内燃機関の排気ガス浄化装置
【課題】内燃機関の排気ガス浄化装置に関し、簡素な構成で、フィルタの温度上昇を抑制しつつ、フィルタの過昇温によるクラック発生や溶損を効果的に防止する。
【解決手段】内燃機関10の排気系に設けられ、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタ32と、EGR通路19と、EGR弁21と、フィルタ32に捕集された粒子状物質の堆積量を推定して出力するフィルタ堆積量推定手段41と、フィルタの温度を推定して出力するフィルタ温度推定手段42と、内燃機関10の運転状態が高負荷運転から低負荷運転もしくはアイドル運転に変化する際に、フィルタ堆積量推定手段41の出力値が所定量以上であり、かつ、フィルタ温度推定手段42の出力値が所定温度以上の場合に、フィルタ32を流れる排気ガス中の酸素濃度を低減すべく、EGR弁21の開弁制御を行うEGR弁制御手段44とを備えた。
【解決手段】内燃機関10の排気系に設けられ、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタ32と、EGR通路19と、EGR弁21と、フィルタ32に捕集された粒子状物質の堆積量を推定して出力するフィルタ堆積量推定手段41と、フィルタの温度を推定して出力するフィルタ温度推定手段42と、内燃機関10の運転状態が高負荷運転から低負荷運転もしくはアイドル運転に変化する際に、フィルタ堆積量推定手段41の出力値が所定量以上であり、かつ、フィルタ温度推定手段42の出力値が所定温度以上の場合に、フィルタ32を流れる排気ガス中の酸素濃度を低減すべく、EGR弁21の開弁制御を行うEGR弁制御手段44とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン(内燃機関)の後処理装置として、排気ガス中の粒子状物質(以下、PM)を捕集するディーゼル・パティキュレイト・フィルタ(以下、DPF)が知られている。DPFは、捕集したPMが多量に堆積するとフィルタ目詰まりを引き起こしてエンジンの背圧を上昇させることがある。また、堆積したPMは、エンジンの高負荷運転時に、高温となった排気ガスにより急激に燃焼されて、DPFに熱損傷等を与える場合がある。
【0003】
このような課題を防ぐためには、堆積したPMを適宜除去してDPFの機能を回復させる、いわゆるDPFの再生を行う必要がある。この再生を連続的に行うべく、DPFの上流側に酸化触媒を設け、酸化触媒で排気ガス中のNOからNO2を生成して、NO2によって捕集され堆積しPMを連続的に酸化除去する連続再生式DPFが実用化されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、DPFに堆積したPM量を正確に推定しながら、適切なタイミングで再生制御を行う連続再生式DPFの制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−339733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、連続再生式DPFであっても、エンジンの運転状態によっては、酸化触媒の触媒活性温度以下での走行が継続すると、DPFに捕集されたPMは堆積する。DPFにPMが堆積した状態で高負荷運転を行い、PMに着火し始めたところでアイドル運転や低負荷運転に移行すると、排気ガスの流量が低下して熱の持ち去りも減少するので、DPF内部の温度は急激に上昇する。このように、DPF内部の温度が急激に上昇され、DPFの耐熱温度を超えてしまうと、DPFにクラックや溶損等が発生するといった課題がある。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、簡素な構成で、DPF(フィルタ)の温度上昇を抑制しつつ、DPF(フィルタ)の過昇温によるクラック発生や溶損を効果的に防止することができる内燃機関の排気ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の内燃機関の排気ガス浄化装置は、内燃機関の排気系に設けられ、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタと、前記排気系と前記内燃機関の吸気系とを連通し、前記排気系の排気ガスを前記吸気系に還流させるEGR通路と、前記EGR通路に設けられ、前記吸気系に還流する排気ガス量を調整するEGR弁と、前記フィルタに捕集された粒子状物質の堆積量を推定して出力するフィルタ堆積量推定手段と、前記フィルタの温度を推定して出力するフィルタ温度推定手段と、前記内燃機関の運転状態が高負荷運転から低負荷運転もしくはアイドル運転に変化する際に、前記フィルタ堆積量推定手段の出力値が所定量以上であり、かつ、前記フィルタ温度推定手段の出力値が所定温度以上の場合に、前記フィルタを流れる排気ガス中の酸素濃度を低減すべく、前記EGR弁の開弁制御を行うEGR弁制御手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また、前記EGR弁制御手段は、前記開弁制御に際し、前記EGR弁の開度を、前記フィルタを流れる排気ガス中の酸素濃度がゼロとなる開度に設定するようにしてもよい。
【0010】
