説明

内燃機関の制御装置

【課題】エンジンの回転方向が逆転したときに逆転パルス信号を出力する逆転検出機能付きのクランク角センサの逆転信号出力系の異常を検出できるようにする。
【解決手段】エンジン運転中に所定の自動停止条件が成立したときに燃料噴射及び点火を停止させてエンジン11を自動的に停止させる。この自動停止時にエンジン11の回転が停止する際に停止直前で逆転が発生し易いクランク角(例えば圧縮上死点の直前に相当するクランク角)になるようにエンジン回転速度とエンジン11の補機負荷(例えばオルタネータの負荷)を制御する逆転制御を実行する。この逆転制御を実行したときにクランク角センサ34から逆転パルス信号が出力されない状態が所定期間継続した場合には、クランク角センサ34から逆転パルス信号が出力されない異常状態であると判断して、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常有りと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関が逆転方向に回転したときに逆転信号を出力するクランク角センサを備えた内燃機関の制御装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
一般に、内燃機関の運転中は、クランク角センサとカム角センサの出力信号に基づいて気筒を判別し且つクランク角を検出して点火制御や燃料噴射制御を行うようにしているが、内燃機関の始動時は、スタータにより内燃機関をクランキングして特定気筒の判別を完了するまで(つまり特定気筒の所定クランク角の信号を検出するまで)、最初に点火・噴射する気筒が不明である。
【0003】
この問題を解決するために、特許文献1(特開昭60−240875号公報)に記載されているように、内燃機関の回転停止時のクランク角(クランク軸の停止位置)をメモリに記憶しておき、次の内燃機関の始動時に、特定気筒の所定クランク角の信号を最初に検出するまでの間は、上記メモリに記憶された内燃機関の回転停止時のクランク角を基準にして点火制御や燃料噴射制御を開始することで、始動性や始動時の排気エミッションを向上させるようにしたものがある。
【0004】
しかし、内燃機関の停止指令(イグニッションスイッチのオフ信号又はアイドルストップ指令)が発生して点火や燃料噴射が停止された後も、暫く内燃機関が惰性で回転するため、点火や燃料噴射を停止したときのクランク角を記憶したのでは、実際の内燃機関の停止位置(次の内燃機関の始動位置)を誤判定してしまう結果となる。従って、点火や燃料噴射の停止後も、内燃機関の回転が完全に停止するまでクランク角の検出を継続する必要があるが、内燃機関の回転が停止する間際に圧縮行程の圧縮圧によって内燃機関の回転方向が逆転する現象が発生することがあるため、内燃機関の回転停止時のクランク角を正確に検出することができない(従来の一般的なクランク角センサでは逆転を検出できない)。
【0005】
そこで、特許文献2(特開2005−233622号公報)や特許文献3(特開2005−256842号公報)に記載されているように、逆転検出機能付きのクランク角センサが開発されている。これらのクランク角センサは、内燃機関の逆転時に正転時と異なるパルス幅のパルス信号を出力するように構成されている。
【特許文献1】特開昭60−240875号公報(第2頁等)
【特許文献2】特開2005−233622号公報(第2頁等)
【特許文献3】特開2005−256842号公報(第2頁等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した逆転検出機能付きのクランク角センサを備えたシステムでは、クランク角センサの正転信号出力系(正転時のパルス信号の出力系)の異常は容易に検出することができるが、逆転信号出力系(逆転時のパルス信号の出力系)の異常を検出することは以下の理由により困難である。
【0007】
つまり、内燃機関は、始動してから停止直前までは常に正回転しているため、始動時や始動後にクランク角センサの正転時のパルス信号が出力されなければ、正転信号出力系の異常であると判断することができる。しかし、内燃機関は、停止直前に必ず逆転が発生するわけではなく、逆転せずに停止することもあるため、停止直前にクランク角センサの逆転時のパルス信号が出力されない場合に、内燃機関が逆転しているにも拘らずクランク角センサから逆転時のパルス信号が出力されない異常状態なのか、或は、内燃機関が逆転していない状態なのかを区別することができず、クランク角センサの逆転信号出力系の異常を検出することができない。更に、クランク角センサの逆転信号出力系の異常が発生しても適正な処理(フェールセーフ)を行うことができないという問題がある。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の第1の目的は、逆転検出機能付きのクランク角センサの逆転信号出力系の異常を検出することができるようにすることであり、第2の目的は、逆転検出機能付きのクランク角センサの逆転信号出力系の異常時に適正な処理を行うことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関が正転方向に所定クランク角回転する毎に正転信号を出力して逆転方向に所定クランク角回転する毎に逆転信号を出力するクランク角センサ(逆転検出機能付きのクランク角センサ)を備えた内燃機関の制御装置において、内燃機関の回転方向が逆転するように制御する逆転制御を逆転制御手段により実行し、逆転制御を実行したときにクランク角センサから逆転信号が出力されない場合にクランク角センサの逆転信号出力系の異常有りと異常診断手段により判定するようにしたものである。
【0010】
つまり、内燃機関の回転方向が逆転するように制御する逆転制御を実行しても、クランク角センサから逆転信号が出力されない場合には、内燃機関の回転方向が逆転しているにも拘らずクランク角センサから逆転信号が出力されない異常状態であると判断して、クランク角センサの逆転信号出力系の異常有りと判定する。これにより、逆転検出機能付きのクランク角センサの逆転信号出力系の異常を検出することができる。
【0011】
この場合、請求項2のように、逆転制御として内燃機関の回転が停止する際に逆転が発生し易い状態となるように内燃機関及び/又はその補機を制御し、逆転制御を実行したときにクランク角センサから逆転信号が出力されない状態が所定期間継続した場合にクランク角センサの逆転信号出力系の異常有りと判定するようにしても良い。このように、内燃機関の回転が停止する際に逆転が発生し易い状態となるように内燃機関や補機を制御するようにすれば、内燃機関を逆転させるためのハード構成を新たに追加することなく、逆転検出機能付きのクランク角センサの逆転信号出力系の異常診断を行うことが可能となり、低コスト化の要求を満たすことができる。
【0012】
具体的には、請求項3のように、逆転制御として内燃機関の回転が停止する際に圧縮行程の圧縮圧が増加する方向にスロットル開度とバルブタイミングとバルブリフト量のうちの少なくとも1つを制御するようにしても良い。このようにすれば、内燃機関の停止直前に圧縮行程の圧縮圧によってピストンが押し戻され易くなって逆転が発生し易くなる。
【0013】
更に、請求項4のように、逆転制御として内燃機関の回転が停止する際に停止直前で逆転が発生し易いクランク角になるように内燃機関の回転速度及び/又は補機負荷を制御するようにしても良い。内燃機関の停止直前で逆転が発生し易いクランク角(例えば圧縮上死点の直前に相当するクランク角)になるように内燃機関の回転速度や補機負荷を制御すれば、内燃機関の停止直前に圧縮行程の圧縮圧によってピストンが押し戻され易くなって逆転が発生し易くなる。
【0014】
