説明

内燃機関の制御装置

【課題】EGR制御と可変流量機構付き過給機や電動アシスト機構付き過給機等による過給機制御とを備えた内燃機関の協調制御において、制御対象に適した動特性を有した伝達関数をもって相互に影響を与えることで、過渡運転状態での適切な協調制御を可能とすること。
【解決手段】目標吸気量を設定する目標吸気量設定手段65と、目標吸気酸素濃度を設定する目標吸気酸素濃度設定手段73と、実吸気量と目標吸気量との偏差から吸気量制御量を算出する吸気制御量演算手段71と、実吸気酸素濃度と目標吸気酸素濃度との偏差から吸気酸素濃度制御量を算出する酸素濃度制御量演算手段81と、を備え、吸気制御量演算手段71および酸素濃度制御量演算手段81によって算出されたそれぞれの制御量を相互に影響を与えるように構成し、一方の制御手段の操作による他方の制御対象への動特性を有した伝達関数手段C21、C12を介して相互に影響させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御装置に関し、特に、内燃機関の排気ガス再循環装置(以下EGRと略す)によるEGR制御と、可変流量機構付き過給機や電動アシスト機構付き過給機等による過給機制御との協調制御に関する。
【背景技術】
【0002】
可変流量機構付き過給機、もしくは、電動モータアシスト付き過給機等の過給量や過給圧力を制御可能な過給機制御装置を備え、且つ排気ガスの一部を吸気通路またはシリンダ内に還流させる排気ガス再循環装置(EGR)を備えた内燃機関において、例えば、ディーゼルエンジンにおいて、可変流量機構付き過給機の制御によって、排気圧力が増大するとEGRによる排気ガスの還流量の増大によって、燃焼室への吸気流量や吸気酸素濃度が確保されずに黒煙の発生が増大することや、また、排気圧力の減少によってEGRガスの還流量が確保されずにNOx低減効果が得られない等、EGRの制御と可変流量機構付き過給機の制御とは相互に影響を及ぼす関係を有している。
【0003】
そこで、このEGR制御と過給機制御とを協調して制御する技術が知られている。例えば、特開2003−21000号公報(特許文献1)には、目標空気量および目標過給圧をそれぞれ設定して、EGRバルブ偏差量を算出する際には、吸気量と目標空気量との偏差だけでなく、吸気圧と目標空気圧の偏差も考慮し、また、過給機の可変容量機構(VGT)の偏差量を算出する際には、吸気圧と目標過給圧の偏差だけではなく、吸気量と目標空気量の偏差も考慮して、EGRバルブとVGTとを協調して制御することが示されている。
【0004】
また、特開2005−233033号公報(特許文献2)には、EGR制御と過給圧制御との相互干渉を回避できると共に、過給機の可変ノズル(VNT)の開度変化があってもEGRを目標通りに制御するために、可変ノズルの開度変化がEGRに与える影響を算出するEGR干渉量コントローラと、EGRバルブの開度変化が過給圧に与える影響を算出する過給圧干渉量コントローラとを有した統合制御部を備えている技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−21000号公報
【特許文献2】特開2005−233033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術は、吸気量と目標空気量との偏差だけでなく、吸気圧と目標空気圧の偏差も考慮してEGRバルブとVGTバルブのそれぞれを制御しているが、相互の制御への補正係数がマップに設定された定数によって行われるものであるため、つまり、協調制御において、動特性が考慮されていないため、過渡運転状態において十分な効果が得られ難い。具体的には、制御対象の持つ時定数やむだ時間に適した制御器の動特性を設定することまでは開示されていない。
空気流量を制御するために過給機の可変流量機構を制御したときの応答特性と、過給圧力を制御するために過給機の可変流量機構を制御したときの応答特性とで異なるため、それぞれの制御に合わせた動特性によって制御することが、過渡状態の運転を含めてより一層協調制御の効果を得る上で必要である。
【0007】
また、特許文献2には、EGRバルブとVNTバルブのそれぞれの制御を相互に干渉させるコントローラを設けて協調制御を行う技術が示されているが、EGRバルブ制御信号を過給圧干渉量コントローラによってVNTコントローラの入力側に戻し、VNTバルブ制御信号をEGR干渉量コントローラによってEGRコントローラの入力側に戻している。すなわち、制御対象への指令信号を、それぞれ相手側のコントローラ(制御器)の入力側に戻して加減算するような構成を採用しているため、相互制御の応答性に遅れを生じやすい。
