中継用光結合回路とにより構成し、
前記二層構造の送信側光アセンブリを前記付記12に記載の光結合回路で構成すると共に、前記二層構造の受信側光アセンブリを前記付記15に記載の光結合回路で構成し、
前記一方と他方の各中継用光結合回路を前記付記17に記載の光結合回路で構成したことを特徴とする信号送受信用光モジュール。
【0301】
〔付記22〕(図24参照)
同一ボード上に装備され伝送信号処理部に外部入力される電気信号を外部に向けて送信する発信信号処理部に伝送するための光式インターコネクション回路を備えた信号送受信用モジュールにおいて、
前記光式インターコネクション回路を、前記伝送信号処理部に連結された送信側光アセンブリ(一方の光結合回路411)と、前記発信信号処理部に連結された受信側光アセンブリ(他方の光結合回路413)と、前記各光アセンブリを相互に連結するポリマー導波路とにより構成し、
前記送信側光アセンブリとして前記請求項4に記載の光結合回路を装備すると共に、この光結合器が備えている信号伝達手段を当該信号伝達手段に併設されている45度多重反射ミラーと共に前記ボード上に固定する光・電気連係ソケット部96を装備したことを特徴とした信号送受信用モジュール。
【0302】
〔付記23〕
付記21に記載の信号送受信用モジュールにおいて、
前記光・電気連係ソケット部96を、前記45度多重反射ミラーと光結合器とを同時に前記同一ボードに押し当てて固定するロック機構96Aと、前記光結合回路411が備えている電気配線基板91を介して当該光結合回路の前記ボード10上の位置を決める位置決めピン96Bとを含む構成としたことを特徴とする信号送受信用モジュール。
【産業上の利用可能性】
【0303】
本発明は、サーバ、ルータ、HPCに適用する光インターコネクション用モジュールに用いられる光回路に好適なものである。
【符号の説明】
【0304】
1,30,40,400 信号送受信用光モジュール(光モジュール)
1A,30A,40A,400A 光信号伝送路(光式インターコネクション回路)
2,2A,2B 伝送信号処理部
3,3A,3B 発信信号処理部
10 基板(ボード)
10A 一方の基板(ボード)
10B 他方の基板(ボード)
11,411 送信側光アセンブリ(一方の光結合回路)
11A 第1の光結合回路(送信側光アセンブリ)
11B 第2の光結合回路(送信側光アセンブリ)
12(12,12,12,……) 導波路(ポリマー導波路)
12a コア層
12b クラッド層
12c 半円柱状レンズ
12F フレネルレンズ面
12P,12Q 円弧状レンズ面
12G 第2レンズ部(半円柱状レンズ部)
12W 光レンズ部(二重レンズ部)
12Wa 12Wb レンズ部
13,413 受信側光アセンブリ(他方の光結合回路)
13A 第7の光結合回路(受信側光アセンブリ)
13B 第8の光結合回路(受信側光アセンブリ)
14,44 45度多重反射ミラー
15,25,35 信号伝達手段
15A,25A,32A,33A 信号伝達手段
16,16,16,……,35,45 面発光レーザ(VCSEL)
17,17,17,…… 電気配線回路(電気配線)
26,26,26,……,55,65 ホトダイオード(PD)
31 第3の光結合回路
32 一方の中継用光結合回路(第4の光結合回路)
32A,32B 半円柱状レンズ体
32C 45度反射ミラー
32D,32D 光コネクタ部
32Da,32Db 集光レンズ
33 他方の中継用光結合回路(第5の光結合回路)
34 第6の光結合回路
41 送信側光アセンブリ
43 受信側光アセンブリ
73(73,73,73,……) 導波路(ポリマー導波路)
83(83,83,83,……) 導波路(ポリマー導波路)
96 光/電気連係ソケット部
96A ロック機構
96B 位置決めピン
99A,99B 光信号中継手段
100 MMFアレイ(中継光ファイバーアレイ)
100a MMF回線(中継光ファイバー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配設され一方の端部にて入出力される光信号を他方の端部に向けて案内する導波路と、この導波路の他方の端部に対向して配設され当該導波路の設置面とは異なった方向への光信号の送受信を案内する45度多重反射ミラーと、この45度多重反射ミラーを介して前記導波路との間で光信号を連係して送受信し外部に対しては信号の授受を中継する信号伝達手段とを備え、
前記導波路の他方の端部を、前記45度多重反射ミラーが備えている複数の光信号伝送多重層の内の少なくとも一つの層に対応させて配設すると共に、
この導波路の前記45度多重反射ミラー側に、当該45度多重反射ミラーの光入出面に対向して前記光信号の広がりを抑制する光レンズ部を設けると共に、この光レンズ部を前記導波路と一体化したことを特徴とする光結合回路。
【請求項2】
請求項1に記載の光結合回路において、
45度多重反射ミラーが絶縁性で弾性を有するゴムや樹脂と交互に積層された金属薄膜により構成され、この異方性導電シートはとしても働くことを特徴とする光結合回路。
【請求項3】
請求項1および2に記載の光結合回路において、
前記光レンズ部を、前記導波路と同一高さ寸法の半円柱状レンズとすると共に、この半円柱状レンズを、前記導波路の端部を含み且つ前記45度多重反射ミラーの光信号伝送多重層に沿って両側に設置されているクラッド層部分を覆う状態の拡張された円弧状レンズ面を備えた構成の半円柱状レンズとしたことを特徴とする光結合回路。
【請求項4】
請求項1および2に記載の光結合回路において、