また、前記EGR弁制御手段による前記開弁制御に際し、前記内燃機関の吸気系に環流される排気ガスによって引き起こされる前記内燃機関の失火を抑制すべく、前記内燃機関の燃料噴射時期を進角させる失火抑制手段をさらに有するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の内燃機関の排気ガス浄化装置によれば、簡素な構成で、DPF(フィルタ)の温度上昇を抑制しつつ、DPF(フィルタ)の過昇温によるクラック発生や溶損を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化装置の制御ECUを示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化装置において、酸素濃度を低減した際のDPF温度経時変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面により、本発明に係る一実施形態について説明する。
【0014】
図1〜4は、本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化装置1を説明するものである。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0015】
図1に示すように、ディーゼルエンジン(内燃機関)10には、吸気マニホールド(吸気系)10bと排気マニホールド(排気系)10aとが設けられている。また、この吸気マニホールド10bには、ディーゼルエンジン10内の吸気弁(不図示)の開弁により新気を導入する吸気通路14(吸気系)が接続され、排気マニホールド10aには、排気弁(不図示)の開弁により排気ガスを排出する排気通路11(排気系)が接続されている。
【0016】
吸気通路14には、インタクーラー17と、過給器12とが介装され、さらに吸気通路14の先端にはエアフィルタ15が設けられている。
【0017】
排気マニホールド10aと吸気マニホールド10bとは、EGR通路19で連通されている。また、EGR通路19には、EGRクーラー20とEGR弁21とが介装されている。
【0018】
EGR弁21は、アクチュエータ(不図示)を備えており、このアクチュエータに後述する制御ECU40から運転状態に応じた制御信号が出力されることで、開度(以下、EGR率ともいう)が制御される。なお、EGR通路19は、本実施形態では、吸気マニホールド10bと排気マニホールド10aとを連通するが、排気通路11と吸気通路14とを連通するように設けてもよい。
【0019】
排気通路11には、上流側から順に酸化触媒31とDPF32とを備えて連続再生式DPFを構成する後処理装置30が設けられている。
【0020】
酸化触媒31は、セラミック製のハニカム構造を有する担体に、白金(Pt)等を担持して形成されている。この酸化触媒31は、排気ガス中のNOを酸化してNO2を生成すると共に、排気ガス中のHCとCOとを酸化してH2OとCO2とを生成する。
【0021】
DPF(ディーゼル・パティキュレイト・フィルタ)32は、セラミック製のハニカム構造体からなる多数のセル内をガス流路として備え、上流側と下流側とを交互に目封じして形成されている。このDPF32は、排気ガス中に含まれるPMを捕集するとともに、堆積したPMを酸化触媒31で生成されたNO2によって酸化燃焼することで連続的に再生される。
【0022】
後処理装置30の上流側の排気通路11には、ディーゼルエンジン10から排出され排気通路11内を流れる排気ガス中の酸素濃度を検出するO2センサ22が設けられている。
【0023】
また、後処理装置30には、DPF32の上流側と下流側との差圧を検出する差圧センサ25が設けられている。この差圧センサ25と後述する制御ECU40のPM堆積量推定部41とは、本発明の堆積量推定手段を構成する。
【0024】
また、後処理装置30の上流部と下流部とには、排気温度センサ23,24が設けられている。この排気温度センサ23,24と後述する制御ECU40のDPF温度推定部42とは、本発明のフィルタ温度推定手段を構成する。
【0025】
次に、本実施形態に係る制御ECU40について説明する。
【0026】
制御ECU40は、ディーゼルエンジン10の運転状態に応じて燃料噴射量や着火時期等の各種制御を行うもので、公知のCPUやROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備え構成されている。この各種制御を行うために、制御ECU40には、エンジン回転センサ(不図示)、アクセル開度センサ(不図示)、O2センサ22、差圧センサ25、排気温度センサ23,24等の出力信号がA/D変換された後に入力される。
【0027】
図2に示すように、本実施形態に係る制御ECU40は、PM堆積量推定部(フィルタ堆積量推定手段)41と、DPF温度推定部(フィルタ温度推定手段)42と、運転状態判定部43と、EGR弁制御部(EGR弁制御手段)44と、エンジン失火抑制部(失火抑制手段)45とを一部の機能要素として有する。これら各機能要素は、本実施形態では一体のハードウェアである制御ECU40に含まれるものとして説明するが、これらのいずれか一部を別体のハードウェアに設けることもできる。
【0028】