【0008】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、EGR制御と可変流量機構付き過給機や電動アシスト機構付き過給機等による過給機制御とを備えた内燃機関の協調制御において、制御対象に適した動特性を有した伝達関数をもって相互に影響を与えることで、過渡運転状態での適切な協調制御を可能とする制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、排気ガス再循環装置(EGR)によるEGR制御手段と、可変流量機構付き過給機または電動アシスト機構付き過給機を含む過給圧もしくは過給量を制御する過給機制御手段とを備えた内燃機関の制御装置において、
内燃機関の運転状態に基づいて目標吸気量または該目標吸気量に対応する指標の目標値を設定する目標吸気量設定手段と、内燃機関の運転状態に基づいて目標吸気酸素濃度または該目標吸気酸素濃度に対応する指標の目標値を設定する目標吸気酸素濃度設定手段と、実吸気量または該実吸気量に対応する指標と前記目標吸気量設定手段によって設定された目標値との偏差から吸気量制御量を算出する吸気制御量演算手段と、実吸気酸素濃度または該実吸気酸素濃度に対応する指標と前記目標吸気酸素濃度によって設定された目標値との偏差から吸気酸素濃度制御量を算出する酸素濃度制御量演算手段と、を備え、前記吸気制御量演算手段および前記酸素濃度制御量演算手段によって算出されたそれぞれの制御量を前記EGR制御手段と前記過給機制御手段とで相互に影響を与えるように構成し、一方の制御手段の操作による他方の制御対象への動特性を有した伝達関数手段を介在させて相互に影響させることを特徴とする。
【0010】
かかる発明によれば、目標吸気量または該目標吸気量に対応する指標の目標値、および目標吸気酸素濃度または該目標吸気酸素濃度に対応する指標の目標値と、それぞれの実際値との偏差に基づいて、EGR制御弁と過給機制御弁とをそれぞれフィードバック制御する。この際に、一方の制御手段の操作による他方の制御対象への動特性を有した伝達関数手段を介在させて相互に協調制御するので、EGR制御と過給機制御とが過渡運転状態においても適切に行われて、内燃機関に供給される空気量と、燃焼室に供給されるガス中の酸素濃度の制御性が向上する。これにより、車両加速時等の過渡状態におけるスモーク排出量やNOxの排出量の増大を防止できる。
【0011】
なお、目標吸気量に対応する指標としては、過給圧力が考えられ、また、目標吸気酸素濃度に対応する指標としては、空気過剰率、EGR量、排気酸素濃度、EGR率等の値が考えられ、これら値を用いてもよい。
さらに、実吸気量および実目標吸気酸素量においても同様である。
【0012】
本発明において具体的には、前記酸素濃度制御量演算手段によって算出された制御量を、前記吸気制御量演算手段によって算出された制御量の処理において加算して過給機制御手段への指令信号を算出する過給機制御信号算出部を備え、該過給機制御信号算出部には、EGR操作による吸気流量の動特性を考慮した第1伝達関数部を備えるとよい。
【0013】
このように構成することで、例えば、車両減速時に目標空気量(目標吸気量)が減少した場合に、空気量を減らすために過給機制御手段が過給量を低減するように作動する。例えば、可変流量機構付き過給機(VFT)におけるVFT制御弁が開く操作が行われる。このときに、目標吸気酸素濃度と実吸気酸素濃度との偏差に応じてVFT制御弁の目標値を補正するため、排圧が減少することで、EGRガスの還流量が減少することによるNOx排出量の増大を防止できる。
さらに、この時の補正において、EGR操作による吸気流量の動特性を考慮した第1伝達関数部を備えるため、すなわち、EGR操作による空気流量変化の動特性(むだ時間、時定数等)を考慮した伝達関数手段が設けられているため、過渡状態においても適切な制御が行われる。
【0014】
また、本発明において具体的には、前記吸気制御量演算手段によって算出された制御量を、前記酸素濃度制御量演算手段によって算出された制御量の処理において加算してEGR制御手段への指令信号を算出するEGR制御信号算出部を備え、該EGR制御信号算出部には、過給機制御による吸気酸素濃度の動特性を考慮した第2伝達関数部を備えるとよい。
【0015】
このように構成することで、例えば、車両加速時に目標空気量(目標吸気量)を増やすために、過給機制御手段が過給量を増加するように作動する。例えば、可変流量機構付き過給機(VFT)におけるVFT制御弁が閉じる操作が行われる。このときに、目標吸気量と実吸気量との偏差に応じてEGR制御弁の目標値を補正するため、排圧が増大することで、必要以上にEGRガスが吸気通路に還流されることによるスモークの発生を防止できる。
さらに、この時の補正において、VFT操作による吸気酸素濃度の動特性を有した第2伝達関数手段を備えるため、すなわち、VFT操作による吸気酸素濃度の動特性(むだ時間、時定数等)を考慮した伝達関数手段が設けられているため、過渡状態においても適切な制御が行われる。
【0016】
また、本発明において好ましくは、前記実吸気量および前記吸気酸素濃度を吸気通路のエアフローメータおよび酸素濃度センサを用いずに算出するとよい。
