説明

入力シャフトおよびエンジン速度同期を備える伝動機構と伝動機構のギヤシフト方法

本発明の駆動系は、原動機と、トランスミッションと、前記原動機と前記トランスミッションとの間でトルクを伝達するのに適した入力シャフトと、前記トランスミッションと駆動系との間でトルクを伝達するのに適した出力シャフトと、前記原動機と前記入力シャフトとの間のマスタクラッチであって、それぞれ、前記原動機と前記入力シャフトとの間でトルクを伝達しない、またはトルクを伝達するのに適した解離位置と嵌合位置との間で移動可能であるクラッチと、を含む。電動モータは前記入力シャフトと前記出力シャフトの少なくとも一方とのトルク伝達のために配置されており、そして制御装置は前記クラッチが前記解離位置から前記嵌合位置へ移動した時に、前記原動機の作動範囲内の回転速度で前記入力シャフトを回転させるように前記電動モータを制御するため設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、車両などで使用するための伝動機構、より詳しくは、エンジンの速度を同期するための構成と、エンジンと駆動列との間の入力シャフトとを備える伝動機構に関連する。
【背景技術】
【0002】
特に、オートマチックトランスミッションでは手に入れられないかなりの制御量をオペレータに提供しながら運転動作を単純化しようとする方法のため、自動化マニュアルトランスミッションは多くの車両の用途で望ましい。自動化マニュアルトランスミッションを備える大型トラックが、ギヤシフト中に急激に車両の速度を低下させる環境に車両が配備される建設工事などの作業に、相手先ブランド製造者(OEM)によって提供されることは一般的にない。一つのギヤを解離させ選択された次のギヤを嵌合させるには、車輪を駆動するエンジンからのトルクが遮断されなければならないため、自動化トランスミッションを備える車両はシフト中に減速する。
【0003】
エンジンへの燃料を減少させることとメインの分断またはマスタクラッチを開放することの両方により、駆動列へのエンジンのトルクを最初に切断することによって、自動化マニュアルトランスミッションはシフトする。次に、トランスミッションがギヤ嵌合クラッチをニュートラル位置へ移動させる。ギヤクラッチを所望のトランスミッションギヤにシフトするため、メイン分断クラッチが一時的に閉じられてトランスミッションシャフト速度を同期させる。次にメイン分断クラッチが閉じられて、エンジンは駆動列へのトルクの提供を再開する。
【0004】
自動化マニュアルトランスミッションのシフト中に路上速度が過度に低下すると、エンジン作動範囲外にある(アイドル速度を下回るかエンジン支配速度を上回ることを意味する)ギヤをトランスミッションにより接続させるか、運転に適したギヤを再計算してトランスミッションによりこのギヤに嵌合させる。この再計算およびギヤ嵌合により、車輪にエンジントルクが提供されない時間が長くなる。エンジン作動範囲外のギヤに接続されるか、または駆動列へのエンジントルクの印加が過度に遮断されると、エンジン停止、エンジン速度超過、および/または車両の停止という結果が生じる。シフト中の急激な速度低下は、軟らかい、砂の多い、雪を含む、または泥状の土でできた平坦な道路、一般的には10パーセントを超える傾斜である非常に急な舗装または未舗装の勾配道路上、除雪中などの条件で発生することがある。したがって、このような条件にさらされることが予測される車両は一般的に、自動化マニュアルトランスミッションを備えていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エンジン作動範囲外の速度で入力シャフトが回転する時にエンジンと入力シャフトとの間のクラッチを嵌合させようとすることによるエンジン停止または故障の可能性を最少にできる伝動機構を提供することが望ましい。シフト操作中にかなりの速度低下を受ける傾向のある作業用車両などの用途において、自動化マニュアルトランスミッションおよびマニュアルトランスミッションの使用を促すことも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、伝動機構は、原動機と、トランスミッションと、原動機とトランスミッションとの間でトルクを伝達するのに適した入力シャフトと、トランスミッションと駆動系との間でトルクを伝達するのに適した出力シャフトと、原動機と入力シャフトとの間のマスタクラッチであって、それぞれ、原動機と入力シャフトとの間でクラッチがトルクを伝達しないか伝達するのに適している解離位置と嵌合位置との間で移動可能であるクラッチとを包含する。入力シャフトと出力シャフトの少なくとも一方とのトルク伝達のための構成を電動モータが持ち、クラッチが解離位置から嵌合位置へ移動する時に電動モータを制御して原動機の作動範囲内の回転速度で入力シャフトを回転させるように制御装置が設けられている。