PM堆積量推定部(フィルタ堆積量推定手段)41は、DPF32に捕集されたPMの堆積量を推定する。具体的には、このPM堆積量推定部41には、予め実験等により測定して記憶した、DPF32の差圧とPMの堆積量との関係を示す差圧特性マップ(不図示)が記憶されている。この差圧特性マップと差圧センサ25の出力値とに基づいて、DPF32に捕集されたPMの堆積量を算出して推定する。
【0029】
DPF温度推定部(フィルタ温度推定手段)42は、DPF32の内部温度を推定する。具体的には、上流側の排気温度センサ23の出力値と、下流側の排気温度センサ24の出力値との平均値を、DPF32の内部温度TAVEとして算出して推定する。
【0030】
運転状態判定部43は、ディーゼルエンジン10の運転状態を判定する。具体的には、アクセル開度センサの出力値から燃料噴射量Qを算出し、この燃料噴射量Qに基づいてディーゼルエンジン10の運転状態が高負荷運転中であるか、または低負荷運転中もしくはアイドル運転中であるかを判定する。なお、この運転状態の判定を、エンジン回転センサの出力値とアクセル開度センサの出力値とに基づいて行うようにしてもよい。
【0031】
EGR弁制御部(EGR弁制御手段)44は、ディーゼルエンジン10の運転状態に応じたEGRガス量を設定すべく、EGR弁21のアクチュエータに制御信号を出力してEGR率(開度)を制御する。
【0032】
また、EGR弁制御部44は、運転状態判定部43によってディーゼルエンジン10の運転状態が高負荷運転中から低負荷運転もしくはアイドル運転に移行されたと判定され、かつ、PM堆積量推定部41によって推定算出されたPM堆積量が所定値(許容値)A以上を示し、かつ、DPF温度推定部42によって推定算出されたDPF32の内部温度TAVEが所定温度T1以上を示した場合に、DPF32内を流れる排気ガス中の酸素濃度を0%にすべく、EGRガス量を多量に導入するEGR率(開度)でEGR弁21を制御する。この制御は、DPF32にPMが堆積した状態で高負荷運転を行い、堆積したPMに着火し始めたところでアイドル運転や低負荷運転に移行すると、DPF32の内部温度が排気ガス流量の低下により急激に上昇するので、これを抑制するために行うものである。この制御に用いられるEGR率(開度)は、予め実験等により測定し記憶した、EGR率とDPF32内の酸素濃度との関係を示すマップ(不図示)に基づいて設定すればよい。
【0033】
エンジン失火抑制部(失火抑制手段)45は、ディーゼルエンジン10の失火を抑制すべく、ディーゼルエンジン10の燃料噴射弁(不図示)による燃料の噴射時期を進角(多段噴射においてはメイン噴射時期を進角)させる制御を行う。この制御は、EGRガスが還流されると、吸気系の酸素濃度が急変して、ディーゼルエンジン10の燃焼が失火等により不安定になることで引き起こされるトルク低下を防ぐために行うものである。
【0034】
本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化装置1は、以上のように構成されているので、例えば図3に示すフローに従って以下のような制御が行われる。
【0035】
ステップ(以下、ステップを単にSと記載する)100では、運転状態判定部43によって、ディーゼルエンジン10の運転状態が高負荷運転中であるか否かが判定される。アクセル開度センサの出力値から算出された燃料噴射量Qが、所定量α(mm3/st)以上であれば高負荷運転中であると判定されS110へと進む。燃料噴射量Qが所定量α(mm3/st)より小さい場合はリターンされる。
【0036】
S110では、PM堆積量推定部41によって、差圧センサ25の検出値に基づいて推定算出されたPM堆積量が、所定量A(g/l)を超えているか否かが判定される。PM堆積量が所定量A(g/l)以上の場合はS120へと進む。一方、PM堆積量が所定量A(g/l)より小さい場合はリターンされる。なお、PM堆積量が所定量A(g/l)以上であって、さらにDPF32の許容量B(g/l)以上の場合は、S120へと進まずに強制再生を行うようにしてもよい。
【0037】
S120では、DPF温度推定部42によって、排気温度センサ23,24の検出値に基づいて推定算出されたDPF内部温度TAVEが、所定温度T1を超えているか否かが判定される。DPF内部温度TAVEが所定温度T1以上の場合はS130へと進む。一方、DPF内部温度TAVEが所定温度T1より小さい場合はリターンされる。
【0038】
なお、本実施形態において、所定温度T1は、DPF32が熱により溶損されるDPF32の耐熱温度(限界温度)よりも低い温度(例えば、550℃程度)で設定される。
【0039】
S130では、運転状態判定部43によって、ディーゼルエンジン10の運転状態が低負荷運転中もしくはアイドル運転中であるか否かが判定される。アクセル開度センサの出力値から算出された燃料噴射量Qが、所定量α(mm3/st)より小さい場合は、運転状態が前述のS100〜S120にかけて、高負荷運転から低負荷運転に移行されたと判定されS140へと進む。一方、燃料噴射量Qが所定量α(mm3/st)以上の場合はリターンされる。
【0040】
S140では、EGR弁制御部44によって、DPF32内を流れる排気ガス中の酸素濃度を0%にすべく、EGR弁21がEGRガス量を多量に導入するEGR率(開度)で制御される。
【0041】