また、請求項5のように、車両の動力源として内燃機関とモータとを備えたハイブリッドシステムに本発明を適用する場合は、逆転制御として内燃機関の停止中にモータの動力で強制的に内燃機関を逆転させる制御を実行するようにしても良い。このようにすれば、内燃機関を確実に且つ速やかに逆転させることができ、クランク角センサの逆転信号出力系の異常の有無を精度良く且つ速やかに検出することができる。
【0015】
また、請求項6のように、内燃機関が正転方向に所定クランク角回転する毎に正転信号を出力して逆転方向に所定クランク角回転する毎に逆転信号を出力するクランク角センサと、所定カム角でカム角信号を出力するカム角センサとを備えた内燃機関の制御装置において、内燃機関の停止時にクランク角センサの出力信号に基づいて内燃機関の回転が停止した停止クランク角を検出する停止位置検出手段と、内燃機関の始動時に停止クランク角とクランク角センサの出力信号とに基づいて暫定的にクランク角(以下「暫定クランク角」という)を検出する暫定クランク角検出手段と、クランク角センサの出力信号とカム角センサの出力信号とに基づいて気筒判別してクランク角(以下「気筒判別後クランク角」という)を検出する気筒判別後クランク角検出手段とを備え、内燃機関の始動時に暫定クランク角と気筒判別後クランク角とを比較してクランク角センサの異常の有無を異常診断手段により判定するようにしても良い。
【0016】
クランク角センサの正転信号出力系と逆転信号出力系が両方とも正常であれば、暫定クランク角と気筒判別後クランク角とがほぼ一致するはずであるが、クランク角センサの正転信号出力系又は逆転信号出力系が異常になると、暫定クランク角と気筒判別後クランク角とが一致しなくなる。従って、内燃機関の始動時に暫定クランク角と気筒判別後クランク角とを比較すれば、クランク角センサの異常の有無を精度良く判定することができる。この場合、ハード構成を新たに追加することなく、逆転検出機能付きのクランク角センサの異常診断を行うことが可能となり、低コスト化の要求を満たすことができる。
【0017】
また、請求項7のように、所定の自動停止条件が成立したときに内燃機関を自動停止させ、所定の自動始動条件が成立したときに内燃機関を自動始動させる自動停止・始動制御を実行するシステムに適用され、内燃機関が正転方向に所定クランク角回転する毎に正転信号を出力して逆転方向に所定クランク角回転する毎に逆転信号を出力するクランク角センサと、所定カム角でカム角信号を出力するカム角センサとを備えた内燃機関の制御装置において、内燃機関の停止時にクランク角センサの出力信号に基づいて内燃機関の回転が停止した停止クランク角を検出する停止位置検出手段と、内燃機関の始動時に停止クランク角とクランク角センサの出力信号とに基づいて暫定的にクランク角(以下「暫定クランク角」という)を検出する暫定クランク角検出手段と、クランク角センサの出力信号とカム角センサの出力信号とに基づいて気筒判別してクランク角(以下「気筒判別後クランク角」という)を検出する気筒判別後クランク角検出手段とを備え、更に、クランク角センサの逆転信号出力系の異常の有無を異常診断手段により判定し、クランク角センサの逆転信号出力系の異常無しと判定された場合に暫定クランク角に基づいて内燃機関の自動始動を実行し、クランク角センサの逆転信号出力系の異常有りと判定された場合に気筒判別後クランク角に基づいて内燃機関の自動始動を実行するか又は自動停止・始動制御を禁止するフェールセーフ制御手段を備えるようにしても良い。
【0018】
つまり、クランク角センサの逆転信号出力系の異常無し(正常)と判定された場合には、内燃機関の停止時に逆転が発生しても、停止クランク角を精度良く検出することができるため、次の始動時にその停止クランク角に基づいて暫定クランク角を精度良く検出することができると判断して、気筒判別後クランク角よりも早い時期から検出可能な暫定クランク角に基づいて内燃機関の自動始動を早期に実行することで、速やかに自動始動することができる。
【0019】
一方、クランク角センサの逆転信号出力系の異常有りと判定された場合には、内燃機関の停止時に逆転が発生したときに、停止クランク角を精度良く検出することができなくなるため、次の始動時にその停止クランク角に基づいた暫定クランク角の検出精度が低下すると判断して、暫定クランク角を用いずに気筒判別後クランク角に基づいて内燃機関の自動始動を実行することで、クランク角センサの逆転信号出力系の異常の影響を受けずに自動始動することができる。或は、自動停止・始動制御を禁止することで、クランク角センサの逆転信号出力系の異常による自動始動性の悪化を防止することができる。
【0020】
この場合、請求項8のように、クランク角センサの逆転信号出力系の断線又は回路故障有りと判定された場合に自動停止・始動制御を禁止するようにしても良い。つまり、クランク角センサの逆転信号出力系の断線又は回路故障有りと判定された場合には、継続的な異常であると判断して、自動停止・始動制御を禁止する。
【0021】
また、請求項9のように、暫定クランク角と気筒判別後クランク角とが一致していないと判定された回数が所定値以下の場合に気筒判別後クランク角に基づいて内燃機関の自動始動を実行し、暫定クランク角と気筒判別後クランク角とが一致していないと判定された回数が所定値を越えた場合に自動停止・始動制御を禁止するようにしても良い。つまり、暫定クランク角と気筒判別後クランク角とが一致していないと判定された回数が所定値(例えば1回)以下の場合には、ノイズ等の影響による一時的な異常である可能性があると判断して、自動停止・始動制御を禁止せずに気筒判別後クランク角に基づいて内燃機関の自動始動を実行し、暫定クランク角と気筒判別後クランク角とが一致していないと判定された回数が所定値を越えた場合には、継続的な異常であると判断して、自動停止・始動制御を禁止する。これにより、ノイズ等の影響による一時的な異常で自動停止・始動制御を禁止することを防止して燃費悪化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した幾つかの実施例を説明する。
【実施例1】
【0023】
本発明の実施例1を図1乃至図5に基づいて説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。
内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ15によって開度調節されるスロットルバルブ16と、このスロットルバルブ16の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ17とが設けられている。
【0024】
更に、スロットルバルブ16の下流側には、サージタンク18が設けられ、このサージタンク18に、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ19が設けられている。また、サージタンク18には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド20が設けられ、各気筒の吸気マニホールド20の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁21が取り付けられている。また、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ22が取り付けられ、各点火プラグ22の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
【0025】
一方、エンジン11の排気管23には、排出ガスの空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ24(空燃比センサ、酸素センサ等)が設けられ、この排出ガスセンサ24の下流側に、排出ガスを浄化する三元触媒等の触媒25が設けられている。
【0026】
