説明

内部欠陥検査方法及びその装置

【課題】
試料表面に非接触で超音波励起を行い、超音波を励起した点を光干渉計測する手段を用いた非接触で試料内部の観察を行うことにより、稼動部分が無く、コンパクトな構成で、高感度で非破壊・非接触に内部欠陥を検査する。
【解決手段】
検査対象の試料から離れた場所から超音波を発射してこの超音波を試料に照射し、この試料の表面の超音波が照射された箇所に偏光の状態が制御された偏光光を照射し、この偏光光が照射された試料の表面からの反射・散乱光のうち照射した偏光光と同じ偏光特性を持つ光を光検出器で検出し、この光検出器で検出した信号を処理して試料の内部の欠陥を検出する内部欠陥検査方法及びその装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料内部の欠陥検査方法に係り、特に空中伝播超音波を用いて試料内部に超音波を伝播させ、欠陥から反射または散乱してくる超音波の振動、またはと透過してくる超音波の振動を、光干渉計で観測する内部欠陥検査方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、広く用いられている試料内部の欠陥検査方法として、接触式超音波法、レーザー超音波法、X線CT法などが挙げられる。
超音波法とは非特許文献1にも記述があるように、超音波発振機で発した超音波を試料へ伝播させ、試料における超音波の反射や散乱を観測することによって内部の検査を行う方法である。特に、接触式超音波法とは、超音波発信機を試料へ直接接触、または音響整合を取るための媒質を介して試料へ接触、または試料を液体等の超音波伝播媒質に浸すことによって試料へ超音波を伝播させる方法をさす。超音波の波長が1mm程度〜1μm程度と短いことにより、精度良く内部検査が可能となる利点がある。
【0003】
レーザー超音波法は、非特許文献2に記述があるように、試料へ光を照射して試料の内部に超音波を励起し、かつ超音波の伝播を光によって測定し、超音波の伝播の様子から試料内部の検査を行う方法である。レーザー超音波法は、試料に接することなく内部の検査が可能であるという利点と、MHzを超える高周波超音波を比較的簡便に用いることができるという利点がある。
【0004】
X線CT法は非特許文献3に記述があるように、試料に対して入射角を変化させてX線を照射し、各方位での透過X線を測定し、各方位での透過X線像から内部構造を再構成して試料の内部検査を行う方法である。X線CT法は、透過性が高く内部構造を詳細に観察可能であり、多くの試料へ適用可能であることから、工業的応用から医用まで広く普及している。しかし、測定機器が比較的大きいことと、測定に比較的長時間を要することにより適用範囲が限定されている。またX線そのものの侵襲性が危惧される適用領域もある。
【0005】
光を用いた変位計測は、非特許文献4に記述があるように、光干渉法やTime of Flight法(TOF法)などが知られている。光干渉法は比較的大掛かりな測定となることが欠点であるが、高感度であり二次元観察が可能であるという利点のため、さまざまな分野で応用されている。最近では、特許文献1に記述があるように、フォトニック結晶を利用した超小型高感度光干渉計が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−286518号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】社団法人 日本非破壊検査協会、“非破壊検査技術シリーズ 超音波探傷試験”I, II, III
【非特許文献2】山脇 寿、“レーザー超音波と非接触材料評価”、溶接学会誌 第64巻(1995)第2号 104頁
【非特許文献3】小川 誠二・上野 照剛、“非侵襲・可視化技術ハンドブック”、株式会社NTS
【非特許文献4】谷田貝 豊彦、“応用光学 −光計測入門−”、丸善株式会社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
接触式超音波法においては、超音波トランスデューサーを直接または媒質を介して試料へ接触させ、試料へ超音波を直接伝播させる。検出は、多くの場合、同様にして接触したトランスデューラーによってなされる。非破壊内部検査が可能である一方、試料に接触する、または試料を液浸する必要があるため、試料が汚染されるまたは本来あるべき状態から変化してしまうという課題があり、生産現場における出荷品の検査などにおいては広く普及するには至っていない。また、試料表面の凹凸が大きい場合等においては超音波励起と検出の効率が著しく低下するという課題がある。
【0009】
レーザー超音波法においても、測定に十分な超音波を励起・検出するために比較的大掛かりな装置が必要であることや、超音波励起の際に試料へダメージが入る危険があること等の課題により、産業上の普及は進んでいない。
【0010】
上記課題を克服する方法として空中超音波法がある。空中超音波法とは、空気と音響整合を取った超音波トランスデューサーから超音波を試料へ向けて空中に照射して試料へ超音波を伝播させ、同様な被接触のトランスデューサーによって試料内部で反射または散乱された超音波を検出する方法である。
【0011】
空中超音波法は試料に被接触での超音波励起と超音波検出可能であることより、出荷前検査等に適用が期待されている。しかし空中超音波法においては、試料から空気中へ伝播しトランスデューサーによって検出される間に空気による減衰が大きい。さらに、トランスデューサーの検出感度が低いことも相まって、検出側の回路に大きなゲインが必要であり、かつ測定に長い時間を要する等の課題がある。さらに、検出回路に励起信号が重畳し、不感帯が存在するという課題もある。
【0012】
これらの課題を克服するためには、検出を光干渉計測法を用いて光学的に行うことが有効である。これは、光干渉計測による検出は、トランスデューサーによる検出より高感度であり、かつ、不感帯の大幅な縮小が可能だからである。
【0013】
光干渉計測を用いる場合、測定光は試料表面に対して垂直に入射させる必要があり、かつ、トランスデューサーと光検出器はその性質上同一のものとすることができない。そのため、空中超音波による励起と光検出は同軸で行うことができず、超音波を斜入射させる必要が生じる。しかし、超音波を試料に対して斜入射させた場合、空気と試料の界面における超音波の屈折により、欠陥深さを知るためには、試料表面の超音波照射位置と検出位置の相対位置を走査する必要がある。この様子を、図1ないし図2を用いて簡単に説明する。
【0014】
図1において、101は試料、201は超音波トランスデューサ、205は光センサである。被検査物である試料101の表面102に対し、超音波トランスデューサー201から超音波を伝播させ、試料101内部にある欠陥103を励振する。欠陥103で散乱された超音波203は試料表面102を振動または表面変位させる(204)。この表面変位204を、光センサ205を用いて測定する。図2には、図1と同様の欠陥検出原理が描かれているが、欠陥103の深さ106およびトランスデューサー201と光センサ205の距離が図1と異なる。
【0015】
図1においては欠陥103が深さD1:104の位置にあり、欠陥103からの散乱超音波203に起因する試料101の表面102の変位204を光センサ205の検出光206で検出するには、トランスデューサー201から発せられた超音波202が試料表面102で屈折するため、トランスデューサー201と光センサ205の距離を超音波の入射角度と欠陥の深さで決まる207とする必要がある。一方、図2に示すように、図1の欠陥103より深い深さD2:106の位置にある欠陥105を検出するためには、トランスデューサー201と光センサ205の距離L2:208を、図1における距離L1:207より離れた208とする必要がある。
【0016】
共通光路光干渉計測を用いた超音波計測を行う場合、測定光は試料表面に対して垂直に入射させる必要があり、かつ、トランスデューサーと光検出器はその性質上同一のものとすることができない。そのため、従来は空中超音波による励起と光検出は同軸で行うことができず、超音波を斜入射させる必要が生じる。しかし、超音波を試料に対して斜入射させた場合、空気と試料の界面における超音波の屈折により、欠陥深さを知るためには、試料表面の超音波照射位置と検出位置の相対位置を走査する必要がある。