S150では、エンジン失火抑制部45によって、EGRガス量の多量導入による失火等を抑制すべく、必要に応じてディーゼルエンジン10の燃料噴射弁(不図示)の燃料噴射時期(多段噴射においてはメイン噴射時期)が進角される。
【0042】
S160では、EGR弁制御部44によるEGR弁21の制御から一定時間が経過したことを確認すると、EGRガスを通常のEGRガス量に戻すとともに、噴射時期も通常の噴射時期に戻して、本制御はリターンされる。
【0043】
上述のような構成により、本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化装置1によれば以下のような作用・効果を奏する。
【0044】
DPF32にPMが堆積した状態で、ディーゼルエンジン10の運転状態が高負荷運転から低負荷運転もしくはアイドル運転へと移行した際に、排気温度センサ23,24によって推定算出されたDPF内部温度TAVEが所定温度T1(例えば、550℃)以上で、かつ、PM堆積量推定部41によって推定算出されたPM堆積量が所定量A(g/l)以上の場合は、DPF32内を流れる排気ガス中の酸素濃度を0%にすべく、EGR弁21がEGRガス量を多量に導入するEGR率(開度)に制御される。
【0045】
したがって、DPF32内を流れる排気ガス流量の低下により引き起こされるDPF32の温度上昇を抑制することができ、DPF32の過昇温によるクラック発生や溶損を効果的に防止することができる。
【0046】
また、EGRガスが多量に導入されると、ディーゼルエンジン10の燃料噴射弁(不図示)の燃料噴射時期は、エンジン失火抑制部45によって進角(多段噴射においてはメイン噴射時期を進角、または、パイロット噴射を実施)される。
【0047】
したがって、EGRガス量の多量導入によって生じる失火を抑制できるとともに、当然ながら、失火により引き起こされるディーセルエンジン10のトルク低下も効果的に抑止することができる。
【0048】
ここで、図4に、本実施形態に係る排気ガス浄化装置1において、EGR弁21を制御して、DPF32内を流れる排気ガス中の酸素濃度を0%まで減少させた場合のDPF32内部温度の経過時変化(実線A)と、酸素濃度を5%まで減少させた場合のDPF32内部温度の経過時変化(一点鎖線B)と、酸素濃度を10%(通常のアイドル運転時のEGR量)にした場合のDPF32内部温度の経過時変化(二点鎖線C)との比較例を示す。なお、図4中の破線Dは、酸素濃度を0%まで減少させた場合のDPF32の入口温度を示す。
【0049】
酸素濃度が10%の場合のDPF32内部温度(二点鎖線C)は、ディーゼルエンジン10の運転状態が高負荷運転から低負荷運転へと移行した時点(t1)から急激に上昇して、DPF32の耐熱温度(限界温度)を超えている。一方、酸素濃度を0%まで低減した場合のDPF32内部温度(実線A)は、ディーゼルエンジン10の運転状態が高負荷運転から低負荷運転へと移行した時点(t1)を経過した後に、若干上昇するもののDPF32の耐熱温度(限界温度)よりも低い状態で抑制されていることからも、本発明の効果が分かる。
【0050】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0051】
本実施形態において、酸素濃度は0%まで低減されるものとして説明したが、必ずしも0%まで低減する必要はなく、例えば2%や3%等、DPF32の容量や耐熱温度等に応じて適宜変更することができる。
【0052】
また、本実施形態において、後処理装置30は酸化触媒31とDPF32とを備えた連続再生式DPFとして説明したが、他のフィルタや触媒(NOx吸蔵還元触媒等)を備えた後処理装置にも当然ながら適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 排気ガス浄化装置
10 ディーゼルエンジン(内燃機関)
10a 排気ポート(排気系)
10b 吸気ポート(吸気系)
11 排気通路(排気系)
14 吸気通路(吸気系)
19 EGR通路
21 EGR弁
32 DPF(フィルタ)
41 PM堆積量推定部(フィルタ堆積量推定手段)
42 DPF温度推定部(フィルタ温度推定手段)
44 EGR弁制御部(EGR弁制御手段)
45 エンジン失火抑制部(失火抑制手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン(内燃機関)の後処理装置として、排気ガス中の粒子状物質(以下、PM)を捕集するディーゼル・パティキュレイト・フィルタ(以下、DPF)が知られている。DPFは、捕集したPMが多量に堆積するとフィルタ目詰まりを引き起こしてエンジンの背圧を上昇させることがある。また、堆積したPMは、エンジンの高負荷運転時に、高温となった排気ガスにより急激に燃焼されて、DPFに熱損傷等を与える場合がある。
【0003】