【0007】
本発明の別の面によれば、トランスミッションのギヤをシフトさせるための方法は、原動機とトランスミッションへの入力シャフトとの間のマスタクラッチを解離させることと、マスタクラッチが解離した状態でトランスミッションのギヤをシフトすることと、マニュアルトランスミッションのギヤをシフトした後に原動機と入力シャフトとの間のマスタクラッチを嵌合させることと、入力シャフトの回転速度が原動機の作動範囲内であるように、ギヤシフトの後でマスタクラッチの嵌合に先立って入力シャフトの回転速度を制御することとを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
同様の数字が類似の要素を指す図面とともに以下の詳細な説明を読むことにより、本発明の特徴および長所がより良く理解される。
【0009】
【図1A】伝動機構におけるギヤシフト操作の段階を概略的に示す。
【図1B】伝動機構におけるギヤシフト操作の段階を概略的に示す。
【図1C】伝動機構におけるギヤシフト操作の段階を概略的に示す。
【図1D】伝動機構におけるギヤシフト操作の段階を概略的に示す。
【図2A】伝動機構の部品の様々な構成を概略的に示す。
【図2B】伝動機構の部品の様々な構成を概略的に示す。
【図2C】伝動機構の部品の様々な構成を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態による車両21の伝動機構が図1A〜1Dに示されている。伝動機構は、内燃エンジン、ディーゼルエンジンなどの原動機23と、トランスミッション25と、原動機とトランスミッションとの間でトルクを伝達するのに適した入力シャフト27とを含む。他の指示がある場合を除いて、原動機23はエンジンと呼ばれるが、原動機がエンジンである実施形態に本発明が限定されないことは言うまでもない。出力シャフト29は、トランスミッション25と駆動系31との間でトルクを伝達するのに適している。トランスミッション25は通常、自動化マニュアルトランスミッションまたはマニュアルトランスミッションである。6速トランスミッション25が図示されているが、従来の作業用車両で多く使用されている12速トランスミッションなど、本発明が他の数字のトランスミッションにも適していることは認知されるだろう。
【0011】
エンジン23と入力シャフト27との間には、マスタクラッチ33が設けられている。マスタクラッチ33は、それぞれ、エンジン23と入力シャフト27との間でマスタクラッチがトルクを伝達しないか伝達するのに適している、図1Bおよび1Cに見られる解離位置と図1Aおよび1Dに見られる嵌合位置との間で移動可能である。
【0012】
電動モータ35は、入力シャフト27と出力シャフト29の少なくとも一方とのトルク伝達のための構成を持つ。図2A〜2Cに見られるように、電動モータは、入力シャフト27のみとのトルク伝達のための構成を持つ電動モータ35(図2A)、出力シャフト29のみとのトルク伝達のための構成を持つ電動モータ35(図2B)、入力シャフトと出力シャフトの両方とのトルク伝達のための構成を持つ電動モータ35a,35b(図2C)を包含する。
【0013】
図2A〜2Cに見られるように、マスタクラッチ33が解離位置から嵌合位置へ移動する時に電動モータ35を制御してエンジン23の作動範囲内の回転速度で入力シャフト27を回転させるために、制御装置37が設けられている。エンジン23がディーゼルエンジンである時には、一般的に約650〜2100rpmの作動範囲を有し、650rpmは、それ以下であるとこのようなエンジンが停止する傾向を持つアイドル速度であり、2100rpmは、それ以上であるとこのようなエンジンが故障しやすくなる傾向を持つ速度である。これらの値は当然、エンジンによって異なる。
【0014】
本発明の様々な面は、マニュアルまたは自動化マニュアルトランスミッションでのシフト操作中など、トルク遮断中に、入力シャフト速度の実質的な変化が発生する条件下で作動する傾向のある、除雪車、ダンプトラック、ゴミ収集車などの作業用車両での使用に特に適用可能であることを、現時点で確信している。しかし、本発明の様々な面は、路上トラックその他など、他のタイプの車両での使用にも適用可能であることも確信している。本発明の様々な面について車両以外の用途も考えられることは言うまでもない。
【0015】