また、エンジン11には、吸気バルブ28のバルブタイミング(開閉タイミング)を変化させる吸気側可変バルブタイミング装置29と、排気バルブ30のバルブタイミングを変化させる排気側可変バルブタイミング装置31とが設けられている。エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ26や、ノッキング振動を検出するノックセンサ27が取り付けられている。
【0027】
エンジン11のクランク軸32に取り付けられたシグナルロータ33の外周に対向してクランク角センサ34が設置されている。このクランク角センサ34は、逆転検出機能付きのクランク角センサであり、シグナルロータ33(クランク軸32)が正転方向に所定クランク角(例えば10℃A)回転する毎に正転パルス信号を出力し、シグナルロータ33が逆転方向に所定クランク角(例えば10℃A)回転する毎に逆転パルス信号を出力する。この場合、クランク角センサ34は、正転パルス信号と逆転パルス信号を異なるパルス幅で出力することで、正転パルス信号と逆転パルス信号とを区別できるようにしている。或は、クランク角センサ34に正転信号出力端子と逆転信号出力端子とを別々に設け、正転信号出力端子から正転パルス信号を出力し、逆転信号出力端子から逆転パルス信号を出力することで、正転パルス信号と逆転パルス信号とを区別できるようにしても良い。また、シグナルロータ33には、特定のクランク角でクランク角センサ34から出力されるパルス信号の間隔が長くなる欠歯部(図示せず)が設けられている。
【0028】
また、エンジン11のカム軸に取り付けられたシグナルロータ(図示せず)の外周に対向してカム角センサ35が設置されている。このカム角センサ35は、シグナルロータ(カム軸)の回転に同期して所定のカム角でカム角信号(パルス信号)を出力し、このカム角信号に基づいて気筒判別用のG信号のオン/オフが例えば360℃A毎に切り替わるようになっている。
【0029】
これら各種センサの出力は、制御回路(以下「ECU」と表記する)36に入力される。このECU36は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁21の燃料噴射量や点火プラグ22の点火時期を制御すると共に、自動停止・始動制御(いわゆるアイドルストップ制御)を実行する。
【0030】
この自動停止・始動制御では、エンジン運転中に運転者が車両を停止させて自動停止条件が成立したときに燃料噴射及び点火を停止させてエンジン11を自動的に停止させる停止制御を実行し、エンジン停止中に運転者が車両を発進させる操作(例えばアクセル操作、ブレーキ解除、シフトレバーの操作等)を行って自動始動条件が成立したときにスタータ(図示せず)をオンして燃料噴射及び点火を開始してエンジン11を自動的に再始動させる始動制御を実行する。
【0031】
また、ECU36は、図2のタイムチャートに示すように、クランク角センサ34から出力されるパルス信号をクランクカウンタCcr10でカウントし、そのカウント値に基づいてクランク角を検出する。
【0032】
具体的には、まず、エンジン11の通常始動時(例えばイグニッションスイッチのオン直後の始動時)にスタータをオンしてエンジン11を始動させる際に、クランク角センサ34から出力されるパルス信号の間隔が長くなる欠歯タイミングに達するまでの期間は、クランクカウンタCcr10のカウント値を初期値(例えば−1)に維持する。
【0033】
その後、欠歯タイミングになった時点で、G信号がオンか否かによって気筒判別し、G信号がオンであれば、クランクカウンタCcr10のカウント値をG信号オン時の欠歯タイミングに相当するカウント値(例えば10)にセットする。一方、G信号がオフであれば、クランクカウンタCcr10のカウント値をG信号オフ時の欠歯タイミングに相当するカウント値(例えば46)にセットする。
【0034】
この後、エンジン11のクランク軸32が正転方向に所定クランク角(例えば10℃A)回転してクランク角センサ34から正転パルス信号が出力される毎に、クランクカウンタCcr10のカウント値を「1」ずつカウントアップし、そのカウント値に基づいてクランク角(気筒判別後クランク角)を検出する。このようにして、クランク角センサ34の出力信号に基づいた欠歯タイミングとカム角センサ35の出力信号に基づいたG信号とを用いて気筒判別して気筒判別後クランク角を検出する機能が特許請求の範囲でいう気筒判別後クランク角検出手段としての役割を果たす。
【0035】
この後、エンジン11の自動停止条件が成立して自動停止要求が発生したときに、燃料噴射及び点火を停止させてエンジン11を自動的に停止させ、エンジン11の回転が停止したときのクランクカウンタCcr10のカウント値に基づいて停止クランク角を検出する。その際、エンジン11の停止直前にエンジン11の回転方向が逆転した場合には、エンジン11のクランク軸32が逆転方向に所定クランク角(例えば10℃A)回転してクランク角センサ34から逆転パルス信号が出力される毎にクランクカウンタCcr10のカウント値を「1」ずつカウントダウンする。このようにして、エンジン11の自動停止時にクランク角センサ34の出力信号に基づいてエンジン11の回転が停止した停止クランク角を検出する機能が特許請求の範囲でいう停止位置検出手段としての役割を果たす。
【0036】
この後、エンジン11の自動始動条件が成立して自動始動要求が発生したときに、スタータをオンして燃料噴射及び点火を開始してエンジン11を自動的に再始動させる。その際、クランク角センサ34から出力されるパルス信号の間隔が長くなる欠歯タイミングに達するまでの期間は、前回の自動停止時のクランクカウンタCcr10のカウント値(停止クランク角)を初期値として、エンジン11のクランク軸32が正転方向に所定クランク角(例えば10℃A)回転してクランク角センサ34から正転パルス信号が出力される毎にクランクカウンタCcr10のカウント値を「1」ずつカウントアップし、そのカウント値に基づいて暫定的にクランク角(暫定クランク角)を検出する。このようにして、エンジン11の自動始動時に前回の自動停止時の停止クランク角とクランク角センサ34の出力信号とに基づいて暫定クランク角を検出する機能が特許請求の範囲でいう暫定クランク角検出手段としての役割を果たす。
【0037】
その後、クランク角センサ34から出力されるパルス信号の間隔が長くなる欠歯タイミングになった時点で、G信号がオンか否かによって気筒判別し、G信号がオンであれば、クランクカウンタCcr10のカウント値をG信号オン時の欠歯タイミングに相当するカウント値(例えば10)にセットする。一方、G信号がオフであれば、クランクカウンタCcr10のカウント値をG信号オフ時の欠歯タイミングに相当するカウント値(例えば46)にセットする。
【0038】
この後、エンジン11のクランク軸32が正転方向に所定クランク角(例えば10℃A)回転してクランク角センサ34から正転パルス信号が出力される毎に、クランクカウンタCcr10のカウント値を「1」ずつカウントアップし、そのカウント値に基づいてクランク角(気筒判別後クランク角)を検出する。
【0039】
また、ECU36は、後述する図3及び図4の各ルーチンを実行することで、エンジン11の回転が停止する際に回転方向が逆転するように制御する逆転制御を実行する逆転制御手段として機能すると共に、この逆転制御を実行したときにクランク角センサ34から逆転パルス信号が出力されない場合に、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常有りと判定する異常診断手段として機能する。
【0040】