このような課題を防ぐためには、堆積したPMを適宜除去してDPFの機能を回復させる、いわゆるDPFの再生を行う必要がある。この再生を連続的に行うべく、DPFの上流側に酸化触媒を設け、酸化触媒で排気ガス中のNOからNO2を生成して、NO2によって捕集され堆積しPMを連続的に酸化除去する連続再生式DPFが実用化されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、DPFに堆積したPM量を正確に推定しながら、適切なタイミングで再生制御を行う連続再生式DPFの制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−339733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、連続再生式DPFであっても、エンジンの運転状態によっては、酸化触媒の触媒活性温度以下での走行が継続すると、DPFに捕集されたPMは堆積する。DPFにPMが堆積した状態で高負荷運転を行い、PMに着火し始めたところでアイドル運転や低負荷運転に移行すると、排気ガスの流量が低下して熱の持ち去りも減少するので、DPF内部の温度は急激に上昇する。このように、DPF内部の温度が急激に上昇され、DPFの耐熱温度を超えてしまうと、DPFにクラックや溶損等が発生するといった課題がある。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、簡素な構成で、DPF(フィルタ)の温度上昇を抑制しつつ、DPF(フィルタ)の過昇温によるクラック発生や溶損を効果的に防止することができる内燃機関の排気ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の内燃機関の排気ガス浄化装置は、内燃機関の排気系に設けられ、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタと、前記排気系と前記内燃機関の吸気系とを連通し、前記排気系の排気ガスを前記吸気系に還流させるEGR通路と、前記EGR通路に設けられ、前記吸気系に還流する排気ガス量を調整するEGR弁と、前記フィルタに捕集された粒子状物質の堆積量を推定して出力するフィルタ堆積量推定手段と、前記フィルタの温度を推定して出力するフィルタ温度推定手段と、前記内燃機関の運転状態が高負荷運転から低負荷運転もしくはアイドル運転に変化する際に、前記フィルタ堆積量推定手段の出力値が所定量以上であり、かつ、前記フィルタ温度推定手段の出力値が所定温度以上の場合に、前記フィルタを流れる排気ガス中の酸素濃度を低減すべく、前記EGR弁の開弁制御を行うEGR弁制御手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また、前記EGR弁制御手段は、前記開弁制御に際し、前記EGR弁の開度を、前記フィルタを流れる排気ガス中の酸素濃度がゼロとなる開度に設定するようにしてもよい。
【0010】
また、前記EGR弁制御手段による前記開弁制御に際し、前記内燃機関の吸気系に環流される排気ガスによって引き起こされる前記内燃機関の失火を抑制すべく、前記内燃機関の燃料噴射時期を進角させる失火抑制手段をさらに有するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の内燃機関の排気ガス浄化装置によれば、簡素な構成で、DPF(フィルタ)の温度上昇を抑制しつつ、DPF(フィルタ)の過昇温によるクラック発生や溶損を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化装置の制御ECUを示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化装置において、酸素濃度を低減した際のDPF温度経時変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面により、本発明に係る一実施形態について説明する。
【0014】
図1〜4は、本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化装置1を説明するものである。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0015】
図1に示すように、ディーゼルエンジン(内燃機関)10には、吸気マニホールド(吸気系)10bと排気マニホールド(排気系)10aとが設けられている。また、この吸気マニホールド10bには、ディーゼルエンジン10内の吸気弁(不図示)の開弁により新気を導入する吸気通路14(吸気系)が接続され、排気マニホールド10aには、排気弁(不図示)の開弁により排気ガスを排出する排気通路11(排気系)が接続されている。
【0016】
吸気通路14には、インタクーラー17と、過給器12とが介装され、さらに吸気通路14の先端にはエアフィルタ15が設けられている。
【0017】
排気マニホールド10aと吸気マニホールド10bとは、EGR通路19で連通されている。また、EGR通路19には、EGRクーラー20とEGR弁21とが介装されている。
【0018】
EGR弁21は、アクチュエータ(不図示)を備えており、このアクチュエータに後述する制御ECU40から運転状態に応じた制御信号が出力されることで、開度(以下、EGR率ともいう)が制御される。なお、EGR通路19は、本実施形態では、吸気マニホールド10bと排気マニホールド10aとを連通するが、排気通路11と吸気通路14とを連通するように設けてもよい。
【0019】
排気通路11には、上流側から順に酸化触媒31とDPF32とを備えて連続再生式DPFを構成する後処理装置30が設けられている。
【0020】
酸化触媒31は、セラミック製のハニカム構造を有する担体に、白金(Pt)等を担持して形成されている。この酸化触媒31は、排気ガス中のNOを酸化してNO2を生成すると共に、排気ガス中のHCとCOとを酸化してH2OとCO2とを生成する。