前記光レンズ部を、前記導波路と同一高さ寸法の第1レンズ部と、この第1レンズ部と前記45度多重反射ミラーとの間に配設された第2レンズ部とを含む構成とし、
前記第1レンズ部を半円柱状レンズとすると共に、当該半円柱状レンズの前記45度多重反射ミラー側の面を、前記導波路の端部を含み且つ前記45度多重反射ミラーの光信号伝送多重層に沿って当該導波路側に位置するコア層を覆う状態の拡張された円弧状レンズ面とし、
前記第2レンズ部を、前記第1レンズ部に対向する側のレンズ面を円弧状レンズ面とすると共に前記45度多重反射ミラーの光信号伝送多重層に対向するレンズ面を平坦面としてなる半円柱状レンズとしたことを特徴とする光結合回路。
【請求項5】
請求項1、3、4に記載の光結合回路において、
前記信号伝達手段を、前記45度多重反射ミラーの前記導波路とは反対側の端面に設置された面発光レーザと、この面発光レーザを駆動する電気信号を送り込む電気配線回路とを含む構成としたことを特徴とする光結合回路。
【請求項6】
請求項1、2、3、4に記載の光結合回路において、
前記信号伝達手段を、前記45度多重反射ミラーの前記導波路とは反対側の端面に設置された光スルーホールと、光スルーホールの反対側の端面に設置された面発光レーザと、この面発光レーザを駆動する電気信号を送り込む電気配線回路とを含む構成としたことを特徴とする光結合回路。
【請求項7】
請求項1に記載の光結合回路において、
前記信号伝達手段を、前記各45度多重反射ミラーから外部に対して送受信される光信号を反射して伝送する45度反射ミラーと、この45度反射ミラーに係合して設置され外部と送受信される前記光信号を中継する中継光ファイバと、この各中継光ファイバと前記45度反射ミラーとの間に配置された集光レンズとにより構成し、前記各45度多重反射ミラーと前記45度反射ミラーとの間に、送受信される前記光信号を集束する半円柱状レンズをそれぞれ設置したことを特徴とする光結合回路。
【請求項8】
同一ボード上に装備され伝送信号処理部に外部入力される電気信号を外部に向けて送信する発信信号処理部に伝送するための光式インターコネクション回路を備えた信号送受信用光モジュールにおいて、
前記光式インターコネクション回路を、前記伝送信号処理部に連結された送信側光アセンブリと、前記発信信号処理部に連結された受信側光アセンブリと、前記各光アセンブリを相互に連結するポリマー導波路とにより構成すると共に、
前記送信側光アセンブリとして、前記請求項1乃至6の何れか一つに記載の光結合回路を装備したことを特徴とする信号送受信用光モジュール。
【請求項9】
一方のボードに装備された複数の伝送信号処理部に入力される送信用の電気信号を、他方のボードに装備され外部に発信する複数の発信信号処理部に伝送するための光式インターコネクション回路を備えた信号送受信用光モジュールにおいて、
前記光式インターコネクション回路を、
前記各伝送信号処理部から出力される複数の電気信号を光信号に変換する複数の送信側光アセンブリと、前記光信号を複数のポリマー導波路を介して取り込み前記他方のボード側へ伝送する光信号中継手段と、この光信号中継手段を介して伝送されて来る光信号を複数のポリマー導波路を介して取り込み電気信号に変換して前記各発信信号処理部に伝送する複数の受信側光アセンブリとを含む構成とし、
前記光信号中継手段を、
前記一方と他方の各ボード相互間に設置された光結合用の複数本の中継光ファイバーと、この複数本の中継光ファイバーと前記一方のボード上の前記複数の導波路とを光結合する一方の請求項7に記載の中継用光結合回路と、前記複数本の中継光ファイバーと前記他方のボード上の前記複数の導波路とを光結合する同じく、他方の請求項7に記載の中継用光結合回路とにより構成し、
前記複数の送信側光アセンブリを、前記請求項1から6に記載の光結合回路で構成したことを特徴とする信号送受信用光モジュール。
【請求項10】
同一ボード上に装備され伝送信号処理部に外部入力される電気信号を外部に向けて送信する発信信号処理部に伝送するための光式インターコネクション回路を備えた信号送受信用モジュールにおいて、
前記光式インターコネクション回路を、前記伝送信号処理部に連結された送信側光アセンブリ(一方の光結合回路)と、前記発信信号処理部に連結された受信側光アセンブリ(他方の光結合回路)と、前記各光アセンブリを相互に連結するポリマー導波路とにより構成し、
前記送信側光アセンブリとして前記請求項1から6に記載の光結合回路を装備すると共に、この光結合器が備えている信号伝達手段を当該信号伝達手段に併設されている45度多重反射ミラーと共に前記ボード上に固定する光・電気連係ソケット部を装備したことを特徴とする信号送受信用モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−215876(P2012−215876A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−77953(P2012−77953)
【出願日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「グリーンネットワーク・システム技術研究開発プロジェクト(グリーンITプロジェクト)/サーバの最適構成とクラウド・コンピューティング環境における進化するアーキテクチャーの開発/将来の進化を想定した低消費電力アーキテクチャーの開発」共同研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】