電動モータ35は、入力シャフト27の回転速度を制限する発電機として、および/または入力シャフトの回転速度を上昇させるモータとして作動するのに適している。これに関して、入力シャフト27から電動モータ35へのトルク伝達は、バッテリ39などのエネルギー蓄積装置に蓄積される電力を発生させるのに使用される。バッテリ39は、入力シャフト27の回転速度を上昇させるモータとして作動する時には、電動モータ35に動力供給するのに使用される。バッテリ39は、充電状態を知らせるなどのために制御装置37と通信し、バッテリがフル充電された時にはモータ/発電機35によるバッテリのそれ以上の充電を防止することなどにより、制御装置によって制御される。
【0016】
トランスミッション25が自動化マニュアルトランスミッションである特定の用途を本発明の様々な面が持つことについてこれから検討する。図1A〜1Dは、自動化マニュアルトランスミッション25の部品を示す。図示されたトランスミッション25は、入力シャフト27に取り付けられて、中間シャフト47に取り付けられた第2ヘッドセットギヤ45と係合する第1ヘッドセットギヤ43を包含する。入力ギヤ49,51,53,55,57は、実質的に軸方向に固定状態で中間シャフトに回転可能に取り付けられ、実質的に軸方向に固定されているが出力シャフト29とともに回転しないように出力シャフトに取り付けられた出力ギヤ59,61,63,65,67とそれぞれ係合する。逆転入力ギヤ69は、出力シャフト29に取り付けられた出力ギヤ73と係合するアイドラギヤ71と係合している。軸方向可動クラッチ75,77,79,81は、出力シャフト29にスプライン結合され、第1ヘッドセットギヤおよび出力ギヤと関連するクラッチ部品との嵌合状態に出入するように移動可能である。クラッチ75は、第1ヘッドセットギヤ43および出力ギヤ59と関連するクラッチ部品との嵌合状態に出入するように移動可能である。クラッチ77は、出力ギヤ61,63と関連するクラッチ部品との嵌合状態に出入するように移動可能である。クラッチ79は、出力ギヤ65,67と関連するクラッチ部品との嵌合状態に出入するように移動可能である。クラッチ81は、出力ギヤ73との嵌合状態へ出入するように移動可能である。
【0017】
ギヤシフト動作は通常、第1ギヤから第2ギヤへのシフトを示す図1A〜1Dに図示された順序にしたがって発生する。図1Aは第1ギヤの嵌合状態を示し、エンジン23からのトルクがマスタクラッチ33を通って入力シャフト27および第1ヘッドセットギヤ43へ、第1ヘッドセットギヤから、係合した第2ヘッドセットギヤ45と、これが取り付けられた中間シャフト47と、中間シャフトに取り付けられた入力ギヤ57へ、入力ギヤ57から、出力シャフト29に取り付けられた係合出力ギヤ67(第1ギヤ)へ、出力ギヤ67のクラッチ部品を介して出力シャフトのクラッチ79へ、そして、出力シャフトから駆動系31へ伝達される。
【0018】
例えば第2ギヤへのシフトが望ましい時には、図1Bに見られるようにマスタクラッチ3が解離されることにより、エンジン23から入力シャフト27への動力伝達を遮断する。図1Cに見られるように、マスタクラッチ33が開放された状態で、出力シャフト29のクラッチ79は、出力ギヤ67のクラッチ部品との嵌合状態から出て、出力ギヤ65(第2ギヤ)のクラッチ部品との嵌合状態に入る。図1Dは、出力ギヤ65のクラッチ部品との嵌合状態にクラッチ79が入った後で、マスタクラッチ33が嵌合し、エンジン23から駆動系31への動力伝達が第2ギヤで再開した状態を示す。第2ギヤから第1ギヤへのシフトは第1から第2へのシフトと実質的に同じように発生し、クラッチ79は出力ギヤ65のクラッチ部品との嵌合状態から出て、出力ギヤ67のクラッチ部品との嵌合状態に入ることが理解できるだろう。
【0019】
マスタクラッチ33が解離されると、出力シャフト29の速度は低下する(車両が登坂中であるか、雪、砂、泥などの物質の上を走行中である時など)か、上昇する(車両が下り坂走行時に加速する時など)。制御装置37は、エンジン23の回転速度と実質的に等しい、例えばディーゼルエンジンのクランクシャフト41の回転速度に等しい回転速度で入力シャフト27を回転させるように電動モータ35を制御する構成を持つとよい。こうして、ギヤシフト操作中であるかどうかに関係なく、マスタクラッチ33が何らかの理由で解離されると、エンジン23の回転速度と実質的に等しい回転速度で電動モータ35が入力シャフト27を回転させて、さらに向上した乗り心地を提供する。
【0020】
制御装置37は、入力シャフト27の回転速度がエンジン23の作動範囲を下回る時、および/または入力シャフトの回転速度がエンジンの作動範囲を上回る時に、マスタクラッチ33の嵌合を防止する構成であってもよい。入力シャフト27の回転速度がエンジン23の作動範囲を下回っているか上回っていることを制御装置37が検出すると、入力シャフトの回転速度をエンジンの作動範囲内にするのに適当な方法で、制御装置が電動モータ35の作動を開始させる。再嵌合するように制御装置37がマスタクラッチ33を制御する前に、入力シャフトの回転速度をエンジン23の回転速度と実質的に等しくするように電動モータ35が制御されるとよく、あるいは代わりに、再嵌合するように制御装置がマスタクラッチを制御する前に、入力シャフトの回転速度をエンジンの作動範囲内とするようにモータが制御されてもよい。