【0017】
このため、空中超音波法に光干渉計測を組み合わせた超音波内部検査装置においては、装置に稼動部分があり、かつ比較的大掛かりな装置とならざるを得ない課題があった。
【0018】
本発明の目的は、試料表面に非接触で超音波励起を行い、超音波を励起した点を光干渉計測する手段を用いた非接触で試料内部の観察を行うことにより、稼動部分が無く、コンパクトな構成で、高感度で非破壊・非接触な手段による内部欠陥検査方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記した課題を解決するために、本発明では、検査対象の試料から離れた場所から超音波を発射してこの超音波を試料に照射し、この試料の表面の超音波が照射された箇所に偏光の状態が制御された偏光光を照射し、この偏光光が照射された試料の表面からの反射・散乱光のうち照射した偏光光と同じ偏光特性を持つ光を光検出器で検出し、この光検出器で検出した信号を処理して試料の内部の欠陥を検出する内部欠陥検査方法とした。
【0020】
また、上記した課題を解決するために、本発明では、内部欠陥検査装置を検査対象の試料に超音波を照射する超音波照射部と、この超音波照射部により超音波が照射された試料の表面に光を照射してこの表面からの反射・散乱光を検出する光学検出部と、この光学検出部から出力された信号を処理して前記試料の内部の欠陥を検出する信号処理部とを備えて構成し、超音波照射部は前記試料から離れた場所から試料に向けて超音波を照射する超音波トランスデューサを有し、光学検出部は光源手段と、この光源手段から発射された光の偏光の状態を制御する偏光制御手段と、この偏向制御部により偏光の状態が制御された偏光光を試料の表面の超音波が照射された箇所に照射する光照射手段と、この光照射手段により偏光光が照射された試料の表面からの反射・散乱光のうち照射した偏光光と同じ偏光特性を持つ光を検出する光検出手段を有し、信号処理部は光学検出手段から出力された信号を処理して試料の内部の欠陥を検出するようにした。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、試料表面に非接触で超音波励起を行い、超音波を励起した点を光干渉計測する手段を用いた非接触で試料内部の観察を可能にすることにより、稼動部分が無く、コンパクトな構成で、高感度で非破壊・非接触な手段による内部欠陥検査方法及びその装置の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】欠陥が浅い場合の空中超音波励起と光センサによる内部観察を説明する模式図である。
【図2】欠陥が深い場合の空中超音波励起と光センサによる内部観察を説明する模式図である。
【図3】貫通穴あき超音波トランスデューサーの斜視図である。
【図4】段貫通穴あき超音波トランスデューサーの斜視図である。
【図5】超音波トランスデューサーに設けた貫通穴に共通光路光干渉計を配置した超音波計測装置の断面図である。
【図6A】外部から導入した直線偏光を光源として用いた共通光路光干渉計の構成例を示すブロック図である。
【図6B】フォトニック結晶アレイ618と619の構造を示す斜視図である。
【図7】光源を内蔵した共通光路光干渉計の構成を示すブロック図である。
【図8A】外部から導入した直線偏光を光源として用いた線フォーカス型共通光路光干渉計の構成を示すブロック図である。
【図8B】フォトニック結晶アレイ635と636の構成を示す斜視図である。
【図9】貫通穴あき超音波トランスデューサーと共通光路光干渉計を用いた超音波計測の測定方法を説明する共通光路光干渉計を組み込んだ貫通穴あき超音波トランスデューサーの断面図である。
【図10】超音波トランスデューサーに設けた貫通穴に共通光路光干渉計の参照ミラーと集束レンズを配置した超音波計測装置の構成を示す超音波トランスデューサーの断面図である。
【図11】超音波トランスデューサーに設けた段貫通穴に共通光路光干渉計の参照ミラーを配置した超音波計測装置の構成例を示す超音波トランスデューサーの断面図である。
【図12】超音波トランスデューサーに設けた段貫通穴に共通光路光干渉計を配置した超音波計測装置の構成を示す超音波トランスデューサーの断面図である。
【図13】超音波トランスデューサーに非収束型トランスデューサーを用いた場合の超音波計測を説明するための超音波トランスデューサーの断面図である。
【図14】超音波トランスデューサーと斜入射サニャック干渉計を用いた超音波計測装置の構成例を示す超音波トランスデューサーの断面図である。
【図15】超音波トランスデューサーと可変光学遅延路を持つ斜入射サニャック干渉計を用いた超音波計測装置の構成例を示す超音波トランスデューサーの断面図である。
【図16】超音波トランスデューサーとファイバ型斜入射サニャック干渉計を用いた超音波計測装置の構成例を示す超音波トランスデューサーの断面図である。
【図17】超音波トランスデューサーとファイバ型斜入射サニャック干渉計を用いた超音波計測装置に用いられる分波器の構成を示す分波器のブロック図である。
【図18】超音波トランスデューサーと平行測定光を用いた斜入射サニャック干渉計を用いた超音波計測装置の構成例を示す超音波トランスデューサーの断面図である。
【図19】超音波計測装置全体の構成を示すブロック図である。
【図20】超音波測定装置を走査して得られるデータの模式図である。
【図21】超音波測定装置を走査して得られるデータから欠陥の深さ分布を算出して二次元表示した例を示す表示画面の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施例を、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0024】
本発明の第一の実施例を、図1ないし図13を用いて説明する。
図1ないし図2に記したような、試料表面102に非接触で試料101を超音波励起し、超音波励起点の表面変位を光センサ205で計測する手段で、非接触で試料内部の観察が可能な空中超音波内部測定を行う。このような非接触測定において、超音波トランスデューサー301と光センサ205の相対位置を固定したコンパクトな測定系を実現するために、図3ないし図4に図示したような超音波トランスデューサー301又は303を用いる。
【0025】
図3に図示した超音波トランスデューサー301は、その中央部に光センサ205または光センサ205の一部を配置するための貫通穴302が設けられた「貫通穴あき超音波トランスデューサー」である。図4に図示した超音波トランスデューサー303は、その中央部に光センサ205または光センサ205の一部を配置するサグリ304と光センサ205への信号や検出光を通すための座グリ304と径の異なる貫通穴305が設けられている「段付貫通穴あき超音波トランスデューサー」である。
【0026】
図3の貫通穴302ないし図4の座グリ304は光センサ205の全体を配置可能な大きさの貫通穴ないし座グリであってもよく、また光センサ205の一部分のみを配置可能な大きさであってもよい。図3ないし図4においては貫通穴302と貫通穴305および座グリ304の断面形状は円形であるが、必ずしも円形である必要はなく矩形等の他の形状であってもよい。
【0027】
図3に示した超音波トランスデューサー301は、用いる光センサ205の長さが超音波トランスデューサーの長さと同程度である場合に適した形状である。一方、図4に示した超音波トランスデューサー303は、光センサ205の長さが超音波トランスデューサーに比べて十分短い場合、または光センサ205の一部のみを配置する場合に適している。また、超音波トランスデューサー303は、超音波トランスデューサー301に比べてトランスデューサーへの加工量が少ないため、超音波トランスデューサーの加振性能の低下を抑えることができ、かつ超音波トランスデューサーの機械的強度の低下を抑えることもできる利点がある。