このよう吸気通路側に吸気流量センサ(エアフローメータ)を持たないシステム構成でよいため、システムの簡素化およびコスト低減が図れる。
【0017】
また、本発明において好ましくは、前記過給機制御手段が、電動アシスト機構付き過給機からなり、EGR制御弁と前記電動アシスト機構付き過給機とを協調して制御するようにするとよい。
【0018】
電動アシスト機構付き過給機を用いて過給の制御を行うため、具体的には、車両の減速時に目標空気量(目標吸気量)が減少した場合に、空気量を減らすために電動アシスト付き過給機のモータを発電機として使用する制御が行われる。このときに、目標吸気酸素濃度と実吸気酸素濃度との偏差に応じて目標発電量を補正するため、排圧が上昇することで必要以上のEGRガスが還流されて、吸気酸素濃度が低下してスモークが発生することを防止できる。
さらに、この時の補正において、EGR操作による吸気流量の動特性を考慮した第1伝達関数部を備えるため、つまり、EGR操作による空気流量変化の動特性(むだ時間、時定数等)を考慮した伝達関数手段が設けられているため、過渡状態においても適切な制御が行われる。
また、車両加速時においては、目標空気量(目標吸気量)を増やすために、電動アシスト機構付き過給機に対してアシストするよう指令が出される。このとき、目標吸気量と実吸気量との偏差に応じてEGR制御弁の目標値を補正するため、吸気圧が増大することで、必要量のEGRガスが吸気通路に還流されず、吸気酸素濃度が上昇してNOx排出量が増加することを防止できる。
さらに、この時の補正なおいて、アシスト量変化に対する吸気酸素濃度変化の動特性(むだ時間、時定数等)を考慮しているため、過渡状態において適切な制御が行われる。
【0019】
なお、車両の減速時に目標空気量(目標吸気量)が減少した場合に、空気量を減らすために電動アシスト付き過給機のモータを発電機として使用する制御が行われるため、内燃機関の排気エネルギを効率的に利用できる。
【0020】
また、本発明において好ましくは、前記過給機制御手段が、周方向に連続的にタービンロータの全周を包囲するように延びる内側スクロールと外側スクロールとを有し、内側スクロールにのみ排気ガスを流す状態度と、前記内側スクロールと外側スクロールの両方に排ガスを流す状態とを切換える切換手段を備えて構成されるとよい。
【0021】
可変流量機構の一つとして可変容量過給機(VGT)が知られており、このVGTにおいては、多数のノズルベーンがタービンロータの外周側に多数配置されて、それらを多数のノズルベーンの角度を同時に変更してタービンロータに作用するトルクを制御しているが、本発明における可変流機構(VFT)は、周方向に連続的にタービンロータの全周を包囲するように延びる内側スクロールと外側スクロールとを有し、内側スクロールにのみ排気ガスを流す状態度と、前記内側スクロールと外側スクロールの両方に排ガスを流す状態とを切換える切換手段を備えて構成されおり、タービンロータから離れた位置にある1つの切換手段よって、弁開度を切換えて内側スクロールへの流れと外側スクロールへの流れを制御するため、前述のVGTと比較すると、タービンロータの応答性において劣る傾向がある。
【0022】
従って、VGTを適用した場合と比較すると制御ゲインを低く設定する必要が生じ、過渡運転時における過渡応答性が低下し、EGR制御からの干渉が強くなる傾向があるが、本発明を採用することで、動特性を考慮した伝達関数を用いた制御器を用いるため、VFTのような機構の可変流量機構付き過給機を用いた場合においても、適切な協調制御が可能となる。
【0023】
また、本発明において好ましくは、前記EGR制御手段への出力信号および過給機制御手段への出力信号のリミッタを、前記伝達関数手段を構成するPID制御器の積分器毎に配置するとよい。
このように、制御対象への出力信号のリミッタを、伝達関数手段を構成するPID制御器の積分器毎に配置することによって、リミッタのカット条件及び積分器加算量等の対応をそれぞれの制御器の積分器毎に設定できるようになるため、精度良いリセットワインドアップの対策(入力飽和現象の対策)が可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、EGRによる排気ガス再循環制御と、可変流量機構付き過給機や電動アシスト機構付き過給機等による過給制御とを備えた内燃機関の協調制御において、目標吸気量または該目標吸気量に対応する指標の目標値、および目標吸気酸素濃度または該目標吸気酸素濃度に対応する指標の目標値と、それぞれの実際値との偏差に基づいて、EGR制御手段と過給機制御手段とをそれぞれフィードバック制御する際に、一方の制御手段の操作による他方の制御対象への動特性を有した伝達関数手段を介在させて相互に協調制御するので、EGR制御と過給機制御とが適切に行われて、内燃機関に供給される空気量と、燃焼室に供給されるガス中の酸素濃度の制御性が向上する。これにより、車両加速時等の過渡状態におけるスモーク排出量やNOxの排出量の増大を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る内燃機関の制御装置の概要構成図である。