【0021】
DPF(ディーゼル・パティキュレイト・フィルタ)32は、セラミック製のハニカム構造体からなる多数のセル内をガス流路として備え、上流側と下流側とを交互に目封じして形成されている。このDPF32は、排気ガス中に含まれるPMを捕集するとともに、堆積したPMを酸化触媒31で生成されたNO2によって酸化燃焼することで連続的に再生される。
【0022】
後処理装置30の上流側の排気通路11には、ディーゼルエンジン10から排出され排気通路11内を流れる排気ガス中の酸素濃度を検出するO2センサ22が設けられている。
【0023】
また、後処理装置30には、DPF32の上流側と下流側との差圧を検出する差圧センサ25が設けられている。この差圧センサ25と後述する制御ECU40のPM堆積量推定部41とは、本発明の堆積量推定手段を構成する。
【0024】
また、後処理装置30の上流部と下流部とには、排気温度センサ23,24が設けられている。この排気温度センサ23,24と後述する制御ECU40のDPF温度推定部42とは、本発明のフィルタ温度推定手段を構成する。
【0025】
次に、本実施形態に係る制御ECU40について説明する。
【0026】
制御ECU40は、ディーゼルエンジン10の運転状態に応じて燃料噴射量や着火時期等の各種制御を行うもので、公知のCPUやROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備え構成されている。この各種制御を行うために、制御ECU40には、エンジン回転センサ(不図示)、アクセル開度センサ(不図示)、O2センサ22、差圧センサ25、排気温度センサ23,24等の出力信号がA/D変換された後に入力される。
【0027】
図2に示すように、本実施形態に係る制御ECU40は、PM堆積量推定部(フィルタ堆積量推定手段)41と、DPF温度推定部(フィルタ温度推定手段)42と、運転状態判定部43と、EGR弁制御部(EGR弁制御手段)44と、エンジン失火抑制部(失火抑制手段)45とを一部の機能要素として有する。これら各機能要素は、本実施形態では一体のハードウェアである制御ECU40に含まれるものとして説明するが、これらのいずれか一部を別体のハードウェアに設けることもできる。
【0028】
PM堆積量推定部(フィルタ堆積量推定手段)41は、DPF32に捕集されたPMの堆積量を推定する。具体的には、このPM堆積量推定部41には、予め実験等により測定して記憶した、DPF32の差圧とPMの堆積量との関係を示す差圧特性マップ(不図示)が記憶されている。この差圧特性マップと差圧センサ25の出力値とに基づいて、DPF32に捕集されたPMの堆積量を算出して推定する。
【0029】
DPF温度推定部(フィルタ温度推定手段)42は、DPF32の内部温度を推定する。具体的には、上流側の排気温度センサ23の出力値と、下流側の排気温度センサ24の出力値との平均値を、DPF32の内部温度TAVEとして算出して推定する。
【0030】
運転状態判定部43は、ディーゼルエンジン10の運転状態を判定する。具体的には、アクセル開度センサの出力値から燃料噴射量Qを算出し、この燃料噴射量Qに基づいてディーゼルエンジン10の運転状態が高負荷運転中であるか、または低負荷運転中もしくはアイドル運転中であるかを判定する。なお、この運転状態の判定を、エンジン回転センサの出力値とアクセル開度センサの出力値とに基づいて行うようにしてもよい。
【0031】
EGR弁制御部(EGR弁制御手段)44は、ディーゼルエンジン10の運転状態に応じたEGRガス量を設定すべく、EGR弁21のアクチュエータに制御信号を出力してEGR率(開度)を制御する。
【0032】
また、EGR弁制御部44は、運転状態判定部43によってディーゼルエンジン10の運転状態が高負荷運転中から低負荷運転もしくはアイドル運転に移行されたと判定され、かつ、PM堆積量推定部41によって推定算出されたPM堆積量が所定値(許容値)A以上を示し、かつ、DPF温度推定部42によって推定算出されたDPF32の内部温度TAVEが所定温度T1以上を示した場合に、DPF32内を流れる排気ガス中の酸素濃度を0%にすべく、EGRガス量を多量に導入するEGR率(開度)でEGR弁21を制御する。この制御は、DPF32にPMが堆積した状態で高負荷運転を行い、堆積したPMに着火し始めたところでアイドル運転や低負荷運転に移行すると、DPF32の内部温度が排気ガス流量の低下により急激に上昇するので、これを抑制するために行うものである。この制御に用いられるEGR率(開度)は、予め実験等により測定し記憶した、EGR率とDPF32内の酸素濃度との関係を示すマップ(不図示)に基づいて設定すればよい。
【0033】
エンジン失火抑制部(失火抑制手段)45は、ディーゼルエンジン10の失火を抑制すべく、ディーゼルエンジン10の燃料噴射弁(不図示)による燃料の噴射時期を進角(多段噴射においてはメイン噴射時期を進角)させる制御を行う。この制御は、EGRガスが還流されると、吸気系の酸素濃度が急変して、ディーゼルエンジン10の燃焼が失火等により不安定になることで引き起こされるトルク低下を防ぐために行うものである。
【0034】