【0028】
図3に示した貫通穴あき超音波トランスデューサー301の実際の使用形態の一例を図5に模式的に示す。すなわち、貫通穴あき超音波トランスデューサー301の貫通穴302に光センサ306を配置し、入出力ケーブル307によって外部に信号を取り出す形態である。検出光の光源が光センサ306と切り離されている場合においては、外部より光センサ306へ光を導く必要があり、その際は入出力ケーブル307が光ファイバなどを内蔵していてもよい。
【0029】
本発明においては、光センサ205又は光センサ306は、例えば、測定光と参照光が光学的に同一または光学的にほぼ同一の光路を通る光干渉計で構成されている光センサを用いる。該干渉計は、共通光路で構成されているため外乱に強く、高感度測定が可能であることが利点である。以後、光センサ206ないし光センサ306は共通光路光干渉計と呼ぶ。
【0030】
共通光路光干渉計306の構成とその機能について、図6Aないし図8に基づいて説明する。共通光路光干渉計306の詳細な構成及びその作用は、例えば、特開2008−286518号公報に記載されているものと同じである。図6Aに示すように、共通光路光干渉計306は、外部に設けられたレーザー光源(図示せず)から偏波面保存ファイバ601で光を導く。偏波面保存ファイバ601から出射した45°の偏光方向の直線偏光レーザー光をコリメーター602で平行光603にし、さらにグラントムソンプリズムなどの偏光素子604を透過させ、透過光605をプリズムミラー606及び無偏光ビームスプリッタ607で反射させて、参照ミラー608に入射させる。参照ミラー608は、例えばフォトニック結晶やワイヤグリッド偏光子等の平面状偏光素子を用いる。
【0031】
参照ミラー608に入射したレーザー光のうち、P偏光成分は参照ミラー608を透過し、S偏光成分は参照ミラー608で反射される。
参照ミラー608を透過したP偏光ビーム609は、集光レンズ610により、収束光611として試料101の表面102の超音波励起部612に集光される。すなわち、集光レンズ610の焦点位置が試料表面102と一致するように集光レンズ610と試料101の表面102の間隔が調整されている。試料101の表面102の領域612には図5に示した超音波トランスデューサ301から超音波が照射される。この超音波が照射された領域612からの反射光は集光レンズ610を透過した後、再びP偏光の平行光609となり、参照ミラー608を透過する。先に参照ミラー608で反射されたS偏光ビームと、試料101の表面102の超音波が照射された領域612から反射して参照ミラー608を透過したP偏光ビーム609は、直交偏光ビーム614として合成され、無偏光ビームスプリッタ607を透過する。
【0032】
この直交偏光ビーム614は、迷光除去のための開口613を通過した後、対向させた2つのピラミッド形状の四角錐プリズム615及び616により、4つの直交偏光ビーム617に分割される。ビーム分割の方法は、回折光学素子やキューブ形状のビームスプリッタの組み合わせとして実施してもよい。4つの直交偏光ビーム617は、フォトニック結晶アレイ618及び619で構成される位相シフト素子を透過することにより、直交偏光成分の間に、0、π/2、π、3π/2の位相シフトが与えられた状態で偏光干渉し、4つの位相シフト干渉光620が生成される。
【0033】
4つの位相シフト干渉光620は、それぞれに対応する4つの結像レンズ621を透過することにより4つの収束光622として、フォトダイオードなどの4つの光電変換素子623の受光面上に集光して受光される。この4つの収束光622を受光した4つの光電変換素子623からの出力信号は、増幅器624で増幅された後、4つの位相シフト干渉信号307として出力される。
【0034】
図6Aから明らかなように、4つの結像レンズ621の焦点位置は、光電変換素子623の受光面と一致している。従って、試料表面102と光電変換素子623の受光面とは、集光レンズ610及び結像レンズ621を介して共役の関係、すなわち結像関係にある。そのため、試料表面102に傾斜や微小な凹凸が生じていたいり、あるいは試料表面102が粗面であったとしても、試料表面102からの反射光は、光電変換素子623の受光面上に正確に集光して受光され、参照ミラー608で反射されたS偏光成分との間で安定な4つの位相シフト干渉信号が得られる。
【0035】
前述した位相シフト素子は、例えば2つのフォトニック結晶アレイ618及び619で構成される。フォトニック結晶アレイ618は図6Bに示すように2つの領域から成り、上半分の領域618aが1/4波長板としての機能を有しているフォトニック結晶で構成されており、下半分の領域618bがフォトニック結晶と同一光路長を持つ基盤で構成されている。すなわち、4つの直交偏光ビーム617のうち、領域618aを透過する直交偏光ビームと、領域618bを透過する直交偏光ビームの間にπ/2の位相差が生じる。
【0036】
フォトニック結晶アレイ619も図6Bに示すように2つの領域から成り、領域619aが0°の結晶軸方向を有するフォトニック結晶で構成され、領域619bが直交する90°の結晶軸方向を有するフォトニック結晶で構成される。2つの領域のフォトニック結晶は偏光素子としての機能を有しており、4つの直交偏光ビームビーム617のうち領域619aのフォトニック結晶透過する2つの直交偏光ビームと、領域619bのフォトニック結晶を透過する2つの直交偏光ビームの間に、相対的にπの位相差を与える。
【0037】
フォトニック結晶アレイ618及び619を透過後、参照ミラー608で反射したS偏光の参照光から成る4つの直交偏光ビームと参照ミラー608を透過して試料表面102で反射したP偏光から成る検出光の4つの直交偏光ビームとが干渉する。
【0038】
上記フォトニック結晶アレイ618及び619は、例えば、合成石英基板上に入射光の波長よりも小さなピッチのライン&スペース状の回折格子を形成し、その上に屈折率の異なる誘電体薄膜を複数層積層して構成される。
【0039】
図7には、共通光路光干渉計306の別の構成例を示す。図7に示した構成においては、図6Aに示したレーザー光源から偏波面保存ファイバ601によってレーザー光を干渉計へ導くことに代えて、半導体レーザー等の小形のレーザダイオード626を共通光路光干渉計306に内蔵する。レーザダイオード626から出射した直線偏光レーザー光627を、コリメーティングレンズ628で平行光603にし、さらにグラントムソンプリズムなどの偏光素子604を透過させ、透過光605をプリズムミラー606及び無偏光ビームスプリッタ607で反射させて、参照ミラー608に入射させる。以降の各部の構成とその機能は、レーザー光源と偏波面保存ファイバ601の有無を除いて、図6に示す実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0040】
図8には、共通光路光干渉計306の更に別の構成例として、直線状の測定光632を出射する光学系を有する例を示す。図8に示したように、共通光路光干渉計306は、外部に設けられたレーザー光源(図示せず)から偏波面保存ファイバ601で光を導く構成である。偏波面保存ファイバ601から出射した45°方向の直線偏光レーザー光をコリメーター602で平行光603にし、さらにグラントムソンプリズムなどの偏光素子604を透過させ、透過光605を回折格子やホログラム素子、あるいはアナモルフィックプリズムペアの様なビーム整形素子629によって、矩形状ビーム630に変換する。矩形状ビーム630をプリズムミラー606及び無偏光ビームスプリッタ607で反射させて、参照ミラー608に入射させる。
【0041】
参照ミラー608は、例えば、前述したフォトニック結晶で構成される。フォトニック結晶は、例えばフォトニック結晶光学軸と直交する偏光成分を反射し、フォトニック結晶光学軸と直交する偏光成分を透過する。参照ミラー608で反射された直線偏光ビームを参照光として用い、透過した直線偏光ビーム631測定光として用いる。フォトニック結晶のかわりに、ワイヤグリッド偏光子等の平面状偏光素子を用いることも可能である。