更に、ECU36は、後述する図5のルーチンを実行することで、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常無し(正常)と判定された場合には、エンジン11の自動始動時に暫定クランク角(前回の自動停止時の停止クランク角とクランク角センサ34の出力信号とに基づいて暫定的に検出したクランク角)に基づいて早期に燃料噴射及び点火を開始してエンジン11を自動始動する早期自動始動を実行し、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常有りと判定された場合には、エンジン11の自動始動時に気筒判別後クランク角(クランク角センサ34の出力信号に基づいた欠歯タイミングとカム角センサ35の出力信号に基づいたG信号とを用いて気筒判別して検出したクランク角)に基づいて燃料噴射及び点火を開始してエンジン11を自動始動する通常自動始動を実行するか又は自動停止・始動制御を禁止するフェールセーフ制御手段として機能する。
以下、ECU36が実行する図3乃至図5の各ルーチンの処理内容を説明する。
【0041】
[逆転信号出力系異常診断ルーチン]
図3に示す逆転信号出力系異常診断ルーチンは、ECU36の電源オン中に所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、自動停止条件が成立したか否かを判定し、自動停止条件が成立したと判定されれば、ステップ102に進み、自動停止・始動禁止フラグFfail2 が自動停止・始動制御の許可を意味する「0」で且つ異常診断完了フラグFjdg が異常診断の未完了を意味する「0」であるか否かを判定する。
【0042】
このステップ102で、自動停止・始動禁止フラグFfail2 が「0」で且つ異常診断完了フラグFjdg が「0」であると判定されれば、ステップ103に進み、後述する図4の逆転制御ルーチンを実行して、エンジン11の回転が停止する際に逆転が発生し易い状態となるようにエンジン回転速度とエンジン11の補機負荷(例えばオルタネータの負荷)を制御する逆転制御を実行する。
【0043】
この後、ステップ104に進み、逆転制御の実行時間をカウントする逆転制御カウンタCstp のカウント値を「1」だけカウントアップした後、ステップ105に進み、クランク角センサ34から逆転パルス信号が出力されたか否かを判定する。
【0044】
このステップ105で、クランク角センサ34から逆転パルス信号が出力されたと判定されれば、ステップ106に進み、逆転パルス信号をカウントする逆転パルス信号カウンタCrev のカウント値を「1」だけカウントアップするが、上記ステップ105で、クランク角センサ34から逆転パルス信号が出力されていないと判定されれば、逆転パルス信号カウンタCrev のカウント値をそのまま維持する。
【0045】
この後、ステップ107に進み、逆転制御カウンタCstp のカウント値が所定値Kstp (例えば3〜5)以上であるか否かを判定し、逆転制御カウンタCstp のカウント値が所定値Kstp 以上であると判定されたときに、ステップ108に進み、逆転パルス信号カウンタCrev のカウント値が「0」であるか否かを判定する。
【0046】
このステップ108で、逆転パルス信号カウンタCrev のカウント値が「0」であると判定された場合、つまり、逆転制御を実行したときにクランク角センサ34から逆転パルス信号が出力されない状態が所定期間継続した場合には、エンジン11の回転方向が逆転しているにも拘らずクランク角センサ34から逆転パルス信号が出力されない異常状態であると判断して、ステップ109に進み、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常有りと判定して、逆転信号出力系異常フラグFrev を「1」にセットし、更に、自動停止・始動禁止フラグFfail2 を自動停止・始動制御の禁止を意味する「1」にセットして、異常診断完了フラグFjdg を異常診断の完了を意味する「1」にセットする。
【0047】
これに対して、上記ステップ108で、逆転パルス信号カウンタCrev のカウント値が「0」ではないと判定された場合、つまり、逆転制御を実行したときにクランク角センサ34から逆転パルス信号が出力された場合には、ステップ110に進み、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常無し(正常)と判定して、逆転信号出力系異常フラグFrev を「0」にリセット又は維持し、更に、自動停止・始動禁止フラグFfail2 を「0」にリセット又は維持して、異常診断完了フラグFjdg を「1」にセットする。
【0048】
[逆転制御ルーチン]
図4に示す逆転制御ルーチンは、前記図3の逆転信号出力系異常診断ルーチンのステップ103で実行されるサブルーチンであり、エンジン11の回転が停止する際に停止直前で逆転が発生し易いクランク角(例えば圧縮上死点の直前に相当するクランク角)になるようにエンジン回転速度とエンジン11の補機負荷(例えばオルタネータの負荷)を制御する逆転制御を実行して、エンジン11の回転が停止する際に逆転が発生し易い状態にする。
【0049】
本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201で、冷却水温THWとスロットル開度TAと補機負荷状態Thoki(例えば、エンジン11の動力で駆動される空調装置やオルタネータの推定駆動トルク等)とに応じた目標アイドル回転速度NEtag をマップ又は数式等により算出する。
【0050】
この後、ステップ202に進み、クランクカウンタCcr10のカウント値が所定の目標値Kcr10(逆転制御を開始する目標クランク角に相当するカウント値)になったか否かを判定し、クランクカウンタCcr10のカウント値が目標値Kcr10になったと判定されたときに、ステップ203に進み、エンジン回転速度NEが目標アイドル回転速度NEtag 付近である(NEtag −K1 <NE≦NEtag +K1 )か否かを判定する。
【0051】
このステップ203で、エンジン回転速度NEが目標アイドル回転速度NEtag 付近ではないと判定された場合には、ステップ204に進み、エンジン回転速度NEが目標アイドル回転速度NEtag に一致するようにISC開度(スロットル開度又はアイドルスピードコントロールバルブの開度)を補正する。
【0052】
その後、上記ステップ202でクランクカウンタCcr10のカウント値が目標値Kcr10になったと判定され且つ上記ステップ203でエンジン回転速度NEが目標アイドル回転速度NEtag 付近であると判定されたときに、ステップ205に進み、燃料噴射を停止した後、ステップ206に進み、エンジン11の回転が停止する際に停止直前で逆転が発生し易いクランク角(例えば圧縮上死点の直前に相当するクランク角)になるようにエンジン11の補機負荷(例えばオルタネータの負荷)を制御する。これにより、エンジン11の停止直前に圧縮行程の圧縮圧によってピストン37が押し戻され易くなって逆転が発生し易くなる。
【0053】
[自動始動制御ルーチン]
図5に示す自動始動制御ルーチンは、ECU36の電源オン中に所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ301で、自動始動条件が成立したか否かを判定し、自動始動条件が成立したと判定されれば、ステップ302に進み、クランクカウンタCcr10のカウント値が0以上であるか否かを判定する。
【0054】
このステップ302で、クランクカウンタCcr10のカウント値が0よりも小さい(初期値)と判定された場合には、ステップ305に進み、気筒判別後クランク角に基づいて燃料噴射及び点火を開始してエンジン11を自動始動する通常自動始動を実行する。
【0055】
一方、上記ステップ302で、クランクカウンタCcr10のカウント値が0以上であると判定された場合には、ステップ303に進み、通常自動始動許可フラグFfail1 が気筒判別後クランク角に基づいた通常自動始動の許可を意味する「1」にセットされているか否かを判定する。
【0056】