【図2】制御装置の構成ブロック図である。
【図3】可変流量機構付き過給機の要部断面説明図である。
【図4】協調制御の説明図である。
【図5】第2実施形態の概要構成図である。
【図6】第2実施形態の制御装置の要部構成ブロック図である。
【図7】第3実施形態の概要構成図である。
【図8】第3実施形態の制御装置の要部構成ブロック図である。
【図9】第4実施形態の制御装置の要部構成ブロック図である。
【図10】第4実施形態の積分器リミッタが入った制御器のブロック線図であり、(a)は組み込まれる前を示し、(b)は組み込まれた後を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0027】
(第1実施形態)
(全体構成)
図1を参照して、本発明に係る内燃機関の制御装置の全体構成について説明する。
ディーゼルエンジン(エンジン)1は、排気タービン3とこれに同軸駆動されるコンプレッサ5を有する排気ターボ過給機7を備えており、該排気ターボ過給機7のコンプレッサ5から吐出された空気は吸気通路9を通って、インタークーラ11に入り吸気が冷却された後、吸気スロットルバルブ13で吸気流量が制御され、その後、吸気マニホールド15からエンジン1の図示しない燃焼室内に流入するようになっている。
【0028】
この排気ターボ過給機7は、可変流量機構付き過給機(VFT)であり、具体的な構造は、図3に示すように、周方向に連続的にタービンロータ17の全周を包囲するように延びる内側スクロール19と外側スクロール21とを有し、内側スクロール19のみに排気ガスを流す状態と、内側スクロール19と外側スクロール21の両方に排ガスを流す状態とを切換える切換手段であるVFT制御弁23を備えて構成されている。
VFT制御弁23は、ハウジング25の端部に1箇所設けられており、このVFT制御弁23を作動させることで内側スクロール19にのみ排気ガスを流す状態と、内側スクロール19と外側スクロール21の両方に排ガスを流す状態とを切換える。
【0029】
また、図1に示すように、エンジン1においては、燃料噴射弁27からの燃料噴射時期及び噴射量を制御して燃焼室内に噴射する燃料噴射装置29が設けられている。
エンジン1の燃焼室で燃焼された燃焼ガス即ち排気ガス31は、シリンダ毎に設けられた排気ポートが集合して排気マニホールド33及び排気通路35を通って、前記排気ターボ過給機7の排気タービン3を駆動してコンプレッサ5の動力源となった後、排気通路35を通って排ガス後処理装置(不図示)を通過して排出されるようになっている。
【0030】
また、排気通路35または排気マニホールド33の途中から、EGR通路37が分岐されて、排ガスの一部が吸気スロットルバルブ13の下流側部位にEGRクーラ39、EGR制御弁41を介して投入されるEGR装置40が設けられている。
【0031】
排気ターボ過給機7の上流側には、エアフローメータ43、大気温度センサ45が設けられ、吸気マニホールド15内には、吸気温度センサ47、吸気圧力センサ49が設けられている。また、エンジン回転数センサ51、大気圧センサ53が設けられて、各センサからの信号は、信号変換器55を介して制御装置(ECU)57に取り込まれている。
【0032】
さらに、EGR制御弁41に対しては、EGRバルブ制御手段(EGR制御手段)59を介して駆動信号が出力されると共に、EGR弁開度信号が制御装置57に入力される。吸気スロットルバルブ13に対しも同様に、スロットルバルブ駆動回路61を介して駆動信号が出力されると共に、スロットルバルブ弁開度信号が制御装置57に入力される。
さらに、排気ターボ過給機7に対しては、VFTバルブ制御手段(過給機制御手段)63を介して、駆動信号が可変流量機構を構成するVFT制御弁23(図3参照)に出力されると共に、該VFT制御弁23の弁開度信号が制御装置57に入力されるようになっている。
【0033】
(協調制御)
制御装置57において、EGR制御弁41の開度制御とVFT制御弁23との協調制御が行われる。その協調制御の制御構成ブロック図を図2に示す。
図2において、目標吸気量設定手段65では、エンジン1の運転状態を示す、エンジン回転数センサ51によるエンジン回転数、燃料噴射装置29による燃料噴射量、大気温度センサ45による大気温度、および大気圧センサ53による大気圧のパラメータを基に、目標吸気量マップ67を用いて、目標吸気量すなわち目標空気量r1を求める。
【0034】
また、実吸気量y1は、エアフローメータ43からの信号を基に求める。そして、この実吸気量y1と前記目標吸気量設定手段65によって設定された目標吸気量との偏差e1を、加減算器69からの出力として算出する。このe1の算出は吸気制御量演算手段71によって行われ、偏差e1は吸気量制御量として制御器C11、C21に入力される。
【0035】