【0042】
参照ミラー608を透過した偏光ビーム631は、集光レンズ610によりx軸方向には平行光の状態を保ちy軸方向に集光され、収束光632として試料101の表面102に直線状に集光される(633)。すなわち、集光レンズ610の焦点位置が試料表面102と一致している。試料表面102からの反射光は集光レンズ610を透過後、再び直線偏光の矩形状平行光となり参照ミラー608を透過する。参照ミラー608で反射された参照光と参照ミラー608を透過した試料表面102からの反射光による偏光ビームは、直交偏光ビーム634として合成され、無偏光ビームスプリッタ607を透過する。
【0043】
この直交偏光ビーム634は、例えば二つのフォトニック結晶アレイ635及び636で形成される位相シフト素子を透過することにより、直交偏光成分の間に0、π/2、π、3π/2の位相シフトが与えられ、集光スポット633の長手方向と直交する方向に分割された4つの位相シフト干渉光637が生成される。
【0044】
位相シフト素子は、例えば2つのフォトニック結晶アレイ635及び636で構成される。フォトニック結晶アレイ635は集光スポット633の長手方向と直交する方向に分割された2つの領域から成る。上半分の領域は1/4波長板として機能するフォトニック結晶で構成されており、下半分はフォトニック結晶と同一光路長を持つ基板で構成されている。すなわち、矩形状直交偏光ビーム634のうち、上半分と下半分を透過する直交偏光ビームの間にπ/2の位相差を生じさせる。
【0045】
フォトニック結晶アレイ636は、集光スポット633の長手方向と直交する方向に4分割されており、0°の結晶軸方向を有するフォトニック結晶と、90°の結晶軸方向を有するフォトニック結晶が交互に並んでいる。各フォトニック結晶は偏光素子としての機能を有しており、矩形状直交偏光ビーム634のうち0°の結晶軸方向を有するフォトニック結晶を透過する直交偏光ビームを構成する2つの偏光成分と、90°の結晶軸方向を有するフォトニック結晶を透過する直交偏光ビームを構成する2つの偏光成分との間に相対的にπの位相差が与え、両偏光成分を干渉させる。
【0046】
すなわち、2つのフォトニック結晶アレイ635及び636から成る位相シフト素子を透過した矩形状直交偏光ビーム634の長手方向と直交する方向の各直交偏光成分の間には、0、π/2、π、3π/2、の位相シフトが与えられた状態で偏光干渉し、集光スポット633の長手方向と直交する方向に4分割され、かつ集光スポット633の長手方向に共役な位相シフト干渉光637が生成される。
【0047】
位相シフト干渉光637は、集光スポット633の長手方向と位相シフト素子の4つの領域に対応したN×4個のレンズアレイ638によってN×4個の収束光639として、N画素×4の受光領域から成るフォトダイオードアレイなどの分割形光電変換素子640の受光面上に集光して受光され、増幅器641で増幅された後、N×4個の位相シフト干渉信号として出力される。
【0048】
図8から明らかなように、レンズアレイ639の焦点位置は、光電変換素子640の受光面と一致している。従って、試料表面102と光電変換素子640の受光面とは、集光レンズ610及びレンズアレイ638を介して共役の関係、すなわち結像関係にある。そのため、試料表面102に傾斜や微小な凹凸が生じていたいり、あるいは試料表面102が粗面であったとしても、表面からの反射光は、光電変換素子640の受光面上に正確に集光して受光され、安定な位相シフト干渉信号が得られる。
【0049】
図6ないし図8に示すように、本実施の形態によれば、空中超音波の励起によって試料表面102に生じるピコメートルオーダの微弱な超音波振動を、外乱の影響を最小限に抑えて高感度に検出することが可能となり、表面に傾斜や微小な凹凸を有する試料や、表面が粗面である試料の内部欠陥を、非接触・非破壊で安定に検出可能となる。さらに、図8に示した実施形態によれば、共通光路光干渉計306を試料から一定距離離れた上空で一方向にのみ走査することで、試料101の3次元超音波画像が得られるので、走査機構が単純な構成になると同時に、内部欠陥検査の所要時間が短縮される。
【0050】
図5に示した実施形態における実際の測定方法について図9を用いて簡単に説明する。超音波トランスデューサー301から発せられた超音波308は空中を伝播し、その一部が試料表面102を透過して試料101内部を伝播する(309)。試料101内部に例えば欠陥310が存在した場合、超音波309の一部が反射または散乱され、試料表面102に戻ってゆく(311)。反射または散乱された超音波311は試料表面102を変位させるため、共通光路光干渉計306の測定光312によって超音波に起因する表面変位を測定する。
【0051】
前述したような共通光路光干渉計306で表面変位を測定すると、表面変位があることから試料101内部に例えば欠陥310が存在することがわかり、超音波308を発してから測定光312で表面変位を検出するまでの時間から、例えば欠陥310の試料表面102における超音波照射点からの距離を知ることができる。
【0052】
図10には、超音波トランスデューサー301に設けられた貫通穴302に共通光路光干渉計の一部である参照ミラー313と集束レンズ314(図6ないし図8における参照ミラー608及び集束レンズ610に対応)が貫通穴302に配置されている構成を示した。図10に示した構成では、共通光路光干渉計314から検出光を光ファイバ315によって光を導き、アウトプットカプラ316によって平行光として出射する。アウトプットカプラ316は、光ファイバ315で導いた検出光を平行光線として射出する機能と、試料表面102で反射して戻ってきた検出光を光ファイバ315へ導入する機能を有するものである。
【0053】
検出光の一部この出射された光のうちS偏光成分は参照ミラー3131で反射されて再びアウトプットカプラ316に入射する。一方、P偏光成分は参照ミラー3131を透過して集光レンズ3132に入射し試料表面102の計測点上に収束して照射される。試料表面102で反射した検出光は集光レンズ3132で集光され、参照ミラー3131を透過してアウトプットカプラ316へ戻ってくる。その後、検出光は光ファイバ315によって共通光路光干渉計314に導かれる。
【0054】
図10に示した構成において、光ファイバ315に偏光保存ファイバを用い、参照ミラー313を入射光の偏光で反射と透過を制御可能な偏光ミラーを用いると、効率よく試料102へ検出光を導くことができ、結果として検出効率を上げられる。また、図10においては参照ミラー3131とアプトプットカプラー316が別々に記されているが、アウトプットカプラ316に参照ミラー3131を貼り付ける、またはアウトプットカプラ316の射出端面に参照ミラー313と同等の働きをする光学薄膜を形成して用いてもよい。
【0055】
図10に示した構成の利点は、参照ミラー3131と集光レンズ3132及びアウトプットカプラ316を超音波トランスデューサー301の内部に配置するため、貫通穴302に共通光路光干渉系306を配置する図5で説明した形態に比べ、超音波トランスデューサー301への加工量を減らせることである。超音波トランスデューサー301への加工量を減らすことができれば、貫通穴302加工による超音波トランスデューサー301の加振性能への影響を抑制でき、かつ超音波トランスデューサー301の機械的強度を損なうこともなくなる。
【0056】
図10に示した構成では、光干渉計における参照ミラー3131と集光レンズ3132以外の構成要素314を超音波トランスデューサー301から離すため、超音波の励起と検出を行う測定ユニットを小型化できる利点がある。さらに、光干渉計の光検出器や回路を超音波トランスデューサーのように高電圧を印加して周囲に電界を発生させる素子から離すことができるため、光干渉系への電気的な影響を避けられる利点もある。
【0057】