【0021】
例えば、エンジン23の正常作動範囲内のエンジン回転速度において車両21が第1ギヤで運転され、制御装置および/またはオペレータが第1から第2ギヤへのシフトを要求してマスタクラッチ33を解離させてもよい。マスタクラッチ33の解離期間中には、車両が登坂中である時に発生する場合など、トランスミッション25が第2ギヤにシフトして、入力シャフト27の回転速度がエンジンの作動範囲を下回る速度まで低下すると、トランスミッションが第2ギヤにある状態でのマスタクラッチ33の嵌合を制御装置37が防止して、入力シャフトの回転速度がエンジンの作動範囲を下回る。通常、トランスミッション25が第2ギヤにある状態で、制御装置37が電動モータ35を作動開始させて、エンジン23の作動範囲内までかエンジンの回転速度に等しくなるまで入力シャフト27の回転速度を上昇させる。
【0022】
同様に、車両21はエンジンの正常作動範囲内のエンジン23の回転速度において第2ギヤで運転され、制御装置および/またはオペレータは第2から第1ギヤへのシフトを要求して、マスタクラッチ33を解離させる。マスタクラッチ33の解離期間中には、車両が下り坂を走行している時などに発生するように、トランスミッション25が第1ギヤにシフトして入力シャフト27の回転速度がエンジンの作動範囲を上回る速度まで上昇すると、トランスミッションが第1ギヤのままでのマスタクラッチ33の嵌合を制御装置37が防止し、入力シャフトの回転速度がエンジンの作動範囲を上回る。通常、トランスミッション25が第1ギヤにある状態で、制御装置37は、発電機として機能するように電動モータ35を作動開始させ、エンジン23の作動範囲内までかエンジンの回転速度と等しくなるまで入力シャフト27の回転速度を低下させる。
【0023】
制御装置37は、マスタクラッチ33が嵌合して入力シャフトの回転速度がエンジンの下方作動範囲に近づいた時に、電動モータ35を作動開始させてエンジン23とともに入力シャフト27を駆動する構成であってもよい。こうして、制御装置37と電動モータ35とは、ギヤのシフト中またはマスタクラッチ33の開放中以外の時間に発生することのあるエンジンの停止を回避するのに役立つ。同様にして、マスタクラッチ33が嵌合し、入力シャフトがエンジン23により駆動され、入力シャフトの回転速度がエンジンの上方作動範囲に近づいた時に、電動モータ35を発電機として作動開始させて入力シャフト27の回転速度を制限する構成を制御装置37が持ってもよい。こうして、制御装置37と電動モータ35とは、ギヤのシフト中またはマスタクラッチ33の開放中以外の時間に発生することのあるエンジンの故障を回避するのに役立つ。
【0024】
図1A〜1Dに見られるように、トランスミッション25のギヤをシフトするための方法は、マスタクラッチ33を解離させて、エンジン23とトランスミッションへの入力シャフト27との間の動力伝達を遮断することを包含する。図1B〜1Cに示されているように、マスタクラッチが解離されたままトランスミッション25のギヤがシフトされ、エンジン23からの動力伝達が遮断された状態で、第1出力ギヤ67のクラッチ部品との嵌合状態から第2出力ギヤ65のクラッチ部品との嵌合状態へ、クラッチ79が移動する。図1Dに見られるように、マニュアルトランスミッション25のギヤがシフトした後で、エンジン23と入力シャフト27との間のマスタクラッチ33が嵌合する。
【0025】
入力シャフトの回転速度がエンジン23の作動範囲内であるように、ギヤシフトの後でマスタクラッチ33の嵌合に先立って、入力シャフト25の回転速度が制御装置37により制御される。通常、入力シャフト27の回転速度を制限するように発電機として作動する、および/または入力シャフトの回転速度を上昇させるようにモータとして作動する電動モータ25により、入力シャフト25の回転速度が制御される。
【0026】
エンジンのクランクシャフト41の回転速度と実質的に等しい回転速度で入力シャフト27を回転させるように、制御装置37により電動モータ35が制御される。入力シャフト27の回転速度がエンジン23の作動範囲を下回るおよび/または上回る時にマスタクラッチの嵌合を防止するように、制御装置37によりマスタクラッチ33が制御される。制御装置37はまた、マスタクラッチ33が嵌合して入力シャフトの回転速度がエンジン23の下方作動範囲に近づいた時に、エンジン23とともに入力シャフト27を駆動するように電動モータ35の作動を制御してもよい。制御装置37はまた、マスタクラッチ33が嵌合して入力シャフトがエンジン23により駆動され、入力シャフトの回転速度がエンジンの上方作動範囲に近づいた時に、発電機として電動機の作動を開始させて入力シャフト27の回転速度を制限するように電動モータ35の作動を制御してもよい。