このステップ303で、通常自動始動許可フラグFfail1 が「0」であると判定された場合、つまり、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常無し(正常)と判定された場合には、エンジン11の自動停止時に逆転が発生しても、停止クランク角を精度良く検出することができるため、次の自動始動時にその停止クランク角に基づいて暫定クランク角を精度良く検出することができると判断して、ステップ304に進み、暫定クランク角に基づいて早期に燃料噴射及び点火を開始してエンジン11を自動始動する早期自動始動を実行する。
【0057】
一方、上記ステップ303で、通常自動始動許可フラグFfail1 が「1」にセットされていると判定された場合、つまり、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常有りと判定された場合には、エンジン11の自動停止時に逆転が発生したときに、停止クランク角を精度良く検出できなくなるため、次の自動始動時にその停止クランク角に基づいた暫定クランク角の検出精度が低下すると判断して、ステップ305に進み、暫定クランク角を用いずに、気筒判別後クランク角に基づいて燃料噴射及び点火を開始してエンジン11を自動始動する通常自動始動を実行する。
【0058】
以上説明した本実施例1では、エンジン11の回転が停止する際に回転方向が逆転し易い状態となるようにエンジン回転速度とエンジン11の補機負荷(例えばオルタネータの負荷)を制御する逆転制御を実行し、逆転制御を実行したときにクランク角センサ34から逆転パルス信号が出力されない状態が所定期間継続した場合に、エンジン11の回転方向が逆転しているにも拘らずクランク角センサ34から逆転パルス信号が出力されない異常状態であると判断して、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常有りと判定するようにしたので、逆転検出機能付きのクランク角センサ34の逆転信号出力系の異常を検出することができる。
【0059】
しかも、本実施例1では、エンジン11の回転が停止する際にエンジン回転速度とエンジン11の補機負荷(例えばオルタネータの負荷)を制御して逆転制御を実行するようにしたので、エンジン11を逆転させるためのハード構成を新たに追加することなく、逆転検出機能付きのクランク角センサ34の逆転信号出力系の異常診断を行うことができ、低コスト化の要求を満たすことができる。
【0060】
また、本実施例1では、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常無し(正常)と判定された場合には、エンジン11の自動停止時に逆転が発生しても、停止クランク角を精度良く検出することができるため、次の自動始動時にその停止クランク角に基づいて暫定クランク角を精度良く検出することができると判断して、気筒判別後クランク角よりも早い時期から検出可能な暫定クランク角に基づいた早期自動始動を実行するようにしたので、速やかに自動始動することができる。
【0061】
一方、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常有りと判定された場合には、エンジン11の自動停止時に逆転が発生したときに、停止クランク角を精度良く検出することができなくなるため、次の自動始動時にその停止クランク角に基づいた暫定クランク角の検出精度が低下すると判断して、暫定クランク角を用いずに気筒判別後クランク角に基づいた通常自動始動を実行するようにしたので、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常の影響を受けずに自動始動することができる。
【実施例2】
【0062】
次に、図6を用いて本発明の実施例2を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分は説明を簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
本実施例2では、後述する図6の逆転制御ルーチンを実行することで、エンジン11の回転が停止する際に圧縮行程の圧縮圧が増加する方向にスロットル開度とバルブタイミングを制御する逆転制御を実行して、エンジン11の回転が停止する際に逆転が発生し易い状態にする。
【0063】
図6に示す逆転制御ルーチンでは、まず、ステップ401で、燃料噴射を停止した後、ステップ402に進み、エンジン回転速度NEが所定回転速度Kne(例えば500rpm)以下に低下したか否かを判定し、エンジン回転速度NEが所定回転速度Kne以下に低下したと判定されたときに、ステップ403に進み、現在のスロットル開度TAに所定のかさ上げ量Kta(例えば20deg)を加算した値を目標スロットル開度TAtag に設定し、実スロットル開度TAが目標スロットル開度TAtag に一致するようにスロットルバルブ16のモータ15を制御することで、スロットル開度TAを増量補正して圧縮行程の圧縮圧を増加させる。
【0064】
この後、ステップ404に進み、吸気バルブ28のバルブタイミングを最進角位置に進角させるように吸気側可変バルブタイミング装置29を制御すると共に、排気バルブ30のバルブタイミングを最遅角位置に遅角させるように排気側可変バルブタイミング装置31を制御することで、実圧縮比を高くして圧縮行程の圧縮圧を増加させる。尚、吸気バルブ28のバルブリフト量を変化させる吸気側可変バルブリフト装置を備えている場合には、吸気バルブ28のバルブリフト量を増大させるように吸気側可変バルブリフト装置を制御するようにしても良い。これにより、エンジン11の停止直前に圧縮行程の圧縮圧によってピストン37が押し戻され易くなって逆転が発生し易くなる。
【0065】
尚、ステップ403の処理とステップ404の処理のうちの一方のみを実行して、圧縮行程の圧縮圧を増加させるようにしても良い。
【0066】
本実施例2においても、前記実施例1とほぼ同じ効果を得ることができる。
上記各実施例1,2では、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常有りと判定された場合に、気筒判別後クランク角に基づいた通常自動始動を実行するようにしたが、自動停止・始動制御を禁止するようにしても良い。或は、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常有りと判定された場合に、クランク角センサ34の逆転信号出力系の断線又は回路故障の有無を判定し、クランク角センサ34の逆転信号出力系の断線又は回路故障有りと判定された場合に、継続的な異常であると判断して、自動停止・始動制御を禁止するようにしても良い。
【実施例3】
【0067】
次に、図7及び図8を用いて本発明の実施例3を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分については説明を簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
【0068】
本実施例3では、後述する図7及び図8の異常診断ルーチンを実行することで、エンジン11の自動始動時に暫定クランク角(前回の自動停止時の停止クランク角とクランク角センサ34の出力信号とに基づいて暫定的に検出したクランク角)と気筒判別後クランク角(クランク角センサ34の出力信号に基づいた欠歯タイミングとカム角センサ35の出力信号に基づいたG信号とを用いて気筒判別して検出したクランク角)とを比較して、逆転検出機能付きのクランク角センサ34の正転信号出力系又は逆転信号出力系の異常の有無を判定する。
【0069】