参照ミラー3131と集光レンズ3132及びアウトプットカプラ316を超音波トランスデューサーに設けた貫通穴ないし座グリに配置するのであれば、超音波トランスデューサーには図4に示した段付貫通穴あき超音波トランスデューサー303がより適している。段付貫通穴あき超音波トランスデューサー303を用いた構成例を図11に示す。図11においては、座グリ304に参照ミラー3131と集光レンズ3132及びアウトプットカプラ316を配置し、貫通穴305は光ファイバ315のみを通す穴なので、座グリより径が小さくなっている。
【0058】
図11に示したような構成とすると、超音波トランスデューサー303への加工量を最小にでき、そのため、超音波トランスデューサー303の加振性能や機械強度の低下を最小限に抑えられる利点がある。
【0059】
図10または図11に示した構成において、集光レンズ3132を省いた構成も考えられる。その構成の場合は、アウトプットカプラ316から射出した検出光は平行光線のまま試料表面102に達し、検出光照射領域全体の表面変位を検出し、反射してアウトプットカプラ316に戻ってくることになる。この場合には、集光レンズ3132を用いる場合に比べて検出領域を広くすることができ、かつ検出光を試料表面102に絞るための集光レンズ3132の焦点距離調整を省くことができる利点がある。これは、試料表面102に凹凸がある場合などに有効な手段となる。
【0060】
もし、共通光路光干渉計306を超音波トランスデューサー303に比べて十分小さく抑えることができた場合は、図12に示すような構成も可能である。すなわち、超音波トランスデューサー303に設けた座グリ304に共通光路光干渉計306を配置し、貫通穴305には入出力ケーブル307のみを通すという構成である。図12に示した構成の利点は、超音波トランスデューサー303の加振性能や機械強度の低下を最小限に抑えることができることと、超音波トランスデューサー303と共通光路光干渉計306を一体化でしているために、全体としてコンパクトに装置を構成可能なことである。
【0061】
図5または図9ないし図12に図示した構成では、超音波トランスデューサー301または303は収束型超音波トランスデューサーを用いた例を図示したが、図13に示すように、超音波トランスデューサーは平面超音波を出射する非収束型超音波トランスデューサーであってもよい。図13には、超音波トランスデューサー301に設けた貫通穴302に共通光路光干渉計306を配置した構成例を示した。
【0062】
図13には貫通穴302に共通光路光干渉計306を配置する構成を図示したが、図10または図11の如く参照ミラー313とアウトプットカプラ316のみを貫通穴に配置する構成でもよく、また、図11や図12の如く段付貫通穴あき超音波トランスデューサー303を用いる構成であっても良い。
【0063】
図13に図示した構成においては、超音波は超音波トランスデューサー301からほぼ平面波として伝播をはじめ、回折の影響で緩やかに波面を広げながら伝播してゆく(308)。試料101の内部に進入した超音波308は試料101内部をほぼ平面波として伝播し、例えば欠陥310があれば反射または散乱される。例えば欠陥310から反射または散乱した超音波311は、試料表面102に達し、表面変位317を生じさせる。この表面変位317を共通光路光干渉計306の検出光312によって測定する。
【0064】
共通光路光干渉計306での測定によって試料101の表面102の表面変位を検出すると、その検出した位置近傍の試料101内部に例えば欠陥310があることがわかり、超音波308を照射してから表面変位317を測定光312で測定するまでの時間から、例えば欠陥310の試料表面102からの深さを知ることができる。
【0065】
図5または図9ないし図12には収束型超音波トランスデューサー301または303を用いる構成例を示したが、収束型超音波トランスデューサー301または303を用いる利点は、超音波を試料表面102上の一点に収束することができるため、超音波励起を効率よく行えることである。一方、図13に示したような非収束型超音波トランスデューサー3011を用いると、試料101内部を伝播する超音波をほぼ平面波とできるため、欠陥103の深さに関係なく常に同じ励振条件を実現できることが利点となる。
【0066】
収束型超音波トランスデューサー301または303を用いて超音波を励起する場合、励起効率は良いものの、試料101内を伝播する超音波は励起点から広がる球面波となり、あらゆる方向に伝播する。そのため、励起点から距離rの位置においては振幅が1/r^2に減少する。
【0067】
一方の非収束型超音波トランスデューサー3011を用いた超音波励起においては、励起効率は収束型トランスデューサー301または303に劣るものの、試料101内部を平面波として伝播するため、伝播による減衰が殆ど無視できる。そのため、試料表面102から深い位置にある異物や欠陥、界面を検出する際は、感度がよい。また、試料101内部を伝播する超音波が平面波であるため、超音波励起から光検出までの時間が純粋に異物や欠陥、界面の深さに対応していることも利点である。
【0068】
一方、収束型超音波トランスデューサー301または303で励起した超音波は試料101内部で球面波となるため、超音波励起から光検出までの時間が、試料表面102における超音波収束点から異物や欠陥、界面の距離に対応している。そのため、異物や欠陥、界面の試料表面102からの深さを調べるためには、超音波励起および光検出を行う点を試料101の表面に沿って2次元走査し、励起から検出までの時間が変化する分布を作成することや、複数方向から測定した結果を総合的に評価して異物や欠陥、界面の位置を算出するという作業が必要となる。
【0069】
非収束型超音波トランスデューサー3011を用いた場合、非収束型超音波トランスデューサー3011から発振させる超音波の周波数fと、非収束型超音波トランスデューサー3011の超音波を発振する面の広がりLを適切に選択することにより、大きさWの欠陥検出の効率と精度を向上できる。これは、空気中の音速をvとした場合に、波長v/fが発振面Lより十分に大きい場合(v/f≫L)は、超音波は非収束型超音波トランスデューサー3011の発振面から広がって伝播し、逆に波長が発振面に対して十分小さい場合(v/f≪L)は非収束型超音波トランスデューサー3011の発振面から指向性よくビーム状に伝播することによる。
【0070】
すなわち、非収束型超音波トランスデューサー3011の発振面から発散するような超音波を試料へ入射すると、励起効率が低下するのみならず、試料に励起された超音波の波面が複雑になるために、測定結果の解釈が困難となる。ただし、試料内部における超音波の散乱が強い場合は、超音波の波長を長くする(つまり周波数を下げる)ことによって、超音波の散乱を抑制し、深い位置にある欠陥を検出できる可能性が向上する利点がある。
【0071】
一方、収束型超音波トランスデューサー301または303の発振面からビーム状に伝播する超音波を試料へ入射すると、励起効率は向上し、試料内部を伝播する超音波波面が平面波となるため、欠陥検出の効率が向上する利点と、測定結果を理解しやすくなる利点がある。ただし、ビーム状超音波の指向性を向上させると、収束型超音波トランスデューサー301または303の発振面直下にある欠陥しか励振することができず、光センサ直下の欠陥を見逃す懸念が生じる。
【0072】
実際に非収束型トランスデューサー3011を用いて欠陥の検出を行う場合は、試料の超音波伝播特性や検出したい欠陥の大きさ、欠陥検査の目的を考慮し、超音波の周波数とトランスデューサーの大きさを選択する。
【0073】
図5または図9ないし図13においては、光検出のための検出光を収束光として結像光学系を組んだ例を図示したが、検出光は平行光としても良い。検出光を平行光とする利点は、より広い面積を一度に測定できる点である。一方、結像光学系を用いた場合は、検出光を空間の一点に絞るため検出光密度が大きくなり、効率よく検出を行うことが可能である。また、空間分解能を向上させられる利点と、試料表面102が傾斜している場合においても測定が可能となる利点がある。
【0074】