【0027】
本出願において、“greater than”(より大きい)、“less than”(より小さい)という語、または対応の符号の使用は例示的であって、「より大きい」と「より小さい」の両方に加えて“greater than or equal to”(より大きいか等しい)および“less than or equal to”(より小さいか等しい)を包含することは理解されるだろう。“including”(を含む)などの語の使用は非限定的であって、“comprising”(を包含する)などの語と同じ意味を持ち、他の構造、材料、作用の存在を除外するものではない。同様に、“can”または“may”などの語の使用は非限定的であって、構造、材料、作用が必須ではないことを表すものであるが、このような語の不使用は構造、材料、作用が不可欠であることを表す意図はない。構造、材料、作用が現時点で不可欠であると考えられる限り、そのように明記される。
【0028】
好適な実施形態について本発明を図示および説明してきたが、請求項に記載された発明を逸脱することなく変形および変更が行われてもよいことは認知されている。
【符号の説明】
【0029】
21 車両
23 原動機
25 トランスミッション
27 入力シャフト
29 出力シャフト
31 駆動系
33 マスタクラッチ
35 モータ/発電機
37 制御装置
39 バッテリ
41 クランクシャフト
43 第1ヘッドセットギヤ
45 第2ヘッドセットギヤ
47 中間シャフト
49,51,53,55,57 入力ギヤ
59,61,63,65,67 出力ギヤ
69 逆転入力ギヤ
71 アイドラギヤ
73 出力ギヤ
75,77,79,81 軸方向可動クラッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機と、
トランスミッションと、
前記原動機と前記トランスミッションとの間でトルクを伝達するのに適した入力シャフトと、
前記トランスミッションと駆動系との間でトルクを伝達するのに適した出力シャフトと、
前記原動機と前記入力シャフトとの間のマスタクラッチであって、それぞれ、前記原動機と前記入力シャフトとの間でトルクを伝達しない、またはトルクを伝達するのに適した解離位置と嵌合位置との間で移動可能であるクラッチと、
前記入力シャフトと前記出力シャフトの少なくとも一方とのトルク伝達のための構成を持つ電動モータと、
前記クラッチが前記解離位置から前記嵌合位置へ移動した時に、前記原動機の作動範囲内の回転速度で前記入力シャフトを回転させるように前記電動モータを制御するための制御装置と、
を包含する伝動機構。
【請求項2】
前記電動モータが、前記入力シャフトの前記回転速度を制限するように発電機として作動するのに適している、請求項1に記載の伝動機構。
【請求項3】
前記電動モータが、前記入力シャフトの前記回転速度を上昇させるようにモータとして作動するのに適している、請求項2に記載の伝動機構。
【請求項4】
前記電動モータが、前記入力シャフトの前記回転速度を上昇させるようにモータとして作動するのに適している、請求項1に記載の伝動機構。
【請求項5】
前記制御装置が、前記原動機のクランクシャフトの回転速度と実質的に等しい回転速度で前記入力シャフトを回転させるように前記電動モータを制御する構成を持つ、請求項1に記載の伝動機構。
【請求項6】
前記トランスミッションが自動化マニュアルトランスミッションである、請求項1に記載の伝動機構。
【請求項7】
前記制御装置が、前記入力シャフトの前記回転速度が前記原動機の作動範囲を下回る時に前記クラッチの嵌合を防止する構成を持つ、請求項1に記載の伝動機構。
【請求項8】
前記制御装置が、前記入力シャフトの前記回転速度が前記原動機の作動範囲を上回る時に前記クラッチの嵌合を防止する構成を持つ、請求項1に記載の伝動機構。
【請求項9】
前記クラッチが嵌合して前記入力シャフトの回転速度が前記原動機の下方作動範囲に近づいた時に、前記制御装置が、前記原動機とともに前記入力シャフトを駆動するように前記電動モータを作動開始させる構成を持つ、請求項1に記載の伝動機構。
【請求項10】
前記クラッチが嵌合し、前記入力シャフトが前記原動機により駆動され、前記入力シャフトの回転速度が前記原動機の上方作動範囲に近づいた時に、前記制御装置が、前記入力シャフトの回転速度を制限するように発電機として前記電動モータを作動開始させる構成を持つ、請求項9に記載の伝動機構。