クランク角センサ34の正転信号出力系と逆転信号出力系が両方とも正常であれば、暫定クランク角と気筒判別後クランク角とがほぼ一致するはずであるが、クランク角センサ34の正転信号出力系又は逆転信号出力系が異常になると、暫定クランク角と気筒判別後クランク角とが一致しなくなる。従って、エンジン11の自動始動時に暫定クランク角と気筒判別後クランク角とを比較すれば、クランク角センサ34の正転信号出力系又は逆転信号出力系の異常の有無を精度良く判定することができる。
【0070】
図7及び図8に示す異常診断ルーチンは、クランク角センサ34からパルス信号(正転パルス信号又は逆転パルス信号)が出力される毎に割り込み処理にて起動される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ501で、クランクカウンタCcr10のカウント値が0以上であるか否かを判定し、クランクカウンタCcr10のカウント値が0よりも小さい(初期値)と判定された場合には、ステップ502に進み、今回の割り込み処理が正転パルス信号の出力による割り込み処理であるか否かを判定し、正転パルス信号の出力による割り込み処理であると判定されれば、ステップ503に進み、クランク角センサ34から出力されるパルス信号の間隔が長くなる欠歯タイミングであるか否かを判定する。
【0071】
このステップ503で、欠歯タイミングであると判定された時点で、ステップ504に進み、G信号がオンであるか否かによって気筒判別し、G信号がオンであると判定された場合には、ステップ505に進み、クランクカウンタCcr10のカウント値をG信号オン時の欠歯タイミングに相当するカウント値(例えば10)にセットする。
【0072】
一方、上記ステップ504で、G信号がオフであると判定された場合には、ステップ506に進み、クランクカウンタCcr10のカウント値をG信号オフ時の欠歯タイミングに相当するカウント値(例えば46)にセットする。
【0073】
その後、上記ステップ501で、クランクカウンタCcr10のカウント値が0以上であると判定されたときに、ステップ507に進み、今回の割り込み処理が正転パルス信号の出力による割り込み処理であるか否かを判定し、正転パルス信号の出力による割り込み処理であると判定された場合には、ステップ508に進み、クランクカウンタCcr10のカウント値を「1」だけカウントアップする。この後、ステップ509に進み、クランクカウンタCcr10のカウント値が上限値(例えば71)以下であるか否かを判定し、クランクカウンタCcr10のカウント値が上限値を上回ったときに、ステップ510に進み、クランクカウンタCcr10のカウント値を下限値(例えば0)にリセットする。
【0074】
一方、上記ステップ507で、正転パルス信号の出力による割り込み処理ではない(つまり逆転パルス信号の出力による割り込み処理である)と判定された場合には、ステップ511に進み、クランクカウンタCcr10のカウント値を「1」だけカウントダウンする。この後、ステップ512に進み、クランクカウンタCcr10のカウント値が下限値(例えば0)以上であるか否かを判定し、クランクカウンタCcr10のカウント値が下限値を下回ったときに、ステップ513に進み、クランクカウンタCcr10のカウント値を上限値(例えば71)にリセットする。
【0075】
この後、図8のステップ514に進み、クランク角センサ34から出力されるパルス信号の間隔が長くなる欠歯タイミングであるか否かを判定し、欠歯タイミングであると判定された時点で、ステップ515に進み、G信号がオンであるか否かによって気筒判別し、G信号がオンであると判定された場合には、ステップ516に進み、現在のクランクカウンタCcr10のカウント値とG信号オン時の欠歯タイミングに相当するカウント値(例えば10)との偏差Dcrを次式により算出する。
Dcr=|Ccr10−10|
【0076】
エンジン11の自動始動時の最初のG信号オン時の欠歯タイミングの場合には、現在のクランクカウンタCcr10のカウント値が暫定クランク角に相当し、G信号オン時の欠歯タイミングに相当するカウント値(例えば10)が気筒判別後クランク角に相当するため、偏差Dcrが暫定クランク角と気筒判別後クランク角との偏差に相当する。
【0077】
一方、上記ステップ515で、G信号がオフであると判定された場合には、ステップ517に進み、現在のクランクカウンタCcr10のカウント値とG信号オフ時の欠歯タイミングに相当するカウント値(例えば46)との偏差Dcrを次式により算出する。
Dcr=|Ccr10−46|
【0078】
エンジン11の自動始動時の最初のG信号オフ時の欠歯タイミングの場合には、現在のクランクカウンタCcr10のカウント値が暫定クランク角に相当し、G信号オフ時の欠歯タイミングに相当するカウント値(例えば46)が気筒判別後クランク角に相当するため、偏差Dcrが暫定クランク角と気筒判別後クランク角との偏差に相当する。
【0079】
この後、ステップ518に進み、偏差Dcrが異常判定値Kdcr (例えば4)よりも小さいか否かを判定し、エンジン11の自動始動時の最初の欠歯タイミングで、偏差Dcrが異常判定値Kdcr よりも小さいと判定された場合には、暫定クランク角と気筒判別後クランク角とがほぼ一致しているため、クランク角センサ34の異常無し(正常)と判断して、ステップ519に進み、G信号がオンであるか否かを判定する。
【0080】
このステップ519で、G信号がオンであると判定されれば、ステップ520に進み、クランクカウンタCcr10のカウント値をG信号オン時の欠歯タイミングに相当するカウント値(例えば10)にセットし、通常自動始動許可フラグFfail1 を「0」にリセット又は維持する。一方、上記ステップ519で、G信号がオフであると判定されれば、ステップ521に進み、クランクカウンタCcr10のカウント値をG信号オフ時の欠歯タイミングに相当するカウント値(例えば46)にセットし、通常自動始動許可フラグFfail1 を「0」にリセット又は維持する。
【0081】
これに対して、上記ステップ518で、エンジン11の自動始動時の最初の欠歯タイミングで、偏差Dcrが異常判定値Kdcr 以上であると判定された場合には、暫定クランク角と気筒判別後クランク角とが一致していない(両者の差が大きい)ため、クランク角センサ34の正転信号出力系又は逆転信号出力系の異常有りと判断して、ステップ522に進み、クランクカウンタCcr10のカウント値を初期値(例えば−1)にリセットし、通常自動始動許可フラグFfail1 を「1」にセットする。
【0082】
以上説明した本実施例3では、エンジン11の自動始動時に暫定クランク角(前回の自動停止時の停止クランク角とクランク角センサ34の出力信号とに基づいて暫定的に検出したクランク角)と気筒判別後クランク角(クランク角センサ34の出力信号に基づいた欠歯タイミングとカム角センサ35の出力信号に基づいたG信号とを用いて気筒判別して検出したクランク角)とを比較してクランク角センサ34の正転信号出力系又は逆転信号出力系の異常の有無を判定するようにしたので、ハード構成を新たに追加することなく、逆転検出機能付きのクランク角センサ34の異常診断を行うことができ、低コスト化の要求を満たすことができる。
【0083】
尚、上記各実施例1,2では、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常有りと判定された場合に、気筒判別後クランク角に基づいた通常自動始動を実行するようにしたが、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常有りと判定された場合に、エンジン11の自動始動時に暫定クランク角と気筒判別後クランク角とが一致している(両者の差が小さい)か否かを判定し、暫定クランク角と気筒判別後クランク角とが一致していないと判定された回数が所定値(例えば1回)以下の場合には、ノイズ等の影響による一時的な異常である可能性があると判断して、自動停止・始動制御を禁止せずに気筒判別後クランク角に基づいた通常自動始動を実行し、暫定クランク角と気筒判別後クランク角とが一致していないと判定された回数が所定値を越えた場合には、継続的な異常であると判断して、自動停止・始動制御を禁止するようにしても良い。これにより、ノイズ等の影響による一時的な異常で自動停止・始動制御を禁止することを防止して燃費悪化を抑制することができる。