本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化装置1は、以上のように構成されているので、例えば図3に示すフローに従って以下のような制御が行われる。
【0035】
ステップ(以下、ステップを単にSと記載する)100では、運転状態判定部43によって、ディーゼルエンジン10の運転状態が高負荷運転中であるか否かが判定される。アクセル開度センサの出力値から算出された燃料噴射量Qが、所定量α(mm3/st)以上であれば高負荷運転中であると判定されS110へと進む。燃料噴射量Qが所定量α(mm3/st)より小さい場合はリターンされる。
【0036】
S110では、PM堆積量推定部41によって、差圧センサ25の検出値に基づいて推定算出されたPM堆積量が、所定量A(g/l)を超えているか否かが判定される。PM堆積量が所定量A(g/l)以上の場合はS120へと進む。一方、PM堆積量が所定量A(g/l)より小さい場合はリターンされる。なお、PM堆積量が所定量A(g/l)以上であって、さらにDPF32の許容量B(g/l)以上の場合は、S120へと進まずに強制再生を行うようにしてもよい。
【0037】
S120では、DPF温度推定部42によって、排気温度センサ23,24の検出値に基づいて推定算出されたDPF内部温度TAVEが、所定温度T1を超えているか否かが判定される。DPF内部温度TAVEが所定温度T1以上の場合はS130へと進む。一方、DPF内部温度TAVEが所定温度T1より小さい場合はリターンされる。
【0038】
なお、本実施形態において、所定温度T1は、DPF32が熱により溶損されるDPF32の耐熱温度(限界温度)よりも低い温度(例えば、550℃程度)で設定される。
【0039】
S130では、運転状態判定部43によって、ディーゼルエンジン10の運転状態が低負荷運転中もしくはアイドル運転中であるか否かが判定される。アクセル開度センサの出力値から算出された燃料噴射量Qが、所定量α(mm3/st)より小さい場合は、運転状態が前述のS100〜S120にかけて、高負荷運転から低負荷運転に移行されたと判定されS140へと進む。一方、燃料噴射量Qが所定量α(mm3/st)以上の場合はリターンされる。
【0040】
S140では、EGR弁制御部44によって、DPF32内を流れる排気ガス中の酸素濃度を0%にすべく、EGR弁21がEGRガス量を多量に導入するEGR率(開度)で制御される。
【0041】
S150では、エンジン失火抑制部45によって、EGRガス量の多量導入による失火等を抑制すべく、必要に応じてディーゼルエンジン10の燃料噴射弁(不図示)の燃料噴射時期(多段噴射においてはメイン噴射時期)が進角される。
【0042】
S160では、EGR弁制御部44によるEGR弁21の制御から一定時間が経過したことを確認すると、EGRガスを通常のEGRガス量に戻すとともに、噴射時期も通常の噴射時期に戻して、本制御はリターンされる。
【0043】
上述のような構成により、本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化装置1によれば以下のような作用・効果を奏する。
【0044】
DPF32にPMが堆積した状態で、ディーゼルエンジン10の運転状態が高負荷運転から低負荷運転もしくはアイドル運転へと移行した際に、排気温度センサ23,24によって推定算出されたDPF内部温度TAVEが所定温度T1(例えば、550℃)以上で、かつ、PM堆積量推定部41によって推定算出されたPM堆積量が所定量A(g/l)以上の場合は、DPF32内を流れる排気ガス中の酸素濃度を0%にすべく、EGR弁21がEGRガス量を多量に導入するEGR率(開度)に制御される。
【0045】
したがって、DPF32内を流れる排気ガス流量の低下により引き起こされるDPF32の温度上昇を抑制することができ、DPF32の過昇温によるクラック発生や溶損を効果的に防止することができる。
【0046】
また、EGRガスが多量に導入されると、ディーゼルエンジン10の燃料噴射弁(不図示)の燃料噴射時期は、エンジン失火抑制部45によって進角(多段噴射においてはメイン噴射時期を進角、または、パイロット噴射を実施)される。
【0047】
したがって、EGRガス量の多量導入によって生じる失火を抑制できるとともに、当然ながら、失火により引き起こされるディーセルエンジン10のトルク低下も効果的に抑止することができる。
【0048】
ここで、図4に、本実施形態に係る排気ガス浄化装置1において、EGR弁21を制御して、DPF32内を流れる排気ガス中の酸素濃度を0%まで減少させた場合のDPF32内部温度の経過時変化(実線A)と、酸素濃度を5%まで減少させた場合のDPF32内部温度の経過時変化(一点鎖線B)と、酸素濃度を10%(通常のアイドル運転時のEGR量)にした場合のDPF32内部温度の経過時変化(二点鎖線C)との比較例を示す。なお、図4中の破線Dは、酸素濃度を0%まで減少させた場合のDPF32の入口温度を示す。
【0049】
酸素濃度が10%の場合のDPF32内部温度(二点鎖線C)は、ディーゼルエンジン10の運転状態が高負荷運転から低負荷運転へと移行した時点(t1)から急激に上昇して、DPF32の耐熱温度(限界温度)を超えている。一方、酸素濃度を0%まで低減した場合のDPF32内部温度(実線A)は、ディーゼルエンジン10の運転状態が高負荷運転から低負荷運転へと移行した時点(t1)を経過した後に、若干上昇するもののDPF32の耐熱温度(限界温度)よりも低い状態で抑制されていることからも、本発明の効果が分かる。