検出光を平行光とした場合においても結像光学系を用いて集光した場合においても、最終的な光電変換素子をフォトダイオードや光電子増倍管のように単眼の素子とすると、照射した領域すなわち視野における表面変位を平均化して検出することができる。この場合、視野全体の変化を加算して検出することになるため、検出感度は向上する利点がある。
【0075】
一方、光電変換素子としてCCDカメラ等の二次元撮像素子を用いると、視野内を画素分に分割して測定することになるため空間分解が可能となる利点がある。光電変換素子に単眼の素子を用いるか二次元撮像素子を用いるかは測定対象物ならびに検出したい対象によって選択される。
【実施例2】
【0076】
第一の実施例においては、光センサとして共通光路光干渉計306を用いて光センサの検出光軸に対して対称な超音波励起とする実施形態を記した。第一の実施形態例で説明した構成の利点は、非常にコンパクトな測定系を実現できることである。一方、図14に例示したような構成を用い、励起超音波の伝播方向に対して対称な光計測を行うことによっても、コンパクトで高感度な非接触内部欠陥検査を実現できる。この第二の実施例の利点としては、測定系全体が比較的コンパクトに構成可能であることと、第一の実施例に比べて検出に用いる光センサの構成が簡便にできることである。
【0077】
本発明の第二の実施例を、図14ないし図18を用いて説明する。
図14に空中超音波励起トランスデューサー401で試料101に超音波を励起し、斜入射サニャック干渉計によって表面変位を介して超音波を検出し、試料内部を観察する非接触超音波測定装置の構成例を示す。
【0078】
超音波トランスデューサー401から照射された超音波は、試料表面102を透過し、試料内部101を伝播する。試料101内部に欠陥や界面が存在すると、そこで超音波が反射または散乱し、その一部が試料表面102へ戻ってきて表面を変位させる。
【0079】
サニャック干渉計における測定光402は、+z方向から−z方向へ向かって入射する。測定光402は、偏光子403によって、(x+y)方向または(x-y)方向の直線偏光4021と4022とに変換され、偏光ビームスプリッタ404で直交する偏光成分で分割される。偏光ビームスプリッタ404は、直交する偏光成分に分離可能、すなわち一方の偏光を透過してもう一方の偏光を反射する機能を有していればよく、その形状を問わない。
【0080】
偏光ビームスプリッタ404を透過した検出光4021は、ミラー405によって伝播方向が変えられ、レンズ406によって超音波トランスデューサー401が超音波を励起している領域へ集光される。試料表面102によって反射または散乱された測定光402は、レンズ407によって集光され、ミラー408、ミラー409によって伝播方向が変えられ、偏光ビームスプリッタ404へ向かう。検出光402は偏光ビームスプリッタ404を透過し、波長板410へ達する。
【0081】
一方、偏光子403で直線偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ403で反射された検出光4022は、ミラー409、ミラー408で伝播方向が変えられ、レンズ407によって超音波トランスデューサー401が超音波を励起している領域へ集光される。試料表面102で反射または散乱された測定光402は、レンズ406によって集光され、ミラー405で方向を変えられ、偏光ビームスプリッタ404で反射され、波長板410へ達する。
【0082】
波長板410に達した直交する直線偏光の測定光4021と4022とは、波長板410によって位相差を設けられ干渉し、検光子411によって特定の偏光成分のみを抽出される。干渉し、検光子411によって抽出された測定光402は、光検出器412に達し、測定される。
【0083】
ここで、光検出器412はフォトダイオードや光電子増倍管のような単眼の素子や、CCDカメラ等の二次元撮像素子でもよい。単眼の素子を用いて光検出を行う場合は、高速性や高感度化に有利であるという利点がある。しかし、二次元測定をする場合には光干渉計全体または試料101を走査する必要が生じる。一方、CCDカメラのような二次元撮像素子を用いた場合は測定光402の照射領域内で空間分解測定が可能となる利点がある。ここで、空間分解能は、レンズ406とレンズ407、結像レンズ438の倍率と、二次元撮像素子の大きさによって決定される。
【0084】
単眼の素子を用いる場合は、解像度や倍率より光検出器412における検出効率等を考慮し、結像レンズ438の焦点距離や口径を選択することができる。また、単眼の素子を用いる場合、状況によっては結像レンズ438は必ずしも必要ではないので、省略することができる。
【0085】
図14に示す構成においては、測定光402が入射してから試料表面102に達するまでに、偏光子ビームスプリッタ403→ミラー405→レンズ406と伝播する測定光4021の光路と、変更ビームスプリッタ404→ミラー409→ミラー408→レンズ407と伝播する測定光4022の光路で、二通りの光路があり、変更ビームスプリッタ404とミラー409との間隔L:413だけ光路長が異なる。そのため、t0=L0/c0だけ異なるタイミングで測定光が試料表面102に達することとなる。しかし、再び偏光ビームスプリッタ404に達して反射または透過した測定光4021と4022とは、波長板410に達した際に一つの光束に合成される。ここで、t0は測定光の到達時間差で、L0は試料表面102に達するまでの光路差413、c0は真空中の光速である。
【0086】
結局、測定光402は試料表面102の表面の変位d(t)をt0だけ異なるタイミングで測定することとなり、図14に示した構成の光干渉計においてはD(t)={d(t+t0)-d(t)}/t0、すなわち表面振動を測定することとなる。ここで、d(t)は時刻tにおける表面変位であり、D(t)は時刻tにおいて干渉計が検知する表面変位の差である。
【0087】
図14のような構成の光干渉計を用いると、測定光が同一の光路を逆周りに伝播するため、光路における空気揺らぎや干渉計の各素子に対する外乱の影響を軽減でき、高感度検出を達成できることが利点である。
【0088】
図14においてはレンズ408で集光された検出光402は、レンズ406で集光された、偏光ビームスプリッタ404を透過した検出光402と近接する領域に集光されているものとする。近接する領域とは、まったく同じ領域に集光されていることを含み、100μm程度離れていてもよい。レンズ406で集光する測定光4021とレンズ407で集光する測定光4022をより近接する領域に照射すると、光路差L:413に相当する時間t0における試料表面102の振動D(t)を測定することになり、より離れた領域に測定光を照射すると、振動と空間微分の両方が重畳した物理量を測定することとなる。目的に応じ、測定光4021と4022の集光領域を変えられる。
【0089】
図14に示した構成では、測定光4021と4022とが試料表面102に達するタイミングは光干渉計を構成した段階でt0=L0/c0に固定されてしまう。そこで、図15に示したように、干渉計にコーナーミラー417等で構成した遅延光路を追加することで、測定光402の照射タイミングを可変にできる。すなわち、測定光402が入射して偏光ビームスプリッタ404で反射された測定光4024はミラー418とコーナーミラー417を通りレンズ418で集光させて試料表面102に照射させることにより、偏光ビームスプリッタ404を透過してミラー414を経由しレンズ415で集光させて試料表面102に達する偏光成分4023に比べt1=2L1/c0だけ遅れて試料表面に達する。コーナーミラー417を移動させることによってL1を変化させ、t1を制御して試料表面102に達するタイミングを可変にできる。
【0090】
ここで、コーナーミラー417は、入射光と平行に光を反射する光学素子であればよく、コーナーミラーのほかには、例えばレトロリフレクターやコーナーキューブ、キャッツアイ、ミラーの組み合わせ等で構成しても良い。
【0091】
図14と図15に示した構成例においては、サニャック干渉計をミラー等の光学素子を配置して、検出光402が空間を伝播する構成とした。前述したように、同一光路を違うタイミングで伝播する構成のため、外乱に対して強い特徴がある。しかし、外乱に対してより安定とするために、図16に示したような構成が考えられる。