【実施例4】
【0084】
次に、図9及び図10を用いて本発明をハイブリッド電気自動車に適用して具体化した実施例4を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分には同一符号を付して説明を簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
【0085】
まず、図9に基づいてハイブリッド電気自動車の車両駆動制御システムの構成を説明する。ハイブリッド電気自動車には、駆動源として、エンジン11(内燃機関)とスタータ兼用の交流モータ38が搭載され、これらの動力がトルクコンバータ39と変速機40を介してディファレンシャル装置41に伝達され、更に駆動シャフト42を介して駆動輪43に伝達される。
【0086】
パワートレイン制御装置44は、クランク角センサ34、カム角センサ35、エアフローメータ14、冷却水温センサ26等によって検出されるエンジン運転状態や、車両用制御装置45から送信されてくる車両状態の情報に基づいて、エンジン11の吸入空気量、燃料噴射量、点火時期を制御してエンジン11の出力トルクを制御すると共に、交流モータ38の発生トルクを制御し、更に、トルクコンバータ39のロックアップ状態や変速機40の変速比等を制御する。
【0087】
一方、車両用制御装置45は、アクセルペダルセンサ46、シフトセンサ47、車速センサ48、ブレーキマスターシリンダ圧センサ49等の各種センサの出力信号や、パワートレイン制御装置44から送信されてくるエンジン運転状態の情報に基づいて車両の走行状態を制御する。具体的には、車両用制御装置45は、パワートレイン制御装置44、インバータ50、補機バッテリ制御装置51(DC/DCコンバータ)を介してエンジン11、交流モータ38、変速機40、高圧直流バッテリ52、補機バッテリ53等を協調制御し、エンジン11の自動停止・始動制御(いわゆるアイドルストップ制御)を実行すると共に、発進、加速アシスト、減速回生等を制御する。
【0088】
始動制御では、交流モータ38(スタータ)を起動してエンジン11の回転速度を所定の回転速度まで上昇させた後、燃料ポンプ制御装置54により燃料ポンプ55を起動すると共に、パワートレイン制御装置44によって燃料噴射と点火を開始してエンジン11を始動する。
【0089】
補機バッテリ制御装置51は、車両用制御装置45からの信号や、補機バッテリ電流センサ56、補機バッテリ温度センサ57等の各種センサの出力信号に基づいて補機バッテリ53の充電量を制御する。また、車両用制御装置45は、自己診断機能を搭載し、車両駆動制御システムの各部の異常・故障を検出したときに、警告表示部58(警告手段)にその異常・故障内容を警告表示して運転者に警告する。
【0090】
燃料タンク(図示せず)内の燃料を汲み上げてエンジン11に供給する燃料ポンプ55は、駆動源としてブラシ付きDCモータ(図示せず)を内蔵し、補機バッテリ53の電圧を電源電圧として駆動される。この燃料ポンプ55を制御する燃料ポンプ制御装置54は、補機バッテリ電圧センサ59や燃料ポンプコイル温度センサ60等の出力信号に基づいて燃料ポンプ55の駆動電流を制御する。
【0091】
また、車両用制御装置45は、後述する図10の逆転信号出力系異常診断ルーチンを実行することで、エンジン停止中に交流モータ38の動力で強制的にエンジン11を逆転させる逆転制御を実行する逆転制御手段として機能すると共に、この逆転制御を実行したときにクランク角センサ34から逆転パルス信号が出力されない場合に、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常有りと判定する異常診断手段として機能する。
【0092】
図10に示す逆転信号出力系異常診断ルーチンでは、まず、ステップ601で、エンジン停止中であるか否かを判定し、次のステップ602で、変速機40がニュートラル状態であるか否かを判定する。その結果、上記ステップ601でエンジン停止中ではない(エンジン運転中である)と判定された場合、又は、上記ステップ602で変速機40がニュートラル状態ではない(動力伝達状態である)と判定された場合には、ステップ603以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
【0093】
一方、上記ステップ601でエンジン停止中であると判定され、且つ、上記ステップ602で変速機40がニュートラル状態であると判定された場合には、ステップ603に進み、異常診断完了フラグFjdg が異常診断の未完了を意味する「0」であるか否かを判定し、異常診断完了フラグFjdg が「0」であると判定されれば、ステップ604に進み、交流モータ38の動力で強制的にエンジン11を逆転させる逆転制御を実行する。
【0094】
この後、ステップ605に進み、クランク角センサ34から逆転パルス信号が出力されたか否かを判定し、クランク角センサ34から逆転パルス信号が出力されていないと判定された場合には、エンジン11が逆転しているにも拘らずクランク角センサ34から逆転パルス信号が出力されない異常状態であると判断して、ステップ606に進み、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常有りと判定して、逆転信号出力系異常フラグFrev を「1」にセットし、更に、自動停止・始動禁止フラグFfail2 を自動停止・始動制御の禁止を意味する「1」にセットして、異常診断完了フラグFjdg を異常診断の完了を意味する「1」にセットする。
【0095】
これに対して、上記ステップ605で、クランク角センサ34から逆転パルス信号が出力されたと判定された場合には、ステップ607に進み、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常無し(正常)と判定して、逆転信号出力系異常フラグFrev を「0」にリセット又は維持し、更に、自動停止・始動禁止フラグFfail2 を「0」にリセット又は維持して、異常診断完了フラグFjdg を「1」にセットする。
【0096】
以上説明した本実施例4では、エンジン停止中に交流モータ38の動力で強制的にエンジン11を逆転させる逆転制御を実行するようにしたので、エンジン11を確実に且つ速やかに逆転させることができ、クランク角センサ34の逆転信号出力系の異常の有無を精度良く且つ速やかに検出することができる。
尚、上記各実施例1〜3で説明した技術は、エンジン11のみを動力源とする一般的な車両に限定されず、ハイブリッド電気自動車に適用しても良いことは言うまでもない。
【0097】
また、エンジン11が逆転するのを防止する逆転防止機構と、逆転検出機能を備えていない一般的なクランク角センサとを備えたシステムにおいて、エンジン11の自動始動時に暫定クランク角と気筒判別後クランク角とが一致しているか否かによって逆転防止機構の異常の有無を判定するようにしても良い。更に、逆転防止機構の異常無し(正常)と判定された場合に暫定クランク角に基づいた早期自動始動を実行し、逆転防止機構の異常有りと判定された場合に気筒判別後クランク角に基づいた通常自動始動を実行するか又は自動停止・始動制御を禁止するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施例1におけるエンジン制御システム全体の概略構成図である。
【図2】クランクカウンタのカウントに基づいたクランク角の検出方法を説明するタイムチャートである。
【図3】実施例1の逆転信号出力系異常診断ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