【0050】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0051】
本実施形態において、酸素濃度は0%まで低減されるものとして説明したが、必ずしも0%まで低減する必要はなく、例えば2%や3%等、DPF32の容量や耐熱温度等に応じて適宜変更することができる。
【0052】
また、本実施形態において、後処理装置30は酸化触媒31とDPF32とを備えた連続再生式DPFとして説明したが、他のフィルタや触媒(NOx吸蔵還元触媒等)を備えた後処理装置にも当然ながら適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 排気ガス浄化装置
10 ディーゼルエンジン(内燃機関)
10a 排気ポート(排気系)
10b 吸気ポート(吸気系)
11 排気通路(排気系)
14 吸気通路(吸気系)
19 EGR通路
21 EGR弁
32 DPF(フィルタ)
41 PM堆積量推定部(フィルタ堆積量推定手段)
42 DPF温度推定部(フィルタ温度推定手段)
44 EGR弁制御部(EGR弁制御手段)
45 エンジン失火抑制部(失火抑制手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気系に設けられ、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタと、
前記排気系と前記内燃機関の吸気系とを連通し、前記排気系の排気ガスを前記吸気系に還流させるEGR通路と、
前記EGR通路に設けられ、前記吸気系に還流する排気ガス量を調整するEGR弁と、
前記フィルタに捕集された粒子状物質の堆積量を推定して出力するフィルタ堆積量推定手段と、
前記フィルタの温度を推定して出力するフィルタ温度推定手段と、
前記内燃機関の運転状態が高負荷運転から低負荷運転もしくはアイドル運転に変化する際に、前記フィルタ堆積量推定手段の出力値が所定量以上であり、かつ、前記フィルタ温度推定手段の出力値が所定温度以上の場合に、前記フィルタを流れる排気ガス中の酸素濃度を低減すべく、前記EGR弁の開弁制御を行うEGR弁制御手段とを有する
ことを特徴とする内燃機関の排気ガス浄化装置。
【請求項2】
前記EGR弁制御手段は、前記開弁制御に際し、前記EGR弁の開度を、前記フィルタを流れる排気ガス中の酸素濃度がゼロとなる開度に設定する
ことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の排気ガス浄化装置。
【請求項3】
前記EGR弁制御手段による前記開弁制御に際し、前記内燃機関の吸気系に環流される排気ガスによって引き起こされる前記内燃機関の失火を抑制すべく、前記内燃機関の燃料噴射時期を進角させる失火抑制手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の排気ガス浄化装置。
【請求項1】
内燃機関の排気系に設けられ、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタと、
前記排気系と前記内燃機関の吸気系とを連通し、前記排気系の排気ガスを前記吸気系に還流させるEGR通路と、
前記EGR通路に設けられ、前記吸気系に還流する排気ガス量を調整するEGR弁と、
前記フィルタに捕集された粒子状物質の堆積量を推定して出力するフィルタ堆積量推定手段と、
前記フィルタの温度を推定して出力するフィルタ温度推定手段と、
前記内燃機関の運転状態が高負荷運転から低負荷運転もしくはアイドル運転に変化する際に、前記フィルタ堆積量推定手段の出力値が所定量以上であり、かつ、前記フィルタ温度推定手段の出力値が所定温度以上の場合に、前記フィルタを流れる排気ガス中の酸素濃度を低減すべく、前記EGR弁の開弁制御を行うEGR弁制御手段とを有する
ことを特徴とする内燃機関の排気ガス浄化装置。
【請求項2】
前記EGR弁制御手段は、前記開弁制御に際し、前記EGR弁の開度を、前記フィルタを流れる排気ガス中の酸素濃度がゼロとなる開度に設定する
ことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の排気ガス浄化装置。
【請求項3】
前記EGR弁制御手段による前記開弁制御に際し、前記内燃機関の吸気系に環流される排気ガスによって引き起こされる前記内燃機関の失火を抑制すべく、前記内燃機関の燃料噴射時期を進角させる失火抑制手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の排気ガス浄化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2011−247212(P2011−247212A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123198(P2010−123198)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】
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