【0092】
図16に示した構成は光路を光ファイバで構成し、試料表面102に測定光402を照射する部分だけ光ファイバから出射ようにする構成である。図16は、光源420で発振した測定光を偏光保存ファイバ421(以下、ファイバ421と記す)に導入する。ファイバ421には直線偏光子422が配置されており、ファイバ421を伝播する偏光を調整できるようになっている。ファイバ421を伝播する測定光は、分波器423によって直交する偏光成分で分離され、各偏光成分は偏光保存ファイバファイバ424(以下ファイバ424と記す)と偏光保存ファイバファイバ429(以下ファイバ424と記す)に導かれる。
【0093】
ファイバ424に導かれた検出光はアウトプットカプラ425によって射出され、レンズ426によって試料表面102へ集光される。試料表面102で反射または散乱された測定光は、レンズ427によって集光され、アウトプットカプラ428によってファイバ429へ導入され、分波器423に達する。一方、分派器423からファイバ429に導かれた検出光はアウトプットカプラ428を通ってレンズ427によって試料表面102に集光される。試料表面102で反射または散乱された検出光は、レンズ426によって集光され、アウトプットカプラ425を通じてファイバ424に導入され、分波器423に戻る。
【0094】
ここで、分波器423からファイバ424とファイバ429に導かれた測定光は、ファイバ424と429との長さが異なることによって試料表面102に異なるタイミングで達することになる。
【0095】
分波器423に戻ってきた各偏光成分は分波器423によって合成され、ファイバ430へ導かれる。ファイバ430には波長板431と検光子432が組み込まれており、波長板431によって位相差を調整して直交していた各偏光成分を干渉させ、検光子432によって干渉した測定光から特定の偏光成分を抽出し、集光レンズ438で集光された検出光は光検出器410で検出され、その検出信号に基づいて変位測定を行う。
【0096】
図17に示した分波器423は、ファイバ421から入射する測定光を偏光によって分離して各偏光成分をファイバ424とファイバ429へ分岐する機能と、ファイバ424とファイバ429から入射してきた光を、偏光を保存したまま全てファイバ430へ導くような機能を備えた素子であればよい。例えば、図17に例示したようにサーキュレーター433と偏光カプラ434を組み合わせることで分波器423を構成できる。
【0097】
図16に示した光ファイバを用いた構成は、光ファイバ424や429を巻くなどすることによって、図14や図15に示した構成に比べ装置全体をコンパクトに構成可能となる利点もある。
【0098】
図14ないし図16に図示した光干渉計においては、測定光はレンズ406またはレンズ407、レンズ415、レンズ416、レンズ426、レンズ427によって試料表面102に集光されている。試料表面102にレンズ等を用いて検出光402を集光させる利点は、検出における光密度を向上させることによって高感度検出が可能となることと、空間分解能を向上できることである。
【0099】
しかし、検出光の光密度が向上するために試料表面102に対して損傷を与える危険があることと、二次元的な測定を行うには光干渉計または試料を走査する必要がある。そこで、図18に例示するような、測定光を試料表面102に集光しない構成も考えられる。図18に示した構成においては、図14と同様に偏光ビームスプリッタ404で各直交する偏光成分に分割された光を、プリズム等の素子435によってその伝播方向を変え、超音波トランスデューサー401が超音波を励起している領域へ平行光のまま照射する。
【0100】
試料表面102で反射または散乱された検出光は、プリズム等の素子436とミラー437によって伝播方向を変えられ、偏光ビームスプリッタ404を透過して、波長板410に到達する。一方、偏光ビームスプリッタ404で反射された測定光はミラー437→素子436→試料表面102→素子435と伝播して偏光ビームスプリッタ404に達して偏光ビームスプリッタ404で反射され、波長板410に達する。
【0101】
図18に示したような、測定光402を平行光の状態で試料表面102へ照射する構成を用いる利点は、検出光の光密度を下げることによって試料101へ損傷が生じにくくなるということと、広い面積を一度に測定できることである。また、検出光を平行光として試料101へ照射しているため、素子435及び436と試料101の距離が変化した際にも、検出光402が常に光検出器412に達するという利点もある。
【0102】
図18に示したように測定光を集光しない干渉計を用いる構成においては、光検出器412を二次元撮像素子とすることによって空間分解測定も可能であり、大面積を一回の測定で網羅できるため、高速大面積測定が可能となる。また、単眼の光検出器を用いた場合においては、広い面積における表面変位を総和して測定することができるため、高感度検出が可能となる利点もある。
【実施例3】
【0103】
実施例1および2で説明した、空中超音波励起トランスデューサー401で試料101に超音波を励起し、共通光路光干渉計または斜入射サニャック干渉計によって表面変位を介して超音波を検出し、試料101内部を観察する非接触超音波測定手段は、図5ないし図18に示した構成で実現できる。しかし、図5ないし図18に示した構成ではレンズで集光した空間一点または測定光を照射した限られた領域の試料101の深さ方向の観察しか実現できない。そのため、図5ないし図18に示した構成要素からなる測定ユニットを、何らかの手段で試料表面に沿って走査する必要がある。
【0104】
図19に測定ユニット501と検出光の光源502を搭載した走査装置503が試料ステージ507に搭載された試料101上を走査する装置構成の例を図示した。走査装置503は、走査制御部506によって例えば測定ユニット501を直交3軸方向の移動と直交3軸周りの回転を行うことができ、試料101上における測定点を移動できるものである。図19に示した構成では、光源502も走査装置503に搭載されているが、必ずしも走査装置503に搭載されている必要はなく、光ファイバを用いるなどして測定ユニット501へ測定光を導く構成でもよい。また、試料101を搭載している試料ステージ507が移動ないし回転を行う機能を有していてもよい。
【0105】
測定ユニット501における光検出器412からのアナログ出力信号、すなわち試料101の表面変位に対応した信号は、例えばアナログデジタル変換器504でアナログ信号がデジタル信号に変換されてから制御部505へ伝達される。制御部505は走査制御部506を制御して試料101上の位置を変化させ、試料表面102上の各点における表面変位信号を収集する。収集した結果は図20に示すように、空間各点における試料表面102の変位2001を時間軸で観測したデータの集合2002となる。
【0106】
制御部505は、図20に示したような試料101の表面102の変位を空間各点で観測したデータを処理し、例えば図21に示すように表示画面2101上に二次元画像2102として表示する機能を有していてもよい。図21は、図20に示したデータを読み取り、超音波を励起した後に試料表面が変位するまでの時間から試料101内部における例えば欠陥や界面の深さと位置、分布を算出し、それを空間各点でプロットした例である。
【0107】
図21の二次元画像2102のように二次元的に表示することにより、試料101内部の例えば欠陥や界面の分布を直感的に知ることができる利点がある。光検出器412に二次元撮像素子を用いた場合には、走査装置503を走査して空間各点で撮像した各二次元画像をつなぎ合わせることにより、二次元撮像素子の視野より広い領域の二次元的な、試料101内部の例えば欠陥や界面の分布を知ることができる。
【符号の説明】
【0108】