【請求項11】
前記クラッチが嵌合し、前記入力シャフトが前記原動機により駆動され、前記入力シャフトの回転速度が前記原動機の上方作動範囲に近づいた時に、前記制御装置が前記入力シャフトの回転速度を制限するように発電機として前記電動モータを作動開始させる構成を持つ、請求項1に記載の伝動機構。
【請求項12】
前記電動モータが、前記入力シャフトとのトルク伝達のための構成を持つ第1電動モータと、前記出力シャフトとのトルク伝達のための構成を持つ第2電動モータとを包含する、請求項1に記載の伝動機構。
【請求項13】
前記電動モータが、前記マスタクラッチと前記トランスミッションとの間で前記入力シャフトとのトルク伝達のための構成を持つ第1電動モータを包含する、請求項1に記載の伝動機構。
【請求項14】
前記伝動機構が作業用車両を包含する、請求項1に記載の伝動機構。
【請求項15】
原動機とトランスミッションへの入力シャフトとの間のマスタクラッチを解離させることと、
前記マスタクラッチが解離した状態で前記トランスミッションのギヤをシフトすることと、
前記マニュアルトランスミッションのギヤをシフトさせた後に前記原動機と前記入力シャフトとの間の前記マスタクラッチを嵌合させることと、
前記入力シャフトの前記回転速度が前記原動機の作動範囲内であるように、ギヤシフトの後で前記マスタクラッチの嵌合に先立って前記入力シャフトの回転速度を制御することと、
を包含する、伝動機構のギヤをシフトするための方法。
【請求項16】
前記入力シャフトの前記回転速度を制限するように前記電動モータを発電機として作動させることを包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記入力シャフトの前記回転速度を上昇させるように前記電動モータをモータとして作動させることを包含する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記入力シャフトの前記回転速度を上昇させるように前記電動モータをモータとして作動させることを包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記原動機のクランクシャフトの回転速度と実質的に等しい回転速度で前記入力シャフトを回転させるように前記電動モータを制御することを包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記入力シャフトの前記回転速度が前記原動機の作動範囲を下回る時に前記クラッチの嵌合を防止するように前記クラッチを制御することを包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記入力シャフトの前記回転速度が前記原動機の作動範囲を上回る時に前記クラッチの嵌合を防止するように前記クラッチを制御することを包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記クラッチが嵌合して前記入力シャフトの回転速度が前記原動機の下方作動範囲に近づいた時に、前記原動機とともに前記入力シャフトを駆動するように前記電動モータを作動開始させることを包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記クラッチが嵌合し、前記入力シャフトが前記原動機により駆動され、前記入力シャフトの回転速度が前記原動機の上方作動範囲に近づいた時に前記入力シャフトの回転速度を制限するように前記電動モータを発電機として作動開始させることを包含する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記クラッチが嵌合し、前記入力シャフトが前記原動機により駆動され、前記入力シャフトの回転速度が前記原動機の上方作動範囲に近づいた時に前記入力シャフトの回転速度を制限するように前記電動モータを発電機として作動開始させることを包含する、請求項15に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【公表番号】特表2011−518725(P2011−518725A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507388(P2011−507388)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/061735
【国際公開番号】WO2009/134241
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(508205718)マック トラックス インコーポレイテッド (30)
【Fターム(参考)】