一方、吸気酸素濃度についても同様であり、目標吸気酸素濃度設定手段73によって、エンジン1の運転状態、例えば、エンジン回転数センサ51によるエンジン回転数、燃料噴射装置29による燃料噴射量、大気温度センサ45による大気温度、および大気圧センサ53による大気圧から、目標吸気酸素濃度マップ75を用いて、目標吸気酸素濃度r2を求める。
【0036】
また、実吸気酸素濃度については、図2に示すように、吸気酸素濃度推定演算部77によって推定した値を用いる。
この吸気酸素濃度推定演算部77は、エンジン1の運転状態を示すエアフローメータ43からの空気流量、吸気マニホールド15内の吸気温度センサ47、吸気圧力センサ49からの吸気マニホールド圧力、吸気マニホールド温度、エンジン回転数センサ51からのエンジン回転数、燃料噴射装置29からの燃料噴射量、のそれぞれの信号を基に算出される。
【0037】
そして、吸気酸素濃度推定演算部77によって推定した、実吸気酸素濃度と、前記目標吸気酸素濃度設定手段73によって設定された目標吸気酸素濃度との偏差e2を、加減算器79からの出力として算出する。このe2の算出は酸素濃度制御量演算手段81によって行われ、偏差e2は吸気酸素濃度制御量として制御器C12、C22に入力される。
【0038】
次に、吸気制御量演算手段71で算出された吸気量制御量e1を基にVFT制御弁23のフィードバック制御が行われ、酸素濃度制御量演算手段81で算出された吸気酸素濃度制御量e2を基にEGR制御弁41のフィードバック制御が行われる。
そして、このフィードバック制御において、EGR制御弁41の制御と、VFT制御弁23との制御を協調制御するための協調制御部83が設けられ、協調制御部83は制御器C11、C12、C21、C22によって構成されるとともに、制御器C11とC12とによって、VFT制御弁23への制御部84aを構成し、制御器C21とC22とによってEGR制御弁41への制御部84bを構成する。
【0039】
吸気量制御量e1は、制御器C11とC21に入力され、制御器C11においては、例えばPID演算処理が行われて、出力信号が加算器85に入力される。制御器C21(第2伝達関数部)においては、PID演算の伝達関数に動特性、例えば、むだ時間および時定数が制御対象に応じた値に設定されており、VFT制御弁23の操作による吸気酸素濃度変化の特性を表すような制御定数に設定されている。そして、制御器C21の出力信号は、加算器87に入力されて、加算器87で、制御器C22からの出力信号に加算されて出力信号u2が出力される。
【0040】
一方、制御器C12、C22においても制御器C11、C21と同様に機能する。
すなわち、吸気酸素濃度制御量e2は、制御器C12とC22に入力され、制御器C22においては、例えばPID演算処理が行われて、出力信号が加算器87に入力される。制御器C12においては、PID演算の伝達関数に、制御対象の動特性、例えば、むだ時間および時定数に応じた値が設定されている。
制御器C12(第1伝達関数部)においては、EGR制御弁41の操作による吸気量変化の動特性を考慮した制御定数に設定されている。そして、制御器C12の出力信号は、加算器85に入力されて、加算器85で、制御器C11からの出力信号に加算されて出力信号u1が出力される。
【0041】
加算器85からの出力信号u1は加算器89に入力され、さらに定常VFTマップ90によってエンジン1の運転状態におけるVFT制御弁23の開度信号が入力されて、その加算結果がVFT指令値リミッタ91によって上下限値が規制されて、VFT制御弁23の開度指令信号として出力される。
同様に、加算器87からの出力信号u2は加算器93に入力され、さらに定常EGR開度マップ95によって求められたエンジン1の運転状態におけるEGR制御弁41の開度信号が入力されて、その加算結果がEGR指令値リミッタ97によって上下限値が規制されて、EGR制御弁41の開度指令信号として出力される。
【0042】
協調制御について式を用いて説明する。図4に示すように、エンジンシステムの入力として、z1(VFT制御弁開度指令)、z2(EGRバルブ開度指令)をとり、出力として実吸気量y1、吸気酸素濃度y2をとり、制御の対象をP11、P12、P21、P22とすると、出力y1、y2は式(1)、(2)で表わせる。
【0043】
y1=P11*z1+P12*z2 …(1)
y2=P21*z1+P22*z2 …(2)
また、図2に示した信号、制御器の符号を用いて、z1、z2は式(3)、(4)で表せる。
z1=u1=C11*e1+C12*e2 …(3)
z2=u2=C21*e1+C22*e2 …(4)
そして、式(3)、(4)を式(1)、(2)に代入することで、式(5)、(6)が得られる。
y1=(P11*C11+P12*C21)*e1+(P11*C12+P12*C22)*e2 …(5)
y2=(P21*C11+P22*C21)*e1+(P21*C12+P22*C22)*e2 …(6)
【0044】