101・・・試料 102・・・試料表面 103・・・欠陥 201・・・超音波トランスデューサー 205・・・共通光路光干渉計 301・・・超音波トランスデューサー 302・・・貫通穴 303・・・超音波トランスデューサー 304・・・座グリ 305・・・貫通穴 306・・・共通光路光干渉計 310・・・欠陥 313…参照ミラー 314・・・共通光路光干渉計 315・・・光ファイバ 316・・・アウトプットカプラ 401…超音波トランスデューサー 403・・・偏光子 404・・・偏光ビームスプリッタ 405、408、409,414,418・・・ミラー 406、407、415、416・・・レンズ 410・・・波長板 411・・・検光子 412・・・光検出器 417・・・コーナーミラー 420・・・光源 421、424,430・・・光ファイバ 422・・・偏光子 423・・・分波器 425、428・・・アウトプットカプラ 426,427・・・レンズ 429、430・・・光ファイバ 431・・・波長板 432・・・検光子 433・・・サーキュレーター 434・・・偏光カプラ 435,436・・・プリズム 437・・・ミラー 501・・・測定ユニット 502・・・光源 503・・・走査装置 504・・・アナログデジタル変換機 505…制御部 601・・・偏波面保存ファイバ 602・・・コリメーター 604・・・偏光素子 606・・・プリズムミラー 607・・・無偏光ビームスプリッタ 608・・・参照ミラー 610・・・集光レンズ 613・・・開口 615・・・四角錐プリズム 616・・・四角錐プリズム 618・・・フォトニック結晶アレイ 619・・・フォトニック結晶アレイ 621・・・結像レンズ 623・・・光電変換素子 624・・・増幅器 626・・・レーザダイオード 628・・・コリメーティングレンズ 629・・・ビーム整形素子 635・・・フォトニック結晶アレイ 636・・・フォトニック結晶アレイ 639・・・レンズアレイ 640・・・光電変換素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の試料から離れた場所から超音波を発射して該超音波を前記試料に照射し、該試料の表面の前記超音波が照射された箇所に偏光の状態が制御された偏光光を照射し、該偏光光が照射された前記試料の表面からの反射・散乱光のうち前記照射した偏光光と同じ偏光特性を持つ光を光検出器で検出し、該光検出器で検出した信号を処理して前記試料の内部の欠陥を検出することを特徴とする内部欠陥検査方法。
【請求項2】
前記超音波を、前記試料から離れた場所から前記試料の表面に向けて収束させて照射することを特徴とする請求項1記載の内部欠陥検査方法。
【請求項3】
前記偏光光が照射された前記試料の表面からの反射・散乱光のうち前記照射した偏光光と同じ偏光特性を持つ光による光学像を光検出器で検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の内部欠陥検査方法。
【請求項4】
前記光検出器は、前記偏光光が照射された前記試料の表面の前記超音波が照射された検査箇所からの反射・散乱光のうち前記照射した偏光光と同じ偏光特性を持つ光と、前記試料の表面に照射された偏光光と異なる偏光成分を有する光と、を合成した光を検出することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の内部欠陥検査方法。
【請求項5】
前記試料の表面に照射された偏光光と異なる偏光成分を有する偏光光は、前記試料の表面に照射された偏光光と少なくとも一部の光路を共有していることを特徴とする請求項4記載の内部欠陥検査方法。
【請求項6】
前記偏光の状態が制御された偏光光を2つの光路に分岐し、該2つの光路に分岐された偏光光のうちの一方の偏光光を前記試料の表面の前記超音波が照射された検査箇所に第1の照射手段により集光して照射し、前記2つの光路に分岐された偏光光のうちの他方の偏光光を前記試料の表面の前記超音波が照射された検査箇所に第2の照射手段により集光して照射し、前記第1の照射手段により照射されて前記検査箇所から反射・散乱された光のうち前記第2の照射手段に入射した光と前記第2の照射手段により照射されて前記検査箇所から反射・散乱された光のうち前記第1の照射手段に入射した光とを前記光検出器で検出することを特徴とする請求項1記載の内部欠陥検査方法。
【請求項7】
前記第1の照射手段の光路長と前記第2の照射手段の光路長とが異なることを特徴とする請求項6記載の内部欠陥検査方法。
【請求項8】
検査対象の試料に超音波を照射する超音波照射部と、該超音波照射部により超音波が照射された前記試料の表面に光を照射して該表面からの反射・散乱光を検出する光学検出部と、該光学検出部から出力された信号を処理して前記試料の内部の欠陥を検出する信号処理部とを備えた非破壊非接触内部検査装置であって、前記超音波照射部は前記試料から離れた場所から前記試料に向けて超音波を照射する超音波トランスデューサを有し、前記光学検出部は光源手段と、該光源手段から発射された光の偏光の状態を制御する偏光制御手段と、該偏向制御部により偏光の状態が制御された偏光光を前記試料の表面の前記超音波が照射された箇所に照射する光照射手段と、該光照射手段により偏光光が照射された前記試料の表面からの反射・散乱光のうち前記照射した偏光光と同じ偏光特性を持つ光を検出する光検出手段を有し、前記信号処理部は前記光学検出手段から出力された信号を処理して前記試料の内部の欠陥を検出することを特徴とする内部欠陥検査装置。
【請求項9】
前記超音波照射部の超音波トランスデューサは、前記試料から離れた場所から前記試料の表面の検査箇所に向けて前記超音波を収束させて照射することを特徴とする請求項8記載の内部欠陥検査装置。
【請求項10】
前記光学検出部の照射手段は、前記試料の表面の前記超音波が照射された検査箇所に光を集光して照射し、該集光して照射した箇所からの反射・散乱光の像を検出することを特徴とする請求項8又は9に記載の内部欠陥検査装置。
【請求項11】
前記光学検出部の光検出手段は、前記照射手段により偏光光が照射された前記試料の表面の前記超音波が照射された検査箇所からの反射・散乱光のうち前記照射した偏光光と同じ偏光特性を持つ光と、前記光源手段から発射された光のうち前記照射手段により前記試料の表面に照射された偏光光と異なる偏光成分を有する光と、を合成した光を検出することを特徴とする請求項8乃至10の何れかに記載の内部欠陥検査装置。
【請求項12】
前記試料の表面に照射された偏光光と異なる偏光成分を有する偏光光は、前記試料の表面に照射された偏光光と、前記光源手段から前記照射手段までの光路と、前記試料の表面で反射・散乱された光の前記光検出手段までの光路とについて、それぞれ少なくとも一部を共有することを特徴とする請求項11記載の内部欠陥検査装置。
【請求項13】
前記光学検出部の光照射手段は、前記偏向制御部により偏光の状態が制御された偏光光を2つの光路に分岐する偏光分岐手段と、該偏光分岐手段で2つの光路に分岐された偏光光のうちの一方の偏光光を前記試料の表面の前記超音波が照射された検査箇所に集光して照射する第1の照射手段と、前記偏光分岐手段で2つの光路に分岐された偏光光のうちの他方の偏光光を前記試料の表面の前記超音波が照射された検査箇所に集光して照射する第2の照射手段とを有し、前記光検出手段は、前記第1の照射手段により照射されて前記検査箇所から反射・散乱された光のうち前記第2の照射手段に入射した光と前記第2の照射手段により照射されて前記検査箇所から反射・散乱された光のうち前記第1の照射手段に入射した光とを検出することを特徴とする請求項8記載の内部欠陥検査装置。
【請求項14】
前記第1の照射手段の光路長と前記第2の照射手段の光路長とが異なることを特徴とする請求項13記載の内部欠陥検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2012−127897(P2012−127897A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281390(P2010−281390)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】