【図4】実施例1の逆転制御ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
【図5】実施例1の自動始動制御ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
【図6】実施例2の逆転制御ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
【図7】実施例3の異常診断ルーチンの処理の流れを説明するフローチャート(その1)である。
【図8】実施例3の異常診断ルーチンの処理の流れを説明するフローチャート(その2)である。
【図9】実施例4のハイブリッド電気自動車の車両駆動制御システム全体の概略構成図である。
【図10】実施例4の逆転信号出力系異常診断ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0099】
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、16…スロットルバルブ、21…燃料噴射弁、22…点火プラグ、23…排気管、32…クランク軸、34…クランク角センサ、35…カム角センサ、36…ECU(逆転制御手段,異常診断手段,停止位置検出手段,暫定クランク角検出手段,気筒判別後クランク角検出手段,フェールセーフ制御手段)、38…交流モータ、39…トルクコンバータ、40…変速機、44…パワートレイン制御装置、45…車両用制御装置(逆転制御手段,異常診断手段)、50…インバータ、52…高圧直流バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関が正転方向に所定クランク角回転する毎に正転信号を出力して逆転方向に所定クランク角回転する毎に逆転信号を出力するクランク角センサを備えた内燃機関の制御装置において、
内燃機関の回転方向が逆転するように制御する逆転制御を実行する逆転制御手段と、
前記逆転制御を実行したときに前記クランク角センサから前記逆転信号が出力されない場合に前記クランク角センサの逆転信号出力系の異常有りと判定する異常診断手段と
を備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記逆転制御手段は、前記逆転制御として内燃機関の回転が停止する際に逆転が発生し易い状態となるように内燃機関及び/又はその補機を制御し、
前記異常診断手段は、前記逆転制御を実行したときに前記クランク角センサから前記逆転信号が出力されない状態が所定期間継続した場合に前記クランク角センサの逆転信号出力系の異常有りと判定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記逆転制御手段は、前記逆転制御として内燃機関の回転が停止する際に圧縮行程の圧縮圧が増加する方向にスロットル開度とバルブタイミングとバルブリフト量のうちの少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記逆転制御手段は、前記逆転制御として内燃機関の回転が停止する際に停止直前で逆転が発生し易いクランク角になるように内燃機関の回転速度及び/又は補機負荷を制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
車両の動力源として内燃機関とモータとを備え、
前記逆転制御手段は、前記逆転制御として内燃機関の停止中に前記モータの動力で強制的に内燃機関を逆転させる制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
内燃機関が正転方向に所定クランク角回転する毎に正転信号を出力して逆転方向に所定クランク角回転する毎に逆転信号を出力するクランク角センサと、所定カム角でカム角信号を出力するカム角センサとを備えた内燃機関の制御装置において、
内燃機関の停止時に前記クランク角センサの出力信号に基づいて内燃機関の回転が停止した停止クランク角を検出する停止位置検出手段と、
内燃機関の始動時に前記停止クランク角と前記クランク角センサの出力信号とに基づいて暫定的にクランク角(以下「暫定クランク角」という)を検出する暫定クランク角検出手段と、
前記クランク角センサの出力信号と前記カム角センサの出力信号とに基づいて気筒判別してクランク角(以下「気筒判別後クランク角」という)を検出する気筒判別後クランク角検出手段と、
内燃機関の始動時に前記暫定クランク角と前記気筒判別後クランク角とを比較して前記クランク角センサの異常の有無を判定する異常診断手段と
を備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項7】
所定の自動停止条件が成立したときに内燃機関を自動停止させ、所定の自動始動条件が成立したときに内燃機関を自動始動させる自動停止・始動制御を実行するシステムに適用され、内燃機関が正転方向に所定クランク角回転する毎に正転信号を出力して逆転方向に所定クランク角回転する毎に逆転信号を出力するクランク角センサと、所定カム角でカム角信号を出力するカム角センサとを備えた内燃機関の制御装置において、
内燃機関の停止時に前記クランク角センサの出力信号に基づいて内燃機関の回転が停止した停止クランク角を検出する停止位置検出手段と、
内燃機関の始動時に前記停止クランク角と前記クランク角センサの出力信号とに基づいて暫定的にクランク角(以下「暫定クランク角」という)を検出する暫定クランク角検出手段と、
前記クランク角センサの出力信号と前記カム角センサの出力信号とに基づいて気筒判別してクランク角(以下「気筒判別後クランク角」という)を検出する気筒判別後クランク角検出手段と、
前記クランク角センサの逆転信号出力系の異常の有無を判定する異常診断手段と、
前記異常診断手段により前記クランク角センサの逆転信号出力系の異常無しと判定された場合に前記暫定クランク角に基づいて内燃機関の自動始動を実行し、前記異常診断手段により前記クランク角センサの逆転信号出力系の異常有りと判定された場合に前記気筒判別後クランク角に基づいて内燃機関の自動始動を実行するか又は前記自動停止・始動制御を禁止するフェールセーフ制御手段と
を備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項8】
前記異常診断手段は、前記クランク角センサの逆転信号出力系の断線又は回路故障の有無を判定する手段を備え、
前記フェールセーフ制御手段は、前記異常診断手段により前記クランク角センサの逆転信号出力系の断線又は回路故障有りと判定された場合に前記自動停止・始動制御を禁止することを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項9】
前記異常診断手段は、内燃機関の始動時に前記暫定クランク角と前記気筒判別後クランク角とが一致しているか否かを判定する手段を備え、
前記フェールセーフ制御手段は、前記異常診断手段により前記暫定クランク角と前記気筒判別後クランク角とが一致していないと判定された回数が所定値以下の場合に前記気筒判別後クランク角に基づいて内燃機関の自動始動を実行し、前記暫定クランク角と前記気筒判別後クランク角とが一致していないと判定された回数が所定値を越えた場合に前記自動停止・始動制御を禁止することを特徴とする請求項7又は8に記載の内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−156219(P2009−156219A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337302(P2007−337302)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】