このように、吸気量制御量(偏差)e1に対して、吸気量y1だけでなく、吸気酸素濃度y2も影響を受ける。同様に、吸気酸素濃度制御量(偏差)e2に対して、吸気酸素濃度y2だけでなく吸気量y1も影響を受ける。
e1からy2、e2からy1の影響が大きいことは、実吸気量と実吸気酸素濃度の目標値追従性が悪いことを意味する。これを改善するためにC11だけでなくC21が必要であり、更には、その伝達は単なるゲインではなく、制御対象の伝達特性に応じて望ましい動特性を有する必要がある。
【0045】
以上の第1実施形態によれば、目標吸気量または該目標吸気量に対応する指標の目標値(例えば、過給圧力等の目標値)、および目標吸気酸素濃度または該目標吸気酸素濃度に対応する指標の目標値(例えば、空気過剰率、EGR量、排気酸素濃度、EGR率等の目標値)と、それぞれの実際値との偏差e1、e2に基づいて、EGR制御弁41とVFT制御弁23とをそれぞれフィードバック制御する際に、一方の制御弁の操作による他方の制御対象への動特性を考慮した制御器C21、C12(伝達関数手段)を設けて相互に協調制御することで、EGR制御と過給機制御とが適切に行われて、内燃機関に供給される空気量と、燃焼室に供給されるガス中の酸素濃度の制御性が向上する。これにより、車両加速時等の過渡状態におけるスモーク排出量やNOxの排出量の増大を防止できる。
【0046】
例えば、車両減速時に目標空気量(目標吸気量)が減少した場合には、空気量を減らすためにVFT制御弁23が過給量を低減するように開く操作が行われる。このときに、目標吸気酸素濃度と実吸気酸素濃度との偏差e1に応じてVFT制御弁23の目標値を補正するため、排圧が減少することで、EGRガスの還流量が減少することによるNOx排出量の増大を防止できる。
また、車両加速時に目標空気量(目標吸気量)を増やす場合には、VFT制御弁23が閉じる操作が行われる。このときに、目標吸気量と実吸気量との偏差に応じてEGR制御弁41の目標値を補正するため、排圧が増大することで、必要以上にEGRガスが吸気通路に還流されることによるスモークの発生を防止できる。
【0047】
また、排気ターボ過給機7は、可変流量機構付き過給機(VFT)であり、その構造は、内側スクロール19にのみ排気ガスを流す状態度と、内側スクロール19と外側スクロール21の両方に排ガスを流す状態とを切換えるVFT制御弁23をタービンロータ17から離れた位置に1つ設けて、内側スクロール19への流れと外側スクロール21への流れを制御するものである。このため、VGTの可変流量機構のように多数のノズルベーンがタービンロータ17の外周側に多数配置されて、それら多数のノズルベーンの角度を同時に変更してタービンロータ17に作用するトルクを制御する機構と比較すると、タービンロータ17の応答性において劣る傾向があるが、動特性を考慮した伝達関数を用いた制御器C21、C12を用いることによって、過渡状態においても、適切な協調制御が可能となるのでVFTのような可変流量機構付き過給機への適用において、効果的である。
【0048】
(第2実施形態)
次に、図5、6を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、第1実施形態のエアフローメータ43を用いずに、エンジン1の運転状態の信号から吸気質量流量MCLYを算出して、その算出結果を用いて吸気制御量演算手段101を構成するものである。また、吸気酸素濃度においても第1実施形態とは異なる手法で、推定吸気酸素濃度OCLYを算出し、その算出結果を用いて酸素濃度制御量演算手段103を構成するものである。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0049】
吸気質量流量(MCLY)は、次の式(7)によって算出する。
CLY=P/(T・R)・(N/60)・NCYL/ICYC・2・E …(7)
ここで、P:吸気圧力
:吸気温度
R: 気体定数
:エンジン回転数
CYL:シリンダ数(4気筒エンジンであれば4)
CYC:サイクル数(4サイクルであれば4)
: 体積効率
である。
【0050】
また、推定吸気酸素濃度OCLYについては、エンジン1のシリンダ内に吸入した酸素質量流量から燃焼に寄与して消費した酸素質量流量を差し引いた分が排出される酸素質量流量になる関係を基に算出する。すなわち、式(8)の関係式を基に、シリンダ内に吸入される酸素質量流量を算出し、そこから吸気酸素濃度OCLYを算出する。
【0051】
(シリンダ内に吸入される酸素質量流量)=(排ガス中の酸素質量流量)+(燃焼に寄与して消費した酸素質量流量) …(8)
【0052】
排ガス中の酸素質量流量は、排気マニホールド33下流側に設置された酸素濃度センサ105によって検出された酸素濃度から、酸素濃度センサ105の設置位置と排気マニホールド33との位置の差による応答遅れ表す伝達特性を基に排気マニホールド33内の酸素濃度を推定する。
そして、その排気マニホールド33内の酸素濃度推定値を基に排気マニホールド33内の酸素質量流量を換算して、その排気マニホールド33内の酸素質量流量を、前記関係式の排ガス中の酸素質量流量として、燃焼に寄与して消費した酸素質量流量の関係を基に、シリンダ内に吸入する酸素質量流量を算出する。
【0053】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を有するが、それに加えて、エアフローメータ43を用いずに、エンジン1の運転状態の信号から吸気質量流量MCLY、および吸気酸素濃度OCLYのそれぞれについて算出するため、コスト低減、およびシステムを簡素化できる。
【0054】
(第3実施形態)
次に、図7、8を参照して第3実施形態について説明する。
図7のように、過給機制御手段が、電動アシスト機構付き過給機110からなり、EGR制御弁41と電動アシスト機構付き過給機110のアシスト量を制御する電動モータ112の回転制御とを協調して制御するものである。
【0055】
電動アシスト機構付き過給機110は、排気タービン3と連結してこれに同軸駆動する電動モータ112を備えている。電動モータ112は、モータ制御手段114によって制御されている。
車両の減速時に目標空気量が減少した場合には、空気量を減らすために電動アシスト付き過給機110の電動モータ112を発電機とする制御がモータ制御手段114によって行われる。
このときに、目標吸気酸素濃度と実吸気酸素濃度との偏差に応じて目標発電量を補正するため、排圧が上昇することで必要以上のEGRガスが還流されて、吸気酸素濃度が低下してスモークが発生することを防止できる。
さらに、減速時に電動モータ112を発電機として使用する制御が行われるため、内燃機関の排気エネルギを効率的に利用できる。
【0056】
また、車両加速時においては、目標空気量(目標吸気量)を増やすために、電動アシスト機構付き過給機110に対してアシストするようモータ制御手段114から指令が出される。このとき、目標吸気量と実吸気量との偏差に応じてEGR制御弁41の目標値を補正するため、吸気圧が増大することで、必要量のEGRガスが吸気通路9側に還流されず、吸気酸素濃度が上昇してNOx排出量が増加することを防止できる。
【0057】
なお、図8に示すように、定常運転状態における最適なアシスト量について定常アシスト量マップ120が備えられ、該定常アシスト量マップ120からのアシスト量に対して制御器からの制御量が加算器122で加算されて、その後、アシスト量に対してアシスト量リミッタ124で上下限値が制限されてアシスト量指令値として出力される。
【0058】
以上のように、第3実施形態によれば、電動アシスト機構付き過給機110を用いた場合においても、第1実施形態と同様に、内燃機関に供給される空気量と、燃焼室に供給されるガス中の酸素濃度の制御性を向上することができ、これにより、車両加速時等の過渡状態におけるスモーク排出量やNOxの排出量の増大を防止できる。
【0059】
(第4実施形態)
次に、図9を参照して第4実施形態について説明する。
第1実施形態では、EGR制御弁41の開度指令値に対して、EGR指令値リミッタ97が1つ設けられるとともに、VFT制御弁23の開度指令値に対しても、VFT指令値リミッタ91が1つ設けられている。この場合に、リセットワインドアップ現象の対策がうまく作動しない問題がある。すなわち、4つの制御器C11、C12、C21、C22の積分器との対応が不明のため適切な対策がとれないが、本第4実施形態においては、その問題を解消するために、PID制御器C11a〜C22aの積分器には、図10(b)に示すように積分器リミッタ121〜124が入っている。
図10(a)は積分器リミッタ121〜124が入っていない場合を示し、図10(b)は積分器リミッタ121〜124が入っている場合を示す。
【0060】
制御器C11、C12、C21、C22からの出力がリミッタにより飽和した状態で、制御対象に与えない操作量を積分器に加算し続けると、制御量が目標値付近に達してもこの積分器の影響で、操作量は大きくなり、制御量がオーバーシュートする現象が発生する。この現象をリセットワインドアップという。
【0061】
第4実施形態においては、制御器C11a、C12a、C21a、C22a毎の積分器に対応して積分器リミッタ121〜124を別々に設置したので、リミッタのカット条件及び積分器加算量等の対応をそれぞれの制御器の積分器ごとに設定できるため、精度良いリセットワインドアップの対策が可能になる。
【0062】
尚、以上説明した第1実施形態〜第4実施形態については、適宜組み合わせて用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によれば、EGR制御と可変流量機構付き過給機や電動アシスト機構付き過給機等による過給機制御とを備えた内燃機関の協調制御において、制御対象に適した動特性を有した伝達関数をもって相互に影響を与えることで、過渡運転状態での適切な協調制御を可能とするので、内燃機関の制御装置への利用に適している。
【符号の説明】
【0064】
1 内燃機関(ディーゼルエンジン)
7 可変流量機構付き過給機
9 吸気通路
19 内側スクロール
21 外側スクロール
23 VFT制御弁(切換手段)
37 EGR通路
40 排気ガス再循環装置(EGR)
41 EGR制御弁
43 エアフローメータ
57 制御装置
59 EGRバルブ制御手段(EGR制御手段)
63 VFTバルブ制御手段(過給機制御手段)
65 目標吸気量設定手段
71 吸気制御量演算手段
73 目標吸気酸素濃度設定手段
81 酸素濃度制御量演算手段
84a 過給機制御信号算出部
84b EGR制御信号算出部
91 VFT指令値リミッタ
97 EGR指令値リミッタ
121、122、123、124 積分器リミッタ
C11、C12、C21、C22 制御器(伝達関数手段)
C11a、C12a、C21a、C22a 制御器(伝達関数手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス再循環装置(EGR)によるEGR制御手段と、可変流量機構付き過給機または電動アシスト機構付き過給機を含む過給圧もしくは過給量を制御する過給機制御手段とを備えた内燃機関の制御装置において、
内燃機関の運転状態に基づいて目標吸気量または該目標吸気量に対応する指標の目標値を設定する目標吸気量設定手段と、
内燃機関の運転状態に基づいて目標吸気酸素濃度または該目標吸気酸素濃度に対応する指標の目標値を設定する目標吸気酸素濃度設定手段と、
実吸気量または該実吸気量に対応する指標と前記目標吸気量設定手段によって設定された目標値との偏差から吸気量制御量を算出する吸気制御量演算手段と、
実吸気酸素濃度または該実吸気酸素濃度に対応する指標と前記目標吸気酸素濃度によって設定された目標値との偏差から吸気酸素濃度制御量を算出する酸素濃度制御量演算手段と、を備え、
前記吸気制御量演算手段および前記酸素濃度制御量演算手段によって算出されたそれぞれの制御量を前記EGR制御手段と前記過給機制御手段とで相互に影響を与えるように構成し、一方の制御手段の操作による他方の制御対象への動特性を有した伝達関数手段を介在させて相互に影響させることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記酸素濃度制御量演算手段によって算出された制御量を、前記吸気制御量演算手段によって算出された制御量の処理において加算して過給機制御手段への指令信号を算出する過給機制御信号算出部を備え、該過給機制御信号算出部には、EGR操作による吸気流量の動特性を考慮した第1伝達関数部を備えたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記吸気制御量演算手段によって算出された制御量を、前記酸素濃度制御量演算手段によって算出された制御量の処理において加算してEGR制御手段への指令信号を算出するEGR制御信号算出部を備え、該EGR制御信号算出部には、過給機制御による吸気酸素濃度の動特性を考慮した第2伝達関数部を備えたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記実吸気量および前記吸気酸素濃度を吸気通路のエアフローメータおよび酸素濃度センサを用いずに算出することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記過給機制御手段が、電動アシスト機構付き過給機からなり、EGR制御弁と前記電動アシスト機構付き過給機とを協調して制御するように構成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
目標吸気量が減少時に前記電動アシスト機構付き過給機のモータを発電機として使用する制御が行われることを特徴とする請求項5記載の内燃機関の制御装置。
【請求項7】
前記過給機制御手段が、周方向に連続的にタービンロータの全周を包囲するように延びる内側スクロールと外側スクロールとを有し、内側スクロールにのみ排気ガスを流す状態度と、前記内側スクロールと外側スクロールの両方に排ガスを流す状態とを切換える切換手段を備えて構成されたことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
【請求項8】
前記EGR制御手段への出力信号および過給機制御手段への出力信号のリミッタを、前記伝達関数手段を構成するPID制御器の積分器毎に配置したことを特徴とする請求項1乃至3何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−82720(P2012−82720A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227876(P2010−227876)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】